東京おすすめアニメランキング 221

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの東京成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2023年05月30日の時点で一番の東京おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

81.9 1 東京アニメランキング1位
リコリス・リコイル(TVアニメ動画)

2022年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (1157)
2192人が棚に入れました
東京の下町にある和カフェ「リコリコ」 。 カフェが受ける注文は、おいしいコーヒーにあま~いスイーツ……だけじゃない!? ちょっとそこまでのお届け物から心細い夜道の送り迎え、ゾンビ退治から巨大怪獣…!? なんでもお悩み、相談ください! お客さまの「困った」をなんでも解決しちゃいます! 皆さまをお待ちするのは、いつもスマイル看板娘と、クールで真面目なド新人。働きたくないちびっ子に、結婚を焦るアラサー女子? そして店長は、日本かぶれのナイスガァイ!! どんなご注文(オーダー)も、おまかせあれ♪
ネタバレ

アニメアンチの憂鬱 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

アニメファンの感性を残酷なまでに問われる惨い作品

日本国の治安を守る秘密組織機関に属するエージェント=「リコリス」と呼ばれる少女たち
「千束と たきな」 2人のバディを描いた物語。

銃撃戦もありますが、最大の見せ場は何と言っても
千束と たきな のバディの関係性の描写にございます。

人気実力を兼ねそろえた完成度が非常に高い超話題作。

エンタメ性も高くキャラも魅力的で評判は上々、一見の価値ありと
自信を持ってより多くの方々にお奨めできるタイプの作品であります。

お気楽吞気で全身脱力系の 千束 と
生真面目で融通が利かない たきな の凸凹コンビが繰り広げる
化学反応の超展開(けつキック合戦の模様を含め)どうぞご期待ください。

●メサイヤ×スクランブル~最終話視聴後の総合評価~
{netabare}総合的に考えると相棒系の物語としてはかなり上質の完成度であったと評価できますが
最終話で、 たきな の活躍が期待していた程ではなかったこと、そして
「心臓」の件は個人的には千束もしくは たきな の決断により解決してほしかったのですが
二人の父親同士の決闘の末、先生の独断?(あるいはすべてを見越した吉松氏の計略?)により
あっさり解決されてしまったのが少しだけ残念でありました。

「彼岸花」が暗示する「死亡フラグ」も吉松氏が全部引き受けることで
一番危うい立ち位置にあった千束、仲間思いの念が強すぎて見境なくなる
という意味で何かやらかしそうだった たきな も事なきを得たようです。

千束の二人の父親、先生と吉松氏のBL関係のごり押しは{netabare}あまりに露骨で悪趣味なものを
感じたので減点の要素としました。

実はエリートと呼ばれる人たちにBL系の人が多いというのは事実であり、ある意味アラン機関の
吉松氏が同様であるのもリアリティがあると言えばその通りですが、主人公の父親がともに
BL系というのはかなり微妙過ぎるものがあるように感じました。{/netabare}

人気・評判・実力の総合評価では今期最高水準であることを証明したような本作でありますので
続編が期待されるのは当然の成り行きでありますし、だからこそ千束や たきな の手によって
命の問題を解決させようとする結末を描かなかったのには理解はできるところもあります。
というのも、原理上、命の代償は命であるのが必然だからであります。

12話の展開の過熱感は限界突破をするほどの熱を帯びているように思えましたが
最終話ではピークアウトを迎え少しだけトーンダウンしたような印象も受けました。

ただ続編への繋ぎということならば、若干ぬるめのハッピーエンドみたいな締めでも
ファンにとっては好印象であったのかもしれませんし
まだまだ物語が続くなら、それを待たずして激辛評価というのも早計でありかつ
期待が持てる終わり方というのも印象は悪くなかったように感じました。
結論は、概ね着地成功という話にございます。{/netabare}

ざっくりレビュー{netabare}
1話 たきな は待機の命令違反を犯しリコリスの仲間を救出
この命令違反を理由に本部から左遷されますが、救世主に憧れる千束には好印象
たきな は仲間思いの「熱い」性格であることが判明します。

2話 千束のマトリクスディフェンス炸裂
カラシニコフは反動が大きいのでかわし易いということなのでしょう。
異常に目がいい千束は射撃手の腕の筋肉の動きから弾丸の起動が読めるというチートであります。

3話 健康診断受診前に飴を食べようとする千束に たきな が注意勧告
甘いものは血糖値を上げるからと正論を放つも実は思いやりがあるというのが たきな であります。
模擬戦煽り合戦で千束吠える!千束も たきな のこととなると熱くなります。名コンビ覚醒回であります。

4話 たきな 用下着の買い出しシーン。ショップで二人の禅問答が始まり
千束の一人乗り突っ込みが冴えわたる。所詮は百合サービスデート回だろうと油断していたら
二人の会話は盛り上がり、思い出話の暴露から信頼関係が強化されていく様子が描かれます。

5話 千束の秘密が明らかになる重要回。
手作りの「旅のしおり」は千束の観光ガイドの依頼に対する本気度が窺えます。
アラン機関によりもたらされた人工心臓、そして千束の使命とは?物語は動き出します。

6話 リコリス襲撃犯テロリストとの対決。千束の弱点、目潰し攻撃で追い込まれるも
たきな のバックアップで難を逃れます。

7話 アラン機関に選ばれた千束と運命の人との再会。
しかし両者のそれぞれの思いにはズレがあるようであります。

8話 たきな 渾身のオリジナルパフェを考案。
絵の才能に加え たきな は決定的にセンスがないことが判明。
旧電波塔事件に関与していた男、真島の正体はアランチルドレンであり
千束との運命的再会は彼にとってはリベンジマッチ千載一遇のチャンスとなるのであります。

9話 人工心臓に細工され千束の余命は数か月に。
先天的心疾患の千束を救った救世主=吉松氏は憧れの人。
千束の生存につながる情報の手がかりを求め本部復帰を決意する たきな。
思い出作りのため たきな エスコートで千束とお出かけ。
たきな らしい生真面目過ぎるデートプランであるも、千束は大満足。
二人の別れのシーンで待望の雪が降るという演出がとても印象的な感動回でありました。

10話 自分のために人生を棒に振ってほしくない千束は喫茶店の閉店を決意。
そしてテロリスト真島覚醒!その本領を発揮します。 {/netabare}

以下長文レビュー{netabare}
●「メサイヤ・コンプレックス」~テロリスト真島について~
{netabare}真島というキャラが魅力的に見えるのは、本人が言うように真島が弱い者の味方であり
現状の腐った政治が蔓延する日本という社会においては過激な改革こそが庶民にとっては
正義であり救いであるというのが真実であるからであります。

テロリストというのはある意味「メサイヤ・コンプレックス」という精神病理に憑りつかれている
ような存在でありますが、この狂った世界に生きていれば誰しもが病みを抱え鬱積した感情の
どろどろのマグマがやがて臨界点を迎えるのも致し方ないことのように思われるわけであります。

本作に登場する都知事が(ノンフィクション作家の著作)「女帝」というタイトルの暴露本で
学歴詐称並び公職選挙法違反の疑念を抱かれる対象の某都知事と瓜二つなのは、偶然ではなく
必然であると考えられますが、その問題の某都知事はジョージ・ソロスという世界的大富豪の
お知り合いという話でございます。

都職員による実績評価は過去最悪級の某都知事でありますが、どういうわけか?選挙にはやたら強く
某独裁与党に所属していた時から大臣などの重要ポストを当たり前のように手に入れてきたという
経歴を持つというなんとも「狐」につままれたような奇妙な話でありますが、政治の世界、
いえ、この世のすべては人脈やコネこそが肝心要であり、
実力やら誠実さやら信頼などは二の次三の次のことなのでしょう。

某与党で重要ポストを得てきた女議員とは、よく見りゃみんなよく似てる
「女狐」であるという笑えないオチであります。

だからこそ真島というキャラの思想性に自分の憧れや理想を重ねてしまうわけですが
テロを起こそうが起こすまいが、ガチガチの完全性で固められている現世界システムは
強固なる鉄壁性を示すのみでありましょう。

ただし、その鉄壁性という性質は我々庶民に対してのものであり
もしも権限ある強者たちが世界を変えると決めた時は、逆に多くの庶民が抵抗したところで
いともあっけなく劇的に変わってしまうというのは何とも皮肉な話であります。{/netabare}

●すり替えのトリック
{netabare}「プリンセスプリンシパル」と「探偵はもう死んでいる」から導き出される
「心臓のすり替え」には、トリックが仕組まれていたことが最終話で判明します。

千束の「代替心臓」は実はケースの中にあったというのが真相ですが、
では吉松氏が人工心臓を自らに埋め込んだという話はただのブラフだったのでしょうか?
個人的推測では、計算高い吉松氏のことですから実際に装着して性能テストをする必要性を感じ
ただろうということと、ただのハッタリでは千束が信じないかもしれないという判断から、
自身に人工心臓を埋め込んだのは真実であると判断いたします。

目的のためには手段を択ばない狡猾なトップエリートであるのが吉松氏の本性でありますが
そんな彼でも、千束には父親としてなんとかして生きて欲しいという願いを抱いて
いたという話であります。

愛娘のような千束を欺き、親友のミカを欺いてでも自分の思いを貫く純粋なる狂信者吉松氏と、
片やそのような一方的で残酷な解決法を望まない千束とは、考え方が真っ向から対立しますが
誰かのために生き、誰かの命を救うために生きることとは、千束にとっては理想的な生き方で
ありそれこそが彼女にとっての「救世主」であったというわけです。

千束としては、吉松氏の一方的なプレゼントとメッセージについてはひどく受け入れ難いものの
ため「これ」を海に投げ捨てますが、そのシーンで彼女が断ち切ったもの、断ち切りたかった
ものとは過去であり、ある意味吉松氏によって与えられた未来には真っ向から向き合って生きて
行く決意を表したような意味合いが、そこには込められていたようにも思えます。

今の千束には救世主に対する憧れはもうありません。
等身大の自分が生きる道、未来につながる道をひたすら歩んで行くだけです。

例え与えられた命でも生きる権利があるのは本人であり、
どう生きるかも本人の専権事項であります。

親がなければ子は生まれませんが、親はなくとも子は育ち、やがて巣立ちます。
未来とは親のためではなく子どものためにあるものです。
そして親とは子どものために、子どもを思い生きる存在であります。
自分の理想を一方的に押し付けるようなことは本来親がやるべきことではなく
もしも吉松氏が本当に千束を自分の子と思い、自分は父親と自覚していたなら
それが間違いであることに当然気づくでしょう。

吉松氏はどちらだったでしょうか?{/netabare}

テロリストの真島もなかなかいいキャラでありますが、いかにもエリートらしい吉松氏の{netabare}
目的のためには手段を択ばない純粋なる狂気っぷり加減もなかなかによい塩梅であります。
自分の信念を純粋無垢に貫いてブレない千束との対比効果が鮮明で個人的には
かなり燃える因縁の対決シーンでありました。

そして仲間思い千束思いの たきな の鬼の形相、必死すぎる表情も上手いこと描かれており
熱量が凄いことになっておりました。

組織挙げてのオペレーションの失敗の責任をすべて部下に押し付けて何事もなかったかのように
トップの地位にのうのうと居座り始末書の処理だけは優秀な楠木司令
この世界で出世し勝ち残り優秀と言われるのはお役所仕事をそつなくこなす方なんですが、
しかしながら要するに、そういう人は無能で信頼もできないし
自己保身が最優先事項なので実は全く使えないというのが真相でしょう。

ハッカーや真島に何度もしてやられて自分の面子や上司からの評価がガタ落ちの状況を
何とか打開しようと功を焦り、真島検挙の手柄を独り占めしようと目論み
自ら現場にしゃしゃり出てきたDA司令官でしたが…取らぬ狸の皮算用の狸が逆に化かされて
失態の上に失態を重ねて、上司激ギレの結果、切り札の千束を使えという鶴の一声のオチであります。

組織人ならば組織の命令や上司の命令に従うのはある意味当然ですが、
しかし上司が無能で組織自体も形骸化しており機能不全起こしてるならば
訓練された無能力集団の命令に従うことほど間抜けなオチはないと言えましょう。

真島やハッカーはそれについて十分熟知しているので
某都知事含めてコケにされているという展開であります。

優秀なる官僚主義である楠木司令も最後の最後で上層部に一矢報い名誉挽回できたようです。
最後の切り札=千束を政治力を駆使して温存していたこともありますが
それ以上に最後の最後でものをいうのは人脈であるということなのかもしれません。{/netabare}

「えんくうぼく」という名の電波塔とは5Gが普及する近未来を端的に示しており、
劇的な変化を遂げ生まれる新世界秩序の誕生を示唆しているようにも思えます。{netabare}

新世界秩序を作り出すための重要な鍵となるプレイヤーは中国とも言われており、
中国が推し進める一帯一路構想と5G建設計画には密接な関係性があるようです。
世界秩序の劇的な変化の反動、反発としてテロが引き起こされるのは
必然であると言えるのはないでしょうか。

第1話における東京で「桜開花の情報」のテロップが「東京」ではなく「関東」に差し替えられていた問題に関して考えられる仮説の一つとして挙げられるのは
情報操作=「情報のすり替え」の暗示があったのだと推測いします。

東京は関東に属しますが、仮に東京の桜が開花したとしても
関東全体が桜の開花したというのは確かに論理の飛躍が惨過ぎますよね。

そういうことがちゃんとわかっている賢明な?視聴者の方々は当然テロップの違いに
突っ込んでますが、本作における東京及び関東に属するような愚民風情の我がニッポン国民とは、
そんな明らかな論理の飛躍=あからさまな情報のすり替えや情報改ざんの類にはまるで気が付かない
間抜けでお人好しな、救う余地がまるでないような程に絶望感が惨過ぎるからこそ、
例えテロリストになってでも真実を伝えようとするような真島の真摯的な
態度には共感以外に言葉はなく、
一方であまりに哀れ過ぎる我がニッポン国民の愚民性をこのような対比でまざまざと見せつけられたら
笑って誤魔化すしか手立てがないとかいうのは、とても皮肉な話であります。

1話に登場した電波塔とは(改ざん可能な)高度情報化社会を象徴するシンボルであった
可能性が濃厚だと感じました。{/netabare}

1話において某作戦の失敗の原因は{netabare} 某リコリスのスタンドプレーによるものとして
組織内部では処理されていますが、要するにただの責任転嫁のしっぽ切りのために
たきな は左遷されたという話であります。
情報操作と虚飾にまみれた組織とそれによって守られた治安のいい?国家=我がニッポン、
そこに住まう意識が高い?国民性を持つ小奇麗な我が家畜たちの間抜けな幻想、
そういうもの一切合切を痛烈に皮肉ってるようなメッセージが胸に突き刺さります。

某「緑の」都知事には思わず苦笑w皮肉が凄いですw{/netabare}

●個人的に気になった用語
{netabare}・リリベル
リリーベルとは和製英語で鈴蘭の花を意味するらしいですが、
より多くの人に頭に焼き付けて欲しいのは「リリベル」という言葉自体
表記自体に重要な意義があるという話です。

・延空木
天空に延びる木なので、世界樹=ユグドラシル(ゼロ活のクジラ回にもあった)のことを
指しているようにも思えますが
「伸びる」ではなく「延びる」の方は時間空間的なものを指して使われるということです。
電波塔は塔ですから「バベルの塔」みたいなものとも解釈できますが、
「バベル」には「混乱」という意味合いがあるらしいです。
「混乱」という言葉には情報(の錯誤)というものが含まれ
結局のところ「延空木」とは情報網の枝が次元に延長されていった結果
構築される世界樹のようにスケールが大きい巨大情報網のことを指すようです。

5Gが実現する世界こそがまさにその状況を示すのだということになりますが、
最も肝心なことは高度情報化社会は既に進行しており、その社会に暮らす一般庶民とは
絶えず押し寄せる情報の海に溺れ漂流し続ける儚い存在でしかないという真実です。
ハッカーによる情報操作に翻弄され無様に踊らされるという本作に登場する愚民たちとは
結局のところ我々無力な庶民の事を示しており、現時点で真実が何であるのか見えているのは
限りなく無に等しいという…非常に残念なお話でございます。{/netabare}{/netabare}

●アニメファンが知らない秘密結社【フリーメイ@ン】
{netabare}感のいい方のお察しの通り本作ではとある「秘密機関」が描写されています。

一つは 【烏】。一つは【梟】。
「SPY家族」の「オペレーション【ストリスク】」、「惑星のさみだれ」の「【梟】の騎士」
そして「後宮の烏」には「【烏】妃」と【梟】が登場します。
これはほんの一例に過ぎず、特に【梟】が(意味深に)登場する作品を探し出したら
きりがないくらいに【梟】は至る所に存在するのであります。

世界の基軸通貨「ドル」の1$札にはさり気なく【梟】がプリントされていますが
恐らくこれはFRB(連邦準備制度理事会)の株主、つまり世界標準として
ドル基軸通貨体制を構築した「陰の実力者」の所属を示す【刻印】
のようなものであると個人的には理解しております。

【梟】が暗示する【メイソン】の情報をネットで調べたらそれこそ腐る程出てまいりますが
所謂「都市伝説系」の人達が積極的に情報発信しているこの手のものは特にフェイクが多く
当方も迂闊にこれに食いついて騙された口でありますが、得られた情報の点と線を地道に
つなぎ合わせるという地味な作業を長年にわたって継続した結果、パズルのピースはかなり
揃ってきたと実感する位までには到達できたように思います。

【メイソン】の話は某アニメ評論家の岡田斗司夫氏もtubeで披露しており
【メイソン】と【錬金術】の関係性を見事に暴露しているのは、核心をついていて
十分評価すべきでありますが、その一方で【ローマカトリック教会】の理解も含め
【メイソン】の本質には今一つ届いていないように思いました。

【メイソン】に関する話が厄介なことになる原因は今の組織が2重構造、ないしは3重構造
になっているからだと個人的には理解していますが、岡田斗司夫氏ご指摘の通り
「近代メイソン」はただの社交クラブ化しているというのは、ある意味
正しい解釈であると思います。

近代になり立ち上がった【フリーメイソン】は「自由・平等・友愛」を掲げる
ただの「社交クラブ」であることは多くの証言からしても事実であると考えられます。
しかしそれは組織の8割9割の部分でしかなく、「ロッジ」によっては【33階級】まである
とのことですが、例えば【33階級】の頂点を極めた重鎮が一般会員と同じように
社交クラブごっこを目的に活動してるのかと言えば、
そんなわけがあり得ないという結論に至るわけでございます。

【メイソン】とは【石工職人】であります。
この【石工職人】は【錬金術】の系譜の末裔であるというのは岡田斗司夫氏ご指摘の通りであり
【石工職人】の影響力が薄れた近代メイソンが社交クラブ化したのも
ある意味事実であるようにも思えます。

「【海賊】王女」で描写された【オーパーツ】的な「不思議な石」はある種の
パワーストーンでありますが、それを鑑定した【石工職人】とは恐らく
【メイソン】を暗示するものだったのでありましょう。

石工職人の系譜と関連深いのは【古代メイソン】であります。
それに対してその影響力が薄れ近代化したメイソンが今の【フリーメイソン】であります。

【古代メイソン】を近代化したのは誰だったのでしょうか?

一説によればその改革者は【イルミナティ】という輩であるとのことであります。

彼らは近代合理主義の洗礼を受け、「自由・平等・友愛」のスローガンを掲げ
革命の旋風を巻き起こした【陰の実力者】であります。

フランス革命を引き起こし、あるいは裏で煽動していた秘密結社が存在していた
という説がありますが、ある説によればそれは【フリーメイソン】であると言われ
またある説では【イルミナティ】であると言われています。

「自由・平等・友愛」とはフランス革命のスローガンでありますが、そもそも
それを掲げたのは【フリーメイソン】の中に暗躍していた【イルミナティ】という勢力
であったというオチであります。

世界史の授業で習いました近代合理主義における「【啓蒙】思想」という聞きなれない
「ワード」、【啓蒙】とは「闇を【光】で照らす」的な意味合いがあります。

【イルミナティ】とは「【光】に照らされたもの」「【光】の洗礼を受けたもの」であります。

早い話が「【啓蒙】思想」というワードの語源は【イルミナティ】であり
「近代【合理主義】」を世に拡散したのも【イルミナティ】であります。

近代革命の旋風に乗って現れた「フランス人権宣言」や「【理性】の崇拝」という奇妙な宗教、
【ギロチン】という悪趣味な処刑装置、すべては彼らの思想と連動しておるわけでございます。

1$札の裏面には【ピラミッド】とその頂点に【光る眼】が描かれていますが
ピラミッドは【石工職人】=【古代メイソン】の仕事であり
頂点に輝く【光る眼】は【イルミナティ】を象徴しております。

【フリーメイソン】や【イルミナティ】と言えば都市伝説扱いの話とされていますが
フランス人権宣言や1$札だけでなくありとあらゆるところにその形跡が
確認出来てしまいます。

アニメの元ネタが「フリーメイソン」という事例も挙げればきりがないほどありますが
さて、アニメ制作者の方々は皆【オカルト】マニアとでもいうことでありましょうか?

秘密結社に関する謎は深まるばかりでございます。{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 22
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

13話 これって最初から13話だった?総括追記しました。

総括を追記します。

 アニメ作品をどう視聴するか。キャラ→カット(演出・シーン)→エピソード→ストーリー→舞台設定・世界観→結末のストレス→テーマ性という感じだと思います。
 →の方向は深さで、深さに価値の上下は無いです。つまり、テーマ性が一番正しい見方というわけではないです。

 伏線っぽい種まきとか、考察要素で引き付けるという要素もありますけど、結局それが評価できるのは畳んでからですね。

 結末のストレスというのは、物語の終わりの方向性です。悲惨だからいいというものではないですが、ハッピーエンドの後にどんな未来が待っているのかを含めて、考えが及ぶような工夫があるかどうかと言っていいでしょう。

 本作について、数話終わった段階でいきなり円盤がものすごい予約が入ったことからいって、物語が終わるまでわからないストーリー、世界観、結末、テーマ性で人気が出たわけではないということですよね。

 つまりキャラとかシーン、演出などの情報から、お気に入りが決まってゆく顕著な例かと思います。アーニャ可愛いもそうですけど。だから、本作はテーマ性については、なにかクリエータ側はいれようとしていた痕跡はありますけど、どうも中途半端な気がしました。

 どういうテーマ性があるか、エンディングの先にあるものは何かを考えたい視聴者にとっては、本作は中途半端でした。一方で3話までの殺伐とした舞台設定ですが、メインキャラに危険が及ぶのはスパイスでしかなく、明るく楽しい日常系で、百合的な2人がツンデレするのが人気になったのでしょう。キャラ作りが秀逸だったと言えます。

 この点で、初期段階であまりに人気が出すぎた気がしました。だから、当初計画から変わったのかなあ、と想像してしまったわけです。「リコリス」の存在について何が言いたいかが置いてけぼりになったのかなあと。千束の生きる意味的な内容が希薄になったのかなあと。

 まあ、もちろんどんなスピード感で話を修正できるかわかりませんので、考えすぎかもしれません。

 キャラやシーンで作品が好きになる、というのも決して逆説や皮肉ではなく一つの視聴の仕方だからいいと思います。
 たとえばヴァイオレットエヴァ―ガーデンもアニメ版は深さはあまり感じません。ただ、感動する、泣くということにおいてはすさまじい完成度だったということです。どこに視点を置くかでアニメの価値は人それぞれだなあと思う作品でした。スパイファミリーはもっと極端なキャラ萌えの気がします。アーニャ可愛いが世界トレンドですからね。

 本作は最後まで見られたし、再視聴しても一部以外はちゃんと面白く見られました。考察もできる要素があったので出来は良かったと思います。テーマ性の軸がもっとしっかりしていればなあ、というのが私の印象で、そのためにリコリスの存続と、千束の生き残り方に疑問がありました。

 当初の点数の3.8はいくらなんでも低すぎですね。4.0にしました。

 なお、今シーズンは「終わって見ないとアニメの評価はわからない」というのを強く感じたシーズンでした。完走して大きく評価がマイナスになることが多かったですし、プラスももちろん稀にですがあります。今後完走していないアニメのレビューをどうしようかという気付きがあったシーズンでした。



以下 視聴中のレビューです。



1話 放課後ティータイムのメンバー(今のところミオとユイ。眼鏡の先生付き)がガンスリンガーガールになる話を、ニトロプラスが企画しました、という感じですね。サイコパス臭もしました。多分設定が似ているだけでニトロプラスじゃない感じですけど。

{netabare} JK達が殺し屋をやっている設定なんですよね。必然性があるか、たきなのバックグラウンドに何があるのか、ちさとちゃんの能力と役割とはなにか、なにより不殺の理由によるでしょう。ちさとちゃんが隠しきれない隠れ巨乳だなあ…という事以外はまだまだいろいろわかりません。どうでしょうね。1話の尺の使いかたと次回への展開が温いので、設定倒れになる匂いも無くはないです。

 悪い時の京アニ作品っぽい雰囲気もあります。様子見ですね。殺さない設定がどうかですが、これだけが中心ならつまらないでしょうね。過去の事件云々になると思いますので。
 どうせ温くするならキルミーベイベーだったらそれはそれで面白いですけどね。{/netabare}


2話 命のやり取りと話の展開のアンバランスさに説得力がない。ヒロインのキャラ造形がフィクションにしてもご都合主義すぎます。そして脚本の説得力のなさと面白さ不足、演出の既視感にクリエーターサイドの技量に疑問も…。

{netabare} うーん。冒頭のニトロプラス感(サイコパス感)、逃走時の既視感(いろんなアニメのカーチェイス)、人殺さない前提のチート特殊能力(王様ランキング的な?)、そしてドヤ顔して対象を狙撃される無能さ。

 別にそれがヒロインの覚醒とか考え方の変化とか過去の失敗や回想とかのストーリーとして役立つ無能さならいいですけど、本当は〇〇でしたーで済ませるヌルさ。

 いや、意図した結果が達成できないのだから無能だってことですよね?例えば味方がリスが死んでくれないと困るから、いろいろやっているのに全部かわしてしまう、というストーリーなら理解できます。
 つまり、話になってないですよね?駅弁食ってる余裕を表現する演出があるなら失敗したら駄目でしょう。
 逆に相棒の娘が、余裕ぶって結局だめじゃん、という不信感を持つストーリーなら分かりますが。護衛対象を信頼しすぎでしょう。あの車に飛び乗る意味がわかりません。自分のアイデンティティをペラペラしゃべっちゃうし。

 それと弾よけられる特殊能力があるから人殺さなくてもすむなら、相棒に要求したら駄目でしょう。
 自室で着ぐるみ着てるって…結局視聴者に正体を見せない工夫が出来ないから、まあ、いいか、という感じに見えます。少なくとも普通アバター表現はサイバー空間の話です。
 なんか、初めから終わりまで文句ばっかりなのでこれくらいにします。ただ、極端な事をいえば、今回は初めから終わりまで全部だめでした。

 良かったのは電車内の電光掲示板に旧電波塔という表示が出たのが、ちょっと世界感と未来感があって好感が持てました。


 脚本なのか絵コンテなのか演出なのか監督なのか知りませんが、とにかくストーリー展開が私としては成立していないように見えました。

 まあ、話の展開…ダークサイド堕ちなどで化けるかもしれませんが、今のところ作画倒れかなあ。マトリクス的な画面、ドローン出しておけば新しい?カフェ設定今のところ意味無いし。
 ニトロプラス企画のプロダクションIG制作的な感じはありますが、全部似て非なるもの。緻密さが全然違います。
(各社失敗もありますけど、何というか失敗の方向性というか、意図のズレ方が違う気がします)

 作画良いチームでは「咲う アルスノトリア すんっ!」に集中します。私の感性ですが、演出が圧倒的に好みでした。 {/netabare}

 第2の職業、黒の召喚士に続いて、一旦中止。皆さんのレビューを見て考えます、の3作目。今後、面白いことを期待します。



3話 ひょっとして千束の再生の話?だとしたら見直します。

 視聴中止といいましたが、アベマで最新が目について、あまりに評判なのでもう1週視聴してみました。

{netabare}  で、今週の話を見る限り、たきなの1話の判断には理由があったということを強調していました。司令官無能すぎる問題を善意に解釈すると、一つはクラッカーの正体を探るために本部の外に出した。つまり本部内に敵がいるという可能性を千束、たきなに託したのでしょう。クラッカーのロリ少女と先生という重要人物の配置からいってそんな感じでしょうか。要は特捜部を本人たちが知らないうちに設置したと。AIそのものが信用できないのかもしれません。

 それと、今週の人間関係を見る限り病的なのはたきなではなく千束な気がしてきました。昔のバディ…になるんでしょうか。あのファーストの子の態度から言って昔の千束は愛されていた感じです。
 あの過度の明るさと殺さない設定、過去の事件…当然なにかあるんでしょう。その救済としてたきなを配置することで何かを目論んでいる気もしてきます。リコリス、リコイルの意味がそうなると分かる気もしますし。

 公権力による暴力装置=他人を殺傷する武力を扱う組織として、命令したがわないのを咎められてもそりゃあ千束の言い分はないだろうとか、セキュリティの演出とかエヴァから進化しねーな、とかまあ言いたい事はいろいろあるんですけど、作画の出来とストーリーの期待感は出てきました。

 なお、皮肉ではなく圧倒的な洞察力で弾をよけるというのはいいですね。SAOのキリトのゲームのところの理屈ですね。武道の達人は実際これに近いことで拳銃には対処できるそうですので、年齢的な部分はさておいて私は納得しました。ということは狙撃には通用しない、ということですね。
 パートナーが怪我をするという部分も分かります。ここに理由が付くとなおいいですね。

 緊迫感は出てきたので、先週の1話の不満で切るのはちょっともったいない気がしてきたので視聴は継続します。文句言わないように中間まで本作のレビューは休みます。
 
 褒めどころとしては、あの陸上部ユニフォーム的な恰好のあざとさはある意味感心しました。話の流れで自然にあれを出すのはクリエータの強いモチベーションを感じます。まあ人気作だから叩かれないでしょうけど、AIが全員女というだけで叩かれる作品もあります。どういう基準なんでしょうね?{/netabare}



5話 なかなかの作画劣化ですね。

 {netabare}ただ、本作の本質がどこにあるか、と問うた場合、ストーリーの可能性が高くなりました。これは内容に期待が持てるかもしれません。例のウイルスの可能性もありますね。円盤の時に修正が入るんでしょうか。
 私自身はそもそもあまり本作の作画に感動はないんですけどね。まあ感性は人それぞれなのでいいんですけど。どうしても鬼滅の刃や無職転生の2クール目、海賊王女などと比べると…むしろ気になるのはストーリーです。

 ストーリー等についてはもうちょっと話が進んでからレビューします。が4話のパンツはひどかったですけど、5話はなかなか工夫があってエピソードそのものが面白い話でした。

 本作は、謎があるといっても謎の見どころは予想つきます。あの金髪の常連の吉松の思惑あるいは思想と言い換えてもいいかもしれません。それと千束の過去の事件、千丁の銃ですね。現在のリコリス内部…橘という司令に何かありそうな気もしますがこれは考えすぎかもしれません。むしろロボ太VSロリハッカーでしょう。

 前回の終わりから今回の話でなかなか緊張感が出てきましたね。これはかなりいい傾向です。今後の話の展開がなかなか楽しみになってきました。

 リコリスリコイルのキービジュアルで、上が明るい感じで下が青くて彼岸花が咲いているイメージのものがありました。あれで、ダークサイドを描きますよと言っているのかな、と思っていたので期待通りになってきました。


 なお、頑なにスカイツリーって言わないのって、スカイツリーから許可が出ないから?まあ、あれだけ壊されてはね。ちょっとデザインも違う気がします。{/netabare}


5話追記 あれ、まほろまてぃっくエンド?ひょっとしたら面白い?

{netabare} 4話についてさっきふと思ったんですけど、食事の回数の件言ってましたね。あと何回食べれれるか…会えないかもしれない…なぜ千束はあんなに享楽主義なのか。5話の心臓の件と合わせて考えると「時間がない」とは…千束は……のかな???

再追記 そうか…だから「殺せない」のかもしれないですね。千束にとっては、自分の命より相手の命…それは心臓が…なんでしょうか。殺せない理由と現在の生き方は因果関係が逆かもしれませんが。
 となるといい話だなあ…まあ勝手な妄想なので違ってくれて全然いいんですけど、千束のキャラ造形にぴったりくるなあ…

 どうでしょう?吉松は才能を助けることに注力しているみたいです。そしてその見出された千束の才能は「殺す」こと。
 その吉松がなぜ千束の元を訪れるのか。これって心臓をなんとかする必要があるから?でもその目的は到底千束には受け入れられない…という感じでしょうか。
 千束が殺しをする状況を作るために吉松はリコリスを追い詰めている…とか???5話のミッションも家族を殺されたということを全面に出して犯人を殺させようとしてましたし。

 いや暴走してごめんなさい。妄想全開ですね。しかし、これだとしっくりくるなあ。まあ、吉松と先生との関係があるので、千束との関係でもっとなにか過去の事件があるという線もあります。が、こういう妄想ができる作品は嫌いじゃないです。

 強いテロリスト出てきましたね。千丁の拳銃がどこに絡むのでしょうか。戦いが避けられない…つまり「まほろまてぃっく」エンド?{/netabare}


6話 いきなり話がスケールダウンして、緊張感がなくなった?犯罪ゼロ都市じゃなかったっけ?

