犯罪者TVアニメ動画ランキング 27

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の犯罪者成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月17日の時点で一番の犯罪者TVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

87.3 1 犯罪者アニメランキング1位
オッドタクシー(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (641)
2139人が棚に入れました
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

声優・キャラクター
花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ、昴生、亜生、ユースケ、津田篤宏、たかし、村上知子、高井佳佑、フェニックス、浜田賢二、酒井広大、斉藤壮馬、古川慎、堀井茶渡、黒田崇矢、汐宮あまね、神楽千歌、METEOR

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

まったく、たまにこういう作品に出合うから面白い。

控えめに言って、そんじょそこらで放送している学芸会のようなドラマを見るくらいなら、この作品を観た方が絶対に面白いと思う。

確かに、全てが新しいアイデアと言う訳ではない。
最終回の大ネタでさえ、既に既視感のある展開ではあった。
しかしながら、この作品は素晴らしいと評価できる。
まずもって、

古今東西、タクシーがテーマの映画作品には「名作」が多いと感じている。
そして、たまに大胆な切り口の作品も登場したりするが、それでも「観れる作品」になっている印象のものが多いのは、タクシーという舞台装置がいろいろな人、場面、人生模様との親和性が高いのだろうと想像する。

さて、この作品。
あまり物語に触れる訳にはいかないが、
主人公のタクシー運転手:小戸川を中心に非常に多くの人物が登場する。
そして、複数のストーリーラインが同時進行し、それぞれがポイント、ポイントや人物同士でちょこちょこ交差していく。
非常に綿密に計算され、緻密に物語を紡いでいっているといってよい。
なので、観ているこちら側が混乱するケースもありそうなのだが、登場人物のキャラ付けがシッカリしている(即ち容姿が動物w)なので、意外と混乱はしない。
こういう意味でもヴィジュアル面でプラスに働いているのではないだろうか。

そして、作品自体の雰囲気もとても良い。
この「良い」と言うのは「いい気持ち」ではなく、落ち着いて、しかし、何かが着々と進行しているという、なんとも言えない不穏でダークな雰囲気なのだ。
主人公の小戸川もおっさんチックな落ち着きもあるし、登場人物が悪(ワル)はワルらしくて良い。
昨今は珍しくなってしまったハードボイルド雰囲気をもった、クライムサスペンスと言えるかも。
とても、映画的な雰囲気をもった作品だと思う。
なんなら、どこかのハリウッドとかでも映画化できるレベルのプロットだと思っている、私的には。


・・・さて、
メインストーリに絡んだ表面に見える犯罪(クライム)については、それぞれの悪(ワル)たちが、それぞれの場所に収まり、ひと段落をのテイを見せ。
それぞれの登場人物も、自身の理想を目指しての生活に戻りました。
が・・・、残った真の悪は誰なのか・・・、小戸川はどうなったのか・・・。

余韻を残す終わりとなっております。
詳細はご自身の目で観て、ご想像ください。
観る価値のある作品です。お時間をつくってどうぞ!!

それにしても、ジェンダーフリーのこの時代に、また、爆弾発言をしますが。
(物語の上でのことですが)
やはり、真の悪、恐るべきは女か・・・。
(ここは女性ではなく、オンナと言う表現がふさわしいでしょうw)

さて、この爆弾発言の意図するところとは?
これもぜひ作品を観て、ご判断くださいw。

最後の最後に私のツボポイントを一つw
「白川さんのカポエイラ」

以上です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 44
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

タクシードライバーが撃ったものは何か

原案脚本、此元和津也。

冴えないタクシードライバーを、
主人公としたサスペンスフルな群像劇であり、
登場人物は全て擬人化された動物である。
主人公が運ぶ乗客の、何気ない会話から、
やがて失踪中の一人の少女に繋がっていく。

かつてスコセッシ&デニーロは、
戦争で心に深い傷を負った青年を通じ、
虚飾と不正義が蔓延する都会の病巣を描いた。
ここでもそうなのだろうか?
少女の失踪事件が物語の骨子にあるが、
回を追うごとに乗客たちの関係性が、
主人公を通じ点から線へと変わっていく。

{netabare}人が持つ承認欲求、格差が生むもの、
婚活詐欺の裏側、乏しい自己肯定感、{/netabare}
形容しがたいこの有様の底にあるものを、
社会や心の闇とは簡易に片付けるのはよそう。
我々は自覚もないままに人間社会を形成している。
最大の謎は主人公小戸川本人である。
{netabare}彼だけが目にする世界があるのでしょうか。{/netabare}

最終話視聴追記。
まずは設定、演出に称賛を贈りたい。
{netabare}平凡な犯行動機ではあるが返って、
人間社会を生き抜く難しさを物語っている。{/netabare}
少年小戸川の回想が非常に効果的である。

練りこまれた勇敢な物語でしょう。
好みの題材とあり、ほんとに面白い。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 53
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

背乗りタクシー

原作未読

相乗りじゃないよ。
来たよ来た来た!ネタバレ厳禁系。時間延長も使わず1クール全13話で美しくまとめた良作。
タクシーをテーマにすると乗客とのやりとりに様々な人生ドラマを垣間見る秀作ができやすい。フランス映画『TAXI』シリーズみたいにコメディに振るも良し。だが今回のそれはデニーロ主演のマッドでサイコな『タクシードライバー』に近い。

 ふわっとどんな作品か雰囲気だけ
 視聴ハードルとなりそうな先入観

これだけ書いときます。

■ふわっとどんな作品か雰囲気だけ

①オッドだけにオットセイかと思いきやセイウチでした
 ⇒心地よく裏切ってくれます
②あ!?CV花江夏樹さんだったね。納得の最終回
 ⇒演技の幅広げるための意欲作っぽい出だしからの花江節が映えるラスト

月並みですが点と線が繋がる心地よさに身を委ねる作品です。


■視聴ハードルとなりそうな先入観

ずばり動物デフォルメものからくる先入観ですね。あくまで私基準での3類型が以下

1.制作会社/アニメーターや“ノイタミナ”“+ultla”などブランド枠で視聴を決断するやつ
 ⇒『Beasters』『B.N.A』等かっこ良さやメッセージ出てる系。すんなり入りやすい。
2.ケモナー御用達
 ⇒萌え需要供給役。『けものフレンズ』『シートン学園』とかかしら。これもすんなり入りやすい。

1.2.ともに需要はあるのです。私自身2.は興味ないですけど求める層が一定数いることを知っております。そしてこれらグループに入ってすらこないのが

3.みるからに低予算そうな見向きもされないやつ
 ⇒『ビジネスフィッシュ』『アフリカのサラリーマン』等放送した事実すら記憶に残らない系。

この3.に該当しそうなのが本作ではないかと。主要キャラが軒並みアラフォーと巷にあふれてる作品の主人公らより年齢が高い。制作会社聞いたことないし、CVに芸人さん入っててバーター臭ぷんぷんだし、どちらかというと事前の期待はナシですね。
ところがどっこいと掌を返すことなるわけですけど、外形だけでは視聴ハードル高そうなとこあるよねってところご留意ください。

集中して視聴することをお勧めします。早送り厳禁。
そして抑揚のない主人公の発声に眠気との戦いになることも助言しておきます。



※ネタバレ所感

■何を得たのだろうか?

{netabare}ミステリーキッス三矢ユキ殺人事件の真犯人は和田垣さくらということでした。
三矢失踪と内々で処理されたのと並行して後釜に抜擢された娘さん。いかにもな二階堂ルイ逮捕でのびつくり展開だったわけですがちょっと待て。

 デビューご破算じゃないの?

スポットライト浴びる目的での殺人ならその後うまいことスターダムに乗れたのかどうか気になります。背乗り目的の動機で殺人起こしてバレそうになって罪被せただけといえなくもなく、スケールちっさと思えなくもない。{/netabare}


メインの小戸川ストーリーは唸れましたので総じて満足しております。



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

-----

2021.07.14 初稿
2022.05.29 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 52

84.7 2 犯罪者アニメランキング2位
PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (2435)
13665人が棚に入れました
システムが正義を下し、銃が人を裁く近未来。
銃の射手として犯罪者を追う刑事たち。
システムを逸脱する犯罪に直面したとき、果たして──

人間の心理状態や性格的傾向を計測し、数値化できるようになった近未来。人々はこの測定値を「PSYCHO-PASS (サイコパス)」の俗称で呼び、その数値を指標として「良き人生」をおくろうと躍起になっていた。

犯罪も数値によって対処される。厚生省公安局の刑事たちは、高い犯罪係数を持ち犯罪者の心理に迫る猟犬「執行官」と冷静な判断力で執行官を指揮するエリート「監視官」がチームを組み、包括的生涯福祉支援システム「シビュラシステム」によって解析された犯罪に関する数値「犯罪係数」をもとに、都市の治安を守る。彼らは、数値が規定値を超えた罪を犯す危険性のある犯罪者「潜在犯」を追い、「犯罪係数」を瞬時に測定し断罪する銃「ドミネーター」で執行するのである。

「犯罪係数」が正確に解析できない「免罪体質者」槙島聖護の事件を経て、刑事として成長し、シビュラシステムの真実を知るに至った監視官の常守朱は、人間性と法秩序を信じながらもシステムに従い、新たな刑事課一係を率いて日々犯罪に立ち向かっていた。

システムを揺るがす怪物が、すぐ目の前まで忍び寄っていることを知らずに──

声優・キャラクター
花澤香菜、野島健児、佐倉綾音、藤原啓治、櫻井孝宏、伊藤静、沢城みゆき、浅野真澄、井上麻里奈、木村良平
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

新生公安一係

人の個性、感情などを完全に数値化した世界で
執行官(犯罪計数が高く犯人逮捕にのみ世間と関われる者)と
監視官(執行官を監視するもの)がチームとなって事件を解決していくストーリー。
本作は1期から一年半後からのスタート。


今期のストーリー物の本命はコレ。
秋のラインナップを見る限り、他に奥深さを持つ対抗作品も無さそう…かな。
音楽も相変わらず良いし非常に楽しみな超期待作。

あれから一年半の歳月が過ぎ、朱は狡噛イズムを継承し更に成長しているようです。
凛然とし観察力&プロファイル力もUP。デコポン撃った後はかなり決まってました。
シビュラ頼りではなく自分で考えて行動する逞しさも持ち、今や公安のエースです。

王陵事件で親友を殺され涙した霜月ちゃんも立派な社会人。
あの後、色々と決意しここに至っている事が伺えます。
「先輩は間違っている!」
彼女なりの経験から導き出された正義が朱とぶつかっていきそうです。

他にも「訳」と「一癖」をもってそうな二人の新たな執行官が加わった
公安一係の活躍が楽しみです。


注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

※1話感想{netabare}
「表」の事件は朱の判断もあり犯人確保で決着。
さり気なくドミネータの3形態を紹介していたり、
執行官を一係では人として扱い、二係では駒として扱い対比させたりして
導入としては上手い見せ方でした。
冒頭がクスリのCMでしたから今期は薬絡みなのかな?というのも予感させます。

そして成長した朱の裏の裏を突く新たな知能犯、鹿矛囲桐斗の登場で
物語に深みある期待感が漂っています。
どうやら数値以外も完全コピーするヘルメットの強化版の様なものを持っている様子。
うーん、強敵要素満載ですね。
公安一係との戦いを予想を交えながら観て行きたいと思います。
{/netabare}

【予想】メッセージ「VVC?」の第一印象{netabare}
パッと見てトイレ?とか思ったけどね。(笑)
反転や鏡面で見ても何も無さそうです。
最後の「私という色を問う私自身の戦い」
と言う台詞通り、色に関係してそうなんですけどね。
何色にも染まる白色「WhiteColor?」なのか、
WはどうもVが重なったような書き方なので「ViVid Color?」
お前の原色は何だ?と言う問いになってるとか、そういう感じかな。
{/netabare}

※2話感想{netabare}
捜査を進める公安だが次第に深まる謎や違和感。
朧気に共犯者の影にも気付く朱達はホロに隠れた透明人間を見つけられるのか…?

しかし今回のトリックはヘルメット以上の難物ですね。
鹿矛囲はどうやって喜汰沢に近づきどうやって色相を戻したのか?
ホロコーティングで人やカメラの目を騙してよしんば侵入できたとしても
他人の色相変える能力は何だろう?催眠術くらいじゃ無理だろうし…。
またシビュラが欲しがりそうな人材ですね。

喜汰沢は折角前回助かったのに…いや助けてもらったのに結局エリミネーターの餌食。
鹿矛囲は必死に喜汰沢を逃がそうとして叶わず朱を恨んでたみたいだけど
逆恨みじゃん。
お前が余計な手を出さなきゃ少なくとも生きてたし
時間かかっても回復に向かっただろうに…。

今の所、鹿矛囲なりの正義の形が見えないのでこんな感想になってますが
1話の事件起こした時から既に色々あるんでしょうね。
彼の目的が見えてくればガラリと様相が変わりそうなので期待しています。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
悪魔の証明=『全く無い』事を証明するのは非常に困難の意。
朱たちは手掛かりを求め奔走するが未だ不明のまま鹿矛囲の存在だけが大きくなる。

鹿矛囲のマッドぶりが怖い。酒々井さんも可哀想に…。
青柳さんも含め今期序盤は二係にとっては試練ですね。
そのうち一係にも降ってきそうですが。

一期で逃亡した執行官は撃たれてたんですね。
公安の内情も知っているし、もう少し深く関わるかと予想してたんですが
意外とあっさり退場の様です。

雑賀さんは隠遁生活かと思ってたら変人施設に収容されてました。
でも意外と快適そうですが。
地味ですけど知的な言葉のやり取りは面白かっです。
自身への問いを敢えて投げかけ確かめている感じのする朱も
彼女らしくて聞き応えあるシーンでした。

鹿矛囲の目的が未だ判らず不気味さがじわじわと広がりを見せていて興味深い展開です。


予想の方は細かなヒントはあるもののまだ範囲が広く
『鹿矛囲は実は居ない(人じゃない)説』、『東金と繋がってる説』
等々、ぐるぐる巡っています。
『鹿矛囲=逃亡執行官説』もあったんですけど今回で可能性低くなりましたかね。
「WC?」=WhatColor?にも更に深い意味が隠されていそうな気もします。
もう少し整理がつき、絞れたらここにも書こうかなと思いますが
予断を許さぬ展開で隙がないんですよね。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
「監視官をドミネーターで裁けるのか?」を意図とした鹿矛囲の実験が成功。
まるで犯罪計数養成ゲージと成ったメンタルケア施設での結末は見るも無惨。

前半のドローンどうのこうのってのは中に酒々井さん入れて運んだって事かな?
別の用途もあるのかな?

直接描かれてはいないけど青柳さんと会話していた薬剤師くんが鹿矛囲のホロでしょう。
青柳さんが撃たれるのをしっかりとその目で確認した鹿矛囲の思うがままの事件。
何れは朱や公安、その先のシビュラにも牙が向きそうです。

でも、シビュラの意志(ドミネーターの判断)を無視してまで
市民を守り正義を執行しようとした青柳さんの刑事魂は天晴れでした。
結果として何一つ叶わなかったのが哀れで悔し過ぎますが…。
シビュラの判断のままその市民にまで引き金を引いた三係の執行と対照的で
どちらが正義なのか印象に残る事件でした。

その構図は一係の朱と霜月にも投影されていて、
何れはコチラも交錯しそうな匂いが強くなってきました。
霜月の銃口の向く先にも注目しないといけなくなりそうです。

1話の冒頭が『ラクーゼ』という薬のCMだったので今期は薬が絡むなとは思いましたが、
『Uストレス欠乏症』と言うのが物語の底にある様です。
自分の色を抑えてまでシビュラの社会に合わせる必要があるのか?
1期と似たような命題が突きつけられています。

※小メモ:鹿矛囲ホロの区別は雛河クンor水場近くでのノイズ
{/netabare}

※5話感想{netabare}
またしても鹿矛囲による公安を狙った罠が仕掛けられ
朱達が埠頭に集まった時、無人の軍事ドローンが暴走を始める。

雑賀さんがいつの間にやら分析官に召集されていました。
優秀で向いていそうなので活躍して行きそう。
おじさん不足だったし好きなキャラでもあるので結構嬉しい人事。

若さ故もあるんだろうけど霜月さんは相変わらずとんがっていて痛い。
禾生さんの「あれは食われるな」には即同意してしまいました。
近々やらかすでしょうね…。
1期からの流れを見ると買える所もあったはずなんだけど
一人空回りしてどんどん株が下がってしまってます。
公安への志望動機も王稜事件の後、正義に目覚めたんじゃないかと想像してたけど
六合塚さんへの憧れの方が強いのかも。

鹿矛囲の方はどうやらシビュラと昔関わりがあった模様。
正確にはシビュラの内の一人との関わりかな?
今回禾生さんに降りてきた人物とは旧知の仲な雰囲気でした。
個人的に引っかかっているのは
【予想】{netabare}ホロ元の少女(染水槇)が亡くなった15年前の飛行機事故。{/netabare}
ここで関わったんじゃないかと思っています。
埠頭にあった皮膚や臓器、手足も気になります。
ホロだけでなく人を作ろうとでもしてたのかな?
増田議員は作品なのかな?謎が深まります。

そして東金さん…朱の事を良く見てるな…とは思ったけどここまでとは。
犯罪係数レコードホルダーだっただけの事はありますねやはり普通じゃない。
写真は東金少年と祖母? 
赤ペンチェックしてたけど朱と目元口元とか似てるのかな? 
こちらの謎も深まります。

祖母といえば気がかりはのが朱の祖母。
朱の色相を濁らすのに利用され巻き込まれやしないかハラハラしています。
まぁ次回は朱本人がピンチなのですけどね。
{/netabare}

5話時点で色々と【予想】{netabare}
3話感想で少し触れましたが、
ここまでで私の中で出ている説や疑問を書き留めると共に簡単に紹介しておきます。

『鹿矛囲はいない(人じゃ無い)説』
鹿矛囲自体がホロや機械人形で犯人は別の所にいるのではないか?
という疑念があったのですが、涙や血の描写も出てきたので
少なくとも「中の人」はいる模様。
酒々井さんの眼を奪ったり埠頭に生体標本があったりするので
色々な人間のパーツの継ぎ接ぎで構成された者なのかも。

『鹿矛囲=逃亡執行官説』
公安の内情に明るいですし1期で逃亡した執行官が犯人なのかと疑いましたが、
3話で撃たれた事が判明し可能性は低くなりました。
青柳さんも鹿矛囲とグルって事は無さそうですし、
情をかけて引き金を引かずに逃がしたとなれば色相濁るのでそれも無さそうです。
あるとすれば青柳さんや検死、シビュラの目を完全に欺いたという事になるけど
ハードル高すぎる。

『鹿矛囲は東金と繋がってる説』
元セラピスト、親族が薬品会社経営、過去最高の犯罪係数と怪しさの三拍子が揃い、
5話では朱のストーカーなのも判明。
鹿矛囲の協力者や寧ろこちらが本当の黒幕の可能性もあります。
4話まではこの線が一番怪しく思えていました…が、
5話があからさまだっので直感的にはミスリードっぽく見えていて、
東金の本意は朱を守ろうとしている様に思えて来ています。
祖母か狡噛の絡みで『朱と繋がってる説』が生まれつつあります。
ただ「朔夜」という名前ですし月と太陽が表裏一体…つまりは二重人格で
裏の顔が鹿矛囲と繋がっている可能性はあると思います。

『飛行機事故怨恨説』
最初の事件のホロ元の少女(染水槇)が亡くなった15年前の事故が絡んでいる説。
鹿矛囲は事故の生き残り(顔の傷はその事故のものかも)または遺族で
飛行機を落とした犯人が今のシビュラを担う一人になっているとか、
乗客の中にシビュラのめぼしい人物がいて飛行機を落として手に入れようとして巻き込まれ
それに対して復讐しようとしている。
鹿矛囲が作るホロの元は全員乗客だった者かも。
怨恨ではなくとも
この事故が鹿矛囲、東金、シビュラの接点や引き金、起点の様なものになってはいそうです。

『名前から予想』
1期も「常守朱=サイコパスが平常を守りレッドゾーンに行かない」
「槙島(maximum:最大の)『聖護』」等、名前遊びがあった様に思うのでその観点から。
「鹿矛囲」にはシビュラの目をかい潜る神の衣、
「朔夜」には光と闇の二面性の意があるような気がしていますが他にも
今回、鹿矛囲の周りで目に付くのが『水』に関わる名前。
監視官の酒々井水絵やホロ元の染水、爆弾魔の喜汰沢も。
増田議員は無理あるけど「水増」や「水田」でなんとなく連想…。(笑)
今後、二係の蓮池クンや一係では雛河クンが鹿矛囲に関係してくるやも!?
『WC?』もWater Cleanup(水を浄化)みたいな意味もかかっているのかも。
公園にも増田の講演会場にも噴水があり、
メンタルケア施設にも池があり、下水道も埠頭も水場なんですよね。
強引な気はするけど無色透明なこの『水』をちょっと気にかけています。

『鹿矛囲複数説』
「鹿矛囲とは個人名ではなく神の衣(カムイ)を纏った者達の総称」なのでは?という考え。
鹿矛囲とは飛行機事故の被害者や遺族達が作った組織で有能な者が知識を共有する集団。
シビュラシステムに対して言うならカムイシステム。
シビュラの実行隊長が禾生さんならカムイは桐斗。セラピストや東金もカムイの一員。
ホロや生体移植、ハッキング、心理療法等を駆使してシビュラに対抗しようとしている。

今の所考えつくのはこんな感じかな。
まだ色々な可能性があってコレだ!っていう太い線は掴めてないです。
ちょいちょい掠っているとは思うんですが…。
何れにしても東金がどちらに転ぶかによって風景が大きく変わりそうです。
後は六合塚の親友リナやレジスタンスの動向が絡む余地があるのかな?って事と
朧気ながら朱がもう一人出て来そうな気がしてるんですけどね。
6話以降もどうなるのか楽しみつつまた何かあれば予想していこうと思います。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
三係に大きな犠牲を出しつつもチームワークと朱の活躍で生き残った一係。
鹿矛囲との対面を果たすが捕らえられず、未だ主導権は鹿矛囲に。

また死者が出るだろうな…と思っていましたが案の定。
三係はほぼ全滅。(パラライザで撃たれた奴は生きてる?)
前回に続き無能過ぎて流石に何しに出てきてんだよ!っと言いたくなります。
まがりなりにもシビュラ判定くぐってきた筈なんですけどね。
サブキャラが屑だと物語が安っぽくなってしまいます。

一係は須郷も含めそれぞれ活躍。特に朱のアクションヒロインぶりはスゴかった。
暗黒面が見えてきた東金と
雛河クンの「おねえちゃん」発言はちょっと引っかかりますけどまぁ無事で何より。
あ、言うまでもなく霜月ちゃんは安定の無能ぶりでした。
嫌いじゃないキャラだけど流石に良い所なさ過ぎ…
みんなに当てられて覚醒する気配も今の所無いし不憫な子。

しかしながらどれもこれも鹿矛囲の想定内。
エリアストレスも折り込み済みとは恐れ入ります。
みたらし(見たら死)ラーメンはキツイ皮肉でニヤッとしてしまいました。
甘じょっぱそうですが美味しいんでしょうか?
眼は移植してた様ですし、眼帯が似合う水絵ちゃんも完全に支配下。
躊躇無く元部下を抹殺して清々しい気分になるとはね…。
『WC?』にはWorldCreate=世界の創造って意味もあるのかな。
着々とドミネータを我が物としシビュラへの一撃を企てている様で次回も気になります。
(奪われたドミネータはOFFに出来ないの?って疑問はあるのですけどね。)
{/netabare}

鹿矛囲をドミネータが認識しない理由【予想】{netabare}
①『居ない者説』
鹿矛囲は飛行機事故で死亡扱いになった人物の可能性があり、
実際は命を取り留めましたが記録上では居ない(データに無い)事になっている。

②『ツギハギ説』
酒々井の眼だけでなく多くの者(Uストレス患者含む)の部位を繋ぎ合わせているので
「個人」として認識できない。

他にもハッキングや機械人形とか禾生さんの様な複数の人物の器だとか考えられたけど
どれも穴があって没りました。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
鹿矛囲の存在が確定しその正体に迫っていく一係。

朱のおばあちゃん登場…似てて可愛い。
ドローン暴走の報には流石の朱もやや取り乱し、大切な存在なのが伝わります。
『朱←→葵』補色の関係にもあるし色相を黒くするのに関係しそうでやはり気がかりです。
今期はキャラの扱い乱暴だけどおばあちゃんに関しては人質程度で死なないで欲しいな。

事件はやはり飛行機事故と大きく関わってきました。
シビュラも噛んでいそうですし、
東金も元執行官と判り15年前に犯罪計数跳ね上がった事とも関係していそう。
諸々の予想もなかなか良い所突いていて考察の甲斐が出てきて楽しめています。
ドミネータを集めた鹿矛囲の次の行動にも注目が集まります。
{/netabare}

[番外~2期の不満を少々]{netabare}
楽しみながらも1期に比べちゃうと色々と雑で安っぽく不満な所もある2期。
ここらで不満も纏めておきます。期待の裏返しでもありますが…。

・殺戮のインフレ
殺戮や暴力は衝撃的だけど要所要所で決めて欲しい。
折角1話では民間人を巻き込まない犯行だったのに段々と無差別に。
一歩譲ってストレスケア施設は仕方なかったとしても港は完全に無意味な民間人殺戮。
鹿矛囲の訴えの正当性も弱まってしまわないか?

・霜月ちゃん貶めすぎ
1期では学生ながら勘の良さと正義感を持ち、
そして軽率な言動で友達を失った後悔もある中で意を決して監視官の道を歩み始めた彼女。
良い返事&活きた眼をしていた彼女がこんな残念なキャラになるとは
信じられないし信じたくない。
そりゃ鼻っ柱は強かったけど良い娘だったんだよ!?
既に時遅しなんだけどそれでも覚醒して欲しいキャラです。

・二係、三係無能すぎ(青柳以外)
監視官も執行官もシビュラ判定で適正がないと成れない筈なんですが心身共に脆弱すぎる。
安物のアクション映画みたいになるので大概にして欲しい。
散るなら散るで気骨が見えないと意味がない。
1期はサブキャラも含め有能な者同士の凌ぎ合いでハラハラさせ
作品を高尚なものに引き上げてたのですけどね…。

・多くの臓器移植はサイコパス移植に等しい?
シビュラ判定は思考とその傾向から判定してる…つまり脳を見ているので
他の臓器は関係ない筈なんだけどね。
泉宮寺も全身機械に変わってたけど数値はちゃんと反映されていたし。
移植は一応自分でも予想してたけど、この辺の事は引っかかってて腑に落ちなかった点。
もう一押し説得力ある描写が欲しいです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
ついに鹿矛囲の透明人間化の謎に到達、そしてシビュラと東金の関係も…。

鹿矛囲のツギハギには注目してたけど
まさか脳7人分、体をを184人分とは恐れ入りました。
医療の進歩と言っても生きているのが不思議で怖い。
でも多脳移植以外では辻褄合わないなと思っていたのでその点はまぁ納得。
それにしても増田達の替え玉が密入国した者ってのは、もの凄い裏技。
でも宜野座の言う通りなぜなんだろう?
鹿矛囲に心酔する要素が無いし日本語も堪能ではない筈なのに…。
脳の部位を用途に合わせて組み合わせて移植しているのかな?

5話で禾生さんに降臨したのが東金ママでしたか。
老けてるから祖母とか言っちゃってましたが…。
これで一気に繋がって来ました。
交通分野で成果を上げていたパノプティコンに取って代わる為に
シビュラが干渉し飛行機の墜落も巻き起こしていたのでしょうね。

霜月ちゃんは今回、彼女なりにいい仕事してたんですがね。
脳移植技術はシビュラの種の一つですから…パンドラの箱開けちゃいましたね。
次回は彼女が墜落してしまう様です…。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
シビュラの秘密を受け入れた霜月。
霜月をも取り込んだシビュラとその申し子東金は
朱を黒く染めようと動き出す、鹿矛囲を葬るために。
一方、鹿矛囲は「地獄の季節」を黙認した役人達を粛正し、いよいよ対決の時が近づく。

東金は完全に暗黒化。出自の謎も大分明らかになってきました。
東金ママとは血縁関係では無い感じかな?生みの親なのは確かですが…。

そして、やはり気がかりだったおばあちゃんが…。
無事…とは言え無くなってしまいましたが解放を願ってやまない気持ちです。
親友を目の前で殺されても色相が変わらなかった朱が
この件で変わるのか疑問もありますが興味も高まってきました。
今回の拉致、東金が鹿矛囲側に情報リークして起こさせたと思いましたが
「朱を試したい」東金と桑島の共謀の様です。
鹿矛囲と桑島では朱に対する考えが違うようですが
桑島と通して間接的には東金も鹿矛囲と繋がりがある事が判り、もう一波乱ありそうです。

霜月ちゃん、色相が濁るかと思ったけど
良いのか悪いのか全てを受け入れ抵抗せず流されてしまいました。
シビュラの元で育った世代ですからね、ゆとりならぬシビュラ世代と言うことでしょうか。
ここまで自分の意志・自我を捨てられたら大した者かも。
感情的で尖った性格の割には…っと、オカシくも感じましたが
全てに於いてシビュラ絶対主義者なら言いなりもありえるのかな。
(1期の彼女の印象とは違ってきていますが…)
それでも朱のおばあちゃんを助けられる可能性があるとすれば彼女なので
覚醒を期待してしまいます。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
東金の魔の手により黒く染まり掛かる朱だったが
彼女の経験や信念、心で息吹く狡噛の存在により回避。
思考を巡らせ辿り着いた結論へ向かい歩み出す。

懸念だったおばあちゃんが…ううっ。
何かのトリックであって欲しいけどそれは無理な様子。
2期の殺伐とした雰囲気の中、ここだけはホッとした展開になって欲しかったんだけどな…。

そんな状況でも自分を保ち己で考え動く朱がカッコ良く
悟りを開いた全能感すら感じてしまいます。もう狡噛さん越えてる!?
全てを見通し独りでシビュラに問いかける存在にまで成長するとは!
…まぁ、やりすぎな気もするけどね。

朱、鹿矛囲、東金と三つ巴の状況で気になる佳境へ向かっています。
あぁ霜月ちゃんが蚊帳の外すぎる。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
いよいよ審判の時。
シュビラは集合体である鹿矛囲、そして己自身の存在を認識する事となる。

自分自身が消える事も含め鹿矛囲の計画通りという感じの幕引き。
184人の生きた証・生き様を感じる事もできましたが、
無駄な血が多く流れ過ぎていて大義が薄く同情は出来ないです。
「地獄の季節」の役人の粛正と公安の数名の犠牲は仕方ないとしても
一般人をターゲットにした殺戮は過剰。
これだけの計画遂行能力があるなら被害を少なくする事も出来た筈。
人の命を大切にする努力の跡や描写があれば彼の死にも感動でき
余韻に浸れた気がするだけに勿体無く思います。
殺戮の衝撃を入れたいあまり、人の心の琴線に触れるのを放棄してしまった様です。
感激より刺激を優先したツケが最後に回ってきたという所でしょうか。

また、鹿矛囲が東金美沙子を撃った所も少し違和感がありました。
ココで引き金を引けたのはシビュラ自身が「集合的サイコパス」を認めたからで
東金美沙子個人を裁いた訳ではない(個人は免罪体質者)のだけど、
「これがお前の色か、東金美沙子」など台詞や言動が個人を裁いた様に見えました。

東金に関しては自身も暗黒に染まり
知的で有能な部下から愚直なマザコン殺人鬼への墜ちぶりが衝撃と共に描けていたと思います。
憎たらしさ満点で許しがたい存在という役割を十二分に果たしていました。

朱は後半から特にスーパーウーマンぶりに拍車が掛かり過ぎていて
(考えて行動できる)人間代表というキャラの位置を飛び越え全能なる審判者の様に。
最終話でも全てお見通しで体術でも東金を圧倒(2話でその体術に朱自身が驚いた相手)
狡噛が居ない分、全てを背負わされてしまっておかしな事に。
アクションなら宜野座や六合塚、知識なら唐之杜や雑賀など一係のメンバーで
負担し合うべきだったと思います。
朱だけが打って投げて守って大活躍で他メンバーが外野で見せ場も無いのでは不満も残ります。
(唯一雑賀はキャッチャーしてましたが)
一期では素晴らしかったチームワークが薄れていたのは残念です。

(考えない人間代表の)霜月さんへの不満の詳細は既出なので省略しますが
一期には確かにあった意志や個性が見る影もなく…
彼女はシビュラに流されて公安を選んだ訳ではなく、己の意志でこの道を選んだ筈なのに。
最後にフラグめいたものも立ち【予想】{netabare}いずれは大好きな六合塚さんに殺されそう{/netabare}な気がします。

邪魔者が全て消え、後腐れのない終わりでしたので改めて3期を楽しみにしようと思います。
{/netabare}

【総評】
内容的なものは毎話感想に書いてしまったので割愛。
鹿矛囲の正体を中心に予想を絡め1クールで観られるサスペンスとしては楽しめましたが、
サイコパスのファンである自分としては不満も残る内容でした。

映像作品に関しては「2」は「1」を越えないのは宿命なのでしょうけど
もう少しやれた様に思いますし、
前作のキャラを過分にイジってしまうと(朱は昇華させ過ぎ、霜月貶め過ぎ)
前作にもキズが付くのでもう少し初期設定を大切にして欲しかったです。
まぁ、過剰に期待しなければ楽しめる出来ではありますが
サイコパスが好きなら期待してしまいますよね…。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 59
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

薄味になった群像劇の輝き

オリジナルアニメ第2期


2期のレビュータイトル候補は3つありました。

①{netabare}『ヤケ野原ひろしの憂鬱』
 出典:だって藤原さん出てるし{/netabare}

②{netabare}『てめえらの血は何色だーっ!』
 出典:イケメン義の星の水鳥拳{/netabare}

③{netabare}『Ms.霜月のMARIONETTE日記』
 出典:伝説バンドのラストアルバム収録曲 {netabare}※アルバムタイトルは『PSYCHOPATH』{/netabare}{/netabare}

諸般の事情で泣く泣くボツですが、おおかたこれで説明がつきそう。



さて、相も変わらず名前が読みづらいです。 …いやそんなことはないか。1期よりはマイルドかも。

【2期メインを張ってく人たち】
霜月美佳(しもつき みか):CV佐倉綾音
東金朔夜(とうがね さくや):CV藤原啓治
雛河翔(ひなかわ しょう):CV櫻井孝宏
雑賀譲二(さいが じょうじ):CV山路和弘
鹿矛囲桐斗(かむい きりと):CV木村良平
青柳璃彩(あおやなぎ りさ):CV浅野真澄
酒々井水絵(しすい みずえ):CV井上麻里奈

作品取り巻く環境チラ見しました。1期が凄い話題になって2期はパワーダウンとの評価。
翻って自分はどうかというとそれほど落差を感じず完走です。続き(3期)があることを知ってますし、リアタイのように“満を持して”の期待値高止まりということがなかったからかもしれません。
シビュラシステムの存在意義(レゾンデートル)にどう落とし前をつけるか?の決着がつくまで“途中の物語”という扱いで良い気がしております。とりあえずこの2期は変化の幅が大きかったですね。
さはさりながら、、、


 作品『PSYCHO-PASS』
     II
 シビュラへの受容と否認のジレンマ


私が視点を置いてる作品の屋台骨は上記でありこの部分は揺らぎなし。あとは“ついていけるか?”もしくは“ついてく気あるか?”

