たなか さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
Stylish Atmosphere
独自の世界観って言葉が似合うオノ・ナツメ作品。
良くも悪くもザ・雰囲氣アニメ。
画面が漫画のトーンとは明らかに別物なのは仕方ないが、オシャンでスタイリッシュって印象が秒で出てくる雰囲気を保ってるのはさすが。タバコとか組織の陰謀とか背伸びしたいお年頃にはハマりそう。
良く言えば飄々として落ち着いた常にクールな主人公、悪く言えば常時ダルそうで貰いタバコばかりするやる気の感じられない窓際野郎が周囲のゴタゴタを華麗にやり過ごしながらやれやれしつつも実はスゲーヤツでゴイスーでオレまた何かやっちゃいました?みたいなやつ。
貰いタバコは本気で嫌われるので真似するのは厳禁です。よくて各人最初の一本だけです。「いいよいいよ」との社交辞令を真に受けてずっと繰り返してるとマジでハブられます。これが許されるのは漫画の主人公だけです。というか劇中でも普通に嫌がられてるのであいつはただのサイコ野郎です。
色がついて明るい画面になったことで、より原作のそれっぽさが強調されている気もします。わりと売れてる作家さんなのである程度の漫画読みならまず作品には触れてるでしょう。漫画の印象どおりに好きな人は好き、嫌いな人はそのまま嫌い、と評価が好転することはないと思います。好きな人にはわりと原作の長所を再現出来ている神作との評価ですが、作品の出来が良ければ良いほどダメな人にはよりダメさが増すということになります。ダメな人からするとスカして気取ったキャラがクサいセリフでイキってる名言ポエム作品という評価は覆らないでしょう。ということは原作の魅力をそのまま引き出すことに成功してる稀有なアニメ化ではないでしょうか。好き嫌いを考慮しないのであれば、スタッフは実にいい仕事をしていると言えるでしょう。
漫画評でもオノ・ナツメ作品は好みの分かれる作品でありアンチもいるほどに売れている。漫画自体も雰囲気漫画なのでアンチの発言に対してすらも信者からは「ククク…この作品の良さがわからないとは。これは違いのわかるオトナ向け。この魅力はジャンプキッズにはわかるまいッ」とノーダメージで済むというありがたい作家。これがオノ・ナツメの強さ。安心してファンでいられる抜群の安心感。正解を選んだオレ感を与えてくれて全力で依存出来る存在。思春期には好きな音楽、好きな漫画などが自尊心を守ってくれるモノ。アンチにビクビクしなくていい「正解」なニッチ枠。これを好きと言っていいものだろうか、という漠然とした不安に怯えなくていい。だってどんなに難癖つけられたところで「雰囲気が好き」とさえ言ってしまえば相手は「ぐぬぬ」となってしまうのみで反論は許されない。こんなに良い作家さんはいないでしょう。ファンが羨ましいです。
好き嫌いはあったとしても雰囲気アニメって普通に褒め言葉だと思います。