兄妹で心理戦なおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの兄妹で心理戦な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月09日の時点で一番の兄妹で心理戦なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

95.6 1 兄妹で心理戦なアニメランキング1位
かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (1689)
7406人が棚に入れました
家柄も人柄も良し!!将来を期待された秀才が集う秀知院学園!!その生徒会で出会った、副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行は互いに惹かれているはずだが…何もないまま半年が経過!!プライドが高く素直になれない2人は、面倒臭いことに、"如何に相手に告白させるか"ばかりを考えるようになってしまった!? 恋愛は成就するまでが楽しい!!新感覚"頭脳戦"ラブコメ、開戦!!

声優・キャラクター
古賀葵、古川慎、小原好美、鈴木崚汰、花守ゆみり、青山穣
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

かぐやさん可愛いくてたまらない。

このアニメを見て原作を読みたくなった。かぐやさんのあまりの可愛さにキュンキュンしっぱなし。古賀葵の演技も役にぴったりで好き。心の機微が何とも言えない。所々、バカップルと化している。
お仕えしている早坂も好き。

続きもアニメ早く。

印象に残ったところをネタバレ込みの感想
{netabare}
最初はお互いに告白するというなら付き合ってやらないこともないみたいな感じだったけど、いつの間にか両想いに。
会長は子供が9人欲しいだなんて。
7話の石上君の彼女持ち運動部嫌いの話は凄く共感してしまった。
ちんちんで爆笑するという小学校低学年で経験することを高校生になって経験するかぐやさんはツンツンしつつも、面倒見も良い。
11話。駄菓子屋のじいちゃんに謝れ。
唐突に始まるグルメ。謎すぎるラーメン戦。豚骨とかバリカタとか福岡好きなの?ラーメン四天王濃い。
ずっとコメディできてたのに、急にかぐやの切ないエピソード。呼びつけておいて放置プレイする父親くそすぎて腹立つ。予定を変更してまで行こうとした花火大会に行くことを許されない。自転車を飛ばしてかぐやさんの元へ向かう白銀と早坂の協力を得て屋敷から脱出し、ラーメン四天王の運転するタクシーに乗るかぐやさん、行き違い。さらに、花火に間に合わず、泣いて悲しむかぐやさんの元に白銀が花火を見せてやると登場するとかかっこいい。ラーメン四天王の力を借りて千葉までぶっ飛ばす。かぐやさん惚れるに決まってる。気持ちは分からんでもないけど、格好良かったから後からそんなに恥ずかしがらなくても。かぐやさんの好き避けで余計に辛い。CROSSOVERからのアスタリスク、デルタ。良い雰囲気になったのに、最後をしっかりギャグで締めてくれて最高。痛いの意味が違う。そして、例のカップルうぜえ。
{/netabare}

OP
ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花 歌 鈴木雅之
アニソン界の大型新人。こんな凄い人が新人だなんて半端ないって。映像のキャラクターの動きが演出と相まって癖になる。千花の動きも良い。
ED
センチメンタルクライシス 歌 halca
チカっとチカ千花っ♡ 歌 藤原千花(小原好美)
ダンスが可愛いと少し話題に。一回しかEDで使われなかったのは残念。ドーンだYO♬



以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 映画に誘わせたい/かぐや様は止められたい/かぐや様はいただきたい
将来を期待された秀才が集う秀知院学園。その生徒会副会長・四宮かぐやと会長・白銀御行は互いに惹かれているはずなのだが、プライドが高く素直になれない2人は、面倒臭いことに、“如何に相手に告白させるか”ばかりを考えるようになってしまう。何もないまま半年が経過したある日、書記の藤原千花が懸賞で当てた「男女で観に行くと結ばれるジンクスのある映画のペアチケット」をきっかけに、”恋愛頭脳戦”の火蓋が切って落とされる…。

2. かぐや様は交換したい/藤原ちゃんは出かけたい/白銀御行は隠したい
恋愛は百戦錬磨というイメージを付けられていた白銀は、交際経験がゼロなのにもかかわらず、ある男子生徒から恋の相談を受けてしまう。もしここでボロを出してしまったら、生徒会長としての威厳が保てない。焦った白銀は「恋愛のことなら俺に任せろ!」と無理を承知で引き受けてしまった。その様子を見ていたかぐやは、会長の恋愛観を探るチャンスを逃すまいと盗み聞きをするが、白銀のアドバイスはあまりに予想外で……。

dアニメストア for Prime Videoで観る
3. 白銀御行はまだしてない/かぐや様は当てられたい/かぐや様は歩きたい
校長が没収してきた不健全な雑誌をチラ見した藤原は「初体験はいつだったアンケート」のページを読んでしまい大慌て。なんと高校生の34%が経験済みだという。実際はそこまで高くないはずと藤原をなだめる白銀に対し、かぐやは「私は適切な割合だと思います」と言い放ち、自分はすでに経験済みだと告げる。恋愛をしたことがない白銀は突然の告白にショックを受けるが、その反応を好機と見たかぐやは「彼女居ないんですか?」と煽ってきた!

4. かぐや様は愛でたい/生徒会は言わせたい/かぐや様は送らせたい/白銀御行は話したい
パリの姉妹校との交流会に向けて、藤原のアイディアでなぜかコスプレをすることになってしまったかぐやと白銀。かぐやは内心くだらないと思いつつも、猫耳を付けて「にゃあ…」とポツリ。だが大の猫好きである白銀にとって、その姿がまさかの大ヒット。あまりのキュートさに平常心が保てなくなっていく。さらに白銀も猫耳を付けると、今度はかぐやが大興奮。可愛いという気持ちを隠しきれず、だんだん二人の様子がおかしくなっていき……。

5. かぐや様はこなしたい/白銀御行は見せつけたい/かぐや様は差されたい
勉学において右に出るものはいないものの運動センスは絶望的な白銀は、放課後の体育館でバレーボールの練習に励んでいた。しかしどうやっても成長の兆しすら見えない。バレーの授業は来週に迫っており、このままでは完璧な生徒会長というイメージが崩れてしまう。そう一人落ち込んでいたところに、藤原がやってきた。白銀は恥を忍んで教えを請い、藤原の熱血指導によるトレーニングの日々が始まった。果たして人並みのサーブを打てる日はやって来るのか?

6. 石上優は生き延びたい/藤原千花はテストしたい/かぐや様は気づかれたい
生徒会第4のメンバー・石上優は、1年生であるにもかかわらず白銀にスカウトされ、生徒会の会計を任された逸材である。根暗な性格ゆえに普段はあまり目立たないが、彼なしで生徒会は成り立たない。そんな石上が突然「生徒会を辞めたい」と白銀に話を持ちかけてきた。必死の説得にも応じず、彼の決意は固い。どうやら止むに止まれぬ事情があるようだ。そして石上は目に涙を浮かべながら、そのワケを語り始める。「僕、多分殺されると思うんです」と……。

7. 白銀御行は働きたい/かぐや様は入れたい/かぐや様は堪えたい
柏木の彼氏から、またしても恋愛相談を受けてしまった白銀と、またしても盗み聞きをしようとするかぐや。白銀のアドバイスのおかげで柏木と付き合うことはできたが、付き合って1ヶ月が経つのに、まだ手も繋いだことがないのだという。「どうやったら手を繋げますかね!?」という低レベルな質問にかぐやは呆れかえるが、白銀は交際経験がなくても答えられそうな悩みに一安心。だが白銀のアドバイスは今回も予想外の方向に……。

8. かぐや様は呼ばせたい/白銀御行は負けられない/そして石上優は目を閉じた
期末テストが迫った生徒会室では、いつも以上のプレッシャーの中で、かぐやと白銀の心理戦が繰り広げられていた。白銀に勉学では勝てないことにプライドを傷つけられた万能型の天才・かぐや。生徒会長として学年トップの座を誰にも譲るわけにはいかない努力型の天才・白銀。二人は相手を出し抜くために嘘を付き合い、権謀術数をめぐらせていく……。ついに訪れた期末テスト当日。勝利の女神は一体どちらに微笑むのか!?

9. かぐや様は送りたい/藤原千花は見舞いたい/四宮かぐやについて①
かぐやが風邪で学校を休んでしまい、白銀がプリントを届けることになったと話すと、藤原は「私が行きます!」と大興奮。藤原が言うには、風邪を引いたかぐやは「あまえんぼ」になってしまうそうだ。素直で可愛いかぐやの姿を妄想してドキドキの白銀だったが、生徒会メンバー全員で家に押しかけたら迷惑がかかる。そこで誰がお見舞いへ行くのか、神経衰弱で決めることに。石上も巻き込み、真剣バトルがスタートした!

10. かぐや様は許せない/かぐや様は許したい/白銀御行は出かけたい
お見舞い事件のせいでケンカをしたかぐやと白銀は、お互い素直になれず険悪なムードになってしまう。そんな中、かぐやは恋人がいる柏木に、友だちの話だと偽って恋愛相談をしてみることに。その一方、白銀もラブコメ好きの石上に、どうしたらケンカした異性と仲直りできるのかを相談してみたところ、石上のテンションがどんどんヒートアップしていく……。様々なアドバイスを聞いているうちに、かぐやと白銀は自分の本当の気持ちに気付き始める。

11. 早坂愛は浸かりたい/藤原千花は超食べたい/白銀御行は出会いたい/花火の音は聞こえない 前編
学校が夏休みに突入してから半月、生徒会がないため白銀と会うことができず、かぐやはもどかしい日々を過ごしていた。しかし夏休みの後半には、生徒会のメンバーと花火大会へ行く約束がある。財閥の令嬢として厳しく育てられたため、夏休みの思い出を作れてこなかったかぐやは、皆と一緒に遊べる日が来ることを心待ちにしていた。ついに花火大会当日、夏らしく浴衣を着て出かけようとしたかぐやのもとに、父の執事が現われ……。

12. 花火の音は聞こえない 後編/かぐや様は避けたくない
生徒会のメンバーと花火大会へ行く約束をキャンセルしてしまったかぐやは、暗い自室に一人閉じこもっていた。落ち込んだ様子を心配した侍女の早坂はかぐやを励まし、屋敷を抜け出す計画があることを告げる。執事たちの目をかいくぐって、何とか会場に辿りついたかぐやだったが、花火大会はすでに終わっていた……。皆と一緒に花火が見たかったと涙するかぐや。そこに「だったら俺が見せてやる」と懐かしい声が響く。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

満足のいくアニメ化でした!2期にも期待!

~・~・~・~・~・~・~・~放送前レビュー~・~・~・~・~・~・~・~
1~2話先行上映に行ってきました

ヤングジャンプ(以下YJ)連載中のギャグマンガ
もともとはミラクルジャンプつまりはYJの増刊号での連載でしたが
人気が出たのでYJ本誌へと栄転してきました

移籍後も高い人気は維持されており
これまでにも何度かアニメ化のうわさが流れ
そして今回ついに待望のアニメ化となりました

しかしYJ作品のアニメ化ですが
まず非常に打率が低い・・・
そして数少ない当たった作品も
原作がアニメ化以降急に失速したりと
まぁとにかくYJ作品にとってアニメ化は鬼門です

何度か他作品のレビューにも書いているので
現在連載中の作品に絞ってみましょう

キングダムのCGは伝説級のクソ
原作は今でも変わらず面白いですが
アニメが函谷関目前で終わって
続編の報が途絶えてしまったのは
明らかにあの同人レベルのCGのせいでしょう
今度実写映画もやるみたいですが・・・

ゴールデンカムイもはっきり低予算でした
しかしアニメだけ見ている人達にはそこそこ好評で
原作の売り上げもだいぶ上がったようなので
商業的には低コストな分だけ
コストパフォーマンスが上がっているとみることもできます
個人的にはだいぶ不満が残りますが
アニメ化自体は成功といっていいでしょう
しかし連載中の原作のロシア編が
どうしようもなくつまらないんですね
どうしてこうなった・・・

テラフォーマーズのアニメはよく知りませんが
原作がそもそも読む価値のないレベルの出オチ作品なので
あれをアニメ化してしまったこと自体が
YJの生み出した不幸の一つとしか言いようがありません

銀河英雄伝説に関してはYJからのアニメ化
と言うにはだいぶ語弊があるので
今回は評価対象外としておきます

とまぁネガティブな情報ばかりを並べましたが
かぐや様はいったいどんなひどい目に遭うのか?
もういっそYJ作品はアニメ化なんてしない方が幸せなんじゃないか?
なんて思いつつ観に行った先行上映会の感想は・・・

藤原書記がとてもかわいい!!!

もうこれだけでこのアニメは安泰ですねW
他の部分で何をどんなにやらかしても
これだけで十分アニメ化の価値はありましたd(・x・

という冗談はさておき
原作信者目線で気になった点を何点か

アニメ版は非常にテンポよく進みます
上映会はもともと1話の先行上映という触れ込みでしたが
サプライズで2話まで見せてもらいました
多少順番が前後はしているものの
アニメ1話2話どちらも
原作1巻から3話分ずつ抜き出してありました
基本的にギャグアニメなので
テンポがいいことは悪いことばかりではないのですが
話がサクサク進み過ぎて余韻が足りないイメージを受けました
あくまで原作ファンだからそういう印象になっただけで
アニメから入った場合は気にならないのかもしれません

もう一つはナレーション
登場人物たちの状況・心情などを
セリフを使わずコマの中で言葉で解説してあるものが
全部ナレーションという形で入るのですが
そのナレーションがオーバーアクションというか仰々しすぎる
イメージとしてはカイジですかね
あの作品も状況説明などを文で入れてあり
アニメではかなりアクの強いナレーションがつきました
あれはあれで慣れると癖になるというか
漫画を読んでいても勝手に脳内再生されるくらい
最終的には違和感が無くなったので
もしかしたらこの作品でも
しばらく見ていたらいつの間にか気にならなくなっている
あるいは原作未読なら最初から気にならない
という可能性はあるかもしれません

あと、スピンオフでYJに本家と一緒に連載されている
かぐや様を語りたい
の連中が今のところ顔見世程度ではあるものの
原作以上に出てきているので
あのスピンオフが嫌いな人は今後要注意かもしれませんね

最近になってOPは鈴木雅之が担当すると発表され
放送開始前から話題になっていますが
先行上映では1話はOP・ED無し
2話はOP無し・ED映像なし楽曲のみでした
2話ラストに真っ黒な背景にテロップだけの状態で流れていたのは
halcaのセンチメンタルクライシス
年末に新宿ReNYでのLiveにて初披露されていたのを
既に生で聞いていたのもあって
どうせならOPを聞いておきたかったところです

~・~・~・~・~・~・~・~舞台挨拶レポート~・~・~・~・~・~・~・~

先行上映の後は舞台挨拶もありました
{netabare}
四宮かぐや役
古賀葵

落ち着いたかぐやとは違いだいぶ天然系
話が要領を得ないのが笑いを誘うタイプ
残念ながらラジオ等と違い面白い部分だけを使えないので
舞台挨拶だとただの時間ドロボーに成り下がる
かぐや役と千花役が逆だったらすごく納得していたと思う

白銀御行役
古川慎

上映会は男女半々くらいでしたが
女性はだいたい彼のファンだった模様
YJ作品の読者層が男女半々なわけがないですよね
ツイッターフォロワー限定の無料イベントだったので
単純な抽選じゃなくてツイート内容から精査してるのでしょうね
そして女性を集めていったら
原作ファンではなく声優のファンが集まったと・・・

印象に残った回を聞かれて
バレーボールの特訓回と答えた際
会場の原作ファンから歓喜の声が上がってました
うん、特訓シリーズ面白いよねw
千花役の小原さんは
演じてるうちにイライラしてきて
素で切れてたら
「もう少し藤原に寄せてください」
とダメ出しをもらったそうな
これは放送が楽しみですね!

藤原千花役
小原好美

印象に残った回を聞かれてあげたのは
ラップパート
原作にもある千花のラップパートですが
台本には歌詞だけが載っており
メロディは演者が即興で作るという
とんでもない声優泣かせのトラップ
共演者の弁によると
初回の時よりも緊張してガチガチだった
のだそうな
何という無茶ぶり・・・

石上優役
鈴木崚汰

石上がでるのはまだ先のようで
今回はまったく出番がないのに
舞台挨拶だけ呼ばれたようです
メイドインアビスといい流行ってるのかな(--;
出番がないということは
当然アフレコにも参加していないということです
1話2話の映像に関してはジャンプフェスタで見せてもらったそうで
視聴者の目線で会話に加わりたいと思います!
と意欲は見せたものの
あまり見せ場を作れず終わりました
これまたなんという無茶ぶり・・・ {/netabare}

~・~・~・~・~・~・~・~1話見て~・~・~・~・~・~・~・~

なんですかね・・・
曲が悪いとまでは言いませんが
作品にマッチしているとも
強烈なインパクトがあるともいえない
ただ大御所連れてきました!ってだけですね

鈴木雅之はアニソンを担当するのは
今回が初めてだそうです
しかし、彼が活躍した時代を考えると
正直それで喜んでる世代の中に
このアニメの視聴者となる層がどれほど入っているんでしょう・・・
たぶんここに鈴木雅之を起用することが面白いと感じてしまう
そんな世間との感覚のずれが
YJアニメを屍の山にしてしまったような気がしてなりません

いろいろ不安要素はあるものの
普通に作れば十分に佳作となるはずなので
変な冒険せずに無難にアニメ化してほしいものです

~・~・~・~・~・~・~・~全話観て~・~・~・~・~・~・~・~

全体的によくできていました
石上は声がついて原作以上に味のあるキャラになりました
また、3話のEDは驚異のクオリティで話題になりましたが
逆にそこがピークなんて評価に落ち着いてしまった感もあります
終盤にもう一回くらい特殊EDを入れられれば
もう一段階ブーストできたかもしれません

全体的にラブ<コメディな作品ですが
終盤にシリアス回を持ってきたのは好みが分かれるところかもしれません
基本的にバカバカしいギャグ作品をやっている中で
ときどきがっつりシリアス展開をやるのはこの作品最大の魅力であり
そのギャップがそれぞれの良さをグッと引き立てていると思いますが
前情報なしに単純にコメディ路線だけを期待していると
終盤に肩透かしを食らって消化不良に終わりそうです

原作ファンからするとYJ作品には珍しい
非常に恵まれたアニメ化になったと思います
評判も上々のようなのでこのままぜひ2期へとつないでほしいですね!

