美しいで泣けるなTVアニメ動画ランキング 4

あにこれの全ユーザーがTVアニメ動画の美しいで泣けるな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月15日の時点で一番の美しいで泣けるなTVアニメ動画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

94.1 1 美しいで泣けるなアニメランキング1位
ヴァイオレット・エヴァーガーデン(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2536)
10318人が棚に入れました
感情を持たない一人の少女がいた。
彼女の名は、ヴァイオレット・エヴァーガーデン。
戦火の中で、大切な人から告げられた言葉の意味を探している。
戦争が終わり、彼女が出会った仕事は誰かの想いを言葉にして届けること。
――戦争で生き延びた、たった一人の兄弟への手紙
――都会で働き始めた娘から故郷の両親への手紙
――飾らないありのままの恋心をつづった手紙
――去りゆく者から残される者への最期の手紙
手紙に込められたいくつもの想いは、ヴァイオレットの心に愛を刻んでいく。
これは、感情を持たない一人の少女が愛を知るまでの物語。

声優・キャラクター
石川由依、子安武人、浪川大輔、遠藤綾、内山昂輝、茅原実里、戸松遥
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「愛してる」と自動手記人形と「愛してる」

原作未読。最終話まで視聴。

【総評】
引き込まれるように、思わず見入ってしまう・・・。
上手く言えないけど、そんな作品でした。

まずは、圧倒的な作画。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

個性豊かなキャラと、それを巧みに演じられた声優陣も、とても良かったと思います。

感動的な物語の数々も、とても良かった。
涙腺崩壊系の話とヴァイオレットの関わり方がとても綺麗に描かれていたと思います。

すでに続編も決定しているとのこと。
楽しみにしています。

【酷評を少々】
放送前の盛り上げ方が半端ありませんでしたので、非常にハードルを上げて視聴を開始された方も多かったはず。
かくいう私もその一人ですが(笑)
そのため、「んっ?」と感じるところも少なからず存在しちゃう訳で・・・。

本作の評価は、「物語」と「音楽」の評価がポイント(評価の分かれ目)だと思います。

【物語について】
本作の一番の問題点は、{netabare}3話以前と4話以降のヴァイオレットが別人のように感じてしまうこと。
要するに、『一気に急成長しすぎ』なのである。{/netabare}
この部分が気になるか、ならないかで、評価が分かれると思う。

この点について、私は脳内補完しきれませんでしたのでマイナス評価です。

もう一つの問題点は、{netabare}11話~13話前半のくだり。
ここにきて何故か主人公最強系の「超人少女ヴァイオレットちゃん」的な展開に・・・。{/netabare}
このくだりの必要性が理解できるか否かで、評価が分かれるのではないかと思う。

この点について、私は「必要性が理解できる」として特にマイナス評価はしていません。
それは、{netabare}ヴァイオレットがギルベルトへの思いを言葉にするにあたり、ギルベルトの母との出会いを描く必要があり、ギルベルトの母との出会いを描くには、ディートフリート大佐との和解じみた話も必要となると思うからです。
『もう誰も殺したくないのです』
このあとのヴァイオレットの一連の行動は、大佐の心を動かすのに充分だったと思います。{/netabare}
{netabare}11話の依頼人との出会い方とか、{/netabare}おかしな所も多々ありますけどね(笑)

【音楽について】
この作品ほど、EDが話題になる作品は少ないと思う。
”あにこれ”のレビューでも、EDの話題をよく目にする。
ここも評価の分かれ目になると思う。

個人的に、特にEDが不愉快に感じたのは第2話と第5話。
ED曲自体は問題ないと思うのですが、ED曲の使い方にマイナス評価です。
唐突に始まるので『ドキッ!』としちゃう。
非常にもったいないです。

【以下は、各話レビュー的な「何か」です】(笑)
{netabare}
【第1話】
まあ、京アニですから、作画は全く申し分ないですね。
他の制作会社の作画もクオリティが相当高くなっている昨今、それでも作画で唸らせる京アニクオリティは圧巻です。

物語は、まだまだ掴みの段階でしょうが、名作の予感が更に高まりました。
第1話だけで、思わず泣きそうになってしまった。

良作目白押しの今期の中でも、頭一つ抜きん出ている印象があります。
(第1話の段階で・・・、ですけどネ)
最後まで、しっかりと見届けたいと思わせるような作品です。

【第2話】
ふ~ん。「ヤキソバ」ねぇ・・・。
しかも、箸で食べるんだ・・・。
もしかして、笑う所なのかな?

人の気持ちが理解出ないヴァイオレット。
自動手記人形として、{netabare}間違ってはいないけど、大失敗をしてしまう。{/netabare}

人の言葉の裏を読むのは、難しいからね。
基本的には優秀な彼女だが、彼女にとっては一番難しい仕事。
それでもこの仕事を続けたいヴァイオレット。
『愛してる』の意味を知りたい。
ただそれだけの理由で。

{netabare}ブローチが戻ってきて良かったね!
ホッジンズの郵便社に来てから、初めてじゃないかな?
ヴァイオレットが感情を見せたのは・・・。{/netabare}

ところで・・・、{netabare}茅原さんの歌声が邪魔だと感じたのは{/netabare}私だけですかねぇ?
歌とかはともかく、声が・・・。
普段は彼女の歌、別に嫌いじゃないんだけど・・・。

【第3話】
自動式人形育成学校でも{netabare}相変わらず、優秀なヴァイオレット。
どうしても、人の気持ちが理解できず、報告書のような文章しか代筆出来ない点を除いては・・・。

『良き自動手記人形とは、人が話している言葉の中から、伝えたい本当の心をすくい上げる者』
自動手記人形とは、単なる代筆業ではなく、相手の本当の想いをくみ取り、綴っていく仕事。

ルクリアとの出会いが、彼女を少しだけ成長させた。{/netabare}
なかなかの感動回でした。

【第4話】
アイリスの回。
親の心子知らず、子の心親知らず(?)な話。
で、なにやかんやあって、アイリスとヴァイオレットが仲良くなる話。

{netabare}「少しは理解出来るようになったと思っていたのですが、人の気持ちは、とても複雑で繊細で、誰もが全ての思いを口にするわけではなく、裏腹だったり、嘘をつく場合もあり、正確に把握するのは、私にはとても困難なのです」{/netabare}
{netabare}「『愛してる』は、とても勇気のいる言葉なのですね。受け入れられないとそこにいたくなくなるくらいに・・・。あの時の少佐もそうだったのでしょうか」{/netabare}

ヴァイオレット、{netabare}良い手紙を書けるように{/netabare}なってきた。

しかし、未だにEDが馴染めないのは私だけでしょうか・・・?

【第5話】
良い話だった~!
シャルロッテ姫とアルベルタの話。
血のつながりにも勝る二人の関係が、とても素敵でした。

ヴァイオレットは、本当に良い手紙が書けるようになった。
ところが、この話でヴァイオレットは、{netabare}ほとんど手紙を書かない{/netabare}。
しかしヴァイオレットは、しっかりと依頼に応え、最高の結末を迎える手助けをする。
社長から貰った犬のぬいぐるみが、机の上にきちんと飾られていたのも彼女の成長の証。
ラストの笑顔は本当に可愛かった。
ヴァイオレット、{netabare}14歳{/netabare}ってマジですか?

EDだけが未だに受け入れられない。
『かけがえのない 宝物~♪』の所に、感動的なシーンを被せたいのだろうけど、少々耳障りに感じる。
第2話と同様、歌声が気になって、肝心のセリフが台無しな気がする。

【第6話】
{netabare}天文台に古い本がたくさん集まって、それを書き写すために集められたヴァイオレットたち自動手記人形。
天文台の解読係の人とコンビを組んでのお仕事。{/netabare}
なるほど。自動手記人形にはこういう仕事もあるんですね。
相変わらずポテンシャルの高さを見せるヴァイオレット。

様々な愛の形に触れていくお話なのかな?
今回は、{netabare}「寂しい」という感情を知る{/netabare}ヴァイオレット。

毎回、EDの始まりが心臓に悪い。
もう少し静かに始めるようにした方が良いと思うんだけど・・・。
もしくは、事前にカウントダウンしてくれるとか!(笑)
本音で言えば、CMで流れていた『Violet Snow』の方が作品のイメージにピッタリだと思う。
これだけ評判の悪いEDってどうなんだろう?

