近未来でオリジナルアニメーションなおすすめアニメランキング 11

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ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月04日の時点で一番の近未来でオリジナルアニメーションなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

88.1 1 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング1位
サマーウォーズ(アニメ映画)

2009年8月1日
★★★★☆ 4.0 (4181)
21248人が棚に入れました
世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界、OZ(オズ)。そのメンテナンスのアルバイトをしている高校生の健二は、憧れの夏希先輩から田舎に行くというアルバイトを頼まれる。気楽に応じた健二だったが、実は夏希の本家とは武家の血筋を受け継ぐ旧家、陣内家であり、曾祖母である烈女・栄のために夏希のフィアンセのふりをするというアルバイトだったのだ。さいわい栄は健二を認め、芝居は平穏のうちに終わるかに見えたが、その夜健二はケータイに届いた謎の数式を、数学の問題と考えて解いてしまう。しかしそれは、OZ世界を崩壊させ、現実世界をも混乱させる大事件の幕開けだった。

声優・キャラクター
神木隆之介、桜庭ななみ、谷村美月、仲里依紗、斎藤歩、富司純子
ネタバレ

◎TARGET さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

【残念賞】ストーリー構成が雑すぎて冷めた

❏総評

細田守監督作品。
前作の「時をかける少女」が面白かったので見てみたけど
う~んちょっと物足りなかった。何かイマイチだった。



❏作品テーマについて

テーマは以下の2つ
「コンピュータに依存しすぎる社会への警告」
「(大)家族の絆、人の絆」

そしてこの2つのテーマを交差させたものが、この物語の骨組み。
コンピュータに依存した社会で問題が発生したけど、
家族の絆、人の絆があれば乗り越えられるんだ。涙。(←でなかったけどw)

テーマと骨組みは別に悪くない。いくらでも面白くできそうなテーマだ。



❏何故イマイチだったのか?

・2つの作品テーマを結びつけて、物語を収束に導くために不合理で必然性がない設定を多用しすぎ

・問題を解決したのは「家族の絆」ではなく「個人のスキル」の度合いが強いのに、
 映画は「家族の絆」で解決したような印象操作をしている

上記の2点により冷めてしまった。

一旦冷めた気持ちは温まることなくラストまで継続。


以下、具体的にネタバレ込みでダメなとこ書きますね
{netabare}


1. OZシステムにリアリティがない。

 これは技術的にハードルが高すぎて現実的に不可能という意味ではない。
 仮に技術的に可能だとしても、このようなシステムを多くの人が利用し、
 ここまで人々の社会の隅々にまで入り込むはずがないという意味だ。

 ツッコミどころはたくさんある。

 ・仮想世界に店舗を出すメリット、必要性が見いだせない
  (アバターがアバターの服を買うなど仮想世界内だけで完結するものは別として)

 ・社会インフラと仮想世界がつながるメリット、必要性が見いだせない。
  しかも、OZシステムがハッキングされただけでこの大騒ぎって、どんだけ脆弱なのかw
  普通はセキュアなシステムとは外の世界と繋がらないようにするものだ。
  だからこんなこと100%ありえないと感じてしまう。

 ・AIはゲームをしたいんだみたいな感じだったが、
  何故AIはそう思うのか?米国政府が興味を持つようなものがそんなんでいいのか?

 ・AIがアバターとして視覚的な存在になって、
  戦闘行為とかするのは非効率じゃないのか。(AIさん遊びたかったの?)

 ・アカウント乗っ取るとAIの戦闘力が増す意味がわからん、ハッキング技術があるなら
  数値調整すりゃいいじゃんw

 ・衛星落とすのになんでAIさん2時間くれたの?そのまま落とせよw


 設定担当の人にITリテラシーが無いか勉強不足なのかもしれないし、
 視聴者はITリテラシーが無いという前提で、わかりやすくするためにこのような表現になったのかもしれない。
 いずれにせよ、もうちょい煮詰めて欲しかった。



2. 家族の絆のおかげで問題が解決したのか?

 映画では一生懸命そういう風に見せようとしてますが、
 問題を解決したのは結局のところ「個人のスキル」です。

 AIと戦闘できたのも、池沢佳主馬の「スキル」だし
 AIに花札で勝てたのも、篠原夏希の「スキル」だし
 最後に暗号解いたのも、小磯健二の「スキル」だし
 AIを制御できたのも、陣内侘助の「スキル」なのだ

 ちなみにAI作ったのが陣内侘助ってのもOZシステムに負けず劣らず都合が良すぎで閉口。

 栄婆ちゃんが、色んな人たちに電話かけてがんばってたり、
 陣内家の男性陣が、仮想世界内でアバターでちょびっと助けてくれたりして、
 家族が最後一つになって雰囲気はよくなってたけど、
 問題を収束させる役にたったのかというと残念ながらほど遠いw

 花札のシーンで世界の人が協力してくれたのは唯一スキルではなく「絆」が
 役に立ったシーンですが、設定に必然性がなく冷めながら見てたので
 ここも感動が薄まった。

 このシーンを活かすには、
 例えばもっと前の場面で非協力的だった傍観者を伏線として描いておいて、
 そしてラストのここにきてようやくなんらかのきっかけで協力させるとかしないと薄いです。
 唐突すぎて「あ、助けてくれてありがとう。ややジーンとした」レベルwです。


 映画製作者は
 家族が一つになって問題解決したよーやった!→感動
 って方向に持ってきたいのに、

 こちらはスキルで解決しただけじゃん って思ってるので
 正直終始興醒め状態ですw

 スキルを身につけるのに血の滲むような努力をして、
 最後、それでAIを倒すのなら感動できるでしょうが、
 スキルで解決しても「すごいじゃん」って一人ぐらい若い子が言うだけで
 大家族の殆どはスキルの凄さを誰も認知していない。

 なんかこのレビュー書いてて段々腹が立ってきたw

{/netabare}



❏ささやかなフォローをしてみる

物語の進行中にいちいち設定で冷めながら見てましたが、
人物の表情や心理描や声優さんの演技に救われて、
他の面に関しては楽しく見れた。

なので上記でダメ出しは多いけど、時間の無駄とかにはならなかった。

さらに言うと設定の部分や絆の描き方に何ら疑問を持たずに見れたラッキーな人に
とっては素晴らしい作品だったのではないかと思う。


❏世間一般の評価

・観客動員数123万人
・Blu-ray Discは初登場5.4万枚の売上げで週間ランキング1位
・初動記録としては当時のアニメ作品歴代1位
・BD総合歴代2位
・同日発売のDVDも総合ランキングで初登場5.5万枚で1位
・同一アニメ作品のDVD・BD両メディアダブル首位
・シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門 (Gertie Award) 最優秀長編作品賞(第42回)
・日本SF大会星雲賞メディア部門(第41回)
・『金曜ロードショー』での地上波初放送視聴率は関東地区で13.1%
・『金曜ロードSHOW!』2回目の地上波放送。視聴率は前回を上回る14.1%

↑自分の感覚との違いにびっくり。
 何でここまでの評価と実績があるのか疑問。
 作品のプロモーションにお金かけたから売れただけなのでは?と疑念を払えないw

投稿 : 2024/05/04
♥ : 7
ネタバレ

renton000 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

夏の清涼感たっぷりの作品です

あらすじは他の方のレビュー等をご参照ください。


 初見でした。
 時をかける少女と同じ監督の作品とのことですが、随分違う描き方をしていたので驚きました。あまりフラグや考察ポイントを作らずに、ストーリーとテンポでぐいぐいと引っ張っていくような作品です。時をかける少女よりはより子供向けを目指していたのだと思われます。顔が赤くなる、鼻血が出るなどアニメ独特の表現をふんだんに取り入れているため、荒唐無稽とも思える設定(設備とか才能とか)も許せてしまうようになっています。面白かったです。鬱になるシーンもないのでまだ見ていない方はぜひとも気軽な気持ちでご覧になるといいでしょう。

テーマ:
 人とのつながりでしょう。家族との対面でのつながりを描いたのちに、黒電話によるアナログ感たっぷりの人とのつながり、ネットによる架空での人とのつながり。話が大きくなるにつれてつながりの質も規模も変化していくところは本作における見どころのひとつになっていたと思います。
 主人公におけるつながりの表現も良かったです。一人で食事をし、友達も一人しか登場しない主人公。最初に、訳も分からずにおばあちゃんに認められます。そして、ある人を「よろしくお願い」されることになります。最後に、とある家族とつながりを持つようになりました。ストーリー展開の規模に比べて随分小さなステップですが、確実に踏み越えていくこの描写は、夏の背景と合わさって清涼感たっぷりのエンディングを迎えさせてくれました。


疑問点・不満点:
{netabare}
①探査機の名前
 探査機のモデルは明らかですが、名前はオリジナルですよね?探査機のニュースは随所に出てきますが、襲われることには唐突な感じを受けてしまいました。探査機の名前が、過去のいくさや野球の対戦相手、地名などと同じであったり模してあったりすると襲われることも腑に落ちたかな、と思いました。裏設定があるのでしょうか?それとも見落としたかな?

②探査機のターゲット
 ターゲットが犬なのか家なのか、どちらか分かりませんでしたが、「なぜここに!?」というのはありましたよね。まぁ敵と認識したところに落としただけなのでしょうが説明不足な感じもありました。
 ①と関連するのですが、探査機の名前か犬の名前でこの違和感を解消して欲しかったです。おばあちゃんと犬のエピソードを入れてその中でフラグを立てておくのも良かったでしょう。犬の名前は作中で出ていましたが、確かほとんど意味のない名前だったように記憶しています。いずれにせよ、当然ここに落ちてくる、と視聴者が気構えておけるような理由付けをして欲しかったです。

③花札
 最後の花札のシーン、決め札がはっきりとは確認できませんでした。バトルの締めのシーンなので、決め札を「思い出の札」にすべきだったと思います。視聴後に確認したところ、雨四光に桜を加えた五光でした。つまり決め札は桜。ここだけはやや強い不満があります。サマーとタイトルが付いた作品で、桜で締めでは納得しがたいものがあります。名シーンであるだけに心残りとなってしまいました。

 では、決め札は何にすべきだったのか。花札には種類ごとに月が決まっています。五光に限っていいますと、松に鶴は1月、桜に幕は3月、ススキに月は8月、柳に道風は11月、桐に鳳凰は12月です。夏に対応する五光はありません(8月は秋です)。適当な候補がないんですよね。

 ということでストーリー上に五光のどれかにふさわしいシンボルを用意しておくべきだったのでしょう。ここで注目すべきは家族の象徴である鳥型の家紋です。家紋はおばあちゃんの背中で強烈に印象付けられるのですが、その後使われたのは敵を閉じ込めるシーンだけです。家族の象徴なのにこれだけなんてもったいないように思えます。
 鳥を模した家紋なので決め札は鶴が妥当でしょう。作中の家紋の鳥(おそらく鶴ではない)を鶴に改編して、家紋の鶴の札で勝った(=家族の力で勝った)、という結末のほうがスッキリしました。このためのフラグとして、2回ある対人戦ではいずれも鶴の札で勝利させてあげるべきでしょう。おばあちゃんに鶴の札に関する思い出を語らせるのも良と思います。おばあちゃんは家紋と同じだから鶴の札が好き、ワビスケはおばあちゃんの好きな札だから鶴の札が好き。こうすることでワビスケからおばあちゃんへの愛情にも重みが増すと思われます。作中では手をつないでいるシーンくらいしか直接的な表現はありませんから。
 作中の家紋自体は実在のものを使っている可能性もありますが、前述したようにアニメらしく作っている作品です。山に船を運んでしまうくらいですから、鶴をモチーフに創作したオリジナルの家紋でも良かったのではないでしょうか。

 一度敗れた敵に、仲間とのきずなでリベンジする、という技法は少年漫画で散見されるものですが、この作品に採用しても上手く機能したと思えるのです。もっとテーマを露骨に表現して欲しかったです。
{/netabare}
 この3点を解消するだけで、物語の説得性と厚みが増すと思うのですが、いかがでしょうか。
 とはいえ、気になった程度であり、作品をダメにしているのでは決してありません。アニメ表現を利用したご都合主義を採用しているのですから、とことんやってしまえ、と思った次第です。現状でも十分な名作であることは間違いありません。

対象年齢:
 ただ見るだけなら小学校低学年くらいからでも大丈夫だとは思いますが、理解することを条件とするなら小学校の高学年くらいからでしょう。家族ものですのでそれ以上の年齢であればどなたでもご覧になれます。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 5

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

7月と言えばサマーウォーズ。見る度に評価があがります。

 7月なのでサマーウォーズです。夏になると見たいアニメが沢山ありますが、その筆頭ですね。多分公開された翌年くらいから毎年見ている気がします。
 21年と22年の夏にレビューして、追記もありました。ごちゃごちゃになるのでまとめます。もう10回以上再視聴しているので、評価はオール5にしておきます。

 この映画の特徴はビジュアルの良さでしょう。バーチャル空間の見せ方と田舎の古きよき旧家の対比。クーラーの無い部屋で食事をする様子。扇風機やスイカなどなど。子供が走り回ったり、皆で風呂に入ったり。スダレとか縁側とか。それだけで見る価値があるくらい素晴らしい画面です。

 本作はバーチャル空間の描写が話題でした。また、その中で独自のアルゴリズムによって「悪意」を巻き散らかすプログラムが敵なので、あたかもそこにテーマ性があるように感じるかもしれませんが、それは舞台でしかないと思います。
 あまりバーチャル空間とAIにテーマ性を求めると矛盾もあるでしょうし、テーマも浅く感じると思います。
 あくまで「家族」が戦う物語の敵役として、人間ではない敵を用意した、という感じでしょう。侘助=ラブマシーンに見えてしまいますが、ミスディレクションです。ビジュアルが凄すぎるのでそっちに視点がどうしても向きますけど。

 本作で一番の見どころは、家族と言えば家族なんですけど、統一された意思の元で「自分の役割を果たす」というところだと思います。あのイヤな警官ですら自分の役割を自覚していました。

 そしてなんといってもこの映画の良さは、解決に沢山の人が寄与する、ということです。
 主人公が1人でなんとかするではなく、家族みんながハイスペックPCを用意する、VR格闘技で戦う少年とその師匠、氷をもってくる、電源の船を持ってくる。女たちはバーチャルではなく、現実で奮闘しています。葬式の準備やご飯の支度、甲子園の応援などなど。
 それがおばあちゃんの死後でも、ちゃんと機能しているところが素晴らしかったと思います。おばあちゃんの遺志を継ぐのは恐らく夏希で健二がサポートするのかなあと、キービジュアルを見ると想像してしまいます。

 そして、満を持してヒロインも戦います。これも力を合わせると言うところにつながっていきました。ここは今見ても恥ずかしいご都合主義ですけど。夏希も戦いに参加するにはここしかなかったんでしょう。ここにメッセージ性を求めるのは牽強付会かなあという気がします。
 映画としては、その後の健二の活躍があるので、それほど気にならないと思います。

 夏希が健二を田舎に連れ出す時、2人の候補者の中から健二を選んだシーンは見せてないですよね。これは夏希が迷ったフリをしながら健二になるような作為があったのだと考えられます。
 もともと叔父の侘助に似たところを健二に見ていたのかなあ、という想像ができます。
 人を見る目があるおばあちゃんが健二に夏希を託したところで、健二も家族になったととることができるでしょう。だから、最後は力を合わせて戦うシーンにつながったのでしょう。

 この映画の難点は、夏希の内面描写かなあと思っていましたが、今年見て気が付いたのは、健二の視点の映画なので、夏希の内面が分かるとつまらないですよね。健二への気持ちが本当はどうなの?というところとか、侘助への態度に嫉妬してしまうとか。
 声優さんの演技が棒という批判もあるみたいですけど、この子の不思議な感じによく合っていた気がします。と言ってももうサマーウォーズと言えばこの演技なので、気にもなりません。

 いろいろ批判も出来なくはないでしょう。バーチャル空間やAIに絡んで、いろいろ批判も見かけますが、上述の通りそれは舞台であり、エンタメとしての華やかさです。ド田舎の大家族という「点」と世界と言う広がりが同じ場所にある、という対比はある気がします。

 何より、批判するのが無粋な映画の筆頭かなあと思います。本作は話のつながりと、構成・演出が良すぎて、スーッと通り過ぎてしまいます。それだけエンタメとして出来がいいということでしょう。
 夏にみるのに、爽やかで面白く、感動もできる名作だと思っています。

 細田守氏の映画では一番好きな映画です。脚本や企画が本人じゃないし、今よりも案件臭が無いし、我儘もきかない立場だったころだから奇跡的に素晴らしいバランスの映画が生まれたのかなあなどと想像します。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 15

86.8 2 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング2位
東のエデン(TVアニメ動画)

2009年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (4743)
23240人が棚に入れました
2010年、日本各地に10発のミサイルが落下するテロが発生するが、奇跡的に1人の犠牲者も出なかった。
それから3ヵ月後、アメリカへ卒業旅行に出かけていた大学生・森美咲はワシントンD.C.を訪れホワイトハウスの前でトラブルに巻き込まれる。そこに記憶喪失となった日本人青年・滝沢朗が現れ、森美は難を逃れる。意気投合した2人は一緒に日本へ帰国することとなるが、その日東京へ11発目のミサイルが打ち込まれる。
その時、滝沢の携帯電話にジェイスと名乗る女性からの謎のメッセージが入る。

声優・キャラクター
木村良平、早見沙織、江口拓也、川原元幸、齋藤彩夏、斉藤貴美子、田谷隼、白熊寛嗣、五十嵐麗、小川真司、玉川砂記子
ネタバレ

ラ ム ネ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ノブレス・オブリージュの導き。

※1、以降の文は、TV版と続編映画二作を総じて書かれたものとなる。
※2、以降の文は、本作から見られる社会学的描写について思考する。
※3、対人関係の考察には触れない。
※4、危機を仰いでいるつもりではない。

目次。
〈書くにあたって、序説らしきもの〉
・社会風刺について。
・空気について、前述。
〈ノブレス・オブリージュの導き〉    目次を作る程でもないのだが、
・ノブレス・オブリージュの描かれ方。    思考の整理の為の試みだ。
・何がセレソンを生んだのか。
・独裁という手段と日本病の行方。   
・空気はやがてどこへ流れ着くか。
・ミサイル攻撃に依る国家骨抜き作戦。
・セレソンNO.の9「日本中ニート化案」。
・そして日本に志士はいない。
・ノブレス・オブリージュの導き。(了)
・台詞集。

〈書くにあたって、序説らしきもの〉
・社会風刺について。
 アニメでの社会風刺らしき描写を程よく見かける。しかし、アニメーションの概念と、大方全ての構想はフィクションであるので、その中で風刺されるものへの影響力はないに等しい。勿論、作り手は鑑賞者側への影響力を求めていない。求めているのなら、非現実及び創作物で描くのは馬鹿であるし、もっと風刺するものへ直接的に関わっていくだろう。
 しかし、そのような作品では、製作者がとにかく自分の作品を面白くしようという浮動した幼稚な思考を基盤として作られ、よってやはり何事も中途半端に物語の幕が降りるものが多い。時にそんな作品の中には、社会を批判した作品であれば鑑賞者側も内容を考察して勝手に売れ行きも伸びるだろうという媚びが感じられるものもある。

 本作がその「媚び」に標準するか見当は明確にはわからない。神山健治という人物像、おそらく違うのだろう。とにかく、下記の文がまったくの私見となるのか、作者の意図を察していたのかは知りえないし、確かめようもない事なので、この度の拝見については適当に受け流して、適度に受け止めてくれたらそれでいい。まあ、その結論なるものについては後述し、結論を朧から明かしたように思える事々について今から書いていくことにする―――。

 匿名の富豪権力者Mr.OUTSIDEから一般人12人に、それぞれ100億の電子マネーがチャージされた携帯電話(ノブレス携帯)が渡され、彼らはその額で自由な権力の行使が容認されるようになり、そして「さあ、これで日本経済を救済してくれ。」と命令される。そして「任務放棄及び逃亡、長期に渡る成果がない、100億を個人の欲望に使用し続ける、国の救済を果たせぬまま残金が尽きる場合は、的確な死が齎される」と。彼ら12人は時の権力者となり、水面下でセレソンと呼称される。12人のセレソン達は特選(国への志がある者をOUTSIDEが選抜)された主権者として、それぞれの意志のもとに行動を開始する。「東のエデン」ではこのようなことが展開される。財産とその自由行使の権利を受け取り、これで日本経済を救え、もし救えずに費用が底を尽きたら死んでもらうよ。そして十二の言動が先にはあるのだ。
 「東のエデン」に社会風刺として視点を置くと(風刺でなくとも、社会学的な視点を据えると)、それは意外性に富み、知見に生まれる物語のプロセスが見えてくる。そして、本作は先ほどのあらすじのような物語の断片の叙述だけでは展開は止まらない。しかも、ダイナミックな思考の展開でもある。

・空気について、前述。
 たとえばひとつ、本作の基盤とは「日本の空気」であるが、惹句(キャッチコピー)にはまさに惹かれるものが私にはあった。
 「この国の”空気”に戦いを挑んだひとりの男の子と、彼を見守った女の子のたった11日間の物語。」 空気に縛られる。この原因は現代人の弱さであり、現実を見据える勇気の欠如であり、歴史的精神性であり、空気に縛られるという事が一種の日本の国民性と言っても過言でない。日本史を見ても、国民の空気感によって状況が悪く転じたような事が幾度もある。現代社会に於いても、現代学校教育に於いても、空気による束縛は何かをつくづく虚ろにさせ、少年少女の自立と調和を刻々と蔑ろにさせて行っている。「非行」と「空気」は深く関係する。やがては幾つかの思想を壊していくだろう。そして最後には、おそらくみんなして後悔するのだ。「なぜこうなった!」と虚無的な混濁した空に言葉を吐きながら。辺りの空気に流されているものだから、その流れがやがてどこに辿り着くのかがわからないのだ。せめて一度は流れから外れて、岸に登って流れを見つめてみないことには、誰も自分の行動に責任も取れないのだ。
 このような台詞があった。「不確かな情報や、自分にとって都合の良い噂で、簡単に自分の意見を変えてしまう、無責任な大多数。」しごく命令形のメッセージではない。現実問題を伝えているだけだ。この問題を考える中で生まれる「今自分は何をしたらいいか」という考えは、他人から教わるものではなく、自分なりに考えて出すものだ。訳も分からず他人の色に自分の色を同化させてしまう事が、その勇気のなさから人間関係に縛られ、やがて空気に縛られるという事でもあるのだ。「空気」について詳しくは後述する。
 作品への論点の題が「ニート脱出」となっているのを多く見て取るが、本当に合っているのだろうか。本作の主題要点は「空気」であり、その「空気」が今まさに崩落させようとしている日本社会を”セレソン各位がどう救済するか”という「救済手段の掛け合い」がメインであり、主人公(セレソンNO.9)の日本救済手段案の一つである「ニートによるストライキ(日本中ニート化案)」は副題である。日本中ニート化案についてもまた後述する。―――。

 少しずつ本題に入っていこう。
 たとえばひとつ。「その携帯電話には100億円の電子マネーがチャージしてある。それで日本を救え。成果を出せずに金を使い果たせば、それは死を意味する。」と匿名富豪権力者(Mr.OUTSIDE)から強制的に命じられたセレソンたちは、我が国を考えるようになる。今、日本はどういう状況で、今、自分は何が出来るか。時の権力者となった個人が出す、その思考の果ての結論が、現代日本を脱却する手立てとなるかもしれない。
 勿論、私は卓見が出るのを期待した。作者が考える、日本に生きる立場の違う12人のセレソンたちが出すそれぞれの「日本を救済する手段」。結局、それは面白いものだった。とても現実的なセレソン12人の結論だったと言っていい(いや、やはり少し物語としては残念か)。思ったのだが、作者は洞察力もあり、人間観察をしてきたに違いない。作者は「見たくないものを”見た”」。12人分の結論が、その中の核心を突く結論が、或いは作者自身の持論が、あまりにも現実的だからだ。
 この話はレビュー本題の「ノブレス・オブリージュの導き」に繋がるので、後述する。

〈ノブレス・オブリージュの導き〉

「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige優者の責務)」。
 「東のエデン」に於いて、なぜJuiz(ジュイス)はセレソンとの通話の最後にいつもこの言葉を、あたかも戒めるかのように、口にするのだろうか。その作者の意図は何であろうか。本作に於ける、この言葉の本質とは何であろうか。その本質は、やがて何処に直結していくのだろうか。
 ここからは、ノブレス・オブリージュの言葉の真意に、その真意の導くところに迫って行きたい。作者の意図の深みに嵌って行きたい。

・・ノブレス・オブリージュの描かれ方。

 まず、この言葉の本編での登場を説明しないといけない。
セレソンは、100億円の電子マネーがチャージされた携帯電話端末で、自由に、たとえそれが横暴だとしても、権力をチャージ残額の有効範囲内で揮える。その権力を行使する為の方法とは、セレソンがその専用携帯電話で人工知能Juiz(ジュイス。1人のセレソンに1人ずつ付くコンシエルジュ) との通話の中で申請することができる。セレソンが電話を掛け、Juizが電話に出て、セレソンが望み事をJuizに告げて、「受理されました。」とJuizがその望みを承諾し、通話が切れ、やがて望み事が行使される、という工程を経る。言葉はこの一工程の中で必ず登場する。依頼が承諾され、セレソンとの通話を切る時に、Juizが必ず添える台詞だ。
 「(依頼は)受理されました。”ノブレス・オブリージュ”。今後とも貴方が日本の救世主たらんことを。」
 作中、幾度もセレソンたちはJuizに望みを依頼し、その度に幾度も決まってJuizはこう言うのだ。この言葉が作中で多用される自体が、あるところでの世間に向けた作者の言論とも取れるが、鑑賞者側の人間がとやかく作品からメッセージを求め過ぎるのはあまり気に入らないので、そう勝手に捉えてしまう事には触れないでおこう。唯、上記「東のエデン」あらすじの様な事がもし実際に起こったとしたら、そこから物事が派生し拡散して行ったとしたら、現実問題でどうなるのか、それについては推考された現実描写力であることを否定できない(ここで言う現実描写力とは、作中の大まかな設定を指すのであって、内容ではない。内容は、やはり商業作品でもあるのだから、多少大袈裟に描かれている事は否めないし、どうしようもない。そうでなければ、この作品を映画化するなんて出来なかっただろう)。本作品には社会学的視野が根強くも行き渡っていて、その分野で本当はもっと褒められて良いほど、あらすじの初期設定や、派生される物語、セレソンの精神性などは、深く色濃く考えられている。それは作者の人間観察と社会学分野への幾つかの知識の賜物なのだろう。
 その色濃い思考の末の本作の設定の、深い位置のある描写のあるひとつが、作中の先刻説明した状況(セレソンとJuizとの会話)に於ける「ノブレス・オブリージュ」という言語の使い方なのである。
 今日、私はここに注目するのだ。

 では抽象的な説明から、具体的な説明に入って行きたい。
「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige優者の責務)」の意味を、簡単に紹介しているレビュアーを幾人か見た。その紹介はこうだ。「ノブレス・オブリージュとは、フランス語で一般的に、財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴う、ということだ」。
 この文だけを見ると、おそらくこの言葉を今まで知らなかった多くの人は、たとえば会社組織や学校組織を通じて考えるのではないだろうか。企業、会社組織内には位があるから、考えればこれだけでも浅くは理解ができる。平社員より部長の方がもちろん位は高いが、遵って部長の社会的な責任は大きく、時に重くなる。たとえば、大企業の社長は何かしらの不祥事の際には公に謝罪をするし、責任によって辞任する。高い地位の獲得には同時に責任が付属するのか、と。
 しかし、この思考展開だけでは本筋を辿れない。説明不足という事であり、本質がまるでわからない。なぜこの言葉がわざわざセレソンとJuizの会話に引っ付いているのかまるで理解し難い。
 上の説きを、歴史観を交えて押し広げて言い直すと、
「ノブレス・オブリージュとは、天下の事を自らの任務だと自覚し、その為には自己の利益をも犠牲に出来ると言う強き意識であり、責任感とも言える、エリート意識である」。

 史観を含めて説明する。
 元々、この言葉は広く貴族や皇族などの特権階級に対し使われる。たとえば、貴族は、自らが貴族であり続ける為には、その特権による自己の利益を、特権を持たない人民に提供しなくてはならない、というものだ。この例は、階級社会や貴族制度の理念が現代に息づいている英国の、上流階級に浸透している道理だ。イギリス人(キリスト教、ユダヤ教文化圏)が契約を大事にするというのは、必ずこの理念と通じている。長きに渡る歴史、その中の数々の反省から導き出された幾つもの理念、法。特権階級は、その特権を濫用してはならない。特権は、それを持たない人々への義務によって釣り合いが保たれる。上に立つ者は、それだけ社会の模範となるべき態度を取らねばならないという精神であり、不文の法である。この精神は「ノブレス・オブリージュ」の派生的なものだ。
―――。

・・何がセレソン(特級主権者)を生んだのか。

 さて、匿名富豪権力者に選ばれた12人の日本人は、100億とその自由行使の義務を与えられ、日本社会の中でセレソンという名の特異な時の権力者となった。では、それはどのような特権を持った権力者であろうか。その特権とは、自国を救済する為に100億円分の望みが叶う、というものである。 では、どのような権力者なのか。セレソンは自国を救う為、自国を考える。それは国民主権という立ち位置であり、国民主権に忠実なのを指示し、彼らは「主権者」という名を高めた存在であり、日本の救済を義務とする水面下の権力者なのだ。「特級主権者」と言っていいだろう。
※ 国民主権とは、国民が国家権力の厳選であるということ。自らが国をつくる(自らが国家である)という強い意識のことであるとも言えます。日本人の条件とは日本国籍を保持している人という意味に限りません。本質的には、前提として上の意識があり「私は日本人である」と名乗ってしまえば日本人だと言っていいでしょう。
 日本に於ける主権者とは、日本の国民主権を体得した人間のことです。
 彼等はまっとうな主権者たる主権者となったのです。

 ところで、我々日本人の多くが主権者を思い浮かべたところ、誰が(或はどのような機関が)脳裏に映るでしょうか。教科書には「日本国は民主主義国家であり、主権は国民にある」と書かれていたけれど、しかし国民と国家の間に隔たりが感じられる。国は政府とか何とかかんとかが動かしている、と思っている。自分が主権者という意識に、えぇーマジ?となる。無意識に避けている雰囲気が漂っている。
 そう。我々日本人にはパブリック=公共の概念が根付いていない。公共とは、誰かがやってくれるもの、と認識されている。自ら社会の中で合理的自立を成し得ず、この日本社会とは生まれた時から本来備わっているもの、そこに川があって山があってと同じようになくなることはないし、自分から関わらずとも自然の摂理のように普段から何かが処理、整備してくれるのだろうと思っている。このような民度の低い感性で、社会を営んでいるつもりでいるのである。
 例えば、民主主義とは元々あるものだからなくなることはない、としている。しかし、まるで人間の感受性と同じように、守ろうとしなければ失われてしまうのです。民主主義とは特に怠慢すれば容易く崩れる。資本主義すら怪しい。「日本(近代国家)に生まれてよかった」で完結するのではなく「日本に生まれたからこそ、相応の責務がある」と普通は考えなくてはならないのだ。
 明治以降、日本には「近代」の概念が輸入された。戦前には、その「近代」を更に乗り越えようとせん動き(ムーブメント)まで起こる。そして戦後、民主主義が導入されて日本は真の近代化を果たし、己自ら考え自立する近代的個人となる筈だった。
 戦後、我々は近代への努力に怠慢して来た。その結果が現代日本に刻々と現れんとしている。ハイパーインフレーションは止められるとは思えない。税率3%上がるだけでどんだけ騒いだことか。税率30%でも良いのに(これで半世紀ちょっと払い続けるのだ)。アベノミクスは失敗した。その経済政策についても我々は「月給を上げて欲しい」「政治家の給料を減らせばいいんだ」等としか言えなかった。政府は我々の愚民ぶりにつけ込んでいるのに。
 作中の言う「…自分からは何も行動を起こさないで、事態が外から好転することを夢想し、恨めし気にルサンチマンをかき鳴らし、ひ弱で役立たずのくせして権利だけは主張している…」by滝沢朗に肉まんをあげた元ニート。…である。
 選挙投票が”人気投票”になるのも、この田吾作文化から来ている。
 その怠慢に於ける知識と人間性の無知の中から、個人性が未熟で、物事を尊重しないコミュニケーションが生まれる。その社会関係に於ける相互作用が「空気」である。
 我々が「空気」を生み出さなければ、国に正常な作動が効いていたかも知れない。設定として、セレソンの生みの親とはMr.OUTSUDEではなく、我々なのだ。
 そして作中には、姿を現した日本の救世主セレソンに「任せて自らが自らを決定しない」騒ぎ立てる一部庶民の光景が描かれる。何とも、現実的である。