{netabare}  いや千束も真島もいままでの無敵の強さ、冷静さはどこへ?なんか安っぽいアクションにしなくても…お互いあれで仕留めきれないのもなあ。2人の初戦に緊張感がないのは、ちょっといただけないかな。

 銃弾もよけられる、ジャンケン無敵は武道の達人の布石かな、と思ってたらいきなり殴られてるし。いきなり周囲とりかこんでヤンキーマンガのタイマンみたいなシーンになっちゃうし。

 セーフハウスを用意するような危険に身を晒しながら特定の店に通う。制服の身バレ等々設定の不自然さが目立ちます。そして、犯罪の発生を事前に特定できていたはずのリコリスがいきなり無能集団になります。こういうところは設定がぬるいなあ。もともと全部シリアスにしてあんな喫茶店を設定しなければもっと面白くできたでしょうに。
 喫茶店はストーリー的に機能しているでしょうか?伏線ならいいですけど。

 千丁の銃を奪った恐るべき敵で、1話から引っ張って来てこれかあ…なんだかなあ。

 相手がどれだけすごいハッカーかと思いきやロボ太だけで、特に犯罪予測をかいくぐる秘密みたいな雰囲気もないし。ロボ太もウォールナットも組織に立ち向かうような資質は感じられないし。裏の裏まで読み切るスーパークラッカーじゃなかったんんですね。
 影で無犯罪を支えてきた都市の中枢のリコリスがまったく機能できていない点がさっぱり分かりません。ロリ写真とはいえ犯罪発生させちゃってるし。初期設定とのブレは…あとで見返してみます。

 全体的に面白くないとはいいませんが、1話、2話、6話のつまらない回と3話、4話後半、5話のような面白い回の差が激しいですね(5話はまあ話はいいですけどあの殺し屋はちょっとなあという感じはありましたけどね)。

 取って付けたようなリリベル(シクラメンの一種?)という名前が出てきましたが、リコリスという女性だけの組織の対比としては意味性が薄いので、後付けなんでしょうか。

 うーん。話として悪くないけど中途半端だなあ…4話~5話で期待してたので相当うらぎられた感がなあ…
 6話のがっかり感はすごいですね。スケールが急に小さくなってしまいました。ここまで来たら見ますけどね。千束の行く末…心臓の件だけはきになりますから。後半の頑張りに期待します。{/netabare}



7話 マイルドな口当たりの内容。インスタ映えするキャラ。

{netabare} そこそこハードな設定とストーリー展開。そしてなかなか面白そうなキャラのバックグラウンド。そして、可愛いビジュアルにコミカルな掛け合い。

 見ててつまらない訳でもないし、過去の因縁や謎も散りばめられています。5話こそ作画が、ん?という感じでしたが、まあ最高レベルとはいいませんが、なかなか高いレベルで整えられています。

 欠点はシリアスとコミカルパートのメリハリがありすぎて、緊張感がないこと。そして引っ掛かりどころがないところです。

 7話はちょっとここが駄目でしたね。リコリスが殺されて事件が始まったのに物語内の登場人物の雰囲気に変化がありません。これはいただけません。千束を初めリコリコの人間が、非人間的に見えてしまいます。日常は淡々としていても、緊張感があるような描写がないと人間性として非常に不自然な感じがします。

 また、世界市場を意識したのか、百合ならぬ薔薇…黒人と白人…に見える日本人同士(訂正 ミカという名前で男性ということは黒人かな)ということで、ポリコレ配慮?が見え見え過ぎてシラケる点でしょうか。あとは、あれ、それでバレちゃうの?スマホ置きっぱなしで、デートがバレて、後付けられてって…やっぱり殺し屋というか、秘密組織の人間の行動ではないですね。
 つまり、キャラ造形が練れてないし、深みが無いと言う事です。

 逆に言えば、本作は緊張感と引っ掛かりが無いので、見てられます。エンタメとしてなかなかの水準になります。毎週、アベマに新着があれば普通に見てますし、こうやって毎話レビューを書くぐらいのクオリティーはあります。

 ただです。私は気になるので最後まで見ますが、後半でよほどのことが無い限り再視聴しないと思います。よほどの事というのは、誰かの死とか意外などんでん返しとかネタばらしとか、そういう事ではなく、何か人間の本質に切り込んだような心に波風を起こしてくれるようなストーリー展開か、作家性・テーマ性が感じられるかです。

 マイルドで軽い口当たり、そして美しい見た目。インスタ映えするデザートのようなアニメです。その時はいいですけど、リピートするかですね。私は初めはまずいと紙一重みたいな変な特徴があっても、クセになるような方が好みかな?これ一体なにが入っているんだろう?と考えて顔をしかめながらも、また、次も行きたくなるようなのが好みかな。

 私の予想だと、今のテイストで最後まで行くなら1年後に本作を語っている人はいないのではないか?と思っています。この予想を是非裏切って欲しい。炎上しても叩かれても、クリエーターの何かをぶつけて欲しいと思います。{/netabare}



8話 思ってたよりもかなりマイルド寄りかな。今から心臓いじるんかい。逆にバッドエンドは避ける感じかな?

{netabare} もともと心臓の限界で命に寿命があるとかで人を殺さないとかだと、いい話だなあと思ってましたが、今から細工?もともと細工あるならリモコンとか遠隔操作できる装置にするはずですし、そうしてないのは機関の思想性から言ってちょっと疑問ですけど。

 電波塔の時から殺しをしてなかったし。となると4話のセリフの意味合いが急速に薄れるなあ。千束の不殺主義と享楽主義的な部分、あの無駄に明るい性格の意味がわからない、単なる地の性格だとするとバックボーンの設定が弱いかな。

 あの男との関係がマイルドなのもなあ。だってリコリスを殺しまわってたんですよね?もちろんリコリス側も殺す側なので、そこを相対化して、お互い様という演出ならわからなくはないですけど、そこまでキャラ付けができてない感じですよね。

 なんというか、犯罪制圧に関して緊張感がないのもそうですけど、だったら千束とたきなは何で喫茶店にいるの?DA干されたのに普通に仕事しています。DAが対処できない案件を陰からサポートするとかそういう設定ならまだわかりますけど…1話冒頭のリコリスの感じだと、犯行前に犯罪を察知して事前に潰す感じでしたけど、2人のやってる事って、第一戦でもっとも活躍している仕事でしたね。意味が分かりません。

 この展開は設定の粗さから言って、思ったよりマイルドになりそうですね。命の時間との戦いというよりも、殺しがどうしてもいやだ、というただそれだけの話になりそうです。アラン機関の助けた意図ともともと千束が持っていた思想とのズレだけの話かな?

 前半の喫茶店の経営も本筋に絡んでこないので、遊びがない緻密なアニメではない感じですし。儲けるプロセスで何かの気付きがあるとかも無かったですね。
 せめてSNSへのアップは何かに絡むんですかね?ただ、やっぱり諜報機関…というか秘密警察が素顔を晒しちゃ駄目でしょう?実働部隊と同じ服きて生活しているのに。

 となると描けるものは少なくなりそうですね。今までの出来事は伏線ではなくて演出だとするとこちらが勝手に意味付けをしていただけの気もしてきましたので、作品のせいじゃないですけど。

 ここで心臓になにか負荷が起きて、ヤバイ…だと7話までの積み重ねは何だったんだろう?となりますし、あの緑の男が絡んで最後の盛り上がりの仕込みをしているとしか見えません。ただし、今までの内容からいってバッドエンドではなさそうですね。

 褒めどころがあるとすれば、やっぱり千束の命=心臓とアラン機関の謎を引っ張ってるところですね。千束どうなる?はやっぱり気になります。そこだけかなあ。あのウォールナットちゃんもすっかりモブですし…

 8話はうん〇でシラケて、アニメ見ながらザーッとレビュー書いたので読み取れてないところもあるかもしれませんが、そんなに深くないでしょう。うーん…厳しいかな。来週判断しますが、もう9話か。{/netabare}


9話 千束の内面と苦悩が見たいです。

{netabare}  先天性かあ…ちょっとドラマが薄いですね。死の恐怖と戦う…あるいは生きる意味を見出そうと言う部分がもうちょっとあった方が良かったですね。話の展開は5話でほぼ誰でも想像がつく方向ででした。

 不殺の信念が生まれた理由は想像通りですね。生への達観、享楽主義もキャラ造形としてはテンプレです。テンプレが悪いのではなく、やはりキャラに生死をつきつけるなら、感動ポルノではなく、生死・生命の意味性についてのテーマの深掘りは欲しいです。

 与えられた生命と使命の問題がどうやってつながるのか、最後の2ヶ月をどうやって生きるのか、なのか、死を回避するのか、この辺りで何が伝えられるかで本作の価値が決まるでしょう。

 殺しさえすれば新しい心臓という条件がでるんでしょうね。断る…そして死ぬ…なら、ひとつのドラマにはなります。真島がどう絡むか、ですけど。なんらかのサプライズで助かるなら相当の作り込みがないと、良くないですね。
 真島が助けるほうに回るんでしょうかね。あのスーツケースが新しい心臓?

 こうして振り返るとストーリー構成は悪くないですが、やはり無駄が多いかな。喫茶店いらないし。真島とか、ハッキングとか、拳銃奪うとか、塔の出来事とかのエピソードに千束の生死観がもうちょっとほしかったかな。特に電波塔はクローズアップしていたわりには意味性が薄すぎです。

 ただ、全体としては、千束の心臓の件で緊張感がでてきましたね。この点は非常に良かったです。助からない方が意味性、テーマ性は持たせやすいですけど、安易といえば安易です。一方で、どんでん返しで助かるだけでもつまらないですね。

 実は見せているようで、見せていない千束の苦悩と生死観。限られた時間をどう生きるかを是非表現してほしいです。ドタバタの延命エンドだけは勘弁してほしいかな。

 ここまで来ればもちろん最後まで見ますけどね。作画とキャラだけのアニメになるか、記憶に残る作品になるかは最終回でしょうね。さすがに現段階で評価するのは不誠実かな、と思います。

 他人の命を奪って助かるくらいなら、自分が死ぬ…というセリフだけは勘弁してください。{/netabare}


10話 民主主義の存続と適正な法的手続きによる権力の執行…デュープロセスオブロウですね。

{netabare}  真島の言は、犯罪行為に着手している状態でなければ、完全に正論でした。秘密警察であり断罪まで行うリコリス機関…当初から抱いていたDAの存在への違和感…必殺仕事人の正義についての回収に来ましたね。

 これは中国やフィリピンなどでは放映できない可能性があるくらいセンシティブな問題でした。唐突感がある感じですが、キービジュアルの上が明るくて下が暗いポスターの意味がわかりました。本作の対極にいるのが西部劇ですね。

 そっちに振るとは思っていなかったのでちょっとうれしい驚きでした。これはいいですね。ガンスリンガーガールですら情緒で逃げた部分に真っ向から切り込んできました。

 で、喫茶店とロボ太、電波塔、千丁の銃。先週伏線が張りっぱなしでエピソードとして無駄だといっていた部分の回収に来ました。これはひょっとするとこれから2話か3話でしょうか、かなり面白い展開になる予感です。

 で、肝心の千束ですね。諦め良すぎでしょう…まあ、禅と一緒なんですかね。命がいつ消えるかもわからない状態で暮らしてきた達観でしょうか。最後の戦いかあ。こうなると天邪鬼で、ちょっと助かるエンドにしてほしいかな。先週真島が奪ったケースって心臓なんですかね? {/netabare}


11話 正直初めのほうは下らないなあ、と思っていましたが後半が良かった。想像の100倍くらい。

{netabare} 千束の生死観、リコリスの存在、構成員の悩みみたいな対比がもうちょっとほしかったかな。ただ、伏線回収みたいなものはなかなか面白いし、千束に命の期限と生命の関係についてが良かったです。

 薔薇…BLはノイズな感じですが、最後、ミカと何かドラマがあるんでしょうか。
 今のところもうちょっと贅肉をそぎ落として無駄なカット無しまで持ってゆけば、もっともっと面白くなりそうだったのに…という気もします。千束のちょっと極端で無駄な明るいキャラ造形が、初めは正直我慢できないくらいイラつきましたが、心臓の話以降で意味性が出たのが特に良かったと思います。

 まあ、展開はもういいでしょう。たきなが殺さざるを得ない状況が生まれて、それを千束が止める?真島が心臓を渡して去る感じで大団円かな?あるいは千束がそれすら拒否するとか…うーん。
 まあ、千束の性格と行動からいって、死を選ばないのは不自然ですかね?アラン機関の思想との乖離と心臓という存在で千束が生きる選択をするか。それとも更に達観が?このあたりがポイントでしょう。まあ、妄想してもしょうがないです。ここから先は見るしかないですね。

 ファーストクラスのCAは相手が子供でもため口は聞かない気がするんですけど、そういう演出とか考証が全体的には弱い気はしました。

 が、思ってたより100倍面白かったです。あと1回か2回?{/netabare}



13話 これって最初から13話だった?

 うーん。12話、13話が冗長でしたし、正直不自然だった気がします。本作については千束が生き残るにせよ死ぬにせよ、生についての深掘りがないと作品にならない気が…いつの間にか助かるとか…となると人気作品の2期に色気がでて、エンディングを変えたのかなあなどと妄想してしまいました。

 だって、滅茶苦茶ですよね。3話からいろいろ積み重ねてきたのが。最初から13話予定だったにせよ、無理無理生存エンドに変えた感じがしました。正解はもちろんわかりません。考えすぎかな?だとしても、千束の内面が理解不能です。

 リコリスの存続も、リリベルの登場も、千丁の銃の使いかたも不自然だし、戦いのシーンの真島とのイチャイチャとか…うーん。1話、2話辺りの想像より良かったですけど、ちょっとがっかり感はありました。というかせっかくいい方に行ってたのに1、2話のテイストで無理に終わらせた気が。
 
 まあ、面白かったけど普通の面白さになってしまいましたね。





 

投稿 : 2023/05/27
♥ : 43
ネタバレ

とまと子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

ご注文は拳銃ですか?

 
ぷっはー!来ましたキマした!
これはすっごく良さそうです!!

ハイテンポでビビッドな会話。無駄なセリフもなくってあっちこっちに含みがあります。
そいでもってそれを200%活かして聞かせる天才・安済知佳さん(主人公=ちさと)の超絶演技!
他の声優さんもみなさん素晴らしいです。
絵が綺麗なのは観たとおりですけど、表情と感情がぴったり合ってて、顔の描写に「ケレン味」を感じるスーパー作画です。

…とは言っても途中から急失速…っていうアニメも今までたくさん観てきましたからあれなんですけどね。。。。。。。

でもこれってずーっとキャラデや作監とかされていた方の初監督&初シリーズ構成なのだそうです。
1話目のテンポが良いのはもちろんだとしても、説明不足も説明しすぎも全くない完璧な構成は、これは長年溜め込んでこられた「あーもしたいこーもしたい欲求」を思う存分爆発させちゃっていただいちゃって、最終話までグイグイグイグイいっちゃう予感大の大の大大です♬

ていうかあれなんですよね。
わたしプリンセス・プリンシパルみたなプロフェッショナルな女子たちがわっちゃわっちゃ活躍するお話大好きなんですよね♡
なので最終的にそれだけのアニメだったとしても十分OKです♬

とりあえず今回は、ちさとの銃の構え方がめっちゃツボのカッコよさでした。。

**2話目、観ました☆** {netabare}

いい感じで続いてます!

わたしは単純なのでちさと・たきなと一緒に見事にハメられちゃいましたww
で、2周観ちゃいまして、そしたらスーツケースに関するやりとりでまた笑えてw

それでわたし程度の読解力だと2回見てやっと気づく感じなんですけど、これは細かい伏線があちこちの細部に潜伏してますよね。。セリフの端々にも、表情・動作にも。

あの”善意”の団体と、ちさとたちが所属する機関との関係も、きざったらしいダンディさんとミカ先生の関係も、なかなか一筋縄ではいかない感じだし。
ウォールナットが敵側にいたのにすり抜けるように(ちさとたちは知らないから)護衛対象→仲間になる…っていう流れも、これみんな、ちさとの「あの人達も今回はたまたま敵だっただけ」のセリフに通じるテーマなんでしょうか??

孤児だったちさとやたきなが戸籍も与えられずにリコリスになっている・・・その経緯や本人の意志とか、これからだんだん見えてくるんでしょうか?
リコリコの”仮想家族感”みたいなのが、癒やされもするし、哀しくもあるし…。

でもまーとにかく、安済知佳さん、凄いです♡
この天才っぷりは悠木碧さんクラスですね。人物掘り下げちゃってるクラスです。
ほかにもあるいろんな細かい演出があってではありますが、ちさとの孤独感みたいなのがちゃんと透けて見える…ってーのが素晴らしいです☆☆♡

それと、あのちさとの”弾よけ能力”、何なんでしょうね??
たきなが最後に髪ゴム撃って確かめて、やっぱり!ってビックリして終わり…。

でもなにより、公式とかOPとか見てて「あーもうひとり仲間増えるんだな。ちっこい子。」…って思ってたら、ななんとそれがあのハッカさんだったとは・・・!!
(あ、これ、気づけなかったの、わたしだけ??)
30年前からいるってことは、代替わりしたとか?実は50歳だとか?歳とらない体質とか??

まだ買いかぶってるところもいっぱいあるんでしょうけれど、いろいろ差し引いても最後まで大好きなアニメであり続けてくれる感じです♡♡{/netabare}

**3話目、観ましたよ!** {netabare}

いやぁ・・・わたしだったらあんな女子校の寮みたいなところ絶対ムリですねw(…わたしも女子高でしたw)
当然ちさとみたいな真っ直ぐに屈折してる子wがいられる場所ではないでしょうから、きっと後で特別な事情が明かされるのでしょうけど、そもそもあそこに居続けていたらリコリス自体辞めちゃってそうですよね。。

「ひとりひとりを正面からしっかり見る」っていうとっても簡単なことができなくなっちゃう集団の空気って、アニメで観てもイヤなこと思い出しちゃってちょっとイライラしちゃいます。

なので今回はとってもすっきりさせてくれたちさとに感謝&♡です。

でもやっぱり、アクションシーンかっこいい♬
あの距離で弾をよけるなんて、超能力の類かとおもったらそうじゃなくて「卓越したなんちゃら」のせい…っていう説明。
このアニメではアリなんですね。でも許す。だって面白いもんw

ところでリコリコでみんながやってたあのゲームって・・・何??{/netabare}

**4話目、観ました♬** {netabare}

寝るときだったらトランクス履く女性いますよね。なんてお話しには関係ありませんけどw
こんな感じのエピソードでも男性ファンはドキドキしちゃうものなのでしょうか??
(…あ、ちさとが脱ぎ脱ぎしたところはちょっとエロかったww)


このアニメ、作画だけじゃなくて構成・脚本がすっごく良いと思うんです。
まだ説明しない伏線の部分はちゃんと謎めかせながら、今説明すべきことについてはきちんと説明していて、かつそれが”説明セリフ”になってない。
それだけじゃなくて、アニメによくある”説明しすぎ”なセリフも少なくて、そのせいもあってテンポがとっても良いです♬

今回の脚本は3話までとは違う方で、ちょっとググったら映画のヒトなのかな??
生活リアル感ありありの会話からの ポンポン跳んでく急展開は、そう言われれば映画っぽいかも。

わたし思うんですけど、日本のアニメってほんっっとに凄いんですけど、”芸術家”が作っているものではなくて、あくまでも「職人」が作ってる凄さだと思うんです。
何年も、ひとによっては何十年もかけて磨いてきた技術で、驚きや感動を時間ピッタリに収めてめちゃめちゃ楽しい物語を作る…。
本当の「洗練」っていうのは、こういうことだよなぁ…って思います。


なので、安心して展開についていけばいいんですけど、でもわたしはやっぱりアタマが悪くてわからない! あのダンディさんは何をしてるんだろ??そしてミカさんは…??
そしてたきなはどこまで可愛くなるのでしょうか??w


ところで話はさかのぼりますがw、3話でちさとがあの小僧に「だーめ!こんな近くで腕伸ばしたら!」って言うのって、1話でわたしが惚れたちさとの銃の構え方の理由ですよね。
こういうとこも、細かくて好き♡{/netabare}

**5話目、観たぞ。♬** {netabare}

これはわたしの持論ですが、物語のストーリーは単純なほど良いです。その方が自然だし、入り込んで感情移入もしやすいので。
「でも単純すぎたらつまらんやんか」って思われるかも知れませんが、いえいえ、複雑に作り込むべきなのはその"語り方"の方なのです。
よく言われることですが、「何を語るか」よりも
「どう語るか」が大事だと思うのです。

で、このアニメはずっとそうですけど、この5話もストーリーはめちゃ単純です。
だけどその語り方=構成がうっっまい!

オーケストラの指揮者が「…ヴァイオリンが静かに入ってきてそこからヴィオラとチェロがぶわーっと重なってきて、ハイここで金管!」…みたいな人物と場面とセリフと動きとをタンタンタンタンッ!って組み上げていくコンダクトがめちゃくちゃ気持ちいいんですよね。

よくわからないですけど、構成と監督をひとりの方がやられていることが、ものすごくうまく作用してるんじゃないでしょうか?
作曲家自身が指揮した演奏が一番良かった…みたいな?

で、この今回もまた、わたしのアタマノ悪さがちょーど良くてですね、単純なトリックに見事にハメられながら、スピードもスリルもすっきり感もめちゃめちゃ満喫いたしました♬


…あのダンディさんがちさとに求めたミッションって何なんでしょうか?
それを跳ね除けたちさとの意志に驚いたのは何故なんでしょうか??

それから、
ぱっと見単純なちさとの複雑さがわかってきて
ぱっと見複雑なたきなの可愛らしさが見えてくる
…っていう王道的展開のキュン度w

あとみずきの小清水さん、めちゃ良いですよね♬
世代的に親近感だわ〜w


いやぁ、引き続きワクワクです。ウシウシですw{/netabare}

**6話目、観たロボタ** {netabare}

いやもう毎回ただただ楽しんじゃってますけど、今回もすばらしいスピード感♡

ちょっと前から思ってたんですけど、これ東京でも下町の方が舞台で、リコリコのお仕事もなんか人情噺っぽい感じじゃないですか。
そんなせいもあってか、話の展開というか語り口がなんか落語っぽい感じがしちゃうんですよね…。

まぁ舞台からすれば江戸落語ですけど、足立監督は大阪出身なので上方落語かなあ?
とにかくキレよく、威勢よく、ひねくれてるけど沸点低くw
人物のキャラも会話のノリも舞台回しもなんだか全部”落語的オモシロさ”が横溢してる感じがします。

…とするとミカがご隠居でちさとが与太郎…??w
今回もほら、くるみが押し入れから叫びながら転げ落ちてきたりって、やっぱりわたしには落語なんだけどなぁ…?

・・・そんなこと思ってるのわたしだけでしょうか??w{/netabare}

**7話目、観ますた** {netabare}

4話のCパートで「また俺だけ残っちまった…」って言ってたのは、そういうことだったんですね。。
でもちさとは狙って撃たれても当たらないから、10年前の心臓停止はなにか偶発的な要因だったんでしょうね…。


だけど、ちさとが可哀想…。
わたし、”何をやっても当てが外れる日”ってホントにあると思ってて、そういうときはできるだけおとなしくしてるんですけど、今回のちさとはそういう自分を外から見てるみたいでいたたまれない感じがしちゃいました。

ちさとはコミュ力高くて世渡り上手そうに見えるけど、中身はちっちゃい子みたいにピュア。
詐欺に会う人ってこんな感じなのかも…。でもちさとなら「だますより だまされる方がまし」とか言いそうですけど。

たきなはある意味そこが真逆なんですよね。
いろんなことがちゃんとわかってはいるんだけど、行動が不器用でストレート。

これ、すごい人気でいろんなところでいろんなこと言われてて、「闇落ち展開になるんじゃないか…?」みたいな推測も聞くんですけど、でもそれはきっと当たらないだろうと思ってましたし、今でも思ってます。
もしいずれちさとが「殺すか、殺さないか」とか「許すか、許さないか」とかの場面になったとしても、「”たきながいるから大丈夫”展開」になるんだと、希望的に信じてます♡{/netabare}

**8話目&9話目、観たったらったった〜♪** {netabare}

心臓、病気でしたね。
なるほどそうだったのか。
でもあの太眉先生に検診のたびに打たれてたっていう注射は何だったんでしょう?

あのスーツケースの中身はやっぱり”寿命までは使える代替心臓”なんでしょうね。
で、ヨシマツ氏がそれを持って車を降りてきたってことは、マジマと前から繋がっていたのか、なにかの取引をしようとしていたのか…?

ヨシマツさんがちさとにどうしても「コロシ」をさせたいのは、それが社会にとって必要なものだと思ってるからなんでしょうか?
だとしたら、多分あの心臓と引き換えにしようとしているのは、ちさと自身の危機じゃなくてちさとが大事にしている人たちの生命の危機…なのかな?
「その人を守るためであっても君は人を殺さないのか? 世界にはそういう場面もあるから、リコリスは人を殺すのが役割なんだ…」とか?

…っていうのもひとつの可能性としてはあるかもですけどねw
わかりません。
そういう推測も楽しいけど、まぁとりあえずワクワクぼーっとして次回を待ちましょう!
…あでもクスノキさんどうして今あのカメラ返したんだろ…??


いやぁしかし、あの雪はいい!
こういうのを”ビタースィート”っていうんでしょうね。この場合のスィートの訳は”優しい”で。

このふたりの関係って、友情とも百合とも同志とも違う、もどかしいけど充分な、信頼というには心配で、温かいというには熱すぎる…微妙でちぐはぐでぴったりな関係・・・。

…んん〜〜・・・・いいっ!♡
いいとしか言えねぇww{/netabare}

**12話まで、観た!** {netabare}

10,11,12話と、怒涛の展開!

…あれでも、じゃああのスーツケースの中には何が?
とか、憶測予測予想をしてもはじまらないので最終回を待ちます!

でもこれあれですよね。
かなりのハイレベルで、”シリアスな考察”はやめておいた方が楽しめそう。
こんな大人気になっちゃうと、そのあたりでワイワイされちゃうかもですけど、わざわざリコリス全員同じ服着てるところからもう「緩〜く観てね!」という大前提を暗黙フラグで感知したうえでワイワイしたいです♡
初めはもっと「必殺仕事人」みたいな小規模な組織を想定していた…っていうのも、あーなるほど、と。

でも、監督さんのインタビューで名前が出ていたとおり、このアニメは「ガンスリンガーガール」があってこその設定・ストーリーなんだなぁ…と、ちょっと思いました。
運命に押しつぶされるのがあまりに悲劇的だからって、にこにこ笑って人を殺せるようになってハッピーなわけはもちろんないし…。
「救われた命で命を奪えるわけがない」よなぁ…って監督さんも考えられたんでしょうね。きっと?


だけどまぁ、たきなもちさとも、絵も動きも声のお芝居も、ほんっっとに良いです♡
たきなの「心臓が逃げる!」ってあたり、泣きそうになっちゃいました…。

延空木テロのクライマックスと、ほんとの最終のクライマックスを分けちゃうとか、やっぱりプロの構成は違うぜw
そして1話からずーーーっと変わらない絶妙のテンポ♬
毎回ED曲が入って、それまで自分が息詰めて観てたことに気づきます。


でも「延空木」っていうネーミング どうなのよ??w{/netabare}

**最終話っ!!** {netabare}

…終わっちゃいました〜。。。

DAの物語としては12話でおしまい。 13話はちさとの物語完結編、でしょうか。
こういう贅沢な作りの最終話って、観終わったあとの余韻がすっきりしていいですよね♡

というわけで、結果全員生き残り(吉松は「?」)なので、この人気をもってすれば2期発表間近な気もしますけど、わたしとしては今はもうここでおしまいでいいかな?っていう感じがしています。

ちさと失踪の理由は本人言ってるままかもしれないけど、自分が生き残ったのはよしさんの生命の犠牲の上…って推し量ったからかもしれないし、真島を落としたときに「たきなを守るためには殺してしまってもしかたない」って考えちゃったせいなのかもしれない。
なのであとは迷い猫探しとかしながら生きててほしいな…とかも思うわけです。


まぁとにかく!
ものすごーーーく楽しませていただきました♬
こういうアニメを作ってくださる職人さんたちこそ、わたしの住む世界を靴屋の妖精さんたちのように支えてくれているリコリスです!(…あ、リリベル??)

これだけ人気が出るとディスるひととか出てきますけど、「素直に楽しめないなら観なきゃいい」というのがわたしの基本スタンス。だって、アニメ好きだから観てるんでしょ…?
・・・って、ちさとなら言いそうです♡{/netabare}

**See Ya!**
 

投稿 : 2023/05/27
♥ : 48

66.5 2 東京アニメランキング2位
Buddy Daddies[バディダディーズ](TVアニメ動画)

2023年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (128)
316人が棚に入れました
殺し屋バディの子育て奮闘記!? 狙ったターゲットは逃さない。 そんな男2人の殺し屋バディが、4歳の女の子を引き取るハメに。 新たに始まったのは、ホット&クールな男2人組と天真爛漫な女児との家族生活。 どんな仕事もこなす2人でも、1人の娘に悪戦苦闘。食事の世話から遊びの相手、保育園の送迎などに大慌て。それでも仕事の依頼は断れない。 さらに、女の子は2人が始末した極悪マフィアボスの隠し子だったのだ…! 果たして、仕事と育児の両立は可能なのか? そして、仮初めの家族に幸せは訪れるのか? オリジナルアニメーションを数多く制作してきたP.A.WORKSと、練り込まれたシナリオで定評のあるニトロプラスがタッグを組んだ新作オリジナルアニメーション。痛快アクション&ホームコメディ!
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

放送時期が悪かっただけのハートフルコメディ

原作未読。予備知識なし。
"殺し屋が子育て"という点でどこかSPY×FAMILYを
連想しながら観てしまうのが難点でしたね。
アニメ化のタイミングが違えばもっと評価されたはず。

殺し屋と子育てを両立させるというより
殺し屋のパパ2人が子育てに振り回される様子。

色使いやノリがアメコミに近い感じがして、
そういう気持ちで観ていたら細かな設定のゆるさ等は
あまり気にならずクスッと笑える作品でした。

最初はミリちゃんをウザく感じるんだけど
進めるとハートフルで癒される方が上回っていって
後半では泣いちゃうところがいくつかありました。

実は初めて観た時に思ってたのと違うな〜と
1話切りしてしまったんですよね。
だけどキャラやイラストの感じが好きなので
勝手な連想をリセットしてリベンジしたところ、、

観てよかったーーー!!!

{netabare}ミリちゃんを預かり育て始めた時は
殺し屋業を一旦お休みする期間があったり、

ミリちゃんのお母さんが殺された後に
自分たちでミリちゃんを守り育てようと決意してからは
殺し屋を引退する選択をしたり、

その後は2人で飲食業を始めて10年間
生計を立てていた事が最終話の会話で分かるのですが、

振り返るとパパ2人はミリちゃんと出会った時から
ミリちゃん中心の生活をずっと送ってたんですよね。
愛だなぁ〜(*´˘`*)
グレずに高校生まで育って良かったね一騎パパw

個人的にコメディ抜きでは運動会の"かぞく"が1番好き。
園児が文字を読めるのか?とか気にしちゃダメ!w
私は4歳で平仮名と片仮名の読み書き出来てたらしいし
ミリちゃんも入園前のお名前を書くシーンで
お洋服に自分でデーンと書いてたから
きっと読み書き出来る子なんでしょう。

コメディ部分で好きなのは、
どこがというより全体的に零パパの発言です。
的確だったりズレてたり
よく分からない不安定な鋭さが面白かったですw{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 12

BCixY08611 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

スパイファミリーの二番煎じ!!と結論付けるのは時期尚早では?

辛口コメントが多いですが、とりあえず10話見た現時点では良作。
舌が肥えている人達が多いので、声を大にして言えませんが
個人的には見て良かったと思える作品です。
特に、保育園や児童福祉に興味があったり働いている人や子育て世代には
それなりに響くアニメだと私はおもいます。
感情移入の強い外国人の方達には好評のようです。
裏稼業&疑似家族がSPYFを連想させるので、そこらへんを考えると
評価が低く見積もられるのは仕方ないのかもしれない。
記憶をなくして1から見たい!と思う作品と同じように
類似作品との相対評価で見てしまうと、悪いバイアスで
アニメを純粋に楽しめなくなるなって思う。
あと3話、楽しみにしています。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 3

タイガー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

『2人を守れないならこの腕に意味はない』

殺し屋のイケメン2人が子育てをするホームコメディ

最初ゎSPY×FAMILYに近いものを感じながら視聴してたけど、

面白かった!