ダメならダメで無理に体を合わせていく必要はないでしょう。

足りないと感じる部分は全11話×30分ものとしては大健闘。オチをつけてることも好感です。
尺不足!?でキャラ掘り下げ浅めを理由にカタルシスが感じられなかったり、シナリオ説明不足に見えたもののおおむね満足しました。引き続き良作です。



※以下良かったところと悪かったところ


ぱっと見の違いは明白

・2クール→1クールに
・制作会社変更
・製作陣もけっこう入れ替え


次に物語の中身の変化が以下、


■ネガティブ編(主要キャラの変更)

これにより公安局刑事課一係メンバーの群像劇的色合いが薄まりました。『躍る○捜査線』感の喪失といえましょう。

{netabare}主要メンバーを一覧化するとわかりやすいです。

※キャラの濃さ ◎→○→△→無印(空気)
1期
監視官:○宜野座、◎常守
執行官:◎狡噛、○征陸、△縢、△六合塚、佐々山
裏方:○唐之杜

2期
監視官:◎常守、△霜月
執行官:△宜野座、△六合塚、○東金、雛河
裏方:○唐之杜、○雑賀
隣の課:△青柳、○酒々井、須郷


狡噛⇔常守バディっぽい強い結びつきがあって、宜野座と征陸が上下なのか左右なのかはたまた裏表から支える相関図。これが2期だと常守の一本足打法に。

1期は縢と六合塚を掘り下げた上で見せ場を作ってました。2期で彼らに該当するポジにいるのが東金と雛河です。その東金と雛河に群像劇視点で与えられたのは見せ場のみ。シナリオ進行上、東金を掘り下げなければならなかったのはあくまで結果の産物です。これは1クールを言い訳にしてもよいでしょう。

2期の宜野座は征陸のとっつあんポジですね。完全に空気にならなかったのは1期の貯金です。丸くなってキャラのアクが抜けちゃいました。新人霜月に強烈に作用する存在であればよかったのですが。。。
その霜月はストーリー進行の上では合格点、群像劇観点だと赤点通り越してマイナスです。作風がシリアスだからこそチームの結束が試され各々持ち味を発揮して職務を全うする。

敢えて群像劇に背を向けるキャラ相関だったことが終盤のカタルシスを薄める結果となり、1期を経て想定される期待ポイントからずれることにも繋がりました。

見てみると、一係だけでは弱いので公安局内にそこそこキャラを配置し、雑賀教授も内部に取り込んでまで厚みを持たせたはずなのに却って注意が分散しそうになってました。{/netabare}


キャラとキャラ相関は大事ですね。物語の面白みが左右されます。私は群像劇の色合いの濃い1期のほうが好みでした。

その他1期比較での話数の短縮(全11話)もハンデでしょう。ただし1クールものとみればオチつけてまとめてきましたし、“結論おあずけ”は続編のあることを知っている後発視聴組にとってはそれほど問題ないかと思います。
制作会社やスタッフ陣の変更はこれはもう好き好きということで。繰り返しになりますが屋台骨に揺らぎなしと判断してます。

しかしながら、1期より難解な気がしており、やや矛盾をはらんだストーリーだったことは残念でした。
{netabare}朱より酒々井の権限剥奪のほうが先だろうよ!とかいろいろ思うところはありますわ。{/netabare}



■ポジティブ編

1.破錠の萌芽

これ1期のネタバレ隠しときます。

{netabare}スーパーコンピューターではなく免罪体質者200人以上の脳をユニット化したのがシビュラの正体でした。気持ち悪いっすね。でもよく考えられてます。

・(従前)シンプルな演算装置だと命令以外はこなせない。
・(現在)ビッグデータで状況予測の精度向上を図ってる。

これが『PSYCHO-PASS』の社会のように人の生死含めた人生までグリップするためには無謬性が前提となります。無理だけど。
演算では限界のある“あいまい”処理の誤差を埋めるべく、同じくあいまいな人間の脳を利用することで埋めていったわけです。たぶん。

とは言っても所詮人間の脳。無謬性なぞ土台から無理な話を「無理な話じゃない?」と訝しがる常守朱の物語がシリーズの肝部分なんだと思ってます。
並行して、無理な話であることを自覚しているシビュラがなんとか無謬性を獲得するためのカウンターの物語も横で走っているのだとも思います。

2期は“元は人間の脳”であるシビュラのえらく人間くさい部分が出てました。シビュラ総体と東金美沙子とでズレがあることなど破錠の兆しが見えてきたのも物語が進んでいる証左と言えるでしょう。
酒々井のドミネーター実行権限の取り消しが行われなかったことは、そこに人間くさいイレギュラーの判断が入れば運用に恣意性が増すためNGという判断です。でもそれは間違いです。{/netabare}

シビュラの矛盾なりが色濃く出ていたといったところでしょうか。いわば、

 “論の組み立てに誤りはないが正しいことではない”

正しいことではないと判断しているのは視聴者(人間)。
統治機構としてのシビュラシステムの崩壊を応援してやまない私であります。

{netabare}統治機構は特に無謬性への疑義がないと途端に胡散臭くなりますので、続編でもこのへんえぐってほしいですね。

無謬性を前提とした社会実験が現実にもありました。“五か年計画で生産量○○トン”と決めたら気象条件・労働生産性・疫病の発生いかなる理由があろうとも○○トンは正なのです。
しかし現実では違う結果が生じる。過ちを認めることは失脚に繋がりますから糊塗するために独裁傾向が強まっていく。20世紀に失敗した社会主義という壮大な実験をより高度にして実現したのが本作の世界観なのかもしれませんね。私の感じる気持ち悪さの正体はこんなところにあるやもです。

ついでにそういう集団の中にいると素直に「ごめんなさい」できないみたいです。某新聞だって謝った途端に離れていく購読者しか残ってないでしょうから少しだけ同情しますね(棒)。{/netabare}



2.抗う人と従う人

・鹿矛囲

{netabare}白状すると“集団的サイコパス”をきちんと咀嚼できておりません。

“犯罪係数”が出ない悪役ポジで填島と鹿矛囲との対比にて、填島の“免罪体質”はなるほどと思います。
鹿矛囲は複数人のパーツの組み合わせで一個体としてシビュラが認識できないという理解でよろしい?
鹿矛囲信者は個人用に調合された薬の虜でその薬は犯罪係数を抑制する作用があったという理解です。


一個体として認識できない一個人に対して集団総体としての色相を測定できるようにアップデートする決断をシビュラがした結末でした。
鹿矛囲のような継ぎ接ぎ人間というレアケース。広げても多重人格者みたいな範囲に収まりそうなのですが、シビュラは東金母、そして免罪体質取っ払って犯罪係数高そうな脳を自浄化してしまいましたけど、ここが繋がりません。

 “個人としてはセーフだが集団だとアウト”

集団的サイコパスについては1期ドローン工場のいじめっ子社員たちには適応されると期待。この社会の異常さを視聴者に知らしめたあの回の連中が執行対象となることは改善と言えそうです。
だがしかし、イメージはカルトの信者みたいにクリアそうな色相を持ってる個人でも集団だとやらかしちゃうみたいなのも範囲に収めちゃったわけです。こうなると際限なさそうですし、実際運用を本格化していけば最終話のニュー局長が言ってるように大量虐殺一直線まったなしです。つまり無理筋。

腑に落ちないところ多々ではありますが、シビュラの無謬性を強化しているように見えて破綻のトリガーを常守朱(と鹿矛囲桐斗)がひいたというふうに解釈した方が綺麗だし物語的にも拡がりがでますね。そう納得させることにします。{/netabare}


{netabare}1期槙島も2期鹿矛囲も個人的理由を発端として、シビュラへの信頼を失墜させることがひとまずのゴールでした。
手段はだいぶ違うけど目指すところは彼らと常守朱(と狡噛も)一緒なのでしょう。そうすれば1期の狡噛と填島は似たもの同士という伏線が後々絡み合ってきそうです。{/netabare}



・THE大衆な霜月

{netabare}色相濁って執行対象となる日を我々が待ちわびるためだけに存在するキャラ。
と見えて、シビュラの番人としてラスボス化しても面白いので評価は保留です。

人間側でぜひ朱の足を引っ張ってもらいたい。
ただし、朱のばーちゃんもだし、同級生(幼馴染?)見殺しにしてた件には落とし前つけてほしいです。泣いて弥生に慰められてた1期での心根がなんかしらのかたちでストーリーに絡んでくると面白そうです。{/netabare}




※最後に余談

■-s付けといたほうが・・・

なんとなくですけどね。
{netabare}“What color?”複数形でも良かったのでは?と。
“Colors”だと国旗、紋章、制服、軍隊それに(有色)人種などのことを意味します。転じて、その人を識別する“個性”“内面”をこの単語からイメージできるのです。
『色相』ですからそのまま色彩の意味でもOKです。もう一声で、人が備えているその人なりの「Colors=個性」の意味合いを強く出してみても良かったなぁ、と思った次第。{/netabare}



視聴時期:2019年10月  

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2019.10.31 初稿
2020.02.14 タイトル修正
2020.07.03 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 52

kazunyanzu さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

シュビラに迫る新たな脅威(((;゜Д゜)) シリーズ待望の第二期!!

【PSYCHO-PASS サイコパス2】全11話 ―そして物語は劇場版へと続く―


――怒涛の展開とシュビラの実態が明らかになり終焉を迎えた第一期
あれから1年半後の物語!!
すっかり立派な監視官として職務を全うする『常森朱』の姿がそこにはあった!!
新たな執行官、部下監視官を束ね、ここにまた新たな事件の幕が上がる――  (一部引用)


※第一期視聴必須です(人д`*)※
ドミネーター・シュビラシステム等の概要を認識済(一期視聴)
を前提に物語が駆け足に展開されていきますので
一期未視聴の方はまずそちらを是非ご視聴下さい!!


【はじめに】

まずはじめにお伝えしたい!!
この作品について世論含め賛否がハッキリ別れているとの事ですが

やはり私はこのPSYCHO-PASSシリーズが「大好き」である!!

なんといってもこの世界観!! シリアスで胸に刺さる描写!!
息もつかせぬアクション!! 様々に渦巻く思惑・陰謀!! 度肝を抜く展開!!
作風にmatchした音楽!! そしてカッコいいキャラ達!!

どれをとっても一見の価値有りと私は思います!!

特に今作の出だしの展開には強く惹き込まれました!!
始まってすぐ(2~3話)に衝撃的な展開!!
としか言えませんが、すぐに物語に引きずりこまれてしまいました!!
↑コレは本当にものすごい内容でした!! アッケラカンです!!

あっという間に私を再びPSYCHO-PASSの世界へと夢中にさせるには十分なモノでした!!


【新キャラ紹介】

今作より刑事課一係のメンバーに新たなキャラが登場しています!!
(前作よりちょい出てたキャラもいますネ)

■『霜月 美佳』 監視官 ソバカスちゃん
常森監視官の後輩監視官
とにかくムカつくヾ(`Д´*)ノ てか・・・このコ、マジなんなの?
こんだけ嫌がらせして何がしたいの? あー毎回毎回ヾ(`Д´*)ノモオッ
これだけ嫌われキャラになると後々何かあるの?伏線?とすら考えてしまう!!
私がキャラをこんなにけちょんけちょんに言うコトも・・・
ままめずらしい事かと(ノ∀`)スイマセン

■『東金 朔夜』 執行官 マザコω・)ヾ(・ω・;`)コラw
常森監視官の元につく執行官
一緒に捜査に趣いた監視官を黒く染めてしまうという輝かしくない経歴の持主
とにかくあやしい|ョω・)ジィーッ 何かクセモノの匂いがプンプン
「やっぱ狡ちゃんがいい~(´д`) 狡ちゃん出して~」
という思いは心の内にひそめておきましょう!!

■『雛河 翔』 執行官 翔くん
常森監視官に色々調べ物をお願いされる執行官
元ホログラマーらしくホログラムの知識がすごい!!
気弱な物言いだがいいヒト感がにじみ出ていいます(*´∇`)
きっと母性をくすぐるカンジが女性方に人気のキャラなのでしょう!!

■『酒々井 水絵』 監視官
こちらは刑事課二係の監視官さんで何やら自らのサイコパスの濁り
に不安を抱いているご様子|ョω・)
一係の主要キャラではありませんが、物語を知る上で一応ご紹介しておきます!!

■『青柳 璃彩』 監視官
こちらも刑事課二係の監視官さんで一期でもちょいちょい出てた様ですネ!!
左目元に泣きボクロのちょっとセクシーなカンジのオネェさん監視官
宜野座さんと同僚らしく、今作では見せ場がありますのでご紹介させて頂きます!!

そして一期より変わらずのメンバー
『宜野座』さん『六合塚』さん『唐之杜』さんは再び頼もしく登場頂けるはこびであります(*`・ω・)ゞ!!


【物語・内容】

公安局に立ちはだかる新たな事件――
そう、それはなんとシュビラシステムを逆手にとった
新たな首謀者によるシュビラへの復讐劇とでも言うべきか…

悲惨な事件が起こり、また犠牲者が・・・

私的にはそーきたか∑(゚д゚;ノノという展開で惹き込まれました

そもそも今作、グロ描写に迫力が増してますよネ!!!!(゚ロ゚ノ)ノ 
一期こんなにグロかったっけ? て正直グワーとなりました(((;゚;Д;゚;)))

常森朱さんのアーマーぶりは否めませんが、それでもハラハラドキドキ臨場感抜群のバトル描写に釘付けでした!!

結局、首謀者のココロ(意図)に関しては理解し難いというか、その心を理解するのは
一般ピーポーの私達には容易ではないと言うべきでしょうか?

そして、様々に渦巻く、思慮、陰謀、コレでもかと不安をよぎらす演出!!

お願いだからそれだけは~それだけは(>人<;)と何度願ったコトでしょう・・・

でもやはりそこはPSYCHO-PASS サイコパス!! しっかり私の心をえぐってくれるのですネ゚(゚´Д`゚)゚


【総評・まとめ】

総じて
大人気作の二期ということで視聴者の期待がフルに高まった上で満をじして放送された今作!!

確かに、主力キャラの出演NGに付きキャラの魅力は↓↓
話数も11話で内容、掘り下げも↓↓ 
後半のお話の盛り上がり感も私的にも↓↓

しかし今作も含めPSYCHO-PASS サイコパス!! 

ドミネーターを振りかざすアクション、描写はやっぱりカッコいいし、
相変わらずのこの世界観!!

駆け足に進む物語ですが私は一気に見てしまい、正直、楽しんでいたと言わざるをえない!

終わり方も劇場版への期待が大いにもてる内容で、コレはコレで良しと私は思っております*゚∀゚)

にわか者の意見なので参考にならないかもですが・・・


何よりもこの作品、そして劇場版にてこの先

シュビラにより成り立つこの社会の行く末がどんな結末を迎えるのか?

ぜひみな様もご一緒に見届けてみてはいかがでしょうかヽ(*´∀`)ノ

投稿 : 2024/06/15
♥ : 50

76.4 3 犯罪者アニメランキング3位
ID:INVADED イド:インヴェイデッド(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (417)
1517人が棚に入れました
殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョンウォーカー」の影を追っていく。

声優・キャラクター
津田健次郎、細谷佳正、M・A・O、ブリドカットセーラ恵美、村治学、近藤隆、岩瀬周平、榎木淳弥、加藤渉、落合福嗣、西凜太朗、遠藤綾、島袋美由利、平川大輔、宮本侑芽、日笠陽子、蓮岳大、佐倉綾音、小林親弘
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

されど空の青さを知ったカエルちゃん

著名アニメーターのオリジナルアニメ


自分は存じ上げなかったのですが名前を聞けば、な監督と脚本さんとのこと。
そんな予備知識があれば心構えができたものをそうでないとちょっとしたトラップにかかるかも。

まず画が軽いです。主役がツダケンさん。軽い絵と渋い声のマッチングに違和感を覚えます。
次いで第2話まで終わってちんぷんかんぷんです。リアタイでは一挙2話放送でギリ踏みとどまりましたが下手すると離れちゃいますね。
トラップといったのは、 ここまでで"しっかり観よう”という意識が吹っ飛んじゃうかもしれんってこと。流し見ダメ、ゼッタイ!集中しないといかん作品でした。
私も何話か流し見てから、いかんいかんと最初からリピートした口です。

ざっと概要を追うと、
殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。
頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョンウォーカー」の影を追っていく。そんなクライムサスペンス。
ミステリと呼ぶにはそこにあまり重きを置いてないような感じがしました。犯人は誰だ?の謎解きもあっさりだし、深層心理にダイブした面々の心の機微がよりこちらの興味をひいてきます。
{netabare}※ジョンウオーカー本人以上に仲間の本堂町小春がぶっ飛んでて良い感じなのです。犯人が魅力的でないキャラ設定なのはわざとじゃないかしら。そこじゃないんだよ!というスタッフのこだわり。{/netabare}


視聴を進めていってなんのこっちゃな部分もおありでしょうが、私も一緒。純粋に視聴に求められる偏差値が高いんだと思います。

それでも推したい作品ではあります。茶目っ気というか遊び心というかクスッとさせる演出ありで、そんなのが見え隠れしてる作品に大外れはない印象。ご多分に漏れず本作もそうでした。例えば設定。

主人公酒井戸が“イド”に入った後、謎解きの重要なモチーフとして必ず死体が用意されています。その名を“カエルちゃん”。別のでも他人のでもイドにダイブすれば必ず会えるという皆勤賞ぶり。そこで誰もが思います。

 {netabare}あー『井の中の蛙(かわず)』ですね、と。{/netabare}

そのうち穴井戸だったり聖井戸だったり井戸尽くしの様相を呈してくる物語。

 {netabare}そんなカエルちゃんは大海を知りませんでした。{/netabare}

 {netabare}ついでにカエルちゃん笑ってくれないんですが胸をさすとげは消えないままだったり。{/netabare}

簡単な連想ゲームにクスッとなります。さらに殺人鬼メーカーのジョンウォーカー。

{netabare}ジョニーウォーカーを連想したのは私だけ?
言わずと知れたウイスキーの銘柄。“ウヰスキー”とも書いたりします。ヰと井。
販元の英ディアジオが韓国に工場を置いたためしばらく日本向けジョニーウォーカーやスミノフはmade in KOREAでした。文大統領が税金上げたもんで撤退みたいなニュースありましたが脱線はこのへんで。
ウイスキーは原酒を寝かせてナンボなわけでしてこちらも熟成熟成また熟成。この殺人鬼も用意周到でしたね。ちょっと類似点があります。{/netabare}

{netabare}それで主人公が“酒”井戸。組織は“蔵”。{/netabare}

{netabare}聖井戸さんだけが持つ“御代”という下のお名前。福井の地酒で「聖乃御代」ってのありましたよね?
脚本の舞城王太郎氏は福井の出身です。ウイスキー関係ないけどなんというかそういったところ。{/netabare}


シナリオとは関係ないところで遊んでみてもけっこう楽しめる。で本編のメインシナリオでも作り手が遊んでるんで素直に楽しかったです。
ホント序盤に軽い画を侮らないで真面目に観続ければいいことがあるんじゃないかと思いますよ。

ネタバレなしはここまで。『マイノリティレポート』『羊たちの沈黙』その他ちょっとでも触れると削がれるタイプの作品です。よろしければ現物を確かめてみてください。
端的に作品から受けた印象を申せば、

{netabare}『大海に出ることの叶わない井の中のカエルちゃんが空の青さを知りえて大海にでることを願う物語』{/netabare}

でございました。



※ネタバレ所感

■声優宮本侑芽のお仕事

飛鳥井木記(あすかいきき)の演者さん。代表作は言わずと知れた『SSSS.GRIDMAN』の宝多六花役。
覚えてますかね?新条アカネとのやりとり。

{netabare}諦観した時のやや強がりの入った演技がすこぶる良いんです、この方。{/netabare}

これまたどうでもいい脱線。
木記→キキ→kick it ! とくれば、Beastie Boys の 『Fight For Your Right 』しか考えられませんよね。えぇ私が好きなだけです。

 You gotta fight for your right. To party

ききちゃんが心から笑える日が訪れますように!


■殺意で狂う人間模様

印象的なシーンと置き換えてもいいかもしれない。なんか切ないのよね。

1.{netabare}井波七星{/netabare}

{netabare}“墓掘り”の相方の女です。彼女のイド内にて、森の中で夜に円環列車が走るのを上から収めたカットを最後に映すんですよ。
「資料によれば井波七星の母親は七星が14歳の時に走行中の電車に飛び込んで自殺。どうやらこの酒井戸が乗る電車が実際にその時母親を轢き殺したもののようです」
ループしてる彼女の心理はここまでで充分に説明されてるのに敢えてぶち込んでくるの切なかったです。

穴開きで1,2話。海外帰りの爆弾魔で3話。そして墓掘りエピソードで4,5,6話と中盤を締めくくって後半にブーストかける良い流れでした。{/netabare}


2.{netabare}名探偵の条件{/netabare}

{netabare}殺人者であること。そして自殺も殺人とカウントするってのが最初とっつきづらかったかも。
つまり殺人犯を口八丁で自殺に追い込んでく酒井戸のスタイルもれっきとした殺人ですよ、と。羊たちの沈黙でも囚人を自殺に追い込んでくのがありましたけどレスター博士のサイコな感じとは違うんですよね。切ない事情がありました。

別件で、熟練の松岡刑事が本堂町(=聖井戸)を送る時も哀愁を漂わせてました。
「ただ俺はお前を推薦しながら俺と他の同僚を守っただけだ」
渋めのおっさんは刑事モノには必要です。{/netabare}


3.{netabare}鳴瓢(=酒井戸)というよりツダケンさん{/netabare}

{netabare}10話が切ない。耐えられん。{/netabare}

4.{netabare}局長の声{/netabare}

{netabare}これ全然切なくないやつです。何だろう…アニメ的な発声にずっぷり慣れてしまったのだろうか。
声が軽くてラスボス感が全くしない。それに棒なんじゃないかと思うくらいひどかった気がする。これ減点要素です。{/netabare}


■最後に遊び心の話に戻るんだが…

遊びと言いきると不敬とも取られかねないのですがお手柔らかに。

{netabare}「違うだろ…君らがどこかに行ってしまったんだ!」
「現実にいるんだ。君のいない…椋もいない…現実に…」
「椋…今そこで君らと一緒にいられなくて…本当に悔しいよ…」

イド内イドで妻に娘に鳴瓢が振り絞るように吐いたセリフ。どんな場面かは完走した人は分かるはず。
悔しいと吐露する鳴瓢の心中いかばかりか。{/netabare}


そこで思い出したのが以下、


{netabare}「国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て、散るぞ悲しき」

硫黄島守備隊の指揮官栗林忠道中将閣下の辞世の電報です。大本営に“悲しき”の部分を“口惜し”に変えられて世間に発表された逸話はご存知の方も多いでしょう。現代語訳すれば「悔しいよ…」ですね。
それから半世紀の時が流れて、1995年。{/netabare}

{netabare}「精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」{/netabare}

{netabare}慰霊に硫黄島を訪れた現在の上皇陛下が、この"悲しき”という言葉を使われて御製を詠まれています。{/netabare}


序盤私が申し上げた妄想の類ではなくこちらはれっきとした言葉の繋がりを意識されたものです。
それで「聖乃御代」ってことは…絶対にありませんね。すいませんでした。



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.10.10
《配点修正》-0.1 全体バランスを考慮


2020.03.25 初稿
2020.04.29 タイトル修正/修正
2020.10.10 配点修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 51
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

メタサイコロジー

監督あおきえい、脚本舞城王太郎。

奇想天外な世界観で魅了する、
舞城ワールド全開なSFミステリー。

殺人衝動を感知するミヅハノメなる、
アイテムを用い犯罪事件を捜査する組織。
{netabare}無意識の世界が推理の舞台となる。{/netabare}
犯人の深層心理に潜る名探偵酒井戸、
彼は井戸に潜り悪の記憶への回路を見つける。

{netabare}彼の過去とカエル殺害事件の真相、
悪意はそこかしこに潜んでいる。
連続殺人鬼ジョンウォーカーとは!?{/netabare}
その影を追い事件は真相へと近づく。

10話視聴追記。
技巧派・舞城ワールド炸裂である。
事件の核心が見えない、絞れない。
{netabare}飛鳥井の悪夢、世界の変容!?
飛鳥井はその力で鳴瓢の記憶を受け取る。
JWは鳴瓢の無意識の投影なのだろうか!?{/netabare}
本堂町が推理の鍵を握る。

最終話視聴追記。
活劇ではなく推理を主体とする犯罪劇では、
極めて良質なサスペンスが堪能出来る。
{netabare}計る者ものの尺度で変わる正義の形、
そして深層心理で繋がる不安定な心の形。
物語は余韻を残し事件は幕を閉じる。{/netabare}

心の病では些細な希望ですら光の道であり、
懸命にもがきながら苦しみが過ぎ去るのを待つ。

〇〇に幸せが訪れますように。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 48
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ID-0とは関係ない

2話までの感想{netabare}
ID-0よりリヴィジョンズの続き見たいなぁ(チラッチラッ

でもってこっちはサイコダイブモノ。
あにこれじゃない別の場所で意味が分からないって感想を散見するのだけど、どこが分からないのか分からない。
謎の部分は「ハイここは謎でーす」と明確で、分からないってこととは違うような…多分意味が分からなくなるのは後半になってからだと思うw
で、ひょっとしてだけど、視聴者それぞれの価値観は置いといて、この作品世界では「自殺も人殺しの一種として扱ってる」ってのが分からないと意味不明…かも?と思ったり。
それで本道町は自分のイドを作って「穴開き」の居場所の特定に繋がるヒントを渡した…って部分が意味不明なのかな?
違うのかな?
イドを作る・入るには殺人犯じゃないとダメで、酒井戸をダイブさせてそれが視認したものを外部が観測できる、但しダイブする度に酒井戸は記憶を失くすっぽい(ここ面倒くさそう)。
またイドはそれを形成してる人間(犯人)とリアルタイムでリンクしてる模様。
じゃあ酒井戸は殺人犯?っていうとどうやらそれっぽい、娘を殺されて犯人を殺した?
で、凶悪殺人犯のイドを覗くと共通してジョンウォーカーなるものが居て、同じように「かえるちゃん」も居るがかえるは娘じゃなくて娘と重ねてるだけじゃないかな。
殺意がそれほど特殊だと思ってない人間…例えば“ヴィンランドサガ”のバイキングみたいな奴はシビュラシステムに引っかかるのかどうかは不明。
合ってるかどうかは自分も分からんけど、これだけ分かって意味が分からないってことはあるまい。

その件とは別に、追い詰められた犯人が被害者のフリをして逃亡ってよくあるネタだけど、これだけネタとして扱われると「実際そんなことってあるの?」ってのはちょっと気になる。
とりあえずこれ見てふと思ったのが“ナカノヒトゲノム”もこれくらい冒頭で世界設定説明をしてくれたらまだ見れただろうになぁ、ってことだったり。

現段階では面白そうだけど冒頭でも書いた通り、後半本格的にワケ分からない展開になりそうな予感…哲学とか概念の話になって。
この予感外れて欲しいけど、果たしてどうかな~?{/netabare}

3話感想{netabare}
2話段階ではまだ確定じゃないし言うの控えてたけど、どうやら“羊たちの沈黙”の影響強そう。
前回は被害者になりすまして犯人逃亡がそう思わせたのたけど、今回は「監獄で隣になったヤツを言葉だけで自殺に追い込む」が正にソレ。
羊たち~では「レクターは何を囁いたら自殺にまでできるんだ?」と思ったもんだけど、こっちではそれを具体的にやってくれました。
ってことでパクりではなくオマージュって感じ、悪いということではない。
実際心の奥底、無意識の部分を他人に見られるって首根っこ捕まれるようなモンな気はする、そう考えると平然としてる本道町はかなり頭がイカれてる予感。
…ひょっとしてかえるちゃんはメンガタスズメポジション?
いやでもどうだろう、脚本の人はミステリ作家らしいのでレッドヘリングの可能性も捨てきれない?

それよりも、まさか1話完結=犯人逮捕まで行くとは思わなかった。
イドに入るたびにいちいち記憶失くす設定なので、状況確認するのが面倒そうで(「ここは何処だ?オレは誰だ?」ってのを毎回やられてもクドいよね)もっとダラダラ続く系と予想してたのだけど、結構テンポ良いのかも?
1話の中でよく詰め込んだなぁ、と。
ただ「狙撃手が移動してるんじゃない、塔が回転してるんだ」は“賭ケグルイ”でも見たトリックで目新しさはイマイチ。{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
初回2話連続放送で、その段階で「分からない」という意見へ「いやいやまだ分かるっしょ、本格的に分からなくなるのは多分後半」という態度だったのだけど…。
あはは、後半どころか中盤で意味分からなくなっちゃったw

引っかかりを覚えたのは本道町がイカれてるのは元からなのか穴が開いてからなのか分からん所から。
「正義のためなら自分の命なんて関係ねー」って性格なのか「人殺ししたくて警官になりました、凶悪犯居ないかなぁ(ウズウズ」って性格なのか、色々考えてたけどどうでもよくなっちゃった。
次いで5話か、自由落下してるイド。
無重力ってことだったらしいのだけど画面からはそうは感じない、というか見せ方が…意図的なら意地悪、意図的でないなら下手糞。
意図的でないってことはあり得ないと思うので、じゃあなんであんな分かりにくい見せ方したのか、その意図を考え出して…あはは、他のことが頭に入らないw
そして最後、本編で取り上げられてない、「そういうのがあったんだ」と言葉だけでしか説明してない連続殺人事件が他にもあって、それがいきなり本編に絡んで来るのは…どうなんだろう?
これが別媒体に原作が先にあって、アニメ化するに当たり入りきらない・詳しくはそっちを見てネってことなら分かるが、最初から1クールアニメとして作られたものなんだよね?(※)
それが悪いとまでは言わない、もし人気出て続編作ることになったら続きよりもそっちの話やってくれないかな?とさえ思ってる。
けどやっぱり…頭に入ってこないw
真犯人が無意識のウチに7という数字に拘ってたと言われても「ふ~ん」ってだけで「なる程!」には至らなかった。

もう一度最初から見直して、メモ取りながら視聴して理解しながら進めれば面白いのかな?って思わなくもないけど、そこまでの気力は残念ながら起きない。
だって…結局キキは救われないじゃん。
閉め方が良ければもう一回見ようかなとも思うけど、これじゃあちょっと…だったら“pet”をもう一回見るかなぁ、と。
というか単に人に説明するのが下手なだけなんじゃないの?という不信感が…言葉遊びも行き過ぎるとちょっとね。


逆に原作が別媒体で既にあって、それのアニメ化で、原作のほうの情報量が膨大でアニメの話数の中では到底説明し切れなくて、スタッフめっちゃ苦労してそうだと感じるアニメも沢山ありまして。
それに比べりゃ贅沢な立場なのにどうして…とさえ思えたり。

あとキキといったら樹木希林だるるるるぉ!?


追記
穴井戸が死んだのがどうしてか分からんって方が居たので個人的解釈。
イドの中で「名探偵扱いで自分が何者か分かってない状態」は死んでも本体は平気、自分が何者か分かっちゃうと(イドの中で)死ぬと本体は死ぬか昏睡。
記憶を無くして「名探偵扱い」は本体にダメージを与えないようにするガード機能みたいなもんかな?と解釈。
穴井戸は頭の穴のせいでガード機能が働かなかったってことだろう。{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 18

76.5 4 犯罪者アニメランキング4位
アクダマドライブ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (360)
1229人が棚に入れました
遙か昔、カントウとカンサイの間で戦争が起き、世界は分裂した。カンサイはカントウの属国となり、独自の発展を遂げていった。しかし、政治と警察力は衰退し、犯罪が横行。その犯罪者を“アクダマ"と呼ぶ――。 本作品の舞台となるのは、高度に発達しながらも歪んだ社会。その中で、アクダマたちはいかにして自分らしくあろうとするのか。一堂に会したアクダマたちの美学がぶつかり合う。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、梅原裕一郎、武内駿輔、堀江瞬、緒方恵美、木村昴、櫻井孝宏、大塚明夫、花守ゆみり、榊原良子、内田真礼
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

浪花節な古事記

オリジナルアニメ 

“アクダマ”とは作中でいう犯罪者のこと。そう言えばいいのにしてないのはそういう世界だから。
その昔「カントウ」VS「カンサイ」で戦争勃発。カントウが新型爆弾を落として決着。焼け野原になったカンサイの復興を助けたりもしてカンサイ人はカントウに感謝するようになった、とのこと。

メタで馴染み深いものが仕込まれてそうですが、当該世界はオリジナリティあるんじゃないかしら。
2020秋スタート新作の中では第1話の引き込みがぶっちぎりで良かったのがこれ。構成がしっかりしてるとか心情描写が丁寧だとかいうのをいったん置いときまして

 {netabare}作った人の頭ン中を覗いてみたいぜ!{/netabare}

人間の想像力は際限ないなと実感できる“架空の世界”を堪能しちゃえばええじゃないかと思うのです。
“アクダマ”が疾走(ドライブ)する全12話。IF世界の近未来モノ。今年2020年でいえば『ドロヘドロ』と同じくどうも言葉に落とす作業が難儀な作品です。「1話観て合いそうかわかるよ」死体がゴロゴロ転がります。そこ本筋ではないもののそれ自体が嫌という方には撤退を推奨するくらいでしょうか。

【アクダマ's】
 詐欺師(CV黒沢ともよ)
 運び屋(CV梅原裕一郎)
 喧嘩屋(CV武内駿輔)
 ハッカー(CV堀江瞬)
 医者(CV緒方恵美)
 チンピラ(CV木村昴)
 殺人鬼(CV櫻井孝宏)

愚連隊は黒澤明の時代より七人と決まってるのかどうなのか。
その七人の通り名には当たり前だが意味がある。
そして通して観ると「進むべき道は自分の意志で決める」真っ当なメッセージも伝わってくる。
突拍子ない世界に私達が置き去りにされないのは基本的なお作法を心得ているのもあるやもです。

アニメに求めるものの一つは表現手段として実写ではしょぼくなると思しきものをいい意味で見せつけてもらうことだったりします。それを満たしてくれた良作ですね。

■むしろ…
『ダンガンロンパ』と比較される本作ですが、肝心のネタ元を知らない私です。
むしろ『PSYCHO-PASS』との既視感が強いかしら。アクダマ認定のオートマティックぶり。某執行官ばりに現場で処刑実行できる公務員の存在。そんな世の中に感じる居心地の悪さなんてのもそうです。
{netabare}さらにサイコな殺人鬼役に櫻井孝宏さん。ダメ押しで公機関の女ボス格に榊原良子さん。榊原さんがどーんと鎮座してると悪の組織風味が何倍か増しますよね。{/netabare}



※妄想劇場

■大大阪(だいおおさか)の衰退

大正末期~昭和初期。大阪が東京を凌駕していた時代を指してこう言う。何年か前に通天閣で大大阪展やっててそれで知ってました。約100年前の大阪イケイケどんどんぶりは白眉ものでしたよ。
そして現在…ってことになるわけでして結果は東京への一極集中。いろいろ理由はあるんでしょうが

{netabare}東海道新幹線開通{/netabare}

{netabare}東名高速道路その他インフラ投資が高度成長を後押ししました。導かれるはリアルでの大阪の没落そしてアニメでシンカンセンの神格化。なんとも皮肉が利いてます。
またこれ“財政健全化”“国民の借金いくら”“角栄の頃と違い公共工事に効果はない”と捉えてる層にとっては、公共工事アクダマ論に乗っかり「そんなのを神聖化するなんて…プークスクス」とさらにマウント取れることでしょう。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

蛇足で劇団☆新感線も出自が大阪芸術大学だったりするのもなにかの意図を感じます(しません)。


■暗喩なのか妄想なのか

大阪を好きなのか嫌いなのかよくわかりませんが、無関心ではいられないというのは伝わってきます。
く○るのたこ焼きが500円と現在より安価。デフレーションでも起きているのでしょうか。

{netabare}ハンコも消えてない(笑) このハンコで一元化って仕掛けは面白かったですね。きっと文化と認められての発展形をアニメで描いたのでしょう。そんな発展形ハンコのもたらす災厄を描いてたこともあって、マイナンバーみたいに“国民総背番号制”一元管理どうかと思う層には「ほら見たことか」とウケが良かったかもしれない。なお私の意見は真逆です。{/netabare}

作品チュートリアルなウサギくんとサメくんの寸劇は有難かったですね。ウサギとサメの組み合わせで
{netabare}真っ先に思いつくのは“因幡の白うさぎ”だったりします。文章上のワニ=サメと解釈するのが一般的。その寓話の教訓とは?

1.思いやりの心をもっていると、幸せな結末が待っている
2.余計な振る舞いは災いを招く

といったところでしょうか。本作の展開結果に通ずるものがあります。{/netabare}


とここまでの垂れ流しをご容赦をば。
カンサイという近未来大阪風味な街で繰り広げられる大騒動。やや陰惨でディストピアな世界だからこそ他人様の優しさが沁みる。地でいく娘主人公の立ち居振る舞いに心打たれます。

 思いやりの心をもって迎える結末は幸せなのか不幸なのか?
 余計な振る舞いが招いたのは災いなのか未来への光なのか?

各々で捉えようのある結末も好感度高し。

 馬鹿な出会いが利口に化けて よせばいいのになんとやら

人生どう転ぶかわかんないもんですよね。


{netabare}結局のところ“医者”の年齢は不明のまま。おいくつだったのだろう?{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

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2020.12.30 初稿
2021.09.25 タイトル修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 50
ネタバレ

take_0(ゼロ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

エンターテインメントとしては一級品と評価。

一気見した。
過去に映画作品等で似たような作品は確かにあったと思う、しかし、この作品はこの作品として力のある作品と評価。

メインどころとして活躍するキャラクターはそれぞれ、大きな罪を背負った人物たち、所謂アクダマである。
ただ、この割り切りが正解かどうかはわからないが、この作品の中ではそれぞれのキャラクターにハクがついている程度の意味しかない。要はキャラクターの個性を紹介するラベルでしかないという事だ。
確かに過去エピソード紹介等でやったことを事細かに紹介されたりしたら、見方は変わるかもしれないけど。

とにかく、それぞれの特色を持ったプロ(スキルは一般社会では受け入れられないものだけど)が依頼された仕事をプロとして貫徹すると・・・。
そして対立する側もプロとしてアクダマを駆逐しようとする・・・(最終的にはいろいろとゆがみが生じるけどね)。

安易に言えないけど、善悪を横に置いてしまう作品だと思う。
こういう作品は大きな魅力を持つか、圧倒的に受け入れられないかのどちらかになりそうな昨今だけど、私的には「エンターテインメントとして」楽しみたいと思うし、楽しめた。

物語の設定は非常にユニーク。
カットインでウサギとサメが解説してくれているので理解も早い。
あらすじ的なことはいちいち説明するつもりはないのだけれども、設定も作画の雰囲気も強烈な個性を持っているし、世界観もしっかりしている。
それぞれのキーとなるガジェットも個性的で素晴らしい発想だと思う。
物語の流れについても、細かいツッコミをさせないだけの力があると思う。

それにしても、各キャラクターがクセがあって面白い。
前述したように、この手の作品と言うのは洋画で数は少ないが似たものを見たことがあるし、キャラもサンプル数は少ないもののテンプレ的ではあると思う、しかし、それをそう思わせない力があるのだ、
キャラ絵自体も一因ではあるのだけれども、それ以上に声優さんだ。
この作品の声優陣、すごくないっすか。
それがアクダマ側にも処刑課側にも配置され、がっぷり四つに組む。
これは、観ておく価値ぜったいあるっしょ。

あとカントウ潜入後・・・、一体カントウはどうなってんだと思っていましたが、そういう落ちでしたか。
完全予想外とまではいかなかったですが「ほほーん、そう来ましたか」とは思いました。
状態については予想の一つとしてイメージていたものとかすっていましたが、
{netabare} 不老不死の二人を永遠に生き続ける劣化しない量子コンピュータの記憶デバイスとして使おうって発想は無かったです。 {/netabare}

まさか、カントウバトルの決着が、
{netabare} サマーウォーズとZガンダムとは思いませんでしたが(ディスリではないです。単純な感想です。 {/netabare}

そして、最終盤にもう一つどんでん返しがありましたね。
ここも、一工夫あって面白かったです。
一般人が社会をダマす詐欺師へ化けた瞬間ですね。

エンディングは・・・、
多くは語りませんが、それぞれがプロとしての仕事をして、去っていったという事でしょう。
最後の最後のひとかけらに、仕事ではなく、人間の意地というか「思い」が乗っていた気がしたのも良かったと思います(私の主観ですがね)

さて、最後に不遇な境遇を持ったあの二人にはどうなったのでしょうか(どうなるのでしょうか)。
ここら辺の余韻をもった終わり方も、映画的だと思いました。

・・・これって、ハリウッド映画的な何かにもできそうな作品ですよねぇ。
アニメ好きとしては、これで完結していてよいのですが。
この作品に共感して何か起こそうとしてくれるような人があちらにもいると嬉しいなぁ。

この作品は悪は悪でしょ、認められないってタイプの人には向かないと思います。いわゆる情をもって行動をしているのは一般人(詐欺師)だけで、あとは本当に仕事をしているだけです。
だからいいのですが、合わない人もいるでしょう。

でも、観る価値のある作品です。
私的には、機会を見つけてぜひ見てほしい作品です。
この手の荒っぽい作品では、珍しく、ちょっとオススメしたいと思える作品です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 18

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

「カンサイ」とはまたザックリな…。(どう見ても大阪ですが何か?)だが、今期ダークホースはこれかも…? → カンサイがあれば当然カントウもありますが、よもやあんな有様とは!

