部活でシリアスなおすすめアニメランキング 14

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの部活でシリアスな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年05月17日の時点で一番の部活でシリアスなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

91.1 1 部活でシリアスなアニメランキング1位
響け! ユーフォニアム(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★★ 4.2 (3122)
13853人が棚に入れました
高校1年生の春。
中学時代に吹奏楽部だった黄前久美子は、クラスメイトの加藤葉月、川島緑輝とともに吹奏楽部の見学に行く。
そこで久美子は、かつての同級生・高坂麗奈の姿を見かける。
葉月と緑輝は吹奏楽部への入部をきめたようだったが、まだ踏み切れない久美子。
思い出すのは、中学の吹奏楽コンクールでの麗奈との出来事だった。

吹奏楽部での活動を通して見つけていく、かけがえのないものたち。
これは、本気でぶつかる少女たちの、青春の物語。

声優・キャラクター
黒沢ともよ、朝井彩加、豊田萌絵、安済知佳、寿美菜子、早見沙織、茅原実里、石谷春貴、津田健次郎、小堀幸、藤村鼓乃美、山岡ゆり、日笠陽子、沼倉愛美、久川綾、櫻井孝宏
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

文句なしに良い作品でした

第3期の製作が発表されましたね!
久美子たちが3年生になった年・・・。
楽しみでしかありませんよね!

-------------------------------------------------

第2期最終話まで視聴後追記。

「学生時代に部活動頑張った!」なんて人には、おすすめのアニメです。
また本作を未視聴の方のために、参考になれば・・・。

本作のジャンルは、『青春群像劇』。
高校の吹奏楽部を舞台とした青春アニメです。
魅力的な部員がたくさん出てきます。
お気に入りの部員さんが見つかると、俄然、視聴が楽しくなります!

以下は、おせっかいな注意書きです。必ずしも見る必要はありません(笑)
{netabare}
◎前半は『鬱展開』が多いけど、我慢!
第1期の前半は、後半~第2期のネタ振り。そのため、前半はかなり『鬱展開』が多いです。
「この作品が嫌い」という方の多くは、この『鬱展開』が合わなかったのかな?と・・・。
私も初見の時は第2話で切りそうになりましたが、我慢して引き続き視聴している内に本作の魅力にハマっていきました。
とにかく「前半は我慢が必要かも?」です。

◎百合展開?
第1期の後半以降は百合展開?と思われる展開になります。
私は「百合」というより「女子同士の友情」だと思いましたが、「この作品が嫌い」という方の多くは、この部分に引っかかったようです。
まあ、どちらにしてもそんなに濃い目の百合の話にはなりませんのでご安心を!{/netabare}

さあ、皆さんも第13話のラストで涙腺崩壊してみませんか!

-------------------------------------------------

原作未読。
作画と演出はさすがの京アニ。
声優陣は若手(だけど実力はある)を主役陣に、他の作品なら主役級のベテランを脇役に配置するなど絶妙。
文句なしに良い作品でした。

{netabare}
主役よりも脇役に感情移入してしまう私としては、一押しは夏紀先輩です。
『夏紀の姿』=『吹奏楽部の雰囲気』
初めは無表情で全くやる気の感じられなかった夏紀の表情が徐々に明るくなり、11話の優子と追っかけっこするシーンなど微笑ましくさえ感じました。

今作のもう一人の主役は香織先輩でしょうか?
せっかくコンクールを前に一致団結していた部員たちが、自分の事を思って分裂し、集中を欠き・・・。
そんな時、滝先生から再オーディションの提案が。
ソロパートを諦めきれない自分の思いと、そんな自分を気遣ってくれる周囲の思い。色々なモノを背負いながら立ち上がったシーンは感動的でした。
3年生の中でも気遣いNo.1の香織は、ソロパートにかける自分の思いのために、そして自分の事を思って分裂し、集中力を欠いてしまった吹奏楽部を一気に立て直すために立ち上がったんだと思っています。
自分だけじゃなく、吹奏楽部のメンバー全員が納得できる形でソロパートを決定できる再オーディションの方法を受けて立ったんだと・・・。

最終話。
滝先生が出発前に話し掛けていた写真の女性は誰?
コンクール会場に姿を見せた少女は?
結果発表を受け大喜びする部員たちとは対照的に一人目を伏せてうつむいたあすかの真意は?

願わくば第2期で明らかにならん事を期待しています!
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 199
ネタバレ

mio♡美桜 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

Come on!Join us‼︎ & Bravo‼︎(余談3追記)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫

原作 - 武田綾乃
監督 - 石原立也
シリーズ構成・脚本 - 花田十輝
キャラクターデザイン - 池田晶子
シリーズ演出 - 山田尚子
美術監督 - 篠原睦雄
色彩設定 - 竹田明代
楽器設定 - 高橋博行
撮影監督 - 高尾一也
音響監督 - 鶴岡陽太
音楽 - 松田彬人
音楽制作協力 - 洗足学園音楽大学
演奏協力 - フレッシュマン・ウインド・アンサンブル
音楽監修 - 大和田雅洋
アニメーション制作 - 京都アニメーション
製作 - 「響け!」製作委員会
放送期間 - 2015年4月 - 6月
話数 - 全13話

(以上Wikipediaより引用)

♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・¤゚♫彡。.:・*゚♫彡。.:・¤゚♫


京都アニメーションの新作「響け!ユーフォニアム」

京都アニメーションならではの美しくて繊細な作画と
その中で生き生きと動くキャラクター達。
吹奏楽の魅力溢れる楽器の質感と演奏描写。
ホール特有の臨場感と緊張感。
そして合奏で生まれるダイナミックな高揚感。

アニメ視聴歴の短い私がこの様な事を言うのは大変おこが
ましいのですが、長年に亘って培ってきた京都アニメーシ
ョンの技術がいかんなく発揮されている印象を受けました。

京都アニメーション製作と聞きますと必然とでも言うの
でしょうかやっぱりその作画力に注目しちゃいます。
何気ない街の信号機の押しボタン、音楽室の備品らしい
楽器の傷や黄昏時の公園の背景、夕日や水銀灯が反射し
キラキラと輝く水面。演奏する時の息遣いや指の動き。
何秒も映らないシーンに対してのこだわりと言うので
しょうか、本当に細やかな描画が凄いと思います。
そしてその様な素晴らしい背景の中でそれぞれのキャラ達
が豊かな表情で丁寧に動いています。

私、京都アニメーションの横顔の描き方、けいおんやたま
ラブのレビューでも書かせて頂きましたが大好きなんです。
額から鼻そして唇、顎のライン、つい吸い込まれる様な瞳の
美しさにこの作品でも心を奪われました。
第1話から制作サイドのこれでもかと言わんばかりの熱意が
伝わってくる作画。
まるで映画かと勘違いしてしまうくらいのレベルを維持
しつつ圧巻の最終話までいきます。
凄いです!
ここまで作画に関して書かせて頂きましたが、是非その
目で実際に堪能して下さい。

次にストーリーなのですがお話としては、とある高校の
吹奏楽部の成長物語をヒューマンドラマを交えながら
描いた、ある意味では部活物の王道的なお話です。
しかし高校生ならではの憂い、葛藤、喜び、そして少し
ばかりの恋心を吹奏楽部の成長と共に全く手抜きの無い
リアルな描写で描ききってます。
そのリアルさに何度も心が震え、学生時代の楽しくて熱く
て切ない記憶が蘇りました。
特に吹奏楽部に対しての描き方は吹部在籍者もしくは
経験者も納得の内容だと思います。
そして1クールという短い時間の中でも出来るだけの楽器
の紹介や演奏、お手入れの仕方、吹部内のパート・編成の
説明、全国コンクールまでの仕組みなどの解説もあります
ので吹奏楽未経験の方でも凄く楽しめるかなと思います。
アイキャッチで毎回違う楽器が登場するので、
あっ、これなんだろ?
って興味を持つのも楽しいかもしれませんね。
尺の都合上十分ではないかもしれませんが吹奏楽未経験者
の方でも楽しめる様な配慮がなされている点が凄く嬉しい
です。

どうしても吹部というのは女子率が高いのでキャッキャ
ウフフ、はたまた女子特有のギスギスした関係等想像
するかと思われますが、体育会系並みの練習のキツさや
辛さ、顧問の先生または部員同士の確執、そして音を奏で
る喜びや音楽を通して築かれていく信頼関係や友情等も描
かれていますので学生時代に何か部活に打ち込まれた
方など特に共感出来る部分も多いのではないでしょうか。

アニメのタイプには非現実的でリアルではありえない事を
私達に擬似体験させてくれる楽しさと現実的でリアルで
あり得る事を共感しながら楽しませてくれる作品がある
と思います。
しかしどちらも同じアニメの醍醐味。
この作品は後者の良さが詰まった素敵なシンフォニーです。
少しばかり女の子同士のファンタジーもありますけれど。

胸を熱くさせるセリフの1つ1つ。
葛藤、友情、愛情、情熱のこもったストーリーを盛り上げ
る声優さんの演技もまた素敵です。
メインキャラを務める声優さんは私的に余り存じ上げ無い
方が多かったのですがその周りを固めるベテラン(年齢は
若いですが実力派の方を含め)の声優さんの演技が光って
ます。
エンドロールでおおっ!この人出てたんだ!ってなるのも
楽しみです。

そんな作画、ストーリー、声優陣のバランスのとれた
作品を盛り上げてくれるのが
OPの「DREAM SOLISTER」、EDの「トゥッティ!」
どちらもブラスバンドを取り入れていて、この作品の楽し
さと音楽を奏でる、みんなで合奏する楽しさが凄く伝わる
素敵な曲だと思います。

特に最終話のEDは…これは内緒ですね。是非!

