ミステリーでサスペンスなおすすめアニメランキング 13

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのミステリーでサスペンスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月05日の時点で一番のミステリーでサスペンスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

87.6 1 ミステリーでサスペンスなアニメランキング1位
Another(TVアニメ動画)

2012年冬アニメ
★★★★☆ 3.9 (5085)
22534人が棚に入れました
その学校のそのクラスには、誰にも話してはならない“秘密”がある・・・。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女 見崎鳴 に惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、予想もしなかった惨事が! この“世界”ではいったい、何が起こっているのか…?

声優・キャラクター
高森奈津美、阿部敦、前野智昭、米澤円、野中藍、山本和臣、榊原奈緒子、平田広明
ネタバレ

ヲリノコトリ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

これが本来あるべきホラーの姿

 「そのクラスは死に近づいてしまった」。主人公が転校してきた3年3組には、なにかただならぬ雰囲気があった。やがて”その年最初の犠牲者”が出る……。原作、綾辻行人(「十角館の殺人」など)。
 事前知識ほぼなしで観ました。素晴らしかった。
 ここのレビューを見てなければ一生観てなかったでしょう。みんなありがとう。何も知らずに「中二病でも恋が~」のアナザーストーリーかなにかだと思ってて、なら大っ嫌いなタイプのアニメだから絶対観ないぞー、と思ってたんですが、そう思ってた頃の自分をぼこぼこに殴って川に捨てたい(笑)

 まず、このアニメは間違いなくホラーです。つまり幽霊とか超常現象が出てきます。しかし、ミステリー・推理系という意見があるのはなぜか。それは、これが現代に蔓延るダメホラーではない、本来あるべき本物のホラー作品だからです。

 本来あるべきホラーというのは細かくは一番下でネタバレの中に格納しますが、簡単に言うと「現実には存在しない理論に基づいている」ということです。つまり現実的ではないけど、理論的ではあるのです。よって理論的思考によって幽霊の正体や死を回避する方法がわかるのです。
 こういうホラーはリング以来です。{netabare} 昔読んだビンゴっていうホラー小説も似てるかな。どっちかがパクリとかではなく、こういうホラーに再び出会えて嬉しいということです。
アニメではほかにないんじゃないかな?最近では「迷家」が似たようなことしようとして絶賛失敗中ですが。もし「Anotherっぽいホラーだよ!」っていうアニメがあったらぜひ教えてほしいです!「屍鬼」の医者の実験シーンなんかが「この世のものでない理論を暴く」という点は近いですね。あのアニメは無駄に長ったるくて苦手ですけどね。小説読んでいろいろ知ってたせいですが。あと「新世界より」がSFだけど近い雰囲気ありますね。 {/netabare}

 これから観る人へのアドバイス。この作品、本当に楽しむためには「初見一発勝負」です。覚悟して、”幽霊探偵”になって観てください!

 以下ネタバレとしてちっさくなってますが、どれも久々のスーパー長文です。「よしよし、いっちょ読んでやろう」という寛大かつ酔狂な人以外は、サンキューボタンが遠ざかるので安易に開かないでいただいたほうが……(笑)
 あと、まだこの作品を見てない人は開かないように!開いた瞬間この作品は終わります!


 「すべてがFになる」をながら見したことを大反省して以降、私は推理ものを見るときは映像に合わせてリアルタイムでメモをとって真面目に見るようにしています。その結果、自分でいうのもなんなんですが、今回私「最高の視聴者」としてこの作品を見ることができました。
 そのメモを載せておきます。
 あ、でも観ながら書きなぐってて読みにくいし異様に長いので、よっぽどヒマな人以外一番奥まで開かない方がいいと思います。
↓※完全なネタバレ・考察です!観終わった人、一切見るつもりがない人以外は開かないでください!開いた瞬間このアニメは終わります※
{netabare}

事前知識
・先が読めない
・ホラーなのか、ミステリーなのか
・グロい(?)
・原作綾辻行人!?あの綾辻行人!?


第一話(まだ全然話が読めていない。迷走しまくりだがまだ元気なので文字量は多いw)
{netabare}
1、人気者、「三年三組のミサキ」は”事故”で死んだが、クラスは彼女が生きているように振る舞うことに決めた。(プロローグ)
 →クラスの集団心理に作用?それとも降霊術として作用?原作者的に前者だと想定して推理する。

2、病室に訪ねてきた3人。男委員長(かざみ)、たれメガネ(さくらぎ)、ツインテ(あかざわいずみ)。主人公はよみやまに住んだことがない人間がしないような行動をした。
 →ツインテと握手したこと?ツインテの自己紹介後の変な間も違和感。

3、眼帯少女。みさき鳴。病院地下二階に半身が待っている。(悲しいことがあったから)彼女は最上階に止まっていた、つい先ほど人が出たばかりのエレベーターの中にいて、その後地下二階に向かった。上昇するエレベーターに乗り込んで最上階に行ったあと、最下階に行ったことになる。
 →そのまえに主人公はどこに行こうとしていたのか。携帯使用許可地帯に出たかった?地下二階についていく意味は?

4、インドからの電話。向こうは夜中二時。こちらは朝。インドと日本の時差は3時間半。つまり朝5時半。調べてみたが矛盾なし。「インドは暑いぞー」が2回。若干違和感。「おとうさんとおかあさんによろしく」。この言葉は明らかにおかしい。後で確認したが、学校で「父親が大学教員で、インドにいる」という話をしている。やはり電話の主は父親のはず。
 →7話視聴後追記「お義父さんとお義母さんによろしく」なら何の問題もなし。すこし疑いすぎていた模様。

5、教室の違和感。ツインテ不在。なにか含みがある。最前列左端空席。最後列左端に眼帯少女。主人公の席は2行4列目。最初から空席。
 →前はツインテの席?

6、心臓男(たかばやし)。たれメガネが足をくじいている。3組は特別。主人公になにかを教えないと、ツインテに怒られる。「みさきめいってどこ」→首を横にふって戸惑う。反応が曖昧でまだ推理不能。すくなくとも普通ではない。

7、「さかきばらこういち」という名前は学校が舞台の理不尽で残酷な死を連想させる。3年3組は死にちかい。
 →酒鬼薔薇事件のこと?詳細を調べなおす必要あり?

この時点での考察:眼帯少女とツインテの正体を知りたい、と思うのが自然。話の流れとしては適切。二人が幽霊的な存在でないのなら、クラスの集団心理が生み出した幻影?しかし、転校生である主人公がそれを視認しているのはおかしい。ということは集団心理によって実体化する?それとも「よみやまに住んだことがある人」は見えるのか。町ぐるみのなにかなのか?
 次に父の電話。たとえば父親がすでに死んでいて、あの電話が声をつなぎ合わせただけのもので、主人公は受け答えのフリをしていたのであれば、主人公の精神面も信用できない。
 酒鬼薔薇事件を醸すのであれば、ラストは猟奇殺人に発展して終わりか?話の筋は見えなくはない。
{/netabare}抜粋:人気者、「三年三組のミサキ」は”事故”で死んだが、クラスは彼女が生きているように振る舞うことに決めた。(プロローグ)
 →クラスの集団心理に作用?それとも降霊術として作用?原作者的に前者だと想定して推理する。二人が幽霊的な存在でないのなら、クラスの集団心理が生み出した幻影?
 


第二話(1話の迷走が修正され始める)
{netabare}
1、ツインテ登校。たれメガネと話している。幻覚ではない様子。対策委員とはいったい何なのか?

2、実は主人公こそ、クラスのみんなが生み出した幻影で、主人公は転校前に死んでいる。というのを考えたが、受け答えを注意深く見てもそのような不審なやり取りはない。これもなさそう。

3、眼帯少女は神出鬼没。人形館では「他にお客はいない」と言っていた。眼帯少女にそっくりな人形。
 →客ではなく店の関係者ということ?この子幽霊説は明らかにミスリードっぽい。

4、「繋がってるから安心」「繋がってないから安心」。そのままの意味。この程度のことをドヤ顔で挿入するのは好きじゃない。推理小説ってなんか頭いいとこ見せようとして時々イキるよね。そんなことしなくても筆者が頭いいことは分かってるから、普通に話を進めればいいのに。
{/netabare}抜粋:ツインテ、主人公への疑いが晴れる。眼帯少女幽霊説はミスリードと予想。



 
第三話(まだミステリーだと思っているが、実は名推理連発。ここが集中力のピークだった模様)
{netabare}
1、眼帯少女は義眼。でも義眼の視線が普通に動いていた。あそこで視線がずれているような作画をしたら不気味さMAXでいい感じなのに。ヒロインをかわいく見せようとして一つ損している。

2、プロローグの話(26年前の話)には続きがある。ひとまずのオチは「卒業写真にその子が写った」。それが「始まりの年」。続きは知るタイミングがある。来月になれば。

3、やはり主人公もツインテも普通に生きているっぽい。これでどっちかが実は幻影だったとしても見破れるわけがない。ストーリーの流れの予想をし直した方がよさそう。

4、インコ。れいちゃんとはインコの名前のはずだったような(?)しかしなにかすこし怪しい。「どうして?、れいちゃん、どうしてー」
 →れいちゃんというのは死んでいるのか?誰?母親はりつこ。

5、新聞に通り魔殺人の記事

6、死んだ子はふじおかみさき。眼帯少女のいとことのこと。本当か?半身?

7、眼帯少女は「いないもの」。本人曰く、「みんなには見えてない。」
 →これで確信。この眼帯少女は生きている。ミスリードでないなら、もっと明確に「私は既に死んでいます。幽霊です」と表明するべき場面。そもそも主人公の行動を止めようとしている時点で、周囲の生徒にも見えていることになる。


”つまりこの子は生きており、この子を無視することが「対策委員」の決定であり、それは「始まりの年」以降に起こる事件を回避するための行為。”


8、たれメガネ。なにやら急いで下校。階段で足を滑らせ、瀕死。グロいがそれはさておき。これは確実に事故。故意だとしたら足を滑らせる仕掛けをして傘を尖らせることしかできない。これは本家の推理作家が採用するトリックとは到底思えない。

ここまでの考察:ストーリーは動き始めたが、それは事件ではない。ということはやはり犯人を推理するミステリーではなく、ホラーか、サイコホラー
のようなものだと考えた方がいいのか……?
 「みんなが妄信しているクラスの掟を打ち破って、かわいい眼帯少女をいじめから救出する」というストーリーか?その線が濃厚とみて先に進む。

忘れてたポイント:1、看護婦さん誰? 2、主人公の病気とは?
{/netabare}抜粋:つまりこの子は生きており、この子を無視することが「対策委員」の決定であり、それは「始まりの年」以降に起こる事件を回避するための行為。「みんなが妄信しているクラスの掟を打ち破って、かわいい眼帯少女をいじめから救出する」というストーリーか?




第四話(ここも推理は正解。ストーリーも見えてきた様子)
{netabare}
1、ダミアン?
2、みさき鳴は偽名?
3、迷信ではないのか?完全なホラー?
4、やはりインコになにかある。
5、看護婦死亡。主人公の協力者ポジションだった模様。
 →ここで綾辻行人を検索。ジャンルのなかに「ホラー小説」とあるのを発見。クラスの掟が迷信なのか、本当なのか判断できない。否。少なくとも迷信、偶然では済まない。迷信だとしても、その迷信に乗っかっている何者かがいる。原因がオバケとか呪いなら、むしろ話は簡単になる。看護婦のほうはかなり計画的に殺人できるけど。

 ただ間違いなく眼帯少女は生きている。これが「ホラー」だった場合、彼女と会話してはならない等、人柱としての役割があるはず。これを主人公に真実だと伝える必要がある。うかつな伝え方をすると私の3話の考察のように「いじめを受けている」と誤解されて逆に眼帯少女に積極的に関わろうとする。ツインテが動けないのは思慮深いから。……と思おう。むしろ伝えてどうなるかを見た方がいい気が……。実際死者2名なら説得力十分だと思うのだが。
{/netabare}抜粋:迷信ではないのか?完全なホラー?迷信だとしても、その迷信に乗っかっている何者かがいる。ただ間違いなく眼帯少女は生きている。これが「ホラー」だった場合、彼女と会話してはならない等、人柱としての役割があるはず。




第五話(ここでアニメの方針を把握。VS原作者の火ぶたが下りる。)
{netabare}
1、母親、りつこ。15年前死亡。3年3組だったのは26年前か?
2、「死者は誰――?」
3、心臓男、真実を伝えようとした直後、心臓まひで死亡
4、今度は主人公が人柱(?)に。
5、「6月の二人目は病死」

 心臓まひの時点でホラーなのだという方針に変更。「どういうルールを持つホラーなのか」を推測するアニメ?……と思ったらルールは教えてくれた。これで全容が見えた。

”クラスに紛れた死者を推測するアニメ”

 プロローグの話は降霊術として作用するほうだったか。
 クラスの人が超常現象的に一人増え、誰が増えたかわからない。増えたのはそれ以前に犠牲となった誰か。そして関係者が死ぬ。12か月で12人とというわけではない。人数はばらつきがある。
 着想は「七人みさき」か?七人組の悪霊で、人を一人取り殺すと一人成仏できる。しかし取り殺されたものが七人みさきに加わるので、永久に七人から減ることはない、という悪霊。……それで「みさき」。なるほど、いいセンスだ。
 犠牲を回避するために、一人増えた分、誰かを「いないもの」とすることで「クラスに一人増えた」という事実を帳消しにする。
{/netabare}抜粋:「どういうルールを持つホラーなのか」を推測するアニメ?……と思ったらルールは教えてくれた。これで全容が見えた。プロローグの話は降霊術として作用するほうだったか。




第六話、第七話(ここの予想は斜め上に外れたが、考察の前半は後々私の武器となる)
{netabare}
1、ひとまずの解決編。ハンパなアニメならここから始まるだろうが、五話分かけてほかの可能性を排除してから「初期設定」を説明したために説得力が出ている。さすが。

2、死者を見つけるのではなく、なにか解決の方法があるらしい。

 ここからは大雑把な考察に移る。

 以下、クラスに一人増えた死者を「another」と呼ぶ。
 主人公は明らかに怪しい。そもそも「クラスに一人増える」というクラスに、転校生が来たのであれば、2人分席が増えるはず。ところが、実際には「転校生が来たことによってクラスに一人増えた」という状況。ということは主人公以外のクラスのメンバーだけだった4月時点では人数的に何も問題なかったということ。ということは主人公以外はanotherたりえない。
 しかし、「主人公は大丈夫」と繰り返し言われる。これは全く論理的ではないが、原作者からのメッセージだと思われる。つまり主人公を疑わずに別の道を探れ、ということだろう。これで主人公がanotherだったらアンフェアにもほどがある!

 ”つまりここで、anotherの容疑者が一旦ゼロになる。”

 もしかしたらanotherが紛れることが重要なのではなく、「クラスに一人増える」という現象がトリガーになっているのか?それなら今年はただ単に転校生が来たということが現象の発端。例年の対策は意味がない。このクラスには現在anotherはいない。成仏させることもできない。これがラストか?だとしたらホラーとしては素晴らしいラストだとおもう。

ラスト予想
 夏休みに「正しい対策」を講じて、another現象を中断させることに成功した……と見せかけて、今年はクラスにはanotherは存在せず、「クラスに転校生が来た」というトリガーがあっただけ。よってanother現象は止まらず教室は地獄と化す……。というラスト?

ツッコミどころ
・このクラスに転校生を入れる、もしくは入れるとわかっていてそれを容認するという選択は正気の沙汰じゃない。校長が事情を知らなくても、周囲の人間は全力で、辞職覚悟で止めるべき。
・一人を無視する、という対策が有効ならば、一人だけ別のクラスに送る方が効果的だと思う。他にも3年6組をつくり、3年3組は「クラスの生徒が0人の学級」として存在させれば、3年4組が3番目のクラスというわけではないし、被害が出ない気がする。
・これらのことは、例えば「1年間でかならず一人死ぬ」という程度の現象なら、行われなくて当然だと思う。しかし「1年間で関係者が16人死亡」というレベル、「5月から一か月ほどで事故死2件、病死1件、担任が教室で自殺」というのは明らかにおかしい。
{/netabare}抜粋:以下、クラスに一人増えた死者を「another」と呼ぶ。
 ”つまりここで、anotherの容疑者が一旦ゼロになる。”
 ラスト予想
 夏休みに「正しい対策」を講じて、another現象を中断させることに成功した……と見せかけて、今年はクラスにはanotherは存在せず、「クラスに転校生が来た」というトリガーがあっただけ。よってanother現象は止まらず教室は地獄と化す……。というラスト?




第八話(慎重に推理を進める。が、集中が切れてきて文章量が少ないw)
{netabare}
 another現象中断の方法についてちらほらヒントが。しかしこれは考察しきれるわけがない。考察しきれるようなストーリー構成だとしたら逆に駄作。

・神社
・一人死んだ
・学校に何か持って行った
・ひげ男(当時の男子学生)が救世主だった
{/netabare}抜粋:another現象中断の方法についてちらほらヒントが。しかしこれは考察しきれるわけがない。



第九話(やっとストーリーが読めてきた。が実はこの時、既に重大な見落としをしていて、そのことが全然書かれていない)
{netabare}
・ひげ男は教室に何か残した。……あの机か?
・夢と現実が非常にわかりやすい。これは地味にファインプレー。こんなことで無駄に混乱させる意味はない。
・教室に残したものはカセットテープ。罪の告白?神社も関係なし。やはり八話のヒントはここでほぼ水泡に帰した。帰った後でそれは起きた。それ?

 罪の告白という言葉や話の流れを単純に考えれば「anotherを男子学生が殺した」それで事件が起きなくなったということか?つまり人狼ゲームのような話に発展するのか?
{/netabare}抜粋:罪の告白という言葉や話の流れを単純に考えれば「anotherを男子学生が殺した」それで事件が起きなくなったということか?つまり人狼ゲームのような話に発展するのか?


 
第十話(視聴者VS製作者の推理ラストバトル!犯人予想を固める。見落としに気づきかけて……気づかないw)
{netabare}
合宿に突入。大詰めか。

・やはり主人公の線は残すべき?ほぼ読めていたが、ツインテが握手したのは死ぬ前の主人公?6,7話の主人公への無駄な信頼はなんだったのか。ミスリードにしては杜撰過ぎてひっかかってしまった。……のか?やはりミスリードなのでは。
・やはり罪の告白は「生徒を殺した」というもの。名前が伏せられている。ということはその生徒がいまクラスにいるのか?ということはanotherは男?
・anotherは罪の告白以前に一度死んでいて、罪の告白でもう一度死に、現在クラスにいることになる。しかし主人公以外の生徒はAnotherではないんじゃ?

 やはり人狼ゲーム化した。

 そしてやはり、anotherを確定しなければならない。ということは、確定する方法があるということ。これがこのアニメの核心。

 このアニメ、ちゃんと見れば2,3話先が読める。つまり、ストーリーが非常によくできている。2,3話先が読めるのは私がすごいのではなく、「このくらいヒントを与えれば、このくらいまで先を読んでくれるだろう」ということが原作者に筒抜けだということ。
 さすが超一流推理小説家。

 眼帯少女がいろいろと設定を曝露。死に近い人が分かる能力。そんなのをここに至るまで隠していたって……それは未必の故意なのでは……。絶対謝った方がいい。
 双子設定は今後に役立つのか?「ヒロインに魅力をひとつ上乗せ」程度に思っておけばいいのか?
 あと、主人公が来る前からanother現象は始まっていたようだ。
 なんにしても次で眼帯少女がanotherの正体に言及するはず。11話を見る前に予測する必要がある。これが原作者とのラストバトル。勝ち目は薄いが。
{/netabare}
抜粋:このアニメ、ちゃんと見れば2,3話先が読める。つまり、ストーリーが非常によくできている。2,3話先が読めるのは私がすごいのではなく、「このくらいヒントを与えれば、このくらいまで先を読んでくれるだろう」ということが原作者に筒抜けだということ。

↓予想表
{netabare}
1、主人公 ×
 パッと見では圧倒的に一番怪しい。が、原作者からの「この子は違うよ」アピールが著しい。眼帯少女も違うと言っている。よって除外して考えるべき。これでこの子がanotherだったら、「卑劣なミスリードにやられた」ということで私のプライドは保たれる。だから「この子は絶対anotherじゃない」と断言しておこう。

2、眼帯少女 ☆
 これも主人公と同じ理由で除外すべき。双子設定が非常に気にかかるが、双子で入れ替わる意味が思いつかない。この子がanotherなら、いろいろと嘘をついていることになり、今度は主人公がanotherだということを否定する要素がなくなる。しかし、能力を使わず事態を放置したことは看過できない。可能性は残る。

3、ツインテ ☆☆
 主要な同級生3人のうちの一人。クラスのまとめ役。現象と戦う中心。これがanotherなら意外性は抜群。ただ、生徒だとしたら男だろうというのが私の見解。

4、ヤンキー ☆
 主要な同級生3人のうちの一人。こいつも意外性抜群だが、こいつでいいならムンクでいい。不審な言動もなし。こいつだとしたら意外性「しか」狙ってない。推理物としては二流。

5、気弱ムンク ☆☆
 主要な同級生3人のうちの一人。主要生徒3人のなかでは、私の思い描くanother像に最も近い。この子だとしたら意外性はない。が、決定的な言動がない。そうなると断定することはできないし、このキャラの感じで断定できないのであれば逆に違う可能性が高い。

6、エンディングの金髪ショートメガネ ?
 誰だっけこの子。どこかで紹介されたっけ?もう死んだ?一応容疑者に入れておくけど、この子がanotherならクラスの別の紹介されてない子でも別にええやん。この子はナイ。多分。この子だったとしたら推理は無意味。

7、副担任 ☆☆☆☆☆
 私はこの人を怪しんでいる。全然物語に絡んでこない割に、会話の中に無駄に出てくる。副担任というポジションも気になる。今年、このクラスでは生徒が「一人増えていない」時点から現象が始まっていた。副担任としてanotherが現れたのであれば説明がつく。この現象では担任も死ぬ可能性がある。ということは、担任(の年齢の人)がanotherとして現れる可能性はある。推理物の犯人としても、意外性などの点で優良。

8、委員長的なメガネ男 ☆☆☆
 そういえばこいつどこ行った?死んだっけ?いや、生きてる生きてる。1話では同級生代表だったのにいつの間にこんなに空気に。ツインテがポジション奪ったせいだ。第一話のお見舞いシーンは違和感満点だった。その正体がこいつの言動だとしたら……。あまりに自然に空気になったので、学生の中では一番怪しい。

9、白髪教師、主人公の家の人、人形館の人 ×
 この人たちは違う。この人たちがanotherだとしたらホームズ小説でワトスンとか警部が犯人だったくらいの衝撃(笑) というかまず、この人たちはクラスに関与していない。この人たちは絶対ない。

10、インコ ×
 インコはおやつに入りません。……ってかインコじゃないわどう見ても(笑) 九官鳥だ。でもこの伏線回収された?いとこの姉(?)の「わたしのせいでお母さん死んだ」告白で終わりか。なんだ。母親・インコ周辺は重要な伏線かと思ったのに。

結論:私は「副担任の女」がanotherだと推理した!ちょっと自信あり。唯一ひっかかるのは「罪の告白」の時のanotherの名前が伏せられていること。私の推理では今回のanotherとは別人だから隠す意味はない。原作者側からの推理妨害か……?
{/netabare}

 そして推理してみて分かる。推理物としての優秀さ。小出しの的確なヒント。容疑者は消すことも決定することもできず、すべての可能性が(大小はあれど)残っている。

結論:私は「副担任の女」がanotherだと推理した!ちょっと自信あり。唯一ひっかかるのは「罪の告白」の時のanotherの名前が伏せられていること。私の推理では今回のanotherとは別人だから隠す意味はない。原作者側からの推理妨害か……?



第十一話(ここでは決着つかず。わくわく)
{netabare}
・ん、メガネ死んだ?やはりこの原作者はすごい。私が「生徒の中では一番怪しい」とみていた子を瞬殺してきやがった。ことごとく思考が読まれてる。
 →いや、死んでないかも?

・そして一気に惨劇へ。この速度でストーリーが流れると私の推理速度は追いつかない。あとは見守ろうかな……。

・三上先生って副担任?名前覚えてないや。死んだ?ちがう、白髪?白髪狂った?え、なんで?

・金髪ショートメガネは「タカコ」というらしい。やっぱどこかで紹介されていたのかな。海にもいたらしい。ごめん。視界に入らなかった(笑)

・やはり三上先生が副担任。無傷だった。言動怪しい。とおもったら頭部強打で死んだ?私の推理ではまだ生きている。

・ヒロイン連れて逃げる主人公。二人以外は狂人化。主人公以外一気に理性飛んだん? んー、あまり好きな展開じゃないなあ。と思ったら冷静な生徒もちゃんといる模様。あ~、やっぱ良いわ~小説原作。

 11話はひたすらカオス。ラストで種明かしか。原作者との勝負は持越し。副担任死んだ可能性あるが、まだ勝負は分からない!多分生きてる!むしろ私は勝利を確信しつつあるぞ!
{/netabare}抜粋:11話はひたすらカオス。ラストで種明かしか。副担任死んだ可能性あるが、まだ勝負は分からない!多分生きてる!むしろ私は勝利を確信しつつあるぞ!



最終話(そして勝敗が決まる……!)
{netabare} ・副担任やっぱ生きてた!……あれ、副担任だよね?キャラデザ忘れたわ。要素でしか見てないな私(笑)
 →違ったみたい(笑)ピアスした黒髪はだれだったんだろう。生徒か?まあ別にいいや。

・発狂した白髪かと思った人は、発狂した給食のおばちゃんだった。それでもなんで発狂したんだって感じだけど。死にたくないからかな。テープの内容が極限状態の人を一気に発狂させたのか。うん、適切なストーリーの流れ。わけもなく発狂だとクソだけど、そんなヘマをやる原作者じゃないことは分かっている。

・メガネも生きてた。メガネのいうことごもっとも。主人公は怪しい。でもなんか違うらしいよ。原作者からの無言のアピールによると。

・メガネ今度こそ死亡。やはりanotherではなかった。まあこれは11話冒頭で殺された時点で分かってた。

・やはり話の流れ的に主人公とヒロインも違う。

・ヒロインが犯人確保!その正体は……

 副担任!

 当たったあああああああ!

 けど違ったああああああ!

 またギリ一歩先を行かれた!

 副担任=主人公のいとこ(?)だったのか!気づくチャンスはあった!やっぱりインコ、じゃない。九官鳥が重要だった!ああ、見逃した!「れいちゃん、どうして」だ!「家では絵を描いている。それが本職のつもり」では本当の本職は?ボケた爺さんだけが正しい言葉を言っていた!
 気付けた!気づけたはずだ!
 クラスに関係ないからと、6話以降このいとこ(?)の多数の違和感を放置していた!教室のルールを教えられた直後で、それに夢中になっていたからだ!僅差の敗北に見えて、完全に原作者の掌の上だった……。孫悟空か私は。
 一年半前、主人公は葬式でこの町に来ていた。しかし葬式が行われていた事実が曲げられているから、この町に来た事実も曲げられていたわけか。主人公周辺の違和感はこれだ。

 判定 45対55。原作者の勝ち。

 でも推理小説で初めて犯人あてたかもしれない(笑)こんなに真面目に推理したことなかったからなあ。

 「さよなら、お母さん」どういう意味?
 まあこれは「もうひとひねり念を押して、視聴者の心に釘うっとくか」みたいなことだろう。主人公にとってはこの時この人を殺すことが、母親への贖罪や面影の払拭の意味合いを持っていた、みたいな。

 「終わったんだよね……?」
 これはちょっと看過できない!え、終わってないん!?「今年はね。」ってことか?それならいいけど、ヒロインの言動が全部ウソなら大逆転あるぞ!?でも実際人々から忘れられたんだから正解なんじゃあ?まだなんか隠し設定あったらもしかして……。いや、まあ「今年はね。」ってことだろう。
 
 ラストの終わり方、ちょっと背筋が寒い。
 「よく考えてくれ」なんて伝えても、犯人を見つけて殺せばOKなんていうルールだと今回みたいな惨劇は絶対起こる。一度現象が起こったらanotherを殺せても殺せなくても、死屍累々になるだろう……。これも正しいホラーの終わり方。完璧。 {/netabare}
{/netabare}



↓アニメのレビューとはあまり関係ない「ホラー論」
{netabare}  私はホラー映画の最高傑作は「リング」。次点で「ノロイ」だとおもっています。そしてホラーをダメにした最低作品は「呪怨」だと思ってます。だから「あたし~、リングとか呪怨みたいなホラー好き~」とか言われると苦虫を噛み潰したような顔になります。

 一緒にすんな!

 リングは「ホラーの最高傑作」、呪怨は「びっくり映像集」です!ちなみに、貞子3Dは「スペクタクルコメディ」ですのでリングシリーズとは断じて認めません。

 何が違うのか。

 現代のダメホラーは、「ホラーは不条理なほど面白い」と勘違いしています。「なんなんだよ!わけ分かんねえよ!死にたくねえ!」って感じのストーリーです。ただの、逃げる→幽霊登場→死ぬ、の繰り返しです。

 でも、本来の良質なホラーはそうじゃない!

 ホラーというのは「科学的・正常思考的でないがたしかに存在する”理論”に基づいて人が死に、その裏には原因と回避の仕方が確かに存在し、それを主人公が解き明かす」ものなのです!