・・独裁という手段と日本病の行方。

 これが日本という国家レベルの国の抱える、難点である。
 セレソン各位は、日本を変えるには、この「空気感」をどう変えるか、と直結していることに気が付くのだ。
 そこで「リアリスト」ことセレソンNO.1物部は、「国民というのは、一億人のエゴイスト集団だ。」として、国民が気づかない内に自由を奪い、内務省を復活させる、云わば独断場に踏み切ろうとした。
 「ロマンチスト」ことセレソンNO.9滝沢も、「この国の王様になる」として独裁に踏み切ろうとする。((要請は「国王になる」だが、JUIZ(ジュイス、ノブレス携帯に応答しセレソンの要請を、物理法則的に可能な範囲で受理する優秀なコンシェルジュ) は「国王」を「総理大臣」と認識してしまう)) 
 さて、
1・独裁という手段の是非とは。
 独裁者でも、独裁の道理と社会秩序の倫理道徳を弁えた賢人なら別に国を任せても問題はないのです。これは常識。たとえ、デモクラシーが完璧に機能していても、悪政に、人民の生活水準が低いのならば、それは民主主義万歳!とは言難い。独裁制であっても、依って人民の生活が向上していくのなら、独裁イコール悪ではないのです。
 では、
2・なぜ、独裁か。
第一に、間に合わないのである。
 多くの人は疑問を抱くと思うが、一体何が間に合わないのか。独裁でもしなけりゃ治せない日本病とは具体的にどのようなものなのか。
 民主主義国家では国民が国家の厳選である、というのは先刻述べた通り。国を保つ、社会を営むとは、厳選された国民の人間性、知性に問われることとなる。”考える個人”でなければならない。この”考える個人”の社会性が国を形成します。
 ここから多くへ派生するのです。
 では、”考える個人”が欠如した場合、国の基盤に歪みが生じ、悪くて底が抜けます。基盤が頑丈で精巧なものであると、つみきは高く積みあげられますが、基盤が歪めばつみきは低くまでしか積めず、悪くて崩壊します。
 民主主義と取っても取れない表裏一体関係の資本主義ですが、勿論のことダメージ食らいます。
 「財政赤字」ニュースでよく聞きますね。国の歳入が歳出の半額しかないとかかんとか。国の借金は1000兆円を越したとかかんとか(国民一人当たり約800万円の借金)(ギリシャは借金30兆円で国債の暴落、経済破綻)。
 多くの人が、感覚的に茫漠とした不安を感じているのではないだろうか。昨今の選挙で無力感を抱いて更なる不安を。でも、今日も全く変わらぬ陽が昇っているので、考えないようにしようとしてしまっているのでは。国の借金だから、私の借金ではないと。
 歳入が歳出の半額しかない国が、やっていける筈はない。借金を借金して返済しているのですから。
 やがて数年(5年~8年と見積もられている)で日本国債の発行総額が金融資産を上回り、国債の消化は銀行や証券会社などの金融機関だけでは済まないことになる(銀行や証券会社に金を支払っているのは国民である)。国債とは、税収の不足を補う用途で発行される政府の借金です。国債は市場に出回り、国内の金融機関などに買われます。借金なので返済期間と利子がついて、国債が満期になれば政府は額面通りの日本銀行券と交換します(国債償還)。この国債償還を政府が国債所有者に対して(手元にお金がなくて)行えない場合、債務不履行(デフォルト)となります。既にデフォルトしていて可笑しくないのですが、平気な素振りを見せているのは不自然です。どうやら戦後の貯えを使い潰している説が真実かと。切り崩して生きているのですから、すぐ無くなります。それが、新たな天災等の異常時がない場合、あと数年で尽きるとのことです。あと、日本国は通貨「円」を持ち、「円」を発行する機関を持っているので(日銀)、お金を刷ることで国債を埋め合わせることが可能です。けれど、日本は税収の不足分と国債の借り換えを補う為に毎年約160兆円の国債を新規に発行し、この全額を日銀の通貨発行が引き受ければ、たちまち超悪性のインフレに陥ります。
→日本国債の価値が危うくなり、マーケットは国債を手放すでしょうが、買い手はつくはずないので価格が暴落。同じ事情から、新規発行の国債の金利が上昇する。すると発行済み国債が大きく下落。ここまで来ると相当に財界は騒ぎ立て、予算案は圧迫され、売りに売るのスパイラルに陥ります。銀行も負債に依って幾つか倒産し、その頃やっと国民も「空気」に依って騒ぎ出し、銀行から一斉に預金を引き出そうとします。国債の暴落によって銀行は引き出しにストップをかけると考えられます。国民の資産はふっとび、銀行の株価は下がり、企業への融資を止めることで倒産が連鎖的に相次ぎます。失業者に溢れかえり、公共機関が機能不全となります。イギリスの経済情報誌「エコノミスト」に書かれた通り、「国際社会の中で最も苦境な少子高齢化」が、ここに組み合わさることになります。経済は混乱し、多数の死者が出て、「円」、日本株は暴落します。ここで銀行が潰れて行きます。この輸入大国日本で物価が上昇し、ハイパーインフレを招きます。札束を抱えて路頭に迷います。円は瞬く間に国際社会から見放されるでしょう。公務員は大量に解雇され(ギリシャでは三分の二が解雇)、税率を引き上げ、国家規模のダイエットを始めます(セレソンNO.1物部と予見)。混乱に依って前例のない規模の死者(自殺者含む)が出ると思われます。
 経済破綻の文字を通り越していましたが、このように日本は東南アジアレベル、新興国(タイ、インドネシア)などと同程度の国家レベルまで落ち込むと予想されています。戦後から私達はもう一度やり直すのです。あの固定レート1ドル=360円の時代から。

 全ての行動に、当事者の責任が伴う。免れた責任は、必ず時を経て同形のまま再来する。
 当事者を我々日本人とするならば、近代国家としての努力を怠って来たツケが、今回って来たように思えます。

 現代の政治体制では手遅れと思われる。時間が掛かりすぎる。今から急いで踏ん張るとしても、税率を35%に上げて50年間こつこつ借金の返済に充てなくてはならない。自民党が無理やり強行すれば叶わないこともない(?)。国民は当然反対するだろう。先刻言ったように、他人に任せて愚痴を吐露する社会なのだから。
 ここで、独裁というセレソンの結論の意味がわかる。「なるほど、手っ取り早い」と。
 財政だけの話しではない。地球環境の保全についても、様々と例えられるだろう。勿論、有能な人物が独裁権を握ってこその話しだ。セレソンNO.9は力不足と思われる。
 国家規模で変革を求めるなら、国民の空気が充満する辺り、独裁の手段が手っ取り早いとなったのだろう。非現実的かも知れないが、ヒトラーに同じく、国民が愚かであればつけ込むことが出来るのだ。安倍総理もどこかの団体にファシストに任命されたと言うではないか。―――。

・・空気はやがてどこに流れ着くか。

 現代人はインターネット上に個人、或は匿名で全世界に向けて情報、意見主張を発信できるようになった。残念なことに、知識と合理性に欠けたコミュニケーションで、自分の意見を作らず他者の意見を垂れ流す主張が目に見えるようになったということである。
 先日のイスラム国の人質事件にもインターネット上では「自己責任」という意見が強く飛び交った。そんなところに行く、そいつが悪い、というのだ。今、多くの人が社会を知らぬままにプライドの先走る意見をさらけ出しているのだ。顔が見えないという心理的原因もあるかも知れない。2chは典型例である。
 国家とは、人民の生命や財産を守るためにある。国は人質解放に全力を尽くす。今回、尽くせていないが。イギリスやアメリカの対応は俊敏に変わった。これも、残念ながら民度の違いである。
 このように、無作為にがたついたプライドの先走る意見が蔓延することで、やがて日本社会の一部は社会性、連帯感を喪失し、インターネット・アノミーへと陥るだろう。無法状態である。猿並と言えば、猿に申し訳ないぐらいである。ここ5年の内に明確化して来るかも知れない。
 然も、(主に都会で)隣の住民がわからないという社会状況に加え、今後の更なる日本の低迷化。戦後、国を立ち上げられたのは隣人との気さくな仲、「always三丁目の夕陽」のような社会性あってこそだが、これでは社会を立て直す、或いは社会性を取り戻すこともいかんせん難しい。
 空気はやがて、インターネット上でアノミーを生む。インターネット上での無連帯感は、やがて現実問題として姿を現すだろう。―――。

・・ミサイル攻撃に依る国家骨抜き作戦。

 セレソンNO.1物部は、まず国民の自由を奪い、戦前「官庁の中の官庁」と呼ばれた内務省を復活させて、国家規模ダイエットを行い、有能な人材を選抜し再配置し、グローバル社会に通用する部門だけを有効に機能させる「小さくて小回りの効く国」、そして意思決定をアメリカに委ねない国家の自立を目指している。「一億総他人任せ」の空気をも解放すると言う。
 その為にまず現行国家を骨抜きにする手段として「60発のミサイル」の発射に踏み切る。
 国家緊急権が日本にはないに等しい。緊急時の対応が遅れる懸念が心配されている。しかも、日本は東京に心臓と脳を置いている為、山手線の内側を破壊させる程の威力のある爆弾を投下されれば、日本は機能不全に陥るどころか、文字通り崩落するだろう。
 「60発のミサイル」でなくとも、骨抜きにすることぐらい簡単であろうか。この国は危機に脆い。
 実際、これから現実に起こりうる事態である。戦争は五日間で終結するとの意見もあり、腑に落ちる次第だ。―――。

・・セレソンNO.9「日本中ニート化案」の説明。

 題の通り、「日本中がニート化すれば、上の連中も頭下げるってもんよ」という主張である。端的に言って、社会活動をストライキする事によって反抗する、ということ。
 現在進行形のニートがニートしていてもどうにもこうにもならないし、返って日本病が悪性になるだけだが、全国でニート化すればどうだろう。鉄道会社がニート化すれば列車は動かないし、税金払わないでいるのも有効だ。
 ここで「迷惑だから止めてくれ」と文句を言う人こそ、「迷惑」ぐらいにしか認識出来ない、我ら愚民なのである。
「テロは止めてくれ」こんな事を言う人も何もわかっちゃいない。テロは、言論を主張、議論に最善を尽くした後にやっと見えて来る反抗手段だ。明確な殺傷行為である。抵抗権とは見極めなければならない。端に会社を休むだけじゃないか。何がテロだ。
 「反抗ならデモで良いじゃん」という意見が聞こえてきそうだ。
 “デモとは、無意味な抵抗手法である。”というのが私の意見だ。なぜなら、多くの人がデモに関心を示していないからである。
かつて、デモが左翼思想やマルクス主義思想と結びついていた頃、デモ隊には同心円状に共感者、同調者が取り囲んでいた。デモが全体性民意を体現していたのである。だから政治家もマスコミも理解し応答した。しかし、現代のデモはムーブメントとしての内実が変容して来た。同調者はなく、孤島化しているのだ。しかも、デモの参加者(多くは右傾化した若者世代)はそこに自らの居場所を求めてしまっている現状である。同じ価値観を持つ者同士だけで寄り集まり、自己満足感に浸る。しかも、旅費と時間を使って集合し、叫び、解散する、この一連の流れがデモ参加者に達成感を与え、「空気」の”熱”を消費させている面もあるとのことだ。当然、政府もマスコミも呼応しない。今では、デモはパレードと呼称されるらしい。もう開き直って楽しむことが前提らしい。それでは遊び仲間は集まるが、社会への関心は集まらない。
 しかし、実際ストライキをやる人はどこにいるのだろう。誰もが利己的に自分の事情を気にするからだ。
 その例に、作中、日本救済のシンボルとしてセレソンNO.9を盛り立てる大衆のごく一部(ニート諸君)が描かれているではないか。彼らは前述の通りにNO.9に全てを任せっきりで、それは周囲の"空気"に冷ややかな視線を送られ、明らかに孤島化していたではないか(空港のシーンとか)。その孤島の中身も、誰かを象徴化し自らがそれに従属し、居場所と安心を(楽を)求める人々の集合体ではないか。思えば日本の天皇制と同調する話しだ。「空気の海」の中で「空気の島」が孤立化する状態である。どうにもならん。セレソンNO.9の考え至らず、である。―――。

・・そして日本に志士はいない。

では、「もう散々だ!」と思うので、話しを纏めに掛かりましょう。
 女子力がどうとかプリクラでキャーとか、新しいデパートがどうとかパチンコが覚醒だとか、そんな今にも時代が変わろうとしている。私たちがアニメを見ている間にも、刻々と躊躇いも労いもなく現実が押し寄せる。そういえば、地震予期作用とか火山活動とかがまた活発になってきているらしいし(周期がまた回って来たのだ)、地球温暖化(気候変動)も相当に不味い過酷な状況だ。
 バブル期も同様だったらしいが、今が幸せであれば、その後の不幸なんて見る気もしない。そんなのデマだろ、とか。お前が他人の幸福にひがんでいるだけだろ、とか。
 私たちは不幸が現前に正体を現すまで一切判断しようとしないのだ。

 私達は、偶々、古き良き時代に生きているだけなのだ。その終焉に猶予はない。
 そして日本に志士はいない。第二の維新は不可能か。

 では、生き残る人間は、どのような者か。
 ノブレス・オブリージュという概念を体得した人間。
 「我らが国家、社会の中枢である。」という強き意志を抱く者達である。
 まるで幕末の志士のようだ。
 元々「ノブレス・オブリージュ」とは、国を動かせる高位の主権者に向けられた概念だった。しかし、高い位の人しかこの意識を持ってはいけない理由はないし、全ての国民に主権のある今、寧ろ意識持って然るべきものである。 

・・ノブレス・オブリージュの導き。

 他者は自己ではない。他人の人生を生きてはいけないのだ。
 我々は立ち向かわなければならない。そして、立ち向かうとは付き従うことではないのだ。他者に頼り切ることは不自由である。自らの弱さに諦めることは限りなく不自由である。不自由とは、或いは自己逃避とは、現時点で楽な生き方かも知れない。けれど、後で更なる苦境が待っているだけだ。借金を借金して返していることと何ら変わらない。
 壁とは常に自分である。壁を模造するのも自分自身だ。己自身の力で対闘するしか手立てはない。
 人生とは辛い。しかし、最善を尽くしていれば辛くない。全ては、己を知るところから始まる。全てのノブレス・オブリージュの人も、誰もが最初、ここから始めるのだ。1人1人気が付いていかなくてはならない。全員でせーので気が付いた時には全てがとうに遅すぎる。

 明確であるべき目標が曖昧なら、歩き方も曖昧になる。未来はある程度予期できる。予想が立てられる。社会とは大きく人に影響を齎すのだから、自己の問題として自身で対策、処理を出来る範囲で行うべきだ。予想する仕事は学者などの専門家に任せてもいいだろう。今こそ啓発に耳を傾け、考える個人であるべきだ。

 日本を変える手段は教育にある。民度の向上こそ最も良き解決の糸口である。まず、エリート意識の普及である。点と点から、やがて枝分かれして途切れなければ連鎖的に広がっていくだろう。その意識の根拠として、この理念が挙がるだろう。それが此の国の未知なる標である。いつの日か新たなるJapanese democracyの開化に向かう、ノブレス・オブリージュの導きである。


・台詞集
{netabare}「この国には頭の良い連中が一杯いんのに、損な役回るやる奴がいないんだ」
「この国は、どの道一旦は誰かがなんとかしなきゃならないほど、可笑しなことになってんだからさ」

「全共闘時代、当確連がセクトの支持で成田闘争に参加すべく、彼方東を目指して掘ったトンネルです。弾劾世代が闘争ごっこ繰り広げたトンネルにピンチを救われるとは。焚きすべき世代の産物を使って敵を出し抜く、痛快な気分です。じゃが、こういったもんを私も積極的に受け継いでいけんかったんかもわからん。」

「国民というのは、一億人のエゴイスト集団だ。今や総理大臣など、ただの生贄に過ぎない。自由を手に入れ、不自由になった国民のストレスのはけ口というだけだ。」
「国民とは飽く迄、国家を構成するパーツの集まりに過ぎない。個人的な感情を注ぐ対象ではない。「1人1人は皆、何者かになりたいと思っている個人な訳でしょう。」「それが厄介なのさ。全員が何者かになるなど、そもそもありえないことだからね。」
「この国の人間は呆れるほどシニカルだ。」

「新聞を一部、譲って貰えないかね。」「良いっすよ。金はいいよ。一部だけ欲しいって人は、ほんとに新聞読みたい人だから。」「一部とは言え、売り物だろ。」「読まないのに取ってる人から貰うから大丈夫。唯、そういう奴程中々払わないんだけどね。」「たしかにな。時に小僧、なぜ今時に新聞配りなんかやっておる。」「金貰う練習の為、かな。へへっ。人って面白いもんで、金の払い方は五歳からでも知ってんのに、貰い方は大人でも知らなかったりするんだよね。そら、金使うほうが頭下げて貰うより気分良いから。お客様は神様です、なんつって、つい消費者最強を振りかざすけど、あれって本来は売る側の気持ちの話でしょ。」「そうだな。」「だけど、みんなが金を払う側になっちゃったら、一体誰がサービスするんだって話だよね。俺は、金は払うより貰うのが楽しいって社会の方が健全な気がするんだけどな。」

「嘗て、我々はこの国の為に、何かを成そうとがむしゃらにやってきた。だが今になって、あれは過ちだったと歴史の汚点のように言われる。しかし、我々とてあの時代には右も左もわからぬ新人だった。我々の築き上げて来たものが誤りなら、正解はどこにあったのか。しかもようやく何事かを成したと思った頃に、今度は世界のルールが大きく変わってしまった。この国が深みを増す前に、新しい考えが優位性を持って対抗してきた。年寄にそのことを受け入れろというのは酷な話だが、それでも奴らに権限を委譲し、責任を負わせてみろという訳か。日本人が愛して止まない坂本龍馬も白洲次郎も、実際には綺麗な立ち回り方を選んだが故に、その一張羅に土が付かなかったに過ぎん。だがこの国の本当の救世主は、日々をこつこつと生きた名も無き者たちであり、結果一敗地に塗れこの世を去った歴史の敗者たちだ。その事実を無意識に嫌うものを善しとする趨勢(すうせい)の中、NO.9はスケープゴート(生贄、身代わり)となり火中の栗を拾うという。面白い。今回のゲーム、これにて一旦の幕としよう。勝者は決した。」

「ノブレス・オブリージュ。今後も君たちがこの国の潜在的な救世主たらんことを、切に願う。」  {/netabare}



2013/8/2「noblesse oblige今後も貴方がこの国の救世主たらんことを。」投稿。
2014/8/10「ノブレス・オブリージュの導き。」改正。
2015/1/29                 加筆。投稿。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14
ネタバレ

Pまん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

滝沢朗と名乗った男は、何故、自分の記憶を消したのか

視聴:2回(アニメ+映画×2)+総集編1回

皆のレビュー読んでたら、誰も書いてないんだもん。書いちゃった。

個人的な印象は、詰め込み過ぎ。
え、もちろん大好きですよ?
好きじゃなかったら、こんなレビュー書きませんって。

では、この物語のわりと本質的なトコロ、掘ってみますよー。

滝沢朗と名乗った男は、何故、自分の記憶を消したのか。
本編中に、登場人物の言葉で答えらしきものが提示されていますけど
まさか本気で信じたりは、してませんよね?

以下、アニメ+映画×2のネタバレを含みます。
ネタバレはアニメと映画で一応分けてますけど、鑑賞済の方のみどーぞ。


{netabare}
とはいえ、お楽しみは後の方にとっておきましょう。

まずは100億円。やっぱりみんな、コレ気になってるみたいですね。
ノブレス・オブリージュ。本作中では『持てる者の義務』ですね。
感覚的には、100億円=持てる者なんでしょう。
でも、この100億円、ホントはお金じゃないとボクは思うんだよね。
たぶん、ジュイスに働いてもらうためのポイント。ただの数字。
もちろんお金としても使えるんだけど。便利だからね、お金。

お金を使って何かするのではなく、目的のためにジュイスを使う。
コレが、アウトサイドが望んでいた本来の使い方じゃないかな。

次、ちょっとわかりにくいけど、ヒロインが牛丼かけられるトコ。
いらっとするシーンだけど、こんなことあるわけないと思ってる?
実際に社会に出ると、もっとひどい事を何度も目撃・経験できますよ。
それはさておき、ここで描いているのも、ノブレス・オブリージュ。
『位高ければ徳高きを要す』ですね。

せっかくなので、牛丼をかけさせた側の事も書いておきましょう。
たぶん、卒業旅行で面談を欠席したから嫌がらせしたのではありません。
重要なハズの面談を欠席する子がどんな子か、興味あったんですよね。
そして期待は裏切られた。2重の裏切り。描写が丁寧だなーと感じます。
牛丼をかけるよう指示する人、実行犯、『事件を期待する』女子社員。
まあ伏線のひとつですよね。こういう描き方は上手いなぁ。

次いきましょう。裸で登場。
まず、裸は持たざる者の象徴でしょう。ニート軍も裸ですからね。
『寒くないですか?』『寒いですよ』
思わず、ヒロインは帽子・マフラー・コートを貸します。

ココは推測ですが、冒頭、No9が裸で銃を構えたのはNo1の罠。
No9が自身の記憶を消した直後、罠情報を吹き込んだのでしょう。
お前はテロリストだったんだよ、ってね。
携帯で正気に戻ったのは、サポーターのおかげです。
正気に戻ったというより、もう一度記憶を消されたというのが真相かな。
ジュイスが『あのままフェードアウト』と言っていますから
自身の記憶消去から、しばらく時間が経過していると考えられます。
同じアパートの住人が、No9を見て気軽に挨拶をしているのも
テロリスト風に仕立てられたアジトに滞在していたことを示します。
『こりゃ絶対だれかにハメられてるな』とはNo9のセリフ。
丁寧な仕事、お疲れ様です。まー違ってるかもしれないけどね。

通行人がズボンを差し出すシーン。ココすごく好きです。
ヒロインはこう考えてます。『何でズボン貸すわけ?訳わかんないし』
当然です。たぶん日本では起きません。欧米だからじゃないかな。
欧米、おそらく富裕層におけるノブレス・オブリージュの意識の高さ
を感じさせるシーンなのだと思います。No9は頼む人を選んでますし。
咲さん、あなたがやった行為も、ノブレス・オブリージュですよ。

では、冒頭の記憶の消去について触れましょう。
No9は、何故、自分の記憶を消したのか。
作中では『助けた人と協力した人の双方から裏切られた』と語られます。

え、逃げたの?No9はそんな子じゃないよね。
落ち着いて考えてみましょう。何故、映画の記憶は消えてないのか。
映画の記憶が必要だったから?自分の記憶だけが不要だったから?
ボクは、こう考えます。
記憶を消す前のNo9は、客観的な感情を欲したのだと。
だから自身の感情は切り捨てた。記憶と共に。
自分の感情に惑わされないように。映画の記憶だけを頼りに。

アニメのラストで、王様になる時の決意。それと同じ動機です。
ループしてますよね。これが『上がり』なはずはありません。
{/netabare}


ここから先は、映画版を含むネタバレ。


{netabare}
さて、一気に飛んで、映画2の終盤。No1との会話シーン。
『愛が無い気がする』
コレ、字の通りに読んでもいいんだけど。
自身の感情を記憶と共に封じた事があるNo9の口から出た言葉です。
感情も、やっぱり必要だって意味ですよね。
誰かを生贄にしていたのでは楽園にたどり着けない。そういうことです。

次は、楽園についてです。
主人公は楽園へ行く方法を発見しました。
ここまでちゃんとついてきてたら、もうわかりますね。セリフを引用しましょう。
『上がりを決め込んでいるおっさんたちは、今すぐ、必死でためこんできた
ものを捨て、俺たちと一緒に、新たな楽園に旅立つ決意をしてほしい』
この言葉、あなたの胸には今、どんな風に響いていますか?
No1を否定したのですから、既得権益の再分配なんて話ではありませんよ。
残念ながら楽園は、1人の力では行けないんですよね。

映画のラスト。
アウトサイドは全員を勝者としたのに全員の記憶消去?明らかに変です。
騙されてはいけませんよ。記憶を消去されなかった者が勝者です。
え、2度目だから効かなかった?違いますよ。
アニメの冒頭とラスト+放送前、たぶん記憶は3回消えてますからね。

最後、シーンはちょっと戻るけど。
『払うより、もらう方が楽しい社会』
主人公のセリフですけど、うーん、わかりづらい表現ですよね。

『お前なんで働いてるの?』昔、会社の先輩が、ボクに聞いたんです。
当時はそんな事、真剣に考えたことなくて、親が借金抱えてたから
なんとなく『家を支えるため』って答えたんですけど
その先輩は『自分のため、お金のためだろ』って言うんですよ。
でも、ボクにはピンとこなかったんですよね。

コレ何年も考えてて、まだ答えは出てないけど、今ならこう答えます。
『誰かを幸せにするために働いている』ちょっと夢見すぎかな。
でもボクは、主人公のセリフって、そういうことだと思っています。


おまけ。
アウトサイドはサッカー好きだと作中で語られています。
各セレソンには番号が振ってありますよね。
12番のセレソンがサポーターなので選手ではありません。
では他のセレソンはどういうポジションになるんでしょう。
これだけで1本レビューが書けますね。本題から逸れるのでしないけど。

次は、そういう視点で見ると、また違った楽しさがあるかもしれませんね。

それでは。
皆様の心の奥に『ノブレス・オブリージュ』が根付く事を切に願います。
{/netabare}


ネタバレのネタバレ。やっぱり無粋かな。

{netabare}
何度も見たわけじゃないから確信はないけど、テーマは意識しました。
表テーマ『ノブレス・オブリージュ』
裏テーマ『ミスリード』
信じていいのは、登場人物自身の行動描写と、自身の発言だけ。
これを心がけると、ある程度わかりやすくなると思います。
こう考えたんじゃないかな?という発言は、裏があると思っていい。

No4の刺殺、No5の光が消える演出、No11のジョニー狩り
どれもミスリードを誘っています。

携帯の履歴は、必ずしも目的と一致しません。
たとえば『タンクローリー事故誘発』→『No9の足止め』など。

『豊洲をミサイル攻撃』→『飛行機撃墜』搭乗予定者を狙っていた。
このアニメでは、飛行機に偶然当たるなんてありえませんよ。必然です。
60発のミサイルの目的地が豊洲を含むのも、それを示唆しています。
No9さん、咲ちゃんと飛行機乗る前に携帯使わなくてよかったですね。

『記憶の消去』→携帯の履歴から、記憶の消去は咲に会う前日の昼。
アニメ冒頭の記憶消去シーンはNo9自身の依頼ではないという論拠。
また、迂闊な月曜日から日があるので絶望が直接の原因ではないと推測。
記憶を消した時点では、No9はこの日に帰国する予定だったハズ。
実際には帰国せず、翌朝、全裸でテロを実行しようとしていた。
自分から全裸になっているので、自分の意思でテロ行為に及んでいるが
履歴と行動の辻褄が合わないので、誰かの意思が働いた結果だと推測。
ジュイスを介さずに記憶を消せるのは、作中ではサポーターだけ。
No5の記憶消去は履歴に残ってませんからね。

それぞれのセレソンの行動原理もあわせて考えるとわかりやすいかな。
たとえば、No1は直接的・間接的問わず、他人にリタイヤを強いる。
ゲームを上がる方法は、1つではないからね。
目的が監視だけなら、わざわざアメリカまで足を運ばない。
No1は絶対何かしてる。ヒントは作中に描かれてるハズ。
ボクがココに目をつけたのは、No9が鉄砲を持つ必然性を考えたから。
伏線だらけなんだから、意味もなく鉄砲なんて持たせないよね。

あと作中の『ニート』は『幕末志士・浪人』をイメージしてるっぽい印象。
まー、あまり関係無いけど。
{/netabare}



更新履歴
2012/07/08 初期投稿
2012/07/09 ネタバレのネタバレ・更新履歴・視聴回数を追記

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8
ネタバレ

レオン博士 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

閉塞した国をそれぞれ別の方法で壊すため戦った2人の英雄

日本の社会問題に切り込んだメッセージ性の強い作品でいろいろ考えさせられる話です。
評価が分かれる作品ですが、それは仕方ないと思う。

この作品は視聴者がどういうスタンスで視聴するかによって評価が大きく変わるように思います。
何も考えずに雰囲気と勢いに流されて見れば雰囲気が良くて主人公の行動力とカリスマ性に突き動かされた勢いのあるとても面白い作品。
日本の社会問題を考えながら視聴すると、色々考えさせられるメッセージ性の強い作品。
でも純粋に物語を楽しむ視点でキャラクターの行動の妥当性やシナリオの整合性なんかを気にしだすと、荒唐無稽な雰囲気だけの駄作っていう評価になるのも無理はないかなと思います。

【日本の社会問題に切り込む本作品、空気と戦うとはどういうこと?】
{netabare}
「空気」と戦うとはどういうことなのか答えが明確に示されてなくて、作品を見て感じるよう委ねられているところは面白いと思う。

「世の中の悪を正す」「高齢者が安心して生活できるように」「性犯罪者を断罪する」それぞれ日本の問題を真剣に考えてなんとかしようと奔走しているのがわかります。
でもちょっと極端な考え方で、なんとかしないといけない問題点なんだけど、視点がとても狭くてそれだけを解決しても国は良くならないですよね。
これって、現実でも政治家でこういう主張する人がいるけど極端な主張はなかなか通らなくて実現しない。だからセレソンの力を使って実行しようとしているんだと思った。

この作品はまずそういった視野の狭い問題に向き合う人たちを描き、そういう問題もあるよねって思わせてから、後半でもっと視野が広い根源的な問題をなんとかしようとしてた滝沢や物部達をこの物語の中心人物として描いていました。

じゃあその根源的な問題ってなんなの?
これがこの作品のメインテーマ。

作中で咲ちゃんが就職先でいじめにあって、自分の悪いところは認めながらもその理不尽な出来事に涙を流す咲ちゃんを見て、無理しなくていい、耐えなくていい、俺がしょいこんでやる、と言って空気と戦うことを決意する滝沢。
なんとなく見ているとなんで?ってなる場面だけどとても重要なパーツだと私は思った。

これって、この国の腐っている部分をすごく端的に表現していると思ってて
私たちがこれが正しい、これは間違っているって思って行動を起こそうとしても、世の中がそれを許してくれなくてうまくいかないことってとても多いんですよね。
それは権力者による圧力だったり、周囲の人間の同調圧力だったり、社会全体からの「こうあるべき」の押しつけだったり、そこから外れることが悪とみなされる理不尽な世の中。出る杭が打たれる世の中。

そういった理不尽こそが戦うべき「空気」なんだと思う。

でもその空気と戦うことはとてもしんどくて、勝ち目のない戦いに挑んだ気骨のある若者はみんな挫折して気力を失ってしまう。
変えようとする意志、立ち上がる勇気を失っていく。そして漂う停滞感。

これこそが日本を蝕む不治の病であり、それなら壊してしまえと思ったのが物部で、壊すんじゃなくて一人一人が立ち上がる意思を持って戦わないといけないっていうのが滝沢だった。

ふたりは手段は違うけど、この閉塞した国をなんとかしないといけないと思ったのは一緒でした。
物部の出した答えは「少数のエリート官僚がすべて管理するコンパクトな国家」政治家や権力者が権益という名のパイを奪い合っている体制を壊さないとこの国はダメになると思ったんですね。

物部の仲間はエリート官僚うんぬんはともかく、日本を一度壊してリセットしないといけないっていう考え方は一緒で、だから協力していました。
その結果がミサイル発射事件、迂闊な月曜日事件でした。

物部たち強硬派チームはいちど日本を破壊して作り直すことを画策して、滝沢はそれを防ごうとした。
でも滝沢はただセレソンの力使って力づくで停めるんじゃなくて、ニート達を煽動して停めたんですね。
これが「空気と戦う」ということだと思う。
ニートって何もしない、役に立たないってイメージがあると思うんですが、そんな何もしない人代表であるニートを煽動して日本を救うために動かす。
一人一人が「日本を救いたい」という意思をもって考え、行動を起こす。

これが空気と戦うということだと思いました。

滝沢が全裸で逮捕されるという一見すると意味のない行動は、日本と同盟国なのにミサイルをなんとかしようともしなかったアメリカへの不満をストレートにぶつけようとした結果でした。
これは、日本国民が今現在アメリカに対して思っている漠然とした不安を代弁しているかのようで、「アメリカが守ってくれる」のは本当にそうなの?っていう疑問を滝沢を通じて投げかけているんだと思う。

実際アメリカは正義の味方ではなくて、アメリカのために日本を利用していて日本もアメリカを利用していて利害が一致するから同盟しているだけなのですが、アメリカの力のほうが強いから日本はいざというとき捨て駒にされてしまう危険がある。
でも私はそれを批難しているわけじゃなくて、どの国も自国が大事なのだからアメリカが日本を便利な道具としてみているのは当然だと思います。
ただ、日本人の中に「アメリカに任せれば大丈夫」と自国の生殺与奪権を他国にゆだねてしまっていることがいかに危険なのか、他人任せで立ち上がろうとしない、そんな無気力な国民を量産してしまった「この国の空気」に一石を投じることはとても意味のなることだと私は思うのです。

{/netabare}


【物語としてみると粗が目立つ微妙な作品に】
社会問題を取り上げた部分は良いけど、物語としてみると粗が多いんですよね。
特にセレソン関係の設定が、国を救うという壮大な目的に合致してなくて「国を救うのが目的」ということへの説得力が欲しい。
{netabare}
まずセレソンの人選がよくわからないこと。
一番おかしいのは、目的達成した人以外は消されるっていうこと。競わせるより協力させたほうがいいと思う。無能な人は始末される罰則はあっていいと思うけど。
この設定は国を救うという目的を掲げるなら、かなり不自然な懲罰だと思う。