仕事はできるが性格的にはかなりポンコツ揃いの生徒会ですが
2期になればあの中に混ぜても石上に並ぶレベルのポンコツ
会計監査伊井野ミコが登場します
個人的には作中ヒロインの中で一番(お)かわいいと思っているので
早く2期をやって動くミコの姿を拝ませてほしいですね

投稿 : 2024/05/04
♥ : 39

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

メガネの色

OP主題歌の鈴木雅之が、なんとも強烈だ。

現代的なアニメ絵の映像なのに、歌のパワーだけで視聴者の時間を90年代へ引き戻す。
いや、OP映像の終わり近くの、女子キャラの「チェキッ」ポーズも、ひょっとして『め組のひと』のオマージュなのだろうか。(わからない視聴者は、お父さんかお母さんに訊いてみよう)

劇番の中に『ラブストーリーは突然に』を思わせる曲が混じっているのも、90年代トレンディドラマを意識しているようだ。


頭脳戦、というキャッチコピーだが、展開されるのは、素直に好きだといえない高校生男女のすれ違いを描くラブコメディ。

思春期男女のよくある自意識のコジレが駆動するラブコメは、しょうもない、と苦笑しながらも(生)暖かく見守ってしまう。

全体に微笑ましく笑えるコメディだが、興味深いものを感じるのは、このコメディを視聴者に提出するための「舞台装置」の方だ。


フィクションは、何のメディアであれ、受け手=読者=視聴者の現実感覚に接続する「設定」を設けて、作中世界へと引き込まなくてはならない。

それこそ90年代のニューアカかぶれのテクスト主義者であれば、読者が解読する「正解」としての作者の「意図」などないと妄言を吐くのだろうが、妄言に過ぎない。

〈作者-読者〉間で、何らかの理解の共有がなければ、そもそも物語を語り=読み取る視聴体験など生じるはずがない。
物語を受け手に理解可能な形で提出する手段として、まず各種の「設定」が作者によって構築される。

本作では、自意識こじらせ男女のすれ違いを笑わせるために、すれ違いは、まず「頭脳戦」として設定されている。
「先に好きだと打ち明ける」ことは「負け」=将来的に「損」、という了解が、ラブコメを「頭脳戦」と規定する設定を生み出すのだが、なるほど「損得という考え方をしていれば『恋愛』なんてできるはずは無いよなあ」という視聴者の納得を喚起して、すれ違いの物語へ入り込む導入口の役割を巧妙に果たす。

いよいよ興味深いのは、この「頭脳戦」を導くものは、主人公たちが「天才」であるから、という理由付けであることだ。

作中の「天才」性の描写は、彼らが成績優秀者であると描写することに終始するが、いかにも偏差値教育的な偏見を感じさせる。

偏差値とは、言うまでもなく特定集団内での「順位」を示す指標だ。
「天才」を証拠立てる描写として、作中では一貫して成績の学内順位ばかりが描かれるが、しかし、集団全体の能力が低ければ、その集団内での順位=偏差値は、能力の高さを保証しない。
まして、「順位」を高めるための手段が他者の足を引っ張ることに終始するならば、なおさらだ。
「天才」という絶対値での「頭のよさ」を根拠づけるには、相対順位である「偏差値」はほとんど説得力がない。

ここで作者=製作者の設定が杜撰であると指摘したいわけではない。
読者=視聴者に「天才」と納得させるためには、偏差値=順位を持ち出せば有効だろうと作者=製作者は判断した、その判断が興味深いと感じたという事だ。
多くの視聴者=読者にとって、「頭がいい」とは「順位」が高いことなのだろうと作者=製作者は判断している、という事が。

「頭がいい」が「順位」という「上下」関係に規定されている、という設定は、「なぜ」ヒロインは「天才」なのかという理由付けが、「家柄がいい」からである、という設定へと進んでいく。
「上流」の、格「上」の家庭に生まれたことが、成績「上」位の天才である理由付けになる。

要するに「貴族」のように、生まれによって決定されているのだ。

いや、本物の貴族制では、貴族様と庶民は全く接点も相互理解もなく、互いに「そういう存在」としか認識されていない。
が、「家柄がいい」から「頭がいい」という理由付けは、「頭がいい」から支配する権利があるという循環論法として、「貴族」に支配される「庶民」が自分を納得させてしまうという点で、なお悪質と言えるかもしれない。

作中のナレーションではおざなりに否定されているが、そもそも舞台の学園が「良家」の子女が集まる「名門」校であり、ここでも「生まれ」によって特権を相続する新たな「貴族」階級が形成されている設定が貫かれている。

繰り返すが、作者や製作者による社会認識が前近代的であるとか言いたいわけではない。

21世紀の読者=視聴者は、「いい家柄」に「生まれついて」既得権や財産を継承する者は「頭のいい」天才であると思うはずだ、と作者=製作者によって判断されているという事が興味深いのだ。


自意識をこじらせたドタバタコメディを笑うには、コメディを乗せた舞台が「現実」と接点があると視聴者を錯覚させなければならない。
もしも原作マンガが人気を博し、アニメが好評であるとしたなら、この錯覚は成功しているという事になるだろう。

作中に登場する、コイバナに喰いつく「恋愛探偵」は、ピンクの色のついた色メガネでネタを探す。

「上流」の「いい家柄」では子供に既得権を引き継いでも当然であり、特権を引き継ぐ「から」頭のいい「天才」であっても当然であると設定を了解する視聴者は、どんな色のついた色メガネで社会を眺めているのだろうか。

それとも、作者=製作者の判断とは無関係に、別種のリアリティに支えられてコメディを笑っているのだろうか。

いずれにせよ、「頭脳」戦として「損得」を過剰に意識する「偏差値」の高い「天才」の「頭の良さ」は、「世襲」される「いい家柄」のハビトゥスと「既得権」に保証されているという設定を提出することは、作者=製作者が、読者=視聴者をどういう視線で捉えているかを暴露しているとはいえるだろう。

本作を視聴していて、時折『ブギーポップ』を想起した。
両作とも、製作者の目には90年代のままの視聴者が映っているようだ。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 11

88.8 2 兄妹で心理戦なアニメランキング2位
ノーゲーム・ノーライフ(TVアニメ動画)

2014年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (5436)
26602人が棚に入れました
ニートで引きこもりだがネット上では無敗を誇る天才ゲーマー兄妹の空と白の前に、神を名乗る少年テトが現れ、2人を異世界へと召喚する。そこは、一切の争いが禁じられ全てがゲームによって決まる世界だった。この世界で滅亡寸前の人類を救うべく、空と白の頭脳バトルが始まる。


声優・キャラクター
松岡禎丞、茅野愛衣、日笠陽子、田村ゆかり、井口裕香、能登麻美子、沢城みゆき、釘宮理恵、麦人、進藤尚美
ネタバレ

dolcetto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

人生なんて無理ゲーだ・・・だが、そんな人生もついにバグってしまった・・・

主人公はニートで引きこもり、ネット上では無敗の廃人ゲーマーの「 」(空白)と呼ばれる兄妹の空と白。兄は気取った感じの中二病、ずる賢くて疑り深い。妹は口数が少なくマイペース、とても頭が良いと言ったキャラみたいです。

物語はその兄妹の元に差出人:unknownの奇妙なメールが送られてくるところから始まる。「君ら兄妹は、生まれる世界を間違えたと感じたことはないかい?」と・・・兄妹はその誘いをのりチェスゲームを始める事になり、苦戦するも勝利する。そして、再度問われ、回答する。
{netabare}
Q.目的もルールも明確な盤上の世界があったらどう思うかな?
A.そんな世界があるなら、俺達は生まれる世界を間違えたわけだ。
{/netabare}
そして、兄妹の人生はついにバグった・・・

キャラとしては、ひきニート兄妹の病的な感情起伏の激しさが面白いと思います。世界観もかなりファンタジーであり、ギャグアニメのようなノリでパロネタ等やりたい放題と言った感じです。

1話
{netabare}一通のメールにより、ゲームの世界に招待されてしまった廃人ゲーマーの兄妹。そこでは争いを禁じられ、ゲームの勝敗で全てが決められていた。行き成りのスカイダイブで最初は戸惑いつつも、早くも世界のルールを把握し順応。そして、ゲームで雑魚を蹴散らしていく。こうして、ファンタジーな世界を舞台としたゲームは始まった・・・
最後の元ネタはFFⅨのジタン「誰かを助けるのに理由がいるかい」と言う解釈でいいのかな?{/netabare}

2話
{netabare}身ぐるみ剥がされた御嬢さんとジャカジャカジャンケン。そして、どんなにふざけた内容の願いでも勝てば叶う不思議システム。+αなぞのひきニート兄妹システムが明らかになるお話。とりあえずの目標は決めたみたいです。
最後の元ネタは「エルシャダイ」でネット流行語にもなったあの台詞。{/netabare}

3話
{netabare}初っ端から逆転裁判ネタでとばしてきてます。今回の勝負はチェスみたいですが、普通のチェスではなく、やりたい放題の完全ファンタジーでした。王の座を賭けた戦いの行方は…
最後の元ネタは「たけしの挑戦状」かな?「こんなげーむにまじになっちゃってどうするの」{/netabare}

4話
{netabare}王の座を賭けためちゃくちゃな戦いに決着。チェスと言うより、シミュレーションゲームでした。戦わずして勝つ、見事なノーゲーム。いや、ゲームで勝負してよ…
そして最後はドラクエで宿屋の主人「ゆうべはおたのしみでしたね」{/netabare}

5話
{netabare}のうりんみたいな感じでパロネタが目立ってきました。今回はステフとの連戦の中でイマニティの勝てない理由を解説する回でした。そして、最後はドラクエネタでした。
王様「おおゆうしゃよ、しんでしまうとはなさけない…」
死んだ勇者に王様が城で言い放つ一言{/netabare}

6話
{netabare}今回は今後生き残る為に必要な情報を得る為に、巨大な図書館を保有し、ルー語を喋るジブリールと勝負する事になります。勝負の内容は具象化しりとり。しりとりで発言したものであるものは消え、ないものは現れると言うゲーム。主人公は初っ端から殺しにかかり、途中問題発言を連発しだします。そして、最後はスカイリムネタでした。
衛兵「昔はお前のような冒険者だったが、膝に矢を受けてしまってな・・・」
衛兵の台詞はほぼ共通で、よく喋る台詞がこれです。{/netabare}

7話
{netabare}今回はケモミミ王国の情報収集をするが、見つからず。その疑問や、愚王の秘密が中心となるお話し。
最後の元ネタはシミュレーションゲーム「Civilization」における開戦の言葉「貴公の首は柱に吊るされるのがお似合いだ」{/netabare}

8話
{netabare}ついにケモミミ王国に乗り込み、ケモミミ族の謎を暴く。ゲームは次回からかな?最後は空の存在が消されているのか、かなり気になる終わり方でした。
ちなみに最後の予告は「ワンダと巨像」とでLimitedBoxの発売もあった名作、「ICO」ネタ。
「この人の手を離さない。僕の魂ごと、離してしまう気がするから。」{/netabare}

9話
{netabare}今回は兄の存在を取り戻す為のお話。ボーっと見てたら意味わからないかも。
今回の予告は「バハムートラグーン」のヒロインのヨヨの台詞かな?
「サラマンダーより、ずっとはやい!!」
「おとなになるってかなしいことなの」{/netabare}

10話
{netabare}やっと終盤でゲーム開始みたいです。今までの話も大事だけど結構引っ張るなと。今期はこのゲーム終了で終わるのかな?
今回の予告は「ファイナルファンタジータクティクス」のアグリアスの台詞かな?
「今さら疑うものか! 私はおまえを信じる!!」
他のゲームや漫画のキャラでも言ってそうな台詞過ぎて、もう微妙です。{/netabare}

11話
{netabare}飛ばされた世界はSF世界と言う名の現代風架空世界。そこで「FPS」と言うよりも「サバイバルゲーム」をすることに。そして、無駄に気合の入ったギャルゲーチックなOP。
今回の予告は「FFⅣ」のあの台詞。
フースーヤ「 もうひといきじゃ パワーをメテオに 」
ゴルベーザ「 いいですとも! 」{/netabare}

12話
{netabare}ついに戦いに決着がつきます。物語としてはまだ先があるような形で終わり、1クールで終わるのが少し残念ですが、いろいろとネタが豊富でそれなりに楽しめました。{/netabare}

他のアニメで例えるなら、世界観は「ソードアート・オンライン」みたいな感じとし、「遊戯王」的なノリで勝負は「逆境無頼カイジ」の様なもの。そんなゲームの世界の住人との駆け引きはまるで「ログ・ホライズン」の様な、既存のアニメの良い所取りして味を薄めた二番煎じ感漂うものの様に思えます。このアニメが以上に挙げたアニメと大きく異なる点があるとするならば、それは主人公が現実の人生をクソゲーと称し、寧ろ住み心地の良さすら感じ始めたゲームの世界から抜け出す気などさらさらない廃人ゲーマーであることです。何を切っ掛けに心変わりし、何をするのか気になるところです。

この世界でのルール
{netabare}【一つ】この世界におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪を禁ずる
【二つ】争いは全てゲームにおける勝敗で解決するものとする
【三つ】ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる
【四つ】゛三゛に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わない
【五つ】ゲーム内容は、挑まれた方が決定権を有する
【六つ】゛盟約に誓って゛行われた賭けは、絶対遵守される
【七つ】集団における争いは、全件代理者をたてるものとする
【八つ】ゲーム中の不正発覚は、敗北と見なす(バレなければOK)
【九つ】以上をもって神の名のもと絶対不変のルールとする
【十】みんななかよくプレイしましょう{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 26

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

引きこもりが異世界でリア充に

よく分からないゲームをしても連戦連勝な話。
まあ面白いことも多いけど、主人公の性格に時折いらっとするんだよなあ。見続けたら慣れた。
ステフとフリューゲルの扱いは優しくしてほしいところ。


OP
This game 歌 鈴木このみ
おねがい☆すにゃいぱー 歌 初瀬いづな(沢城みゆき)
ED
オラシオン 歌 白(茅野愛衣)
やっぱりThis gameは名曲。絶対に欠かせない。

以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
1. 素人
ニートでヒキコモリ……だがネット上では「  」(くうはく)の名で無敗を誇る天才ゲーマー兄妹・空(そら)と白(しろ)。ただの都市伝説とまで言われるほどの常識外れな腕前を持つ空と白のもとに、ある日"神"を名乗る少年・テトが現れる。テトはリアルをクソゲーと呼ぶ空と白の二人を、一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる盤上の世界"ディスボード"へと召喚してしまう。

2. 挑戦者《チャレンジャー》
テトによって異世界へと放り出された空と白。そこは一切の争いが禁じられ、全てがゲームの勝敗によって左右されるというテトが定めた"十の盟約"により縛られた世界だった。異世界に住まう十六の種族のうち最弱の種族である"人類種'(イマニティ)"の国、エルキアにたどり着いた空と白は、エルキアの前国王の孫娘、ステファニー・ドーラことステフと出会い、次期国王を選定するギャンブル大会に挑む。

3. 熟練者《エキスパート》
圧倒的とも言える強運により、エルキアの次期国王を選定するギャンブル大会を勝ち進む少女、クラミー・ツェル。ステフもまた彼女に敗北し、次期国王となる資格を失っていた。ついに城内で行われていた最後の挑戦者とのギャンブルに勝利し、まさに国王として戴冠しようとしていたクラミーに、待ったをかけた空と白。二人はクラミーの背後に人類種ではない別の種族がいることを告げる。

4. 国王《グランド・マスター》
クラミーが仕掛けてきたゲームはただのチェスではなかった。チェスなんてただの○×ゲームと言い切る白さえも圧倒するクラミーに対し、為す術なく敗北するかと思われた空と白だったが、ゲームの本質を理解した空によって、決まりかけていた戦況は大きく動き出していく。エルキアの、ひいては人類種(イマニティ)の未来をかけた次期国王を選定するラストバトルは、ついに決着の時を迎える。

5. 駒並べ《ウィークスクエア》
国政をステフに押し付け、日がな一日読書やゲームばかりしている空と白。その姿に、もしかしたらエルキアだけでなく、人類種(イマニティ)全ての救世主となってくれるのではないかというステフの淡い想いは脆くも崩れ去る。一向に改善されることのない空と白のぐうたらな生活に、ついに堪忍袋の緒が切れたステフは、二人の"真人間化"を賭けて、ゲームを申し込むのだが……。

6. 一手《インタレスティング》
かつて位階序列第6位の天翼種(フリューゲル)とのゲームに敗北し、奪われてしまった国立エルキア大図書館を取り戻すべく、空たちは図書館へと向かう。空たちを出迎えたのは、ジブリールと名乗る天翼種(フリューゲル)の少女だった。空は異世界の知識を餌に、ジブリールにゲームを持ちかける。天翼種(フリューゲル)が行うゲームは伝統的に唯一つ。驚天動地のゲームバトルが幕を開ける!

7. 死に手《サクリファイス》
世界第3位の巨大海洋国家、東部連合に目をつけた空たち。しかしジブリールはいくら空と白の二人でも東部連合には勝てないと告げる。なぜならジブリールだけでなく、世界最大の国家であるエルヴンガルドでさえ、過去50年で4度挑み、いずれも敗北しているからだと。さらに前国王が東部連合に対して無謀な挑戦を繰り返し、国土の大部分を奪われていた事実が発覚する。

8. 起死回生《フェイクエンド》
負け知らずの東部連合が行う謎に包まれたゲームの秘密を暴いた空たちは、在エルキア東部連合大使館を訪れる。大使である初瀬いづなと副大使である初瀬いのを前に、大陸にある東部連合の全てを要求し、宣戦布告を行う空と白。のらりくらりと勝負を躱そうとする東部連合に対して、空たちはゲームの秘密とともに避けようのない一手を放つ。

9. 解離法《スカイ・ウォーク》
白が目を覚ますと空は消えていた。まるで最初から存在していなかったかのように、白のスマホの連絡先からも、ステフやジブリールの記憶からも消え去ってしまった空。確かに空は存在したはずなのに、状況の全てがそれを否定していた。取り乱す白を見て、ジブリールは白が勝負に負け、偽の記憶を植え付けられてしまったのではないかと疑う。

10. 指向法《ブルー・ローズ》
クラミーとフィールとの勝負に辛くも勝利した空たちは、彼女たちに東部連合とのゲームに協力することを求める。空の意図を理解するクラミーは要求を受け入れ、共に東部連合と戦うことを約束する。はれて仲間となったクラミーとフィールに対し、空は親睦を深めるために日本の伝統とも言うべき裸のお付き合いであるお風呂を提案するのだが……。

11. 誘導法《キリング・ジャイアント》
ついに始まった東部連合とのゲーム。それは仮想空間で行われるファーストパーソンシューティングだった。様々な策を練り、圧倒的な身体能力で迫り来るいづなと互角以上に戦う空たち。しかし完全に裏をかいたはずの攻撃も難なく躱されてしまい、一転して空たちは窮地へと陥る。徐々に追い詰められていく中、空をかばって白が被弾してしまう。

12. 収束法《ルール・ナンバー10》
一時的に物理限界を超える身体能力を得ることのできる血壊を発動させたいづなに対し、為す術もなく逃げ回ることしかできない空たち。全ての攻撃が見切られ、例え行動を先読みし放った避けようない銃弾であっても、そのでたらめの身体能力によって避けられてしまう。打つ手なしの状況の中で、ついにいづなの銃口が空と白を捉える。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7

keylove さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

神アニメ!すべてが完璧に近い作品だと思います!