 つまり、本来ホラーとは「通常とは異なる理論に基づいた謎を解くタイプのミステリー」なのです。これを端的でとっつきやすく、しかも完璧に体現しているのがリングなのです。


 ここでもっと分かりやすい話をしましょう。

 耳なし芳一。

 ラフカディオハーンの怪談です。ストーリーとしては、主人公が悪霊に呪われたので、お寺で全身にお経を書いてもらった。しかし耳にお経を書き忘れていたので、耳を引きちぎられて、主人公は耳なし芳一となってしまった。というお話。

 これが本来の良質なホラーです。
 これを現代版ダメホラーにしてみましょう。

 主人公は悪霊に呪われた上、なぜかお坊さんに全身にお経を書かれた。夜、悪霊がやってきて、「そんなの関係ねえ」とばかりに手足を引きちぎられ、道路に投げ出されたところでタンクローリーに曳かれ、偶然落ちてきた置物の刀が頭に刺さり、ベルトコンベアーに巻き込まれてミンチにされ、竈でおいしく焼かれて、ハンバーグとしてスーパーの棚に並びましたとさ。次はお前の番だ―!きゃー!

 怖いけども!

 そうじゃない。耳なし芳一がホラーとして面白いのは、耳をちぎられたからではなく、「ちょっとお経を書き忘れた」という我々にとってはどうでもいいことが、「妖怪側の理論」に当てはめると致命的なミスだった、という点でしょう。
 その観念的な相違が、我々の背筋を凍らせるのです。


 そして私の知る限りでは、この点でリングに並ぶホラーはなかった。次点のノロイですら、リングには足元にも及んでいなかった。

 しかしAnotherです!素晴らしい!
 わたしはこれから、「ホラーの最高傑作はリングとかAnotherだね!」というようにします。 {/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 53
ネタバレ

はなび@虹色 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

理不尽な「死のいす取りゲーム」

私なりの「Another」の見どころ

「印象的な場面描写と秀逸な音響・BGM」
「極限状態に追い込まれていく3年3組の生徒たち」
「11話と12話を受け入れることができるか?」

総評としての感想です。

私は、このお話のテーマは「理不尽な現象に対する怒り」なんじゃないかと思いました。

このお話に登場する人は、『現象』によって、大切な人を亡くしています。
そしておそらくほとんどの人がこの現象に対して、
「恐怖」を感じていると同時に「怒り」を抱いていたんだと思うんです。

クライマックスでは、その怒りの矛先が、ある人にとっては決意に、
ある人にとっては覚悟に、ある人にとっては狂気になったんじゃないでしょうか。

ホラーとしての怖さと臨場感は頭一つ抜けたものがあります!

作画の綺麗さ、繊細さもさることながら、BGMと音響の不気味さによって、
怖さが一層引き立てられています。

それらの要素が組み合わさることで、『現象』が起こる恐怖の世界に、
夜見山北中学校3年3組の教室にぐいぐいと引き込まれます!!

原作は未読ですが、漫画版、OVAは見ました!
個人的には、漫画版もアニメ版に負けず劣らずの良作だと思います!


「印象的な場面描写と秀逸な音響・BGM」
{netabare}
恐怖感、リアルさを演出するのに秀逸だと感じた場面がいくつもありました。

・「空」の描写  
雲の流れ、月の明かりがとても綺麗で繊細。臨場感を感じます。

・ところどころ挿入される人形のシーン
 恐怖感、不気味さを感じさせます。サブリミナル的な効果もあったのかも。

・OPに挿入される生徒同士の会話
 会話を挟むことで怪談風の恐怖感が増すような演出でした。

・板ガラスが風で倒れるシーン
 オーメンへのオマージュですね。見ているだけで怖かった・・。

・携帯のノイズ、雷の音、九官鳥の物まね、BGM
 音なのでうまく説明できないけど、怖いです・・。

・クラスメイトの死に方
 何度見ても、痛い!気持ち悪い!と思える悲惨な死に方をします・・。
 Anotherで一番怖いところがこの死に方だと思います。
 気持ち悪くなってもう無理って人もいたんじゃないかな・・。

Anotherをホラー作品たらしめている一番の要因が、
印象的な描写と秀逸な音響・BGMにあります。

ホラーとしては、やっぱり頭一つ抜けている感があります!
{/netabare}

「極限状態に追い込まれていく3年3組の生徒たち」
{netabare}
このお話は本当に哀しいお話だと思います・・。
理不尽な『現象』によって、極限の状況に追い込まれていく、
3年3組の生徒たちがものすごく可哀そう・・。

榊原恒一
{netabare}
恒一くんはお母さんの温もりを知らないんですよね。
『現象』を解明して、お母さんの死の真相を知りたかったんだと思います。

玲子さんに、お母さんの面影を感じていたことを感じさせる、
12話のあのセリフには、ちょっとうるってきちゃいました。
ほんと哀しい結末ですよね・・。
{netabare}
本当は、漫画版の終盤のお墓でのシーンも入れてほしかったんですけどね。
あのシーンはAnotherのなかでも屈指の名シーンだと思うから。
{/netabare}
{/netabare}
見崎鳴
{netabare}
未咲ちゃんを失って、悲しみのどん底にいるのに、
学校ではいないものにされて、お母さんともよそよそしい感じだし
ほんとかわいそうでしかたなかったです・・。

死の色が見えていながら未咲ちゃんを救えなかったことで、
無力感を感じて、心を閉ざしてしまったのかなぁ。

だから、『現象』を止められるってわかった後の鳴ちゃん、
止めた後の鳴ちゃんが本来の鳴ちゃんだったんじゃないでしょうか。

このお話って、未咲ちゃんを失って、心を閉ざしてしまった鳴ちゃんが、
心を開いて、本来の自分を取り戻すまでのお話ってことなのかも。
もちろん、恒一くんの存在も大きいですけど。
{netabare}
でも、なんで通り魔のことを鳴ちゃんは覚えていられたのかな?
当然その記憶にも『現象』による改ざんが入るはずなのに。
そこがちょっと納得いかなかったかな・・。
{/netabare}
{/netabare}
赤沢泉美
{netabare}
赤沢さんはかわいかったー!!いちばん好きなキャラかも!

彼女も2年前にお兄さんを『現象』で亡くしている。
その時の哀しい気持ちを友達には味あわせない、という使命感。
かっこいい女の子だなって思いました

そのうえ、恋する女の子としての一面もあって、かわいかった^^
彼女にとって『現象』を止めたかった一番の理由は、
恒一くんを助けたかったからなんだろうな。
{netabare}
あの最後のシーン、恒一くんはあのとき絶対に「覚えてる」って、
言わなきゃダメだったのにー!!何で言わないかなー、もう!!
{/netabare}
{/netabare}
風見智彦
{netabare}
私が一番かわいそうだなって思ったのは彼でした。
桜木さんのことを想って、彼女と同じ高校に行くために頑張っていたのに、
その彼女は『現象』によって、亡くなってしまった。
その後も、目の前で久保寺先生が自殺し、親友の勅使河原くんにも疑われた。
{netabare}
でも、風見くんがなぜあんな行動を起こしたのか、最後までわからなかった。
あれじゃ、単なるサイコな人みたいで・・、ひどいよ、風見くんがかわいそう。
漫画版ではあんな人じゃなかったのに・・。
{/netabare}{/netabare}
{/netabare}

「11話と12話を受け入れることができるか?」
{netabare}
すみません、なんか身も蓋もないこと書いてしまって・・^^;

でも、11話と12話を受け止めることができるか否かで、
アニメ版のAnotherの評価が大きく変わると思うんです。

それくらいの急展開が11話と12話にはあります。

10話まではほんと完璧な流れで先が気になってしょうがなかったんです。
でも、11話と12話がどうしても受け入れられませんでした。

なぜ、あの人があんな行動をとってしまったのか?

その背景や気持ちの移り変わりをもっときちんと描いてほしかった!
でないと、3年3組のみんながかわいそうすぎます!!

{netabare}
風見くんと杉浦さん、小椋さんはおかしくなってしまうし、
管理人の奥さんはいきなり殺人鬼と化してしまったし。

これを『現象』によって死に引き込まれた結果と言い捨てるのは、
やっぱり、納得がいかないって思うんです。

それまで、それぞれの人物に気持ちを寄せていたのに、
なんだか、台無しになってしまったような気がしてとっても哀しかった・・。
{/netabare}

Another のお話や登場人物たちはみんな魅力的で大好きです!!
でも、終盤に関しては、どうしても好きになれません。

私と同じように、アニメ版のラストに納得がいかないという方は、
漫画版の方を読んでみるといいかもしれません。

作画・音響による演出としてホラーをより楽しみたいという方は、アニメ版。
ストーリーと登場人物の魅力を堪能したいという方は、漫画版。

もしかしたら、そんな棲み分けなのかもと思ってしまうくらい、
両者は雰囲気が異なるように感じました。
{/netabare}


あの、これは余談なんですけど。。

私、この作品を見ていて、
なぜか「いす取りゲーム」を思い出しちゃったんです。

一人増えたところでゲームが始まって、
座れなかった人が死んでゆく・・みたいな。

なんとなく、似てませんか・・?

投稿 : 2024/06/01
♥ : 45
ネタバレ

ウル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

序盤はわくわくしました。

私はホラー作品が好きなので楽しみにして見始めました。


「いいところは」


{netabare}
作品全体の雰囲気がよく、ホラー独特の間のとり方も上手いです。
物語も、序盤は先が気になる展開になっていて続きが気になる話数が多かったです。
効果音の使い方もいいですね。
恐怖感をより演出してくれています。
昔の作品ですが作画も綺麗です。
一部除いては、キャラクターも現実的で無理がなく、実写映画を観ているよう。
ホラーの著者が、お話でチラッとセリフで出くるのは好きな人からしたら嬉しいですね。
災いを止める方法の心理描写はよかったです。
終盤のパニックホラー展開は読めてましが、上手く描写していたなと思います。
また、最後の決着をつけるところの心理描写はよかったです。
1年半前の伏線もかなりよかったです。 {/netabare}


「悪いところは」

{netabare}
ホラー映画では無能キャラクターは極力、主人公以外で、その無能キャラクターが襲われるところを見ていて、恐怖よりスッキリ感のが強くなる人が多いと思いますが、この作品は特に序盤、主人公が察しが悪く、自分とヒロインのことだけしか考えてなくて、さらに無能な癖に行動力があるので、被害がどんどん拡大していきます。
なのでイライラする場面が多いです。


クラスメイト亡くなった後も、主人公が平然としいて違和感を感じますし、
もうちょっと取り乱すシーンあってもよかったかなと思います。
お見舞いに来てくれたり、傘忘れたら、一緒に帰ろうと誘ってくれた友人が亡くなったと思えないです。
看護師さんと話すときも先週の事件って言ってみさきが気になると言って平然と話してます。
その相談相手と趣味友達の看護師さんが亡くなっても平然としています。
クラスメイトの高林君が亡くなっても翌日ケロッとしてます。

昔の事件が、気になるのもわかりますが、この事件のバックボーンがあってより気になった、みたいな、描写がないと主人公がただのサイコパスにしか見えないです。
ここまで回りで人が亡くなって、何も心理描写や態度に現れないのもは不自然すぎます。

更にいない者と扱われた、感想を聞かれてスッキリしたかもって言うセリフもここのタイミングで言ったらサイコパスに拍車がかかって見えます。

後半に夢でうなされるシーンが少しありますが、ただそれだけです。

あと亡くなっていく人の理由の説明のとき、3年生の3番目のクラスが問題なら、定員つけるなり、まずそんな噂ある学校だったら誰も行かなくなるでは?と思ってしまいます。
毎年死人出てるなら、知らない先生もおかしいと思うはずと思うのですが…
設定にもうちょっと深みがほしかったです。

おまじないの話すタイミングも別に、初日じゃなくても、次の日に会ったときに言うなり、初日に先生が呼び出して、主人公に言えばよかったのでは?
いきなりヒロインに話しかけたとはいえ、途中に主人公にそのこと言ったら、何かデメリットがあるのかと思いました。
むしろ放っておく方がデメリットだらけなのでは?
しかも、結局このおまじないちゃんと、していても効いてるか効いてないか微妙な感じでしたし。
あと、いない者と扱われている人同士が二人に増えたら、それはいない者にならないのでは?
面白い設定なのに穴があり過ぎて気になってしまいます。

あとクラスで踊るシーンの妄想少しありましたが、絶対にいらないと思います。
作品に全くあってないです。
悪ふざけにしか見えないです。

先生の事件あってからクラス合宿を計画しますが、校長は最近ここに来た人なので、3組の事情をを知らないのに、よく許可したなと。
せめて半年後とかならわかりますが、これ事件起きてからそんなに経ってないですよね?

これは夏の合宿でも言えることで、あんな事件あった後なのに、スイカ割りしたり、海で泳いだり夏を満喫してるところも違和感覚えます。
残ったクラスメイトの心が強すぎるというか、人間味がないです。


ヒロインの目の秘密もこのタイミングで!?っと思いました。
しかもずっと前から誰がもう一人かわかってたって…
せめて誰か一人言いたくても言えなかった、説得力のある、心理描写があればよかったかなと。

殺人が起きてからは主人公が無能に拍車がかかります。
風見を探す前に絶対にヒロインに誰がもう一人か聞くべきでしょ。
後半の主人公とヒロイン無能ぷりにハラハラするというよりイライラします。
ヒロインも喋れないのってくらい重要な場面で何も話さない。

机の数も揃ってて、副担任の人も3組に2回も関わるなんて、何か特別な理由が無ければ意味がわからないし、怪しいと思ってましたが、悪い意味で、色々疑問が残るアニメだったので後半では全く怪しんではいませんでした。

そもそもなんですが、
この街にずっと住んでいる人もこの学校の噂知って体験してますよね?
何故、自分の子供を、この学校に通学させるのかも意味がわからないです。 {/netabare}


「まとめ」
{netabare}
序盤の入りは個人的にかなりよかったですが、いい設定を生かしきれていない、また色んな人が亡くなっている中、登場人物の心理描写が人間味を感じません。
地元民も、あの学校に自分の子供を通わす理由も訳がわからない。
先生の自殺があった直後なのに、合宿を許可する校長。

また序盤の主人公、終盤の主人公とヒロインにはイライラさせられます。
前半のミステリー、サスペンスホラーから後半のパニックホラーに変わるところも評価が分かれると思います。
同じホラーですが全く雰囲気も前半と後半が違うので。
ですが、最後の心理描写はすごくよかったです。 {/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

67.3 2 ミステリーでサスペンスなアニメランキング2位
魍魎の匣(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (397)
2078人が棚に入れました
元映画女優・美波絹子の妹・加菜子が何者かにさらわれた。その背景には、八王子で起こった連続バラバラ殺人事件と、「御筥様」を祀る宗教の奇妙な噂、箱型の建物とのつながりがあり…。
憑き物落としの京極堂、小説家の関口、刑事の木場、探偵の榎木津らが事件を追う!

声優・キャラクター
平田広明、森川智之、木内秀信、関貴昭、浪川大輔、高橋美佳子、戸松遥、久川綾、桑島法子、津田匠子、本田貴子、古谷徹、田中正彦、檜山修之、三木眞一郎、うえだゆうじ、諏訪部順一、小山力也、宇垣秀成
ネタバレ

mikura さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

二人の幸せを願う。

 原作は未読です。昭和27年が舞台。
 友達のいない楠本頼子はクラスメイトの柚木加菜子の美しさと神秘性に惹かれ、彼女に声をかけられたことによって急速に親しくなる。
「私はあなたなの。私はあなたの前世で、あたなは私の来世」
 二人は感応精神病患者のように、お互い輪廻転生しあうという妄想的世界に没入し、夜の散歩を繰り返す。
 桜吹雪の中、月を背景に二人が手を取り合うシーンは幻想的で美しいです。1、2話が最高じゃないですか。
 しかし耽美的な百合アニメではなかった。
 これはミステリであり、ホラー、SF要素もあり、そして陰陽師の話でもある。
 凄いですねこれは。まるで知識の宝石箱やぁ。

・ミステリとしての謎。
{netabare}
 加菜子が中央線にひかれて瀕死の重傷を負う事件。
 衆人環境の中、重傷の加菜子が病室の帳の中から消えてしまった謎。そしてその直後、医者須崎が殺された事件。
 加菜子の消失と前後して各地で発見された、箱に入れらたバラバラの四肢。
 頼子の母親が信じていた「御筥様」という宗教。
{/netabare}
・SF&ホラーとしての謎
{netabare}
 加菜子が運び込まれた、窓がほとんどない直方体の、病院というより工場のような美馬坂近代医学研究所
の秘密。
{/netabare}
 絡まりあう謎を、古本屋の主人で陰陽師でもある京極堂が「憑き物落とし」の中で解明していく。
 登場人物たちの思い込みや事実誤認を修正し、妄執を取り払うと、謎であったことが自明のこととして解明され、一連の事件が整合性を持って繋がり全体像が明らかになる。
 やってることは推理小説の探偵役と同じといえば同じですが、人の認知の歪み(憑き物)の修正に重きをおいているのが良いと思いました。
 この作品、榎木津という探偵を名乗る人物が出てくるのですが、彼は全然推理しないんですね。
 何やってるんだお前ってつっこみたくなる、トリックスター的超能力者。
 小説家の関口も相当ネジが緩んでいて、最後笑わせてくれました。

 戦後間もなくのレトロな雰囲気も良く出ていて懐かしい気持ちになりました。
 東京通信工業の録音装置、十四年式拳銃、未舗装の道路を走るジープ、蓄音機、ステンドグラスの衝立、そして鳴りすぎる風鈴(笑)などが緻密に描かれていて、小物が効果的に使われていたと思います。
 
 京極堂の薀蓄話も大変面白かった。
 超能力者、占い、霊能者、宗教者それぞれの違いや、魍魎とされるものの解釈もわかりやすくて興味深い。このへんは原作小説の方がいいんでしょうね。 
{netabare} 
 しかし加菜子と頼子、二人の末路が悲惨すぎる。
「黒い干物」って、あまりに具体的すぎるわ(´;ω;`)。
 二人の来世での幸せを願ってやみません。

 SF考察
 
 加菜子は下半身と両上肢がなく、内臓では心臓と肺はあるものの、胃、腸、すい臓、肝臓、腎臓がない状態でした。
 この時代に人工的な装置で生命維持が可能だったのでしょうか。
 定期的に静脈を通して外から与えなくてはいけないもの。
 高カロリー輸液(ブドウ糖、アミノ酸、脂質、ミネラル、ビタミン含む)、インスリン、副腎皮質ホルモン、エリスロポエチン、ヘパリン(抗凝固剤)。
 そのほか、もちろん人工腎臓(透析装置)と人工肝臓も必要になる。
     
 このうち昭和27年時点で、すでに発見・実用化されていたのは、インスリンとヘパリンだけでした。肝臓に至っては現在でも人工的な装置で肝細胞の働きを再現することはできていないそうです。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 5
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

素晴らしい作品だ

京極夏彦による推理・伝奇小説「魍魎の匣」を原作に、
CLAMPの美しい作画が送る本作は、
伏線の回収が秀逸な素晴らしいミステリーだった。

あらすじ
{netabare}
暗い性格で友達もいなかった楠本頼子は、クラス一の秀才で美少女の柚木加菜子に突然「私たちは互いが互いの生まれ変わりなんだ」と声をかけられる。始めは戸惑う頼子だったが、互いに孤独だった2人は親交を深め、2人で最終電車に乗って湖を見に行こうと約束する。しかし加菜子は中央線武蔵小金井駅のホームから何者かに突き落とされ、列車に轢かれてしまう。

たまたま勤務帰りの刑事・木場修太郎がその列車に乗り合わせていた。木場は頼子と共に加奈子が運ばれた病院へ向かうが、そこへ女優・美波絹子こと加奈子の姉・柚木陽子と出会うことになる。「加菜子を救える可能性があるところを知っている」という姉の陽子の意志で、加菜子は謎の研究所に運ばれ、集中治療を受ける。

一方、小説家・関口巽は稀代の新人小説家・久保竣公と出会う。そして雑誌記者・鳥口守彦と稀譚社社員・中禅寺敦子と共に、武蔵野連続バラバラ殺人事件を追って道に迷い、とある「匣」のような建物と遭遇する。その建物こそ、加奈子が収容された研究所・美馬坂近代醫學研究所だった。

その後、厳戒態勢の中加奈子は謎の失踪を遂げ、脅迫文を陽子は受け取る。同じ頃、鳥口は「穢れ封じ御筥様」の調査を行っており、関口の紹介の下拝み屋・京極堂に相談を持ちかける。

バラバラ殺人と加奈子の誘拐、事件の裏に渦巻く「魍魎」とは何なのか。
{/netabare}

感想

京極堂の名台詞「この世には、不思議なことなど何もないのだよ、関口君」の通り、最終二話に亙って解き明かされる事件の真相は、至って明快で、伏線の回収に驚かされた。
兎に角本作は、細かい伏線に加えて、伏線の塊がゴロゴロしていた。謎が解き明かされたときの快感も一入だ。視聴中に自分の推理が当たっていると嬉しかった。また所々に折り込まれている些細なギャグも面白かった。

「幸せとは何か」というテーマに関しては、中々感慨深かった。また、その幸せを羨む行為も面白いものだ。雨宮にとっての幸せにも同感出来た。彼は決して狂人ではない。とても人間らしい人だった。
また、彼を羨み人生を狂わされた久保もまた、酷く人間らしい人だった。
「魍魎」についての見解も流石だった。京極先生は、博学で引き出しが多いのだろう。専門的な話は大変難しかったが、
何とか理解出来た。心の隙間に巣食う悪魔、それによる殺人は誰にでも訪れる可能性のある「通りものにあたる」のようなものだった。

本作の殺人に対する一種の概念も大変興味深い。
「殺人は殺したあとの方が混乱する。殺す前はむしろ冷静」
「状況さえ整ってしまえば・・・」
という話も、最終話の木場刑事を見れば完全に理解できるだろう。兎に角秀逸!
感情が働いているときは、理性が働かないとはよく言うが、
「よく探偵小説で言うような動機は、後付けに過ぎなくて、
通りものが訪れるかどうかが、私達と殺人者を分かつ分岐点である。
だから、人を殺した後バラバラにするのは、むしろとても冷静で、殺人という非日常から日常に戻ろうとしてバラバラにしている場合がほとんどではないか」という京極堂の考察には感服した。
戦争などで殺人が日常化している人は、バラバラにするなんて面倒なことはしないであろう。

総評

大変構成の仕方が上手く、伏線の回収が大変良い。
是非多くの人に御視聴いただきたい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

西田亜沙子さんの作画はやっぱりエロイ

実写映画は失敗だったと思いますが、アニメに関しては及第点といった所でしょうか。CLAMPをキャラクター原案に迎えると聞いた時はどうなるかと思いましたが、観終わったときには違和感を感じないまでには慣れてはいました。でも漫画版の方がデザインは好きですね。アニメはやはり人間味がしないというか、女性はともかく男性も小綺麗すぎるデザインのせいで、そこに抵抗を覚えてしまったというか。美術背景にしてもそうなんですが、戦後間もない日本を舞台にしているのだからもうちょっと汚いイメージを押し出しても良かったかなと思います。

原作小説が重厚なので、1クールという枠を考えると、構成に難が出るのはしょうがないでしょう。かといって、2クールにしても途中で中だるみして、展開が平易になってしまうのは目に見えていますしね。1クールが妥当かと。

アニメに際して驚いたのは、女性陣のとんでもない色気。流石に高校生程度では私のハートをキャッチとまではいきませんでしたが、大人の元女優の柚木陽子は別。原作小説でも綺麗な人とは描かれていますが、暗い色の和装に白い肌に魅力的なうなじ、エロスなオーラを爛々と放っている彼女には度肝を抜かれました。女性に対しては固い考えの持ち主の修さんが夢中になるのも分かるような気がする『昭和美人』の描かれ方は素晴らしかったです。流石は西田亜沙子さん。女性をどう美しく見せるかにかけては天下一品だと感じました。

物語は只でさえ複雑ですし、アニメだと展開を所々端折っているせいで、原作未見の人には中々辛い印象を受けました。 {netabare}京極道も主人公なのに、なんで最後だけ活躍するの?って人も多かったでしょう。ただ原作では独自に京極道が動いている事を示唆するフォロー的な文章があったりします。が、アニメではその辺り本筋に特に必要な部分ではないので、ほとんどカットされていたので、京極道の唐突さが浮き彫りになってしまった感がありました。元々殺人事件の話だったのに、妖怪の薀蓄を持ち出されてもなあというのも否めなかったかなあと。制作者がどうこういうよりかは、原作の問題だと思いますけどね。{/netabare}

話はさておいても、花びらが静かに舞ったり、さりげなく屋内の埃が散ったりと、作中の演出に関しては侘寂が効いていました。たまにちょっとやり過ぎかなと思う派手なのもあったりはしましたが。OPは歌はともかく、キャラクターの動きは見惚れるものが多く、加菜子の踊るシーンはその最たるものでした。

色々書きましたが、とにかく原作を及第点のレベルでアニメ化したというのが最大の功績です。大きな破綻もなかったのはストーリー構成において、色々苦心した努力の結晶だと思いますし、作画・演出もアニメなりに特徴を打ち出そうとして頑張っていた印象を受けました。どこか雰囲気に惹かれる、という人は見て置いても損はないかもしれませんね。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 21

76.3 3 ミステリーでサスペンスなアニメランキング3位
ID:INVADED イド:インヴェイデッド(TVアニメ動画)

2020年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (417)
1517人が棚に入れました
殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョンウォーカー」の影を追っていく。

声優・キャラクター
津田健次郎、細谷佳正、M・A・O、ブリドカットセーラ恵美、村治学、近藤隆、岩瀬周平、榎木淳弥、加藤渉、落合福嗣、西凜太朗、遠藤綾、島袋美由利、平川大輔、宮本侑芽、日笠陽子、蓮岳大、佐倉綾音、小林親弘
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

されど空の青さを知ったカエルちゃん

著名アニメーターのオリジナルアニメ


自分は存じ上げなかったのですが名前を聞けば、な監督と脚本さんとのこと。
そんな予備知識があれば心構えができたものをそうでないとちょっとしたトラップにかかるかも。

まず画が軽いです。主役がツダケンさん。軽い絵と渋い声のマッチングに違和感を覚えます。
次いで第2話まで終わってちんぷんかんぷんです。リアタイでは一挙2話放送でギリ踏みとどまりましたが下手すると離れちゃいますね。
トラップといったのは、 ここまでで"しっかり観よう”という意識が吹っ飛んじゃうかもしれんってこと。流し見ダメ、ゼッタイ!集中しないといかん作品でした。
私も何話か流し見てから、いかんいかんと最初からリピートした口です。

ざっと概要を追うと、
殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。
頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョンウォーカー」の影を追っていく。そんなクライムサスペンス。
ミステリと呼ぶにはそこにあまり重きを置いてないような感じがしました。犯人は誰だ?の謎解きもあっさりだし、深層心理にダイブした面々の心の機微がよりこちらの興味をひいてきます。
{netabare}※ジョンウオーカー本人以上に仲間の本堂町小春がぶっ飛んでて良い感じなのです。犯人が魅力的でないキャラ設定なのはわざとじゃないかしら。そこじゃないんだよ!というスタッフのこだわり。{/netabare}


視聴を進めていってなんのこっちゃな部分もおありでしょうが、私も一緒。純粋に視聴に求められる偏差値が高いんだと思います。

それでも推したい作品ではあります。茶目っ気というか遊び心というかクスッとさせる演出ありで、そんなのが見え隠れしてる作品に大外れはない印象。ご多分に漏れず本作もそうでした。例えば設定。

主人公酒井戸が“イド”に入った後、謎解きの重要なモチーフとして必ず死体が用意されています。その名を“カエルちゃん”。別のでも他人のでもイドにダイブすれば必ず会えるという皆勤賞ぶり。そこで誰もが思います。

 {netabare}あー『井の中の蛙(かわず)』ですね、と。{/netabare}

そのうち穴井戸だったり聖井戸だったり井戸尽くしの様相を呈してくる物語。

 {netabare}そんなカエルちゃんは大海を知りませんでした。{/netabare}

 {netabare}ついでにカエルちゃん笑ってくれないんですが胸をさすとげは消えないままだったり。{/netabare}

簡単な連想ゲームにクスッとなります。さらに殺人鬼メーカーのジョンウォーカー。

{netabare}ジョニーウォーカーを連想したのは私だけ?
言わずと知れたウイスキーの銘柄。“ウヰスキー”とも書いたりします。ヰと井。
販元の英ディアジオが韓国に工場を置いたためしばらく日本向けジョニーウォーカーやスミノフはmade in KOREAでした。文大統領が税金上げたもんで撤退みたいなニュースありましたが脱線はこのへんで。
ウイスキーは原酒を寝かせてナンボなわけでしてこちらも熟成熟成また熟成。この殺人鬼も用意周到でしたね。ちょっと類似点があります。{/netabare}

{netabare}それで主人公が“酒”井戸。組織は“蔵”。{/netabare}

{netabare}聖井戸さんだけが持つ“御代”という下のお名前。福井の地酒で「聖乃御代」ってのありましたよね?
脚本の舞城王太郎氏は福井の出身です。ウイスキー関係ないけどなんというかそういったところ。{/netabare}


シナリオとは関係ないところで遊んでみてもけっこう楽しめる。で本編のメインシナリオでも作り手が遊んでるんで素直に楽しかったです。
ホント序盤に軽い画を侮らないで真面目に観続ければいいことがあるんじゃないかと思いますよ。

ネタバレなしはここまで。『マイノリティレポート』『羊たちの沈黙』その他ちょっとでも触れると削がれるタイプの作品です。よろしければ現物を確かめてみてください。
端的に作品から受けた印象を申せば、

{netabare}『大海に出ることの叶わない井の中のカエルちゃんが空の青さを知りえて大海にでることを願う物語』{/netabare}

でございました。



※ネタバレ所感

■声優宮本侑芽のお仕事

飛鳥井木記(あすかいきき)の演者さん。代表作は言わずと知れた『SSSS.GRIDMAN』の宝多六花役。
覚えてますかね?新条アカネとのやりとり。

{netabare}諦観した時のやや強がりの入った演技がすこぶる良いんです、この方。{/netabare}

これまたどうでもいい脱線。
木記→キキ→kick it ! とくれば、Beastie Boys の 『Fight For Your Right 』しか考えられませんよね。えぇ私が好きなだけです。

 You gotta fight for your right. To party

ききちゃんが心から笑える日が訪れますように!