[総評]
最終回のみ、サブタイトルは「アクダマドライブ」で映画のタイトルの引用ではありませんでした。本作のSF的な設定のいくつかは、ありがちといえばありがちな物ではありましたが、アクダマそして処刑課の面々が活躍する舞台装置として良く機能していたと思います。

カンサイのランドマーク的な物は我々のよく知る建造物のアレンジで、なじみがあって良かったです。キュウシュウが健在で生産拠点として機能してたらしいですが、そこの詳細は謎のまま終わりました。

話はちゃんと終わっているので続編的な物は考えにくい最終回ですね。

シリーズが継続するなら観たいですが、最終回の内容からするとキャラクターをそのまま登場させたければエピソード0とか外伝的な物にしかならなそうです。

カントウやカンサイの作中での状態になるまでの前日譚なら興味は持てますけど、無理に続編作ってこの世界の謎を説明してもらわなくてもそれはそれで良いかな…。

なかなか面白かったです。海外の反応も、わりと良かったんじゃないでしょうか。

== [下記は第2話まで視聴終了時のレビュー: 以下、追記あり] ==
『ダンガンロンパ』の制作陣でお送りする先が読めないオリジナルテレビアニメ、といった趣きの作品で第2話まで観た時点でこのレビューを書いています。

作中ではメインキャラクターでも役職名などで呼ばれていて、固有名詞的な物は公式ホームページでもエンドクレジットでも出てこないようです。これを貫き通すかどうかは謎…。

各話サブタイトルは、第3話予告までの感じだと犯罪やスパイなどが関係する映画のタイトルが採用されているようです。

第1話:『SE7EN(セブン)』
第2話:『RESERVOIR DOGS(レザボア・ドッグス)』
第3話:『MISSION:IMPOSSIBLE(ミッション・インポッシブル)』

背景美術はちょっと映画『ブレードランナー』っぽい感じの色彩豊かな近未来都市といった趣き。「シンカンセン」は知ってる「新幹線」と違う(笑)!

都市景観は現実の大阪が近未来的にアレンジされた感じですが、作中ではっきり「大阪」とは言わない辺りは何かの配慮なのかもしれません。配慮できてない気がするけど(笑)。

キャッシュレス決済が進んでいるっぽい世の中で、頑なに現金払いを要求する第1話のタコ焼き屋のおばちゃんは確かに大阪っぽいかも。

カンサイ(いや、大阪でしょ(笑))は作中での大きな出来事の後、「アクダマ」と呼ばれる凶悪犯罪者が暗躍するような街になっているようで、特にミナミ区とかは治安が悪いらしいです。

第1話では、いろいろとあってアクダマの大暴れに巻き込まれてしまう黒沢ともよ演じる「一般人」とおよそアクダマとは呼べない「チンピラ」を含むメインキャラ7人の顔見せ。

黒沢ともよの演技的には、バンドリの美咲ちゃん(ミッシェルの中の人)のような、「一般人ぶってるけどおまえ本気でそう思っているのか」感が漂ってきていました。(← 個人の感想です)

そして第2話では騒動の黒幕により状況が明かされるのと「敵」キャラクターの存在が明らかになるといった感じでテンポ良くストーリーは進んでいます。

ノーマークでしたが、視聴前からの意外性という意味では2020年秋クールでは本作が一番でしたね。スタジオぴえろをナメていました、ごめんなさい。

とりあえず面白かったので、今後も期待しています。
== [第2話まで視聴終了時のレビュー、ここまで。] ==

2020.12.19追記:
カンサイそして処刑課のボスの行く末は気になりますね。

2020.12.25追記:
作中人物の状態と、EDでのキャストのクレジットのされかたにはこだわりがあって良かったです。

新幹線の高架の残骸が十字架に見えましたが、あれは「救世主」を示唆するなかなか良い演出だったと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 42

80.1 5 犯罪者アニメランキング5位
BANANA FISH(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (542)
2452人が棚に入れました
ニューヨーク。並外れて整った容姿と、卓越した戦闘力を持つ少年・アッシュ。ストリートギャングを束ねる彼は手下に殺された男が死ぬ間際に“バナナフィッシュ”という謎の言葉を発するのを聞く。時を同じくして、カメラマンの助手として取材にやってきた日本人の少年・奥村英二と出会う。二人はともに“バナナフィッシュ”の謎を追い求めることに──。


声優・キャラクター
内田雄馬、野島健児、平田広明、石塚運昇、古川慎、細谷佳正、川田紳司、福山潤、森川智之、千葉翔也、斉藤壮馬、上田燿司、小形満、村瀬歩

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

80年代少女漫画の金字塔のアニメ化~法の外側~

実は内容は当時からしてもさほど新しくはない。少年売春は萩尾望都や武宮恵子の漫画では頻繁に出てくるし、ドラッグカルチャーは1960年代から続いているのでハードボイルドで危ない話だがそこまで新しかったわけではない。

しかし、「バナナフィッシュ」以前、以後では少女漫画の表現が変わってしまった。

第一に、大友克洋構図といわれるフランスのバンドデシネを応用した画面構成のリアリティの追及である。それまでの少女漫画は舞台が欧米であったとしても細かなディティールまで描くことはなかった。なんとなく欧米風の屋敷だったり、学校だったりと著者の妄想の中での出来事で絵空事でしかない世界観を、バナナフィッシュはニューヨークのハーレム当たりのスラム街とこと細かくその事件の場所や主人公の居場所をできるだけ現実に寄せた。

第二に、骨格のしっかりしたデッサンの整ったキャラクターデザインである。これは思い切り大友克洋の影響が強いが、主人公のアッシュリンクスは美形の少年という設定であるが、目鼻立ちが小さく、顔が四角い骨格をしているのである。それまでの少女漫画の登場人物の骨格や服装は「記号」であり、手塚マンガの様なデフォルメが基本だったものを本作くらいから少女漫画でもリアル志向になる。矢沢あいや、柴門ふみ、よしながふみといった後続の少女漫画家は本作品の影響化にある。

いわゆる、「不良やギャングを題材とした少女漫画」のはしりであり、1980年代当時のポップカルチャーをふんだんに取り入れて進化した。ちなみに少年漫画もヤンキー漫画全盛期の時代でもある。


2話まで視聴。マッドハウスから派生したスタジオMAPPAなだけあって、作画脚本が骨太。2話を見て徐々に漫画を思い出しましたが、この頃の漫画は特に「法律や社会規律」の外側にいる少年を主人公にする漫画が非常に多かった。OVAの「メガゾーン」シリーズもしかり、ヤンキー漫画しかり、「AKIRA」だって「健康優良不良少年」たちが主人公である。
彼らは常に社会から阻害され、貧困の淵に立っており、「ノワール」を生きている。暗闇の中でもがき苦しみながら「生きる」姿に人々は哀れみや共感を覚えたのだろう。

最終話まで視聴:原作からそうだが、この耽美的な女性(成人した)の妄想そのものであるBLの雰囲気と、悪い奴らは必ずノンケでないこと、アッシュとエイジの関係が友情以上のもはや恋人同士なところも含めて好き嫌いがすっぱり分かれそう。そういう意味では「刃牙」の女性版。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 23
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

Walk on the Wild Side

ノイタミナ×MAPPA制作。
原作は吉田秋生の少女漫画の金字塔。

原作表紙のデザインが秀逸だなと興味をひき、
タイトルのフォントも素敵ですよね。
いつか視聴したかった作品です。
タイトルはサリンジャーからでしょうか。
あにこれのメインクラスターには、
吉田秋生と言えば「海街diary」かも知れませんね。

NYのソリッドな空気感とキャラ紹介。
バナナフィッシュの言葉の謎もあり、
初回、ラストの引きは上々だと思います。

13話視聴追記。
{netabare}中盤、盛り上がる演出もあるものの、
粛々と物語が進行し続きが気にならない。{/netabare}
ここからの後半戦に期待しましょう。

最終話視聴追記。
終始、一定基準で安定はしており、
{netabare}これはもう好みの問題ではないでしょうか。
永遠に変わらない2人の透明な絆、
素晴らしい余韻を残す万感の終幕でした。{/netabare}

ED曲は世界観に合っていて素晴らしい。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 51
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

キース・へリングやバスキアが生きた時代

2019.01.03記


原作未読


書店で平積みされてたり、学校で女子が話題に挙げてたような挙げてないような。20年以上前の記憶です。
タイトルだけは知っていて中身がどんなか知らないものの、吉田秋生先生でノイタミナでという話題性に食いついてみました。

全24話2クール作品です。
舞台はアメリカN.Y。若くしてストリートギャングのボスであるアッシュ・リンクス(♂)は容姿端麗・頭脳明晰・殺人スキルも無問題の完璧超人。イラクで消息を絶った兄が残した「BANANA FISH」という単語を追って動き始める。
同じ頃、カメラマン助手として日本からやって来た青年奥村英二がひょんなことからアッシュと出会い、BANANA FISHを巡るいざこざに巻き込まれながら友情を育んでいく物語です。
けっこうハードなクライム・サスペンスで、コルシカマフィア、華僑の闇勢力、ストリートギャング、はたまた国家機関も出張ってきての組んずほぐれつ。諸悪の根源はBANANA FISHということになるんでしょう。

設定が設定だけに人が死ぬのはしょうがないとして、これでもかこれでもかと不運がアッシュに降りかかるのが本作の特色でしょうか。
30年前なら『おしん』、20年前なら『家なき子』、最近だと『東京喰種』の金木研ばりに過酷な試練の連続です。どうしようもない沼に嵌りこんでいるアッシュをもうこれ以上いじめないでください、となります。
このアッシュに共感できるなら作品にすっと入れると思います。
対する英二は平和ボケの権化みたいな向こうの人から見た“Tipical Japanese”を地でいく青年です。私は苦手なタイプですが、なぜか完璧超人アッシュにとっては安らぎを得られる存在。
生い立ちから歩んできた人生からまるで違う二人がなぜ共鳴し合えるか?
この友情物語を紐解くカギとなります。


私はけっこうながら見でした。
英二がまぬけというか、いや普通そんなんやったら死ぬで!の局面でけっこう素っ頓狂な行動を取ったりでイライラが募り、ストーリーに没入するのを邪魔します。
アウトローが自分に無いものを求めて無垢な存在に惹かれるというモチーフはよくあるため、逆側の無垢な存在がどうアウトローにシンパシーを感じるかの部分で弱い気がしました。

『だから二人は惹かれ合うのね』

ここがもっと欲しかったかな。男同士、女同士、男女でもそれは変わらないと思います。
クライム・サスペンスと友情物語がリンクする作風の中で、前者がなかなか面白いのは事実なものの、後者がしっくりこないと早々に“腐”認定してとりわけ男性視聴者が離脱してもおかしくないでしょう。
逆に両者がかちっとはまるとめちゃくちゃ面白く感じそうです。私はその一歩手前でした。

とはいえ完走はできました。佳作の域にはあると思います。

※メモ//石塚運昇氏遺作



■余談 
地味に良かったのがN.Yの雰囲気。
1985~1994年連載の原作でベトナム戦争帰りの設定だったのがアニメではイラクだったり、スマホがあったりと現代に合わせた調整はしょうがないとしても、ベースとなったであろう1980年代前半の超凶悪な街N.Yの雰囲気がよく出てたのは良かったです。
今と違って観光客が地下鉄に乗るなんてご法度もいいところで、昼間でもサウスブロンクスを歩けるわけがなく、例えばタイムズスクエア近辺のホテルから地下鉄でヤンキースの試合を観戦しに行くことは「死にたいの?」という世界。・・・だったらしい。なにぶんこの時期ガキンチョだったので見聞きした話です。
一方でアートやファッションはとても魅力的だったり。キース・へリングやバスキア。元は落書きの“グラフィティ”は画集を買ったこともあるし、ヒップホップも発祥はこの頃のN.Y。自分がはまったのはちょっと後の東と西でドンパチしてた頃ですが、私には興味惹かれる場所なり時代だったりします。

作中でも地下鉄でドンパチ普通にやるし、建設中ビルや廃墟などいたるところで銃声が響きます。このやさぐれ感はたまんなかったです。

リアルのN.Yで初の黒人市長が出て警官増員したのが1989年。ジュリアーニの登場が1994年。治安は急速に改善してきました。
私の初N.Yが2001年だったのでその頃はもう快適に過ごせましたね。

{netabare}超高層にもかかわらずガラス張りではなく屋外に出られるスポットがあるぜ、とN.Y出身知人のススメで訪れたのがワールドトレードセンター。訪問日は2001年8月11日午前。なんというかね。。。{/netabare}


やっぱり、あんな危ないエリアだったりストリートの悪がきがたむろするところを無警戒でほっつき回る英二って“なんだかなぁ”と思う私でした。


■余談2 ※最終回ネタバレ有
国民的愛唱歌『とんぼ』言わずと知れた長渕剛の名曲ですが、元は本人出演ドラマ「とんぼ」の主題歌です。
{netabare}最終回はヤクザ役の剛が腹を刺されて、倒れた剛をカメラが引きのカットでおさめて終了。図書館ではなくこちらは路上でしたが似たようなカット割りです。{/netabare}

{netabare}ヤクザ剛の役名は “英二” 

すまぬ。これ言いたかっただけです。{/netabare}


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2019.06.02追記
《配点を修正》

投稿 : 2024/06/15
♥ : 52

76.7 6 犯罪者アニメランキング6位
91Days(ナイティーワンデイズ)(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.7 (826)
3926人が棚に入れました
ある誕生日の晩、少年の幸せな生活は突然終わりを迎えた。マフィアの抗争により、目の前で両親と弟を殺された少年アヴィリオ。7年後――差出人不明の一通 の手紙を読み、静かに嘲笑うアヴィリオ。その手紙をきっかけに、彼はローレスの街へと舞い戻る。そして幼馴染のコルテオと再会し、ヴァネッティファミリー に密造酒を卸そうと持ちかけるのだった。

声優・キャラクター
近藤隆、江口拓也、小野大輔、斉藤壮馬、津田健次郎、西山宏太朗、中村悠一、櫻井孝宏、山路和弘
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

完成度の高い人間ドラマと丁寧な演出が見所〈2020年7月からまたも再放送〉

2016年夏放送のTVアニメ。全12話。
7年前の誕生日、マフィアに家族を殺されたアヴィリオという青年の復讐譚です。

本作の魅力はストーリーと演出。ミステリーでもアクションでもなく、ヒューマンドラマです。
マフィア映画はゴッドファーザーくらいしか見たことがありませんが、洋画をオマージュしているのはすぐにわかります。暗い雰囲気や地味な演出、キャラクター死亡率の高さ、流血描写の多さなどで好みは分かれると思います。

ヒューマンドラマを織り込んだストーリーは完成度が高く、とても綺麗にまとまっています。でも余韻も凄く残っていて、正直見て良かったという言葉しか出てきません。脚本の練り込みと人間ドラマという点での初志貫徹ぶりに、良いものを見られたという満足感が得られました。
アニメでこういう爽やかさと寂寥感、悲壮感を残せる作品は珍しいと思います。私が語るより実際に見てもらったほうが良いと思う。

台詞が少なく作画や演出からキャラクター心理を読むタイプなので、とにかく目が離せませんでした。
作画は全体的に大変そうなのに心理描写に必要な仕草や表情は一貫して細かく、そこはスタッフの意地だったという印象。神がかった作画とはまた違うこだわりで、私のとても好きな方向性です。凄く記憶に残りました。

背景はリアルな方向性ではなく、水彩画のようなタッチ。手描きのキャラクターとよくマッチしていました。子どもや動物の動きが地味ですがリアル寄りで、とても可愛くて大好きでした。
自動車はCGなので浮いてしまうのだけは残念ですが…今って車を手描きできるアニメーターさんは少ないようですね。
小物や銃器の設定に専属スタッフがいるなど、時代考証にもこだわっていると思われます。まあ私は詳しくないので断言は出来ないのですが。

声優さんは実力派が揃っていて、中堅とベテランの演技が素晴らしいです。茶風鈴さん子どもの頃から大好きなので、悪役声が聞けてとても嬉しい。

音楽、OP、EDは使い方も含め作風をきちんと反映していて良かったです。特にOPは素晴らしい出来でした。

今回は内容に触れるのはやめておきます。
正直なところ良い意味で語る言葉が見つかりませんし、この作品はこのまま受け止めたいと思います。


あとはキャラについて雑感。
{netabare}
まあ皆犯罪者ですが、それに相応しい描き方なのでモヤモヤする事は無かったです。
コルテオさえ酒を密造していて、その時点で運の尽きというか…でも生きて幸せになって欲しかったなあ…。

アヴィリオとコルテオが特に好きでした。アヴィリオが幸せになる目は無いのはわかっていたけど、やっぱり悲しい。
コルテオとチェロットは数少ない癒し枠、だったんだけど…コルテオ切ない。チェロットは元気にやっていってくれることを切に願います。
ファンゴさんは最初は雰囲気ぶち壊しな上、もともとこういうキャラが嫌いなので正直何これって感じでしたが、周囲を引っ掻き回して弱者を追い詰める役回り、底の知れなさがどんどん嵌っていって、コイツじゃなきゃダメなんだなと思うようになりました。
ネロ、甘すぎて絶対マフィアに向いてないんですけどw

あと女の子と子どもたちめっちゃ可愛い。ただ、こういう作品ではやっぱり不憫な役回りになりやすくて可哀想だなあ。フィオは強い女性でした。男だったら立派にファミリーを守ったかもしれませんね。
オジサン達渋い。駆け引きとか腹の探りあいってイイよねw{/netabare}
(2016.10.6)


【再放送決定につき追記】
2019年10月3日より、BS日テレにて毎週木曜日23時30分~24時放送です。
興味がある人は是非!(2019.9.13)

【またも再放送決定】
BS日テレさんいつもありがとうございます。最近BS日テレにお世話になりっぱなしだな…。
2020年7月12日より、毎週日曜日23:30~放送です。
見てない方は是非♪(2020.7.3)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 56
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ロング グッドバイ

1920年代、禁酒法時代のアメリカ。
法は力を持たず、街はマフィアに支配されている。
舞台は密造酒の闇取引が横行するローレス。
家族を抗争により殺害されたアンジェロの、
復讐に至る91日間を描くフィルムノワール。

物語は殺人の夜より7年後から始まる。
{netabare}追っ手を逃れ生き延びたアンジェロ、
彼の元に届けられた差出人不明の一通の封書。
アヴィリオと名を変え、
ヴァネッティファミリーに近づく。{/netabare}
ここから壮大で重厚な復讐劇が幕を開ける。

バッカーノがタランティーノ作品なら、
こちらはコッポラ、ゴッドファーザーでしょうか。
派手な銃撃戦や暴力描写はあるものの、
それ以上に、心理描写が巧みで、
物語・構成・演出と隙のない出来でしょう。
ゲーム感覚的な死を感じさせないシナリオ、
この作品からは、人の命の重みを感じます。
そこも魅かれた理由の1つです。

兄弟の確執、仲間との絆、
{netabare}復讐を誓うものとされるものの奇妙な信頼関係。{/netabare}
復讐という負の連鎖が教えてくれるもの、
これは哀しい運命に導かれる男たちの群像劇だ。

旅路の果てに空虚へと至る、
感慨深いラストシーンが美しい。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 58

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

1920年代禁酒法時代の合衆国を舞台にしたマフィア復讐劇

2016年放送のオリジナルテレビアニメ全13話

監督 鏑木ひろ 構成脚本 岸本卓 キャラデザ 岸友洋 音楽 海田庄吾
制作 朱夏

1920年代、禁酒法時代の合衆国を舞台としたマフィア物のオリジナル作品。
「ゴッドファーザー」「ワンアポンアタイムインアメリカ」「ブレイキングバッド」などの洋画を参考にしたとのこと。

アヴィリオ・ブルーノ CV近藤隆

マフィア組織である「ヴァネッティ・ファミリー」に家族を殺され復讐を誓った。

ネロ・ヴァネッティ CV江口拓也

アヴィリオの復讐の対象の一人。アヴィリオの謀略に乗せられつつも不思議な友情を感じる。

ヴァネッティ・ファミリー以外にも「オルコ。ファミリー」「ガラッシア・ファミリー」などの、
マフィア組織が登場し禁酒法時代のアメリカ合衆国を精密に描いた労作です。
例えば酒場のピアノ演奏も20年代レベルのジャズを再現しており凝ってます。
ジャズピアニストに適当に弾かせたら絶対に40年代(ビバップジャズ)以降のスタイルになりますから。

ただこの作品には魂を感じられなかったというのが低評価の理由です。
重要な登場人物が何の感情もあらわさないままに次々と殺されていく。
マフィア映画にありがちないきなりズドンで退場です。
これは私の美学に反します。
人は絶望感の中、叫びながら死んでほしいのです。
だから個人的好みの問題とも言えます。
実はアメリカのマフィア映画はだいたい退屈でしたので。

それとキャラデザですが、非常に違和感を感じました。
リアルなんでしょうが、バイオレンスな作風に合わない牧歌的なキャラです。
「バッカーノ」とかとは全く違う「世界名作劇場」風です。
例えば「ロミオの青い空」とかに近いような。
それで凄惨なシーンの連続なら、ミスマッチ感を楽しめるのですが、
ズドンで退場の連続では、なんだか熱くなれません。

この手の作風はアメリカ映画で確立したものなので、
詳しい人には何も反論できないレベルの知識ですが、
面白い作品ではないと思いました。

リアル感を重視しているため登場人物のほとんどは男性ですが、
たまに登場するドレス姿の女性がセクシーでちょっともったいなかったような。

声優の使い方はイマイチだと思います。
副主人公役の「俺ガイルの八幡くん」だけは良かったような感じ。

高評価もちらほらありますが、今回は自分の好みで評価となりました。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 32

72.2 7 犯罪者アニメランキング7位
憂国のモリアーティ(2クール目)(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (163)
748人が棚に入れました
「憂国のモリアーティ」は、コナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」シリーズを原案とし、集英社「ジャンプSQ.」にて連載中の⼈気漫画(構成・竹内良輔、漫画・三好輝)。シャーロック・ホームズの宿敵・モリアーティを主人公にした、犯罪による革命の物語だ。コミックスは2021年1月時点で1~13巻まで発売、累計発⾏部数は400万部を突破している。2020年10月から12月までTVアニメ1クール目が放送され、2021年4月より2クール目が放送予定。

声優・キャラクター
斉藤壮馬、佐藤拓也、小林千晃、日野聡、上村祐翔、古川慎、小野友樹、安元洋貴
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

前半に立てた仮説と検証

分割2クールの後半

原典のホームズVSモリアーティの対立構図を踏まえ、適度に煽りながら後半お楽しみに!と良い引きだった前半最終回。たぶん多くの人がそのまま後半に流れていることが予想される期待の作品です。

結果、

 うまいこというね~ …止まり

“唸る”と“うまいね~”の違いってあると思うのです。後者はなんかうまくまとめたでしょ?って向こうに若干ドヤが入ってる感じ。心に余裕ない時に観るとイラっとくるかもわかりません。
結論ではなく途中途中で「ちゃんとしたごしらえしてたら輝きそうなのに」と思えるネタがいくつか。

{netabare}切り裂きジャック キターとか
ジェームスボンド キターとか
フランス革命をイギリスが仕掛けたとか …あ、これパーマストンならやりかねんな{/netabare}

命題は階級制度へのアンチテーゼ。その処方箋にモリアーティの選択した手段が“犯罪”でした。
さてその階級制度打破についてなにかしら答えが出たがどうかは観てのお楽しみですけど、全くの広げっぱなしでノー回収ということはなかったので安心してください。

少しレビューらしいことも書いときます。
ホームズVSモリアーティでのスリリングな知恵比べに手を汗握った前半1クール。ここがそのまま続いて深化していくかと思いきやそうはなりません。“実はアプローチが違うだけで似た者同士な二人”な共闘関係と取れる描写が増えていきます。
いったん提示されてた視点の変更を余儀なくされるわけでして、スムーズに移行できるような手を打ってほしかったと思います。ここが弱い。説明不足ということです。

なので冒頭に触れたように、うまいこと言ってるように見えるだけの納得感に欠ける結果に。とはいえつまんないとは違うんだよなぁ。



※ネタバレ所感


■前半でたてた仮説についての検証(っぽいもの)

元ネタは前半クールのレビューに書いてます。
社会構造を改善ではなく破壊(革命)によって現状変更を試みる場合、ろくな未来は待ってないだろうよ、ということです。モリアーティ一味がそのうち手段が目的化して労働階級の人間にも手をかけることになるだろうとも予想しました。

{netabare}見落としてるかもわからんけど、労働階級には手を出して無かった気がする。予想外しました。
ろくな未来が待ってないことは私じゃなくても予想するに易いですけどこれも外してると思います。
なんか収まるところにいい感じで収まってましたね。なーんだ、つまんねーの、ちっ…{/netabare}

それでも期待のあの人はしっかりやらかしてくれてました、なコレ↓
{netabare}火をつけちゃだめよね。
予想というか行く末を気にしていた登場人物の一人モリアーティ家の長兄。ガチの貴族で善意の思考停止マン。大英帝国の近衛文麿/西園寺公一と言えるあの人は案の定ダメンズでした。火を放ったのはコイツです。多くの守るべき労働者階級を危険に晒すというところまで文麿仕様というのに強い説得力がありました。

さらに ※最終回のネタバレあるのでさらに隠しときます。
{netabare}手を取り合ってバケツリレーってのがお花畑全開です。
違う階級同士手を取り合っての美談扱いということですけどまさにこれが茶番。火付けは物理的破壊行為となりますが国民生活の破壊という意味でのメタファーになってます。ほら、経済を回らなくする/社会不安を煽る/その他国民を困窮させる行為全般とかね。そうすると現体制に不安が溜まって革命が起こるって寸法ですが、はた迷惑な話ですし、それまで破壊しかしてこなかった連中が疲弊した国民を統治するなんてできるわけありません。断言してもいいです。
アニメのように物理的な破壊なら傷は浅いかもしれません。ただしやっちゃだめよね。門を開けない貴族に文句言う前にお前らが火をつけなきゃいい話だろってのを忘れてます。

 ・民が困窮すればワンチャンあると本気で思っている輩 
 ・そうやって実際に放火して罪をなすりつける輩

現実でもよくあることなので騙されないようにと自戒する機会を与えてくれた佳作です。{/netabare}{/netabare}


追伸
壮馬さんのキャッチミーイフユーキャンの発音がなんかこそばゆい



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

-----

2021.07.07 初稿
2022.06.02 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 31
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

おいおい、終盤、急いだなぁ(笑)

第1期から第2期(本作)の中盤まではかなり面白いのに、終盤「うん?」ってなっちゃう作品。

犯罪卿の誕生から、シャーロック・ホームズの登場。
そして、ジェームス・ボンド、切り裂きジャックまで・・・。

ところが、物語は突然終幕を迎えます。

う~ん?

そう、終盤が急ぎ過ぎなんですよね。
{netabare}「社会を変える」という当初の目的を果たした風で終わっちゃう。{/netabare}

そこまでの密度が濃かっただけに、終盤の性急な感じが残念な作品でした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 22
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

僕にとっての盛りあがりって(1クール目)

[文量→中盛り・内容→酷評系]

【総括】
いや、ダジャレですけど(笑)

2期も悪くはないけれど、やっぱり1期の方が面白かったなと。

ていうか、圧倒的に尺不足ですね。三期か劇場版があったら、もっともっと面白くなっただろうに、勿体無さ過ぎる。逆に、原作読みたくなっちゃうパターンですね(笑)

レビューでは、本作を見て物足りなく感じたことを。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
1話1話は結構面白く、特に、子供時代の裁判の話と、清廉潔白な議員を殺人犯に仕立て上げる話は刺激的だった。ジェームズ・ボンドのチート能力は、本作をファンタジー側に寄せすぎ、微妙だった。

本作を1期に比べて低評価をつけたのは、「性急」ということだ。

本作の見処は、モリアーティが犯罪卿として引き起こした犯罪が、どのようにイギリスを変えていくかというところだったが、そこが全然腑に落ちなかった。

最後に、モリアーティは「準備は整った」、ホームズが「全部繋がっていた」と言っていたから、そうなんだろうけど、そんな描写、あったっけ?

バラバラだった事件が繋がり、1つの結末に向かっていくことを期待していたのに、実際に描かれたのは、犯罪卿チームの格好よさや、ホームズとモリアーティの友情、刺激的な事件がメインで。

それはそれでエンタメとしては面白かったけど、本格ミステリーを期待したこちらとしては、やや肩透かし。

おそらく、この辺は原作ならちゃんと丁寧に描かれているのだろうなとは感じた。

最後も、キレイなラストではあったけれど、本作の場合、せめて生死が不明くらいの曖昧な感じの方が似合っていたと思う。

事件がイギリスを徐々に変えていく様。自身の悪事に耐えられず、徐々に死を望むようになるモリアーティの苦悩。正反対の立場で奇妙な友情を徐々に深めていくモリアーティとホームズ。

やっぱり全てが尺不足だった。好きな作品だっただけに、残念感が残った2期だった。原作買おうかな(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
なんか、新キャラ。兄貴か。その男装を見抜けないホームズじゃないだろ。

2話目 ☆3
フランス革命をイギリスが主導。そりゃ大事件だよな。

3話目 ☆4
犯罪卿チーム、格好良いよな。そこでジェームズボンドかい。

4話目 ☆4
ボンド、恐えよ(笑) ジャック・ザ・リッパーも仲間に(笑) なんか、エンタメ強くなってきたな。

5話目 ☆3
その狙撃の腕前は、やりすぎじゃないかな汗

6話目 ☆3
なんか、チート過ぎるんだよね、ボンドも。

7話目 ☆4
過去回想ね。孤児院から騙し取るとかね。随分公正な裁判だな。

8話目 ☆3
劇場型選挙。目的が達成できれば、手段や誰がやるかは問わないと。清廉潔白。

9話目 ☆4
心折れるか、復讐に向かうか。本質的な悪。議員に殺人を起こさせるまでの犯罪。理性で踏みとどまり、衝動的に殺人を犯す。死ぬことまで覚悟させるか。

10話目 ☆3
久々にホームズサイド。なんか、本筋から外れているよな。

11話目 ☆3
なかなか刺激的だが、ちょっと急ぎすぎの展開。この流れは、(あれば)三期で良かった気がする。

12話目 ☆3
この展開で、もう死にたいってのは、なかなかに斬新。キレイに終わったけど、う~ん。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 17

79.0 8 犯罪者アニメランキング8位
ゴールデンカムイ(第3期)(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (286)
1199人が棚に入れました
網走監獄で繰り広げられた激しい攻防戦の末に、離れ離れになってしまった「不死身の杉元」こと杉元佐一とアイヌの少女・アシ(リ)パ。アシ(リ)パは「脱獄王」の白石由竹とともに、キロランケと尾形百之助によって父の足跡が残る場所・樺太に連れ去られていた。アイヌの金塊を強奪した張本人である「のっぺら坊」が死んだ今、その秘密を解けるのは娘のアシ(リ)パのみ。キロランケの目的は、彼女を連れてかつての仲間である極東ロシアのパルチザンと合流することにあった。一方、第七師団の鶴見中尉と手を組んだ杉元と谷垣源次郎は、アシ(リ)パを捜索するための先遣隊に志願。月島軍曹と鯉登少尉を同行者として樺太を目指す。北海道よりさらに北に位置する極寒の地で、それぞれの旅路を進む杉元とアシ(リ)パを待ち受けるものとは!? 新たなサバイバルが幕を開ける!

声優・キャラクター
小林親弘、白石晴香、伊藤健太郎、大塚芳忠、中田譲治、津田健次郎、細谷佳正、乃村健次、菅生隆之、大原さやか、てらそままさき、能登麻美子、杉田智和、竹本英史、小西克幸
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

純粋なもの、穢れたもの

アニメーション制作:ジェノスタジオ、
監督:難波日登志、シリーズ構成:高木登、
キャラクターデザイン:大貫健一、
音楽:末廣健一郎、原作:野田サトル

アニメ2期視聴後に原作組になった。
アイヌ文化の奥深さ、実在の人物を参考にした
魅力的なキャラクター像、彼らの過去と心理の表現、
飯テロ、動物たちを含めたサバイバル。
明治維新後の北海道を舞台にすることで、
複合的な魅力が作品全体から湧き出てくる。
人間の本質を表現しようとする作風が見どころだ。

網走刑務所を襲撃後、思わぬ展開によって、
アシㇼパは、父・ウイルクとの邂逅が叶わなくなってしまう。
その上、最大の理解者である杉元とも離れ離れになった。
杉元が死亡したと思い込まされたアシㇼパは、
キロランケや尾形、白石らとともに
父の足跡を辿って樺太の地に向かう。
快復した杉元たちは鶴見中尉に協力する形で、
アシㇼパを追うことになる。

ロシアの伝統競技・スチェンカでの殴り合い、
イタチ科の猛獣・クズリとの戦い、
月島の過去と鶴見中尉の陰謀、
曲馬団・ヤマダ一座のハラキリショー、
キロランケを追う国境守備隊の狙撃手・ヴァシリとの攻防、
写真館を営む長谷川の正体とウイルク、キロランケ、ソフィアの因縁。
アシㇼパ一行とそれを追う杉元や谷垣たちを
交互に見せる形で過去も交錯していく。

尾形の腹違いの弟・勇作との記憶。
戦争における「罪」とは何か。

尾形の生きる原動力。それは子供時代から抱えていた
純粋なもの、無垢なものに対する憎しみだった。
無垢なものなど、この世にはない。
それを証明することだった。
一方、アシㇼパの父・ウイルクは狼に憧れ、
群れを守るためには仲間を殺すことさえ厭わない
純粋だが非常な生き方を選択していた。
{netabare}そんな考え方から、ウイルクは妻から
「狼に追い付く」という別名を与えられていたのだった。{/netabare}

刺青の暗号を解く答え――――
それは純粋な狼とともにあったのだ。

以前のレビューで、この作品は「純粋な生」の形を
表現していると書いた。
そして、今回はその「純粋さ」が多くの人々を
結果的に「殺す」ことになるという
戦時中の心理状態のリアリティに震えた。

確かに世界史を眺めているといつの時代にも
戦争での殺戮における大義名分がある。
兵士に対して「人殺しは正しい」ことを
刷り込まなければいけない。
そのときに必要なのは宗教などの
圧倒的な正義の象徴なのだ。
兵士に疑問を抱かせてはいけない。
自分は正しいことをやっているという
シンボリックなものが必要になる。
だから旗振り役の勇作は、女を知らない、
自分の手で殺人を犯してはいない、
無垢な存在でなければならない。
そういう者が大多数を「正義の殺戮」へと誘う。
「純粋なもの」が先頭に立つことで、
兵士たちの人殺しの罪悪感を取り払ってくれる。
世界史における何千年もの戦争の歴史が、
ほとんど宗教とともにあることを
思い起こさせてくれるような、とても納得できる話だった。

尾形は、弟とアシㇼパの存在を重ね合わせる。
そして無垢の者・アシㇼパに罪を背負わせることで、
自身のこれまでの「罪で穢れた人生」を総括しようとする。
しかし、杉元はそれを許さない。
{netabare}尾形を死地から生還させ、
アシㇼパを民族解放の呪縛から解き放とうとする。{/netabare}

漫画で読んでいたときは、樺太編にはそれほど心を
動かされなかったのだが、アニメで通して観ると、
緻密に計算された構成になっていることに気づく。
罪を背負ったまま生き延びた尾形は、
最後にどのような風景を目にするのだろうか。

刺青争奪戦は、いよいよ佳境を迎える。
(2021年1月17日初投稿)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 43
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

時はめぐりまた冬が来て

原作追いつくの待って2年ぶりの3期 続き番号で#25~#36の全12話です。

1期冬。2期春夏。そして3期は再び冬での展開です。諸般の事情でアシリパさんら不在と男だらけ。女子限定の冬季キャンプが『ゆるキャン△』とするなら男だらけにすると『ゴールデンカムイ』に行きつく自然な流れとなるわけです(嘘)。

まったくもって私事ですがプライベートで唯一北海道を訪れたのは15年前。網走など本作ゆかりの地も行きましたよ。そしてトマムか富良野のホテルで破壊王の訃報を知りました。第1話のっけから奇縁を感じた立ち上がりです。{netabare}※谷垣の「時は来た それだけだ」です。{/netabare}

作品の基本評価は1期2期のレビューにて。作風が合うようでしたらこの3期も楽しめると思います。これで以上でレビューを締めちゃっていいくらい。


舞台は樺太。
産地明記の消費者法施行によりスーパーで“ロシア産”海産物を目にする機会も増えた近年。世が世であればこれが“日本産”だったエリアから届いた物語です。
クレジットが連続してるのもあって途中参加はNGかと。なにせ2年ぶり。なんで樺太?」は朧気ながら覚えているかどうかというところ。準備運動するなら#24をおさらい推奨です。敵味方・陣営がコロコロ入れ替わる目まぐるしい展開がいったん集約した重要回でした。


■振り返ろう24話 ※以下2期ネタバレ

いち早く樺太に渡ったグループ(キロランケ、尾形上等兵、アシリパ、白石)を追う杉元一派(杉元元一等卒、鯉登少尉、月島軍曹、谷垣一等卒、チカパシ)の図です。
鶴見中尉率いる第七師団は網走で事案処理。土方グループは南方へ行くといって今期は控えめ。
アシリパの様子からのっぺらぼうがウィルクであることを察したキロランケが尾形に合図を送り狙撃。鍵はアシリパの中にあるとの想定で遁走する最中にインカラマッをブスッと刺してたりもしました。
アシリパの涙で暗殺に踏み切ったキロランケって事実も少女の肩には重い。

「山で鹿を捕って脳みそを食べてチタタプしてヒンナヒンナしていてほしいんだよ俺は!!」

杉元のアシリパさんへの深い情も伝われば、汚れ仕事を背負う覚悟も同時に伝わってきます。不殺のくだりは後の尾形と義理弟との因縁とも繋がってきますよね。
証拠を残そうとキロランケのナイフを放さなかったインカラマッのウィルクへの思慕の情も重い。
サイドストーリーのどれもが骨太で本筋を支えています。そのウィルクが北海道に渡る前の若かりし頃に焦点があたる3期というわけですね。

アシリパ父ウィルクの足跡を辿り、金塊への鍵を紐解くこれまた重要な位置づけとなっております。


3期については後述の“ネタバレ所感”にて。
そういえば主題歌にTHE SIXTH LIEが返り咲いてますね。音が作品に合うので歓迎したいです。
ギャグもヒンナも人生模様も相変わらず楽しめる良シリーズ。まだまだお楽しみは続きそうです。



※ネタバレ所感

■え!?いまさら

澄んだ瞳は変態フラグ
{netabare}今回は岩息舞治(CV三宅健太):スチェンカで登場の格闘家ですね。{/netabare}

変態といえば
{netabare}そのもの自体が貴重でかつ撮影に静止が必要だった時代の写真の扱いからして、谷垣のあの雄々しさ全開写真の束って好事家の相当な熱意を感じざるを得ないと思うのは私だけ!?{/netabare}


■プレゼントフロム…

ときてLEMONと答えるあなたは相当なジャンプ通です。ちょっと違います。
空欄には“マチルダ”がイン。LEMONではなくてLEONのほうね。

{netabare}ゲイリー・オールドマンがキロちゃん、ジャン・レノが谷垣、ナタリー・ポートマンがインカラマッ。
例の#24が利いてきます。刺されてもナイフを放さなかったインカラマッの背景があって、彼女に惚れてる谷垣が取った行動だから成り立つ感動。愛ですよ、愛。{/netabare}


■情報将校のリアリズム

“北”がわかりやすいです。国力や軍隊弱めな国こそ情報戦に力を入れるわけであの頃の日本がそう。
すごい端折るとレーニンって人に「お前は共産主義を知らない」と説教した明石元次郎に代表されるようにけっこう我が国も頑張ってたんだぞというのがわかる描写がちらほら。

{netabare}サーカス一座の座長とか、それと若かりし頃の鶴見中尉とかね。きっちり草を仕込んでます。{/netabare}

スパイのお仕事はほぼヒューミント(対人工作)。自ずと人たらしが適任だとなるわけでございます。
特務機関第七師団のリアリズムでいえば、3期前段の鶴見中尉の判断でしょうか。樺太は陸に国境線のあるエリアで国境越えも見越していれば軍が動くのはまずい。自ずと少数精鋭という選択になります。金塊ゲットの大目的を果たすのに優先すべきはアシリパの確保なのに、そのために増員するみたいなのをしないことで作品に説得力が生まれます。
数多ある目的に向かって一直線、そしてそれを良しとするわかりやすさ重視作品を私は否定しません。けどね…ってやつです。リアリティとエンタメがほどよく同居してるのがこの作品の凄味ですね。

その文脈でいえば
{netabare}デカいロシア人に躊躇しない帝国陸軍のみなさんも説得力あったかしら。{/netabare}

実際のところ単純に白兵戦が強かったんですよ。それで情報戦も必死でやってた20世紀初頭です。ロシアの有名な格闘技“サンボ”だってソ連時代に開発されたもの。そら相手も対抗手段打ってきますよね。我が国だって強くあり続けるには日々精進しなきゃいけないんですけど今はどうなんですかね。身体デカいの出てきたらしっぽ巻いて逃げそうな21世紀です。


■(余談)革命勢力の非リアリズム

「未来を託すため…アシリパは山で潜伏し戦えるようゲリラとなって戦えるよう仕込んだ。私の娘はアイヌを導く存在となる…」

{netabare}史実では榎本武揚が結んだ明治初頭の千島樺太交換条約を機に、作中でいうところの樺太・北海道・千島とちりぢりになってるアイヌを統合して独立国家をという目論見でした。アイヌらとはまた違う角度から土方歳三も独立国家設立と似たようなこと言ってました。

先のリアリズムと対極にあると思えるのが、時期的に無いとおかしい共産勢力の影が微塵も感じられないことです。キロランケがタタール人だったとありますが、同じタタール人だったレーニンのオマージュだったりするのかしら。
視点が分散するのでエンタメと切り離してこのへん触れないのは正解だとは思うんです。ただアイヌ銘柄はとってもデリケート。そっち系の人たちが浸潤してることや赤い大地と噂の北海道全面協力のCMアピールを見るに、下手な革命礼賛メタとかやらないかちょっと心配です。

革命アイコンに祭り上げんとする思惑からアシリパさんを守りたいとする杉元を応援したいですね。{/netabare}


軽く悶々としたものの、さらに濃度が増した変態どもの男祭りに酔いしれることができた3期でした。
ストーリー的には…
{netabare}キロランケの終活。想い出巡りの旅で本筋進んだか進んでないんだかよくわからんとです。

IFストーリー:アシリパさんが地元でエタラと再会し「オオカミ。あ!そういや思いだした!」なんてのだったら情緒もへったくれもなかったはずなのでオーケーですな。{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ視聴

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2020.12.26 初稿
2021.10.16 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 47
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

オホーツクに消ゆ

ジェノスタジオ制作。

明治末期の北海道を舞台にした、
金塊をめぐるサバイバル歴史活劇。

網走監獄での大騒動のあと、
のっぺら坊の足跡を求めて北上する一行、
舞台は極寒の樺太へ、2人の再会は叶うのか!?