最近視聴したアニメの中で最初から終盤までここまでの
期待感と緊張感を維持したまま視聴したアニメはなかなか
ありません。
ストーリー的な面白さもありますが、人間関係、心情、
音の対比の表現が素晴らしいと思います。

ボキャブラリーの少ない私には多くは語れません。
是非視聴して下さい。
そして感じて下さい。

とここまでなるべくネタばれ無しで感想を述べてみました
けれど、

上手く伝わるかなぁ…ちょっと不安。

でも、私自身初の5点満点の作品となりました

「響け!ユーフォニアム」

音楽とは聴く者の心を打ち震わせ、繋ぎとめる
世界共通の言語。

しっかりと心に響きました。ガチです!


【主要登場人物・出演者】

黄前久美子 - (CV:黒沢ともよ)
加藤葉月 - (CV:朝井彩加)
川島緑輝 - (CV:豊田萌絵)
高坂麗奈 - (CV:安済知佳)
田中あすか - (CV:寿美菜子)
小笠原晴香 - (CV:早見沙織)
中世古香織 - (CV:茅原実里)
塚本秀一 - (CV:石谷春貴)
後藤卓也 - (CV:津田健次郎)
長瀬梨子 - (CV:小堀幸)
中川夏紀 - (CV:藤村鼓乃美)
吉川優子 - (CV:山岡ゆり)
斎藤 葵 - (CV:日笠陽子)
黄前麻美子 - (CV:沼倉愛美)
松本美知恵 - (CV:久川綾)
滝 昇 - (CV:櫻井孝宏)


【主題歌】

オープニングテーマ
「DREAM SOLISTER」(第2話 - 第12話)
作詞 - 唐沢美帆 / 作曲・編曲 - 加藤裕介 / 歌 - TRUE

エンディングテーマ
「トゥッティ!」(第1話 - 第7話、第9話 - 第12話)
作詞・作曲 - ZAQ / 編曲 - 高田暁 / 歌 - 北宇治カルテット
[黄前久美子(黒沢ともよ)、加藤葉月(朝井彩加)、
川島緑輝(豊田萌絵)、高坂麗奈(安済知佳)]

メモリアルエンディングテーマ
{netabare}
「DREAM SOLISTER (Wind Orchestra Ver.)」
(第13話)
作曲- 加藤裕介 / 編曲 - 松田彬人
{/netabare}


【mio's café】
ここからはネタばれの感想となりますので未視聴の方は…
出来ればご遠慮ください。
それでもという方は…Come on!Join us‼︎

{netabare}
良かった、本当に良かったです。
最初はヒロインらしからぬどこかクールでちょっと
ネガティヴな主人公:黄前久美子ちゃんにこの子この先
どうなるんだろうって不安だったけど、見事に変わって
くれましたね。
周りに良き友人、先輩、先生に囲まれて葛藤しながらも
成長し、本当の自分の気持ちに気付いていく様は見事でし
た。
CV:黒沢ともよさんの演技も普段のクールでグタグタな
低音ボイスから気持ちが高揚した時のちょっと上擦った
感じの声まで凄くメリハリがあって素敵でした。
本当にリアルな女子高生らしさが出ていたと思います。

そんな久美子を序盤で支えたのが超ポジティブ思考の2人
のお友達。
加藤葉月ちゃんと川島緑輝(サファイア)ちゃんでした。
でもこの2人のポジティブさ微妙に違うんですよね。
そのあたりの細かい使い分けも凄く上手だったと思います。
葉月ちゃん演じるCV:朝井彩加さん、
緑ちゃん演じるCV:豊田萌絵さん。
多分初めて名前を見る方だったのですが凄くキャラの魅力
を引き出していて良かったと思います。

久美子と最初にお友達になった加藤葉月ちゃん。
序盤のチューバとの馴れ初めは笑っちゃいました。
こうだと決めたら突進するポジティブ要素の他に以外と
感受性が高くナイーブな感じ。
感動しやすく、お友達の為なら頑張れる女の子。
8話告白シーンでの後ろからのカメラアングルで瞬きする
所、橋の上での緑ちゃんと再開して涙が溢れ出すシーン。
切なかったですね。
逆に9話でヘコむ緑ちゃんを励ます姿が愛おしかったです。

そして川島緑輝ちゃん。
「命かけてます!」
「その言葉待ってました!」
なんと前向きなキャラなんでしょう。
あのちっちゃい体でコンバスってのも良いですね。
後ろは振り向かない前進あるのみの超ポジティブ思考。
事あるたびに久美子にハッパかけてくれます。
そんな緑ちゃんでもさすがに9話ではへこんじゃってちょっ
と心配しちゃった。
8話でのいきなり登場した妹の琥珀ちゃん。
「こりゃ、ヤバいね〜」
葉月ちゃんの言葉そのもの。かなりヤバかったです。

緑ちゃんが背中を押して葉月ちゃんがさりげなくフォロー
する。
タイプの違うポジティブキャラの魅せ方がとても印象に
残ります。

そんな2人に割って入るかの様に久美子の心を虜にした
高坂麗奈ちゃん(CV:安済知佳さん)。
凄いですね。
私の中で「高坂麗奈」という「戦場ヶ原ひたぎ様」に
勝るとも劣らないキャラが誕生しました。
第1話でのあの涙。
凄くわかるんです、あのダメ金の悔しさ。
吹奏楽は一人じゃないからこその悔しさ。
皆んなが1つにならなきゃ取れない代表の座、
だけど一つになっても取れない代表の座。
嬉しさも倍なら悔しさも倍だから…
麗奈の気持ち凄くわかるんです。
リアルですね。
(私が現役の時はダメ金という言葉が凄く嫌いでした。
あの評価方法自体今思い出しても酷だと思います。)

私がこの作品を見始めて凄く興味があったのが、いかに
して金に届くまでの吹部に育っていくのかという事と
第1話で訪れた久美子と麗奈の関係がいかに変わっていく
のかという事でした。
第5話が吹部としての大きなきな転換点、そして第8話が
久美子と麗奈の関係の大きな転換点だったと思います。
作画の美麗さに音楽が優しく重なり、私までなんだか
幻想的な夏の夜の夢を見ているようでした。
背後の夜景が透けて見える白いワンピース。
久美子の顔をなぞる麗奈の白くて細い指先。
「特別になる…」
ユーフォニアムとトランペットでの2重奏。
その曲名も

「愛を見つけた場所」…

背景、音楽、キャラのあまりの美しくしさに背筋が
ゾクゾク。
最後のEDまでドキドキしてました。
近年の京都アニメーションの中でも突出した出来だと
思います。
負い目を感じて後ろ向きだった久美子が麗奈の強くて
真っ直ぐな気持ちの虜になった第8話。
好きな人の為なら全てを敵に回しても構わないという覚悟
の第11話。
この2話に共通していた事が好きな人の為なら死をも厭わな
いという気持ち。
高校生にはちょっとオーバーとか百合展開とか思われる方
もいらっしゃるかと思いますが、私にはそう感じませんで
した。
憧れや人を尊び好きになる気持ちは男女の壁を越えたそう
いう物だから。
人生にそう何度もない出会いが高校生の久美子に訪れた
だけだと思います。

そして麗奈と同じ目線に立てた第12話への大きな導火線
だったと。

「悔しい…悔しくて、死にそう…」

第1話での麗奈と同じ言葉を発した久美子のシーンには
見ているこっちまで心が張り裂けそうでした。
自然と涙が溢れました。
久美子が駆け出すシーンからの作画は圧巻です。
この12話での作画に関してちょっと興味深いツイートが
ありましたので。
以前京都アニメーションでアニメーターとして活躍してま
した斎藤敦史さん(現在はフリーとしてSAO、アルドノア・
ゼロ、ガリレイドンナ等のメインアニメーターとして活躍
中)のツイートなんですが、ちょっと引用させて頂きます。

「ユーフォニアム12話、ちょろっとだけ観たけど
どうやったらこんなクオリティになるのか意味が
分からない。無理〜。
演出がどのぐらい手を入れてたのか気になる。」

凄いですね、プロで同業者しかも元京アニの方が見ても
この感想です。

やはり京都アニメーション、凄いです。

メインキャラとモブ的なキャラの区別がつかないくらい
それぞれのキャラが魅力を発揮するのも京都アニメーショ
ンの作品の特徴の一つ。
今回も沢山の魅力的なキャラがいましたね。
当初から私が注目していたのが
低音パートリーダー田中あすか先輩(CV:寿美菜子さん)
新任顧問の滝昇先生(CV:櫻井孝宏さん)
の2人でした。

最初はあすか先輩の弾けたキャラに魅了され(寿美菜子さん
の演技もまたぴったりです)ていたのですが、お話が進むに
つれて見え隠れする過去と影。
リーダーとしての資質を持ちながらみんなとは一線を画す
あすか先輩の本心というのがとても気になりました。