今期結構上位で良い作品だったと私ゎ思ってる

零のギャップも含め、殺し屋っぽいことしてる時が最高
作画も内容も高評価🙆‍♀️
歌もとても好きで作品の雰囲気と合ってる!

家族についてのお話で登場人物の成長がとても暖かく感じた

愛剥き出しの一騎に比べて零の成長ゎ普通に泣けた

ラストのボスの行動も親子だな。と思わせるシーンでしたね。

見返したいくらい好きだった作品

投稿 : 2023/05/27
♥ : 2

74.8 3 東京アニメランキング3位
チェンソーマン(TVアニメ動画)

2022年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (692)
1487人が棚に入れました
『チェンソーの悪魔』ポチタと共にデビルハンターとして暮らす少年デンジ。親が遺した借金返済のため、ド底辺の日々を送る中、裏切りに遭合い殺されてしまう。薄れる意識の中、デンジはポチタと契約し、悪魔の心臓を持つもの『チェンソーマン』として蘇る──。
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

契約の悪魔

著名作品のアニメ化には賛否両論がつきものだが、
本作をめぐっては制作陣が志向する映画的・写実的な表現コンセプトが
主に原作ファンからの批判に曝されているようだ。本稿を書くにあたり、
自分もアニメがカバーしている範囲を一読してみて、成程、と思った。

個人的な印象に過ぎないのだが、アニメでの主人公デンジは
設定とバトルシーンのインパクト以外、存在感が希薄なのではないかと感じた。
主人公でありながら、深い部分で物語と同期できていないような気がして、
むしろ早川アキたち公安のデビルハンターの側に力点をおいて観ると
自然にストーリーに入っていかれる感覚があった。

デンジのキャラクターは多分、原作のユニークな作風と不可分なのだろう。
そのため、デンジの生きた躍動感がアニメではあまり感じられず、
映画風のリアリズムとも相性は良くないようだった。その一方で、
アキたち公安サイドのシリアスなドラマを描いた部分に関しては
それなりに見応えがあった。この主観的な見地が本稿の出発点になる。

本作の物語にはデンジとアキ、二つの対立する極が内在している。
それが作品深部の、人間と悪魔の対立の構図に対応しているわけだが、
自分の印象では、主人公デンジが中心から退いて"周縁化"する力学が
作品の構造自体に内包されているように思われた。それを確かめようとしたのが
以下の、限りなく独り言に近い作業である。参考にはなりません。



Ⅰ 夢と動機

{netabare}主人公デンジの初期設定は、インパクトが強烈なだけに注意が必要になる。

"持たざる者"である彼の唯一の拠り所であり、アイデンティティでもある
「夢」が、「貧困」によって規定されている状況、そんな風に要約できるだろうか。
彼が夢見たのは、食パンにジャムを塗り、毎日風呂に入れるようなごく普通の生活。
そんなささやか過ぎる夢を、彼の最底辺の生活と結びつけて受け取ることで、
何かを理解した気分にさせられてしまう、そこが危うい。

一生を通じて、ただ見るだけで満足して終わるはずだった彼の「夢」。
それが現実にもなり得ることを知ったとき、彼の内部では革命が起こった。
「見つけたぜ…俺の本気!俺のゴール!それは…!・・・胸だ!!」
胸を揉みたい―。ただその一心で地獄のような死闘を繰り広げてみせる
第4話の"夢バトル"に、彼の「夢」の本質が表れている。

目的と手段とのあまりの落差に、いじましさを感じてしまうのは自然だが、
その時点で、デンジ本人の尺度を見落としてしまうことになる。
彼は、自分の「夢」を低俗な欲求として見下す連中に向かって
これまで虐げられてきた怒りを爆発させるのみならず、そこには
自明とされた価値の序列を力任せに覆そうとする獰猛な破壊衝動が発現している。

デンジの「夢」は多分、「動機」や「目的」とは異質なものだろう。
この生活を続けるために戦う、とは言うが、それは動機や目的とは呼べない。
「夢」を邪魔するものはぶった斬る。煎じ詰めればただそれだけのことだ。
いわば「動機」にまつわる人間的で高尚な"ストーリー"を
剥き出しの本能的な欲求によって相対化し、無効にする凶暴な"力"。
それがデンジの「夢」の本質である。

バトルの最中、彼は狂気のようにおのれの力に酔い痴れる。
精神的ないし心情的な理由付けなどとは無縁の、直接的な力の行使として
夢とバトルは一体であり、夢とは、バトルなのである。
生温いヒューマンな"ストーリー"を拒絶し"解体"する者。それがチェンソーマンだ。
デンジというキャラクターの本質はここにあると自分は考える。

shinoさんが最近提唱された「ポストヒーロー」という刺戟的な言葉を、
自分はポストモダンの文脈に絡めてこう理解したいと思う。
"大きな物語"に終焉をもたらした何物かを、ある"力"として客体化した時に
個々人の"ストーリー"="小さな物語"をも解体するほどに凶暴な存在が出現した。
ポストヒーローとは多分、善悪その他の相対的な価値づけを無効にすることで、
「正義」という曖昧な"ストーリー"を解体する、そのような絶対的な"力"である。
新しいヒーローとは、凶暴で剝き出しの、純粋な"力"そのものだ。

そしてそれは、彼の貧しく悲惨な生い立ちをめぐる"ストーリー"にも及ぶ。
その種の残像に浸りがちな我々の夢想もまた、解体されるべきなのだろうか。
メタレベルで"夢バトル"を挑まれているのは、私たちなのかも知れない。


デンジの「夢」について注意したいのは、それが更新される局面である。
マキマの飼い犬になった結果、人並みの生活をする夢は叶ったのだが、
第5話のマキマとの「契約」によって、この初期設定は更新される。

「もしもデンジ君が銃の悪魔を殺せたら、私がキミの願い事なんでも一つ叶えてあげる」。

本作の主要な登場人物は全員、何らかの契約を結んでいるのだが、
優越的な立場を利用して有利な条件を呑ませる点にマキマの本質が覗いている。
ヒエラルヒーを想定すれば、頂点に位置するのはマキマに違いない。
彼女から漂う不穏な気配はあたかも、"契約の悪魔"の存在を予感させるようだ。

この局面で重要な点はさらにもう一つ。
デンジの「夢」の対極には、殺された家族の復讐というアキの「動機」があるが、
この両者が、銃の悪魔という同じ目標を結節点として交差することである。
「俺はもう夢にゴールしちまってるからなあ。あいつはまだ追いかけてんだ…」
デンジのこの言葉が予告していたとおり、ここでデンジの「夢」は前景から後退し、
代わってアキを中心とした公安のデビルハンターたちの"動機の物語"がせり上がってくる。

物語全体を俯瞰すると、二つのフェーズが重なり合っているように見える。
仮にそれらを「人間圏」、「悪魔圏」と呼んでおくとすると、
デンジのドラマは「悪魔圏」に属しおり、デンジとマキマの間で潜在的に進行する。
一方、本作は公安サイドを中心に、ほぼ「人間圏」の枠組みの中で展開している。
要するに、本当の物語はまだ始まっていないのである。{/netabare}


Ⅱ 悪魔と人間

{netabare}デンジとマキマが新たに契約を交わす第5話には、
「人間圏」のドラマの出発点となる場面も含まれている。
こちら側のメインキャラである姫野とアキとの最初の出会い、そして
岸辺が初登場するシーンが、姫野の回想のかたちで挿入されている。

そのシチュエーションはとりわけ注意を引く。
そこは無数の十字架が果てもなく大地を覆い尽くす、広大な墓地の中だ。
悪魔との際限のない戦い。犠牲になった人々。殉職した仲間たち・・・。
そうした濃密な"意味"を凝縮させた、一種の「トポス」とも言える場所であり、
それぞれの「動機」と結びついた、彼らの心象風景をそこに重ねることもできる。

ドラマは主に姫野の視点で切り取られ、アキとの関係を軸に進行する。
メインのプロットに並行してやや間接的に、控えめに語られるそのスタイルを、
自分は「ミニマムな群像劇」、そんな捉え方ができると感じた。
こうした手法が可能なのはおそらく、キャラクターに共通する何らかの条件が
先行して物語の"磁場"を形成しているからで、それが「契約」なのではないかと思う。
それは抑制された心情を浮かび上がらせる、一種のフィルターのように機能する。


デビルハンターたちは悪魔と契約して悪魔と戦う。
力で劣る人間が必要に迫られて選択した、合理的な対抗手段であり、
契約の対価も「魂」ではなく、身体の部位を差し出すという現実的なものである。

「力を借りる代わりに、体の一部を狐に食わせる契約だ。今回は皮膚を食わせた。」
「公安でこいつと契約している人は二人。一人は寿命半分、
 もう一人は両眼と味覚、嗅覚を差し出しています。・・・」

何気なく語られる「契約」の非情な代償。そして、その非情さに麻痺した心。
「契約」は彼らの重い軛であり、自らの命を侵食するものですらある。
常識的には全く引き合わない職務であって、余程の覚悟がなければ遂行できないだろう。
だからこそ、彼らの内部にあるモチベーションは葛藤を孕みながら強く迫ってくる。
それが作品全体を貫く、どこか沈鬱なトーンとなっているように感じられる。

「契約」のフィルターをとおして見えてくるもの、それは、
自らの「動機」と死への恐怖との狭間で葛藤する、"普通の"人間たちの苦悩である。
岸辺の人格の破綻も、頭のネジをストイックに緩め続けた結果であって、
デンジたちに情が移り、それを言ってしまうあたりに彼の人間性は覗いている。
姫野のはっちゃけぶりも、絶望から目を逸らすために演じられたキャラであることは
遺された手紙からごく普通の、心優しい女性像が窺えることからも明らかだ。
第7話の墓地の場面では抑え切れずに、血を吐くような悲痛な叫びが漏らされる。
「嫌だ、嫌だ、嫌だ・・・。」

一見クールな雰囲気を装いつつ、内面に潜むこうした痛切なドラマを掬い取り、
表現する手法としては、映画的なリアリズムは有効だったように思われる。


姫野の最期は二重の意味でドラマのクライマックスと呼べるものだろう。
自らの身体の全てを契約の対価に差し出し、死体すら残らない壮絶な死にざまは、
「契約」の極限的な帰結以外の何物でもない。まさに"契約のドラマ"の極致だ。
その死はまた、"動機の物語"の完結をも意味している。
彼女の「動機」はいつしか、アキという存在の中に集約されていた。
次々に先立って行ったバディたちの死が心に重くのしかかる彼女にとって、
アキの"普通さ"は絶望の中の救いであると同時に不安の種でもあった。

「アキ君は死なないでね・・・私が死んだ時さ・・・泣いてほしいから・・・」

アキを死なせないこと。その一念を貫き、敢えて引き受けた悲惨な最期によって、
彼女の「動機」は貫徹されたのである。

これに続く最終盤のバトルが本来のクライマックスなのだろうが、
姫野の"復讐"が果され、アキの「動機」の一部が成し遂げられたという意味では
姫野の"動機の物語"の延長戦と見ることができる。その点でこのアニメの結末は、
公安サイドのドラマの結着となっていると言っていいだろう。

その戦いの最中にアキが死の危機に瀕するが、その直後、
彼の前にゴーストの手が差し伸べられる。開かれた手のひらの上には一本のタバコ。
このとき差し出された"右手"は確かに、姫野自身の右手だったのだろう。
「私の右目を食べさせた代わりに、ゴーストの右手を使えるってわけ。」
彼女の「契約」は最後に、彼女の「動機」を助けたわけである。

 Easy revenge!(気楽に復讐を!)

このメッセージの意味は、ここまでの文脈に即して
姫野がアキの「動機」を肯定し、背中を押したもの、そのように解したい。


「人間圏」のドラマの中でデンジが周縁化するメカニズムも、
同じフィルター越しに説明できるのではないかと思う。

初期設定のデンジは「契約」の犠牲者とも言うべき存在である。
「腎臓が120万、右目が30万。キンタマ片方売って、いくらで売れたっけ・・・」
その彼が悪魔になることで、起死回生の大逆転劇が生じる。
死んでも元通りに生き返るのであるから、もはや身体の欠損など問題にならない。
自力で悪魔と戦える彼は公安の人間たちに対して圧倒的に優位な勝ち組である。
逆説的ではあるが、この特権性のゆえに彼は「人間圏」の中心から外れ、周縁に退く。
初期設定が解消された後のデンジの捉えにくさは、ここに起因するようだ。

結局のところ、デンジのキャラクターについては複雑なのか単純なのか、
現段階ではそもそも判別がつかないことになっている。
例えば、仲間が死んだことに涙を流すアキを見て、自分は泣けないと感じ、
「心臓だけじゃなく、人の心までなくなっちまったのか…?」と自問するシーン。
並みの主人公ならば、この葛藤がストーリーへと展開されるところだが、彼いわく、
「ま、シリアスな事は考えなくていっか!
 楽しくねえ事考えても楽しくねえだけだからな!」・・・これがデンジだ。{/netabare}



デンジのキャラクターは現段階では未分化の状態にある。
・・・これが相応に時間を費やした挙句の、結論らしからぬ結論である。

ただし、直観に過ぎないものだが、付け加えておきたいことが一つ。
Ⅰ章で指摘したとおり、彼は価値の序列の破壊者であり、かつ、その存在が
善悪、あるいは悪魔と人間の境界で、両義性と媒介性を体現している点で、
そこには「トリックスター」の本質がベクトルとして認められるのではないか?

特に示唆的だと思われるのは、本作ラストの{netabare}"キン蹴り"{/netabare}のエピソードだ。
この悪ふざけが彼一流のリベンジであることによって、
アキのシリアスな"復讐"をコミカルに反転させた戯画になっている点が、
秩序を撹乱するいたずら者であるトリックスターの要件に合致するのではないか。
何にしても今後の展開によって、彼の正確な像が定位するのを待つしかないのだが。

あるいは本作の演出の意図も、作品が孕む二極性を踏まえた上で、
第1部「公安編」を文字通りに、公安のデビルハンターたちの物語と捉える
ややイレギュラーな視角から作品にアプローチした結果なのではないだろうか?
・・・などと想像してみたが、これはおそらく考え過ぎだろう。

ところで本稿の作業中、参考のためにWikiを開いたところ、
いきなり強烈なネタバレを食らってしまった。・・・くれぐれも注意されたい。
お蔭でマキマさんの正体も含め、衝撃的な展開がこれから待っていること、
このアニメはいわば前座に過ぎず、本当の物語はこの先にあることが確認できた。
二期が制作されないうちは、トータルな評価は時期尚早と言うべきだろうか。


2023.1.20 投稿  2.6 補完

投稿 : 2023/05/27
♥ : 23

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

売れないと叩く流れは嫌い。アンチジャンプなクールとドライさの先にあるもの。

 本作もそろそろ終わりそうなので内容にはあまり触れず、「チェンソーマン」という作品の総評を書きたいと思います。


 「チェンソーマン」のまず目につく基本的な要素はアンチジャンプ、即ちクール&ドライなエモさの排除にあるでしょう。ある時期からのジャンプの王道は、能力バトルの連続+過去回想を多用した押し付けのようなエモさという面がありました(何事にも例外はありますが)。


 ジャンプだけに限らず、長期連載のエンタメバトルものなら敵も味方も重要キャラは手間をかけて感情移入させるのが基本ですが、本作は違う。もう大根の叩き売り如くポンポンと人が切られ撃たれ死んでいく。重要キャラと思った人でも次の話ではアッサリ死亡。こうなるともうシュールギャグに近いレベルで


 これは全くのアンチではなく、従来のファーマットに乗ってるように見せかけつつ、それを相対化するという手のこんだより高度な脱構築といえるでしょう。本作におけるグロや死は正直重たいものではなく、漫画のキャラクターの死ですから、という距離をとったドライさがある。アニメではそういった本作の世界を、映像の表現の仕方で巧みに構築している「雰囲気の魔術」が見事と言わざるをえない。


 映画でもあらすじではなく、それをどう台詞に頼らず映像で表現しているか重要なタイプの作品に近い。昨今の作画自慢バトル系作品で平場のシーンはなんの工夫もなかったりするが、本作はそちらこそ本気というくらいキマってる。マキマが着替える後ろ姿だけでエロい!。


 故に、とにかく引っ張るのが特徴だったジャンプ作品において、本作はそういった流れを皮肉るようにサクサクと物語が進行していく。エモさと引っ張りのコンボ、更には薄っぺらな良きことの押しつけににいい加減ウンザリしていた世代や人々にとって、「チェンソーマン」は痛快な皮肉をぶつける象徴としてヒットしたのは当然だと思います。


 では、「チェンソーマン」はアンチジャンプを目指した脱構築のみの作品かと言うとそれだけではなく、それこそ「タツキ」の本質である映画愛からくる、バトルの連続を描きたいのではなく、短い中でキッチリとした結実したドラマを描きたい、ドラマという形でテーマを展開したいという作家性がより大切だと思います。


 そういったどちらかといえば青年誌的な傾向をジャンプでやるためにフォーマットは借用しているに過ぎない。故にタツキは能力トンチバトルにも、「敵にもこんな悲しき過去…」的な展開にも全く興味も関心もないように思えます。ジャンプで売るためというより、ヒットさせてみんなに読んでもらうために戦略的に編集さんと組んで「チェンソーマン」は書かれているでしょう。「ルックバック」や「さよなら絵梨」の作家が喜々として従来のジャンプ漫画を書くわけがない。


 ではそのクール+ドライな先に何があるかというと、後のレゼ編のように短い中で見事に結実したドラマが齎す押し付けがましくない余韻を残す切れ味、或いは最終章編のようにドラマという形で現実に繋がっているテーマが上手に展開された時に齎される、言葉で語られるより遥かに心に突き刺さるテーマ性といった、それこそ素晴らしい映画が齎す言葉や説明に頼り過ぎない力に近い喜びこそが「チェンソーマン」、タツキ作品の本質だと言いたい。


 サムライソード編までは、ジャンプで枠を確保するための段階ですからアニメはまだまだ助走段階でしょう。しかし、こっから例えばレゼ編を映画でやって、そっから最終章までをこのクオリティーで映像化してくれると思うと今からワクワクが止まらないゼ!。「チェンソーマン」のテーマの部分はネタバレ無しには書けないので完結した際にその部分は書こうと思います。「ルックバック」や「さよなら絵梨」も映像化して欲しいなぁ。


 山田玲司先生のタツキ回や、Dr.マクガイヤーのチェーンソーマン回ともに素晴らしい解説なのでオススメです。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 28
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

作品の評価はするが冗長で飽きました。3分の2の尺でやれば…

10話 一旦断念です。原作通りすぎだし、更に間延びが凄いです。

 もともと藤本タツキ氏の作品にしては、短編と比べて密度が薄い作品です。「スタイリッシュバトルもの」みたいな呪術廻戦などと同じカテゴリにくくられてしまいました。そのせいで人気は出たのかもしれませんが、感想としては原作時点でも冗長でした。

 それでも本作原作も、普通のジャンプ系の作品に比し、メッセージ性テーマ性の密度は全然違います。
 リビドーとタナトス。名前とおっぱい。資本主義と貧困。社会の犬。恋愛の難しさ。欲望、生存、衣食足りて礼節を知る、友情…そういう要素をバトルマンガにした才能はさすがだと思います。
 銃の悪魔は社会の共同意識、印象による価値付けみたいなテーマはいいですけど、これはちょっとチープなメタファだったかなあ。うまく使えてない気がします。
 そして、全体的にストーリーの進展が余りに遅いです。氏は大胆な省略ができるのがいいところだったのに。

 衝動、悪魔性の表現、破壊者としての脅威、絶望感などでバトルは必要だと思いますが、しかし、場面が多すぎだし、長いです。興味があるのはデンジの生存欲求が満たされ、贅沢や人間関係を得ることと同時に悪魔性が強くなってゆく描写です。

 ジャンプ連載なので間延びは仕方がないし、氏のキャリア形成にもなったでしょう。そもそもマンガ家としてこういう要素もやりたかったのかもしれません。楽しんでやれるならそれが一番です。ただ、それでも11巻は長すぎです。更に続いていますし。7巻くらいにまとめたほうが、濃い作品になったと思います。デビルマンになりそこなった作品だなあ、という感じです。

 その冗長な作品を丁寧なアニメ化といえば聞こえはいいですが、正直薄味の11巻を2クールにしようと思うと、こういう間延びになるのでしょう。
 演出とか構図とか、バトルシーンの出来とか、そういう批判の前に、尺が長すぎです。半分とは言いませんが、5分の3、無理なら3分の2くらいでやればよかったと思います。
 アニメで見たら、原作の間延び感が薄まるかなあと楽しみにしてましたが、かえってひどくなった印象です。

 原作と全く同じだし、見ていて飽きてきますので、一旦断念です。あとで確認するかもしれませんけど。

 評価点は高いですが、主観では57点という感じでした。




以下 視聴時の感想です。


1話 アニメは最高の出来。普通にエロと金と友達が欲しい男の物語

{netabare} ということで、本作。もう時代の気分そのままです。普通でいいから飯食いたい。女とエッチなことしたい。働いた分なんとかしてくれ。全部ぶっこわしてー、資本主義や大衆は悪魔だ、ですね。
 子犬を助けるという古典的なマンガのスタート、ジェイソンで殺戮の象徴となったチェーンソー。すべてのアナロジーは大変わかりやすいですね。その中で主人公がどういう選択をしていくのか?というストーリーになるかと思います。
 氏の作品は、選択と選択のIFを表現している場面が非常に多いので、本作の注目ポイントは主人公の選択が非常に低レベルの欲望でありながら…ということでしょう。つまり「逆世界系」です。

 アニメの出来は、マンガよりも内容が頭に入ってくる印象です。逆に良く出来過ぎて引っ掛かりがありませんけど。ですので、やはり両方見る、が正解なんでしょうね。

 アナロジーでいえば、もちろんデビルマンは想起します。 {/netabare}

2話 「男はパンのみにて生きるに非ず。オッパイのために生きる」ですね。そして、今日も男は女に翻弄される。

{netabare} 欲望は一つ満たされると膨らみます。「衣食足りて礼節を知る」ではなく「衣食足りて欲望に目覚める」です。「隴を得て蜀を望む」とも言いますけど。
 デンジは女を夢見ることからはじまって、女に近づくことができ、抱き締められる、エロ本を得て、おっぱいを求めるようになりました。そして、マキマに面白いように操られます。

 デンジの行動原理は単純で、主義主張も思想もなく、常に欲望を満たすように動く。それが破壊の規模と全く等価ではないのが面白いです。デンジ=リビドー、チェーンソーマン=タナトスのバランスと言い換えてもいいかもしれません。

 今のところ彼にとっておっぱいにアイデンティティは求めてないですね。これが面白いところです。おっぱいであれば、誰でもいい状態です。
 彼が唯一代替の効かない個として認め合ったのが「犬」でした。

 それに、女にも2種類いますよね。欲望のままやりたい放題する女、そして自分の欲望を満たすために人を操る女。

 コミックと違って展開が遅いので、いろいろ考えてしまいますが、それもまた面白いですね。{/netabare}

追記 そういえばコミックにないマキマがデンジのネクタイ締めるシーンがありましたね。 {netabare} ~「犬になれ」と対応して首輪が付けられたということでしょうね。コミック4話の絵扉の代わりにいれたのかもしれませんが。やっぱりアニメ版はわかりやすくしていると思います。あるいは制服と合わせて「社会の奴隷になった」アナロジーでしょう。{/netabare}

3話 名前のないおっぱいはただのおっぱい。

{netabare} デンジにとってパワーちゃんはパワーちゃんでなく、ただの名前のないおっぱいですね。自分の欲望の対象でしかありません。おっぱいへの憧れであって、パワーちゃんである必要がない置換可能なおっぱいです。
 つまり性愛を知らない童貞マインドですね。日本人の貧困童貞の象徴がデンジです。

 一方でニャーコが殺せない理由はニャーコだから。ポチタが大事なのはポチタと名付けたからでしょう。名前が無い人間は人間ではなく経済価値=欲望を満たすための物でしかないということ。
 名前がある=代替が効かないものの喪失を経験したデンジとパワーちゃんは分かり合える=名前で呼び合えるのか?

 有用性は「いいね」の数か?他人をどうみるかという話もありました。名前問題の逆ですね。イメージがすなわち力である。

 デンジくんの正義=破壊のモチベーションはなんでしょう。今のところ他人の痛みです。

 第3話でテーマがどんどん出そろってきました。今週はマンガだとセリフばっかりでサラリと流してしまうところを良く描けたと思います。面白くなってきました。「破壊」と「ライトでおしゃれなセリフ回し」だけではないところを見せつけてくれたと思います。 {/netabare}

4話 デンジと早川とコウモリの悪魔、対するパワーとマキマとヒルの悪魔は、男性とそれを操る女性を表しているのでしょう。

{netabare} パワーちゃんはデンジにおっぱいを揉ませると嘘をつく、マキマさんが早川くんを薄っぺらい言葉で手玉にとっていまう。
 デンジを批判する早川くんもマキマさんの色香に迷ってますから、同列に見えるのが面白いところ。
 わざわざ、ネクタイを直すシーンを男女両方に入れたのは、マキマさんが早川くんの思考と行動を読み取りつくしているという表現でしょう。

 これがコウモリの悪魔とヒルの悪魔が男女関係だったことから、この男女の対比ですね。コウモリの悪魔という個体が好きだったわけでなく、相手が必要だったと言い切っています。だから乗り換え可能になります。
 ヒルの悪魔の女性の性的なキャラデザからいって、女性がセクシャリティを使って男を操縦することに対する強烈な皮肉を感じます。

 この第4話の部分は女性はこんなものだというミソジニー(女性嫌悪)が出ていました。男の夢の価値の有る無しを懸命に解いている早川くんもコウモリ悪魔も、女性から見たら変わらないという風にみえました。

 性欲の対象でないニャーコへの愛情との対比でもあります。あと、善意に解釈するとパワーちゃんはちょっとデンジに心を開きつつあるかなあ。

 前半のバトルシーンも後半の早川くんの性格描写と日常の平穏からの混乱も尺が長くてくどかったかなあ。もうちょっとテンポが良くてもいいかもしれません。

 なお、鬼滅とか呪術なんかと同じ系統の作品だと評価している人も多そうですけど、2重構造なんでしょう。表面上はそういったバトル作品としても派手に楽しむこともできると思います。世間の本作の評判を見る限り、今のアニメとかマンガがどういう消費をされているのか確認するのが面白いです。
 バトルとか作画と声優の事ばっかりで、しかもエロ表現が余計だというのが支配的なんでしょうか。その見方は私は想像もしてなかった見方なので面白いなあと思います。{/netabare}


5話 男の私小説?マキマさんのうさん臭いエロさとは?それにしても出来が良すぎて飽きるかも。

{netabare}  誰にでも経験というのはありますが、この作者の初モミは不幸なものだったのかなあと想像してしまいます。要するにこの辺りの描写って、自分の経験が常識と勘違いすることが多いですから。私小説?赤裸々すぎる欲望の独白はヰタセクスアリス的でもあります。

 いい風にとればパワーちゃんはバディとして友達…現段階だと遊び友達になったので、エロスを感じなくなったとも取れます。少なくともニャーコの件で妙な信頼はあります。

 ただ、私小説というだけでなく気持ちのこもらない「揉み」では、おっぱいは単なる脂肪の塊ですから、マキマさんのセックスエデュケーションと合わせて、一般的な若い男の欲望ともいえます。マキマさんのエロさすごかったですけど、一方で胡散臭いところが良く表れていました。

 一方でデンジはディープキスには反応してしまいますので、欲望のエスカレートと結局は女性たちに性欲で操作される悲しい男の性なのかもしれません。

 銃の悪魔は…テロリズムで狂いだした何かの象徴なんでしょうね。

 さて、アニメですが素晴らしい出来だと思います。セリフの一つ一つが原作通りで、かつよく動きますし。
 しかし、原作通りすぎて意外性がないのも事実です。作品の性質上ストーリーが変えられないのはわかりますけど、何か工夫しないと原作読み返せばいいになってしまう気がします。特に今回のように動きが少ない回だとなおさらです。

 原作者が介入すればそりゃあ原作通りになってしまうでしょうが、しかし、化物語という稀有な例もあります。演出を工夫するとかコミックで表現できなかった動きのあるエロスとバトル。その辺の売りの部分でいい動きというだけでなく、何か感動が欲しいです。
 その辺がないといい出来すぎて飽きてくる気配も感じます。 {/netabare}



7話 閉じ込められる=閉塞感 チェンソーマンって何?

抜け出せないというのは日本の閉塞感でしょうね。
分けられる食べ物は少ししかない。貧困の象徴でしょう。
頭がぶっ飛んだ人間しか生きて行けない。まともな奴は死んでゆく。
デビルハンターは制服でネクタイというのも大事でしょう。つまり搾取される労働者・学生でしょう。新入生歓迎もしてますし、会社辞めちゃう問題もありました。
彼を殺された人間が姫野をひっぱたく。的外れな感情のぶつけ方。
コベニちゃんは兄の大学のために「デビルハンターか風俗」
コベニちゃんがウザくて私のせいじゃないと言う。面倒ではっきりものが言えない。
コベニちゃんは迷わず、自分が良ければ人は殺していいという判断をする。
キスについては、ある種の女性にとって、自分の肉体は男を操る道具。
コベニちゃんと姫野の描き方…他の女性キャラもそうですけど、作者のミソジニーでしょうね。あるいは女性嫌悪と性欲の二律背反でしょう。
あるいは大衆・概念としての女性の肉体の「経済性」と、個人としての女性の「代替の無さ、愛情」みたいな視点。
結果としてコベニちゃんは身勝手な女性の象徴でもあり、女性の生きづらさの象徴にもなっている感じです。
タバコより「ノーベル賞」という意味のないもの、「消費税」とか悪いもの…もっと他に辞めるべきものがあるだろう?
人間の集合体が悪魔として襲ってくる。そして最後はもう殺してくださいという。
契約は絶対。

 
 ゲロチューはなぜ、姫野先輩とのチューはゲロの味だったのかは、前回のおっぱいの比較の繰り返しかなあ。まあ、上に列挙した女性との関係性の矛盾が現れたということだと思いますけど。

 チェンソーマンって、バトルマンガとして見るとアニメ化は失敗なんでしょうかね。生きづらさ、閉塞感をどうやってデンジがぶっ壊して行くのかという視点で見ると、アニメ化にあたってクローズアップするところは正しいと思います。
 特にこの6,7話はチェンソーマンとは?をわかりやすく表現されていたと思います。

 原作からいってこの作者にしては、ジャンプ向けにちゃんとわかりやすく、かみ砕いていると思います。それにエンディングテーマで丁寧に視点を教えてくれているので、そこを拾って行くと面白いですね。今回はゲロチューです。

 それにしても原作準拠すぎでしょう。もうちょっと何かないんでしょうか?もうEDとエロシーンだけ見ればいいのかな?

投稿 : 2023/05/27
♥ : 22

76.3 4 東京アニメランキング4位
すずめの戸締まり(アニメ映画)

2022年11月11日
★★★★★ 4.1 (164)
602人が棚に入れました
九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、
「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。
彼の後を追うすずめが山中の廃墟で見つけたのは、
まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、
古ぼけた扉。
なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが...