実際、みんな自分のやり方で世の中のためになることをしようとはしていたけど、それは自分が感じる社会問題をなんとかしようとしているだけで、国を救うという視点に立っているセレソンはほとんどいなくて、主張が違う政治家の代理戦争をしているようにしかみえなかった。
対立させることで無駄なことに金を使うのは明らかで、誰かが達成すれば全員報酬があるけど一部私利私欲に走って奪う側に回るキャラがいるっていうくらいのほうが良かったかも。
この対立という構図は国を救うっていう目的がぼやけてバトルのほうに比重が傾いているのが、社会問題にメスを入れるっていうメッセージ性がストレートに伝わらない原因かなと思います。

それから、滝沢がアメリカで逮捕されようとしたり、記憶消したりするのはかなり疑問でした。彼が主張したいことはわかるけど、そんなことをしても意味はないと思う。

他にもキャラクターの行動には疑問に感じることも多くて、物語の完成度としては高いとは言えないと思います。
{/netabare}

そういう設定の問題はモヤモヤしましたけど、大金と権力を自由に使えるバトルというのはとても斬新で面白かったですね。

【キャラクター】
咲ちゃんがすごく可愛い。早見さんの声はやっぱりいいですね。
滝沢明は彼の活躍を通してメッセージを発信しているので当然ですが、主人公らしい主人公でとても良かったです。

【感想】
物語に引き込む力はすごくあると思う。すごく面白かった。
日本の社会問題に切り込んで、強い政治的なメッセージ性を持っているところは面白い部分で、見せ方が面白いと思った。

あとは物語としての精密さがあれば完璧で、この設定を生かすギミックをもう少し工夫すればもっといい作品になったのではないかと思います。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 24

84.7 3 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング3位
PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (2432)
13650人が棚に入れました
システムが正義を下し、銃が人を裁く近未来。
銃の射手として犯罪者を追う刑事たち。
システムを逸脱する犯罪に直面したとき、果たして──

人間の心理状態や性格的傾向を計測し、数値化できるようになった近未来。人々はこの測定値を「PSYCHO-PASS (サイコパス)」の俗称で呼び、その数値を指標として「良き人生」をおくろうと躍起になっていた。

犯罪も数値によって対処される。厚生省公安局の刑事たちは、高い犯罪係数を持ち犯罪者の心理に迫る猟犬「執行官」と冷静な判断力で執行官を指揮するエリート「監視官」がチームを組み、包括的生涯福祉支援システム「シビュラシステム」によって解析された犯罪に関する数値「犯罪係数」をもとに、都市の治安を守る。彼らは、数値が規定値を超えた罪を犯す危険性のある犯罪者「潜在犯」を追い、「犯罪係数」を瞬時に測定し断罪する銃「ドミネーター」で執行するのである。

「犯罪係数」が正確に解析できない「免罪体質者」槙島聖護の事件を経て、刑事として成長し、シビュラシステムの真実を知るに至った監視官の常守朱は、人間性と法秩序を信じながらもシステムに従い、新たな刑事課一係を率いて日々犯罪に立ち向かっていた。

システムを揺るがす怪物が、すぐ目の前まで忍び寄っていることを知らずに──

声優・キャラクター
花澤香菜、野島健児、佐倉綾音、藤原啓治、櫻井孝宏、伊藤静、沢城みゆき、浅野真澄、井上麻里奈、木村良平
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

新生公安一係

人の個性、感情などを完全に数値化した世界で
執行官(犯罪計数が高く犯人逮捕にのみ世間と関われる者)と
監視官(執行官を監視するもの)がチームとなって事件を解決していくストーリー。
本作は1期から一年半後からのスタート。


今期のストーリー物の本命はコレ。
秋のラインナップを見る限り、他に奥深さを持つ対抗作品も無さそう…かな。
音楽も相変わらず良いし非常に楽しみな超期待作。

あれから一年半の歳月が過ぎ、朱は狡噛イズムを継承し更に成長しているようです。
凛然とし観察力&プロファイル力もUP。デコポン撃った後はかなり決まってました。
シビュラ頼りではなく自分で考えて行動する逞しさも持ち、今や公安のエースです。

王陵事件で親友を殺され涙した霜月ちゃんも立派な社会人。
あの後、色々と決意しここに至っている事が伺えます。
「先輩は間違っている!」
彼女なりの経験から導き出された正義が朱とぶつかっていきそうです。

他にも「訳」と「一癖」をもってそうな二人の新たな執行官が加わった
公安一係の活躍が楽しみです。


注:【考察・予想】というのが時折出ますが、原作を知らない状態で書き込んでいます。
ネタバレとは異なりますが先入観を持ちたくない方はスルーしてください。

※1話感想{netabare}
「表」の事件は朱の判断もあり犯人確保で決着。
さり気なくドミネータの3形態を紹介していたり、
執行官を一係では人として扱い、二係では駒として扱い対比させたりして
導入としては上手い見せ方でした。
冒頭がクスリのCMでしたから今期は薬絡みなのかな?というのも予感させます。

そして成長した朱の裏の裏を突く新たな知能犯、鹿矛囲桐斗の登場で
物語に深みある期待感が漂っています。
どうやら数値以外も完全コピーするヘルメットの強化版の様なものを持っている様子。
うーん、強敵要素満載ですね。
公安一係との戦いを予想を交えながら観て行きたいと思います。
{/netabare}

【予想】メッセージ「VVC?」の第一印象{netabare}
パッと見てトイレ?とか思ったけどね。(笑)
反転や鏡面で見ても何も無さそうです。
最後の「私という色を問う私自身の戦い」
と言う台詞通り、色に関係してそうなんですけどね。
何色にも染まる白色「WhiteColor?」なのか、
WはどうもVが重なったような書き方なので「ViVid Color?」
お前の原色は何だ?と言う問いになってるとか、そういう感じかな。
{/netabare}

※2話感想{netabare}
捜査を進める公安だが次第に深まる謎や違和感。
朧気に共犯者の影にも気付く朱達はホロに隠れた透明人間を見つけられるのか…?

しかし今回のトリックはヘルメット以上の難物ですね。
鹿矛囲はどうやって喜汰沢に近づきどうやって色相を戻したのか?
ホロコーティングで人やカメラの目を騙してよしんば侵入できたとしても
他人の色相変える能力は何だろう?催眠術くらいじゃ無理だろうし…。
またシビュラが欲しがりそうな人材ですね。

喜汰沢は折角前回助かったのに…いや助けてもらったのに結局エリミネーターの餌食。
鹿矛囲は必死に喜汰沢を逃がそうとして叶わず朱を恨んでたみたいだけど
逆恨みじゃん。
お前が余計な手を出さなきゃ少なくとも生きてたし
時間かかっても回復に向かっただろうに…。

今の所、鹿矛囲なりの正義の形が見えないのでこんな感想になってますが
1話の事件起こした時から既に色々あるんでしょうね。
彼の目的が見えてくればガラリと様相が変わりそうなので期待しています。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
悪魔の証明=『全く無い』事を証明するのは非常に困難の意。
朱たちは手掛かりを求め奔走するが未だ不明のまま鹿矛囲の存在だけが大きくなる。

鹿矛囲のマッドぶりが怖い。酒々井さんも可哀想に…。
青柳さんも含め今期序盤は二係にとっては試練ですね。
そのうち一係にも降ってきそうですが。

一期で逃亡した執行官は撃たれてたんですね。
公安の内情も知っているし、もう少し深く関わるかと予想してたんですが
意外とあっさり退場の様です。

雑賀さんは隠遁生活かと思ってたら変人施設に収容されてました。
でも意外と快適そうですが。
地味ですけど知的な言葉のやり取りは面白かっです。
自身への問いを敢えて投げかけ確かめている感じのする朱も
彼女らしくて聞き応えあるシーンでした。

鹿矛囲の目的が未だ判らず不気味さがじわじわと広がりを見せていて興味深い展開です。


予想の方は細かなヒントはあるもののまだ範囲が広く
『鹿矛囲は実は居ない(人じゃない)説』、『東金と繋がってる説』
等々、ぐるぐる巡っています。
『鹿矛囲=逃亡執行官説』もあったんですけど今回で可能性低くなりましたかね。
「WC?」=WhatColor?にも更に深い意味が隠されていそうな気もします。
もう少し整理がつき、絞れたらここにも書こうかなと思いますが
予断を許さぬ展開で隙がないんですよね。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
「監視官をドミネーターで裁けるのか?」を意図とした鹿矛囲の実験が成功。
まるで犯罪計数養成ゲージと成ったメンタルケア施設での結末は見るも無惨。

前半のドローンどうのこうのってのは中に酒々井さん入れて運んだって事かな?
別の用途もあるのかな?

直接描かれてはいないけど青柳さんと会話していた薬剤師くんが鹿矛囲のホロでしょう。
青柳さんが撃たれるのをしっかりとその目で確認した鹿矛囲の思うがままの事件。
何れは朱や公安、その先のシビュラにも牙が向きそうです。

でも、シビュラの意志(ドミネーターの判断)を無視してまで
市民を守り正義を執行しようとした青柳さんの刑事魂は天晴れでした。
結果として何一つ叶わなかったのが哀れで悔し過ぎますが…。
シビュラの判断のままその市民にまで引き金を引いた三係の執行と対照的で
どちらが正義なのか印象に残る事件でした。

その構図は一係の朱と霜月にも投影されていて、
何れはコチラも交錯しそうな匂いが強くなってきました。
霜月の銃口の向く先にも注目しないといけなくなりそうです。

1話の冒頭が『ラクーゼ』という薬のCMだったので今期は薬が絡むなとは思いましたが、
『Uストレス欠乏症』と言うのが物語の底にある様です。
自分の色を抑えてまでシビュラの社会に合わせる必要があるのか?
1期と似たような命題が突きつけられています。

※小メモ:鹿矛囲ホロの区別は雛河クンor水場近くでのノイズ
{/netabare}

※5話感想{netabare}
またしても鹿矛囲による公安を狙った罠が仕掛けられ
朱達が埠頭に集まった時、無人の軍事ドローンが暴走を始める。

雑賀さんがいつの間にやら分析官に召集されていました。
優秀で向いていそうなので活躍して行きそう。
おじさん不足だったし好きなキャラでもあるので結構嬉しい人事。

若さ故もあるんだろうけど霜月さんは相変わらずとんがっていて痛い。
禾生さんの「あれは食われるな」には即同意してしまいました。
近々やらかすでしょうね…。
1期からの流れを見ると買える所もあったはずなんだけど
一人空回りしてどんどん株が下がってしまってます。
公安への志望動機も王稜事件の後、正義に目覚めたんじゃないかと想像してたけど
六合塚さんへの憧れの方が強いのかも。

鹿矛囲の方はどうやらシビュラと昔関わりがあった模様。
正確にはシビュラの内の一人との関わりかな?
今回禾生さんに降りてきた人物とは旧知の仲な雰囲気でした。
個人的に引っかかっているのは
【予想】{netabare}ホロ元の少女(染水槇)が亡くなった15年前の飛行機事故。{/netabare}
ここで関わったんじゃないかと思っています。
埠頭にあった皮膚や臓器、手足も気になります。
ホロだけでなく人を作ろうとでもしてたのかな?
増田議員は作品なのかな?謎が深まります。

そして東金さん…朱の事を良く見てるな…とは思ったけどここまでとは。
犯罪係数レコードホルダーだっただけの事はありますねやはり普通じゃない。
写真は東金少年と祖母? 
赤ペンチェックしてたけど朱と目元口元とか似てるのかな? 
こちらの謎も深まります。

祖母といえば気がかりはのが朱の祖母。
朱の色相を濁らすのに利用され巻き込まれやしないかハラハラしています。
まぁ次回は朱本人がピンチなのですけどね。
{/netabare}

5話時点で色々と【予想】{netabare}
3話感想で少し触れましたが、
ここまでで私の中で出ている説や疑問を書き留めると共に簡単に紹介しておきます。

『鹿矛囲はいない(人じゃ無い)説』
鹿矛囲自体がホロや機械人形で犯人は別の所にいるのではないか?
という疑念があったのですが、涙や血の描写も出てきたので
少なくとも「中の人」はいる模様。
酒々井さんの眼を奪ったり埠頭に生体標本があったりするので
色々な人間のパーツの継ぎ接ぎで構成された者なのかも。

『鹿矛囲=逃亡執行官説』
公安の内情に明るいですし1期で逃亡した執行官が犯人なのかと疑いましたが、
3話で撃たれた事が判明し可能性は低くなりました。
青柳さんも鹿矛囲とグルって事は無さそうですし、
情をかけて引き金を引かずに逃がしたとなれば色相濁るのでそれも無さそうです。
あるとすれば青柳さんや検死、シビュラの目を完全に欺いたという事になるけど
ハードル高すぎる。

『鹿矛囲は東金と繋がってる説』
元セラピスト、親族が薬品会社経営、過去最高の犯罪係数と怪しさの三拍子が揃い、
5話では朱のストーカーなのも判明。
鹿矛囲の協力者や寧ろこちらが本当の黒幕の可能性もあります。
4話まではこの線が一番怪しく思えていました…が、
5話があからさまだっので直感的にはミスリードっぽく見えていて、
東金の本意は朱を守ろうとしている様に思えて来ています。
祖母か狡噛の絡みで『朱と繋がってる説』が生まれつつあります。
ただ「朔夜」という名前ですし月と太陽が表裏一体…つまりは二重人格で
裏の顔が鹿矛囲と繋がっている可能性はあると思います。

『飛行機事故怨恨説』
最初の事件のホロ元の少女(染水槇)が亡くなった15年前の事故が絡んでいる説。
鹿矛囲は事故の生き残り(顔の傷はその事故のものかも)または遺族で
飛行機を落とした犯人が今のシビュラを担う一人になっているとか、
乗客の中にシビュラのめぼしい人物がいて飛行機を落として手に入れようとして巻き込まれ
それに対して復讐しようとしている。
鹿矛囲が作るホロの元は全員乗客だった者かも。
怨恨ではなくとも
この事故が鹿矛囲、東金、シビュラの接点や引き金、起点の様なものになってはいそうです。

『名前から予想』
1期も「常守朱=サイコパスが平常を守りレッドゾーンに行かない」
「槙島(maximum:最大の)『聖護』」等、名前遊びがあった様に思うのでその観点から。
「鹿矛囲」にはシビュラの目をかい潜る神の衣、
「朔夜」には光と闇の二面性の意があるような気がしていますが他にも
今回、鹿矛囲の周りで目に付くのが『水』に関わる名前。
監視官の酒々井水絵やホロ元の染水、爆弾魔の喜汰沢も。
増田議員は無理あるけど「水増」や「水田」でなんとなく連想…。(笑)
今後、二係の蓮池クンや一係では雛河クンが鹿矛囲に関係してくるやも!?
『WC?』もWater Cleanup(水を浄化)みたいな意味もかかっているのかも。
公園にも増田の講演会場にも噴水があり、
メンタルケア施設にも池があり、下水道も埠頭も水場なんですよね。
強引な気はするけど無色透明なこの『水』をちょっと気にかけています。

『鹿矛囲複数説』
「鹿矛囲とは個人名ではなく神の衣(カムイ)を纏った者達の総称」なのでは?という考え。
鹿矛囲とは飛行機事故の被害者や遺族達が作った組織で有能な者が知識を共有する集団。
シビュラシステムに対して言うならカムイシステム。
シビュラの実行隊長が禾生さんならカムイは桐斗。セラピストや東金もカムイの一員。
ホロや生体移植、ハッキング、心理療法等を駆使してシビュラに対抗しようとしている。

今の所考えつくのはこんな感じかな。
まだ色々な可能性があってコレだ!っていう太い線は掴めてないです。
ちょいちょい掠っているとは思うんですが…。
何れにしても東金がどちらに転ぶかによって風景が大きく変わりそうです。
後は六合塚の親友リナやレジスタンスの動向が絡む余地があるのかな?って事と
朧気ながら朱がもう一人出て来そうな気がしてるんですけどね。
6話以降もどうなるのか楽しみつつまた何かあれば予想していこうと思います。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
三係に大きな犠牲を出しつつもチームワークと朱の活躍で生き残った一係。
鹿矛囲との対面を果たすが捕らえられず、未だ主導権は鹿矛囲に。

また死者が出るだろうな…と思っていましたが案の定。
三係はほぼ全滅。(パラライザで撃たれた奴は生きてる?)
前回に続き無能過ぎて流石に何しに出てきてんだよ!っと言いたくなります。
まがりなりにもシビュラ判定くぐってきた筈なんですけどね。
サブキャラが屑だと物語が安っぽくなってしまいます。

一係は須郷も含めそれぞれ活躍。特に朱のアクションヒロインぶりはスゴかった。
暗黒面が見えてきた東金と
雛河クンの「おねえちゃん」発言はちょっと引っかかりますけどまぁ無事で何より。
あ、言うまでもなく霜月ちゃんは安定の無能ぶりでした。
嫌いじゃないキャラだけど流石に良い所なさ過ぎ…
みんなに当てられて覚醒する気配も今の所無いし不憫な子。

しかしながらどれもこれも鹿矛囲の想定内。
エリアストレスも折り込み済みとは恐れ入ります。
みたらし(見たら死)ラーメンはキツイ皮肉でニヤッとしてしまいました。
甘じょっぱそうですが美味しいんでしょうか?
眼は移植してた様ですし、眼帯が似合う水絵ちゃんも完全に支配下。
躊躇無く元部下を抹殺して清々しい気分になるとはね…。
『WC?』にはWorldCreate=世界の創造って意味もあるのかな。
着々とドミネータを我が物としシビュラへの一撃を企てている様で次回も気になります。
(奪われたドミネータはOFFに出来ないの?って疑問はあるのですけどね。)
{/netabare}

鹿矛囲をドミネータが認識しない理由【予想】{netabare}
①『居ない者説』
鹿矛囲は飛行機事故で死亡扱いになった人物の可能性があり、
実際は命を取り留めましたが記録上では居ない(データに無い)事になっている。

②『ツギハギ説』
酒々井の眼だけでなく多くの者(Uストレス患者含む)の部位を繋ぎ合わせているので
「個人」として認識できない。

他にもハッキングや機械人形とか禾生さんの様な複数の人物の器だとか考えられたけど
どれも穴があって没りました。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
鹿矛囲の存在が確定しその正体に迫っていく一係。

朱のおばあちゃん登場…似てて可愛い。
ドローン暴走の報には流石の朱もやや取り乱し、大切な存在なのが伝わります。
『朱←→葵』補色の関係にもあるし色相を黒くするのに関係しそうでやはり気がかりです。
今期はキャラの扱い乱暴だけどおばあちゃんに関しては人質程度で死なないで欲しいな。

事件はやはり飛行機事故と大きく関わってきました。
シビュラも噛んでいそうですし、
東金も元執行官と判り15年前に犯罪計数跳ね上がった事とも関係していそう。
諸々の予想もなかなか良い所突いていて考察の甲斐が出てきて楽しめています。
ドミネータを集めた鹿矛囲の次の行動にも注目が集まります。
{/netabare}

[番外~2期の不満を少々]{netabare}
楽しみながらも1期に比べちゃうと色々と雑で安っぽく不満な所もある2期。
ここらで不満も纏めておきます。期待の裏返しでもありますが…。

・殺戮のインフレ
殺戮や暴力は衝撃的だけど要所要所で決めて欲しい。
折角1話では民間人を巻き込まない犯行だったのに段々と無差別に。
一歩譲ってストレスケア施設は仕方なかったとしても港は完全に無意味な民間人殺戮。
鹿矛囲の訴えの正当性も弱まってしまわないか?

・霜月ちゃん貶めすぎ
1期では学生ながら勘の良さと正義感を持ち、
そして軽率な言動で友達を失った後悔もある中で意を決して監視官の道を歩み始めた彼女。
良い返事&活きた眼をしていた彼女がこんな残念なキャラになるとは
信じられないし信じたくない。
そりゃ鼻っ柱は強かったけど良い娘だったんだよ!?
既に時遅しなんだけどそれでも覚醒して欲しいキャラです。

・二係、三係無能すぎ(青柳以外)
監視官も執行官もシビュラ判定で適正がないと成れない筈なんですが心身共に脆弱すぎる。
安物のアクション映画みたいになるので大概にして欲しい。
散るなら散るで気骨が見えないと意味がない。
1期はサブキャラも含め有能な者同士の凌ぎ合いでハラハラさせ
作品を高尚なものに引き上げてたのですけどね…。

・多くの臓器移植はサイコパス移植に等しい?
シビュラ判定は思考とその傾向から判定してる…つまり脳を見ているので
他の臓器は関係ない筈なんだけどね。
泉宮寺も全身機械に変わってたけど数値はちゃんと反映されていたし。
移植は一応自分でも予想してたけど、この辺の事は引っかかってて腑に落ちなかった点。
もう一押し説得力ある描写が欲しいです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
ついに鹿矛囲の透明人間化の謎に到達、そしてシビュラと東金の関係も…。

鹿矛囲のツギハギには注目してたけど
まさか脳7人分、体をを184人分とは恐れ入りました。
医療の進歩と言っても生きているのが不思議で怖い。
でも多脳移植以外では辻褄合わないなと思っていたのでその点はまぁ納得。
それにしても増田達の替え玉が密入国した者ってのは、もの凄い裏技。
でも宜野座の言う通りなぜなんだろう?
鹿矛囲に心酔する要素が無いし日本語も堪能ではない筈なのに…。
脳の部位を用途に合わせて組み合わせて移植しているのかな?

5話で禾生さんに降臨したのが東金ママでしたか。
老けてるから祖母とか言っちゃってましたが…。
これで一気に繋がって来ました。
交通分野で成果を上げていたパノプティコンに取って代わる為に
シビュラが干渉し飛行機の墜落も巻き起こしていたのでしょうね。

霜月ちゃんは今回、彼女なりにいい仕事してたんですがね。
脳移植技術はシビュラの種の一つですから…パンドラの箱開けちゃいましたね。
次回は彼女が墜落してしまう様です…。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
シビュラの秘密を受け入れた霜月。
霜月をも取り込んだシビュラとその申し子東金は
朱を黒く染めようと動き出す、鹿矛囲を葬るために。
一方、鹿矛囲は「地獄の季節」を黙認した役人達を粛正し、いよいよ対決の時が近づく。

東金は完全に暗黒化。出自の謎も大分明らかになってきました。
東金ママとは血縁関係では無い感じかな?生みの親なのは確かですが…。

そして、やはり気がかりだったおばあちゃんが…。
無事…とは言え無くなってしまいましたが解放を願ってやまない気持ちです。
親友を目の前で殺されても色相が変わらなかった朱が
この件で変わるのか疑問もありますが興味も高まってきました。
今回の拉致、東金が鹿矛囲側に情報リークして起こさせたと思いましたが
「朱を試したい」東金と桑島の共謀の様です。
鹿矛囲と桑島では朱に対する考えが違うようですが
桑島と通して間接的には東金も鹿矛囲と繋がりがある事が判り、もう一波乱ありそうです。

霜月ちゃん、色相が濁るかと思ったけど
良いのか悪いのか全てを受け入れ抵抗せず流されてしまいました。
シビュラの元で育った世代ですからね、ゆとりならぬシビュラ世代と言うことでしょうか。
ここまで自分の意志・自我を捨てられたら大した者かも。
感情的で尖った性格の割には…っと、オカシくも感じましたが
全てに於いてシビュラ絶対主義者なら言いなりもありえるのかな。
(1期の彼女の印象とは違ってきていますが…)
それでも朱のおばあちゃんを助けられる可能性があるとすれば彼女なので
覚醒を期待してしまいます。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
東金の魔の手により黒く染まり掛かる朱だったが
彼女の経験や信念、心で息吹く狡噛の存在により回避。
思考を巡らせ辿り着いた結論へ向かい歩み出す。

懸念だったおばあちゃんが…ううっ。
何かのトリックであって欲しいけどそれは無理な様子。
2期の殺伐とした雰囲気の中、ここだけはホッとした展開になって欲しかったんだけどな…。

そんな状況でも自分を保ち己で考え動く朱がカッコ良く
悟りを開いた全能感すら感じてしまいます。もう狡噛さん越えてる!?
全てを見通し独りでシビュラに問いかける存在にまで成長するとは!
…まぁ、やりすぎな気もするけどね。

朱、鹿矛囲、東金と三つ巴の状況で気になる佳境へ向かっています。
あぁ霜月ちゃんが蚊帳の外すぎる。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
いよいよ審判の時。
シュビラは集合体である鹿矛囲、そして己自身の存在を認識する事となる。

自分自身が消える事も含め鹿矛囲の計画通りという感じの幕引き。
184人の生きた証・生き様を感じる事もできましたが、
無駄な血が多く流れ過ぎていて大義が薄く同情は出来ないです。
「地獄の季節」の役人の粛正と公安の数名の犠牲は仕方ないとしても
一般人をターゲットにした殺戮は過剰。
これだけの計画遂行能力があるなら被害を少なくする事も出来た筈。
人の命を大切にする努力の跡や描写があれば彼の死にも感動でき
余韻に浸れた気がするだけに勿体無く思います。
殺戮の衝撃を入れたいあまり、人の心の琴線に触れるのを放棄してしまった様です。
感激より刺激を優先したツケが最後に回ってきたという所でしょうか。

また、鹿矛囲が東金美沙子を撃った所も少し違和感がありました。
ココで引き金を引けたのはシビュラ自身が「集合的サイコパス」を認めたからで
東金美沙子個人を裁いた訳ではない(個人は免罪体質者)のだけど、
「これがお前の色か、東金美沙子」など台詞や言動が個人を裁いた様に見えました。

東金に関しては自身も暗黒に染まり
知的で有能な部下から愚直なマザコン殺人鬼への墜ちぶりが衝撃と共に描けていたと思います。
憎たらしさ満点で許しがたい存在という役割を十二分に果たしていました。

朱は後半から特にスーパーウーマンぶりに拍車が掛かり過ぎていて
(考えて行動できる)人間代表というキャラの位置を飛び越え全能なる審判者の様に。
最終話でも全てお見通しで体術でも東金を圧倒(2話でその体術に朱自身が驚いた相手)
狡噛が居ない分、全てを背負わされてしまっておかしな事に。
アクションなら宜野座や六合塚、知識なら唐之杜や雑賀など一係のメンバーで
負担し合うべきだったと思います。
朱だけが打って投げて守って大活躍で他メンバーが外野で見せ場も無いのでは不満も残ります。
(唯一雑賀はキャッチャーしてましたが)
一期では素晴らしかったチームワークが薄れていたのは残念です。

(考えない人間代表の)霜月さんへの不満の詳細は既出なので省略しますが
一期には確かにあった意志や個性が見る影もなく…
彼女はシビュラに流されて公安を選んだ訳ではなく、己の意志でこの道を選んだ筈なのに。
最後にフラグめいたものも立ち【予想】{netabare}いずれは大好きな六合塚さんに殺されそう{/netabare}な気がします。

邪魔者が全て消え、後腐れのない終わりでしたので改めて3期を楽しみにしようと思います。
{/netabare}

【総評】
内容的なものは毎話感想に書いてしまったので割愛。
鹿矛囲の正体を中心に予想を絡め1クールで観られるサスペンスとしては楽しめましたが、
サイコパスのファンである自分としては不満も残る内容でした。

映像作品に関しては「2」は「1」を越えないのは宿命なのでしょうけど
もう少しやれた様に思いますし、
前作のキャラを過分にイジってしまうと(朱は昇華させ過ぎ、霜月貶め過ぎ)
前作にもキズが付くのでもう少し初期設定を大切にして欲しかったです。
まぁ、過剰に期待しなければ楽しめる出来ではありますが
サイコパスが好きなら期待してしまいますよね…。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 59

nk225 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

BD『劇場版 サイコパス』初週で2万3千枚以上のセールス! 初登場オリコン総合BDランキングでの気になる順位は……

人々の精神が数値化される近未来で、正義を問われる警察のドラマを描く人気アニメーション作品『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズ。

7月15日(水)に『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』Blu-ray&DVDが発売となり、7月27日付のオリコン総合Blu-rayランキングにて、Blu-ray Premium Editionが初登場1位を記録!

さらに、Blu-ray Standard Editionは総合Blu-rayランキングにて9位にランクイン! DVD Premium Editionは総合DVDランキングにて3位! また、DVD Standard Editionは10位と、それぞれがチャートの上位にランクインしました。

総合1位となったBlu-ray Premium Editionは、初週で23,000枚以上のセールスを突破し、大ヒットを記録。現在も好調な売上げを記録しています。

『PSYCHO-PASS サイコパス』は、『踊る大捜査線』シリーズを生み出した本広克行氏(総監督)が新たに挑む警察ドラマであり、『魔法少女まどか☆マギカ』を手掛けた虚淵玄氏(ニトロプラス)が緻密且つ大胆に書き上げたディストピアSF作品。TVシリーズ放送終了後も、劇場版の公開をはじめ、様々な展開を発表しています。

【アニメキャラの魅力】シビュラ的「理想的市民」!?新人監視官「霜月美佳」の魅力とは?
ノイタミナ枠で2期まで放送された『PSYCHO-PASS サイコパス』。「シビュラシステム」という統治機能に支配された近未来の日本を舞台に、支配下の平穏と精神の自由の拮抗が描かれたSFアニメです。この世界ではシビュラシステムによって人間の精神が「サイコパス」という数値として測定され、犯罪係数の基準値を超えると有無をいわさず「潜在犯」として逮捕、もしくは殺害されることで治安が維持されています。シビュラシステムの導入により警察と裁判システムがなくなったこの世界で、犯罪捜査から潜在犯に対する対処までを担うのが、シビュラシステムとリンクした銃「ドミネーター」を持つ監視官と、監視官の下で「犬」として働く潜在犯である執行官です。

今回ご紹介する「霜月美佳」は、主人公「常守朱」が所属する厚生省公安局刑事課一係に配属された新人監視官です。

■「六合塚弥生」への憧れ
霜月は本作1期で起こった女子校での「王陵璃華子」による猟奇殺人事件で初登場しました。当時は高校生で、幼なじみの「大久保葦歌」と「川原崎加賀美」を殺害されています。加賀美が殺されたのは、璃華子の危険性に気づいておきながら、加賀美が葦歌のことばかりを気にして自分の事を見てくれないことへの嫉妬から、璃華子を訪れることをすすめたためで、そのことに後悔の念を抱いた霜月は、事件の捜査に来ていた執行官の「六合塚弥生」に慰められ、その胸で泣いています。

その後公安局に配属された霜月は、他の執行官には尊大な態度を取りながらも、弥生だけは“さん付け”で呼び、プライベートでは仕事の相談をしたり弱音を吐いたり。弥生に対しては顔を赤らめるなど仄かな想いを抱きながらも、実は弥生が分析官の「唐之杜志恩」の恋人であることには気づいていない様子です。

■朱と鏡合わせのキャラクター
サイコパスはその状態が「色相」として表わされます。サイコパスの数値が正常であるほど色相はクリアになります。そして霜月は、自分の色相がクリアであることに異常な執着を持っています。

もともと高校生のころから、学校で「よくないこと」が起こっていることに気づきながらも「近づくと危ない」からと、事なかれ主義の性質がありました。それが監視官になってからは顕著になり、職務に対してはマニュアル通りであることを良しとし、色相が濁らないように“自分に責任がかかること”を極力避けています。

これは、自らの色相が濁ることなど気にせず、「狡噛慎也」の薫陶を受け事件の表層よりもその背後に隠れる真実を探ろうとする朱とは正反対で、そのためか後輩でありながら常に反抗的な態度をとります。

また、法は遵守すべきとしながらも、法はあくまで人間のためにあるべきであるという朱とは逆に、霜月は法に対して思考停止した盲従を見せます。潜在犯を毛嫌いし、同僚といえども潜在犯である執行官は監視官の盾になるべきと思っており、潜在犯であろうと極力命を守ろうとする朱の行動を理解しようとしません。

■理想的市民
シビュラシステムの正体は、「免罪体質者」と呼ばれる人間の脳の集合体で、将来的には市民にその正体を明かし、それでも市民がそれを了解した上で統制を享受する社会を実現しようとしています。それを知った朱は、治安を維持するためにシビュラの存在を容認しながらも、いずれシビュラを必要としない道を人間が見つけ出せるという希望を示し、シビュラには服従せず、利用するというスタンスをとっていました。

しかし、シビュラの正体を知らされた霜月はそのシステムを褒め称え、一切を忘れると宣言。その姿はシビュラをして「理想的市民」と言わしめました。そのような霜月の姿は、矛盾に気づきながらも目をそらし、他者を蔑むことで自らを高いところへ置こうとする現代日本人への皮肉のようでもありました。

シリーズを通して朱は主人公らしく人類の英知に期待を持っていますが、それはシビュラの言うように楽観的過ぎるともいえます。一方「霜月美佳」は、視聴者からのヘイトを集めるキャラではあっても、実際の大衆はシビュラが目論む通り、その支配に盲従してしまう事でしょう。理想に対する現実を見せる役割を持たされた「霜月美佳」。見方によっては“貧乏くじをひいたキャラ”といえるかもしれません・・・。せめて「弥生」が別の女性と恋人関係にある事を知り、彼女の色相が濁ることがありませんように・・・。

【アニメキャラの魅力】公安局の前に立ちはだかる最悪の犯罪者「槙島聖護」の魅力とは?
近未来の日本が舞台。「シビュラシステム」の導入により、人間のあらゆる心理状態や性格を数値化し、その値を「PSYCHO-PASS(サイコパス)」と表現するようになりました。

厚生省管轄の警察組織「公安局刑事課」の監視官である「常守朱」や執行官である「狡噛慎也」を中心に、犯罪者との戦いや「監視官」と「執行官」の立場の違い、「シビュラシステム」のあり方に焦点をあてて物語は進んでいきますが、物語第1シーズンでは陰で暗躍する「槙島聖護」が物語の中心人物の1人となります。

