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「ロング・ウェイ・ノース(アニメ映画)」

総合得点
71.2
感想・評価
19
棚に入れた
77
ランキング
1355
★★★★★ 4.2 (19)
物語
4.2
作画
4.5
声優
3.8
音楽
4.2
キャラ
4.1

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ロング・ウェイ・ノースの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ベビーフェイスじゃいられない。

海図は、ロシアンルーレットを挑発する。

それでも・・・・
憧憬を覚えているやさしい過去は
彼女のまなざしの先に、確信ともいえる航路を描かせる。


羅針盤は、狂濤嶮路を指し示している。

それでも・・・・
明かすべき未来を負託された自意識は
操舵輪をして地球の「てっぺん」へと舳先を向かわせる。


祖父の言葉は、いったいサーシャの胸中に何を産み落としたのだろう。

汚名を雪いだあとのサーシャは、祖国に何を見出すことになるのだろう。



男浪が、祖父のパイオニア・スピリッツを体現するものなら
女波は、サーシャのファイティング・シップともいえるだろう。

水火も辞せず真理を証しようと一歩を踏み出させるのは、共なるDNAのなすわざなのか。

フロンティア・ポイントへの飽くなき探究心が、雪氷の海にその切っ先をつき立てる。


息をも凍る、苦悦の旅が始まる。

いっときも目が離せないサーシャとわたしの旅なのだ。


~  ~  ~  ~  ~  ~


まるっきり日本的でない映像体験だった。

あまりにも美しく
しかも、そればかりでもない。

凍れるような忍耐と
ひた向きなまでの信念と
どれほどまでの覚悟が試されるものかと
そう訴えかけてくる。

ブリザードは大咆哮し、幾度となく平伏と敗退を強いてくる。

受難なのか。

必然なのか。

救いなのか。

むきだしの造形のままに、人智を凌駕する洗礼がサーシャを打ちつける。



やがて、サーシャの息遣いは、薄明のなかで祖父の緘黙と交じりあう。

(もっとも心を奪われるシーン)