二度観した作品の一つです。
レビュー遅くなりましたが、改めて書けると思います。

本当にすごい作品だと思います。
その世界観もさることながら、緻密に練られた構想、豪華声優陣、音楽、登場キャラ、そして名言集。
その全てが完璧に近いものだと感じました。

SAOなんかと比べられがちだとは思いますし、それと比較して評価は上回ってないのかもしれません。
なんせ、SAOはラノベの段階でこの作品とは違うレベルの評価のされかたをされていますから。

でも、この作品はSAOのような最新技術であり未来的な設定ではなく、あくまで異次元世界でのお話ということで勝負していますから、そういう、ともすれば退屈になりそうな設定の中でのこの面白さは相当なものだと思います。

ゲームですべてが決まってしまう世界。
それを主人公がどう捉えて、どう進んでいくのか。
これを書いてしまうとそれでもうネタバレになってしまうと思うので書きませんが、主人公たちに惚れると思いますね。

そして、主人公たちが口にする言葉。
それもとても印象的で、もはや名言だと思います。
それも書きませんけど、さすがラノベ原作といったところでしょうか。

あと、テーマソングや声優さんたちの顔ぶれなどがありますが、それは詳しく書きたいと思います。

この声優さんたちの顔ぶれは、ありえないぐらいに豪華です。


では登場キャラの紹介を。


空(そら)-松岡禎丞さん
この作品の主人公。
18歳。無職・童貞・非モテ・コミュニケーション障害・ゲーム廃人・白の義兄。
でもその能力は。。。
cvの松岡禎丞さんは本当にこういうチート主人公が得意ですね。
もうその声そのものがチートじゃないかと思うぐらいに定着しちゃってる感があります。
その松岡さんは、ソードアート・オンライン、魔法科高校の劣等生、ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか、など多数で主役級として欠かせないトップ声優さんの一人。

白(しろ)-茅野愛衣さん
本作のもう一人の主人公。
11歳。不登校・友達なし・いじめられっ子・対人恐怖症・ゲーム廃人・空の義理の妹。
ほとんど兄と同じで、兄と二人で『』空白
その妹の能力とは。
cvの茅野愛衣さんは、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない、ガールズ&パンツァー、ちはやふる、など多数で主役級では欠かせない存在のトップ声優さんの一人。


ステファニー・ドーラ-日笠陽子さん
イマニティーという人類種のお姫様。
通称ステフ。
ゲームの実力は・・・?
しかし、この作品には絶対に欠かせない存在の女の子。
cvの日笠陽子さんは、あらゆる役をやってしまいますね!
このステフの役もまた、すごい演技力だと思いました。
その日笠さんは、けいおん!、生徒会役員共、IS 〈インフィニット・ストラトス〉、など多数で主役級の大活躍をされています。


クラミー・ツェル-井口裕香さん
イマニティーの女の子。
暗い印象があり、ステファニーに対しても非情な態度を取る。
しかし、、、。
cvの井口裕香さんは、とある魔術の禁書目録、物語シリーズ、ガールズ&パンツァー、など多数で大活躍されています。


ジブリール-田村ゆかりさん
十六種族序列第六位、天翼種の少女。
実の年齢は6407歳。
天翼種の最後の個体で、スペックは最高。
空白とゲームで勝負、その結果。。。
cvの田村ゆかりさんは、ひぐらしのなく頃に、STEINS;GATE、俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる、など多数で大活躍されています。


フィール・ニルヴァレン-能登麻美子さん
森精種(エルフ)の上院議員代行。
エルフなので魔法を得意とする。
見た目は10代半ばだが、年齢はかなり上。
クラミーが生まれた時から知っていて、種族を超えた友達。
cvの能登麻美子さんは、CLANNAD -クラナド-、花咲くいろは、艦隊これくしょん -艦これ-、など多数で大活躍されています。


初瀬 いづな(はつせ いづな)-沢城みゆきさん
獣人種(ワービースト)で、黒髪黒目でフェネックのような大きく長い耳と尾を持つ。見た目年齢は1桁台の幼女。在エルキア東部連合大使。
その実力は。。。
cvの沢城みゆきさんは、夏目友人帳、物語シリーズ、ココロコネクト、など多数で大活躍されています。


テト-釘宮理恵さん
この世界の唯一神。
それだけ書いておきます。
cvの釘宮理恵さんは、灼眼のシャナ、とらドラ!、咲-Saki- 、など多数で大活躍されています。


という感じで、みなさん知っている人ばかりだと思いますし、その誰もが主役級であり、この作品でも本当に素晴らしい存在感を示しています。
とても「らしい」演技をする人もいれば、「意外」な演技をする人もいましたが、やはりものすごい実力派の声優さんの集合体だと感じました。

ね、これ以上に豪華な声優さんの集まった作品がそうそうあるとは思えませんよね?
そういう意味では最高級だと思います。


そして、テーマソングですが、

オープニングテーマ「This game」(第2話 - 第8話、第10話)
作詞 - 深青結希 / 作曲 - 若林充 / 編曲 - eba / 歌 - 鈴木このみ


エンディングテーマ「オラシオン」(第2話 - 第11話)
作詞・作曲・編曲 - ナスカ / 歌 - 白(茅野愛衣)

で、特にOPはとある科学の超電磁砲、やSTEINS;GATE系の音楽ですが、確実に神曲だと言っていいと思います。


なんか結局いつも以上に声優さんの紹介で終わった感がありますけど、本当に内容も素晴らしくて、こんな世界のこんな住人たちと会ってみたいと思いますし、こういう主人公たちの生き様が。。。
なのです。

もし観ていない方には、絶対にオススメします。


二期、絶対にあると思いますが、期待しています。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 33

89.3 3 兄妹で心理戦なアニメランキング3位
ノーゲーム・ノーライフ ゼロ(アニメ映画)

2017年7月15日
★★★★★ 4.1 (852)
5117人が棚に入れました
それは一切の争いが禁じられ、全てがゲームで決まる
《盤上の世界(ディス・ボード)》が
創造されるはるか以前の出来事。
世界を統べる唯一神の座をめぐり、終わりの見えない大戦が続いていた時代。
天を裂き、地を割り、星さえも破壊し尽くさんとする凄惨な戦争は、
戦う力を持たない人間たちに理不尽な死を撒き散らしていた。
強大な力を持つ様々な種族に追いやられ、
存亡の危機に瀕する人間を率いる若きリーダーの名はリク。
一人でも多くの人間が明日を迎えるために心を砕き、
擦り減らす日々が続くある日、リクは打ち捨てられた森霊種(エルフ)の都で
機械仕掛けの少女・シュヴィと出会う。
機械には持ち得ぬ心に興味を持ってしまったことでエラーを起こしてしまい、
仲間たちから廃棄されてしまったシュヴィは、エラーを修正するため、
リクに《人間の心》を教えてほしいと頼むのだが……。
これは六千年以上もの昔に紡がれた
《最も新しい神話》へと至る《最も古き神話》。
記録にも記憶にも残らない、誰にも語られることのない物語が今、幕を開ける——。

声優・キャラクター
松岡禎丞、茅野愛衣、日笠陽子、田村ゆかり、井口裕香、能登麻美子、沢城みゆき、釘宮理恵
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

私の「感動したら負け」クリード(信条)を易々とクリアされてしまった!

この劇場版を見るまでは、異世界ファンタジー/異世界召喚ものジャンルで一番出来の良い作品は、『ソードアート・オンライン』シリーズで、対抗馬は『Re:ゼロから始める異世界生活』、そして『ノーゲーム・ノーライフ』は3番手かな、と何となく思っていたのですが訂正します。

①キャラクター&世界観設定の練り込み具合
②シナリオ自体の面白さ&作品から受ける感動ないし感銘の度合い

・・・を総合して考えると、同ジャンルでは、劇場版までを含めた『ノーゲーム・ノーライフ』が№1と考えます。

なお、上記3シリーズはいずれも原作未完(※アニメももちろん未完)であり、今後の展開次第で私の個人的評価もまた変わってくると思いますが、現時点で制作・放送(ないし配信・上映)されたアニメ作品を視聴した限りでは、個人的には本シリーズの今後に一番のポテンシャルを感じました。
というのも・・・

◆《トンデモ異世界ファンタジー》の顔をした《想定外の感動作》

本作は榎宮祐氏のラノベが原作ですが、アニメ制作スタッフは本年(2018年)の話題作『宇宙よりも遠い場所』(略称『よりもい』)とほぼ同じ方々です(監督・シリーズ構成・アニメーション制作会社が同じ)。
以前レビューした通り、その『よりもい』は“感動する”作品と事前に何度も聞いており、それなりに期待して視聴を始めたのですが、途中から「あれ?これハズレだな・・・」と気づき始めて、結局そのまま視聴し終えてしまいました。

因みに、英語表現だと“楽しむ”は have fun もしくは enjoy と能動態ですが、“感動する”は be moved と受動態となるのが通例で、私の場合も、アニメ作品は確かに大いに「楽しみたい」(※能動態)のだけれども、「はい、ここ泣くところですよ」みたいな制作側の誘導に簡単に引っかかって「感動させられ」(※受動態)たくないな・・・という拘(こだわ)りが以前からずっとあります。

⇒個人的に、これを「感動したら負け」クリード(信条)と呼んでいます笑。

私がアニメを見るときに一番大切にしている信条で、この「感動の壁」を超えるシーンに思いがけず出くわしてしまうと、その作品の個人評価が ★★ 4.5 を超えてきて、私の「お気に入り」作品の座に昇る可能性が出てきます。
(※実際には、この後さらに、その感動が「一時的なもの」に過ぎないのか、それとも「今後も継続的に感動できるもの」なのか、という厳格審査を実行するので、結局 ★ 4.2~4.4 程度の個人評価に留まる作品が大半ですが)

・・・で、本作なのですが、TVシリーズの時の視聴経験から、「はっちゃけた面白さには十分期待できると思うけど、感動できるタイプの作品ではないだろう・・・」と、さほど期待せずに見始めたところ、全体の2/3くらいを見終えたところで、思いもかけない《こころの震え》を覚えてしまい、「え?こんな作品に感動しちゃっていいの?」とビックリして、見終えて直ぐに、それが果たして正当な感動なのか、更に数回繰り返し視聴して自分に問いただしてみました。

結論からいうと、やっぱり本作は、

<1> よくあるような、音楽や演出などの技巧を凝らして視聴者の一時的な感動を喚起するタイプの作品(=一過性の感動しかない作品)ではなくて、
<2> 一見フザケた装いにも拘わらず、視聴者の感動が一時的なものでは決してない(=繰り返し見てもやはり確りと感動出来るくらいに)緻密に計算された設定&シナリオを備えた作品である、

・・・と思いました。

※なお、この「感動」には、前作であるTVシリーズ『ノーゲーム・ノーライフ』(※但し時系列的には劇場版の6.000年前の話)の事前視聴が、絶対必要とはいわないまでも、やはりある方がずっと良いと思うので、以下、併せて同TVシリーズの各話も再評価します。

《まとめ》
とにかく本作については、前作となるTVシリーズの、とくに第2-3話で、主人公たちの悪フザケに閉口して視聴を打ち切ってしまう方が多く発生している感じですが、そのTVシリーズが急に面白くなるのが第6話(ジブリール回)で、そのあとは最終話まで休みなしに駆け抜ける痛快さをもった《面白作》、そしてこの劇場版までくれば、視聴前は思ってもみなかった心の震えに出遭える《感動作》と思うので、これから初めて本シリーズを見始められる方は、何とか我慢してこの劇場版迄たどり着いて欲しいです。


◆制作情報
{netabare}
原作ラノベ      榎宮祐(『MA文庫J』2012年4月-刊行中)
監督         いしづかあつこ
シリーズ構成     花田十輝
脚本         花田十輝、あおしまたかし、下山健人、榎宮祐
キャラクターデザイン 榎宮祐(原案)、大舘康二(TVシリーズ)、田﨑聡(劇場版)
音楽         SUPER SWEEP(TVシリーズ)、藤澤慶昌(劇場版)
アニメーション制作  MADHOUSE{/netabare}


◆作品別評価

(1) 『ノーゲーム・ノーライフ』(TVシリーズ)  ★ 4.4   (2014年) ※計12話
(2) 『ノーゲーム・ノーライフ ゼロ』(劇場版) ★★ 4.7  (2017年) ※約1時間45分(4~5話相当)
----------------------------------------------------------------------------
  総合                    ★★ 4.5         ※計16~17話相当


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============= ノーゲーム・ノーライフ (2014年4-6月) ==============
{netabare}
第1話 素人《ビギナー》 ★ 対テト戦(チェス)
第2話 挑戦者《チャレンジャー》 ☆
第3話 熟練者《エキスパート》 ☆ 対クラミー戦1(チェス)
第4話 国王《グランドマスター》 ☆ 続き
第5話 駒並べ《ウィークスクエア》 ☆
第6話 一手《インタレスティング》 ★★ 対ジブリール戦(具象化しりとり)
第7話 死に手《サクリファイス》 ★ 希望の鍵
第8話 起死回生《フェイクエンド》 ★★ 種の駒、※特殊ED
第9話 解離法《スカイ・ウォーク》 ★ 対クラミー戦2(オセロ)
第10話 指向法《ブルー・ローズ》 ★★ 対いづな戦(テレビゲーム)
第11話 誘導法《キリング・ジャイアント》 ★★ 続き ※OP「おねがい☆すにゃいぱー」
第12話 収束法《ルール・ナンバー・10》 ★★ 続き、対巫女戦(コイン・トス){/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)5、★(良回)3、☆(並回)4、×(疑問回)0 ※個人評価 ★ 4.4

OP 「This game」
ED 「オラシオン」


============= ノーゲーム・ノーライフ ゼロ (2017年7月) ===========

全1話 ★★ 4.7 {netabare}TVシリーズより6,000年前に星杯(スーニアスター)を巡る古き神々&15種族の戦争を終結させた人類(イマニティ)の少年(リク)と機械種族(エクスマキナ)の少女型個体(シュビ)の物語{/netabare} ※1時間45分

主題歌 「THERE IS A REASON」

投稿 : 2024/05/04
♥ : 29
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

苦手だった人への劇場版

原作未読


略称がそこそこ知れ渡ってる数少ないやつのひとつ。“ノゲノラ”の劇場版106分でございます。
TV版の当方評点は3.6点。説明するとやや“つまらない”寄りの“普通”な出来と評価しました。あにこれでの高評価と比して低めです。元ネタ好きかどうかは指標の一つとなるためご参考まで。

棚ぼたでTV版と少し空いての劇場版を再放送しててそのまま流されてみました。「TV本編より劇場版のがいーよ」とのご推薦も念頭に。やや視聴にあたっては前のめりではなく、往々にしてこういう場合いざ試しても上方修正することは稀なんですよね。

結果、、、TV版から上方修正します。
理由は後述するとしてまずは概要から。一言でTV版の“前日譚”です。『○○(作品名)ゼロ』と銘打たれると鼻の利く方はタイトルだけで察することが出来ましょう。前の話か後の話かだけでもイメージ湧いてれば迷子にはなりづらい。ただ『 』(くうはく)兄妹らのではない別の昔話というのは少しばかりやっかいです。

次に中身。これも端的に“創世記”ということになるかと。前日譚としての創世記ということになりましょうや。あのゲームでなんでも決まる独特な世界の成り立ちのお話。
{netabare}盛大なる勘違い。主役二人リクとシュヴィの声がそれぞれ松岡さん茅野さんで、キャラ見た目の違いはアバターだからかなくらいかと、しばし『 』(くうはく)兄妹がまた違った世界で奮闘してるのかしらん?と思ってました。どうやら違うと気づいたものの終盤のネタばらしまでもやっとしてた私です。{/netabare}

TV版との繋がりはあるけれど独立したエピソードとして起承転結しっかりしてる106分です。そのため視聴順がTV版と前後してもそれほど弊害はないと思われます。
そしてこの起承転結しっかりした独立エピソードというのが上方修正の理由となります。なお

 ヒキコニートが謎の万能感で無双するのが苦手

いかんともしがたいTV版での苦手要素が一切ありませんでした。ヒキコ兄妹出てこないので当然ですね。当方の偏屈なバイアス抜きで作品に向き合えたのが大きいです。雑味が無くなれば物語に没入できますし映像など演出面では実績あるわけで問題ありません。
ヒキコ云々は作品評価というより自分の趣味志向みたいなもんで、こんなん堂々と言うのもアレでしたが、数少ない!?TV版イマイチ勢でも大丈夫じゃね?な良作だったと思います。



※ネタバレ所感

■感想
 マイナス要素が無いからといって面白いとは限りません。もちろん加点要素ありましたよ。
{netabare}“心を知りたい”シュヴィは欠陥AIみたいなもんという理解でいいんですかね? 
その後2018年冬クールで“愛してるを知りたいのです”なのと仲良く覇権を分け合った化け物アニメを制作したスタッフらの作品というのもなかなかパンチが効いてます。
さておき、本作での欠陥AIが心を知っていく作業って全く空(カラ)の容器に学習内容を入れてくことではなく、概念がない/演算できない状態から適正化していくことを意味してたわけですが、これ似てるようで全く違うんですよね。前者だとカウンターパートは教師役となります。後者だとパートナーと化します。パートナーであるから互いにすれ違いも生じるわけで、当然感動を生むとしたら後者となります。そして前者で同じことやろうとして失敗する作品は枚挙にいとまがありません。本作はきちんとお作法をわきまえており失敗とは無縁でした。{/netabare}

{netabare}それでもって長寿命のほうが先に果てる展開が個人的にはツボでした。驚きと言い換えても良い。
長寿命側が見送るからこそ両者の埋めがたい溝に心千々に乱れる!みたいな様式美を踏襲しなかったのです。しかもコンピューター的彼女が不合理な選択をしたというのが味わい深い。ご存知プログラムは演算できなければエラーとなります。彼女の最期って本来エラーとなるところに解を見つけて無理やりにでも動かしきった感がありました。Y or N の高速演算しながらの“らしい”描写から揺らぎが生じ処理しきれなくてABEND起こすか?と思ったところを突破するの胸アツです。そこで「リク。私“心”を知ることができたよ」的なセリフは一切なし。
セリフではなくバトルの中身で雄弁に語らせる。{/netabare}

無機物と人間との関係性ではお作法を守りながら、オチで変化をつける見事なお手前でした。
バイアスで迷子になりかけたことを除けば文句はありません。
松岡さんの苦悩する演技はもはや名人芸の域ですね。作品をしっかり底上げしてました。
あ、映像について抜けてました。えーと、、、良かったです。


■ビール好きヲタクに捧ぐ

{netabare}命名タイムでリクから「長いから短くしろ」とダメ出しされた素案“シュヴァルツァー”。短くまとめて“シュヴィ”に落ち着いたのでした。
まとめる前の“シュヴァルツ”と冠した海外銘柄ありますよね。なんなら国内地ビールでもたまに見かけます。えぇ黒ビールのことです。広い世の中ギネスだけではありません。でもむしろ馴染み深いのはヴァイスビア(白ビール)だったりするのかしら?
いずれにせよ黒ときたら「あー白ね」と11歳不登校児を想像するのに時間はかかりませんでした。配信専用勢ではなく地上波でもアニメ観てるならブシロードCM『ヴァイスシュバルツ』を一時期ヘビロテしてたの覚えてるヲタさんも多いことでしょう。よって馴染み深い。対する男も空(ソラ)に対してリク(陸)ってことねと早合点するのにこれまた時間はかかりませんでした。{/netabare}

空と白の話だと思ってたんだよなぁ(しつこい)。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

願ったのは、共に生きること…。

テレビでアニメ本編が放送されたのが2014年の春アニメ…
当時、この作品を視聴した際、続編の制作を激しく渇望したのを覚えています。

ただその時、著者である榎宮祐さんが手術後の予防治療中とのことだったので、無理はできないなぁ…と思っていましたが、しっかり復活されていたんですね。
小説版、漫画版ともに既刊の数が着実に伸びているのが実感できるのは嬉しいことです。