新任顧問として赴任してきた滝昇先生。
私的にはもう何と言っても櫻井孝宏さんの演技が大好きです。
櫻井さんの顔が滝先生になるくらい素敵でした。
クールで優しい仕草で語りかける言葉の中にある熱い
情熱。
時には残酷ともとれる指導方法をとりますが、大事な所
での言葉はさすがです。

色んな言葉がありましたが最終話でのチューニングルーム
からみんなを送り出す時の言葉は最高でした。

「では皆さん行きましょう、全国に」

これで頑張れないわけがありません。
演奏始まる前から私のアドレナリンが噴出しちゃいました。
吹奏楽に対する情熱と生徒への信頼が感じられる素敵な
先生です。
あんまり言うと麗奈に怒られますね。

でも最終話が終わってもあすか先輩と滝先生2人の中にある
過去というか事情みたいなのが一番引っかかりました。
2期あれば明らかになるといいな。

中世古香織先輩(CV:茅原実里さん)は何と言っても10.11
話での再オーディションのお話が胸に残りましたね。
周りをそして自分を納得させ気持ちよくコンクールに向か
えるように敢えての再オーディション。
最終話での麗奈のソロパートを聴くマリア様のような表情
が全てを物語っていました。

小笠原晴香先輩(CV:早見沙織さん)もいろんな葛藤があり
ましたけれど、お話が進むにつれての成長がとても良かった
です。早見沙織さんの独特の鼻にかかったような声が私的に
は高ポイントでした。

一人一人あげていくと大変なレビューになりそうなので
最後にこの人だけはというキャラを。
中川夏紀先輩(CV:藤村鼓乃美さん)です。
私的に最大のダークホースって言い方はおかしいかもしれ
ないけれど、お話が進むにつれて一番魅力的になりました。
ポニテ先輩最強です!
最初の頃はこの先輩なんだかなぁ〜って感じだったんです
けれど、自身の過去の辛い思い出や久美子のトラウマを
取り払い、再オーディションの時も関係修復の為に影で
支えていましたね。
優子ちゃんとの微妙な関係も凄く好きです。
屈託のない笑顔でコンクールに出場するみんなを支える
姿に癒されました。
最終話では感動する葉月ちゃんの肩にそっと手を回す
シーンに思わず涙。
やっぱポニテ先輩最強!そういえば最終話はポニテ祭りで
したね。
私も翌日、久しぶりにポニテしちゃいました。
影響されやすいタイプなので…

もうキャラ紹介だけのなんだかなレビューになっちゃい
そうですけど、それだけ魅力に溢れたキャラがいる作品
という事かな。

最初から最後まで右肩上がりで楽しめた当作品。
中でも特に好きだったのは第5話、第8話、第11話、
第12話、第13話でした。

私の視聴したアニメの最高評価は4.9というのが何作品か
あるのですがあと0.1点というのが今までの壁でした。
凄く面白かった、感動した、泣いたそれでも充分なんです
がこの作品を視聴してその0.1というのがわかりました。

「心が震える」

これが0.1点の答えでした。

最終話でこの答えが出るかどうか、緊張のスタートです。

コンクール当日の朝、いきなり画面から伝わる緊張感。
目覚ましより早く起きてる久美子がまずリアル過ぎま
した。
静かな朝だからこピリピリ張り詰めた空気感という
のが伝わります。
そしてお姉ちゃんとの微妙な感じ…
そんな空気を麗奈との肘の小突きあいで飛んでけぇ〜って
麗奈も緊張してるんでしょうね、ついほっこりほぐしてく
れました。
現在の私のアドレナリン充填率70%

淡々と準備が進みみんなの表情もどこか硬い…
そんな緊張をほぐすかのようにチーム「もなか」からの
プレゼント。
サブメンバーの屈託のない笑顔に癒されます。
またもやほっこり。
小笠原部長とあすか先輩の掛け声でいざ出陣!
それにしても滝先生のタキシード姿、滝シードでした。
かっこいい♡
私のアドレナリン充填率80%

会場に到着してますます高まる緊張感。
もう私までリアルで見ているかのような気持ちの高まり。
あのホール独特の匂いまで再生されました。

館内で流れるアナウンス、チューニングルームでの音合わ
せであたふたする様子、音に共鳴するペットボトルの水。
凄くリアル。
現在、私のアドレナリンの充填率90%

招集がかかりいよいよです。
そして滝先生の言葉

「では皆さん行きましょう、全国に」

先生と生徒の気持ちが一つになった瞬間でした。
私のアドレナリン充填率100% 一気に噴出…
心が震えました。
そうです、最後の0.1点がきたんです。
しかしこれは序章、「心の震え」第1波です。

緊張の演奏開始。もう合奏を楽しむよりも祈るような
気持ちです。
ライトに反射する細かいダスト。
引きと寄りのカメラワーク。
みんなの気持ちのこもった表情。
「全国に行くんだ」
セリフと共に映し出される久美子の表情。
獲物を狙う野獣のような表情に「心の震え」第2波が
来ました。
凄い、この子達…

譜面に書かれたメッセージ、
「絶対金賞‼︎来年一緒に吹くぞ‼︎」中川
「絶対絶対ゼッタイぜったい‼︎全国‼︎」加藤はづき
「久美子ちゃん。次は火星まで手を伸ばしましょう!
行きますよ‼︎」みどり
「全国、行こうね」麗奈
胸が熱くなります。

いよいよ麗奈のソロパート。あの伸びやかな演奏の始まり
私も緊張MAX…
でもその演奏を聴く香織先輩の表情に「心の震え」第3波が
来ました。
色々あったけど今彼女達は演奏を楽しんでるんだ。
充実しているんだ、良かった…

演奏も終盤、みんなの演奏にも力が入ります。
滝先生も渾身の指揮。
フィニッシュ。涙が溢れました…
みんな凄く良かった、本当に…

いよいよ各賞の発表。
この緊張感、凄いです。
湧き上がる歓声と悲鳴、凄いどこまでリアルなんでしょう
みんなの表情に「心の震え」第4波。

最大の関門、代表校発表。
そうですね、言葉は入りません。表情だけで充分です。
素敵な演出に「心の震え」第5波。

もう私、鼻水まで出てきちゃいました…
どうしてくれるんでしょうか…

言葉では言い尽くせない、感じて欲しい作品です。
素敵な演奏、素敵なドラマを見せてくれてありがとう。
彼女達と京都アニメーションに感謝しています。

最後の集合写真、
屈託のない笑顔の滝先生が印象的でした。

あっ最後に一つだけ、立派な音響設備があれば別ですが
最終話だけはヘッドホンかイヤホンで視聴して欲しいです。
是非‼︎



〜凄く余談〜吹奏楽コンクール〜
{netabare}
この作品を通じて吹奏楽に興味を持たれた方がいましたら
是非、近くの地区大会、支部大会等のコンクールに足を
運んで欲しいです。
7,8月に都道府県、8,9月に支部(関西、九州とか)、11月に
全国というスケジュールで毎年行われます。
日にちをずらして小、中、高、大、般という様にだいたい
行われますが、高校生以上の金を狙う方々の演奏の迫力や
美しさたるもの凄まじいものがあります。

そんな中で私が凄く思うのが小学生の部の演奏を聴いて
欲しい事です。
まだ吹奏楽を生で聴いた事が無いという方がいらっしゃい
ましたら、是非近くのホールに騙されたと思って足を運ん
で欲しいです。
小学生と侮る事なかれ、今の子供達のレベル凄いです。
どんなに小編成のバンドでも心に響くものがあります。
子供達の演奏する圧倒的な音楽を体で感じて欲しいです。
是非!

凄く余談でごめんなさい。
{/netabare}

〜凄く余談2〜リアルユーフォ二アム〜
{netabare}
ご存知の方も多いかと思いますが、昨年吹奏楽界に激震が
走りました。
何が激震なのかというと九州吹奏楽コンクールで長崎代表
の活水中・高等学校が全国コンクールの切符を手にしたん
です。
いゃ〜おめでたいではないですかぁ。
そうなんです。おめでたいんです。

ってそこではなくて、何が凄いかと言いますと、
この活水中・高等学校は九州ではほぼ無名、長崎県大会で
も好成績を残した実績も無く一昨年まで部員不足でコンク
ール出場すらままならない学校だったんです。

そんな学校に昨年の4月に革命が起きました。

九州を代表する吹奏楽の超名門校「精華女子高等学校」
を35年間指導されてきた藤重佳久先生が精華女子高等学校
の定年退職を期に長崎・活水学院の教授に就任。
大学での音楽講義、中・高等学校、大学の吹奏楽部の音楽
監督を兼任する事になりました。

音楽特に吹奏楽は指導者で大きく変わると言います。
私も実際にその様な学校はこれまで幾つも見てきています。

「わかりやすく楽しく、目標を共有する」という指導論を
軸に1980年頃からの創部間もない精華女子を指導し全日本
吹奏楽コンクールには過去19回出場、平成26年には8回
連続・通算10回目の金賞を獲得。マーチングに至っては出
場した15回全てにおいて金賞というまさに吹奏楽界のレジ
ェンド。

就任5カ月での全国出場。
地区大会1回戦負けの常連校がまさかの甲子園という感じで
しょうか?
もちろんこの5カ月の間色々な意識改革、厳しい練習があっ
たと思います。先生を慕って転校してきたり入学して来た
生徒もいるかもしれません。
私立の学校なので施設や楽器にお金をかけたかもしれませ
ん。