やがて、日本各地で次々に開き始める扉。
その向こう側からは災いが訪れてしまうため、
開いた扉は閉めなければいけないのだという。

――星と、夕陽と、朝の空と。迷い込んだその場所には、
すべての時間が溶けあったような、空があった――

不思議な扉に導かれ、すずめの“戸締まりの旅”がはじまる。
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

結局5回見ました。最高に面白かったです。もう終わりそうなので考察を少々。

 もう公開も終わりそうな雰囲気なので、いろいろ考察を残しておきます。考察すべきではない感じる映画だと思っていましたが、読み取れる部分が多い作品だし、やっぱり自然と考察してしまいました。なので気が付いたところです。

ダイジンについて
{netabare} ダイジンですが子供ですよね。やせ細っていることから飢えて人柱になったのか、愛情のアナロジーなのかは分かりません。スキじゃないという言葉でやせ細るところを見ると、どうも母親の愛情に飢えていて「ウチの子になる?」で鈴芽になつくわけです。子供としてじゃれついていました。

 東北までの道のりですが、鈴芽を導いていたニュアンスがあります。つまり、鈴芽の子供時代が常世にいることを知っていて、鈴芽の魂を救済するために連れて行ったととることができます。
 鈴芽が死んでもいい、というのは半分常世に魂を置いてきているからだと思います。

 一方で、鎮魂ということを考えると鎮魂が住んでいない東北に大きなミミズがいるので、ダイジン、サダイジンとも東北に移動する気だったとも取れます。宗太のアパートで要石は移動している、というセリフがありました。
 本当は自分で要石として移動しようと思っていたら、思わず鈴芽に優しい言葉をかけられて、ああいう我儘になったということでしょう。
 鈴芽の子供になれなかった、つまり自分の誤解だと気が付いた。だけど、鈴芽からどこかに行けといわれたので一旦離れた。もともとの計画通り要石に自分でなろうということでしょう。ダイジンは本当は要石には戻りたくなかったんでしょうけど最後は鈴芽から優しくされて救済を得たことで納得したんでしょう。{/netabare}

サダイジンについて
{netabare} サダイジンが登場したときに、環さんに本音を語らせます。ということはサダイジンとダイジンの関係は、環さんと鈴芽の関係なのでは?と思います。要石としての先輩なのでしょう。サダイジンだけ巨大猫になれるこということはもう神になっています。ダイジンは子供でもあり成長中なんでしょう。自分の今のポジションに対する疑問があったのかもしれません。つまり鈴芽です。

 サダイジンは要石に戻るために東北に行くから協力してほしい、という感じでした。そして捕まえるときは厳しかったですが、ダイジンを舐め回していました。つまりサダイジンは環さんの側。子供がいない女性だったんでしょう。{/netabare}

鈴芽が宗太を好きになった理由
{netabare} 鈴芽が宗太をなぜ好きになったか、です。一つ目は四国につくときの「ドキドキする」というセリフです。つまり吊り橋効果です。閉塞した田舎にいた田舎娘が旅先でとなりにいた宗太を好きになる。
 イスであったこと。母親の作ってくれた大切なイスです。その姿をしているので愛着がわいた。
 あるいは温もり…温度について何度もセリフがありました。鈴芽は環に育てられたかもしれませんが、温もりが無かったのかもしれません。それで、初めての温もりに惹かれたのか。
 神聖です。ダイジンも宗太もSNSに非常に沢山アップされていました。宗太は不思議なのもありますが、人を惹きつけるという表現でしょう。それで鈴芽が惚れたのか。子供はどうも何かに気が付くようで神戸はもちろん新幹線の中でもガン見されてました。
 初めに「どこかで会った事が」というセリフがありました。母と間違った自分の横に立っていたのが宗太なのでどこかで惹かれていたのか。 {/netabare}

鈴芽はなぜ助けられるか
{netabare}  鈴芽がなぜ助けられるのか。スナックにも民宿にもなぜお客さんが集まったのかは、鈴芽が原因なのか宗太が原因なのか判然としませんが、助けたくなるんでしょう。ただし、ヒッチハイクは苦手なところを見ると危機になると助けたくなる、でしょうか。
 いろいろ考えられますが、アマノウズメ設定もあるみたいですので、神性が正解なんでしょう。つまり常世に言った事があるので、神聖を帯びているという意味なんだと思います。それは宗太がもてる設定とも重なります。{/netabare}

芹沢は捨てるものの象徴
{netabare} 芹沢は捨てるものの象徴でした。外車のオープンカー、懐メロ、タバコ、茶髪、そして宮崎駿。環さんの「いい先生になれる」というのは、そういう捨てるものを捨てれば中身はいいという意味でしょうね。宮崎駿は捨てるべきものの中に含まれています。{/netabare}


 鈴女の周りにいる2匹の蝶は本当の父母の魂なんでしょう。死んでもいつも見守っているということだと思います。

 結局5回みました。さすがに今後は円盤にします。それにしてもここまでレベルが高い作品を見せられると他の映画やアニメが退屈に感じてしまい困ってしまいます。
 キャラ、演出、テンポが最高でした。鈴芽はすばらしいキャラ造形でした。

 テーマ性云々は別にして、地震大国に住む日本人論としてこんなに優れているものはないと思います。なぜ、隣人に優しくすべきか。そして過去を悼むのか。それを深く考えてしまいました。
 未来に命が繋がる人は、明るい明日を信じて生きよう。残念ながら死んでしまった人たちは、ちゃんとその人を思い出してあげよう。日本に住んでいる以上はその覚悟を持つべきだと思いました。


4回目レビュー

 結局4回目見ました。キャラの魅力と面白さにやられました。

 また見てしまいました。RRR見に行ったのにふらふらとこちらに…結局4回見ています。2月にもう1度見に行くかもしれません。なぜこれほどまで心を掴まれたのか。

 震災とか廃墟とか鎮魂とか、そういうテーマ的なものを当初はいろいろ考えましたし重要な要素ですが、本作は映画の原点である「キャラの魅力」「面白さ」この2つにやられました。

 キャラは、この作品魅力的でないキャラが一人も出てきません。そして性格や言動と設定が極めて自然です。なので、ちゃんと演技していると思います。これは稀有な事です。ですので、ともすれば退屈になりがちな人間と人間が会話しているシーンがどれも本当によく描けていました。
 でまあ、やっぱり鈴女の魅力です。言葉にすると安っぽくなるので語りませんが、とにかくこのキャラは素晴らしかった。

 面白さは、スピード感、演出、無駄を省いた編集、幻想的な部分とリアリティの使い分け、映像美など映画としての要素がどれも素晴らしいです。特に中盤の東京のシーンの緊張感。これがいいですね。今まで見たどんなハリウッド映画よりも心理に訴えかけてきました。

 俯瞰すると、結局描いているのは「日本」ですよね。地震も廃墟も人の優しさも神も懐メロもすべてが我々が住んでいる国ですね。新幹線と富士山もそうです。
 なるほど「鎮魂」というのはそうかもしれません。いつ南海トラフや関東直下が起こるかわからない国土である以上、どこかが破壊され人が死んでゆく。だからこそ生きている人は…ですね。
 九州から東北までどこでも地震は起きます。作中旅をしながらそれを表現したのは素晴らしいと思います。

 映画の出来とスケール感という点では「君の名は。」なんですけど、面白さとテーマの重要性、キャラの魅力からいうと本作だなあ。

 なお、設定うんうんという考察をユーチューブでいっぱい見ましたが、ほぼ参考になりませんでした。ほとんど私が作中の表現で納得したところを上げ足とりしているだけでした。
 新海誠監督作品の設定は、すべて省略があるし無理な言い訳をしないのでおかしく見えるところもありますが、普通に行間を咀嚼すればそこに理由やバックストーリーが見えてくると思います。まあ、人それぞれなのでそれが気に入らないのなら仕方ないですね。それも一つの見方です。

 劇場アニメ映画で4回いったのは初めてかなあ。うーん。面白さでは過去最高…と言ってもいいかなあ。4回目でもまったく飽きませんでした。

 なお、原作読みましたが、ほぼシナリオという感じで深掘りや詳細設定等はありませんでしたね。それでいいんでしょう。映画は映画でその範囲で行間を読むべきでしょう。




1回目レビュー

{netabare} 初めの一瞬だけまた映像美かなと思いますが、すぐに完全に忘れます。新海誠ブランドということすら忘れます。とにかく展開につぐ展開で、びっくりするくらい面白かったです。
 誇張抜きで本当にあっと言う間に終わったという感覚ですが、後から考えると密度が濃いという感じでした。情報を完全にシャットアウトしていたのも良かったのかもしれません。

 映画館に行って良かったと心の底から思いました。多分今週…は無理でも来週くらいにまた見に行くと思います。

 で、いわゆる設定の考察を完全に封じる映画です。もちろんテーマ性の奥行きはありますが、それよりも「感情」の映画でした。たかぶる感情の先にもちろんテーマ性はありますが、この作品は見たときの感情、思考ではなく感覚的に何が頭をよぎったのかを大切にしたい映画だと思います。
 含意としてのメッセージやテーマはもちろん大いに考察すべきでしょうが、矛盾がどうとか、マネがどうとか、この設定は実は…みたいな考察はやるだけ惨めになるくらいの力強い映画でした。

 新海誠3作目の超メジャー作品で、ブランドありきでくるだろうなあという諦めというか、斜に構えて見に行った自分が恥ずかしくなるくらいいい映画でした。

 5点満点は思考停止でつけたわけでなく、これ以外ないと思います。まあ22年度…というかここ数年の映画の中ではNO1だと思います。

 完全ネタバレ封じをお勧めです。冒頭12分とか見る必要はないでしょう。私は見なかったのが良かったです。冒頭からワクワクしました。この先は閉じておきますので、是非、先に見てきてください。


 初見での第1次のひっかかりポイントです。今後、この作品を考える上でのメモ程度です。(当日考えたことを若干追記しました)

「すずめ」という名前ですが、これは日本で最近スズメを見なくなったという話があります。いつの間にか気が付かないうちに日本が変わっているのだ、ということかもしれません。
 また、すずめはありふれた人の象徴というレビューを拝見しました。たしかにその意味は大きいと思いました。

「しゃべるイス」ふたりのイーダという児童文学があります。これが原爆によって死んだ家族がモチーフになっていたので、椅子がしゃべった瞬間不穏な感じがありました。

「蝶々」です。これは喰霊ゼロでも出てきますが、魂の象徴です。2匹飛んでいるということは親のことでしょう。つまり、死者の魂=両親の気持ち、死んでも見守っているということだと思いました。

 神戸ですね。もちろん阪神淡路です。すずめが移動した、愛媛のあの尖った半島から四国を横切って淡路島のルートって、地下構造線があって、直下型地震が起きやすいとされているルートな気がします。

 ご都合主義のように、いろんな人が不自然にすずめを助けるように見えますが、これは震災の時の人のつながりを感じました。困っている人がいると助けたくなる日本の田舎に残る古い気質を表していたんでしょうか。初めはまあ、お話だからと思ってましたが、すずめが神戸に来た時にそういう無償の人助けの印象を持ちました。一方でスマホで写真を撮る場面も沢山ありました。

 旅の中でこの親切な人たちは親子の家族でした。そしてヒロインは叔母と2人。イスはお爺ちゃんと。いろんな家族の形がありました。

 廃墟は人口が減り、過疎化が進み、古い日本が死んでゆく。そしてその一方で、いつどんなときに大地震が起こるかわからない日本。人とのつながりが最後は大切だよ、というかとでしょうか。
 廃墟にも人の思い出が詰まっているというのも大事でしたね。廃墟をみて何を感じるのか。昔の人の想いを受け止める。それは「懐メロ」にも通じています。 
 大地震に至らなくても、大雨が降るのも不吉な何かを感じました。

 そして東京です。これは言わずもがな、ですね。のんきに暮らしていても大地震はいつでもきますよ、ということでしょう。
 東京は地下をいじくりまわしていますからね。その辺の意味もある気がします。神田川も確か大地震を起こした断層だった気がします。

「戸締り」は防災というのは短絡ですけど、心構えかもしれません。むしろ過去の自分に対する何かなんでしょうか。ドアを閉めないと不吉なものが…そして死者の世界かあ。次回視聴時の宿題にします。

 教師になるという夢と日本に夢を絶たれて石になってしまうというのも何かを感じました。日本を守る人が、教育者を目指しているというのもちょっと意味を感じました。

 おばさんの言葉ですね。愛情も憎しみも本音ということでしょう。コミュニケーションを絶ってはだめで、話をしようということでしょう。また、震災は犠牲者だけでなく、それを助けた人たちの中にも苦しんでいる人がいるということもあるのでしょう。

「懐メロ」ですね。80年代以前の音楽だと思いますが、ルージュの伝言はまあ宮崎駿に対するちょっと皮肉なメッセージなのか、あの魔女の宅急便のような牧歌的な少女の夢が見られなくなったという事なのか。
 まあ、それは考えすぎにしても、80年代の曲を聞いて、感動していた人たちがもうこの世にいない、という少しノスタルジックな気分になりました。
 阪神淡路が1995年です。そして東日本大震災が2011年。魔女の宅急便は1989年ですね。
 時代を超えて曲が愛されるということで、昔も今も同じ人間だよ、という意味もあるんでしょうか。廃墟の記憶とも重なります。

 とにかく日本の現実と過去の現実で、打ちのめされるくらい「つらい」感情を持ちました。ただ、その「つらさ」をどう受けとめ、今後訪れるだろう「つらい未来」にどういう心構えでいるのか、ということが「戸締り」なんでしょう。

 恋愛部分ですけど、ここも考えすぎかもしれませんが、滅びゆく日本の中に、男女でもっと恋愛しようよ、夫婦で子供を残そうよ。困っている子供に手を伸ばしてみんなで育てようよ。だって、人間だから、というメッセージも感じました。

 猫ですね。猫が愛情に触れると太り立派になり、悪意に触れるとやせ細ります。ここに人間の心の何かを象徴しているような感じはありました。神とはすなわち国土の意志と取ると、人間の心映えで国土の力が弱まっているという風にも感じられました。


 過去の自分に会いに行く。なんのオマージュとかは忘れましょう。それは重要ではありません。過去の自分に何を言いにいったのか。
 肝心なことを書き忘れました。一番恐ろしく、感情が動いたのが「黒く塗りつぶされたノート」です。ここが第1の嗚咽ポイントでした。(がまんしましたけど)もう、なんというか、真っ黒になった心…しかも子供の。この子供に対して、何を言えばいいのか。

 子供が繰り返し黒く塗りつぶすシーンがありますので、ここは子供の心が壊れて行く恐ろしさが一気に理解できました。
 そして震災の象徴である、あのビルの上の漁船の上の場面もありました。
 解答はもう少し考えたいですが、この昔の傷ついた自分に何を言いに行くのか。これは冒険の果てだったからこそ、おばさんと喧嘩し、恋愛したからこその言葉だったと思います。ここに「戸締り」の意味があるんでしょうけど、そこがピタッとまだ理解しきれてません。

 恋愛感情の持ち方の描写が弱いというレビューも拝見しました。これは「君の名は」でも言われたことだし、映画の作りとしてはもっともなご意見でしょう。
 ただ、私は新海誠氏は、好きになるプロセスより好きになった気持ちと行動を大切にする人なんだろうなあと思っています。そして、好きになるプロセスは自分なりの考えで補いたいです。

 船の中のでパンとジュースを買って2人で座っているシーンとかラブシーンとしては最高だったし、途中でイスにキスするシーンが見せてはないですけどありました。イスの上に立つシーンとかでちょっと恥ずかしくなりましたし。
 イケメン(死語?)に恋するのではなく、イスを好きになるというのもポイントでしょう。超美青年という設定はこのヒロインの恋心がルッキズムによるものではなく、純粋だという表現だと思います。
 初めは超イケメン好きだったのは冒頭でわかります。それがイスが好きになるプロセスで純粋さ(行動、使命、人柄、何より一緒に時を過ごす)を表すのに効いている気がしました。

 また、ドアというのは異世界とか時間を飛び越えるというのはありますけど、心の象徴ですから。2人で一緒に扉を閉める旅をしているということで…かつ、鍵をヒロインに預けるし、何より鍵と鍵穴が象徴するのは…もちろん相手はイスですからメタファですけど。

 イスがなぜ足が欠けているのかって、見逃したなあ。ありましたっけ?初めは障碍者を連想しましたが、むしろ家族が欠けるとか、心の何かが欠落しているイメージかなあ。次回確認します。

 要石とか、猫神とか、ナマズとかいろいろ調べようと思いましたが、そういう考察はやっぱり要らないかなあと思いました。


 ちょっと意地悪な見方ですけど宮崎駿氏ありますよね。魔女の宅急便とハウルの過去の部分とかみみずとか…オマージュかあ。

 廃墟=懐メロ=人々の記憶=宮崎映画=悼むもの?

 かなあ…



 とまあ、思いつくままのメモです。初見なのでまた追記するかもしれませんが。
 追記してもしても、書きたい事が出てくるので、2回目まで考えをまとめます。

 言い忘れました。映画館でなければ嗚咽してたかも。最後のスタッフロールが少しの時間ですが暗い画面になるのでハンカチを取り出せました。



追記 「岩戸」とパンフについて。

 配布のパンフは考察の邪魔。読まなくていいと思います。あるいは散々自分で頭を使ってから答え合わせをした方がいいと思います。そして、正解は作った側でなく、見た側だと思います。

 自分の受けた感動とか考えた結果とか何よりも感情を「正解らしきもの」で上書きするのが最悪な映画です。わかった気になって思考停止に陥る可能性を危惧します。

 そして、作品は制作者の手を離れればもう視聴者の判断にゆだねるべきものですし、複数のクリエータが時間をかけて作るものなので、個人の考えはそれが中心人物だったとしても参考でしかありません。
 制作するにも時間はかかるし、いろんな修正が入った結果、当初の意図を超えるのが「作品」です。
 何より、表現したいものは表現したようにしか現れませんが、表現した結果というのは個人の意思を超えるものなので、個人で作るコミック等でも例外ではないでしょう。
 ですので制作者が作品について語るのは見聞きしても放っておくのが一番で、自分の考えと感情を優先すべきでしょう。


 せっかくの名作なのに、余計な事をしてるなあ、というのが正直な印象です。自分で結論を狭めてるじゃん、という気がします。

 ほかのレビュアーさんを拝読して、岩戸ですからやっぱり意図としては当然「天岩戸」は関係あるみたいですね。

 岩戸という名前から当然連想はします。が「扉を開ける」は話でなく「扉を閉める話」だし、地震と太陽が隠れるというのが方向性が違います。モチーフというかイメージとして日本という国を守ると言う感じで単なる名前だけかなあと思ってました。

 ただ、そうか「黒いノート」の意味がそうなると分かる気がします。震災で「世界が暗くなった」=幼いすずめの心が黒く塗りつぶされたということなんですね。
 すずめが一般の人たちのメタファで、幼いすずめ=震災で傷ついた人たちと考えると、黒いノートの意味に背中がゾクリときました。
 そういう人たちは震災の時以来世界が真っ暗になったということでしょう。

 一方で、アマテラスオオミカミと幼いすずめがイコールだと思いません。なぜならすずめが救済のメタファになっているか読み取れないからです。もちろん、物語ですずめは扉を閉めて回る役割として、地震を防いではいますが、閉めると開けるはベクトルが逆の行為だし、そもそもそれはアメノウズメとアメノタジカラオの役割です。

 アマテラス=アメノウズメというのはちょっと無理があるかなあ。自己救済という意味ならまあわからなくはないですけど、地震=災害を絡めるとよくわかりません。

 ですので、みみず=震災を戸締りする=閉じ込めるという行為についてはもう少し考えたいです。これはやっぱり天岩戸とは方向性が違うので。

 すずめが過去の傷ついた自分を閉じ込めるのか、傷ついた世界から連れ出すのか。その結果世界が明るくなった…というにはミミズは退治したわけではないので、余韻としては地震がある国土に住んでいるという暗さが残った気もします。

 ここは岩戸という名前=「天岩戸」というフレーズに引きずられているところもあります。無理に天岩戸に重ねなくてもいいかなあという気はしました。
 あくまで今後起こる地震ではなく、東日本大震災からの救済だけの話なら、そろそろ岩戸から抜け出ようよ、という気もします。ただ、そうなるとみみずがなんのメタファなのか…東京のみみずはなんであんなに大きかったのか。
 東北のみみずの時、火が燃え盛っていましたが、あれは東日本大震災のイメージではなく、阪神淡路の光景です。

 岩戸かあ…余計な名前というか…うーん。やっぱり映画のテーマ性の考察はあまり余計な情報がないほうがいいですね。

 で、まあ、読まないようにしていたパンフを読んでみたわけですけど…うーん。大抵、クリエータってカッコつけるので、奇麗なことしかいいませんから。最終的には読み取れるもので判断した方が良さそうです。
 企画段階から話が変わったのか、あるいは大きなイメージだけは拝借した感じと捉えたほうがいいのかなあ。正直、読まなければ良かった気がします。
 別に映画の出来の良さに変わりがないのだから、語らなきゃいいのにと思いました。そして結果的には、やっぱり天岩戸と本作を無理に重ねなくても、読み取れるものだけ読み取ればいいと思います。

 イスが3本脚の理由もまた震災で傷ついたということでしょう。震災で壊れたんですね。そういえばイケメンは宗像姓かあ…宗像神社でしょうか。たぶん古い神社だから何かのメタファなんでしょうけど。
 草の字をわざわざ使ったのは、草薙剣かなあ。三種の神器だし「家」というフレーズから考察できなくはないですけど、不遜な答えになるので止めておきましょう。こういう設定考察は時間の無駄でしょう。
 やっぱりこういう名前からは「イメージ作り」だけで、物語と重なる部分が少ないかなあ。

 ただ、やっぱり彼が手力男というのはちょっと無理があるかなあ。



 追記 そうかあ、アナロジーでいうなら海辺のカフカ(村上春樹)ですかあ…他の映画のレビューサイトで見ましたけど。うーん。ありえるなあ…すっかり盲点でしたね。四国ですもんね。何よりもっと大きな意味でメタファを感じますね。それに気が付いたからと言って、上で書いた感想もレビューも変わりはないんですけど、天岩戸と言われるよりも、納得感があります。「海辺のカフカ」は「入り口の石」を「開けて閉じる」に「猫としゃべれる男」がでますからね。それに主人公というか母親は昔の辛い記憶の世界に入ることで救済を得ますから。昔の辛い出来事を記憶する。それが悼むということ、そして前を向こうと言う話です。何より「海辺のカフカ」とは絵画ですから=映画と考えるとまた一段と面白いと思います。

 確かにオマージュを感じます。設定を考察してもしょうがないとか言いながらも、このアナロジーに気が付いたのに感心してしまったし、考えるヒントになるので、追記しました。 {/netabare}



2回目視聴しました。一旦レビューはこれくらいにしておきます。

{netabare} いやー2回目はつまらなく感じるかなと思いながらも早々に再視聴。1回目より面白いのはなぜでしょう。

 話の結末が見えていると、カットカットの意味がなるほどということもちろんあります。展開が分かっているので安心して見てられるので、話の面白さがより味わえるのでしょう。とにかくエンタメとしての面白さを再認識しました。まず、これがすごいです。

 東京のシーンの出来は2回目見ても鳥肌でした。カットわり、演出、音楽、効果音すべてが最高…つまり最高に恐怖を感じました。モンタージュ効果というやつでしょうか。


 で、結局なにを感じたかというまとめです。上で書いたものはその通りでいいんですけど、付け加えみたいな感じです。
 まず、人間普通に生きたいという気持ちがある。それは結果的に今生きている人間も過去に不幸にあった人も一緒です。震災大国日本に住んでいる以上は、誰でも不幸は起こりえることです。だから、生きている人は懸命に生きましょう、死んだ人々に想いを馳せましょう。

 それとやはり2匹の蝶々は両親でしょうね。いつまでも子供を見守っていると。

 そうなったときにダイジンです。要石の役割というのは、日本を守るための犠牲でもあります。つまり本当はやりたくない役目です。ダイジンはやせ細っていたことと愛情に飢えていたことから考えて、つまり、貧困の中で不幸に死んだ子供、飢え死にでしょうか…それも親がいない状態で、ということだと思います。だから、鈴芽にご飯を貰って優しくしてもらって、鈴芽の子供になりたいと思ったのでしょう。

 そして鈴芽の不幸な過去を救済するために東北に導いた、のかはわかりません。地震が起こる土地土地に導いて地震を止めていたとも取れます。また、過去から要石は場所を変えていたらしいので、そういうバトンタッチがあって、お役目を終えることができると言う風にも取れます。

 東の要石はどうなんでしょうね。親目線なんでしょうか。親の愛情が理解できない人の魂なんでしょうか。だから、おばさんの本音がわかったようにも見えます。西と東で大小があるのは大人と子供なんでしょう。

 映画の意味として、確かに悼むという意味とか、親から子へ次の世代への気持のようなものとか、もちろん恋愛やホスピタリティと言ったものは感じます。ですが、根底にあるのはやはり、どこか地震と災害があり、夢を犠牲にして日本を支える人がいる、みたいな暗さは感じました。

 ですので、2回目を見て、ますます天岩戸…そうかなあ、という印象でした。

 あと首都高の途中の階段を見て、1Q84でしたっけ?村上春樹を感じたんですけど、どうでしょう?海辺のカフカ…そしてかえるくん、東京を救う?

 ということで3回目も多分行くとおもいます。できれば貸し切り状態で1回見たいなあ。最高の映画でした。{/netabare}
 


で、見てから1週間で3回目見てきました。若干考察らしきものをメモしておきます。

{netabare} やっぱり本作は、映画としてエンタメとしての面白さがまずすごい。ストーリーは当然で、作画・背景美術はもちろんですが、展開、構成、演出・演技・カット割り、間、エフェクト、音楽、音響、効果音すべてが素晴らしいと思います。

 で、テーマ性なんですけど、まずは1つめ。「がんばって生きよう」かなあと思います。「死と隣り合わせだからこそ」「不幸にも死んでいった人がいるのだから」がある気がします。そこには「利他の喜び、感動」もあるでしょう。

 2つめが「親子」でしょうか。「育てのと産みの親」みたいな部分もあるでしょう。ですけど「親は子供を気に掛ける…心配」かなあ、という気がします。やっぱり2匹の蝶々ですね。あれが両親だと思いますし、ダイジンの過去を想像すると、親の愛に飢えた子供をどうしても連想します。環さんの表裏の愛憎もそうですけど。

 もう1つ。キャラの深掘りとしては、鈴芽の行動です。どうも彼女は死を恐れていないという感じ、それが衝動的な行動につながっています。これは、彼女の半身である幼い子供時代が黄泉の国に残っているから…ともとれます。死の世界に半分足を突っ込んでいた。

 それと環のキャラ弁ですね。あれを見ると環との関係が重かったんだろうと言うのが分かるし、後半のセリフでもいいます。心の底でどこかに逃げたかったんでしょうか。

 草太への気持は、一緒に旅をする吊り橋効果とも取れますし、過去に会った事がある、使命感に惹かれた、イケメン等々あると思います。最後の「おかえりなさい」で気持ちが残っていたかどうかはちょっと考えなくちゃなりません。半年時間を置いた理由です。まあ素直に待ち続けているとも取れるし、戦友的な「おかえりなさい」とも取れます。

 結局本来はダイジンと入れ替わるのは鈴芽ということでしょうか?ただ、ダイジンは好きになっから鈴芽と一緒にいる草太を代わりの要石にした?

 旅館とスナックに客が集まった理由は、鈴芽がいるから?鈴芽を助けたくなる理由と一緒?ここのアマノウズメ設定が活きるということ?ここは少し考えたいですね。
 岩戸の中にいたのが鈴芽の幼いころ=アマテラスだとすると自己救済だです。黒い日記帳に対して、明るい未来というのは、なんとなくそのメタファな気がします。
 鈴芽が震災で生き残った人の気持ち=黄泉の世界にいると考えると自己救済です。

 とまあ、いくらでも考察できますけど、これくらいにしておきます。多分、次は円盤待ちか、年末年始にやってたら、どこかで4回目行くかもしれません。


 なお、他サイトその他でダイジンの件で目につく批判がありました。どうも有名なレビュアーがユーチューブで何か言ったみたいです。

 ダイジンまた要石になって、鈴芽は心が痛まないのかという話があります。
 まず、ダイジンと何のために相互理解したのか、そして左大臣を大きく描いて、親のような存在にしたのか。要石が昔から移動した設定。鈴芽が自分が犠牲になっても草太を助けたいという気持ちの後、やっぱり生きたいと言ったところ、何より新海誠映画の省略の読み取り方が分かると、いろいろ考えが及ぶと思うのですが。
 それと最後のスタッフロールで仲が悪かった3人が仲良くしているところとか、痛みもそうですけど草太がいない状態です。「わざと明るくしている」と考えれば、まったく不自然じゃないと思うのですが?
 まあ、人それぞれなのでいいですけど、あまり些事を拾ってもしょうがないし、鈴芽の過去と性格から補完できないかなあという気がしました。

 テーマ的には重要な要素なので、ここに視点をむけるのは良いと思いますが、しかし、ダイジンが要石に戻ることを不自然にとらえると、映画の始まりからダイジンのキャラ設定がかえっておかしくなる気がします。 {/netabare}






 

投稿 : 2023/05/27
♥ : 26
ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

千引(ちびき)の岩、事塞(ことさえ)の神。

「扉の向こうには、すべての時間があった。」

このキャッチコピーの意味が、最終盤になって、ようやく明かされます。

その瞬間、カタルシスを得られるのなら、新海氏のメッセージがきっと伝わるでしょう。


3.11に、どれほど思いを寄せていたか・・・。

今も、3.11と同様に心を寄せているか・・・。

徐々に風化していく距離感と危機感とを、観る方の魂に、ダイレクトに問いかけているように感じました。



本作をひとことで言えば・・・「視聴者との対話に、重きを置いた作品」。

そんなふうに思うべきとの印象を持ちました。


~    ~    ~


というのも、

鈴芽(すずめ)が主人公である必然だったり、閉じ師と連れ合う命運だったり、九州から東北まで邁進する姿だったりは、

不思議とだれかに導かれるようにして、
果敢にみずからを鼓舞するようにして、

母を求める悲しみに屹立する過去の自分に、尊厳と愛情をもって向き合おうとする彼女の姿が、そこにはっきりと見てとれるからです。

だって、私たちは、嫌と言うほどそれを見てきているし、嫌でも体験していくだろうと思うからです。


~    ~    ~


本作には、地震を押さえ込む要石の下で、{netabare} 地獄の劫火が燃え広がるシーン {/netabare}が演出されています。

でも、よくよく考えれば、意味もなく劫火が立つわけはなく、要石があるからといって鎮火することもないのですね。

劫とは、目には見えないマイナスの因縁です。
目に見えるとしたら、それは "業" と言いかえられます。

業とは、人間の生業(日々のなりわいと暮らし向き、人への振る舞いとものの言いかた)から沁み出てくる "心の冷たさ、暗さ、重たさ" のことです。

それらが積みあがって "罪" となり、凝り固まって "穢れ" となり、ついには膨れ上がって {netabare} "異形のミミズ"{/netabare} と実体化するのかもしれません。



なれば、私たち一人ひとりはどうしたらよいのでしょう。

それは、自らを、鈴芽や閉じ師のように振る舞わせること。

千引きの岩のごとくに自分の甘さを押しとどめ、事塞の神と化身して我が身の怠りに防御の陣幕を張ることです。

そして、せめて目の前の海川山野をけがすことなく、どの人にも優しく接し、小さな声にも耳を傾けることに "本君" を置くべきなのではないでしょうか。


~    ~    ~


もう一つは、リアルに日本各地で起きている地震が気になります。

ブラジルの予言者、ジュセリーノ氏は、「11月16日に高知水道(徳島県と和歌山県の沖あい?)でマグニチュード9の地震が起きる」と著述しています。

でも、それは明日かも知れないし、クリスマスの日かもしれません。
とある田舎かも知れないし、大都会や地方都市なのかもしれません。

いざアラームが鳴ったときには、自分の勇気に対峙することになるでしょう。
また、過去の魂を修復し、未来の希望を構築する心意気も必要になるでしょう。

なれば、その前に、自衛のための準備、共助のための用意に尽力するのが人の道理かと。


~    ~    ~


すずめとは "市井の、無名の人々" の意味とも取れます。

「いってきます。」の戸締まりも、「おかえりなさい。」の戸開きも、いずれも誰ともない人たちへのエールです。

そのときのひとり一人は、きっと身近な人へのヒーローであり、遠い人へのヒロインにもなれるでしょう。



地域社会を、ひいては日本全体を守ろうとする姿勢は、どんなにカッコよく、ステキなことでしょう。

そんな暮らしが日々に送れたら、どんなに誰もが幸せになれることでしょう。


今、このタイミングだからこその "GJ" ですよ!

新海誠監督!!