【第7話】
妻と娘を失った舞台の脚本家との話。
「いつか、きっと・・・」

脚本家の過去話から、{netabare}ヴァイオレットは、この思いが遂げられなかった時の悲痛な思いを知ることに・・・。
同時にヴァイオレットは、過去の自分が、一体どれだけの人の「いつか、きっと・・・」を奪ったのか、痛感する。

その後、思わぬ形で少佐の死を知ったヴァイオレット。
ヴァイオレット自身も、「いつか、きっと・・・」を奪われた・・・。{/netabare}

本当に上手い展開だと思いました。

ED曲は今回の使い方ならアリかな?
一瞬の暗転で心の準備ができるし。

【第8話】
『ヴァイオレットと少佐の過去編その1』という感じかな?
少佐の優しい人柄は、凄く伝わってきた。
対して、ヴァイオレットの想いが、こちらにうまく伝わってこない。
表情の変化も少ないし、言葉も少ないので仕方がないかも知れないけど・・・。

まあ、今後に期待という事でしょうか?

戦闘シーンは迫力があって良かった。
ところで、ヴァイオレットちゃんは、なんであんなに強いんだ?

【第9話】
サブタイトルが作品のタイトルと同じ。
それだけ、重要な回。
それが相応しい、神回だったと思います。

前半は、前回の続きから{netabare}始まって、ヴァイオレットが両腕を失い、そして少佐との最後の記憶までが描かれる。
ヴァイオレットの左腕がずり落ちる場面は、グロさを抑えつつ、無残さだけはしっかりと伝える、見事な演出だと思った。
{/netabare}
中盤は、{netabare}ヴァイオレットの苦悩と、彼女のことを心配する周囲の人々が描かれる。{/netabare}

そしてヴァイオレットにとって、転機が訪れる。

{netabare}「どれ一つ取ったって、誰かの大切な思いだからな。届かなくていい手紙なんてないんだ」

一つは、手紙を配達している時に耳にした、手紙が届いたことを喜ぶ少年の声。
もう一つは、エリカとアイリスからの手紙。
そして、ルクリアの兄・スペンサーからの代筆依頼。

「手紙を貰うというのは、とても嬉しい事なのだと分かりました」
ヴァイオレットにとって、手紙が『仕事』から『貰うと嬉しい物』に変わった瞬間。
今、自分がしていることは、他人を幸せな気持ちにする仕事であることを知る。{/netabare}

{netabare}スペンサーの代筆を終え、ヴァイオレットは、今まで自動手記人形としてやってきたことの、その後を知る事となる。
一つは、スペンサーが立ち直ったこと。
もう一つは、シャルロッテ姫夫妻の幸せそうな今。
もう一つは、舞台の脚本家の今。{/netabare}

{netabare}「してきたことは消せない」
誰にも過去を消すはできない。
誰にも過去を変えることはできない。

ヴァイオレットにとって、”兵器”としてしてきたこと=『他人を不幸にしてきたこと』も消せない。
そして、その後”自動手記人形”としてしてきたこと=『他人を幸せにしてきたこと』も・・・。

だけど、今を変えることで、未来は変えていける。{/netabare}

↑ネタバレばっかりでごめんなさい^_^;
今回はEDまで含めて、本当に良かった。

しかし、ベネディクトくん。配達の仕事をする人が{netabare}ハイヒール{/netabare}は無いわぁ(笑)

【第10話】
この回は『涙腺崩壊回』とでも命名しましょうか?
この回、涙無しで視聴出来た人、どのくらいいるのでしょうか?

ラストの{netabare}ヴァイオレットの涙は、もはや反則でしょう。
『私・・・、私、お屋敷では泣くのを我慢していました』
見ているこちらは我慢出来ませんでした(笑)

それと、繰り返し視聴時の涙腺崩壊ポイントが、ヴァイオレットを見送った時のアンのセリフ。
『私、あの人が書いた手紙、読んでみたかったな』
「この時のアンの願いが、この先、50年にも渡って叶っていくことになるんだ」って考えたら・・・。{/netabare}

正直、物語の途中で、何となく結末は分かるのですが、それでも泣かせる演出は流石です。

今回のEDも良かったと思います。
{netabare}手紙の朗読に合わせて、静かなイントロから始まって、音量も手紙の朗読を邪魔しない、絶妙な音量。{/netabare}
何故、最初からこれが出来なかったのかな?

【第11話】
ん~?あれあれ?ここにきてこんな話?
9話、10話と大きく盛り上がってきたのに、ここで1回下げる?
(あくまでも個人の感想です)

いえ、『”元”軍人のヴァイオレットちゃんが、戦場に駆けつけて、兵士のために自動手記人形する物語』というのは”アリ”かも知れないけど・・・。

演出というか、展開が強引すぎて、感動してよいやら悪いやらで・・・。
展開が強引な部分を除けば、感動的な話だったと思うのですが・・・。
(まあ、さすがにラストは涙腺が崩壊してしまいましたけどね(笑))

終盤にきてこれでは少々評価が厳しくなっちゃうかな?
ここからの盛り返しに期待したいと思います。

【第12話】
11話に引き続き、「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語・・・。
って、おいおい・・・。

11話、12話と物語の軸がブレてきている気がする。
3話~10話までは、涙腺崩壊系の感動ストーリーの数々。
ところが、11話、12話は、主人公最強系の戦争モノ?

少佐の「愛している」の意味を知りたい話がどういう結末を迎えるのか?
最終話を座して待ちたいと思います(笑)

【第13話】
序盤は引き続き「超人少女ヴァイオレットちゃん」の物語。
う~ん。

中盤は良かったと思う。
少佐の母との対面は、ヴァイオレットの心を少しは軽やかにしたのではないでしょうか?

笑いと感動の終盤は満点でしょう。
そう。これが視聴者が求めていたエンディングですよ!
このエンディングを引き立てるために今までのEDがグズグスだったのか(笑)

{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 187
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

超一級の作画によって紡がれた愛の物語(※追記)

アニメーション制作:京都アニメーション、
監督:石立太一、シリーズ構成:吉田玲子、
キャラクターデザイン:高瀬亜貴子
音楽:Evan Call、原作:暁佳奈

京アニが世界へ発信するために制作した純愛ストーリーの作品。
戦時中に多くの敵兵を殺した心を持たない主人公が、戦後になって代筆業を通して人の気持ちを知るという物語だ。

冬アニメが始まるまでは、この作品に最も期待していたのだが、結論としては期待外れだった。いや、全体の完成度は高く、良いお話として成功する要素は十分にあったと思う。ただ、どうも物語のなかに入っていくことができなかった。
単に私の好みの問題もあるかもしれない。また、1話について何度も見返したわけでもないので、理解不足なところもあるのかもしれない。ただ、何度も見たいとも思えないのだ。

「心を持たない機械のような主人公が愛を知る」なんていう物語は、はっきり言ってありきたりのテーマだ。これまで制作されてきた映画なら『レオン』や『ニキータ』などを持ち出すまでもなく、そこらじゅうに転がっている。それをどのように見せるのかが、いちばんのポイントなのだが、この作品には正直、付いていけなかった。要するにヴァイオレットの心の動きがあまり理解できなかったし、それについて共感できなかったのだと思う。何と言うか各話のつながりや除々に心を開いていく様が見えにくかった。

いや、だからといって、この作品が全くダメかというとそんなことはない。一定のレベルは十分にクリアしているし、良いところはたくさんある。{netabare}例えば10話などは、死期の近い母親が子供にメッセージを残すというベタな話だったが、脚本もしっかり練り込まれていて良かったと思う。{/netabare}また、作画はどの回も安定していて、ヨーロッパ風の街並みなどは、ほかの制作会社では真似のできない圧倒的なクオリティの高さだった。

しかし、全体の構成なのか、段階の踏み方なのか、ドラマなのか、期待値からすると、かなり物足りない印象だった。{netabare}最終回にしても、もう少しやり方があったのではないかと思ってしまう。爆弾の処理や失った手があっという間に直っている(あの手を直そうと思ったら安くても数千万円はかかりそうだ)のは、些細な問題として、後半にもう少し工夫できなかったのだろうか。かなり冗長に感じてしまった。ラストにしても少佐が生きていた、もしくは近い人に会ったことを匂わせたのだろうが、あの終わり方も疑問だ。
やり方によっては、名作になるだけの要素はあったと思うのだが、最終的にはごく平凡な作品として終わってしまったという印象。続編のテロップが出たが(少佐との再会の話になりそう)、{/netabare}この作品の成功は、結構難しいのではないだろうか。まぁ、TV放映すれば見ても良いが、映画館にまで足を運ぼうとは思わない、という作品だった。京アニには別の作品に期待したいと思う。

※ほかの作品とのバランスを考慮して評価を上げました。3.3→3.6(2018年6月26日)