だから、頭の思考回路は続編のことばかりでしたが、まさかこんな形でこの作品と再会できるのは思いませんでした。
劇場版の上映は2017年の7月で、アニメ本編の放送から約3年が経過しています。
それでも、この物語は全てがゲームで決まる現在よりはるか昔の出来事が描かれているんです。

その頃のこの世界は、世界の唯一神を決める争いの真っただ中で、絶対に殺生が行われない今とはまるで真逆の世界…
それだけじゃありません。
その争いを行っているのはエルフやドワーフ、或いはフリューゲルといった圧倒的破壊力を持った種族たちなんです。
そんな中、人類は立ち向かう力どころか自分の身すら守る力もなく、次々に仲間が命を落としていました。
どんなに身をすり減らしても人類の圧倒的劣位の立場は揺るぐことが無く生きる事に疲弊していた、と言っても過言では無かったと思います。

だから人類の残された選択肢は一つだけ…
小さな穴ぐらで身を寄せ合いながら、悩んで迷って苦しんでの堂々巡り…
だって人類が選択するということは、仲間の命の犠牲に直結していたから…

そんな人類を統率していたのは、リクという若き青年でした。
きっと一番心がすり減っていたのはリクだったでしょう。
みんなの安全を…人類の明日を守るために彼は周りに対して非情であり続けなければいけませんでしたから…
でも、そんな心の底から非情になり切れるほど、リクは人間が出来ていませんでした。
当たり前です…もしそんな人がいたら、きっとその人は人間の皮を被った何か…なんでしょうから。

そんな中、リクはエルフの領内で「機凱種(エクスマキナ)」の少女・シュヴィと出会います。
彼女は人の心を知りたいという好奇心から機械で居続ける事ができなくなり、仲間から廃棄された少女だったんです。
リクたちは人類以外のあらゆる種から蔑まれ、奪われ続けてきました。
だからこの少女も当然敵…の筈だったんですが、あまりにも機械っぽくない言動と、リクの思惑とが交錯し、物語は意外な方向に転がっていくことになるのです。

最初は接点なんてどこにも無かった…
だから言葉も頭の理解もすれ違いばかり…平行線の一途とはきっとこういう事を言うのでしょう。

でもこの作品の本気はここからです。
最初の兆候は平行線の一途に変化が訪れたこと…
片方は機械で片方はにっくき敵であることに変わりありません。
それでも変化が訪れた…
相手の気持ちを汲み取り素直に思いを伝える機械と、どんな時でも寄りかかれる場所の存在に人が気付き、その結果互いの中で互いの存在が昇華したから…
どちらか一方だけの変化じゃ絶対に平行線は交わりません。
ここに行き着くまでに時間は必要でした。
でもお互いが接点に辿り着いたこと…これこそが二人にとってとても重要なことだったんです。

そしてここからは…もう涙無しでは見られません。
二人の選択したゴールは遥か彼方…
そのゴールに向かって共に歩んでいくことを誓った二人…
だから決めた通り二人で手を取り合いながら一歩ずつ進めば良いのに…

だけど相手を思う気持ちが先行して…良かれと思ったのに…こんな思いってきっとみんな経験していると思います。
だって、例えば最愛の人が風邪で熱を出したら心配するし、何か出来ることを率先しようとするじゃないですか…
二人の出発点もこんな感じで始まったんですけどね…

シュヴィのなりふり構わない様相と心の叫びが胸に突き刺さります。
リクと交わした約束を心の中で何度もなぞりながら忠実に守ろうと懸命なシュヴィの雄姿に私の涙腺は全く抵抗できませんでした。
ホント…シュヴィ…凄かったですよ。
ここまで思えたのも全てはかやのんのおかげ…流石としか言いようのない完璧な熱演だったと思います。
そして凄いのは、その後のリクも…でしたけどね。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

キーワードは、エメラルド色に輝く石…
記録にも記憶にも残らない、誰にも語られることのない物語の正体が隠されているかもしれませんよ。
どこまでも儚くて…でもとても優しい物語に昇華してくれた大切なアイテムだったと思います。

テーマソングは、鈴木このみさんの「THERE IS A REASON」
この作品の余韻に浸るにはこれ以上ないマッチングだったと思います。

110分弱の物語でした。
いやぁ…月並みですが視聴して良かったと本気で思える作品でした。
いしづか監督並びに制作スタッフの皆さま…メチャメチャ堪能させて頂きました。
本編も勿論大好きでしたが、この劇場版を見てこのシリーズを「お気に入りの棚」の一作に加えさせて頂きたいと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24

85.1 4 兄妹で心理戦なアニメランキング4位
かぐや様は告らせたい-ウルトラロマンティック-(TVアニメ動画)

2022年春アニメ
★★★★★ 4.1 (578)
1923人が棚に入れました
秀才たちが集うエリート校・秀知院学園 その生徒会で出会った副会長・四宮かぐやと生徒会長・白銀御行 誰もがお似合いだと認める2人の天才は、すぐに結ばれるのかと思いきや高すぎるプライドが邪魔して告白できずにいた!! “如何にして相手を告白させるか”という恋愛頭脳戦に知略を尽くしてきた歴戦の2人は各々、心の内にとある決心を固める…… 秀知院高等部の文化祭“奉心祭”の最終日までに、2人の恋愛模様は大きく動き出す事に!? 恋が天才をアホにする!! 新感覚“頭脳戦”? ウルトラロマンティックなラブコメ、再々始動!!


声優・キャラクター
四宮かぐや:古賀葵
白銀御行:古川慎
藤原千花:小原好美
石上 優:鈴木崚汰
伊井野ミコ:富田美憂
早坂 愛:花守ゆみり
柏木 渚:麻倉もも
大仏こばち:日高里菜
柏木の彼氏:八代拓
ナレーション:青山穣
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

UR-ハーサカ・愛

【物語 4.0点】
「恋愛は告白した方が負けである」と逡巡するうちに、
ライバル候補?が増えたり、周囲で他の色恋が花開いたりして、
{netabare}恋愛自粛ムードの懸念{/netabare}など、事態がさらにややこしくなっていく3期目。

前作、打ち消し線で消滅の危機に瀕したサブタイトル『〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』も
『-ウルトラロマンティック-』に取って代わられ、
白銀会長の{netabare}スタンフォード大学合格{/netabare}という区切りにより決着に向け動き出すが……。


前半戦はいつも通り生徒会周辺で方々に脱線して色々グダグダやってる感w
が新キャラや、既存キャラの新形態?などを、笑って楽しんでいるうちに、
恋は盲目。例えば藤原書記から見たら{netabare}死んだアルパカ{/netabare}みたいにダメダメな白銀会長でも、
恋に落ちた、かぐやには良い所ばかり見えるなど。
いつの間にか恋愛に関する視点の補強が下味として仕込まれて、
終盤、最終回1時間SPにはコクのある美味しい紅茶を頂ける。

徹底的な伏線の管理。目的のあるネタの扱い。
恋バナの上で悶え踊るような乙女心。ムズキュンな一言を絞り出す創意工夫。
作品に染み付いた愛ある仕事。間違いない。これは一流のラブコメだ。
(文化祭ネタ拝借。失礼致しましたw)

この辺りが、安定して面白い本作の隠し味でしょうか。


【作画 4.0点】
アニメーション制作・A-1 Pictures

毎度、キャラ1体につき、何パターンのデザイン用意するんだ?
というくらい多彩なタッチを使い分けるギャグ対応力は健在。
最後の『サザエさん』タッチも交えたオチもズッコケポイント高しw

表情別に様々な形態が発見されて来たヒロイン・かぐや。
恋により豊かになってきた彼女の心模様を逆に実感するのが、
終盤前9話に挟まれた過去話「1年生 春」
“氷のかぐや姫”と評されていた頃の無表情。

赤~紫系の光による撮影処理も引き続きムード向上に貢献。
肌色率が高いわけじゃないのにドキドキするのは、
光源がエロいのもあるかと思いますw


【キャラ 4.5点】
四宮家の従者・早坂愛。
かぐやとの主従関係も含めた秘密保持のため、
校内ではクール系JKに擬態するなど、涙ぐましい努力で滅私奉公して来た早坂。
そんな彼女が見せた普通の乙女心が、前半戦で私のガードを崩した先制パンチでした。
これがあったからこそ終盤、かぐや様を応援する早坂の当たり前の忠誠心も映える。

成績学年3位のモブから、かぐやの周辺に出没し、準レギュラー格に浮上して来た、遠い親戚の四条眞妃。
(再従祖叔母(はとこおおおば)とか初めて見ましたw)
“おば様”のかぐやと似て高飛車?と警戒する間もなく、
秒でデレて自己完結する、不完全なツンデレw

一方で2期の過去話でキャラが立った石上の元には、子安つばめ先輩という春の予感が?
かぐや同様、竹取物語(「燕の子安貝」)がモチーフの学園のマドンナは高嶺の花ですが、
かぐや&白銀会長のロマンスと並行、共鳴するラブコメの波動でクライマックスを彩る。


【声優 4.0点】
恋愛頭脳戦を実況、解説するベテラン・青山 穣さん。
『かぐや様』?3期?もういいでしょう?と躊躇していても、
「ウソである(含み笑い)」などと抑揚が巧みな青山さんのナレーションを聴くと、
安心して結局、完走してしまいますw

早坂愛役の花守 ゆみりさん。
かぐや役の古賀 葵さん並に諸形態への対応力が求められた3期でしたが、
対F仕様の{netabare}ハーサカ君{/netabare}も含めてお見事でした。

出番がわずかでも、要所と見れば実力者をキャスティングする本気度も高ポイント。
白銀会長を生徒会に引き込んだ前会長役にも島﨑 信長さんを起用し、転機を印象付ける。

チョイ役に人気声優と言えば、
{netabare}伊井野ミコが“癒しBGM”として聴いていたイケメンボイスに
梅原 裕一郎さん&斉藤 壮馬さんをねじ込んで来たのもゴージャス。
両耳をイケボで挟まれて「君は偉いよ。とても頑張ってる」などと囁かれたら
男の私も危うく堕ちそうになりますw{/netabare}


【音楽 4.0点】
劇伴担当は1期以来の羽岡 佳氏。
相変わらず往年のトレンディードラマや科捜研?情熱大陸?
と想起させられるパロディぶりで多彩なギャグを追撃。

本音を中々言えない本編とは対照的に、
主題歌では昭和歌謡曲風のメロディに乗せて、
先攻・白銀、後攻・かぐやで心情を吐露する構成も恒例。

OPは鈴木 雅之 feat.すぅ「GIRL GIRL」
“愛を 愛を 愛を 打ち明けてくれ"
"GE・N・KA・I・DA!DA!DA!DA!”
と語句を反復強調して熱を込めていく歌唱が熟練の味。

EDは鈴木 愛理さんの「ハートはお手上げ」
内容は素朴なラブソングなのに、流れるED映像は壮大なスペース・オペラw
『かぐや様』アニメも劇場版実現の暁には是非、
幕前10分で良いので短編冒険アニメとして制作上映しましょうよ。


5話特殊EDにまでエスカレートしたラップバトルも印象的。
ただ白銀会長。いくら歌が下手だからって、ラップでボエボエとはならんでしょうw

投稿 : 2024/05/04
♥ : 38
ネタバレ

CiRk さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

最終回ですべて持って行った。

{netabare}
昔一期を見てギャグが合わなくて途中切りしたけど、暇だった時期があったので3期を見ながら裏で2期まで一気見。

元からギャグが合わなかったとはいえ、3期の序盤は1期2期と比べても面白くなかったと思う。ギャグなのに少し話が小難しかったりして、一期のような分かりやすいギャグではなかった気がするし、そもそもそんな派手なギャグがなかった印象。正直序盤の話はほぼ覚えてない。

前半はそんな感じで悪い要素は特になかったので凡作ぐらいかなと思って見ていたが、後半になるにつれて石上や生徒会長の恋愛要素が増してきて面白くなった。
ここまではラブコメだったけど、最後の方は各キャラの内面描写がしっかりしていて、純粋な恋愛モノのような真面目な雰囲気だったのが印象良かったかな。

石上パートは高校卒業までに告白しなければ、と期限が迫っていることへの焦燥感に共感できたし、不器用なキャラだからこそ共感できる面もあった。そんな石上に四宮が自分を重ねアドバイスをするのは心境が理解出来るし、このシーンの最中に所々に漫画風の絵を差し込む演出もハマっていてより感情移入しやすくなっており、話演出含め良かった。

メインの生徒会長と四宮の話は完璧。
「告白した方が負け」という作品の決め文句や、ここまでの「どうやって相手を先に告白させるか」など、言ってしまえばしょうもない争いをやってグダグダと告白を引き延ばしてたから(悪い意味で言っているのではない)こそカタルシスが増していた最終回の告白だった。
1期2期があってこその感動で、3期から見ればいいやと思ってたけど、ちゃんと1期と2期も追ったのは正解だった。

最後のタワーでの告白時のシチュエーションはタイトルに恥じぬロマンティックさで告白の舞台として申し分なかった。
気流の動きの計算や、怪盗の謎解きクイズなど含め、あんな演出を思いつくあたり、設定どおり生徒会長は天才だなと。
ここまでの風船などの話も全部最終回につながるもので、最後まで見たら中盤までの話も悪くなかったように思えた。
告白時の間の取り方や途中に文字を挟む演出も、よりシーンを映える物にしてたかな。最終回が完璧だった。
完璧すぎて4期がこれを超えられる気がしないのが不安。

↓一話毎メモ
{netabare}
1話 ☆6
一期で切ってしまったんだけど、一応見るか。
やっぱあまり合わないな。Discordw あざとい。

2話 ☆6
喧嘩するほど仲がいい。不倫。

3話 ☆8
探偵雇う人ってガチでいるんかw 下見かもしれないだろ。
完全に浮気。前回とつなげるの上手いなw マジで痛そう。
壁ドン最強説
そういや元号書かれてるなw 欠陥ゲームじゃねーか。
昭和56年よくそんなにあったな。そうなるわなw
ここからシリアスに持っていくのも結構いいな。

4話 ☆7
あほくさw アニメ脳
石神君このアニメの男キャラで一番いいと思うけどな()
レズ堕ち。なんか酔ってない?w

5話 ☆5
これもラップかw 早坂韻踏めてねえ。オタク特有の早口。

6話 ☆6
急に真面目になる父。ホモ。いったのかよw
なんだかんだ男同士の方が楽しい説はある。俯瞰しろ。心理。

7話 ☆4
文句だけいえるやつw やっぱこのアニメのノリあんまり合わないな。
トモダチゲーム始まりそう。この風船つくるのむずいよな。

8話 ☆9
今回面白い説。心臓を捧げよ。恋愛のことになるとちょろい。
日本人の精神。今回演出頑張ってんな。
恋愛作品としての心情描写もしっかりしてる。

9話 ☆9
過去と今の雰囲気が違いすぎるw
恋愛要素強めな回のほうが面白いな。賢い版のアーニャ。
怪しい組織。高すぎだろw 
石上達もいい感じだな。噛みすぎてる。

10話 ☆5
やっぱギャグは面白くないよな。石上が振られる前提w
成功体験(意味深)

11話 ☆6
悪役感。ぼったくりかよw はよ告白しろ。

12話 ☆10
あざとい。怪盗の流れいる? なるほど邪魔者の排除かw
やっぱこいつら天才だわ SPYっぽいな。やっぱ天才だわ。
内面描写もしっかりしてていいね。いや、モブ生徒も頭良すぎだろw
スタンフォードには行くのか。3期が一番面白かった。
ほんとに良かった。

曲評価(好み)
OP「GIRI GIRI」☆7
ED「ハートはお手上げ」☆7.5
5話ED「My Nonfiction」☆8
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

カミタマン さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「ささ~げよ ささ~げよ! 心臓を捧げよ♪」

2022/09/10 初投稿
同日 お気に入りに追加
2022/09/12 ちょい足し
2022/10/01 さらにちょい足し

3期です!色々積み上げてきた物がさらに深化・拡充した感じです。
まず,キャラクターが出来上がってきて,各自生き生きと動き青春群像劇を描き始めました。数の上でも,適度にキャラクターが増えてそれぞれ活躍していました。欲を言えば男のキャラクターがもう一人くらい活躍してもいいかと思いました。意外と白銀と石上のハーレムっぽく無くも無いのでw
舞台的な広がりも見られ1期では生徒会室のシーンが中心でしたが,3期は校内のいろいろなところが舞台になっていました。特に校舎を外から描いたシーンと弓道場は美術的に,夜の町並みや校舎,キャンプファイヤーは演出的に美しいと感じました。

あとは,自分のちょっと苦手なナレーションは少し減って,登場人物の心中でのツッコミによって補完される場面も多く,いくらか見やすくなったと感じた反面,若干のキャラクターのぶれにも感じました^^;

ストーリー面では
伊井野がキャンプファイヤー実現のため奔走する話は率直に青春物として感動的でした。
また,第8話「四宮かぐやについて②」の終盤で{netabare}かぐやが白銀への思いを早坂に伝える場面の後は13話終了まで全編クライマックスに感じました。{/netabare}
全体的にほぼ,甘酸っぱい青春群像劇という路線でした。
いやー,高校時代懐かしい♪
自分の所はキャンプファイヤーは体育祭の後だったなぁ~(*´д`*)
文化祭はクラスの出し物以外は,いくつかの出し物に頭を突っ込んでいたけど,全部男子だけだった^^;

音楽・OP・ED的な面
後半ストーリーの盛り上がりに合わせてエモイ曲が多くなって良かったです。
挿入歌も昔のアイドルソング的(?)な「わたしのきもち」とかツボでした。
5話の特殊EDはとにかく,口角が自然に上がりまくります。アニメーション的にも元ネタは分かりませんが,アメコミ調の全然似ていないけど誰だか分かるwキャラクターデザインが秀逸でした。

通常EDのアニメーション既視感があると思ったら「スターシップ トゥルーパーズ」なんですねwそれと1期から登場している羽の生えたかぐやはスタジオジブリ制作のChage & Aska の「On Your Mark」のPVネタかと思っていたのですが単に秀智院の屋根に乗っている彫刻なのかも知れませんね^^;

マスメディア部取材終盤のナレーションからTG部までの流れなど,ちょいちょい押井守の影響を強く感じる場面が見られます。自分は好きですw

気になった点
やはりナレーション自分はこのナレーションがどうにも合わないのです。
そして謎のトレス線周りの白い部分。昔のダビングを重ねたビデオテープのような感じです。「86」でも気になったんですけど同じA-1Picturesですよね。CGなどでの技術的問題なのか?社内の流行なのか?とにかく自分はすごく見難く感じました。
この二つで0.5ポイント減点です。

突っ込み。作中かぐやが我慢したと思われる突っ込みの一つ
奉心伝説について
秀智院学園は東京都港区三田付近(つまり周知院は慶應義塾ですね。)だと言われているらしいのですが,「風土記」には東京に当たる部分は残っていません。念のためググると


現存するものは全て写本で、『出雲国風土記』がほぼ完本、『播磨国風土記』、『肥前国風土記』、『常陸国風土記』、『豊後国風土記』が一部欠損した状態で残る[4]。その他の国の風土記も存在したと考えられているが、現在は後世の書物に逸文として引用されるのみである。ただし、逸文とされるものの中にも、本当にオリジナルの風土記の記述であるか疑問が持たれているものも存在する。
ウィキペディア日本語版より
つまり,奉心伝説は誰かの創作ですよねw
そして,心臓を捧げるって・・・「進撃の巨人」を元ネタとして創作されたなんちゃって伝承では?w

2022/09/12 ちょい足し部分
5話 ラップ回に出てきた 「Mother 〇uker」 って言葉ラップぽすぎてすごく笑っちゃいました(笑)

2022/10/01 さらにちょい足し部分
後夜祭の時の白銀会長
「死神坊ちゃんと黒メイド」を見た後だと,坊ちゃんにしか見えない(笑)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 33

87.2 5 兄妹で心理戦なアニメランキング5位
絶園のテンペスト(TVアニメ動画)

2012年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (2715)
15170人が棚に入れました
ある日、魔法使いの姫君が、魔法が使えない無人島に閉じ込められた。またある日、一人の少年が復讐のために魔法使いと契約した。復讐と魔法が織り成す前代未聞の戦いが始まる。

声優・キャラクター
内山昂輝、豊永利行、沢城みゆき、花澤香菜、小山力也、水樹奈々、野島裕史、諏訪部順一、吉野裕行、浅沼晋太郎
ネタバレ

サメロン さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

悲しき一人の女性を巡る壮大な物語

キャラクターデザインが凄い好みで軽い気持ちで見始めました。

最初は言葉遊びが凄い印象に残る推理バトル物と思ってましたが
後半2クール目で物語りは一変して
{netabare}鎖部左門とかははじまりの木が世界を滅ぼすと言ってた通りになってしまい
文明がある一定の線を超えるとはじまりの木がそれをリセット(世界)してしまうということでした。
文明レベルは金属など人間が作り出した産物を鎖部の者が供物として捧げることで把握しているということ。{/netabare}
中々思いつくものではない、凄く良い設定だと思います。

実は愛花を殺したのは……
{netabare}絶園の木に選ばれた魔法使いであり、絶園の魔法使いだった不破愛花自身でした。{/netabare}
これには正直予想外過ぎてビックリしました笑
ここで愛花が関係していたのね!