■表、犯罪者として公安局に対峙する
年齢や過去、経歴等のデータは作品中において、謎に包まれています。「人間は自らの意志で選択・行動するからこそ価値があり、魂を輝かせることが出来る」という思想のもと、シビュラシステムの存在に疑問を投げかけており、数多くの事件の首謀者として陰で暗躍。公安局刑事課の前に立ちはだかるのです。

序盤は、槙島自身が手を下すことはあまりありませんが、話が進むにつれ徐々に槙島自身が直接事件にかかわるようになります。朱と同じく、サイコパスが悪化しにくいという特性から、シビュラシステムにより潜在犯として判定されず、朱や狡噛を苦戦させます。公安局の執行官である狡噛に興味を持っており、物語の中盤ではシビュラシステムの正体を自身の目で確かめるよりも、狡噛との戦いを優先したりも。

身長180cm、体重65kgで、身体能力は非常に高く、1対1の格闘戦では狡噛を戦闘不能に追い込んだほどの腕の持ち主。とはいえ、朱に不意をつかれるあたり、詰めが甘いところもあるようです。

あらゆる作品の「悪役」と違い、本作品では公安局の執行官が犯罪者に手を下すシーンも数多くあることや、シビュラシステムの正体から、槙島の存在自体もかなり主人公に近い位置にいるといえるでしょう。

■裏、意外にもオシャレに気を遣う?日常の姿
多くの他作品の悪役と違い、物語当初から槙島の登場するシーンは多く描かれています。槙島は読書家で、作品中で主流の電子書籍ではなく、紙の本を好んでいます。読む本のジャンルは純文学、ミステリー、戯曲、SF、怪奇小説、哲学書、政治書、ノンフィクション、聖典など多岐に渡り、また、犯罪協力者との語らいのひと時など、穏やかな日常(?)も描かれています。登場する度に服装が変わるあたり、オシャレにも気を配っていると思われます。

「槙島聖護」の存在なくして『PSYCHO-PASS サイコパス』は語れません。

【アニメキャラの魅力】公安局刑事課の新鋭!監視官「常守朱」の魅力とは?
近未来(2112年からスタート)の日本が舞台。「シビュラシステム」の導入により、人間のあらゆる心理状態や性格を数値化し、その値を『PSYCHO-PASS(サイコパス)』と表現するようになります。これがこの作品のタイトルにそのままなっており、厚生省管轄の警察組織「公安局刑事課」の監視官であるである「常守朱」を中心に、犯罪者との戦いや「監視官」と「執行官」の立場の違い、「シビュラシステム」のあり方に焦点をあてて物語は進んでいきます。

■監視官「常守朱」とはどのような人物?
2092年4月1日生まれの女性で、作品初期では20歳。血液型はA型で、身長163cmのスレンダー体型でショートボブのボーイッシュな女の子です。ちなみに千葉県出身。

公安局刑事課一係に所属し、物語開始時に刑事課に配属されたばかりの新任監視官。性格は「不器用だが天真爛漫で正義感が強い」と評され、作中でもこの性格がうまく表現されています。物語が進んでも独身・・・。今日も公安局は大忙しです。

■朱の監視官としての「顔」
学生時代、職業適性診断において、あらゆる官公庁の職業にトップレベルの適性を示しており、非常に優秀な成績です。その中で、同期生の中ではただ一人公安局監視官としての適性があると診断されたことから、監視官の職業を選択することになります。

正直、あらゆる選択肢から「楽ができる」方向へ流れていくのが人としての常であるように思えますが、朱があえて公安局という苦難の道を選択したのは、それだけ自分の中に強い信念があるから。朱の魅力はこの信念に基づいているといえます。

監視官という職業は、実際に犯罪者に手を下す「執行官」を監視する立場であり、常に犯罪に直面するストレスから、サイコパスの状態が悪くなると“監視官から執行官へ降格”という処分が下されます。実際、朱も親友が目の前で殺されたり、犯人を捜査するため、そのシーンを追体験することとなり、常人なら執行官への降格するほどサイコパスの状態が悪化するであろう事件を多く体験しながらも、降格のような著しいサイコパスの悪化はありません。作中ではお酒を飲みませんが、途中から喫煙するようになるのは、やはりプレッシャーやストレスがあったからかもしれません。

■朱の女の子としての「顔」
監視官の顔とは相反する、女の子としての顔は作品中ではあまり多くは描かれていません。それでも仲のいい親友である「ゆき」と「佳織」と進路や仕事の事を相談していたり、外出時の服装選びについ時間をかけてしまったりも。外出時の服装は、女の子らしさを追求したかわいらしい服装が多い一方で、家では下着姿でうろつくなど、監視官の時には見られない“生活感”を感じる場面もあり、彼女の女の子らしい魅力が随所に表現されています。

また、とてもおばあちゃんを大切にするおばあちゃん子であり、公安局入りについて両親に相談するなど家族との関係も良好のようです。ネット上では、レモネードキャンディという名前でチャットやネット上の仮想空間に出入りするなど、時代相応の若者「らしさ」が出ており、うまく物語にも生かされています。日常生活では、親友と遜色ない「女の子」の朱。公安局所属の朱を彼女にするなら、それこそ自分の命をかけるくらいの覚悟が必要です。

作品が進むにつれて女の子としての顔よりも監視官としての顔が前面に出て「表情がだんだん無表情になっている」との意見もあります・・・。これからも、彼女の公安局の第一線での活躍を期待したいところですが、一方で文部科学省の役人になった朱の姿を見てみたい気もしますね。

2014年素晴らしかったアニメって何?
■ 新編集版、2期と続いた『サイコパス』に支持集まる
2014年はアニメ本数の多さが話題になった年だった。本数の多さだけでなく、話題作、良作も次々に飛び出した。
そうしたなかで読者の支持を最も集めたのは『PSYCHO-PASSサイコパス』だった。2014年夏の新編集版、秋からの『PSYCHO-PASSサイコパス2』など多様な展開をした作品だが、無表記の票のみでも1位となったため、これらをまとめて『PSYCHO-PASSサイコパス』として集計した。
すでに記事で紹介した「2015年劇場上映アニメの関心度」ランキングでも、 『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』が1位になっている。作品への高い人気が窺える。

決定!2000年代以降のオススメアニメ
日夜放送されているTVアニメ作品。2000年以降に限っても、多くの名作が放送されているが、その中でオススメの作品はどの作品だろうか。教えて!gooにも、「2000年以降でオススメのアニメ作品を3つ挙げると」という質問があった。
「2000年以降の作品(TVアニメ・OVA・劇場版)であなたのオススメ3作品を教えていただきたいです」とのこと。どんな回答が寄せられたのだろうか。

■あなたのオススメ作品は?
回答の中で一番多かったものはなんだろうか。
一番多かったのが、「魔法少女まどか☆マギカ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「日常」の3作品。

魔法少女まどか☆マギカ
新房昭之×虚淵玄×蒼樹うめ×シャフトが描くオリジナル魔法少女物語
「化物語」「ひだまりスケッチ」シリーズなどヒット作を多数手がける新房昭之監督とシャフトがタッグを組んで送る初のオリジナル作品として注目される本作。
脚本をPCゲームメーカー「ニトロプラス」所属のシナリオライターとして、その重厚な作風でファンを魅了し、小説「Fate/Zero」でもその才能を如何なく発揮した虚淵玄、「まんがタイムキララCarat」(芳文社刊)連載中の「ひだまりスケッチ」原作者・蒼樹うめが、初のオリジナルアニメのキャラクター原案を担当する。

大好きな家族がいて、親友がいて、時には笑い、時には泣く、そんなどこにでもある日常。
見滝原中学校に通う、普通の中学二年生・鹿目まどかも、そんな日常の中で暮らす一人。
ある日、彼女に不思議な出会いが訪れる。
この出会いは偶然なのか、必然なのか、彼女はまだ知らない。
それは、彼女の運命を変えてしまうような出会い―
それは、新たなる魔法少女物語の始まり―

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。
アニプレックス、フジテレビ、A-1 Picturesが手がける完全オリジナルアニメーション企画「ANOHANA PROJECT」として2010年12月に始動した。

幼馴染の死という過去を抱えた若者たちの淡い恋や罪の意識、絆や成長といった内容を扱う、ドラマ性を重視した内容が志向されており、物語の展開に従って複雑化していく人間関係なども描かれる。死んだはずの幼馴染であるヒロインが幽霊として主人公の前に現れるというファンタジー的な題材が用いられてはいるが、作中では彼女をアニメ的な幽霊のように描写することは避けられており、生きた人間と変わらず振る舞う姿を描写しながらも、その姿が鏡に映らなかったり、主人公以外の人物たちにその姿が見えていないことを示すことで、彼女が霊的な存在であることを描写している。

「日常」はあらゐけいいち原作のギャグアニメ。NHKでは2012年1月から3月まで放送された。

これらの作品に次いで多かったのが、「psycho pass」「スクライド」「涼宮ハルヒの憂鬱」といった作品。

「psycho pass」は人間の心理状態や性格傾向の計測できるという「シビュラシステム」下の警察組織「公安局」の刑事たちの活躍を描く近未来SFアニメ。これまで第2期まで放送されており、2015年1月には劇場版が公開。「魔法少女まどか☆マギカ」に続いて虚淵玄脚本作品が登場。作品の根強い人気がうかがえる。

「スクライド」は2001年7月から同年12月にかけてテレビ東京系列で放送されたアニメ。日本本土から隔絶され、その後独立自治領として特殊な社会を形成してきたロストグラウンドを舞台に、アルターという特殊能力を持つカズマと対アルター能力者特殊部隊の隊員・龍鳳の友情と戦いを描いた作品。

他には「STEINS;GATE」は5pb.の同名のゲームソフトを原作としたアニメ作品。2011年4月から9月までテレビアニメが放送、2013年には映画化された人気作品。

「犯罪係数」を表示する広告が話題
東京メトロ丸ノ内線新宿駅メトロプロムナードに設置されている、アニメ映画『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』(1月9日公開)の広告が話題となっている。

『サイコパス』は、人間の心理状態や性格などを計測する「シビュラシステム」が導入された西暦2112年の日本を舞台とした近未来SFアニメ作品だ。この「シビュラシステム」は、犯罪者になる危険度を「犯罪係数」として計測。実際に罪を犯していなくても、犯罪係数が高いと“潜在犯”ということで、特殊拳銃「ドミネーター」による身柄の確保や排除が執行される。

今回、新宿駅に設置された「シビュラシステムゾーン」と名付けられた広告は、ゾーン内にあるディスプレイに通行人の姿が映し出され、その「犯罪係数」が表示されるというもの。高い犯罪係数をマークすると、『サイコパス』に登場する主要キャラの9人の公安局員が出現し、「ドミネーター」を疑似体験できる。

劇場版サイコパス、関智一は英語にカタカナを? 場面写真も大量公開
天野明がキャラクター原案を務めるアニメ「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」の完成披露試写会が、本日12月19日に東京・お台場シネマメディアージュにて行われた。

イベントには常守朱役の花澤香菜、宜野座伸元役の野島健児、霜月美佳役の佐倉綾音、六合塚弥生役の伊藤静、雛河翔役の櫻井孝宏、唐之杜志恩役の沢城みゆき、そして塩谷直義監督、本広克行総監督が登壇。ドミネーターの声が、それぞれ演じるキャラクターの犯罪係数とともにキャストの名前を読み上げる。塩谷監督は犯罪係数999、本広総監督は犯罪係数0の免罪体質と紹介されると、会場からは笑いが沸き起こった。

さらにサプライズゲストとして、狡噛慎也役の関智一も登場。花澤が「作中で狡噛さんにやっと会えた!」とうれしさを噛みしめると、関は「大好きだもんね、狡噛のこと」と、朱が狡噛のタバコの煙を吸って思い出していいることに触れ「結構イタイところあるよね!」と冗談を言い、客席の笑いを誘った。

劇場版は海外が舞台であることから、英語を喋るシーンも多い花澤と関。司会の吉田尚記アナウンサーからそのことを問われると、すかさず関は「アーハン?」と返答。しかし関は英語のセリフにカタカナをふってアフレコに臨んでいたことを花澤から暴露されると、少しうろたえる様子を見せる。

また劇場版で宜野座の髪型がポニーテールになっていることを野島が「ポニチカ」と呼ぶと、会場からは拍手と笑いが。さらに野島は宜野座について「遅めに来た反抗期もあったけど、最後のシーンではやっと成長できたんだなと」と、親目線で感慨深げに語った。

なお本日「劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス」の場面カットも大量に解禁。映画は2015年1月9日より、R-15指定で全国公開される。

刑事ドラマの定番も踏まえダークな世界観でひきつける「PSYCHO-PASS サイコパス」の魅力とは!?
「踊る大捜査線」シリーズの本広克行や『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄らトップクリエイターが手掛け、12年10月からフジテレビの“ノイタミナ”枠で放送されるやアニメファンから絶大な支持を受けたSFアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」。1月9日(金)からは待望の映画版『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』が公開となるが、多くのファンを引き付けてやまないその魅力をお教えしよう。

本作の魅力はそのディストピア的なダークな世界観にある。舞台は人間の心理状態や性格的傾向を数値化できるようになったいまから100年後。人々は犯罪者になる危険を表す“犯罪係数”によって管理され、実際に犯罪を起こさずとも潜在犯とみなされた場合は、監視官や執行官と呼ばれる刑事によって社会から排除される。

エリートである監視官に対し、犯罪者を捕まえる執行官は自らが高い犯罪係数を持っていて、犯罪者になる可能性を秘めている。犯罪者に近い心理状態を有するゆえに、一度は不適格者として社会から弾かれたゆえのトラウマを抱えた執行官がいかにして犯罪者と向き合うのか。近未来的な設定ではあるものの、リアリティあふれる描写やしっかりとした人間ドラマが描かれている。

テレビの第1期では、監視官の常守と元エリート監視官で執行官の狡噛との関係が描かれた刑事ドラマにはおなじみのバディものとしての面白さもあり、難解なテーマではありつつも、物語に引き込む分かりやすい導線が敷かれていた。近未来ものになくてはならないガジェットとして登場する、刑事たちがもつ、被疑者に銃口を向けるだけで相手の“犯罪係数”がわかるドミネーターと呼ばれる拳銃も本作ならではユニークなアイテムといえるだろう。

近年、原作ものが多く、物語の全貌を知りながら見ているような作品が多いなか、虚淵玄が手掛けるオリジナル脚本によって紡がれる物語は、まさに一瞬先も読めないようなミステリアスなものとなっており、その知名度もさながら、アニメファンから大きな話題を呼んだ。

第2期のその後を描く劇場版には第1期の後、失踪していた執行官の狡噛が再び登場し、常守らにどのように絡んでくるかにも注目。ある程度の予習は必要だろうが、その世界観にはまり込んでしまえばあっという間。年明けの公開が楽しみになってくるはずだ。

“犯罪係数”が正確に解析できない“免罪体質者”槙島聖護の事件を経て、刑事として成長した常守朱。彼女は、シビュラシステムの真実を知りつつも、システムに従い、新たな刑事課一係を率いて日々犯罪に立ち向かっていた。そして、そんな彼女に新たな化物が迫っていた……。

オープニングテーマ
「Enigmatic Feeling」

エンディングテーマ
「Fallen」

投稿 : 2024/05/04
♥ : 37
ネタバレ

Etzali さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

旧態依然から面目一新となるか!?

(2014.10/22)
まず、OP・ED1期と共に変わらず「凛として時雨」と「EGOIST」なので前作の延長線上として楽しめている感はあります。

OP映像の東金の怪しさと言ったら犯罪係数300オーバーですよ!
だって、公安局局長の後に東金が映りさらには狡噛と半身を共有するなんてねぇ。さらには狡噛と同じタバコの銘柄を嗜んでいるのも怪しさ極まりない。

事件の犯人である喜汰沢旭の名前聞いた時、「東のエデン」の滝沢明に聞こえたのは気のせいwww?

まぁ、新しく監視官と執行官を新たに迎えた朱たちですが、未成年である霜月に関してはシュビラシステム=絶対的なもの、と捉えている為に朱や宜野座たちと馴染めていない様子…
また新任の執行官、東金は前述しましたが雛河は何か東金とは別の危うさがありますね。声優も前作の槙島と同じ櫻井さんですし^^;


1期では社会を運営するsystemの姿を暴いた訳ですが、2期ではその社会に生きながら如何に自分らしさ・自分らしい色をだせるのかがミソになってくる!?


(2014.10/24 3話)
{netabare}犯罪係数を下げる一因となるのは悲しみなどの感情? 
だが、色層が濁っても犯罪者になるし、クリアカラーになっても人間らしい生き方とはかけ離れてしまう(クリア=透明という事はシュビラシステムの言いなりになっているに過ぎない。過度な耐ストレスケアやラクーゼがそうであるように…)

OP曲の「奪われ続けるなら、もう狂ってしまうよ」は、シュビラの傀儡になるのではなく、あくまで自分らしさを提示したように思えます。
また、その歌詞の後の朱の動作がしばらく変わらなかったのも傀儡として生かされるではなく自分の力で動く・生きる事の重要性を示しているのではないかと。{/netabare}


(2014.11/6 4話)
{netabare}OP映像の1~2話まであったFree Whiteの描写が再び戻ってますね。それと、その後に東金が映るのは朱の色相が今後濁っていく事を示唆している!?
また、4話タイトルの「ヨブの救済」はヨブ記が由来なのかな?(wiki参照)
「何も悪い事をしていないのに、苦しまなければならない」まるでシュビラに対する皮肉ですね。

なんか、殴りにいった人質と殴った犯人とのシーンが機械的というかどちらも感情が無い感じに見えたのは、シュビラシステムという社会の中にいる人々は生きている人間ではなく生きている人形なのだという隠喩?

霜月監視官は学識はあるかもしれませんが、仕事のできる人ではなさそう。自分の保身の事を最優先にしている時点で、キャリアって感じ。敢えて朱と対比するような性格なのでこれから何かありそうです。

鹿矛囲の正体は、1期で青柳監視官が執行した逃亡執行官かな?中の人が木村良平さんなのと、もみあげの所にある傷がまるで顔の皮を剥いでくっつけたような感じだったので…って安易すぎるかな?{/netabare}


(2014.11/13 5話)
{netabare}犯罪係数を下げ色相をクリアにする薬物「ラクーゼ」、一方シュビラシステム下での過度なストレスケアの弊害ともいえる「有ストレス欠乏症」。
共に人間が積み上げてきた人格、もしくは意思を奪う結果になったわけですがWCはweak character(意思が弱い)という意味!? 
そこに冒頭で鹿矛囲が言った「人には固有の処方がある。それを無視して、ただ強い薬を飲ませるのは暴力をふるっているのと同じだ」を合わせると!? 
何かの強い意思(シュビラシステム)によって人々は意思を弱くせざる負えなくなり、それを失ってしまったからシュビラを裁くと言った感じでしょうか?
あと鹿矛囲と東金、今回2人とも監視官にドミネーターを向けましたがどうみても東金の方が悪役にしかみえないww

調査先の現場である軍事ドローン施設で朱たちが見た人体の部分パーツと代議士の演説の変化、そこから導き出される結論は…かつての代議士は何らかの理由で殺され今の代議士は元「有ストレス欠乏症」患者かサイボーグ(1期の泉宮寺みたいな感じ)という事ぐらい。

あれ?東金さん実は陰湿なストーカー!?って言うぐらい朱の写真がありましたけど、幼い東金少年と一緒に写っているのは祖母かな。そういえば朱もおばあちゃんっ子だったような…もしかして2人は生き別れた兄弟!?んな訳ないかwww

まぁ、ともあれ犯罪係数が過去最高を記録している東金執行官の新たな一面が今後どういった見せ場を作るのか?また、それに鹿矛囲は絡んでくるのか?{/netabare}


(2014.11/20 6話)
{netabare}一般市民が犯罪を犯している自覚がないまま犯罪行為に加担する様子を鹿矛囲は、どんな表情で見つめているのだろう?
シュビラシステムに生かされている人たちへの憐みの表情か?
それとも、どんな色にでも染まる事ができてしまう人間そのものの力への期待からくる喜びの表情?

また前作の槙島は思想犯、今作の鹿矛囲はクラッキングを中心としている(国防省へのクラッキングやホログラムの偽装など)サイバー犯罪型、どちらも犯人として目星を付けている者の確かな関与が無いと逮捕できない。

さらに前作の槙島は複数の犯罪にも関与していた1期の“黒幕”的存在でした。というか実際に黒幕だったわけですが^^;
だとすると、鹿矛囲の裏で糸を引いている“黒幕”がいる!?いや、監視官の目そのものを奪ってまで行動を起こしているのだから可能性としては低いか。でも毎日、朱の犯罪係数をチェックしている東金なら適任じゃ…
シュビラシステムが記録した中で最高値の犯罪係数をたたき出した東金が、サイコパスをクリアにする事のできる鹿矛囲に手を貸している線もありえそう(東金・鹿矛囲共犯説)

霜月監視官の「濁っちゃえばいいのに」発言!これは、OPにもあった闇堕ち(執行官への降格もしくは、鹿矛囲の共犯となる)予兆!?

鹿矛囲がドミネーターに認識されないという事は、“鹿矛囲”自身が偽装ホロでホログラムを纏った者が居る事も考えられそう。そうなると、ホログラムに詳しい雛河執行官も怪しくなってくるが…{/netabare}


(2014.11/27 7話)
{netabare}“透明人間”鹿矛囲が存在し、シュビラにハッキングまで行った事件は未だ解決には至っていない。にも関わらずシュビラシステムに頼るしか方法はない。そんな中、唐之森と雑賀がシュビラシステムに疑念を抱き始めていた…

シュビラシステムは個人の管理する事で成り立っている。まぁ、槙島は免罪体質なので例外だが^^;
という事は、個人の管理から外れた人、つまりはシュビラシステムの監視下で死んだ人達はシュビラシステムが認識しなくなる(ドミネーターに反応しない)ので、鹿矛囲は偽装ホロか航空機事故で亡くなった子供たちの臓器を自身に移植しつづける事でサイコパスをクリアな状態に保っている“誰か”だろう。

その鹿矛囲だけが15年前の航空機事故でただ一人生き残った。
また、東金執行官が監視官を免職および閲覧履歴が秘匿とされた年は、ちょうど航空機事故が起こった年でもある。
それは、単なる偶然なのか? にしても東金の犯罪係数、769!? 異常なまでの数値だがだからこそ犯罪係数を白くクリアに保てる朱を監視し続けている? 769(“し”ち“ろ”く“く”=白く)なんてねwww


シュビラシステムの槙島と鹿矛囲の扱いの違いにも疑問が残る。槙島は思想犯であるのにシュビラは有能だと判断し生きて捉える事を命じた。しかし、鹿矛囲に対してはシュビラに取り込む訳でもなく殺処分すべきだと言った。その違いの理由こそがシュビラシステムを根幹から覆す“何か”なのだろう。

次回、公安1課にとって鹿矛囲の正体に近づく大きな一歩となるのか!? 楽しみにせずにはいられないです!{/netabare}


(2014.12/4 8話)
{netabare}鹿矛囲の正体は航空機事故で亡くなった184人の子ども達の肉体・臓器を移植された生き残りだった。
「7人の脳を含む184人の肉体と人格的存在」これって、シュビラシステムと似ているような…

また、臓器移植・脳の多体移植によってその人が持っていた記憶や物事の考え方はどうなってしまうんだろう?
鹿矛囲桐斗本人の脳で考えた事と他の6人の脳で考えた事がそれぞれ違うとしたら、“鹿矛囲”は皮肉ながらもシュビラシステムの本体(犯罪者の脳をいくつも用いて判定している)と同じという事になる。

さらに、前回(7話)のレビューでも書きましたが鹿矛囲のサイコパスが測定されない事をシュビラは槙島の時とは違って殺処分とキッパリ言い切った。
槙島の場合は、シュビラが自分達の都合の良い・または良くなる可能性が合ったから(免罪体質という特性をシステムの中に取り込む事で今後同じような事が起こった時に対処し易くする為)。
だが鹿矛囲の場合はシステムに取り込む事が出来ないイレギュラー、1期の何話か忘れましたが局長が「システムは絶対的なものでなくてはならない」みたいな事を言っていたのでその絶対性を示す為かと。

鹿矛囲のもう一つの特異性、サイコパスのクリア化ですが薬剤の調合技術とメンタルケアとしてセラピーにも精通している事。
その点で、執行官落ちした東金もかつてはセラピストだった。ん~、気になる木ぃ~ですけど考えても分からないので保留ww

その東金ですが、先天性特異体質(鹿矛囲のような多体移植者・AA)みたいだがその肉体や精神はシュビラシステム本体達の肉体?だったとしたらサイコパスが最高値の769をたたき出したのも納得ですね、霜月さん。
また、特定人物の入れ替わり(全体的な移植)について不法入国者というキーワードが出てきましたが今冬に公開予定の劇場版の舞台設定が海外なのと関係があるんでしょうか?

霜月監視官が朱と同様にシュビラシステムの事実を知って平気でいられるか?いられないでしょうね、どうみても^^;
そんな彼女は今後どうなっていくのでしょう!?{/netabare}


(2014.12/9 9話)
{netabare}東金朔夜は人工的に造られた免罪体質者だった。それは、鹿矛囲と雑賀の会話のシーンであったシュビラシステムに変わるシステムが頓挫した要因の一つなのか?朔夜はシュビラシステムに取り込まれる目的で生まれてきた存在!?(その頃にパノプティコンに欠陥が相次いだとしたらの話ですが…)
だが、人工的に造られた故に副作用が起こってしまった。それが犯罪係数769という異常なまでの数値に至った?

例えば、通常の免罪体質者を歩行者とすると、人気のない場所で信号待ちをしていた場合それが赤でも渡ってしまう。
人工的な免罪体質者を車に例えると、人のいない交差点での信号待ちはしなければならない。なのに、歩行者の信号無視は罰せられないのに乗り物だと罪になってしまう。
まぁ、東金朔夜はストレスを知らず知らずの内に感じてしまっていたのではないかと。
また、朔夜は朱に鹿矛囲を殺させる事でシュビラシステムの完全性・全能性を示そうとしている。

桑島といい、あの医者といい、鹿矛囲には何らかのカリスマ性があるのか?まぁ。桑島は友情の為って感じでしたけど、あそこまでヤルか普通!?

鹿矛囲と東金、互いの目的は違えど朱が必要なのは変わりはない。ただ、その為に祖母が利用されるのは、あまりにも可哀想だろ…

ついに鹿矛囲がシュビラとの因縁?とも言える決着に向けて本格的に動き出した。
ここで鹿矛囲が拉致した酒々井水絵監視官ですが、10月1日生まれと10月18日生まれだとする説があります。10月1日は法の日・18日は統計の日。
法の日はシュビラシステムと接点ありそう。また18を1+8=9とすると9日は、ウガンダやエクアドルの都市の独立記念日でもある。

以上の理由と鹿矛囲の目的から察するに拉致する監視官を予め決めていた事になる?
それにしても朱のサイコパスが曇らないかが気になります。最後は鹿矛囲と組みサイコパスをクリアにして東金朔夜と、あいまみえる展開になったりして!?{/netabare}


(2014.12/18 10話)
{netabare}今更ですが、2期OPの歌詞は“透明人間”鹿矛囲桐斗の事を唄っていてED歌詞の意味は東金執行官の事だと信じたいですww

禾生局長(今は東金美沙子)が鹿矛囲の事を「地獄の季節の再現だけで満足する程度なら、とっくに処分できているわ。」と言ったのは処分がドミネーターによるものではなく東金朔夜を使った、あくまで執行官が暴走して撲殺しましたという事にするとシュビラシステムの絶対性を誇示できると思っての発言だろう。

その絶対性とは?どんな状況においても平時の状態を維持する事だとするなら、ドローンがハッキングされた時点でそれは失われている。

鹿矛囲の目的は、シュビラシステムに対する報復・革命と言ってもいい。だが、朱はシュビラシステム下で今までよりも良い社会を築く事ができるかをシステム自体に問うた。

その朱の問いをシュビラはどう解くのか解き方次第で、良い最終回だったかどうかが決まる気がします。
また、シュビラシステムによる弊害=有ストレス欠乏症だとするなら鹿矛囲が行ってきたメンタルケア(サイコパスをクリアにする事)も最終的には欠乏症に繋がるんじゃ…
1期の槙島はシュビラシステムの正体を暴いた訳ですが、鹿矛囲はシュビラの存在意義を曝け出させる形になる!?

最後に東金の隠していた経歴が明らかになったとき榊原高校とありましたが、だいぶ前に神戸で起こった事件をモチーフにしているのでしょうかね^^;{/netabare}


(2014.12/28 11話)
「貴様は存在してはならない!!」それはシュビラシステムの総意ではなく、東金自身の母親を清らか(クリア)に保ち続けたいと言う思い。しかし、その言葉を鹿矛囲と同じ“集合体”であるシュビラに言えるのか?
確かに朔夜から見れば母親(美沙子)はクリアかもしれない。けれど鹿矛囲から見た東金美沙子はどうだろう?

所変わって、シュビラの目と自負する東金朔夜に因んで?ではないですが、朱・鹿矛囲・酒々井の瞳の色について調べてみました。
朱→橙色(深い洞察、ショック、依存) 鹿矛囲→紫色(浄化、神秘) 酒々井→水色(意志、慈愛)

まぁ調べたのはいいけれど、これと言って新しい発見はなかったです^^;


シュビラが鹿矛囲を認識した事は大きな一歩と思いたい。だが鹿矛囲も言っていたように“集合体”であるシュビラがドミネーターを向ける人によって色が変わると言う事は、ある人から見ればクリアでも違う人から見るとクリアではないという事。

それって部落差別、いや同和問題と似たようなものなのかも…

所で今回の事件の犯人は鹿矛囲と東金? それとも鹿矛囲の目的(シュビラの執行)の為に朱に目を付けた鹿矛囲が東金を利用した時点で真犯人は、やはり鹿矛囲か。

また、シュビラが集合的サイコパスを認識した“だけ”であって処理・執行すると決めた訳ではない。「全能者のパラドクス」回で朱が述べた「持ち上げられない岩を造り(ry」の事をシュビラは実行したに過ぎない。


さて、シュビラシステムの存在を揺るがしたこの事件を皮切りに劇場版ではどのような変化がシュビラに訪れているのか!?
来年もPSYCHO-PASS(サイコパス)に期待バハリMAXですww

投稿 : 2024/05/04
♥ : 14

74.0 4 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング4位
東のエデン-The King of Eden-ザ・キングオブエデン(アニメ映画)

2009年11月28日
★★★★☆ 3.8 (1116)
6294人が棚に入れました
ノブレス携帯のジュイス(玉川紗己子)に「この国の王様になる」ことを依頼したセレソンNo.9の滝沢朗(木村良平)は60発のミサイルを迎撃すると,忽然と姿を消した.江田一彦(丸山詠二)は責任をとって引責辞任.一方,森美咲(早見沙織)は事情聴取後に姉の森美朝子(松谷彼哉)の元へと戻り,平澤一臣(川原元幸)が新たに起業した「東のエデン」で,おネエ(斉藤貴美子),大杉智(江口拓也),葛原みくる(齋藤彩夏),春日晴男(田谷隼)らと共に働きながら,ワシントンD.C.を中心に滝沢朗の行方を捜していた.そして「東のエデン」に板津豊(檜山修之)も参戦する.一方,60発のミサイルを発射したセレソンNo.10の結城亮(森田成一)を切り捨てた,セレソンNo.1の物部大樹(宮内敦士)は播磨脳科学研究所の責任者として動き,No.2の辻仁太郎(遊佐浩二)と再接触を図る.またセレソンNo.11の白鳥・D・黒羽(五十嵐麗)も独自に動いていた.

声優・キャラクター
木村良平、早見沙織、江口拓也、川原元幸、齋藤彩夏、斉藤貴美子、田谷隼、白熊寛嗣、五十嵐麗、小川真司、玉川砂記子
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

設定と人物関係をつかめるかどうかが勝負!