(2019年9月14日追記)
先日、外伝を鑑賞して改めて感じたが、この作品にヴァイオレットの無敵戦闘設定は必要なかったのではないだろうか。作品がやろうとしている方向性を考えると、かえって邪魔になっている。無敵の戦闘能力があって、超絶の美人で頭が良くて感情はないが人に対して優しい。この特徴はヴァイオレットを主役として物語を進めるときに、話を作りにくくしている。ヴァイオレットの目を通して、人々の物語を紡ぐ場合には、腑に落ちる話が多いだけに、勿体なかった気がする。

(2020年9月22日追記)
劇場版の最終作に出かけたあと、OVAのEXTRA EPISODEをようやく観た。もしこれからこの作品を観る人は、4話のあとにEXTRA EPISODEを観ることをお薦めしたい。話がスムーズに感じるし、ヴァイオレットの心の動きをしっかり理解できる。もちろん、それがなくても感動できた人のほうが多いだろうが、とても良いエピソードなので、逃さずに楽しんで欲しい。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 137
ネタバレ

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

愛情が込められた手紙は宝石よりも大切な宝物

この物語は「手紙」に込められた愛情を深く感じる物語です。
とても心が温かくなります。

戦場で両腕を失った孤児のヴァイオレットは、愛してるの意味を知りたくて、自動手記人形サービスの仕事をします。
この職業は、依頼人の話している言葉の中から伝えたい本当の心をすくいあげ、手紙にするものです。

でも、依頼人の話す言葉には建前や虚勢が混ざったりして、本音が隠されている場合もあります。
そのため、人の心を察するのに慣れていないヴァイオレットは、ついつい建前の言葉をそのとおりに手紙に書き、依頼人を怒らせてしまいます。
でも、仲間に助けられ、人の優しさや喜び悲しみを知ることで、少しずつ成長していきます。

たった一人の肉親である兄への感謝の手紙
両親に迷惑をかけたことへのお詫びの手紙
憧れの人へ宛てた、偽らざる想いを込めた手紙
幼い娘の幸せを祈り、逝ってしまう母からの手紙

これらの手紙には、みな愛がこめられています。そしてヴァイオレットの心をはぐくんでゆきます。


手紙は、時間と場所を超えて想いを伝えることができます。
それは、とても素敵なことです。
特に愛情が込められた手紙は、受け取った人にとって、宝石よりも大切な宝物になる場合があります。
さらに、手紙の差出人が既に亡くなられた方だったら、愛情が込められた手紙は、何物にも代えがたい大切なものになるでしょう。


最後に、
この物語(特に第10話)に感動された方は、
ARIA The Animationの第四話「その届かない手紙は…」を見ることを是非お勧めします。

{netabare}
複数の方のレビューで、
ストーリィがご都合主義だとか
機械の手をしている必要があるのかとかの意見があります。
確かにその通りだと思います。

でも、人間で完璧な人は一人もいないと思います。
誰もが長所もあれば欠点もあります。
欠点がある人を排除したら、友達は一人もいなくなります。

私は人と接するときは欠点を非難するのではなく、長所を褒めてあげたいと思っています。

このアニメも、感動し涙を流した回があり、その事実は否定できません。
私はそれを褒めたいと思います。

エンディングに関しても、
確かに失敗した時もあったかもしれません。
でも、第10話のエンディングは、私が今まで見たアニメの中で最高のエンディングでした。
これ以上素晴らしいエンディングは見たことがありません。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 134

93.4 2 美しいで泣けるなアニメランキング2位
宇宙よりも遠い場所(TVアニメ動画)

2018年冬アニメ
★★★★★ 4.2 (2767)
9634人が棚に入れました
いつだってボクらの一歩は好奇心から始まった。
見たことのない風景を、
聞いたことのない音を、
嗅いだことのない香りを、
触れたことのない質感を、
味わったことのない食物を、
そして感じたことのない胸の高鳴りを、
いつの間にか忘れてしまった欠片を、
置き去りにしてきた感動を拾い集める旅。
そこにたどり着いたとき、
ボクたちは何を思うのだろう。
吠える40度、狂う50度、叫ぶ60度、
荒れる海原を超えた先にある原生地域。
地球の天辺にある文明を遠く離れた遥か南の果て。
これは《南極》[宇宙よりも遠い場所]に向かう
4人の女の子たちの旅の物語。
ボクらは彼女たちを通して、
明日を生きるキラメキを思い出す。

声優・キャラクター
水瀬いのり、花澤香菜、井口裕香、早見沙織、能登麻美子、日笠陽子、Lynn、金元寿子、本渡楓、大原さやか
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

会話のテンポやキャラの動きが抜群!

最終話まで視聴しました。
この作品はマジでヤバいです。
軽く死ねます(笑)。

物語として抜群に面白い。
背景は綺麗。
登場人物は表情豊か。
良く動くキャラ。
そして、何と言ってもこの作品の1番の魅力は女子高生4人組のテンポの良い会話。
さすがの豪華声優陣。

こんな作品に出会えるから、アニメは止められない!

OPの曲と画だけで引き込まれる作品。
OPの4人の女子高生の笑顔が眩しい。
OPだけでも思わず泣きそうになってしまう。

見ているだけで心が躍る名作。
未来に語り継ぐべき名作。
誰にでも安心して勧められる名作。

お気に入りの棚へ直行です!

【以下は、各話レビュー的な「何か」です】(笑)
{netabare}
【第1話】
起承転結の「起」としては上々。
一気に物語に引き込まれた。

何かしなきゃと思いつつ、なかなか行動に移せなかった主人公。
立ち上がりは明らかに『けいおん』っぽい印象。
唯ちゃんもこんな感じだったよね。確か・・・。

南極に行くことを夢見ている少女との出会い。
そして、コンビニ店員の少女の意味深な行動。

広島に出発する前、家族にも見付からないようにこっそりと、部屋を綺麗に掃除してから出発するところは感動した。

主人公(玉木マリ)の決意が伝わってくる名シーン。

【第2話】
コンビニ店員の日向(ひなた)が加わり、報瀬(しらせ)のポンコツぶりが明らかになった第2話。

ラストに出てきた少女が4人目のメンバー?

キャラは良く動くし、背景も綺麗。
会話のテンポも抜群。さすが豪華声優陣。
ますます目が離せない作品になってきた。

【第3話】
結月登場。物語が大きく動き出す。

相変わらず、会話のテンポが抜群。
さすが、豪華声優陣!

【第4話】
いよいよ、南極チャレンジの隊員としての訓練が始まる。

相変わらず会話のテンポが抜群。
キャラの動きは軽快だし、表情も豊か!

一つの目標に向かって、一致団結している姿が美しい。

これはきっと、名作になるに違いない!

【第5話】
結月はしっかりプロの仕事を披露。
対して報瀬は再びポンコツぶりを披露。

少し気にはなっていたんだよね・・・。
めぐみちゃん。
キマリの『絶交無効!』はとても良いセリフだと思った。
皆が少しずつ成長していく物語。

【第6話】
相変わらず、良く動く。表情豊か。会話のテンポが抜群。
そして、良く出来た物語。

シンガポールに到着した4人。
何故か、ひなたの様子がおかしい・・・。

ここから始まる『ちょっぴり心温まる』コメディ回。

【第7話】
真顔に戻った香苗のセリフ『3年前、あの時約束したように、あの時のメンバーは全員帰ってきました・・・。』
この時の、メンバー全員の表情が非常に良かった。

本来ならばいるはずの貴子の姿がそこにはない・・・。

そして、報瀬の挨拶。
どこか貴子の面影を残す報瀬の挨拶。
メンバー全員が盛り上がらない訳が無い。

相変わらず表情豊かで会話のテンポが良い。

プロとしての仕事を見せる結月とは対照的な報瀬のポンコツリポート再び!

さあ!いよいよ出発だ!

【第8話】
観測船に乗り込んで、いよいよ出発!

船内でのリアルな日常が笑える。

船酔いで苦しむ4人。思わず心が折れそうになる。
「選択肢はずっとあったよ。でも選んだんだよ、ここを」
「選んだんだよ!自分で!」
キマリの言葉に、初心を思い出し再び奮い立つ4人。
日向「良く言った!」
結月「どこいくんです?」
日向「・・・、トイレ」
しっかりオチ付きで。
こういう所がこの作品の魅力。

【第9話】
この作品は、本当に1話1話が神がかっている。
物語の構成が絶妙だ。
笑いと感動が上手く散りばめられている。

前半はコメディ。
4人に財前、弓子が加わった6人でのテンポの良い会話が笑いを誘う。

中盤~後半は感動的な話が続く。

《吟と報瀬のくだり》
吟が、『報瀬は自分を恨んでいる』と考えるのは当然だろう。
最終的に貴子の捜索終了を決めたのは、隊長であった吟なのだから・・・。
報瀬が、『吟のことを恨んでいるかどうか分からない』のも理解できる(気がする)。
母と吟の繋がりを、小さな頃から見てきたのだから・・・。

《砕氷船のくだり》
南極観測について、日本が諸外国からひどい扱いを受けて・・・。
という話は、以前聞きかじったことがあったけど、アニメとはいえ、映像付きで見せられると迫力がある。
報瀬は、幼い頃、吟からこの話を聞かされていた。
『何度も何度も何度も・・・。諦めかけては踏ん張って進んだの。』
だから、報瀬は諦めずに南極を目指した・・・、という話との繋がりが美しいとさえ思った。

《『ざまぁみろ!』のくだり》
報瀬の『ざまぁみろ!』
今回の観測隊メンバー全員の『ざまぁみろ!』
それぞれの思いが詰まった『ざまぁみろ!』

南極観測で諸外国からひどい扱いを受けた先人たちも、恐らく『ざまぁみろ!』と叫んだであろう。
そんな事まで想像させてくれる、名シーン。

【第10話】
ツボ魔人の回。
んっ?違った!