だって
愛花が死ななければ、真広と吉野は葉風に会うこともなく、皆が協力してはじまりの木を倒すこともなかった。
それを瞬時に気づき{netabare}自分(愛花){/netabare}が犯人だと推理する愛花ちゃん凄すぎる!!

そして愛花ちゃんにどっぷりな自分は
死ななくても天下無双の愛花ちゃんが戦えば一人でも倒せるんじゃないのか?
死なないで吉野と平和にいつまでも愛し合っていてと終始考えちゃいました……w

いよいよ物語の最後は
{netabare}羽村がはじまりの木にトドメをさして、偽りの平和から世界が開放される。
愛花の墓参りに吉野と真広が向かう
その行きの電車の途中で愛花が2人に残したビデオレターを再生{/netabare}
もうここからはガチで泣かせに来ましたねw
愛花ちゃんが好きな方はガチ泣き必須なのでハンカチ用意です。
{netabare} 墓参りが終わり、丘から下を見ると吉野を追いかけて鎖部の里から家出して来た葉風がいた。
そして行ってこいと合図する真広
葉風の元に向かう吉野
愛花の声「始まりは終わり、終わりは始まり、では改めて始めましょう。」
    「それぞれが作る。それぞれの物語を」{/netabare}
~感動のフィナーレ~

いやーマジ最後は泣けました!!
愛花ちゃん可愛いし、葉風も可愛いし、二人の魔女を虜にする吉野が羨ましすぎる!!
王道の恋愛推理バトルものでしたね~最後まで見て良かったと思いました。
まあでもシュタゲと同じで最後まで見ないと作品の良さや楽しさは分からないと思います。

【絶園のテンペストをお勧めしたい方】
①現代魔法バトルが好き
②王道な恋愛が好き
③言葉遊びが好き
④シェイクスピアの作品が好き




以下からは各キャラクターの感動する場面&台詞を記載します。

【吉野目線で見てると感動する場面】
愛花ちゃんを思う、吉野の気持ちが嫌というほど伝わって来ました。

{netabare}葉風「大切な者を不合理に失ったのに、お前からは真広のような復讐の意志も激しい憎しみも怒りすらもろくに感じんではないか!」
  「お前の心はどうなっている?一体これまでどうやって生きてきた?」
吉野「復讐を望んで激しく憎んで怒り狂って何が変るんです?」
  「愛花ちゃんは生き返るんですか?」

~違う場面~

吉野「ええ、流石にお墓参りはきつかったですね。でも気持ちを隠すのは慣れてましたから。」
葉風「そうやって笑って、何もかも隠して、お前は幸せになれるのか?」
吉野「よく分かりません。ただ全てが終わるときは悲劇でない結末が訪れるようにと。」
葉風「とうに悲劇だよ、吉野。」
  「惚れた女を失って、普通に悲しむことができぬなど、悲劇と言わずなんと言う!」
吉野「普通に、悲しんだって、どうにもならないじゃないですか。」
葉風「どうにもならなくともやれずにおれんことがあるであろう!?」
吉野「何をやれって言うんですか?」
  「真広に全て話せとでも?愛花ちゃんは僕の彼女だったから、お前よりずっと苦しくて、悲しんでるとでも言えとでも?」
葉風「吉野……」
吉野「愛花ちゃんとのデートに行く直前に彼女の死を電話で知らされて、そこで座り込んで、動けなかったと正直に言えと?」
  「それが何のためになります?」
葉風「せめて私に怒れ!!」
吉野「葉風さんだって苦しんでるでしょ。そんな人をどうして怒れるんですか?」
葉風「相手の気持ちなど構うな!己の望みに正直になれ!!」
吉野「そんなもの……分かりませんよ!!幸せになれる?愛花ちゃんのいない世界で、わからないですよ!ずっと、ずっとどうしていいか分からない!!」
  「どうすれば愛花ちゃんは生き返るんですか!?」
  「どうすればこの不合理な世界は変るんですか!?」
  「葉風さんの首でも絞めれば全部取り戻せるんですか!?」
  「泣いたって、どうにもならないじゃないですか……」

~泣き崩れる吉野~

葉風「泣くがいい、それが自然だ。いくらでも泣くといいのだ。」{/netabare}

自分も吉野のように誰よりも愛する彼女を突然奪われたとしたら、この世界に絶望し、間接が外れてしまうと思います。


【真広目線で見ていると感動する場面】
愛花の墓の前で説教する真広には一人の女性としてではなく、妹として見始めたのが分かりました。

{netabare}真広「愛花、お前にとって人生は誰かに決められたシナリオ通りに演じ、その通り終わらせるもの。だからシェイクスピアの台詞をやたら口にしてたんだな~」
  「でも愛花。俺はお前が間違っていたと言う。お前はやっちゃいけない事をやったし、やるべき事をやらなかった。」
  「誰かのシナリオをなぞることしか出来なかったからお前は間違ったんだ。」
  「でもお前は俺の妹だ。お前の期待通り世界を救ってやるよ。」
  「お前の彼氏は新しい恋人でもできりゃー、完全に他人だが…俺はずっとお前の兄だからな。」
  「愛花、俺は誰かの舞台劇をなぞるような結末はつけねー!ハムレットでもテンペストでもねー!何十年先になるかわからねーが、俺の言葉で俺が決めた結末を描いてやる!」

こんな妹思いの兄がいたら、妹になる人は幸せだろうと思いました。{/netabare}


【愛花目線で見ていると感動する場面】
愛花ちゃんの達観した生き方には驚きましたが、全ては吉野と真広を思ってのこと
とても悲しかったです。

≪21話の愛花が死ぬ場面≫
{netabare}~自殺を止めようとする葉風を気絶させる~

愛花「やれやれ、上手く行かないものです。」
  「ホレイショー、この天地の間には人間の学問には夢にも思い及ばぬ事がいくらでも…あーこれはハムレットの台詞、また吉野さんが気を悪くします。」
  「ここはやはりテンペストからでしょう。近いうちに、差し向かいでご不信を解いてさしあげよう。そうすれば、ここでの出来事は全て、なるほどと納得なさるはずだ。それまでは、心楽しく何事も良いほうに解釈なさい。」
  「納得してくださいよ。吉野さん、真広。」

~目が覚める葉風~

葉風「いや!まだ間に合う!!」
  「頼む愛花、私に最後の機会をくれ!」

~不破家(自宅)で死んでいる愛花~

葉風「どうして?…どうしてこんな事になるのだ?…私が、私が信じて来た理とは、何だったのだ?…」
  「あー……何と呪われた因果か……」

~愛花の置き手紙を見つけた葉風~

愛花の手紙「姫宮へ、私の遺体が発見されたときこういう物は見つからなかったようですから、これは貴方が読み、手にしていることと思います。」
     「封筒の中には、吉野さんと真広へのメッセージが入っています。」
     「はじまりの木を倒して全てが終わった後に、2人に見せて下さい。」
     「ではお疲れ様です。貴方が屋敷に来たという跡を残さない様気をつけてお帰り下さい。不破愛花。」

~愛花のお墓になる場所に駆け出す葉風~

葉風「そうだ、分かっている!私は帰らねばならん!伝えねば…ならん。倒さねばならん。私は逃げることは出来ん…しかし今は…」

~泣き崩れる葉風~{/netabare}


≪24話(最終話)愛花が残したビデオレター≫
{netabare} ~ビデオを再生する吉野と真広~

愛花「ちゃんと映ってますか?」
  「改まって何か言い残すのはあれですが、残さないと真広辺りがうるさそうなので、こういう形で最後のメッセージとさせて頂きます。」
  「既にはじまりの木は倒せたとは思いますが、いくつものイレギュラーが起こっている状況では、その後が大変かも知れません。」
  「まあそこは吉野さんと真広が状況を乗り越える助けとなって下さい。」
  「ええ、それが可能と思うからこそ、私はこれから死ぬんです。」
  「吉野さん、私との付き合いには苦労をかけたと思います。私の性格があれな上に、真広みたいな兄がいたんですから(笑)、大変だったでしょう。」
  「でも、私はおかげで楽しい毎日を送れました。貴方みたいに私を恐れず、いつも味方になってくれると思わせてくれる人がいてくれたことに感謝します。」
  「貴方は例え私が絶園の魔法使いと知っても、全く変らず愛花ちゃんと呼んでくれたでしょう。」
  「真広も、貴方といるときは普通の妹の様にいられて、それにも感謝しています。」
  「貴方はいつも私を気遣い心配してくれました。そんな必要は全くなかったのですが。それはとても心地良いものでした。」
  「真広、私と付き合ってたからって吉野さんをいつまでも攻めないで下さいね!隠さないと付き合えそうにないから隠してたんですよー。腹は立つでしょうから3発だけ吉野さんを殴るのは許可しますが(笑)」
  「私の死を悲しむ必要はありません。私は絶園の魔法使いです。舞台上の役者はシナリオを無視して勝手に動く訳にはいきません。」
  「美しく退場してこそ役目を果たせたと言えます。」
  「だから2人とも、いつまでも私の死に捕らわれないで、愉快に日々を過ごして下さい。」
  「絶園の魔法使いとして、とても得られなかった時間を2人のおかげで得られました。それだけでこの後の死を快く迎えられます。」
  「では今度こそお元気で!」{/netabare}


【気に入った名言&シェイクスピアの台詞】
①彼女っていうの欲しいから作るとかそういうものじゃないだろ。好きな子ができて一緒にいて欲しいって思うから彼女になるんだろ。(吉野)
②例え幾千幾万の兄があり、その愛情全てを寄せ集めたとしても、俺一人のこの愛には到底、及ぶまい。(ハムレット)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13
ネタバレ

にゃんちゅ(・ω・` さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

「揺れない乳は乳じゃない」 追記:自分なりに解説

ある日、1人の少女が唐突に殺された
ある日、最強の魔法使いが樽に入れられ島流しされた

これは、偶然?必然?

そして、彼女がいることをひた隠しにしている吉野と
妹を殺されて魔法使いと契約したマヒロ

この2人がタックを組み世界を導くのは偶然?必然?

未来は、「悲劇」ですか?「喜劇」ですか?

そんな内容でしたね。

魔法使いと人間。
通常なら繋がらない世界の人たち。

「全てのことには訳がある」というアイカの言葉・・・

そして世界の崩壊と同時に再生。
目覚めてしまったはじまりの樹と絶園の樹・・・


まず重要なのが、この世界には2つの樹が存在します。

「はじまりの樹」と「絶園の樹」

はじまりの樹とは・・・ {netabare}
葉風ら鎖部一族が神のごとく崇める大樹で、「創造」の力を司り世界を生み出した樹。
眠っていたはずの樹であり、覚醒するには「はじまりの姫君」である葉風が必要です。

今も世界の条理を支配しており、鎖部一族に魔法の力を貸し与えています。

魔法の力の代償として供物が必要であり、「高度の文明の産物」が必要条件。
これは、現代技術によって作られた物ならなんでもいいそうですね。
ミサイルや空き缶等・・・

一族の一部では、世界の文明がリセットになる危険があると恐れられていた為、
葉風と対立してしまったようですね。 {/netabare}


次に、絶園の樹とは・・・ {netabare}
はじまりの樹と対をなす大樹で「破壊」の力を司り、
世界が創造される中途においてはじまりの樹と争い敗れたことから、
「果実」と言う形に分割され、封印されていましたが、
はじまりの樹が覚醒する前に、
鎖部一族によって世界各地に散らばる果実を集結させて、
絶園の樹を復活させようと試みます。

絶園の樹復活の前兆として、全身が金属化し死亡する黒鉄病が流行し、
いくつかの街が壊滅してしまいますが・・・。 {/netabare}


絶園というぐらいですから、
最初は、はじまりの樹が正義なのかと思っていましたが、

しかし・・・
{netabare}
はじまりの樹は人類を試すため、倒されるために存在し
文明レベルが一定以上に達した時、はじまりの樹は出現する。
そして一定期間の後、人や建物もろとも、その文明を滅ぼします。

絶園の樹は、はじまりの樹を倒すために存在し
出現したはじまりの樹を、絶園の魔法使いの力によって倒す事によって、
文明は助かります。

絶園の魔法使いは基本的には、はじまりの樹に勝てるのですが、
絶園の魔法使いがはじまりの樹を倒せなかった場合、
文明ははじまりの樹によって滅ぼされます。

一応、これが真実のようです。{/netabare}

創造の力を司る“はじまりの樹”と、破壊の力を司る“絶園の樹”。
どちらが正しいのかもう訳分かりません←

作品内容ですが、 {netabare}
葉風は一族を止めるため、孤島から魔具である人形を通して真広に指示を出し、
果実の飛ぶ方向を元に、“絶園の樹”の場所を探らせ、

同時に、アイカを殺した犯人の手がかりをつかむため、
殺害現場である自宅を捜索するも、どうやら鎖部一族にアイカは殺されたと推測。

これで目的は違えど、葉風とマヒロの赴く方向は同じになりました。


時間と空間を超えて2年前にいるという葉風を呼び戻したが、
鎖部一族の中には犯人はおらず、

はじまりの樹の覚醒に合わせて葉風が生まれたように
絶園の樹の復活を感じ、生まれた"絶園の魔法使い"が存在し、
その人物が犯人ではないか?という結果に。

しかし世界は、はじまりの樹による文明破壊が進み何十億人と死んでいました。

はじまりの樹のおかげで、多くが死に、文明は崩壊寸前ですが、
逆に争いごとはなくなりました。
同時に人々の自由もなくなりました。

まったくもって「世の中は不合理」ですね。{/netabare}


この作品は、シェイクスピアの物語 テンペストとハムレット。
この2つの物語を引用することにより
悲劇とも喜劇とも取れる描写となっています。

ハムレット{netabare}
シェイクスピアの四大悲劇の一つ
ハムレットは親を殺され復讐をする。
父の仇と恋人の父を殺し、その悲しみのあまり恋人も死んでしまう。
そして恋人の兄がハムレットへの復讐を誓い、ついでに周りにもそそのかされ、
最後は、みんな死んでしまう悲劇。{/netabare}

テンペスト{netabare}
シェイクスピアの喜劇
テンペストとは嵐の意味で、
復讐を思いとどまり、過去の罪を悔い改めさせ、赦すことを決意する喜劇の物語。{/netabare}


結果だけを述べますが、
{netabare} アイカを殺したのはアイカでしたが、
最後までこれは読めませんでしたね。

被害者であり加害者であったアイカ。

始まりの木を倒すのが使命の絶園の魔法使いアイカ。
アイカが死ぬことにより
葉風に吉野とマヒロを合わせるキッカケとなった。
やはりアイカは死ななければならなかった。

自殺という道を選んだのは、
未来からきた葉風から「アイカの死から始まるこれからの事」を聞いたから。

当初は絶園の魔法使いであるアイカ自身が、倒す予定ではあったものの
そうすると未来が変わってしまい、
絶園の樹の影響である黒鉄病や、はじまりの樹による文明破壊によって
吉野やマヒロが絶対生き残れるという確証はない。

葉風が言っていた未来の話では、吉野やマヒロが生きているわけですから、

吉野やマヒロが100%生き残れる未来を望むと、
死ぬしかないよね。

アイカは恐れられ寂しい人生であったが
吉野とマヒロだけは女の子扱いした。それを守りたかった。
大切な吉野とマヒロの為に命をかける。


絶園がはじまりを倒し。
魔法も消えたが、世界は平和になったと同時に、犯罪は復活したのは事実。
絶園が正しかったのか。
始まりが正しかったのか。
この辺は視聴者も考えさせられますね~


最後はアイカの予想通り
アイカの死を受け入れるが吉野とマヒロでしたが

全部終わった見ろと言われた
アイカからのビデオメッセージ

死を悲しむなというアイカ。
最後までアイカはアイカであり、
シナリオ通りに生きシナリオ通りに死んだアイカ。
アイカも納得してたし、皆納得していた。

結果オーライで喜劇となったのかな。{/netabare}


しかし個人的にはモヤモヤが残った・・・
{netabare} アイカの死は悲劇としか捉えられなかった。

前向きに生きるという最後ではあったが
泣き言を言わないのは性格かもだけど、
アイカの遺体は美しかったな~…

アイカ~(´;Д;`)

マヒロと吉野が泣かないなら私が変わりに泣くぜ!

EDの佐香智久さんが歌う「僕たちの歌」が
吉野とアイカの幸せそうな描写で、

アイカが生き返るなんて、絶対ないって思ってたよ?
思ってたけど願ったっていいじゃないか!!!

(アイカアイカ言い過ぎか私?){/netabare}


始まりは終わりであり
終わりは始まりである

全てが必然的な世界観

謀略 復讐 孤独 疑念 秘密

後々からしっかり繋がってくる
先走って見せない各々の感情が、続きを気にならせる要因となっている。


意外な展開が多くてびっくりして一気に視聴してしまいました。

BGMも素晴らしく、
過去回もしっかりしてたし、重要な付箋もしっかりしていた。



【約束に重さがあるなら…永遠にこない明日の約束…】
【オフィーリアを愛していた。
 たとえ幾千幾万の兄があり、その愛情すべてを寄せ集めたとしても、
 おれひとりのこの愛にはとうていおよばん】

吉野のハムレットを引用した、この言葉が非常に印象的で

【全てのことには訳がある。これも美しい結末の伏線になる】
アイカの語った一言ですが、
本当にその通りの物語でした。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 27
ネタバレ

N0TT0N さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

その樹なんの樹気になる樹。

これは正直名作です。
かなり好きな作品になりました。
できれば運営様のお力で「名作」の部分だけでもフォントサイズ5倍で赤い字の表記にして頂きたい!