物語の背景に、当時の風土が配置され、
奇天烈なキャラクターが数多く活動している。
愉快な演出と殺伐とした混迷の時代の空気、
視聴者に媚を売らない姿勢は勇ましい。
相変わらずの狩猟グルメも健在で、
こういった演出も魅力なのでしょう。

金塊の先にそれぞれが描く未来がある。
まだ貧しいが猛烈な生を実感する物語である。

夢にしぶとい、生にしぶとい、
不死身の杉元とは精神性なのだ。

11話視聴追記。
終幕に向け急上昇である。
{netabare}ここが3期のハイライトであろう。
民族、信仰、革命、そして国の行く末、
物語の源流が語られ志士たちは奔走する。
魂がひりついてくる。{/netabare}

最終話視聴追記。
{netabare}物語の空白が埋められていく、
金塊争奪戦は佳境を迎えようとしている。
時代はどの陣営を選ぶのでしょうか。{/netabare}

期待して続報を待ちたいと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 41

66.3 9 犯罪者アニメランキング9位
歌舞伎町シャーロック(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (213)
751人が棚に入れました
新宿區イーストサイド・・・・・・混沌を極めたその街の中心には、ネオン瞬く歌舞伎町が広がっていた。光が強けりゃ影も濃い。悪人どもの潜む暗がりの、そのまた奥に探偵長屋の明かりが灯る。ハドソン夫人の営むその長屋は、なくて七癖、曲者ぞろい。野心満々のケッペキ探偵に、男を化かす姉妹探偵。はたまた刑事くずれのオッサン探偵がいるかと思えば、ヤクザを破門されたアンチャン探偵・・・・・・そして真打は、落語をこよなく愛する天才探偵シャーロック・ホームズ。切り裂きジャックによる猟奇殺人が起きたその夜、舞台の幕は上がった。探偵どもの化かし合いを横糸に、シャーロック、ワトソン、モリアーティ、三つどもえの友情を縦糸に・・・・・・ミステリー? いやさコメディ?なんともはや、判別不能ドラマのはじまりはじまり~。

声優・キャラクター
小西克幸、中村悠一、山下誠一郎、斉藤壮馬、東山奈央、東内マリ子、青山穣、橘龍丸、諏訪部順一
ネタバレ

まだ初心者 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

全体的なクオリティが高い大人向けアニメ

偶然何かの記事で発見して面白そうだったので観ました。
放送当事ノーマークで全く知らない作品でした。序盤からけっこう面白かったです。
{netabare} 1話で「こいつ切り裂きジャックっぽいなー」と思ってたキャラが実際にジャックで当たったのでちょっと嬉しかったです。 {/netabare}
下ネタや残酷な描写(内容)が含まれるため大人向けのアニメです。
{netabare} モリアーティが原作小説と同じで、ただの悪人だったので一気につまらなくなりました。原作読んだことないのですが後で調べて知りました。原作のシャーロックホームズシリーズを読んだことある人が観たら物足りない内容だと思います。 {/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 1
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

う~ん、2クールは長すぎた・・・。

アニオリ作品。最終話まで視聴。

設定の奇抜さ。
特に探偵と落語という取り合わせの面白さ。
物語の舞台。

これらが織り成す世界観はとても良かったと思います。

前半の「切り裂きジャック編」までは、テンポも良くて楽しめていたんだけど、後半は、一言で言って『長かったな・・・』。

{netabare}後半は「切り裂きジャック編のその後の顛末」。
まあ、『ここを解決しないと物語は完結しない』ってことなんだろうけど・・・。
それにしたって、ほとんど後半丸々ですからねぇ。
さすがに長すぎるというか・・・。{/netabare}

サイコパスが絡むと、心理が理解出来ないせいだと思うんですけど、少々、苦手なんですよね。
あくまでも個人的な感想です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 15

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

オチと推理とエクスカリバー

シャーロック・ホームズは、最もパロディ化、パスティーシュ化された探偵かもしれない。

本作の放送と同期に、同じく『シャーロック』を冠する実写ドラマが放送されているが、競作関係などはないものの、どちらの「シャーロック」も奇人変人である設定は共通しているようだ。
ドイルのホームズ連作の、本格探偵小説が「本格」としてジャンル的に確立する前のプロトタイプ的な性格が、ホームズがキャラクター的な強烈な特徴を持つところに現れているのだろう。

あまたのパスティーシュも、若いころのホームズ、異世界に紛れ込んだホームズはもとより、ホームズの姪っ子や、精神を病んだ夏目漱石が自分をホームズと妄想している、などなど、キャラクター性を強調したものが多い。

その中にあって、本作の歌舞伎町に住む落語家もどきの「シャーロック」も、奇抜さで負けてはいない。
いや、あの髭面の「ハドソン夫人」には勝てないかもしれないが。


シャーロック・ホームズが強力で特異な性格設定を持つのは、一種の文化英雄という性質が要請するからだろう。

「勇者」が聖剣で竜を倒して「世界」を恢復させるように、垂れ込める「謎」を吹き払い「世界」に秩序を回復する「英雄」としての探偵。

歴戦の武勇伝を持つ勇者が特権的な武器として「聖剣」を手にするように、「謎」を切り払う探偵の特権的な武器として与えられるのが、頭脳=論理=「推理」だ。
特異な頭脳=発想の象徴として、特異な性格が要請される。


ところで、別作品の感想で、探偵小説の探偵の推理は論理的な唯一の真理とは限らない、といった意味のことを書きこんだことがある。

エクスカリバーが竜を斃せるのは、数々の「伝説」によって「聖剣」である特権性を保証されるからだ。
探偵の推理=「論理」もまた、「伝説」に類比的な特権性の「保証」が付与される。

オーギュスト・デュパンであれば「アナリシス」、ファイロ・ヴァンスなら心理学的必然、エラリィ・クイーンなら因数分解的数学性、などなど。
ホームズならば、実験科学的な自然科学の論理性、という事になる。

これら「論理」の特権性の「保証」要素は、しかし推理が導く「真相」の論理的正しさを保証するものではない。

「聖剣」にまつわる「伝説」が、その物語内で聖剣の威力を保証するための装置であって、物語外では意味がないのと同様に、実験科学の論理性も、物語内で「論理」の特権性を保証するだけの装置に過ぎない。
デュパンのアナリシスもヴァンスの心理学もエラリィの「数学的」論理も、物語外では何の論理性も保証しはしない。

物語内での探偵の推理が「真相」となるためには、「物語世界内で」の論理性=説得力だけが問題なのだ。
物語内の作中人物全員が「唯一の真相」を導いた「論理的」な推理だと納得しさえすればいい。
そう、これが物語内で最後にたどり着いた「真実」であると、最後に締めくくる「オチ」だと納得しさえすれば。



落語で「真相」の「推理」を語る本作の設定は、「探偵小説的」論理性を巧妙に反映している。

一見は荒唐無稽な「推理落語」だが、語られた物語を象徴し、まとめ上げ、引き受けて、幕を閉じるものとしての落語の「オチ」の一言は、探偵小説の「論理的」推理と全く同型的な役割を果たすものだ。

しかし、それは、どんなデタラメでもおどけて語れば良いという事にはならない。
論理=筋が通っているでも、地口のように連想的な関係性でも、なんでもよい。それまで語られた物語をまとめ上げて「オチ」が付いたと観客に直観させなければ、オチとして機能しない。

落語の『あたま山』のオチは、論理的にはおかしい、不条理でシュールなものだが、練達の噺家が語ることによって、観客に「オチ」を直観させて笑いに巻き込む。

不出来な噺であれば、観客は白けてブーイングが起きるだろう。
不出来な探偵小説が、作者と作中人物だけが納得する「推理」で、読者を説得できずに怒らせるように。

はたして本作の「落語推理」は切れ味良い「聖剣」のような「オチ」をつけられただろうか。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

75.0 10 犯罪者アニメランキング10位
PSYCHO-PASS サイコパス 3(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (441)
2205人が棚に入れました
「正義」は、新たな世界を切り開く。 魂を数値化する巨大監視ネットワーク・シビュラシステムが人々の治安を維持している近未来。シビュラシステムの導入後、日本は海外との交流を断ち、長らく事実上の鎖国状態にあった。2120年、開国政策により変革の刻が迫ろうとしている。変わりゆく世界で、犯罪に関する数値〈犯罪係数〉を測定する銃〈ドミネーター〉を持つ刑事たちは、犯罪を犯す前の〈潜在犯〉を追う。

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫、諏訪部順一、名塚佳織、沢城みゆき、佐倉綾音、日髙のり子、宮野真守、中博史、田中敦子、日笠陽子、森川智之、堀内賢雄、矢作紗友里、関智一、野島健児、東地宏樹、伊藤静、本田貴子、花澤香菜
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

看板だけでいつまで商売できるだろうか

やらかしたかもしれない

こうであろうと頭の中にストックされてる情報と大なり小なりズレが生じております。

“観るべきなにかしらをスルーしてないだろうか?”
“これまで観てきた本編の重要箇所を見落としてないだろうか?”

なお当方の視聴遍歴は以下

・PSYCHO-PASS1期(全22話)
・PSYCHO-PASS2期(全11話)
・劇場版PSYCHO-PASS(劇場版)

感じたズレはこちら↓

{netabare}・いつのまに霜月が課長になっとる?
・いつのまに常守が収監されとる?
・移民て何?鎖国政策とってたと思ってたのに
・外務省とは新たなプレイヤーですね
・六合塚さん執行官じゃないのかい?{/netabare}

不安になりました。例えるとしたら、交差点で「青色=渡れる」と覚えてたのが「そこ青じゃなくて紫だよ」と指摘されたような戸惑いがあって、人物や組織相関の修正を強いられます。
なお3連作『Sinners of the System』と1期の新編集版は未視聴です。
すんなり入れた方は無問題として前提や前後関係の把握に時間とられちゃったのは私だけではないかもしれませんね。
実際は見落としというより3期で初披露の“変化”だったみたいです。


で、この事案。
良いのか悪いのかシリーズものの整合性を保とう、みたいな配慮は希薄なのかなと思ってしまいました。プロセスを端折り過ぎという意味でですね。

 『シビュラに支配された超管理社会』

この強烈な設定さえあれば脚本はわりと自由にやりましょう!が見え隠れする3期でした。餃子の王将が各店舗オリジナルメニューを認めてるようなもんですかね。
2期で提示された“集団的サイコパスの是認”を受けて次どうか?が繰り広げられるのだろうと密かに予想してたものですが、全くといっていいほどそれが無かったため、さらにその思いが強くなるわけです。

一見否定的な見方しかできなさそうですが、良く出来た設定を活かしていろいろ試すことが出来てるとも言えます。今回でいえばメンタリストというかサイコメトラーみたいな主人公の投入がそうでしょう。少なくともTVシリーズの主人公が1期から3期までで各々違いますもんね。

・TVドラマを意識した1時間の各話構成
・魅力的なキャラが織りなす群像劇
・とはいえ1期2期の旧作にも配慮はしてる

これはこれで有象無象の凡作の海の中では魅力的に映る作品のひとつ。
なんだかなぁと悶々とするところはあっても小言は期待の裏返しみたいなもんでしょう。もっとオイラを楽しませてくれ!



そしてレビューはこれでおしまい。作品が極めて中途半端に終わっているので評価しようがないため。

{netabare}いわば起承転結の転で終了。1時間枠実質16話分の尺を取りながら一応の区切りをつけて続編は劇場で!というわけではなく、完全に途中でぶった切っているので不満が残ります。{/netabare}

{netabare}『彼方のアストラ』のように放送中の1時間枠を効果的に使っていたり、
『鬼滅の刃』のように区切りをつけた上での劇場版誘導なら見える景色も違ったろうにこれだと好感度ダダ下がりです。{/netabare}


それにそろそろ“免罪体質”だけで乗り切るにはつらいかもよん。
類似のアニメ作品もないですし、設定を活かしながらキャラを入れ替えて『相棒』みたいなご長寿シリーズを担ってほしいなと期待はしてるんです。
せめてシビュラ前夜的な設定の『絶対零度』よろしく第4シーズンくらいまではいってほしいですね。


いつの日か某課長が常守おばあの落とし前をつけるその日まで、しっかり視聴を続けるつもりです。

・・・結局、、観るということです。やれやれ…



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

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2020.01.08 初稿
2020.07.31 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 54
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

より刑事ドラマ寄りに最適化された3期目

【物語 3.5点】
TVアニメ2期で刑事ドラマ風の路線へ傾倒していった感のある本シリーズ。
3期では実写連続刑事ドラマでも多い1時間枠になり、傾向はさらに顕著に。

22世紀鎖国日本というSF要素も“開国”により後退。
外国人労働者を認知、受け入れ拡大に舵を切った
現代日本にタイムリーなネタも提供する。
その他、{netabare}宗教と政治と都知事選、アスリートとドーピングなど。{/netabare}

グローバル世界とつながり、罪をもゲーム化して希釈し、
無自覚化する21世紀型の巨悪も息を吹き返す。
その権化たる「ビブロスト」と公安局刑事課一係らとの対峙がメインストーリーの軸。

一方で、この状況に対する「シビュラシステム」の真意は語られず……
というよりシビュラ中枢には、今回ほぼ出番がない。

世相を反映した一つ一つの事件を解決していくうち、
裏で蠢く巨大な陰謀が姿を見せていくシリーズ構成も連続刑事ドラマ風。
そして、{netabare}巨悪との対決は劇場版で!という伝統の投げ技まで決まるw{/netabare}


【作画 4.5点】
上々。道中、人物に謎の輪郭変動?はあったものの、
概ねCGもバランス良く交えて22世紀日本を再現。

見所は1時間枠になり長尺化したアクションシーン。
警棒、締め技なども乱れ飛ぶバーリトゥードでエンタメ性十分。


【キャラ 4.0点】
“メンタルトレース”により事件対象者になり切り捜査を進展させる監視官・灼(あらた)。
ロシア系帰化移民として開国日本の縮図も体現する炯(けい)。二人の新バディコンビが軸。

灼は能力者同然の“特A級メンタリスト"であり、
さらに{netabare}免罪体質者{/netabare}でもあり、
必ずしもドミネーターの執行判定に従わない言動も含めて、
シビュラをSF設定もろともスクラップにしかねない危険な主人公。
にも関わらず彼を監視官にしたシビュラの意図も現状見えず……。
旧来からのファンにとっては不安要素になり得る。

そこへ溜飲を下げさせるように登場する朱(あかね)や狡噛(こうがみ)らの旧メンバー。
ズルいよ。


私のMVPは自称エースから中間管理職へクラスアップ?した霜月課長。
口は悪いが、情は厚い。24歳にして、息子たちを叱咤し見守るおっかさん風の人当たり。
歯ぎしりが聞こえてきそうな、伏魔殿・外務省との交渉などにも感じる名物上司の可能性。


【声優 4.0点】
豪華。CV.梶裕 貴さん&中村 悠一さん演じる新コンビは
公安局の同僚である以上に幼馴染み。
人物設定を理解した役者により、異なる性格の相互理解も含めた、
兄弟じみた腐れ縁が滲み出ている。

公安局のオッサン成分もCV.大塚 明夫さんの執行官が新たに供給され、
哀愁溢れる境遇の吐露を通じてシビュラ社会に毒を浴びせる。


一方の黒幕の方も、
{netabare}CV.宮野 真守さん演じる気鋭の新“コングレスマン”が、
CV.中 博史さんの老紳士やCV.田中 敦子さんらベテラン陣に挑む。{/netabare}
こちらも世代間抗争含めた?不穏なムードを醸して上質。


【音楽 4.0点】
BGMは引き続き菅野 祐悟氏が担当。
メインテーマはバイオリン属よりギターを強調したアレンジで
刑事ならではのアクション&執行シーンで威力を発揮。

OPのWho-ya Extendedの「Q-vism」がスタイリッシュなロックサウンドの中に
監視社会下の葛藤を込める。
新人の主題歌抜擢自体も、主役一新の制作方針と合致。

EDはCö shu Nie(コシュニエ)の「bullet」。
表現力豊かな女性ボーカルがゲーム感覚で罪を重ねる黒幕を
運命を切り開く意志を込めた銃弾で狙撃。


【感想】
『PSYCHO-PASS』はシリーズを重ねるにつれ、
時系列は22世紀の先へ進んでいるのですが、SF要素の後退によるものなのか、
段々、21世紀に巻き戻っている感じが、私にはどうしてもしてしまいます。

現代日本が直面する課題も貪欲に取り込んで、
本作では鎖国設定まで捨てて、タイムリーヒットを狙うのは良いのですが、
これ別に22世紀じゃなくても出来るネタなのでは?と捻くれた私は感じてしまうのです。


今後はどうかシビュラさんにも、もっとお出まし頂き、
もう少しSFとしての矜持も見せて欲しい。

22世紀でも何故か健在だったタピオカ(笑)を眺めながら、
未来を夢見る私なのでした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 32
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

亡霊的キュビズム

ProductionI.G制作、SF×サスペンス。

豪華な布陣は劇場版の水準であろう。
集大成を目指す制作陣の意気込みを感じる。

新人執行官アラタはメンタルトレースなる、
高度な共感特殊能力を持ち犯罪者を追撃する。
彼の正義は新たな世界を切り開くのか!?
{netabare}大勢が加担し、誰も罪の意識がない、
詐欺的な犯罪では色相が曇らないという。
メンタルハザードと跋扈する街の魑魅魍魎、
見えざる巨悪との戦いが開幕した。{/netabare}

5話視聴追記。
物語に厚みが増し俯瞰的な視点が必要になる。
{netabare}ビフロストのコングレスマンの真意は!?
シビュラに反旗を翻す構造主義者なのだろうか。{/netabare}

最終話視聴追記。
事件はさらに複雑化し社会の暗部が露呈する。
それぞれが幾多の動機に支えられ命を削り合う。
{netabare}殺意なき殺人の連鎖、差別を生む社会への告発、
重厚なシナリオが緻密な絵で描かれている。
黒幕であろうビフロストの謎や、
過去の因縁が劇場版に持ち込まれ、
ここだけは残念な結果に終わりました。{/netabare}

入り組んだ複数の視点、正義の解体、
{netabare}最終話のタイトルは「CUBISM」である。{/netabare}
ここに全てが集約されている。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 47

69.0 11 犯罪者アニメランキング11位
バビロン(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (367)
1120人が棚に入れました
「その啓示は、静かにそっと訪れる―」東京地検特捜部検事・正崎善は、製薬会社の不正事件を追ううちに、一枚の奇妙な書面を発見する。そこに残されていたのは、毛や皮膚のまじった異様な血痕と、紙一面を埋め尽くすアルファベットの『F』の文字。捜査線上に浮かんだ参考人のもとを訪ねる正崎だが、そこには信じがたい光景が広がっていた。時を同じくして、東京都西部には『新域』と呼ばれる新たな独立自治体が誕生しようとしていた。正崎が事件の謎を追い求めるうちに、次第に巨大な陰謀が見え始め――?

声優・キャラクター
中村悠一、櫻井孝宏、小野賢章、M・A・O、堀内賢雄、興津和幸、宝亀克寿、置鮎龍太郎
ネタバレ

みゃー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

胸糞アニメの一言で切り捨てるにはもったいない

野崎まどによる小説原作、原作は未読
あらすじはネタバレになるので割愛

真っ先に申し上げたいのはこの作品、気軽に知り合いに勧めるのは絶対にやってはいけないということです。

多くの人は言います。
ただの胸糞アニメじゃねーかと。
見て損した、時間を返せと。

たしかに気持ちはよく分かります。
広げた風呂敷をことごとく置き去りにしてしまうわけですから。

そういう部分が苦手な人は絶対に見ない方がいいです。
でも好きな人はどんどん引き込まれると思います。

演出も秀逸ですしメインキャストによる怪演には圧倒されます。
{netabare}特に7話にはそれらがふんだんに詰め込まれていたと思います。{/netabare}

興味のある方は道中で感じる自分なりの主義や主張は一旦脇に置いて、純粋にサスペンスアニメとして楽しんでみてはいかがでしょうか。

ちなみに原作は未完なので早く続きを出してほしいものです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 13
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

悪の凡庸さについて

原作野崎まど、REVOROOT制作。

東京地検特捜部の正崎善は、
製薬会社日本スピリの新薬アグラスを巡る、
不正事件を追ううちに奇妙な書面を発見する。
{netabare}紙一面を埋め尽くすアルファベットの「F」、
血で書かれたその書面が物語を急展開させる。{/netabare}
緻密な物語と絵が知的好奇心を刺激します。

徐々に明らかになる不可解な人物関係、
{netabare}不審な関係者の死に繋がり始める政治家の影。
その政治の世界では開発発展が進む、
東京都西部を統合した新域域長選挙が始まる。{/netabare}
政治家による性接待も描かれ、
なかなかに引き込まれる演出である。

秀逸なのは不思議な女性の存在だ。
魅惑的なその容姿に私は虚無を見ている。
彼女の存在が物語の鍵を握ると予言しておこう。

最終話視聴追記。
原作と違った結末にどこも否定が多い。
{netabare}とにかくCパートが余計な混乱を生む。
謎は依然として謎のままである。{/netabare}
善と悪の課題の細部にもっと早く切り込み、
対話の先に議論を深めて欲しかったですね。

{netabare}生物の遺伝子は極めて利己的に振る舞う。
これぐらい勢いで言って良いのだから。{/netabare}

悲しみ半分、しかしもう半分は、
翌週を楽しみにしていた私もいました。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 62
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ばびょろ~ん

原作未読


最終回終了後Amazonレビューが荒れたらしい。
これリアタイだと7話までやって翌週から再放送回スタート。11/18をもって8話リスタート12/30まで1か月以上足踏みするという斬新さ。結局翌1/29にフィナーレを迎えた全12話です。
秋期出遅れた私にとっては皆さん方とほぼ同時期に迎える唯一の作品でした。

サイコスリラーとかホラーサスペンスに分類される本作。
現実世界寄りの実写映えしそうな作品です。そして本作に出てくるキャラの一人。ゆきのさつきさん演じる“曲世 愛(まがせ あい)”がこれがもう強烈な個性を放ち魅了されます。この彼女一人をもってキャラ評点満点を与えて良いくらいの逸材。
ゆきのさつきさん存じ上げない方でしたが、ベテランで憑依型の演技をされるとか。その評通りの怪演でした。

これからの方向けには以上です。
荒れたということは裏を返せば感情が揺さぶられるストーリーをたった1クールで楽しめるということになります。キャラは強力っす。


なんかあれみたいです。
朝ドラきっかけで結ばれてイクメンイメージで好感度保ち早数年。
{netabare}※ここまでが第7話。最終話手前って話もあり。{/netabare}
しかし蓋を開けたら「誰のおかげで(怒)」「奥さんかわいそう」「とにかくサイテー」のフルボッコ。
{netabare}※最終話の畳み方でミステイク{/netabare}

パブリックイメージが良ければ良いほど明るみになるあれやこれやでものすごい反動がくるあの感じ。
前半期待値との落差で「かわいさ余って憎さ百倍」的リアクションが大半を占めてしまいました。一方で「そこまで言わんでも」といった立ち位置も理解できます。
置き換えると我々視聴者は当事者ですからね。奥さんの気持ちになってどうジャッジするかってことなのでしょう。


なお、、考察はしかけといて止めときます。

 {netabare}“匿名動画少年の家族構成はさすがに事前に調べるもんだろうよ”{/netabare}

どシリアス物語なのにしょうもないアラが見える箇所複数。

 {netabare}“冒頭に自殺薬を巡るetc持ってきてフェードアウト”{/netabare}

広げた風呂敷を畳めず、結論を導くパーツが揃わない。

自由闊達すぎる作風なので、あまり自分の頭が整理仕切れてないというのがその理由です。
わりと好きな作風でしたのに。そのため月日が流れて復縁を迫られたら断れる自信がありません(適当)。




※オマケ

■いや~その場所はw

1.{netabare}ANAインターコンチ@溜池
:第1話で文緒が尾行して突き止めたホテルはリアルでもなじみ深い場所です。確かに政治家の利用は多い場所でよく見かけますね。官邸も近いです。{/netabare}

2.{netabare}同じく1話で出てきた病院
:そのモデルの病院でこの間手術して入院して現在通院中なんですけど(笑)
:麻酔で昇天しちゃってとかマジ勘弁っす 
:これから処方箋注意深くチェックすることにします{/netabare}



視聴時期:2019年10月~2020年1月   

------


2020.02.01 初稿
2020.07.17 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 58

77.3 12 犯罪者アニメランキング12位
ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (572)
2950人が棚に入れました
キリト、ユージオ、アリス。二人の修剣士と一人の整合騎士が最高司祭・アドミニストレータを打ち破ってから半年。戦いを終え、故郷ルーリッド村で暮らすアリス。その隣には、親友を失い、自らも腕と心を失ったキリトの姿があった。彼を献身的に支えるアリスに、以前のような騎士としての心は残っていない。「教えて、キリト……どうすればいいの……」しかし、アンダーワールド全土を悲劇へと誘う《最終負荷実験》へのカウントダウンは、容赦なく進む。それと呼応するように、《ダークテリトリー》の深奥で、暗黒神ベクタが復活した。闇の軍勢を率い、《光の巫女》を手に入れるべく、《人界》へと侵攻を開始する。《人界》軍を指揮する整合騎士ベルクーリらは、《ダークテリトリー》軍とのかつてない大戦争になることを決意する。だがその傍らに、いまだアリスは見当たらない。そして、《人界》を救った英雄二人の姿も――。『SAO』シリーズで最も長く、美しい戦い《アリシゼーション》編、その最終章がついに開幕!

声優・キャラクター
松岡禎丞、戸松遥、茅野愛衣

えくいてぃ さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

え~~分割4クールってそういうことっ??

はい。SAOです。
ん~と、アリシゼーション編(って言えばいいのかな?)ですけど、
分割4クールってことで始まってます。

ふつう、分割4クールってやぱり
2クール✕2って感じで思うのですけど(思ってたのですけど)
ちがった~!!!

今回はその後編「War of Underworld」ですけど、
後半2クールのうちの前半??wということで

・「SAO アリシゼーション」
->2クール。
・「SAO アリシゼーション War of Underworld」(★今回)
->1クール。
・「SAO アリシゼーション War of Underworld -THE LAST SEASON-」
->1クール

という構成だったそうです。

で、2020年4月から最終クール「-THE LAST SEASON-」が始まります!

焦らしますねww
ほんとに、焦らしますねww

しかも、今回はほんとにいいところで終わってるので、もう待ちきれない!
でも、制作も大変だと思うので、この3ヶ月待つことで想像以上に良いものが出てきてくれるって信じてます^^

あ、今回の内容についての感想殆ど書いてない。。まいっか^^
全部終わってから、アリシゼーション編全体としての感想を書きます^^

投稿 : 2024/06/15
♥ : 9
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

我が陸自のォ科学力はァ世界一ィィッ?

1 24話 2018年9月~2019年3月
2 12話 2019年9月~2019年12月
3 ??話 2020年4月~2020年6月?

全4クールと長丁場です。おおむね50話前後のボリュームをもって完結予定。
ホップステップジャンプでいうところの“ステップ”。3段跳びの選手に話を聞けば、このステップ部分が技術的には面白いらしく、語りも熱を帯びるところ。我々素人も見よう見まねで一度くらいチャレンジしたことあるでしょうに、イメージ通りには絶対いかない2歩目なわけであります。

要はわかりにくいんですよね。それにまだ途中ですし評価のしようがないとも言えます。私自身も同じような感覚ですので今回は脱線しときます。


最初の2クール分はずっぷり『UnderWorld(以下UW)』の説明に終始。9割がた仮想世界を舞台にしてました。それを受けて此度の1クールは仮想世界に介入してくる現実の勢力についても描かれます。
むしろUWのなんたるかをしっかり意識づけさせた上でFinal seasonで描かれるだろう現実世界への作用を通して、問題提起されるものがおぼろげながら見えてきたといったところでしょうか。


いったい何故今回の12話で繰り広げられる事態が起こったのでしょうか?
・キリトがアドミニストレーターをやっつけたから

ってその通りなんですけど、さらにそもそもってところを考えるといたって明白。


 パワーバランス(軍事)が崩れちゃうから


古今東西、軍事衝突が起こるとしたらこれ。おそらく未来のSAO世界でもアメリカが超大国なんでしょう。そこに待ったをかける、パワーバランスを崩す恐れのある技術を菊岡さん達は開発中なんです。“プロジェクト アリシゼーション”のことですね。

例えばこの前テヘランで発生したウクライナ機の撃墜(2020年1月現在)を例にして、地対空ミサイルに作中用語である“ボトムアップ型AI”であるアリスちゃん(の知性)が搭載されてたとします。発射後にアリスは①対象を分析、②誤射である可能性をシミュレートし、さらに③撃墜した時の事後の影響まで試算した上で、④回避行動を採る、というところまでできちゃうとします。

そのことがどれだけヤバいのかってのがピンと来なくても、少なくとも「これまでそんなことはできなかったよね」ができるようになってしまうことはわかるかと思います。

 そうすると何が起こるか?

最近の例だと、通信も軍事技術の範疇と考えれば次世代規格“5G”を巡ってChinaと米国がキナ臭くなっている事実はなによりも説得力のある話でしょう。パワーバランスが崩れると戦争がおきます。そうならんように!死力を尽くすのが我々の責務だったりするわけです。

そんな事情がありますから
{netabare}日本の自衛隊の中に内通者がいる、という作中の設定もリアルで寒気がしました。
パワーバランスを崩す力を日本が持ってしまうと太平洋戦争の悪夢が!だから日本は敗戦国のままでOK!という考えの方は実在します。個人的には残念なことだと思ってます。
戦力の均衡を崩し日本が一歩前に出ようとすると上記の理由で足を引っ張る、平たく言えば裏切る奴がわんさかいることは戦後史をかじった方であればピンとくるところでしょう。
よって、内通者の発生→侵入部隊のUWへの介入→UW内のドンパチ、、、は必然だったのです。
SAOのくせに(笑) 妙にリアルなわけであります。{/netabare}


今クールにUWで展開された事態の背景にはこんなことがあったと思えば受け入れやすいでしょう。
背景をおさえて全12話を堪能したら次のFinalの展望ですね。

なお、アスナはボトムアップ型AIの軍事転用については否定的な立場ですので、この新技術を無かったことにENDも可能性としてはありえます。米国にさらわれるEND、日本が死守するEND、いづれもけっこう大きなお話なので風呂敷を畳むのが大変な作業だと思います。物語の根っこではありますので、あまりにもご都合だったり、軍事合理性を悉く無視しちゃうような結末だと個人的にはドン引きするかもしれません。逆に見事に畳むことが出来たら拍手喝采ですね。


Finalの展望でいえばもう一点。

アリスやユージオを人格と認識するか?プログラムと認識するか?

これまでさんざんとUW内の人々の営みが描かれてるわけでして情も移ります。
先ほどの地対空ミサイルでいえば、旅客機撃墜の回避行動をとった後、⑤安全圏で自爆、でミッション完了。ミサイル一基欠損/AI:コードアリス消失・・・と定量的にカウントされておしまいとはならないでしょう。
それで済ましてしまうには、UWの住人たちと過ごす時間が長すぎました。プログラムではなく現実世界の一人格と見做してしまうでしょう。少なくともキリトは簡単に見捨てられないでしょうね。


人工知能に代表される科学技術がある特異点を超えてきた時の世界を描くことはこれまで数多のSF作品で繰り返されてきました。
どんなところに帰着するのか2020年4月から始まる“Final Season”が楽しみです。



■余談 安定安心のSAO

{netabare}キリトさんがほぼ植物状態だというのにその傍らで…{/netabare}

{netabare}アリスとアスナとでマウントの奪い合い。からのお弟子コンビ闖入。ひとつテントの下、女子4人でキリトの取り合い(笑) 伝統芸能はしっかり引き継がれてましたね。
なにげにアスナのアリスへの態度って人格者のそれでした。正妻の余裕という表面的なものに非ず、どこまでいってもアリス如き“プログラム”の1つと理解している故の余裕だとしたら、アスナが最もドライだと言えますね。直情型キリトの相方にはぴったりのパートナーです。{/netabare}



視聴時期:2019年10月~2019年12月 リアタイ視聴

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2020.08.01 追記

コロナ禍によって遅れること1クール。Final開始です。


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2021.08.04 追記

『ハーレム』『俺TUEEE』というより、技術の延長線『SF』に軸を置いた鑑賞をしてます。このシリーズに何を期待するかってのはシリーズ重ねてくにつれより重要になってきてる気がします。



2020.01.13 初稿
2020.08.01 追記
2021.08.04 追記

投稿 : 2024/06/15
♥ : 56
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

あれ?これタイトル詐欺じゃね??

シリーズ見終わってから感想書こうと思ってたの
ですけれど、あまりに長いので書いとこーかとw

レビュタイはですね。
アリシゼーション編に入ってからずっと思ってた
事でして
「あれ?これオフラインじゃね?」
って思ってた訳ですw
まぁこのエピソードの最後の方でちゃ~~んと
タイトル回収できているので詳しくは見てね。

お話のざっくり概要
(とりあえず無印からガンゲイルまで見る推奨)
毒受けて⇒集中治療⇒なぜか軍施設に
オフライン稼働⇒禁忌を破る⇒剣士目指す
側付きの女の子が(*ノωノ)キャーされそうに⇒キレる
犯罪者にジョブチェンジ⇒整合騎士をぶっ倒す
まっぱの管理者に戦いを挑む⇒木こり1号がぁぁ
⇒キリトさんは脳に損傷を受ける
そして愛妾がせっせと尽くしてます。
↑↑↑(いまココ)から始まる二人の同棲生活

か~ら~の~正妻戦争勃発!