『友達ってなんだ?』の回。
小さな頃から芸能活動をしていた結月は、友達の作り方が分からない。
そもそも、どうなれば友達なのか?
「私、一度も言われていません。”友達になろう”って」

だから、『友達誓約書』なんておかしな物を作ってしまう。
子供の頃から”契約”の世界にいた弊害だろう。

結月以外の3人も、傍から見ている我々視聴者も、苦楽を共にする中で、彼女たちが『親友になれた』と思っていた。
結月自身には全く悪気も悪意も無いので、キマリが泣いちゃう気持ちもよく分かる。

色々考えさせられる回でした。

【第11話】
日向の過去~心の闇編。

いつも底抜けに明るく、ムードメーカーの日向。
だけど彼女には、ついつい忘れそうになるけど、『高校を中退した』という過去があって・・・。

普通のアニメなら、『仲直り~ほのぼの的』な展開になるだろう。
しかし、この作品は一味違う。
本物の親友達が、親友の気持ちを、痛烈な言葉で代弁する。

いやぁ、凄い回だった。
素晴らしい物語だった。
こういうのを”神回”と呼ぶんだろう。

第1話からの物語の全てがネタ振りになっている、完璧な物語。
第1話から完璧に安定している作画から生まれる、豊かな表情。

この作品はどれだけ笑わせて、どれだけ泣かせてくれるのか・・・。
未来に語り継ぐべき作品となるのは、もはや間違いないでしょう。

【第12話】
ついに報瀬の母が行方不明になった、その場所へ・・・。

まさか、11話に引き続いて12話も神回とは!

確かに報瀬は、南極行きが決まってからも、南極に到着してもずっと、日本にいた時と同様に、普通に過ごしていた。
南極まで来ても、母親の死が実感出来なかったせいかも知れない。

しかし、ここまで積み重ねてきた報瀬の日常が、この日ついに覆される。

そこには、母親の大事なPCがあった。

ロクインPASSは報瀬の誕生日。
母親にとって、報瀬がどれほど大切な存在だったのかが、我々視聴者にも伝わってくる名シーン。

報瀬はメールの送受信を・・・。
すると、この3年間、報瀬が母親宛に送り続けていた大量のメールを受信する。
報瀬が母親の死を実感し、受け入れることが出来た瞬間を描いた名シーン。

【第13話】
神回、感動回の連続のこの作品。
「13話こそ泣かずに視聴しよう」なんて私の思いは、軽々と粉砕していきます(笑)。

最終回なので、EDが特別なのはありがち。
EDのスタッフロールが【藤堂 吟 能登麻美子】から始まる。
「あぁ、特別なEDが始まるんだ!」
否応なしに期待に胸が高鳴る。

キマリの「ここで別れよ」は、とても良かった。
普通なら北海道に帰る(だろう)結月と別れて、報瀬と日向、キマリの3人で帰ることになったはずだ。
しかし、それでは結月のみに”ボッチ感”が出てしまい、我々視聴者にとって、悪い印象が残ってしまう。
それでは、ここまで積み重ねてきた4人の友情物語が台無しになってしまう。
それを避けるための、自然な演出。
お見事です。

日向とキマリがアルバイトをしていたコンビニの張り紙も、とても良かった。
本文中にも、全く手抜きが無く、実にリアル。
『三宅日向 南極に行ってます!』
「コンビニ自慢の看板娘、三宅日向さんが・・・」
「当コンビニは、4人を応援しています!がんばれ!女子高生リポーター!!」
店長の心温まるメッセージ。
11話に登場した、日向の”元”友人達とは違う、本当の愛情が感じられてとても良かった。

ラストのめぐみちゃんマジか!?
北極って!?
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 239
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

NYタイムズ紙が選ぶ2018年ベストTVショー・国際部門に選出(それぞれが一歩踏み出す物語)

女子高生が南極に行くという突拍子もない話を丁寧に描ききった名作。
1話目を初めて見たときから、これは良い作品になるのではないかと感じていたが、その通りに、最初から最後まで夢中にさせてくれる優れた作品だった。

様々な悩みを抱える多感な高校生たちが、何かを変えるために南極を目指すというストーリーが新鮮だったし、ほかにはないオリジナリティをもっている。そして、主人公の4人たちがお互いを思いやり、自分たちの悩みを昇華させていく各話の見せどころがしっかりと描かれており、胸に迫ってくるものがある。

見終わったあとに、自分も何かに挑戦してみたくなる素晴らしい作品だ。
(2018年3月29日初投稿)

(2018年5月17日追記)
{netabare} 100万円の札束を落としたことがきっかけで、それを拾った少女とともに最後はタレントまで巻き込んで、南極行きを成功させる。
これを字面だけ見たら、「そんなことあるわけない」のひと言で終わりだろう。
だいたい携帯で決済ができる時代に札束を持ち歩くことがどれだけ現実離れしているのかは、作り手も十分に承知している。観ている私も「オイオイ」と突っ込みながらも、100万円という現金からつながっていく展開と関係性がとても面白かった。

そして、現実では女子高生は南極に行くことはできない。
ツアーなどで行く方法はあるが、昭和基地に行くためには、南極観測隊の乗組員になるか「しらせ」の同行者になるしかない。同行者は、研究者や新聞記者、教員などの人々で構成されている。これまでの最年少参加者は設営のエンジニアで20歳の男性だという。

しかし、これはそれほど重要な部分ではない。
そもそもこの作品は、「女の子たちが頑張る青春ストーリーがつくりたい」「行ったことのない場所を描いてみたい」というのが出発点。それをいかに「本当のことらしく」「テンポ良く」描いていくのかというのがポイントで、そういう意味では、この作品は十分に成功していると思う。

4人の友情関係に至る部分に説得力がないという意見もあるが、全くそうは思わなかった。友人になるときの描き方は難しいもので、これは本当に人それぞれだと思う。気の合う者同士だと一瞬にして何年も交流があったような深い関係になることもあるし、長い時間をかけて構築していく関係性もある。お互いの性格や、その時に何を欲していて、何を目指しているのかということも影響すると思う。
そういう意味では、4人は自分たちが欠けているものをそれぞれ補って、ひとつのことを共に目指していける絶妙なキャラクター像だと感じた。
報瀬とキマリが仲良くなる描き方はとても腑に落ちたし、結月がほかの3人と一緒なら南極に行くと宣言する話はとても好きだ。3人と結月との関係性の深め方は、私にとっては説得力があった。全体的にコメディタッチの部分とシリアスな部分の匙加減が心地良く、楽しく見せるための工夫がなされていると感じた。

全話を13話で終わらせなければいけないというオリジナルストーリーの関係上、カットしなければいけなかった部分は多々あっただろう。しかし、女子高生が集まって、南極まで行って帰ってくる。しかも、行方不明になった母親への想いを決着させるという大きな問題をはじめ、4人の問題を何らかの形で解決させることをこの話数で完結させたのは、本当に素晴らしいと思う。無駄と思えるシーンはなかったし、やり切っている。

南極のシーンや仕事ぶりをもっと見たかったという意見もあるが、この話は、そこがテーマではない。女子高生たちが自分たちの悩みを昇華させて一歩踏み出すことが最も重要で、それをやるために余計なものは全てカットしている。しかし、もちろん南極についてかなり突っ込んで調べていて、公式サイトをチラッと覗いてみただけでも、この作品のためにどれだけ綿密にしっかりと取材を行ってきたかということを垣間見ることができる。

また「環境汚染をすすんで行っているバカな話だ」という間違った批判は放映直後からあった。赤いシロップで線を引いてソフトボールで遊ぶ最終回のシーンのことだ。これは、実際に観測隊がレジャーで行っていたことを取り上げている。何もない場所なので、どんなことをするにしても面白いイベントにしようとしていたという実際の楽しみ方がよく分かるシーンだ。シロップで氷上に線を引いたところで環境汚染になる可能性は極めて低いそうだ。