祖父はその生をかたらず、サーシャの抱擁はかなわない。

それでも彼女は、祖父の死を、生として包容できたのではないか。

時代の先駆者は、いつだって後継者を、高みへと導いてくれるのだ。


~  ~  ~  ~  ~  ~


イメージはいとも簡単に裏返される。

誰もがベビーフェイスに騙される。

サーシャはたかだか14歳なのだ。


1882年。
帝政ロシア末期の絶望的な国家運営と支配があった。

祖父に功名をなさしめるのは、帝国への忠誠を問うていたのか。
それとも、名誉を欲する為政者の気まぐれのための道具だったのか。

サーシャは、正義で動いたわけではないし、好奇心で走り出したのでもない。

どんなにささやかな約束であっても、そこに純粋な愛が満ち、侵しがたい尊厳があったと証明するためには、動機としては有り余るものであったろうと想像するに難くはない。

祖父の情熱を熾火として、真実への希望を専心に受け止めたサーシャ。
不名誉の悔しさなど、極北の厳氷の只中では、微塵にして些末なこと。

帰港の歓声に応えた彼女の笑顔は、無慈悲な帝政へのアイロニーをどこかに含んでいたと理解しておきたい。


思うに、一貴族の一人娘に、いったいどんな生き方が選べたというのだろう。

時代が定めた蓋然の枠に安住する生き方を、疑わないままに最善とするのか。
自らのほとばしりでるバイタリティーを、歓びの変化として最善とするのか。

サーシャの鬱屈した表情に、しかし、時代には気負けしないレジリエンスと、真実を体現する人としてのストレングスが見て取れる。

サーシャは太く希求する。
そしてしなやかに振る舞う。

埋没していた真理が、将来へのコミュニケーションと選択を求めてくる。
未来への責任が、多くの女性や若者たちの転換点に確かな勇気を与える。

そう。本作には、時代の最新フェーズへと立ち向かおうとする態度が示されている。

そんな真底に触れつづけた81分の上質な旅だった。


{netabare}
The Arctic(a’;rktik  アークティク)
北極です。

原典はギリシャ語の Arktos(おおぐま座)。
天と地と人とを結びつけるキーワードでもあります。

おおぐま座は、北半球の天頂に坐し、数千年にわたって夜ながに現われ、人々に心的・霊的なエネルギーを与えつづけています。

エジプト、メソポタミア、インダス、黄河、ギリシア、そして日本。


今夜も、天のひさごからはたくさんの金銀砂子がこぼれ落ち、ステキな宝物となって手元に届くのかもしれません。
{/netabare}

投稿 : 2020/03/06
閲覧 : 277
サンキュー:

9

ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

たくさんの 彩りと輝きをもらえる秀作。

キャッチさんのレビューを読んで、名古屋の上映館をチェックしたら、もう終了していました。あらまあ。

この先が望めそうになかったし、映画の日ということもあって、ちびっと脚を伸ばして静岡まで観に行きました。いやまあ。

駅前の劇場は、55席のミニシアターで、当日一回限り、字幕版の一択でした。

日本語訳はスクリーンの下部に表記されていたので、視線移動が楽ちん。
読みやすく、すうっと頭に入ってきます。

生の声優さんの声が聴けたのも良かったです。
物語の主題を壊していない、作品性をそっと後押しをしている、そんな印象の声です。
日本語吹替版は、どんな演技をなさっているのかしら?ちびっと気になります。

さて、感想ですが、個人的には今期一のダークホースといったところです。

また観たい。
何度も観たい。
ブルーレイも買いたい。
そう思わせる秀作でした。

とにかく、とにかく、作画がすごい。
色彩設定がすごい。
人物描写がすごい。

スクリーンは2×5mと小さいのに、広くて、深くて、美しい。
ちょっと言葉になりません。

音の再現性がすごい。
リアリティがすごい。
耳に優しいし、心に染みこむし、身体に馴染むのです。

キャラデザインは、異国情緒性に秀でていて、そのままの世界観を表現しています。

初めのうちは、ちびっとディズニーアニメのテンプレっぽさも感じましたが、すぐに物語にグイグイ引き込まれてしまったので、途中から気にならなくなりました。

余談ですが、舞台がロシア〜北極ですから、館内暖房は不要だと思います。

いや本当です。
ダウンジャケットを着て、凍えながら鑑賞するのが正しいお作法だと思います。
それくらい没入できました。

さて、物語ですが、難しいシナリオではありません。8才くらいの女の子、男の子もじっくりと見入っていましたから。

シンプルに言えば、冒険ふう活劇なのですが、内容は、奇を衒(てら)わない実直なストーリーです。
むしろ骨太で硬派ともいえるお話です。

主人公は、上流階級の家の一人娘、サーシャです。
この娘が、とにかく "かっこいい" のです。
頭の回転が早くて、打たれ強くて、前向きなのです。

演出上、いくらかの弱さも描かれるのですが、それがあとあと良い風合いを醸し出すので、流れる涙の味が濃いのです。

でも、絶対的なヒロインではありません。
14歳の等身大の少女でありつつ、失敗することも多い女の子です。
そんな彼女は、とても柔軟性に秀でていて、若々しい感受性の持ち主でもあります。

サーシャの意志の強さと行動力は、愛するお祖父さんの囁(ささや)きに立脚しています。
その意味では、本作は、家族との絆、家族愛を通底としたテーマであると言えるでしょう。

ぜひ、劇場にいらしていただいて、2人の "太い絆の実相' に触れてみてください。

サーシャの姿に、きっと、生きる勇気をもらい、あなたのてっぺんに希望の旗を掲げることができると思います。

心からオススメいたします。


長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

本作が、皆様に愛されますように。

投稿 : 2019/12/03
閲覧 : 343
サンキュー:

15

ネタバレ

USB_DAC さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

ヨーロッパテイストが画面いっぱいに漂う魁作

物語:
舞台は19世紀。ロシア帝国の首都(当時)サンクトペテルブルクに
住む14歳の少女サーシャ。探検家として北極点を目指し、船諸共行
方不明となった大好きだった祖父の消息をひとり追う。やがて出会う
北方商船の乗組員等と共に彼の地を目指し、祖父の名誉を取り戻す物
語。普段は貴族的な生活を嗜み、家庭的なことはしたことが無かった
彼女。旅を通して逞しい女性へと変わっていく姿はとても感動的です。

作画:
一切輪郭を描かない独特のタッチはまるで絵画の様。このシンプルで
芸術的な作画が、北極圏の環境の厳しさをより一層感じさせる。そし
て精密な画作りなど無くても、見る者に驚きは与えられると言わんば
かりの表情力の豊かさ。自然な目の動きや瞬きの頻度。その巧みで奥
深い映像には終始圧倒されっぱなしでした。

声優:
日本語吹き替え版では無く、字幕版(原作)の方が個人的に好みです。
クリスタ・テレ(仏)のハスキーボイスは、強いサーシャのイメージ
にピッタリだと思います。

音楽:
挿入曲は『Hi Life』/『To All of You』の2曲。
Syd Matters(シド・マターズ 仏・5人組)が奏でる静かで薄暗い
ハイセンスなこの曲が、作品の後味にクールさをプラスする様。

キャラ:
日本のアニメに見慣れてしまうと、確かに物足りなさが残るかも知れ
ません。しかしシンプルにも関わらず特徴の曖昧さが無く、人物はと
ても個性的にデザインされている。そして取り繕い誇張されたキャラ
はいない。出会う人すべてが人間らしく正や負の感情をしっかりと持
ち合わせている。裏切りと感動の人間模様。このリアルさは本物です。



[感想]

2015年公開(仏)のフランス・デンマークの共同作品。

アヌシー国際アニメーション映画祭観客賞や第33回シカゴ国際児童
映画祭など、数多くの賞を受賞しながらも3年半の時を経て、漸く実
現した日本公開。この時を待ち望んだ方はとても多かったのではない
かと思います。かく言う自分もその一人。

トム・ムーア監督の下『ブレンダンとケルズの秘密』で助監督を務め
たレミ・シャイエさんが初めて指揮を行った作品。作風はまるで違い
ますが、絵画チックで芸術的なその作画は、成ほどなと思わせるもの
があります。それと現在YouTubeで公開されている監督から送られた
メッセージ。本当に優しく真面目そうで、人柄の良さを感じさせます。

シンプルな作画が生み出す色使いの素晴らしさ。そしてさり気なく耳
から入って来るリアルな効果音への驚き。流氷がきしみ出す音や崩落
する氷河の音、ブリザードの風の音などが更に緊張感をもたらす。派
手さは無く一見シンプルなストーリーは、彼女の旅への絶望と希望を
幾度となく映し出し、序盤から最後まで本当に手に汗握る状態でした。

極限まで無駄を省き、豊かな感情表現で見せる新たなアニメーション
の方向性。より多くの方にご覧頂き、日本の作品とはまた一味違う素
晴らしさを是非肌で感じてもらいたい。心からそう願っています。



以上、長文拝読頂きありがとうございました。

投稿 : 2019/11/19
閲覧 : 309
サンキュー:

22

アニメ評論家1号 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:----

投稿 : 2022/12/30
閲覧 : 11

Dkn さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2022/12/15
閲覧 : 10

ひよこ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/01/30
閲覧 : 23

じぇ~むず さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/09/10
閲覧 : 44

あいあい さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観たい

投稿 : 2020/08/16
閲覧 : 54

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/01/06
閲覧 : 67

AKIRA777 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2019/11/24
閲覧 : 61

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2019/04/30
閲覧 : 71

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ロング・ウェイ・ノースのストーリー・あらすじ

まだ帆船が活躍していた時代、少女サーシャが、祖父の歴史を辿り、サンクトペテルブルグから極北への航海に挑む冒険談です。(アニメ映画『ロング・ウェイ・ノース』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2016年7月28日

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