■殺意で狂う人間模様

印象的なシーンと置き換えてもいいかもしれない。なんか切ないのよね。

1.{netabare}井波七星{/netabare}

{netabare}“墓掘り”の相方の女です。彼女のイド内にて、森の中で夜に円環列車が走るのを上から収めたカットを最後に映すんですよ。
「資料によれば井波七星の母親は七星が14歳の時に走行中の電車に飛び込んで自殺。どうやらこの酒井戸が乗る電車が実際にその時母親を轢き殺したもののようです」
ループしてる彼女の心理はここまでで充分に説明されてるのに敢えてぶち込んでくるの切なかったです。

穴開きで1,2話。海外帰りの爆弾魔で3話。そして墓掘りエピソードで4,5,6話と中盤を締めくくって後半にブーストかける良い流れでした。{/netabare}


2.{netabare}名探偵の条件{/netabare}

{netabare}殺人者であること。そして自殺も殺人とカウントするってのが最初とっつきづらかったかも。
つまり殺人犯を口八丁で自殺に追い込んでく酒井戸のスタイルもれっきとした殺人ですよ、と。羊たちの沈黙でも囚人を自殺に追い込んでくのがありましたけどレスター博士のサイコな感じとは違うんですよね。切ない事情がありました。

別件で、熟練の松岡刑事が本堂町(=聖井戸)を送る時も哀愁を漂わせてました。
「ただ俺はお前を推薦しながら俺と他の同僚を守っただけだ」
渋めのおっさんは刑事モノには必要です。{/netabare}


3.{netabare}鳴瓢(=酒井戸)というよりツダケンさん{/netabare}

{netabare}10話が切ない。耐えられん。{/netabare}

4.{netabare}局長の声{/netabare}

{netabare}これ全然切なくないやつです。何だろう…アニメ的な発声にずっぷり慣れてしまったのだろうか。
声が軽くてラスボス感が全くしない。それに棒なんじゃないかと思うくらいひどかった気がする。これ減点要素です。{/netabare}


■最後に遊び心の話に戻るんだが…

遊びと言いきると不敬とも取られかねないのですがお手柔らかに。

{netabare}「違うだろ…君らがどこかに行ってしまったんだ!」
「現実にいるんだ。君のいない…椋もいない…現実に…」
「椋…今そこで君らと一緒にいられなくて…本当に悔しいよ…」

イド内イドで妻に娘に鳴瓢が振り絞るように吐いたセリフ。どんな場面かは完走した人は分かるはず。
悔しいと吐露する鳴瓢の心中いかばかりか。{/netabare}


そこで思い出したのが以下、


{netabare}「国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て、散るぞ悲しき」

硫黄島守備隊の指揮官栗林忠道中将閣下の辞世の電報です。大本営に“悲しき”の部分を“口惜し”に変えられて世間に発表された逸話はご存知の方も多いでしょう。現代語訳すれば「悔しいよ…」ですね。
それから半世紀の時が流れて、1995年。{/netabare}

{netabare}「精根を込め戦ひし人未だ地下に眠りて島は悲しき」{/netabare}

{netabare}慰霊に硫黄島を訪れた現在の上皇陛下が、この"悲しき”という言葉を使われて御製を詠まれています。{/netabare}


序盤私が申し上げた妄想の類ではなくこちらはれっきとした言葉の繋がりを意識されたものです。
それで「聖乃御代」ってことは…絶対にありませんね。すいませんでした。



視聴時期:2020年1月~3月 リアタイ

-----
2020.10.10
《配点修正》-0.1 全体バランスを考慮


2020.03.25 初稿
2020.04.29 タイトル修正/修正
2020.10.10 配点修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 51
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ID-0とは関係ない

2話までの感想{netabare}
ID-0よりリヴィジョンズの続き見たいなぁ(チラッチラッ

でもってこっちはサイコダイブモノ。
あにこれじゃない別の場所で意味が分からないって感想を散見するのだけど、どこが分からないのか分からない。
謎の部分は「ハイここは謎でーす」と明確で、分からないってこととは違うような…多分意味が分からなくなるのは後半になってからだと思うw
で、ひょっとしてだけど、視聴者それぞれの価値観は置いといて、この作品世界では「自殺も人殺しの一種として扱ってる」ってのが分からないと意味不明…かも?と思ったり。
それで本道町は自分のイドを作って「穴開き」の居場所の特定に繋がるヒントを渡した…って部分が意味不明なのかな?
違うのかな?
イドを作る・入るには殺人犯じゃないとダメで、酒井戸をダイブさせてそれが視認したものを外部が観測できる、但しダイブする度に酒井戸は記憶を失くすっぽい(ここ面倒くさそう)。
またイドはそれを形成してる人間(犯人)とリアルタイムでリンクしてる模様。
じゃあ酒井戸は殺人犯?っていうとどうやらそれっぽい、娘を殺されて犯人を殺した?
で、凶悪殺人犯のイドを覗くと共通してジョンウォーカーなるものが居て、同じように「かえるちゃん」も居るがかえるは娘じゃなくて娘と重ねてるだけじゃないかな。
殺意がそれほど特殊だと思ってない人間…例えば“ヴィンランドサガ”のバイキングみたいな奴はシビュラシステムに引っかかるのかどうかは不明。
合ってるかどうかは自分も分からんけど、これだけ分かって意味が分からないってことはあるまい。

その件とは別に、追い詰められた犯人が被害者のフリをして逃亡ってよくあるネタだけど、これだけネタとして扱われると「実際そんなことってあるの?」ってのはちょっと気になる。
とりあえずこれ見てふと思ったのが“ナカノヒトゲノム”もこれくらい冒頭で世界設定説明をしてくれたらまだ見れただろうになぁ、ってことだったり。

現段階では面白そうだけど冒頭でも書いた通り、後半本格的にワケ分からない展開になりそうな予感…哲学とか概念の話になって。
この予感外れて欲しいけど、果たしてどうかな~?{/netabare}

3話感想{netabare}
2話段階ではまだ確定じゃないし言うの控えてたけど、どうやら“羊たちの沈黙”の影響強そう。
前回は被害者になりすまして犯人逃亡がそう思わせたのたけど、今回は「監獄で隣になったヤツを言葉だけで自殺に追い込む」が正にソレ。
羊たち~では「レクターは何を囁いたら自殺にまでできるんだ?」と思ったもんだけど、こっちではそれを具体的にやってくれました。
ってことでパクりではなくオマージュって感じ、悪いということではない。
実際心の奥底、無意識の部分を他人に見られるって首根っこ捕まれるようなモンな気はする、そう考えると平然としてる本道町はかなり頭がイカれてる予感。
…ひょっとしてかえるちゃんはメンガタスズメポジション?
いやでもどうだろう、脚本の人はミステリ作家らしいのでレッドヘリングの可能性も捨てきれない?

それよりも、まさか1話完結=犯人逮捕まで行くとは思わなかった。
イドに入るたびにいちいち記憶失くす設定なので、状況確認するのが面倒そうで(「ここは何処だ?オレは誰だ?」ってのを毎回やられてもクドいよね)もっとダラダラ続く系と予想してたのだけど、結構テンポ良いのかも?
1話の中でよく詰め込んだなぁ、と。
ただ「狙撃手が移動してるんじゃない、塔が回転してるんだ」は“賭ケグルイ”でも見たトリックで目新しさはイマイチ。{/netabare}

総評(これだけ読めばいいかも){netabare}
初回2話連続放送で、その段階で「分からない」という意見へ「いやいやまだ分かるっしょ、本格的に分からなくなるのは多分後半」という態度だったのだけど…。
あはは、後半どころか中盤で意味分からなくなっちゃったw

引っかかりを覚えたのは本道町がイカれてるのは元からなのか穴が開いてからなのか分からん所から。
「正義のためなら自分の命なんて関係ねー」って性格なのか「人殺ししたくて警官になりました、凶悪犯居ないかなぁ(ウズウズ」って性格なのか、色々考えてたけどどうでもよくなっちゃった。
次いで5話か、自由落下してるイド。
無重力ってことだったらしいのだけど画面からはそうは感じない、というか見せ方が…意図的なら意地悪、意図的でないなら下手糞。
意図的でないってことはあり得ないと思うので、じゃあなんであんな分かりにくい見せ方したのか、その意図を考え出して…あはは、他のことが頭に入らないw
そして最後、本編で取り上げられてない、「そういうのがあったんだ」と言葉だけでしか説明してない連続殺人事件が他にもあって、それがいきなり本編に絡んで来るのは…どうなんだろう?
これが別媒体に原作が先にあって、アニメ化するに当たり入りきらない・詳しくはそっちを見てネってことなら分かるが、最初から1クールアニメとして作られたものなんだよね?(※)
それが悪いとまでは言わない、もし人気出て続編作ることになったら続きよりもそっちの話やってくれないかな?とさえ思ってる。
けどやっぱり…頭に入ってこないw
真犯人が無意識のウチに7という数字に拘ってたと言われても「ふ~ん」ってだけで「なる程!」には至らなかった。

もう一度最初から見直して、メモ取りながら視聴して理解しながら進めれば面白いのかな?って思わなくもないけど、そこまでの気力は残念ながら起きない。
だって…結局キキは救われないじゃん。
閉め方が良ければもう一回見ようかなとも思うけど、これじゃあちょっと…だったら“pet”をもう一回見るかなぁ、と。
というか単に人に説明するのが下手なだけなんじゃないの?という不信感が…言葉遊びも行き過ぎるとちょっとね。


逆に原作が別媒体で既にあって、それのアニメ化で、原作のほうの情報量が膨大でアニメの話数の中では到底説明し切れなくて、スタッフめっちゃ苦労してそうだと感じるアニメも沢山ありまして。
それに比べりゃ贅沢な立場なのにどうして…とさえ思えたり。

あとキキといったら樹木希林だるるるるぉ!?


追記
穴井戸が死んだのがどうしてか分からんって方が居たので個人的解釈。
イドの中で「名探偵扱いで自分が何者か分かってない状態」は死んでも本体は平気、自分が何者か分かっちゃうと(イドの中で)死ぬと本体は死ぬか昏睡。
記憶を無くして「名探偵扱い」は本体にダメージを与えないようにするガード機能みたいなもんかな?と解釈。
穴井戸は頭の穴のせいでガード機能が働かなかったってことだろう。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

よくは分からないけど、面白い(笑)

[文量→中盛り・内容→考察系]

【総括】
アニオリのミステリーもの。

監督は『Fate/Zero』『アルドノア・ゼロ』で知られるあおきえい、シリーズ構成と脚本は『ディスコ探偵水曜日』『九十九十九』で知られるミステリ作家の舞城王太郎が務める。

独特なキャラデザ、非常に難解なストーリーと、特に序盤はうまくアニメの世界に入り込めないが、中盤以降はグッと引き込まれると思います。


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
まず、連続殺人犯しか名探偵になれないという設定がユニーク。プロのハッカーが、セキュリティを担当しているみたいな。

鳴瓢秋人も本堂町小春も、基本は善人なんだろうけど、殺人鬼の資質があり、状況が状況ではあったが、殺人を犯した。富久田保津は、基本は悪人なんだろうけど、最後は自らの命を捨ててまで、本堂町小春を助けた。

「善人も悪行を成し、悪人も善行を成す」

どんな聖人君子でも、人には言えない秘密を持っていたり、ちょっとした悪いことはしてきているはず。また、歴史に名を残すような殺人犯であっても、家族には優しかったり、友達には冗談を言って笑わせることもあったかもしれない。

ちょっと仏教的というか、芥川的な世界観だけど、多分それが、人間の本質で、「善と悪は紙一重だ」と言いたいのかもしれない。

なんとなく、鳴瓢秋人≧本堂町小春≧富久田保津 なのかな、善人順に並べると。

この中で特に異常だったのが、本堂町小春。無垢ゆえの怖さいうか、危うさがあって、なかなかに魅力的だった。あと、可愛いし(笑)

ラストも綺麗に決まっていたと思う。

自らの歪んだ正義を貫き、イドの中で生きるために自殺した局長を、イドの中のイドで捕まえ、半永久的に罪を償わせる。

あれだけの悪事を主導したジョン・ウォーカーには相応しい末路。色々モヤモヤするアニメだけど、あれでかなりスッキリしたと思う。

ただ、肝心の推理に関しては、あまりにヒントが少なくて、とてもじゃないけれど自力では解けなかった。だから、推理の面で「1本取られた」みたいなのはあまりなかったかな。

用語も難解で、この作品のネーミングには、色んな意味が込められているのだと思う。例えば、「ミズハノメ」や「ワクムスビ」は、それぞれ、「弥都波能売神(水の神様)」「和久産巣日神(食物の神様)」で、いずれも「イザナミ(伊邪那美命)」が死ぬ時に、その尿から生まれている。とすると、飛鳥井木記を「イザナミ」に見立てたと言える。おそらく、「連続殺人犯を生む、母なる存在」として、飛鳥井木記を捉えたたも、こんなネーミングにしたのだろう。そう考えた時、「カエルちゃん」は、「蛙ちゃん」ではなく、「還るちゃん」なのかもしれない。全ての連続殺人犯が、最後に「還る」場所。

他にも、「イド」がフロイトだったり、「酒井戸」「聖井戸御代」「穴井戸」「裏井戸」の本質を示すものだったりする。また、「ジョン・ウォーカー」といえば、ウィスキーを思い出すけど、「酒井戸」とアルコール繋がりがあり、二人には本質的な共通点があるこあとを示しているのかもしれない。

と、1から10までとにかく難解であり、正直、真剣に考えちゃうと頭から煙出そうなアニメである。ここで、「あまりにも難しい問題に出会うと、考えることを放棄してしまう(テストなんかそうだよねw)」という人間の不思議な機能が発動し、私は途中から細かいことを考えるのをやめた(笑) そしたら、なんか逆に面白くなった。翻弄されている感じがクセになるw

実際、このアニメは、「推理を楽しむ」のではなく、「推理をしている様を楽しむ」のが、正解だと思うし。

そういう意味で、「よくは分からないけど、面白い」というレビュータイトルをつけてみた(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
ロケットパンチ(笑) なんか、意味分かるような分からないような。

2話目 ☆3
このイド、ようは動機(深層心理)を探ることで犯人を特定するわけか。ミズハノメ、構造が分からんて、オーパーツ的なものなのか?

3話目 ☆3
すげぇシリアスな設定があるのね。

4話目 ☆3
ん? 新名探偵? どんな話に?

5話目 ☆4
殺意と恋愛感情が乖離している。なるほど。

6話目 ☆4
なんだかちょっと、面白くなってきた。誰が真犯人か。連続殺人犯、、、。なるほど。

7話目 ☆4
よくは分からないけど、面白いな、なぜか(笑)

8話目 ☆4
よくは分からないけど、面白いな、なぜか2(笑)

9話目 ☆4
よくは分からないけど、面白いな、なぜか3(笑) 何が夢で、何が現実なのか。

10話目 ☆5
あれが夢だったら、という希望にすがり付きたい気持ち。辛い現実だよな。幸せの描写が痛い。泣けるな。現実を受け止めたってことかな。核心に迫ってきた。

11話目 ☆3
犯人は局長。推理に穴があるかないかわからないけどね(笑)

12話目 ☆3
動機はなるほど。連続殺人犯じゃなけりゃダメで、ジョンウォーカー(局長)は一人しか殺してないんじゃ? 間接的な殺人も含まれるのか?

花は1つ、が下ネタ? 数字が好きなことを考えれば、英語の概念と結び付くのかな? 英語で、「フラワー」と言うと、「小麦粉」を指すと聞く。日本語の「花」と同じように使いたいなら、「フラワーズ」と複数形で使う。「I like flower」でなく、「I like flowers」。つまり、「私は花が好きです」の場合の花は、ある特定の花を指すのではなく、総体としての花を指すのだから、複数形で言うべきという考え方だ。

富久田は数唱強迫があって、数を数えることに苦しんでいた。「1つ」であるものは、数える必要がない。よって、花は「flower」であって、「flowers」ではない、つまり、「多少の違いがあっても、同じ存在である」という境地に辿り着けば、穴を開けずとも数唱強迫から逃れられる。

そういう気持ちを込めて、「花は1つ」「大事な言葉だよねぇ」「一途だ」と言った。けど、本道町には伝わらず、「花=女性器の隠語」で捉えられたから、「下ネタやめて」になったのかな?

13話目 ☆4
ミズハノメの中では、ジョンウォーカーの夢を挫く。身体は死んでいる。すげぇ復讐だな。かなり綺麗に終わったラスト。最近のアニオリの中ではなかなか良かったかな。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 25

69.8 4 ミステリーでサスペンスなアニメランキング4位
富豪刑事 Balance:UNLIMITED(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (231)
804人が棚に入れました
ケタ外れの資産をもつ神戸家の御曹司・大助が赴任したのは、警視庁で問題を起こした人間だけが送り込まれる「現代犯罪対策本部準備室」、通称「現対本部」。そこで大助は情に厚い男・加藤 春とバディを組まされる。人の命すら値踏みする大助に対して「世の中金じゃねぇ」と反発する加藤。対立する2人の前に立ちはだかる、様々な事件と謎。常識を超えた捜査が今、始まる――!

声優・キャラクター
大貫勇輔、宮野真守、塩屋浩三、神谷明、熊谷健太郎、上田麗奈、高橋伸也、小山力也、榎木淳弥、坂本真綾
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

声優神谷明のお仕事

3話以降延期。7/16~ノイタミナ枠にて第1話から

『放課後ていぼう日誌』『天晴爛漫!』同様に2020春クールからのスライド放送。
筒井康隆氏の原作は既読であり今回の視聴動機。映像化ととても相性のいい作家さん。アニメだと『時をかける少女』『パプリカ』なんてありますね。昔やってた深キョンドラマも良かったし断る理由はありません。「たった100億で人を殺すなんて…」は名言でした。今回の主人公は原作準拠で男♂です。

全11話とコンパクト。財閥の御曹司がなぜか刑事をやっていて札束で顔を引っぱたきながら事件を解決していく痛快な刑事物。
ドンパチ起こすからビルごと買う。毎度億単位の金をばら撒きながらクレームをねじ伏せたりという発想がナイスですね。ありそうで…いや、ないわ(笑)

制作は『青春ブタ野郎は…』『約束のネバーランド』のCloverWorks。とアニメーターに着目したいとこですが、ここは筒井康隆氏に注目しときます。
原作は45年前の代物。アニメ化にあたって古びた部分はメンテナンスが必要だったのでしょう。本作ではAIの執事“ヒュスク”といった原作にない設定をズンドコ投入してるわけですが、原作者があっさり許しちゃってるんですよね。そしてうまく機能している。『時をかける少女』も細田守監督にフリーハンド与えてますし、『パプリカ』の今敏監督にも同様に。それでいて「原作よりいい感じ」と原作者本人が褒めてたりします。一見軽い爺さんなんですが放任ぶりがなんとも絶妙。作品の本質を抑えて抜くところを抜ける柔軟さは尊敬に値します。しかもちょっと前にライトノベルも書いてたみたいですね。きっと前頭葉が柔らかいのでしょう。

しかして、リノベーションが上手くいった令和の『富豪刑事』は当初の想定以上にぶっ飛んでて面白いです。深キョンみたいな綺麗な女性でなくても面白くて一安心。
破天荒な設定とわりと短め11話の取っつきやすさが売りかと思いきや、しっかりミステリ要素ありのサスペンス展開へと発展していくのも意外性があってよし。
OP担当は令和デビューの“SixTONES”。ジャニーズながら(失礼!)いい感じです。EDは“OKAMOTO'S”。当たり前のようにかっこいい。かっこいいことやる時のノイタミナですね。

声優さんは数名“棒”がいます。仕方ないので男性は真綾さん、女性は真守で耳を癒されときましょう。
棒はこの際気にせず置いといて、けっこうなベテランさんが出演されてるのを楽しみにするのも一興かもしれません。スポットでの小山茉美さんや主人公の祖母役としてそれなりに出演時間のある方は青二プロの創立メンバーだとか伝説すぎます。それよりなにより私の世代にとってのレジェンド声優神谷明さんが老刑事役でヘビーローテーション。重要な役どころを演じられてるのも嬉しい。

原作者・設定・声優さん。このへん引っ掛かりのあるようでしたらオススメです。原作もののしょっぱいアニメ化にならなかった佳作といっていいでしょう。



※ネタバレ所感

■声優神谷明のお仕事

定年間際の老刑事。仲本長介(CV神谷明)通称ちょーさん役。富豪刑事のバディが加藤だったのでうっかり志村と高木の登場を密かに期待したけどこちらは叶わず。
昼行燈の老刑事よろしくいい感じで枯れた演技されてました。『キン肉マン』『北斗の拳』『CITY HUNTER』のテンション高めの演技とは真逆。重ねた年月を感じさせます。

{netabare}そう思ってた矢先の回想シーン。若かりし頃のちょーさんになったらいきなり声に張りがあることあること(笑) 演じ分けは隠れたみどころですね。あーもう一度必殺技叫んで欲しいなぁ…
当然ちょーさんにも相方がいたわけでその役回りは後輩の武井克弘(CV小山力也)。つられて小山さんもしっかり若返ってました。この2人の掛け合いはけっこう多かったです。{/netabare}

{netabare}そういえばこのお二人。{netabare}新旧の毛利小五郎ですね。{/netabare}{/netabare}


■主人公神戸さん※原作ネタバレ

{netabare}アニメは俺様キャラでしたが原作の神戸大助は人当たりの良い好青年。一見常識人なのに金の使い方が壊れてるギャップが面白い作品でした。こうみると深キョンのも世間知らずお嬢設定だったり原作ともアニメとも違いますね。自由過ぎです。

先述のAI執事の新設定もそうですが2020年になると電子決済になるわけですもんね。物理的に札束で引っぱたくことはもはやありません。
金の使い方も違いがあります。アニメでは豪快に金を使って事件を解決。捜査絡みでの被害には倍額補償するので犯人以外の外野はハッピー。原作でも豪快は豪快でばら撒くのは一緒なんですが、どういうわけかばら撒いた以上に儲かってしまうみたいな展開でした。
今のご時世だと、バリュー投資でリターンが戻ってくる原作の説得力よりも、コンプラ順守や賠償リスクなどうるさい世の中を問答無用でぶった斬るかのようなアニメ描写の痛快さのほうが受けるのかもしれませんね。{/netabare}

これだけ豪快だと

 世の中けっきょく金じゃん

と斜めに構えることすら馬鹿馬鹿しくなってきますよ。しっかりエンタメしてます。
主人公の設定すら千変万化してるわけです。半世紀近く前に作ったプロットが使えすぎていくらでもバリエーションが作れる状態であり、今回の改変もわりと成功したんだろうって思います。


■いったん加藤を

これあくまで希望です。

{netabare}結果としてちょーさんの邪魔をしちゃった井村の事情聴取。井村は半堕ちしてたし弁護士の接見遅らせてる間にゲロった可能性が高そう。そしてあのように死ぬこともなかったかもしれない。「時には刑事は泥水すすらなきゃいけない時がある」としたちょーさんの言葉の重みをかみしめるために、加藤が己の妨害行為を後悔する展開もありだったのではないかと思われる。
過去の判断ミスと現在の判断ミス。ここからませればその後のちょーさんの顛末とあいまって面白さ増しそうだったのにちょい残念。
ヤル気ある無能が現場引っ掻き回してそのことにペナルティの無い展開を私が嫌いなだけですけどね。{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.26 初稿
2020.10.31 タイトル修正
2021.06.16 修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 39

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

刑事。だが正義とは限らない。

この作品の原作は未読です。
完走後にwikiをチラ見して知りましたが、原作は1975年~1977年に発表された作品なのだそうです。
今からもう40年以上前の作品には思えませんでしたが、アニメ制作に際し原作者の了解を得て物語の舞台を現代に変更した他、当時存在しなかったAIなどの設定を織り込んだとか…
こういうリメイクの仕方もあるんですね。


ケタ外れの資産をもつ神戸家の御曹司・大助が赴任したのは、
警視庁で問題を起こした人間だけが送り込まれる
「現代犯罪対策本部準備室」、通称「現対本部」。

そこで大助は情に厚い男・加藤 春とバディを組まされる。
人の命すら値踏みする大助に対して「世の中金じゃねぇ」と反発する加藤。
対立する2人の前に立ちはだかる、様々な事件と謎。

常識を超えた捜査が今、始まる――!


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

個人的には何でもお金で解決するという方法も考えもあかり好きではありません。
モノが壊れたら修理代がかかるし、怪我をしたら治療代が必要になるのも認識しています。
もちろん、生活や仕事をする上での経費が必要であるのも理解しています。

ですが、過度にお金をかければ良いという訳ではありませんし、お金じゃ絶対手に入らないモノだって世の中にはたくさんあります。
それに、現在の経済…米中の貿易摩擦やコロナウィルスの影響で日本の産業はガタガタで、生き残るために必死にみんな努力しているというのに…

この作品の主人公である神戸大助は、われわれが血の滲むような努力を嘲笑うかのように、真逆の路線を突き進むんです。
完全に時代と逆行している行為と受け取ってもおかしくないと思います。

ですが、金銭感覚が我々一般人の認識できる範疇を凌駕しているので、ファンタジーを見ている感覚に陥った結果、他の作品同様、普通に視聴できるのですから驚きです。

大富豪で神戸家の御曹司である神戸大助がどうして刑事となる道を選んだのか…
そもそも資産運用さえしていれば、別に定職に就かなくても生活に困らないのでは…?
と思わなくもありませんが、彼には彼なりの理由がなかった訳ではありません。

ですが、正直個人的な私的理由だったと思わざるを得ませんでした。
追いかけていたヤマが大きかったので、結果的に線と線は繋がりはしましたが、繋がらない可能性だって十分にあった筈なんです。
それに刑事になる道が最善かは正直今でも分かりませんし…

むしろ、宮野さん演じる加藤の方が私の中で株は高かったかな。
いや、ここは紅一点の麗奈ちゃん演じるまほろちゃんか…
或いは、捜査に協力的だった真綾さん演じる鈴江さんか…
お二人とも物語に彩りを添えてくれていたことだけは間違いないと思います。

オープニングテーマは、SixTONESさんの「NAVIGATOR」
エンディングテーマは、OKAMOTO'Sさんの「Welcome My Friend」

1クール全11話の物語でした。
ノイタミナらしい作品だったのではないでしょうか。
ノイタミナと言えば「あの花」「ギルティクラウン」「君嘘」「冴えカノ」など、たくさんの名作を輩出してくれています。
次の期待作は、約束のネバーランドの第2期でしょうか。
これからも、引き続きノイタミナには頑張って欲しいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

めちゃくちゃだけど、それがいい。

笑いはあまりないけど神戸と加藤のやり取りを
微笑ましく見守ってる自分がいましたw

作品を観る前は神戸がお金をばら撒いて
何でもお金で解決する話と思っていたので、
お金で解決する男・神戸vs心で解決する男・加藤
なのかなという印象を抱いてて期待してなかったのですが
全然そういうのじゃなかったです!!

神戸のお金の使い方を観てて
嫌な感じだな〜と思う方も多いかと思いますが、、
{netabare}人の為や事件解決の為に使っている事がほとんどで
自分の娯楽の為じゃないんですよね。

素直じゃない同士で神戸と加藤はぶつかる事も多いけど
思い合ってるのがこちらには分かるので
もどかしく何とも言えない気持ちになります‪(*ˊᵕˋ* )

4話目の神戸がAI執事のヒュスクを持たずに家を出て
加藤の家に1日泊まった時の2人のやり取り好きでした。
庶民の生活を目の当たりにして
神戸は加藤にいちいち文句を言っているんだけど、
こういう事に関する文句は他の人に言ってるところを
見たことがない事から信頼関係が垣間見えてきます(˶‾᷄ ⁻̫ ‾᷅˵)
{/netabare}

神戸のキャラは好きなんだけど声が不自然で
くぅーーー!惜しいーーー!もったいないーーー!
という感想が結構大きいですね、、
通行人などモブ達の声もとても気になるレベルでした。
{netabare}
11話しかないので神戸がお金を使って
次々と事件を解決していき終わるのかと思いきや
亡くなった母と父、神戸グループが関わっているという
きな臭くて足を突っ込んだらヤバいと言われる
大きな事件の解決にも最後挑んでいくのはいいですね。

長さんと武井さんが殺されてしまうのは
生きてて欲しかったからとても悲しかった、、

黒幕が神戸のおばあちゃんだったので
神戸グループに始まり神戸グループに終わるという
まぁ結果的にお騒がせグループだったな〜
とあっさり終わってはしまいますが、
その後の現対本部内の雰囲気がこれまでの暗さがなくなり
明るい方向に変わっていたのでいい終わり方でした(*´`)
{/netabare}

❁⃘❁┈┈┈┈┈INTRODUCTION┈┈┈┈┈❁❁⃘
ケタ外れの資産をもつ
神戸家の御曹司・大助が赴任したのは、
警視庁で問題を起こした人間だけが送り込まれる
「現代犯罪対策本部準備室」、通称「現対本部」。
そこで大助は情に厚い男・加藤 春と
バディを組まされる。
人の命すら値踏みする大助に対して
「世の中金じゃねぇ」と反発する加藤。
対立する2人の前に立ちはだかる、
様々な事件と謎。
常識を超えた捜査が今、始まる――!(公式引用)
❁⃘❁┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁❁⃘

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3

89.5 5 ミステリーでサスペンスなアニメランキング5位
彼方のアストラ(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 4.0 (975)
3827人が棚に入れました
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?