しかし、もちろん、試合が終わった後、そのシロップの部分は全て掬い取って、皆でかき氷としていただいたのだという。やはり、少しでも環境に影響を及ぼす可能性があることはやらないように最大限に配慮していることはHPでも紹介されている。研究者たちも赴いている地で、さすがに変なことをやるわけがない。アニメでもそこまで描写していれば良かったのだが、かき氷を食べるのはその前のシーンでも登場しているし、わざわざ再度やる必要もないという判断だろう。

ラストの100万円を置いていくところ、めぐっちゃんが北極に行っているところなどは、驚かせてくれたが、このまとめ方も悪くなかったと思う。特にこの100万円は、始まりであり、終わりでもあったというのは清々しい。現実的には100万円を持って帰るのは当然のことだが、南極に行くためにずっと苦労して貯めたお金がきっかけだったが、それを何とも思わなくなるほど大切なものを得たということだ。そして、再度、南極に来る理由にもなるだろう。
めぐっちゃんのシーンは色々な考え方があるが、めぐっちゃんの性格などを考えたのと、尺の問題だったかなとも思う。あの5話に決着をつけようと思うと、なかなか難しい。苦肉の策だったようにも思えるが、私にとっては大きな問題とは感じなかった。

全体を改めて思い起こしてみると、1話からのテンポ感、どこをどのように時間をとって見せていくのかというバランス感覚が絶妙で、とても完成度が高い作品だと思う。見せるところはしっかり見せ、感動させるところは、じっくりと描き切り、笑って泣ける作品に仕上げた。このストーリーを13話でやり切ったということに敬意を表したい。 {/netabare}

(2018年12月10日追記)
NYタイムズ紙が選ぶ2018年ベストTVショー・国際部門の10本に選出

12月4日のニュースなので、もう知っている人も多いかもしれないが、よりもいがNYタイムズ紙が選ぶ2018年ベストTVショー・国際部門の10本に選出された。これはドラマも含まれた中からというから大したものだと思う。選評の訳文は以下のもの。

日本の南極の研究機関への科学的探検に参加した4人の10代の少女についての、大胆で楽しいアニメシリーズは、かなり特定の視聴者向けの番組に思えるかもしれません。しかし、脚本の花田十輝、監督のいしづかあつこによる『宇宙よりも遠い場所』は、年齢や文化の境界を越えて翻訳されるべき面白く感動的な成長物語です。この作品は、友情がどのように青年期の不安や悲しみを克服できるのかということについての絶対的に本物の描写をしています。

選出された10本には、ヒュー・グラント主演のイギリスの実話ドラマ『英国スキャンダル』や2011年から続くスウェーデン・デンマーク合作の『ザ・ブリッジ』、世界的に評価されているスペイン・ドラマ『ペーパー・ハウス』などの人気作が名を連ねている。全体で600本を超える作品のなかから厳選されたとのことで、アニメは、よりもいだけだ。NYタイムズは世界的に知られる新聞だけに、これをきっかけにより多くの人々に視聴されれば嬉しい。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 181
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

青い空はつながっている

いしづかあつこ監督、構成花田十輝。

高校時代に素敵な想い出を残したいと、
好奇心旺盛なマリは日々を憂いている。
とあることから南極を目指すしらせと出会い、
彼女の熱意に心動かされたマリは、
共に南極を目指すことを誓う。
やがて仲間も集まり4人の女の子の旅が始まる。

想像も出来ない世界に物語は動き始める。
可愛い女の子が元気一杯の作品です。
人気声優を起用し、キャラデザインも良し。

メッセージが徹底していて好感です。
若さとは好奇心と力ですから、
勇気を持って、一歩踏み出すこと、
その一歩が未来に繋がるのでしょう。

コミックリリーフ的なキャラが重なり、
私としては高カロリーなアニメで、
得意な設定ではないのですが、
想いは海を越え、過去を乗り越え、
素敵な風景がそこにあることを期待したい。

最終話視聴追記。
{netabare}本編を事実上、12話で終了させて、
13話は余韻を楽しむかのような構成。
これは見事としか言いようがない。{/netabare}

輝かしい青春がここにあります。
たくさんの素敵な出会いを経験し成長する。

この道はきっと彼方まで続いている。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 137

87.2 3 美しいで泣けるなアニメランキング3位
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (1281)
6323人が棚に入れました
《人間》は規格外の《獣》に蹂躙され、滅びた。たったひとり、数百年の眠りから覚めた青年ヴィレムを除いて。《人間》に代わり《獣》を倒しうるのは、《聖剣》(カリヨン)と、それを扱う妖精兵のみ。戦いののち、《聖剣》は再利用されるが、力を使い果たした妖精兵たちは死んでゆく──。死にゆく定めの少女妖精たちと青年教官の、儚くも輝ける日々。

声優・キャラクター
新井良平、田所あずさ、Machico、上原あかり、荒浪和沙、水瀬いのり、水間友美、久保ユリカ、石見舞菜香、木野日菜、小日向茜、井上喜久子、千葉繁、小杉十郎太、佐藤聡美、井上ほの花、佐藤利奈、麦人

でこぽん さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

スカボローフェアの意味するもの

これは、とても悲しい悲しい物語。
どんなに頑張っても、どんなにあがいても、決して報われない世界を描いています。
ここに登場する子供たちは皆、兵器として戦い死ぬことを義務づけられています。
ヒロインのクトリは、最終話で「私は世界一幸せな女の子」と言ったけど、逆にそれが切なさを感じました。


今現在でも、世界のいくつかの国では、このように報われない世界があります。
若者の輝ける未来が全く見えない国…
そうならないように、私たちは頑張りましょう。


第一話目と最終話で歌われた『スカボローフェア』。
この歌は、市場の活気ある様子とは裏腹に、二度と会えない彼女への切ない想いが語られている美しくも悲しい歌です。
でも、それはあくまでも主旋律の歌についての説明。

実は、この歌には副旋律があるのです。
それは、戦争の悲惨さや残酷さを、はじめは寂しく、そして徐々に荒々しく歌っています。
このアニメでは副旋律は歌われていませんでしたが…

この歌は、およそ半世紀前にサイモン&ガーファンクルが歌い、世界中で愛された歌です。
興味がある方は、サイモン&ガーファンクルのScarborough Fair 詠唱 をぜひ聴いてください。
きっと感動するはずです。
そして、もしよければ、副旋律の日本語訳を読んでいただければと思います。


この歌は、人の心を変え、人の行動を変え、世界を変えました。
この歌と共に全米で大きな反戦運動が湧き起こり、ベトナム戦争が終結したのです。


ごめんなさい。
全然アニメのレビューになっていませんね。
 

投稿 : 2024/05/11
♥ : 53

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ある意味、驚くほど「驚き」はないかも。

超有名タイトルですが、原作のライトノベルは読んでいません。

いわゆる「人類」はヴィレム(主人公)以外滅んでいるらしいのですが、人類以外を含んでいる主人公サイドと敵対している<獣>との線引きがどういう具合になっているのか、ちょっとアニメだけ観ていてもピンときません。

クトリ(ヒロイン)をはじめとする妖精兵は、種族としては黄金妖精(レプラカーン)なんだそうです。「レプラカーン」と言われると真っ先に思い出すのは聖戦士ダンバインに出てくるオーラバトラーですが、もちろんこのレプラカーンは名前の元ネタの方ですね。

ただアイルランドの伝承の小人とは異なり、本作のレプラカーンは人間大の大きさみたいですね。

ストーリーとしては「ヒロインが社会全体のために特攻(自爆死)を強いられる」という悲劇をベースにしているということで完全に泣かせにきています。

さらに、ヒロインをはじめとする妖精兵たちがとても可愛く描かれています。もう完全に狙ってきている感じです。

一応「ヒロインの死を回避できる道を探る」ということで回避できれば悲劇が避けられるということなのでしょうが、その場合もやや「感動の押し売り」の感はあります。
(スレたダメな大人ですみません。)

とても有名な作品なので一応視聴継続はしているのですが、正直あまり期待はしていません。もし全話視聴して、ウッカリ面白かったらそれはもうごめんなさいです。

2017.6.1追記:
前回更新時の否定的な内容に反してこれを書いています。

もう完全に狙ってきている(笑)のに、逆らえない。普通に次回が楽しみになってきました。最終回次第ですけど、負けを認める方向かも…。

2017.6.27追記:
全話視聴完了。結論から言うと、負けずにすみました(笑)。

クトリの「今の私は誰が何と言おうと世界一幸せな女の子だ!」っていうのには、きっと嘘はないんだと思います。意外とちゃんと「戦時メンタル」を描けている作品だとは思うので、良作であることは否定しません。