んー、、、分かりづらいな、端的にまとめると
新しい世界で、またまたキリトさん無双して
その後、キリトさんがおかしくなった後の話っす

だいたいそんな感じ

■物語
ほとんどのレビュアーさんが書いている
正妻戦争はスルーしときますw
国家の思惑とか色んな所が見え隠れする感じで
単に仮想世界だけ描いてない所が特色です。
色々とツッコミ所もありますけどw
話は内と外との構成を工夫したり、緩急あったり
良く練られてるなーと。
あんま触れるとネタバレしそうなので
詳しくは見て下さい~w

■作画
相変わらず綺麗で、戦闘も凄く良く動きます。
今クールのは割とエフェクトもド派手でしたね。
戦闘もいよいよ大詰め感あって
アクションだけでもかなり楽しめました。

■声優
いつものメンバー+茅野愛衣さん+島﨑信長さん
後は整合騎士面子と石田彰さん
実力派揃いで、楽しく視聴してましたー。
なんか…石田彰さんって気づくとキチ●イキャラ
いつも演じてますよね?wまぁ巧いんですけどw

■音楽
OPはハルカス、EDはLISA
どっちも凄く良い曲ですね~映像も良いです!
ハルカスのMVはアクション凄く頑張ってたw

■キャラ
今まで影の薄かった整合騎士にもついに見所がw
新キャラもどれも魅力的ですねー
序盤しか見れなかったけど、ベクタに
色仕掛けを試みた騎士とその思い人の騎士
(やっべ、、、どっちも名前忘れたw)
も凄くキャラは良かったですー


うーん、、全部終わってから書こうと思ってる
事が多いので(先のネタバレになるから)
書きにくいですね。

仕方が無いのでこっから先はネタポエム
{netabare}
本編と関係ないネタなんでそういうの苦手な方は
スルー推奨です。
{netabare}
スルー推奨ですよ!(忠告しましたからね!)
{netabare}
松岡「おい、どうしたアリス!?」
茅野「くっ!貴様!そんなに私を辱めたいのか」
茅野「いいだろう!…私は逃げも隠れもせぬ!」
茅野「キリトとやら!存分にやるがよい!」
茅野「だが私の心まで屈せられると思うな!」
松岡「えーと、、おーいアリスさんや~い…」

福島「あ、ちょっと失礼しますね。」
福島「そちらのアリスさんと入れ替わってる様で」
福島「どうもウチのクルセイダーがとんだ迷惑を」
雨宮「ねぇ…ねぇってば!ちょっと聞いてよ!」

雨宮「おかしいの!!攻撃が当たってるの!」
雨宮「普通に戦ってるの!絶対おかしいわ!」
高橋「そうです!おかしいのです!」
高橋「私より超ド派手な魔法をうちやがりまして」
高橋「一番目立ってたなんて納得がいきません!」
高橋「…私に喧嘩を売るとは、いい度胸です!」

高橋「ん?そっちのアリスという人…」
高橋「何やら凄くイイ感じの眼帯じゃないか」
高橋「私と気が合いそうですね。是非…」
雨宮「そんな事より聞いてよ!無視しないで!」
福島「だー!お前ら話がややこしくなるから」
福島「黙りなさい!…ってあれ?」

福島「よくよく考えたらそのままで良くない?」
福島「攻撃が当たって、範囲攻撃もあって」
福島「その上、真面目で変態じゃない…」
福島「あ、どうやら手違いがあったようですが」
福島「このままにしとくのでどうでしょう?」

茅野「さぁ!早くしろ!遠慮せず来い!!」
松岡「いや!これそっちの問題だろ!困るよ!」
雨宮「そうよ!返しなさいよ!困るじゃない!」
雨宮「攻撃が出来て回復もできるなんて!」
雨宮「私の存在意義が無くなっちゃうの!!!」
福島「今なら、この駄女神もつけますから…」

松岡「えーと…チェンジでお願いします」
茅野「くっ…! くっころ~~♪」
{/netabare}
{/netabare}
{/netabare}

なんかね。金髪騎士(cvかやのん)ってだけで
ずっとこんな事考えながら視聴してましたw

ラスト楽しみですね~♪

投稿 : 2024/06/15
♥ : 36

74.0 13 犯罪者アニメランキング13位
憂国のモリアーティ(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (272)
1042人が棚に入れました
19世紀末。産業革命が進む中、着実に勢力を拡大し栄華を極めたイギリス。しかし技術の進歩と発展とは裏腹に、古くから根付く階級制度によって、人口の3%にも満たない貴族たちが国を支配していた。当たり前のように特権を享受する貴族。明日の暮らしもままならないアンダークラス。人々は生まれながらに決められた階級に縛られて生きている。ウィリアム・ジェームズ・モリアーティは、そんな腐敗した階級制度を打ち砕き、理想の国を作り上げるために動き出す。シャーロック・ホームズすら翻弄した“犯罪卿"モリアーティ。犯罪による革命が、世界を変える――

声優・キャラクター
斉藤壮馬、佐藤拓也、小林千晃、日野聡、上村祐翔、古川慎、小野友樹
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

目的は手段を正当化する

原作未読 そういえば原典も未読


 これはかの名探偵シャーロック・ホームズをすら翻弄した
 犯罪狂モリアーティ教授の物語


海外ミステリだとアガサ・クリスティは読んだことあるけど超有名なシャーロックホームズは未経験です。おおむね三毛猫ホームズ止まりな私。
その赤川次郎氏の連作『三毛猫ホームズ』だって数多あるオマージュ作品の一つ。アニメでも“家頭”と書いてホームズと読ませる京都の骨董品屋のお話をついぞ最近やってたり。ホームズの冠をつけなくても『ミシシッピー殺人事件』たしか助手の名はワトソン、と匂わせグレーゾーンを漂ってみたり。この二人の名前を出しとけば謎解きものであることを万人に共有せしめる現代用語の基礎知識。

とどのつまり説明不要な名作をモチーフにしてるわけで。そしてこの私。ホームズとワトソン君とベイカーストリート何番は知っているものの本作の主人公モリアーティは初耳。
知っていれば視聴前にもろもろ脳内整理できたかもしれません。あ、そういう人がいるのね~とニワカ全開で本編突入しました。

原典の挿絵みると禿茶瓶なおっさんですが、本編はそのおっさんの若かりし頃ということでブロンドイケメンになってます。こういうの元ネタ知ってると差分を楽しめそうですね。

 主人公の敵役で稀代の悪党の前日談

STARWARSのepisodo1であのダースベイダーの幼少期をかわいらしい少年が演じたのと同様に、人は無垢で生まれ何かのきっかけや積み重ねで進んではいけない分岐へと歩を進めた物語になってそうです。「なってそうです」と推定なのは分割2クールの前半だから。断定するにはちと早いのでお預け。
彼(モリアーティ)にとってのきっかけは『階級制がもたらす不条理』ということになるのでしょうが、そこの描かれ方を好意的か否定的かどのように捉えるかによって作品評価が分かれそうな印象です。私はやや好意的に捉えた側。来たる後半戦も観るつもり。

原典をご存じの方はその差分を探ってもよし
私みたいなニューカマーは100年前の英国の空気を浴びにいく心持ちでよろしいかと。

ちなみにタイトル『憂国のモリアーティ』。
どこらへんが憂国かをなんとなく理解できる仕様になってるのは好感です。
リスクを丁寧に潰していき真相に迫らんとする探偵ホームズと、完全犯罪をもくろむモリアーティ。方向や立場は違えどアプローチは似たようなもんだというツボもおさえておりますね。
奇抜さよりも丁寧な仕事。作中のライバル二人の仕事ぶりよろしく、アニメ制作もなんやら怪しいとこありますが少なくともきっちりやろうという姿勢はうかがえた手堅さを感じる一品となってます。


なお、CVさん歌唱の主題歌は映像含め楽しめました。
{netabare}ゴールデンカムイ尾形弟の役をされてた方ね。いい声だわ。{/netabare}



※ネタバレ所感

■目的は手段を正当化する

謎解きよりも稀代の犯罪者の生成過程に興味が向いた本作。スパイスとなるはイギリスの階級制度。

 なんでこの人そうなったん?

共感はできませんが説得力はあったかなぁ…。

{netabare}貴族階級の傲慢さへの怒り。それを許してる社会への怒り。根本となる階級制度の破壊を志向していくことになります。階級制度そのものについては長くなるので割愛。

受け取ったメッセージひとつは破壊志向、アナーキズムの限界といったらいいでしょうか。とある不満があったとして「それを破壊orガラガラポンしちゃえ!そしたら万事ハッピー」って発想は規模が大きくなるほど難易度が増し国家規模ではまず不可能。やらかしたら歴代とてつもない混乱を経て落ち着く以外に例外はなし。フランス革命もギロチン送りしてすぐ革命勢力は瓦解したでしょ? 明治維新だってガラガラポンに見えて禅譲だし、それでも鳥羽伏見や戊辰戦争が起こるくらい急激な変化には相応のハレーションがつきものです。現実は粘り強く改善するのが近道だったりします。
それ(地道な改善)を放棄したらこうなりました!がモリアーティだったかと。起点は“憂国”で理想をぶつ姿に魅力を感じるやもですが、実際の行動は崇高(仮)な目的と合致してません。しまいには目的そっちのけに見えてしまってるところが“あるある”だなぁと思って眺めてました。そのうち“貴族”だけがターゲットだったところから“労働者”に刃が向くんじゃねーの?と予想してます。手段が目的化することで本末転倒になる。その時のモリアーティ一派の心情の機微に注目したい。{/netabare}


{netabare}ふたつめは善意の思考停止。来たる後半ではモリアーティ家の義憤にかられたお兄ちゃんにも注目したい。冒頭、モリアーティと共謀し自分の家族をポアしちゃった少年です。高貴なお方がもつ富める者特有の後ろめたさからのダークサイド突入。西園寺公一や近衛文麿なんかそんな感じでしょ? 前者は意図的、後者は無自覚に国家を破壊へと導いたってのが一般的な見解です。ヘタに力があるだけに悪影響は絶大なのよね。
だからこのお兄ちゃんに「で、英国の階級制はどうなったん?」と当初の目的に関しての結果報告を求めたいですね。きっと答えられないか「道半ば。俺たちの革命はこれからだ」的回答になることでしょう。彼らが軌道修正する可能性はゼロに等しく、常に搾取されていると自己肥大化させ続けているのです。犯罪を正当化する理由なんてないのにね。

あくまでモリアーティ視点なので貴族階級層の人間が持つ良い点、ノーブレスオブリージュみたいなのに作品では触れてません。目が曇り見えないのかあえて蓋をしてるのか、おそらく両方あるのでしょう。
ノーブレスなんちゃら“持てる者の責任”と言われてピンとこないかもしれませんが、直近なら鬼滅の煉○さん思い出していただければよろしいかと。あれがノーブレスオブリージュの好例です。
さすれば少しは貴族層に好意的な視線も注がれそうですが、彼らがそうなることはなく、支配構造を終わらせるには、敵を倒し、社会を変えるしかないとの思考から抜け出せません。妥協したら引きずりおろされますからね。そもそも支配者階級と彼らが考えている層を“支配を維持・強化することしか考えていない悪人”と捉えています。となれば耳を塞ぎ純化の道まっしぐら。
そして倒した後のことは考えてません。“倒せば良くなる”それだけ。
後に控えるさらなる受難そっちのけで○獄さんに向かって「偉いんだからてめーが責任取れ!タヒんでこいや!」が基本姿勢の彼らに一般人はドン引きすることと同じです。{/netabare}


{netabare}最後みっつめは犯罪コンサルタントというポジション。いいですよね姑息で(笑) 当事者にならず批評家のポジションに安穏とする。ここはシンプルに“四列目の男”。モリアーティその人は、お遍路好き元総理のものすごく頭の切れるバージョンにしか見えなかった私でした。
だってすでにブロンドイケメンな若い頃にホームズと交錯していて、禿茶瓶になる程の年月を重ねるまで逃げおおせたわけでしょ?(適当) 改革を口では標榜しそれでいて矢面に立たない。いくらイケメンで弁が立とうが私は信用しません。

そこはしっかりと悪人に嫌悪感を抱かせる仕上げをしていたともいえ、キャラ設定よい感じでした。{/netabare}



階級社会へのアンチテーゼはまあよいとしてその解決に導く方法論が間違ってると思わせる一品。
だからこそキャラの口からあちら界隈の用語でいう“総括”を聞いてみたい。

 アンチ貴族社会の理念のもとに行動した結果有効打を打てたのだろうか?

そしてそのしどろもどろの言い訳をニヤニヤしながら「まあそのへんがきみらの限界だよね」と侮蔑する未来を想像しながらSっ気全開で待機します。
{netabare}…とここまで煽ったところで語られることはないでしょうね。逃亡/責任回避は彼らの常套ですから。{/netabare}



視聴時期:2020年10月~12月 リアタイ   

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2021.02.28 初稿
2021.09.30 修正
2022.06.02 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 42

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

もちろん、あのモリーアティです。「憂国」は、なるほどそういうことなんですね…。<シャーロック・ホームズ>シリーズのメインキャラクターが軒並み登場!

[総評]
お話は<シャーロック・ホームズ>シリーズのジェームズ・モリアーティが何を同期に事件を起こしたかという観点の二次創作ものです。

ウィリアム・ジェームズ・モリアーティのやっていることは「毒を以て毒を制す」じゃないですが、素直に「ダークヒーロー物」と思うのか、それでも「社会秩序を破壊しようとしているテロリスト」と思うのかは視聴者の価値観にもよりますよね。

「貴族がやっていることが横暴だから民衆のために制裁する」というのは崇高な理念とも捉えられますし、単に彼が楽しみたいだけのお題目なのかもしれません。

もっともシャーロック・ホームズの側も、名探偵ではあっても必ずしも人格者であったり正義の味方であったりはしないわけで、謎に挑みたいという欲求を表に出しているぶん正直な人だとは言えます。

とりあえず二人の関係については、才能を持つ者同士が違う立場に立った結果として対決するというまさに「ライバル関係」といえるんだと思います。

物語は必ずしも勧善懲悪である必要はないので、フィクションをフィクションとして楽しめるのであれば本作を面白いと思える素養は充分にあると言えそうです。

== [下記は第4話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
第4話まで視聴時点でこのレビューを書いています。

コナン・ドイル作の「シャーロック・ホームズ」シリーズにおいて、「犯罪卿」として名を馳せるジェームズ・モリアーティ。

本作はそんな彼が「犯罪卿」となる動機として十九世紀末のイギリスにおける階級格差の解消を掲げる、異色のクライムサスペンスです。

ジェームズ・モリアーティに兄弟がいるという設定は「シャーロック・ホームズ」シリーズから引き継がれたものですが主人公ウィリアム、兄アルバート、弟ルイスの名前は本作オリジナルのものですね。

当然ですが主人公ウィリアム・ジェームズ・モリアーティは犯罪を仕掛ける側です。基本的には特権階級に属さない「被害者」がただ揉み消されてしまう悲嘆に明け暮れているところを「クライム・コンサルタント」としてウィリアムが復讐をサポートするというストーリーであるようです。

第1話ではストーリーのテンプレートとして労働者階級や貧民の少年たちが巻き込まれた猟奇事件の犯人の特定と、被害者の父親による復讐をウィリアムがサポートする様を見せてくれました。

第2、3話の前後編ではクライム・コンサルタントとなるに至ったジェームズ・モリアーティ三兄弟の生い立ちが描かれ、第4話では使用人に恨みを買った子爵が復讐される様が描かれました。

ということで作品との相性は概ね第3話か第4話まで観れば判断できると思います。私は結構面白いと思っているので、このまま視聴継続予定です。
== [第4話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2020.12.3追記:
第8話まで視聴終了。サブタイトルは「シャーロック・ホームズの研究 第1章」で、これは元々の「シャーロック・ホームズ」シリーズの第1作『緋色の研究』へのオマージュなんでしょうか。

第6話でのシャーロック・ホームズに続いて、ついにジョン・H・ワトソン登場です。人名は小説準拠のようですが、事件自体はいろいろとアレンジされている模様。

2020.12.8追記:
第9話まで視聴終了。ラストのカットでのワトソンの日記(?)の開かれたページの左上には「A STUDY IN SCARLET」の文字(原作のタイトル: 邦題『緋色の研究』)が書かれていましたね。

2020.12.29追記:
最終2話(第10、11話)で前後編を持ってきました。ウィリアムとシャーロック・ホームズが直接対面するストーリーでしたね。

二人が互いに興味を深めて、さらにストーリーには王室関係の何かがありそうな描写で2021年4月から予定されている第2クールへの良い助走だったと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 35

大貧民 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

面白い。だが、残念ながら原作を端折ってる。

メインキャラ全員が少女マンガ風のイケメンばかりで、少年誌連載の漫画っぽく無いのだが、物語としてはけっこう面白い。
原作は、ジャンプ+にて公開されているのを読んだ程度。
原作の一話目はアニメでは、二話目から。
アニメではよくある一話目に通常回をもってくる手法。
原作に比べると、微妙に細かなエピソードや展開が違っている。尺の問題もあるだろうが、かなり勿体ない。
もう少し、詰め込んでも良い気がする。
原作だと、モリアーティ達に退治される側は、もっと悪人エピソードが多いのだが……。
原作のほうが良くできている気がする。
アニメの方も人に勧められるほどには、面白いのだが、ちょっと残念。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 5

74.3 14 犯罪者アニメランキング14位
亜人(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (914)
4976人が棚に入れました
高校生、永井圭。トラックによる追突死の直後、謎の蘇生。これにより国内3例目の不死の新人類・亜人であることが判明した。警察および亜人管理委員会により捕獲作戦、開始。同刻、管理下にあった2例目の亜人が何者かの幇助により逃走。この者らは直ちにテロ活動を展開し人類への復讐を開始した。
永井圭の動向を注視せよ。繰り返す・・・

声優・キャラクター
宮野真守、細谷佳正、大塚芳忠、櫻井孝宏、小松未可子、平川大輔、洲崎綾、福山潤、木下浩之

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

フィクションの鉄則「大きな嘘をひとつだけつけ!」

…を地で行くような感じの作品(原作マンガは未読です)。
つまり映画「シン・ゴジラ」なんかと同じやり方ですね。

本作では「亜人の存在」という大嘘(いや、本当にいたらゴメン)の下に、存在したら政府の対応や法整備はどんな感じになるかとか、亜人に人権は認められるべきなのかとか、そういうテーマでお話を作っているわけです。

大嘘である「亜人」を認めてしまうと、作中の社会状況や人物の行動はわりともっともらしい感じに描かれています。

で、こちらだけ観ると結末はモヤモヤすること請け合いなので、うっかり最後まで観てしまったならきっと分割2クール目も観たくなるんじゃないかと思います。

EDの背景アニメが何気なくネタバレ風なので、これから観る人で本当にネタバレを気にする場合には、EDは目をつぶるかもしくはとばしましょう(笑)。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 28

海の人 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

商業的にもヒットした作品

◆アニメは1-2クールは視聴済み
◆一応、劇場版も視聴しました。
◆漫画は現時点での話数は読んでいます。
◆実写劇場版は見ておりません。

まずは、ストーリーですが

コメ欄を見る限り 様々な方が書かれているので
詳しくは描きません

が、ざっと纏めると
「死なない」存在の「亜人」が存在しています。
その、亜人達が繰り広げる話です。

序盤は亜人と人間の戦い

中終盤は亜人同士の戦い
(中には人間との戦闘もあります)

今までに無い、
戦闘描写で視聴者を引き込むでしょう。

正直、ストーリーは難しくありません。
(個人的な意見です。)

単純にテロとそれを止める者達の戦いです。

「なんか、難しそう」と思って
見ないのは、正直勿体ないですね。

とりあえず、
ダラダラストーリーが進むことは無いです。

あと、展開が原作と少し違います。
どちらも、なかなか面白いので見るなり読むなりしてください。

キャラクターについてですが

主人公が変わっています。

僕は正直 作画よりも
ここが1番好き嫌いが別れるかもしれません。

いわゆる、自分勝手ですね、
僕的にはいい味 出してると思います。

周りの味方も色とりどりなので見ていて面白いです。
基本的に仲間感でピリピリしていますが

それが、一致団結した時は胸熱ですよ。

さて、敵側ですが、こちらは
佐藤さん1人が群を抜いて、目立っているので

周りが薄く感じましたね

ですが、それでも頑張って目立っていた
田中さん、あなたは凄いです。

周りのメンバーも一人一人描写はある物の
やはり、佐藤さんにインパクト負けしてるといったところです。

音楽ですが、
BGMは基本的に
ダークなアップテンポな曲が多い印象です。
作品にマッチしていて、いい感じでした。

主題歌は1クールの方が作品にあっているかなと思います。
2クールは完全にノリノリな曲なので、
アニソン好きならハマるかな
何しろ、fripSideとangelaの合作なので

エンディングですが、
1-2クールどちらも落ち着いており

片方は声優が歌っております。

作画についてですが
ジャケットを見れば分かりますが3DCGアニメです。
制作会社は3D専門のポリゴン・ピクチュアズですね

私的にはいい出来に仕上がってると思います。

まず、表情の作りがいい
喜怒哀楽をしっかり表現出来ています。

背景もいいと思います。
激しい戦闘描写も、問題なく見れる。

一番、目に止まる亜人も作りがよく引き込まれます
無駄のない、3Dというのが僕の率直な感想です。

声優については
自分自身詳しくないですが

大塚芳忠が好きなら、
まず抑えておきたい作品です。


最後に総評ですが、

3Dアニメが嫌いでも、
1度は見て欲しい作品になっています。

刺激が欲しいなら1度は見る出来でしょう。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 1
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

基本、夢中で観られたが、色々と惜しいダークファンタジー

[文量→大盛り・内容→感想系]

【総括】
多分、多くの方が感じるだろうけど、「東京喰種トーキョーグール」と被る世界観です。まあ、それは別に良いんです。パクりだろうが偶然の一致だろうが、楽しめれば、それで。そして、かなり楽しめたダークファンタジーでした♪

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まずは+の査定から。

感想としては、単純に楽しめました。ストーリーには常に緊張感があり、次話を楽しみにしてました。原作連載中ということもあり、謎をばらまくだけばらまいて完結できないのも、視聴前から覚悟してましたし。

主人公の永井圭は、なかなか独特の主人公ですね。確かに「クズ」ですが、その一言では切り捨てられない魅力もありました。徹底的にリアリストを気取ってる彼ですが、屋上で研究員を助けるシーンなど、(同時視聴していたアニメのせいもあって)「シンプルに考えれば助けるべきだろ!」という台詞を脳内アテレコしちゃいました(笑)

佐藤のビル崩しは、正直言って予想を越えられたし、SATとのガンアクションも凄かった。やっぱ、ラスボスはあのくらいやってくれないとね。

亜人の人体実験のシーンは、かなり凄惨でしたが、観られました。私は、「無意味なグロ」が苦手なだけで、グロそのものがダメなわけではないので。「東京喰種」の拷問シーンもそうでしたが、「その時そうする必要がある」と感じられれば、グロもまた表現のひとつとして許容できます。あの人体実験は、「亜人と人間の確執」「亜人を単純な悪としない」「他の亜人と圭との違い」「人間が、ある意味では亜人以上に化け物じみている(多分これが主題)」などを表すためには、必須のシーンだったと思います。

続いて-の査定を。

全体を通して感じたのは、「人間弱すぎ」ということです。亜人の人外の力なんて「不死」と「黒い幽霊」くらいで、さほど驚異に思えないのだが。

赤松健さんの漫画「UQホルダー」には、様々な「不死者」と「不死者殺し(無効化の方法)」が描かれていますが、全くその通り。コンクリ詰めにして海に沈めるとか、ロケットに積めて宇宙に飛ばすとか(笑) いくらでもやりようある気がする。毒ガス系とか、絶対有効だろうし。

それから、シリアスなサスペンス系のバトルを描いてるわりに、ツッコミ所が多すぎる。まず、最初の逃走シーン→フルフェイス被ろうや(笑) 血まみれの服を着替えようや(笑) 逃げる気なかったでしょw 次に、厚労省施設→隔壁で閉じ込め、ガスで眠らせようや(笑) そういう施設なんだから、亜人が逃げた時の対策万全にしとこうや(笑) 捕まえる気なかったでしょw 最後に、対佐藤戦→代えの担架用意しとこうや(笑) そもそも、担架(ベルト)で拘束って、ただの看護か(笑) あの距離運ぶのにどんだけ時間かかんねん(笑) 拘束具を的確に狙撃って、どんな腕前やねん(笑) 素人ちゃうんかい(笑) 捕まえる気なかったでしょw

などなど。細かいことかもしれないけれど、こういった作風だからこそ、そゆとこはつめておかないと、ご都合主義ととられるからね(汗)

あと、(ポリゴンのせいなのか)萌えられる女性キャラが少ない。まっ、そんな話じゃないのは百も承知だけど、「東京喰種」など、そのへんもうまくバランスとってやれてたしね。

てな感じで、良さもありつつ、ツッコミどころも多くあったので、4よりの3です♪
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 33

77.6 15 犯罪者アニメランキング15位
MONSTERモンスター(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (633)
3504人が棚に入れました
1986年、西ドイツ・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に、頭部を銃で撃たれた重傷の少年が搬送されてくる。天才的な手術の腕を持つ日本人外科医・ Dr.テンマは、院長の命令を無視してまでオペを担当しその少年の命を救う。「死」を生む悪魔と「生」を生む医者が出逢ったことで、陰惨な物語の歯車がごとりと廻り始める。
東側の世界では西ドイツ社会を混沌の世界に突き落とすという異常な策謀が進行していた。チェコスロバキア秘密警察のフランツ・ボナパルタらは、子供たちを次々に西側諸国へ送る戦闘要員として教育していく。その過程でヨハンという怪物が生まれた…。
数年後の1995年、テンマと数年ぶりに遭遇したヨハンは確実に巨大な怪物に成長していた。テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺するヨハン。自分の中で何かが弾けたテンマは、ヨハンを追いかける。
果たして、テンマはヨハンの殺戮を食い止めることが出来るのか…。ヨハンを衝き動かす『なまえのないかいぶつ』という絵本は何なのか…。ヨハンは何故殺戮を繰り返すのか…。物語はベルリンの壁崩壊後のドイツとチェコを舞台に展開されていく。

声優・キャラクター
木内秀信、能登麻美子、小山茉美、磯部勉、佐々木望

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

浦沢サスペンスの極値

アメリカで大手アメコミ出版社MARVELが過去最高の売上だそうだ。映画だけでなくコミックも売り上げを伸ばし、中でも「Ms.マーベル」という日本でも本国でもマイナーな女性ヒーローをアメリカ社会でもとりわけマイノリティである「イスラム教徒」の少女に選び、最大のヒットを飛ばしたらしい。

トランプ政権下で人種問題や格差問題が浮き彫りになったのにも関わらず、コミックの世界ではある意味自社の王道たる「社会的マイノリティ」を主人公に置くその寛容さと多様性にコミックの新しい地平を切り開いている。

さて、ここで浦沢直樹の「モンスター」だが、浦沢さんの特徴といえば人種の特徴を捉え、深い洞察力とともに国際的な日本人が活躍するというバブル期真っ盛り趣向が特徴であり、「YAWARA]や「マスターキートン」はその時代に描かれたイケイケな日本人の姿だった。

時代は変わり、長引く不況と社会不安が蔓延してからは「20世紀少年」や本作「モンスター」のような世の不条理や闇を描くシリアスな路線に変更し、さらに大人向けを突き詰めていったのである。

こういった内容が濃く、ストーリーがしっかりした漫画は「プルートウ」で最高潮に達し、来年には「プルートウ」のアニメ化が決まったらしい。

コミックの新しい地平と言ってもすでに15年以上経ってしまってはいるが、本作ほどサスペンスとしての完成度、多種多様な人物が織り成す人間模様を描いている作品はないと思う。

アメコミは最近絶好調なだけに、日本の漫画にこういった更なる進歩が求められていると思う。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 23

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

長編ミステリーの傑作

随分前に原作を読んで、数年前にアニメ版を観ました。

ベルリンの壁崩壊前後のドイツの社会背景をベースとして、
東西冷戦構造、家族、児童虐待、トラウマ、
果ては病院での権力争いなどをテーマにした作品です。

全75話という長編ですが、
アニメだと音楽や声の魅力もあり
ドイツやチェコの風景にも広がりと奥行きが感じられ、
1日12話ずつ観てしまってたほど引き込まれていました。

ちなみに、デビッド・シルヴィアンが歌う
32話までのED、「for the love of life」
この物語の雰囲気にとてもマッチしていて、好きでした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 35

あややん さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

見出したら止められない!

今まで見た作品のなかで恐らく3本の指に入ってると言っても過言じゃない!
とにかく面白い!

最初の4~5話までは進展のない話がだらだら続きますがそこを過ぎると、なんじゃこりゃぁ!70話を超える大作ですが、1話また1話とあっと言う間に見てしまいます。

ですが基本的にずーっと暗めなので大人向けかな。

ちょくちょく入る感動シーンでは涙腺崩壊しましたw

紛れもなく究極のミステリーアニメと呼べるでしょう!

長くてちょっと・・・って思っているあなた、見て損は絶対しません!^^

投稿 : 2024/06/15
♥ : 11

63.7 16 犯罪者アニメランキング16位
pet(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (168)
551人が棚に入れました
人の脳内に潜り込み、記憶を操る能力を持つ者達がいた。彼らのその力は、事件の揉み消しや暗殺など、裏の世界で利用されてきた。人の精神を壊すほどのその力は、同時に彼ら自身の心を蝕(むしば)んだ。彼らはお互いを鎖で縛り付け合うように、脆く危うい心を守った。彼らは恐れと蔑みからpet(ペット)と呼ばれた。

声優・キャラクター
植田圭輔、谷山紀章、小野友樹、加瀬康之、咲野俊介、M・A・O、遊佐浩二、飛田展男
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

飼い猫に手を噛まれる

原作未読


視聴動機は山本幸治氏。ミスター赤ヘルではありません。
ノイタミナのチーフプロデューサーやってて、フジ辞めてアニメの会社作った人。

彼が携わった『ゴールデンカムイ』『ヴィンランド・サガ』あたりはそのクールで一番面白いと感じたくらい相性は良いです。
今回の『pet』はサイコなサスペンス、サイコなミステリといったところ。同じく彼の手掛けた『PSYCHO-PASS』や『バビロン』の系譜です。『バビロン』はとりあえず脚本家のせいにしときます。
他は『どろろ』なんかもそうですが、人間の内面どっちかというと闇を逃げずに捉えて視聴者に提供したいという意思みたいなのを感じるアニメーターさんです。


では作品に戻ってあらすじ概要。
人間だれしも記憶の中に“ヤマ”と“タニ”を持っているという前提。語からイメージするような“ピーク”と“どん底”という理解で間違いないと思います。この“ヤマ”もしくは“タニ”をいじくると過去の記憶改変ができたり未来の行動を変容させたりすることができます。
そんな“ヤマ”や“タニ”をいじくれる能力者たちが本作の主人公。ヒロキ(CV植田圭輔)と司(CV谷山紀章)を中心に物語が進みます。なお“ヤマ”や“タニ”を破壊する行為も可能でそれしちゃうと心神喪失となり廃人化します。
けっこう大きな能力なんで悪巧みに使い放題。作中では“会社”と表現してましたが、とどのつまり裏組織。この異能を用いて裏稼業に励んでいる世界に生きる人たちのお話です。
それと重要なこと。“ヤマ”や“タニ”をいじくれる能力者はその意味を重々理解しているため下手にいじくられないよう“鍵”をかけてるもんなんだそうです。この“鍵”の存在も完走された方は重要さ加減がお分かりだと思います。


なおヒロキ役の声優さんが舞台との兼務で本業の方ではありません。こういう人間の精神内面に侵食するような物語での素人起用はだいぶ削がれることを実感しました。
あと重要なとこで『らんま1/2』シャンプー以来のめちゃくちゃ可愛い「ウォーアイニ―」を聴けた。
先述の会社というか組織のボスは大陸です。中国人なので作品では北京語が乱舞します。言語が分からないと字幕に頼らざるを得ず、画面に食いついてないとついていけません。
ながら観、ダメ、絶対、です。ちょっと携帯いじってると途端に話が見えなくなってくるのでご注意を。
{netabare}そんななかでのめちゃくちゃ可愛い「ウォーアイニ―」。『我愛你…』これくらいわかるっしょ?と言わんばかりに『我愛你…』と日本語字幕の仕事をしてませんでした。こういう演出好きです。{/netabare}


全13話。けっこう楽しめました。きちんと区切りをつけて最終話を迎えたことと納得感のあるラスト。
それに序盤と終盤でキャラクターの好印象/悪印象の逆転などストーリーで魅せてくれたこと。OPのTK起用はクセみたいなもんかな。なんだかんだ気に入ってます。



※ネタバレ所感

■キャライメージの逆転

お見事でした。
{netabare}司が破滅に向って壊れていく様。会話の音声とモノローグを被せる演出をしててそこでの狂気の発露がいい感じでサイコしてました。演者さんのファインプレーです。
一方の桂木は反則でしたね。記憶の改編で愛する者の記憶が抜けてたり、家族を持つのが夢だとの結実がああだったりと哀戦士してました。
さわやかナイスガイがゲス野郎化していくのと、うっとおしいおっさんでいかんなく小者っぽりを発揮してたのが実はってのも良かったです。{/netabare}


■ヤマ親とpet

“ヤマ”“タニ”“鍵”と同じくらいキャラの相関性を一言で表す“ヤマ親”の概念もキーワードでした。

{netabare}盃を交わした893のようなものと理解してます。子は無自覚に忠誠を誓うまさにペットみたいな存在。親はそれよりもやや俯瞰して見ているようなそれでいて子への執着は感じられる感じ。

(例)子→親
・ヒロキ→司:反抗期みたいなものはあるが極めて従順。
・司→林:多重人格者みたいなサイコっぷりを発露。
・悟→林:極めて従順。
・メイリン→林:不明。でもメッセージを悟に届けた。

これが逆(親→子)になると
・司→ヒロキ:まあDV親みたいなもん。
・林→みんな:基本的にみんなに対して無償の愛。

司もアレした後は頻繁に嘔吐してたり、人格破綻が生じたりと子→親のくびきを逃れることは不可能でした。親→子だとそれほど縛りははなさそうです。{/netabare}



■習○平さま ※ほぼ無駄話。どうしようもなく暇な方以外は開けないでOK

{netabare}隠し子騒動の7話か8話だったか。

親  「こんなダークな俺だが?」
隠し子「白い猫も黒い猫も鼠を獲ってくる猫はいい猫っす」
親  「はっはっはっお前はわしの息子だ」

みたいなくだりがありました。この猫のやつ鄧小平の有名な台詞ですけど大丈夫ですか?中国で発禁になるんじゃないかと心配です。表向き経済活動活発ですが現国家主席のアイドルは毛沢東。改革開放を進めた鄧小平とは真逆。すなわちどちらのシンパかで今後の出世に響くおっかない世界。
その後隠し子はアレしちゃって一件落着。良いかと思いきや政敵をフィーチャリングしてしまった以上根に持たれてもしかたありません。
そしたら後半。

メイリン「伝書鳩は猫が嫌い」

しっかりと猫つぶし。しかも鳩は2016年軍事パレードでも2019年市民パレードでもウン万羽の鳩を放つなどお気に入り動物。どうやら発禁はまぬがれそうです。{/netabare}


{netabare}鳩>猫の序列となりさぞやご満悦の習近○さまですが安穏としてはいられません。

作品の重要な部分。メイリンという例外があるものの、能力を行使できるのはターゲットに近づいた時だけでした。
パーティなど大勢の人が集まってるところで給仕に成りすまし近づくとか、近づいて会話の拍子に手を握るとか、密室で無理やりとか、とにかく間合いを詰めないといけません。


 {netabare}多くの人が密集(しゅう)
 近接での密接した会話(きん)
 換気の悪い密閉された空間(ぺい){/netabare}


とりあえず、今しばらくはしゅうきんぺいを避けたほうが良いでしょう。
さらっとメタで体制批判を仕込んでるならスタッフは有能だと思います。{/netabare}



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

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2020.10.16 追記

無駄話の記載内容は寄稿から半年も経つと賞味期限切れてるんじゃないかと思えるものだが、特異な時期でもあったので当時の皮膚感覚を思い出せるよう残しときます。


2020.04.11 初稿
2020.10.16 追記

投稿 : 2024/06/15
♥ : 30

アニメ好き さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

ツインエンジンって頭おかしい

バビロンみたいなアニメでした
バビロンで善か悪かを説いたあとに
今度は山と谷があるですか。

なんか世界を二分した意味深ストーリーを流して、視聴者の不安を煽るような気持ち悪い演出して、中二病みたいなオープニングとエンディングを流せばツインエンジンのアニメになると言っても過言ではないのでは?芸がなさすぎ 作画もひどい

オープニングのバイクブルンブルンツインエンジン見たらこれからは あ、また訳のわからんアニメ始まるんやなと思うことにします。

2話以降は適当に飛ばしながら見ます
面白くなったら奇跡

投稿 : 2024/06/15
♥ : 6
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8

「ヤマ」と「タニ」が「カギ」???

原作未読。最終話まで視聴。

最終話まで視聴してみた感じたこと。

{netabare}要するに、記憶操作系の話なんだよね?
「ヤマ」と「タニ」は何となく意味が分かったけど、一つずつしかないところがよく分からない。
「カギ」に至ってはチンプンカンプン。

記憶操作に中国マフィアが絡んでいる?
何故?マフィアっぽくないなぁ?

ところで、この作品の主人公って、結局誰なんだ?
ヒロキ?司?悟?
最初は桂木、途中までは林が主人公だと思っていたんだけどなぁ・・・(笑)。{/netabare}

まあ、こんな感じで、最後まで視聴しても、よく分からない作品でした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 13

71.9 17 犯罪者アニメランキング17位
ルパン三世 (TV第1シリーズ)(TVアニメ動画)

1971年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (230)
1274人が棚に入れました
今もファンに熱烈に支持されている『ルパン三世』ファーストシリーズ。
ルパン三世は、名高き怪盗アルセーヌ・ルパンの孫。狙った獲物は必ず奪う神出鬼没の大泥棒だ。頭脳は天才的で、銃の腕前も超一流だが、可愛い子ちゃんに弱いのだけが玉に瑕。その仲間は、早撃ち0.3秒のガンマン・次元大介、昭和のサムライ・十三代目石川五ヱ門、謎の美女・峰不二子。そんなひと癖もふた癖もある連中とともに、銭形平次七代目の銭形警部や暗黒街の強敵達を煙に巻きながら、今日も華麗にお宝を頂戴するのだ。

声優・キャラクター
山田康雄、納谷悟朗、小林清志、二階堂有希子、大塚周夫

yui さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

ルパンの世界は奥が深い

という事で、ルパン三世第一シリーズを私なりに解説してみようと思います。

[初心者でも分かるファースト編]

まず最初にルパン三世ってどういう物語?
基本的な物語は、ご存知の通り怪盗ルパンの孫で世界の大泥棒ルパン三世が、仲間達、次元大介、峰不二子、石川五ェ門と共に世界のお宝を盗み出し、そしてルパン三世逮捕に熱を燃やす銭形警部と繰り広げる活躍を描いた物語となっています。

じゃあ、第一シリーズと、第二シリーズの違いって?

さてここからが本題です!!

第一シリーズは当初大人向けのアニメとして作られました。しかし、放送当初は視聴率が良くなかった為、宮崎駿らと共に方向転換を決意し、ハードボイルドに描いた前半と、ある程度子供を意識した後半に分かれています。そして、第二シーズンからは家族で見れるファミリーアニメを基にキャラ達の印象の形も変わって行くのです。

不動の人気シリーズ第二シリーズがあるのは、第一シリーズの土台があってこそなんですね♪

第一シリーズの魅力と面白さ!!!