声優・キャラクター
細谷佳正、水瀬いのり、武内駿輔、黒沢ともよ、木野日菜、松田利冴、内山昂輝、早見沙織、島﨑信長
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

SFサバイバルミステリーギャグアニメ

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
なるほど確かに、「全話観た上で、評価を決めよう」という作品ですね。ネタバレなしでは、これ以外は、なんとも(笑)

評価としては、☆4(高評価)に違い、☆3(普通)です。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
五点負けてる九回裏に、満塁ホームランを打ち、そのまま、あと一歩のところで敗戦してしまったようなアニメでしたね。おしい、あと一押しあれば、☆4(高評価)でした。

終盤の畳み掛けるような伏線回収は素晴らしかったです。いろんな小さな要素がちゃんとストーリーに繋がる無駄の少なさ。特に、シャルスがカナタの右腕になるクダリは良かったですね。「王の為」以外に生きる意味を教えられなかった少年に、新たな生きる意味を与える(カナタの右腕として生きる)というのも、絶妙な暗さがあって良かったです。

9話(☆4評価)からの展開、特に、11話のクオリティについては、嫌みなく、素晴らしかったと思います(単体では☆5をつけてます)。

でもじゃあ、それまで費やした、8話分のマイナスを覆すだけの効果があったかと問われれば、流石にそこまでではないのかなと。

スベり続けたギャグ。リアリティのない展開。綺麗すぎる人の心。

例えば1話、みんなで手を繋ぐより、誰か推進材があるやつがワイヤーつけてキャッチしたら? 例えば2話、ドラゴンはどう考えても数トンあるわけだし、保存をちゃんとすれば(真空保存など)、食料問題は一気に解決じゃね? 例えば4話、解毒剤は発症してないと見つけられないなら、ユンファは、なぜ見つけられたの? 例えば9話、クローンなのに男女両性に出来るの? クローンじゃなけりゃ記憶移植できないのか、どうせ記憶移植するなら、自分が良いなという欲求なのか。後者なら、クローン作らなくても良いことになるし、大事な点の説明がない。

と、このような小さな失点(疑問点)を繰り返してきた部分が、どうにも気になりました。

それでも、もし12話で、もう一度世界をひっくり返すような、11話を超えるようなエピソードをぶちこんでこられたら、また違ったけど。まるで、アストラ号のように、波風たてない緩やかな着地(苦笑) 一時間もかけたわりに、物足りない最終話(まあ、爽やかで、後味が良くはあるんですが)。

これ多分、「漫画大賞」という先入観で、勝手にハードル上げまくった私が悪いんですね、ハイ。

本作は、「SF」と「サバイバル」と「ミステリー(デスゲーム)」と「ギャグ」いう、4つの要素を組み合わせたのが最大の見処であっものの、SF以外は中途半端になった印象。

特に、もっとサバイバルの部分がちゃんと面白くして、(序盤から中盤を)エンタメ作品として充分以上に楽しんでいるなかでの、急転直下のSF(終盤)にしていれば、なお良かったかな?

う~ん、勿体ない作品ですね。
{/netabare}



【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
ギャグがさぶいな~。サバイバル系なんだろうけど、「ソウナンですか?」「Dr.STONE」など、ライバルも多いな。

いや、誰か推進材があるやつがワイヤーつけてキャッチしろや。

2話目 ☆2
まあ、作風なのは分かるけど、不真面目だな。せめて、毒かどうか試してから食おうよ。ドラゴン、さっさと食えよと。

この作風で、この世界での整合性がとれてないのは、キツいな。

つか、ドラゴン、どうみても数トン以上はあるし、1日に1キロ食ったとしても、(保存がちゃんとできれば)20日どころじゃなくもつよな。

3話目 ☆2
サバイバルだけでなく、デスゲームの要素もあるんかい。てか、そっちメインか? なぜ、和気藹々できる?

4話目 ☆1
団結が崩れる、、、だったら、情報開示するなや。その方が、尻尾つかめるだろ。偶然、解毒剤をゲットして、皆の役にって、超ご都合主義かい。発症してないと見つけられないなら、ユンファは、なぜ見つけられたの? そこで歌うのは、バカなのか?

なぜ、この作品が、漫画大賞に? 後半、追い上げるのか?

5話目 ☆2
俺なら、あそこで歌われたらキレるけどな(汗) まあ、自分の子供が死んで良いと思うような親なんだろうな。

そもそも、どの惑星にも、水も空気もあるというのがな。

ラブコメも入れてくる。欲張りだな。

6話目 ☆3
綺麗に決まりすぎた感もあるが、良い話かな。ウルガーに銃持たせるところとか。あと、ルカが自分をネタにしてるところは、良いな♪ あと、最後の嘘を見破る流れも、次話が気になる。

7話目 ☆3
なんだ結局良い話か。そこの号泣で茶化すって、どんな演出だよ(苦笑) タイムリープだったの? じゃあ、殺すためではなく、生かすために飛ばしたのか? 違う機体か? まあ、パーツを合体させて直すんだろう。

8話目 ☆3
助けに来たと思ったら、同じく遭難者。まあ、直さんと話終わるしな。つか、使える部品とか、全部積み込もうぜ。ここから、本ネタ? ザックとキトリーのギャグパートは、初めておもろかったw いやいやいや、IDタグごときに命かけるなや。最後の惑星? 同一人物、クローンか。

9話目 ☆4
全員クローン。まあ、なら宇宙にとばした理由も分かるか。思ったより、クソ親だったな。記憶の移植は同一人物じゃなけりゃできない? しかし、クローンなのに、男女両性に出来るの? ここ、ポイントだな。クローンじゃなけりゃ記憶移植できないのか、どうせ記憶移植するなら、自分が良いなという欲求なのか。

あと、性格とかも、遺伝的な特性もあれば、環境的な特性もあるわけで。だから、違わな過ぎないか?

は? だって可愛いだろw

これは、時代が変わってるか? 地球もクローンか?

10話目 ☆3
ここから面白くなりそうだな。違う時間軸の地球? 新しい惑星? 全員の記憶が作られたもの、つまり、「涼宮ハルヒ」+「進撃の巨人」みたいな話か? この作戦、分かりやすくウルガーが味方で、シャルスが犯人だな。。。だよな。

11話目 ☆5
ここで、アリエスの謎、回収。ここの伏線はなかなか良いな。子は親を選べない。環境や教育が人をつくるか、自分が自分をつくるか。右腕として、、、生きる意味の書き換えだな。

12話目 ☆3
綺麗だな~。綺麗すぎるくらい、良くも悪くも。予想以上ではなく、11話を超えられもせず。もうひとつ、世界をひっくり返して欲しかったかな。もし、12話が11話を越えられれば、☆4をつけても良かったけどな。さて、これで世界は、良くなるのか? 箱庭も、悪くはないけどな。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 43
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

判別可能なキャラ達と金太郎飴的な惑星群

原作未読

漫画の評判がいいから、が視聴動機。
全12話ただし初回と最終回が1時間枠だったので実質14話分のボリュームです。
序盤はもの珍しい細谷佳正さんのハイテンション演技を堪能することから。SF興味なくともこの一点で “ 買い ” かもしれません。2~3話経過してからはBパートの引きが良く毎話楽しみながらの完走です。

ざっとあらすじ:子供たちだけでどっかの惑星で5日間自活してこよう!スケール大きめの林間学校に意気揚々と出発したらトラブルに巻き込まれて帰ってこられなくなりました的なやつです。

キャストは多め。性格ははっきりとキャラ毎に別れており、キャラ回というよりキャラパートを設けてあまり尺を使わずにさらっと紹介。それでいて不思議と名前は覚えていられました。
{netabare}みんな多かれ少なかれ境遇は一緒だよ、との本作の特徴を活かしこのへんばっさり切りましたね。英断だと思います。{/netabare}


カナタ・ホシジマ(CV細谷佳正):リーダー 十種競技選手 アツい!
アリエス・スプリング(CV水瀬いのり):天然ドジっ子に見えて意外と有能
ザック・ウォーカー(CV武内駿輔):頭脳明晰鉄面皮 キトリーと幼馴染
キトリー・ラファエリ(CV黒沢ともよ):医者の娘 フニシアの姉 基本ガヤ
フニシア・ラファエリ(CV木野日菜):最年少 キトリーの妹 パペットマペット
ルカ・エスポジト(CV松田利冴):政治家の子 僕っ子亜種「オイラっ子」
シャルス・ラクロワ(CV島﨑信長):貴族出身 なんというかムツゴロウさん
ユンファ・ルー(CV(早見沙織):国民的歌手の娘 超内向的隠れ美人
ウルガー・ツヴァイク(CV内山昂輝):教頭の息子 本人はアウトロー志向

ポリーナ・リヴィンスカヤ(CV生天目仁美):ゲスト ポリ姉


途中経過時点ではおおむね今期多かった中間層上位 ( 自分比 ) の作品という見立て。完走は苦にならずそこそこ面白いが一皮むけてないといった「惜しい!」作品の一つ。
ただしそれは物語の全容が明らかになってくるまででした。起承転結の転から加速しきっちりまとめてゴールイン!一気に観るのがいいと思います。

引っ掛かったところ先に述べとくと、全12話のけっこうな部分を占める各惑星描写についてもっとエンタメに振り切って欲しかったな~ということですかね。


※各惑星の簡易説明

{netabare}惑星マクパ:当初目的地
惑星ヴィラヴァース:最初に訪れた惑星。肉食恐竜みたいなのとにょっきーん植物が脅威
惑星シャムーア:脅威のない草食動物。毒胞子まき散らすポールツリーが脅威
惑星アリスペード:リゾート惑星。地震と津波が脅威
惑星イクリス:自転してない過酷な環境。超獰猛な可動性植物が脅威
惑星ガレム:最後の惑星。わりと平和

一覧すると、植物らしきものが脅威だよというパターンが被りヴァリエーションに乏しい。{/netabare}

いきなり遠くの宇宙空間に放り出され、かくかくしかじかで食糧の備蓄量を見据えながら惑星を中継して帰還するという一大作戦決行中の若者たちです。

 未知の惑星にどんなものを持ってくるか?

これがいってみれば想定の範囲内。観てるこちら側の斜め上をいくようなタイプの惑星が登場してたら、

 本当に生還できるのか?

SFサバイブもののドキドキワクワク感はさらに増したことでしょう。
{netabare}そしてサバイバルパートが際立てば際立つほど第9話「全容見えてきました!」回との目線ずらしが奏功してたと思います。サバイバルと見せかけてサスペンスでしたの落差で評価は爆上がりしてたことでしょう。{/netabare}


この引っ掛かり以外は気にならず、中盤までゆるやかに右肩上がりで面白くなっていくストーリーだったと思います。サバイバルという題材と+αの謎{netabare}(「裏切者は誰だ?」){/netabare}を早々に提示してくれたおかげで、なにがなんだかよくわからないまま後半に種明かしみたいな不親切設計でもありませんでした。
起承転結の構成も手堅く、転からの終盤はオチも含めて意外性と納得感のある内容。このへん詳細は本編で!

ジャンプ連載だったわりには、下手に引っ張らず撒いた伏線を回収して短くスッキリと終わらせた構成にも好感を持ちました。良作です。



■物語の構成について ※ネタバレ

{netabare}出来過ぎなくらいハッピーエンドでしたね。それが嫌らしいと感じませんでした。
物語は以下の順で明らかになっていきます。

1.アストラ号メンバーの共通項
2.刺客はこやつ
3.この世界の秘密

序盤から2.は提示されていて視聴者の興味を引っ張る材料になってました。そして2.が明らかになれば当然「どうして?」がでてくるわけで、その説明が1.と思ったわけです。
これで1クールでも充分だったと思いますがおかわりがありました。3.です。期待値の一段上をいってました。{/netabare}


■優しい人たち

これは雑感です。人間の善意を信じようという作者の意図が根底にあったのだと思います。
{netabare}・ユンファのライブ会場に押し入ろうとしたキトリーと警備員とでひと悶着。直後、隣にいたアリエスのとある報告に控えめに拍手を送る警備員さん。さっきまでもめてたのにw
・アリエスの母ちゃんに連絡を取ろうとした時に、だれも疑わなかった。普段ならご都合とか平和ボケみたいに感じたろうにこの時はクルーの絆みたいなのをより強く感じました。不思議なもんだねぇ
・ピンポイントでしか覚えてなさそうなカナタが本を執筆できるわけなかろうもん。きっと隣にいた超絶記憶力の持ち主がサポートしながら書き上げたんだろうね、と妄想。{/netabare}




■(余談)カナタのアストラ

冒頭に戻るわけですがハイテンション細谷佳正さんが個人的にはイチオシです。
アツい!とにかく勢いがあるキャラでした。そして、彼は脳筋一歩手前の絶妙なバランスで好感度を保っていると思しき立ち居振る舞いをします。行動に根拠がある。よって知性も感じる。

モデルは武井壮?と思った人他にいないかしら。

なかやまきんに君でも春日でもないんだよなぁ 
武井壮なんだよなぁ



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

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2019.09.20 初稿
2020.04.07 修正

投稿 : 2024/06/01
♥ : 78
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

期待通りだった

それぞれに悩みや秘密を抱えているキャラクター達が漂流によって成長していくし、ミステリー要素もある作品。ところどころスケットダンスの作者らしいギャグもあってそれがいい感じのスパイスになってる。

後日談もあって登場人物たちのその後まで描いているところも後日談好きな僕は見終わって面白いと感じた。

アリエスの親{netabare}生みの親ではなくて育ての親ではあるが、{/netabare}からの愛が半端なくて泣きそうだった。アリエス可愛い。

最後はそうくるかという展開。{netabare}漂流は仕組まれたもので、漂流させられた彼らは違法なクローン人間だった。しかも地球の歴史が改竄されていた。漂流して冬眠していたポリーナのおかげで判明。{/netabare}

割と綺麗に完結しているし、裏切る奴がいても最後は呉越同舟ではなく、完全に和解して一致団結する姿も良いなあと。仲間のために自分の身を挺するカナタの存在が大きい。腕の機能面白いし。


OP
star*frost 歌 nonoc
ED
Glow at the Velocity of Light 歌 安月名莉子
挿入歌
Star of Hope
アストラ号の冒険 歌 ユンファ・ルー(早見沙織)
この作品でnonocと安月名莉子の歌が自分に刺さった。彼女達のさらなる活躍に期待。


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、予想外の事態とは……!?「マンガ大賞2019」大賞を受賞!『SKET DANCE』の篠原健太が描く大人気SFサバイバルストーリーが待望のTVアニメ化決定!


1. 第1話 前半 PLANET CAMP
生き残れ、宇宙の彼方で 宇宙旅行が当たり前になった時代。ケアード高校の生徒アリエス・スプリングは、初めての惑星キャンプに胸をときめかせていた。同じ班になったのは、宇宙港で顔を合わせたカナタ・ホシジマら計9名。一行は無事に惑星マクパに辿り着つくが……予期せぬ事態が発生する。

2. 第1話 後半 PLANET CAMP
生き残れ、宇宙の彼方で 宇宙旅行が当たり前になった時代。ケアード高校の生徒アリエス・スプリングは、初めての惑星キャンプに胸をときめかせていた。同じ班になったのは、宇宙港で顔を合わせたカナタ・ホシジマら計9名。一行は無事に惑星マクパに辿り着つくが……予期せぬ事態が発生する。

3. 第2話 WILDERNESS
20日分の食料と水を手に入れるため、惑星ヴィラヴァースに降り立ったカナタたち。特異な生態系に翻弄されながらも生存のために協力し、メンバーは少しずつ環境に順応していく。しかし、十分な食料と水が確保できるとわかった矢先、再び謎の球体が現れる!

4. 第3話 METEOR
通信機を壊した犯人がこの中にいる--。カナタはメンバー一人一人に疑いの眼差しを向けるが、証拠となるものは見当たらない。猜疑心に苛まれながら、ついにメンバーに事実を打ち明けるカナタ。誰もが混乱に陥り、疑心暗鬼になる中、アストラ号の壁が突然爆発する!

5. 第4話 STAR OF HOPE
墜落の危機を乗り越え、アストラ号は第2の惑星シャムーアに到着する。犯人を探すことをやめ、全員で生き抜くことを優先するカナタ。惑星探査は順調に進み、食料と水の見通しも立った。色めき立つカナタたちだが、ユンファだけはどこか表情が曇っていて……。

6. 第5話 PARADISE
B5班を救い、メンバーと打ち解けたユンファ。旅の楽しさを分かち合いながら、アストラ号は次なる惑星を目指そうとしていた。一方、ケアード高校にはカナタたちの親が集められ、行方不明の子どもたちを死亡扱いとする失踪宣告の手続きが始まろうとしていた!

7. 第6話 SECRET
ルカの父親マルコ・エスポジトは、ウルガーの仇だった。大切な兄を奪ったマルコに復讐するため、ウルガーは銃の腕を磨き、その機会をうかがっていた。ルカを殺せば、マルコに同じ苦しみを与えられる。その引き金に込められた憎悪に、ルカは……。

8. 第7話 PAST
惑星イクリス到着を前に、B5班に衝撃が走る。シャルスはもともとケアード高校の生徒ではなく、惑星キャンプの直前に転校してきたというのだ。なぜ、シャルスは転校生であることを不自然に隠していたのか? 今明かされるシャルスの出自に、カナタたちは……。

9. 第8話 LOST AND FOUND
アストラ号と同型の宇宙船を発見したカナタたちは、船内でコールドスリープ状態の生存者を確認する。彼女の名前はポリーナ・リヴィンスカヤ。この宇宙船、アーク6号の機関士だったという。さらに、アーク6号の発見によってアストラ号の修理にも一筋の光が差し込む。

10. 第9話 REVELATION
キトリーとフニシアはまったく同じDNAを持っていた。ザックから告げられた衝撃の事実に、カナタたちはとある仮説にたどりつく。そしてこれまでの全ての出来事がパズルのピースを埋めていくように仮説を裏付けしていく。

11. 第10話 CULPRIT
カナタたちの目指す惑星を見て驚愕するポリーナ。次々と判明する新事実に困惑しながらも、B5班とポリーナはお互いの知識、認識をすり合わせ、様々な仮説を立てていく。そして次なる惑星ガレムへの到着を前に、カナタは意を決しアリエスの部屋を訪れる。

12. 第11話 CONFESSION
刺客の正体が明らかになった……! 戸惑いを隠せないB5班のメンバーたち。旅の中で絆を深めてきた仲間が、なぜメンバーの一斉殺処分という使命を背負い続けるのか? 仲間の問いかけに、刺客はその出生の秘密と自身を突き動かすに至ったある事件の顛末を語り出す。

13. 第12話 前半 FRIEND-SHIP
【前半】右腕を失いながらも、誰も憎まず今まで通りを貫くカナタ。惑星ガレムを出発する準備も着々と進み、5012光年の旅はいよいよ終着点を迎えようとしていた。そして、故郷への帰還を前に世界の真実を知るカナタたち。果たして、この真実をどう受け止めるのか。

14. 第12話 後半 FRIEND-SHIP
【後半】右腕を失いながらも、誰も憎まず今まで通りを貫くカナタ。惑星ガレムを出発する準備も着々と進み、5012光年の旅はいよいよ終着点を迎えようとしていた。そして、故郷への帰還を前に世界の真実を知るカナタたち。果たして、この真実をどう受け止めるのか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 17

76.9 6 ミステリーでサスペンスなアニメランキング6位
ジョーカー・ゲーム(TVアニメ動画)

2016年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (988)
5013人が棚に入れました
世界大戦の火種がくすぶる昭和初期を舞台に、帝国陸軍の“スパイマスター”結城中佐によって設立されたスパイ養成部門「D機関」の活躍が描かれている。

声優・キャラクター
堀内賢雄、下野紘、木村良平、細谷佳正、森川智之、梶裕貴、福山潤、中井和哉、櫻井孝宏、津田健次郎、関智一

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

「自由」なニヒリスト

【2016/06/23 視聴完了して改稿】


太平洋戦争開戦前夜、大日本帝国陸軍内に設立された異能のスパイ組織「D機関」によるスパイ戦を描いた物語。

原作小説が複数の賞を受賞しているだけあって、基本設定が、幾重にも考え抜かれた、さまざまな要素が有機的に組み合わさった巧妙なものだ。
これほど巧みな設定を創ってしまえば、そこから生じるストーリーの出来も半分は保証されたようなものだが、映像化にあたって過度な省略をすることなく手際よく取り込んで、うまくアニメ用に落とし込んでいる。

本作内の「スパイ戦」は、任務の遂行というサスペンスを追う形式ではなく、任務の遂行途上に現れる「謎」が「推理」によって「解決」される、本格ミステリとして描かれる。
任務自体と二重化される本格ミステリの謎は、手掛かりもフェアに開示され、「本格」のフェアプレイルールにのっとったものだ。

任務遂行そのものと言える謎解きは、アニメ化に際しては、視聴者も共に推理するようなプロットで組み立てられてはいないものの、推理を語るセリフにかぶせて提示されていた伏線を映像でオーバーラップさせ、すっきりと見せている。
言葉による説明を重ねて論理性を補強できないハンディはあるが、その分、ビジュアルによって事前に張られた伏線の存在を明示して、「推理」によって解決されたのだと示すアニメ的な「本格」表現として成立している。
「解決」が任務にもたらす効果も、「スパイ戦」への意外な繋がりを見せる有機的な構成になっていて、「意外な結末」を実現したものだ。
ドラマ的な意味でも、周到なビジュアルは「世界」の時代性を説得的に見せる面白さがある。
(この時代に、シングルでピークドラペルの背広が流行していたのだと、初めて知った)

題名でもあり第一エピソードのサブタイトルにも使われた、作中の〈ジョーカー・ゲーム〉に喩えられる、ある種の「頭脳戦」だが、「謎」の解決が「推理」によって行われるところに「頭脳」性が象徴されている。
いわば〈ジョーカー『ゲーム』〉としてのゲーム性が、謎解きの「ゲーム」性に重ねられているわけだ。


だが、〈ジョーカー・ゲーム〉のルール=実体的なルールは無いという「ルール」は、よく考えれば奇妙なものだ。
〈ジョーカー・ゲーム〉のルールならざるルールは、「D機関」で叩き込まれる各種の理念、集約すれば、自由に「なにものにも捕らわれず、ありのままをみろ」というテーゼに導かれるものだが、これは外国に対抗するため、妄想的なイデオロギーに支配された「遅れた」日本の軍事独裁体制に、「進んだ」外国の合理性を取り入れるといったプラグマティズムではない。
「外国」「日本」の区分すら相対的な価値の一つに過ぎないと一蹴する「ニヒリズム」だ。

何物にもとらわれない=何物も信じないとは端的にニヒリズムそのもので、徹底すれば「ルール」にすら価値を認めないニヒリズムの前では、通常はいかなるゲームも成立は不可能に見える。
特に、厳格な枠組みを必要とする「本格ミステリ」の謎解きゲームは。

結城中佐が様々な形で学生に教える「スパイの心得」は、ニヒリズムへと結実する、身もふたもない事実性から導かれる冷徹な「法則」だが、しかし一つだけ、D機関の第一格率ともいえる「死ぬな、殺すな」だけが、その中で異質だ。
この第一格率は、「人の死は注目を集める=見えない存在であるべきスパイにとって注目は致命的」という合理性から生じるものだが、合理性はあるものの、それは「経験的な蓋然性」に根拠づけられているというだけで、事実性の裏付けが「ない」

ここにだけ、事実ではない、結城中佐の「恣意」が紛れ込んでいる。

ミステリーで「木の枝を森に隠す」ように、様々な不信のニヒリズムに紛れ込ませたこの第一格率が、謎解きゲームとしての、本格ミステリの「ゲーム空間」と「ルール」を発生させる基盤となっている。
ミステリ作品として「本格」の謎解きを描き出すために、〈ジョーカー・ゲーム〉に象徴される特異なスパイ組織「D機関」は設定されたのだと言えるだろう。



幾重にも巧妙な設定は、キャラクターにも及んでいる。

「なにものにも捕らわれない」D機関の学生たちは、徹底したニヒリストだ。

「自由」な視点を獲得するための「なにものにも捕らわれない」は、何物も信じない=信じられないというニヒリズムの裏返しで、自分自身すら信じない=何者でもない自分という虚無を必然化する。

自分自身まで信じないほど徹底したニヒリズムに侵された彼ら学生にとって、行動を支えているのは自分への「信頼」というナルシシズムではなく、自分にならできなければならないという「自負心」だと描かれている。

同時代のドイツ青年ならハイデガー哲学へと吸引されたかもしれない虚無を内面化しながら、なお「何者でもない」自分の「自負心」の全能感だけは手放さない「人でなし」の「化け物」たち。

D機関の「化け物」の矛盾した肖像は、どのような価値観に直面しても「そんな考え方もあるね」としか捉えられない現代のわれわれ視聴者の気分と、それゆえに自分が特別であると主張することができないにもかかわらず、消費の現場では漠然とした「全能感」を覚えてしまう「消費者としての私」の自意識との不思議な結合に、絶妙に共鳴している。

人はあらゆる手段で金を得ようとする、という確信が市場原理主義の根底にある。
そのことが、生産者は消費者の望むようにモノやサービスを提供する「はず」、という「理論」を生むのだが、いつの間にか「消費者が望むならば、どのようなことでも生産者は実現する」という「信仰」へと変わった。
実体としては、モノやサービスは生産者の事情に合わせて、生産者の都合に規定されて提供されるしかないのに、この「信仰」が、「消費者が望むだけで、(価格は別として)なんでも実現する」という倒錯した現実認識に帰結する。

「(潜在的な消費者としての)私が考えるだけで、(買える値段かは別として、どこかの誰かによって)実現しないものはない」という消費者の架空の全能感が、「この自分に、できないことはない」という学生たちの虚無の中の由来のしれない「自負心」と照応している。
人間業とは思えない異能の「化け物」が何人も登場する物語に、無理なく視聴者を引き付ける巧妙な仕掛けだが、「消費者の全能感」が太平洋戦争の敗北によって持ち込まれたアメリカニズムの洪水から浮上したことを考え合わせると、これもまた多重化された設定の構築性の高さの表れの一つと言えるだろう。

一応のところイケメンではありながら、どこかのっぺりした印象の薄さを感じさせるキャラデザインは、このような設定にビジュアル面でも説得力を持たせている。


ところで、「ゲーム」であれば、開始と終了が当然に設定されるだろう。

ゲーム性を支える「死ぬな、殺すな」は、「死」が特殊な現象である「平時」の社会に規定されている。
近代前期まで、外交の一部として「兵士」によって戦われる戦争は、戦場外の市民社会と隔絶されたものだった。
が、「総力戦体制」下で戦われる絶滅戦争では、「戦場」は即ち全社会領域と同意となる。戦場での「死」もまた、市民と隔絶した兵士だけのものではない。
「死」が日常にあふれこむ戦争状況であれば、「第一格率」は無意味化せざるを得ないだろう。
言い換えれば、日本が戦争当事国になれば、つまり戦争を開始すれば、相手国内での「D機関」の異形のスパイ技術システムは破綻するのだ。

そのとき〈ジョーカー・ゲーム〉もまた、失効するだろう。
或いは別の「ゲーム」が生まれるのかもしれないが、どちらにせよ〈ジョーカー・ゲーム〉は終了する。

物語の現在が太平洋戦争前夜であることを知る視聴者は、ゲームの終了が迫っていることをも知っている。
いや、すでに日中戦争は進行していることによって、「終了」の予感はうっすらとした不穏な影となって作品全体を覆うことになる。
作中に漂う漠とした不安感は、戦争の予感と共に、「ゲーム」の終了の予感、さらには「敗戦」という終了の予感と多重化されたものだ。
『ジョーカー・ゲーム』という物語は、このように終了までのタイムリミットを構造化したものとして、緊迫感を増して迫ってくる。



このように幾重にも緻密な設定は、逆に言えば、設定から逸脱した物語を許容できないだろう。

OP主題歌の歌詞が、設定から乖離した、いかにも薄っぺらで表面的な言葉の羅列だったのが気になったのだが、これは「ミステリ」らしいミスリードだったのかもしれない。
「使命」のための功利主義的な手段としての「非情」だとか、隠されたヒューマニズムを描き出すための戦争の「無常」といった、設定に矛盾する見当違いの物語を盛り込んで破綻させるのではないかと危惧していたのだが、杞憂だったようだ。

あらゆる価値を受け入れることのできないニヒリストには、行動の核となる「かけがえのない」価値を持つ「理由」のある「何か」を持つことができない。
自身の中に疑いなく生じる確信を持った「何か」によってではなく、理由なく無根拠に「あえて」没入を決断することでしか、ニヒリストは行動できない。

誰よりも徹底して空虚であることによって誰よりも高い「異能」を持つD機関員たちが「あえて」没入するものが、「価値」や「理由」からもっとも遠い「遊び」=〈ゲーム〉であるのは、ある種の必然でもある。

ルールすらない究極的に空虚なゲーム=『ジョーカー・ゲーム』は、徹底して「自由」な「ニヒリスト」が「あえて」没入するものとして、無根拠で無内容な「遊び」として設定されなければならない。

「化け物」たちの内面に立ち入ることなく一見して淡々と進行するストーリーは、設定から逸脱することなく、無根拠な〈ゲーム〉=「遊び」性を的確に表現しきったようだ。
同時に、「かけがえのない」何かを抱えた「内面」が生じ、「ニヒリズム」が不徹底化した瞬間に、「遊び」に裏切られ「ゲーム」に敗北する必然も。

名前も経歴も捨て、ひとり異国に潜入して現地に溶け込むD機関員の「人でなし」の「化け物」たち。

日本での個人生活を切り捨て、世界中どこへ送り込まれても労働できる人間が「グローバル人材」と称して賞揚されている現状をみれば、本作の設定が、大戦中のスパイ戦のリアルを描くためなどに要請されたのでは無いことは明瞭だろう。

さて、「化け物」の劣化コピーであるわれわれ視聴者は、何の〈ゲーム〉の渦中にいるのだろうか。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 9
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

映像もストーリーもよく練られたスパイもの<原作読了、追記あり>

本作は繊細な描写が魅力で小説や洋画(特に古い名作)のような印象の、スパイを主人公としたミステリー作品。
何回も視聴して想像や考察をしながらじっくり楽しむのが吉です。