人生のどこかでこの手の物語には出会っておくべきかとも思いますが、あえて本作じゃなくても良いという気もまたしています。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 52
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終末ヒロインの幸せとは何なのかを探し求めた結末…儚さと切なさを感じる作品

このタイトルを見た瞬間、訳がわからない感情がわき、ひかれました。タイトルで視聴を決めてしまいました。

1話…「私のこと忘れてくれると嬉しいな」
{netabare}ある島で出会う青年と少女。島の外れで遠くの島を眺める。少女はこれが最後みたいなことをいう。
青年は知り合いのゴブリンから軍の仕事を斡旋される。武器倉庫の管理だった。倉庫に向かうと、幼女に襲われる。が、そこに現れたのは島で会った少女だった。少女に導かれた先は大きな屋敷で、青年の知り合いのとおぼしき女性(トロル)と会話する。
青年の名前はヴィレム。なにかしら軍に関係した人物のようだ。そして、明るいのに影がある少女の名前はクトリ。青年にひかれているようだった。
この世界はすでに滅んだあとの世界で、青年は最後の戦いを経験した生き残りらしかった。

冒頭でいきなりクライマックスのシーンが出てきて、最後は…とかなり悲しい始まりでした。兵器=人間ということなのでしょうね。この二人がいい感じで、でも最後は辛い別れが待っている…考えただけで切ない。
作画の感じも良いし、展開も笑いあり、グッと来るようなシーンもあるし、これは毎週待ち遠しいです。{/netabare}

2話…幼女たちに信頼されるには
{netabare}武器倉庫とはいったものの、幼い子供たちの施設になっている状況にいまひとつピンと来ないヴィレム。子供たちは大人の男性に慣れていないため、接し方が分からない。そこでヴィレムはプリンを作って子供たちに食べさせる。その結果、ヴィレムはあっという間に人気者に。
ヴィレムが気になるクトリ。アイセア、ネフレンとの会話で「あと10日」というキーワードが嫌な感じ。
ある日、ボール遊びに夢中になっていた子供の一人が崖から転落。大ケガをしているにも拘らず、平然としていることに戸惑うヴィレム。
ナイグラートに武器庫に案内され、真実を知るヴィレム。子供たちは人間の武器が扱える妖精で、世界の驚異となっている獣たちと戦えること。飾られている聖剣は強力で、自らの命と引き換えに大爆発を起こせるということ。つまり、子供たちは命を落とすことが前提で生きていて、死を恐れていないのだった。しかし、ヴィレムには聖剣に見覚えがあった。聖剣は人間族の真の勇者だけが扱えるもので、ヴィレムにも関わりがあったのだった。
クトリとアイセアが数日消えた。獣たちと戦っていたのだった。迎えたヴィレムは疲れ果てていたクトリを介抱する。クトリは心の準備(死への)ができていたが、なにか違う感情が芽生えていた。

2話で「あと5日の命」という展開…。はじめから死しか選択の余地がない子供たちは…切ない。
クトリと同年代のアイセアとネフレンを置いたのは物語的に締まっていいように感じます。性格もバラバラだし、クトリ一人では重すぎだったので。
ヴィレムにも重い過去があって、ちょっとずつ明らかにしていく感じです。{/netabare}

3話…フラグ立てるな
{netabare}ヴィレムはネフレンに手伝ってもらい妖精たちの戦いの記録を調べた。翌朝、クトリが目を覚ますと、ヴィレムがネフレンと寝ていることに嫉妬(ジト目で)。ヴィレムがクトリに朝の運動と称して戦うことに。聖剣の使い方を伝える。クトリは戸惑うばかり。
戦い終え、ヴィレムが倒れる。ナイグラートに処置してもらい、落ち着く。そしてナイグラートは子供たちにヴィレムのことを話す。ヴィレムは人間族の唯一の生き残りだと。子供たちは驚くどころか、ヴィレムに益々興味を持つのだった。一方で、クトリはヴィレムから受けた戦いかたに混乱していた。空を飛び回り、ライムスキンと会話する。そこでクトリは本音を言い、ライムスキンはクトリに自爆せずに生き残ることも選択と伝える。
帰ってきたクトリにヴィレムは聖剣とは何かを話し、クトリは生き残ることもあることを話し、帰ってきたときの約束をする。そして戦場へ…。

濃い回でした。少しずつ明らかになるヴィレムの過去。そしてクトリの変化する心がなんとも言えません。三人娘が戦場に向かいますが、全員生き残ってほしい…。{/netabare}

4話…待つ者
{netabare}クトリたちが出陣してから半月、その結果は伝わってこない。心配するなか、ティアットが夢を見たという。ナイグラート曰く、一人前の妖精兵になる兆しだという。そこで診療所のある島に向かい、検査を受けるため、ヴィレムに一緒に行ってほしいと頼む。これはヴィレムに気晴らしをさせたいナイグラートの気遣いでもあった。
診療所に向かうヴィレムとティアット。飛行挺の中でヴィレムは夢を見る、それは悲しい夢だった。初めて島を出たティアットは検査を受けるためだと思いながらもウキウキ。ティアットが夢中になっている蜥蜴映画の聖地を巡り、あちこち引っ張り回されて検査に向かう。この検査、実は妖精兵になるための調整だった。これについてはティアットも心得ていて、立派な妖精兵になると言うものの、ヴィレムは「本当に良いのか」と問う。
翌日、雨降るなか、建物の雨漏りを見ていると外が慌ただしい。作戦は失敗したとかなんとか言っている。夢の中の描写と一緒になったヴィレムは焦る。そして情報を聞き出し、本当に失敗だったことを知る。愕然として膝から崩れるヴィレム…。そのとき、聞き覚えのある女の子たちの声が聞こえてきた。振り返るヴィレム、そこには三人娘がいた。ヴィレムは能力で瞬時に三人のもとへ飛び、そしてクトリを抱き締める。

先ずは無事に帰ってきて良かったよ…。ヴィレムがところ構わず抱き締めてしまうシーンはグッときたけど、表情がいまいちな気が…。それと、けっこう大雑把な流れになった気がします。もうちょっと丁寧に、じっくりためてからでも良い気がしました。とはいっても、この流れの話は好きなんですけどね。
今回の作戦が失敗だったということはどうなるんだろう? このあたりは次回明らかになるのかな? あと気になったのは噴水の像。確かOPに出ていたような気がするんだが…。{/netabare}

5話…ヴィレムはなんだかんだで
{netabare}三人娘の戦いの様子が語られる。敵は精神攻撃、予測を超えていた。そのための撤退だった。クトリは調子がいまいちである。
フィラのお願いにライムスキンは応えない。それどころか、ヴィレムに押し付けてしまった。かたくなに断るヴィレムだったが、その考え方は正論だった。フィラといつの間にか観光になっていた。しかし、それを狙う輩が。フィラの父親は市長で、反対派が反乱を起こそうとしていたのだ。そのために娘のフィラを誘拐しようと狙っていた。
ヴィレムはわざと狭い場所へ連れ込み、その一団をのしてしまう。なんだかんだ言いながら優しいのである。
島へ帰る直前、軍の一人に呼び止められる。ヴィレムはその名前を聞いて残らざるを得ないと考え、三人娘とティアットを見送った。

クトリに変化が生じてきた感じです。ヴィレムと離れてしまうことにかなり不安なんですけど…。
ヴィレムが残る理由は次週へ持ち越しですが、ヴィレムの過去が明らかになるのでしょうか。どうも転換点に差し掛かっているようで、目が離せません。{/netabare}

6話…良い最終回…じゃないのね
{netabare}ヴィレムが残った先には大賢者が待っていた。賢者はヴィレムの500年前の知り合い、スウォンだった。スウォンはヴィレムが石化した後も戦い続け、一度死んだが呪いをかけ不老不死になっていた。
ヴィレムはさらに意外な人物と接触する。頭蓋骨姿になっていたヴィレムが倒したイーボンキャンドルだった。スウォンとイーボンキャンドルからヴィレムが空白になっていた500年の話と妖精の話が若干される。二人はさらに核心を隠していた。
一方、クトリは苦しんでいた。何者かに精神が乗っ取られようとしていたのだ。これは生き残った妖精の宿命らしかった。ヴィレムが島へ戻って、クトリの状態を知る。ナイグラートと語らう。そのとき、クトリが目覚ます。クトリは先を考えず、ただただヴィレムに会いたい一心で帰ってきたのだ。