東のエデン劇場版第一弾。

TV版の続きとなります。
TV版のレビューはこちら→http://www.anikore.jp/review/407277

さすが劇場版だけあって、映像が綺麗です。
特に夜景の美しさは一見の価値あり。
飛行機の窓についた露など、非常にこまかいところにもこだわりが見られます。


上映時間の制限がありますので、TV版で光ったシュールなギャグは控えめ。
それでも、{netabare}NEETがNEET論を語りながら、本気で働いてる場面は、実にシュール{/netabare}
そして、何よりの見所は、{netabare}各セレソンに対するジュイスの当たり方。

・No1に対しては、ハキハキと「最強の救世主たらんことを」
・No2に対しては、フレンドリーに「聞きたいわ」「ええ、分かるわ」「カッティングエッジな救世主たらんことを」
・No6に対しては、説教したあげく「もう少し口の利き方をわきまえた救世主たらんことをブチッ」
・No9に対しては、すごく嬉しそうに「お久しぶりですぅ!!」「今後もあなたが素敵な王子様…いえ…救世主たらんことを…」
・No11に対しては、部下っぽく「あ、あの…わたくし、何か不手際でも…?」。そしてジョニーの話題…。「私の素敵な救世主たらんことを」

この格差には笑わせてもらいました、No6に対しての扱いがとにかくひどいw

ちなみにジュイスのスペルは"JUIZ"。
ポルトガル語で「裁判官」を表します。
{/netabare}


ストーリーは、かなり密度が濃いです。
しかし、テーマ性は維持しつつ、伏線の張り方や回収も相変わらず上手い。

TV版終了時に予想していた展開も、見事に裏切られました。
ミスリード万歳ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ


問題は登場人物。

かなり多数の人物が物語に関わっている上、番号で呼ばれたりニックネームで呼ばれたりフルネームで呼ばれたりで、誰が誰だか分からなくなります。
一応説明はされているのですが、初見で全員の行動を把握するのはかなり難しいかと。

この映画とTV版だけで分かる情報は以下の通りです。
{netabare}
【東のエデン】
エデンシステム(画像認識つきツイッターみたいなもの)を作ったサークルの名前。
会社として企業する。
咲は滝沢朗を探すため、NYで単独行動中。
パンツ君のアップデートによりエデンシステムの強化。
そしてメンバー全員で、咲を誘導しつつも、各セレソンの行方を探索。
その後、盗聴、及び、ジュイスにエデンシステムを利用されていることに気づき、エデンシステムをシャットダウンさせて元いた大学へ戻る。
No11のバックアップを受け、咲と滝沢朗の2人は日本への帰路に立つ。

【セレソン】
・No1 物部大樹。ネクタイのおっさん。東のエデンの内偵を依頼。各セレソンのジュイスシステムに向けてミサイル発射。最後に男と通話。60発のミサイルを防いだことになっている。「ぎゃふん!必要ならまたやるよ」から、江田元首相と会話しているらしいことが推測される。いわゆる黒幕的発言。
・No2 辻仁太郎。VIPな帽子の人。滝沢朗にAIR KINGのTシャツを着せ、総理の息子、飯沼朗として日本に呼び寄せようとしている。日本が軍国主義になるのではと不安をあおる計画。ミサイル攻撃を受け、ジュイスシステムが破壊された描写あり。ただし、Tシャツを着せるという申請までは通っている。
・No3 北林とし子。夏バテで入院中とのこと。
・No4 近藤勇誠。ギャンブル狂の刑事。TV版で妻にさされ、死亡の描写あり。
・No5 火浦元。医者。死亡していたと思われていたが生存確認。記憶を無くした描写がある。
・No6 直元大志(エンドクレジットより)。カメラマンで、なぜかジュイスに嫌われてる男。冒頭で咲の荷物に銃器を仕込んだ人物。ビデオを撮っている。ビデオを撮りたいだけにしか見えない。最後に黒服に取り押さえられ、その後の状態は不明。
・No7 正体不明。
・No8 立原憲男。元サッカー選手とのこと。出番はなし。
・No9 滝沢朗(AIR KING、ビンテージ、飯沼朗)。記憶消去。飯沼朗として生活。NYでの記憶を取り戻す。エデンシステム内で有名人→エデンシステムを停止。NYから日本へ向かう。
・No10 結城亮。裏でひたすら滝沢朗を殺害する申請をして却下されている。いつの間にか死亡したと思われていたが、自分から携帯を破壊していたことが判明。
・No11 白鳥・ダイアナ・黒羽。イリュージョンの人。「王様になったあなたを見てみたい」と、滝沢をフォローしている。No6の行動を追跡し続け、滝沢と咲をデートに誘うように仕向けたのも彼女。結城亮を守るためか、トラックの位置を誘導して、自らミサイル攻撃を受け自爆した描写あり。黒いストールと白いワンピースで名前そのままの格好で去っていった。
・No12 Mr.アウトサイド&サポーターらしき誰かと思われてきた人物。ミサイル攻撃を受けジュイスシステムが破壊された描写あり。

ただし、各人のジュイスシステムが本当に破壊されたかどうかは、トラックの番号が確認しにくい&結城亮の件もあるので疑わしい。
{/netabare}


ちなみに途中で出てくる{netabare}「太陽を盗んだ男」という言葉。
Wikipediaによれば、
>「原爆を作って政府を脅迫する」という奇想天外なアイデアの日本映画。大掛かりなカーアクション、国会議事堂や皇居前を始めとしたゲリラ的な大ロケーション、シリアスで重い内容と、ポップでエネルギッシュな活劇要素が渾然となった作品。原子爆弾製造や皇居前バスジャックなど、当時としてもかなりきわどい内容である。
{/netabare}
…だそうです。
要するに、滝沢朗が自分をそういう人物だと認識したってことですね。

終了間際は、ついていけないほどの急展開ですが、核心にせまりそうな発言とともに終わります。
このあとどうなるのか実に気になる引き際でした!

次は「東のエデン-Paradise Lost-」で!

投稿 : 2024/05/04
♥ : 33

∮アジェル∮ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

新たな新境地と、彼らのその後の行方が明らかに・・・!!

ノイタミナ枠のオリジナルアニメからなるアニメ版「東のエデン」の直結続編となります。アニメの方で一旦は終結したかのようにみえた展開に対して、依然として続いているセレソンゲームの続きを映画化したものです。

アニメ版の方のレビューにも書きましたが、ノイタミナ制作として初のオリジナル作品ですが、映画版として波及し、その人気はすでに証明されているのですが、何がそんなに面白いのかといったところが、この映画版でわかってくるのではないかと思います。作品の中心的な行事である「セレソン」の活動、そしてセレソンという存在の意味と意義、この映画版によって明らかになってきます。

ただの突拍子もないマネーゲームのようなところもありましたが、本当に救うために活動し、そして主人公と関係してきた仲間たちが彼のその後を救うために・・・。そして、パンツ!!!

さてw 映画版については、前編、後編の2部作で、本作品の残り半分のシナリオを放映しています。アニメ版では全体の半分といったところ。この映画版によって、残りの真相と真実は・・・というところに入っていくのですが、思いのほかいい感じになっているのではないでしょうか。
当然、オリジナル作品であるからこそ、その筋書きは世間に公表されておらず観る事によってはじめてわかるわけで、原作(小説や漫画)が存在する作品は、なんとなくわかっていて期待半分、仕上がり半分という入り方をするのに対して、全部わからない所から感動する良さが十分発揮されています。

勿論、レビューを読んでくださった方はアニメ版を観て頂いていると考えて、この文章をしたためているのですが、ある意味で、アニメを観ずに映画版から入りました。そういう方がいたとしても、これはこれで、一旦は終結的な状態をアニメでむかえ、映画版から再スタートを切っているため、アリなんじゃないか。そういうところがあるため高評価をつけさせていただきました。

ただし、映画版に関しては、前編、後編という2部作の為、こちらは両方見ておかないとしっくりこない面があります。終わり方も次を観ないと気になりすぎるところがあり、また一旦の終結点はありません。完全に次に続く終わりを迎えます。その辺を参考に、観て頂ければと思います。

作品自体は、アニメに劣らずなかなかよかったのではないかと感じます。アニメ版の流れを完全に引き継いだ状態であり、また「エデン」が本格的に活動していくところも魅力の1つとなっていて個人的に好きです^^

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4

ようす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「俺をこの国の王様にしてくんない?」

東のエデン・劇場版その1です。

ストーリーは完結していないので、劇場版前編ということになりますね。

時間は、1時間半ほどです。

テレビシリーズの続編になるので、先にテレビシリーズ(全11話)を見てくださいね。


●ストーリー
ミサイルテロから半年。

ミサイルから日本を救った滝沢朗(たきざわ あきら)は、森美咲(もりみ さき)の前から姿を消していた。

滝沢を見つけ出すためにニューヨークへ単身出発する咲。

そこで再会した滝沢は…。


劇場版前編ということで、「おお、いよいよここからどうなるのか…!」と盛り上がってきたところで終わりました。

この劇場版がおもしろいかどうかの評価は、後編に持ち越しですねー。

テレビシリーズの後日談が気になっている人は見るといいのでしょう。

そして劇場版を見る前に、テレビシリーズで登場したセレソンを復習しておくべきだったなあと感じています。

これから劇場版を見る人は、各番号のセレソンの姿が思い浮かぶように復習しておくことをおすすめします。笑

滝沢くんは活動休止中ですが、その分、他のセレソンが何やら動きを見せています。

そしてそれをセレソン番号で説明されるから、よくわからなかったんだよ…!泣


●キャラクター
相変わらず滝沢くんかっこよすぎ!

滝沢くんと咲ちゃんを見ているとなんかこういろいろ妄想がふくらんで「きゃー!」となりますwwwwww

メリーゴーランドとか、なにあれ!!

見ているこっちが赤面!!ww
(自分が実際にやりたいとは絶対思わんけどwww)

ああいうのは眺めて憧れることが楽しいのであります。笑

そういう意味では、いいシーンでした。ごちそうさまです。笑

あとは、ジュイスのキャラ変わってないですか?

私の中のジュイスはもっとこうクールにかっこよく、なんでもこなしちゃう印象だったんだけどなあ…。

各セレソンに対して話し方が違うのは、テレビシリーズからだったっけ?あれあれ?(混乱)


●まとめ
というわけで、ストーリーは完結していないし、続きの劇場版2作目は視聴必須ですね。

前編だけではなんともレビューを書きにくいです(笑)

後編がどう展開するか、そしてどのような結末を迎えるかで、この前編の評価も変わりそうです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 16

73.1 5 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング5位
東のエデン-Paradise Lost-パラダイスロスト(アニメ映画)

2010年1月30日
★★★★☆ 3.8 (1083)
5958人が棚に入れました
ニューヨークから帰国した滝沢朗は、“東のエデン”のメンバーと合流。セレソンゲームに決着をつけるため、内閣総理大臣の別邸へ向かう。滝沢の帰国と同時に、セレソンたちの思惑も交錯する。ゲームはいよいよ最終局面を迎えつつあった。一方咲は、滝沢の過去にまつわる、ある秘密を掴むのだが……。

声優・キャラクター
木村良平、早見沙織、宮内敦士、江口拓也、川原元幸、齋藤彩夏、斉藤貴美子、田谷隼、玉川砂記子
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

東のエデン完結編。その行き着く先は…

東のエデン劇場版2作目。
完結編となります。

TV版のレビュー→http://www.anikore.jp/review/407277
劇場版1作目のレビュー→http://www.anikore.jp/review/407653


OPがとても綺麗なCGで描かれており、劇場版1作目の回想シーンも入っている親切設計。
…といっても、セリフがないので未見だと何が何やらわからないのですが。

今まで活躍してこなかったキャラクター達の見せ場。
{netabare}
・みったんは言うまでもなく最強。
・パンツ君も言うまでもなく最強。「こんなこともあろうかと!」
・警察から逃げる秘密のルートを確保していた春日。「こんなこともあろうかと!」
・大杉君、男を見せた!…けど、そのあとちゃっかり自分に有利なことを咲に勧めちゃって、もう…
・おネエ、大型免許保持でトラックぶんまわす!かっこいい!!
・平澤も亜東の居場所を突き止めることに成功してる!…そのあとボロ負けしてるけど…。
{/netabare}

そして、すべての真相に至る過程が描かれています。
劇場版1作目よりはずっとわかりやすいです。

シュールな笑いはかなり減っていますね。
ストーリー重視です。
でも、{netabare}携帯が形態変化して、出ジョニーしてくれたので満足です。{/netabare}

さて、真相ですが、TV版、劇場版でさんざん読めない展開を繰り広げられてきたおかげで、まんまとダマされました!
ヒントは何度も出てたんですね…気付かなかった。
{netabare}
・TV版4話での新聞配達の回想シーン
・TV版4話で病院にいたおじさん(「火浦先生は救世主なんだよ、誰がなんと言おうとな、と言って新聞を捨てた人」)
・TV版11話で乗ったタクシーの運転手
これ全員、亜東才蔵だったんですね。
個人タクシーで、ナンバープレートも「あ TO-0120」とかなってるし。
タクシーには気付いていたんですが、いくらなんでも偶然すぎ、どうせミスリードだと思ってました。
・そしてTV版10話での物部の推理
これもどうせ間違ってるだろうと…。
…なのに合ってた。。。やられました。
{/netabare}

そして、
{netabare}
滝沢君は、みんなの希望と恨みを一身に背負うことに決めたわけですが…結局、何をしたくて何と戦っていたのか。
もうわからなくなってきました。
まあ、ぶん殴る!って目的はちゃっかり果たしていますが!!(スリッパで叩くところが彼らしくていいですね、優しさが出てます)

咲と約束した「絶対戻ってくる」という言葉を守ってくれることを望みます。
{/netabare}

私思いました。

最後のやりとりの中、誰の言葉が一番心に響いたか。
それこそが自分の立ち位置を示していると思うんです。
{netabare}
・物部「国民とは1億人のエゴイスト集団だ」「全員が何者かになるなんてそもそもあり得ない」「国民はあきれるほどシニカルだ」
・滝沢「もっと個人を尊重したい」「金は払うよりもらう方が楽しいって社会の方が、健全な気がするんだけどな…」
・亜東「国のためにがむしゃらに頑張ってきた。今は歴史の汚点のように言われる。だが、我々とてあの頃は右も左もわからぬ新人だった」「この国の本当の救世主は、日々をこつこつと生きた名も無き者達であり、結果いっぱい血にまみれて…この世を去った歴史の敗者達だ」
{/netabare}
どれももっともな意見。
しかし、どれも正解とは言えない。

どこに共感できたか、そこから自分の考え方のヒントを導けるんじゃないか。
そこから小さな変化が生じ、やがて大きくなっていくのではないかと。

私からも一言。
{netabare}
「ノブレス・オブリージュ、今後も君たちがこの国の潜在的救世主たらんことを、切に願う」

…最後に、ノブレス携帯が再起動したのが印象的でした。
{/netabare}

シリーズ通して面白かったですね。
社会風刺を効かせ、シュールな笑いを取り、各人の意見に任せる終わり方。
ご都合主義な点や説明不足はあるものの、とてもバランスのよい良作でした!!




【行き着く先は】





攻殻機動隊シリーズ。
同じ世界の話だそうです。
{netabare}
・豚さん電子マネー
・物部の言っていた内務省が設立されている
・飛行機撃墜で生き残った子供2人が、攻殻機動隊S.A.Cシリーズの草薙素子と、攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIGのクゼ・ヒデオ
・結城が辻から手渡された偽造パスポートの国籍は、攻殻機動隊S.A.Cシリーズに登場するシアク共和国
・ジュイス→進化→タチコマ
など。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 33
ネタバレ

dolcetto さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「Noblesse Oblige」 恐怖と希望を与える愛にあふれた AIR KING

※この劇場版を見る前に前作の「東のエデン」と「東のエデン 劇場版I The King of Eden」を見ておくことをお勧めします。

前作の物語の始まり
物語は卒業旅行でアメリカに訪れたヒロインの女子大生がホワイトハウス前でポリスマンに職務質問されそうになり、そこに{netabare}全裸で拳銃を片手にした{/netabare}どっからどう見ても不審者な主人公が現れるところから始まる。自分は誰なのか?なぜ記憶がないのか?唯一持っていた不思議な携帯電話は何なのか?少しずつ明らかになっていき、自分のすべきことに気が付き、いろんな意味で衝撃的なラストを迎えた「東のエデン」の劇場版その2です。

劇場版その1では{netabare}再び記憶を消して目の前から消えた主人公を追って、ワシントンに向かったヒロインと、謎のゲームについて解析を続ける東のエデンを中心とした話になります。ヒロインと主人公の再会。新登場のセレソンや終盤に登場したセレソン達の動き。そして、セレソン同士の潰し合いが始まります。主人公は目的の為にまた大きく前進する。今まで出会ってきた人達の力を借りながらも難を逃れ、日本に帰国できるのか?と言う{/netabare}中途半端な部分で終わり、この劇場版その2に繋がります。

「東のエデン」はこの「東のエデン 劇場版II Paradise Lost」でやっと完結します。{netabare}終わらない腐れオールバックからの攻撃。主人公は自分のジュイスを守るために行動を起こし、ジュイスを破壊された他の元セレソン達もそれぞれの目的の為、動き出します。ヒロイン側では主人公の母親探しが行われ、主人公の仲間は12番目のセレソン(サポーター)に辿り着きます。そして、終盤に向かうわけですが、強すぎる主人公補正もあり、遂に腐れオールバックを追い詰め、話し合いを始めます。話し合いの末、{/netabare}主人公が導き出す答えは救世主らしい魅力的なものでした。最後はそれで終わり?と思ってしまう様なラストでしたが、物語は上手くまとめられており、{netabare}残念と言うか、自業自得な終わり方をするセレソンもいますが、主人公側は一応ハッピーエンド?で終わり、{/netabare}良かったと思える終わり方だと思います。

設定やゲームのルールについては前作の「東のエデン」を見ないと何が何だか分からないと思うので、前作「東のエデン」のレビューを見て下さい。


東のエデン
東のエデン 劇場版I The King of Eden
東のエデン 劇場版II Paradise Lost

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
ネタバレ

disaruto さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

「東のエデン」映画2作目

制作はProduction I.Gのオリジナルアニメ映画です。
ジャンルはSFサスペンス・セカイ系です。


日本に戻ってきた滝沢と咲。
飯沼の姓、セレソンゲーム、Mr.Outsideの全てが明らかになる。


{netabare}冒頭のジョニーに吹いたw{/netabare}

本作で終了です。
前作よりも格段にテンポが良かったですね。
あんまり派手なシーンはないものの、ほぼ全てが明らかになったはず。


今回は滝沢、物部、亜東の国・国民などへの考え方が提示されています。
○滝沢の考え
{netabare}・一人一人は何者かになりたい個人
・個人を尊重した方が、国としての力が増す
・金は貰うより払う方が楽しいという社会の方が健全
 →個人に期待し、みんなで協力し、国力を上げる{/netabare}

○物部の考え
{netabare}・国民は一億人のエゴイスト集団
・無責任で何も決められないくせに他人の意志で動かされるのを嫌う
・国民は個人的感情を注ぐ対象ではない
・この国の人間は呆れるほどシニカル
 →個人に期待せず、徹底した効率化で国を無理やりに動かす{/netabare}

○亜東の考え
{netabare}・我々が築いてきたものは過去の遺物として汚点のように叩かれる
・救世主は日々をコツコツ生きたものであり歴史の敗者のこと
 →表に立っているものに、国を動かしたものなどいない{/netabare}

こんなところでしょうか。
滝沢の考えは彼のずば抜けた人の好さから、物部の考えは元官僚という職業柄から、亜東の考えは裏社会の巨魁であることからそれぞれうかがえますね。
それにしても、物部の官僚組織を見限って官僚制を敷くような考え方は何かの皮肉でしょうか?

{netabare}「俺には同じ方向を見ているように見える」{/netabare}
この言葉は物部と滝沢のどちらも国を良くしようと必死に考えている。
そういうことですよね?


滝沢がどうしても最後にやらなければならないこと。
それは{netabare}亜東を殴ることというねw
しかもスリッパw{/netabare}

結局、{netabare}亜東により記憶を消されるあたりを考えるとセレソンが可哀そうすぎる展開でした。{/netabare}
そこは何とかならなかったのでしょうか。
全体的にあんまりハッピーエンドではないように感じました。


総括して、セカイ系なのでちょっとゴリ押し感が強い所もありますが概ね満足です。
興味があるならば、早めに見るとよいでしょう。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 37

77.0 6 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング6位
イヴの時間(OVA)

2008年8月1日
★★★★☆ 3.9 (919)
5028人が棚に入れました
高校生のリクオは、所有するハウスロイド「サミィ」の行動記録の中に、命令した覚えのない行動を発見する。友人のマサキを誘って記録された場所に向かってみると、そこには「イヴの時間」という不思議な喫茶店があった。そこに集う様々な人間やアンドロイド達との関わりの中で、それぞれが少しづつ影響を及ぼしあい、変わっていく。やがてそれは、外の世界へもかすかな、しかし確実に波紋を広げることとなる。

RickyJP さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

AIを考えることは、自分を考えること

一話約15分、全六話の非常に短い作品です。
大雑把に紹介すると人型アンドロイドが実用化され、家政婦や食料生産などの労働力として浸透しつつある世界で、
主人公が家のアンドロイドの行動ログを取ると命令や普通の行動とは関係のない場所に通っていることがわかり、
主人公がその場所にいくと、そこはロボットと人を区別しないカフェでした。
アンドロイドは見た目は人と違いはないのですが、本来頭上にリングがあるのですが、カフェではそれがありません。
そのカフェで人間のように振る舞うアンドロイドやカフェにいる人間や友人とともに、
アンドロイドとは何か?を考えて行きます。

この作品の好きなところは、例えばこの世界において社会問題となっている、
「ドリ系」と呼ばれるアンドロイドに依存する人々、逆にアンドロイドを奴隷のように使う人など、実用化してからそこまで成熟化していない段階のため様々な問題が浮き彫りになり始めている世界観が非常に面白いです。


本題に入ると、アンドロイドと人の違いってなんだと思いますか?
勿論心臓や脳といった「ハードウェア」的な違いは言うまでもありませんが、
感情や仕草、表情などの「ソフトウェア」的な面ではどこが違うのでしょうか?


私観ですが、人とAI、どちらも生成メカニズムがあり、電気的なものである点で、ほとんど違いはないと思います。
しかしそれは「個」での話です。相手が絶対に自分に危害を加えないとわかっている我々人間はアンドロイドに対して純粋な愛を育むことが出来るのか?という点においては非常に厳しく、強い依存心などからやはり少し歪んだ愛情になる可能性は高いと思います。
しかしそもそも恋愛には依存という面は強弱の違いはあるもののそういった要素もあるので一概に人とアンドロイドとの本当の恋愛は存在しないとも言い切れません。

このように、アンドロイドや人工知能を考えることは今の人間、自分たちを考えることなのです。
ただアンドロイドには絶対的なルール(ロボット三原則や主人の命令)があり、それを破ることはないように設定はされているはずです。
その点人間は犯罪を犯したり、論理的思考から外れた行動をすることがあり、やはりどれだけ人口知能が進化しても違いが完全になくなることはないでしょう。

だけれども、そうしたどうにもならない違いは人種、宗教など現代社会においても多く存在しています。
だから、その違いとどう向き合うか、どうやって付き合って行くか、それを考えることは我々人類における永遠のテーマなのだと思います。


随分とスケールのでかい話をしてしまいましたが、以下はこの作品を見た高校生の感想です。
サミィかわいいよサミィ。あんな可愛かったらみんなドリ系になっちゃうやん。
作中はエロもグロもないのでそこまで描かれてないけど、やはりセクサロイドとしての機能を持つアンドロイドもいて、ちょっと良いなあと思ってしまった自分がいる。
食料自給率や労働力不足の問題はロボットで解決できてる感じだけど、
少子化は加速しそうだな...w

しかし自分が生きている間にここまでアンドロイドが人間と見た目的な差がなくなる時代は来るのかなあ。
来て欲しいけど来ちゃ行けない気がする。


エロもグロもほとんどなく、淡々と進んで行きますが、毎回しっかりテーマのような話の骨があり、テンポもいいので非常に完成度が高いです。
この先この手の問題は度々浮上してくることになると思います。様々なロボットが生まれ様々な価値観が生まれつつあるこの時代に、是非色んな人にみて欲しい作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 3
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

奇才・吉浦康裕→「よし!本気で売れそうなアニメ作ったろw」

【レビューNo.15】(初回登録:2023/1/8)
2008ー2009年で公開されたWebシュートアニメで全6話の作品。
(1話15分程度で最終話のみ30分)

(ストーリー)
「未来、たぶん日本“ロボット”が実用化されて久しく、“人間型ロボット”
(アンドロイド)が実用化されて間もない時代。」

主人公リクオの自宅にもアンドロイドのサミィがいて、普通にロボットとして
家事に従事していた。
ある日リクオはサミィの行動記録に不審な点があることに気づく。そんな彼女
を探ってみると、彼女はひそかに喫茶店「イヴの時間」の常連客となっていた。
この店では「人間とアンドロイドの区別しない」というルールがあり、それに
従いここでは普段は無表情なアンドロイド達が、人と交わり感情豊かな人格を
現し人間らしい振る舞いをしていた。
この光景に戸惑いつつも、この店での様々な出会いや人間とアンドロイドを取り
巻く社会情勢との狭間で、リクオはサミィとのかかわり方を見つめ直していく。

(評 価)
{netabare} ・ショート枠でのストーリー展開が秀逸
 「イヴの時間」での出会いを中心に、毎話オムニバス的にテーマを扱いつつも
 きちんとした積み重ねがあり、綺麗にラストへ繋がっていく。
 例えば最初は(感情も豊かな)人と遜色のない人型アンドロイドと交わっていき、
 違和感のないヒューマンドラマという雰囲気で話は進んでいくが、話が進むにつれ
 イカにもロボットという風貌で感情表現できない旧型アンドロイドが現れる。
 それでも(それまでの流れから)しっかり感情を揺さぶられるドラマが成立して・・・
 ショート枠ながら、しっかり構想が練られてるなあという印象。
・近未来ながらもノスタルジーな空気感
 喫茶店を舞台とすることにより、「そこには特別な時間が存在する」という演出が
 作風と上手くマッチして、落ち着いて作品に没入できる。
・アニメとしての魅せ方にこだわり
 吉浦康裕お得意の3DCGのメリットを生かした作画やカメラワーク、音楽など
 「アニメとしていかに面白く魅せるか」
 という部分もしっかり考えられるなと感じます。
 登場場人物も見た目と性格・声がちゃんと一致しており、短いストーリーの中でも
 しっかりキャラ立ちしている点も好印象。

のちに再編集され劇場版も公開されますが、そのキャッチコピーが「ボクラノキョリ」。
登場するアンドロイド達は、「もっと家族のために尽くしたい」「その為に家族のこと
をもっと理解したい」という思いを抱えています。
例えばサミィは「リクオにもっとおいしい珈琲を入れてあげたい」という理由から
「イヴの時間」で珈琲の入れ方を勉強していたのでした。
「ロボットは命令に忠実にあるべきだ」そう考えていたリクオは、そんな彼女の思いを
知り、何を思うのか・・・
{/netabare}

吉浦康裕は前作「ペイル・コクーン」で「商業アニメ」としてはデビューしているのですが、
この作品はまだマニアックすぎるというか・・・
そういう意味では、本作は「一般受けするようかなり寄せてきたなあ」って印象ですね。
(自分を捨て媚びているという意味ではなく、上手くバランスを取ってきたなと)
これまでの自主制作からチーム体制で臨み、初のシリーズ作品として制作された意欲作。

【追記】
「ペイル・コクーン」レビュー投稿、「商業アニメ」のくだりはそちら参照

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

MmmM さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

タンパク質は金属です。

日本人の歌手"KOKIA"さんの「ありがとう」という歌を若干想起させる内容でした。


舞台が明確に日本というのがこの作品が訴えかけるものに対して、一つの強力なバックアップになっていると思われます。
アンドロイドという"機械"に対して、必要以上の思い入れを持つ・あるいは周囲がそう捉える=「ドリ系」という明確なラベリングで済まされる。
貼られたラベルが違えば「自分と違う」「自分には理解できない」ものに対しての畏れを安易に誤魔化せる。
ラベルの下にはあまりにも多種多様のタグがぶら下がっていても、覆い隠せる。

お店にキープしたボトルのようなものでしょうか。
コニャック、スコッチ、色々なお酒の瓶が並んでいるが、どれにも違うタグがぶら下げられている。同じメーカーの同じ銘柄でも、全てのボトルは別のもの。
タグの名前欄に書かれた名前。山田さん、田中さん、一条院さん・・・
最後にお店に来た日。
瓶に書かれた落書き。
落書きが気に入ったのか、同じボトルに何枚もぶら下がる最終来店日タグ。
ボトルにぶら下げられているタグは「個性」なのです。
それらを全て「ウイスキー」「それ以外」というどちらかのラベルが覆い隠している。

そんなラベルを少しずつ剥がして、下に埋もれていたタグを見つけていくきっかけになるのが『イヴの時間』。


ボトル=人間と例えていましたが、これをボトル=ハウスロイドとするとどうでしょう。

機械に個性。
極端に言えば人間なんかタンパク質の塊なのに個性がある。
タンパク質の塊ごときが個性を持てるのなら、あまりに高度なテクノロジーに支えられた金属の塊が個性を持つのはさして不思議でもない話。
普段は機械を装っていなければならない、ハウスロイドというラベルに覆われたタグ付きの金属。
窮屈なラベルを外し、気兼ねなくタグを見せられる。褒められたら隠さずに喜べる場所が『イヴの時間』。


デフォルメされ過ぎない人物と写実っぽい背景を組み合わせた色彩豊かな絵柄+中途半端にSFっぽさを感じさせる音楽でボトル達の触れ合いが描かれている、素晴らしい作品でした。
何気に各話の区切り方も絶妙で、オープニング・エンディングの映像が、音楽でいうなれば盛り上がる直前に入れられる無音部分のように感じられ、これはこれで必要な要素と思えるので劇場版の方のレビューを書くのがためらわれます。

演者の方々に関しては、世界観を阻害されることは全くなかったのでこの評価です。
構成に関しては合間に匂わされる背後関係をもっと掘り下げて欲しかったという贅沢な不満が残ります。
キャラクターに関しても同様です。


血液型にまで及ぶラベリングの大好きな日本人がこの作品を見ると、そうでない人よりもさらに思うところが多くなるかと。

少なくとも自分の血液型を知らない私にはそう思えました。



スッキリしない長文な上になんかレビューっぽくないですね。すみません。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 12

64.6 7 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング7位
ガリレイドンナ(TVアニメ動画)

2013年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (754)
3728人が棚に入れました
西暦2061年。地球温暖化が騒がれたのは過去のこととなり氷河期の初期環境が訪れている近未来。イタリアのトスカーナに住む、ガリレオ・ガリレイの子孫・フェラーリ三姉妹の三女、星月・フェラーリは謎の飛行艇に追われていた。時を同じくして次女の神月・フェラーリ、長女、葉月・フェラーリも怪しい人物の襲撃を受けるが、辛くも難を逃れる。警察署にて、別居状態となっていた三姉妹と母・シルヴィア・フェラーリ、父・夏至生・フェラーリが久しぶりに顔を合わせる。
5人は夏至生の自宅に一度戻るが、ガリレオの遺産を狙うシシーニョが率いる空賊ブラック・ガニメデ団に襲撃され窮地に立たされる。しかし星月が密かに組み上げていた金魚型の飛行艇・ガリレオ号によりこれを迎撃する。その後、アンナ・ヘンドリックスに助けられた星月を除き、4人はロベルト・マテラッツィらアドニムーン・カンパニーの息がかかった警察に監禁される。一同はガリレオの遺産の在り処を聞き出そうとするが、誰にも覚えがない。星月はパワードスーツで警察署を強襲し、葉月、神月、夏至生を助けだす。夏至生が囮として残る中、三姉妹とアンナはガリレオ号に乗り込み脱出するが、メタンハイドレート集積所を襲った濡れ衣を着させられ、三姉妹は国際指名手配犯となってしまう。
夏至生が残した「ガリレオの謎を解明しろ」という言葉から、追手から逃れつつも、ガリレオの遺産・ガリレオテゾロの手がかりを探す旅に出ることになる。

声優・キャラクター
日高里菜、大久保瑠美、真堂圭、井上麻里奈、楠大典、神谷浩史、小山力也、桑島法子
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

鑑賞金魚って繊細なのに…

ガリレオの末裔の三姉妹が『ガリレオの月のスケッチ』を集める為、世界を巡り旅をするお話。

冒頭の争いは資源を巡る争いなのかテロなのか目的に謎を見せておいて次は誘拐事件。
色々巻き起こってはいますがまだ底が見えないストーリーはかなり好みかも。
また予想を絡めて楽しめる作品になりそうです。

どうやら母方がガリレオの血筋で親父さんは極東日本から来た関西人なのかな!?
子供の名前が日本名で月が付いているのは意味ありげですね。

作中に出てくる機械はレゴで作れそうなダサカッコいいモデリング。
これは好き嫌い別れそうだけど個人的には洒落ていて好きで惹かれます。
バイクのたたみ方なんかも凝っていて世界観や機械の在り方にこだわりを感じます。

期待してみても良いのではないかなと思っています。

※2話感想{netabare}
謎の多いストーリーに冒険やアクション、家族の絆が絡んで
なかなか好みの作品になりそうです。

三女の超天才っぷりや留置所突入は計画練らずに
行き辺りバッタリで上手く行き過ぎでご都合主義が強い感じもあるけど
派手なミニ金魚スーツの活躍と共に勢いで突破しちゃいました。

ガリレオの遺産も気になるけど両親の方も心配な終わりで次回が気になにますね。
多分命は大丈夫だと思うけど。
{/netabare}

※5話までの感想{netabare}
全体的には好きな部類のストーリーなのは間違いなく「月」が絡んでいそうな
ガリレオの遺産の秘密も興味深く楽しめてはいるけど、
どうも各キャラや次話への引きが弱くパンチの足りなさを感じてしまいます。
そろそろシリアスになるのかなと思っていたら今話で急速に仲良くなった友人が
非業な死(?)を迎えた感じになり、
どうもチープというか…手軽に悲しみ放り込んできた印象でやや不満が残ります。
この後も母親が都合良く動かされそうで不安もあったりします。
空族とは協調路線もあり得そうなので楽しみな点もありますが…はてさてどうなる事やら。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
前話は余り引っ張らず場面転換し姉が病気になってました。
内容的には良いと思うけど脈絡の付け方が余り上手くないのがやや気になります。

人はどういう人と出会いどういう環境で育つかにより
人格が大きく変わるのだと思わせられるお話でした。
ちょっと冷たい人が多い世界に誇張されている気もしますが。
ガリレオテゾロが人類を救う資源の代わりになりそうな感じですがどうなるのでしょうか?
面白くなってきました。
{/netabare}

※7話感想{netabare}
前話に続き場面が少し進んだ感じでスタート。
あれっ?前話見逃したのかなとか思っちゃいました。(^_^;
興味を惹き付ける手法なのだろうけど
個人的にはぶつ切りに感じてしまうので多用はしないで欲しい…。

謎も多いアンナにはやはり裏がある模様。
人は良さそうなので姉妹を見捨てる事はないと思うけどね。
砂時計のテゾロ(?)が奪われるも逆転をあきらめずに冒険は再開。
理想を追う葉月と現実的な神月が対照的になっています。
前話ではシシーニョとロベルトの思想が対照的だったので
対比する者達の心理を考えながら観ると話に深みを感じられそうです。
{/netabare}

※8話感想{netabare}
アンナの葛藤と決意。
ストーリーに繊細さが欠けていて強引さや荒さが気になっていましたが、
今回は心の動きを捉え表現出来ていて良かったかなと思います。…やれば出来るじゃん。
アンナの苦悩と涙。虚ろだった表情が最後のはキリっとしていたので
姉妹を守る決意をしたのだと思います。

終盤に向け三姉妹にはロベルトや母親とも対峙する運命が待っていそうですが
力を合わせ乗り越えて欲しいものです。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
スケッチ揃いましたが最後は望遠鏡(?)…とりあえず月覗いてみたら良いのに。
…なんて思っていたら大ピンチ!
アンナさんスパイの役割を果たしつつギリギリ姉妹を殺させないラインを守ったけど、
どっち付かず感があり少々モヤモヤ。
前話の描写だともう少し姉妹側に傾いてたと思っていたのですけどね。
まぁ、人間味があるって解釈する所ですかね。

そんな中いつの間にやら空族も現れ混戦の中ガリレオテゾロ発動!
そしてタイムスリップ!?
んー、やはり大味というか強引な展開に感じます。
次回以降上手く纏まって欲しいですねー。
{/netabare}

※10話感想{netabare}
かなり強引な所や謎の雲への疑問、
テゾロ発動しなくても空族が助けてくれんじゃん…っと言うツッコミ諸々ありますが、
テゾロが砂時計になっていた事やガリレオのメッセージなどが集約され結び付き
それなりに纏まっていてくれましたので良しとしましょうか。(^_^;
この時間がテゾロの秘密を解く大切なヒントにもなっているでしょうしね。
どうやら次回が最終回。上手く着地して欲しいです。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
強引かつ呆気ない着地となりました。

裁判は不公平かつ論点が広く(資源略奪?脱獄?傷害?兵器保有?街破壊?殺戮?)
争点が定まっていなくて腑に落ちてないです…
まぁ裁判物ではないのでこれはスルーすべきなんでしょう。

母親の登場もここまで引っ張っちゃうと記憶喪失じゃないのバレてますしね…
中盤辺りで娘達と対峙させ姉妹に不安を与えていれば深みも増したんでしょうけど
『母親の無事確認→様子がおかしい→やっぱり味方だった』
の間隔が短すぎてドキドキもしないし淡泊すぎて
仕掛として余り意味がなかったように思います。

ロベルトの義理親殺害に関しては彼の壊れた人格の目から
『要らない側の醜い人間』に映っての事なのでしょうから思える所はあるのですが
あの場での犯行は狡猾で大きな野心を持っている彼にしては短絡過ぎて違和感があります。

締めとしても温か家族な感じがヌルく感じてしまいました。
この旅で姉妹達は貧富の差を肌で感じ、
貧困で喘ぐ人やそれにより知人と死に別れる経験をしているのだから
この世界を変える為に一段と家族協力してテゾロを完成させ平和利用しなければ!
という気持ちが伝わり緊張感や使命感が途切れない終わりにして欲しかったです…。
「じぃちゃんの家に行こう」じゃないよ、ここは!