くらい文字を大にしてお勧めしたい作品です。

世界観の整合性、物語の濃さ、心理の多面性、作画、どれをとっても一級品でした

特に各キャラクターの「物事を俯瞰して見る視点」がリアリティーがあって良かったです。
実際人って、追い詰められた状況で妙に俯瞰してる自分が居たり、十分理性的だと思っていても感情的なオーラが全身から滲み出てたりと、感情と理性が主導権争いをしているもんだけど、その辺がとてもよく表現されていたと思います。

そしてこの物語を覆っている雰囲気が凄く良かった。
大きな原因は作中の重要人物の不在。
そのことが逆にその人物の存在感を強くする。
興味をひく。
まるで作品全体にその人物の存在が拡散しているかのようにじわりと影を落としていく。
映画「桐島、部活やめるってよ」でもそうだし他にもいくつか不在の物語を観たことがあるけど、この不破愛花という人物の不在は心をざわつかせる何かがある。
「禁断」とかそういう類の匂いを作品全体に纏わせている。

きっとそれだけでも面白い物語が1つ出来るだろうけど、そこに止まらず、そのイメージを下地にして謎、魔法、復讐といったエンターテイメントを前面に出し、ときには抑えるなどして安易に展開を読ませてくれない。

主人公の吉野と真広の関係にしても、2つの木の解釈にしても、ちょっとしたことに「印象が劇的に変化する要素」が含まれていて、視点を変えるだけで答えが180度ひっくり返ってしまう。

魔法が謎に影響を与え、謎が復讐に影響を与え、復讐が魔法に影響を与え、そうやって常に何かと何かが影響し合っていて、1つの出来事でいろんな解釈が生まれる。
更に感情の揺れまでもが物語の核心に大きく影響を与えていて、その中の1つでも読み違えると物語全体を読み違えてしまう。

正直、重要な謎はほとんど読めなかったんだけど、明かされたときは驚き、納得できた。
ここは謎に翻弄された自分にグッジョブ!と言いたいw
そう、物語の謎は解けそうで解けないくらいが1番面白いんだから‥(真顔)
できれば今から視聴しようと思ってる方にもこの心地よさとちょっぴりビターな敗北感をあじわっていただきたい(真顔)

そう、物語の謎は解けそうで‥(以下省略)


キャラデは男性女性の両方を意識したような方向性で、個人的にはかなり好きなタイプでした。
最初にも触れた不破愛花は中学生とは思えないほどの媚びない感じと、美しさと、謎と可愛らしさと、そしてなんといっても不敵さを兼ね備えた、ちょっと他のアニメでは見たことない感じのキャラデでした。
当初想像した以上に好きなキャラになって嬉しい誤算でしたw

特に彼女のまっすぐなのに含みのある表情には、大人でも「‥ま、参りました‥。」と意味なく降参してしまいそうな強さを感じてしまいました。

作画ほんと良かったと思います。
個人的にあんまり好きになれないのが異世界設定なんですが、この作品の場合「現実世界に異質な現象が起きた。」という体の表現になっていて、かなり自分好みの設定でした。

ただ、現実と異質を混在させると作画の粗が目につきがちですが、この作品の場合、ディテールまでかなり丁寧に描かれていて、素晴らしかったと思います。

最後にシリアスを利用したラブコメには笑かしていただきましたw
でれ葉風最高(´▽`)ノ♪(笑)

因みに‥
最初、というか中盤まで葉風のことを博士と勘違いしていて、しかも名前を(魔法使いに博士って斬新w)という意味で気に入ってたことはここだけの秘密。。

まぁ、重要な場面で若干説明的すぎ。と感じる部分もありましたが、文句なしのお勧め作品です。


※視聴前の方、ここから先は決して覗かないで下さい。

{netabare}

ネタバレ雑記、殴り書きですw

葉風の「これはなにか?!世界の命運を賭けたラブコメか?!!」
など、ラブコメ要素のセルフ解説にはめっちゃウケましたw

通常、もったい付けて、満を持して登場するキャラのプレッシャーってスゴいと思うんです。
しかも20話も引っ張っての登場とかもう‥始まりの樹本体に匹敵するほどのハードルの高さでしょう?!
制作としてもよっぽどの自信がないとこのプレッシャーには耐えられないでしょう?
実際もったい付けて撃沈した真実なんて掃いて捨てるほどある。
さすがにビビったか、その前に何のフラグか意味深なこと言ってるわけですよ。

「1番恐いのは真実がつまらないこと。」

‥そう、往々にして真実なんてつまらない。。
だってこれだけ引っ張って‥散々犯人を推理して、いろんな可能性を考えて…驚きの真実とかあるわけない。
そりゃそうだ。。最初に言っとくのが正解だ。
大丈夫。オレならストーリーの為に敢えてこの事件をつまらなく終わらせるという選択を受け入れる準備はできてるよ♪

‥と優しく思ってた頃がボクにもありました。

結果、完全に驚きました!
つか、葉風と愛花がすれ違うまで気付かなかった自分にビックリしましたよ。。

なんでその可能性を除外してたんだろうって( ̄∇ ̄)‥


文明と魔法のパワーバランスの話は秀逸でした。
なぜ防御魔法なのか?とか設定に唸った点をあげたらキリがない程です。
世界の大国が意外とおとなしかったのは突っ込みたくもなるけど、その理由まで説明できる魔法の設定は驚愕のレベルですね。

前半フロイラインってかませ犬?赤髪ロン毛動揺しすぎ‥なんて思ってましたw
まさかそれすらギャグにするとは俯瞰能力半端なさ過ぎw

最後に‥
愛花の選択については‥へなちょこの新絶園の魔法使いの言うとおりでしょうね。。
未来を知らない状態の愛花が、手に入れた大切な日常を壊す危険を冒してしてまで真広や吉野に自分の運命の話をすることはないだろうし、辻褄で考えれば愛花の選択は正しい。。

けど、身近な人にとっては愛花の選択は間違ってる。。
誰もがもっといい選択肢は無かったのか?と思う。

不毛にもタラレバを言えば、未来から来た葉風と愛花がもっと早く会っていれば、違った選択肢もあったかもしれないね。。
その場合、もっと最悪の結果も考えられるだろうけど、奇跡が起こるかもしれないという選択肢が。。

でもまあ、それはやはり不毛な話。

受け入れがたい最後だとしてもリセットなど出来ないし、最善の選択をできなかったからといって過去を変えられる訳でもない。

それはもう起こったことで、変えれるのは未来だけ。というお話なのでしょうね。


以上です(`v´)ゞ!

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22

88.5 6 兄妹で心理戦なアニメランキング6位
ようこそ実力至上主義の教室へ(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (1440)
6871人が棚に入れました
『ようこそ実力至上主義の教室へ』の舞台となるのは希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという名門校・高度育成高等学校。
ここは優秀な者だけが好待遇を受けられる実力至上主義の学校で、入試で手を抜いた主人公・綾小路清隆は、不良品が集まる場所と揶揄される最底辺のDクラスに配属されてしまう。
しかしそのクラスで成績は優秀だが性格に難のある堀北鈴音、気遣いと優しさでできた少女・櫛田桔梗らと出会うことで、状況に変化が生まれていく。

声優・キャラクター
千葉翔也、鬼頭明里、久保ユリカ、M・A・O、竹達彩奈、逢坂良太、岩中睦樹、日高里菜、日野聡、東山奈央、若山晃久、小松未可子、梅原裕一郎、小原好美、佐藤利奈、金元寿子、岩澤俊樹、竹内栄治、阿部大樹、郷田翼、水中雅章

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

欺瞞のロジック

【少し追記】


タイトルが内容を表していない、あるいは内容を誤解させるようなタイトル付けをしたライトノベルが目に付くが、本作も同様の流れの中にある。

学園内通貨を獲得する劣等クラスの奮闘を描く物語だが、通貨の獲得は実力主義による評価にかかっている、という憶断は、このタイトルによるミスリード、もしくは欺瞞がもたらしている。

作品内で描かれている評価システムは、「実力主義」ではなく、「成果主義」だ。


「成果主義」を「実力主義」と言い換える欺瞞は、視聴者に向けたタイトル付けのトリックというだけではなく、作中の「システム」が作中人物に対して押し付けている「欺瞞」でもある。

「実力」があれば「成果」を挙げやすいのは確かだが、「実力」がなくとも様々な条件によって「成果」が挙がる場合もあるし、不利な条件が重なれば実力とは無関係に成果は挙がらない。
外的要因によって左右される「成果」は、個人の能力である「実力」に完璧に還元できるわけではない。

成果=実力と評価するシステムの欺瞞は、「成果」によって生じる結果は、本人の「実力」=能力の結果なのだから受け入れなくてはならないという「支配」の正当性を内面化させるためにある。

「結果」によって配分される様々の「格差」は、本人の「実力」によって生まれたものだから受け入れなくてはならないと、「底辺」に置かれた敗者までもが自主的に納得することが目指されている。
作中の劣等クラスの生徒たちも、自分たちは「実力」が劣っているのだ、という評価基準の公平性については疑っていない。

だが、評価されているのが「成果」であるならば、様々な「実力」外の要因によっても左右されているはずだ。


現実の教室においても、主な評価はテストの「成績」で測られる。

ペーパーテストで高得点を挙げる「学力」は、個々人の勉強という努力に先立って、教科書や問題文を読み取る「読解力」が高い方が有利であることは理解しやすい。
読解力が身についていれば、同じ量の勉強で、より学力がつくだろう。

読解力は読書習慣の有無が大きく影響するが、統計的な傾向として、下流階層の家庭よりも、中流階層の子供の方が読書習慣がつきやすいとされている。
家庭に文学全集が置いてあったり、子供に読書を勧めることが多いのは、(統計的に)下流階層よりも中流階層の家庭の方であるのは想像できる。
子供に向かって「本ばかり読んでないで外で遊んで来い」と言い出す親がどちらの階層に多いのかも、想像がつくだろう。

言うところの文化資本とかハビトゥスといったものだが、机の前に座って教科書を読み、ペーパーテストを解く学校システムにおいて、このハビトゥスが身に着いた子供が有利であるのは明らかだ。

テストの点数の公正さは、あらかじめ、特定階層出身の子供が得点という「成果」を上げるために有利な制度設計がなされていることの隠蔽として機能する。
「学力」があれば得点できるという「公正」さは、特定の文化資本を「学力」と呼んでいるという制度設計を隠蔽する。
そうして生まれるのが、中流階級=高得点=高収入=中流階級の再生産のサイクルだ。


本作の架空の学校システムにおいても、特定集団にとって「成果」が出しやすいシステム設計であると描写されている。
特定集団が達成しやすい「成果」ではなく、個人の能力=「実力」を測るシステムであると擬態することで、その「結果」と、そこから導かれる「待遇」も、自己責任で受け入れるべき公平なものであると作中の生徒たちは納得するように仕向けられている。

「成果」が出せる/出せないが、あらかじめ制度設計によって調整されている不公平性を隠蔽するものとして、成果主義=実力主義の言いかえの欺瞞は導入されている。

テストの点を底上げする主人公の「奇手」は、この欺瞞を突いたものだ。
測られているものは「実力」ではなく「成果」であることを突いた奇手。

そして、この「奇手」は、成果=実力の言いかえの欺瞞を逆手に取った「妙手」でもある。

成果を実力と置き換える欺瞞に駆動されるシステムにおいては、どのような過程を経たものであれ、「成果」を出してしまえば「実力」であると評価を「しなくてはならない」ということを意味する。

実力の「公正」性をたてにして「格差」の支配を正当化するシステムは、どれほど非・実力的な手段による「成果」であろうとも、成果=実力=公正であると「評価」しなくてはならない。
「実力」とは無関係な成果であると暴露されたところで、支配の正当性を欺瞞の上に築いている限り、システムは、いやでも「実力」であると評価せざるを得ないだろう。

「裏ワザ」的な知恵比べでシステムを出し抜こうとする物語は、単なるチートの知恵比べではなく、このようにシステム自体への批判を構造化している。

この批判性が、主人公一人が体現しているだけで、クラスメートの誰にも共有されないまま終了を迎えたのが少し不全感を感じさせる。

「成果」を出したことではしゃぎ回り、そもそもシステムが何を計測するための課題であったのか全く気にも留めないDクラス生徒たちは、成果が証明する「実力」というタテマエを嘲笑している、とみることもできなくはないのだが、そこまでの意図があるようにも思えなかった。



表現の上で興味深いのは、OPや本編の前後に、思想書や文学書からの抜粋が挿入されていることだ。

小難しい言葉=よく分らないが難しそう=頭がいい=教養=「実力」がある、といった連想を意図しているのだろうか。

が、東京大学の院生が、授業中に「ドストエフスキーって誰ですか?」と発言したと報告されたのは、もう15年も前のことだ。
「頭がいい=教養」の図式は、象徴的には、このときに失効が完了したと言えるだろう。

岡田斗司夫に代表されるオタク第一世代が、殊更に「オタクはアタマがいい」と宣伝してきた背景が、この教養の失効ということになるかもしれない。

教養とは、単に知識量が多いということではない。
それぞれの「知識」を、どう価値付けて立体的に配置していくかという、序列の「構造」あるいは「枠組み」の規則が、「教養」と呼ばれる。

岡田と第一世代は(半ば自衛のため)、アニメや特撮やSFのオタク知識は、教科書には載らない、もう一つの「教養」体系であると主張していた。
本家の「教養」が崩壊し、「知識」の序列化ができないまま、知識という単なる「情報」に溺れている一般人に対して、なるほどオタク知識体系の「教養」を持つオタクは、相対的に「アタマがいい」ということになるのだろう。

しかし、教養を崩壊させた情報のフラット化は、結局はオタク知識の「教養」をもフラット化し、岡田斗司夫は「オタクの死」を宣言することになる。
正当的な「教養」であれ、異端的なそれであれ、「枠組み」は消滅する。

「枠組みの規則」の消滅によって、オタク領域の、例えばアニメの解釈で、「神アニメ」「クソアニメ」の言い合いが平行線で決着がつかないくらいのことは大した問題ではない。
問題は、実社会の方だ。


ほぼすべての憲法学者が違憲であるという「事実」を突きつけた法案が、平然と国会を通過する。

専門の歴史学者が数十年にわたって精査した「事実」である虐殺を、無かったと思い込む。


「専門知」が導く「事実」を簡単に無視して目を塞いでしまえるのは、知識体系を規定する「教養」の失効の、最も現実的な表れだ。

確かに、かつての「教養」は「文化資本」として機能していた。
ある程度までは、社会で実務をハンドリングする実用性が「教養」にはあり、それが階級の再生産を支えていた面がある。

しかし、政治家がどれほど無教養を曝け出しても罷免されることが無い事実が証明するように、現代ではこの相関は機能していない。

そんな時代に、本作は「教養」を再び再生産のエンジンとして持ち出してきた。
高待遇をもたらす「実力」を基礎づける「頭の良さ」を表象するものとして、アニメというオタク領域で「教養」を復権させて描写しようとしている。
……のだろうか?

疑がわしく感じてしまうのは、各話を総括するように挿入されている、思想書から引用される箴言が、当の著作の文脈からするとドラマの内容とは噛み合っていない例が(わかる範囲で)いくつか見受けられるからだ。

挿入される箴言は、「それっぽく」て、「頭がよさげ」に見えるというだけの、アクセサリーのごときものでしかないのではないか。

はたして、ある「成果」を測るのに適切な「設問」であるのかに全く疑問を持たず、迎合するにせよ反発するにせよ、なんらかの「実力」が測られていると信じている学生たち。

計測される「実力」に対して、不釣り合いに莫大な「評価コスト」を掛けた「テスト」を、莫大なコストを掛けていること自体が評価の正当性の根拠であるように捉えているかのような彼らが、小難しくてよく分らないことが「教養」を証明していると見せたいらしい製作者の態度に重なって見える。

実力=能力がある=知力の演出として引用される「箴言」が、微妙に使い方が不適切でいい加減さを感じさせるのは、作中の「実力」が怪しげで無根拠であることを、図らずも露呈しているようで興味深い。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

難癖ですが、アニメの内容的には、「実力(至上)主義」じゃなくて、「成果(至上)主義」の方が正確だと思いますが……

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
なんかこう、「奉仕部(俺ガイル)に憧れた高校生が、文月学園(バカテス)に入学し、真剣に戦っている」という印象を受けました。

ツッコミどころは多く、すごくおもしろいとは思えなかったけれど、「見て損」とも思いませんでした。知略系とか好きなら、観ても良いと思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まあ、難癖なのは百も承知でm(._.)m

レビュータイトルですが、「実力主義」の辞書的な意味は『(年齢や学歴、人柄などではなく)実力の程度で評価をくだす立場。能力主義』(三省堂 大辞林)となります。

似ている言葉に、ビジネス用語でもある、「能力主義」や「成果主義」があると思います。

ものスゴくザックリ言うと、「能力主義」は、資格などを含め「これくらいの力があるから、給与はいくら」という日本的な考え方で、「成果主義」は、人を見ずに、とにかく出した結果だけをドライに査定する欧米的なやり方ですね。

例えばプロ野球なら、「160㎞投げられるから年俸いくら」とか、「まだ一軍登板こそないものの、実力的に向上したから年俸アップ」なんてのは「能力主義」的。一方、「10勝した(防御率が○点だ)からいくら」とか、「力があるのは誰しも認めるが、(仮に不運が重なっても)結局試合では活躍できなかったから年俸ダウン」なんてのは「成果主義」的です(多分)。

一応、三省堂さんの解釈を信じるなら「実力主義=能力主義」としてるし、一般的にも「実力=成果」よりは、「実力=能力」と捉えると思います。(ビジネス用語として用いる時、実力主義と成果主義を同様のものとして扱うことも多々ありますので微妙なところですが、やはり普通の感覚としては、実力(能力)を評価すると捉えるでしょう。

となると、このアニメに置き換えた時、ポイントとして加算されているのは、明らかに「実力(能力)」ではなく、「成果(結果)」だと思います。

そもそも、「年齢(学年)」で集団を区切っている以上、「実力主義」とも「成果主義」とも異なる(真逆な)、「年功序列」という概念も入ってきています。本当に実力を至上とするなら、年をバラバラにして学級編成をするとか飛び級を認めるとか、あるいは、場合によっては3Aより2Bの方がポイントが上、ということもあってしかるべきでしょう。仮にDクラスでも、実力が認められれば(個人的に)Aクラスに編入できるとか(7話のアイキャッチで可能と分かりましたね)。

また、「実力主義」という資本主義的な発想で学校を運営しているのに、ポイントは学級(集団)の実績(連帯責任)という、なんとも「社会主義」的なシステムにしているのにも違和感が。まあ、そこ(集団を押し上げてこそ、真の実力)が盛り上げどころなのでしょうし、アニメにそこまでリアリティを求めても良くないのですが、自分が生徒なら納得しないかなw というかこれは、「クラス(集団)を成長させられる人間こそ本当に優秀」という、実に日本的に発想のもとにあるシステムだよね(一見、個人主義的な評価基準に見えて)。

そういう、「微妙な言葉やシステムのズレ」がどうにもこうにも気になって、なんか懐疑的な(斜に構えた)見方になってしまいました(汗)

それもあり、内容的も「知略戦、に見えてご都合主義」と、そんなことを感じました(辛口ですが)。

例えば、定期テストのくだり。過去問の入手って、いや、同じ学校に勤務し、定期テストを過去問通り出す教師なんていないやん。実力至上主義なら、まずその教師をクビにしろと(笑)

例えば、須藤の暴力沙汰のくだり。なんか目撃者とか色々と出してるけど、(それが相手の策略であれ、怪我の程度が本来より重くなったとはいえ)手を出したら、やっぱり手を出した方が悪いと思うんだけど、シンプルに。なんかみんな「俺達仲間だろ」と守ろうとしてたけど、そこで開き直って居座っている須藤には、普通に腹が立ちました(苦笑)。

とか、ツッコミどころは多数。キャラも、ひねくれたキャラは好きだし、よく作ってはいるけれど、飛び抜けた魅力は感じられず。いずれにしても、65点感が漂うアニメでした。

ただまあ、一定以上には楽しめたことも事実。今期(2017年夏)はあまりハマれたアニメがなく、途中切りも過去最多。「他に比べれば」と思っていたことは否めない。

もちろん、見所もあって、島編のラストの展開は(うまくいきすぎだけど)面白さもあった。あまり、深く考えずに騙され、積極的に翻弄されるのが得策でしょうか。ラストの「脱力系主人公がガチで腹黒クズの可能性」は新しかったと思いますし♪

私も基本的には実力主義ですが、「至上」かと言われれば、微妙かな。

まず、誰が何を評価するかによって、つまり評価基準によって実力なんて変わるから、あまり明確な基準は設けられないよな~と。

社会における正しい平等とは、機会の平等であって結果の平等じゃない。そう思います。アニメとは、あまり関係のない話ですが。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
なんか、「俺ガイル」に似てるな。知能戦? が楽しめれば良いな。これ、連帯責任なのはどうなんかね。話は盛り上がるけど、評価基準として。他をリードできて、初めて評価に値するということ?