投稿 : 2023/05/27
♥ : 20
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

扉とロードムービーの効果により格段に見易くなった新海誠監督作品(追記:“最後の戸締まり上映”いってきました)

半年のロングランの末、5/27(土)の終映に向け、
“最後の戸締まり上映”と銘打ったラストスパートを仕掛けてきた本作。
ラスト2週は新規来場者特典に加え、後々の映像ソフト化、配信も睨んで、
のべ273カット(全体の1割くらい?)に調整を施したリテイク版を上映。

私も『君の名は。』同様、2回目の鑑賞を終映直前、小さなスクリーンで、観客私も含め2名。ほぼ貸し切り状態で行ってきました。

公式が発表している主な修正箇所としては……
光、水しぶき等のエフェクト強化。
新幹線内の乗客にマスク装着を追加。
(本作の舞台は2023年9月頃。震災だけでなく、コロナ禍をも歴史として記憶しておきたいとの監督の意向を反映し、数カ月後のマスク装着率をぷち未来予測)

など事前に言われなければ分からない微細なクオリティアップ。

私が一番、変化を感じたのは音響。
本作の劇伴は、繊細な心情曲中心のRADWIMPSと、パワー型の戦闘曲中心の陣内 一馬氏の共作体制。
一回目の鑑賞では、両氏のBGMの“段差”が引っ掛かっていましたが、
リテイク版ではBGMの入り方も調整されたのか、より切り替えがスムーズになった印象。

再見して改めて思うのは、本作は賛否を恐れず時代を切り取りに行った価値ある挑戦だったということ。
興行も残り10日余り。
まばらな客席で、静かに、あの震災について、過ぎ去った日本の“青年期”について、
思いを馳せてみるのも一興かと思います。




以下2022/12/14初回投稿レビュー。

IMAXで劇場鑑賞。

【物語 4.5点】
危なげなし。

内容は新海誠監督作品の再生産、集大成。
今回は骨格となる設定が強固で安定感がある。

従来作では、ここはファンタジー志向なのか、リアル志向なのか。
どう構えたら良いか分からず、暴投&捕逸(パスボール)が散発する傾向もありました。

しかし本作の場合は、道中の日常シーンは旅情と人情。廃墟の扉が開いたらファンタジー。
場面の切り替えが設定で信号化されており、折り合いが付きやすい。

ファンタジー体験で一皮むける青春ジュブナイルでもある同監督作。
これまでは、そこでいきなり主人公&ヒロインの深層心理をぶつけてくるなんて危険球w
という場面も散見されました。
けれど今回はロードムービー。
旅先の出会いを通じて徐々に心が解きほぐされる。
手順を踏んだ上で主人公たちが囚われている、語り辛いトラウマを明示し浄化する。
同ジャンルには確立された文法があります。
あとはそれに則り手順を追って心情描写すれば、とっ散らかる心配はありません。
私は終始、首肯しながら完走できました。
普段はフォアボール出しながらも何とか……というピッチャーがスルスルと無四球完投して驚かされた感じw

このロードムービーはヒロインだけでなく時代のトラウマにも果敢に挑んで来ました。
{netabare}東日本大震災だけでなく、四国・愛媛(西日本豪雨)→関西・神戸(阪神淡路大震災)→東京(関東大震災)と巡る旅路。
本作は日本人と災害を巡る精神史の総括でもあります。
神戸では阪神淡路大震災は“安全神話”の崩壊と報道されたトラウマを思い出しました。
災害は街を壊すだけでなく、ひとつの時代を終焉させる節目ともなるのです。
“成長神話”を象徴したバブルの残り香も醸した廃墟。{/netabare}
本作は日本人が時代を鎮魂する物語でもあるのです。


【作画5.0点】
光を反射する埃まで描き込む緻密さは健在。
旧来こうした情景描写は、人の気持ちなどお構いなしに過ぎ去る四季の冷酷さなどを反映して来ました。
ところが今回は監督が小説版でも言及している通り、旅先の生活空間に漂う“匂い”を重視。
全体的に部屋の空気が温かいです。
“飯テロ”も料理の描き込みによる力業ではなく、空間全体で丹念に誘導。
{netabare}愛媛でようやくありつけた温かい家庭の晩飯で、鈴芽が流した涙にも説得力があります。{/netabare}

躍動する小物も印象的。
椅子にされてしまった「閉じ師」は言うに及ばず。
ヒロインが走り抜ける際に倒れる小物など、
物にもアクション演技をさせることで映像にリズムを生み出しています。


【キャラ4.0点】
ヒロイン・鈴芽が、道中、働く同世代少女や年上のお姉さんに触れ合うことで自分と向き合っていく。
スタッフ公言通りの『魔女の宅急便』をオマージュしたキャラ設定。
叔母の環(たまき)さんはオソノさんポジションでもあるのです。
ただオソノさんは妊婦でしたが、環さんは鈴芽にいい加減、彼氏作ってくれないかな~とウザがられる育ての母。
そういう意味でも、環さんに片想いの稔さんはアタック&ゴールを決めるべきなのですw

『魔女宅』と言えば猫。
ですがダイジンはジジというよりキュウべぇと言っても過言じゃない倫理観を共有できないタイプw
このわけがわからない感じが段々と病み付きになってくる不思議もQBw
余計なお世話ですがダイジンを楽しげに演じる子役の将来が心配になりますw
ヒロイン心情などに関しては割りとスッキリと完結する本作において、
ダイジンは残された謎の象徴であり、考察の起点となるキャラクターでもあります。
ただし私は{netabare}巨大黒猫?のサダイジン{/netabare}の方が好きです。

【声優4.0点】
ヒロイン・岩戸鈴芽役には若手女優・原 菜乃華さんを1700名超の中から抜擢。
「閉じ師」の青年・宗像 草太役にはSixTONES・松村 北斗さんをオーディション選抜。

近年、映画界では実写とアニメの中間領域開拓が進展。
その中で、声優より俳優の方が合っていると感じる作品も出て来ています。
湿度高めの旅情、家族愛などを描くこのロードムービーもまた、
濃厚なキャラを提供する声優より、湿っぽい実写邦画・ドラマ出演経験のある俳優の領分という感じがします。

加えて松村 北斗さんに関してはジャニタレとしてのコメディ対応力も買われての起用。
椅子キャラギャグの瞬発力でタレント能力も引き出されていたと思います。

声優関連ではTVアニメ版『映像研』の伊藤 沙莉さんがルミ役で出演してますが本職は俳優。
新海監督も好きな花澤 香菜さんも出ますが、彼女もキャリアのスタートは子役。

この作風に対して“ちゃんとした声優”を出せというのは筋が違うのかなと感じます。
むしろ今後、声優界が、こうした俳優・タレントの縄張りに、割って入れる役者をどれだけ生み出せるかということなのだと思います。


尚、神木 隆之介さんは今回も出ます。
瀧くんとは違う性格のキャラボイスだったので、事前情報なしで挑んだ私には分かりませんでした。
『シンエヴァ』で奇襲して来た時も驚かされましたが、この人、潜伏するの上手いですねw

【音楽4.0点】
劇伴はRADWIMPSがピアノ&ストリングスで心情曲を。
新海作品は初となる陣内 一真氏が金管や和楽器でアクション、ホラーテイストなど、
ラッドに不足するパワーを補う共作体制。
陣内氏がジャズでスウィングするコメディシーンも中々斬新ですが、
従来作に慣れたファンは面喰らう可能性も。

風味の異なる両者のBGM切り替えもまた日常&非日常のスイッチとして機能。
ただ私はこれが最適解ではないとも感じました。

ラッドの繊細な音色で掘り下げる心情も捨て難いのは分かります。
ですが個人的にはラッドは歌に専念して、
劇伴は信頼できる方を決めて一任するのが良いと思います。


EDを始め主題歌&劇中歌はRADWIMPSが続投。
その中で、作品を象徴する「すずめ」には女性ボーカル・十明をSNSから発掘して迎える。
SNSを通じて見る日常も織り込まれた本作らしい起用。

昭和の懐メロが流れるのも特徴的なこのロードムービ。
露骨だなと思ったのが{netabare}ユーミンの「ルージュの伝言」を東京からの旅立ちに流した場面。
ジブリの次の国民的アニメ映画(及び猫映画)を作るのは俺だ!との監督の主張を強く感じますw{/netabare}
タイムリーヒットだったのが{netabare}河合奈保子さんの「けんかをやめて」{/netabare}
こんなストレートに状況を捉えるヒット曲があるなんて昭和の歌謡界は奥が深いですw

投稿 : 2023/05/27
♥ : 36

88.5 5 東京アニメランキング5位
Darker than BLACK-ダーカーザンブラック 黒の契約者(TVアニメ動画)

2007年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (3635)
19609人が棚に入れました
10年前突如東京を襲った異変、通称「地獄門(ヘルズ・ゲート)」といわれる未知の領域が出現したその時からこの世界は本当の“空”を失い、夜空を覆う満天の星空は偽りの星達のものとなった。また時を同じくして「契約者」と呼ばれる特別な能力を身につけた者達が現れはじめる。人間らしい感情や「契約対価」という代償と引き換えに人外の能力を得た存在である彼らを利用して、このゲートに関する情報を得ようと各国の諜報機関が東京にエージェントを送り込む。

セメント さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

契約者か、面倒だ

能力バトル+オサレ系です
めがっさ楽しい分、余韻が長引き、しばらく他のアニメが見れなくなる
かも知れません、オサレアニメ症候群とでも言いましょうか
私の友人も何人かかかってました・・・
冗談は置いといて


制作はボンズ、監督は岡村天斎氏
あぁ、良い・・・
本当なら良いのただ一言で済ませたりはせず、如何に良いか、どのように良いかをボキャブラリーの限りを尽くして表現せねばならないところ
良い物を見てただ良いとしか言えないようじゃ、美味しい物を食べてただ美味しいとしか言えない三流四流のグルメレポーターと同じ
でも他に言葉が出ない、良い・・・

銀ちゃんの指笑顔に釣られ、舐めてかかってしまったら最後
痛い目を見ます
その世界観、かなり難解です
毎回新事実が発覚していくくらいの目まぐるしさで
人物の台詞をリピートしまくって、それでも理解に足りないくらいです、体験談
あらぬところで重要ワードが飛び交いますので、相当神経を使って見てましたね

オムニバス形式で、契約者同士の戦闘がふんだんに盛り込まれてます
この能力を駆使した迫力ある戦闘シーンは、今作の醍醐味と言えましょう
まず、対価を支払って能力を使うという契約能力システム
そして、オーソドックスなものから一風変わったものまで多種に渡るその契約能力
内に眠る厨二心をくすぐられます

志保子とかアンバーとかベルタとかハヴォックとか
チート級の契約者が惜しげなく出て来ます
他方、対価が重いのはネックですよね、ルイとか、まさしく骨折り損
個人的ベストバウンドはやっぱりヘイVSウェイの対決でしょうか
何回も戦ってますが、どのシーンもかっこいい
最終章にて、EPRの契約者バーゲンセールは、その登場時間の少なさに嘆きつつも、様々な契約能力が見えて満足でした
地面に穴開ける奴や、空間を圧縮する奴は強かったですね

声優さんは、黒に木内秀信、銀に福圓美里他、かなり豪華です
木内秀信さんの声は、それまであまり接点がなかったのですが、この一役で惚れました
全体的にキャスチングは良好ですね、ホァンとかピッタリ過ぎス
アンバー役の川上とも子さんとか、改めて演技力の高さを実感させられます

      \  さいごのガラスをぶち破れ~   /
        \ 見慣れた景色を蹴散らして~  /
   ( \/ /_∧   <./|   /|       /\___
   ヽ/ /Д`/⌒ヽ  / .| / /     /    //
    / /\/ ,ヘ  i   ̄ > \_/   /____//
    し' \_/    i  />      ̄ ̄ ̄ ̄
       i⌒ヽ  ./   ̄>__         .|| |::
   /⌒ヽ i  i  \(    .|/  / /\    .|| |::
   i    | /ヽ   ヽ  ∠__/   ̄       .|| |::

OPEDどちらも前期の方が好きです
「HOWLING/abingdon boys school」「ツキアカリ/Rie fu」
OPはこれから始まるというワクテカ感を増幅
EDはこれで終わりという寂寥の感を増幅
DTBの世界を増して楽しめる仕様になっております

・・・C.C.がいるんだk(ry
ヘイさんには惚れるだろ・・・合理的に考えて・・
主人公がカッコイイアニメは強味です
ジト目って、好きなんですよねー私
黒ら契約者といい銀ちゃんらドールといいといい、ジト目キャラ沢山出てきて嬉しい限り
未咲?丁重にお断りしますwww


見た後は確実に目を細めて契約者のマネをやっちゃいます、体験談
ランセルノプト放射光・・・契約者か・・・

投稿 : 2023/05/27
♥ : 35

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

死神の仮面の下は…。願いを抱いて星は堕ちる。

本作は「メダロット」などの岡村天斎監督の作品だが、作風は全く異なる。


2クールで短いエピソードと本筋を追う構成は「攻殼機動隊」と同じで、その味わいも近い。大人の渋さと切なさが作品の底をしっかり支えており、その上にキャラの魅力という甘味が花を添えている。


本作は異能の持ち主が多数登場するが、ジョジョの二番煎じどころが三番煎じにもなってない粗製乱造気味な異能バトル作品とは一線を画する。


組織の命により暗殺やスパイに手を染める契約者たち。彼等と彼等に関わった人々の運命は安易な結末など許されない。その人々のドラマとして非常に胸をうつ物がある。


一見すると本作は地味である。キャラデザ的にも、舞台も下町の安アパートだったり、絶滅危惧種なタバコ屋だったりする。


しかし、2クールという長い時間の中で彼等の悲しみと矛盾を抱えながらも生きていく姿を追っていくうちに、軽薄な派手さや予定調和の世界で生きているキャラクターとは違う、生きた人間のように彼等を感じられるようになる。


特に、嫌な指令を伝える奴だと思っていた黄のエピソードは本作の白眉と言いたい。「対価」という設定が一番活きた回だろう。


ただ、辛いだけじゃなく、渋い声で喋る猫のマオや、感情を持たないキャラの王道をゆく銀、黒と水樹さん演じる刑事の交流など心暖まる要素が甘さを添えてくれているから対比の効果をあげている。


そして、本作のラスボス的な存在アンバーが川上ともこさんのほぼ最期の大きな役というのが大きい(CCに似すぎてる気がするが)。


彼女が戦い続けた意味と、黒の仮面の下にあったものが明らかになる最終回は、物語を完全に閉めないで道が続くことを暗示して終わるトゥルーエンドなラストとして心に残り続ける。



最期に、2期なんてなかった!いいね?(天斎監督が心配になった…)。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 23

しょうすけ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

全部、観てみたら…!

ゲートの出現により契約者と呼ばれる超能力者達が生まれ CIAやMI6等様々な機関の手先となって暗殺や情報収集や略奪等任務をしていくバトル系のストーリーなんだが…
設定は悪くないんだけど、2話のブツ切りな小編構成のせいか展開が暗いせいか どうもイマイチ乗りきれなかったが15話くらいにしてやっと飲み込めてきて面白くなっていって20話くらいにしてストーリーが動き出し22話くらいからオイラ的には入り込めてハマれたかなw
って!もうそれ1期のラスト辺りじゃ!?w
15話くらいまでは謎が多すぎてストーリーが淡々と流れていくので設定を掴みきれなかったらプロローグだと思ってじっくりと修業と思い頑張って下さい…w
まぁ1期26話 OVA4話 2期12話もあるんだしノンビリ楽しむのがいいかなw

2期はキャラも絵も歌もガラっと変わってバトルシーンなんかも格好良くなったし 展開もポンポン進む様になるので すぐ楽しめるかと思います^^2期は1話見だしたら止まらなくなって一気に見てしまいました♪

※ちなみに1期→OVA→2期と観るのが良いかと思います^^
じゃないとまた2期で迷子になるやも(〃^∇^)o_彡☆あははははっ

てか!対価を払って超能力を使える様になる筈なんだが最後の方は意味が無いと気づいてか殆ど払うシーンをカットされてるんだけどwww

2期のラストの方はチョットは感動シーンもあったし なかなか良かったと思います(o^-')b グッ!
エピローグ的にはこれで完結なのかな^^
まぁあれでラストのが良いとは思うけどw
3期がまた出るなら面白いと思いますので期待して待ってよっと♪

投稿 : 2023/05/27
♥ : 16

83.1 6 東京アニメランキング6位
輪るピングドラム(TVアニメ動画)

2011年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (2073)
10466人が棚に入れました
双子の高校生・冠葉と晶馬、そして妹・陽鞠は三人で暮らしている。余命いくばくもない陽鞠を連れて、ある日水族館を訪れた兄弟たち。楽しく過ごす中、倒れた陽鞠はそのまま息絶えてしまう。霊安室で絶望する冠葉と晶馬だったが、死んだはずの陽鞠が、突如ペンギンの帽子を被り起き上がり叫んだ! 「生存戦略!」「妾はこの娘の余命を伸ばすことにした」。だが、被っていた帽子が落ちると、いつもの陽鞠に戻っているのだった――。不思議なペンギン帽子のおかげで、
陽鞠の余命は少し伸びたのだ。ペンギン帽子を被った陽鞠が再び、冠葉と晶馬に命ずる。「ピングドラムを手に入れろ!」ピングドラムとは何か。そのカギを握るのが、女子高生・苹果という人物と解り、探り始める冠葉と晶馬。ある偶然から陽鞠と苹果が仲良くなったことから、苹果が高倉家に出入りするようになり……!?

声優・キャラクター
木村昴、木村良平、荒川美穂、三宅麻理恵、石田彰、能登麻美子、堀江由衣

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

『銀河鉄道の夜』風、幾原劇場(゚ロ゚;)エェッ!?

■輪るピングドラムってどんなアニメ?
本作品の幾原邦彦監督は、ARIAでおなじみの佐藤順一監督の元で演出助手を務めて下積みをつんで
いた経験があるみたいですね♪
師匠と弟子みたいな関係だったみたいです。
独特の止め絵、バンクのトリッキーなつかい方が特徴な監督らしいのでそういった映像表現にも注目し
て見て行こうと思います♪
 
【止め絵とは】\_( ・_・)ハイ ココテストニデマスヨー
・文字通り、動かない絵の事なのですよ!
 動きのある絵をあえて止める演出技法が止め絵。
 この技法は、元々は手抜きのために使われた手法らしいのですが、手抜きに見せないようにするのが
 腕の見せ所ですね♪
 
【バンクとは】\_( ・_・)ハイ ココテストニデマスヨー
 正式にはバンクシステムというのですね!
 特定のシーンの動画、あるいは背景を保存し、別の部分で流用するシステムなのですよ♪
 コストダウンの為に用いられることが多いのですが、どんなつかい方をするのか注目したいですね♪
 「せいぞんせんりゃくぅうううう」からのアニメーションがこれにあたりますね♪
 
ところで、このアニメの制作会社「ブレインズ・ベース」ですが、今2011年夏作品に
・夏目友人帳 参
・神様ドォルズ
・輪るピングドラム
と3作品もエントリーしてきてるのですね!!
しかも、劇場版アニメ「蛍火の杜へ」9月17日公開予定なのですよ!
勢いがあるのかどうなのかは、分りませんがホームページの2011年作品に「輪るピングドラム」が乗っ
ていなかったのが気になりますね!
力配分が気になります、ちょっと心配になってしまいました・・・っが、是非がんばってもらいたいとこ
ろですね♪
 
■私が見た第一印象♪
まず、OP曲の「ノルニル」は、荒川アンダー ザ ブリッジの「ヴィーナスとジーザス」でおなじみの、
やくしまるえつこさんの曲ですね♪
つかみどころが無い「輪るピングドラム」には非常にマッチした楽曲でとっても好印象でした♪
 
作画については、水彩画のような優しいタッチの作画とCGを使った無機質な作画を使い分けているので
すが、私的にはちょっと違和感を感じるところですね、冒頭でご紹介した止め絵を水彩画タッチで描い
ているようですね。
生活感や温かみをだす狙いなのですが、ラフすぎる感じがどうも気になっちゃいました(-ω-;)ウーン
また、ピクトグラムを通行人に使ったりしているところも狙いのようですが、予算的な制限もかなり
あるように感じられてしまうところですね♪
とにもかくにも、このアニメは最終的にどういう形でおさまるのか楽しみな作品だと思います。
 
「ピングドラム」って何なのか、なんとも可愛いペンギン達は何なのか、楽しみがいっぱいですね♪
 

■総評
なんだかとっても長かったなぁって印象の作品でした!
それが良い方の感覚だったのか悪い方の感覚だったのかは・・・また後ほどw

『輪るピングドラム』って放送開始当初はつかみ所がない印象だったのですけど、最後の最後で納得できる作品に仕上がってましたね♪
はじめは気付かなかったのですけど、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をモチーフにしているのがよくわかりました(*^^)v
『銀河鉄道の夜』を知れば『輪るピングドラム』の本質に近づけるんじゃないかなって思ったので、ちょっと違った視点からこのレビューを書いていこうと思ってますのであしからず(^▽^)/

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は、作者と作品ってだけの関係ではなくって、賢治自身の想いが綴られている作品でもあるんですよ!
賢治は若い頃、愛する妹の「とし」を亡くしているのですけど、「妹のとしが天の木星にいるかも知れない」と考えた賢治は少しでも天に近いとされていた北極に近づくために、北へ北へと向かおうと思うのです☆
そんな想いを胸に、樺太鉄道に乗って北へ向かった傷心旅行が『銀河鉄道の夜』のモチーフとなってるともいわれているのです♪
どおりで『輪るピングドラム』では電車のシーンが多いわけですねw

『銀河鉄道の夜』ではジョバンニとカムパネルラが友人として描かれてますけど、このように捉えることもできるって言われてますヾ(=^▽^=)ノ

<ジョパンニ=賢治>、<カンパネルラ=とし>

で、物語の方でも死んでいるカンパネルラと生きているジョパンニとなっているんですね♪
ここで「輪るピングドラム」の登場人物を当てはめてみると・・・(・・?

<ジョパンニ=賢治=冠葉>、<カンパネルラ=とし=陽毬>

ってなるんですよね♪
でもそこは幾原監督なので『銀河鉄道の夜』とは違った「if」の世界を見事に作り上げていたのでした♪

「if」の世界を作り上げるにあたって幾原監督は禁断の「運命の乗り換え」を取り入れたのでした('∀`)
その「運命の乗り換え」で必要不可欠となった「りんご」の描写も比較すると面白いことが分かってきますね♪
賢治は作中に「苹果」を数々登場させていて、自分の考える”死”のあり方として描写しているようなのですけど、幾原監督は”生”の源として描写しているのですね♪
登場人物の荻野目 苹果[おぎのめ りんご]ちゃんの漢字を「林檎」としていない点からも、賢治の作品から引用されていることが良くわかりますね♪
また、北欧神話で登場する”黄金の林檎”は不老不死の果実とされていることからも命の象徴とするにはもって来いのアイテムだったのではないでしょうか(*^^)v

それと「運命の乗り換え」を実行した冠葉くんの心理描写は賢治の気持ちとリンクしてるんですよね♪
としの事ばかり考えるのは良くないと頭で解っていても行動できない賢治の自嘲が、「ほんとうの幸」を追求しようと思いながらもカンパネルラだけを求めてしまうジョパンニの嫉妬として表現されているのです!
冠葉くんも妹の陽毬を思うあまり、もっと目を向けなくてはいけない家族や仲間が見れなくなっていましたね♪
賢治とジョパンニと冠葉くんの心の中の葛藤が作品の中にも生かされていた印象です♪
ここでも幾原監督はひと工夫してましたね♪
それは心の中の「ほんとうの幸」を追求できるキャラを双子の晶馬として設定していた事です☆彡
冠葉と晶馬のそれぞれの「運命の乗り換え」は一見同じようでもその性質は全く別なのでそこがこの作品の魅力であり最大の見所ともなっていますよ♪

一番印象的な描写としては、数多く回想シーンで使われてきた駅名の表札のシーンで、駅名が『命 ⇆ 蠍の炎』という演出のシーンでした(*゚∀゚)
賢治は蠍のことを「良い虫」と表現しているんですよね♪
『銀河鉄道の夜』での蠍はこんな感じです('-'*)フフ
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イタチに追いかけられて、命からがら逃げたのですけど、井戸に落ちてしまうんです!
数々の命を取ってきた蠍がその時こう思ったのです。
素直にイタチにこの生命を捧げていればイタチの命の足しになったろうに、神様どうか今度は虚しく命を捨てずにほんとうにみんなのための幸として私のからだを使ってください・・・と!
そしたらいつの日か蠍は真っ赤な美しい炎になって夜の闇を照らし続けたそうなんです!
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この蠍の姿は賢治とジョパンニの理想の姿であり、現実から目を背けていた自分への決別だったと思うのです( ー`д´ー)
「運命の乗り換え」が行われる最終回のシーンもそんな決別を連想させる演出がありましたね♪
苹果ちゃんが燃える炎を晶馬くんが抱きしめるシーンは思わずジーンと来ちゃいましたよ(*´ω`*)

他にも色々リンクされているところはあるのですけど書いているととてつもなく長くなりそうなのでこの辺でまとめですw
『銀河鉄道の夜』も『輪るピングドラム』も転義法を用いて作られているので、雰囲気が似ている印象を受けました♪
色んな比喩的用法を用いているので正直分かり辛いってことですねw
『輪るピングドラム』の演出にいたっては、過去の回想シーンも断片的に入れてきているし、ピクトグラムや止め絵などを使った無機質で斬新な演出をこれでもかって使ってきているので、ワザと解り難くしているとしか思えないですねΣ(^∇^;)
正直この作品は最終話に行き着くまではと~っても長く感じます!
幾原監督のナルシスト気質が作品に出過ぎていて、俺って凄いだろって感じがものすごく伝わってくる印象ですw
最終話まで見ればすべてが理解できる内容なのですけど、あまりにも最終話を意識するあまりそこに行き着くまでのプロセスに面白みがあまり感じられないのです♪
ペンギン達のコミカルな動きが無かったら完走は難しかったかもしれませんw
幾原監督の作品の「少女革命ウテナ」はもっと分かりづらいと言われているみたいなので、好みの問題ではありますけど玄人目線ではなくって、素人目線にして欲しいなって個人的には思ってます♪
でも、この作風が幾原監督の良さなんでしょうけどね(>▽<;;

他にも子供ブロイラーやピングドラムが移り渡ってきた軌跡等々、観終わった後に考察をたのしめるシーンがいっぱいある作品なので、考察するのが好きな人に向いているアニメじゃないかなぁって思いました♪


■MUSIC♫
OP曲『ノルニル』(1話~14話)
 【歌】やくしまるえつこメトロオーケストラ
 名前の通りストリングスと金管木管楽器で深みがあるドラマティックな楽曲です♪
 やくしまるさんのふわふわした歌声でこのアニメの世界観を上手に表現していましたね(#^^#)

OP曲『少年よ我に帰れ』(15話~23話)
 【歌】やくしまるえつこメトロオーケストラ
 前期のOP曲はプログレッシブ・ロック的でどこか焦燥感を煽るような曲調だったのですけど、
 この曲はよりポップでどことなく希望の光が差し込んでくるようなドラマを感じる曲でした♪
 どちらも曲構成が複雑なのに一体感があって聴き心地がとっても良い素晴らしい曲ですね♪

ED曲『DEAR FUTURE 』
 【歌】coaltar of the deepers
ED曲『DEAR FUTURE feat.Yui Horie』
 【歌】堀江由衣
 ディーパーズとか誰が推薦したんでしょうねw
 90年代を代表するシューゲイザーバンドの一つで囁くようなボーカルが特徴ですね♪
 あたしはNARASAKIさんの声が好みではないので・・・
 エレクトロニカっぽくアレンジした由衣ちゃんの曲の方が好きですε- (´ー`*) フッ

挿入歌『ROCK OVER JAPAN』他・・・
 ARBの曲からロック魂を一滴残らず抜き取った挿入歌の数々・・・Σ(´∀`;)
 ある意味、その行為そのものがロックですねw
 その背徳的行為を行ったのがアレンジャーの橋本由香利さんって方です( ゚Д゚ノノ☆パチパチパチパチ
 キーボーディストらしく、ピッチとリズムを上げてポップな感じにアレンジしちゃってます♪
 トリプルHのキュートな声と歌詞がミスマッチな所がなんかピンドラっぽいですねw
 
2011.07.23・第一の手記
2012.01.03・第二の手記(追記:■総評)
2012.01.14・第三の手記(追記:■MUSIC)

投稿 : 2023/05/27
♥ : 99

ダークフレイムマスオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

問 「同じく風雨に晒されども汝は赤く我は黄なり」を4文字以内で表現してね

解 WC?

この作品ぐらい放送時期2011年が重要ファクターになる作品無いでしょうね。でもこの作品のこと調べまくって視聴し直して2周目以降はちゃんと泣けた。あれがあったとき当時夜の仕事してて夜7時ぐらいに新宿駅に着いたが正月並みの人の少なさになんじゃこりゃ?って思って東口出たときにアルタの画面に延々と報道されてる事件を見て怖いなって思ったのが最初だった。ネットも携帯もほぼない時代で様々な憶測がテレビ、新聞、週刊誌でなされていた。
日本の安全神話崩壊の時でした。

閑話休題

本作は8話目ぐらいまでは何だよこいつっていう感情が付きまとうし、意味不で終わる要素が多いです。暗喩やメタ、引用なんかが多いので多分25歳以下の人にはぼやけた感じにしか感じられないかもです。
タイトルはこの感覚どう表現したらええかな?でつけました。解はサイコパス参照で

難話休題

後半なるにつれて各個人のルーツなり因縁なりがわかりますんでギブしないで視聴頑張ってくださいな。結構なM度ポイント消費します。おススメは刺されば泣ける作品なんで微妙な部類ですかね。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 10

阿紫カービィ さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

忘れてはいけないこと 人は一番に忘れてしまうから

作品のあらすじには触れません。

でも絶対に埋もれさせてはならない作品です。


一見、ファンタジー作品のようですが、
『絶対に知り、考えなくてはならない事』が隠れています。

ある意味、ファンタジー要素がなくては、成り立たない、とも言えるでしょう。

でないと、悲しすぎるのです。この作品は。



消費、消費、消費、消費、消費の世の中で
翻弄される私達。

『見落としてはならないもの』が沢山ある事を
この作品は教えてくれます。


例えば、愛。
例えば、罰。
例えば…言葉にならない感情。愁傷のような。




子供の頃にデパートの催しに行ったときのことを思いだしました。
その催しは、『世界の絵本展』

父に、『好きなのを選びなさい』と言われ、
悩みに悩んで、私は綺麗な洋書を、『これがいい』と父に渡しました。
すると父は、『それはやめて、これにしなさい』と、『頭の良くなる絵本』という本を渡されました。

わかった、と、私はその絵本にしました。


親が『社会』の私の幼少期には、選択肢などなかったのです。
(今となっては笑い話ですが)



人が生を受けてから、もう、

平等ではありません。
運命には抗えません。

抗うこと、それも運命。


(今、生きているこの時を
総て『運命だ』と受け入れてしまうと、死んでるのと同じような気もしますね)



作中、沢山の印象的な言葉がありました。
それらを大切に、大切に心に刻みました。

作中、可愛いペンギンがでてきます。
彼らは、小さな『希望』『未練』の象徴に思えました。


もしも
大切な人の為に自分の命をあげることができるのなら
私は喜んで差し出すでしょう。

救う事、それだけがこの世の光なのだから。




私は
『どうしようもない』って言葉が嫌いだ。

でもどうだろう、
この世には『どうしようもないこと』で溢れてる。



この作品に出会えて本当に良かった。
しばらく『ピンドラ鬱』っぽくなったのだけど。。



この作品を教えてくれた貴方に、最大の感謝を。



これはレビューではありませんね(笑)
お許しを。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 45

72.6 7 東京アニメランキング7位
UN-GO(TVアニメ動画)

2011年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (1134)
6582人が棚に入れました
“終戦”を迎えたばかりの未来の東京。そこでは、探偵業が流行らなくなった代わりに、メディア王・海勝麟六が膨大な情報量と優れた頭脳を生かして、幾多の難事件を解決していた。しかし、実は麟六の推理には裏があり、それをあぶり出すのが、「最後の名探偵」を自称する結城新十郎と、その相棒・因果。世間からは、「敗戦探偵」と言われているが、それでも2人は力を合わせて、様々な難事件の解決に挑むのだった。

声優・キャラクター
勝地涼、豊崎愛生、山本希望、本田貴子、入野自由、三木眞一郎

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

劇場版ありきの本編ですね(^_^;)

■「UN-GO」ってどんなアニメなの(゚∇゚ ;)!?
坂口安吾の「明治開化 安吾捕物帳」という探偵物のストーリーを近未来的にアレンジしたオリジナルストーリーなのですね♪
タイトルに「UN-GO」って付けている事からも、坂口安吾の作品を題材したのがこの作品の最大の売りなのでしょうね( `ー´)ノ
ところで「坂口安吾」を知っている人はどれだけいるのでしょうか?
この作品を知るにはまず「坂口安吾」を知るべきではないかと思うのです♪
ということでちょっとだけ勉強してみましょうね♪
 
【坂口安吾】
昭和初期に活躍した小説家の一人で小説界の異端児的な一人なのです♪
既成文学に異を唱え、戯作復古を思想とした無頼派と呼ばれた小説家の第一人者。
まぁ簡単に言っちゃえば、お堅い文学が評価される世の中に、江戸時代に流行った「洒落本(エロ本)、滑稽本(漫画)、談義本(ラノベ)、人情本(恋愛小説)、読本(小説)、草双紙(絵本)」といった誰もが楽しめるお気楽な書物がもっと評価されてもいいでしょって言い張った個性的な人なのです♪
無頼派で有名な小説家と言えばあの人間失格や走れメロスで有名な「太宰治」もそうなのですよ♪
 
※注意※
()の中は現代風に解り易くする為にσ(^_^)アタシ的ニュアンスで適当に当てはめてみただけなので、本来の意味とはちょっと違うのであしからずなのです(o*。_。)oペコッ
 
そんな「坂口安吾」の作品はもう著作権が切れているので無料でネットで読むことが出来るのです。
もし興味のある方は、下記のURLにてご覧になってみてくださいね♪
きっと本作品の作風と坂口安吾の魂の叫びが読み取れると思いますよ(゚ロ゚;)エェッ!?
・明治開化 安吾捕物帳
 http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/card43204.html
・堕落論
 http://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42620_21407.html
 