他にも弁護士空族やら次女のボーイフレンドの意義や細かい台詞も気になる点は多々あり
大団円っぽくはあるけど面白味のない決まりの悪い着地という印象。
前話の時を越えたメッセージが一応のピークでしたねぇ。
{/netabare}

【総評】
作画や動きには繊細さを感じはしましたがストーリーに雑さを感じる作品でした。
部分部分のシナリオは悪いものではないのだからもっと丁寧に繋げて絡めて積み重ねて
くれればそれなりの良作になり得たのだけれど…。
冒険や絆はあるものの観る者を驚かせたり感動させたりするにはひとつふたつ物足りない作品。
キャラに関しても掘り下げ足りてないので感情移入出来ませんし…。
好きなジャンルでそれなりに期待もあっただけに残念に感じてしまいました。
残念ではありますが、お勧めは出来ない作品です。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 33
ネタバレ

ezo さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

非常に惜しかった

ノイタミナ枠のオリジナルアニメーション。放送前は2013秋アニメの中で1番期待している作品だったのですが・・・予想以上の作品にはならず。

個人的には割と気に入った作品だったのですがストーリーがイマイチで他人に薦める程の作品ではないかも・・・。

作画が良くキャラも良く設定も良かったのでストーリーがもっと練られていたらまた違った評価を受けていたのかもしれませんね。


1話目感想
{netabare}
こういうアニメは好きだなぁ。特別面白いって感じではないけど世界観がいい感じ。

作画も良かったしなかなかに楽しめそうな作品です。

1話の段階では賛否両論あるけど、こっから化けることを信じて視聴継続します。{/netabare}

2話目感想
{netabare}
三女がチート級の強さな気が・・・他の二人が霞んで見える。

金魚ロボは可愛い・・・のか?

父母は二人とも死んでしまったのか?いや、流石に生きてはいると思うけど・・・

今回は内容も普通に面白かったかと。

ただなんだろう・・・盛り上がっている感じでイマイチ盛り上がっていない。そんな気もします。

この手の作品は後々面白くなっていくのでこっからに期待ですね。

このアニメは父母を救出する話がメインになるのかな?今後のストーリー展開が分からないのがオリジナルの良いところですね。
{/netabare}

3話目感想
{netabare}
次女は豆腐メンタルだったようで・・・というか他2人のメンタルが強すぎるだけか。

空賊の人は仲間的なポジションになっていくのかな?今後もサポートしてくれそうな感じではあった。

若干脚本が荒い気もしたけど面白かったです。

自分はこういう雰囲気の作品は好きだから楽しめてるのかもしれない。

流石にちょっと盛り上がりに欠けてるとは思いますけど。

次回から話が動いて盛り上がって行きそうな予感。てか動いてもらわないと困る。

現時点での評価は悪くはないという感じ。うん、悪くはない。
{/netabare}

4話目感想
{netabare}
星月の落ち方は即死ものだったぞ・・・まさかの退場かと思った・・・

神月は今回で好感度が上がった気がしました。臭いオッサンも良い人で良かった。

その一方でアンナさんが何やら怪しい行動を・・・悪い人ではないと思うんだけど・・・何か怪しいなぁ・・・

とまぁ、ストーリー自体は結構好きなんだけど脚本が少し荒く、各所で雑な部分があるのが気になる。

そういう部分を気にせず雰囲気を楽しめって事なのかね。{/netabare}

5話目感想
{netabare}
切ない・・・切なすぎる結末・・・前回の件もあってこの作品でああいうキャラが死ぬことはないと思ってたんだけどなぁ・・・

ただまだ確証はないのでひょっとしたら?なんてこともあるかも。

星月はかなりダメージ受けたね。すぐに立ち直ってほしいが・・・

神月は前回とは打って変わって完全に空気でした^^;。

ストーリー物なんだけど街での話を1話で終わらしてるから1話完結型としても見れるので非常に見やすい作品な気がします。{/netabare}

6話目感想
{netabare}
何か急に鬱展開多くなったね。それなのにストーリーが雑でいろいろ中途半端だった印象。

こういう展開は望んでいなかったのでちょっと残念。まぁ嫌いじゃないんだけれど・・・

シシーニョの部下の2人は根は良い奴らなんだねきっと。見直した。

しかし今回で死亡フラグが立ってしまった気が・・・無事に生きてほしいなぁ

にしても後5話しかないのにこのアニメどう収拾をつけるのだろうか・・・{/netabare}

7話目感想
{netabare}
ガリレオテゾロがついに奪われてしまった。まぁでも死ぬよりはマシだったか・・・。

ロベルトは何考えてるか分からないから見ていてヒヤヒヤする・・・。

落ちたところにたまたまスケッチがあったというのはあまりにご都合展開すぎるなぁ。

そしてそのシーンの描き方もあっさりとし過ぎてて・・・。

次回は日本に行くらしいけどガリレオ号は動くのかねぇ・・・。

比較的楽しめている作品だけど随所に雑なシーンがあって惜しい作品だといつも思う。{/netabare}

8話目感想
{netabare}
ガリレオ号直ってましたwまぁ予想はしていましたが。

今回は全体的にゆったりとした回。ここ数話ハードな展開が多かったので息抜きも必要か。

あまりにもスケッチ集めのくだりが短くてなんだかスケッチ回収が話のオマケ程度に見えてきました(笑)

そして何となくですがアンナさんかロベルトのどちらかは亡くなってしまいそうな気がしてしまう・・・

後3話だけど投げやりで終わってほしくないなぁ・・・どんな結末であってもきちんと物語を締めてほしい。{/netabare}

9話目感想
{netabare}
ここにきてまさかの展開。タイムスリップは流石に予想してなかったなぁ・・・

にしてもゆったりとし過ぎてるような。父はともかく母の件とかはどうなったんだろう・・・

後2話しかないがそれなりに納得のいく終わり方をしてほしい・・・


終始あまり良い評判を聞かなかった作品でしたが私はこの作品結構好きですよ{/netabare}

10話目感想
{netabare}
スケッチは星月に対するラブレターだったんだね。

てことはガリレオさんはロリコ(ry

面白かったけど物語はあまり進まず、次回でほんとに終わるのか?{/netabare}

11話目(最終話)感想
{netabare}
母親が記憶喪失のフリをしていたのは案の定予想通りでした。そうじゃないと終わらないしね。

最終回にしてはあっさりしていた感じでしたが家族円満に終わって良かったです。
{/netabare}

総評
{netabare}
作画やBGM、キャラクターなどはとても魅力的で良かったのですがストーリーが今一つだった印象。

毎回面白くなりそうな雰囲気はあったものの結局突き抜けることなくそのまま終了という結果に。

悪くはないのですが特別に面白いとも言えないかも・・・

何となく短編映画に向いてそうだなぁとも思える作品でした。

ツッコミを入れたくなるような部分がところどころありましたが、そういう細かい事部分を気にせずにアニメを見ている人には楽しめる作品かもしれません。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 21
ネタバレ

plm さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

これ以上期待はしないと、さっき決めたのに

今期はラノベ原作が多く、第一週目で目新しく感じるアニメがあまりなかったので、
より一層期待していたノイタミナ枠。しかし蓋を開けてみれば……

良かった点:キャラデザ、音楽
悪かった点:ストーリー、脚本
が極端なほど表れてしまっていた作品。

キャラデザがSAOの人らしく絵が綺麗で華があり、キャラクターも個性的。
科学タイプ:三女ちゃん、武闘タイプ:次女ちゃん 話術タイプ:長女ちゃん
と三拍子整っていて、この3人の活躍がそれぞれ見られるだけでも楽しそうであった。

しかし、そんな痛快アクション活劇をイメージして期待していたら、
宝探し、エネルギー問題、SF、ラブロマンスと話のテーマや展開が転々とし、
そのすべてが中途半端に語られ、一貫性がなく、物語に入りこめない。しかも投げっ放しに終わる。
なにやらメッセージ性を込めようとしているのはわかるが、まるで何一つ伝わってこない、
ともかく行き当たりばったりという印象を受ける破綻的なシナリオだった。

■ガリレイドンナの主軸となるテーマって何?(踏み込んだネタバレレビュー)
{netabare} なぜ破綻的なシナリオだと感じてしまうのか、それは一貫したテーマ性が感じられない点にある。
ではどんなテーマ性が考えられるのか?

①この作品における最初のキャッチフレーズといえば、
「ガリレオ」「三姉妹」「バトルアクション」といったものがあった。
「ガリレオ」であれば、歴史的偉人に関する雑学や、宇宙的な何か
「三姉妹」であれば、三人のそれぞれの個性や活躍、相互関係や姉妹の絆
「バトルアクション」であれば、映像的迫力、ダイナミックさ、といった要素が期待されるだろう。

実際それらはどう機能していただろうか
ガリレオ:星月の天才設定の理由付け程度(別にガリレオである必要はなかったような)
三姉妹:三女一強 他二人は大して活躍せず 次女に至っては足引っ張り
バトルアクション:ロボによるミサイルの撃ち合いで、どちらかといえばやられることが多い
……なんだかぱっとしないのである。

 何か作品に触れるとき、その作品の特色やテーマ性を少なからず楽しみにすると思う。
それは絵の雰囲気やキャッチコピーだったり、第1話の掴みだったり、
そうして抱いた期待に対して、思ったものと違うギャップがあると肩透かしを食らうことがある。

バトルアクションアドベンチャーと謳われ、次女の空手設定にあのOP映像みたら、
誰もが次女の空手アクションを期待したであろうもの……
実際次女の空手設定が活かされたのが最後の地球儀蹴り割るだけって(´;ω;`)ウッ…

次女に限らず、主人公であるはずの三姉妹が活躍した場面というのが本当に少ない。
長女も落ちこぼれ設定のせいなのか、話術で上手く切り抜けた場面が思い当たらない。
ここぞというとき働くのは空賊ガニメデ団だったり、パパやママだったり、第三者の活躍なのである。
星月の発明こそ役に立ってはいるが、その科学力を裏付けるエピソードもないので、
単に強い兵器を保持しているというだけにしか見えない。
行動面においても精神性においても三姉妹の活躍というものが感じられなかった。

結局「三姉妹」や「バトルアクション」といった要素が主軸として機能しているようには思えない。

②他にも観続けていくと、別のテーマ性があるように思える描写があった。
それが「宝探し」「エネルギー問題」「ラブロマンス」といったもの。
「宝探し」というのは、ガリレオの残したという宝を探し、謎を追う部分だが、
これがなんともまぁあっさり見つかる。謎解きすらない単調なノルマのようなもので、
そんなやっつけでやるくらいなら削ってもいいよねこのシーンって程だった。

「エネルギー問題」は中盤あたりに提起され、それを巡り凄惨な殺戮ショーが行われたり、
子供が犠牲になってまで世界が逼迫してるんだ!と訴え始めたが、
シリアスな展開や教訓めいた展開に伴う内容があるならまだしも、
主人公たちはいざというとき不思議パワーで解決という一番ダメなパターンである。
そしてガリレオテゾロによってこの問題が解決されたわけでもなく、解決法の示唆すらなかった。

「ラブロマンス」は、星月とガリレオや、はず姉と空賊頭領の話、アンヘドさんとロベルトの関係等。
星月とガリレオの話は、これ単体でみれば良い話だと思えるのだが、
何の脈絡もないSF超展開で話の流れをぶった切って挿入されたので、意味不明だった。
ポエムの伏線を回収したのは良かったものの、それ以外に本筋に繋がるものがなく脇道だった。
タイムスリップに関する伏線があればまだ理解できる展開だったと思うのだが。
はず姉と空賊頭領は最後にさらってってくれれば話の顛末として良かったのに、オチがつかなかった。
アンヘドさんとロベルトは、対話が成り立っておらずロベルトの信念もよくわからず散々。

……、そんなわけで主軸となるテーマが見当たらず、
真にやりたかったこと、伝えたかったことは何だったのだろうか、と困惑する作品だった。 {/netabare}

▼1話時点での感想
{netabare} お話自体は1話では全く掴めなかったが、内田みたいな子が可愛いし、
メカのデザインや動きはダイナミックで迫力があったので十分期待したい。
ガリレオの子孫なんて設定どう活かすんだ?って感じだが・・

とりあえず1話は三女ちゃん強すぎたwww → ……まさかずっと三女しか活躍しないとは {/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 22

70.4 8 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング8位
A.I.C.O. -Incarnation-(Webアニメ)

2018年4月1日
★★★★☆ 3.6 (236)
1022人が棚に入れました
2035年、近未来の日本。「人工生体」の研究中に起きた大事故“バースト”により、暴走した人工生命体“マター”が黒部峡谷一帯を侵蝕。 人類にとって希望の地と謳われた研究都市は、政府により立ち入りが禁じられた。 それから、2年後―。バーストで家族を失った15歳の橘アイコは、転校生の神崎雄哉から信じがたい事実を告げられる。それはアイコも知らなかった、自身の身体に隠された“秘密”だった。それを解く鍵は、バーストの中心地“プライマリーポイント”にあるという。アイコは、案内人の神崎雄哉と護衛部隊のダイバーたちと共に、封鎖されたエリアへの侵入を決意するが。人類の未来を背負う少年、少女が出会った時、明らかになる真実とは?

声優・キャラクター
白石晴香、小林裕介、古川慎、村田太志、名塚佳織、M・A・O、竹内良太、茅野愛衣、大川透、子安武人、田中敦子
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

黒部に大量

オリジナルアニメ NETFLIXのお下がり


ネトフリオリジナルを地上波で!ってパターン増えてますね。コロナ関係あるのかしら。全12話。
舞台は近未来2035年の日本。とある生体研究の成果物が暴走した後、あたり一帯封鎖されて早数年。
事態の解決に向けてその研究所を目指すことになるわけですが、人工生命体『マター』があたり一帯を侵食しており人間の侵入を阻みます。なかなかのサバイバルですね。そして明らかになってくる謎。

サスペンス・ミステリ色が強めのシリアス仕立て。キャラ原案:鳴子ハナハル氏ということで見た目は推して知るべし。面白かったです。ただ先に文句だけは言っとく。

■シリアスを削ぐもの①
{netabare}危険いっぱいの侵入作戦でボディスーツとか着てるわけですよ。で途中のチェックポイントで一休みする度に{netabare}なぜか“セーラー服”。{/netabare}
そんなに鳴子氏に気を遣わなくてもいいのに。いや視聴者サービスせんでもいいのに。バランスとるために♂に詰襟の学生服着させて笑いを獲りにいかなくても良かったのに、と残念でした。{/netabare}

■シリアスを削ぐもの② ※作品中盤のネタバレ
{netabare}詰襟が逆効果だったと思うのが、この主人公くんのクールで冷静沈着風設定でしょう。後にわかる諸事情のため、高校生らしからぬ佇まいを醸し出す神崎雄哉(CV小林裕介)クンその人です。そしてこの彼。顔色一つ変えず行動がへんちくりんだったりシリアスものにあるまじきブレブレさ。

どう考えても危険な作戦を課されるパーティメンバーにそれくらい言っとけよなリスクを伝えずに窮地に陥るある種の自傷行為。道中ばれてそこを質されると「バーストを収束させる為だ!(キリッ)」。いちおう前後関係あることなんですけど…回答になってません。しかしまわりはなんとなく納得してる。{/netabare}

これ、シリアスもので一番見たくない「キメたつもりがなんかギャグみたいになってますよ」パティーンです。興を削ぎますなぁ。

{netabare}そういったちぐはぐなのがいい感じで詰め合わせになってたのが第8話。
先述のリスク周知しとけよシーンもこの回。仲間が死んで悲しさのあまり嗚咽してと声優さんも演技素晴らしかったりするのですがいかんせん抗戦中。伏して泣くとか思いっきり仲間の足を引っ張ってます。これ戦い終わってからやれよと誰も突っ込まない優しい世界。{/netabare}

真面目な作風で心の機微に疎い作品は大きくマイナスです。おそらく嫌気さす方もいると思いますよ。


それでは一転して残りは褒めます。
目的の研究所のあるエリアは黒部峡谷内。場所的に黒部第四ダムに近接してるところ。ダムにピンとこない方も聞いたことあろうフレーズ“立山黒部アルペンルート”。そう風光明美な場所が舞台でロケハンがしっかりしてました。景色が綺麗。本社がご近所だし富山のP.A.Worksさんだったら面白いなと思いましたが制作はBONESです。
この景色をうまく活かしたのがEDですね。毎話飛ばさずクールダウンに利用してました。OPはTRUEさん。作品世界をうまく表したアニメーション。珍しくOPED飛ばさず堪能しておりました。

自然の美しさと対極にあるのは人工物の美しさ。黒部に点在する複数のダムは壮観です。その最奥に鎮座する第四ダムは壮観通り越して人間ってスゲーなと感動しますよ。難工事+ダムで検索すると真っ先に挙がってくるであろう黒部第四ダム(通称“くろよん”)。完成までに171人の殉職者を出した難工事でプロジェクトXにも取り上げられました。資材運搬のためのトンネル掘削も軟弱地盤やら破水帯やら困難がこれでもかと。なんでそこまでしてやるのか?

 関西の電力事情が逼迫

してたから。停電上等な大阪圏で安定した電力供給は至上命題。時代も時代ですから、戦争で死んでった者達のためにも/あいつらの想いに較べたら、と使命感に燃えてたわけです。石原裕次郎と三船敏郎とが組んだ映画『黒部の太陽』は大ヒットしました。


奇しくも“だいよん”にとある目的をもって向かう本作の主人公らパーティの苦難と“だいよん”に資材を運ぶためのトンネルを掘る漢達の物語が重なります。
『七人の侍』と『荒野の七人』の関係みたいなもんかしら。


なお、あれだけ足を引っ張る要素から視聴モチベーションを保てたのはどこかしら黒部にまつわる現実の物語と被るものがあったことが理由。それに加えてヒロイン橘アイコ(CV白石晴香)の熱演も。『ゴールデンカムイ』アシリパ役でも感じましたが抑えめトーンの時の白石さんはヤバいですね。
そんなこんなで最終12話まで完走。明かされる謎は納得感や驚きのあるもの。終わらせ方も良かったと思います。期待してなかったわりには前のめりで視聴できました。掘り出し物・良作です。



※ネタバレ所感

■南原顕子(CV田中敦子)

人工生体汚染災害対策庁(CAAC)対策局の局長。ブルゾンちえみをしゅっとしたような感じの役人です。

{netabare}すごい複雑な気分にさせられるお役人さん。
エリア内の人口生体“マター”をどう捉えるか南原と中央とで開きがありました。キーポジションのキャラなこともあり作品としては彼女サイドに寄ってます。どういう二項対立か?

【対マターへの態度】 

 偉い人:安全保障上の脅威
 南原:富を生み出す金の卵

チェックポイントは複数あるダム。第四ダムを起点に“マター”は増殖しながら下流にまで浸食してきて、最後の壁(ダム)を突破されて日本海へと流出してしまえば世界規模でのハザードへと発展してしまう局面です。とっとと駆逐する。“結晶化”壊死させる技術もあるにはあるが、殲滅できるか確証がない。むしろ逆に“活性化”させてさらなるハザード範囲の拡大にならんとも限らない。
要は決め手にかける状態。となると事態は膠着するものです。一方で“マター”は最先端技術の徒花のようなもんで研究開発用のサンプルを大量に保有しているとも考えられる。科学技術発展のアドバンテージを日本が有していると固く信じているのが南原の立場です。

 安全保障 VS 経済

迷うことなく前者なはずですが、南原は思いっきり後者に軸足を置いた行動をとります。またそれがかっこよく見えるんだな、これが(笑)
この二項対立の結末はエンタメらしく両者取りでしたが、安全保障を重視するお偉いさんの影がとーっても薄かったのが気になりました。{/netabare}

{netabare}安全保障軽視の風潮。根拠なく自分は大丈夫!ってクセがついてないか怖くなりますね。
決断遅くて逃げ遅れたりしませんように…{/netabare}



視聴時期:2020年7月~9月 リアタイ

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2020.09.29 初稿
2021.06.19 修正

投稿 : 2024/05/04
♥ : 41

タケ坊 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

NETFLIX恐るべし…1クール(仮)オリジナルSFとしての完成度はかなり高い

B:THE BEGININGに引き続き発表されたNETFLIXオリジナル作品、ボンズ制作 全12話。

B:THE BEGININGで圧倒的なクオリティの高さをまざまざと見せつけられ、
度肝を抜かれたのは記憶に新しいが、
個人的には視聴後の余韻や感動、斬新さを感じる結末という点に於いては、本作が上回ったと感じる。
立て続けにこれほどの作品が出てくるとは、純粋に驚きを隠せない。

☆物語☆

TVアニメで言うところの1クール12話で構成された、
(元々TVアニメ向けに制作していた作品らしい)
ジャンル的には近未来バイオSFアクション。
1クールのオリジナルSFと言えば昨年のID-0を想起させるものの、
ID-0にも全く引けを取らない本格ハードSFと言っても差し支えない内容となっている。

昨今はIPS細胞を始めとする遺伝子工学やクローン、
バイオ工学関連のニュースを耳にすることも多くなったが、
現在では臓器提供や骨髄移植等に頼るしかない治療も、
将来的には体の殆どのパーツを人工的に制作し、
ダメなところを自由に入れ替えたりすることも可能になって、
あらゆる疾病も治療できるようになる?かも知れない、とか。。
そんなバイオテクノロジーが進化した近未来(2035年)を描いており、題材としてとても興味深い。

乱暴過ぎるあらすじとしては…日本の黒部峡谷で研究されていた、
医療目的の人工細胞(人工生体)が暴走(バースト)を起こし、
マター(触手みたいなグニョグニョの奴)となって覆い尽くされ封鎖された地点の爆心地
(プライマリーポイント)へ行ってバーストを終息させる話笑
夏休み前に転校してきた神崎雄哉という謎多き人物やマターの正体は一体何なのか。
主人公アイコを突然拉致し、バーストを終息させるにはアイコをプライマリーポイントへ連れて行く必要がある、
と神崎は説得を試みるが…

物語の後半~終盤にかけて明らかになっていく謎と真実、
そして真実と向かい合った時のメインキャラ達の揺れる心境、決断~結末に至るまで、
9話以降EDにかけてどんどん引き込まれ、
同様に真実を知らないで観ていた此方側も、何ともやり切れない複雑な心境にさせられる。。
(神崎、マターの正体などを匂わせる伏線は各所にきちんと張ってあるのである程度想像できる)
もしアイコと自分が同じ立場だったらと考えると…

OP曲冒頭の歌詞「誰も知らない物語を始めようか」という文字通り謳い(歌い)文句は、
決して大げさではなく、ハッピーエンドともサッドエンドとも受け取れ、
やり切れなさ、考えさせられつつ、それでいて大きな感動を与えてくれる、
昨今なかなか観ることのない(自分の予想が裏切られた)斬新な結末は、物語として高く評価したいと思う。
自分が感じた視聴後の余韻は、作風自体は異なるものの、
「シリアルエクスペリメンツレイン」や「魔法少女まどか☆マギカ」に通じるものがあった。
いや、最終話ラストにかけてはマジで泣けました。。

ネタバレ無しで作品の魅力を伝えるのは難しい…
SFドラマ系が好きな方には特にオススメしたい作品だが、アクション面でも見どころはある。
ただ、本格SF作につきものの、やや取っ付きにくいSF用語が少々出てくるのと
(HPの用語解説は事前に目を通した方が良い)
状況を把握するのに少し頭を整理する必要があるので、
惰性でボーっと気楽に作品を楽しみたいという人には向かないかも知れない。

☆声優☆

主役のアイコ役に抜擢された(と言っても過言ではないでしょう)
白石晴香さんの演技は、人気&実力揃いのキャストの中、
声で選ばれたんだなと納得できるドンピシャのハマり役。
マッドサイエンティスト化した典型的なテラ子安っぷりが、キャラまんまID-0を思わせるのが何とも笑
ネタバレになるので書きませんが、何気に由良役のキャスティング、演技は見事で、
いい伏線になってたと思います。思わずエンドクレジットを確認しましたよ笑

☆キャラ☆

結末に至るアイコの苦悩、葛藤と決断には心を打たれる。
1クール尺で掘り下げ自体はそこまで深くないながらも、
各キャラの動機~行動へ至る経緯はきちんと描かれていると思う。
子安氏演じるキャラが終盤とことん間抜け&哀れで思わず笑ってしまうが、
もはやこれもお約束というか王道にまでなってきた感もある笑

☆作画☆

翠星のガルガンティアを担当された方によるキャラ原案で特に不満なし。
ガルガンティアを担当したI.Gの作画の方が同監督作としては、よりスマートな印象で好みですが、
ボンズの方が何となく無骨さのような癖は感じますね。
特筆すべきは、やはり豊富な予算と充分な時間がかけられているせいか、
昨今の作品であればCGに頼りそうな部分であろうマター描写等は、見る限りほぼ作画によるもので、
この部分はかなりの労力が掛かったでしょう。
メカの方はCGを活用してますが、デザインも良く作画との相性も自然な仕上がりでした。

☆音楽☆

OP,ED共に曲を売るためのものではなく、
作品のためだけに作られたであろうものであることはすぐ判る歌詞で、
特にアイコ本人が歌うEDは彼女の決断、心情を考えると涙なしには聴けない。。
如何にもな名作臭の漂う荘厳な曲調も、内容が伴ってこそ。
EDアニメーションは最終話ラストシーンを観て振り返ると、なるほどと納得できるもので感慨深い。
作中BGMもチープさを感じること無く、シリアスな場面&バトル時の緊迫感を煽る聴き応えのあるもので、
予算をかけて抜かりなく作っているのが判る。

NETFLIXに関しては、潤沢な予算と余裕を持った製作期間で、
日本のマニア向けだけではなく、普段実写ドラマや映画を観ている層、
全世界同時配信に相応しいものを作るという制作テーマ、
恐らくクリエーター魂に大いに火をつけるであろう円盤売上を度外視できる自由な制作環境は、
国内のアニメ業界にとっては大きな変革であり、
より優れた質の高いオリジナリティに溢れた作品が生まれる土壌&可能性としては、
今後TVアニメ以上に極めて有望ではないかとさえ思えるもので、
個人的には大いに期待&歓迎したい。
本作はそう思わせるに充分な力作だった。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 13

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

君は今…人間じゃない

この作品はBONESさんのオリジナルアニメだったみたいですね。
Netflixが独占して全世界に発信した作品です。

まず、3/9(金)に放送が開始された作品であるにも関わらず、この時期に「観終わった」レビューが書ける事にビックリしています。
なぜなら、最新話の視聴は1週間指を咥えてじっと待ち続けるのがこれまでの常識でした。
でも、でもこの作品は放送開始と同時に全12話が一挙に公開されたんです。

それは、この作品の1週間前に放送が開始された「B:the Beginning」も一緒でした。
私はつい最近加入したばかりなので「DEVILMAN crybaby」がどの様に押送されたかは分かりませんけれど…
この放送構成って…かなり斬新であると共に、今後のアニメ放送にも多大な影響を及ぼすのではないでしょうか?