ここからは、ユーモアを入れてお伝えするので宜しくm(__mペコリ



ネタバレ注意ですよwwwwww











なんとっ!!
知られざる事実を発見!!!

えーっwwww
石川五ェ門は敵だった!?
第一シリーズで初めに出てきた五ェ門は、名うての殺し屋のルパンの敵でした。
その後、ルパン達とは仲間になるんですが、出番が超少ないですwww

そして毎度
お馴染みのルパン三世、次元大介、峰不二子、石川五ェ門の4人全員がそろうことも実は少なかったりしますwwwww

でもでもですよ!!
実は沢山萌え要素があるんですよ♪♪♪♪♪♪

1・まず声優さん達が偉大なお方ばかり
2・キャラ1人1人の声で萌えちゃって下さい
3・峰不二子はエロいです
4・ルパンは天才君です
5・五ェ門クールだ
6・ハードボイルド次元さん⇦一番好きなキャラ♪
7・萌え度100%銭形警部⇦今週の一押しカワユスです♪

そしてルパン三世の主題歌最高!!!!!

ここからは先は雑学行くよぉ♪

ここ数日色々調べた執念の魂
ルパンには沢山の未映像化作品があります、中でもルパン小僧にはビックリしました。
そうルパン三世と峰不二子の間には子供がいたのです!!それがルパン小僧ことルパン四世。
これは少年誌で描かれた漫画であり未だに数多くの謎が多いい作品です。

皆さんルパンは毎度お馴染みのメンバーばかりだと思っていませんか?

いえいえ原作では違うんです!!
実はルパンにはちゃんと地下組織がありますwwww

では紹介します♪
・贋ルパン
・女
・おかかえ科学者
・ハンマーの岩鉄ー九州支部所属
・風の三太夫ー四国支部所属
・峰不二子ー北海道支部所属⇐知らなかったwwww
・科学者、見張り、基地地下アジト
・建設現場主任
・逮捕された1967人
・G
・K
・船員
・ヤング・愚造
・鬼土
・ヤングアイランドの学生たち
・クリフ・不私刑
・犯罪機密警察の男女二人
・大統領
・パンドラ
・ネズミ一族
以上です

正直知らなかったwwww奥が深いねルパン三世は!!!

という事でルパン三世初心者のあなたもこれで大丈夫part1はこれにて終わりです。

第二シーズンはかなりの長編ですが、また頑張りたいと思います♪


投稿 : 2024/06/15
♥ : 14

鰻Monkeys さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

脱獄のチャンスは一度

今から40年前、このアニメはそれまで子供向けだったTVアニメ業界に大人向けのアニメを作ろうという計画で作られたアニメです。

時計、銃、車などは実際に存在する物をモデルにし、その時代にしてはかなりリアルに再現した描写になっています。


ですが、当時この作品はまったく流行らず、低視聴率の理由は大人向けの作品だからと言う結果に至り、演出を子供向けにする方針になり前半と後半に演出のばらつきが生じました。

前半の演出を大隅さんが制作に参加している間は大人向けの作品に、後半の宮崎さんが制作に参加した作品はキャッチーな子供向けの作品になっていると言っていいと思います。



俺は大隅さんの渋い演出の原作に近い方が好きなんですが、後半は後半で面白いと思います。



俺が特に好きな物語は

3話   「脱獄のチャンスは一度」    演出:大隅正秋 

この作品はルパン本人とその取り巻きの人々の関係性が良くわかり、なにより終わり方が渋すぎます。

ネタバレですが↓






捕まってしまったルパンを心配する不二子、何もしない次元、心の底では脱獄してほしい銭形、五ヱ門はまだいません。

最後のオチは、1年間待ったあげく財宝の隠し場所を爆破され爆散した財宝を見て次元とルパンが二人で腹抱えて笑って終わるという物語。

真の絆とはこの言うのだろうか?と考えてしまいます。

とにかく素晴らしい、渋すぎる。


オチがそんなもんかと思った人がいるかと思います、そう言う方にこそ是非見てもらいたい!

二人の描写、セリフ回しを見てもらえれば納得していただけるとおもえます。



次に気に入っているのは

9話  「殺し屋はブルースを歌う」    演出:大隅正秋


これは不二子の愛と哀愁の物語とだけ言っておきます。





最近のルパン三世は偽善の泥棒みたいな感じでやっていますが、1stのルパン三世は真に泥棒といったところでしょうか?

大泥棒ルパン三世の神髄


このルパン三世シリーズは俺が知っている物の中で一番面白いアニメだと思います。



全23話で打ち切り。

再放送にて人気に火が付き、2期が制作が決定したらしいです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 6

酒と肴と頭痛 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

トゲトゲしてるルパン

最近のTVスペシャルなどで見るおちゃらけたルパンとは違って、クセとトゲがあるルパンです。

最近のルパンを先に見た人には、ちょっと違和感を感じるかもしれないけど、話としてはとても面白いので、段々ハマるんじゃないでしょうか?

普通に考えるとルパンやふじこなど、彼らは犯罪者です。ようするに悪人なのですが、一本筋の通った価値観と、プロ意識的な意地があって、個性的で見るものを魅了していると思います。

たとえ仕事に失敗しても余裕を感じる現代ルパンは無敵という雰囲気すら持っていますが、アニメ版の古いルパンは失敗した時は余裕を感じられないことがあり、そういう場合は当然彼らは必死になります。長編ですと、カリオストロの城にはこの余裕の無い必死さが感じられて、味わいというか面白みがあると思います。

食べ物としてはビーフジャーキー的とでもいうのか、硬くてとっつきにくいんですが、よくよく噛んでいくと味が出てきてとても美味しいというのが昔のルパンだと思っています。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

76.0 18 犯罪者アニメランキング18位
GREAT PRETENDER(TVアニメ動画)

2020年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (352)
1480人が棚に入れました
自称"日本一の天才詐欺師“枝村真人。その日も相棒の工藤と2人で浅草観光に来ているフランス人に詐欺を仕掛けてひと儲け…のはずが、逆に騙され大金を奪われてしまう。その男はローラン・ティエリー、マフィアさえ手玉に取るコンフィデンスマンだったのだ。ローランが仕掛ける桁違いの<コン・ゲーム>に、枝村は巻き込まれていく…!!

声優・キャラクター
小林千晃、諏訪部順一、藤原夏海、園崎未恵
ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

エダマメと金髪クソ野郎

confidence man(信用詐欺師)モノ。

背景が、たまに原色のみで構成されている場合があり、
個人的には、目が疲れた。

15話~23話
{netabare}
詐欺師引退をローランドに告げて、帰国する枝村。
しかし、ローランドに騙され、893のフロント企業に就職。

朱雀あけみをどう騙していくのだろうか?

しかし、金髪クソ野郎は、今回もエグイなぁ。
枝村の人身売買で捕まった父親と会わせるとは…

17話で、父親に裏切られ捕まり、アビーとシンシアを
父親が撃つのだけど、激昂した枝村が父親を撃ち、
朱雀あけみの多大なる庇護を受けることに。
ローランの過去を父親が知っているようだったけど、
上海以外、みんなグルなのかな?

19話、村枝父、昔からコンフィデンスマンとか…
上海マフィアは壊滅だろうけど、朱雀あけみは、
枝村家と関係あるのかな?

最終話で、エダマメが、あけみと失踪した息子を繋ぐのは、
甘いなぁお思ったけど、過去騙された奴らが協力するのは、
無いでしょ?と思った。破産させられたわけだし。

挙句、シンシアが生きていたとは…
一番面白い章だっただけにオチが残念。
{/netabare}

11話~14話
{netabare}
まーた、堅気の仕事がしたいって、枝村…

今回は、イギリスの画商を騙すみたいだけど、
シンシアと何かあるみたいね。

2000万の価値のある絵を2万で売った枝村も大概だけどw

シンシアの復讐と過去(元彼)との清算編だった。
そしてまたしても、枝村がやらかし、ホンモノをコールマンに渡すとは…
{/netabare}

6話~10話
{netabare}
2年間のお勤めを終えた村枝。

刑務官の紹介で行った先の小さな修理工場で働き、
親方から、空の世界で戦ってこい!と𠮟咤激励され送られた先は…

村枝が主人公というより、ローランだよね。
もしくは、巻き込まれ体質主人公か。
今度のターゲットは、産油国の2人の王子。

産油国の2人の王子から、金を騙し取るより、
アビーの過去と、そのシコリの解?解放回だった気がする。
{/netabare}

1話~5話 ハリウッド編
{netabare}
おっちゃんと組んで、外人をカモったつもりが…
逆に外人にカモられ、場当たり的にハリウッドへ行くことになった村枝。

ローランが、これから商談があると、村枝に告げると、どちらが、
大きな金額で騙せるか勝負へと…

しかし、そこは、ギャングのアジト。
結果、前々から仕込んでいたローランが勝つのだけど、
日本でも、村枝関連の人物全て買収しとくとか、
自称日本一の詐欺師村枝より、数段格上だよね。

まさかのFBIの敏腕捜査官ポーラまで、コンフィデンスウーマンだったとは…
凄く面白いハリウッド編だった。

村枝は、帰国し、自首したけど、今後の展開は、どうなるんだろう?
気になって仕方がない!
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 4
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

アット ピンホール

WIT STUDIO制作。
キャラクターデザイン貞本義行。

ロス・シンガポール・ロンドン…、
世界を股にかけた壮大なコンゲーム開幕。
ローランが仕掛けた桁違いのマネーゲームに、
自称天才詐欺師・枝村は巻き込まれていく。
良質なクライムエンタテイメント。

絵の強さ、色彩の強さに驚きます。
巻き込まれ型のドタバタ劇の中で、
コミカルな演出が効果的に発揮されている。
カラフルなBLACK LAGOONでしょう。

音楽も素晴らしい。
ED曲がフレディマーキュリーって。
彼の透き通った伸びやかな声が夏に心地良し。

娯楽性抜群のシンガポール編から、
舞台はニース、そしてパリへ。
そこは本物の芸術と贋作の世界。
{netabare}若き日のシンシアと画家トーマスの記憶。
夢への情熱と悲哀、愛、決別。{/netabare}
きっと若き日への追悼の物語だ。
降り積もる雪のように心に染みて泣ける。
誇りを胸に生きたいと願う僕たちの物語である。

最終配信視聴追記。
チームはこうして生まれた。
愉快な面々の懲りない犯罪劇終幕。
楽しむには続けて観ることをお勧めしよう。
ラストカットも素敵ですね。

ぜひ皆さんもお楽しみ下さい。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 43

snow さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ふつーのぷりてんだー<59>

初回はコミカルな小口詐欺がバンバンと繰り返されたところからドカンと転換と、なんとすごい脚本引っさげてきたんだと思ったんだけどそれ以降はなんか普通って印象。

実写畑からということで違いを感じたのは、設定・キャラを練り込んでタダの絵に生命を吹き込むというアニメ・漫画の常道から外れてて、エピソードの積み重ねの結果がキャラです、みたいな。
実写だと俳優のキャラでまず構成されるみたいなところがあるからかな、例としては高倉健・吉永小百合で季節ごとにプログラムピクチャー作ってたのとかキムタクドラマとか。
であるからか、は定かじゃないけどなんか主役のキャラがぶれてたような。最初のヤマで稼いだ金を投げ出して前科つけて服役までして足を洗ったのに、騙されて連れてこられたらまた詐欺集団に逆戻りしたり。

あと、シンシアが困ってる人にあっさり金あげてきたり、ちょっと安易な行動も目につく。
安易といえば、最後の詐欺でいままで騙してた被害者が何故か和気あいあいと協力・見物しにきてたりとか、それ経緯の説明いるだろー。
えんえんガチャポン人形を出してたけど、小道具の域をでなかったりとか。そんなもんで最初に詐欺集団にのるかそるか決めちゃってるし。
そういう安易さは詐欺が成功するか?で作ってる話と相性悪いやね、結局相手が騙されましたーとか実はこんな用意してましたーでどうとでもなる話だし。
とはいえ、オリジナルアニメの中では面白い方ではありました。別業界からの刺激というあたりからも貴重でありましょう。

あるぇ?<65>
3話まで視聴。
主人公がデカイ詐欺案件から手を引かず食らいついた要因となってる?のが豊臣秀吉?
ん?2話まででなんか秀吉人形に思い入れポイント作ってたっけ?
なかったのか、あったとしても印象薄くて覚えてないのか、どっちにしても物語の主軸に伸るか反るかのところでそれはどーなのかな、と。
あとハル・ベリーちゃん入れた3人組で交渉に来てたらバレバレじゃないのけ?
脚本勝負の作品で脚本で躓いてるとこが目立った回だけど、まだまだ面白めではあるので復調に期待。

うむGREAT<75>
1話視聴。
ネトフリでやってたやーつー、と何回か書いてるけどこの作品で初めて「こんな面白いのがやってたのか」と思いましたわ。
まあ「やっと有料配信に見合う作品がでてきたか、たった一本・・・」という認識もございますが、まずはポジティブな言葉をね。
ドラマ映画畑の脚本家の起用が当たったのかしら。
割と鮮やかめの詐欺描写で主人公をアゲてからの、とお見事な初回の脚本。
トゥルー・ロマンス、ベストキッドと映画パロもハリウッドな背景に合ってていい感じでしたわ。
EDでは新人アニソン歌手のフレディ君(故人)が一生懸命歌ってましたね。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 6

64.9 19 犯罪者アニメランキング19位
Fairy gone フェアリーゴーン 第2クール(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (124)
476人が棚に入れました
かつて妖精は、“兵器”だった―。 この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していた。 妖精が憑依した動物の臓器を摘出し人間に移植することで、妖精を分身として出現 させ、兵器として扱えるようになる。妖精を戦争の道具として自在に操る兵士た ち、彼らは『妖精兵』と呼ばれた。長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役 目を終え、行き場を失う。あるものは政府に、あるものはマフィアに、あるものは テロリストに。それぞれの生きる道を選択する。 戦争から9年の歳月が経つ。主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮 圧する、違法妖精取締機関『ドロテア』に配属されたばかりの女の子。 未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、 復讐のためテロを起こす。 これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う 『妖精兵』たちの物語―。

声優・キャラクター
市ノ瀬加那、前野智昭、福原綾香、細谷佳正
ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

あまりにも壮大なお粗末さ

分割2クールの後半戦ということで継続視聴
前半の説明不足感、設定過多、繋がりのない無理な回想の挿入がどれだけ改善されているかがポイントだと思う

1話感想
{netabare}1話は前半で断片的に語られたマーリヤの過去をおさらいする内容
ただしあくまでも「おさらい」なので、新情報と言えるのは妖精郷の説明とレイ・ドーンが焼き討ちを行った理由だけ

前半クールがまるで意味分からん!って人は楽しめたかもしれないけど、理解した上で視聴した側からすると「この回いる…?」という感じ
多分コレ総集編なんかと一緒に動画サイトで公開しておくべき内容じゃない?
続き物、まして裏番組に強力なのがある状況で新規視聴者がどれだけいるかって話だし、前半の焼き増しを1話にする度胸はある意味すごいな、と

押さえるべきポイントは
1.スーナなどの妖精郷がどのような立ち位置なのか
2.マーリヤは何故災いの子と呼ばれるようになったのか
3.レイ・ドーンは何故故郷でもあるスーナを焼き討ちしたのか
というところ

妖精郷の説明に関しては気になる点もある
前半で話に登場しつつ一切意味がなかった「黒の妖精書」にまつわる場所とされている点は今後絡んできそう
また、妖精原体が見えるのはマーリヤの個人能力ではなくスーナの民全員に共通する特異性というのもポイントになりそう

災いの子と呼ばれるようになった理由はちょっと驚くくらい浅かった
両親の死、養父母の死があり、それを受けて「災いの子と呼ばれた」と前半で全て語られていた
まさかそれがそのままの理由だったとは……
しかも正確には両親が死んだだけで災いの子扱いを受けたとか
田舎の因習にはそういうのはあるのかもしれない
ただ、「災いの子」というフレーズは占い師が用いたものなのに肝心の占い師が占いを行う素振りもなく適当に決めつけているだけってのは…
せめてマーリヤの母親が妊娠したあたりで祈祷を行って、そこで「災いの子かもしれない」と告げる、くらいすればいいのに
幸いの子が云々も誕生日に天気がいい!だの親戚が元気!だのやっぱり占いは関係ないってのがあまりにも適当すぎる

レイ・ドーンの焼き討ちの理由に関してはまあ分からなくもない、という感じ
統一戦争の最中にカルオーが妖精兵を量産しようってなると戦禍はますます広がっていくだろうってのは分かる
ただ、カルオーによる統一を良しとせず統一ゼスキア政府に組み込まれていく程の理由にはならないかな
というか妖精成体とそれを作る妖精原体の危険性を肌身に感じていたとして、それを理由に村人を皆殺しにするのはどういうことなんだろう
この辺の理由はちょっと飛躍し過ぎなので今後改めて回想があるんだと思う

結局はただの設定解説になっている妖精郷関連のみが意味を持っていて、マーリヤとレイ・ドーンについては1話まるごとつかっても説明不足
というかマーリヤの父親が死んだとこだけど、なんで身籠った妻がいる男が突貫するのを誰も止めないの?
「俺が行く」と言うのも突拍子がなかったけど、それ以上に二人が引き止めもせず行かせるってもっと分からない
というか妖精成体どうしの争いに介入する理由ってなんなの?っていう…
妖精を守るのが役目、みたいに言っていたけどスーナの森は妖精成体を頂点にした生態系が作られているわけで……
妖精成体が共食いをすると強力になる、ということならまあ分かる
「あの御方」というのが(公式HPによると)妖精の融合体らしいしそういうのがあるのかもしれない
ただ、それならそれで周辺の生態系を乱す危険な成体を狩るのが役目じゃないの?って疑問が生まれる
生態系に積極的に介入するけど命は奪わない、では彼らの仕事の意味がわからない
その割に里に降りてきそうなら生贄を与えて鎮めようだなんて、ますます守り人の存在意義が見えない

そして生贄に捧げるのが幸いの子ってのもよくわからない
普段は崇めて持て囃す相手を神事において生贄に捧げるってのはまあ分かる
ただ、それなら災いの子ってのはどういう意味があるの?という問題が出てくる
災いの子は普段から貶められる代わりに村によって守られるってこと?
それなら幸いの子=災いの子という表裏一体の存在にしてマーリヤに全て背負わせれば良くない?という話になる

村の全貌が見えていないのが疑問の理由だとは思うけど、それならそれで謎多き村らしい描写にすればいいのに
前半クールでちょくちょく挟まれた回想を一本につなげて、繋がらない部分に追加シーンを挿入したような内容
情報整理の回のはずなのに語られた内容は前半と同じだから、前半を腰を据えて見た人ほどつまらなく感じる構成
それでいて追加シーンの解説も描写も不足している点が多すぎて、どこまでが意図された伏線でどこまでがただの描写不足かわからない

面白かったのは前述の妖精郷関連の説明数分間
あとは「死亡フラグ爆立て→即退場」の繰り返しをやったとこはギャグアニメかってくらい笑ってしまった
ついでに挿入歌が邪魔をするようなシーンが無かったのも良いポイント
今後もあの場を乱すだけのカラオケ大会なんかやらないで地味なインストに徹して欲しい{/netabare}

2話視聴
{netabare}これ、もしかしたらギャグアニメだったのかもしれない
レイ・ドーンのパレードを高いとこから頑張って眺めるヴェロニカ
自領ツバルに戻るレイ・ドーンの追っかけをするヴェロニカ
最大の襲撃チャンスをふいにし、警戒が最も厳重な城を攻めるヴェロニカ……

うん、やっぱこれギャグだわ
今まで出番がないことでシリアスなキャラとしてイメージを保ってきたヴェロニカだけど、出番が増えた途端アホの子みたいな行動連発してる
復讐だ何だって言ってるけど、正直この回の行動だけ見るとレイ・ドーンの熱心なファンが追っかけやってうようにしか見えなかった

つーかいくら川?海?側から侵入したとは言っても城内に見張りの兵士ゼロって警備どうなっとんねんと
不審者の見本みたいな格好のウルフランがあっさりレイ・ドーンの部屋まで辿り着ける時点でねぇ…
いくら緊急事態とは言え、むしろ緊急事態だからこそ護衛対象の守りって厳重にするものじゃないの…?

んで、城門で見張りを担当しているクラーラ、セルジュコンビは襲撃が来たのに下に襲撃の規模を知らせないまま攻撃
襲撃が来た時点でフリーに知らせていれば、フリーの妖精が咆哮で衝撃波を発生させて一発で片付いたんじゃ……
結局セルジュでは敵の行動を止められず、城門の中に敵の人工妖精を招き入れてしまう

人工妖精って奏者がいるんだからソイツを優先して叩けば良いんじゃないの?とかそういうのは最早野暮なんだと思う
挿入歌ノルマを達成させるためにはどんなに間抜けだろうが無理矢理だろうが戦闘をしないといけなんだから
そう考えると、登場人物ってノウネイムのカラオケ大会を開くために力をセーブして戦ってるんだから大変だよねって思ったり

フリーとウルフランの戦闘については決着がつかないまま持ち越し
ウルフランについては思わせぶりなだけで何も語らないキャラ付けがかえって間抜けさを生み出している感じ
何を聞いても答えを返さないウルフランに対してフリーが家族の話をした結果「お前が俺を語るな」と言い捨てて逆上
フリーも大概鈍いところはあるにしても、何も語らないから質問せざるをえないわけで、地雷を踏まれた原因はそもそも自分にあるっていう
多くを語らないクールガイを作ろうとしたんだろうけど、ここまで来るとひたすら滑稽に思えてくる

マーリヤとヴェロニカについてはこんなもん
仕事を放り投げてヴェロニカを追いかけるところは、ドロテア入隊のきっかけがヴェロニカを追うことなんだからまあしょうがないかな?と思う
場面的にはフリーが大変なんだからそれどころじゃねえよ!って感じだけど、少なくとも今までの奇行と比べると意味が通る
復讐を止めようとするマーリヤと、それを拒絶するヴェロニカの構図自体は割と好き
ただ、マーリヤが復讐を止めようと思うに至った考えが飛躍しているために説得力が殆どないのは問題かな……

何を以て復讐心を理解するようになったか、そして何を以て復讐を止めたいと思うようになったかが曖昧すぎる
公式Twitterによるとオズの死をきっかけに復讐への共感を得たらしいけど、オズとの絡みはマジで一瞬だけだったわけで…
そしてその復讐は完遂したわけでも無ければ自分の意志で復讐心を抑えたわけでもない
単純にフリーから仕事の達成という形で説得されてやむなく諦めただけ
この辺が脚本時点で詰めきれてないから、そりゃヴェロニカだって反発するよねっていう

多数の違和感をギャグシーンととらえればそこそこ笑える内容だったかな?
ウルフランがアーケイムから離反して勢力が独立しちゃって、後半クールになって更に勢力図と目的が込み入りだしたのが今回の大きなポイント
きっと最終話までに収拾付くことないだろうな、と見ていて察してしまうほどに風呂敷を広げ続けているのはある意味才能だと思う
この広げた風呂敷を、果たしていつごろ畳もうとする形跡を見せるのか今から楽しみ

※今後は多分ツッコミ祭りにしかならないし、最終話まで感想更新はしない
{/netabare}

最終話視聴(総評)
一言で纏めると「力不足」
脚本の力量が足りていないし、当然ながら音楽の力量も足りないので全体的に臨場感不足
ついでに2クール描ききる作画の力量も足りていなかったために中盤以降は露骨に崩れる場面が多かった
演出面についても、キャラの動きや位置関係に違和感があったり、見せ場なのに動きが伝わらないなど残念な部分ばかり目立った

前半クールで用意していた伏線だけではシナリオを動かせず、物語終盤の新情報のみでシナリオが進行する展開は正直呆れる他無かった
その弊害として、使われないまま放置された前半の伏線はシナリオに活かされないまま数分で解決させてしまう雑さがある

挿入歌に関しては後半クールになって数自体がグッと減っていて、その点だけならプラス
そもそも挿入歌がマイナスに働いているって点自体が問題なんだけど、そこはそれ
とは言え登場した挿入歌は全体的に主張が強すぎて「場面を盛り上げる曲」ではなく「曲を押し売りするための場面」に転倒しているのは相変わらず

各部の問題点が多すぎるため、それについては別途書いていくけど、令和を彩る圧倒的なクオリティでこちらの失笑を誘うアニメだった

黒の妖精書について
{netabare}組織や人物の乱立に脚本が振り回されている印象
黒の妖精書争奪戦に参加している組織としては、
ドロテア(+妖精省)
グイ・カーリン
ビター・スウィート
ダミアン(+ヴェロニカ)
妖精省は終盤でゼスキア政府を裏切りアインツ教団として活動することになるわけだけど、争奪戦の段階ではこんなところ

で、この争奪戦の何が問題かって言うと、この組織のうち明確な意図を持って黒の妖精書を求めているのが妖精省くらいだって点
ドロテアは押収して悪用を防ぐ警察機構のため、妖精書を利用する意思がないのは当然だから問題ない
アインツ教団は妖精省を隠れ蓑に、ドロテアが押収した黒の妖精書を研究・利用しようとしていると描かれているのでここも分かる

ただ、グイ・カーリンについては完全に目的が不明なまま
物語中で語られているけど、黒の妖精書は全編揃うことで初めて活用法が判明する書物
これを収集して、果たして何がしたかったのかが全く描かれないままとりあえず「マフィア」の一言で片付けられている
アインツ教団が台頭するまでは物語における中ボスのような立ち位置にも関わらず、というのが余計にタチが悪い

黒の妖精書の内容はこの時点では語られていないため、「よく分からん書物を追っているよく分からん組織」という状態
「マフィアが求めるなんてどんな秘密が…」と思っていたら特に理由を語るようなことはないままグイ・カーリン編は終了
アインツ教団編に移ってみると、どう考えてもマフィアが求めるようなものでは無かった、というオチ
内容不明の書物なんだからある意味当然では有るけど、物語としてはマフィアを絡ませることに意味が全く感じられない

ビター・スウィートについては「父親のあとを継ぐため」というだけ
父親がトゥパールについて調べていたという回想は前半クールに一応存在する
ただ、あの場面は「マフィアの幹部からどうやって妖精書を押収するか?」というシーンの直後
焦点はビターではなくドロテアに移っており、その状態でCパートに時系列も理由も一切不明の回想を入れられたためただただ困惑するしか無かった

前半の出番としてはそこが最後のためCパートの回想は完全に宙に浮いており、入れるべき場面はもっと別にあっただろうと思ってしまう
何より、その回想を踏まえた上でなおビター自身が黒の妖精書を追うには理由が不足しており、ビター自身も特に本筋に絡まない
例えば、アインツが本性を見せたタイミングでトゥパールの研究成果をドロテアに持ち込み、神獣攻略のヒントを与えるなりするべきだろうと

同じことはダミアンにも言える
釈放されたヴェロニカを保護して協力者に仕立て上げ、黒の妖精書を収集・悪用を防ごうと単身動いていた
敵がどこにいるか分からな以上ドロテアや妖精省に加入しないのは理解できる
ただ、このキャラが果たして物語上の意味を持っているのかというと一切そんなこともない

妖精憑きが神獣の素材になるとか、トゥパール消滅が神獣によるものだ、というところは確かにダミアンによる情報
でも、この情報って同じく黒の妖精書を集めていて、父親がトゥパールを調べていたビターでも成立しない?
「以前に見た妖精書に妖精憑きを捧げるという言葉があった」とでも言えば、完全記憶能力と併せてもっと効果的にビターを動かせたはず
結局ダミアンはビターでも代替可能な情報だけを告げて、あとは神獣攻略に必要な情報をもたらすこともないまま役目を終えただけ

つまり、グイ・カーリンはそもそも敵として成立するだけの目的意識がなく、ビターとダミアンは目的に対して役割が不足している
キャラをどれだけ用意しようと、それに見合う役割や掘り下げが出来ないのでは全く意味がない
むしろ人数に比して世界観や物語の薄さばかりを目立たせる結果になってしまっていた
{/netabare}

設定について
{netabare}2クールで成立させられるだけの設定が作れていない
これは「設定が膨大過ぎる」ではなく「設定がボロボロ過ぎる」ということ
組織の数や妖精書・妖精武器・地名の数など量の面で言えば2クールアニメに相応しい、あるいは2クールでは収まらない膨大さを誇っている
反対に質の面で言うと、とても2クールを支えきれるとは思えないほどにスカスカなために話が進むほどに粗が増えてしまっている

例えば「三大マフィア」
グイ・カーリン
アーケイム
ビャクレー
この三組織が大きな勢力を持っている、という設定
そしてグイ・カーリンとアーケイムはそれに相応しいだけの出番を見せている
ただ、組織内部に目を向けるとその実態には疑問符ばかりが浮かんでしまう

グイ・カーリンは四大幹部がそれぞれに力を持ち、牽制し合いつつも一つの組織として纏まり、資産家を取り込むことで政府に食い込んでいる
アーケイムは上下の指示系統を持たず、それぞれのセクションが独立して動くために摘発が難しい
ビャクレーは海運業を主とし力を蓄えていき、地域を取り仕切るようになった組織では有るが違法行為はしない

…ビャクレーは完全に問題外としか言えない設定
マーリヤの所属していた組織だから、あんまり後ろ暗いことをしているとヒロインに傷が作って考えだと思う
ただ、そんな馬鹿げた理由でマフィアとしての設定をグラつかせるくらいならマーリヤの設定を変えろと
せめて「自分からは動かないが縄張りを荒らされたら手段を問わず徹底的に潰す」くらいしないと他の二組織との差があまりにも酷い

アーケイムに関しては設定もさることながら作中の動きが完全におかしい
「シュヴァルツ・ディーゼの反乱に組織一丸となって協力して人工妖精を供与するも、反乱が失敗に終わったことでディーゼと共倒れする形で壊滅」
これがアーケイムの簡単な経緯
で、振り返ってアーケイムの組織としての設定
「上下の指示系統を持たず、それぞれのセクションが独立して動く」

アーケイムの残党狩りをしている際にフリーがこの設定を語っていたが、そのときは思わず画面にツッコんでしまった
「各セクションが独立しているけど、反乱に向けて一丸となってディーゼに協力、その結果総崩れになって壊滅」
完全にギャグでしょ?こんなの

というかディーゼの反乱って人工妖精以外の戦力はハイブランツの領軍とリスカー率いる傭兵団なわけで、人員面の問題は特に起きてないじゃん
その上いくらディーゼに協力していたとは言え、積極的に人工妖精を売りつけているんだから資金面はむしろプラスでしょ?
なんでディーゼと一緒に壊滅まで追い込まれてるんだよ…

例えば、アーケイムの実態がそもそもディーゼの子飼いの組織だったなら分かる
それなら政府に食い込むパイプを失って総崩れになるのも頷けるし、組織が一丸となって反乱に協力するのも納得がいく
ただ、作中の設定だと上意下達の成立しない組織が全体で動くこと自体が既に違和感を生んでいる
その上、有力な顧客とは言えあくまで顧客でしかない筈のディーゼに共倒れするような入れ込み方をするのか?という問題も有る
ディーゼが権力を握ればアーケイムも利益を得られる、というのは分かるが、それを理由に武器商人が一緒に命をかけるかと言うと…

ついでに、この組織にウルフランが潜り込んでいたことも意味がわからない
アーケイムって基本的に武器商人の役割であって、黒の妖精書を求める展開は殆どない
強いて言えばアクセルがティムーンで一回鬼ごっこをしただけ
そしてウルフランの目的は黒の妖精書を集めて「あらまほしき世」を作ることだったはず
アクセルが争奪戦に参加したこと自体疑問では有るんだけど、それ以上にウルフランがアーケイムに潜り込む理由が疑問

ディーゼとゼスキアを争わせて戦力を削って神獣復活を楽に…みたいな意味合いかもしれないけど、あの時点では黒の妖精書は揃っていなかった
というか神獣自体は圧倒的な力を持つし、戦力を削るなんて迂遠なことをする必要性はない
レイ・ドーンを捕縛するために…とも思ったけど、そもそも首都ロンダキアにレイ・ドーンが来たから警備が固くなったんじゃ…?
仮に領都ツバルで襲撃をしていたなら領軍に限りが有るし、妖精兵もレイ・ドーンだけだから簡単に襲撃に成功しただろうに
アーケイムという組織の行動に説得力がなく矛盾に塗れ、それを利用しようとしたウルフランの行動すら理屈が通らない

グイ・カーリンについては黒の妖精書関連で書いたとおり
強いて言えば、イージェイの説明があまりにもなさすぎるって点かな
妖精武器をヴェロニカに渡すために登場したキャラで、独自の思惑や気になる出自などの一切を活かすこと無く退場する不憫な扱い

モルテラントを巡る話やダミアンとの因縁、量産型妖精兵という特殊技術など設定には事欠かない
これらの設定が使われることなく簡単にフェードアウトするとは誰が想像したか…
いや、本当を言うと残り話数と未消化の伏線的にアッサリ退場するキャラだってのは想像ついていたけど

マフィアに焦点を絞って書いたけど、この作品は数を増やせば重厚に見える、という浅い考えで作られた設定があまりにも多い
「三大」マフィア
「七」騎士
「七つの」妖精武器
「五つの」妖精書
「五」公

七騎士はパワーバランスと身体能力の設定を崩す要素
妖精武器は設定と能力が見合わない矛盾した描写
妖精書は原本と黒だけで成立する
五公は作中で既に三人退場しており、退場済みの三人は全く意味がない
とにかく数を増やして名前をつけて、でも扱いきれないのでは物語の世界観を逆に狭く見せてしまう要因になっている
この辺は企画を立ち上げた段階で監督なりプロデューサーなりがストップをかけるべきものであって、内輪ノリの暴走が目に浮かぶ
{/netabare}

演出について
{netabare}見逃されがちだけど、作中の演出についても酷さが目立つ
作画にも絡む部分なのでそこも併せてとなるけど、映像的な演出の下手さが目立つ

前半クールからの問題だけど、画面の色が暗すぎる
暗い場面、暗い室内での戦闘だから画面を暗くするのは分かるけど、それにしても単純に見づらい画が続く
暗い画面が続くなら服装や妖精を用意すればいいのにそれすら暗色系で余計に見づらい

そして後半にいくにつれて気になっていったのが戦闘の演出
妖精と妖精兵が連携を取らない…のはもはや論外だから語る気もない
気になったのは戦闘におけるキャラの動き

マーリヤやセルジュ、あるいは一般兵を除けば基本的に剣やナイフでの近接戦闘がバトルのメインになる
この時、見せ場の動きを遠目の視点で描いていたり、素早い動作をそのまま素早く動かしている

例えば後半クール11話、局長とリスカーの最終局面で、局長は迫りくるリスカーの攻撃を首の皮一枚で受け流してカウンターを決めている
このシーンで、走り寄るリスカーの動きはややスローにして台詞を挿入しているが、局長の動きは一瞬で描いている

もちろん、素早い動きで倒すスタイリッシュさを描く意図は分かるし、スロー再生にすると局長の動きを描いてるのも分かる
ただ、局長の顔アップ、腕アップ、リスカーと交錯とカットが頻繁に切り替わるためにちょっと見ただけでは何を描きたいのか伝わらない
仕方無しにスロー再生で数回繰り返し見て動きを整理していったけど、今度は剣の持ち方を描き間違えているという作画ミスを見つけてしまう始末…

普通に映像的な演出をするなら、
1.迫りくるリスカー
2.局長の顔アップ
3.やや遠目にカットが替わり上半身を見せ、剣を動かす腕にズーム
4.カットが替わりリスカーと局長の剣が交わる動きアップ(ここまでややスロー)
5.横視点にカットが切り替わり、スローを解除して一瞬の交錯を描く
こうなるはず

これを、カメラの動きを作らず全てカットの切り替えだけで演出してるために視覚的に動作を捉えづらい
同じことが最終話のフリーでも言えて、グリフに斬りかかるフリーが顔と剣とでカットが一瞬で切り替わるために何を見せたいのか伝わらない
ここなんか特に、顔と剣とが近い位置に有るのだから上半身アップから顔をなめつつ剣を握る手にズームするだけですんなり伝わるだろうに
映像的な動きと人物の動きを連動させるのが面倒なのは分かるけど、見せ場で動きをケチるせいでとにかく安っぽくなっている

あとなんと言っても忘れてはならないのが人物の位置関係
終盤が顕著だけど、例えばドロテアの隠れ家と首都、神獣を匿う祭壇の位置関係は笑うほど滅茶苦茶
隠れ家は街から車で出ていった先の小高い丘にある
そして祭壇は隠れ家から見ると首都の街並みを挟んだ反対側の位置
この位置関係にあって、首都から車で離れていったマーリヤ達を追って、ヴェロニカとグリフは「徒歩で」隠れ家まで辿り着く
その時点ですでにツッコミどころだけど、そこから更にグリフは「徒歩で」「レイ・ドーンを運びつつ」祭壇に向かっている
加えて言えば隠れ家から祭壇に辿り着くまではマーリヤが気絶から目覚めて少し、という僅かな時間
キャラがあまりにもワープしすぎてギャグみたいになっている

オマケに神獣に向かって走るマーリヤとヴェロニカもおかしなことになっている
隠れ家から徒歩で街に戻ったのに目を瞑るにしても、先の通り神獣はマーリヤ達の向かい側から現れた
当然最初は神獣に向かって正面から走り寄るわけなんだけど、なぜか途中から神獣を追いかける方向に変わっている
一回神獣の後ろに回り込んでから、改めて追いかけっこを始める完全に意味不明な動作になっているんだけど、製作中に疑問は無かったのかな?

終盤は制作現場が混乱していたのか、話数ごとの繋がりも完全に崩壊している
一目でおかしいと気付くのはフリーとウルフランの戦闘シーン
前話でフリーは二刀流で戦いつつもウルフランが短剣でそれをいなされる(この辺の演出・作画もツッコミどころだけど割愛)
そして問答を経て左の剣を納めてヴェロスティール一振りでウルフランに対峙する…という引きでマーリヤ達に場面が切り替わっていた

それが次話になるとガンガン二刀流で戦っている
オマケにウルフランも前話で盾を使っていなかったはずが、話数をまたぐと戦い方が全く違うものに変貌する始末
ウルフランに関しては前話がほぼ受け身だったからまだ分かるけど、フリーは完全にギャグでしょ…
剣を納めて戦って、でも勝てないからもっかい二刀流になって苦戦して、剣を折られたからもっかい一刀流に戻して勝ったの?