 
■「UN-GO」と出逢った日の日記m( ̄○ ̄)mアーン♪ε=ε=ヘ(;゚∇゚)ノ ゴーゴー♪
本作品のホームページには「本格探偵ストーリー」とハッキリ書いちゃってましたけど、正直原作自体が「本格」推理小説って言うわけではないので、自分で首絞めちゃってますねってちょっとだけ思っちゃいました・・・( ´△`)アァ-
原作と同様のパターンを用いているならば、名探偵の「結城 新十郎」と「海勝 麟六」と「虎山 泉」の掛け合いがこの作品の面白さになっていくのかなって思っているのですけど・・・
1話を見た印象では、推理じたいは捻りがなくって簡単に犯人が解るようなものでした。
近未来的にアレンジしたのが・・・一秒で着れちゃう洋風ドレスw
しかも推理に関わっているなんてね・・・(。・w・。 ) ププッ
まぁそれは良いとしても、人一人死んでるのに緊迫感がなさ過ぎなんですよぉシーー( ̄、 ̄*)ーーン
しかも騒いでいるのが奥さんだけなんですもん・・・(A゚∇゚)ハテッ?ナゼナノ?
推理ものとして楽しく見ていくにはちょっと辛い内容かもしれませね!
それにGOSICKの様な恋愛や家族愛に発展していくようには思えないので、どこに面白さを求めればよいのか1話だけではちょっと見えなかったのです。。。o(゚^ ゚)ウーン
 
ただ、結城 新十郎と海勝 麟六との関係がどうなっていくのか、そこに不思議な「因果」という探偵助手がどこまでストーリーを盛り上げてくれるのか、麟六の娘である梨江がどこまで物語をかき回してくれるのか、そんなところに注目しながら少し様子を見てみようと思っています♪
 
 
■個人的に注目していたキャストφ(^∇^ )
因果(声:豊崎愛生)
 あきちゃんはやっぱり「けいおん!」の唯ってイメージが強いのですけど、かなり器用な声優さんです
 ね♪
 本作品でも彼女の声優としての幅の広さを感じることが出来ましたよ(*^^)

風守(声:松本まりか)
 松本まりかさんは最初全然わからなかったのですけど、女優からナレーターまで幅広く活躍していた
 人なんですね♪それとFF X でリュック役の人でもあったのです!
 FFシリーズで唯一プレイした事のあったのが「X、X-2」だったので懐かしいです♪
 
海勝 梨江(声:山本希望)
 のぞふぃすの事を知るきっかけは「僕は友達が少ない」で幸村役の声を担当していたからでした♪
 幸村役では声のトーンを落とした役で、セリフも少なかったのですけど、梨江役ではとっても頑張って
 ましたね!
 まだアドリブ等はなさそうな感じでしたけど、面白い子は嫌いではないので今後も応援したいです
 (*^_^*)(かなり天然っ子みたいなのでw)

 
■総評
結城新十郎と海勝麟六のそれぞれの因果の軌跡を描いた本作品は、決して交わることのない新十郎と麟六の理念を数々の事件を題材に表現してきた作品だと思うのです!
それは坂口安吾の原作「明治開化 安吾捕物帳」の世界観をトレースして、舞台背景を現代風にアレンジするという挑戦は風守というキャラと今話題になっているクラウドコンピューティングなどの言葉が出きたりして観ているうちに馴染んでいく感じでしたね♪

ストーリーの方も前半はなかなか波に乗れない感じでしたけど、中盤から後半にかけては面白かったですね♪
「UN-GO」にはTV放送と並行して劇場版「episode:0」が上映されるというノイタミナの営利主義的戦略に翻弄された感じがしました!
その問題の劇場版なのですけど、ズバリ見ないとダメですねwつД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
TV版だけですと、別天王と因果などがただの不思議なキャラで終わってしまうのです♪
最終話に新十郎が麟六の娘の梨江に、因果との関係を話し始めた所で終わってしまうのですけど、その話こそが劇場版で描かれたとっても大事なエピソードなのですΣ(^∇^;)えぇ~
「UN-GO」の楽しみ方がイマイチわかりづらいなぁって思う方は劇場版から観ると本編もかなり楽しく見れるんじゃないでしょうか?
逆に、記憶力が良い方であれば、本編を見終わったあとに劇場版を観るとなるほどそういう事だったのかぁっていう気分を味わえると思いますよ♪

この「UN-GO」って作品をどんな視点から視聴するかによって大きく評価がわかれそうなきがしますね!
σ(・・*)アタシは劇場版も観ていたので、結城新十郎の『死生観』からの正義と、海勝麟六の『合理主義』からの正義の掛け合いがとっても面白かったなぁって感じました♪
萌えや笑いなどは一切ないのですけど、登場人物の生き様を描いた作品をたまに観るのも良いもんですねo(*^▽^*)o~♪


■MUSIC♫
OP曲『How to go』
 【編曲】江口亮【作詞・作曲・歌】School Food Punishment
 キタ━(゚∀゚)━!わたしの大好きなスクパニの7thシングルナンバー♪
 「東のエデン」で出逢い、Album「amp-reflection」で虜になりました(*^^)v
 変拍子・転調など、技巧的で複雑な曲構成が特徴的で、その中でシンセサイザーなどの電子音楽が
 メロディーを引っ張っていて疾走感と心地よさを引き出しているんですよね♪
 そんなところからもプログレやエレクトロニカの要素が強いバンドって言われているんですよ(^▽^)/
 また、前に出すぎない控えめで柔らかいボーカルが音楽に調和していて楽器の一つという役割を
 担っていたりとポストロックっぽさも感じられて、今の時代にあった中性的で柔軟な世界観をもった
 バンドって言えるんじゃないのかな(^ー^* )フフ♪
 アレンジャーの江口亮さんは「いきものがたり」の曲作りに携わっていて、センスの良さが光ります
 ( ̄ー☆キラリーン
 聴けば聴くほど良さがわかってくるスクパニの曲は今後も長いお付き合いになりそうです♫

ED曲『Fantasy』
 【作詞・作曲・歌】LAMA
 元SUPERCARと元NUMBER GIRLのメンバーが作ったバンドの2ndシングルですね♪
 ファーストシングルは「NO.6」のOP曲でしたね!
 スクパニと同じくエレクトロニカの流れを汲んだバンドなのですけど、UN-GOの世界観らしく近代的な
 電子音とレトロなピアノの音色を融合した優雅な曲調がアンダーグラウンドな雰囲気で前作よりも
 オルタナティブ・ロックっぽいですね♪

2011.10.16・第一の手記
2011.12.30・第二の手記(追記:■個人的に注目していたキャスト、■総評)
2012.01.11・第三の手記(追記:■MUSIC)

投稿 : 2023/05/27
♥ : 72

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

敗戦探偵

今作を評価できる人はステマに流されてない、みたいな風潮がありますよね
実際異質なオーラを放つ、当たりなアニメだったと思いますが


始まる前はウンコ、ウンコと呼ばれ、始まった後でもウンコ、ウンコと呼ばれてましたけど
内容は非常に濃くて、よくこの情報量を1話分に詰め込み消化できていたものだと感心できる質アニメでしたね
雰囲気もオサレで、性別世代間問わず親しまれそうな感じの作品に対する印象があります
偽りの世界で真実を求めてもがく、強いメッセージ性を感じます作品でした
ジャンルを推理アニメとしながら、質問したら絶対に答えなければいけないというチートキャラがいる時点で推理もへったくれもないですよね
因果が”お前が犯人か?”と聞いて回れば物語が終わりますから
5話から本格登場の風守も情報収集や機械操作でチートに磨きが掛かってますからね
新十郎御一行はおそらく向かうところ敵なしの探偵でしょう
それに加え別天王の登場でもうなんでもありになってしまって、これをミステリーものとして見るにはちょっと無理有るかも知れませんw

坂口安吾のUNGOなんですね、明治を近未来に移したフィクションとあって、1話の初音ミクコスに始まり、現代的な小ネタが多々出て来て、世界観には引き込まれるものがありました
OPの初めに表れるイントロダクション、あの文字読むの結構きついですよね、12話になってやっと全部読み切りました
監督・水島精二氏と脚本・會川昇氏の黄金コンビ再来、制作はボンズです
ボンズ御用達の著名原画師が多数参加してて、ちょいちょい良い作画を見せてくれます
この局はノイタミナだけやってろと言われているのもよく理解できる、極めて秀逸なアニメーションでした
そういえば、「東京マグニチュード8.0」でも揺らがなかったフジ本社が爆発してしましたねw

豊崎さんだったんですね、因果の声優、初め見た時は全然分かりませんでした、スフィアは劇場版含めて全員出演しています
新十郎の声優は、俳優の勝地涼さん
それとなくカイジっぽく聞こえます、本業じゃない人起用ということで、こういう感じの演技になるのがお決まりなんでしょうかね
とりあえずまぁ、声優が豪華な人が犯人!というわけにはいきませんが、脇声優はベテランから新人まで幅広いキャスチング
古谷徹さんや國府田マリ子さんのキャラ声を久しぶりに聴いた気がします
この声の人聞いたことあるような?と思える、声優ファンなら結構楽しめる布陣のアニメです

OP「How to go/School Food Punishment」もED「Fantasy/LAMA」もどちらもカッコイイ、COOLゥ、COOLッ!
視聴意欲をわさわさと掻き立てる、躍動感と重量感の入り混じるアニメーションと曲です
OPの文字アップも雰囲気を醸し出しててカッコイイですよね
調子の悪いスピーカーみたいな、ツダダダダダとかいう音のするクラシックなBGMもそれを引き立ててます
2話の夜長姫のブルーライト横浜♪が耳から離れない今日この頃、音楽性はなかなかに高い作品だったと思えます

因果きゅんが可愛い、因果きゅんが、可愛いんです
なんかこう、そばにいるだけで幸せになれそうな感じの子ですよね、ですよね?
大因果も良いと思いますが、原色の倉田由子の方は越えられないかなというのが個人的印象
物語に合わさった淡泊な絵柄のキャラデザなんで、萌えとかブヒとかって感じじゃないんですけど、魅力的な女性キャラが多数出て来てた気がします


公式サイトにある、EDに出てくるパスを入力すると見れる”虎山レポート”なるものがありまして
今作気に入ってた人でまだ見てない人は公式サイト覗いてみてはいかがでしょう
なんでも、泉ちゃんが暴走してた7話の”虎山?レポート”がとても面白いと友達から聞いて
ということで、私も早速見て来ようと思います

投稿 : 2023/05/27
♥ : 40

nanikore さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

坂口安吾

そう、むしろミステリー、探偵ものではないのだ。
最初から謎解きのトリックの奇想天外さを楽しむ娯楽作品ではなく、社会に一石を投じるための作品だった。

「正しく堕ちなければならぬ。」
そもそも、堕ち切れるほど人間は強くないんでしたね、。
まぁそれでも前向いて生きていかないと。生きるならばよく生きないと。
彼は戦後の日本におけるソクラテスでした。

アニメの見方としては、七話、八話くらいのタイミングで劇場版を見て頂くのがいいんじゃないかなと。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 3

74.3 8 東京アニメランキング8位
亜人(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (896)
4914人が棚に入れました
高校生、永井圭。トラックによる追突死の直後、謎の蘇生。これにより国内3例目の不死の新人類・亜人であることが判明した。警察および亜人管理委員会により捕獲作戦、開始。同刻、管理下にあった2例目の亜人が何者かの幇助により逃走。この者らは直ちにテロ活動を展開し人類への復讐を開始した。
永井圭の動向を注視せよ。繰り返す・・・

声優・キャラクター
宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、福山潤、木下浩之

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

フィクションの鉄則「大きな嘘をひとつだけつけ!」

…を地で行くような感じの作品(原作マンガは未読です)。
つまり映画「シン・ゴジラ」なんかと同じやり方ですね。

本作では「亜人の存在」という大嘘(いや、本当にいたらゴメン)の下に、存在したら政府の対応や法整備はどんな感じになるかとか、亜人に人権は認められるべきなのかとか、そういうテーマでお話を作っているわけです。

大嘘である「亜人」を認めてしまうと、作中の社会状況や人物の行動はわりともっともらしい感じに描かれています。

で、こちらだけ観ると結末はモヤモヤすること請け合いなので、うっかり最後まで観てしまったならきっと分割2クール目も観たくなるんじゃないかと思います。

EDの背景アニメが何気なくネタバレ風なので、これから観る人で本当にネタバレを気にする場合には、EDは目をつぶるかもしくはとばしましょう(笑)。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 28

海の人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

商業的にもヒットした作品

◆アニメは1-2クールは視聴済み
◆一応、劇場版も視聴しました。
◆漫画は現時点での話数は読んでいます。
◆実写劇場版は見ておりません。

まずは、ストーリーですが

コメ欄を見る限り 様々な方が書かれているので
詳しくは描きません

が、ざっと纏めると
「死なない」存在の「亜人」が存在しています。
その、亜人達が繰り広げる話です。

序盤は亜人と人間の戦い

中終盤は亜人同士の戦い
(中には人間との戦闘もあります)

今までに無い、
戦闘描写で視聴者を引き込むでしょう。

正直、ストーリーは難しくありません。
(個人的な意見です。)

単純にテロとそれを止める者達の戦いです。

「なんか、難しそう」と思って
見ないのは、正直勿体ないですね。

とりあえず、
ダラダラストーリーが進むことは無いです。

あと、展開が原作と少し違います。
どちらも、なかなか面白いので見るなり読むなりしてください。

キャラクターについてですが

主人公が変わっています。

僕は正直 作画よりも
ここが1番好き嫌いが別れるかもしれません。

いわゆる、自分勝手ですね、
僕的にはいい味 出してると思います。

周りの味方も色とりどりなので見ていて面白いです。
基本的に仲間感でピリピリしていますが

それが、一致団結した時は胸熱ですよ。

さて、敵側ですが、こちらは
佐藤さん1人が群を抜いて、目立っているので

周りが薄く感じましたね

ですが、それでも頑張って目立っていた
田中さん、あなたは凄いです。

周りのメンバーも一人一人描写はある物の
やはり、佐藤さんにインパクト負けしてるといったところです。

音楽ですが、
BGMは基本的に
ダークなアップテンポな曲が多い印象です。
作品にマッチしていて、いい感じでした。

主題歌は1クールの方が作品にあっているかなと思います。
2クールは完全にノリノリな曲なので、
アニソン好きならハマるかな
何しろ、fripSideとangelaの合作なので

エンディングですが、
1-2クールどちらも落ち着いており

片方は声優が歌っております。

作画についてですが
ジャケットを見れば分かりますが3DCGアニメです。
制作会社は3D専門のポリゴン・ピクチュアズですね

私的にはいい出来に仕上がってると思います。

まず、表情の作りがいい
喜怒哀楽をしっかり表現出来ています。

背景もいいと思います。
激しい戦闘描写も、問題なく見れる。

一番、目に止まる亜人も作りがよく引き込まれます
無駄のない、3Dというのが僕の率直な感想です。

声優については
自分自身詳しくないですが

大塚芳忠が好きなら、
まず抑えておきたい作品です。


最後に総評ですが、

3Dアニメが嫌いでも、
1度は見て欲しい作品になっています。

刺激が欲しいなら1度は見る出来でしょう。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 1
ネタバレ

愛花 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

大好物のダークファンタジーo(`ω´ )o

亜人、途中まで漫画で読んでおりまして、
本当に引きつけられるストーリーです!

この世界も、人々も、主人公さえも、とても狂ってます。
「巨人の次は亜人」との宣伝文句で売り出されていたのですが、
わかってはまた深まっていく謎、普通じゃない主人公、
様々な立場の人の思惑が入り乱っていたりと、
要素的には進撃の巨人と同じタイプだと思います。

CGが苦手で避けてきたのですが、ストーリーの続きが気になって視聴することに。
明らかにフルCGだとわかる作画でちょっと悲しいですが、
音・声・動きがあるというのはやっぱり偉大だ!
アニメばんざい!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ笑

OPもEDも良いと思います(*^_^*)
特にEDは感動しました!
宮野さん、やはり歌がお上手ですね。。
声高い。。
そしてEDのアニメーションに引きつけられました!
ここまで見てきた方ならわかりと思いますが、これ、{netabare} ストーリーをなぞってる{/netabare}んですよね!!
ここはどういうことなのだろう、などと想像が膨らみます!!


7話まで視聴して
{netabare}
原作を忠実に追ってます。
黒い幽霊(IBM)同士の戦いは3DCGをいかした迫力あるものになってますね!(*^^*)
亜人・IBM・佐藤の目的など、まだまだ謎だらけで続きが楽しみです。
{/netabare}

最後まで視聴して
{netabare}
すごーく続きが気になるところで終わりましたね(^^;;
佐藤軍が圧倒的に強い…強すぎる…
不意をつかれたのに完勝してしまいました(>_<)
そして永井くん、 思ったよりいい人でしたね( ̄▽ ̄)
これまでは亜人vs人間だったのが、これからは亜人(佐藤)vs亜人(永井)になりそうですね、
ここに人間たちはどう関わってくるのでしょうか…⁇

{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 31

71.8 9 東京アニメランキング9位
パプリカ(アニメ映画)

2006年11月25日
★★★★☆ 4.0 (817)
3889人が棚に入れました
医療研究所が開発した他人と夢を共有できる画期的なテクノロジー“DCミニ”。だがそれが盗まれ、悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するように。一体、犯人の正体は? そして目的は何なのか?事件の解明に挑む美人セラピストの千葉敦子は、クライアントの夢の中へ容姿も性格もまったく違う夢探偵“パプリカ”となって入っていくが、そこには恐ろしい罠が待ち受けていたのだった…。

声優・キャラクター
林原めぐみ、江守徹、堀勝之祐、古谷徹、大塚明夫、山寺宏一

Seabream さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

今日の天気は夢見がち,晴れのち晴れ晴れ,ハレハレハレハレ~♪

夢を共有することができる装置DCミニ.ある日、そのDCミニが研究所から盗まれてしまい、それを悪用して他人の夢に強制介入し、悪夢を見せ精神を崩壊させる事件が発生するようになる.犯人は一体誰なのか!?

90分と割と短い作品ですが,ストーリーもわかりやすくなかなか面白かったです.
夢の世界ということで,少し不気味な描写が多かったのも個人的によかったです.

最近たまたま「インセプション」という映画を見ていたのですが,なんとなく似てる感じですね.

パプリカちゃんかわいいいいい.
けど最後うわああああああああ.時田うわああああああ.

投稿 : 2023/05/27
♥ : 10

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

故今敏監督の代表作の一つ

ストーリーを引き立てるために絵があるのではなく
絵を魅せるためにストーリーがある
まさにそんな映画

女医千葉敦子と夢世界での姿パプリカ
同一人物の二面性が見事に演じ分けられている
林原めぐみさんの好演にも脱帽です

ただしラストの部分は
見せたいモノは見せ終わったとばかり
かなり強引に手仕舞い
無理やりな展開に「?」となりました

全体としては非常に質の高い作品だと思います
特に夢の中の描写は出色の出来栄え
見て損はないと思います

投稿 : 2023/05/27
♥ : 16
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

Don't think . Feel .  …でいってみよう

そういえば原作既読。内容はうろ覚え。


地上波でたまたま流れた『東京ゴッドファーザーズ』を皮切りに~の今敏監督アニメ映画視聴マラソンもこの『パプリカ』でひとまず完走。物理的にもこれ以上これ以外走り続けることはできません。

゛難解な作品” ゛人を選ぶ作品“ ゛芸術性の高い云々”

氏の作品には枕詞のようにこれらの修辞表現が付き纏います。うむ。確かにそんな面はあるかも。でも敢えて私はこうも思うのであります。

{netabare}いいんだよ。そのまんま感じればいーじゃん。テヘッ{/netabare}

絵画におけるレゾネやクラシック音楽の解釈やらもそう。一枚の心奪われる絵を目の前にした時、情感揺さぶる音に触れた時、言葉は蛇足となることがあります。
私のような素人目にもわかる映像表現。強烈なインパクトを残すキャラクター達。{netabare} そして現実世界でのハッピーエンド。{/netabare}
とかく難解だと敷居を上げなくても、娯楽作品として観たまんまで楽しめるアニメ映画だったと思います。凝ろうが凝らまいがあとは受け取る側の判断でしょう。面白いか?面白くないか?それが全てです。

なぜ?そんな当たり前のことを?

氏の作品の多くはどれも90分程度と視聴にあたってのどっこいしょ感がなく、とりあえず4作品鑑賞してどれも粒揃いだったので、できれば多くの方に触れてほしいですし、下手な先入観は持っていただきたくないなというのがその理由です。


さて本作『パプリカ』です。
゛虚構” と ”現実” が入り乱れる秀作を次々と輩出してきた監督の遺作です。今回は 《夢》 。
他人と夢を共有できる゛DCミニ”というデバイスがある。心理療法の次の一手であると臨床試験を重ねていた矢先、DCミニが研究所から盗まれて、という導入。研究所員であるサイコセラピスト千葉敦子/パプリカがヒロインです。
キャッチコピーは「私の夢が、犯されている―」「夢が犯されていく―」。新たな試みはメリットと同様に副作用が付き纏います。DCミニもご多分に漏れず欠陥がありまして、その隙をついてあれやこれやが巻き起こる物語です。

夢の言葉上の定義は

1 睡眠中に、あたかも現実の経験であるかのように感じる一連の観念や心像。
2 将来実現させたいと思っている事柄。
3 現実からはなれた空想や楽しい考え。
4 心の迷い。

と辞書にあります。 夢って何だろう?と突き詰めた形跡が見て取れます。

根幹となる部分はもちろん1。そこに2~4を想起させるキャラがもう一つもう二つとストーリーラインを重ねていくような物語でした。誰がどうかはネタバレ直結なので隠します。

2は{netabare}ヒロインの敦子さんが代表格。もっとも奥にしまってた感情に気づいたということですが。。{/netabare}

3は{netabare}乾精次郎理事長が代表格。現実から逃げ妄想に囚われました。{/netabare}

4は{netabare}粉川刑事。そしてストーリーのもう一つの柱。トラウマに向き合って克服します。{netabare}映画からは前向きなメッセージを受け取りました。{/netabare}{/netabare}
他の登場人物たちも多かれ少なかれこの類型に分類されるのかな~という見立てです。


処女作『PERFECT BLUE』では《劇中劇(虚構)》と《現実》
二本目『千年女優』では《劇中劇(虚構)》と《回想》と《現実》と場面が増えて入り乱れました。
三本目『東京ゴッドファーザーズ』は置いといて(笑)
本作『パプリカ』では《夢(虚構)》と《現実》に夢をモチーフにした登場人物たちが入り乱れました。

作品を重ねる毎に表現の幅を広げていき、本作で集大成、または集大成にならざるを得なかった良作でした。

概念的な話なのでどちらかというと視聴済みの方向けの私の見解となります。
新たに鑑賞される方は先述の通り、そのまんま観ていただければよろしいのかと思います。


そして、゛ならざるを得なかった” の理由。
それは本作のラストを見届けるとその思いが強くなります。


※ラストのネタバレ有
{netabare}映画ラストで監督の過去3作品が背景で流れて粉川刑事が映画館に入っていく。タイトルは『夢見る子供たち』です。

{netabare}なんかの予言だったのでしょうか?
《虚構》と《現実》行ったり来たり。そして溶け合う今敏監督がこれまで手掛けた作品をイメージさせて未来へと繋がるであろう to be continued。{/netabare}
{netabare}次の作品で夢うつつシリーズの完結を構想してたのかもしれませんね。これは私の妄想です。いわばホップステップジャンプのステップ段階で早世されたのかと。{/netabare}{/netabare}

最後の演出は、客観的に作品を楽しむ現実世界の観客を、虚構の世界にいざなう監督の最後の大仕掛け。といったら感傷的過ぎるでしょうか。

例えが妥当かは知りませんが、過去作を上手いこと継承しながらエンタメ作品として爆発的なヒットとなった2016年の映画のようなのが次回作品で来てたかもしれませんね。
それで「俺たちの○○はどこへ行ったんだ?」とオールドファンをやきもきさせたり、一方で新規のファンが出来てたり。
そして、作風をガラッと変えてまた新たな実験を試みたり、と。


夢にはもう一つ。5番目の意味があります。

5 はかないこと。たよりにならないこと。

冒頭でひとまず完走と述べましたが、気分としてはハーフマラソンを走り終えた感じでしょうか。まだ半分、もっとイケる。なんならウルトラマラソンでも構わないのに!

少し、クールダウンしてからいつの日か『妄想代理人』を堪能することにしようと思います。


■雑感
一周しかしてないので、もう一回観たら感想変わるかも



-----
2019.08.04追記

二周めいってみた!
たまに触れたくなるクセになる感じがありますわ。



2019.02.19 初稿
2019.08.04 追記修正

投稿 : 2023/05/27
♥ : 47

83.5 10 東京アニメランキング10位
天気の子(アニメ映画)

2019年7月19日
★★★★☆ 3.9 (674)
2873人が棚に入れました
「あの光の中に、行ってみたかった」高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。彼女には、不思議な能力があった。「ねぇ、今から晴れるよ」少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――

声優・キャラクター
醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、平泉成、梶裕貴、倍賞千恵子、小栗旬
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

人の命は何事にも代えられない尊いものであると言い切った映画

この映画を一言で言い表すのは、とても難しいです。
しいていうならば、人の命は何事にも代えられない尊いものであると言いきった映画だと感じました。
ここまで言い切る新海監督は凄いです。尊敬しました。

物語は、
あるきっかけで、雨天を晴れに変える能力を身につけた少女、陽菜(ひな)。
離島から飛び出し、都会へとやって来た少年、帆高(ほだか)。
この二人が、都会で雨の日に出会います。
そして、帆高と陽菜は、雨天を晴天に変えるための仕事を始めます。

世の中には晴天を望む人が沢山いることを、二人は知ります。
そして、晴天を望む理由も、人それぞれで違うことを知ります。
その理由は、それぞれの依頼人にとって、とても大切なことなのです。
だから、空が晴れ渡ると、依頼人の顔が皆、笑顔になる。
二人は、依頼人の笑顔を見るのが好きでした。

仕事は一見、順調に進みますが、無理をして天気を変えると、それなりの『みかえり』があります。
そのみかえりとは・・・


作画はこの上なく美しい。
但し雨のシーンが多いので、美しさを感じる場面が少ないですが、だからこそ、晴れたときの青空は格別に綺麗に見えます。
音楽も大変すばらしい。
そして、帆高が陽菜をとても大切にしているのがわかるので、思わず応援したくなります。

ぜひ、映画館で鑑賞してください。良い思い出となります。

{netabare}
ところで、
陽菜(ひな)は、子供なのに、弟と二人で暮らしています。
都会で、子供だけで生きるのは、とてもつらいことです。
帆高も、都会で暮らし始めて、子供が一人で生きることの厳しさを知りました。

皆さんは、毎日三食を食べていると思います。
でも、子供が都会で一人で生活をすると、仕事にありつけず、食事もまともに食べられません。

おそらく、皆さんの中には、将来都会で暮らすことを計画されている人がいると思います。
都会は、お金を持っている人であれば、快適な生活が送れます。
但し、都会でお金を稼ぐためには、とても厳しい現実があることも、覚えておいてください。
そして、安易にお金を稼げる悪の道に入ることが無いように、切に願います。
{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 69
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

もう少し器用な賛否の割り方があるのでは?と思ってしまいました……。

主人公に共感できない人もいるかもしれない……。
もっと叱られる作品を目指す……。

事前にこうした新海監督の決意表明も拝見していた私にとっては、
賛否が分かれる内容も評判も想定内。

むしろ、国民的な大ヒットとなった『君の名は。』の次という
王道大衆娯楽作への期待と、
前作から制作スタッフが倍増し、工程がさらに大規模化し、
監督の個性を出し辛い体制が続く中、
よく怯まずに作家性を発揮して下さった。

ウリとなった天候の描写も、
人々の都合など知らずに天の気分でゲリラ豪雨を浴びせる、
監督らしい狂気も戻って来たように感じ、何だか嬉しくなりました。

ですが、それでも鑑賞していて、私は、
にしたって、もう少し一般大衆との折り合いも考えても良いんじゃないか?
などモヤモヤした感情が沸いてきてしまいました。


以下、ストーリーの重大なネタバレを含む辛口コメント
{netabare}
結局、主人公少年は東京や文明社会の安定より、少女を選択した本作。

そもそも新海作品においては大抵、
人間社会とは残酷で、大人たちは頑固で分からず屋で、
こんな人間たちや世界なんて知らない!と登場人物たちが青臭く思ったとしても許される。
こうしたムードが一つの形……と言うより前提であることが多い印象ですが、

今回の人間社会。すなわち東京は、
少女か皆かの天秤にかけるにはリアルで生々しかった印象。
SoftBankに、日清食品に、マクドナルドに、ヤフー知恵袋
とスポンサーの物量が凄まじく、
目に付く物の多くが実名で他人事とは思えませんでした。

だからこそ、東京に対する大した弁護もなく、ほぼ少年少女だけの秘密の内に、
東京を劇的に変えてしまう決断が成された点には、
審理不足の裁判を見せ付けられたような不条理さも感じてしまいました。

加えて、東京があんな風になってしまったら、
例え直接、被災して死ななくても、経済的損失等で、
きっと万単位の死者や自殺者が出てしまうと思うんですよ。
その辺りの描写が飛ばされたのもアンフェアだと感じました。

こうした不公正な刺々しさも新海作品らしいと言えばらしいのですが、
本作における圧倒的な東京の存在感故なのか、
私の嗜好が擦れたオッサン化してきているからなのか……。
今回はスルーしきれませんでした。

それでも、天への感謝も、天と交信する伝統も忘れ、世界の仕組みを知ろうともせず、
ちょっとした気候変動を“異常気象”と大騒ぎするのは
人間たちの身勝手と言えば身勝手と言うことなのでしょうが、
それにしたって世界の理を二人だけの秘密にされちゃ分らないでしょう。
与えられた常識に従って職務を遂行する警官たちが、
分ってない大人の代表格にされているようで少し可哀想に思えました。

一応、主人公少年は晴れ女ビジネス……晴れを願う東京都民への利他などを通じて、
捨てたもんじゃない人間社会の一端も知りはしますが、
家出少年らに審判を委ねたら、そりゃ人間社会の安定より大切なあの娘を取るでしょう。


少女か人間社会か世界か……これほど大きな決断を、
一人の主人公少年に背負わせ自己完結の内に結論を迫る。
このプロット構造にも、そろそろ限界を感じます。

これだと、主人公の拒絶が、作品の否定に直結しかねません。

私は代案として、少女に与する少年主人公に敵対する、
人間社会や“天気の巫女”の伝統を背負った側に
ラスボス役、ライバル役のキャラクターを確立し、
アンチの心情を代弁させ溜飲を下げさせる。
こんなパターンもあっても良いのかなとも思いました。

これなら、例え主人公に反感を覚えたとしても、
対立軸は作品の可否ではなく、主人公派かライバル派かに帰結し、
作品への支持は保たれると思われます。

いやいや、青臭い少年の心に諸々のジレンマを混在させてこそ新海作品。
心の葛藤を他のキャラクターとして外部化させるなど、
それこそ、大衆迎合による新海監督らしさの喪失だろうとお叱りも受けるかもしれませんが、
私は制作が大規模化しても個性を失わなかった新海監督には、
人物相関のパターンを変えても尖った表現ができる引き出しはあると思っています。{/netabare}


プロモーションについて……

スポンサーの物量に比例してコラボCMも盛りだくさんな本作。
これも、作品だけでなく、宣伝も評価も自分が完璧にコントロールしたい!
と言う新海監督の強烈な意志の賜物なのでしょうが、
今回、私は流石にしつこいと感じてしまいました。
私も危うく、みんなが観るゴリ押し作品は観たくないと言う天邪鬼が発症する所でしたよ。

特に本作みたいに賛否を割りに行く尖った作品では、
事前のメディアへの露出を敢えて控えて、
観たい欲求を煽ってみるのも有効な宣伝方法だと思います。

新海監督はもう既に黙って作品出しても観に来て貰える存在でしょうから。


色々と批判的な感想を書き連ねてしまいましたが、
作画、音楽などクオリティは高い本作。
劇場で体感する価値は十分にある映画だと思います。

今回、擦れた大人である私なんかはモヤモヤしてしまいましたが、
大人は分ってくれないとささくれ立っている青少年なんかには、
スッキリと背中を押してくれる勇気を与えてくれる作品になるのかもしれません。

是非、色んな人に体験してもらって、賛否を聞いてみたい一本です。


最後に、そう言えば、昨年の盆、墓参りをサボってしまった私……。
天や、先祖の方々にお叱りを受けないように、
今年は線香を上げて、行き帰りの道を確保して差し上げようと思い直しました。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 45
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

作品<商品の視点はそれなりに重要

オリジナルアニメ劇場版 114分


興収250億円。日本歴代4位の記録を打ち立てた『君の名は。』から3年。新海誠監督2019年の新作。
良くも悪くも『君の名は。』以前と以後で語られてしまうのはしかたないでしょう。
立ち位置もこの大作を起点にして、

 1.変わらず好き
 2.以前よりもっと好き
 3.昔のほうが良かった
 4.これを機に新海誠を知った
 5.一貫してネガティブ評価

ニワカな私は4.です。『君の名は。』で知って、『秒速…』や『言の葉…』に流れていった人。
余計なお世話は承知の上で放言しますけど、3.のスタンスの方、ヲタ村から一歩出た実社会では注意が必要です。メガヒット作品だと普段アニメを観ない一般国民の関心が低くありません。しかも好意的に作品を捉えたケースが当然ながら多い。それを事情を聞かずぶった切ってる方の多いこと多いこと。私はドトールで実際に遭遇しました。本人の狙いはともかく地下アイドル好きのキモオタ扱いされ撃沈するのが関の山です。5.も似たようなもんですが「一貫してるのね」と傷は少ない。
『けもフレ』の前と後がどうだ!とか、○○(制作会社)の新作があーだこーだとかは一般人にはどうでもいいことなんで彼らも他人事として聞いてられるのですがこのテの作品はその一般人のテリトリーに入ってることを十分意識しておきましょう。

声優を例にすると分かりやすいかもしれません。先日、民放ゴールデンタイムでの『聾の形』放送に際し、知り合いの非ヲタ一般人に出演声優を説明するにあたってはこうでした。

 主役→『千と千尋』のアシタカ役
 永束→ハリーポッターの中の人
 妹→『君の名は。』のさやちん役

彼らがイメージ湧くのはここまで。ヒロイン役の早見さんは残念ながら「誰?知らん」です。興行収入の多さと一般認知度は比例します。ハリポタは違いますが基本的にはディズニーかジブリ強し!という勢力図の中に割って入ってきた新海さんは凄いと思いますよ。

一般人と共有できるアニメ作品は貴重であると思うので、いつも以上に盛大に脱線しました。
作品単品での評価も気になりますが、マーケティング視点も少しばかり導入しつつ興収含めた一般社会での受け入れられ方も気になるそんな作品という前提で以下。

メガヒットの次に何をもってくるか?