アニメよりも実写向きと感じるような作りですし、エピソードごと時系列を入れ替えていたり、メインキャラクターを意図して見分けがつきにくくデザインしているなど、アニメとしては尖ったところもあります。

エンターテイメント的なアニメを好む人や、キャラクターの掘り下げを望む人には向かないかもしれませんが、シリアスなアニメや他の媒体の作品も好む人には逆に入りやすいのではないでしょうか。

【ビジュアル面】
キャラクター原案は三輪士郎さんで、キャラクターデザインの矢萩利幸さんがアニメの方向性に合わせてより地味なイメージに落とし込んでいます。
ことD機関のスパイ8名は全員目立たないモブ顔を設定するという方法を取りました。アニメキャラクターは一目で見分けがつくべき、という考え方からすれば思い切っていますが、機関員8名はスパイとして目立たず活動する作品なのでこれで正解だったと思います。

作画は安定感と美しさでリアリティを追求している点が最大の特長。動きもデフォルメが少なめ、色彩も暗めなので若干泥臭いイメージにもなっていて、そういう部分が好きですね。
安定した作画でキャラクターの仕草や表情が細かく、緊張感やリアルな雰囲気が途切れなかったことが一番素晴らしい点だと思います。

背景もやはりリアルで美しく、地に足の着いた映像作りがされていて、世界観をよく表現していました。


【キャラクターと声優】 {netabare}
大御所がいっぱいでしたw演技に関しては本当に素晴らしかったの一言です。

結城中佐はほんの僅かに人間味を見せることが実は少なくなく、長いスパイ活動を経てもその人間性を捨て去っていない点がかえって恐ろしいと同時に素晴らしいキャラクター。
堀内賢雄さんは感情を見せない語り口、時折見せるかすかな人間性、変装時の演じ分けなど最初から最後まで、本当に素晴らしかったです。個人的に賢雄さんはシリアスキャラがすごく好きなので嬉しかったです。

ゲストキャラクターではヴォルフ大佐と、その声を当てた銀河万丈さんがとても印象深いです。若い頃との演じ分けも好きですし、判断力に優れた面、冷徹な印象や威圧感、結城中佐に対する一種の執着などその人間性がとても感じられました。
{/netabare}


【ストーリー面】 {netabare}
オムニバス形式 で各話独立した物語として展開、八人の機関員にそれぞれスポットが当たる構成です。
あえて時系列を入れ替え最初(1,2話)と最後(12話)にキャラクターの人間性を描くタイプのエピソードを配置。3話がいきなり荒唐無稽なストーリーなのは気になるものの、話数が進むほど視聴者を引き込む作りになっており、おかげで右肩上がりに面白くなったと感じました。

そして最終話がいつも通りに始まりいつも通りに終わる、というのが実に本作らしい。そういう終わり方になるだろうとは思っていましたし、私自身それを期待していました。
スパイたちの人生にも活動にも終わりはなく、視聴者はそのいくつかの出来事を覗き見しただけと思っていましたし、時系列の入れ替えのおかげでそれが自然だと感じられました。

ラストの結城中佐の台詞は第1話最初の台詞と同じで、これが格好良かった!全体のまとまりも感じられて良かったです。
佐久間さんに対しては「これまでの考え方を捨てろ」、小田切さんに対しては「ここでの経験を忘れるな」という意味もありそうですね。
原作からは改変されているそうですが、スタッフが最後までアニメとしてより良い作品を作ろうとしたと思えて、なんとも粋で、正直燃えました。そういうアニメじゃないけどこれw
{/netabare}

【本作の2つの柱】 {netabare}
本作を1クールで展開する上での柱だと私が感じたのは「スパイの生き様」「虚構」の2つです。しかもその2つの要素は密接にリンクして、綺麗に全12話で起承転結にまとめられていました。

まず1、2話で佐久間が初めて機関員(スパイ)の「虚構」を認識します。佐久間は視聴者目線に立つ存在でもあります。
そして機関員は優秀なスパイで、その存在は「虚構」であり、影となって状況をコントロールするという、その仕事ぶりでスパイを語るという構造なのですね。
3話~7話で機関員たちが主役でないのは当然のことです。スパイの生き様は色々ですが、諜報戦から降りざるを得なくなった者だけが「虚構」を捨て去り(あるいは剥がされ)、初めて物語の主役になるわけです。
そういう意味では、軍人であることを捨て去れない風機関の人間はそもそも諜報戦に参加することすらできませんでした。

結城中佐は上に立つ人間ですし身体的ハンデが特徴になるので影にはなれませんが、逆に掴まれている情報を餌に「虚構」を構築することで状況をコントロールし、アーロンを引退に追い込んでいます。結城中佐の過去話かとおもいきや、10話の主役はアーロンさんなんですよね。
11話は三好が真木という「虚構」を被ったまま人生に幕を下ろす物語でもあり、同時に結城中佐の「虚構」が危うく崩れかける物語でもありました。ニアミスしたのがヴォルフ大佐だったら、一切偽装していない結城中佐は実体をつかまれていたでしょう。
そして、最終話では自己を捨てきれない小田切を描くことで、相対的に視聴者に機関員の「虚構」を再認識させているのです。(キャストの役名が「飛崎弘行(小田切)」になってることに今になって気がつきました。細かい!)

もともと虚構であるアニメーションでは、いかにリアリティを持たせるかが大切です。
本作は映像からはリアリティを追求しているように感じますが、実際は「虚構」を描く作品でした。本作中でキャラクターの語る偽情報すら映像が付いていたのは、視聴者を引っ掛けるフェイクだったのでしょう。原作ファンを引っ掛ける改変もあったようで、そう言われると原作がさらに気になりますw

実写ドラマでも面白いかも知れないと最初は思いましたが、人の手でゼロから創り上げられる虚構(アニメ)だからこそ、本作は魅力的なのかも。
{/netabare}


【雑感】 {netabare}
感情移入が出来ないとのめり込めない私が全話面白く見られたのは、一見淡白に見えても、ストーリー(ミステリー)の中に人情噺のような側面を必ず入れていたからだと思います。
ストーリーを引っ張るのは機関員ですが、他のキャラクターはきちんと人物描写されていて、仕草や表情も見逃せなくて毎回画面に釘付けになってました。

それから自分としては意外だったのが、三好の死がめっちゃショックだったこと。
原作ファンの方の書き込みを目にする機会があって、視聴前から知っていたのにズシンと来ました…普通なら嫌いなタイプのキャラクターなのに…
なんというか三好が、というより「人間の死」というもののあっけなさ、迷いも後悔も心の中に一切無いスパイの死に様が重かったですね。ドラマチックな演出が一切ないからこそ辛かったです…

考える頭脳があるのに日本軍人として生きると決意している佐久間、スパイとして秘密を保って死んだ三好、暗い時代に孤独と苦難の道を歩む機関員たち、それとはまた違う厳しい道を選択した小田切、誰にも見せない苦悩を抱えているであろう結城中佐。
キャラに感情移入するアニメじゃないのに私が嵌ったのは、彼らに想像の余地を残してくれているからです。
本作で何を見て何を考えるかは視聴者に委ねられています。そこがとても好きですね。
{/netabare}

本当にスタッフに恵まれた作品でした。
本作を見ているとわからないことも沢山ありましたが、本作の公式サイトには時系列表やコラム等があり、理解の助けになりました。かなり内容が充実していて頭が下がります。

振り返ると無駄な話はひとつもなかったと思いますし、繰り返し視聴するのが楽しい作品です。
こういう新作が定期的に出てくれると個人的にはとても嬉しいですね。(2016,6,27)


本日原作を読了しました。
キャリアのある作家さんだけあって読みやすく情報量も多く、描く要素も一貫していてとても面白かったです。時系列は原作もばらばらで、アニメだけではなかったんですねw
アニメ版が気に入った方には是非読んでみて欲しいです。

原作のひとつの特徴として、小説というビジュアルのない媒体だからこそ出来る登場人物の「無名性」があります。{netabare}登場するスパイ達は偽名しか付けられていませんし、スパイが主役となる物語は最後にその人物の"スパイとしての死"が示唆されることが殆どです。{/netabare}
アニメ版に私が感じた「虚構」は原作から引き継がれた重要な要素だったのですね。

アニメーションではビジュアルが絶対に必要ですから、やり方を間違えると本作の魅力を大きく損なう難しい要素だったんだなと読んでみて思いました。機関員のキャラクターデザインはとても良いバランスだったと思います。

物語としても、キャラクター数や情報量を減らしながらも物語の筋はきちんと通り、そのために原作を分解・再構築することを恐れないよく練られた作品でした。

動画配信サイトが再放送など行ってくれていることもあり、良い評価を受けているようで一ファンとしてとても嬉しく思います。
(2016.7.8追記)

投稿 : 2024/06/01
♥ : 51
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「スパイ作品=アクション」だけじゃない!!しっかりとしたミステリーで魅せる良作

【レビューNo.97】(初回登録:2023/12/03)
小説原作で2016年作品。全12話。
交流あるレビュアーさんの棚で本作を見つけ、そういえばいい作品だったなと。
昭和初期の日本に実在したスパイ養成機関、陸軍中野学校をヒントに、柳広司
作の戦時下のスパイを題材にしたミステリー小説で、第30回吉川英治文学新人
賞他を受賞など原作の評価は高いようですね。

(ストーリー)
昭和12年秋、陸軍中枢部の多数の反対意見を押しのけて、結城中佐の提案でス
パイ養成学校「D機関」が設立された。訓練生たちは互いの素性を知らないまま、
精神と肉体の極限を要求される訓練を受け、優秀なスパイへと成長していく。
そして結城中佐の指揮の元、世界各国で暗躍し始める。

(評 価)
・日本陸軍でも異質な存在が際立つ第1話
 ・第1話の主役は、陸軍から監視役としてD機関に出向してきた佐久間中尉。
  バリバリの軍隊教育(思想)を受けてきた、当時の代表的な日本軍人です。
  そんな佐久間に、開口一番結城中佐が先制パンチを見舞います。
  {netabare}「馬鹿か?貴様。背広姿で敬礼する奴があるか」(軍人だと即バレw){/netabare}
 ・そして佐久間が妄信する
  ・戦いは正々堂々と。
  ・名誉や愛国心のために時には死することも厭わない。
  ・そのような覚悟のないスパイは「卑怯」な存在。
  これをD機関の学生たちは「トートロジー…見事な鰯の頭です。良く仕込ん
  だものですが、新興宗教と同じですよ。」と一笑に付します。
 ・最後に結城中佐はスパイの矜持を説くのです。
  {netabare}・彼らは各国で途方もないない長い期間、たった一人で自らを見えない存
   在とし、諜報活動に勤しまなければならない。
   → 彼らに待っているのは真っ黒な孤独だ。
   → 唯一の支えは、常に変化し続ける多様な状況の中で、咄嗟に判断を
     下せる能力だけだ。
 ・佐久間は(洗脳された)自分たちの行動原理との違いに衝撃を受け
  ・彼らの支えは「自分たちならこの程度のことはできなければならない」
   という恐ろしいまでの自負心だけ。 
   → そんな生き方ができるのは人でなしだけだ。
  彼らを「怪物」だと評するのです。{/netabare}

 後述の「ジョーカーゲーム」のシーンを含め、ここまでが1話Aパートになり
 なります。まだ本筋のスパイ活動ではないですが、D機関がかなり異質な存在
 であることを強く印象づける見応えある会話劇とその世界観に、冒頭から引
 き込まれる感じですね。

・「ジョーカーゲーム」とは
 タイトルにもなっている「ジョーカーゲーム」について解説。
 ・D機関の学生たちが楽しんでいた、表向きはポーカーですが、
  {netabare}・プレイヤーは食堂にいるものを味方につけ、盗み見たカードをサインで
   知らせてもらう。
  ・だが誰がどちらについているかはわからない。
  ・サインは偽物かもしれないし、敵のサインを読み手が変えることもある。
  ・場合によっては敵のスパイを裏切らせ、味方につけることもできる。
  いかにも、スパイ養成学校らしい遊びです。
  (ただのポーカーだと丸腰で参戦した佐久間は、当然惨敗w)
 ・そしてこれが「国際政治」の縮図で、見せかけのルールにとらわれ、実際
  に行われていたゲームの本質にすら気づいていないのが「今の日本の姿」
  であると。
 ・これは何も国際政治に限った話ではありません。(軍内部の権力闘争等)
  佐久間はD機関と合同任務を実施するために派遣されたのですが、
  ・この任務に隠された上層部の真の狙い
  ・その狙いを事前に察知し、逆に利用するよう動いていたD機関
  最後にこの真相に辿りついた佐久間はこうつぶやくのです。
  {netabare}「俺は最後まで入ることすら出来なかった・・・『ジョーカーゲーム』に」{/netabare}{/netabare}

 なるほど、タイトルとするにふさわしい作品の本質を表していると感じます。

・スパイモノながら頭脳戦や推理モノの要素が強い
 ・物語としてはスパイモノらしく
  ・他国での諜報活動
   → ターゲットへの接触や潜入・協力者との情報交換
  ・国内でのスパイ活動の監視
   → 敵国スパイの監視や(裏切りによる情報漏洩など)陸軍への内偵
  ・陸軍本部との権力闘争
   → D機関の存在が面白くない上層部からの仕掛け
  といった内容を、各国に散ったD機関のメンバーに焦点を当て、1-2話の
  オムニバス形式で見せていく形になります。
 ・なので
  ・結城中佐以外のメンバーの出番が少ない。
  ・(他の方も書かれてますが)そもそも「スパイとして印象に残りにくい」
   をコンセプトとしたキャラデザらしい。 
   (各話毎に主役が変わっていくが、正直誰やねん?!という感じw)
  ということで、登場人物には感情移入しにくく、純粋にストーリーの面白
  さや創り込みを楽しむ作品という感じですね。
 ・ストーリーとしては、スパイモノなのでアクションもありますが、主たる
  流れは、任務の途中でアクシデントが起こり(マークしてたターゲットが
  何者かに消される等)、任務を遂行しながらその真相に迫っていくという、
  推理モノの要素が強い感じです。
 ・それに加え、陸軍本部の企みを巡る頭脳戦的な要素ですね。世界から「魔
  王」と恐れられた結城中佐が格の違いを見せつける様は、昔よく放送され
  ていた時代劇の「勧善懲悪」っぽい爽快感があります。
 ・あと主要キャラ男性ばかりなので、各話のゲストキャラで女性が登場する
  のですが、{netabare}もれなく「疫病神」だというw
  「女で身を滅ぼすな!」という原作者からの忠告なのでしょうか。
  (またD機関の採用が男だけの理由も最後に語られます。){/netabare}

原作既読ですが、アニメの方は原作の面白さを忠実に再現してくれているとい
う印象ですね。その分地味な作品という感は否めないですがw
(視聴後は「上質のミステリー小説を堪能した」って感じなんだよな)
同じスパイモノでも、某アニメにのような美少女たちのドタバタ劇をみせてく
れる訳でもなく、結城中佐も「極上だ」とは褒めてくれません(笑)
なので、明快な面白さやエンタメ性は薄い作品ですね。

それでも昭和初期の風景から始まり、ここから大戦へと突き進んでいく当時の
空気感だったり、作画もよくや音楽も作品にマッチしていて、制作陣はかなり
頑張っているなというのを感じますし、原作がしっかりしているので、ミステ
リーとして地に足のついた作品に仕上がっていると思います。
あと個人的には唯一思い入れのできるキャラ結城中佐は、世界で暗躍していた
経験があるだけにその言葉には重みがあり、堀内賢雄さんの好演も光り、見ど
ころのひとつかなっと。

「007」「ミッション:インポッシブル」など「スパイ作品=アクション」だけ
でなく、こういう作品もあることを知ってもらえればと思います。

(追 記)
>登場人物には感情移入しにくく、純粋にストーリーの面白さや創り込みを楽
>しむ作品という感じですね。
「神様のメモ帳」でも書きましたが、ミステリー主軸の作品ってこちらにかな
り尺をとられるので、1クールアニメだと元々人物描写でキャラの魅力を引き
出すとかがかなり難しいんですよね。
(原作の創りもありますが)そういう意味では人物を必要以上に描かないとい
う本作のスタンスは、割と理に適っているのかなという印象ですね。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15

70.4 7 ミステリーでサスペンスなアニメランキング7位
妄想代理人(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★☆ 3.6 (797)
4183人が棚に入れました
『妄想代理人』(もうそうだいりにん)は、マッドハウス製作の今敏監督によるアニメ作品。
疲れた現代社会を癒す人気キャラクター「マロミ」をデザインした鷺月子は、ある夜、通り魔少年バットに襲われた。
突如世間に現れた少年バットは次々と人々を襲いはじめ、市井の人々を恐怖へと陥れていく。しかし、幾人も被害者が出、多くの目撃者がいるにも関わらず、少年バットは一向に捕まりそうになかった。刑事猪狩慶一と馬庭光弘は捜査を進める中、被害者の持つ不思議な共通項に辿り着くのだが…。


声優・キャラクター
能登麻美子、桃井はるこ、阪口大助、飯塚昭三、関俊彦、槐柳二、京田尚子、内海賢二、陶山章央、山口眞弓、中嶋聡彦、水樹奈々、藤原啓治、三石琴乃、津村まこと、郷里大輔
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

今敏監督唯一のテレビシリーズ

 初見でした。全13話。
 今敏監督らしさとらしくなさの入り混じった作品でした。
 私は今敏監督をかなり高く評価していますが、この作品に関しては少し冗長な感じがあったと思います。今敏監督が作る映画は、2時間でも到底終わらないような分量を90分ほどに押し込めることで、圧倒的な密度を持っています。この作品ではいろいろなパターンの話がありますので、全編を通して密度が高いというわけではありませんでした。明らかに話数を維持するための話もありましたからね。だから悪い、というわけではないんですけど。
 ただ、映画とテレビシリーズはメディアが違いますから、映画では出来ない各話の継続性や連続性みたいなものは、かなり意識的に作られていましたのだとは感じました。
 最初の2話と最後の2話は非常に良かったです。


月子のエロさ(全ての元凶)※ネタバレ要注意:{netabare}
 第一話を見たときから思っていたのですが、月子ってなんかエロくないですか? 体や性格が女っぽいというのではなくて、なんとなくエロい。ここに同意を得られるのかは分かりませんが、私は全ての元凶を知った時にその理由が分かったような気がしました。

 すべては月子の狂言が始まりだったのですが、その狂言の原因とも言えるのが「腹痛により愛犬のリードを手放し、愛犬を事故死させてしまったこと」です。
 月子は、父子家庭において厳しくしつけられて育った子です。そのため、父親に真相を打ち明けることができず、架空の犯人をこしらえてしまいました。一体何が打ち明けられなかった真相なのか?

 月子が打ち明けられなかったのは、「自分の不注意で愛犬を事故死させてしまったこと」ではありません。その不注意の原因である「自分に腹痛が起こったこと」です。
 千と千尋のレビューでも触れているのですが、「思春期に入りたての少女の腹痛」というのは「初潮・生理」を記号化して描いたものです。月子は初潮を迎え、そのために腹痛が起こったのです。そして、その痛みからリードを手放してしまいました。父親に「自分の不注意で」リードを手放したことを打ち明けると、なぜ不注意が起こったのかを説明しなければなりません。月子は「生理が来たから」とは言い出せないために、「あいつのせいで」リードを手放したことにしてしまったのです。

 「思春期に入りたての少女の腹痛」だけでも、「初潮・生理」の記号として十分機能するのですが、今敏監督はこの腹痛が「生理」であることをきちんと説明しています。愛犬マロミの血が流れるシーンです。
 このシーンでは、血が縦方向に流れています。あたかも壁を這う血のようにも見えるのですが、事故の現場は開けた大通りですから、周囲に壁はありません。「道路に沿って横に流れる血」をわざわざ「縦に流れている血」のように見せたのだと感じました。これは、「月子から流れ出る血」である「生理」とリンクするための描写だったのだと思います。

 つまり、全ての元凶というのは、「愛犬マロミの事故死」ではなく、「月子の初潮とそれを言い出せない父子関係」にあったのです。今敏監督が月子を女として描いていたから、エロく見えたのかもしれないな、と思いました。
{/netabare}

「ア=?」「アニ?」:{netabare}
 最後の記号の羅列に関して、どのような見解があるのかを調べてみたのですが、ループ説を採る「ア=?」派とメタフィクション説を採る「アニ?」派があるようですね。私としては、どちらか一方ではなく、両方が正解だと思っています。

 この記号の羅列を数式として見ると、第一話で登場したものと全く同じものですから、第一話へのループを描いたという「ア=?」派の見解は正しいものだと思います。そもそも第13話の次回予告が妄想代理人の全話に係るものですからね。否定のしようがないでしょう。

 ですが、「ア=?」だからといって、「アニ?」すなわち「アニメ」が否定されるとは思えません。そもそも今敏監督は、分かりやすいエンディングの解答を用意する方ではありません。これはどの作品を見ても同じです。「ア=?」を明らかにした以上、それを隠れ蓑にした別の解釈も用意していたと考えるのがいいように思えます。

 アニメ制作回に「鰐淵良宏」なる演出家(だっけ?)が出てきます。この人物は、第2話の絵コンテを担当者としてもスタッフロールに出てきています。つまり、アニメ内の架空の登場人物が、現実の妄想代理人のスタッフとして名前を連ねていたということです。
 この「鰐淵良宏」なる人物について、妄想代理人のwikiには、「2話の絵コンテ担当の鰐淵良宏は実在の人物ではなく、10話「マロミまどろみ」に登場する架空のアニメスタッフの名前。実際は今が担当していた(DVD6巻収録コメンタリー「妄想ラジオ」より)。」と書いてあります。つまり、今敏監督がアニメ内に登場していたということ。これは、劇中の製作者が妄想代理人の製作者でもあったというメタフィクションの要素です。

 また、フィギュアオタクの人が出てきますが、彼は当初、作中作のフィギュアを愛でていました。その後、妄想代理人の登場人物のフィギュアを制作しているシーンが出てきます。こちらも、作中の視聴者が妄想代理人の視聴者でもあったというメタフィンクションの要素です。

 つまり、どちらもアニメの世界と現実の世界のリンクを描いたメタフィクションになっていたということです。したがって、この作品が「アニ?」すなわち「アニメ」であるという解釈は、これらがフラグとなっていると考えれば、メタフィクションの締めとしては合理性のあるものだと思われます。

 この作品は、他の今敏監督作品よりも社会風刺的な部分が色濃いですが、風刺を作品内で見せるにとどまらず、現実とのリンクをメタフィクションとして見せることでより説得性を持たせようとしていたのだと私は考えています。
{/netabare}

 というのが、当初書いていたレビューの抜粋です。長いので大半を削りましたが、「千と千尋で書いた」という文言だけを加筆しておきました。妄想代理人も他の今敏監督作品と同時期(去年の夏から秋ごろ)に視聴して、レビューも用意していたのですが、当時は映画のレビュー以外載せる気が無かったので掲載していませんでした。まぁお蔵入りさせたまま忘れていたわけですが…。
 で、最近「KON'S TONE」という今敏監督のオフィシャルサイトを発見したのですが、その中で今敏監督自身から大変興味深い指摘がなされていたので、それについて一部をご紹介したいと思います。
 このレビューでは主に月子についてのみ触れます。全て引用ですが、※だけは私のコメントです。


妄想の十三終わり無き最終回。-その11-:{netabare}
 大雑把にまとめてしまえば、「幼い月子は不注意からマロミの手綱を放し、そのせいでマロミは車に轢かれて死んでしまい、それを自分のせいだと認めたくない月子はその内部から少年バットを生んだ」ということになる。
 それまでの少年バットやボンドによってもたらされた被害に比べてひどく小さな出来事であり、そのギャップは意図したところ。馬庭が解説してくれた真相と何も変わらないが、この回想で大きな要素が付け加えられる。初潮である。

 この発端となる女性を仮に、“月子”と名付ける。取りたてて深い意味はないが、妄想代理人を生み出した彼女の背景には女性特有の苦しみがあったことにしたい。「生理」については私は実感をもって考えることは出来ないが、大変な苦痛を伴う女性もいるようだし、狂言を演じてしまった、あるいは演じざるを得なかった月子の事情としても考えられよう。「生む」というイメージには血もつきまとう。

※やはり「初潮」が描かれていましたね。そして、「月経」「月のもの」という「生理」の言い換えから「月子」と名付けられたようです。


 初潮の訪れは「子供時代の終わり」(そう単純化してもいけないが)と考えられるし、つまりは「子供の死」である、と考えた。マロミという「子犬」の死も同様である。死には「血」のイメージも付帯する。タラリと血が流れるカットは、「初潮」と同時に「子(犬)の死」も表したつもりである。
 轢かれて死んだマロミは「子供の月子」と言い換えて差し支えない。その死んだ筈のマロミがぬいぐるみのマロミとして、月子主観では「生き残った」ということは、子供のままの月子が生き残った、ということだと考えていた。月子の「不思議ちゃん」「社会性の欠如」はこの生き残った子供の月子であり、大人への通過儀礼をうまく通り抜けられなかった、というイメージである。
 また「初潮=子供の死」は同時に「生む」機能が整ったということも意味している。そのイメージが「少年バットが生まれる」ことに繋がっていると思う。シナリオでは幼い月子のすぐそばに少年バットが立っている、というイメージだったが、もっと直接的に「月子から生まれた」ことを絵にしたかったので、幼い月子の影が少年バットのシルエットになっている、とした。理屈がどうこういう問題ではなく、言語によらないイメージとしての説得力が得られたと思う。

※「初潮」は「子供が終わること」と「大人になること」を意味しますが、月子は子供(マロミ)を抱えたまま大人になり、さらに少年バットという子を産んでしまった、ということのようです。なるほど。
{/netabare}

妄想の十三終わり無き最終回。-その12-:{netabare}
※回想シーンの絵コンテが掲載され、今敏監督による解説が加えられています。

「ほらぁ〜もう行くよ、マロミィ」
 能都さんの甘ったれた感じの声が非常にいい感じだった。キャプションにもあるように、ここでの月子は「わざとらしく困って」みせている。子供が動物に接する際、動物を「子供扱い」する態度はよく見られると思うが、この月子も同様で、つまりは「お母さんごっこ」である。お母さんごっこをしていたら、本当にお母さんになるための準備が来てしまった、という皮肉が重ねてある。

 ここの月子を描くにあたっては「肉」を大切にしたつもりである。特にふくらはぎ。腿に圧迫されて平たく潰れた感じのふくらはぎ、ここに「肉」を表そうとしてみた。月子の背後に見える公園のスツールが赤色なのは無論「血」の象徴。
 血と肉から逃れられない、という感じを重ねてみた。さらに次のカットでマロミが車に轢かれて死ぬ、という繋がりで「血」「肉」は「死」から逃れられないことも暗示したかったが、したかっただけに終わっているかもしれない(笑)

「あいつが来たんだもん!!」という「あいつ」とは無論「少年バット」と「血」のダブルミーニング。

※血が流れるシーンについて、絵コンテには「車道と歩道の段差の部分、血が流れ落ちる。マロミの血です。月の死者の象徴でもある、と。」と書いてありました。実際に縦に流れるところで縦に流れていたようです。私のレビューは間違っていましたね、恥ずかしい(笑)。
 なお、エンディングの記号式に関しては、私が確認した中では触れられていませんでした。
{/netabare}

 具体的なページについては失念してしまいましたが、「100の完成品を作るためには、200から300のアイデアを出す」というようなことも書いてありました。今敏監督作品の密度の高さが理解できたように思います。
 文章量が多いので「KON'S TONE」はまだほとんど読めていませんが、製作者の意図に触れられたり、こだわりを垣間見れたりできる貴重な情報源ですからね。継続して読み進めたいと思っています。
 今敏監督が亡くなっているのを知ったのは、確か去年の今時分で、パプリカとパーフェクトブルーを初視聴した直後だったかと記憶しています。この時期にまた今敏監督作品のレビューを引っ張り出すことになるとは露程も思っていませんでしたが、なんにせよこのレビューが8月24日に間に合ってよかったです!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 11
ネタバレ

lll1 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

鷺猪馬蛙鯛牛蝶蛭狐…

 これでようやく今敏監督作品を全て見る事が出来た。

 ダーレン・アロノフスキー、クリストファー・ノーランなどなど、今敏の影響を受けた映画監督は多くいることでしょう。
 実に誇らしいことであり、今敏の偉大さを批評家や業界人のみならず、我々一般人も後世に伝え続けることをしなければならない。
 死後何年も経ちますが、いまだに悔しい気持ちでいっぱいです。もっとたくさんの作品を作ってほしかった。


 では本編の方を。率直に言って傑作でした。ただ、全体として見るか、1話1話を見るかで、ちょっと評価が変わる。
 1話1話全て面白いんですよ、でも全体として見ると、やや霞むんですよね。これが正直なところです。これが正直なところなんだけど、そんな霞むところは無視してこれからこの作品を褒めちぎるレビューを書きます。
 嘘はつきたくないというだけです。


 まず〈第1話〉。
 "間(ま)"が完璧だったんですよね。鷺月子が、パソコンに向かって仕事をしているときに鳩村が話しかけるシーンがある。ここの話しかけるまでの"間"が完璧で、私はこのシーンで『妄想代理人』に掴まれた。テレビの安っぽい演出ではなく、まさしく映画の演出だった。

 「神は細部に宿る」という言葉がありますけど、その言葉通り細部へのこだわりが実に素晴らしい。

 音楽はあまり流れないけど、自然音や生活音を「これでもか!」と言わんばかりに充実させている。音が物凄く豊かなんです。一気に作品のリアリティも増すし、ランクも上がります。
 
 そして音にこだわりがあるからこそ、音楽の使用に関しても注目することが出来る。鷺月子の心情が揺れ動くときにしか音楽が使われていないんです。音楽を使用するときに意味を持たせることによって、より視聴者は深いところまで入り込むことが出来る。
 ただ流しているだけとでは訳が違う。