やっととというか、世界観が見えてきたような回でした。淡々と進むけど、もう中盤なんだ…。ヴィレムとスウォンの会話の珍妙なこと…。あの声で少年のような話しぶりは違和感より笑ってしまいましたが。
最後、単純な手法なのに、クトリの一声で涙止まらなくなってしまいました。弱いんだな、こういう展開…。これが最終回でもいいよと思うくらいです。{/netabare}

7話…続くのですね…
{netabare}クトリが目を覚まして数日。クトリには微妙な変化が生まれていた。ナイグラートに調べてもらったところ、反応が変わっているという。聖剣に近づかない方がいいと言われる。
ヴィレムは約束のケーキを作っていた。子供たちも大喜びだが、それはクトリとの約束だったケーキだ。クトリはそれを食べ、帰ってきたことの思いをヴィレムに伝えた。
一方、妖精兵はクトリたちの他にもいたのだ。ラーンとノフト、二人は地上の探索隊に加わっていた。そこに獣が襲ってくるが、ノフトが斬ってしまう。

ラーン、見た目がイカちゃん…。獣は某新マンのツインテールだし、ちょっと気になりました。二人のキャラがどう絡んでいくのでしょうか。ED、あれ?っと思って見比べたら、ちゃんと今回からラーンとノフトが加わっていたのにビックリです。細かい。ということは、一応、この回から後半突入ということになるんでしょうね。
クトリが約束だったケーキを食べることができて本当によかった。此のフラグは折ってほしかっただけに。でも、1話冒頭で赤い髪がクトリであることはバレているし、最後は…なんだろうけど、こういうシーン積み重ねていくと、最後は本当につらそうです。{/netabare}

8話…日常からの
{netabare}上官(とても嫌みな)との会話で地上の偵察隊について話を聞くヴィレム。見せてもらった写真はヴィレムのふるさとで、しかも自分がすんでいた家の跡地だった。
ヴィレムについてきたクトリ。もはやデートである。ヴィレムが地上に降りる話を聞き、クトリも一緒に行くことに言ってきかない。上官はなぜか簡単にOKが。どうやらクトリはヴィレムの愛人と思ったらしい。
夜、流星を見る子供たち。そのうちの一人が転落し、クトリが力を使って助ける。そして、クトリは異常が進行し始めた。

クトリとヴィレムの幸せそうな展開で、そのまま進む…分けがないのがこの作品ですね。最後だけでなく、途中にも先を案じる場面が織り込まれて、不穏でしたし。回数考えると、どんどん鬱展開に入っていきそうです…{/netabare}

9話…終わりの始まり
{netabare}クトリの変化に気づいたアイセア。クトリにアイセアの真実を話す。アイセアから励まされたクトリ、日常を明るく生きる。
ヴィレムはクトリの変化に気づいていた。それでもクトリは前を向くことを決意した。
冬の日の夜、壮行会を兼ねた降雪際パーティー。幸せな時間が過ぎる。そして、ヴィレム、クトリ、ネフレンは地上に向けて出発する。

クトリの一人語りが切なく、重いです。もう戻れないであろう、いるべき場所との別れ。最終回終わって見直すとじわじわ来るような作りなのかもしれません。
時折見せていたアイセアの違和感。その伏線の真実にビックリでした。その発想はなかったです。
とうとう地上に降りました。もう残り話数を考えると地上での話を繋いで1話冒頭の場面に行き着くのでしょうね。{/netabare}

10話…地上の日常
{netabare}地上に降りたヴィレム一向。ラーン、ノフトと出会う。地上の探索隊員から蔑みた目で見られたクトリ。クトリは自分のすべきことを行動で示し、隊員たちから信頼されるようになる。
クトリの脳裏に浮かぶ赤い髪の少女。その少女に立ち向かうこれまた赤い髪の少女。
ヴィレムはクトリのための聖剣を探し出す。そしてノフトの聖剣を手入れしている時に真実にたどり着き、愕然とする。

最後へ向かっての序章という回でした。真実を知ったヴィレム、クトリがクトリでなくなる寸前の状況、二人の着地点はどこにあるのでしょうか…。{/netabare}

11話…クトリの魂
{netabare}ヴィレムの求婚に応えたクトリ。二人は照れあい、普段通りとはいかない。ヴィレムの思い出の家に着いた時、地下から衝撃が。そして落下。
地下は空洞になっていたが、クトリの様子がおかしい。クトリが向かった先には氷付けになっていた子供がいた。セニオリスの呪詛によって閉じ込められたのだった。気を失うクトリ。
そのころ、飛行艇の周りは獣たちに襲われ大ピンチ。ラーンとノフトが抑えているが、二人は覚悟を決めた。気を失っているクトリ。クトリは意識のなかで赤い髪の少女と会話する。その子供は神で、過去に勇者のリーリァの一撃によってこの状態になっていたのだ。そして、クトリの存在が何であるかを知る。
飛行艇を襲いはじめた獣。ネフレンが必死に抑える。そしてヴィレムも戦う。

いよいよラストだな…という感じの回でした。重い、重いなぁ…。
せっかく幸せなろうとしたときに起こるピンチ。まぁ、1話冒頭で分かっていたこととはいえ、あれに繋がるのか…。みんな助かって欲しいけど、どう見ても悲しい感じだもんなぁ…。来週はハンカチ用意しておこう。
いままで謎だったクトリの真相、リーリァのこと、赤い髪の理由、とにかく詰め込んだので一回では掴みきれず、結局三回見てようやく納得。もう少し丁寧に描いてほしかったです。1クールだから仕方ないのかな。{/netabare}

12話…クトリの幸せとは
{netabare}飛行艇が獣たちに襲われる。ラーンもノフトもネフレンも限界に近い。ヴィレムは勇者になりきれなかった勇者。聖剣を使わなくても倒してしまうが、体がもたない。ラーンに自分の過去を話す。
限界を越えようとしていたネフレン。飛行艇から落ちそうになる。ヴィレムは救おうと手を伸ばすが、ネフレンは自ら落ちていく。追って落ちていくヴィレム地上に落ちる瞬間、クトリが救う。クトリはヴィレムを救うために自らを犠牲にしようとしていた。ヴィレムとのこれまでが幸せだったとこを強く思い戦う。そして消えた。
日が経つ。ヴィレムとネフレンの消息は分からない。クトリは消えた。そして青い髪の毛の少女が誕生し、大賢者の探査装置には波紋が二つ広がっていた。

1話冒頭で結末分かってはいたが、辛い結末でした。クトリの「誰がなんと言おうと、世界一幸せな女の子なんだ」はいかん…堪えきれません。その前のネフレン落下シーンですでに堪えきれなかったんですけどね。スカボローフェアはキツいなぁ…無理、堪えるのは無理。アイセアがぼろぼろ泣くシーンは泣き返しです。{/netabare}

今期もっとも期待した作品ではありましたが、一番とはいかなかったかなという感じです。それでも十二分に見ごたえあったと思いますし、良い作品でした。
ラストにきて次々と明らかにされていく真実や世界、頭追い付くのが精一杯で、2、3回見直していました。腑に落ちない点があったので、原作のあらすじを確認しましたが、なるほど、あと3話くらいあっても良い感じだったのですね。
ヴィレムが氷付けになる前の話し、リーリァとの繋がり、そういったものがもうちょっと掘り下げてくれたならもっと面白かったでしょうしょうね。

クトリというヒロイン、本当に良くできたヒロイン像だったと思います。ヴィレムとの出会いから信頼を寄せるまで、好きになっていく過程、自分の真実を知り、それでも前を向いて幸せになろうと進むところも良いです。最後のクトリとヴィレムの掛け合い、さすがにツラかった…。

OPの田所さんの曲、今期一番のお気に入りです。すごく心情に迫る感じがとてもよかったです。EDのTRUEさんはあんていしています。歌詞が書き込まれていたのは今どき珍しい。

二期があるとすると、別のヒロインの物語になるとのこと。クトリの物語が良くできていただけに、どんな話になるんだろう。やっぱり原作は読んだ方が良いのかな。

儚く散ってしまう少女の生きた過程を題材としています。こういった切なくなる話が好きだなという人にお勧めします。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 51

79.6 4 美しいで泣けるなアニメランキング4位
このはな綺譚(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (559)
2409人が棚に入れました
あの世とこの世の間にある宿場町に建つ「此花亭」。
ここは神様に仕える狐っ娘たちが働く温泉宿。
期待と緊張で胸をふくらませ「此花亭」へ奉公にやってきた柚。
個性的な先輩たちに迎えられ、仲居修行が始まりました。
ある日、ちょっと頑張り過ぎてしまった柚は、お客様である薬屋さんを転ばせてしまい、
先輩仲居である皐とともに謝罪へと向かうのですが…。

声優・キャラクター
大野柚布子、秦佐和子、諏訪彩花、久保田梨沙、加隈亜衣、沼倉愛美

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

キャラの見た目に騙されるけど、意外とちゃんと仕事しています!