一番大きいのは、「TV枠の確保」と「尺の制限」が無くなる…という事ではないでしょうか。
放送枠が確保できずにアニメ化が見送られた作品…
或いは大人の事情である尺の制約によって、原作から大幅な改変やカットを余儀なくされた結果、視聴者の期待から逸れた作品に仕上がってしまう…こういう作品があったのは否めない事実だと思います。

ですが、Netflixの様なネット放送なら枠を気にする必要はありませんし、尺の長さに自由度が生まれるので、作り手が本当に伝えたいことを残らず作品に盛り込めるようになるのではないでしょうか。
必ずしもCM含めて30分の枠内に収める必要がありませんから…
だから話の展開によっては45分になったり…はたまた15分で終わる回があっても、それで作品のクオリティが向上するなら、きっとそれを拒む視聴者も多くないと思うんです。

それに予約が重複して視聴を断念する必要もなくなりますから…
でも視聴者にとっては決して良いことばかりではないと思います。
作品数が爆発的に増えた時、どのように取捨選択するのか…難しい問題だと思います。
まぁ、結果的には嬉しい悲鳴でしかないのかもしれませんけどね…

それではこの作品はどうだったか…というと、総じて面白いと感じられる作品だったと思います。
この物語の主人公は、15歳の橘アイコ…彼女は2年前に突如として発生した「バースト」と呼ばれる人工生体の暴走事故に巻き込まれ、車椅子での生活を送っていました。
その事故は彼女の足を痛めただけではありません…家族みんなを失ってしまったんです。

そしてバーストは今も収まっておらず活性化を続けている事から、バーストが発生した現場近辺は幾重にも巨大なゲートによって隔離されています。
だからバーストの発生した場所は「誰をも寄せ付けない場所」となっているんです。
バーストに巻き込まれて取り残された人だっているというのに…

人々がバーストの恐怖に怯えながら日常を過ごす…という環境にようやく私たちが適応し始めた矢先、アイコの通う学校に神崎雄哉という転校生がやってくるんです。
しかも夏休みの1日前というとても中途半端なタイミングで…

詰襟の似合うイケメン風の神崎雄哉はとある意志の下、この学校にやってきたのでした。
そしてそれはアイコを巻き込む大事件に発展し…物語が動いていきます。

この作品の見どころは、丁寧に描き込まれた作画、迫力のある戦闘シーン、可愛らしいキャラデザと挙げれば沢山あるのですが、何よりとても大切に作り込まれた「人の命」というテーマそのものだったと思います。

人間は有限で、当たり前ですが代わりはありません。
そして脆く…弱い存在です。
だから危険を察知する本能が人間には備わっていて、その本能と理性が組み合わせた集合体が「チーム」だと思います。
お互いを守り合うことで危険に対するリスクを軽減することができる…
その絆や団結力は私たちが生きていく上で欠かせないファクターだと思います。

一方、人間が有限であることを望まない人がいても決しておかしくありません。
最愛の人や大切な人との時間は少しでも長く…と思ってしまうのが人情だと思います。
上述した有限の密度を高める生き方と比べると、こちらの方は少し歪みを感じるかもしれません。
でもそんな風に簡単に割り切れないのが人の心で、その連鎖の先にあるのが人工生体…
そんな思いに技術が追従するなら僅かな可能性や希望に縋らずにはいられません…
もし私が同じ立場だったら、私も同じ選択をしていたと思います。

ここからがこの作品の真骨頂…
大切な人の代わりとして作り出された人の思いはどこへ向かえば良いのでしょう…
こういう時、望んだ人の目線での物語が数多く描かれていると思いますが、
望まれた人の気持ちに焦点を当てて丁寧に心情を描いた作品はそう多くないと思います。
この作品はそんな気持ちもしっかり物語の中に織り込んでいます。

最初は右も左も分からなくて、ただ付いていくだけだった…
様々な人の感情に触れて沢山の思いを知って…
大切な人の役に立ちたいと思って…
そんな思いの先で何が待っているのか、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。
12話の尺の中で綺麗に物語が纏まっていた作品でした。

オープニングテーマは、TRUEさんの「A.I.C.O.」
エンディングテーマは、白石晴香さんの「未知の彼方」

1クール12話の物語でした。
主人公のアイコ役は白石晴香さん、神崎雄哉役は小林裕介、その他かやのん、M・A・Oさん、名塚さんなど出演されている声優さんも豪華でした。
放送がNetflix独占じゃなかったら、今以上に視聴数の伸びる作品だと思いました。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 19

69.5 9 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング9位
メガロボクス(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (264)
861人が棚に入れました
『あしたのジョー』を原案としたオリジナルストーリー。八百長試合に身を沈めるボクサーが、運命に抗うために、自分の全てをかけてリングで闘う姿を描きます。

声優・キャラクター
細谷佳正、斎藤志郎、安元洋貴、森なな子、村瀬迪与、木下浩之
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

素晴らしいの一言〈ギアについて思ったこと追記〉

2018年春アニメ。
「あしたのジョー」連載開始50周年企画。
「あしたのジョー」を原案とし、世界観を変えたオマージュ作品。原作未読、本作以外のアニメは未視聴です。


第3話まで見た印象としては、物語は王道でキャラクター描写も素晴らしく、世界観もわかりやすく味わい深い。テーマも最初の段階から見えています。
BGMもよく合っていますし、使い所もしっかり選んでいます。
{netabare}
サブタイトルに毎回「死」という単語が入っていたり、イカサマをするたびバイクで崖から飛び降りるジャンクドッグの行動が「命か誇りか」という葛藤であったり…洒落ているけどなかなか狂気じみてもいますね。
メガロニア出場の目的はジョーは誇りのため、贋作は命のため。ジョーに引っ張られて本気出しつつある贋作さんステキですわw
藤巻さんが市民IDを用意してくれたの、結構意外でした。ユーリ乱入で儲けが少なくなっても「ご祝儀」で済ませたあたり、メガロボクスが本当に好きなのか、あるいはジョーのメガロニア出場に賭ける「賭け金」のつもりなのか…だったら洒落てるなあ。これからの3ヶ月間ジョーと贋作は分の悪い賭けに勝ち続けなければなりませんしね。…賭ケグルイの自分のレビュー読み直してこの作品は賭けという要素も重いのかも、と思い始めた。

作画・演出、音楽、声優さんの演技など安定してクオリティも高いです。コンテ・演出に作画負担を軽減する努力が見られますし、このまま崩れず行くかも…。多少崩れたとしてもこれだけ演出が良ければ問題は無いですし。
強弱を付けた線の味わいもタイガーマスクWと比べれば今風に仕上がっているけど、やっぱりなんだか懐かしくて。背景も水彩やポスターカラーで描いていたセル画時代のイメージに近く、レトロな世界観としてバランスを取っていてとても見やすいです。
キャラクターの動きにも作画のこだわりを感じます。ジョーのアウトローで気だるげな雰囲気と根の優しさや誇り高さ、贋作さんの情けなさとトレーナーとしての実力、ユーリの底の見えない強さと鬱屈、子ども達のちょっとスレた可愛らしさ、ゆき子さんの刺のある美しさ…キャラクター描写にも個性が良く出ており、生きた人間だと感じられます。

ギアが今後どう扱われていくのかも気になる所。
「そんなオンボロギア、付ける意味ねえんじゃねえのか?ガラクタのワンちゃんよ」「裸じゃ出来ねえだろ、メガロボクスはよ」のやり取りはルール上付けるもので、「あんなガラクタひとつで駆け引きしちまうんだ、こんなところで燻ぶってなけりゃ…」という胴元の台詞からジャンクドッグのギアがお飾り同然であることがわかる。とはいえギアがあることには作品として意味があると思うのですよね。

NakamuraEmiさんのED好きですね。歌声が力強く、反骨精神剥き出しの歌詞も作風にぴったり。ネオンサインの動物たちはもしかしてメガロニアに今後登場する選手のイメージなのかな?ユーリの最初の対戦相手はスパイダーですし。熱いのに余韻も残るのがとても好きです。{/netabare}
(2018.4.24)


第4話「LET'S DANCE WITH DEATH」 {netabare}
印象としては2話までの賭け試合との差異を描くことで「本物」に踏み込んだことを示す回かな。

ジョーはボクサーとしてはこれまで「まがいもの」で、実力で勝利を勝ち取る本当のボクシングをしたのは今回が初めてなのかもしれません。そして地下では八百長を強いてきた贋作とも、ジョーはやっと本当の意味でボクサーとセコンドとなった。
贋作自身もトレーナーとしての辣腕ぶりを(プロデュースという名のハッタリ含め)ジョーを勝たせるために振るうことになります。戦略・戦術を考えるのは贋作の役割ですが、ジョーがリングに上がればもう任せることしか出来ないという点も賭け試合の時とは対照的で、しかも自分の運命を託してさえいる。
サチオはギアが無ければ見せ場がないかと思えばとんでもない。一番大切な役回りでしたね。ジョーの腕にぶら下がってる写真可愛かったw

「今日の敵はそいつじゃない!お前自身だ!」という鮫島のセコンドが言った言葉が、ジョーにも掛かってる脚本も上手い。ジョーが今勝たないといけないのは自分自身の恐怖心で、感情に振り回される鮫島と感情をコントロールするジョーの対比が良かったです。
良い試合をすれば観客も称賛し味方になる、というのも純粋なスポーツの良い面ですし、とても良い回だったと思います。

今回の作画、ジョーも贋作もサチオも表情が繊細でしたね。特にジョーの表情の変化を見て思ったよりも若く、弱さもあるんだなあと。
今回ジョーに対して優しい表情をした場面で、贋作さんがジョーをどう思っているのかやっとはっきりした気がします。サチオに対してジョーが優しいので、なおさら三人がファミリーみたいに見えてきて嬉しい。

非認可地区の様子も少しわかって良かった。虻八さん再登場してほしいなあ。
ジョーと贋作の関係がしっかり構築されたところで贋作の過去がわかりそうな感じですかね。
次回も楽しみです。 {/netabare}(2018.4.30)


第5話「THE MAN FROM DEATH」
第6話「UNTIL THE LAST DOG DIES」 {netabare}
贋作と、ジョーの兄弟子ともいえるアラガキの過去と現在を描いた前後編。
「とどまるか、抗うか—あしたを、選べ」という本作のキャッチコピーが改めて思い起こされるエピソードでした。

贋作とアラガキにとって「明日のために」という言葉はメガロボクスのためのもの。繰り返される「前に5、後ろに5」という言葉はメガロボクスを続ける(とどまる)こと、「前に進む」「前に出るんだ」という言葉は自身の未来のために別の道に踏み出すことであったと思います。
贋作がジョーを棄権させようとしたのは「明日のため」とは言えず、ミヤギさんがアラガキの自由にさせたのはアラガキが「前に進むため」だったのも上手く対比しています。
最後の「俺もお前(ジョー)を信じる」というアラガキの言葉が、ジョーと贋作にメガロニアの夢を託したのだと思えてとても良かったです。

アラガキの引退の理由、その描き方が素晴らしかったです。
現役を続行するか引退するかを決められるのは本人だけですが、未練なく辞められる選手ってそうはいないと思います。
引退を考えるアラガキにとっての一番の心残りは、贋作との約束や二人三脚でやってきたメガロボクスだったのでしょう。実際、戦争のトラウマから自殺しようとしたアラガキを救ったのもその想いでした。
ギアレスジョーのトレーナーが贋作であると知った時、時間は戻らないし贋作との師弟関係を復元することはもうないと悟ったから、最初は引退を受け入れようとしていたのだと思います。
でも再会した贋作は無神経にもアラガキに「昔と何も変わらない」と言ってしまった。彼の顔の大きな傷を見れば、これまでいかに辛酸を舐めてきたかは容易に想像できたはずです。そして、それがアラガキの心を揺さぶってしまった。
アラガキが最初に壊すと言ったのは確かにジョーだったと思いますが、最終的に壊したのは贋作から学んだことを捨て去れなかった自分自身でした。リングの上でアラガキが相対していたのは、贋作の教えを忠実に守っていた過去の自分でもあったのかもしれません。
ですが試合が進むにつれ、ジョーとアラガキのスタイルの違いが明確になっていきます。ただただ目の前の相手に勝つことだけを考えるようになり、最終的にアラガキは大きな未練を振り切る。贋作とアラガキを吹っ切らせたのは、勝ちたいと強く思うジョーの粘りだったと思います。
アラガキとジョーが笑い合うシーン、格好良かったです。

あ、あと個人的にはミヤギさんが格好良すぎてヤバイw
再登場はない、よなあ…;;

今回の試合描写は尺が長く、コンテ・演出にアニメ的な外連味はあまり無かったですね。その分じりじりした試合展開が状況の推移とキャラクター心理の変化をよく捉えていて、私はとても好きでした。蝶が前編では死の象徴として、後編では復活のイメージで演出されていたのも良かったです。
この前後編は同じスタッフさんが絵コンテを切っていますし、物語をコンテ・演出と作画にしっかり反映出来ていたと思います。 {/netabare}(2018.5.14)

※6話について追記{netabare}
公式ツイッターで、試合中のジョーの怪我について言及がありました。試合経過に合わせて怪我の進行もきちんと設定画を作って作画していたようです。
ウワーって思いましたw{/netabare}(2018.5.21)


第7話「THE ROAD TO DEATH」{netabare}
今回は、あしたに進むために現在を戦いながらも過去から逃れられない人たちを描いた回、という印象を受けました。

ジョーに期待する非認可地区と認可地区での評価の乖離が描かれ、メガロボクストップ層に食い込むことの難しさが露呈。白都の確執に巻き込まれ過去をネタに脅迫されたジョーですが、過去を消すことは出来ない以上、何とかするしかないね。贋作さんはもしかしたら予測していたかもしれませんが。
ジョー(ジャンクドッグ)が非認可地区で賭け試合を行っていたことは、少なくともゆき子さんとユーリは承知の上。逆に言うと、ゆき子さんはそれを公表してジョーを追い落とす気は今まで無かったのかな?あるいは最後の切り札として取っておいたのか。

今回はゆき子さんもまた様々なものと戦っていることが解ってきました。社長の座を狙う兄、会社の役員たち、先代の存在の大きさ…過去のしがらみとも言えるかな。ユーリにはメガロニアは私たちの夢と言い、一体型ギアの性能を売り込むことも目的もだろうし、そこに何か熱い想いもありそうです。ユーリを誇らしく見るゆき子さん綺麗!
兄の樹生もまた奪われたものを取り戻すために戦っていますが、ボクサーとしては一歩引いた冷静な人物です。盤外戦術とは良い意味で憎たらしい。

ジョーのトイレシーン最初はちょっと驚いたけど、公式ツイッターで「血尿出して頑張ってます」とあったので調べてみました。
ボクシングで試合中に脇腹にパンチを受けると肝臓が傷付くことがあり、尿に血が混じることがあるみたいです…軽症なら数日で治るそう。ちなみに内臓への衝撃は目などへの衝撃に比べれば大きなトラブルになることは少ないとか。程度によるでしょうけど。
ていうかプロボクサーの年間試合数って多くても6試合(正確には24ラウンドくらい)とかなんだそうです。ノックアウトされれば安全のために二ヶ月以上の試合禁止となる場合もあるようですし、アニメとはいえ三ヶ月で5試合とかジョーはどんだけ無茶やってるのさ…
今回贋作さんに殴られて寝ちゃった所を見ると、流石にダメージは残っていたのでしょうね。このアニメ、アウトローな描写もやりすぎないのが好き。演出意図が理解できるって良いですね。

そして豚汁売ったり危ない特等席見つけたり、今回も子どもたちが可愛いw
次回が楽しみです。{/netabare}(2018.5.21)


第8話「DEADLINE OF THE DREAM」
第9話「A DEAD FLOWER SHALL NEVER BLOOM」{netabare}
3話に渡り繰り広げられた白都の後継者争いとメガロニア出場者争いに決着がつきました。
第9話の絵コンテが川越淳さんでびっくりしちゃったw(バイオレンスなダイナミック作品と子ども向けの映画アンパンマンを交互に手掛けるだけあって、幅広いコンテ・演出のできる方で個人的に好き)
それにしても毎回コンテ・演出が違うスタッフさんなのに全体に共通した演出が見られるのは、やっぱり監督さんの采配でしょうか?虻八さん、アラガキやミヤギさん、胴元、藪沼さんもちゃんと登場しているし、キャラクターも大切にしていて好きだなあ。

今回の樹生の描き方とても良かったです。
樹生が証明したいことは、リングの外と中で二つありました。
リング外では、白都の後継者として自分がふさわしいということ。強すぎる執着心や視野の狭さは問題ですが、樹生の情熱と努力は本物でした。
ただ自意識が強すぎて人の上に立つには向かない性格ですし、まがいものは本物にはなれないという考えでは角が立ちすぎるでしょう。
それからリングの上での様子を見ていて、樹生の本質はボクサーというより研究者だと感じました。自動制御を最後まで解除しなかったのが彼の誇りだったと思う。
試合終了後の「体が勝手に動いただけさ。あんたもそうだろ」というジョーの言葉に、樹生は複雑な表情をしたのみで何も答えませんでした。最後のパンチがどちらの意思だったにせよ、樹生とエースは一心同体にはなれなかったのでしょう。リングの上で樹生が証明したかったのは、ボクサーと人工知能がひとつとなり最強となることだったと思うんです。
だからその夢にけじめをつけ、ギアを残して身一つで去ったのだろうと思います。
いやはや、嫌味と格好良さが絶妙なお兄様でしたねw

樹生とゆき子との最大の違いは、他者との関係の作り方です。他人を信頼できるか、信じられない人間であっても折り合いをつけ采配を取れるか、他人によって自分の思う結果にならなかったとしてもリスクを負う度量があるか。
ゆき子とユーリの間には上下関係はあるものの信頼があります。ユーリは彼女の迷いを傲慢だと指摘でき、ゆき子もそれを素直に受け入れるだけの器がある。まあユーリにとっては窮屈でもあるでしょうから、今後何か変化はあるかもしれませんが。
ゆき子が贋作の提案を拒否していながらジョーの再試合の希望を受け入れたのは、どこかユーリに感化されているようにも思いました。

あと、ジョーの名前が皆に受け入れられているのが嬉しいですね。本人ももうジョーは自分の名前だと思っていますし。
で、そこからまた藤巻さん登場で落とす…3話の回想で「メガロニアまで行ってくれりゃあこっちは何の問題も無いさ」って言ってたね、そういえば…
脚本家の掌の上で転がされつつ次回を待ちますw{/netabare}(2018.6.4)


第10話「THE DIE IS CAST」
第11話「A DEADMARCH」{netabare}
登場選手のPVはそれらしいけどちょっとフフッてなりましたwジョーのPVが簡素なのは、ジョーは撮影になんて付き合ってくれないからかも…w

藤巻は贋作の本質はサソリだから自分を裏切ったりは出来ないと高をくくっていたようですけど、その考えは最初から間違っていたと思います。しかも11話アバンで藤巻自身も「3ラウンドでバロウズがジョーをノックアウト」にベットしている。やっぱりこの人外道ですよ。
ただ自分の考えの甘さを自覚したから、贋作が自分から残った目を差し出したことで手打ちにしたということですよね。状況をコントロールしているつもりで実はできていなかったから、苛立ちと自嘲で「笑わせてくれる」という言葉が出た。理由は解らないけど、藤巻は贋作が「本物」になることに強い抵抗感や苛立ちを抱えていたようでしたね。

贋作はアラガキとの一件もありましたし、教え子の未来を奪うようなことはもう出来なかったでしょう。ハッタリではジョーとサチオを守れない。ゆき子さんも今度ばかりは贋作の本気を感じていたのではないでしょうか。
贋作さんは自分の本質にそぐわない生き方に対する鬱屈からお酒に逃げていたのかなあ、と思わなくもないですね。

10話のジョーとユーリのシーン好きですね。ジョー自身が「本物」になれそうな所まで来ているせいかお互い認め合っていて和やかで、ジョーの精神的な成長を感じる場面でもありました。(…そして犬がめっちゃ可愛いwジョーって子どもだけじゃなく動物も好きなの?本当に優しいキャラクターだなあ。)
二人はなぜ戦うのか…ジョーは自分のため、ユーリはゆき子への恩義のためと答えたけど、二人ともそれだけとは言えない。11話ではお互いに相手の言葉に影響を受けていることが察せられます。
特にジョーは贋作を殺させないために八百長を受け入れていたから、ユーリの言葉では立ち上がれなかった。ジョーを立ち上がらせられるのは贋作さんだけでした。
ギアの演出も良かったですね。ギアを付けた自分は「ジャンクドッグ」であって「ジョー」ではない。「ジャンクドッグ」は既に自分の名前ではなく、サチオの言うように「ギアレスジョーはイカサマなんかやらない」という強い主張でした。
10話で虻八さんの台詞が聴けて良かった!優しい激励でしたね。やっぱり良い人だ。

そういえば「そこに立ってるものに触れ」っておまじない、教えたのは贋作さんかな?11話内ではジョーもサチオも贋作も壁に触るシーンがありますから。
ジョーは1話で八百長に臨む前にエントランスの壁を、8話で樹生に嵌められた後(贋作がゆき子さんに再試合を要請していた時)船の壁を触っています。本当に細かい。

もうクライマックスに突入していて、色々考えてしまって感想が纏まりません…;
とにかくジョーが何のしがらみも無く全力で試合できる状況になって良かった…ラスト2話、しっかり楽しみたいと思います。{/netabare}(2018.6.18)


第12話「LEAP OVER THE EDGE OF DEATH」 {netabare}
白都の契約相手は参謀総長だから軍関係なんですよね?白都のギアを普及させることが社会貢献になるとゆき子さんが考えているのはわかるんですが、ちょっと引っかかるかも…。自衛隊のような組織なら別でしょうけど、後一話でそこらへんを入れる尺は無い気がする。

それはともかく、ユーリとゆき子さんの関係がよく解る回でしたね。二人とも一途だなあ。
アラガキやミヤギさん、樹生の再登場もすごく嬉しい!皆和やかで心が洗われました。
特にお兄様!樹生本人の活躍ぶりも見事だったけど、ゆき子さんが弱音や本音を言えるのって確かにお兄様しかいないよなあ…。今回の様子からは多少距離はあるけど普通の兄妹にしか見えない。お兄様の過去話が気になってくるじゃないですかw

ゆき子さんと贋作さんの対比も良かったです。
結局、初めて出会った時からゆき子さんも贋作さんも相棒に心底惚れ込んでいたわけですね。二人はあらゆる点で正反対でありながら、その一点に関しては同じでした。

誰もが本気で戦う中で何かを失い、何かを勝ち取ります。その中で、誰かから何かを奪い、あるいは与えることもあります。
ゆき子はかつてユーリの自由を奪い、生きる意味を与えました。そして今、ユーリを失う代わりにメガロニア主催者としての誇りを獲得し、本物のボクサーたちに最高の舞台を与える。
贋作はかつてジャンクドッグの誇りを奪い、生きる術(メガロボクス)を与えました。そして今、ジョーを「本物」に育て上げ、視力を失う代わりにジョーの誇りと将来を守り通した。
ゆき子も贋作もリングには上がらずとも戦い続け、誇りと呼べるものを手にしたのではないかと思います。


メガロニアとは何なのか、どんな意味を持つ大会なのか、今回描かれたと思います。
「メガロニアのリングでなければ意味が無いんです」というユーリの台詞はゆき子とジョーを繋ぐ言葉でもありました。

1話でジャンクドッグはゆき子とユーリに「何がメガロニアだ。あんなもんただの殴り合いじゃねえか」と言って二人の逆鱗に触れている。ですが、荒んだ地下リングしか知らなかったジャンクドッグはメガロニアのために命懸けの試合をいくつもこなし、今やジョーという名前を手に入れた「本物」です。支払ってきた代償、乗り越えた艱難が大きいからこそ、メガロニアでユーリと戦えることがジョーの誇りとなっている。

ゆき子も今回「どうしてここまでする必要があるの?たかが殴り合いのために」と言っています。ゆき子はずっとギアを重要視していましたし、ボクサーではない彼女がギアの無いメガロボクスに命を懸ける理由がわからないのは仕方がないと思います。
苦しむユーリにゆき子は「もう一度ギアを付けて気高いあなたに戻るのです」と言いましたが、初めて出会った時からゆき子はユーリの気高さを感じています。
オーナーとしてはユーリが勝つことが悲願でしたが、ユーリが自分の元を離れ開催者として中立の立場になった今、ジョーとユーリのどちらが勝ったとしてもメガロニアは彼女の誇りになり得る。
そして今、ユーリというボクサーに対する敬意から、ジョーの戦いをも認めるに至ったのですね。

ジョーの「良いのかよ。倒しちまうぜ、チャンピオンを」という言葉に対してゆき子は少し笑いましたが、何を思ったのかはわかりません。ただゆき子が試合を楽しみにしているのは間違いないのではないでしょうか。

そして次回は最終回。終わってしまうのですね…;;
ジョーは連戦でダメージが蓄積しているし、ユーリもギアを外したばかりの酷い状態だし、二人とも傷だらけで戦うことになるのがちょっと心配。二人とも無事に試合を終えられることを祈ります。 {/netabare}(2018.6.25)


・ユーリの犬について・
「わんこ可愛いよわんこ」って言いたくて…
いえ嘘ですw
{netabare}
気づいてる人も多いだろうけど、犬は一個のキャラクターというよりもユーリの内面を表現するためのギミックである、という話。

11話のラストシーンで明確になったと思いますけど、それ以前から犬の名前が呼ばれないのは気になっていました。登場当初の樹生を激しく威嚇したのも、主人であるユーリを良く思っていない人物だからというのもあるし、ユーリ自身が多分樹生を嫌い…というか、根本的にそりが合わない人物であったから。12話では威嚇しなくなっていて、和解の演出として明確な意図が感じられますね。
それに犬が撫でられるシーン一度も無いんですよ、確か。ユーリ自身が樹生を威嚇する犬を宥めたくらい。ゆき子さんやジョーにも撫でられていないのは、飼いならされた家犬という印象を持たせたくなかったからかな、と。今回ユーリが手術後に酷く苦しんでいても、犬は微動だにしていません。キャラクターとしての犬なら主人の苦しむ姿に取り乱す方が自然ですよね。ユーリの決意と本質は何も変わっていないという安心感がありました。
ユーリの王者の風格を損なわず感情をしっかり見せる心憎い演出ですし、キャラクターを理解する上で大きな手掛かりとなっているので注目していました。

…わんこ可愛いよわんこ(*´∀`){/netabare}(2018.6.25)


第13話「BORN TO DIE」{netabare}
意外と予想したことが外れたね。ゆき子さんが試合を見なかったのは意外。
あと犬は今回一気にキャラクターって感じになりましたね。作中で初めて撫でたのは樹生だった…可愛かったwユーリがギアを外して自由になったから、本心を他の存在に仮託する必要は無くなったのだろうと思います。

最初にあえて不満を言っておくと、試合のシーンはもっとがっつり見たかったです。ずいぶん前からドラマ性を重視していることはわかっていたけれど。
耐えに耐えてチャンスを掴むのがジョーのスタイルなのはずっと変わっていませんから、これまでの印象と近い試合になるだろうということも理解しています。それでもOP無しでもう1分半長く見たかった。演出的にOPを入れることを優先したのかもしれません。


でもそれ以外は本当に素晴らしかったです。
因果関係がしっかりしたハッピーエンドが何よりも嬉しいし、人間ドラマとしては非常に好み。試合描写もアニメ的な外連味は少なく地味でしたが、ドラマとよく噛み合っていて素晴らしかったです。
水滴の演出、OPの演出、キャラクターの瞳に何かが映り込む演出を最終話まで入れていて、本当に集大成でした。贋作さんのサングラスに映り込むジョーの姿にはぐっと来ました。

今回一番印象に残ったのはユーリとゆき子の関係と、番外地ジムの後日談。

前回ユーリとゆき子はそれぞれに一人で戦う道を選びました。
それでもユーリにはリングに上がれば誰かと何かしら関係性がある。4話からずっと描かれてきた観客の応援と熱狂も、ボクサーへの敬意を印象付けるものでした。
ゆき子は決勝戦を観戦することはせず、軍へプレゼンテーションに向かいます。彼女は兄ともユーリとも決別し、自身の夢のために一人で戦い続けることを選びました。兵器ではなく人間の身体機能としてのギアにこだわるということは、軍事関係者との契約もひとつの過程に過ぎないのでしょう。
それでも、一年後の様子からはメガロニアもゆき子にとっては大切な大会であること、たまに番外地ジムに顔を出していることがわかります。

後日談で良いなと思ったのは、皆の関係に壁が無いこと。認可地区も非認可地区も関係ない集まりになってますね。子ども達は元気いっぱいだし、関わった人たち全員登場してるし、ただの仲介役だよって言ってた藪沼さんまで来てますし。
ジョーは人を育てる方に行くのか…。意外だったけど納得もしました。1話を観返すと、いかにジャンクドッグが周囲から断絶された存在かわかります。そこから脱却した今、ジョーが一人っきりで生きる子どもを放っておけないのはとても納得する。もともと子ども好きなのはわかっていましたからね。

ユーリもジョーも試合で完全燃焼し引退、この戦いの中で得たものを次世代へ伝えていく。とても良いラストだったと思います。{/netabare}
(2018.7.2)


【BDBOX1について】 {netabare}
もともと加工を加えたり拡大縮小したりして荒い線にしている作品なので、鉛筆線みたいな細かなニュアンスが鮮明に見られます。でもBDで見て一番驚いたのは画質よりも音声。録画したものとは音質がすごく違う。効果音や音楽の素晴らしさがよく解ります。
作品内容に関する特典が充実しているのも良かった。

森山洋監督はメイキングのインタビューでこの作品を「ジョーの人生で一番輝いた三ヶ月間」と語っています。その言葉を聞いて、他の競技だけど同じような例(おそらくその選手が現役時代において最も輝いた半年間)をリアルで見たことを思い出しました。
私が本作にハマったのは必然でしたねw

・BDBOX1特典新作ショートアニメ“BEFORE THE ROUND ONE”・
イラスト(止め絵)に音声を乗せたピクチャードラマという感じです。
贋作さんが名無しの青年(後のジョー)を拾ってから、あのオンボロギアと「ジャンクドッグ」というリングネームを手に入れるまでの物語。
…短いのであらすじ書いただけで思いっきりネタバレになっちゃうけどw
いやはや、「ジャンクドッグ」が「ジョー」になってくれて良かった…これは後から出した方が良いタイプの前日譚だなって思いました。 {/netabare}
(2018.8.2)

【BDBOX2について】{netabare}
キャラクターデザインと美術のお話。やっぱり監督の采配がしっかりしていたようです。特典冊子に第9話の脚本と絵コンテが載っていて見比べるのが楽しいです。やっぱり9話はキー回ですね。

オーコメは樹生の話が多かったです。
「あしたのジョー」にはなく「メガロボクス」にはある要素。私はそれらをある意味全て背負ったのが樹生であったと思っています。
彼には元となるキャラクターが存在しませんし、試行錯誤する中で作られたのだそうです。本作を本作たらしめているのが樹生だと個人的には思っているので、声優さんにもスタッフにも愛されているのが嬉しかったり。
9話は「ギアレスジョーが完成する話」という発言も聞けました。樹生は白都の名前を捨て、ジャンクドッグはジョーの名前を自分のものにするストーリーでもあったんですね。最初の予定では9話のラストが樹生というキャラクターのクランクアップだったようです。
ユーリ役の安元さんからは樹生が自分を生きたからこそその姿を見てユーリもギアを脱げた、というような言葉も。

・BDBOX2特典新作ショートアニメ“AFTER THE ROUND FINAL”・
車椅子で昔所属していたジムを訪れ、かつて自分を拾ってくれた恩人と過去を語り合うユーリ。師弟関係についてはジョーと正反対で、和やかで良いお話。
ビジュアルイメージが明確で音楽・音響に力を入れてきたこの作品はピクチャードラマがとても良く似合いますね。{/netabare}
(2020.2.16)

【ギアについて】
これは人間ドラマのためのギミックであることは間違いないので、それで納得できない人は一定数いるとは思います。あにこれのレビューではwaon.nさんが鋭い指摘をされていますね。
私も何回か見て整理した内容を個人的に記しておきます。
{netabare}
重要なのは、ジョーの目的が勝敗ではなく「ユーリと最高の試合をしたい」ということ。その点から、ギアは純粋なスポーツに帰っていくドラマを描くギミックなのではないかなと。
純粋なスポーツというのは、この作品では「対等な条件下で最高の試合をし、それを観客が納得して受け入れ歓迎すること」ではなかったかと思っています。

ジャンクドッグが臨む地下の賭け試合では、観客は自分の金が絡むので当然下衆な見世物になる。そこに選手の尊厳や観客の賞賛は生まれる余地はありません。
メガロニアではショー的演出があった所を見ると、当然スポンサーがいて、興行の側面もある。ゆき子の一体型ギアを売り込む目的もユーリにとって足枷でした。ゆき子と樹生のギアへの考え方の違いが描かれたのも重要で、ギアの有無だけでなくコンセプトの違いもまた選手の身体能力に影響します。

しかし、ユーリがジョーと対等に戦うためにギアを外してオーナーとの契約も解消したことで、二人ともギアもスポンサーも失い公平な勝負になるわけです。
身一つで戦い勝ちたいという選手の情熱と、素晴らしい試合に熱狂する観客が、メガロニアを最高の舞台にする。勝敗を決するのは肉体と精神と技術だけ、全てのしがらみを越えたスポーツの理想の姿ではないでしょうか。

私はギアの在り方についてはそれで納得しています。
{/netabare}
2期はギアがどう描かれるのかも含めて楽しみですね。1期ももっと色んな人が見てくれたら嬉しいな。
(2021.4.18)

投稿 : 2024/05/04
♥ : 42
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

アニメからリアル、リアルからアニメへ

『あしたのジョー』連載開始50周年記念と銘打って企画された作品。
今なお語り継がれる、ボクシング漫画の傑作を原案とした
近未来ギアを使用したボクシングを描いている。

アニメーション製作:トムス・エンタテインメント3×Cube、
監督・コンセプトデザイン:森山洋、キャラクターデザイン:清水洋、
原作:高森朝雄、ちばてつや

橋の下のボクシングジム、隻眼の老いぼれ、
市民IDを持たない貧しい人々が暮らす未認可地区。
原作を彷彿とさせる世界観。
地下闘技場で非合法の賭け試合を行うことで
生計を立てている男がいる。
彼のリングネームはジャンクドッグだ。
最下層の男たちが夢見る栄光の世界。
摩天楼がそびえる大都会のスポーツとして
多くの人々の脚光を浴びるメガロボクスと呼ばれる
大イベントが開催されている。
君臨するのが白都コンツェルンの
お抱えボクサー、勇利だった。

ジャンクドッグ、そしてジョーの
リングネームを持つことになるのが原作での矢吹丈、
勇利が力石徹の役どころとなる。
また、南部贋作が丹下段平、
白都ゆき子が力石とジョーとの間で揺れる白木葉子、
サチオがジョーを応援する子供たちの代表として
それぞれキャスティングされている。

原作の形を借りただけのオリジナルアニメーションとして
考えると、それなりにまとめているとは思う。
しかし、作品としては上っ面だけという印象は拭えない。
それは登場人物たちの切迫感や哀しみを
画面から感じ取ることができないからだろう。

{netabare} ジョーと勇利が戦うラストは最初から分かっているわけだから、
そこに至るまでにどのように展開させるのかが重要なのだが、
甚だ盛り上がりに欠けている。 {/netabare}
その理由のひとつは、おそらくジョーと勇利の過去が
ほとんど語られることがないからだ。
13話で原作のポイントを抑えないといけない制約があったため、
そこまでやっている時間はなかったのかもしれないが、
いちばん大切な部分が抜け落ちてしまっている。
ジョーや勇利の戦う理由が視聴者にほとんど伝わってこないのは
致命的な失敗といえる点で、それがなければ物語に深みを
感じさせることができないし、面白さを生むのは難しい。
どこかの物語を削ってでも、主人公たちを深掘りするべきだったが、
それができていないため、最初から最後まで平坦な物語で終わってしまった。

この話でやらなければならなかったのは、
ジョーと勇利、白都ゆき子、南部贋作という
4人の登場人物のそれぞれの想いと行動、関係性だったと思う。
ここがしっかり構築されていれば、もう少し感じ方が違ったのだが、
白都ゆき子と南部贋作が物語に関係しているようで、
大して関わっていないようにも見える。
そして、ジョーと勇利の関係性も心に入ってこなかった。
だから、あまりにも平凡な作品になってしまったのだ。