 続いて作画。もう「映画かよ」って思いました。調べたら実際映画だったんですけど。一部の原画を『東京ゴッドファーザーズ』から拝借したそうです。だからあんなにも横断歩道を渡る歩行者が豊かに活きている訳だ。
 絵コンテも完璧でしたしね。

 映像によって与える、視聴者の心境の変化。美しい映像を素直に美しいと思ったり、怖い映像を怖いと思ったり、不快なものを不快に感じたり。そういった部分がしっかりと効果的に描けていたことに感動した。
 最近ないから、ストーリーではあっても映像ではなかなかないから。

 キャラクターも良かった。少ない描写で、キャラクターの個性や性格を見事に表現している。鷺月子も猪狩も馬庭も川津も。
 心の声の使用は控えてるし、脚本、ストーリー共にあっぱれ。もちろん、キャスティングと演技指導も。

 
 ここまで完成度の高い"第1話"を初めて見たし、全てが完璧だったと思います。
 と、ここまでが第1話の感想です。長くなります。
 以下はカスタムタグを用いていますが、特にネタバレはしてませんのでご安心を。ぐちゃぐちゃっとなってしまうので、すっきりさせたかっただけです。


 〈第2話~第4話〉{netabare}
 全話好き。作品全体としてデヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』の影響を受けている印象を感じるけど {netabare}、第3話は特にそれが顕著でした。{/netabare}
 是非『ファイト・クラブ』を見てください。順番はどちらが先でも良いので、見てください。ちなみに今敏監督作は必ず見るように。
 4話のあのシーンはカメラワークがイカしてて最高。
{/netabare}

 〈第5話〉〈第10話〉{netabare}
 〈第5話〉はそんなに好きじゃない。脚本も水上清資が書いておらず、吉野智美が担当されてます。 あと特徴的なのは〈第10話〉ですが、この回も吉野智美です。後は全話水上清資が書いてます。
 ついでなので、ここで〈第10話〉について書きますが、マロミに解説させるという、「それはどうなの?」と言いたくなる演出をしてますが、そこは置いておき、結構このエピソードは好きです。
 少年バットを、アニメ制作現場という混沌の中に、かなり喜劇的に取り入れていた。


 そしてもう一つ言いたいのが、『SHIROBAKO』です。
 ずっと前から思ってたことですけど、『SHIROBAKO』は褒めるべき作品じゃなかった。
 「なんて非効率で、過負荷な労働でアニメを作ってるんだ、馬鹿じゃないか!」という意見の方が目立つべきだった。悪く言えば叩かれるべきだった。業界全体のためにも。

 友人にアニメーターの方がいるので、制作現場の話を聞きますが、本当に悲惨なものです。第10話の主人公の猿田と『SHIROBAKO』の宮森は制作進行という同じ仕事ですけど、この人たちは本当に休みがないです。
 原画を取りに行くということが私にはムダにしか思えない。問題は多くあります。会社がアニメーターの生活を保障せず、フリーで活動されることが多い事であったりと。
 『SHIROBAKO』はそれをカーチェイスで見せてましたからね、もう、ほんとに、、、。
 分業が出来たらいいなと思います。人が足りないけど。
 
 TRIGGERの桝本和也著の『アニメを仕事に!』という制作進行について書かれた本があるので、是非読んでみてください。1時間~2時間ぐらいで読めます。「おかしくね?」って思うことを当然のように書いてます。
 この本の頭に「キツイ!しんどい!でもムチャクチャおもしろい!!」と書いてありますが、このキツイ、しんどいを無くして、余裕を持たせることも大切だろと思います。
 TRIGGERは制作現場の様子をYOUTUBEなどで上げてますので、そちらも。


 話しが逸れましたけど、このエピソードが好きなのは全然、現実視点の方ではないので、前に書いた少年バットと制作現場の混沌と喜劇の方ですので。{/netabare}

 〈第6話〉~〈第9話〉。{netabare}
 〈第7話〉はあまり印象にないです。ただ一番何回も見て、咀嚼するエピソードだとも思います。たぶん1,2を争うレベルで作品全体として重要かなと。だけど、特には書きません。

 この第6、8、9話ですけど、第1話~第4話のような形に返ったかのような話で、好きです。
 正直言うと、こういった面白くも奇妙でクセのある話しを、1話完結でずっとやって行った方が私としては楽しめたと思う。
 "結末"や"答え"よりも、"過程"を楽しむタイプなので。{/netabare}

 〈第11話〉~〈第13話〉は特に触れません。


 あと平沢進の音楽は最高です。

 
 最終評価は 8 / 10点です。


 観終わったすぐは7点にしようかと思ってました。最初に書いた"霞む"と言った部分が原因です。
 でも思い返してみると、「めちゃくちゃ面白かったな」という思いが、どんどん強くなっていった。
 視聴中の1週間~2週間ぐらい、ずっと頭の中が『妄想代理人』で埋め尽くされてました。『妄想代理人』の事以外を考えられないぐらいにいっぱいでした。なかなかアニメでは味わえない体験です。

 「神は細部に宿る」ですけど、ジョージ・R・R・マーティンは「細部多ければ、悪魔もまた多し」と言っています。面白い。
 
 最近とても良いアニメを観れているので近い内にオールタイムベストを作るかも。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 7
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

現実逃避する前に、自分と素直に向き合おう。

本作は、惜しまれながら早逝された今敏監督(映画『パプリカ』、『千年女優』など)による全13話のテレビアニメ作品。

本作のストーリーは、作中で大人気となっているゆるキャラ「マロミ」のキャラクターデザイナーである月子が、会社からの帰宅途中に、通り魔と遭遇する。もっとも、目撃者もおらず月子の証言も曖昧であったため、マロミに続くキャラクターのアイデアに煮詰まって現実から逃げたかった月子の狂言と思われた。しかし、同様の手口の事件が相次いで起こり、いつしか犯人は「少年バット」といわれるように…

これらの事件の被害者の共通点は(以下、核心に至らない程度でネタバレ有り)、{netabare} 月子と同様に生きるのが辛くなるような悩みを抱え、現実逃避したいという願望(=妄想)があったこと。それゆえ、被害者は、少年バットに金属バットで殴られ入院するような重傷を負いながら、辛い日常から逃避できた(「妄想」が少年バットという「代理人」によって現実となった)ため、一様に安堵の表情を浮かべるというちょっとおかしな状況になっている(おそらく、「少年バット」では伝わりにくいので、「妄想代理人」というタイトルになったと思われる。)。 {/netabare}

本作は(諸説ありそうだが…)、「少年バット」の正体を突きとめるミステリー(謎解き)もので、それだけで最後まで物語を引っ張るだけの魅力がある。もっとも、本作も、他の今敏監督作品と同様に、ストーリーの進行とともに妄想が現実を次第に侵食していく不思議な世界観とともに、単なる謎解きではなく、その過程で、どう悩みと向き合うべきかといった人生論や社会問題みたいなものを含んでいる。

本作は、悩み事を抱え、その悩みを解消するのがしんどくて、現実逃避したいと思っているあなたに、そこから救われるための糸口を与えてくれるかもしれない作品となっていると思う。

(正直なところ、入口は一般受けしやすい身近な話題で、ユーモアもあって深刻になりすぎていないものの、現実と妄想が混在していく点がわかりにくく、フィギュア化できそうなキャラデザでもないので(あえていうなら「マロミ」くらい?)、いい意味で、よくこれテレビアニメ化したなあというのが率直な感想。もっとも、全体が醸し出す唯一無二の独自性という点でクリエイターの評価が高いのも頷ける。)


【以下、ネタバレありの感想】
本作のアイデアに一番近いのは、「トイレの花子さん」といった都市伝説や怪談話の類だと思われます(入口が一般受けしやすいと感じた理由の一つ)。

どういうことかというと(以下、核心に至らない程度でネタバレ有り)、{netabare} はじめは他愛もない嘘だったものが、それを信じる者が現れ、ネットや団地のおばちゃんたちの噂など、多くの人の口の端に上るうちに伝言ゲームのように尾ひれが付いて、「怪物」になる。

そして、本作は、「現実と妄想」を混在させることで、いるはずのない「怪物」が社会に広がり、あたかも実在するかのごとく影響を及ぼしているということを表現しているのでしょう。

これが適切な例とはいえないかもしれませんが、日本の年金制度は、多くの国民が国がやっているので破綻することがないと思っている。しかし、自分が支払った年金を後からもらうというのは建前で、現役世代が受給世代を支えているのが実態なので、少子高齢化が進行している以上、このままだと、どこかで破綻する。
国がやっているので破綻しないというのは、実は根拠がない妄想の類なのに、(薄々気づいてはいるものの)国民はこれを信じて年金を支払い続けるという行為に影響を与えている。{/netabare}


本作のテーマは、おそらく11話の美佐江の少年バットに対するセリフ。
{netabare} 「あなたは現実から逃れようとする人たちを見境なく襲っているそうですね。
それでその人たちを楽にしてあげているとでも。
救済のつもりだと言いたいのですか。
人間はアナタが考えているほど弱くも浅ましくもないということを話してあげます。

どんなに辛くてもその現実に立ち向かうことが出来るのです。
アナタにはそれが分からない。人間でないアナタには。
ただ苦しんでいる人を傷つけ、殺め、それで楽してあげたつもりでいる。
小賢しい。あなたはそんなことで悦に入るのがせいぜいなのでしょう。
アナタは存在そのものがまやかしなのです。
そう。その場限りの安らぎで人を惑わすこのマロミとやらと同じなのです。」

本作では、いるはずのない怪物である「少年バット」は、人々が辛い現実から逃避したいという妄想を実現する代理人として実在する。
そして、本作の月子の場合は、新キャラクターのアイデアを生み出すために必要な才能という現実に立ち向かわなければならなかったのに、「少年バット」が実在することで、より現実逃避しやすくなった。
しかし、現実逃避は、悩みを根本から解決するものではありません。

そうすると、本作は、美佐江の台詞にある「どんなに辛くてもその現実に立ち向かうことが出来る」なんかを見ると、悩みを解消するために現実から目を背けず正面突破しろ!(頑張って勉強してアイデアを出せるようになれ!)といっているようにも思えます(もちろん、これも解決策の一つ。)。

しかし、本作は、現実に立ち向かうために、まず、悩みの原因となっている「現実を直視せよ」と言っているように思うのです。そのうえで、正面突破するのか回避するのか。

例えば、月子は、「マロミ」級の新キャラのアイデアが出ずに悩んでいますが、おそらく彼女にそれを正面突破するだけの才能はない。なぜなら、「マロミ」のアイデアは、かつて飼っていた犬の「マロミ」の実体験に由来しており、他に同様の経験が彼女にない以上、同じ着想で新キャラクターを生み出すことはできないからです。
おそらく彼女自身も、それに薄々気づいてはいるものの、周囲の期待もあって、それを認めたくないという葛藤から、現実逃避したいという願望を強く抱くに至っている。

しかし、本作のラストで、月子は、自らの才能に率直に向き合い、その限界を認めたので、キャラクターデザイナーを辞めて普通のOLに転職した、つまり、正面突破せずに回避したのでしょう。
転職した彼女の顔は、髪を短くし晴れ晴れとしたものでした。


他にも、解離性同一性障害(いわゆる多重人格)のはるみも、マリアという別の人格を認めたくないという葛藤から、現実逃避したいという願望を抱いていました。しかし、この障害に対する治療法は確立していないようですが、各人格を統合できない場合は、各人格を否定するのではなく、その存在を率直に認めたうえで各人格間で協調するよう人格を調整していくことが必要なようです。この場合も人格を統合して一つにすること(正面突破)だけが解決策ではありません。


本作のように、悩みの原因を正面突破しようとして、そのハードルのあまりの高さに尻込みして現実逃避を選択する前に、自分と素直に向き合うことが糸口になるかもしれませんね。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

66.7 8 ミステリーでサスペンスなアニメランキング8位
心霊探偵 八雲(TVアニメ動画)

2010年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (559)
3307人が棚に入れました
生まれながらの“赤い瞳“で死者の魂を見ることのできる大学生斉藤八雲が、大学の友人小沢晴香や「未解決特殊事件捜査室」の後藤刑事らのもちこむ怪事件をその能力で解決する。

声優・キャラクター
小野大輔、藤村歩、東地宏樹、川島得愛、関俊彦、納谷六朗、高瀬右光、柚木涼香、豊口めぐみ
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

宿命に打ち勝とうとする強さとは

神永学の小説シリーズが原作の、全13話からなるTVアニメ作品。

タイトルに「心霊」とあってもそれほど恐怖をあおるものではなく、
「探偵」とあっても、一般的なイメージの探偵とは違い、、
ただ、片方の赤い瞳で死者の魂を見ることができ、
霊の心情を理解することができるという大学生が主人公。

ある事件の解決以来、彼に付きまとう大学の同級生 晴香や、
彼の能力をあてに難事件を解決をしている刑事、
彼を引き取って息子のように接している叔父の僧侶など中心に、
大抵は1話完結の事件を解決しながら、八雲の生い立ち、両親失踪の謎、
晴香との因縁など、さらにもっと奥深い内容に迫っていく・・というお話。

ハッキリ言って6話までの前半は、さまざまな事件解決をしながら、
周囲の人間との心の距離を縮めていくだけの内容なのだが、
誰にも心を開かなかった八雲が、この前半で徐々に変化していく事実は
最終話までの後半の急展開にすごく必要で。

それと、死者の魂が事件に関わっている者だとしても、
むやみに祓うのではなく、いや・・むしろ八雲は、
霊祓いを金儲けにする霊媒師などを否定しているので、
魂が訴えていることを理解した上で去ってもらう手法を取る
ってところが、なかなか好感持てた。
{netabare}
中盤・・・八雲となぜ名づけられたか、
両目が赤い男が誰なのか、八雲の生い立ちやこれまでのことも含め、
僧侶であり、誰よりも彼の理解者であった彼の叔父によって語られる。
{/netabare}
さまざまな児童虐待をはじめとして、家族、親子、
人の悪意と愛情やエゴイズムというものを
現実と非現実を交錯させながら展開していくので、暗く重い内容だが、
八雲を執拗に追い込んでいく両目とも赤い男の存在と真相が、
大きな鍵となって物語全体を包んでいた。

こういう物語は、好き嫌いがかなりハッキリしそうだけれど、
自分は後半で複雑な思いを抱きながらも、
最後まで観ないと気が済まなかった。

{netabare}最終的にはホッとできるものの、謎を残す終わり方に {/netabare}
2期があるかどうか・・わからないが、
この作品はミステリーホラーやサスペンスタッチで描かれながらも、
本筋としては八雲の心の変化、もっと言ってしまえば
「憎悪」との向き合い方に一番意味があったと思う。

個人的には、八雲の姉を名乗り、両目の赤い男といつも同行している女性、
七瀬美雪の半生と悪魔主義的な異常愛と心情のほうに、
すごく興味がわいたので、
彼女を主人公にした物語を別に作って欲しいくらいだった。


声の出演は・・・

斉藤八雲 - 小野大輔
小沢晴香 - 藤村歩
後藤和利 - 東地宏樹
石井雄太郎 - 川島得愛
斉藤一心 - 関俊彦
斉藤奈緒 - 小清水亜美
畠秀吉 - 納谷六朗
両目の赤い男 - 高瀬右光
七瀬美雪 - 柚木涼香
土方真琴 - 豊口めぐみ
宮川恵理子(原作では宮川英也) - 皆川純子

なお、OP「Key」という曲が、かなり気に入っていて、
最初聴いたとき、デヴィッド・シルヴィアンかと思うような曲調と声に
おぉ~~っと身を乗り出したのだけれど、小野大輔さんでした^^;

投稿 : 2024/06/01
♥ : 41
ネタバレ

なっぱ‪‪𖧷‪‪𓈒𓂂 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

テーマは好きだけどちょっと地味だったかな

原作未読。予備知識なしの初鑑賞。

八雲くんが霊とお話して
起きている問題をどうにかしていくストーリー。

霊媒師ではなく探偵さんなので
無理やり除霊する系のバチバチしたバトル展開はなく、
頭脳を使って淡々と解決し時の流れもゆっくりです。

{netabare}八雲くんが霊を悪と決めつけず
意思の疎通をとって何とかしようとする
その設定は好きだな〜と思いながら観てたのですが、
両目の赤い男(父親)が絡み始めたくらいから
あまりワクワクしなくなった気がします。

晴香ちゃんが自身の周りの人のトラブルを持ってきて
+‪αで後藤刑事が絡んでる程度の頃が1番楽しかった!

両目の赤い男の真相に迫っていく後半は
これぞ探偵と警察の出番という展開でしたが、
結局この両目の赤い男の正体が
そんなに黒幕という程の大物ではなくてガッカリw

一心さんが戻ってこなかったのも悲しかったな、、
亡くなった一心さんの棺を運ぶ時に
「軽いな」と呟かれたシーンが印象に残ってます。

脳死だった一心さんのドナーカードに
臓器の提供を希望されていた為、
もうほとんどの臓器が残っていない状態の
一心さんの身体は軽いんですよね。

こんなにいい人が最後に殺されて終わるのが嫌だ!
(私のただのわがままw)

だけど残された奈緒ちゃんが
後藤刑事に引き取られるのは良かったのかな。

作品で過去に後藤夫婦が不妊治療をしていたんだな
と分かるシーンがチラッと描かれていて
どうやら今も子供はいないようなので、
奈緒ちゃんは存分に可愛がられることでしょう。

ずっと人を寄せつけないように
1人でツンツンしていた八雲くんが
最後には晴香ちゃんに心を開いている様子で、
人に「ありがとう」と思えるくらいには
ちょっとのデレが出始めていて安心しました(*ˊᵕˋ*){/netabare}

キャラクター達の関係性や人柄は好きでした。
しかしその他の設定やビジュアルが地味に見えました。

キャラクターだけでなくストーリーの方も
最終的な部分はパンチが弱くてこちらも地味かと、、
一つ一つの展開は面白いのでもったいないですね。

ただ13年前の作品と考えると
当時出ていたアニメの中では埋もれることなく
普通に満足できた作品なのではないかと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 4

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

あれ、これ八雲のレビューだよね・・・?なんか後半が・・・あれ?w

え〜っと確か、霊感のある主人公が色々問題を解決していく物語だったような・・・。
正直あんまり覚えてません←おい
いや、覚えてないならレビューなんて書くなよ!って話なんですけど、もう一度見直す程デキの良い作品でないことは確かなので、この際良いか!という判断をしました・・・汗

ではあまり覚えていない物語の評価をこれから書かして頂きますw

まず物語。化け物が登場する点、夏目友人帳に似ているのかと聞かれると、そうではありませんでした。
この作品は怪異というより本物の幽霊を描いていました。では怪異と幽霊の違いはなんなのか?と聞かれると明確な答えは出せないものの、複数の相違点は出てきます。
そもそも決定的に違うのが描き方ですよね。ゲゲゲの鬼太郎なんかでも分かるように怪異というのは化け物や物に悪意が乗り移った感じがあります。
幽霊というのはどちらかと言うと人の魂が現世に残った形のよう。証拠にアニメで描かれる幽霊って皆人の姿してますもんね。

逆に、人からその存在が認識できないのがお互いの共通点。その二つの存在はもう一つの「恐怖」という概念で深く繋がっています。
夏目はその根本を逆手に取って、物語を暖かく、そして幸せ色にしているのに対して、今作品は捻るどころか直球で「恐怖」を強調しています(多分)。
そしてもはやスパイスというより必然と言った方が良いかもしれませんが、今作品に加えたもう一つの要素が「憎悪」です。それほどに憎悪と恐怖は関連性が深いトピックですが、それだけに見てる側は特別な興味が出てきませんでした。

そういう意味で夏目(憎悪や恐怖を上手く利用)やanother(明らかな恐怖が存在するのも関わらず、明確な憎悪を象徴する対象がない)は人気がでるのでしょう。
なんか、違う作品のレビューになってきましたが、他の作品と比べて評価するのは重要なこと!←無理からw

ということで上の5段階評価を見ても分かるように特別秀でたところも無く、この作品見るんならそれこそ夏目やanotherを見て貰いたいと思います。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14

67.8 9 ミステリーでサスペンスなアニメランキング9位
ゴーストハント(TVアニメ動画)

2006年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (437)
2306人が棚に入れました
舞台は、主人公・谷山麻衣が通う都内の高校。
旧校舎で心霊現象が発生し、渋谷サイキックリサーチという心霊現象の調査事務所が調査にやってくる。事故で助手に怪我を負わせ、高価な機材を壊してしまった麻衣は、弁償する代わりに所長・渋谷一也の助手の代理をすることになるのだが…。

声優・キャラクター
名塚佳織、泰勇気、成田剣、浜田賢二、釘宮理恵、岡本信彦、鈴木真仁、岡野浩介

ほるん吹き さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

本格的なミステリーホラー

主人公の麻衣は、「渋谷サイキック・リサーチ(SPR)」という事務所でバイトをしている女子高生。所長は麻衣と同じくらいの年の少年・ナル。SPRでは依頼のあった心霊現象による様々な事件を、霊能者らと協力しながら調査している。

物語は全25話、大きく分けて8つの話があります。心霊現象による事件の内容はポルターガイストや呪い、祟り、超能力にまつわる話などなど。

この作品は、単に「心霊現象コワイ」といった恐怖の演出があるだけではありません。
この事件を起こしている亡霊の正体は○○だ!と確信して徐霊に踏み出すも、全く見当違いで逆に返り討ちに合うなどと、事件の真相には裏があったりして推理物の要素も強いです。さながら「心霊探偵」といったところ。犯人を亡霊に置き換えた「金田一少年の事件簿」のようでした(例えが若干古いですがw)。

心霊現象を調べていく手段として、高感度カメラや集音マイクといった精密機械を使って、科学的に分析していくのは斬新でした。怪現象が起きるとノイズやカメラの映像の乱れ、温度の急激な変化などがおこり、データとして記録されるので妙な説得力があります。それをもとに類似の例や過去の事件などと照らし合わせ、調査を進めていきます。

でもいざ亡霊に襲われた時や、徐霊・浄霊するときに活躍するのはやっぱり霊能者たち。その仲間たちは坊主、巫女、エクソシストなど様々。肩書きだけ聞くと何だか堅苦しいイメージの人々ですが、実際はもっとくだけた人たちです。



せっかくなので、簡単に主要キャラの紹介もしておきます。


谷山麻衣:
元気いっぱいの明るい性格で、困ってる人を放っておけない、まさに主人公気質の女の子。

ナル:
イケメンな所長。クールでナルシスト。プライドが高く毒舌だけど、心霊現象に関する知識は豊富。

リン:
ナルの片腕的存在。何考えてるか分からない長身で寡黙な中国人。中国呪術を使います。

滝川法生:
長身長髪で陽気なぼーさん。見た目はチャラいけどいざというときはすごく頼りになるみんなの兄貴分。お札や念仏などの法力で徐霊します。

松崎綾子:
ド派手な衣装と化粧をしてる、色々と騒がしいおばさ…お姉さんの巫女。いまいち能力を発揮できないけど、条件さえ揃えばその力は絶大。

ジョン・ブラウン:
悪魔祓いが得意なエクソシスト。なぜか怪しい関西弁をしゃべる、綺麗な顔した外人さん。温厚な性格。聖書や聖水などを使います。

原真砂子:
プライドの高いクールな着物少女。霊を自分に憑依させる、口寄せが出来る霊媒師。


ナルとリンさんはちょっと冷たい感じですが、普段は基本的にみんな仲が良く、キャラクター同士のやりとりもおもしろいです。
麻衣と真砂子はナルを巡って恋のライバル(?)といった関係で最初は仲が悪いですが、様々な事件でピンチの際に助け合ったり、互いの苦悩を理解しあったりしていくうちに仲良くなっていきます。デレた真砂子可愛い!
ちなみに、麻衣とナルは霊能力がないように見えて、実は色々あるんですがネタバレになりそうなのでここでは伏せておきます。



作中では多くの心霊現象や霊能術が出てきます。専門用語とか出てきてちょっと混乱しそうですが、ナルをはじめ専門家の方々が素人である麻衣に説明がてら、視聴者にも詳しく解説してくれるのでその点は心配ないと思います。色々盛りだくさんなので、ホラー好きの方はぜひチェックしてみて下さい!


長々と駄文を書き綴ってしまいました…。ここまで読んで下さった方々、ありがとうございましたm(_ _)m

投稿 : 2024/06/01
♥ : 18

斎 美織 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

夏になり…

アニメから入りました。
夏になり、ホラー系の物が見たいなぁと思い探して見つけました。
原作は小野不由美さん作の『悪霊シリーズ』と言うものです。
後私は学生時代これを視聴したので学校の図書室で
メディアファクトリーから出版された小説と
講談社X文庫ホワイトハートから出版された『悪夢の棲む家』を読みました。

なかよしで漫画化されていたりと、
どちらかと言えば女性向けアニメだと思います。

主人公は女子高生ひょんなことから
自分の通っている学校に幽霊が居るかどうか
調査に来た霊能者たちと関わっていき心霊体験をするというもの。

主な要素はホラー、ギャグ、恋愛です。
心霊体験をしつつ高まる恋心!
けれどその恋も一筋縄じゃ行かないんですよね…
詳しくはネタバレになるので書きませんが
主人公が想い人だと思ってた人は本当は…!
という展開です。

そんなに怖くないだろうと思っていましたが
アニメ18~21話の『血塗られた迷宮』はホラー苦手な人なら
軽くトラウマものかも…というくらいには怖いです。
けれどすっごく怖いのが見たい!って人は
かなり物足りないかも知れません。

ですが、内容は興味深く
心霊現象を機械を使い調査するなんて場面が出てきて
幽霊なんか居ない呪い何て存在しない超能力者は嘘つきだなど
否定するのかな?と思いきや、逆に
科学的に確かに変化が存在し説明しえない何かがある!
と証明して肯定しているのが新鮮でした。
実際主要メンバーの中には特殊な力を持っている人が多数存在します。
そして調査の末怪奇現象の原因は霊の所為だけではなかった!
なんて時も。

キャラクターは個性的で素敵な人が多く
作画も声優さんも申し分ないかと。
物語が進むにつれ出てくる謎、あの人の過去…等々。
キャラクターを好きになれば気になって
続きが見たくなると思われます。
個人的にはとても良作で夏になると何度も見返しています。

個人的な推しメンはリン(本名:林興徐)です!
クールで堅物だと思っていた彼の笑顔や戸惑った顔がたまらない!!!
って人はきっとこの人好きになると思いますよ。

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以下原作宣伝的な書き込みなので興味ない人は読まなくてOKです!


怖いのが見たいという人にはアニメよりも原作をお勧めします。
ただし、『悪霊シリーズ』は主人公視点で話が進んでおり
文章の所々に主人公の心の声などの描写が多くみられ、
好き嫌いの分かれる書き方になっているのでご注意です!
けれどアニメ化されていない部分も是非是非読んでほしいので
秘密などが明らかになる7巻は必見です!
『悪魔の棲む家』は『悪霊シリーズ』と文章の書き方が大幅に変わっており
此方は文章的には問題なく読めると思います。
そして、此方の方が怖いです。ちょっぴりグロ注意。

残念なのは続編が期待できない事です、
『悪魔の棲む家』を読んだファンから作者の方に
私達が思っていたのと違う!などの意見が多く寄せられ
ファンの望む物語は書けないとの事でシリーズが中断してしまいました。
私としてはリンというキャラが推しメンなのですが…
彼余り出番がないので、これから続けば出番が有るかも!
と思っていたのでとても残念です。

文句をいう人も居るみたいですが私としては
とても素敵で大好きな作品の一つです。
皆さんも宜しければご視聴ください!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3

ねるる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

見逃してたら勿体ない!原作:小野不由美の本格的ミステリーホラー作品!

『十二国記』『屍鬼』で有名な小野不由美の小説原作。
原作未読。全25話。2006年放送。

心霊現象調査事務所「渋谷サイキック・リサーチ(SPR)」の仲間たちと、依頼人から持ち込まれた心霊現象を解明していく物語。

依頼事にFile分けされており、8つの事件を解明していきますが、後半に描かれる事件ほど段々にホラー度サスペンス度が増していきます。File7「血塗られた迷宮」とFile8「呪われた家」は本格的に怖かった。夜中に見ると本気でゾッとします。
12話以降のストーリーは特に続きが気になる展開が多く、夢中になって視聴しました。とっても面白かったです。

ゴーストハンターというタイトルですが、イメージ的に子供向けの妖怪退治の話かなーと思ってたけど、これは子供が見たらトラウマになるレベルのホラーさです。
怨念、祟り、呪い等、日本ならではの薄気味悪さ、じっとりとした怖さを見事に表現していて、ご都合主義ハッピーエンドではなく、後味が悪く謎が残ったままなのもTheジャパニーズホラーって感じで非常に良かった。
お坊さん、巫女さん、エクソシスト、霊能者などが出てきますが、日本の伝承や退魔法、霊的な現象に対する科学的な話までひろーく知識をつけてくれるような解説シーンがちゃんとあるのも楽しめたポイントでした。面白かった。

この作品の魅力は音楽にもあります。OPとEDも独特の恐怖感を煽るような曲、そして作中の怖さを倍増させるBGM、効果音。絶妙で怖かった。より作品に没頭する音楽でした。素晴らしい。

キャラについて、ヒロインはちょっとウザったい時もあったけど、頼りになるかっこいいお坊さんがいたので全部チャラになりました。ぼーさんかっこよすぎた。後半に出てくる安原くんも頼りなるし頭がいい立ち回りするからとっても好き。
作中で1番顔がいいと言われてモテてたナルの良さはイマイチ分からなかったな。

2006年放送の古い作品ですが、今見ても見劣りしなき紛うことなき名作でした。とっても面白かった。前半軌道に乗るまでちょっと時間かかりますが、後半からの物語はとってもオススメです。ホラー作品サスペンス作品好きな方にはぜひ見て欲しい。ジャパニーズホラー好きな方オススメです!