==[下記は6話目まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。]==
原作マンガ『此花亭奇譚』および『このはな綺譚』は未読です。これを書いている時点では第6話まで視聴済み。

此花亭の「あの世とこの世の間にある宿場町にある温泉宿」という設定が、わかったようなわからないような……、な本作ですが仲居として働いているのは(女の子の姿をした)狐ということで、ケモノ耳と尻尾がついています。

主人公の柚(ゆず)は狐でありながら人間(?:伝承通りなら不死ですけど…)である八百比丘尼(やおびくに)に育てられたため、人間界には他の狐たちよりも詳しいようですが、新人仲居として働いています。

基本的にはカワイイ仲居の狐たちの様子を観ていて和むという感じの作品ですが、仲居たちの間での恋愛(?:でも最初の連載が「コミック百合姫S」だったらしいですし)的な関係性や、接客などを通しての成長の様子を見守る感じの作品でもあります。

各エピソードは基本的に1話完結ですし、各話の中でもキャラクター間の(いわゆる「カップリング」的な意味での)関係は分かりやすく描かれていますので、途中からの視聴でもそんなに置いてきぼり感はないと思います。

各話毎のストーリーは、大別すると主にお客との関係に重きを置いたいわゆる「いい話」系のものか、従業員のみで進行するコメディ的なもの(「百合」的ラブコメ(笑)含む)に分かれると思います。

後者の展開のときには「あんたら仕事してんの?」と思いますが、前者の展開のときには意外とちゃんとした仕事ぶりですね。

作画も良いようですし、普通に面白いですよ。観てて疲れませんし、深夜アニメに癒しを求める向きにはお勧めできます。

あ、入浴シーンはけっこうあります…。
==[6話目まで視聴時のレビュー、ここまで。]==

2017.12.21追記:
全話観終わって思いましたが、これは原作もさることながらシリーズ構成・脚本がとても良い仕事をしていたと思います。

各話に含まれている複数パートであるパートが別パートの伏線になっていたりで全パート合わせてきちんと「1話」を構成していて、素晴らしい脚本になっていました。

さらに話数が進むにつれてのキャラクター同士の親密度なども、きちんと計算された脚本だった思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 57

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

背景の美しさが際立つ、心温まるほのぼの系アニメ

原作未読。最終話まで視聴。

最初は、花咲くいろは+うらら迷路帳的な作品だと思っていた。
『ケモ耳は正義』って人向けの作品かなぁ・・・くらいの印象でした。

その印象は第5話で一掃されました。

前半はお菊ちゃん絡みのコメディ回。お菊ちゃんが面白可愛い。
後半は神作画回。モノトーンの背景に傘の『赤』とアジサイの『青・紫』が、息を飲むほど美しい。

第6話は打って変わって感動回。柚と八百比丘尼の心温まる物語。

『背景の美しさ+コメディ+心温まる物語』のバランスの良さ。
これがこの作品の魅力だと思います。

第8話は物語として完璧すぎる神回。
ラストの展開が見事すぎる・・・。

第10話の紅葉の風景も絶品。

そして感動の最終話。
ラストの所で、少し泣きそうになったじゃないか!(笑)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 57
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

美しいものを美しいと思う、あなたの心が美しい。 by みつを

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
とても美しい作品でした。

それは、映像だったり、風景だったり、音楽だったり、人の心だったり。

自分が観てきたアニメの中で、(設定はちがいますが)一番近い雰囲気がするのは、「ごちうさ」かな? どこまでもピュアピュアで微百合なところがね。

日常系百合萌えアニメとしては、かなり高いクオリティにあると思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
、、、でも、ピュアピュアハートを直視できない私は、心の汚れた大人です(笑)

別に嫌いじゃあないんだけど、そういえば「日常系百合萌えアニメ」って、どハマりはしないな~と。

「ごちうさ」も、「うらら」も、「ひなこのーと」も「きんモザ」も、嫌いじゃないし楽しめたけど、そこまではハマりませんでした。

どちらかと言えば、「ゆるゆり」とか「ゆゆ式」の方が好きですね。つまり、ややギャグよりの方が好みということです。

とはいえ、自分の好みを度外視すると、やっぱりハイクオリティなアニメだったと思います。お気に入りは、櫻、でしたw 和みましたw

本作の特徴としては、主人公の柚がとにかくピュアだということですね。一点の曇りもない、澄み渡った春の空のような柚の視点で物語が紡がれるため、ドロドロとしたものは描かれません。描かれないというか、ドロドロしたものに、柚のエッセッンスが1滴でも加わると、すっと綺麗な物語に変わるんですよね。他の登場人物達も(ゲストキャラ含め)、柚のピュアピュアハートに触れることで自分の中にある「黒いモノ」が、スッととかされていくようでした。

例えるならば、「油汚れの~J○Y♪」のCMのように(油汚れに1滴垂らすと汚れがパッと散るような感じw)。

多分、柚にはいろんな事が美しく見えている、見ようと努めているのでしょうね。

尤もそれは、柚が生まれつきもっていた資質ではなく、実際、幼いときの柚は、「あの人嫌い」「きっとこういう風に(悪く)考えてるんだ」なんて言っています。でも、八百比丘尼に深く愛され、育ったことで、人を愛せる力を身に付けたのでしょう。実際、子供の時に(親などから)深い愛情を受けて育った人は、大人になってからも、しっかり人を愛せるように育つと言いますしね。

やはり、柚の心が綺麗だから、世界は美しく見えるし、そんな本作を楽しめた皆様は、やっぱり心が綺麗なんだと思いますよ♪ (私と違ってw)

、、、ところで、主人公の柚を、「おおきく振りかぶって」の「三橋 廉」に似ていると思ったのは、私だけでしょうか(笑)? 口の形とか、ピュアピュアでカワイイところとかw
{/netabare}

【余談~ 美しい作品、「美」の語源 ~】
{netabare}
「美」は、やはり「美人」「美声」「美化」など、「外形がりっぱできれい。うつくしい」という意味合いで使われます。

しかし、本来の「美」はもともと、「心の有り様、心の美しさ」を表す言葉でした。

「美」を上下に分解すると「羊」と「大」に分けることができます。大きな羊が美しい? というのは、「大きな羊は皆で分け合って食べることができる。その様が美しい」ということです。

誰かのことを考える優しさ。誰かを救い、共に在ろうとする心。それが本来の「美」であり、「美人」。

そう考えると、やはり柚は「美しい人」なんでしょうね。作風にぴったりの漢字です♪

※勿論、語源には諸説あります。
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
萌え&百合系? そこまで好きなジャンルではないかな。絵と音楽はかなり綺麗だね。ロリっぽいキャラデザはあまり好きじゃない。1話で二人のキャラ紹介とか、かなりテンポが早い。主人公の柚は、「おおふり」の「三橋」っぽい(笑)

2話目
例え家が焼けても優雅にw やはり、テンポが早いな~。桜満開から祭の流れは、いくらなんでも早すぎないか? 情緒不安定かw 今のところ、イマイチついていけてない。

3話目
みんな同じことしかできないなら、仲間はいらない。その通り。百合百合してるな~。柚だから気がつかないのもアリだと思ったがw 百合百合してるな~(汗)

4話目
なんかこう、どこまでも素敵なアニメで、逆に、観るのがツラい(苦笑)

5話目
まず、雨粒を機織りするというのがね、なんともこの作品らしいね。

6話目
柚の資質が後天的であることが分かる回だね。

7話目
夏祭り回は鉄板だね~。迷子が逆w ここでこの間の幽霊さんが登場って、素敵♪ 蓮の二面性、深いところのコンプレックスや心の傷は、愛しくなりますね。

8話目
ウソップとカヤみたいだな、ONE PIECEの。ん? なんかこう、人間界の世知辛さと、此花亭の温かさとの対比かな? なるほど~、よく出来た、いや、よく出来すぎた話だな~。劇団ひとりさんの小説、「陰日向に咲く」みたいだな。

9話目
コメディタッチだね。あわなみ? 知らない神様だな。

10話目
柚の成長だね~。ゴシップ好き(笑) お姉ちゃん(笑) なるほど、柊の真実、やっぱり優しい世界だ。

11話目
ハロウィン、ディスってる、イイねw 二人の神様、マツコさんとミッツさんがモデルかな(笑) 人形、女の子の友達ってのは、素敵解釈。お菊、今、初めて遊んでもらってる最中だから、成仏しないんだね。

12話目
自分の為の願いは、自分で叶えるものだから、自分の為以外の願いしか叶えない。なるほど。邪なものの中にある、美しいもの。ウカ様、いなこんw 椿(女将さん)の真実、いいね♪
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 43
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