でも楽器がいいから、設備がいいから、いい生徒が集まる
からでいい音楽は奏でられないのが吹奏楽なんです。

無名の学校を短期間にここまで成長させハーモニーを作り
上げるのは並大抵の事では無いと思います。
これから毎年藤重先生の指導を受けたいという生徒が全国
から活水学院に殺到するかもしれませんね。

昨年の全日本吹奏楽コンクールは銅賞でしたが、精華女子
高等学校で一つの音楽を作り上げ、活水中・高等学校でまた
新たなる音楽を作り上げようとする藤重先生。

いつか九州吹奏楽コンクール鹿児島開催の時、新しい藤重
先生の音楽聴いてみたいです。
これから楽しみがです♬
{/netabare}

〜凄く余談3〜劇場版公開前に7回目の視聴〜
{netabare}
うん!
何回見てもこんなに心が熱くなれる作品、
やっぱりユーフォです。
何でだろう…
「DREAM SOLISTER」を聴いてるだけで胸が熱くなり
涙が溢れてくる…

やっぱり私にとっては最高の出逢い。

何回見ても感謝の言葉しかありません。

原作・武田綾乃さん、制作・京都アニメーションさん、
「響け!」製作委員会の方々。
制作に関わった数多くのスタッフ、キャストの皆さん。

劇場でまた北宇治吹部のみんなに逢えるのが楽しみです。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 199

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

意欲作(2016.11.2修正: 演奏は第二のアフレコ)

ストーリーについては既に多数コメントがあると思うので違う観点で。

本作は吹奏楽部のお話なので演奏シーンが多い。下手だった演奏が上手くなっていく過程とか、キャラクター毎の演奏技術の差みたいなものを「演奏自体で表現する」というある意味前代未聞レベルのことをやっている。

単に「主人公はあるいはライバルは天才演奏家」みたいな話ではないのがミソで、いわば楽器演奏が声優の台詞とほぼ同等のポジションといえる。
(2016.11.2追補: 劇場版BDのスタッフコメンタリーで、音楽プロデューサーの斎藤氏がまさにこのことについて話していた。あ、厳密には演奏を先に録るからプレスコですが。)

Blu-ray収録のメーキングなどを見ても場面毎に必要な演奏を収録しているし、作画の面でも楽器のピストンや運指が変にならないようにかなり注意していると思われる。

ロボット物の「メカ作監」にあたる「楽器作監」がいたり、吹奏楽自体を描くとすると本作以上の体制であたることはとても難しいだろう。「京アニだからやろうとしたし、できた」と言えるかもしれないが、後世の作品は本作続編も含めてと比べられると考えると、「大変なものを作ってしまったなあ」というのが正直な感想である。

2016.06.26追記:
そういえば本作では「画面が青枠で囲われていたら、実際に起きた出来事ではなく誰かの頭の中での想像上の出来事」という演出ルールがあって、これが徹頭徹尾キッチリ守られていたのが面白いと思いました。なんと、BD/DVD特典OVAの中でさえこのルールは守られていたりします。

逆に過去の回想であっても、作中世界の出来事であれば色調を変えたりはありますがこの青枠がつかない。これ、アニメの演出として意外と良かったんじゃないでしょうか。

…でも、あにこれのレビューだけでなくネット上で感想とかを読んでいてもこれを指摘した人はいませんね。みんな気づいてますよね?

2016.6.29追記: tvkでの再放送を告知するためタイトル変更
他の局はわかりません、すみません。← 再放送は終わってしまったのでタイトルから削除

2017.3.13追記:
2016年の1期目分に続き2期目分も総集編劇場版公開が決定とのこと。祝!

2017.8.25追記: NHK BSプレミアムでの再放送を告知するためタイトル変更
NHKBSプレミアムにて「響け!ユーフォニアム」の放送が決定しました!

【放送局】
NHKBSプレミアム
【放送日時】
本放送:10月1日より(日)前7:30~7:54(全14回)
再放送:10月6日より(金)後11:45~前0:09

2017.8.26追記:
地上波放送されなかったBD&DVD 7巻収録「かけだすモナカ」も第14話として放送されるようです。

2017.12.19追記:
いよいよBSプレミアムでの放送も12/24が最終回です。その直後に続けて番外編「かけだすモナカ」を放送ですね。

2018.1.17追記:
とっくにNHK BSプレミアムでの再放送は終了していましたが放置していましたので、レビュータイトルから再放送告知を削除しました。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 178

77.8 2 部活でシリアスなアニメランキング2位
結城友奈は勇者である(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.7 (1407)
6886人が棚に入れました
神世紀300年───
始まる”勇者部”活動!?
結城友奈は中学2年生。毎日学校へと通い、たくさんの友達に囲まれながら授業を受けたり、部活動をしたり、遊んだりと、平穏に過ごしている。その生活スケジュールは、どこにでもいるごくふつうの女の子。
だがたった1つ、他の子たちとは決定的に違う部分があった。

それは彼女の所属している部活が”勇者部”だということ。部長・犬吠埼風を中心にした活動の内容は謎に包まれておりバーテックスという不思議な存在が関係しているという。神世紀300年。西暦とは年号の異なった世界で、友奈たち”勇者部”の活動が始まる!

声優・キャラクター
照井春佳、内山夕実、黒沢ともよ、三森すずこ
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「まどマギ」の皮を被った「ラストサムライ」ないし「神風・・・」モチーフの力作 【ネタバレ絶対回避】 

※制作情報等を追加(2018/12/4)

前半はエヴァ・まどマギといった「セカイ系」名作の二次創作的な印象が濃かった本作ですが、後半、次第に「桜」をモチーフとした独自の魅力を増していき、迎えた最終回、放送当時「まどマギ反逆」レベルの大揺れ、賛否両論噴出の末に、本作を「是」とする声が優勢に。

※重大な注意
成分タグ第1位が「予想外」となっているとおり、本作は絶対にこれ以上のネタバレ回避で視聴すべきです。
ここまで読んだ方は、速やかにこのページを閉じて視聴態勢に入った方が賢明です。

本作に描かれたテーマないし結末に関して、個々の視聴者が最終的にこれを「是」とするにせよ「非」とするにせよ、激しく困惑し心揺さぶられること必至の、《2014年最大の問題作》なのは確かだと思います。

※以下は、本作3周目以降の鑑賞時の感想です。
(初見および2周目時点での感想は、本レビュー末尾に保存)
======================================
◆3周目にあたっての能書き  - “全裸待機”と、“割り切れない想い”

彼(か)の「魔法少女まどか☆マギカ」をTV放送当時は敬遠してしまい、放送終了後の滅茶苦茶な高評価に釣られてようやく一気観した自分にとって、本作こそは、ネットスラングでいう “全裸待機” (※ちょっと品のない言葉で恐縮ですが、「身を清め正座してコトが始まるのを待ち侘びる」というほどの意味です)をリアル・タイムで経験した初めてのTVアニメとなりました。
というより、本作の放送当時、ネットに飛び交う“全裸待機”という言葉を見て、初めてその意味を知ったわけですが(笑)。

何が言いたいのかというと、本作は、第8話放送以降~最終第12話まで、それほどまでに、「次回の放送内容が気になって仕方がない」作品だった、ということです。
それは、別に私一人の感じ方ではなくて、私と全く同じ期待を繰り返し漏らしていた方々が、本作の放送当時、ネットに確かに沢山おられたのでした。

そして、そのような膨れ上がった期待を背景に、とうとう放送された最終回(第12話)、放送終了後に飛び交った困惑と怒号。
「最後の最後に大コケした」「茶番だ」「失望した」という声が大きく、また実際、私自身も本ページ末尾(初見時のレビュー)に記したとおり、残念ながらラストは期待外れの展開になってしまった、とする感想を持ちました。

しかし、そう思いながらも、尚割り切れぬ気持ちで観た2周目(正確には、それまで第1~9話までは毎週のように繰り返し視聴していたので、第10~12話だけを本作放送終了後に2回目視聴したのですが)、これも本ページ末尾(2回目視聴時のレビュー)に書いていますが、今度は、「確かに最終回の展開の都合の良さは気になるけれども、意外とこの終わり方で良かったのではないか?」という感想に変わってしまい、そうした自分の気持ちの変化に気づいて二度ビックリ。

その後は、同時期の放送でまだ見終えてない作品が幾つもあったこと、さらに新年からの放送(2015年1-3月期)に、かなり気になる作品が幾つかあったこともあり、本作について“後ろ髪を引かれる想い”で最近まで来てしまいました。
そして今回、ようやく本作をじっくり再視聴する機会を得て、改めて色々と考察し、この“想い”を整理して、感想をまとめてみました。

◆制作情報
{netabare}
原作           Project 2H
企画・原案       タカヒロ
監督           岸誠二
シリーズ構成      上江洲誠
脚本           上江洲誠、タカヒロ、村田治
キャラクターデザイン BUNBUN(原案)、酒井孝裕
音楽           岡部啓一、MONACA
アニメーション制作  Studio五組{/netabare}


◆各話タイトル&評価(※3周目以降)