作画面ではよく頑張っていたと思う。
動きも悪くなかったし、崩れることもなかったように感じた。
粗い作画のラインは、昭和の時代を感じさせる。
声優陣も細野佳正、安元洋貴を中心に安定した布陣だった。
ラップを中心とした音楽面も悪くはなかったが、
やはり肝心の物語が進む方向を誤っている。

ギアを使用することが、原作との最大の違いだった。
しかし、その部分が全く活かしきれず、
この物語に何ももたらしていないことも
大きな欠点のひとつだろう。
ただ、『あしたのジョー』にふれたことのない人が
この作品をきっかけに目にしてくれたら、
それは価値のあることかもしれない。

私が『あしたのジョー』を知ったのはアニメが最初で、
そこから夢中になって原作の漫画を読み耽ったのは、
いまでもよく覚えている。
(本屋に通いつめ、立ち読みで20巻全巻を読破した。
かなり後になってだが、全巻購入して
豪華版も揃えたので許してもらいたい)
私はこの作品に出会ったことがきっかけでボクシングファンになった。
『あしたのジョー』は、漫画史に残る名作だが、
ここからリアルのボクシングに興味を持った人は、
男性ならかなり多いのではないだろうか。

かつて日本では国内選手の試合以外は
ほとんどテレビ放映されることはなかったが、
土曜日の昼にアメリカのボクシングを
不定期に放映していることを知り、楽しみに観るようになった。
当時、日本のボクシングは、フライ級やバンタム級くらいしか
強い選手がいなかったが、アメリカのミドル級の試合を見て、
私は「本物」のボクシングに魅了されてしまった。
スピード、威力、技術面のどれをとっても、
それまで自分が観ていたものとは違うスポーツといえるほど
別次元の世界がそこにはあった。

当時夢中になったのは、ミドル級で絶大な人気を博していた
トーマス・ハーンズという選手だった。
彼のフリッカー・ジャブ(当時はそんな呼び方も知らない)の
速さと威力には目を奪われた。
左腕をL字型に下ろして
左右に揺らしながら打つデトロイトスタイル。
ジャブが当たっただけで倒れてしまいそうなのだ。
後に『はじめの一歩』の間柴了の登場によって、
再度当時のことを思い出すわけだが、速さと威力を兼ね備えた
このクラスの試合の緊張感ときたら、堪らないものがあった。
ふたりの男たちの交錯する瞬間を見ていると、
手のひらから、じんわりと汗が滲んだ。
シュガーレイ・レナードやトーマス・ハーンズ、
ロベルト・デュランにマービン・ハグラーを加えた
4人のウェルター、ミドル級の戦いを観たことで、
私は完全にボクシングの虜になってしまったのだ。
その後、WOWOWの『エキサイト・マッチ』によって、
世界のボクシングが身近になり、
たくさんの名試合を観ることができるようになった。

そんななか、私はやはりもうひとつのボクシング漫画の傑作
『はじめの一歩』も毎週楽しみにしていた。
そこで、最も高揚させてくれたのが、
鷹村の世界初挑戦の相手であるブライアン・ホークだった。
普通に読んでいると、こんなヤツはいるわけないと思ってしまう。
しかし、ボクシングファンなら誰でもすぐに分かってしまう。
こいつのモデルは、明らかにナジーム・ハメドだろうと。
私は長年ボクシングを観てきたが、本当の意味で驚かされたのは、
トーマス・ハーンズ、マイク・タイソン、
フロイド・メイウェザー、ナジーム・ハメド、
ワシル・ロマチェンコ(現役)の5人だ。
(凄い選手はまだまだ数多いるのだが、
ボクシングの常識を覆したという意味では、
この5人ではないかと密かに思っている)
そのなかのひとりであるハメドの自由なボクシングは、
奇抜な登場シーンとともに多くのボクシングファンの
脳裏に刻まれることになった。
近接でスウェーバックしながら、あり得ない角度からアッパーを出すなど、
どんな態勢でも攻撃する変幻自在なスタイルがハメドの魅力だった。
そんな選手がブライアン・ホークとして登場すると、
さすが森川ジョージ、分かってるな(なぜか上から目線)となって、
より、ボクシングも漫画も楽しめたものだった。

私はスポーツ漫画やアニメが大好物なのだが、
やはり現実のスポーツの魅力を上手く表現しながら、
架空の世界に落とし込んでくれる作品に惹かれる。
自分の想像の世界を広げ、新たな楽しみを感じさせてくれる。

アニメからリアル、そしてリアルからアニメへ。
さまざまなジャンルの未知のことを提供してくれるから
私はアニメを観ることがやめられない。

※エンドクレジットに協力ということで
ピューマ渡久地の名前があったのも懐かしかった。
辰吉丈一郎、鬼塚勝也とともに平成の三羽烏と呼ばれ、
低迷気味だったボクシング界を活性化させた功労者のひとりだ。
ヤンキーで喧嘩早く、傷害事件を起こして
タイトルを剥奪されるなど問題の多かった選手でもある。
彼と同じフライ級で当時、日本の最強とされていた
勇利アルバチャコフ(本名はユーリ・ヤコヴレヴィチ・アルバチャコフ)と
いうアジア系でロシア出身の選手がいたのだが、
今回の勇利とつながりがあったのかどうかは不明だ。
調べてみると、渡久地は現在、記憶障害の病気を患っており、
離婚した元嫁の聡美さんがジムの会長を務めているという。
(2018年8月27日初投稿)

スポーツアニメに対する視点(2020年7月3日追記)

結局、どこまでこだわるかという問題になるが、
個人的には、スポーツアニメの作り手は、
そのスポーツのこと、もしくはスポーツ全体のことを
ある程度は、理解してもらいたい。
ボクシングのSF作品を作るのに、本当のボクシングを
取材する必要はないかもしれないが、やはりどういうスポーツか
ということくらいは知っておくべきだろう。
いくらSFでも全くリアリティを欠いてしまうと、
少なくとも私は興ざめしてしまう。

例えば、メガロボクスは上半身にギアをつけて試合をする。
それ自体はSFスポーツアニメとして、とても面白い発想だ。
しかし、この作品ではボクシングだけでなく、
スポーツそのものに対する理解力が圧倒的に不足している。
つまり、上半身にギアをつけたら、
強いパンチが打てると思ってしまっているのだ。
いくら強力なギアを上半身に装着しても、それに見合った
強靭な下半身がなければ、強いパンチなど打てるはずがない。
上半身に振り回されて、バランスが崩れてパンチは弱くなる。
そういうことを少しでも知っていれば、
下半身を補助する設定を何か考えておくはずだ。
例えば『はじめの一歩』を読んでいれば、
ロードワークが繰り返し、執拗に描かれていることに
気づくはずなのだ。どうしてこんなに走らないといけないのかと。
私はこの作品において、リアル要素を微塵も考慮していないように
見えることが大きな不満点のひとつ。
最終的にはギアを外して試合をするので、
そんなことを言ってもあまり意味がないのだが。
スポーツが題材であるなら、視聴者が気づかないような部分にも、
作り手は少しでも考慮して欲しいと願う。
それが作品に深みを与えるのではないだろうか。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 58

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

実存のゆくえ

【誤記修正】

50周年を迎えた『あしたのジョー』のアニメ化。

原作を再消化し現代によみがえらせたアニメ化だが、感想の前に、少し原作を振り返っておきたい。


原作の『あしたのジョー』については、マンガ批評家の夏目房之助による分析と批評が最も説得力がある。

梶原一騎と ちばてつや というまったく異なる巨大な才能同士が互いに一歩も引かずにぶつかり合った結果、『あしたのジョー』というマンガは、両者の得意とするいずれの領域とも全く異なる、第三の地点へと、作品の像が結ばれることになった。

ぶつかり合う個性が、梶原的な「右翼結社のユートピア」とも、ちば的な「貧民共同体の楽園」とも異なる場所へ作品を押し出したのだが、『あしたのジョー』は「世界に投げ出され、単独で世界と対峙する」青年の実存という、両者のいずれの個性からもかけ離れた物語として奇跡的な像が結ばれたということだろう。

終幕へ進むに従い、登場人物が次第にジョーから離れ、段平すらも存在感をなくしてジョーが孤独化していく印象は、まさに「唯一無二の私が全世界と対峙する」青年の実存が純化してゆく必然だ。

孤独に世界と敵対する青年の実存は、観念の吸引をも必然化する。
生命の危険を無視するようにボクシングへのめり込む展開は、スポ根の「克己心」の表現ではなく、世界の具体性から逸脱して「観念」に憑依されていく現れだ。
終幕にやや唐突に登場する「真っ白な灰になりたい」というセリフは、もはや「チャンピオンになる」といったスポ根的努力への「報酬」という実体性が無意味化して、破滅も辞さず「果てまでゆく」、生命を燃焼させたいという「観念」の呪縛に囚われきったことを示している。

そうして「果てまでゆく」観念に導かれるまま、最終戦では、すべての登場人物は単なる傍観者と化して「試合」の特権的な場から排除され、単独で世界と対峙する「青年」は、真っ白に燃え尽きて実存を生き切るラストを迎える。

20世紀的な青年の実存と観念の必然を描いた原作マンガが、あの時代に熱狂されたのも当然だろうか。


本作において、メガロボクス参戦に先立ってまずIDを偽造しなければならなかった主人公は、IDカード=アイデンティティ・カードを持たない=アイデンティティのない、世界の中に存在の基盤を持たない人物として登場する。
すなわち、「世界」の中に裸のままで単身投げ出されている、一人で全世界と対峙するものとして。

だが、明らかに空疎であるはずの自らの実存を埋める「観念」にしては、しゃにむに「戦い」を求める描写には「呪縛力」が希薄だ。
むしろ、世界と対峙する自覚すらない、空虚の人格化にすら見える。

虚空のかなたの「果てまでゆく」観念の呪縛を感じさせるのは、ライバルのチャンピオン、ユーリのほうだ。
すべての実績も、約束された栄光もスポンサーもパトロンも捨てて主人公との試合に挑むチャンピオンは、他者に誇示する栄光としての「勝利」ではなく、「観念」としての勝利、強さという「観念」に憑かれているのだと示されている。

現代において、「観念」の呪縛を説得的に描き出すには、まずチャンピオンという「勝者」が、持てるものを投げ捨てる描写が必要であったのかもしれない。
何も持たない「野良犬」が、実存の空虚を「観念」で埋めることは、現代では必ずしも必然ではないのだろうか。

しかし、ユーリの「観念」の呪縛を生み出すものは、「野良犬」である、アイデンティティを持たない空虚な主人公との試合だ。

何も持たずに「単独で世界と対峙」して「観念」に憑かれる『矢吹丈』を現代によみがえらせるために、矢吹丈は、主人公とユーリの二人に分離したのだといえるだろう。

そうした意味では、最終戦の結果は、もはや重要ではない。
矢吹丈の分身である両者がグラブを交えた時点で、「矢吹丈」は「一人」に統合され、「真っ白な灰」=観念の浄化はすでに成就しているともいえる。

ラストシーンの、見方によっては拍子抜けする穏やかな描写は、観念の浄化の向こうの現代的な表現なのだろう。
ようするに、その後のことは「どうでもいい」
原作マンガのラストシーンの後に何を付け加えても蛇足であるように、意味のある描写は何をもってきても蛇足なのだから。

それでも敢えてラストシーンが存在するのは、プリズムを通過した光が分光するように、「矢吹丈」が現代という装置を通過して主人公とユーリへと分化した、現代的な偏差のためかもしれない。


こうした本作の感想は、しかし、本作が『あしたのジョー』のアニメ化である、という了解があって生まれたものだ。
それゆえ、冒頭では長々しく原作マンガについて記述した。

別に作品の宣伝文句まで作品の一部として組み込まれているとは思わないが、気に止めてしまった以上、感想は影響を受けてしまう。

この情報がなく、単体で本作を視聴したならば、主人公の動機も試合でのランクアップも、ともすれば単なる上昇志向と承認欲求に駆動されるルサンチマンのように見えかねない。
最終戦を前にしたユーリの振る舞いも、「男の美学」とか「戦士の矜持」のような類型性に陥ってしまうだろう。

そうなれば、主人公の造形が動機が薄っぺらで、チャンピオンの行動が理不尽なご都合主義に受け取られかねない。

それはそれで、異世界もののような、主人公がシンプルな動機で勝利を収め続け、周囲の人間と分かり合って受け入れられるラノベ的感性のアニメ作品として観ることもできるだろう。


しかし、「原作」が心に引っかかってしまった以上、「観念」の「果てまで」行って再び人の輪に回帰してくる展開は、現代で視聴者の「承認」を得るためには、「果て」で燃え尽きる結末はあきらめざるを得なかったのだな、と思わずにいられない。

観念に憑かれることが必然であった20世紀青年の「実存」と、現代の青年の「実存」のありようが変わってしまっている現れのようにも感じられた。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

64.3 10 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング10位
KURAU Phantom Memory-クラウ・ファントムメモリー(TVアニメ動画)

2004年夏アニメ
★★★★☆ 3.6 (135)
704人が棚に入れました
西暦2100年。世界は生活圏としての都市「メトロポリス」とライフラインとしての生産層「エコロジア」に区別されていた。そこでは互いが互いを助け合い、戦争や貧困をもはや過去のものとしていた。
人々が暮らすメトロポリスでは、地上400mを誇る超高層ビル群と重力制御によるエアカーを主流とした交通により、ストレスの無い理想の社会を形成していた。その一方で、人類は宇宙へと進出し、月に都市を建て、更なる外宇宙進出を計画していた。
次世代エネルギーの研究者である天箕博士は、月面にある基地で研究チームと共に原子衝突実験を行っていた。しかし、その最中に、突如実験装置から飛び出した2つの光が天箕博士の娘、天箕クラウに衝突し、彼女の体を分解してしまった。しかし、その光は再びクラウの姿を形作り、クラウは「リナクス」として蘇る。ただ、もう1つの光の行方は誰にも分からないままであった…。
それから10年後。クラウはリナクスの力を隠しながら、悪を取り締まるエージェントとして日々を送っていた。そんなある日、クラウの中からもう1つの光の対である少女「クリスマス」が現れる。

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

リナクスがあふれ出しそう。

原子衝突実験の際に事故でクラウにリナクスが宿り、元の人格を失ったリナサピアンとなってしまう。
対のクリスマスと共に警察組織GPOから追われる生活が始まる・・・と書いてもなんのこっちゃ分からんでしょうが、超ザックリ言えば二人の少女の愛の逃亡劇です、ちょっと違うけど(笑)かなり雑多に書き記したので後で書き直すかも。

・クラウとクリスマス
クラウとクリスマスの堅い絆が本作の特徴。クラウはリナクスの超人的な力をもってクリスマスを守ろうとする結構男前なところがありつつ、母性というものも感じる優しいキャラクター。クリスマスは可愛らしい少女ではあるが、芯の強いところもある・・・といった感じ。美しい音楽とともに暖かな雰囲気を作り出す表情豊かなキャラクターには好感が持てる。

・影の主役は父親?
我が子が得体の知れないものに身体を乗っ取られてしまった・・・なんてことよくフィクションではあります。本作では父親がその引き金になってしまっていてひたすら自責の念にかられる、かなりヘヴィな境遇です。しかもそれが人間らしく振る舞い「お父さん」と呼び始め、我が子同然のように見えてしまう。さらには二人に分裂(?)するものですから、その苦悩は計り知れないものがあると思われるのですが、リナクスであるクラウやクリスマスも我が子同様に大切に想うようになります。クリスマスとクラウの絆に目に奪われがちですが、私が本当に良い想ったところはこの極めて特殊な親子関係にありました。彼女たちの手助けをするダグやアヤカの心にも家族というものが大きなウエイトを占めているのも印象的。この作品の凄さは家族愛に止まらない分け隔てのない愛にあるのですが、それに反して作風自体は地味で落ち着いています。

・リナクス、対
本作に出てくるリナクスやら対と言った謎めいたSF設定。リナクスは知性を持つエネルギー体(?)らしく、対の定義も理系の方なら感覚的に理解しうるものらしいですが、はっきり言って詳細は全く分かりません。原子衝突実験の際に発生した事象ということですが、原子とかさっぱり分からんので。とりあえず作中だけでは観念的なものとしか捉えられない。対とは惹かれ合う存在、代わりとなるものはいない、なんだかツインソウルな感覚で恋愛や家族愛とは一線を画している。未知の知性体を難しく定義づけせず未知のまま扱うあたりが、評価が分かれるポイントかもしれない。リナクスの超人的な力を駆使したアクションも華麗で美しいけど、アクションものとして捉える人は多分誰一人としていない。

・総評
SF設定は面白そうなのですが、SFアニメというよりヒューマンドラマの色彩が濃い。謎を含みつつも基本は分かりやすいストーリー・キャラの表情の豊かさには光るものがあって、絆が感じられる本作に好印象を持たれる方は多いのではないでしょうか。クラウとクリスマスの逃避行とGPOの内情が絡み合う丁寧なストーリー展開ですが、リナクスの謎を解き明かす展開には至らない。ゆえに漠然としていて視聴者を引き込む力がやや弱いのが難点ですが、力強く暖かで心に響く良作。難解さは無く、むしろ女性にお勧めしたいハートフルなアニメ。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 10
ネタバレ

じぇりー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

これからの時期におススメ!世界観の確立された良作

やはり原作なしのオリジナルアニメーションは、きっちり完結してくれるので安心して見られる。
あらすじと成分にある通り、主人公クラウの「対」として生まれる少女の名は「クリスマス」。

そして、タイトルとなっている"Phamtom Memory"についてだが、作中にはこの言葉は一度たりとも出てこない。
しかしタイトルに入るくらいなのだから、作品の重要なキーワードであることは間違いない。

クリスマスの名の由来、そしてこのファントムメモリーとは一体何を指しているのかが明らかになるのは、最後にふわっと暖かい余韻を残してくれる最終話である。
視聴を始めた方は是非、最後まで観てほしい作品である。

私は、この作品は様々な「家族愛」を描いているのだと思う。
主人公クラウとクリスマスは、例えるなら姉妹・夫婦…あるいは、互いにとってそれ以上の存在であり、サブキャラクターたちもそれぞれの家族愛を心に持ちながら、クラウ達に協力する。
戦闘シーンなどもあるが、圧倒的にヒューマンドラマに重きを置いた作品である。

物語の大半が、クラウとクリスマスの、{netabare}リナクスを執拗に捕獲しようとする国際警察機関GPOからの追跡からの、逃避行と潜伏を描いているので、潜伏先で出会うという形の、数話だけ登場するキャラが多いのが特徴なのだが、{/netabare} その誰もがそれぞれのドラマを抱えているのがまた良い。

それは時にクラウ達を励ます暖かさだったり、彼女たちを戦いに駆り立てる悲しい運命だったり…いずれにしても心にグッとくるものがあるのだ。

最後に、この作品はOP/EDの音楽・映像共に作品の世界観と見事に融合していて非常に良かった。
特に全24話中の何話かは、その回のラストシーンでED曲のイントロが流れ始め、そのまま曲途中からEDに移る、という手法を取っているのだが、この演出がまたにくい。

例えそのラストシーンが、感動で終わっても、ピンチで終わっても、悲しいシーンで終わっても、曲のもつ独特の神秘性のおかげで、どの場面にも有効だったのは素晴らしいの一言に尽きる。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 8

セメント さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

リナクス

"おかえり、クラウ"
"ただいま、クリスマス"


やってることとしては訳あり姉妹の愛の逃避行ですね、それだけ聞くと素晴らしい百合アニメかと思いがちですが、そんなこともあるようなないような。
主題は「DTB」や「コンレボ」にあるような能力者迫害ものでしょうね、展開は結構早めで置いて行かれることもしばしば。
ただ、大事なのは、クラウが生まれた経緯と、GPOという組織の陰謀。このあたりをしっかり抑えていれば難しいと感じることもないでしょう。

ボンズアニメですね、監督は入江泰浩さん、随所随所に絵コンテや演出で参加していて、氏の持ち味を余すとこなく発揮してます。
入江さんといえば「ソウルイーター」のOP一人原画が有名ですね、やり始めたらとことんやるタイプの人かなーって印象です。
小松英司さんや三輪和宏さんなどボンズメーターの活躍も然ることながら、7話の二宮常雄さんが作監でやってた回とか強く覚えてますね。
超絶可愛いクリスマスと全然似合わないクラウのメイド姿、良かったなぁ。

声優は登場人物も少ないのでそんなに。
クラウ役に川澄綾子さん、クリスマス役に小林美佐さんですね、小林さんは最近あまり活躍されてませんね。

曲は素晴らしいですね、OPを新居昭乃さん、EDを勝木ゆかりさんが担当してます。
心臓に直接響く様な心地良いサウンドです、派手さとは無縁の落ち着いた楽曲も本作にマッチしています。

クラウとクリスマスの行く末をただただ見守っていたい、そんな感じですね。
色んな国を訪れて、はたまた宇宙まで躍進したりと、ダグと共に彼女達の旅を見守るのが本作のコンセプトです(断言)


質アニメ独特の単調さはあって、リナクスとか対とか設定は凝ってるんですがねぇ。
こういうのは覚悟を決めて見ないといけないので大変かもしれませんが、面白いです。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

63.0 11 近未来でオリジナルアニメーションなアニメランキング11位
BLUE GENDER [ブルージェンダー](TVアニメ動画)

1999年秋アニメ
★★★★☆ 3.3 (77)
402人が棚に入れました
「バブルガムクライシス」のAICが制作したハードアクションSF。種の存亡を賭けた壮絶な戦いの中で、主人公の葛藤と成長を描く。現代では治せない新種の奇病に侵された海堂祐司は、未来の医療技術の発展に賭けて冷凍冬眠者“スリーパー”となった。だが、西暦2031年に冬眠から目覚めた海堂が見たものは、謎の生命体“BLUE”の繁殖によって絶滅の危機に瀕した人類だった。絶望の中で、海堂の“生きる”ための戦いが始まる。
ネタバレ

生来必殺 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

待て、しかして・・・

まず本作に少しでも興味を持った人はネタバレに【厳重注意】
ここのレヴューゾーン微妙にネタバレの雰囲気が・・・
それと進撃の巨人2期を楽しみに待ってる人も警戒が必要。
本作→ガンパレード→進撃 という微妙な関係性があるので
間接的にネタバレしてしまう可能性も(もしかしたら?)あり。

さて、本作とは如何なるジャンルに属し、どういう作品であるかについて
考えた時、説明するのが非常に難しいという問題にぶち当たる。
それはある意味『高いハードル』であるかもしれない。

SF的ロボットアクションもの?
機動戦士ガンダムとエヴァを足して2で割ったような作品?
そう言われてみればそうかもしれないし、そういう要素も確かにあるだろう。

しかしだからと言って、王道的ロボットアクションを期待して本作を見た人は
恐らく期待ハズレだったという感想を抱くかも。

メカデザインは無駄にカッコイイ(というかカッコよすぎる)し
スピード感と臨場感溢れる見せ場の戦闘シーンも確かにあるのだが、
戦闘シーンの数が不足気味で、高性能戦闘メカの性能を最大限に生かしたシーンは
限りなくゼロに近い。
(もの凄いの潜在能力を持ったパイロットはいるのに何故?と訝しがる人もいるだろう)

本作を敢えてジャンル分けするならエヴァ進化系に属し、エウレカにも似た要素を持つ。
(グロシーンがあるのもその理由のひとつ)
一つ例を挙げるとエヴァ第9話「瞬間、心、重ねて」の戦闘シーンよりも
二人のパイロットの奇妙な共同生活に力点を置いているような感じのタイプ。

本作には様々な『高いハードル』が山積している。
視聴者にとってのそれは、主人公が文字通り『お荷物』であり
ヘンなヘアースタイルの『猿』みたいな存在に思えてしまうことであり
『カイ・シデン』のように人の感情を逆なでする要素と『碇シンジ』のような
軟弱さを同時に併せ持ち、かつ田名部愛のようにうざったい台詞を吐くという
厄介な人間性を持っていることである。

そしてそのことは未来人であるヒロインにとってはより強烈で鮮明なリアリティーであり、
成り行き上の任務とはいえ、無駄口叩くこの『お荷物』、『旧世代』の『猿』を
なんとか目的地まで届けるというのはヤレヤレな気分であると言えよう。

とまぁ、そういう方向性で物語は進行していくわけだが、
本作の最大の魅力、見所とはまさにそういう要素であり。

ロボットバトルよりも自分たちの足で大地を踏みしめ
世界を流離うことであり、目的地の前に聳え立つ文字通り『険しい山』に挑むことである。

世界を流離うことが本作の最終目的でもなく、次のステージもちゃんと用意されているのだが、
一見無駄とも思えるプロセスやキャラの言動を丁寧に描いているのにはそれなりに
意味があり、それを飛ばしてしまったら本作はもっと味気ないものになっただろう。

だから結局あんな『猿』にも存在理由はあって、
そんな彼{netabare}の微妙な心理描写{/netabare}にも大いに意味があったりする。

早い話が主人公はヘタレ系で、ヘタレ系主人公が好きな人には本作はかなりお薦め。
ヘタレ系ストーリーには当然の如く物語の進行をサポートする役目が
つまりその辺はヒロインが十分すぎるくらいに穴埋めするので安心して視聴できる。

ここからは少し踏み込んだネタバレにつき本作未視聴の方にはご法度で。
{netabare}実は本作をエヴァ系と称すのにはもう一つの理由がある。
それはエヴァと同様にフロイト心理学のテイストが意欲的に活用されている点だ。
それはある意味ペテン的手法であり、生と死や二項対立が織り成す葛藤の要素を
持った物語ならなんでも適用可能で無難に解釈できてしまう若干無理ある荒技である。
それはエロスとタナトスという概念で物語を解釈するやり方である。

単なるこじ付け的連想ゲームと言われればそれまでだが、実戦してみるとこんな具合。
エンジェルは天使。天使のイメージの原型はローマ神話のキューピッド。
キューピッドはギリシア神話のエロス。エロスはマリーン・エンジェル。

眠りの神はヒュプノス。ヒュプノスの兄はタナトス。
故に眠れる者(スリーパー)はタナトス(死)の近親者。
エロスとタナトスの衝突は葛藤を生む。
エンジェルとスリーパーの対立衝突も人間心理の葛藤の現れ、という風に。

エロスは生、融合、肯定承認、友愛を象徴し
タナトスは死、解体、否定拒絶、攻撃性を象徴する。

しかし、「それがどうした?」と問われたら返す言葉がないのが
フロイト心理学の限界なんだこれが・・・

しかし、進化論という現代では絶対不可侵の神話的学説の基本的メカニズムも
繁殖と淘汰という二項対立に突然変異という概念を付加しただけの
ある意味ペテン師的な解釈理論に過ぎないわけなので、似たり寄ったりなのかも。

さらに蛇足だが、マリーンは海、海は生命の源=母を象徴するから
ブルーは海とは相容れない存在っていう解釈も成り立ちはする。{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 6

woa さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

桑島法子のEDは秀逸

一見ハッピーエンドに思えるが、地球の許容限界を超えた人類が遺伝子レベルで自殺していくというこのアニメに救いは一切無い。許容範囲内に縮小してもこのプロセス自体は止まらないため、当初この自殺遺伝子を社会に応用した科学者の人口管理的な意図を超えていく。現に人口管理の最たる例であるセカンドアースの責任者は隔離され狂気に陥った集団に虐殺されるのである。未来に希望を託して冷凍睡眠下にあった主人公は眠らざるえない状況そのものを求めていたヒロインたちに唐突に起こされ非情な現実を戦いを通して受け入れざる得ないのだが、自分自身の闘争本能(B細胞)を抑制しつつものその自らの決定因子をヒロインとの関係の中で改めて見出し過酷な地球環境の中でこそ「生きて」いくことを決意する。そしてヒロインの中には主人公の自殺遺伝子を受け継ぐであろう子供がいるのである。おそらくこの二つが意味するのは主人公やヒロイン自体の行く末に可能性はないが、異なる二つの性質の混合によって生まれる新しい種という有性生殖という古いシステムの有利性だろう。これはおそらく一世代ごとに進化するブルーにはない特徴である。

中盤以降、ヒロインが主人公にこだわるのはあくまで主人公を宇宙につれていくという最初に下された軍官僚としての自分の使命を貫徹しているからであってあくまで命令の変更であるとか軍組織そのものだとかは最終的にあまり意味がないのである。軍などの組織も党内政治の帰趨によって変わりその基準は一貫せず解釈は∞だということはセノがヒロインの反逆を利用して時間旅行者の状況を把握していたことからもうかがえる。ブルーとの戦いや全体主義下のために人間的な感情を抑制された登場人物たちが主人公との関わりのなかで時折みせる感情表現はたくみでその命があっさり奪われていく様は印象的。たとえば主人公が守ると約束した少女ユンが死の間際に廃墟の中からこちらを眺める視線は訴えるものがあるのだが、しかしその死はおそらく彼女も当事者のブルーも気づかないままに作業的一瞬の間で行われるのである。これは他の脇役キャラにしても同じで主人公とヒロインに係った人間は場所を移るごとにことごとく退場し再登場することは一切なくその必然性もないのである。このような人間疎外の中でヒロインの愛情表現や心理描写はやや異様な趣を持つと感じたのは自分だけではないと思われる。

ヒロインの次第に露骨になる感情表現が何を意味するかは彼女が軍の命令の様々な解釈を拒絶したように色々憶測するべきではないのかもしれないが、一つ考えられるのはセノの撤退戦略やブルーに取り込まれた人間の現代彫刻のような球体から新種の植物?が生まれてきた事実から見られるように、単に危機をともにした主人公へのトラウマ越しの愛情というよりも、主人公の持つB細胞を旧人類が受け入れざるえないことの隠喩かもしれないと言っておきたい。ブルー(地球)の大いなる意思から立ち昇る光が地球の赤道上軌道を取り囲んでいく情景やブルーの女性器を模しつつも過剰に疎外されたデザインだとかは過剰負荷と化した人類の後に何が来るのかというビジョンを示しおりそれは地球(ヒロイン)の「ジェンダー」に係るのだろう。

投稿 : 2024/05/04
♥ : 2
ネタバレ

MbsHL22207 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

エログロ特盛つゆだく

□物語
 ロボットに乗って地球を乗っ取った巨大な昆虫と戦う近未来SFアニメという設定。1960年代にNASAの科学者が唱えた「ガイア理論」がストーリーの根幹を成している。
{netabare}
 このアニメの世界はとにかく人間の論理・道徳感が異常な世界で、「いつ死ぬか分からないから」とか理由付けして簡単にヤリまくり、そして簡単に死にまくり(さっきまで無表情で後ろから乳揉まれてた女が、地盤沈下でこけて後頭部強打して首折れて死ぬって、それはないだろと当時思ったものだ。)
虚淵作品並に脇役を酷使(酷死?)してるあたりは当時衝撃を受けたものだ。

そしてヒロインが規制なしの全裸でこっちに歩いてくるというとんでもないEDで終わる。

このアニメが伝えたいことは、人を想う心とは何か、幸せな生き方とは何か、と言ったところだろうか。色んな登場人物の生き方や死に方、思考・行動を描いており色々考えさせられる点はあるにはある。
結構壮大な話にしようとして中途半端になってしまってる感もあったりするが、それなりにまとまってはいる。

□声優
メインキャラは有名どころ(当時売り出し中だった?)である。
その為メインキャラは安心して聞いていられるが、脇役の中には「おいおいちょっと待ってくれ」と言いたくなる棒読みの方々が結構いる。

相当編集が荒っぽい総集編では幾分かマシにはなっている。

□キャラ
マリーン・エンジェルのツン期→デレ期の変化がとてもよい。
人類の為に戦うことしか考えられない戦闘兵士から、一人の男のことしか考えられない乙女への心境変化がよく描けている。
ヤリまくってたはずの過去の自分に自己嫌悪は無かったのだろうか?という疑問さえ湧かせない程の清々しい純愛っぷりには狂気さえ感じる。

□作画
崩壊時と良作画時の差が激しい。
リアルSF系でこれは無いと思う場面が多々見受けられた。
しかし最終話の決戦シーンの作画はセル画アニメでも相当上位に食い込めるレベル。
終わりよければ全て良し。2周目視聴は有り得ないのである(ちなみにLDとDVDが発売されている。そういう時代である)。

ちなみに皆さんが気になるであろう全裸歩行EDであるが、作画が「これは劇場版ですか?」という程に力が入っている。ラストの顔アップなどもはや芸術の領域だ。やはり終わりよければ全て良しなのだろうか?

□音楽
物悲しいBGMか、物騒なBGMしか用意されていない。
楽しい曲は無くその点は徹底している。
OPは戦闘的な曲、EDは子守唄みたいな歌で時間帯も重なり眠気が視聴者を襲う。

■総評
視聴はあまりオススメしない。
無駄に長ったらしくテンポが悪いのが主な要因だが、そこに加え余りにも人を選ぶグロシーンが頂けない。
進撃の巨人の元ネタじゃないかとか一時期言われてたようなので視聴しようと思う人もいるだろうが、相当毛色が違う。
もっとオタク向けというか、深夜アニメ黎明期のチャレンジ作品的な色が濃く、万人向けでは無い。

ちなみになぜか個人的に憎めない作品である。
私が人生ではじめて観た「深夜アニメ」だからかもしれないが。

{/netabare}

投稿 : 2024/05/04
♥ : 4
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