投稿 : 2024/06/01
♥ : 12

53.4 10 ミステリーでサスペンスなアニメランキング10位
DRAMAtical Murder(TVアニメ動画)

2014年夏アニメ
★★★☆☆ 3.0 (171)
917人が棚に入れました
主人公・蒼葉は、日本列島の南西に位置する碧島で、ジャンクショップでアルバイトをしながら、祖母のタエと2人で暮らしていた。島では肉弾戦での縄張り争いを繰り広げる「リブスティーズ」、仮想空間でバトルを行う電脳オンラインゲーム「ライム」が流行していた。蒼葉はそのどちらにも参加せず、日々を過ごしていたが、ある日、突然に強制的にライムバトルに引きずり込まれてしまうのだった――。

声優・キャラクター
私市淳、高橋広樹、日野聡、松田健一郎、中澤まさとも、竹内良太、高橋研二、間島淳司、樋口智透

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

不思議(ヘンな)色と音の世界(-"-)

終わっちゃいました。。ナンだったんだろ、このアニメ?
色も音も服も話もヘンです;
どこが面白いのか、こんなにはっきりしないのも珍しいですね!
つまりは面白くなかった、とゆーことになるのでしょうか。。

*以下にも騒ぎましたが、ノイズだけ、めっちゃハマりました。
彼の不思議な魅力(総キャラ不思議ちゃんですが;)は、私の好みにぴったりだったのでしょう。
私がノイズの回にだけハマったよーに、みなさんも、自分の好きなタイプのキャラの回だけハマることもあるかもしれませんね。。なので、キャラのみ★3.5にしとこ~
あとは評価したくありませんので、3.0です。

意外と男性に高評価の方がいらっしゃるので、今までにないSFとして観れば、確かに価値のあるアニメなのかもしれません。
本来持つべき期待をし過ぎると、肩透かしを食らうとゆーワケですか(-"-)
。。以上です。

**********************************
8話目にしてモエ~3
ノイズがあんまりカワユイので、2度観てしまいまちた。。

ちなみに7話目から、EDは個別のキャラソンに。
7話は紅雀のエピソードで、EDは紅雀でした(モエなかったけど)。
ノイズ萌えの今回、8話のエピソードとEDは、もちろんノイズ。
つー事は、来週は誰のエピソードになるのかな~?

相変わらず、ちっともBL色は無いんだけど、各キャラの攻略ルートを薄っすら踏襲し始めたみたい。
ノイズ、あんまりカワイイから、ゲームやりたくなっちゃうよ~;
ゲームのノイズはもっとカワユクて、かなり大胆らしいです。。

*********************************

過激なBLゲームで名高い、Nitro+CHiRALから発売されたゲーム原作。
前作「咎狗の血」が、ほとんど色味の無いモノクロの世界であったのと一転し、目がチカ☆チカ☆するほどカラフリャ~☆
登場人物達のファッションも、奇抜というか懐かしいというか。。とにかく何だか不思議な絵なのです。

7話まで視聴しておりますが、正直、全く面白くありません。
イケメン揃いなのに、変な色と服(言っちゃった!)せいか、ちっとも萌えません。
原作ゲームはかなり過激なBLっぽいのに、ちっともエロくもありません。
前作アニメ「咎狗」の方が、ストーリーはずうっと面白いし、ところどころエロめかしくて、モエモエします。
ただ、このアニメの不思議な色彩と画、脳内から酔いそうなOPの音に、ついつい惹き込まれてしまうのです。
飼い主を見つめるニャンコのような、主人公アオバの瞳にも、吸い込まれてしまいそうになりますね。。ちょっと怖いけど;

面白い、面白くないで判断するアニメじゃないのかもしれません。
じゃあ、どうやって評価すればいいのかな?
。。分かんな~い。
全部観てから★つけてみマス(^_^);

興味ある方、一緒に観てみましょ♪

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

境界線の観測者 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

ぱっとしない、色々と惜しい作品

日本列島の南西に位置する碧島。

島では肉弾戦での縄張り争いを繰り広げる「リブスティーズ」
仮想世界を舞台にした電脳オンラインゲーム「ライム」が流行していた。

巻き込まれ系主人公のSFアクション、サスペンス。

設定や世界観は丁寧に作られているのが伺える。
しかし残念ながらそれを伝えることが出来ていなかった。

全体的にテンポがよくない。
続きを見せるための引きが弱く、続きが気になる様に作られていない。

ストーリーの事件をきっかけに
キャラクター同士の関係性を描いているがこれはまぁ普通。
普通に良い話だし心理的な描写もそこそこましなでき。

アクションシーンはだめだめ。
正直、電脳空間の戦闘描写はもっと頑張ってほしかった。
心理世界の描写はまぁそこそここんなもんかなって感じ。

全体的に地味、ぱっとしない。
下の中、アニメ作品としてはそんな印象を受ける。
できそこないだけど、見るのを辞めるほど話は破城していない非常に困る作品。

機会があってもみるのはお勧めできないが
どうしても見たいのなら止めはしないといった作品だ。



自分用メモ

第1話 Data_01_Login
{netabare}
主人公、世界観の説明に終始。

神隠し、デスゲームですね、はい。

期待ができる「におい」がしない一話だ。
{/netabare}
第2話 Data_02_Crack
{netabare}
チーターかよ

神経の通っている髪
{/netabare}
第3話 Data_03_Presage
{netabare}
最強ばあちゃん

まさかのキス 

ヒロインはばあちゃん
{/netabare}
第4話 Data_04_Disappearance
{netabare}
完璧な幸福
{/netabare}
第5話 Data_05_Error
{netabare}
主人公の秘密はいかなるものか?

暴力がやめてください ⇒ おっ、おう。
{/netabare}
第6話 Data_06_Revelation
{netabare}
ボスが中盤くらいで明らかになる展開はすき

ばあちゃんはいいおんな

軽く伏線があった [スクラップ] 地味に丁寧な作り 
{/netabare}
第7話 Data_07_Distance
{netabare}
俺の未完の最高傑作

精神世界に土足で踏み込む
{/netabare}
第8話 Data_08_Reply
{netabare}
時給の良いバイトでもやってんのか?

たこやき、クレープ、揚げドーナッツ

血が綺麗に落ちている

もうがんばらなくていい?
      ⇒ はい
        いいえ

認めろよ、おれのことを(迫真)
{/netabare}
第9話 Data_09_Echt
{netabare}
クリアの素顔 突然歌うよ 子守歌

クラゲも眠ると、夢を見るんでしょうか?
{/netabare}
第10話 Data_10_Faith
{netabare}
一人で抱え込むなよ

だめだなぁ 想像力は大切だ

こんなところに居やがったのか!! ⇒ なんだこいつ!? ⇒ ぞろぞろ

もうひとりのぼく
{/netabare}
第11話 Data_11_Fixer
{netabare}
僕はもう限界なんだ

双子の兄さんだよ?

毎回これくらい動けばよかったのに
{/netabare}
第12話 Data_12_Dawn
{netabare}
ここまできて個別回か
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

夜。 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ばーちゃん以外の女性キャラは面白い程出てこないw。

乙女向けBL系アダルトゲーム原作
脳内クラッシャーアドベンチャーアニメ。

未来の日本列島の南西に位置する碧島(どりじま)は
東江財閥有する富裕層「プラチナ・ジェイル」と
強引な開発の犠牲となった碧島原住民の街「旧住民区」に二分されている

旧住民区の若者たちの間では
肉弾戦での縄張り争いを繰り広げる「リブスティーズ」と
仮想世界を舞台にした電脳オンラインゲーム「ライム」が流行していた

主人公・蒼葉(あおば)その旧住民区にあるジャンクショップ「平凡」での
アルバイトに日々を費やし祖母のタエと二人で暮らしていた
しかし…そんな蒼葉の平穏な日々を揺るがす様々な異変は
確実に起こりはじめる。

*ゲームは未ロードな為…
 本編ストーリーを理解しておらずアニメを観ただけの感想。

暴露(スクラップ)という特殊能力を持つ主人公・蒼葉(あおば)は
自らの能力に関する謎と東江の思惑に立ち向かいながら
友人達や自分自身のトラウマ等を一緒に解決していく


BL的描写は無く普通のアニメとして見ることができる

仮想空間内での描写は音楽も描写も綺麗
登場人物達は乙女達のキャラ萌えを刺激するイケメン達ばかりで
ばーちゃん以外の女性キャラは面白い程出てこないw

元々はBLゲームである話の
SFちっくな精神世界を描く部分だけを用いて
何とか"TV向け"アニメに仕上げ
物語として見せたかったであろう事は理解できるものの
その内容が終盤になるにつれて凄くグダグダになっていく

話の設定自体はそこそこ充実していたので
もっと話をちゃんと作り込んでからアニメとして見せてほしかった

うーむ…残念としか言いようがなかった。


【memo】

《SLIP ON THE PUMPS》
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23961591

作詞:GOATBED
作曲:GOATBED

In the empty space
I go with the flow

高揚 知って射る前提の触れる目に放つような光彩
そうやって藻掻いた挙げ句 秒針で先送る SLIP ON…

Swing The Heartache
From the inside

牽制しあうこの間合いで頷いた
Climax=? Intercourse
順応的合成 万端に秒刻み
Cry heart=# Forever

Fantastic Sentence
Wonderful waiting
Stare into the void
Drifting Drowning Drone

君吸う空想譚 目眩く淡い憂いと走らせ
罪打つ雨に噎せ返る無意 魅入る手合いは 心なく愛しい痛みの最中

再三 賭した心情の闇まるで不確かな往来
どうやっても此処でまた果たし合う沸き起こる SLIP ON…

PULSE-RAIN-IMAGE-COLOR

Runabout run Clap your head
延々問う色付く胸は言うまでもなく

Bound round run Slap my hand
漫然たる夢にあぶれて形骸化した純情という可憐

Actual feel so fool
Peel a boy so good

投稿 : 2024/06/01
♥ : 6

62.4 11 ミステリーでサスペンスなアニメランキング11位
バチカン奇跡調査官(TVアニメ動画)

2017年夏アニメ
★★★★☆ 3.1 (189)
822人が棚に入れました
美貌の天才科学者にして真理究明の申し子・平賀と古文書・暗号解読のエキスパート・ロベルトという若き天才神父コンビが、バチカンに寄せられる奇跡の申告を調査し真偽を確かめる“奇跡調査官”として、 世界中の謎や事件に挑みます!

声優・キャラクター
岡本信彦、諏訪部順一、江原正士、斉藤壮馬、遊佐浩二、安元洋貴、代永翼

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

実名と仮名

【未評価】
*少し書き足し

奇跡の判定を行うバチカンの奇跡調査官が、奇跡の謎と、これに関連して発生する怪事件の謎に同時に挑むミステリー。

原作については知らないが、アニメの視聴中ずっと違和感が付きまとって離れないのは、「バチカン」という実名を使用する意図が不明であるからのようだ。

別にカトリック教徒というわけではないが、そんな「素人」から見ても、登場する探偵や容疑者を含めた「聖職者」の、神や教義に対する真剣味の無さというか、信仰への揺らぎ方は、いかにも無宗教者が外部から想像して描いているような適当さが感じられ、本物の聖職者が視聴したら相当に違和感があるだろうと想像させる。

原作小説は発行されてから結構たっているようだが、カトリックのしかるべき機関から抗議がきていないとしたら、本物の聖職者は、無知という罪を赦す寛恕の精神を持っていることを示しているのかもしれない。

本作もまた、お約束通り「本作はフィクションであり、実在する人物、団体には無関係」といった言い訳が添付され、要するに「架空の」バチカンであるという予防線は貼ってあるのだが、それならば、わざわざ実在の宗教組織名を使用する理由は何処にあるのか。

奇跡と怪事件の謎を解くミステリーは、別に架空の「オカルト専門の探偵社」であっても一向に差し支えは無い。
不可能状況での謎や犯罪は本格ミステリでは定番であるが、別に宗教や奇跡と結びつけられているわけではない。
本作でも、一見不可能な「奇跡」や「謎」は論理的な解釈が展開されるものの、ストーリーの中で教義や宗教や信仰と特に結びつくことなく、言ってみれば「謎解き」はただの論理ゲームとして浮いていて、ストーリーとつながっていない。

われわれ「素人」は、つい「宗教」と「迷信」を混同してしまいがちになるものだ。
むしろ、迷信じみた奇跡など「無しで」神の愛を信じることが正しい信仰の姿で、「奇跡」がある「から」神を信じる信仰は異端的と退けるのがカトリック教会であるように思えるのだが、本作の「奇跡」と「信仰」の間の緊張感の無さは、製作者までもが素人考えでカトリックと迷信を区別していないように見える。

要するに、仮名の「探偵社」で十分であるのに、実名の「バチカン」をもってきているために視聴に齟齬が生じているのだ。

視聴していて描写に違和感を感じるたびに、「ああ、『実在するバチカン』とは無関係だった」とイチイチ思い出すことによって、視聴のリズムが大きく乱れてしまう。
必要があるとは思えない「実名」によって、不必要に視聴が途切れてしまう事になる。


似たような齟齬は、第1エピソードで、舞台となる修道院が、アメリカ南部と説明されていながら、「第二次大戦で荒廃」し、「被災した」戦災孤児を連れた神父が再興した、とサラッと流してしまう描写にも現れている。

再生を一時停止して考え込めば、「ああ、ヨーロパで出会った戦災孤児を連れた神父が、アメリカに転任してきたのか(そういえばアメリカなのに全員ラテン名だ)な」と思いつく。
が、考えなければ思いつかない雑な描写は、製作者は疑問に思うような視聴者を想定していない、あるいは、製作者自身が「アメリカ本土が戦禍を受け、ラテン名の戦災孤児が発生した」第二次世界大戦を、おかしいと感じていないことを示しているのではないか。

これもまた、不自然な「実名」の導入が無ければ生じない齟齬の一つだ。


こうした齟齬をあげつらうのは、「現実とは違う」と揚げ足取りをしたいからではない。

謎解きものを観るときには、トリックの手がかりと伏線を探して、不自然な描写や齟齬のある描写が無いか注意して視聴することになるからだ。

だが、そこに上述してきたような描写が混じると、推理のヒントなのか、単なる不手際なのか混乱して、視聴のリズムが大きく乱されて集中できなくなってしまう。

最初、「聖職者」の「現実的でない」信仰態度は、「カトリックの名をかたったカルト」という真相を暗示するヒントではないかと疑ってしまったし、教会の場所の描写は、犯行場所を偽装する一種の叙述トリックかと疑った。

「仮名」であれば、これらの混乱は存在しなくなる。
「手掛かり」だけが残って、視聴に集中できるのに。


通常であれば、「実名」はフィクションに厚みを持たせることを期待して、持ち込まれるものだろう。
が、本作においては逆方向の効果しか発揮していないようだ。


ところで、原作小説に似たタイトルの、『奇跡審問官アーサー』という小説がある。(刊行はこちらが先だったと思う)
こちらは、謎、推理、トリック、信仰、奇跡が、全て有機的に絡まりあった本格探偵小説で、最初、この小説のアニメ化と勘違いして本作を見始めたのだが、似ているのはタイトルだけだったようだ。

もしも本作がヒットしたら、「柳の下の泥鰌」あつかいで構わないので、『アーサー』のアニメ化をしてほしい。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 8
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

それは、奇跡か呪いか犯罪か。

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
掲載誌からいって、ジャンルはミステリーホラーかな。(私はホラー苦手ですが)ホラー要素は大して怖くなく、ミステリーの要素が強かったです。

ミステリーとしては中の下ですが、まあ、あまり頭を使わなければ、なんとなく雰囲気でやや漠然とほんのり楽しめましたよw

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
天使のような~ 悪魔の笑顔~ この街(世界)に あふれて~いるよ~♪ 挫けそうでも~ 迷いそうでも~ 見つけ出す 必ず 本当の 心(奇跡)を~♪」by 近藤真彦 ミッドナイトシャッフル

っていうアニメです(笑)

奇跡を信じるからこそ、偽奇跡の真実を暴くっていう設定は面白かったかな。ロベルトも平賀も基本は司祭なので、「もしかして本当に奇跡か?」と思っているのは新しかったかな~と。

ミステリーのキモともいえるトリックでしたが、まあ、可もなく不可もなく。

大抵が、謎解きの段階で肩透かしをくらう。一応科学的な根拠を提示してくれますが、それが若干こじつけくさいというか、10回チャレンジしたら1回くらい成功しそうなことが都合よく毎回成功している感じがした。

最後の12話は、特によくわからなかった。いや、作品全体の中ではメチャクチャ重要なエピソードかもしれないけど、如何せん唐突に始まり、唐突に終わったので、視聴後に、頭の上に??????が浮かんでいる状態だった。

最終回の存在意義が、ある意味で一番のミステリーでした(苦笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
キリスト教の世界観をを下敷きにした、ミステリーホラー? なのに、1話の中で解決までもっていけないのは、ここで切られる恐れがありますよ~。

2話目
なんかこう、奇跡が安っぽいかな。

3話目
マリオの件、ジェームズを都合のよい目撃者に仕立てるのは良いとして、マリオが血管症と部分的な記憶障害を引き起こすというのは計算できないわけだから、普通に証言されていればアウトだったわけで。ご都合主義だな~。都合良く証言者が現れるとかw

4話目
ナチスを絡めてくるのね~。証拠ごと燃やすという暴挙&危うく大量殺人w 硫酸かけるくらいなら、普通に銃殺で良かったのでは?

5話目
1000の願いって、例えば、「コップを左に動かして」「コップを右に動かして」って、1000回繰り返したら良いだけじゃない?

6話目
洞窟の中の覆面男、手が白人ってだけで、容疑者が二択になるんじゃ?

7話目
ビックリするから、いきなり叫ばないでほしいw ヘビの毒による幻覚ってこと? 毒蛇に噛まれた場合、口で吸い出すと、感染症のリスクが増したり、幹部への刺激によって血の巡りが早くなり、逆に毒が回ります。犯罪者の予言は、自作自演がデフォ。

8話目
仲違いという、トラップ。予言はこじつけ、というデフォ。ミステリーで、「未知の」を出したら、負け。やや、腐臭。

9話目
首を深く切られたのに、悲鳴って上げられるのかな。

10話目
ふーむ。

11話目
コカインって。吸ったことがないからwよく分からんが、そんな少量でみんなが都合よく幻覚見るようなものなのか?

12話目
急に作画良いけど(笑) よく分からない最終回だな。これが初回でも納得がいく。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 19

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

世界中から寄せられる「奇跡」を調査し真偽を判別するのがバチカンに所属する「奇跡調査官」の務め…

この作品の原作は未読です。
作品から漂ってくいるミステリーに惹かれたせいか、毎回「あまり華がないなぁ…」と思いながらも視聴を続け、気付いたら完走していた作品でした。

この作品の主人公は、日系アメリカ人の神父である平賀・ヨゼフ・庚とイタリア人の神父であるロベルト・ニコラスの二人…
二人は、キリスト教の聖地であるバチカン市国に世界中から寄せられる「奇跡」の申告を厳正に調査し、その真偽を判別する機関に所属している「奇跡調査官」です。

私の身の回りでこれまで見聞きしたことのない奇跡…
もちろん、人の範疇から大きく逸脱するような奇跡を見る事はそう無いのだと思います。
ですが、世界規模に対象を拡大していくと奇跡は決して人から遠い存在ではないようです。
もしかしたら、私たちが気付かないだけで奇跡は常に人に寄り添っているのかもしれない…
出会いと別れ…そして今自分がここに居る事自体が紡がれた奇跡の証なのかもしれない…
そんな風に考えながら視聴を続けていたら結構面白さを感じながら視聴できた様に思います。

真実を暴いていく…その対象が奇跡だったのも気持ち的に良かったのだと思います。
でも、視聴していて分からなかったのが1点…
奇跡を申請して仮に真の軌跡と認定されたとして…それが一体何に繋がるのでしょうか。

奇跡が宿るのは人…モノ…その器は様々だと思います。
例えば、とある教会の女神が血の涙を流すという奇跡が認定されたとして…何がどう変わるのでしょうか。
信者が増える…?
でも奇跡と信じる心は異なる存在…
奇跡の有る無しに関わらず熱心なキリスト教徒はたくさんおられるでしょうから…
奇跡で信者を増やそうと考える事こそ神への冒涜の様な気がしてなりません。

それとも他より、人より「特別」である事を望むから…?
そもそも人は特別な存在なのではないでしょうか。
もちろん、人は万人に対して特別ではありません。
ですが、例えば自分の最愛の人は唯一無二の特別な存在にほかなりません。
それが誰であっても、誰がどう思われたとしても自分の唯一無二は不変だと思えるから…

そもそも内容によっては他人に土足で入って貰いたくない奇跡だってあると思います。
だからこの点には謎が残りましたが、他は総じて面白さを感じられる作品でした。

でもこの作品を視聴して一つ思った事…
「奇跡」を隠れ蓑にして人としてあるまじき行動を取ったり、
間違いや罪を「奇跡」に擦り付けては絶対ダメだということ…
これは当たり前の事です。
でもそんな事すら判断できなくなるような奇跡が起きたら…
そう考えると奇跡って怖いものなのかもしれませんね。

この作品で綴られる数々の軌跡…
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、SCREEN modeさんの「MYSTERIUM」
エンディングテーマは、岡本信彦さんの「サクラメント」

1クール12話の物語でした。
先に記載しましたが華はあまりありません。
ですが、ミステリージャンルが好きな方なら楽しめる作品だと思いました。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 10

61.9 12 ミステリーでサスペンスなアニメランキング12位
人形草紙あやつり左近(TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (37)
186人が棚に入れました
『人形草紙あやつり左近』(からくりぞうし あやつりさこん)は、週刊少年ジャンプで、1995年-1996年まで、連載された写楽麿原作、小畑健作画による推理少年漫画、アニメはWOWOWにて放映。人形遣い・橘左近は、人間国宝の文楽人形師・橘左衛門の孫。 彼は様々な事件に幾度も遭遇する事となる。「人形遣いは人間遣い 腹話術は読心術 真似るのは声色だけでなくその内なる声。祖父から教わったその言葉を胸に、左近は、相棒の童人形・右近と共に事件を解き明かしてゆく…。

声優・キャラクター
緒方恵美、くまいもとこ、山田美穂

エミ(エミタク) さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

お粗末・・・

人形使いの橘左近が右近って名前のカラクリと一緒に
事件を解決していくサスペンスもの。

大体3~4話で一つのサスペンスが終わるんだけど
時間をかけてるわりには内容がお粗末・・・
どの話もすぐ犯人が予想できます。
トリックも結末までには想像できます。
(子供向けにわざと簡単に作っているのかも?)

よって最後までハラハラしたい人向けのサスペンスではありませんが、頭を使わず軽い気持ちで推理を楽しみたい人にはむいているかも^^

サスペンスものなら名探偵コナンの方が出来はいいです。

ちなみにこのアニメで一番初めに殺される人の役をしているのはなんと中井和哉さんですwww

投稿 : 2024/06/01
♥ : 3

のらのら さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

昔見たからおぼろげ


 映像と音楽はきれいで好きでした!
 妖しい雰囲気とかいいと思います。

 原作と比べ違和感はそんなに感じなかったと思います:)
 あ、音楽ロックなところが意表をついててびっくりしましたがすごく合っていたと思います!

投稿 : 2024/06/01
♥ :

jack さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

名探偵呪い人形アニメ

呪い人形ってローゼンが浮かぶけど、こっちも名作だよね。
原作も漫画で読んだ。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 1

75.9 13 ミステリーでサスペンスなアニメランキング13位
ハッピーシュガーライフ(TVアニメ動画)

2018年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (527)
1963人が棚に入れました
松坂さとうには、好きな人がいます。その人と触れ合うと、とても甘い気持ちになるのです。きっとこれが「愛」なのね。彼女はそう思いました。この想いを守るためなら、どんなことも許される。騙しても犯しても奪っても殺してもいいと思うの。戦慄の純愛サイコホラー。

声優・キャラクター
花澤香菜、久野美咲、花守ゆみり、花江夏樹、洲崎綾、石川界人、井上喜久子
ネタバレ

東アジア親日武装戦線 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

にがみのエッセンスが醸し出す「フロイト」的な世界観が気に入った!!

作品概要
▼原作:月刊ガンガンJOKER(スクウェア・エニックス)
▼原作者:鍵空とみやき
▼アニメーション制作:Ezo'la(ディオメディア)
▼話数:全12話{netabare}
▼総監督:草川啓造(ディオメディア)
・実績
(監督)
『魔法少女リリカルなのはA's以後のシリーズ』『迷い猫オーバーラン!』『ロウきゅーぶ!』『艦隊これくしょん』『風夏』『アホガール』他
▼監督:長山延好
・実績
(監督)
僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件
▼シリーズ構成:待田堂子
・実績
(シリーズ構成)
『らき☆すた 』『ティアーズ・トゥ・ティアラ』『おおかみかくし』『THE IDOLM@STER』『Wake Up, Girls!』
『ロクでなし魔術講師と禁忌教典』『はるかなレシーブ』他多数
▼キャラクターデザイン:安田祥子
・実績
(キャラクターデザイン)
『銃皇無尽のファフニール』『sin 七つの大罪』『僕の彼女がマジメ過ぎるしょびっちな件』
▼音楽関係
音楽:亀山耕一郎
OP曲:「ワンルームシュガーライフ」(ナナヲアカリ)
ED曲:「SWEET HURT」(ReoNa)
挿入歌:「カナリア」(ReoNa)第9話
▼キャスト
【声優】項へ{/netabare}

原作未読
リアルタイム視聴済

☆エピローグ
普通のアニメは見飽きたぜ!糖質サイコホラーはドツボだ。
清々しいほどのバッドエンドや、スクイズやヨスガが大好物な私にとって、やっぱねーっ!これぐらいサイコパスで頭逝ってる作品がないとアニメはつまんねぇw
王道や名作、勧善懲悪ばかりじゃ肩が凝るもんね。
本作は世界線やら異世界やらと物理学分野のSFフアンタジー全盛なトレンドに対し、精神医学を世界観の基軸に据えた稀有な作品だ。
したがって、擬似リアリズムであっても、健常な精神感覚では一切のカタルシスを承認しない作品である。

異常心理に興味があったり、最近では『フリップフラッパーズ』を理解できる方々には面白いかも。
本作はストーリーが安定しているから分かり易い。
『ガリナン』もだが、アホアニメ制作会社の評価が定着して社会的には評価が厳しいディオメディアだが、たまに私のツボに入る作品を出すから、目を離せないw

主要キャラでマトモなのは「しょうこ」だけ。
他のキャラは悪い意味で個性が凄まじく、心の闇という健常と異常の行き交う「境界線」の想像どころではなく、真性の「精神病疾患者」であり、ペドフィリア、エフェボフィリア、パラノイア、火病、発達障害etc全員閉鎖病棟の患者でも不思議ではないような連中が繰り広げる異常人格者による基地外純愛群像劇(草)
共感できるキャラが見事に誰もいない稀有な作品ゆえに、様々な矛盾も精神異常が織りなす現象と見ているので許容の範囲であり、作中何が起こっても感情移入が生じることなく、エンタメとして割り切り楽しむことができた☆

タイトルの「フロイト」は精神医学の始祖。
世界的な心理学者「ユング」や「アドラー」の師匠でもある。
原作者はフロイト入門書の『精神分析入門』や『夢判断』を読んでいるな。
フロイトを読むと、読んだ側も精神をやれかねない危険物。
本作も視聴すると、そうなる方向性で演出されている。
異常心理の描写が精神医学的に考察されて「超自我」のメッセージがしっかりプロットされている。
さすがに1クールで精神医学界の巨匠フロイト的世界観を表現するのは厳しいのだが、そこに挑戦したことは評価されよう。
精神分析学的視点に立った考察はメンドクサイし、レビュー読まれる方々の気分を害するからしない。(いや、でも、気が向いたら追記をするかもw)
キャラ設定のベースがフロイト的価値観だから、基地外とは何かを問うているのと同様で、そりゃ陰鬱な世界観にもなるな。

とにかく可愛いOPや絵柄に騙されてはいけない。
マトモな神経では視聴できない作品だから、そこは覚悟した方がいいデス。はい。

それにしてもジエンコって『serial experiments lain』以来、この手の一風変わった作品のプロデュースが好きなんだな。
提供にバップもあったが、ジエンコ+バップ、あーあれか!w

ところで、最近ディオメディアはいろんな名義を使っているね。
「doA」に続いて今度は「絵空」か。
『BEATLESS』は綱渡りだったし、万策(略)に備えて、リスク分散でもしているのか?