『CROSS ROAD』でミリオン達成。シーンに認知されたMr.Childrenは次に年間チャート1位となる『innocent world』、その次にバンド史上最も売れた『Tomorrow never knows』をリリースしました。答えは簡単。名曲を出し続ければ良いという結論です。もちろんおいそれと真似は出来ません。
次にやらかしがちなパターン、特にここ最近顕著なのがヒットしたものをそのままなぞらえた模倣品を作ること。短期間に消費されること前提であり飽きられるのも早いのでクリエイターには不評。こればかりは会社だったりプロデュース側の方針に依ります。
というわけで最後。目先を変えてくパターン。すなわち王道な売り方。成功事例だとX JAPANが分かりやすい。『紅』でシーンに躍り出てからの次回作が『Endless rain』。前曲の激しい曲から一転してピアノのイントロが美しいバラードです。振り幅で勝負!人気を定着させました。
なお現在の音楽シーンはメディアミックスが複雑すぎて音楽単体評価が難しく該当事例ナシです。


そしてやっとこ作品そのものについての言及になるわけですが、
本作はだいぶ模倣品リリースに傾いてたと思われます。パッと見た感じは「模倣品」。中身は「異物」なんですけどおおむねパッと見た感じで判断しますもんね。別に「俺たちの新海戻っておいで」でもいいのですがせっかくドがつくほどのメジャーに踊り出たんでしばらくは居座っていて欲しいです。、
私は『秒速…』以降しか知りませんが、少なくとも全てボーイミーツガールです。お家芸となってる過去作品のキャラ登壇は本作に限らず伝統芸能といって差し支えないでしょう。実写より美しいともされる作画やモノローグを多用する心情描写は作家の色なので模倣品とまで言うのは酷ですが既視感あることは致し方なし。RADWIMPSの再起用はやり過ぎな感もあり。といったところでしょうか。

『ナウシカ』『ラビュタ』と連発。『未来少年コナン』以降の監督の得意分野である冒険活劇あるいはファンタジーを2本続けてから第3弾では2本立てにトライ。『火垂るの墓』で原作有り&別監督と目先を変えてきたジブリを無条件に賛美する意図はありませんが、早くチームか会社設立しちゃったほうが良い気がします。需要に対しての供給力が足りてないというか今のままでは監督への負担が大きいのではないかと思われます。
ボーイミーツガールの完成系を目指して試行錯誤しているクリエイター!? 技術的には積み重ねを感じる。例えば『言の葉の庭』で培った雨の表現をトレースしてたり違うものを見せたりと。そんな持ち味を楽しみにしているファンも大勢いるためガラッと変えるのは実際難しいところなんでしょうね。


して映画の肝心の中身は?

良いです。ボーイミーツガールは好物だしこの監督の演出する男女の営みも自分には合います。
特にツボにハマったのが新宿の繁華街の裏通りの雰囲気。終電逃してさあこれからって空気や、朝を迎えた時点での気だるさを感じさせるあの雰囲気がよく出ています。

これが家出少年の目にはどう映ったか?

宿無しの不安とおそらく束縛からの解放がないまぜになった心理状態。そんな者すら受け入れる街。“ここではないどこかへ”来た感がこれでもかと出ております。
ウチの中学生の倅が劇場で鑑賞し「面白かった」と感想を言ってましたが、メインストーリーとは別にこのちょっとした淫靡な空気に吸い寄せられたのかもしれないなぁ、と実際の作品を観て思いました。朝オープンしたてのカフェに昨晩オールした若もんがぐったりしてるでしょう?そういうところです。

そして不穏な街には不穏な物語が良く似合う。
当人たちの問題がそのまま世界の危機に直結する“セカイ系”に分類されそうな物語でした。


 “ボーイミーツガール”

 “怪しい街新宿”

 “セカイの危機”


難点はキャラの行動原理がわかりづらいところ。その点はけっこう狙っていたらしく、例えば主人公穂高の家出理由はわざとぼかしているとのこと。自分はあまり好きではないです。
総じて“良い”と感じてますが、行動原理に納得感がないからか主人公らがやや低年齢だったからかは定かではありませんが、結局キュンキュンしなかったので評価爆上がりには至らずでした。

マーケ視点としては合格。メガヒットの次という超絶難易度をクリアしてます。「あー結局アノ作品だけの監督だったんじゃん?」という声がない。充分でしょう。
これで次回作も一般人巻き込んでみんなで楽しめますね。ぜひデートの誘いに新海映画を!
ボーイミーツガールは不滅です。



※閑話休題

■人身御供

ちょいちょい日本文化のわりとコアな部分を突っついてくる作風は今回も。
本質的には巫女さんの役割のお話なんだと思います。

{netabare}現代版の卑弥呼{/netabare}

僕らの血肉に息づいてる感覚をモチーフにしているので賛否はともかくイメージはしやすい。
{netabare}※自然の怒りを収めるための人身御供という概念のことです。
相方が人身御供となることを良しとするか否とするか?本作での結論は観ての通りでしたがあの結論はアリだと思います。{/netabare}

↓ネタバレ
{netabare}今のこの時代に社会正義を捨ててヒロインを取ったる!とやったのは痛快でした。
公の精神は大切です。ただしポリコレ棒をぶん回しての昨今コロナ禍での自粛警察みたいなのとは似て非なるもの。{/netabare}



■東京

{netabare}「街の風景を自分の手で・・・」
「東京だっていつ消えてしまうかわからないと思うんです」{/netabare}

建設会社希望の某就活生の志望動機をふと思い出しました。
もしやこの伏線回収か!?と思いきやところがどっこい消えずにたくましく東京の人達は生きている。
むしろ「埋め立てる前はもともと海だったしね」のセリフにお台場はもちろん江東区あたりもイメージしてそりゃそうだと膝を打ちました。

{netabare}「東京だっていつ新しいものが生まれてくるかわからないと思うんです」にバージョンアップ{/netabare}

自然災害を無視できない風土。だからこそ生まれた“もののあはれ”なる概念。そんな諦観だけに留まらず対となる進取の気性との両輪でここまで続いてきた国なのにどうやら後者の気概が最近弱まっている模様。もう一度取り戻して前を向いて歩いてく。
なんだかんだそんな前向きさを感じるのはエンタメの良い部分が出てるのかもしれません。



視聴時期:2020年7月

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2020.08.22 初稿
2020.10.25 タイトル修正
2021.05.30 修正

投稿 : 2023/05/27
♥ : 64

68.4 11 東京アニメランキング11位
藍より青し(TVアニメ動画)

2002年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (373)
2206人が棚に入れました
『藍より青し』は文月晃原作の漫画作品。またこれをもとにした、テレビアニメ、小説、ゲームなども指す。略称は藍青。
【ストーリー】明立大学に籍を置く平凡な大学生・花菱薫は、花菱財閥総裁・花菱優二を父に持つ、花菱財閥次期当主となる人間だった。幼少の頃から花菱家当主になるために、限りなく虐待に近い「帝王教育」を施されるようになったために、薫はそんな花菱を嫌い大学入学を機に花菱との縁を切り花菱家を出て行った。
そんなある日の学校の帰り道、和服の少女・桜庭葵に出会う。彼女は、幼い頃から想い続けている許婚を探しており…。

声優・キャラクター
川澄綾子、保志総一朗、平松晶子、ゆきのさつき、水橋かおり、成田紗矢香、桃井はるこ

etBQv64956 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ストーリーは良いけど最後はしっかり決めて欲しかった

恋愛ハーレムアニメ
主人公とヒロインの関係が良かったけど
2期の最後ぐらいは結婚して結婚生活を見せて欲しかった
2期はネタ不足と分かるようなヒドイ内容だった
それなら1期の最後で主人公とヒロインが結婚して
2期からは結婚生活の内容にした方が良かった
サブヒロインのキャラクターは良かったけど
ティナの容姿からのコテコテの博多弁は
最後まで違和感があり慣れなかったし声も違和感があった
主人公とヒロインが一回もケンカしていないのがおかしい
最後はモヤモヤで終わったからその終わり方は違うと思った
無駄な2期だった

投稿 : 2023/05/27
♥ : 1

tomledoru さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

幸せ過ぎて息が詰まるかも

主人公,花菱薫は,突然の和風着物姿での「許嫁」の
葵さん出現で,あたふたするものの,
基本路線は二人の「純愛もの」です。

(コメディの中心)ティナ・フォスターをはじめ,
ほかにもたくさんの女性が主人公を取り囲むものの
ヒロイン葵さんの方は,「大家」という立場を崩さず,

かつ「許嫁」としての
主張と行動を「陰ながら」貫きます。

ヒロイン葵さんが,「幼馴染」の主人公を,
三つ子の魂百までとばかりに,
見た目以上に気丈で強く,
一途に,主人公花菱薫を想っているのが,
このストーリーの良さを支えています。

主人公の花菱薫も,ハーレム状態にもかかわらず,
「人の好さ」から周りとの適当な距離を置きながら,
ヒロイン一筋で,好感が持てます。

花菱薫自身の,家柄の問題も乗り越え
父との確執にも心の整理をつけ,

花菱薫は,ヒロイン,葵さんの実家に,
まで乗り込んでいって,見合いを破断にさせるなど
勇気のある面を持ち合わせています。

自分だったら,あまりにも尽くされてしまうのは,
息が詰まるかもしれないなあ,
とぜいたくな悩みを持つかもしれません。

男性目線でも,女性目線でも見られて
ほのぼのとなる珍しい作品ですし,

純愛ラブコメとしては王道物なので,
ラブコメ好きな人には,ぜひお勧めします。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 5

月華蝶 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

タイトルなし

★ジャンル
大和撫子 花嫁修業 許婚 ハーレム 和服 メガネっ娘
ドタバタラブコメディー!? 清楚 

★感想
物語は、
主人公の花菱薫が、許婚関係にあった桜庭葵ちゃんと
偶然!?(運命なんでしょうね~)出会いうことから始まります
その後も、たくさんの個性的で魅力的な女性達と出会い
その中でお互いが関わり合いながら
成長していく物語です

つか葵ちゃんみたいな古風な感じの女の子って
今はまず見ないですよねーw
まぁ薫のようにしんの強い男の子も居ませんけどねーw
だけど、いやだからこそ見る価値があると思うんです!

サントラもOPもEDもこの作品にピッタリあってます

この作品を見れば他の作品では得られない何かが
心に残る・・・ハズ
そんなアニメです

原作を読んだ方も読んでない方にもオススメできる作品です

投稿 : 2023/05/27
♥ : 2

76.2 12 東京アニメランキング12位
ダーウィンズゲーム(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (495)
2192人が棚に入れました
平凡な高校生である須藤要のもとに見知らぬアプリ「ダーウィンズゲーム」の招待メールが届く。アプリを起動させてしまったカナメは、プレイヤー同士が異能を駆使して戦うゲームに巻き込まれてしまう。わけもわからぬまま、襲い来る強力なプレイヤーとのバトルを切り抜け、カナメは生き残ることが出来るのか!?

声優・キャラクター
小林裕介、上田麗奈、大森日雅、八代拓、花守ゆみり

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

異能バトル系のいわゆる「デスゲーム」的な奴。ヒロインのシュカは可愛い。(だけじゃなくて他の女の子も可愛いけど。)

== [下記は第4話まで視聴終了時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
第4話まで視聴を終えた時点で、このレビューを書いています。

テレビ放送初回の第1話は1時間SPでした。たぶん主人公のカナメとヒロインのシュカを出合わせ、世界観を説明するのに1話30分の枠では収まりが悪かったんだと思います。まあ、これ自体はシリーズ構成としては悪くなかったと思います。

謎のスマートフォン・アプリ「ダーウィンズゲーム」により、何の説明もないまま異能によるデスゲームに巻き込まれたカナメですが、シュカとの出会いをきっかけにしてルールを徐々に把握していってますね。

理不尽なデスゲームに巻き込まれるというプロット自体は良くあるものだと思うのですが、今回アニメ化された範囲でどこまで明らかにされるかはさておき、ゲームの背景自体もストーリー中で語られていくものであるようです。これ自体はプラス要素と言えそうです。

この作品の場合、作中で「シギル」と呼ばれる異能は明確に超常的な能力として描かれているので、なまじ現実を舞台にしたような話よりもかえって「そんなことあるわけないやん」という思いに囚われなくてすむかもしれません。

純粋に異能バトルとして見た場合、シュカのシギル『荊棘の女王(クイーンオブソーン)』はなかなかアニメ映えして良いですね。ええっと、決して「ネビュラチェーン」とか「戒めの鎖(レージング)」とか思っちゃダメですよ…!?

……なお、第4話の次は第5話ではなく総集編っぽい第4.5話が放送される模様。
(いわゆる「総集編」で正規の話数が先送られるのは、今クール作品初?)
== [第4話まで視聴終了時のレビュー、ここまで。] ==

2020.3.21追記:
第11話で最終回のようです。ということで全話観終わりました。

原作が続いている以上、途中で終わることは避けられないわけですがキリとしてはとても良かったと思います。「ずっと隣にいてあげる」って夫婦か(笑)!

異能バトル物として考えると、カナメがちゃんと強いのとソロじゃなくてちゃんとクラン(RPGのギルド的な仲間のグループ)を作ること、そしてメンバーのシギル(異能)や得意分野で役割分担があるところなどなかなか良くできていると思います。

カナメは確かに強いけど「他の奴要らんやん」とはならないですね。

アニメを観るまで「カバーイラストの女の子が可愛いなあ」くらいにしか思っていませんでしたが、原作も面白そうだと思いました。

異能バトルが好きなら、結構お勧めかも。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 40
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

デスゲームが舞台の物語。

原作未読。最終話まで視聴。

終盤まで、この作品の面白さを見い出せずにいました。
デスゲームが舞台だというのに、「殺さず」の姿勢の主人公。
そのせいで、デスゲームならではの緊迫感が少々かけるというか・・・。
殺さずに知恵で勝つ系の作品なのかなぁって・・・。
「いやいや、それじゃあ、乗り切れないでしょ」
そんなことばかりが気になって、なかなか、物語に没頭できずにいたんです。

ところが、{netabare}親友の死という代償と引き換えに、{/netabare}最終話でついに覚醒した主人公。
こうなってくると、これまでの物語も持つ意味が違ってきます。

やはり、物語が練られた作品は面白いですね。
起承転結がしっかりとした作品と言った方が良いかな。

悪人が分かりやすく悪人している所も個人的には高評価ですね。

第2期ありきな感じのエンディングでしたけど、期待して待ちたいと思います。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 29
ネタバレ

sukasuka さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

シュカかいわいいよシュカ

いや結構楽しく観てたんだが・・・・・まさか4話で万策尽きるとは思わなかった(笑)
初回の1時間枠でほぼ力を使い切ってたのか?
検索すると原作は人気コミックスだそうで。
シュカがかわいいから買おうかなwww

■5話目
スイちゃんかわいいよスイちゃん。
{netabare}このアニメ、声優陣(特に女性キャラ)がどストライクだわwwwwwww
つーことでコミックス既刊分買いに行こう。{/netabare}

■10話目まで
9話目Bパートの作画は力が入ってて凄かった。
10話目はいつもの動きに戻ってしまったが、それでも引きはなかなか。
{netabare}東京喰種のカネキと被るかなwww
それにしても松岡さんは下衆役やらせると光るねぇ(笑){/netabare}
コミックスは既刊分買ってきて読んだ。
人気作なだけあって面白いわこれ。
【追記】
10話目の引きが印象的だったので、ED曲「Alive」の初回限定版(特典なし)CDを
Amazonで購入してみた。
作中で使われた10話ED冒頭はアニオリアレンジ風味だったのね・・・素晴らしい。
今期はこれとドロヘドロのBDを購入予定。
(シートン学園は・・・・・なんか終盤に来て飽きてきたので除外w)

■最終話
正直なところ、話をたたみまくっただけで特段面白いという訳でもない最終回。
{netabare}主人公の豹変ぶりが急過ぎて、???となった視聴者も多そうだ。
・・・まぁこの辺は原作通りなので仕方ないのかな。
さて問題の極短Cパートだが、どう見ても2期の種蒔きだよなぁ(笑)
今回は原作コミック8巻分まで、既刊は20巻あるからストック的には問題なし。
個人的にはぜひとも続けてほしいが・・・・・商業的には厳しいかも?
警察側の重要キャラは完全に省かれていたし、やはり今回で終わりということか。{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 10

67.8 13 東京アニメランキング13位
うどんの国の金色毛鞠(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (384)
1837人が棚に入れました
俵宗太は、東京在住のウェブデザイナー。父親の死をきっかけに故郷に帰った宗太は実家のうどん屋で、釜の中で眠りこける子供を見つける。

一見ふつうの人間の子供のように見えるが、実はその子は人間の姿に化けたタヌキだった!?

ゆったりと時間が流れる通称”うどん県”こと香川県を舞台に、やさしくてあたたかい、ちょっと変わった家族の物語が始まる―。

声優・キャラクター
中村悠一、古城門志帆、杉田智和、中原麻衣、福山潤、花澤香菜、黒田崇矢、立花慎之介、鳥海浩輔、嶋村侑、くじら、皆口裕子、本渡楓、中博史、井上喜久子、木村亜希子、小林ゆう、牧野由依
ネタバレ

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

ポコの可愛さと優しさでできている:*:・(*´ω`pokq゛

原作コミック 全12話 原作未読

◆ジャンル
ハートフル❤ ファンタジー


ほっこりゆったり心にじんわり
懐かしい匂いと、心にほんのり馴染むダシの香り♪

ここ”うどんの国” … そうこの国は…
ポコの可愛さと大人たちの優しさで溢れている―☆ミ


日常と現実 子育てとお仕事 

うさぎドロップ おおかみこどもの雨と雪 ばらかもん
なんかとちょっぴり同じ香りがしました.;*


無邪気で他愛もない子供たちのはしゃいでる姿って
もーどうにも可愛くって愛くるしくってたまりませんね♡

私がロリとか…変態だとか…
どーです?この際一切合切全部置いておいて考えてみませんか?

いやそれでもポコはかわゆすぎた:*:・(*´ω`pq”

ぅん♪ この可愛さは正に全人類共通の萌きゅん
ファクターだと思うんな(`>ω♡´)ゞキリ

それにしてもガオガオちゃん人気でしたねw 
見てくれに反して…中々心に迫るものがありますもんネ♪


香川 田舎 うどん 
といった土地柄の良さをしっかり描き
ほっこりと温かく頬が緩み、私は終始ニヤケっぱなしで、

そして大量の鼻m…( >д<)、;’.・ ィクシッ 失礼!!
涙が出る… 夢みたいでおとぎ話のような日常風景
とっても感動しました。:゚(。つдヾ。)

お姉さん好き♡ ぁとだーはまさん最高!!



甘やかすのも愛情 叱るのも愛情
親になるって、本当の意味で大人になるって
やっぱり大変なことなんだろうなぁ…

ぁたしのところも色々あったけど…
今思えばきっとただ少し不器用なだけだったんだ
そんな風に、今なら思えるかも…

可愛いくて愛おしくて堪らない気持ちになる((*ノДヽ゚+o。♡

あなたにとって家族とは…どんな存在ですか?
家族って…? 一緒に居るって…?

守りたい、ずーとこの手で守り抜くと決めた…
大切な存在…☆+(o゚∀゚从゚∀゚o)ぎゅ

人生における最高の宝物って… もしかしたら…
そーいうことかもしれないですね(✿´ ꒳ ` )

うどんのだし じんわり体に心にしみ入る
そんな心温まる暖かくて優しいお話し―



あーーーー最後に一言だけ言わせて下さい((人>Д♡))


ぁぅぁぅぅぅ・(ノД`。)・゚、


ぽ、ぽぽぽぽ、ぽ…



(´Д⊂グスン


ぽ、ぽ、ぽぽぽぽぽぽ、ぽk


ぽ、ぽっぽ~ ぽぽぽぽぽぽ~♪ ε(*゚θ゚*)з ♪


( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン




ち、違うんです… ポコが…ポコが…(。´ノω<`)。


{netabare} ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポポコポコポコポコポコポコポコポコポコ


ポコがかわいすぎるん●×△■※☆◆ぁぁぁぁああ(;´Д`)ハァハァ♡


ポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポコポポコポコポコポコポコポコポコポコポコ{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 40

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ほのぼの癒し系香川県観光案内アニメ

原作未読。最終話まで視聴。

今期の癒し系No.1はこの作品で決まりでしょう。
問答無用に可愛いポコに癒されっぱなしです。

あとは、毎話のタイトルにもなっている香川県の名所・名店の数々。
癒しと観光案内をドッキングさせるとは、恐るべし・・・。
この作品を見て、『香川に行きた~い!』って人、多いんじゃないでしょうか?
私は言うまでもなく、その一人です。

日常ほのぼの系には感動が良く似合う。
この作品もしっかり感動させて貰いました。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 37

ASKA さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

色々香川のことも知ることができる、ハートフルファンタジー系アニメ。

原作は篠丸のどか先生の漫画原作です。原作は未読です。
監督は宅野誠起さん、シリーズ構成は高橋ナツコさん。
アニメーション制作はライデンフィルム。
全12話です。

香川県を舞台にしたハートフルファンタジーアニメです。
香川のうどん屋の息子の俵宗太(30歳)が東京から帰省した時に人間の子供に化けたタヌキのポコと出会って、タヌキのポコを人間の子供みたいに育てていくハートフルなアニメです。

どちらかというと「飼う」よりも「育児」しているようで、宗太とポコは親子のようでほっこりしました。ポコが可愛いです。
また香川舞台にしていて、セリフが香川弁だったり、うどん以外の香川のものが色々出てきたり、Cパートでは作中作の子供向け番組ガオガオちゃんが実際に登場したりと全体的にほっこりした雰囲気のアニメでした。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 21

76.5 14 東京アニメランキング14位
イエスタデイをうたって(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (492)
1676人が棚に入れました
大学卒業後、定職には就かずにコンビニでアルバイトをしている"リクオ"。特に目標もないまま、将来に対する焦燥感を抱えながら生きるリクオの前に、ある日、カラスを連れたミステリアスな少女―“ハル"が現れる。彼女の破天荒な振る舞いに戸惑う中、リクオはかつて憧れていた同級生“榀子"が東京に戻ってきたことを知る。

声優・キャラクター
小林親弘、宮本侑芽、花澤香菜、花江夏樹、鈴木達央、坂本真綾、寺島拓篤、洲崎綾、名塚佳織、堀江瞬、小野友樹、喜多村英梨、前川涼子、遠藤大智、大塚明夫、小形満、川島得愛、小林千晃、田中宏樹、西山宏太朗、藤原夏海、本田貴子、諸星すみれ、天海由梨奈、村井美里
ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

リアルの功罪

久々に自分のレビューを読み返してみたら、
あまりにも幼稚な内容なので仰天してしまった。
今の自分が進歩したとは思えないが、仮にもう一度本作を観直したら
まるで違った感想を抱くだろうことはほぼ予想できる。
少なくともこんな風にリクオとハルを全肯定することはないだろう。
自分が彼らを肯定したのは間違いなく、自分と似ているからで、
それが見え見えなので恥ずかしいのだ。どうして気づかずにいられたんだろう…。
恥ずかしいものでも取り敢えず、伏せたまま残しておくことにする。

自分が無自覚に肩入れしていたのとは丁度真逆のケースとして、
ダメなキャラたちのダメな恋愛が吊るし上げられ、彼らの人間性までが断罪されるような
どこか殺伐とした空気に作品が包囲されている感じがするのだが、
それも多分、本作のキャラクターの親近度が過剰に高い結果であって、
要するにこの作品が持つ独特のリアリティーゆえの、ユニークな特徴なのだろう。
彼らがごく普通にダメなので、自然、ダメな我々の延長にあるように思えてしまうのだ。
彼らに向かって石を投げつけるか、否か―。観ている私たち自身が実は試されている。
そう考えると、この作品の味わいがまた深まってくる。


{netabare}
ここに描かれている恋愛自体は取り立ててユニークなものではない。
にも拘らず、その微細なディテールが観る人の心に響いてくる理由は
単に描写が丁寧だからではなく、この作品固有のリアリティーにあると考える。
そこにはこの原作者自身のかなり特異な現実への視線が反映しているのではないだろうか。
メタレベルと、物語の内部とをいわば架橋している「リアル」を抽出してみたい。


ストーリーの軸をなすのは、「停滞と変化」。
モラトリアム人間のリクオ。過去に囚われて立ち止まっているシナ子。
彼らが周囲と関わっていく中でわずかずつ、物語の中にリアルが浸透していく。
進むべき道を写真に見出してリクオの人生の視界が開けてくる。
シナ子もまた、現実から目をそらすのをやめ、過去を清算する決意を固める。

変化していく現実を受け入れれば人生に対して能動的になることができる。
物語前半部で描かれるものは、いわば「人生のリアル」の発見だろう。
もちろん、このまま終わってしまえばごく平板な現実礼賛に過ぎない。
作者の視線は、さらにその先にあるもう一つのリアルを射程に入れている。

この作品の中盤から後半にかけて、物語のフェーズの大きな転換がある。
進展中のリクオとシナ子の関係にどうしても注意が向いてしまうが
物語の核心はすでに別の場所に移っている。
リクオとシナ子の恋愛は「人生のリアル」の文脈におかれていた。
それを受け継ぎながらさらに深化させた「恋愛のリアル」の探求が開始されている。
それが、リクオとハルの本当の物語だ。


リクオの正社員への登用が二人の関係の転機になる。
はじめは喜んでいたハルだが、次第に遠ざかっていくリクオに対して
必死に追いすがることしかできない無力な、弱い存在である自分に気づく。
進行するリアルに取り残されてハルの存在は急激に、その輝きを喪失する。

ハルの心を間接的にうかがわせる、第十話の杏子のエピソード。
恋人に去られた杏子が諦めを口にする、
(でも、仕方がないのよ。大人になって
 守らなくちゃいけないものができてしまうのは・・)

この時、ハルの心象の中では、おそらくリクオのリアルが重ね写しになっている。
ああ、これが「大人の世界」なのか。自分とリクオを隔てているものはこれなのか・・・
(本当はさみしいに決まってる・・・)
杏子の今の気持ちを思いやったこの言葉はハル自身の心の声だ。

クリスマスの夜、部屋の外で待ち続けてようやく会えたリクオの前で
ハルは強がってみせるがそのたびに、想いがあふれ出してしまう。
ハルはただ、さみしくてたまらない。


ハルの変化を描く作者の視線は容赦なく、その心情の幼さを暴き出す。
一方で、さらに激しく揺れ動いているはずのリクオの心は、抑制された描き方によって
逆に雄弁に、効果的に伝わってくる。
スタジオの昼休み、物思いに沈みながらシナ子手製の弁当を
ぼんやりと機械的に口に運ぶ痛ましいような彼の様子を、淡々と描き出す。

自分はハルに真剣に向き合うことができず、曖昧に遠ざけて仕事に逃避していたのだろうか。
自分に対するこんな不信感で、シナ子にも真っ直ぐ向き合えなくなってしまっている。
「人生のリアル」として、順調に進んでいたはずのものがまた停滞する。


ならば、本当のリアルとは何だろう。そう作者は問いかけているのだろうか。
様々な口実を設けて人はそれを回避し、解答を先延ばしにしようとするが
それでもなお、決断を迫ってやまないもの。
現実に素直に従った結果、たまたま成立したような消極的なものではない
主体的な決断によってのみ獲得されるリアル。
少なくとも、「恋愛のリアル」はそのようなものであるはずだ。
ハルを選ぶという決断。それが本当のリアルの発見になる。
最終話の大どんでん返しへの布石は打たれた。

世田谷線の車内で、リクオは自問自答する。
(自分勝手で何が悪い。)(俺は自分の心に正直になるって決めたんだ。)
要約すれば、「これが本当の自分なんだ」。
恋愛とは本来、どこまでも自己本位な感情だ。
だから、「恋愛のリアル」の発見は「自己のリアル」の発見の契機を同時に含んでいる。
そして、恋愛は相手に向かってそれを表現し、受け入れられることを願う、
自己を賭けた、表現的な行為である。

二人の再会の場面。
リクオは不器用に、渾身の自分のリアルをハルに投げかける。
ハル:「うえっ? 実体?!」
この反応は一見突飛に見えるが、果てしなく長かった内面の彷徨いから
いきなり現実に飛び出した瞬間の驚きをごく自然に表している。
ハルもまた、リアルに触れた瞬間だ。


最終話はさながら対話劇の趣。これまでの濃密な心理描写からの一気の方向転換で
いわば内圧の落差が生じてしまったように、浮いてしまっている感がある。
尺不足もあって、エピローグ風に結末をまとめたのもやむを得ない判断なのだろう。
だがその結果、シナ子がおまけみたいになって、全体のバランスを著しく損ねたのは惜しい。
最後は、彼女本来のロマネスクなイメージを投影したワンシーンなどを加えてほしかった。
公園のベンチに一人で座っている後ろ姿とか。(作中でも、後ろ姿のよく似合う人でした。)

浪の場合は、スケッチブックに残されていたシナ子の「実物」が現れる、というラスト。
ハルの「実体?!」と対にすると、これから始まる彼らのリアルへの予告と解せる。

・・・・・・・・・

恋愛って何だろう。と、ハルがつぶやく。
ヴァレリー曰く、恋愛とは二人で馬鹿になることである。
私の知る限り、これ以上の至言は他にはない。
だから大丈夫、君たちならきっとうまくいくよ。
{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 23

リアム・ギャラガー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

愛とはなんぞや?