2話目
これ、Dクラスはダメな人を集めたのなら、主人公やヒロインもダメな人認定なわけで、多分ここから逆転していくんだけど、じゃあ、入学時の査定にセンスがなかったということですな。

3話目
いや、定期テストの過去問、そのまんま出すなんて教師の手抜きやん。そんな教師いないって。櫛田さん、もっと遠くで、いや、自分の部屋でストレス発散しようよw

4話目
なんなこう、正論を言ってもね(汗) クラブ? あれで格好いいと思っているんなら、笑えるんですけど(笑)

5話目
公然猥褻w 論破せずに、目撃者を出すし、目撃者が親近者だし、どれだけからまれても、結局手を出したのは須藤だから、非がないとは思えないんだけど。格好良い壁ドンw

6話目
いやいやいやいや、この段階で事件を取り下げても、「虚偽報告」とかあるんじゃね? いやいや、この程度でマスコミ動かないでしょ。いや、ファンかどうかは、相手が決めることでしょ。

7話目
かなり毒舌だが、こういう「大したことない作品」に、雑にエヴァ(名作)とかのパロディーをやられると、なんかイラッとするな(苦笑) ガラッと作風を変えた日常回&水着回。まあ、番外編的な感じで気軽には楽しめたかな。

8話目
ホントに、こんな奴らのキャッハうふふに税金を払っているとしたら、ガチで切れるな(苦笑)

9話目
中忍選抜試験かい? 言動には気を付けろと言った直後のリーダー宣言、トラップくさい。川の水は一応煮沸しよう。これ、多分、あのCクラスの娘が、Dクラスのリーダーを嘘報告してくれるの? まあ、一人いなくなっても、この段階なら、食糧を買わなくてすむから、30マイナスでも別に良いと思う。

10話目
下着を捨てりゃあ良いんじゃね?

11話目
キーカード、あの水浴びの状況で盗めるもんか?

12話目
ラストは意外かな。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 40
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.4

見るんじゃなかった

4話までの感想
{netabare}マイナスの意味ではない違和感(いうなればフックって意味合い?)を覚える部分は「学校のシステム」に係わることであり、これらが次第に詳らかにされていくって作品…なのかな?
できればそこから更に一歩踏み込んで学校にひと泡吹かせるって展開になってくれると最高なんだが、どこまで話進むのかのう。
ということで現状これといった不満もなく楽しく見ています。

それと個人的には「一芸に秀でてさえいれば他はどうでもいい」って価値観には懐疑的でして…。
ってのも、結局それって雇う側にとって都合のいい理屈で、せめて最低限の社会常識や協調性を持ってないと食い物にされるだけだぞ、と思ってるので。
で、連帯責任については協調性を養うのが目的かなぁ~と思いまして。
まぁ軍隊や刑務所みたいなもんかと、問題はそれが行き過ぎかそうでないかって点で。
なので、じゃあ狭いコミュニティで間違いを犯さないように監視状態が過熱して総括が横行するって話なのかなぁと思ったけど、どうやらそうではないっぽい?
というより、ん?主人公って南方熊楠がモデルか?(ワザと50点取る辺り)
熊楠は今の言い方をするならコミュ障、頭が良すぎて周囲がバカに見えて耐えられないタイプかと。
コミュ障やニートが成功する物語ってやっぱりどこかに無理が出るよなぁと感じてた自分としては熊楠はいい所に目を付けた、とは思うけど…そのまんまだと余りに破天荒過ぎて物語が成立しないような?
ってことで、破天荒さを抑えた現代の熊楠物語として受け止めればいいのかなー?と思ったり。

と、そうしてたら3話でとうとうマイナスの意味での違和感(かも知れない)を覚えることが発生。
あれ、普通に退学あるの?
だったら卒業後就職できそうにない連中は全員退学させりゃいいだけの話になっちゃうような?
作中で語られてた「社会から認められる優秀な学校」であるなら、使えないヤツをどれだけ使えるヤツにして送り出すかが重用ポイントじゃないのかねぇ。
一方でそういう問題のあるクラスメイトをどう扱うかってのが連帯責任含めた評価基準なのかな。
優秀な人材を輩出って言ってるから、下っ端の社員じゃなくて上に立って指導する側を育成してるとか?
いやでも高校でそれはどうなんだろう。
ここら辺の違和感については今後に期待かな?

と思ってたら櫛田が本性?を表す。
まーそんなもんだろうとは思ってたけどこれでホっとした。
それまでの八方美人の良い子ちゃんぶりしてたらそりゃあストレス溜まるって。
あぁこの子も普通にストレス溜める普通の子なんだなーと親近感が沸くというか、むしろそっちのがカワイイじゃん、と。
いや待て、そう思われるのを見越してあの振舞いも演技だったりして?綾小路落とすための。
秘密の共有は恋愛の第一歩だし「アイツの本当の顔を知ってるのはオレだけ」ってのは独占欲をくすぐりますからのぅ~。
他の男子にも同じような演技してたとかだったら面白いんだが…さすがに考えすぎかな。{/netabare}

6話までの感想
{netabare}あれ?民事と刑事をごっちゃにしてないか?
学校内で処理する案件ってことでそれらとは別定義なんだろうけど、それを承知した上でも…。
目の前に怪我を負った人が居るって事実は変わらんワケで、その怪我どうしたん?ってのは追及しなきゃヤバい気が。
被害者が取り下げれば無かったことになる、とするなら、いじめがあっても被害受けてた人がなんでもありませんと言えば学校側は「いじめはなかった」と言えてしまうワケで…。
せめて被害取り下げても「捜査機関のお手を煩わせてすみません」というペナが発生しないと…C組の先生なんてメンツ丸潰れやん?

ま、ええねん。
そういう異常なことがまかり通る学校ってことなんでしょう。
予想というか好意的解釈としては生徒会や教師よりももっと権限が上な「黒幕」が居て、ソイツらが観察してニヤニヤしてる…って世界なのかなぁ、と。
進学や就職すらもカバーできるめっちゃ巨大な黒幕。
んで、主人公はそこで作られた強化人間…なのか?
そこに探りを入れるために龍園が事件を起こしてみたって感じなんだろうけど…。
う~ん、クラス間の抗争に終始するのか、学校の制度に切り込むのか、個人的には後者に絞ってくれると有難いのだが、なんか前者だけで終わってしまいそうな予感。
大して面白くもない須藤の件で何話も引っ張ったからねぇ…このエピソード1話でまとめられたんちゃう?

ところでアイリの言った「自分を偽り続けるのは大変」って台詞は、櫛田への当て擦りかなー?と思ったり。
櫛田のみならず、堀北や綾小路へ無意識の内に出た嫌味なんじゃないかなー、と。
自分が綾小路に不快感を持たないのは(たまたま)熊楠みたいなキャラなんかなーと思えた部分に起因している。
とはいえ熊楠も本気で打ち込めること以外には不誠実ってだけであり、綾小路もいい加減本気で打ち込めることを見せてくれないと「ただ斜に構えてるだけ」で段々とつまらなくなってしまいそう。{/netabare}

9話までの感想
{netabare}流石に学校の目的が分からなくなってきた。
いや、元から分からなかったけど、考えるのも無駄な気が。
なんか飽きてきちゃった…最終回までに多少ヒントなりとも明かされる?のか??{/netabare}

全話見て
{netabare}何もやらずにキャラ紹介だけで1クール使い切っちゃった。
ある意味潔いのかも知れないけど、だったら原作付属のOADでやれよと。
設定も真面目に考えるのもバカバカしい。
先輩に過去問聞けるなら無人島も聞けるんちゃう?
どんなカリキュラムがあるかくらい予習しとけよと。
ってかもはやTV番組じゃないか。
やっぱり逐次観察して楽しんでる人が居るような気がするんだが誰も疑問に思わないのはなんだろう。
向き合う対象はそっちじゃないだろ、と。
マジで最近リアルで見たんだけど、タバコの年齢認証の文句(なんでそんなことをしなきゃならんのかって内容)をコンビニのバイトにグチグチ言ってるのと同じ。
生徒同士でいがみ合っても結局「観察してる者」を喜ばすだけちゃうかのう?
ぶっちゃけ生徒同士のポイントの取り合いとか興味ないです。
だってそれで一番になったところで“黒幕”が出てきて「参りました」って言うワケでもなし。
結局ただ与えられたものをこなしてるだけの話で、こんなんなら動物観察の方がまだマシ、知性を疑うことが無いので。
って思うと段々イライラしてきて…最後黒幕にひと泡吹かせるのを励みに見続けたけどそれも無し。
カタルシスが無くフラストレーションだけが溜まる作品でした。
見るんじゃなかった。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 9

77.6 7 兄妹で心理戦なアニメランキング7位
MONSTERモンスター(TVアニメ動画)

2004年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (633)
3497人が棚に入れました
1986年、西ドイツ・デュッセルドルフのアイスラー記念病院に、頭部を銃で撃たれた重傷の少年が搬送されてくる。天才的な手術の腕を持つ日本人外科医・ Dr.テンマは、院長の命令を無視してまでオペを担当しその少年の命を救う。「死」を生む悪魔と「生」を生む医者が出逢ったことで、陰惨な物語の歯車がごとりと廻り始める。
東側の世界では西ドイツ社会を混沌の世界に突き落とすという異常な策謀が進行していた。チェコスロバキア秘密警察のフランツ・ボナパルタらは、子供たちを次々に西側諸国へ送る戦闘要員として教育していく。その過程でヨハンという怪物が生まれた…。
数年後の1995年、テンマと数年ぶりに遭遇したヨハンは確実に巨大な怪物に成長していた。テンマの患者ユンケルスを目の前で何の躊躇もなく射殺するヨハン。自分の中で何かが弾けたテンマは、ヨハンを追いかける。
果たして、テンマはヨハンの殺戮を食い止めることが出来るのか…。ヨハンを衝き動かす『なまえのないかいぶつ』という絵本は何なのか…。ヨハンは何故殺戮を繰り返すのか…。物語はベルリンの壁崩壊後のドイツとチェコを舞台に展開されていく。

声優・キャラクター
木内秀信、能登麻美子、小山茉美、磯部勉、佐々木望
ネタバレ

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

奈落へのフリフォーーーヾ(`Д´||)ノーーーールッ作品!!

■評価
ストーリー : ★★★★★ 5.0
演出・構成 : ★★★★  4.0
作画・映像 : ★★★★ 4.0
声優 : ★★★★☆ 4.5
音楽 : ★★★★☆ 4.0
キャラ : ★★★★☆ 4.5

■ストーリー
天才的な脳外科医テンマが、銃で頭を撃たれた一人の少年を助けた事から始まった大規模な殺人事件と、その首謀者である少年に秘められた謎を解き明かしていく全74話の長編作品

■感想
サスペンスやミステリーといったシリアス作品が好きな自分にはヨダレものの作品でした (゚ρ゚)
この作品は大河ドラマの様にスケールが大きいというよりも
底なし沼にズブズブ沈んでいく様な深いミステリー作品です。

この物語は、舞台をドイツやチェコ等の主要都市に移しながら主人公だけの視点ではなく、それ以外の登場人物の視点から話を展開していくので、長編でもメリハリがあって、小さくまとまらず一定のスケールを保っています。

何よりも物語の構成が緻密で、一話一話がすべて点(伏線)になっており、それぞれの点と点が次第に繋げ、1つの線(真相)となっていく過程は非常にスリリングで、登場人物達と一緒に真相を追っている様な錯覚を起こします。
こんな見せられ方したら、見ている側も次が気になって眠れません。意味のない話なんてなかった気がする…。

この作品の演出・構成・脚本の緻密な作りこみを実現しているのはアニメだけでなく、ドラマや映画の世界でも中々お目にかかれないです。
私の憧れの映画監督であるクリストファー・ノーラン監督やデイビット・フィンチャー監督の作品に十分に匹敵、いやそれ以上の作品ではないかと想います。
きっと原作者の浦沢さんの素晴らしい作品のお陰だとおもいますが妥協せずに原作を忠実に作りこんだ製作者の方にもお礼を言いたいです。
ハリウッド??でのドラマ化も決まったみたいですね!!
監督は日本のサブカルオタクのギレルモ・デル・トロです!!
今、パシフィック・リムという映画で日本大好きロケットパンチを発射しまくってる監督さん(ホラー・サスペンスが得意)です。

悪い点は点と点をつなげる時(特に終盤)に、多少強引で乱暴な奇跡?演出?があった事と、なかなか撃てないテンマがじれったいこと…そして一気見しないと話の流れを忘れそうな事くらいですかね。

色々と書きましたが、この作品はあまり難しい考察は必要ありません。シートベルトをちゃんと締めて、あとは重力に任せて奈落のそこへ落下するフリーフォールの様な作品です。

最後に念のため本作は長編であるため、何話かに分けてみるのもありです。私の独断と偏見ですが、話のキリが良いポイントと、各話のダイジェスト版をつくってみましたので、視聴するときの足しにしてください。
ネタバレが多く含まれるので、嫌な方は読み飛ばしてくださいましぃぃm(_ _)m

■1話~24話
{netabare}
テンマとヨハンの出会いと凋落、そしてヨハンという人物が何者か?その謎をテンマを中心にして紐解いていきます。
一話一話の話が伏線になっており、徐々にヨハンの本質が見えてきます。
そして様々な人々と関わるにつれて、ヨハンがミュンヘンにいる事をつきとめ次の舞台へ。
ここでのキーワードは『511キンダーハイム』
{/netabare}
■25話~39話
{netabare}
物語はミュンヘンに潜伏しているヨハンを中心に話がはじまり、ミュンヘン一の財閥であるシューベルトに寄生し、ヨハンは周辺の人々を巻き込み更なる悲劇を招きます。
ここではDr.ライヒワインと元刑事のアル中であるリヒャルトを中心として物語の謎解きが展開されます。
そしてヨハンの暗殺に失敗したテンマとニナは1冊の絵本から更にヨハンとニナを生んだ母親の存在を掴み、舞台はプラハに移ります。
ここでのキーワードは『なもなき怪物の絵本』『チェドック橋』『3匹の蛙』
{/netabare}
■40話~50話
{netabare}
チェコを舞台に元スパイのグリマーが、511キンダーハイム元院長ペドロフに取材を行う事でMonsterの出自を本人が語る録音テープと、人体実験レポートの存在をしる事になります。
この録音テープを求め、チェコを舞台に元秘密警察、チェコ警察、グリマー&テンマ、そしてヨハンによる四つ巴の争奪戦が展開されます。
一方、ルンゲは長期休暇と称してチェコに滞在し、なもなき怪物の絵本を元ネタに独自捜査を慣行、ついに赤いバラの屋敷の真実にたどり着きます。
ニーナとディーターはチェドック橋と3匹の蛙の謎を追いもとめ・・・点と点が繋がり線となっていきます。
しかし!!ついにテンマはチェコ警察に逮捕され、舞台はドイツのデュッセルドルフへ。
キーワードは『赤いバラの屋敷』『エヴァ』
{/netabare}
■51話~57話
{netabare}
テンマは逮捕され失意のどん底におちますが、警察にはこれまでの真実を話し、説得を試みようとします。
そんな中、テンマの逮捕を知ったエヴァとDr.ライヒワイン、そしてテンマに命を救われた患者達が無罪を主張すべく、テンマの弁護を担当する様に
法曹界の寵児といわれる弁護士フリッツ・バーデマンに掛け合います。フリッツは別の弁護士であるアルフレート・バウルからの説得によりテンマの無実を証明すべく動き出します。そしてエヴァもテンマが無罪である事を証言する決心をしますが・・・思いもよらぬ事態が発生します。
エヴァの命が危ういと感じたテンマは、脱獄士の手を借りて脱獄を決行しますが、エヴァは行方不明となります。
そして担当弁護人であるフリッツから『なもなき怪物』の著者であるフランツ・ボナパルタについて書かれたメモを入手したテンマは、再度チェコの赤いバラの屋敷にむかい、ボルフ将軍から赤いバラの屋敷の秘密とエヴァの居場所の
手がかりを得ます。舞台はフランクフルトへ
{/netabare}
■58話~63話
{netabare}
赤ん坊の部下であるマルティンは、エヴァの用心棒&世話係を依頼されるがエヴァの抱える苦しみや、寂しさを理解していくうちに彼女に惹かれていきます。
しかし、組織の長に何事かを頼まれ、市内の数多くのパーティーに参加するだけのエヴァの役割とその目的が達成され、用済みになった事をマルティンは知る事になります。
テンマはマルティンからエヴァとヨハンの居所、ヨハンに弟子ができた事、そして組織の長『ペトル・チャペック』と、その陰謀をしる事になります。
(一匹狼ガンマン・マルティンに乾杯!!)
一方、過去を何も思い出せず苦しむニナはDr.ライヒワインとDr.ギーレンの催眠療法によって、ついに驚愕の記憶が蘇ります・・・そしてすべてを悟ったニナは、この事件を終わらせるため、テンマをおいかけてフランクフルトへ。
そしてペトル・チャペックを追うテンマは、偶然にもチャペックによって家族を失ったミラン一家と出会います。その一家と過ごすうちにテンマは己の復讐に
意味があるのか苦悩し、ある決心をすることになります。
その頃、バイスバッハ刑事とDr.ギーレンはフランクフルト内で発生している
全く無関係と思われた複数の連続殺人事件が、ヨハンが関係している事を突き止めます。いよいよ終盤!!、役者はそろっタンゴ!!舞台は引き続きフランクフルト。  
キーワードは『ペトル・チャペックの陰謀』『ヨハンの弟子』
{/netabare}
■64話~67話
{netabare}
パンダこれはぁぁ!!物語の展開はさらに奈落へと急降下!!
ペトル・チャペックの陰謀は、ヨハン??と弟子の『クリストフ・ジーバーニッヒ』??によって、無残にも水泡と化します。そして廃人とかしたペトル・チャペックからヨハンの居場所、そして自分たちの出自を聞き出したニナは、ついに本丸にてヨハンと対面します・・・。
一方テンマは、マルティンからの情報をもとにヨハンの弟子『クリストフ』の居所をつかみ、偶然にも居合わせたエヴァと共に尋問し、ヨハンの本丸をつきとめます。
そして、ヨハンとニナは自分たちの記憶について、驚きの真相がニナからカミングアウトされます。次の舞台はルーエンハイム。
キーワードは『フランツ・ボナパルタとその息子』
{/netabare}
■68話~74話
{netabare}
田舎町のルーエンハイムに、何か異常な事件の臭いを嗅ぎつけてきたルンゲそしてグリマーは、その臭覚を頼りに町の捜査に乗り出します。一方、テンマはニナからの情報を頼りに、フランツ・ボナパルタの息子を訪ね、ついにルーエンハイムにフランツ・ボナパルタの影を見出します。
しかし、ルーエンハイムでは町の住人であるコンラットが何者かに銃殺された事をかわきりに、ついにヨハンの完璧な自殺が開始されます・・・。そして事態を食い止めるべくルンゲ、グリマー、テンマ、ニナたちが最後の壮絶な戦いに挑みます…驚愕の最終話へ。
人に戻った超人シュタイナーよ!!永遠なれぇぇ!!( TДT)
{/netabare} 
■さらにネタバレ注意!! Monsterの謎とポイント
{netabare}
Q1:ヨハンとニナはどんな出自だったのか?
A1:才色兼備な母と有能な軍人の父との間にうまれた子供
  です。すべてが仕組まれた結婚・出産である事をしり
  夫婦で逃走を図りますが捕まります。
  父親は殺され、最終的には3匹の蛙でアンナは子供
  たちを置き去りにして逃走します。
  したがってヨハンたちたちは洗脳や空虚感
  そして、恐怖にさらされる幼少時代を過ごしました。