【音楽】
OP曲はとてもインパクトがあり癖になる電波ソングだ。
不詳私、DLをいたしました。
OPの作画と楽曲『ワンルームシュガーライフ』で本作の世界観をしっかり視聴者に伝えた(伝わったかは別にして)好演出だ。
ED曲『SWEET HURT』は『GGO』の神崎エルザの曲を歌ったReoNa。
彼女のなんとも言えない切ない声質が、本作の無情で悲惨な末路を暗揄していてなかなか良い。これもDL。
EDの作画は折しも同じ精神異常系の『フリップフラッパーズ』と同様の演出。
「さとう」と「しお」が抱えている闇と二人の関係性を1分30秒でしっかりと表現している。
{netabare}「さとう」の幼少期から現在の描写、そこに「しお」が現れて、二人で城に向かって歩く。
ハッピーシュガーライフの描写と、スキップしながら城から旅立ち、二人で躓いたところで「さとう」が消える(さとうの死)でも「しお」の心には「さとう」が生きている、とこんな感じでEDはこの物語の顛末を分かり易い暗喩で演出している点は視聴者に優しい。{/netabare}
{netabare}しょうこが殺される{/netabare}9話の挿入歌『カナリア』も歌詞に込められたメッセージがそのシーンの演出にしっかりと映えていて良い曲だ。

{netabare}本作、9話は「しょうこ」の恋もあり内容が濃く相当の字数が必要だが、割愛して、挿入歌まで用意された「しょうこ(小鳥)」は本作にとって、さとちゃんの狂気を強調する意味でも重要なキャラだったし、彼女の存在が無ければ、ただの基地外ドラマで終わったな。
(7話の展開が殺される伏線だが)さとちゃんと向き合うタイミングを逸したとはいえ、幼女を「彼氏」として拉致しているさとちゃんの素顔を知った「しょうこ」がとった選択は極めて常識的だが、基地外相手には通じず、理不尽な結果となったが{/netabare}共感シーンが皆無な本作にとって唯一の救いだった。

【物語とキャラ】
キャラは本作一番の問題提議点だろう。
{netabare}よくもまー、あるゆるタイプの基地外を設定したものだと感心した。
しかし、「さとう」の叔母と「しお」を除き他のキャラのサイコパスの根源は抑圧され無意識下に封印された記憶、いわゆる「トラウマ」だ。
「さとう」、「太陽」、「あさひ」は過去エピソードの描写があるから分かり易いだろう。
今では「トラウマ」という言葉は普通に用いられるが、その概念を提唱したのがフロイトだ。{/netabare}
現在フロイトの【精神分析学】はポパーの科学定義にぶった斬られて【非科学】とされているが、なお、その研究は医学のほか哲学としても各方面に多大な影響を与えている。
因みに「トラウマ」と似た概念で「PTSD」があるが、こちら医学的な診断名、つまり科学。
医学的なフレームで論じるのが「PTSD」であると理解したらいいだろう。
そして、この三者の異常行動は明確に「PTSD」である。
「さとう」叔母は「トラウマ」の過去描写がないので、その異常性の因果関係は判別しないが、他人への関与が異常な博愛が動機である点から、所謂「離人性人格障害」であることは確かだろう。
{netabare}「しお」は年齢的に幼くまで認知能力が完成されてはいなから、母親との関係や「さとう」の死をきっかけとし「PTSD」を発症するのは想定内だろうし、「さとう」の狂気の正統後継者となるだろう。{/netabare}
基地外の成長物語を望むか望まないかは視聴者しだい。私は(怖いもの見たさで)今後も観察してみたいものだが。

以上、キャラの性格設定を多少考察したが、個人的に気になっているのはネーミング。
ここ突っ込んだレビューが少ないだよね。
物語と主人公とヒロイン?他女の子キャラのファーストネームの関係だが、「さとう」と「しお」。
これは、第三者視点で物語を俯瞰したときに醸される、二人のイメージなんだろう。
{netabare}さとちゃんの心が至福に満たせるときは「あまーい」、ストレスを感じたら「にがーい」と味覚で心理描写をしているのも本作の特徴だ。
これは丁度可知差異(物理学用語)が「フェヒナーの法則」による感覚量でも定式化されており、物理でメシを食っている私の心を擽った直喩だ。
「しお」の存在を「さとちゃん」から見た場合は「あまーい砂糖」だが、第三者視点ではさとちゃんに試練を与える文字通りの【塩】な存在。
自らの「あまーい生活」を守るためにさとちゃんは、せっせとバイトで生活費を稼ぎ、脅迫、傷害、詐欺、挙句の果てには殺人までやってのけた。
ある意味、これほどの純愛ドラマはスクイズ以来かもね。
これが、「しお」が【塩】である所以である。

そして「さとちゃん」の光に立候補し、人の道に戻そうとした「しょうこ」は「胡椒」の捩りで、そのお節介は、さとちゃんにとっては「辛い」味覚、はた迷惑で排除すべき存在として描かれているのではないのだろうか。{/netabare}

次に、苗字についてだが、「神戸」と「飛騨(飛騨しょうこ)」に共通するのは高級和牛ブランド。
さとちゃんの苗字「松坂」を「松阪」とすると、やはり高級和牛だが、これは作者の誤字なのかな?
他にサブキャラの宮崎すみれ、但馬みとりも高級和牛ブランド。
本作と高級和牛の相関関係は謎だが、キャラネーミングには法則があるようだね。

で、本作のキャラ設定だが、精神疾患と異常心理の掘り下げに作者の知識の限界からか詰めの甘さが残るが、これだけの基地外キャラをクリエイトし、物語をプロットした点は評価されよう。

{netabare}最終回はオリジナル展開だが、さとちゃんを「あさひ」に殺させ、それでも「しお」に切られ、自殺を図る展開も悪くないと思ったが、さとちゃんを死なせて、「しお」を生き残らせ、「あさひ」を切った展開は前述のとおり、{/netabare}これからの「しお」の異常人格発揮を十分妄想できる余韻を残した意味でも評価できる。

あと「しお」の失踪だが、{netabare}物語の通り捨て子であっても「しお」は小学生だ。
失踪すれば、社会的に何らかにリアクションがあるはずだが「あさひ」が述べたように警察で相手にされないのは不自然すぎる。{/netabare}
欠席が続けば「しお」の担任教師が家庭訪問をするし、親に不審な点があれば、児相とも連絡を取り合い世間にバレるはず。
その過程で事件性があれば警察が動くが、事件性はないとする裏設定でもあるのかな。
「しお」の境遇を考えると、無戸籍である可能性もあるが、視聴者が納得できる線で簡単にでも触れておくべきだったろう。

【作画】
全般的にディオメディアクオリティであり、動かす場面も少ないから、ボロも出ず可もなく不可もなくといったところだが、シャドーの用い方、基地外の表情など、サイコホラーとしての演出は頑張っていたと思う。
ただし、9話は{netabare}本作の神回であるにもかかわらず、作画が演出についていけていない。
挿入歌とナレーションを背景にCVを入れずに「さとう」と「しょうこ」の葛藤シーンが描かれた。
前述したとおり、演出は素晴らしかった反面「しょうこ」の表情が「棒」であり、迫力が全く伝わってこなかった。
基地外表現の作画に手一杯で、健常者の必死の訴えの表情演技まで手が及ばなかったようだ。
CVなしで映像表現のみを用いて視聴者へ訴えるのは、自信と相当の作画センスが要求される。
試しに、スクイズとの見比べで「誠」殺害後の「言葉」と「世界」の葛藤シーンを音声なしで視ると分かるが、迫力が全然違う。
ディオメディアの作画センスの限界が、この素晴らしい演出を削いでしまったと思うと残念でならない。

ただ、小鳥の演出を含めてだが「さとう」が文化包丁を「しょうこ」の首に突き刺し殺す描写は、頸動脈からの血飛沫には違和感を感じつつも、「さとう」を引っ掻き断末魔に喘ぐ描写や小鳥の死を比喩した痙攣描写など殺人過程はしっかり描ききっている。
ただし、グロ描写を強調し過ぎたことで視聴を打ち切った方々を出したという負の作用もあったが、{/netabare}これを斟酌して私的には高い評価をしたいと思う。

【声優】
原作を読んでいる方々には花澤さんはミスキャストだとの意見も多いが、原作を読んでいない私にとって可もなく不可もなしだ。
寧ろ、客寄せパンダ役も兼ねて、演技力が要求される「さとちゃん」役には適任だったのではないだろうか。
個人的には「しお」役の久野美咲さんの演技が輝いていた。
『WIXOSS』や『LOST SONG』でも思ったが、主役よりも準主役や重要キャラをやらせると巧いタイプかもしれない。
さとうの叔母役の井上喜久子さん。
『らんま1/2』から活躍しているだけあって、ベテランらしく味のある演技でサイコパスを演じていたのが印象的だ。
難しいキャラの「三星太陽」を演じた花江夏樹氏も好演だった。

ゆえに総じて高評価とする。

投稿 : 2024/06/01
♥ : 62
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

コドモのセカイ

【視聴完了して改稿】*誤字訂正

特別なひととの「ハッピーな」甘い生活を守ろうと奮闘する女子高生。


{netabare}どう見ても猟奇的な生活を「シュガーライフ」と称するのは、主人公と監禁される少女が、虐待の被害者である必然なのだろう。
虐待を受ける子供は、「虐待」の事実を否認して、自分は愛されているのだと思い込もうとするものだという。
主人公が楽しげに唱える「ハッピーシュガーライフ」という言葉は、現実の悲惨を「否認」する、虐待被害者の心性を表現している。
決して、サイコパスの「モンスター」性の表現ではない。

現実の事件でも、しばしば、「被害者」に対して「どうして脱出しようとしないのか」「自分ならもっとうまく立ち回る」「被害を受けるのは能力が足りないせいだ」と、被害者へのバッシングが起きることは稀ではない。

だが、危ういバランスで猟奇的な生活を維持する主人公が、障害が立ちふさがるたびに、子供が鉛筆で紙を塗りつぶすように、心が黒く塗りつぶされる描写は、監禁されている少女が決定的な場面で「頭がグルグルする」と思考を続けられなくなる描写とともに、彼女たち虐待被害者の内面がどのようなものであるのか、視聴者に有無を言わせずに突きつけてくる。


友人が、仕事の都合でアメリカの警察で射撃訓練を受講させられたことがあり、話を聞かせてもらったことがある。

通常、銃の操作レバーやボタンは片手で容易に操作できる位置に配置され、アクション映画などでも、いかにも手馴れていることの表現として、指先で素早く軽快に操作する描写が多い。

が、訓練コースでは、両手を使って大げさな動きで操作するメソッドを教えられるという。

強度のストレスに晒された状況下では、人間は、普段は当たり前に行える細かい操作や判断ができなくなるからだ。

銃の撃ち合いと言えばストレス状況の最たるもので、普通であれば子供でも行える簡単な指先の操作ですらできなくなることを、アメリカの警察は豊富な事例から研究し尽くしているという。
したがって、アマチュアに対しては、ストレス下でも行える大げさな動作をあらかじめフォームとして体に覚えこませようとする。


心が「塗りつぶされ」たり、「頭がグルグル」する描写は、彼女たちの心性が異常であったり劣っているという表現ではなく、虐待という強度のストレス下で「正常な」判断が行えなくなったという表現だ。
彼女たちを、異常だ、対応能力がないのだと見下す視点は、自分ならこのようなストレス状況でも的確に判断できる、という思い込みが支えているのだろう。
が、それは撃ち合いになった時に普段通りの操作ができずに撃ち殺されるまでの空想的な自己満足に過ぎない。
撃ち殺される瞬間に自己満足の妄想であったと気づいても手遅れであるように、たとえばブラック企業で過労死するまで「彼女たち」と自分は変わりは無いのだと気づかないのだろう。

「被害者」を攻撃して恥じないのは、同情心やモラルの欠如といった価値観の問題ではなく、相手の状況を考慮する「知力」に欠けている、要するに頭の悪さを露呈している知能の欠陥だ。

自分の知識だけで世界のすべてを知ったような全能感から他人を評価してしまえる「浅知恵」は、言ってみれば子供の属性のようなもので、未知のものを処理する大人の知力が備わっていないことを示している。

こうした、「大人」が見えなくなっている現実が、本作の背景をなしているのだろう。

その表れとして、本作の「背景」には、たとえ繁華街のシーンであってさえ、すべて学生か若者=子供しか描かれていない。
オジサンやオバサンといった「大人」は、モブとしてすら描かれることはない。

生物の本質はDNAを伝えることであり、次世代へDNAを伝えることが成熟ということだが、人間のように社会性の動物においては、自分の子であるかに関わりなく、「子供」を社会の成員=大人に育て上げてこそ「大人」として成熟しているといえる。

その意味では、虐待を止められず育児放棄する主人公や監禁少女の母親も、虐待する「親」も、見ないふりで面倒を避けようとする近所の主婦たちも、すべて「大人」ではない。

主人公に接近する教師やバイト先の店長が、主人公にいいように「処置」されてしまうのも、彼らが「大人」ではない、オトナの皮をかぶったコドモであるからだ。
子供と目線を合わせるのではなく、子供と「対等」に付き合おうとする「大人」は、得てして「自分が」子供と同化したい=大人の責任を放棄したいという欲望にかられたコドモであるという現実を、正確に写し取っている。

「大人」のいない「世界」は、作者や製作者によって切り取られた「現実」か、主人公から見た「世界」に大人が存在しないことを表しているのだろう。

あやうく空想的な子供の「ハッピーシュガーライフ」が何とか維持されていくのは、このように自覚的に「大人」を排除したコドモのセカイを作り上げることに成功しているからだ。


コドモのセカイで「お城」を守ろうと奮闘する主人公だが、コドモのセカイを特徴付ける原則は「交換」であるように見える。

何かを手に入れるためには何かを差し出す。

当たり前だ、と納得しそうになるが、「子供」が何かを手に入れるのに「対価」は必ず必要なものだろうか。
もしも本作を視聴する前に『甘々と稲妻』を視聴していた視聴者ならば、ひょっとするとこの違和を共有してくれるかもしれない。

「子供」性をすりつぶす虐待の経験が、主人公に「交換」の原則を内面化させる。

「お城」を維持するための様々な交渉だけではない。もう一人の被虐待幼女と出会う前、次々と交際相手を取り換える遍歴も、愛情と「引き換え」に肉体関係を提供していたと暗示されている。
「お城」の所有者との出会いにおいても、まず「何もしなくていいの?」と肉体を提供しようとするのは、利益を入手するために対価を提供するという「交換原理」が思考の様式を支配していることを示している。

「交換」に支配され、内面化した思考は、判断や決断をゆがめてゆく。

主人公が「二人のお城」を守るために殺人を重ねる展開に、不快を感じる視聴者も多いかもしれない。
が、ここはコドモのセカイだ。現実の反社会性を根拠に不快を訴えても意味はない。

これらの「殺人」は、刑法上の犯罪として持ち込まれているのではない。
「ハッピーシュガーライフ」の絶対的な幸福の純粋性と「交換」に「差し出さねばならない」ものとして、「絶対性」につりあう「究極的」な「負債」の象徴として持ち込まれている。
究極の「負債」であるのは、「引き換え」に究極の「罰」=「怒られる」が与えられるものであるという、これまた「コドモ」の「交換原則」が根拠づけているからだ。

主人公に確かな「罰」が下されないことに不全感を感じる視聴者は、このコドモの交換原則の圏内にいるのかもしれない。
内田樹が、現代人は「等価交換原理を過剰に内面化している」と10年以上前に喝破したように、こうした主人公の感覚は現実でも共有されているのだろう。

「交換」の絶対化は、〈ゼロ-サム〉の、相手の損は私の得/相手の得は私の損、といった二者択一の判断に傾きがちになる。
そして「内面化」は、損得の「計算」ではなく、「快/不快」の感情として価値判断を誘導する。他人の損は「快」、自分の損は「不快」、と。

主人公の「罰」の不在への「不快」は、主人公が罰を受けないのは「得」をしている=自分が「損」をしている=「不快」、の回路に捉えられているのではないだろうか。


ブッフェ形式のランチを食べに行ったとき、「こっちの方が原価が高いよ」という会話を聞いた。
原価が高い=店の「損」=私の「得」=気持ちいい、の回路が作動しているのだろう。

台風の夜にピザを注文する人がいる。
配達員が特別に苦労する=特別に「損」している=特別な「得」をした=気持ちいい、の回路が作動したのだろう。

どちらにせよ、「得」などどこにもない。
架空の損得に誘導される気分が支配する判断が、現実にも蔓延している。

が、こんな「気分」の無意味さを指摘することができるのも、「現実」の関係性においては「交換」とは無関係に、利益や不利益が生じることがあると知っているからだ。
一方的に与えることもあれば、理由なく消失することもある。

「交換」の明瞭性からすれば、こうした「贈与」や「蕩尽」は不合理で不可解に見えるだろう。
不明瞭の排除として、本作の「コドモのセカイ」の設定がある。
現実世界には存在する児童保護施設のような子供の救済機関の不在が、コドモのセカイを支えている。

そうした救済機関の実効性や運営の仕方に不満の人もいるだろう。
しかし、そうした機関が存在し、子供の救済に従事する大人がいることは確かだ。

(子供に対しては)「無償」で保護を与える大人の不在が、コドモのセカイを支える。

この「コドモのセカイ」によって、虐待によって「交換」のみが行動原理となった少女の物語を、より鮮明に描き出し得ているといえるだろう。
そして、この「セカイ」は、交換の内面化において、現実と地続きであると示してもいる。

終幕で、新たな「お城」を目指して旅立とうとする主人公と監禁幼女は、置き忘れた指輪のために脱出を果たし得ない。
「交換」に貫かれた主人公の行動が、「かけがえのない」指輪=「交換」できないもののために頓挫する展開は、ついに「交換」の向こうへ、「セカイ」の拘束の向こうへの視線を獲得した希望なのだろうか。

追い詰められ、屋上から飛び降りる二人は、死において「愛」が成就するロマン主義の純愛をなぞったように見える。

心中や殉死に愛の超越性を見るロマン主義は、しかし、土壇場で幼女を救う主人公の自己犠牲によって、絶対的な犠牲と「引き換え」に絶対的な愛を差し出す「交換」の現代性に敗れ去ったようだ。

ラストで、他者を拒絶して主人公との「愛」に閉じこもる監禁幼女は、このセカイの交換原理を受け入れ、超越の契機は閉ざされたように思える。
主人公の生命という絶対性は、幼女を解放する「ギフト」ではなく、絶対の愛を「引き換えに」捧げる、交換媒体にしかならなかったのだろうか。

絶対的な犠牲と「引き換え」に絶対的な「愛」を応答させて自己という球体に引きこもる幼女は、相手を絶対的に受け入れる「引き換え」に相手の全存在を収奪する主人公の叔母の陰画のようだ。


無償で与えられる何ものかが存在する「現実」を慎重に作り替える「コドモのセカイ」が、「与えられるもの」が奪い取られた虐待を強力に浮かび上がらせる。

コドモの「ハッピーシュガーライフ」」を理想郷とみなして肯定しまうのも、登場キャラは「異常者」だと断罪してしまうことも、「大人」からかけ離れた「浅知恵」になってしまうようだ。

モブにすら大人のいないセカイでは、警察官もまた子供じみて、形式的につじつまが合えば明らかに不審のある住居を捜索することをしない。
自分が「怒られない」形式が整っていれば明白な異常を見逃す職業人が、必ずしも空想的には見えない現実が、このコドモのセカイを一蹴できない救われなさを支えているようだ。

このもどかしさを、もどかしさのまま引き受けることが大人なのだろうと思うと、なんとも切ない。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 14
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

満面の笑みで胸糞を楽しむ

1話感想{netabare}
ミザリーというか…ストックホルム症候群的な話なんだろうか。
シオが事実を知ってからどうなるかが気になるがずっと後になりそう、ってよりもそこまでやってくれるんか?

にしてもやっぱこういう作品も生まれるよなぁ、ってのも思ったり。
今期先に放送始まった“すのはら荘~”見てると「そのうちヒゲ生えたり声変わりして「こんなのアキちゃんじゃない」と管理人が狂気に走らないかのう?」とついつい思ってしまったり。
さすがにそれは天邪鬼すぎだろー、逆張りしすぎだろーとあんま考えないようにしてはいるけどね。
けどやっぱそっち方面を望む声ってのはあって、それが形になった、みたいな。
“からかい上手の~”を見て「西片もうちょい突っ撥ねても良いのに」と思ってたら“あっくんとカノジョ”が始まった時と似た感覚(こっちは極端過ぎていや待てって感じだけど)。
ネタ被りとは違う…カウンターというか、アナザーアンサーとでも言えば良いのか?
もうね、放送してるアニメの作品数多いからこういった補完する・対極に位置するような作品もバンバン出てくるのは…良い事なのかなぁ?
ってことで“すのはら荘”と並行して見ると楽しさが増すかも、これ単体でも結構面白いけど。

追記
この作品を棚に入れる際アニコレ側から「こんな作品もおすすめにゅ」と紹介されたのがシャッフルとギフトと未来日記。
ええい、3つ目はスクールデイズじゃないのかい!
ってよりもこれってどうやって判定してるんだか未だに不明、結局この作品はソレ系なのかい?{/netabare}

2話感想{netabare}
やっべ、面白い。
“表向きの顔”を演じてる最中の他の人の表情の僅かな違いを読み取ろうとしたり、女あるある過ぎて、もう…うひっ。
愛とか言ってるけどOPで暗示されてるように現状サトウはお人形遊びしてるのと大差無く(理想の像を相手に押し付けてるだけ)、更にはシオは演技してるんじゃないか?と確かめる辺りなんて、もう…ウヒヒ。
ってかあれはシオが演じきったってことでいいのかな?理想像を裏切るとヤバいと本能的に悟って。
サトウは疑心暗鬼に囚われるというか、深淵を覗いたら覗き返されてた方向(いわゆる自爆)でもいいけど、シオはシオでなーんかありそうよね?
いくら幼いからといってずっと部屋に閉じ込められてることに疑問抱いてないし。
ってか出てくるキャラがみんなキの字で、近所に頭を狂わす電波発する隕石でも落ちたんじゃないか?と思わせるくらい(誉めてる)。
同じ感じでキの字博覧会になってた“魔法少女サイト”も、これを見て思い返すと女臭さが全然無かったと思い知らされる。
あの、その…同期に放送してる“殺戮の天使”よりよっぽどコワイ(誉めてる)。

この作品は下卑た笑み浮かべてニヤニヤしながら視聴する(誉めてる)のが正解な気がする。{/netabare}

6話までの感想{netabare}
サトウは、ぼんやりプチトマト眺めてるのを目ざとく気付いたり、バイト先ロッカー内のネクタイとピンの配置がズレてることに気付くとか、深入りされたくない相手を脅すのではなく気持ちいい思いをさせて阻止するとか。
女ってこええええ、ってのを非常に良く描けてると思う、ウヒィーッ。
シオはシオで、5話で咄嗟に嘘を吐いたのは頭で考えてってよりも本能的に・反射的にやったことなのかな。
なんか段々とシオが魔性の女に思えて来た…。
やっぱこれ、ご近所に毒電波発する隕石転がってるんじゃないか?w
相変らず面白いんだけど、ちょーっと陰りが見えて来たかも?いやそれでも面白いんですけどね。
嫌いな人はトコトン嫌いだろうなぁってのは分かった上で、じゃあなんで自分は好きなんだろうって考えてみた。
単に頭のおかしい人が出るだけなら「フーン」って感じで何とも思わない。
一方でこの作品見てる時のように下卑た表情で「ウヒヒ」と言いながら見てた作品は…あ、最近だと“URAHARA”の7・8話の時がそうだったわ(あれはもはやエロス)。
じゃあそれとこれとで共通点を探ってみると…こんな感じかな?

・「守りたいもの・大事にしてるもの(A)」があって、それが脅かされる・破壊される・もしくは異常に執着するが故にキの字になる。
・肝心の(A)が共感できる。

要はどこかに「あーその気持ちわかるわー」って思える…これ書くことで異常者に思われても困るんだけど、悪い言い方しちゃえば「自分にもそういう側面がある」って方向の狂気に対して見ててウキウキするっぽい。
まぁ深淵を覗く系は大好きですんで、ええ。
「結局共感できるかどうかだけじゃん」ってありきたりな結論になっちゃったけど、これ結構大事じゃないかなぁ?
また比較で挙げて恐縮だけど、同期放送作品で同じ感じでキの字博覧会をしてる“殺戮の天使”がホント退屈で…あっちは全っ然共感できない。
なんで共感できないんだろうって考えたら(A)が無いんだよね、あっちは。

で、陰りが見えてきたかも?って思ったのは、回が進むたびに変態キャラ増えてるけど(A)持ちはそんなに居ないような?
虐待されたとかのトラウマ持ちは(A)に固執する理由としてあった方がいいけど、(A)無しでただトラウマ持ちで頭オカシイだけなのは自分にはイマイチ。


ところで、先入観ってのは恐ろしいもので、総監督の草川啓造って「どっかで見たことあるなぁ」って程度で、作風もあっててっきり“シャッフル”や“GIFT”の人だと思い込んでて…実際は全然違ってたー!!
そっちは鈴木雅詞で、今期は“ロードオブヴァーミリオン”やってる方でした。
じゃあ草川啓造って何で見たんだっけ?って思ったら、ああ、“リリカルなのは”の人でした、あとは“ロウきゅーぶ”が有名?
…。
あれか、ロリっ娘なら任せろオラァァン!って人なんかね。
しっかしちゃんとスタッフ確認しないとアカンですね、アニコレで感想書いてなかったら勘違いしたまんまでしたよ。{/netabare}

最終回まで見て{netabare}
今期一番面白かった。
…が、表立って人には薦めにくい作品、あれー?前期の“ラストピリオド”に引き続き、どうにも語るのを憚る作品が続くなぁ…。
ぶっちゃけ言っちゃえば「頭のおかしい美少女を眺めてニヤニヤする下卑た趣味」を、余計な装飾しないでそのまんま下卑たモノとして描いた作品。
これが下手に気取って・着飾って高尚ぶり出すと自分は一気に冷めるので、最後の最後までヘンタイをやり通したのは感動すら覚える。
(これを書くに当たり「下卑た趣味を装飾して高尚ぶってる」某作品のタイトルを書き直しておきました)

「なにかやるんだったらリスクは承知するべき」ってのはどうしても自分は思ってて、しかもそれが人道に背くことなら尚更で。
この作品は狂人ばっか出るけど、基本これを踏まえてるのに好感を覚える。
顕著な例では北埋川先生のサトウに対する「自分以外の人間と秘密の共有するのが許せん→破滅する姿が見たい→警察に通報」って感情は全然共感できないけど、「それにより自分もタダでは済まない」と覚悟を決めてたのは非常に共感できる。
(一方でこれはTVアニメとしてしょうがないんだろうけど、エレクチオンして然るべきところをヨダレで婉曲表現してるのはどうなんかな、仕方ないんだけどさ)

そして自分的に最もタマランかったのは、サトウは秘密を隠すために普段から周囲に気を張ってて(頭が良いというのもあるが)、何か変化は無いか・悟られてはいないかと他人の顔色を伺うシーンがちょくちょくあるんですよね。
いやね、聡い美少女から「ふーん、それ本当ー?」と瞳を覗き込まれるようなことをされたら…ああもうっ、ああもうっ(北埋川先生が興奮してるのと同じ感じで)。
友人はそんなことされたらブン殴るかも知れんと言ってましたが、自分はエレクチオンしながらもんどりうつかも知れん。
これは…コンテ書いた人の手柄になるのか?いい趣味していらっしゃる。
で、そういう「探り」に対してシオはシオでナチュラルに演技(無意識な演技)をしてて──トラウマ故か無意識のうちにサトウにとって都合の悪いことは考えようにしてて──いつ機嫌を損ねる真似をしやしないかヒヤッヒヤでした。
後半とうとう隠しきれなくなって秘密を共有することになるけど、タイミング間違えてたら殺されてたんじゃないかな。
他の作品でも何度か書いてる「殺して剥製にして額縁に入れて飾っておけば満足」ってタイプだったので…途中までのサトウは。
それに耐えかねてシオが「お人形じゃない」って言ったときは、まぁそう言われるわなぁと強く共感したもんです。

最終回の飛び降りのシーン、高飛びが成功してたら「あったであろう未来」が背景に流れた時は涙出ましたわ、切ないのう。
決して許されてはいけない奴だったけど…ってか、元々高飛び失敗したのは指輪を忘れて取りに戻ったせいで、じゃあ何で指輪忘れたかといえば偽装のためにショウコの死体に制服着させる時に邪魔だったので外したからで…ああこれ、ショウコの呪いじゃね?
単に耳目を集めるためにセンセーショナルに殺されたんじゃなくて、ちゃんと意味はあったんじゃないかなーと思うと良く出来てるんじゃないかな。

そして最後、病室のシオ…シロッコに連れてかれたカミーユやーんw
「彗星かな?」って言い出したらどうしようかと思ったけどそうじゃなくてひと安心。
サトウをグッサリ心に刻み込まれてキチ化エンドだったけど、サトウ的にはそれが真の愛だったってことだろう。

最後の最後まで救いの無いドス黒い話だったけど、徹底しててある意味爽快でした。
けどなー、冒頭にも書いたとおり人には薦めにくい、ヘンタイ嗜好の作品です。
今期一番面白かったけど、万が一これが一番売れた作品になったりしたら、それはそれでイヤ~な気持ちになるでしょう。{/netabare}

追記{netabare}
あ、思い出したのでちと追記
“殺戮の~”ばっかり比較で槍玉に挙げてしまって恐縮だけど、あれとこっちでは何が違ったのだろう?ってのはずっと考えてまして。
と思ってたら別の作品がポンと思い浮かびました。
“ウィクロス”…の特にあきらっきー、あれは自分ダメでした。
「やりたいことのために人の迷惑顧みない」ってのは共通してるのだけど、自分に不都合が降りかかると「他人のせい」にしてばっかで…。
↑で書いたのと共通してしまうけど、「不都合起きることも覚悟した上でやってるんじゃないのかい」「自分棚に上げてよく言うわ」と不快感のが先に来てしまう。
(当然あきらっきーはそういうキャラとして描いてたんだろうけど)
でもってシュガーライフは覚悟してる、不都合が起きても自分が撒いた種と承知してる。
指輪を忘れて取りに戻ったせいで高飛び失敗&心中する羽目になっても「おのれショウコめー!」なんてことは言わない。
それどころか目的達成のためなら泥水を啜る覚悟まで決めてて…同僚としたくもないキスしたり嫌いなおばさんに頭下げたり。
ただキチだサイコだ言ってもそこら辺の線引きはしっかりしてて、それが不快感なく楽しく見れた部分なんじゃないかなー、と思ったり。
単純に「異常行動させればサイコが描けてる」と思ってるような浅薄なクリエイター…は居ないとは思いたいけど、そこら辺もちっと注意して描いてもらいたいところ、ね、ヴァーミリオン。
普通の中に潜む深淵だからこそサイコなんじゃねーのん?と。{/netabare}

投稿 : 2024/06/01
♥ : 15
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