というかイージェイ戦あたりでも思っていたけど、なんで強敵と戦うときは二刀流をやめるんだよ…
本気を出す、という分かりやすい演出のつもりだろうけど、そのせいで前半クールのリスカー戦が舐めプのように見えてしまっている
それぞれの話数ごとに戦い方が滅茶苦茶なせいで、フリーの見せ場が全て疑問符で埋め尽くされてしまっている

世界観から作り上げて、部屋の間取りまで考えてあるらしいけど、その割にそれを一切活かせていないという印象しかない
{/netabare}

シナリオについて
{netabare}作者の脳内にある設定・情報量と、キャラクターごとに用意されている設定・情報量とを切り分けることが出来ていない
その辺りを一番大きく感じたのが終盤…というか演出にしろシナリオにしろ終盤の粗が多すぎじゃないか?しかたない事だろうけど

神獣の素材に妖精憑きが必要、そして妖精憑きはマーリヤ、ヴェロニカ、レイ・ドーンの三名
この三名がスーナを巡るアレコレに決着を見せたときにグリフが攻撃、反撃しようとしたレイ・ドーンは怪我により戦えず敗北、素材にされてしまう
この辺の展開は(和解の流れの雑さ・急展開っぷりをむしすれば)特に問題ない
問題はこれ以降のドロテアメンバーの様子

神獣には妖精憑きが必要になる、というのは全員が共有している情報で妖精憑きを守ることがドロテアの任務だった
これに失敗したのはまあドロテアの任務成功率を思えばある意味当然なんだけど、なんで誰も神獣の素材になった人間を気にしないんだろう?
一人は護衛対象、もう一人は同僚、残る一人こそドロテアに直接関係はしないけど、本命として狙われているのはレイ・ドーンなわけで…
つまり神獣の素材は高確率でレイ・ドーンか、それを護衛していたマーリヤってことになる
それなのにドロテアの人間は誰も素材の人間が誰かという想像をしないし仲間の心配もしない
というか任務失敗を思って焦る様子すらもない

ロバート・チェイスに至っては、隠れ家に医者を連れてくると言ってマーリヤから離れて行動していたはず
それなのに神獣が復活したと思ったら医者を連れている様子もなくセルジュ達と一緒に神獣見学をしてるだけ
あまりの鳥頭っぷりに某所ではロバート黒幕説まで出てきてしまうくらいのお粗末ぶり

作者の頭に「素材はレイ・ドーン、マーリヤは阻止しようと頑張っていて、最後は百合パワーで解決」という設定があった
これを各人物に合わせて知りうる情報を振り分けたり、行動に反映させたりという作業を怠ったんだろうと思う
そのせいでドロテアは神獣の発生に対して驚きこそすれ、素材に思いを馳せることをせず、護衛対象や仲間の様子を見に行くこともしなくなった
「レイ・ドーンが素材になったんやなーでも倒す手段ないなー諦めよー」を全員の共通認識として与えてしまったためにおかしなことになっている

脚本家の都合のいいお人形さん、というところからキャラクターを脱却させることが出来ないまま最終話まで進んでしまったのは悲劇としか言えない
{/netabare}

伏線について
{netabare}シナリオに関わる部分だけど、伏線の扱いが全体的に下手すぎる

災いの子というのが全く意味を持たないこと、幸いの子という要素を後半になるまで登場させなかったこと、この辺りは勿体ない
例えば、災いの子の根拠をもっとハッキリ示すのもそうだけど、回想の中でユルゲンに生贄という言葉を語らせるとかすれば良いのに
そうすれば、マーリヤが災いの子というフレーズに拘る理由が「生贄候補だったから」という形でミスリードさせつつ説得力を持たせられた

生贄の概念自体後半クールで突如登場した概念で、その上生贄に関わるのがこれまた後半で登場した幸いの子という存在
災いの子はただ占い師がノリで語っただけで特に理由も意味もない、ではあまりにも馬鹿げている
ミスリードにすらならず、解決したと思ったらぶり返して同じ悩みで話数を無駄に消費して、しかも本筋に絡まないのでは設定自体無くてよかった

あとは大きなもので言うとオズの妖精器官
あれは本当に残念だった
前半クールの伏線の中でも一番楽しみにしていた要素で、あれがシナリオの中核になってマーリヤに牙をむくものと思っていた
それが実際にはアバンタイトルの数分で片付けられる要素だったとは…

オズの妖精については他にも問題がある
それは、「そもそもあの場で登場する意味が全く無い」という点
ミケル・コナーはドロテアから黒の妖精書を強奪するために、オズの妖精を使って護送するリリーを襲撃した
ただ、黒の妖精書ってそもそもドロテアから妖精省に引き渡されるものであって、強奪しなくても普通に妖精省(=アインツ)の手に入る

だからあのシーンって、「普通にしてれば手に入るのを無理矢理奪って無駄に正体を表した」というだけ
ドロテアのその後の話し合いの様子も含めて噛み砕くと、

「妖精省に渡すためのモノを妖精省が違法に奪い取った…せや!黒幕は妖精省やったんや!」

…あまりの馬鹿馬鹿しさに最初に見たときは呆然とした
この場面も襲撃直後の段階では「ウルフランは妖精省を利用しつつ出し抜く形で横取りしたのかな…?」と好意的に解釈しようと頑張った
ただ、次話でウルフランとマルコ・ベルウッドが妖精省で普通に会話をしていて、マルコの指示に基づいての行動だと明かされた
ここまでは退屈と思いつつもまだ若干の期待もあったんだけど、クライマックスに向かう重要なシーンすらこの始末で完全に期待は失せた

この全体に渡ってお粗末な内容を描くためだけにオズの妖精を再利用して、しかもCパート数秒と次話アバン数分で役目を終えるのは無意味過ぎる
そもそもオズって前半での活躍自体ほぼ無くて、その割に死んだ結果大げさな扱いを受けていた
マーリヤのトラウマを掘り返したり、ドロテア一同が敵討ちに燃えたり、視聴者からすると「そんな大事なキャラか…?」としか言えないのに
だからこそ、せめて妖精器官を再利用するタイミングでもう少し掘り下げて、マーリヤが自分の心で対峙すると期待していた

それが実際にはオズの妖精は制御失敗でほぼ自滅、マーリヤも自分の意志で向き合うのでなく、妖精憑きの謎能力を唐突に発現する有様
あのシーンで唐突に「妖精の声が!」と言い出したと思ったら、それが物語の重要なファクターになってしまう
そしてついでのように発現した妖精器官の燃焼能力に関してはあの場面以外とくに活かされること無く終了
というかレイ・ドーンもヴェロニカも普通に妖精の声を聞いていたわけで、オズの妖精と向き合ったとか関係無かった

というか妖精の声ってのは最後の展開に関わる重要な設定なのに、それをあんな場面まで伏線すら用意せずにいたせいで超展開の連続になっている
張るべき伏線を用意し忘れて、その割にオズの妖精という使い道が無いのに無駄に大きな設定が全体をガタガタにした主要因だと思う
よく知らんキャラがなんとなくで殺されて、その死を団結の旗印に利用されて、挙げ句妖精は雑な扱いで適当に処理…オズがあまりに浮かばれない

妖精憑きとはなにか、というのもダミアンが思わせぶりにはぐらかしたのに特に語ることもなかった
中核の設定を隠すことにばかり執心した結果、オズの妖精のように枝葉の設定ばかり増えてしまったのかな
その結果種明かしの時間を取れなかったり、肝になる設定が終盤に集中してしまい超展開めいてしまう結果になったのだから悲惨過ぎる
{/netabare}

オチについて
{netabare}ヴェロニカが死んだとこは特に気にしない
直後にやってきたフリーがヴェロニカと全く同じ行動をとって神獣を傷つけるのに成功したときは思わず笑ったってくらい

問題はウルフラン
別にウルフランも死ぬべき、なんて思ってない
ただ、無罪放免はさすがに頭がおかしいとしか思えなかった
ディーゼの反乱への幇助、アインツ教団によるテロ行動、それ以前にも人工妖精の密売など一つとっても重罪だろうに
なんで里帰りして知り合いと感度の再会なんてやってるんだと

脱獄したアクセルがドロテアに捕まるシーンがあったこともウルフランの扱いとの落差を感じさせる
というかアーケイムを抜けて、教団を抜けたのになんであの服装から変わってないの?
改心したのを描くなら服装を変えて心機一転した姿をせめて描くべきだろうと
洋服あの一着しか無いの?体臭いの?キャラデザ担当、作画班が気を抜いたんだろうけど、あのシーンは全てにおいて違和感しか無い

ヴェロニカが死んでウルフランは生き残る、という構図はともかくこの落差はあまりにも露骨過ぎる
これではカタルシスなど生まれないし、リアリティすらない
無骨で硬派な作りを目指したはずなのに、リアリティのないご都合主義と後味の悪さばかり感じてしまう

あまりにもお粗末なオチは、この2クールに及ぶ物語が壮大な茶番だったと思い知らせる恐るべきインパクトだった
このオチのために視聴を続け消費された時間と、それに耐えた自分という間抜けさだけが残るのはさながら戦後の虚しさといったところかな
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 11
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

北アルプス幻想(ファンタジー)

※注)少年はみんな明日の勇者オーイェー、とは一切関係ございません

オリジナルアニメ 分割2クールの後半


昨夏(2019年)初めて富山県に足を踏み入れて、たしか南砺市でも一泊したと思う。言わずと知れたP.A.WORKSさんの本拠地であります。
だからといって本社はもちろんのこと、金沢含めてこの近辺を舞台にした作品をことごとく未視聴の自分は聖地巡礼は一切せず。風光明媚な北陸やアルプスを観光したわけでございます。もちろん山海の幸も堪能しました。つい最近現物を目に焼き付けた以上、自信をもって言えることがあります。


 {netabare}作品で描かれた背景の山々が立山連峰っぽい{/netabare}


前半12話。この度の後半12話。の全24話を観終わって、{netabare}最終回で目に飛び込んできた{/netabare}山々が綺麗なこと綺麗なこと。本作で最も印象に残った風景です。

サブストーリーもメインストーリーも“結果”だけ見ればそこそこ良くて、しかし“過程”がまるでダメという作品。あまり印象に残りません。
このご時世。画が最初から最後手前まで綺麗だったことは敢闘賞に値しますし、原作無しの中世近世を舞台にしたオリジナルファンタジーできちんと結論を出しての終幕というのも評価できます。割いた労力に見合う評価を取ってほしかったがもったいないっすね。



■噛み合わない物語

お話が面白ければOK!辻褄が合って納得できたり、隠されてたものが明かされたり、があれば良かったのですが…

{netabare}・「妖精憑き」が敵の手に渡ることの阻止。マーリヤは任務でありヤバさも重々承知してたはずが、レイ・ドーンをかっさらうグリフを追う気配すらない。死体を引きずっての撤収だからそんなに早く現場を離脱できるとは思えないのに。

これは一例。正確にはキャラの多さも相まって、目の前で起こっていることを追うので手一杯。「あの時こうだったからだよね。なるほど!」とピースがかちっとハマる感覚に乏しいのです。{/netabare}


一方で行動結果だけみれば物語的に良かったともいえるところがあるのでなんとも言えん。

{netabare}・レイ・ドーン公が改心してヴェロニカたちに謝る
・ヴェルの妖精原体がマーリヤに取り込まれるのはアツかった
・なんとか教が破滅に向って一直線というのにぶれてないところ

理由は不明でも、「やってること」「やったこと」だけみればなんとなく合点がいくのです。{/netabare}



■前に出てこないキャラたち

お話の整合性が乏しければ、キャラの魅力で強行突破!という方法も残されてたとは思うのですが…

{netabare}・黒の妖精書を求める理由も希薄なのはご愛嬌。特異な魅力のあったスウィーティーとパトリシアのコンビがフェードアウトしてったのは残念。
・戦争大好きビーヴィー・リスカーも中途半端。リスカーに惚れてる副官もそのきっかけみたいなの触れてれば深みが出てたかもしれないのに。

なんかしら作中でキャラはいろいろやらかすわけで、その行動の説明なりをキャラの口を通してでも回想でもアウトプットがあれば、感情移入も出来たのに。
“キャラの掘り下げ”がない印象。登場人物多くて覚えきれないのも足を引っ張りました。{/netabare}



なんとなく最後まで観たけど面白いというのとは程遠いです。しかしながらイラッとくるのとはまた違う流し見しがちなやつ。
よく分かんないので段々と集中力が削がれていき、とはいえ綺麗な絵だったりするのでついつい点けっ放しにしたまま最終回まで来ちゃった感じでした。

あとマーリヤ役の市ノ瀬加那さんのキャスティングは大正解だったのでは?
自信なさげ女子の演技では頭一つ抜きんでている気がします。




※オマケ

極めて私的なところなので以下は流しちゃってもらって良いのですが、個人的にはアイキャッチや妖精出す時の胸掴んで出す『ドクン』って音でしょうか。
ちょうど放送期間中に心臓に関わる領域で病気を患って入院してたこともあって、気が気でない音でもありました。こっちが“ドクン”とくるがな!みたいな。
また、普段でしたらマーリヤのような『命どぅ宝』を全面に出したキャラって苦手だったりするのですが、受け止め方ちょっと変わったかもしれません。

命あってのものだねですな。
どうぞ皆さん楽しいアニメライフを!



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.26 初稿
2020.02.29 タイトル修正
2020.07.27 修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 33

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

ある意味、十文字青脚本っぽい「放り出し」感

オリジナルTVアニメですが、脚本は『灰と幻想のグリムガル』原作者だった十文字青先生です。

第1クール(あにこれの作品登録だと無印の『Fairy gone フェアリーゴーン』を観ていないとまったく意味不明で、話数も第1クールからの連番となっています。いわゆる「分割2クール」という奴ですね。

ということで「どんな感じの話か」というあたりについては第1クールのレビューをご覧いただければと思います。

物語としての主人公はマーリア・ノエルで、その重要な同僚であるフリー・アンダーバー、そしてマーリアと同郷のヴェロニカ・ソーン、フリーの軍人時代の同僚のウルフラン・ロウといったあたりがOP映像で強く目立つようになっています。

一応マーリアのカウンター・パートがヴェロニカ、フリーのカウンター・パートがウルフランというストーリー構造にはなっているのですが、ストーリーのほとんどがマーリア側というかドロテア視点で進んでいるのであまりこの構造が活かされた脚本ではなかったような気がします。

ヴェロニカはまだしもウルフランの心境の変化が良く分からなかった点と、ラストを「神獣」で力業で締めた感じがあるので評価としては「おしい、もう少し頑張りましょう」という感じではあったのですがキャラクターデザインがわりと好みにあっていたので、まあまあ楽しく観終えることができました。

ただ、他人に視聴を勧めるかというと微妙な感じの作品となりました。それでも変な総集編とかなく破綻なく全話が放送されたので、作品としてのある程度のレベルは保てていたといえます。

作画も人物の顔などが「ちょっとこれは…?」という回がありはしましたが、概ねある程度のクオリティーは保たれていたので作画が原因で視聴を断念するということにはならないと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 28

64.4 20 犯罪者アニメランキング20位
BEM(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (125)
402人が棚に入れました
湾港都市「リブラシティ」。政治・経済・文化の中心であり、街の“富"が結集した「アッパータウン」と、汚職や犯罪に溢れ、人々がお互いを疑い合わざるを得ない「アウドサイド」、その両エリアを分かつ巨大な運河と、一本の「橋」。これらにより構成される、まさに人間の“差別意識"が顕在化した様な街である。そんな「アッパー」から「アウドサイド」に赴任してきた、若き女性刑事・ソニアは、数々の事件を追う中で、人間を守るために戦う、醜い姿の3人と出会う。彼らは一体何者なのか・・・?妖怪人間3人は、それぞれの思いを抱えながら、正体を隠し生きていた。人間に仇為す悪を倒すことで、人間になろうとする「ベム」、人間に憧れ、人間と同じ学校に通い、人間を理解することで、人間になることを目指す「ベラ」、人間や世間に達観し、冷めた様子でゲームの世界に没頭する「ベロ」。彼らはいくつもの事件や、人間たちとの触れ合いの中で、傷つき、悩む。人間のために戦っても、その醜い姿から、決して人間に受け入れられることはない…。そんな3人を探す1人の存在がいる。リブラシティを裏で牛耳る「見えざる議会」を操り、ベムたちを確保しようとする彼女の目的は果たして?

声優・キャラクター
小西克幸、M・A・O、小野賢章、内田真礼、乃村健次、西山宏太朗、斉藤壮馬、諏訪部順一、小野大輔、坂本真綾
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ねえ本気で早く人間になりたいん?

往年の名作リメイク

『妖怪人間ベム』といえば?


 ベム・ベラ・ベロの三人組
 
 早く人間になりた~い


民放のアニメ特番などで繰り返される表層部分。知ってるはこれくらい。
前作(前々作)を知らないため、ベラがかわいくなってると言われてもピンとこない私です。


政治・経済の中心地“アッパーサイド”と貧民街“アウトサイド”に二分化された“リブラシティ”という街が舞台。頻発する怪事件の裏ではなにかしらが暗躍。
アッパーサイドでポカしちゃった若手の女性刑事ソニアがアウトサイドに左遷されてーの赴任日から物語が始まる、という導入です。

主役の三人。普段は見た目人間の仮の姿で行動し、敵やピンチに遭遇した時だけ見た目醜悪な本当の姿に変身して闘う模様。

この三人がいつか人間になるべく、善行を重ね人間を助けて、でも真の姿を見せちゃうと忌み嫌われて、というジレンマがもの悲しく見えるお話でした。
「早く人間になりた~い」理由も深いものがあります。


で、この『BEM』です。

タイトルをアルファベットに替えるとやりたい放題できるんでしょうか。
その昔、『GOEMON』という石川五右衛門である必要あるんかいな?な戦国物のフリしたSF映画がありました。そちらとの既視感がハンパありません。

オサレ感の演出に余念がなく、「既成概念を跡形もなく破壊する」という公式サイト(『GOEMON』のほうね)の紹介文よろしく好き放題やった結果、原形留めてますかね?的ななにか。

OPは椎名林檎。ED降谷建志が楽曲を提供し両曲ともオサレです。劇伴もジャジーで大人ムード。
物語も実際のところ第一話、第二話は良かったのです。そして巡り巡って終わってみたら尻すぼみという帰着。

前作を知っていればその比較でどうぞどうぞ。
知らなくても作品が伝えたかろうテーマは悪くないです。


■良かったところ1

序盤です。

{netabare}・ソニアとジョエルの刑事コンビ(第一話)
正義を貫きたいソニアと土地(アウトサイド)に順応し上手く立ちまわってるジョエルとの対比が良い。
デンゼル・ワシントンの『トレーニングデイ』を彷彿させる関係性が妖怪人間とどう絡むか期待してました。{/netabare}

{netabare}・なんか人間のほうが悪くね?(第二話/第三話)
第一話ベム/第二話ベラ/第三話ベロ回でした。そこで展開されたのは「人間は悪いやつ」。こんな奴らを助ける意味があるのか?の葛藤とお付き合いせねばなりません。
正邪不透明なモザイク展開は望むところでした。{/netabare}


■良かったところ2

人間になる確実な方法がわからないこと

答えのない道を探すのはやる気の維持も覚束ないものです。事実ベロは及び腰だったりするのがリアル。

{netabare}「人間を信じないと人間になれない」
第一話でベラが呟いた一言がちょっぴり切ないのでした。{/netabare}


後付けで旧作の設定も調べてみて、やはり深みがありそうな気配は感じるのです。
外形を留めてないと述べましたが知る由もないのであくまで想像です。

作中ではその深みみたいなものの説明が不足しておりますが、別のものを作る意図があるのであればそれはそれでけっこう。
別個のものとして、そして先入観なく視聴した結果、物語としても訴えてくるものが少なかったかな~という全体の印象でした。
理由は大小いくつかあれど一点だけ。


■極めて悪かったところ

 悪役担当に魅力がありません

容姿は異形ながら心持ちはむしろ下手な人間より高尚だったり綺麗だったりなベムら妖怪人間三人です。
私怨や公憤なんでもいいのですが、主役三人と敵対するキャラに説得力がないと彼ら三人の輝きも限定されてしまいます。

本作で感じたのは、三人を迫害したい描写だけがほしいという雑さでした。

{netabare}CASE 1 ダリル・ブライソン(学生)

父親殺しの事実誤認だけ見ても知的冷静さとは無縁。単なる厨病激発ボーイにしか見えないこともそれに拍車をかけます。
そんな彼がいつの間にか黒幕組織の中枢に収まっていく過程は失笑を禁じえなかったです。
些末な人物がたいそれたことをしてるように映り、ひいては黒幕組織も矮小化した団体に感じました。

ベロも嫌疑をかけられた時に粘って疑いを晴らせよと思いつつもそれだって、ダリルが利発なキャラ設定だったら不問にできたことでしょう。{/netabare}


{netabare}CASE 2 ヘルムート・フェルト(刑事)

・彼自身が妖怪人間を敵視する理由が不明。説明がありません。
・世論操作を謀る時に「妖怪人間をどげんかせんといかん。なぜなら・・・」の“なぜなら以下”に相当する部分の台詞が意味不明。
・ベムの公開裁判(茶番)も失笑レベルの法廷劇。「じゃあ君はキスできるか?」それ大真面目に言われると腹筋がもちませぬ。

狡猾で敏腕な刑事ぶりを描きたかったんでしょうし、こちらもそれを期待してましたが、役不足もいいところでした。{/netabare}


{netabare}CASE 3 Dr.リサイクル(白衣)

結局、こやつが編み出した改造人間が起こした殺人事件への落とし前をつけてない上に、警察は協力を仰ぐとかわけわかんないです。
マッドサイエンティスト設定にも狂気を感じることすらなし。強いて上げるなら「ヒッヒッヒッ」といったそれっぽいセリフぐらいかしら。残念です。{/netabare}


{netabare}CASE 4 ベガ

といえばストⅡなのだが脱線するのでやめときます。
まだマシなレベルです。ベムたちに執着する理由もわかりやすい。ただしいかんせん手下の駒不足でラスボス感が薄くなっちゃったのがもったいなかったですね。{/netabare}


これはB級コレクターさん向け作品です。



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.10.16 初稿
2020.04.14 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/06/15
♥ : 41
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

エレファントマン

妖怪人間ベム誕生50周年プロジェクト。

<<ナレーション>>
それはいつ生まれたのか誰も知らない。
醜い身体の中には正義の血が隠されている。

子供の娯楽であるはずのアニメでは、
初代「妖怪人間ベム」は特異点であろう。
秘匿された神秘性の恐怖と克服を描き、
異質で怪奇で奇妙で、
それは世代が違うものにも正しく伝わる。
オープニングはアニメ史に残る衝撃であった。

いつか「人」になれる日を夢見て、
事件を解決し、人知れず町を去る。
異形がゆえに人に恐れられ迫害を受ける。
それは正義とは何か、生命とは何かを問う、
世代を超えて語り継がれる主題なのでしょう。

椎名林檎へのオファーは良い選択でしょう。
村田蓮爾のキャラデザインはどうも苦手である。
オールドファンはベラをどう見るのでしょうか。

9話視聴追記。
人を救うことで人になれる。
根拠もない、ただ彼らが信じる道である。
物語の裏が見え始めていますが、
やはり設定や演出に困惑することも多い。

最終話視聴追記。
現代的な妖怪物語の帰結としては、
{netabare}落ち着くべき所に落ち着きましたが、
全体的に主題に対する、訴求が弱い。
もっと「生」の欲求に足掻いて欲しい。{/netabare}
ちびっ子ハラジーはお気に入りです。

私としては残念な結果に終わりました。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 38
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ベムベムハンターとは関係ない

1話感想{netabare}
「今回のベラは女子高生だぞゲラゲラww」って情報は友人から聞いてました。
鬼太郎6期といい素晴らしい時代になったなwと思ったり思わなかったり。
ひょっとして鬼太郎の影響?にしてはまだ1年ちょっとだし、考えることは一緒ってことなんかな?
ところでえーっと2000年代入ってリメイク一回ありましたよね?
これか。
https://www.anikore.jp/anime/849/
確かMXとアニマックスのみの放送で、MXの方が途中で打ち切りになって「続き見たけりゃアニマックスでどうぞ」ってことになって「ざっけんなよオイ」とガックリした記憶。
見てる人殆ど居なかったけどさ…だから打ち切りになったんだけどね。
(その後地上波放送が打ち切りになった“R.O.D -THE TV-”がMXで全話放送されて「ベムん時と正反対だなw」と思ったのは強く覚えている)
“俺たちゃ妖怪人間”は全然見てないけど2006年版が散々だったのを見てた自分としては「またベムやるんだ、懲りないねぇ」って感じ。
いや果敢に挑戦するのは評価しますよ。

それにしても…へーまた村田蓮爾なんだ、“コップクラフト”に比べると蓮爾っぽさは弱い?
公式でキャラ紹介見る限りは良さそうなのに、実際本編見てみると…敵モンスターのデザイン?演出?ダッサくない?
モンスターだけじゃなくて作画全体が…う、うーん。
もっとこうフィルムっぽいというか、ホラータッチにした方が「らしい」と思うんだけどなぁ、妙にマンガチック、おどろおどろしさが無い。
それと水男のセリフよく聞き取れない、一応「博士」だけ聞けりゃ他はノイズ扱いで良いっぽいけど。

妖怪3人とソニアの性格は大体分かった…気がする。
舞台も(治安的に)どんなところなのかも分かったし、何やら黒幕が居るっぽいという匂わせ方も悪くない。
シナリオは決して悪くないと思うのだけど、な~んかパっとしないのはやっぱり作画だか演出なのかなぁ?{/netabare}

2話感想{netabare}
やりたいことは分かるんだ、「醜いバケモノ言ったお前の方がよっぽど(心が)醜いじゃないか」をやりたいのは、分かる。
「そんなヤツも居れば裏表の無いヤツも居たり、人間ってオモロイなー」ってこともりたいんでしょう。
ストーリー?シナリオ?は悪くないと思うんだ、多分。
だけどボーリング男のデザインだけは…これだけは…なんじゃこりゃ?
こういったフザけたデザインが逆に深い意味を持つ展開とかあるのか?大丈夫か?{/netabare}

3話感想{netabare}
個人の趣味でレトロゲーミュージアムみたいなのって実際にあるみたいね。
ってかアウトサイドのゲーセンの外観がトロンレガシーのFLYNN'S(ゲーセン)に似てるような?
ガンシュー、メンテナンス悪そう。
「殺人現場に居合わせて犯人だと勘違いされてしまう」って…こ、古典すぎて吹いたw
敵モンスターのデザインからして、意図的に古臭くしてるのかも?

…。
と思ってたら次回の4話は例の事件の影響で放送延期だって。
再放送で間を稼いでその間に4話の問題シーンを変更するっぽい。
これ言うと不謹慎かもだけど、すごいベムらしいと思ってしまった。
しっかしこうなると最終回が放送されるのはいつになるんだろ?{/netabare}

6話までの感想{netabare}
暫くは変人を出してベム達がそれを撃退する話が続くのかなー?と思ったら大体その通りで、6話で話が動き始めた…のか?
人間になりたがってるベム達・人間を辞めたがってる連中・それ以外のただの人間、の3勢力だけでなく「人間を辞めたくなかったのに辞めてしまった人」という立場が登場。
ほほう、勢力増えるのは構わんが…これはレギュラー?1話限りのゲスト?
次元の狭間に飲まれて~とか、それまでの作品世界からぶっ飛んでる気がしないでもないけど「元々ぶっ飛んでたじゃん」と言われればその通りの気もするしまぁいっか。
ってかこのノリは見覚えがあるなぁ、と思ったら…思い…出した!(思い出したくなかった)
“セイントオクトーバー”ってアニメがかつてありまして、どんな内容かはいちいち書かないけどあれと同じようなオチにならないことを祈る。{/netabare}

最終回感想・総評(これだけ見ればいいかも){netabare}
ラスボスのベガの目的は「死ねない存在で、唯一死ねる存在を見つけたので、自分を殺してくれるように仕向けた」ということで良いのかな?
その目的に至った動機は「もうこの世に飽き飽き」「人間に失望」それでいて人間の真似事は何でもしてきたけど未だ出来ずに居たこと=生と死、それの実行って感じか?
最後のほうはベムを懐柔するための方便に聞こえなくもないけど、結局は大規模で大迷惑な自殺をしようとした、という展開。
非常にベタでどこかで見たような…どちらかというとゲームでこの手の設定ってよく見た気がするけど、そうはいってもちゃんとラスボスが登場してそれを退治(殺すことは出来ないので封印って形だけど)したのは久々に感じてしまう。
なんか最近はラスボス倒さないどころかラスボス(or黒幕)が姿を見せずに目的すらあやふやなまま最終回迎える作品が多い感じだったのでねぇ…。
ラスボスの目的の提示→主人公との意見の相違・対立→対決・決着までを1クールで収めるとなると、やっぱ色々と難しいのかな?

余韻に関しては──
ベム達も一歩間違えれば、もしくは長年生き続ければそのうちウンザリしてベガのようになりかねない。
人間の方も人間の方で、ベガによって作られた(ベガがトップだったのでそうだよね?)議会のトップの後釜に人間を就任させて、今まで通りが続くとは限らないみたいなところを見せてエンド。
ハラジーもホントに今後安泰かどうかは不明。
博士は…これは、元々ベガを誕生させた太古の錬金術師の現代版になりかねない、ってことなのかなー?と思ってたり。
ベム達も錬金術師だか科学者だか知らんけど誕生させた存在ってのは居るハズで、そういうのが人類の歴史の中ではどの時代にも居るってことなのかも(そう感じたのは自分が“Dr.STONE”見た影響かも?)。
この手の作品の鉄則「化け物コワイコワイ言うけど、それを生み出せる人間の方がよっぽどコワイ」ってテーマも一応は描けているんじゃないかな?
もし妖怪人間が妖怪人間を生み出すことができたら、とっくにベガは自殺済ませてるだろうし。

と、テーマを表現できてたか?という目線では概ね合格なんだけど、細かい部分が…ちょっとね。
なんといっても改造人間のデザイン、なんでこんなプリキュアの怪人みたいにしちゃったんだろう?昭和っぽさを演出した?
そうはいっても子供向け作品はぶっ殺さないで浄化するのが大半で(そうでないなら“セイントオクトーバー”の二度殺しみたいな話は作られない)、元が人間で生き死にに係わる作品ででんぷんくんとか「ニン」とか言われてもちょっと…。
最後ハムスターが映画“スピーシーズ”のオチみたいになったらホラー作品として成立したけど、そんなことは無かった。
そもそもベム達はあの町を去る必要はあったんだろうか。
余韻との兼ね合いになるけど博士を追って姿を消すでも良かったような…。

現代風アレンジを目指したのか懐古路線だったのか、両方やろうとして結局どっちつかずになってしまった印象。
どっちか特化しろってことじゃなくて、もうちょい上手く融合できなかったのかなぁって感じ。{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 14

62.1 21 犯罪者アニメランキング21位
断裁分離のクライムエッジ(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (703)
4006人が棚に入れました
女性の髪を切ることが大好きな中学生の少年・灰村切は、ある日の帰宅時に偶然立ち寄った洋館で、長く美しい黒髪を持つ少女・武者小路祝と出会う。祝の髪はどんなことをしても切れない、呪われた髪だった。だが、切がお守りとして携帯する鋏で切ったことで、殺害遺品(キリンググッズ)を巡る殺人ゲームに巻き込まれてゆく。

声優・キャラクター
花江夏樹、小岩井ことり、福原香織、内山夕実、安野希世乃、能登有沙、島﨑信長、遊佐浩二、日笠陽子、中村悠一、石田彰、長妻樹里、井上喜久子、子安武人

にゃっき♪ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

the severing crime edge

それぞれの先祖である猟奇殺人鬼が愛用していた殺害遺品(キリング・グッズ)に、権利者として選ばれた子孫たちが、ヒロインの髪の女王をめぐる殺人ゲームに巻き込まれていくバトル作品です。

主人公がヒロインを守る王道的な展開なのですが、主人公はロリコンで、女性の長い黒髪を見ると切りたくてたまらなくなる性癖の持ち主ですので、一般人の感覚では、気持ちが悪いと思う方も少なくないと思います。登場するキャラたちは歪んだ性癖のド変態さんばかりですし、エロ描写が無意味に官能的で、お薦めは出来ませんが、TVで放送できる限界を考える叩き台になってくれそうな気もします。
性癖というのは人それぞれで、同じ状況で興奮する人も萎える人もいます。一方的に自分のスタイルを押しつけず、相手の趣向や許容範囲を考えて歩み寄るしかないわけですが、お互いにオトナ同士なのが大前提だと思いますので、フェチや性癖を扱うにはキャラが若すぎるのが気になりました。

権利者はキリング・グッズの影響で殺人衝動に駆られて自我を保つのが難しく、その衝動を抑えてくれる代償(インステッド)と呼ばれる協力者が必要な設定ですが、苦悩や葛藤の描き方は淡泊で、変態的な代償行為の方にばかり力が入ってたように感じます。権利者が街や学園にゴロゴロしているのもスケールが小さく違和感がありますし、能力や効果もわかりにくく、バトルについてもあまり期待しない方が良いと思われます。バトルは相手を殺さず、あっさり和解するようなまとめ方が多いので、賛否両論あると思いますが、個人的には中途半端で甘っちょろい印象が残りました。

キリング・グッズはハサミやハンマーのようなわかりやすい凶器ばかりでなく、そんなもので人を殺せるのかというバトルには不向きなオカルト的なものまであり、中二病っぽいネーミングには楽しませてもらいました。続きがあるような終わり方ですが、続編の制作には無理があるように感じます。サービスシーンは多めですので、ヒロインが気になる方や特殊な性癖の方なら、そこそこ楽しめる作品かもしれません。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 39

ともか さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

※バトルアニメなのだそうです。

漫画原作(ほぼ未読)、 1クール(全13話)、 2013年春放送。
原作は第1巻の50ページほどまで無料だったので、そこだけ読みました。

殺害遺品(キリンググッズ)を持つ殺人鬼の子孫たちが登場し、主人公もそのうちの一人。
キリンググッズの所持者たちがバトルを繰り広げるストーリー。
そんな主人公が、メインヒロインである黒髪ロングの少女を護ろうとする中で、
(一応)恋愛の描写も含んでいます。


この作品の「あらすじ」に書かれていることは、たしかに嘘ではないですが…
主人公がバトルの中、ヒロインを全力で護ろうとするような、
本気のバトルものを想像してしまいました。
実際に観て、視聴前に想像していたのとは 相当かけ離れた内容でした。

「断裁分離のクライムエッジ」ってどんな作品? と聞かれたら、
「変態」とか「フェチ」といった感想が真っ先に出てきます。
バトルや恋愛は二の次、三の次のような配分の少なさで、回ごとの当たり外れも激しいです。

キャラは一風変わった設定を持っているのですが、やはり
変態、フェチ、ロリコン、百合(程度は弱め)、といった感じで、
本当に癖の強い人物ばかりが揃っています。
こういった要素についても、ネタとして楽しめるか、許せるか、拒絶するかによって、
大きく評価が分かれる部分だと思います。

また、基本的にツッコミ役が不在で、各人物が意味の分からない行動をどんどん進めてしまうため、
それに対して視聴者にツッコませる仕様になっています。


物語の面では、尺の使い方が特に気になります。
全体として一つ一つのシーンが必要以上に長く、尺稼ぎのような回も1回や2回ではないし、
バトルアニメを謳っているにもかかわらず、戦闘シーンのない回も多かった。
戦闘中も異様に長いセリフが多くて、いかにも厨二病バトル的なイメージ。

ストーリーに期待してしまうと、途中で断念しかねないほど ひどい内容だと思います。
その点 私は、バカらしいと頭で分かっていても、なぜか観てしまう感じで視聴継続しました(苦笑)

仮にストーリーを重点的に進めたら、6話以下に納まる程度のお話しか無かったでしょう。
無理やり引き伸ばした感が強く、さらには2期を予感させるような終わり方。
ふるいにかけて、2期まで視聴される方は どの程度残るのでしょうか…?
もっと原作をストックしてから、2期に分けずアニメ化すれば良かったと感じます。


作画は、絵柄が漫画版に似ている気がします。
きれいな時もあるのですが、崩れることも多めだった気がして個人的には微妙。

声優は、全体として悪くなかったと思います。
泣きの演技(これが多い!)をされた方には、お疲れ様と言いたいです。


OPはバトルアニメらしくて、歌詞も曲調も、この作品に合っていたと思います。
(歌詞の語呂の悪さは若干気になりましたが。)
スタッフ等の文字が、映像の雰囲気に合わせてアートのようになっていて、
若干見辛いですが、これはこれで良いのではないでしょうか。

対照的にEDは恋愛方面を意識しているのか、メッセージ系のような静かな曲でした。
それに、穏やかな絵柄は良いのですが、
映像の動きではなくカメラの動きでごまかしているのは少しマイナス。

OP曲: 運命の檻
ED曲: 君と二人
ED曲: 硝子の三日月 (1話、6話、13話)



総じて、私は ぎりぎり時間分くらい楽しめましたが、
これだけ視聴者を絞ってしまうと、いったい誰得なのでしょう?
物珍しさや、ネタという意味では、2~3年に1作くらいなら、
こういう作品もあっていいかもしれません。

ストーリー、生粋のバトルもの、恋愛を重視して観たい方や、
変態、フェチを許せない方には、一切おすすめできません。
さらに、若干グロい描写もあるので特に苦手な方は注意が必要です。

先述の通り、最後は2期に続くような終わり方でしたが、
この不人気ぶりを見ると続きが作られるのか心配になりますね。
個人的に2期は、待ちわびるわけではなく、作られたら観ようと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 32
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

理容師界のドラ1

あらすじ通りの1話目でした。
髪切れないって、地味だけど精神的に来ますよね。
ちょっと変態っぽい話かと思いましたがそうでもないの…かな?
この後キリングゲームが始まって行きサスペンス要素が増していきそうです、
未来日記のようになっていくのかCキューブみたいになるのか分かりませんが、
楽しめそうな気はします。

注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

3話までの感想{netabare}
スタイルが確立してきたというか判ってきました。
ヒロインを守り襲いかかるキリンガー達を倒しながらも、
段々とクライムエッジの闇の力に呑まれていくダークヒーロー物の様です。
当初思っていた程は深みが無いようですし、
次が気になりドキドキするという感じも乏しいです。
ロリ要素も個人的に合わないです。
若い主人公でも未来日記は楽しめたのですが系統が違いましたね。
言動などツッコミ所は感じますがその気力が湧く程の作品でもないのでスルーです。
設定は悪くないのでもう少し各キリンググッズの特徴が出て来るといいかも。
まさかの急展開を待ちながら眺めておきます。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
急展開ではないですが、
敵か味方か分からないキリンググッズ所持者が出てきて物語に厚みが出てきました。
このままだと飽きるかなーっと思っていた所でしたので歓迎します。

ルールブックは既出グッズより特色があり、この先トリック(気絶で止めて欺く等)としても
使えそうなので興味が広がります。所持者も個性的ですし。

ピアノはどういうグッズなんでしょうか?
耳の聞こえない無い調律師の存在も気になります。
先に視聴者に明かしましたが、そこがミソってなるといいです。
後で分かった方が面白かったのに!っとツッコませない展開を希望します。
曲を最後まで弾く時は最期の時という雰囲気が漂っていますがどうなるのか楽しみです。
{/netabare}

※5話感想{netabare}
うわーお。いつもより変態度上がってましたね。
ついていけない人増えそうで心配です。そういう私もついていけるか危ないんですが。

湖では殺さず突き落として気絶させ救助して医務室に運び
夜にゾンビごっこの恐怖を与えるという凝った演出で追いつめました。
めんどくさい事してるとか言ってはだめなんでしょうね。

しかしルールブックもちらほらしてロミオの方がピンチかも。

【ロミオのグッズ能力予想】{netabare}
叩くと人を服従させるムチみたいです。頬を叩いてますね。
もっと女王様っぽい人に持たせた方が似合いそうですが。{/netabare}
{/netabare}

※6話感想{netabare}
グッズはルカさん所有でしたね。
犯罪はちょっとしたキッカケからという良くあるパターン。
どうやって入手したのかもよく分かりませんでした。
祝と切の仲も深まり結果オーライですが同じ事の繰り返しで目新しさが無くなってきました。

それと敵と一戦交えるとスグ仲直りしてしまうので、納得も行かなくなって来ました。
ルールブック出ても大して話は展開していないのも残念。
もっとかき回してくれればいいのにな。
一応観続けるけど退屈に感じてしまっているので
このままだと感想も淡泊になっちゃうかも知れません。
せめてキャラが魅力的に映れば良いのですが…。
{/netabare}

※7・8話感想{netabare}
悪の組織のパーティーにまんまと呼び出されて、
結局ルールブックと直接対決することになりました。

もうチョット捻ってくれないと…。
折角色々膨らみそうなのに直接対決では芸がないです。
祝や切を利用してもっと裁きを重ねると思ってたんですけどね…。
結局対戦相手が違うだけでワンパターンなんだもの。
この後またまた敵と仲直りだったらイヤだな。
感情移入も出来ず緊張感も持てないので惰性で観つつあります。

あと、ロープはハサミで切れないんですかね?
ダメならダメでも一度試してくれないとスッキリしません。
戦闘中そればかり気になってしまいました。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
ルールブックくん死んでしまいましたね…。
引っぱった割には意外と大したことはしてないのですが…。

ただ強烈な力を持つ存在、組織は見えてきました。
しかしまぁ、殺す時何を飲ませたんですかね?
多数のナイフで殺すなら飲ませる必要が分からないです。

死を目の当たりにして自分の未来と重ねる切くんと祝ちゃんは
ますます互いの必要性を高めてこれから立ち向かって行く展開ですが、
敵を倒し、絆が深まるって再三再四の繰り返しはもう充分分かりました。勘弁して下さい。
ぐるぐるさまよって、結局ルールブックくん現れる前と同じ所に戻ってきてないかい?
繰り返しの迷走っぷりに飽きてきましたし、やはりどうも感情移入が出来ないです。
感想の方も楽しく書けなくなってきたので毎話感想は切ります。
作品自体は最後まで観ます。
このままの流れで中途半端で終わって欲しくないですが、期待は出来ませんね…。
{/netabare}

【視聴後総評】
酷評になりますファンの方はご容赦ください。
{netabare}
まずストーリーが単調でした。
基本的に
「刺客に襲われる→切が守る→相手とは和解→切と祝の絆が深まる→切の闇の力が高まる」
の繰り返しで大きなうねりのあるストーリーになっていません。
ルールブックくんの登場でそのうねりを期待しましたが結局は何の影響もないさざ波でした。
序盤のキリングッズ保持者も殆ど絡んで来ないので話に厚みが出ません。
意味ありげなピアノの姉さん等は放置で登場理由が解りません。アレ必要なの?
予想はしていましたが打ち切りマンガのような終わりも興ざめさせる一因でした。
二期やる可能性も薄い気がしますので放りっぱなし感が大きいです。

演出もチープです。バトルに緊張感がなかったです。
恐ろしいグッズ同士の戦いなので
アナザーや未来日記の様にもっと痛々しい演出をして欲しかったです。
痛い事を台詞で説明する様ではヌルすぎます。もっとのたうち回りなさい。
その後の和解展開でいい話にしようとしているのがチラチラしてしまい茶番に見えます。
いっその事、手がもげ目が潰れた後で和解してください。
敵も味方も悲壮感漂い必死さが伝われば見る目も変わったはずです。
ロリやフェチを導入して観る人を選んだのなら
大衆ウケや子供ウケは狙わなくて良かったのではないでしょうか?