Q2:グリースハイムの公園のメッセージは何のために
  だれが?何のためにやったのか?
A2:これはペトル・チャペック率いる極右派組織が、自分
  たちの組織の邪魔になる人間たちをヨハンの弟子『ク
  リストフ・ジーバーニッヒ』を使って、ヨハンに
  殺人を委託し、ヨハンが連続殺人者達を使って実行
  しました。
  極右組織はヨハンを利用して自分たちが国のTOPに
  なろうとしていたと考えています。

Q3:67話の終盤でヨハンに銃殺された男は誰?
A3:おそらくヨハンがプロデュースしていた連続殺人犯の
  一人だと思います。
  それ以上の意味はないみたいなので、かませ犬だと
  思ってます。

Q4:フランツ・ボナパルタがやりたかった事は?
A4:外見も能力も有能・優秀な男女同士をつがわせ、
  生まれてくる子供たちを国の総統にすべく、完全無欠
  の完璧な人間をつくる事です。
  これによって数多くの子供たちが人格改造によって
  洗脳され、無実の人々が、殺戮されるという事態に
  まで発展してしまいました。

Q5:フランツ・ボナパルタは何故赤いバラの屋敷で
  大量殺人を行ったのか?
A5:ヨハンと二ナの母であるアンナに恋をしたボナパルタ
  は、母親と双子を開放するために、アンナ達や実験の
  事を知っている人々をこの世から消し去りたかった
  から。

Q6:最後の舞台であるルーエンハイムでヨハンがやりた
  かった事はなんだったのか?
A6:本当の両親そして自身の記憶・自我・名前を奪われた
  ヨハンはその張本人であるフランツ・ボナパルタや
  自分を知る人々を皆殺しにして、そして、自らの命を
  絶つ事で、フランツ・ボナパルタを名のなき怪物に
  しようとした。
  (完全な復讐だと個人的には考えています)

Q7:なぜヨハンは自殺することにしたのか?
A7:自分のつらい過去の記憶が、実は二ナの記憶で
  あった事から自分の存在が、そもそも無意味で空虚な
  存在だと感じたからだと考えています。

Q8:ニナはヨハンと同じ残酷な体験をしたにも関わらず、
  なぜニナだけがまともに育ったのか?
A8:ニナは赤いバラの屋敷から逃げる際に、ボナパルタ
  から怪物になってはいけないと暗示をかけられたので
  無事であったと考えています。
  二ナの残虐な話を聞いたヨハンは、何も言われな
  かったので、そのまま怪物になってしまった…。
  
Q9:最終話でヨハンはまた行方不明になったが何故??
A9:よく分かりま千円・・・わからず肥やしいですっ。
  彼は本当の名前を手に入れる事で、母親に会いに
  行った??もしくはそれとも死んで埋葬されてしまっ
  た??と考えてます。ちょっと煮え切らないかな。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

チェコ抄

原作厨

いつかは!と思いつつ店晒しにしちゃってたよん
皆さんもおありでしょう。私にとって『MONSTER』がそんな作品の一つです。
おおかたスイッチが入るとあっという間なのに、事前に全74話と聞けば腰は重くなります。

一言で“ミステリー巨編”になります。原作はみんな大好き浦沢直樹氏。現代人の基礎教養くらいに思ってますのでどんなお話かは割愛しときます。wiki拾うとこんな感じ↓

引用)
ドイツおよびチェコを舞台としたサスペンス作品。冤罪、猟奇殺人、医療倫理、病院内での権力闘争、家族の在り方(親子愛、兄弟愛)、人間愛、児童虐待、アダルトチルドレン、トラウマ、東西冷戦構造、ベルリンの壁崩壊の以前以後のドイツ社会などをテーマとしている。

てんこ盛り過ぎですね。そのくせお話としてはまとまっているという奇跡的な作品はそうそうお目にかかることはできません。よってボリュームさえ気にしなければGO!かと。というより表裏の話で、1クールで収まりのいいサスペンスもの良さは認めつつ、本作のように長尺で追いかける楽しみを得られる作品は唯一無二くらいで思ってます。
私からは重い腰を上げた“きっかけ”とアニメ作品としての“視聴する意義”の2点だけに留め、内容については特に触れずにしとこうかと思います。


■きっかけ

1.頭脳明晰つながり!?
 {netabare}佐々木望さん東大卒業とのニュースに触れ、出演作見たら“ヨハンリーベルト”とある{/netabare}
2.東欧の虐げられチルドレン
 {netabare}最近観た『ブラックラグーン』の双子の設定でなんとなくオーバーラップ{/netabare}
3.ようつべ
 {netabare}インパルスの往年の名作コントがタイミングよくピックアップされてたり{/netabare}

原作知らん方すみません。しょーもないもんですが立て続けでこれもご縁となりました。


■視聴する意義

“原作準拠”“老優らの置き土産”の2点です。


1.原作準拠
 全18巻分を74話で提供。1巻あたり4.11話分の充分な尺が用意されていました。細かくチェックはしてませんが、無理な短縮やアニオリはありません。
 キャラデザインも原作準拠。配役にも違和感全くなし。原作ファンとしては文句つけようがなかったです。原作そのまんまという印象です。

2.老優らの置き土産
 1990年代後半を舞台に物語は進行します。ただその発端/契機となるのは10~20年前ということになりまして当時の大人たちが壮年や老年期を迎えわんさか登場してくるお話です。もちろん少年は青年になって…と時の流れを感じさせるわけであります。
 そこで大事なのが過去ひと悶着あった現代のご老人たちからにじみ出る深みや凄味を画と音で表現できるか否か。もちろん音部分を担うのが声優さんなんですが“豪華”というのもおこがましいくらいで、“圧巻”と言い換えても大袈裟ではありません。
 冷戦崩壊の震源地“ベルリンの壁”を抱えるドイツにて“東”の負の遺産その当事者たちの苦悩を演じ切られてます。
 2004年時点での老人役だからそれなりに鬼籍入られてる方もいらっしゃいまして、しばらくアニメから離れていて本作が遺作という方もちらほら。2021年11月時点での物故者をご紹介しますがその演技を通じて遺言めいたものを感じ取ることができるような気がしませんか。
 
★主要人物 ※一応隠しておきます
{netabare}・小林勝彦(Dr.シューマン役):テンマが立ち寄った偏狭な村にある診療所の偏屈医者
・永井一郎(Dr.ライヒワイン):序盤から最後まで登場する精神分析医。テンマやニナの理解者
・熊倉一雄(赤ん坊):フランクフルト極右界の大物。フランクフルトトルコ人街焼き討ちの首謀者
・家弓家正(ギュンター・ゲーデリッツ):ニナをエサにヨハンを担ぎ上げようとしたドレスデン大教授
・北村弘一(ヴォルフ将軍):旧東ドイツの元将軍。ヨハンに周囲の人間を次々殺されちゃってました
・田中信夫(ペトル・チャペック):ボナパルタ直属の部下。細身でメガネ。これも東からの亡命者
・野沢那智(フランツ・ボナパルタ / クラウス・ポッペ):いやーもう説明不要の絵本作家さん
・有川博(リヒァルト・ブラウン):私立探偵。酒が理由で辞めたミュンヘン署の元敏腕刑事さん
・大塚周夫(ペドロフ):511元院長。プラハで無認可の孤児院経営してましたよ
・坂口芳貞(カレル・ランケ):大佐。チェコ秘密警察を母体とする闇組織のボスになってました{/netabare}

 たしかな演技力に裏打ちされた唯一無二の“声”を持ってるレジェンドばかり。主要人物の演者さんだけで多くの方が亡くなられております。
 戦友らの回想をベースとした『永遠のゼロ』でも“振り返り”の柱だった夏八木さんが映画公開時点でお亡くなりになられてたりしましたが、否が応でも時の流れの残酷さ/無常を感じさせるのですよ。

そしてwikiにも載らない各話ゲストもたまらない布陣です。
★主要でないけど印象的な方々
{netabare}
・大木民夫(ニナの父/5話他):リーベルトさんじゃなくてフォルトナーさんのほう
・納谷悟朗(盲目の老人/5話):Uボート乗務経験ありのヨハンに英仏語を教えてた爺さん
・有本欽隆(グロス/10話):コソ泥ヘッケルを追い回す借金取り
・有本欽隆(アンナの父/57話):フォルトナーさんじゃなくてリーベルトさんのほう 二役ですね
・渡部猛(探偵/21話):フォルトナー夫妻を殺した元刑事の片割れであるミュラーが雇った探偵
・谷口節(ジーベル/22話):ヨップ夫妻殺しの真犯人(模倣犯)。連続中年夫婦殺人事件の一環と工作
・青野武(ハイトマイヤー/24話):山荘の老人。ハノーファーのとある組織のナンバー2までのぼりつめた
・弥永和子(偽マルゴット/25話):お金持ちシューバルトから金むしり取ってたでっぷり娼婦
・中島聡彦(リントナー父/27話):カール(シューバルト)育ての父
・田の中勇(老人/34話):ベトナム人女医のもぐり診療所待合室にいた老人
・川久保潔(ガルブレヒト院長/40話):グリマー初登場時にいた某孤児院の院長
・杉田郁子(スーク刑事の母/-):プラハ署スーク刑事の母。アルツハイマー進んでましたね
・矢田耕司(ムスタファ/-):チャペックを殺そうとした幼馴染ミランのとこの居候の一人
・たてかべ和也(老人/68話):物語最後の地ルーヘンファイムでアル中や少年にこっそり銃を渡す人{/netabare}

 繰り返します。遺言です。


結局全74話を連休利用してほぼ3日で完走。いやー内容を若干うろ覚えだったとはいえ引き込まれました。超満足!お腹いっぱいです。



※余談

■同世代

たぶんこれもきっかけの一つだと思います。
『ハイスコアガール』の時も感じたんですがほぼ同世代なんですよ。ヨハンとアンナ(ニナ)の双子とね。
同世代の子がこんな過酷の運命を背負わされてるんかー!って謎の一体感もあるし、いい歳したおっさんが回顧がてらにってのもあります。
ブロンド美女学生設定であるアンナさんも40代半ば。同い年アンジェリーナ・ジョリーの現在の御姿をみるにいい歳の取り方してたらいいなぁと彼女の幸せを願わずにはいられません。


■チェコ好き

たぶんこれもきっかけの一つだと思います。
リアルでプラハ訪れた時に“蛙3匹の看板”探したことは内緒。欧州の中でもお気に入りの地の一つです。

{netabare}OP映像に“カレル橋”映ってましたよね!?{/netabare}



視聴時期:2021年11月

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2021.11.14 初稿

投稿 : 2024/05/04
♥ : 27
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

我ながら、最近こういう「アニメに関係の薄い雑談レビュー」ばかりだな~(自爆)w

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
浦沢直樹さんの代表作のミステリー漫画が原作。

原作全巻持ってます。よって、途中断念しています(アニメの出来に興味があり、数話観ただけですからね)。

アニメーションの出来としては悪くないと思いますよ。作画とか演出とか音楽とか、そういう部分で「は」文句はないっすよ。

レビューでは、「浦沢直樹さんの作品(漫画)に対する私見」と「アニメや漫画、映画等の表現媒体による金の稼ぎ方」などを、かなり批判的に書いてるので、本作がお好きな方には合わないかもしれませんね。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
浦沢直樹さんの漫画は、「YAWARA!」「MASTERキートン」「Happy!」「MONSTER」「20世紀少年」「
PLUTO」と全巻読んでいる。

なんだめっちゃ好きじゃん、となりそうですが、実はそうでもない(笑)

いや、厳密には「めっちゃ好きだった」

「YAWARA!」「MASTERキートン」「Happy!」

までは楽しく、「MONSTER」「20世紀少年」でガッカリ、もう読まないかな、という感じだ。

多くの方が指摘されているので今更なのだが、本当にこの人の作品は、「読んでる最中は最高に面白く」「読み終わると最高にガッカリする」ことが多い。

これをどう評価するか。「盛り上げた方が異常に上手い」とするか、「畳み方が異常に下手」とするか。

いや、個人的には、「畳むつもりがない」を推したい。「20世紀少年」のラストには驚愕したが、(私は)その後に読んだ「MONSTER」で、「常習だったのか」と思った。

これ、漫画だから許されている手法じゃないかと思う。もしくは、ドラマ。つまり、「連載形式」。

アニメ、漫画、小説、映画、ドラマ。

様々な媒体がある中で、どう、お金を回収するか。

アニメは、視聴終了後に円盤やグッズ、イベントなどでお金を落としてもらう必要がある。が、「最終話でガッカリした作品」に、誰がお金を使うだろうか? 「ウマ娘2」が好例で、誰もが感動するラストで、まだこの世界に浸っていたいと思ったから、あれだけゲームに流れたのだろう。お見事としか言いようがない。

映画や小説の場合、「クチコミ」が大事だと思う。「カメラを止めるな!」が好例だと思うけど、初動が鈍くても、その作品を観終えた人が高評価し、SNSでバズったりマスコミが取り上げることでロングランすれば、お金は回収できる。小説なんて、名作認定されれば数十年単位で売れ続ける。

しかし、漫画やドラマは違う。

ドラマの場合、円盤の売上というよりは、スポンサーがどう金を出すか=放送中の視聴率(CMの稼働数)が大事。これは、「あなたの番です」が悪例で、最終回であれだけ(悪い意味で)期待を裏切られても、それまでの2ヶ月半ですでに(CMをたくさん観てもらうという)目的の9割は達成できているわけで。最終話がつまらなくても、まさかスポンサーのイメージが落ちるわけじゃないし、続編は作れなくても、新作の別物つくれば良いわけで。「ヤリ逃げ」がかなり許されてしまう媒体だと思う。

漫画もそう。連載中に盛り上がれば、掲載雑誌は売れ、単行本も売れる。最終回がつまらなくても、まあそれまで単行本を買い続けた読者ならとりあえず最終巻も揃えるだろう。それで、「オチがつまらない」と悪評が立ったところで、困るのは中古本屋くらいで、作者の懐は痛まない。勿論、完結後の重版はされにくくなるだろうけど、長期連載していれば、それまでの数年間は売れ続けているのだから、充分に元はとれている。

よって、「畳むことを想定せずに、風呂敷を広げるだけ広げた作品」の方がむしろ、大ヒットしてしまう現象が生まれやすい媒体だと言える。

先日私は、「ベルセルク」のレビューに、「未完であっても、それまでの長い間に楽しませて頂いただけで満足。感謝しかない」と書いたが、それとは全く別次元の話で。

「ベルセルク」のように、「完結したくても、出来なかった」作品は、どうしようもない。それはそれできちんと受け止める(他にも、雑誌の廃刊とか、作者の健康問題。広く言えば、打ち切りなどもこの部類です)

最悪、「力不足でまとめられない」のも、まあ、仕方がないと思えなくもない。

しかし、本作、また、「20世紀少年」と2作もくらうと、これは意図的なんじゃないかと勘繰ってしまう。まして、これだけ実績ある漫画家である。

いや、浦沢さんに、そこまでの悪意があるとも思ってないけどね。もっと単純な話で、「余韻」や「考えさせるラスト」を勘違いしてるんじゃないかとも思う。

「YAWARA!」のようなスポ根(恋愛モノ)は、ある意味畳み方は簡単で、「優勝」と「結婚」には誰でも納得する。それを、「テンプレ」とか「既視感」「予想の範囲内」と言う人は少ないだろう。だから、浦沢さんの「盛り上げる才能」がよく生かされているのだと思う(そういう意味でも、「スラムダンク」は凄いが。あのラストの展開なのに、大満足させてるからねw)。

「MASTERキートン」は、そもそもが短編集みたいな作品であり、1話完結の中でラストも決まっていた。まあ、芥川龍之介みたいに、短編は神がかり的に上手くても、長編はそこそこっていう作家もいるし、そういう才能の持ち主なのかもしれない。

ミステリーは、ここが難しい。「期待通り」過ぎるなら、「予想の範囲内」だし、「予想を裏切って」も、「納得できない」なら、やはり駄作になる。

「誰もが予想できず、誰もが納得するラスト」を考えるのは、本当に至難の技だ。自分に出来るかと言われたら絶対に無理。でも、プロにはそこに期待したくなってしまうのも、人の性。

ただ、、、俳句の下五で裏切られる、とはやっぱり違うわけで。あれは数秒で読めるから腹立たないけど、漫画は、長期連載になると十年近いからね。「その時間返せよ」となる気持ちも出てくる。

勿論、私に読解力が無さすぎるだけで、このラストを余韻や考えさせられるラストと捉える方もいっぱいいるのだと思う。アニメ含め、エンタメなんて嗜好品だから、自分が好きならそれで良いし、嫌いならそれでも良い。

少なくとも私には、「ただのガッカリラスト」でしかないんですよね、本作は。それだけですが、ミステリーはそれだけで全部が台無しになってしまうジャンルだと思っています。好きな方には申し訳ないm(_ _)m
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
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