各話タイトルは全て花言葉となっており、うち半分は{netabare}勇者部の5人と乃木さん(先輩勇者){/netabare}の変身後の紋花のものです。

※本作は【起-承-転-結】ではなく、【序-破-急】(導入-変調-加速)の3パート構成と見るとしっくりきます。

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

==================== 結城友奈は勇者である (2014年9-12月) ====================

------ 【序】(導入) {netabare}勇者部の使命が語られる{/netabare} --------------------
{netabare}
第1話  乙女の真心      [コスモス]  ★★ 勇者部4人回(とくに友奈) *OPなし,ED「ホシトハナ」
第2話  ろうたけたる思い  [菊] ★ 勇者部4人回(とくに東郷さん) *OP「ホシトハナ」,ED「Aurora Days」(勇者部4人)
第3話  風格ある振る舞い  [牡丹]  ☆  夏凜登場回 *OP「同上(※以下省略)」ED「同上(※以下省略)」(勇者部5人)
第4話  輝く心         [カタバミ] (※風先輩の花) ☆  樹ちゃん回 *ED「祈り」(樹ソロ)
第5話  困難に打ち勝つ   [サザンカ] ★★  全員回(戦闘回) *ED(勇者部5人){/netabare}

------ 【破】(変調) {netabare}勇者システムの真実が語られる{/netabare} ---------------
{netabare}
第6話  明日に期待して   [ラベンダー] ☆  全員回(病院回) *ED(勇者部5人)
第7話  牧歌的な喜び    [黄スミレ] ☆  全員回(水着・温泉回) *ED(勇者部5人)
第8話  神の祝福       [青バラ] (※乃木さんの花) ★★★ 乃木さん回 *ED(勇者部5人){/netabare}

------ 【急】(加速) {netabare}真実を知った後の勇者たちの覚悟が試される{/netabare} ----
{netabare}
第9話  心の痛みを判る人  [アマドコロ] (※樹ちゃんの花) × 風先輩回 *ED「祈り」(樹ソロ)
第10話  愛情の絆       [朝顔] (※東郷さんの花)  × 東郷さん回 *ED(東郷さんソロ-2番歌詞ア・カペラ)
第11話  情熱          [ヤマツツジ] (※夏凛の花) ★★ 夏凜回 ED(友奈ソロ)
第12話  貴方に微笑む    [ヤマザクラ] (※友奈の花) ★★ 友奈回(※注釈) *ED(勇者部5人-合唱){/netabare}
-------------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)4、★(良回)1、☆(並回)4、×(疑問回)2 個人評価 ★★ 4.7

※注釈:最終話(第12話)は、1~3周目それぞれで、受ける印象が大きく異なりました。
(作品内容の理解のレベルが上がるにつれて評価が、×(失敗回)→☆(並評価)→★★(ダブル高評価)、と大きく上昇)


◆総評
{netabare}
(1) これは初見時から変わらない感想ですが、第1話~第8話までの流れ(【序】~【破】へと至る流れ)は、ほぼ完璧だと思います。
・それほどまでに第8話で明かされる勇者システムの真実は、私には衝撃的かつ、それまでの流れから説得力の高いものでした(この回を★★★(トリプル高評価)とした理由)。
(2) これに対して、【急】の始まりを告げる第9話(風先輩の反逆未遂回)、そして大波乱の幕開けとなる第10話(東郷さんの反逆実行回)は、私個人としては、やはりどれだけ考えても、風先輩・東郷さん両名がそれぞれ大赦・神樹への反逆を決意するに至る心情推移に、余り説得力を感じられない・納得のいかない回となりました(この両回を×(疑問回)とした理由。また本作の総合評価を、今回4.4→4.7と引き上げたにも係わらず尚若干マイナスとした理由)
・ただし、この両回をそれぞれ非常に高評価する方々が沢山おられることも分かっています(そこは個人個人の感じ方の違いということなのでしょう)。
(3) 第11話(夏凜が大見得を切り連続満開する回)は、私が本作に期待したもの(※短く満開したのち潔く散る「桜」のイメージ(後述))に一番近い内容だったので、★★(ダブル高評価)としました。
(4) 一番評価が変わったのは、今回も最終第12話で、初見時は×(失敗回)評価だったものが、2回目視聴時の☆(並評価)を経て、ヒロイン友奈を始めとする勇者部の少女たちに強く感情移入してしまった今回は、★★(ダブル高評価)に二階級特進!してしまいました。
(5) 以上から、総じて本作は、過酷な運命に見舞われる勇者部の少女たちに対する感情移入の効果が非常に大きい作品、繰り返し視聴することによってそうした効果がさらに増大してしまい、彼女たちへの「共感」がストーリー展開の粗をも覆い隠すに至る作品、と評することが出来ると思います。
{/netabare}

※以上まで、本作に関する「感想」でした。
※以降は、本作の「分析」に入ります。

◆本作の2つのモチーフ(制作動機)

※これは、はっきりしていると思います。すなわち、

①「まどマギ」のモチーフ
{netabare}
 ※本作が「魔法少女まどか☆マギカ」の達成を大きな制作動機とし、その設定やストーリー展開を参照しながら、そのalternative(代替物、別ヴァージョン)としての達成を目指したことは、誰が指摘するともなく明らかでしょう。
 ※しかし、本作は他の類似企画された諸作品のような「まどマギの二番煎じ」「劣化まどマギ」には留まらない、独自の明確かつ強烈なモチーフを持っていました。それは・・・{/netabare}

②「桜」のモチーフ
{netabare}
 ※ないし「ラスト・サムライ」「神風・・・」のモチーフとでもいうべきか。
 ※本作の本当の魅力(でなければ困惑、あるいは人によっては嫌悪の種)はここにあると言ってよい、と考えます。
 ※なお、「ラスト・サムライ」というのは、トム・クルーズ&渡辺謙が主演し小雪がヒロイン役を助演した2004年上映のハリウッド映画で、“花は桜木、人は武士”と言い慣わされたように、桜のように美しく咲き誇った後、短く散り行くサムライたちの矜持(きょうじ=誇り)を描いた作品です。
 ※「神風・・・」のイメージは、「ラスト・サムライ」のイメージとも通底しますが、何といっても本作OP「ホシトハナ」の曲調と歌詞から、そして、OPの最後の4人ないし5人の少女たちの満面の笑顔の止め絵(→出撃直前の特攻隊員たちの満面の笑顔の写真を連想させる)から、どうにも否定しようもなく湧き出てくるものであり、それは第8話で明かされる“散華(「供養のために華を散らす」という意味の仏教用語から転じて「若年の兵士の戦死」の婉曲表現として戦時中に使用された)”という用語によって補強されます。
 ※この点に関しては、私個人の飛躍したイメージではないか?という意見もあるかと思いますが、以下に示すように、本作の放送当時から幾つもの掲示板やサイトで語り合われていたことであり、私としても初見時のレビューでは慎重に言及を回避していた事項なのですが、本作に対してきちんと正面から向き合おうと思うならば、やはり回避できない本質的な指摘であると考えます。
 ※以下、長文の引用になります。興味関心のある方のみ閲覧して下さい。
{netabare}
☆引用元:http://yaraon.blog109.fc2.com/blog-entry-29067.html
--------------------------------------------------
名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 20:53

間違いなく秋のトップ作品
こんなに化けると誰が予想しただろうか? そしてGF()がこんなに酷い事になるなんて・・・

やっぱオリジナル作品は当たりはずれが悲惨だけど、こうやって素晴らしいものがでてくるから楽しいんだよね
そして日本アニメの底力を見た、これはいくら作画力が高くなっても、中韓には作れない

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 22:15

まどかは初見で、「りりかSOS」とか「ジャンヌ」とか、あるいは18禁ゲーの系譜に属する、お約束を「逆手」にとるタイプの魔法少女ものの王道だと思ったけど、ゆゆゆは、もう少し今の時代の政治的な心象を扱ってる感じがある。東郷さんの存在がそう思わせるのかもしれん。
なので、大変おもしろいが少しなまぐさい・・・・。

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 22:25

ゆゆゆは、特攻隊や桜花や回天のオマージュだよな、逃れようのない運命をどう受け入れるか、がテーマなんだよ

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月22日 23:08

171、173
まさにそのへんだよなあ。
善意で身を捧げる行為の正当性を問うという意味では、まどマギもそうだけど、あれは「公」か「私」かという論議に収束していったから。

ゆゆゆは結構あからさまに「国防」がテーマで、彼女たちは「徴兵」されたすえの「傷痍軍人」で、最後は「軍神」にまつりあげられるわけだから。で真実を知って転向したニヒリスト兼アナーキスト(東郷さん)が出てくるとw。
顔の見えない国って信用おけるの? 外敵との闘いは結局システムの要請で、愛国心や正義心や守る思いを叶えるための代償は誰も補填してくれないよ、と最近のシンプルな国家主義に釘をさす一方で、「隠されていた真実」や国家の不正を知った瞬間に、全てを破壊する方向に舵を切り、自らの本末転倒に気づかないありようのバカバカしさ(まさに左翼・革命主義者の典型)をも描くという意図は、感じずにはいられないよね。

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 02:38

>>171
こんなスレで書くのも場違いだが、東郷さんの満開は空母だからな
それに載って敵を倒しに行った桜の花ときたら友奈のイメージは桜花しかない

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 02:47

>185
やっぱり社会的に攻めの姿勢がある作品は必要だな。時々滑った作品も出てくるけど

この作品はまどかの発展系としては非常にいいと思う。ゆゆゆが出てきたことで初めてまどかは時代を作った作品を名乗る資格を得たと言える。他から参照されて初めて時代を作ったと言えるようになる。(これまではパロディばかりで内容的な参照は皆無だった)