結局、すべてに於いて中途半端にしてしまっているので
観る価値のない作品に仕上がってしまっています。
残念ながら人には勧められません。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 26

65.6 22 犯罪者アニメランキング22位
アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd(TVアニメ動画)

2016年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (220)
1031人が棚に入れました
サミット開催に向けた「宇宙エレベータープロジェクト」が急ピッチで進む、首都・東京。強化装甲<ウィルウェア>を使った犯罪に対処すべく創設された、警察庁警備局第五特別公安課第三機動強襲室第八係――通称<ダイハチ>は、ロゴスによるテロから日本を救ったことで、今や日本中の注目を集める存在となっていた。しかしウィルウェアを悪用した犯罪は、その後もエスカレートする一方……。新メンバーを迎えた黒騎たちダイハチの面々は、今日も知恵と勇気と口八丁、そして民間警察の協力を得て凶悪事件に挑む! 決裁完了、出動せよ!!

声優・キャラクター
島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、大川透、鳥海浩輔、大西沙織、花江夏樹、緑川光、大原さやか、相坂優歌、黒沢ともよ、田村ゆかり、田中あいみ、新井里美、速水奨
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

なにわ・なにわ・なにわともあれ解決だー!解決だー!

オリジナル作品 全12話

アクティヴレイド 機動強襲室第八係の2期です。1期から観ることをオススメします。

1期よりさらにパワーアップした感じです。

ウィルウェアという体に装着できるパワードスーツがある世界。そのウィルウェアでの犯罪も多く、それを取り締まる組織である機動強襲室第八係=ダイハチの活躍を描いたものです。

1期のキャラの中では、移動になったり、退職して全然別の仕事をしたりとしていますが、本編でも深く関わっています。

その代わり新キャラも多数出てきます。中には大丈夫?という感じのキャラも結構出てきますねw 軽いノリは相変わらずです。

その中でも1期からのメンバーの花咲里あさみ・瀬名颯一郎2名は、とても優秀なキャラなはずだけれど、どことなくずれていて行動や他のキャラとの関わり方が面白かったですね。

1話1話にきちんとそれぞれエピソードがあり、その点と点が終盤にはきちんと線となっていて繋がっていることは見事でした。

最後は強引な感じもしましたが、スカッとしましたね。{netabare}(特に陽ちゃんが、バードこと八条司稀をぶん殴るシーンはスッキリしましたw){/netabare}

観ていて楽しかったです。シリアスなところもありますが、みなさんテンション高めの明るい作品です。メカが苦手でなければ是非1期から観てくださいね^^

OPは声優でこの作品での重要人物の一人を演じている相坂優歌さん、テンポも速く高音で力強い曲でしたね。

EDはこの作品でよく出てくるパソコンのソフトのアバターのLikoさんが歌っています。中の方は黒沢ともよさん、現在は、響け! ユーフォニアムの黄前久美子役を演じていますが、全然違いますねw

最後に、{netabare}瀬名の{/netabare}会社の専務、セリフはほとんどピーが入っていましたねW あのキャラは新井里美さんしかできませんw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 18

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

笑いを取るメカたち

オリジナルTVアニメ。

本作の世界観については1期目のレビューを見てください。

1期目の主人公といえるあさみちゃんは大阪の機動強襲室第九係に異動となり出演機会が減りましたが、変わってオスカー2こと黒騎くんが主人公という感じになりましたね。

2期目も様々なウィルウェアによる犯罪があり、ダイハチ(&第九も)が出動しました。

今期も活躍の機動強襲指揮車両(鉄道の線路と道路のどちらも走れる)他、大阪カタパルト、東京カタパルト、オスカー2用水中ユニットなどいろいろなメカが楽しませてくれました。

ストーリーも1期目同様にシリアスな事件の中にもコミカルな描写を忘れず、大いに笑わせてもらいました。ただ、科学考証はもう少し頑張ってほしかったかな。静止軌道から東京にポリカーボン索は下せないと思うよ…?

…やっぱり特撮ヒーローを意識したデザインや演出は多かった気がします。
あとあさみちゃん、部下を投げてぶつけるのはやめましょう(笑)。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「ダイク」と聞いて「年越し」と「どん兵衛」がチラついたのは私だけじゃありませんよね…!?

この作品は「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-」の続編に位置す0る作品です。
物語の内容に繋がりがあるので、1期を未視聴の方はそちらからの視聴をお勧めします。

「来たるべき未来…警察の通常装備では対応できない出来事が起きた時、アクティブプロジェクトに認められた力が炸裂する…これは日本のアクティブ…第3機動強襲室の活躍を描く物語である」
オープニング曲を背景にこの様なくだりから始まるこの作品も2期目…
1期では強化装甲「ウィルウェア」の特徴とウィルウェアを装着して悪に対峙するダイハチのメンバーの紹介に軸足が置かれていましたが、2期では核心近くから物語が始まります。

ウィルウェアを悪用した犯罪は後を絶たず、ダイハチの忙しさは相変わらず…
そのダイハチも1期の時のメンバーだった花咲里あさみは、警部に昇進して大阪のダイハチ…通称ダイクの係長兼ウィルウェア装着者として活躍しており、オスカー1の装着者だった瀬名颯一郎は、警察を辞めて名古屋にある清掃会社の社長になっていました。

その代わり、ダイハチにも新しいメンバーが2名加わりました。
エミリア・エデルマン(CV:ゆかりん)と鏑木まりも(CV:田中あいみさん)です。
ですが、エミリアは過去のトラウマが…鏑木は視線恐怖症の気がある事から、これがダイハチの業務にどう支障になるかは見てのお楽しみなんですけれど…

個人的に見ていて面白かったのは、花咲里あさみ率いるダイクのメンバー「フィンガーズ」
レビューを書くためにwikiをチラ見した時に知ったのですが、全員警察大学校に飛び級で入ったエリート候補生だったようです。
気持ちは前を向いています…でも動きがチグハグでコミカルに見えてしまうのは何故なんでしょう…
あさみの頭を抱える姿は印象的でしたが、あれで独裁の手を緩めると今以上に手に負えなくなってしまう…そんなエリートがいても決しておかしくありませんが、私たちの血税が投入されているのかと思うと複雑な気持ちになってしまいそうでしたけれど…

一方、物語の方は首都東京でサミットの開催に向けて着々と準備が進められていました。
サミットの目玉は、地上と衛星を結ぶ「宇宙エレベーター」
当然各国の要人も多数集まる事から警備の手は必然的に厚くなり、ダイハチもその警備の一員として要人を警護する事になるのですが…

私はダイハチのメンバーの中では室長である山吹凛推しでこの作品を視聴していたのですが、物語の進展に伴って感じる違和感と凛さんの役回り…正直見ていて辛かったです。
どこから変わってしまったんだろう…?
強すぎる思いが、見えるモノ全てを歪めてしまったの…?
もしもあの時手を取っていたら未来は変わっていた…?
お互いの信じる道を進むことは一人で決めた事じゃないのに…

葛藤の辿りつく先には一度目より厳しい決断が待っている…
それを知っていたとしても決断を下さなければいけない…
彼女の纏う純白とダイハチのみんなの後押しがなければきっと出来なかった…
彼女が示した決意はそんな類…

人を護り、そして裁くのは法律…
これは決して揺るがない事実…
けれど、それを隠れ蓑にしていれば悪事を働いて良いと考えるのは大間違い…
何故なら人は決して一人では生きていけない生き物であると同時に移ろいやすいから…
だから悪事を隠し続ける事はできないし、仮にそれを持続させるために悪事に悪事を重ねてしまい…気が付いた時にはもう戻れない場所に行き着いてしまった者たちの末路…
気になる方は是非本編でご確認下さい。

オープニングテーマは、相坂優歌さんの「セルリアンスカッシュ」
エンディングテーマは、Likoの「Field Trip!!」
オープニングの勢いとエンディングアニメのLikoの可愛らしさが印象的です。

1クール計12話の作品は見応え抜群でした。
wikiで気になる情報を見つけました。谷口総監督によれば、「この作品は分割2クールではない」と記載されていました。
それにTVアニメの公式サイトに「谷口総監督からファンの皆さまへのコメント」があり、そのコメントの中に「To be continued?」と書かれているんです。
これは続編を期待しても良い…という事でしょうか。
もし、続編が制作されるなら絶対視聴したいと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 15

61.9 23 犯罪者アニメランキング23位
エルドライブ ēlDLIVE(TVアニメ動画)

2017年冬アニメ
★★★★☆ 3.1 (161)
779人が棚に入れました
この世界には、地球人の知らない数多くの宇宙人が存在する。宇宙の秩序と平和を守るため、日夜、悪と戦い続ける組織、それが"宇宙警察エルドライブ"である。地球で暮らす少年・九ノ瀬宙太ここのせちゅうたには、物心ついたときから、ほかの誰にも聞こえない不思議な"声"が聞こえていた。そんな宙太がある日突然、宇宙警察エルドライブ・太陽系方面署の署員としてスカウトされる。採用試験を受けることにした宙太は、その最中、初めて"声"の主と対面することになるのだが、その声の主とは、"共生体モニタリアン"といわれる珍しい生命体。宙太はこのモニタリアンと協力して共生技を発動できる特殊な存在だった。採用試験に合格した宙太は、相棒のモニタリアン"ドルー"とともに、太陽系方面署署長レイン・ブリックのもと、同僚の其方美鈴そのかたみすずや仲間たちとともに、エルドライブ署員として働くことになる。

声優・キャラクター
村瀬歩、早見沙織、鈴木達央、釘宮理恵、小林大紀、飯田里穂、Lynn、松岡禎丞
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

一瞬だけ、志村けん さんかと思ったw

[文量→大盛り・内容→酷評系]

【総括】
というタイトルにピンときた方は、1話を観た方ですね(志村けんさんの白鳥)w

良くも悪くも子供向けのアニメ。でも、それだけで侮ってはいけない。「マリワカ」の好例があるからね♪

ぶっちゃけ、去年(2016)は駄作が多かったスタジオぴえろ(おそ松さんは2015~)。さあ、今年(2017)をうらなう一作目はどうかな?

まあ、何はともあれ、小中学生が面白いと思ったら、面白いアニメなんでしょう♪ 私のようなオッサンではなくw


《以下ネタバレ》

【視聴断念(2話まで&最終話)】
{netabare}
やはり、おっさんが観るアニメじゃないw それにつきると思います。だったらまあ、夕方6時から放送するべきですね。

さて、合わない合わないではレビューにならないので、良い点と、難点を。

良い点としては、わりと深そうな世界観をつくっているところと、ツンデレ感溢れる美鈴のキャラかな。

太古の地球に送り込まれた、知的生命体(風なロボ?)「ジルー」。おそらく、話が進んでいくなかで、太古の地球に何があったか、なぜ他のモニタリアンが残っていないのか、その謎解きや元凶との戦い、など壮大な戦いに発展していくのでしょう。そして、宙太の成長を描くと(王道)。そうなれば、面白味も出てくる気もします。

また、ヒロインの美鈴ですが、ツンデレのテンプレみたいな感じですが、宙太に対する多種多様な罵倒が辛辣且つ小気味良く、なかなか良い感じです。声優さんの力も大きい感じがしました。

マスコットとはいえよくしゃべるので、釘宮病の患者さん(私も軽度の釘宮病w)には、よい薬となったかも(笑)

次に難点を。

まず、ギャグが致命的にツマラナイ、というより、子供向けの分かりやすいギャグ(これは、この原作者はずっとそうなので、多分変化はないかな?)。

次に、主人公の宙太の戦闘手段が「イメージの具現化」という、様々なアニメや漫画で使われるチート能力だという点です。まあ、いろんな敵を出して、色んな方法でやっつけられる、作者にとって楽で都合の良い戦闘手段とも言えます。短いスパンで盛り上がりをつくり、アンケートの好成績を取り続けなければならない、ジャンプ原作らしいっちゃあらしいです。

「イメージの具現化」を主人公の能力にする場合、どう制限をかけるかが大事だと思います(このへんは、HUNTER×HUNTERの念能力全般、特にクラピカの具現化系とか上手い)。1話を観た限りでは、そういう制限は見当たりませんでした。何でもできる能力ほど、ツマラナイものはないです。

本作の場合、それは(宙太とジルーの)「イメージの共有」というのが制限になるのかもしれませんね。二人が仲違いすれば、技が発動できないとかして、二人の絆の深まりを描いていくつもりなのでしょう。

ただ、第1話でいきなり完璧にシンクロしちゃったし、それも「並み縫い!」と一言でやっちゃう雑さが残念。それじゃあ、「宙太のイメージを具現化する」ことと「宙太とジルーのイメージを合わせる」ことに違いが生まれず、折角の設定を自らぶち壊しているな、と。どうせなら、(序盤は)何回か失敗させるか、不完全な並み縫いになるかすれば良かったと思うけど、そうやってじっくりと描けないところが、ジャンプ漫画家の宿命かな。新連載の1話目、限られたページ数をフルに使って盛り上がりを作り、アンケート1位とらなければならないしね(byバクマン)w

とにかく、後半に面白くなりそうな要素はあるなと思いました。ただまあ、そこまで待てるほどこのアニメに興味もないし、単純に面白くないし、原作連載中だからアニメではそこまでの核心に踏み込めずに終わるだろうし、ここで切りですねm(__)m

【追記→最終話のみ視聴】
ベガ警部の裏切り?とか、なんか緊迫してる風だけど、そんなベガ警部が人質もとらず、エルドライブ本部への連絡をスルーするとか、ガバガバじゃん。ベガ警部が(デミルを逮捕させる為に、意図的に情報をもらし)間接的にエルドライブを動かしたとかいう描写があれば良かったのに。もしくは、エルドライブがデミル艦隊に乗り込んできた時点でベガ警部がデミルを倒し、でも責任として、死ぬ覚悟で戦いに臨ませるとかすれば、味が出たのに。

ラストバトルも、ビームサーベルで力押しでした。やはり、最終話を観ても子供だまし(対象年齢小学校中学年感)を感じました。ただまあ、なんかハッピーエンドで良かった良かったという感じでしょうか。


〔まとめ〕
○深そうな世界観
○美鈴の多種多様で辛辣な罵倒
×ギャグのつまらなさ
×能力設定の荒らさ
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
主人公はダメ系少年。でも謎の力を秘めていて、という王道。展開も王道。1話を観る限りあまり面白くない。バトルもので少年の成長を描くようだが、そのバトルの手段が×。

2話目
エルドライブの全容などが明らかになっていき、楽しさも増えてきた。しかし、戦闘面がたまらなくつまらなかったのと、ノリが子供っぽすぎて、視聴断念ですね。宙太も美鈴も、ワケもなく強すぎ、力業で敵を倒しすぎです(苦笑)
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 22

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

原作者のキャラがそのまんま動く…!

…と言っても過言ではないくらい、原作者の天野明先生のキャラクターの特徴をとらえたキャラクターデザインになっていると思います。

なにしろ原作知らないのに、アニメキャラの絵を見ただけで原作者がわかりましたから(笑)!

アニメ化のおかげで、「へえ、ジャンプ+でこんなマンガを掲載しているんだ」と知った次第。つまり原作の宣伝にはなっているわけで、その意味では成功なんじゃないでしょうか。

中学生がある日突然宇宙警察の警官として採用されるというお話。もちろんそれには理由があるわけですが…。

面白いかどうかはしばらく観てみないとわかりませんが、2話まで観た限りでは好印象です。

2017.4.3追記:
地球に、宇宙人多すぎだろう(笑)。しかも地球人型がかなりたくさん。エルドライブの世界にもプロトカルチャーがいたんだろうか(笑)。

まあなんとなくなんですが、最終話まで観てしまいました。別に「観ないと損」とかはないと思いますので強くお勧めはしません。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

「Sympathy=共感」を根底に進化を続ける宙太とモニタリアン…

この作品の原作は未読ですが、クギュとはやみんが共演すると知り視聴を楽しみにしていた作品です。
少年・少女漫画やラノベなど幅広いジャンルから作品が選りすぐられてアニメ化されています。
普段少年誌に対しては全く食指が動かないのにアニメになると思わず見てしまい、結構感動したりもするのはきっとアニメだから…

大勢の人が携わり…声優さんが魂を吹き込んで初めて完成するのがアニメの作品…
アニメ化される作品も凄いですが、その画を動かして声を当てるのはその道のプロフェッショナルな方々…
しかも声優さんは相当激しい競争を経て役を掴み取っている、そんな大の大人が生み出す本気の結晶そのものがアニメだと考えると、その様な作品を視聴するのはとても贅沢な事だと思います。

この物語の主人公は中学2年生の九ノ瀬宙太…
彼はまだ年端もいかないのに周りからちょっと変人扱いされていました。
それは誰もいないのに急に話し出したりするから…
でも、実は彼はちゃんと会話をしていたんです。
彼にしか聞こえない声と…
それに彼の人生における決して消える事のない汚点が、事ある毎に宙太の気持ちを浸食するのでだんだん内向的な性格へと変貌していってしまったんです。

ところが、そんな彼にも転機が訪れます。
それは宇宙警察エルドライブにスカウトされるという一大事が…
エルドライブにスカウトされた事でこれまで分からなかった事が色々と分かってきました。
一番は謎の幽霊の様な宙太の会話の相手がドルーというモニアリアンだった事…
同級生のヒロイン…はやみん演じる其方美鈴もエルドライブの一員だった事…
そして宇宙警察が地球上に目を配らなければいけないほど、宇宙犯罪者がやってきている現実を知り、宙太はドルーと一緒にエルドライブの一員となり物語が動いていきます。

この作品の見どころは、何といっても宙太とドルーの絆がどの様に深まっていくのか、宙太が自分の過去とどの様に向き合っていくのか、そして同僚となる其方との関係…といったところだと思います。

宙太とドルーの絆が彼のエルドライブにおける活躍とリンクしているのですが、ドルーは共生型の生き物なので宿主の状態にかなり左右されてしまう上、ドルーが宙太とのSymparhyを感じないと本来の力が発揮できないので、最初は中途半端感が否めませんでした。

でも誰かと繋がっていると実感できた時って、嫌いな人とじゃなければ嬉しさを感じると思います。
それは例え同じヒト同士じゃなかったとしても…

宙太とドルーは小さい事から一つずつ積み上げていきました。
決して順風満帆なんかじゃありませんでした。
でも限界ギリギリの攻防に加え相手を思いやる気持ちが限界値に到達した時、目の前で起こる出来事はきっと奇跡…

最初の頃と比べると、宙太は変わったと思います。
ドルーを認識できて明るくなった…
其方とも何とか話ができるようになった…
でもきっと宙太は気付くと思います。
これから大人の階段を上っていく上で、たくさんの厳しい現実が待っているという事を…
少し前までの宙太だったら逃げ出していたかもしれない…
だけど今なら大丈夫…だって宙太は一人じゃないから…

だから辛い過去にもしっかり向き合って欲しい…
だって過去は消せないし改変もできないのだから…
私たちにできるのは、事実を受け止めそこから未来への糧を引きずり出す事…

嫌な事からずっと逃げ続ける事はできません。
バカが付くくらい真摯に向き合ってみたら、そこから見える景色は自分の思い描いていた風景と違うかもしれませんよ。

宙太を陰日向で支えるはやみん演じる其方…
彼女も魅力溢れる女の子であると同時に、年相応の面が垣間見れたのが良かったと思います。
でも基本可愛いです。

そんな宙太と其方がエルドライブとしてどの様な活躍を見せてくれるのかが楽しみです。

オープニングテーマは、+α/あるふぁきゅん。さんの「Our sympathy」
エンディングテーマは、The Super Ballさんの「キミノコエガ…。」
+α/あるふぁきゅん。さんのオープニングはメチャクチャ恰好良かったと思います。

1クール12話の物語でした。
きっと物語としては全然序盤なんだと思います。
これは続きもアニメで…を希望します。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

64.5 24 犯罪者アニメランキング24位
はいぱーぽりす(TVアニメ動画)

1997年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (22)
164人が棚に入れました
猫又ハーフのバウンティハンター“笹原夏姫”は、人と魔物の法と秩序を守るために“ポリスカンパニー”の社員として、凶悪な犯罪者と戦い続けていた。ある日、夏姫はコンビを組んでいる先輩“バタネン藤岡”とともに犯罪者と戦っていたが、誤って彼にケガをさせてしまい……。

声優・キャラクター
宮村優子、芝原チヤコ、大塚明夫、石野竜三

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

綺麗なお姉さんは好きですか?可愛いケモノ耳っ子は好きでつか(゜∀゜)?w

オイラってヲタとしての道を踏み外した原点なるものがハッキリとしてなく、テレビっ子がそのままおっきくなっちゃった感じの駄目人間なのですがw
そんな中でもハッキリと自分は人と違う道に進んでんだなーって自覚するキッカケみたいのを辿っていくとだいたいこの年代に行き着きます
当時は小学校高学年ぐらいですね(爆


で、コイツはオイラが生まれて初めて見た思い出の深夜アニメでつ
当時はなぜ夜中にアニメがやっているのかものすごく不思議な感覚でした^q^
親に内緒でテレビに噛り付いてたドキドキ感がナツカシスw


原作はエロいことで有名なMEE(みーくん)先生ですが、本作は連載が少年誌だったのでエロいシチュエーションとかは全部オミット、普通のローファンタジー&ドタバタSFアクションに


舞台は退廃としてて廃墟ビルが並ぶ2022年の東京は新宿
魔物やら妖怪やらが人間と普通に共存している世界観なんですが、人間より強いことをいいことに犯罪や人殺しを働く輩も沢山で治安は最悪
民間企業として活動し、毎度ドタバタを起こして世間様をお騒がせしつつも、日夜凶悪犯罪者と闘う賞金稼ぎ達のお話でつ


監督は地獄少女、夏目友人帳の大森貴弘
キャラデザはナデシコ、神様ドォルズOPの後藤圭二
音楽はひぐらし、ガンダム00の川井憲次
と、当時でも今見ても地味に豪華なスタッフが集結


主人公の笹原夏姫にはちょうどエヴァでブレイクしたての宮村優子さん
他にもやはり豪華声優陣


正直お話がメチャクチャ面白いとかヌルヌル動く作画があるとかじゃ無いんです
ただ後藤圭二自身はモチロンのこと、神戸洋行さんとか昔の京アニ勢とかが地味にいい仕事してくれてまして、この「線多め」「影入れまくり」「ハイライト増し増し」な繊細キャラデザのおんにゃのこ達をひたすら丹念に描き続けていくっていう幼いオイラに『キャラ萌えの概念』を植えつけた元凶なんですわ(笑)


猫又の夏姫ちゃんに『猫耳の素晴らしさ』を説かれ、他にも妖弧や人狼などひたすら『ケモノ耳萌え』を刷り込まれて今日のオイラに至るわけですw


ってなわけでオイラは今でもコイツをたまーに見返してみてはアニヲタとしての原点回帰と言うかゼロ点調整を行っているのでつ
可愛いお耳をお探しの方はドウゾ^q^
ご飯三杯はいけることをお約束しますw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 13

64.3 25 犯罪者アニメランキング25位
アクティヴレイド -機動強襲室第八係-(TVアニメ動画)

2016年冬アニメ
★★★★☆ 3.4 (379)
1795人が棚に入れました
第三次流砂現象によりその一部が泥濘に沈んだ東京。復興作業用に作られた、 高出力・強化外骨格<ウィルウェア>を使った犯罪の増加に対処すべく、警察庁警備局は、 その吉祥寺分室に第五特別公安課第三機動強襲室第八係──通称<ダイハチ>を新設した。 様々な法的制約としがらみに縛られながら、 知恵と勇気と口八丁で凶悪事件に挑む若者達(一部を除く)! 決裁完了、出動せよ!!

声優・キャラクター
島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、村田太志、相坂優歌、花江夏樹、大川透、大西沙織、鳥海浩輔、緑川光、大原さやか、山下大輝、黒沢ともよ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

色々頑張ったが・・・タイバニにもサイコパスにもなれなかった残念作

『コードギアス』の監督を務めた谷口悟朗氏を総監督に迎えて、かなり気合を入れて企画・制作された作品だと思うんですよ、これ。

2011年のヒット作『TIGER&BUNNY』や翌2012年のヒット作『PSYCHO-PASS(サイコパス)』をよく研究して、「今の売れ筋はコレ!」みたいな感じで企画が練られ、それらに続くスマッシュ・ヒットを狙って相当な勢いで制作が始まった作品だなあ・・・という感じが本作の視聴を始めてすぐに私にはヒシヒシと伝わってきました。

・・・が、しかし。アニメ業界は非情!
第1期から何故か思うように人気が出ず、慌てたスタッフが第2期では主人公を{netabare}『サイコパス』風の女性キャラから、より腐女子受けが狙える男性キャラに挿げ替える{/netabare}、という大手術を施してテコ入れを図ったにも関わらず、第2期はさらに悲惨な成績となってしまったそうな(いわゆる「爆死」ってヤツですね)。

何で、こうなった????
(私の見解は、下記の◆視聴メモ参照)

いずれにせよ、作画/演出/設定/音楽の各方面で、これだけ高い水準(※『サイコパス』と同水準で、『TIGER&BUNNY』より少し上だと思います)を満たしながらも、企画されたプロットのほんのすこしのミスが、こんな残念な結果を招いてしまうことの実例として、個人的には見て勉強になった作品でした(人にはお薦めしませんが)。


◆視聴メモ(第1期)
{netabare}
第1話視聴終了時点
・『サイコパス』風のヒロインで、『TIGER&BUNNY』風のバトル・スタイルで、『機動警察パトレイバー』風の作品世界・・・とりあえず掴みはOK。
第3話視聴終了時点
・男の娘アイドルあむちゃんって・・・『しゅごキャラ!』か笑(ナギヒコ?)。
第10-11話視聴終了時点
・ここから大詰めだが、リアル・バトルではなく、システム乗っ取り合戦がメインという点をどう見るか?やっぱりソフト関係に疎い層にはいまいち受けないのでは?と危惧。
第12話(最終話)視聴終了時点
・ラストが意外としょぼく、まさに「大山鳴動して鼠一匹」状態で、これでは評価が余り上げられない(※これでは、『サイコパス』の折り返し回どころか『TIGER&BUNNY』にも及ばない印象)。{/netabare} 


◆視聴メモ(第2期)
{netabare}
第1話視聴終了時点
・花咲里あかり転属!まさかの主人公交代か?{/netabare}


◆期別評価

1st.シーズン  ★ 4.0  (12話)
2nd.シーズン  ☆ 3.5  (12話)
--------------------------------------------
総合      ☆ 3.7  (計24話)


◆制作情報
{netabare}
原作         創通、フィールズ、フライングドッグ
監督         谷口悟朗(総)、秋田谷典昭、福島利規(副)
シリーズ構成     荒川稔久
キャラクターデザイン 佐伯俊(原案)、西田亜沙子
メカデザイン     森木靖泰、谷裕司、鈴木勘太
音楽         中川幸太郎
アニメーション制作  プロダクションアイムズ{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

====== アクティヴレイド -機動強襲室第八係- (第1期) (2016年1-3月) ======
{netabare}
第1話 コード No.538 ★ 西暦2035年、花咲里あかりのダイハチ配属、銀行強盗捕縛任務
第2話 学園崩壊 ★ 人質(山吹凛室長の妹)救助任務(花咲里ウィルウェア(WW)装着初出動)、ロゴス策動
第3話 アリーナからの挑戦 ★ 男の娘アイドル(神明あむ)ファン暴走 ※挿入歌「ミナクル☆ラッキー」
第4話 旋回空域 ★ 民間機爆破物解除任務、瀬名の同期生・統合自衛隊エリート凡河内みほ登場
第5話 消失のポーカーフェイス ★ ロゴスの指金ギャンブラー、天野円活躍
第6話 夢は、彼方の黄昏 ★ 巨大人型ロボット・バトル(舩坂係長と霞ヶ関博士・元正規パイロット)
第7話 ロングレールライフ ☆ 鉄オタはるか巡査部長の犯人説得失敗、長沼都知事候補不審死
第8話 アルティメイドロンド ★ 統自極秘開発WW(凡河内二尉装着)、瀬名&凡河内共同作戦(爆破物解除)、アルティメイド暴走、統自特殊部隊投入
第9話 ロゴスの名のもとに ★ バードのドッグ(通称フィッシャーマン)抹殺失敗、ドッグ都庁襲撃、ドッグvs.凛
第10話 姿なき征服者 ★★ ミュトス&バード面談、生徒会長・八条司稀(ロゴス・トップ)拘留、ダイハチ解散命令(任務は統自移管)、あかり配属の真相、ロゴスの「国家公共統合情報基盤(通称オロチ)」乗っ取り
第11話 ジャパン スタイル ★ 非常事態宣言発令、バードの凜挑発、ミュトス&ダイハチの「ロ」争奪戦、ミュトスの全システム掌握
第12話 誰がための秩序 ★ 最上位権限争い、バードのミュトス裏切り・国外逃亡、ミュトス身元特定・投降{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)1、★(良回)10、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.0

OP 「Golden Life」
ED 「透明な夜空」


==== アクティヴレイド -機動強襲室第八係- 2nd. (第2期) (2016年7-9月) ====
{netabare}
第1話 西から来た男 ☆ ダイハチの新体制(エミリア&まりも配属)、スナイパー瀬名復帰 ※挿入歌「なにはなくとも」
第2話 果てなき復讐者 ★ 記憶移植事件(元警察官の復讐、黒騎救出)
第3話 天使と壊神 ★ ダイク花咲里警部への支援要請、フィンガーズ出動 ※挿入歌「なにはなくとも」「戦う怒龍號の歌」
第4話 再びのミュトス ★ ミュトス(巴弥 ともひさ)の操作協力、バード(八条司稀)の帰国
第5話 利するは誰か ☆ 陽の同級生の地下アイドルと反体制派大学生、黒騎の傷 ※挿入歌「ミヴ♡ドリーム」
第6話 逆襲のルドラ ☆ 特撮怪獣映像監督と瀬名の交流
第7話 絶対ピーピング宣言 ☆ 海水浴・水着回
第8話 異邦人は風のなか ☆ 流砂地区と不法移民、カルパヌパ公国への強制送還
第9話 第八係 出撃せず ☆ 高層ビル建設抗議デモ、稲城都知事のダイハチ出動中止指示、仕組まれた一連の騒動・稲城都知事とバードの繋がり(ミュトス指摘)
第10話 訣別の宴 ★ 稲城の凜への2回目プロポーズ、教会の稲城問い詰め、バード死亡?
第11話 偶像の夢 ★ 東京都市サミット開幕、稲城都知事の長沼議員殺害証拠映像公表、衛星落下
第12話 素晴らしき日常{ ★ 黒騎宇宙出撃、衛星破壊、バード逮捕{/netabare}
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★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)6、☆(並回)6、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.5

OP 「セルリアンスカッシュ」
ED 「Field Trip!!」

投稿 : 2024/06/15
♥ : 12
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

2期があったってことは、それなりに面白い作品だったんだろうな。

[文量→小盛り・内容→酷評系]

【総括】
ジャンルは、近未来SFフィクション。

監督は『無限のリヴァイアス』『スクライド』『プラネテス』『コードギアス 反逆のルルーシュ』などの谷口悟朗さん。

しかもオリジナル作品ということで、かなり期待していたことが裏目に出たというか、自分が期待していた作品(攻殻機動隊みたいなやつ)とは違い、途中で切ってしまいました。が、今振り替えれば、そこまで悪い作品ではなかったような、そうでもないような(笑)

まあ、気になったら観てみても良いと思いますよ。

《以下ネタバレ》

【視聴断念(4話まで)】
{netabare}
う~ん、パトレイバーとか大好きなんで、好きなジャンルではあるんですが。シリアスにしたいのか、ギャグにしたいのか。

いや、ギャグなんだろうね。

なんとなく、素材に合わない味付けの料理を食わされてる気分。マグロの刺身をケチャップで食う違和感というか。素材に合わないトリッキーな味付けは、名作に化ける可能性もあるけど、大抵はおいしくないわけで。名前負け、というか、タイトルで期待(内容を予想)し過ぎた私が悪いのかもしれません。
{/netabare}

【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
タイトル通り。期待とは違う。そんだけ技術が発展してるのに、容疑者を縄で縛るとか^_^; 胸を強調したいだけに見えて、不快。

2話目
何が何やらの間に事件解決。キャラの説明回かな? このテクノロジーの時代の超進学校なのに、本を裸で束ねて持ち歩くって、明治時代か(苦笑)

3話目
なんとなく事件がおき、なんとなく事件が解決してる感じ。(利用されているだけとはいえ)犯罪者に魅力がないんだよね。警察側も、チャライだけで格好よさがない。次につまんなかったら、申し訳ないけど、切りかな。

4話目
首都圏の迅速な対応として、指揮車両(電車)はおもしろいが、普通の電車を止める手順や場所が大変そう。普通に空からの方が良くない? 途中までは面白かったが、やはり雰囲気崩したか。まっ、これが目指すべき作風ってことね。3話目まてよりは面白かった。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 15

さくらす さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

キャラに魅力を感じず、話もつまらない。

自分は谷口悟朗監督作品が大好きです。
この方が絡む作品は必ず視聴するようにしていますが、どうもここ数年微妙な出来のものが多く、、、というところです。

で、いきなり結論ですが、ものすごくつまらないです。
これがラノベ原作で、名前も知らない監督さんなら「はいそうですか」で済むんですが、谷口作品なんです、これは。

何がつまらないって、登場人物がどいつもこいつもどこか別のアニメに出演してるんじゃないの?ッて感じのテンプレキャラばっかり。
ストーリーも抑揚に欠けていて、一体どこに落とし所を求めているのかさっぱりわかりません。(これ本当に谷口さんが関わってるのか???)
これで谷口ブランドが冠されてなければ、間違いなく三話切りです。

これから急にストーリーが盛り上がって、二期にかけて凄まじく面白くなってくる。。。。。事を切に期待しています。
(そうして、感想を書き直したいです)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 3
12
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