久々に自分が求めていたアニメに出会えました。

時代背景が2000年代で勿論インターネットもあまり普及してなく、携帯電話も無く、実際に会いに行くという時代。だからこそ伝わる心の想いや、悲壮感など。とにかく時代背景を上手く活かしています。

タバコの銘柄が昔だったり、コンビニの品揃いが良い意味で悪かったり、何よりどこでもタバコが吸える時代なので主人公の喫煙シーンにはかなりこだわって作っていたのではないかと感じました。

キャラに関しては全員が良い感じにめんどくさく、良い迷惑と言いたくなるくらい真っ直ぐな青年期と、年頃の大人の汚い所を上手く表現されています。
キャラに苛立ちを覚える度に、動画工房さんの掌に乗ってるな〜と思いました。

キャストの方々達はとてもキャラクターに合っていました。小林親弘さんの声が良い意味でどこにでもいそうな感じですごく聞いていて心地良かったです。

2000年代と言っても、黒電話やおそらくスーファミなど、主人公のリクオは昔の物をずっと使い続けるタイプなんだろうなと思いました。性格を上手く部屋のオブジェクトなので再現していた。

無言のシーンの演出が素晴らしいです。部屋に響く暖房の音、空気、息遣い、という微妙な演出が良いので個人的には是非イヤホンかヘッドホンをして視聴していただきたいです。

曲に関してはOPが無くEDに3つの曲を持ってきている。このOPがあえて無いというのが、またこの作品のお洒落さを引き立てていると感じました。
EDの3曲は個人的にどれもビーフジャーキーのように、聴けば聴くほど味が出てくる曲だなと感じました。どの曲も作品を上手く表現しています。

ですが何より僕が推したいのが"劇伴"です。この劇伴がとても素晴らしかったです。キャラクターそれぞれに特有の劇伴があり、切なさや年頃の男女の物思いに耽るシーンをピアノで繊細に表現されていたり、リクオの朝や仕事の雰囲気を感じるものをアコギで制作されてるものなどがあり、個人的にこの劇伴で作品の半分は決まっていると感じました。未だにサントラを発売していないのが不思議でなりません。

2000年代の青春群像劇というのがまた新鮮で、今の時代の物と比較してみるとやっぱり携帯電話が無いというだけでこんなにも美しさが違うんだなって思いました。もちろん携帯電話がある今の時代を悪いとは言いませんが、携帯電話で欠けてしまった美しさというものがやはりあったのかな。と思いました。
今とは違う2000年代前半の恋愛模様を感じることごでき、さまざま年齢層によって感じ方が違う作品になっています。

ただ漠然と見るのではなく少しの描写に強く力を入れている作品なので、そこを注目して見ていただきたい。

登場人物の強い所、ダメな所、嫌な所、人と人との心を繊細に描いている作品。最後の最後まで「愛とはなんぞや?」というテーマが根底にあることを忘れさせない。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 30
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

ゆらぎ(※配信限定エピソードを再視聴して)

アニメーション制作:動画工房、
監督・シリーズ構成・脚本:藤原佳幸、
副監督:伊藤良太、脚本:田中仁、
キャラクターデザイン・総作画監督:谷口淳一郎、
総作画監督:吉川真帆、原作:冬目景

作品タイトルと同じ、10話からのED主題歌が印象的だ。
ブルージーなギターからは60~70年代の薫り。
調べてみるとRCサクセションの
初期の曲のカバーだった。
発売はやはり1970年。
『イエスタデイをうたって』は、
ビートルズの『イエスタデイ』を歌って欲しいと
せがむ少女についての曲だ。
ちなみにビートルズの『イエスタデイ』は、
母を失ってしまった今の自分は、
失ってしまう前の昨日の自分とは
全く変わってしまったという深い哀しみの曲。
『イエスタデイをうたって』という作品のタイトルは、
原作の冬目景が最初に考案したものを
編集者にダメ出しされて思いついたものだった。

主人公は、大学を卒業しても自分探しのために、
モラトリアムな状況を続けている魚住陸生。
いかにも、ひと昔前の人物像だ。
ある日、鴉を連れた少女・野中晴(ハル)と
アルバイト先のコンビニで出会ったことで物語が始まる。

1話ずつの完成度がとても高い。
感情の機微を丁寧に掬い上げていく。
まるでオムニバス形式に感じるほど、
序盤は余韻を残しつつ完結し、次の物語へと続いていく。

ひと昔前の年代を感じさせる時代背景。
携帯電話がなく、黒電話やカセットテープなどの
グッズが懐かしい。コンビニに外人がいない。
若者の思考にも時代性を感じさせる。
自分自身が青春時代を過ごしたころなので、
余計に感慨深くなる。
視聴すると昔の感情が呼び覚まされる。

振り返ってみると、舞台となっている02年ごろは、
バブルがはじけたといえど、
経済的にはまだ安定していて生き方の自由度が広がり、
価値観がより多様化した時代だった。
私たちは自分に正直に生きることを望み、
本当に大切なものを手に入れようとあがき続ける。
自身の心に問いかけ続けるあまり、何もできなくなる。
でも、欲しいものが必ず手に入るとは限らない。
人はどこかで、その望みに折り合いをつけて
いかなければいけないが、それをできる人と
できない人にはっきりと分かれていく。
なぜかと言うと、いつまでも追い続けることが
可能なほど自由度が高いから。
だから、動き出しても、またすぐに
立ち止まってしまうことになる。

そんななかでも人は年を取るごとに
何かを得て、何かを失いながら変わっていく。
2度と戻ってこないものもある。
懸命に生きているときはそれに気づかない。
何かが終わっても、ただ寂寥感だけが積もっていく。
でも、私たちは進み続けていくしかない。

主要人物はほぼ4人だけ。
彼らは皆、長い時間をかけた行き場のない心を抱えている。
物語が動かないため、退屈だと感じる人も多いだろう。
しかし、停滞しているようでも
登場人物の心は、いつもゆらいでいる。

空気感の演出が抜群に優れている。
桜の儚い美しさ。一方通行の想い。
「死」を身近に感じる状況。
哀しみがこみ上げる瞬間。
二度とは戻ってこない日々。
そのときのシーンに応じた劇伴も効果的で、
観ている者の心を動かす。
繊細で大切なものが零れ落ちていく。
目や手の動き、仕種、ちょっとした沈黙。
心を映しているような描写だ。

彼ら4人はずっとゆらいでいるが、
周囲の人々は、決意して前に進みだす。
ハルの同級生の湊航一や陸生の元恋人の柚原チカ。
決着をつけて自身のなかに何かを見出す。
陸生自身も少しずつではあるが前進しようとする。

軸は4人のラブストーリー。
とはいえ、この作品の核の部分は、
陸生と榀子の心情のゆらぎにある。
自分の心の在りかをずっと探っている。
似たもの同士、受け身気質のふたりが
歩んでいく方向を見つけるために
真剣に迷い続ける物語といえるだろう。
そう考えると、納得感のあるラストだった。

陸生の気持ちのゆらぎは、
世田谷線の車内での独白に集約されている。
自分で自分の心が分からない。
正直さ、誠実さを突き詰めようとすると、
自分の本質がゆらいでいくように感じる。
それでは、どうしたらいいのか。
物事を論理的に考えるのではなく、
感覚的に捉えることだ。
自分の心がどこにあるのか。
もっとシンプルに考えるべきだ。

{netabare}ひとつ残念だったのは榀子の心の動きを
描き切れていないこと。
2話からずっと榀子の心模様を
繊細な描写で追ってきたのに、
最後の段階では、井の頭公園での陸生の言葉に
全て任せきりになってしまっている。
アニメを観ているだけだと、榀子がどのように
自分自身に決着を付けたのかが理解できない。
もちろん、想像することはできるが描写不足は否めない。
だから榀子だけが身勝手な女性に見えてしまうが、
個人的にはとてもリアリティがあるし、
現実の人物像もひとりふたりは思い浮かぶ。
作者がどのように捉えているのかは関係なく、
情の深いキャラクターだと思う。
原作は未読なので分からないが、
単純に尺が足りなかった可能性もある。
ラストに向けては、2話分くらいかけて
ふたりのやり取りを突っ込んで欲しかった。{/netabare}

タイトル面から作品を考えると、
ハルが主人公のようにも思える。
そもそも作者が最初に考案していたのは
「ハル」というタイトル。
{netabare}ハルは陸生に近づいたことで、
以前よりも臆病になってしまい、
自分が変わってしまったことを自覚する。
これは『イエスタデイをうたって』の詩にもつながる。
だとすると、この作品はハルや浪の変化を
目の当たりにした陸生と榀子が
それに押し出されるようにして
一歩踏み出そうとする物語とも言えるだろう。{/netabare}

原作の量からすると、1クールでは厳しかった感はある。
ショートアニメ&ラジオドラマで補完しているが、
若干の消化不良感は残った。
ただ、作品は全話を通して、とても丁寧な仕上がり。
それぞれの動きや言葉にリアルを感じる。
懸命に生きている人間の息遣いが聞こえる。

4人が歩み出す先にささやかな幸あれ。
(2020年7月4日初投稿)

原作を読了して(2020年8月9日追記)
{netabare}ここのレビュアーさんから、アニメとは大きな違いがあり、
とても良い作品であることを聞いて原作購入。
つい先日、読了した。

漫画を読んで再認識したのは、
アニメの完成度がとても高いことだった。
漫画を読んだ後に自分のレビューを再読したのだが、
この作品に対して感じたことは、
原作読了後も基本的には変わっていないし、
大切な部分は、ほとんどアニメでも
表現しているのではないかと改めて思った。
もちろん、漫画とアニメとは表現方法が違うため、
コマで感じることのできる微妙な「間」や
心情のゆらぎは、圧倒的に漫画のほうが優れている。
11巻も巻数があるので、登場人物も多いし、
人間関係も複雑になっている。
最初のレビューで書いたように榀子の心情について、
アニメでは圧倒的に描写不足。
しかし、それにも関わらず、私のアニメに対する感想は、
漫画を読んだ後でもほとんど変わりはなかった。
それは、凄いことではないだろうか。
アニメでは、漫画で登場する重要なふたりの人物を
完全にカットして物語を短くしているにも関わらずだ。

例えば同じように原作を短くしたアニメを視聴してから、
原作を購入した『はねバド』という作品がある。
放映時には原作が未完だったので、
全く同じ状況ではないが、原作を大幅にカットして
物語を再構築したことは同じだ。
こちらもアニメは、なかなか面白かったが、
作品としては全くの別物といっていいほど
原作とは違ってしまっていた。
再構築とは普通はそういうものだろう。
しかし『イエスタデイをうたって』は、変わっていないのだ。
作品をじっくり咀嚼して大切な部分だけを残して
アニメとして作り上げている。
スタッフの多くは原作のファンという話を
どこかで読んだが、それは原作とアニメを
両方味わってみれば、とても納得できる。

漫画とアニメにおける大きな違いは「時間の流れ」だ。
この物語のひとつの軸は、陸生と榀子が出会って
別れていくまでの話になる。
長年、片思いしていた陸生が榀子を手に入れながら、
そこで葛藤して別れを決意するまでには、
劇的な出来事でもない限り、それなりの時間や葛藤が必要だ。
ところがアニメでは、付き合ってから、
大した理由もないのにすぐに別れてしまう印象。
じっくり物事を考える陸生の性格からすると、
あり得ない展開ともいえる。
それは榀子についても同様だ。
榀子は、自分の感情と理性の間でずっとゆらいでいるわけだが、
アニメを観ていると、それまでのスローな時間が
最後になって急加速して自身も納得するという
どう考えても受け入れがたい流れになっている。
ただ、これは尺の問題であって、
限られた時間のなかで、スタッフは最良の仕事をしたと
漫画を読んで感じた。

それでは漫画はどうなのか。
アニメ同様、繊細な心情描写を
時おりオーバーアクションを挟みながら独特のリズムで
紡いでいく。バックボーンとして私が感じたのは、
冬目景が大ファンだったという高橋留美子だ。
高橋留美子は、80年代に女性漫画家が少年誌に
連載するという画期的な立ち位置を確立した人物。
同じ女性漫画家として目指す人だったようで、
冬目景も当初はギャグ漫画を描いていたそうだ。
だから、この作品でも若い巻数のころは、
ギャグテイストに共通点のようなものを感じさせる。
それと、何人かの人も指摘していたが、
榀子=響子さんというのは、影響しているだろう。
私が感じたのはハル=ラムだった。
作者は意識していないかもしれないが、
やはり自分の好きな作品の影響は
どこかに出てくるものだ。

また、これは私の勝手な想像だが、
高橋留美子が自身を投影していたのは、
しのぶであり、響子さんであり、あかねであり、
かごめであるのだが、『イエスタデイをうたって』でも
自身を投影して、思い入れが深いのは、
榀子ではないだろうか。
作者自身はインタビューで榀子を「毒」と呼んでいるが、
これはある意味、自虐だから言えるコメントであって、
自分のなかにある「面倒臭い」部分を
抽出した人物像ではないかと思っている。

榀子の「純粋な無自覚」が相手を傷つけるのは、
多かれ少なかれ、人間関係のひとつの形だ。
榀子は世話焼き女房のような性格で、
自分の近しい人の部屋を掃除したり、
料理を作ってあげることを全く厭わない。
それが浪の父親にいつまでも頼られる
原因にもなっているが、
無意識に人の世話をすることで、
相手から好意を持たれてしまう。
しかし、その気持ちに最終的に応えることはない。
確かに考えるとなかなか厄介だ。
陸生が榀子を好きになった銀杏のエピソードも
そういう榀子らしさがよく出ている。

漫画とアニメとの最大の違いは、
陸生と榀子が関係を解消することになった
心情描写だ。漫画のほうが積み上げる
エピソードが長いので、
読者の心にも同じように積もっていく。
陸生がハルを想う気持ち。
榀子の場合は、ライバルの莉緒が登場してからだが、
その複雑な心情は繰り返し描かれる。
しかも、その対比として雨宮とみもりという
幼馴染の関係性もクローズアップされる。
徐々に焦点が合ってくる感覚がある。

決定的な出来事は、陸生の兄の結婚祝いに
まつわる部分で、陸生がキスをしようしたとき。
陸生の手が紙切れにふれることで
ハルに対する気持ちのゆらぎが表現される。
榀子は、表情や仕種によって
我慢のようなものが描かれる。
そういう意味では、陸生の決断は納得できるものだった。
そして、リアクションや表情、
自宅に戻った後の描写によって
榀子の気持ちも明らかになる。
このシーンはよくできているが、
時間的な理由でアニメでの表現は難しかっただろう。

ここまで、ハルのことをほとんど書いてこなかったが、
私が思うに、ハルはラムであってファンタジーなのだ。
どちらかと言うと、こういう子がいたら可愛いなと
思わせるキャラクターで、あまり実在感はない。
高橋留美子は最後までラムのことを
自分では理解できないキャラクターだったと語っている。
それは冬目景にとってのハルと
似たようなものではなかっただろうか。

表向きの主人公はハルだが、
やはり真の主人公は榀子だったのだろうというのが
漫画を読了したときの感想だった。
漫画本編のラストは、榀子が桜を眺めながら
穏やかな表情で歩く姿なのだから。{/netabare}

配信限定エピソードを再視聴して(2023年4月16日追記)

{netabare}放映当時にアニメを補完する物語として
配信限定で観ることのできたエピソードが
改めてdアニメストアで再配信された。
それを観ていて感じたことがあったので追記したいと思う。

この作品のアニメ本編は、分かりやすくするために
原作とは違ってほぼ4人の登場人物に絞っており、
いろいろなことを内省することをメインに構成されている。
私は、この作品を観ていて、
時代背景などから懐かしさを感じていたのだが、
別の側面から捉えると、多くの人々が「常識」と考える
男女関係の在り方そのものが
硬直化していた時代でもあったのだと思った。

この作品の時代背景は2002年ごろだと先のレビューで記したが、
それは作者がインタビューで答えていたもので、
実際にこの作品に通底している時代は、
70年代から80年代ごろではないかと感じる。
そもそも『イエスタデイをうたって』という
古い曲をタイトルにしていることだけ考えても
作者の心のなかにある時代が想像できる。

だとすると、この作品に対する見方も少し変わる。
陸生と榀子は、お互いのことが好きだと思って
付き合い始めるのだが、それは陸生がハルという
年下の少女のことを好きだという感情を
封印するためだったと考えることもできる。
榀子の場合は死んだ恋人の弟で、学校の生徒でもある浪に
特別な感情を抱くことは、社会の常識から外れた行為だと思ったために
陸生からの告白を受け入れたともいえる。
ふたりの男女が「時代の常識」に囚われた結果、
最初から「愛」というものを勘違いしていたのかもしれない。
個人的には、これが2002年という年代なら納得ができないが、
70年代~80年代の時代背景なら妙にしっくりくる。

そのことを象徴しているといえる
配信限定エピソード内にある陸生の独白を紹介しよう。

男女の友情は存在するのか。
そんな答えのない永遠の謎に
大人になれないオレは、自分の感情を誤魔化しながら
自分の都合のいいように生きてきた。

これはオレの悪い癖だ。
自分の好きなカメラだって、諦めるわけでもなく、
ただその欲求をずっと抱えていた。
答えを出すのが怖くて、答えが出るのが怖くて、
結末が怖くて、ずっとこのままでいいと、
いつか忘れてしまうことを待っていたんだ。
それは居心地がいいようで、息苦しい空気が漂っていて。

何かに変化を求めていた。
何かに期待していた。
変化を求めながら、自分から変われない自分が情けなくて、
そんな後ろ向きな動機でしか頑張れない自分を変えようとした。
その結果、自分のことしか考えていなかった結果、
傷つけてしまった。

失ってから気づくような愚か者で、
これからも同じような過ちを繰り返すかもしれないけど、
オレにできる限り大事にしますので、
これからもよろしくお願いします。

ハル:60点。
陸生;え!?
ハル:前半、榀子先生とのことじゃん。
言い訳ばっかじゃん。
大事な私と具体的にどうなりたいかが明確じゃない。
やり直し!

先ほどの独白は、陸生のラブレターなわけだが、
アニメオリジナルの部分。
しかし、このアニメをとても上手く表現している。
今さらこんなことをまた書いてしまう私は、
やはり、この作品のことが好きなのだと思う。
これまで、お気に入りの棚に入れるのは、
自分の総合点が4.6点以上の作品と決めていたが、
この作品は、例外としてお気に入り作品にすることにした。 {/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 84

73.7 15 東京アニメランキング15位
東京リベンジャーズ(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (363)
1316人が棚に入れました
人生どん底のダメフリーター花垣武道(タケミチ)。中学時代に付き合っていた人生唯一の恋人・橘日向(ヒナタ)が、最凶最悪の悪党連合"東京卍會"に殺されたことを知る。事件を知った翌日、駅のホームにいたタケミチは何者かに背中を押され線路に転落し死を覚悟したが、目を開けると何故か12年前にタイムリープしていた。人生のピークだった12年前の中学時代にタイムリープし、恋人を救うため、逃げ続けた自分を変えるため、人生のリベンジを開始する!

声優・キャラクター
新祐樹、和氣あず未、逢坂良太、林勇、鈴木達央
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

元ヤン、母校に帰る。

【紹介】
元ヤンがヤンキーやってた中学生時代にタイムリープして未来を変えるため奮闘する話。
暴力や殺人など刺激的なシーンが多いので苦手な方はやめたほうがいいかも。
シナリオはかなり雑で粗が多いけど面白い。
特に主人公の行動の妥当性のなさと、タイムリープの取り扱いの適当さが酷い。
キャラクターの魅力がすべてかもしれない。
バジ君、ドラケン君、ミツヤ君、マイキー君、千冬あたりが特に好きです。

きさきも含めて敵対するキャラにほぼ人間的な魅力がないのが欠点かも。
味方の魅力を描くのは上手でも、敵の魅力を描くのは苦手なのかな?

【タイムリープについて】
{netabare}
タイムリープはかなりご都合主義というか、いい加減ですね。
過去と現在を行き来して過去の出来事が未来に影響及ぼすのはいいのですが、その影響がかなり大雑把ですね。
それに、未来にいってる間のタケミチや過去変えた後未来に行くまでの十数年は当時のタケミチが自分の意思で動いている設定ですが、そのタケミチは大人の記憶がないので、あんな都合よく話が進まないとおもう。
細かいこと気にしないほうがよさそうです。
{/netabare}

【シナリオ】
{netabare}
タイムリープだけじゃなくシナリオも結構いい加減。

最初はヒナを助けるという明確な目的があったけど、その目的がいつの間にか暴走族の仲間を助けることにすり替わっていて、まずはヒナの安全確保という誰でも思いつくような当たり前の安全策をとらずに、ふつうはどうにもできるわけがない不良の抗争をなんとかすることばかり考えていて、都合のいいときだけヒナを助けるために根性で身体はってんだ!みたいな空気出すのがおかしいと思う。

最初からヒナは誰かに命狙われているわけじゃなくて、事故に巻き込まれているだけなんだから、抗争を止める必要なんてないんじゃないの?
タケミチが何度もタイムリープする動機付けのためだけに関係ないのに殺されるから不自然な感じがする。

きっかけはヒナを救うためでもいいけど、とりあえずヒナの安全を確保して、ドラケン君たちを気に入ってしまったから助けたいという風にタイムリープする目的を切り替えれば良かったと思う。

どっちかというと命狙われているのはヒナじゃなくてタケミチなわけで
劇中でもタケミッチ自身も提案していたが
事件の日付と場所だけマサトとヒナに伝えておいて、この日は絶対にここに近づかないようにって言うのが一番確実で安全な方法だと思う。
ふつうはまずこれを試そうとする。

その方法はマサトが、変な奴だと思われて嫌われるだけだからやめとけって言って止めるけど、これがこの作品で一番おかしいところ。
大事な姉の命かかってるのに何言ってるの?って思った。

それにヒナの性格からしてその程度で嫌うような子じゃないでしょうに

{/netabare}


【キャラクター】
{netabare}
こういう世界と全く縁がないので詳しくないですが、これって昔の暴走族ですよね? 
今はあんまりここまでベタな暴走族なかなかいない気がしますね。
登場キャラは多いが重要な人物とモブの書き分けもしっかりしているしキャラづけがしっかりしているので誰これ?ってのがあまりない。
生き方がカッコいいキャラが多くて魅力的。

残念なのはキサキ。
敵だからというのを抜きにしても魅力が低いですね。
やたら脅威感を強調されていますが、そんなに脅威でしょうか?
現状、ただの詐欺師ですよ?

こういう詐欺師キャラで本人の力が強くない場合って、
たいてい根っこがしょうもない場合が多い。
底がすごく浅そう。

圧倒的な力を持っていて、手が届きそうにない圧倒的な差があるって感じなら良かったんだけど、そうでもなくて
もし演技じゃないのなら、頭もそんなに良くないし、強くもないと思う。
暗躍するのも、そんなにうまくやっている感じもしない

それなのにみんなして、「きさきがこえーんだよ」「とにかくやべーんだよ」ばっかりなのが冷める。
なんでこんな口先だけの詐欺師にビクビクしてるの?
{/netabare}

【バトル】
{netabare}
自分のチームの総長が敵に囲まれて、卑怯な方法で一方的に攻撃されているのに、ぼーっと見ている人多すぎ。助けに行ってあげて。

あと、乱戦中に刃物で刺されるシーン何度かあるけど、刺した人は殺す気で刺していて、刺された人は無警戒で、不意打ちに成功しているのに、なんか変な場所刺しているのが雑だった。

マイキー君の兄は、あの武器の重さと一虎の叩き方からして一撃で即死になるでしょうか? 
ドラケン君はあの出血量だとたぶん死ぬと思うし、バジ君はあの位置刺されてもたぶん死なないと思う。こういうところもよくわかんなかった。


{/netabare}

【音楽】
主題歌はOPもEDもかなりの良曲で作品のテーマにもよくあっている。

【総評】
変なところで終わりますね。
このあとどうなっちゃうんでしょうか?早く続きが見たいです。
細かいことを気にしなければ面白いアニメだと思う。

投稿 : 2023/05/27
♥ : 32
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ヒットするには理由がある!、、、が。

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
リアタイでは、「タイトルがダサ過ぎると思った」ので、視聴をスルーしていた(笑)のですが、流行ったアニメですし、A-TXの一挙放送で観ました。

なる程、面白い。個人的には「鬼滅の刃」よりも好きですね(呪術は未視聴)。

私自身がヤンキー漫画大好き(全部合わせると200冊くらいは読んでるな~w)なこともあり、コンプライアンス的なことは気になりませんでした。リアルヤンキーは嫌いですが、フィクションヤンキーは好きなんですよ(笑)

中盤まではとても面白く、☆5もチラっと考えるくらいだったのですが、終盤で評価がガタ下がり。危うく☆3にするところでした(苦笑)

レビューでは、まず本作を絶賛し、その後に不満に感じた一点の酷評を書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
非常によく作られた作品だと思った。

元々、「新宿スワン」を描いていた人だけに、社会の闇や人の闇的な話は得意。しかし、現代の若者に、潜在的なヤンキーへの憧れはあったとしても、(ヤンキー漫画全盛期の)昔のようにリアリティがあるわけじゃない。

そこで、花垣武道という「弱キャラ」を主人公に据える(まあ、「特攻の拓」だけど)。

彼の、一歩引いた位置からの視点は、視聴者の視点だ。彼は特別な力は持たないし、強くなるための努力もしない。あるのは根性と綺麗事だけ。それなのに、なぜか上手くいく。周りに助けられながら。

ある意味これは、なろうの系譜だ。

もっとも、それを感じさせないところに、作者の力量がある。

というか、サブキャラの魅力に救われたよね、実際。

また、コメディ色の強いところは、近年で言うと、「今日から俺は」のヒットも取り入れているのかもしれない(バイオレンスな作品だけに、Cパートのちびリベは効果的だった。あれはアニメスタッフの手柄だな)。

(まあ、個人的には「湘南純愛組」のノリに近いと思ったけど。)

作画、バトルシーン、キャラデザ、音楽。全部クオリティ高い。

近年トレンドの転生要素と、近年の若者に馴染みの薄いヤンキーものをブレンド。

そこに更にシュタインズゲートをふりかけている。

これは「鬼滅」でもそうだが、「主人公が頑張る、キレイな理由」というのは、今の時代のアニメには大事なんだと思う。昔以上に。

「鬼滅」は、ようは単なる鬼退治なのだが、「妹のため」。本作は、ようは単なるケンカなのだが、「恋人のため」「友達のため」。そういうキレイな理由が暴力を正当化させ、女心や子供心を掴むのかな?(知らんが)

まあ、そういう既視感は低評価の理由にはしないけどね。

同じように面白い要素を混ぜようと、つまらない作品しか作れないことも多々ある。まるパクりしてないならば、この面白さは充分に作者の力量と言って良い範囲だと思う。

そして、散々ヤンキー漫画の名作に触れ、たくさんのアニメを観てきた私達には、色々浅く見えても、今の子供達やアニメに縁遠い人達に受けなければ、アニメの裾野は広がらないのだから、本作のようにヒットするアニメが出るのは、1アニメファンとしては歓迎したい。


と、ここまでは絶賛。

ここからが酷評。


とにかく納得いかなかったのが、場地圭介の「死に様」。死んだことがじゃなくて、「死に様」。

マイキーに一虎を殺させたくない、一虎にマイキーを殺させたくない、東卍を守りたい。だから、瀕死の状態で自決を選んだ。それは分かる。

でもだったら、自分が死ぬ前に稀咲を刺し殺すべきだと思う。もし、それがかなわなかったとしても、死の間際に遺言を託すなら、(千冬はともかく)武道よりマイキーでしょ、絶対に。

「マイキー、一虎を許してやってくれ。あと、稀咲は敵だ。東卍に近付けるな。俺からの、最後の願いだ」

くらいをマイキーに言えば、稀咲は終わりでしょ。何てったって、大好きな場地の命をかけた願いだ。

私は理系ではないので、タイムリープの齟齬的な話はどーでも良いんですよ、結構。

そのかわり、文系だからか、人の心の齟齬的な話には納得いかないんすよね、大分。

あれだけマイキーのことが大好きな場地が、あそこまで動ける状態で、マイキーよりも武道に遺言を残すなんてあり得ないと思った。場地は、もっと賢く、もっと情に厚いキャラクターでしょ。

この一連の流れは、ドラケンが刺されるのと同じような展開だが、そこから変化をつけるため。また、ドラケンは(重要かつ格好良すぎて)殺せないから、「ドラケンみたいに格好良いキャラを作って、代わりに殺した」ように見えてしまった。

また、場地が今後も生きていれば、「ラスボス」の稀咲を活用できないし、場地の遺志を継ぐことで武道を(キャラ的に)強くするという効果を狙ったのだろう(ONE PIECEもキングダムも、強キャラの遺志を継ぐのは定番だよね)。現に武道は出世した。

そういう作為が透けて見えてしまい、せっかくの熱いアニメに、水をさされた気分になってしまった。「作品のために生み出され、殺されたい場地が可哀想に感じた」。それが、本当に残念だった。

せめてもの演出として、動けない場地が大声で叫び、視線を集めて、寝たまま自分の腹を刺す。偶然近くにいた武道と千冬だけが場地の最期の言葉を聞けた。

もしくは、「このことを知れば、マイキーは稀咲を殺す。頼む、マイキーを人殺しにさせないでくれ。お前達の力で、稀咲を東卍から追い出してくれ」と、武道や千冬に頼むか。

くらいなら、ギリギリ納得できたかな。

まあ、気になる終わり方でもあるし、全体としては面白かったので、二期があったら確実に観ますし、ていうか、原作を買いたくなるくらいな好きでした、久しぶりに。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
タイムスリップ+ヤンキー漫画。今のトレンドと昔の焼き直し。

2話目 ☆4
なる程、悪い→良い、のタイムリープじゃなく、良い→悪い、のタイムリープか。まあ、無い→悪い、とも言えるか。

3話目 ☆3
正義の不良系? マイキー、王道キャラだな。難しいな、不良の格好良さ。一般人に迷惑かけたらな。

4話目 ☆4
ナオトと握手(笑) わりといったりきたりするんだね。現代も緩やかに変化と成長をしていく。あっくん。飛び降りのリアルさを出すあたりが、攻めてるよな。

5話目 ☆4
ドラケンの格好良さ。Cパート、笑えるな(笑) 

6話目 ☆3
マイキーとドラケンの出会い。流石にタケミチも、もうちょい活躍しないとな。

7話目 ☆4
ウンコで仲直り(笑) コメディの強さも特徴。まあ、これでは終わらないよな。もうひと波乱あるよな。許してねーぞ(笑) これ、ドラケン死ぬ流れ? もったいないキャラだけどな、死ぬには。そんで、ドラケンの代わりに、タケミチがなっていく話になるのかな。


8話目 ☆4
なるほどね、ここで仲直りの伏線。ケンカ中なら来ないか。

9話目 ☆4
スリーパー。さて、ドラケン、助かるか?

10話目 ☆4
ドラケン、助かるか。そして、違う世界線から、違うトラブルが。いや、左手刺されてんだら、入院だろ(笑)これ、ナオトの方の記憶の在りようが気になるな。どういうシステム?   

11話目 ☆4
ネックレス付けてるのがね。ナオトのイライラ(笑) 変わってない。

12話目 ☆4
まあ、シュタインズゲートに至る道は簡単じゃないよな。

13話目☆3

14話目☆4
場地。敵か味方か。どっちかな。

15話目☆4
虎穴に入らずんば虎児を得ず、だな、まんま(笑) ケンカが正当化される設定だからな。

16番目☆4
マイキー、格好良いな。なるほど、マイキーの兄貴殺したのは、一虎か。

17話目☆4
一番隊副長、千冬。ここにも格好良い男が。武道、次は一番隊隊長になるのかな。

18話目☆4
一虎は、マイキーに殺されたいのかな。場地は、一虎も救いたいし、マイキーも救いたいし。実写映画のメインシーンだよな(笑)

19話目☆3
流石に作画ヘタってきたかな。大事なシーンだけに、枚数が少ないのは残念。

20話目☆3
基本、ドラケンの時と同じ展開。じゃあ、流石に場地は死ぬかな?

21話目☆1
とっとと全員でマイキー取り押さえろよ。場地の行動もワケわからん。それでマイキー止まるか? だったら、稀咲を刺した方が効果的では? それか、死ぬ間際に伝えるべきは、マイキーにでしょ、稀咲が敵だって。

22話目☆2
ここで回想。いや、死んでても救急車だろ。放置して帰るか? ドラケンは(格好良すぎて)殺せないから、ドラケンみたいな奴を殺したとしか思えないな。んで、死んだ後にキャラつけてくのも、あまり好きじゃないな。

23話目☆3
ここで日常系か。さて、どう締める? まあ、中学生だしね(笑)

24話目☆

{/netabare}

投稿 : 2023/05/27
♥ : 21

かりんとう さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

意外な作品でした

あらすじ
26歳のフリーターとして底辺の生活を送っていた花垣武道は、中学時代の彼女だった橘日向が弟の直人とともに暴走族東京卍會(東卍)の抗争に巻き込まれ死亡したニュースを目にする。翌日、バイト帰りに何者かによって電車のホームへと突き落とされた武道は、轢死を覚悟した瞬間に人生の絶頂期だった12年前の2005年にタイムリープする。不良仲間と共に渋谷の中学へ乗り込んだはずが、地元の一大暴走族だった当時の東卍に袋叩きにされる過去を追体験した武道は、偶然直人に遭遇。彼に日向が12年後殺される運命であると伝えた結果、武道は死を回避した直人に命を救われたという結果に改変された2017年に帰還する。武道は直人の奮闘むなしく日向が殺害された事実に加え、自身が直人との握手によって12年前にタイムリープできることを示され、日向を救う覚悟を決め、最悪の未来を変えていくと共に武道の成長を描く物語。

週刊少年マガジンで2017年から連載中の漫画ですが、自分は広告で見るまで知らなかったです。
「ただのヤンキー漫画か?」と思いきやタイムリープとかSF要素もあり、変えたい未来を何者かが阻んできてサスペンス要素もあり、ただのヤンキー漫画じゃなかったです。

今のところ1話~最新話までアニメを観てますが面白いです!
ギャグなど少年漫画感を出しつつも、後が見えない展開でストーリーも面白いです。
ですが「ヤンキーはカッコいい」にはいくらタケミッチ達がいい子達でも理解できないです(^^;

投稿 : 2023/05/27
♥ : 4

75.6 16 東京アニメランキング16位
PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR(アニメ映画)

2020年3月27日
★★★★☆ 3.9 (197)
1253人が棚に入れました
2120年、東京。シビュラシステムによって管理された社会で、刑事課一係を率いて事件を解決してきた二人の監視官、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、事件を捜査していく渦中で真実と正義を巡り決裂してしまう。それらの事件の裏で暗躍する梓澤廣一は、ついに刑事課そのものを標的に定め、公安局ビルを襲撃する。かつてない窮地に立たされた公安局刑事課一係。灼と炯の信義を問う、最後の事件が起きる――

声優・キャラクター