後に続く作品が凡作ばかりだとまどかの地位も下落する。逆に後に続く作品が優秀だと
元になったまどかの地位も高くなる。(弟子が優秀だと師匠の鼻も高くなる)

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 02:56

204
こういう事いうやつに限って まどマギとセーラームーンの類似性を指摘すると逆上するw

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:08

そもそも、まどマギは既存魔法少女モノのカウンターなのに類似性とかドヤ顔で語られてもな。

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:17

206
魔法少女ものの正統な血縁関係なんでまどかは、そりゃ、セーラームーンからも多くを引き継いでいるさ

ただし、まどかが引き継がなかった要素がなんのかも重要な点、そこが今時の時代の要請であり、まどかのオリジナリティでもある。

例えば、タキシード仮面とか(まどか本人には憧れの男の子がいない)生まれ変わりとか ちびうさとか

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:30

208
勿論、同じ部分もある
まどかが神になって魔法少女という生き方を肯定する部分とか

一方、ゆゆゆだとその自己犠牲を払って神に祭られるシステムそのものを問題にしている。
(ほむらの場合、まどかに個人として普通に生きて欲しいと言っているだけで東郷さんのようにシステムにテロを仕掛けようとしているのではない)良い発展形だと思う

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:35

207
横だけど、ゆゆゆに限っては、「まどマギ」を明快に意識してそのヴァリエーションを提示してるわけで、作り手もむしろ比較されていいと思ってるだろうから、類似性を語っても構わない気はするかも。真正面から類似ジャンルにオリジナルで敢えて挑んでるのって、「幻影ヲカケル太陽」以来だし。

もちろん「似てるからダメ」って論調はどうしようもないけどね。「似てる」って言われても、スタッフも苦笑するだろ……いわゆる「そんなこと、ロバでもわかる」てやつだからw

名前:名無しさん 投稿日:2014年12月23日 03:41

210の続きだけど、似ていても別の料理として楽しめるように、ゆゆゆは手を尽くしてるとは思うんだよね。

当初、作品の傾向を隠してたまどマギに対して、ジャンル自体を隠してみせたゆゆゆ、
洋風の動物・グッズ系モンスターに対して和風の植物・無機物系モンスター、
死と魔女化の恐怖に対して、不死性と欠損がもたらす悲劇の強調、
内的に発生する脅威を摘み取るまどマギと、外界からの脅威に立ち向かうゆゆゆ。
ループ者だけが記憶のあるまどマギに対して、ループ者だけが記憶がないゆゆゆってのもそう。
そして、そこに国家と兵士という新しい問題意識が加わってる。
--------------------------------------------------{/netabare}
{/netabare}

 ◇《まとめ》
※以上の2つのモチーフ(制作動機)から、本作は、
 {netabare}
 ①まどマギのモチーフ(=外見的・表面的モチーフ)を、巧みに偽装しながら、実際には、
 ②桜のモチーフ(=内面的・心情的モチーフ)を、強烈に視聴者に訴えかけ、彼らの心に揺さぶりをかけることを意図した、稀有の作品
{/netabare}
・・・と要約できると考えます。
  (※逆にいうと、②の点に共鳴できない方は、本作にはほとんど共鳴できないことになります)


◆本作のテーマ(主題)

※これも、はっきりしています。本作のテーマは、ズバリ、
{netabare}
「勇者の本分(本質)を問うこと」{/netabare}

※そして、その解答も明確に提示されています。即ち、
{netabare}
「結城友奈は勇者である」
(=彼女の在り方こそが真の勇者の在り方である){/netabare}

※ここで、勇者部の5人の少女たちを詳しく見ていくと、それぞれ勇者となる動機が違っていることに気づきます。
{netabare}
①風先輩=バーテックスの犠牲となった両親の仇(かたき)を討ちたい
②樹ちゃん=大好きな姉と同じ道を並んで共に歩みたい
③東郷さん=東郷家の先祖たちのように自分も国防に励みたい
④夏凜=正真正銘の勇者(完成型勇者)に成りたい
⑤友奈=人の為になることを勇んで行うこと、それが勇者の使命だから、私は勇者になる{/netabare}

※このうち、
{netabare}①風先輩は、<1>勇者システムの過酷な真実に直面し、さらに<2>最愛の妹の夢の実現が不可能であるという事実に絶望して、また
③東郷さんは、<1>に加えて、<3>世界の絶望的な状況を認識し、さらに<4>自己の記憶喪失という過去に絶望して、
それぞれ勇者システムの元締めである大赦と神樹様への反逆を決意してしまいますが、
⑤友奈(=勇者適正が最高の真の勇者)の阻止によって、辛うじて勇者の本分を取り戻します。

※なお、②樹ちゃんは、①風先輩が勇者の本分を取り戻すための重要な契機を、また、
④夏凜は、⑤友奈が勇者の本分を忘れかけた一番危なかった一瞬に彼女にそれを取り戻すための唯一の契機を、それぞれ提供しています。{/netabare}

※こうした、{netabare}⑤友奈(=真の勇者)の在り方{/netabare}自体も、本作最終話(第12話)ラストで、詳しく開示されています。すなわち、
{netabare}
 (1) 演劇シーン手前の東郷さんのナレーション

「勇者は自分が挫けないことが、皆を励ますのだと信じていました。」
「そして皆がいるから、皆を信じているから、自分は負けないのだと。」

 (2) 演劇シーンでの風(魔王役)と友奈(勇者役)の会話

魔王「ガハハハハハハァ。結局、世界は厭なことだらけだろう。辛いことだらけだろう。お前も、見て見ぬ振りをして、堕落してしまうがいい!」
勇者「厭だ。」
魔王「足掻くな!現実の冷たさに、凍えろ。」
勇者「そんなの、気持ちの持ちようだ。」
魔王「何?」
勇者「大切だと思えば友達になれる。互いを思えば、何倍でも強くなれる。無限に根性が湧いてくる。」
「世界には、嫌なことも、悲しいことも、自分だけではどうにもならないことも、沢山ある。 だけど、大好きな人がいれば挫けるわけがない。あきらめるわけがない。大好きな人がいるのだから、何度でも立ち上がる!」
「だから、勇者は絶対、負けないんだ!」

 (3) 会場から湧き起こる拍手の中での友奈の独白

「そう、何だって乗り越えられるんだ。大好きな皆と一緒なら。」
{/netabare}

※こうした、⑤ヒロイン友奈の信条・姿勢については、シニカルな批判も当然可能であり、これを現実には全く通用しないファンタステックで不快な妄念と否認する方も多いと思います。

※それは、もう個々人の価値観の問題としか言いようがないのですが、私としては、殊(こと)に初見時は別段そうでもなかったにも係わらず、3周目の視聴時に、とうとうと言うべきか、ようやくと言うべきか、こうした本作のラストシーンに、図らずしも《{netabare}まるで本作に描かれた観客席の生徒たちのように、友奈たちに拍手を贈りたい気持ちになっている自分{/netabare}》を発見して、ちょっと戸惑いながらも、嬉しい気持ちになったことを、ここに報告して、このレビューを閉めたいと思います。



======================================
※以下は、2014年10-12月のTV放送当時(1周目および2周目)の感想・レビューです。
(上記よりもまとまりのない長文です。保存用)

{netabare}
(レビュー・タイトル)
《最終話=超微妙だが、「まどマギ」に挑んだ勇気は高評価したいセカイ系【ネタバレ絶対回避】》

エヴァ・まどマギを、直ちに連想させる紛(まご)うことなき「セカイ系」。
陳腐な恋愛要素はゼロであり、期待外れのWIXOSSよりずっと面白い。
最終話タイトル「貴方に微笑む」(花言葉=山桜)から、主人公=結城友奈=による、
悲劇的で残酷な世界から少女達を救済する「勇者」の乾坤一擲の決断を推測するが果たして?

====================================================
★第2話まで視聴時点(2014.10.18)

可愛い女子中学生が勇者ごっこする緩い話かと思いきや、いきなり緊急事態発生!

{netabare}
ああこれは使徒襲来だな。
使徒が神樹にたどり着けば世界の終わり。
使徒を倒せるのは選ばれた勇者である君たち4人だけ。

使徒の体はダメージを負っても自動修復するので、まず封印してコアを露出させ、これを破壊するしか奴等を倒す方法はない。
で、この封印がたった40秒のタイムリミット付きで、コア破壊できないと勇者の活動限界とか(笑)
{/netabare}

何か期待したいような、したくないような(笑)
頑張って欲しい作品です。

====================================================
★第5話まで視聴時点(2014.11.7)

ここでストーリーとしては一段落した感じ?(まだ7話残っているけど)。
先が読めない展開は、なかなか良いと思う。

それにしても、制作側だってわざと、まどマギやエヴァを意識させる作品作りをしているんだし、今までに明らかになった神樹様や使徒(Vertex)の設定のほかにも、勇者たちの言葉づかいなどから、まだまだ何か面白いものがこの作品には隠されているように感じるのだけれど・・・

もっとも、こうした期待感は今まで幾つかの作品で裏切られてきたので、この作品も結局は大外れのまま最終回を迎える確率がずっと高いとは思うのだが。

まあいい。
この作品については最後まで見届けることにしよう。

====================================================
★第8話まで視聴時点(2014.11.28)

とうとう鬱コースに突入してしまったね。
{netabare}魔法少女システムならぬ勇者システムか。{/netabare}
結城友奈はこの悲劇的な仕組みを打ち壊せるのだろうか?

しかし{netabare}散華(さんげ){/netabare}って・・・
作品中に使用される言葉が幾分不謹慎な気もするのだけど。
杞憂でなければよいが。

ガッカリしてしまう結末にならないことを祈る。
(←調べたら、岸誠二監督って「蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-」の監督も務めた方だったんですね。ならまず大丈夫だろう。良かった。)

※追記
このアニメの考察(色んなブログや2chあたり)が結構面白い。
東郷さんが記憶を取り戻したら、えええーーーってなりそう。
しかし東郷さんに乃木さんって・・・思わせぶりな名前は止めて欲しいぜ。

====================================================
★第9話まで視聴時点(2014.12.05)

{netabare}
さすがに勇者部部員の一部に動揺が出ている。
今回は小規模な波乱で済んだが・・・次回は大波乱必至。
この第9話は、今までになく演出が乱れていたのは残念。
制作側もキツキツなのだろうか?
{/netabare}

====================================================
★第10話まで視聴時点(2014.12.13)

{netabare}
1クール12話構成の作品で、ラスト手前の第10話にキーパーソンの過去回想&舞台設定の種明かしを入れるのは定石だが、これは流石に・・・。
個人的には、物語のスケールを大きくするよりも、勇者であることの本質を掘り下げる方向に進んで欲しかったのだけど。
第9話までは相当良い感じに評価していましたが、期待値を上げ過ぎていたのか、ここで微妙な感じに思ってしまった。
それでも残り2話で綺麗にまとめてくれれば文句有りませんが。
{/netabare}

====================================================
★第11話まで視聴時点(2014.12.21)

{netabare}
この回の主役・三好夏凜の精霊ヨシテルの決まり文句「諸行無常」や悲壮なOPから、『平家物語』や『ラスト・サムライ』のような散り行く者達の矜持を高らかに謳いあげる作品になると期待していたし、確かにそういう描写もあるのだけれど、作品全体が必ずしもそうしたコンセプトで統一されているわけではないんだね。
特に東郷さんの心の動きのブレ方は説得力が余り無くて残念な感じです。

なお、最終話タイトルが「君に微笑む」から「貴方に微笑む」に変更になった模様。
いずれにせよラスト回では、真打ち勇者の雄姿を存分に描き切って欲しいです。
{/netabare}

====================================================
★第12(最終)話まで視聴時点(2014.12.27)

まさに制作側も、とうとう力尽きたような支離滅裂な畳み方で、もの凄く惜しい結末でした。

アニメーション制作会社のstudio五組さんには2012年夏の『織田信奈の野望』に続いて本作でも実に素晴らしい作画・演出技術を見せてもらったし、一人一人のキャラを例外なく好感度高く描く技量も本当に大したものだと思うのですが、作品全体のシナリオ構成にどうしてももう一工夫足りなくて「名作」にあと一歩届かなかった感じですね。

岸監督には、2013年秋の『蒼き鋼のアルペジオ-アルス・ノヴァ-』に続いて今回も見応えのある作品を送り出してもらい、すっかりファンになってしまいましたが、こちらもどうしても最後の詰めが甘くて作品全体の印象が陳腐化してしまったように感じてしまいました。
「アルペジオ」は続編映画の制作が決まりましたが、こちらは余程円盤かゲームが売れない限り無理っぽい感じかな。

企画原案=タカヒロ氏の、敢えて「まどマギ」に挑んだ蛮勇は高く賞讃したいと思います。
ラストは駄目駄目だったけどね。
『幻影ヲ駆ケル太陽』に続いて「まどマギ」への果敢な挑戦者は今回も手酷い敗北を喫した感じなのですが、こういう挑戦者が出て来てこそ次の進歩があるはずで、特に今回は、富士山への登山に譬えれば七・八合目まではたどり着いて山頂が微かに見えて来たくらいのインパクトはあったと思うので、そこからのズリ落ち様がまさに全力を使い果たして不恰好なものになってしまっていても、個人的には暖かく見てあげたいと思う。

むしろ重要なのは、今回の敗北の原因とその克服方法の検討でしょう。
第1話からもう一度視聴し直して、確りした全体評価をしたい作品です。

====================================================
★各種メモ書き

【各話タイトル&評価】

各話のタイトルが、花言葉になっているようです。
最終話は桜のイメージから友奈がメインになる感じです。

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×が付いている話は脚本に疑問を感じた失敗回
?は内容が微妙で現時点で評価保留の回

{netabare}
第1話10/16  乙女の真心   コスモス  ★ 全員(とくに友奈)
第2話10/16  ろうたけたる思い   菊  ★ 全員(とくに美森)
第3話10/23  風格ある振る舞い   牡丹  ☆ (夏凜)
第4話10/30  輝く心        オキザリス ☆  (樹)
第5話11/06  困難に打ち勝つ    山茶花 ★★ 全員(とくに友奈・美森)
第6話11/13  明日に期待して    ラベンダー ☆ 全員(とくに友奈・美森)
第7話11/20  牧歌的な喜び     黄スミレ(犬吠埼風) ☆
第8話11/27  神の祝福       青バラ(乃木園子) ★★★ 
第9話12/04  心の痛みを判る人   アマドコロ(犬吠埼樹) ☆ 
第10話12/11  愛情の絆      朝顔(東郷美森)  ☆
第11話12/18  情熱        ヤマツツジ(三好夏凛) ★
第12話12/25  貴方に微笑む    ヤマザクラ(結城友奈) ×(1回目視聴時)→☆(2回目視聴時)
{/netabare}

●op「ホシトハナ」

作詞:中村彼方
作曲:岡部啓一
歌唱:讃州中学勇者部
歌詞
{netabare}
サカラバ サア(※盛らば、さあ)

<1番>
静けき森の中 いま目覚めた花たちよ
この世に何を思い 何を感じてる

ああ 真実ほど人を魅了するものはないけど
ああ 真実ほど人に残酷なものもないのだろう

咲き誇れ(咲き誇れ) 想いのままに
この瞬間(この瞬間) 全てを賭けて
無限の星すらも霞むように
勇気 心に溢れ
(いかなる)いかなる時も生きて

<2番>
花びらひとひらに 情熱宿しはじめた
瞬くその瞳 何を映してる

ああ 土に埋めた小さな種 密やかに割れて
ああ 芽を出したらやがて空と向かい合っていくのだろう

輝けよ(輝けよ) 眩いほどに
一瞬に(一瞬に) 思いを込めて
その願いが世界を導く
カラダに力満ちて
(ヒカリを)ヒカリまとって走れ

<3番>
咲き誇れ 想いのままに
この瞬間 全てを賭けて
無限の星すらも霞むように
勇気 心に溢れ

輝けよ(輝けよ) 眩いほどに
一瞬に(一瞬に) 思いを込めて
その願いが世界を導く
カラダに力満ちて
(ヒカリを)ヒカリまとって走れ

サカラバ サア
{/netabare}

※これ、物凄く悲壮な曲である。第8話を視聴した後だと特にそう思う。
今後の展開次第だけど、個人的に好きな曲になるかも知れない。


●「まどマギ」との違い

一番大きいのは、

(1)まどマギの魔法少女たちが、「最高の素質」を持つ鹿目まどかを除いて割と一般人っぽい人達だったのに対して、
(2)この作品の少女たちは、{netabare}予め「勇者」適正値が高い者達として組織によって選抜されていること{/netabare}。

つまり全員が、大なり小なり事前に{netabare}「勇者となって戦う覚悟」が出来ている=まどかタイプの少女{/netabare}であること、ではないか。
それが、どういう結末をもたらすのか。

特に、一番「勇者」適正値の高い主人公=結城友奈が、ギリギリの状況でどういう決断を下すのか、が見所になると予想します。



※12/27追記
{netabare}
上を書いた時点では、この作品は、第11話の感想にも指摘したように映画『ラスト・サムライ』(トム・クルーズや渡辺謙が出演した2004年のハリウッド映画)のような、散り行く者達の矜持(きょうじ=誇り)を描く作品、すなわち、

(1)『まどマギ』がキリスト教の《聖書》をモチーフとして理知的に魔法少女達の「救済」を描いた作品とするならば、
(2)より日本的に、勇者達の《短く咲き誇ったのち散り行く桜花》の哀しさを抒情的に謳いあげる作品

になるのでは・・・と予想していたのですが、その後のストーリーは、こうした"勇者"であることの証(あかし)をヒロイン達が確りと問い詰めていく方向には踏み込まず、逆に第10話以降やたらと話のスケールを大きくしてしまい、収拾がつかなくなってご都合主義もいいところの完結になってしまった感じです。

それが、この作品の深みが最後の数話で一気に薄くなってしまったように私が感じた原因かも知れません。{/netabare}

●最終話を2回視聴して

※上は最終話を初めて視聴した時の感想ですが、その後ラスト3話を2回目視聴した後の率直な感想として追記します。

今度はストーリーが分かっているので、安心して細かいところまで確認しながら視聴しているんですね。
それで、ちょっと自分でもビックリしたのは、初回はあれだけ違和感が強かった{netabare}唐突でご都合主義的なHAPPY END{/netabare}について、意外にこれで良かったのかも?と何気に思い始めている自分に気づいたことです。
確かに最終話のストーリーは、{netabare}いくら私でも弁護するのが困難に感じるほどに支離滅裂に見えてしまうのですが、でも、これまで頑張ってきた勇者部の5人があのまま救われないで{/netabare}エンドを迎えるのは、ファン心理としてはやはり辛いんですね。

だから、すごく甘々ですが、もしかしたらこの作品は、もうこのエンドで良かったのかも?{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 142
ネタバレ

ホワイトマウス さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

えっ?これって勇者の物語じゃなかったの?どうして涙が止まらないの?

この作品、大みそかに見終わって、お正月中はしばらく呆然としていました。

最初見たときはこの作品は男性向けだなあ、という感想。
企画・原案はタカヒロ。それと、ちょっとだけ気になったのは岸誠二監督、シリーズ構成が上江洲誠さんのコンビだったこと。お二人は蒼き鋼のアルペジオでもいっしょでした。この時点でこの作品がこんなに混沌とすることを予想しておけばよかったんですけど。

前半は、新しい形の勇者ものだなあ、みんな楽天的で勇者部のみんなで仲良くしていこう、そんなメッセージが満載。神様もメールできるんだぁ、みんな自然だなぁ、普通のドラマかなあ、そんな感じでした。そんな中で、「一人でいるとつい暗いことを考えてしまう。みんなと一緒にいるとそれを忘れることができる」というセリフ、名言かも。

中盤に入ると、 {netabare}勇者システムという残酷なシステム、戦いで満開と散華を繰り返すことによる体の機能欠損、そして後半はバーテックスの正体が明るみになって目が離せなくなってしまいました。乃木園子ちゃんが東郷さんにこの世界の真実を告げ、東郷さんが真実を知ったときの衝撃。{/netabare}

私、こんなアニメを見ていたの?これって何なの?どうして涙が出るの??

{netabare}
犬吠埼風ちゃんと樹ちゃんの姉妹愛、もう大泣きでした。妹の樹ちゃんが初めて夢を持って努力して、でもバーテックスの戦いで夢が絶対にかなえることができないことを風ちゃんが知ってしまうシーン、私、こらえることができなかった。

最終回について、あにこれで低評価されている方もいらっしゃいます。これって、某作品のようなラスト、例えば友奈ちゃんが意識を戻らないような最終回を望まれているのかなあと想像しちゃうんですけどどうなんでしょう。
私は、終わり方が悲劇的だったり、はっきりしない作品は好きじゃない。だから「結城友奈は勇者である」の最終回はハッピーエンドで、本当に良かった。友奈ちゃんの復活の説明不足もあったけど、でも、私はとっても素敵な最終回だったと思います。

作品について、映像もきれい、音響も奥行きがあって良かったと思います。CVでは乃木園子ちゃん役の花澤香奈さん、東郷さん役の三森すずこさん、そして風ちゃん役の内山夕実さんがとても素敵でした。
音楽、とっても繊細で壮大。姉妹愛は繊細に、この世界の真実の曲はモーツァルトのレクイエムを髣髴させます。作曲は岡部啓一、MONACAで、岡部さん代表の音楽制作クリエイター集団。龍ヶ嬢七々々の埋蔵金やサーバント×サービスなど作曲しているようです(wikiに詳しく書かれています)
{/netabare}

時代背景が日本神話をエッセンスとして構成されているように見えます。このような作品は日本でしかできないかもしれません。岸誠二監督、シリーズ構成の上江洲誠さんのコンビの作品は今後、要注意かも。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 108
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

闘いの螺旋

Studio五組制作。

勇者はくよくよしない、いつも前向きだから。
牧歌的な風景と、素朴な少女たちの日常に癒され、
それと対比するように入れ替わる、
過酷な色彩と光の魔法世界。
とても有意義な時間を過ごせました。

世界を崩壊へと導く生物の頂点バーテックス、
神樹により選ばれた勇者たち、
少女たちの日常は突如として終わりを告げる。
徐々に明らかになる、世界の真実、
そして逃げ場のない、勇者システム。

中盤以降、少女たちの戦闘が、
{netabare}供物の産物であると知った時、
日常パートが大きな意味を持ち始めます。
供物となるのはいつも無垢なる少女なのだ。
力の代償としてその身を神樹様に捧げる、
最後は樹木のように動かなくなり祭り立てられる。
あまりにも悲しい運命である。

最終話まで夢中になれましたが、
最後は演出も少し駆け足に感じた。
本来は複数話かけるべきなのでしょう。{/netabare}

身体の一部が欠損してまでも、
闘い続ける少女たち、闘いの螺旋 未だ終わらず。

続編を心して待ちたいと思います。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 79

87.8 3 部活でシリアスなアニメランキング3位
やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (3079)
15697人が棚に入れました
青春は残酷だ!? ひねくれ男の妄言ラブコメ

孤独に負けず。

友達もなく、彼女もなく。青春を謳歌するクラスメイトを見れば「あいつらは嘘つきだ。欺瞞だ。爆発しろ」とつぶやき、将来の夢はと聞かれれば「働かないこと」とのたまう──

そんなひねくれ高校生・八幡が生活指導の先生に連れてこられたのは、学校一の美少女・雪乃が所属する「奉仕部」。

さえない僕がひょんなことから美少女と出会い……どう考えてもラブコメ展開!?  と思いきや、雪乃と八幡の残念な性格がどうしてもそれを許さない!

繰り広げられる間違いだらけの青春模様──俺の青春、どうしてこうなった!?

そんな大人気シリーズの第2期!!

声優・キャラクター
江口拓也、早見沙織、東山奈央、佐倉綾音、悠木碧、小松未可子、近藤隆、檜山修之、戸松遥、柚木涼香、中原麻衣
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

第2期は、恋愛心理劇の色合いがグンと高まる 

雪乃の心が、こんなにも脆(もろ)いなんて、予想だにしていませんでした。

 これが恋だとしたなら
 孤独という強さ失くしそうで  (ED"エブリデイワールド")

本シリーズ第1期のレビューでは、第2期に向けての伏線として、以下をそれぞれ推定しましたが、

結衣 → 嫉妬
比企谷→ 自己嫌悪
雪乃 → 恋の慄(おのの)き

・・・その検証も兼ねて、なるべく簡潔に本作の考察をまとめてみたいと思います。


◆制作情報
{netabare}
原作ラノベ      渡航(小学館『ガガガ文庫』2011年3月-未完)
監督         及川啓
シリーズ構成     菅正太郎
脚本         菅正太郎、大知慶一郎
キャラクターデザイン ぽんかん⑧(原案)、田中雄一
音楽         石濱翔、高橋邦幸
アニメーション制作  feel.{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に大きな疑問を感じた問題回

======= やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続 (2015年4-6月) ======
{netabare}
- - - - - - - - - - 高校2年の2学期(10月半ば~) - - - - - - - - - - -
---- 修学旅行編 ---------------------
第1話 何故、彼らが奉仕部に来たのか誰も知らない。 ☆ 依頼人=戸部&海老名
第2話 彼と彼女の告白は誰にも届かない。 ★

---- 生徒会選挙編 -------------------
第3話 静かに、雪ノ下雪乃は決意する。 ☆ 依頼人=いろは
第4話 そして、由比ヶ浜結衣は宣言する。 ★ 「だから、ユキノンに勝つよ」
第5話 その部屋には、紅茶の香りはもうしない。 ☆

---- クリスマス・イベント~正月編 -------
第6話 つつがなく、会議は踊り、されど進まず。 ★ 依頼人=いろは 
第7話 されど、その部屋は終わらぬ日常を演じ続ける。 ☆
第8話 それでも、比企谷八幡は。 ★★ 「それでも…俺は…本物が欲しい」
第9話 そして、雪ノ下雪乃は。 ★★ 「ねえ比企谷君。いつか、私を助けてね」
第10話 それぞれの、掌の中の灯が照らすものは。 ★

- - - - - - - - - - - - - 高校2年の3学期 - - - - - - - - - - - - - - -
---- 進路選択~バレンタイン・チョコ編 ---
第11話 いつでも、葉山隼人は期待に応えている。 ★ 依頼人=三浦
第12話 未だ、彼の求める答えには手が届かず、本物はまちがい続ける。 ☆ 依頼人=いろは&三浦&川崎  
第13話 春は、降り積もる雪の下にて結われ、芽吹き始める。 ★★ 依頼人=奉仕部の3人{/netabare}
-------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)5、☆(並回)5、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.5


◆考察メモ

{netabare}
・第2話~第3話、比企谷は問題の「解決」ではなく「解消」ないし「回避」によって常に状況を切り抜けてきたが、雪乃からすればそれは「チート(ズル)」ないし「先延ばし」であり、彼女はそれが気に入らない。
→但し、彼女のこの比企谷に対する苛立ちの主因は実は別のところにある(これまで経験したことのない感情に対する彼女の心の葛藤のあらわれ)と見るべき。

・第3話でとうとう雪乃は比企谷と袂(たもと)を分かつことになるが、結局彼女が「解決」を目指そうとすれば、彼女自身が生徒会長に立候補するという「自己犠牲」を払わざるを得ない羽目に陥る(第4話)。
→そして、第1期での文化祭の件に続いて、またしても比企谷の水面下の貢献によって窮地を救われた雪乃は、自らの不明を恥じるとともに、おそらくは比企谷への「感嘆」の気持ち(・・・には叶わない、・・・を認めざるを得ない、という想い)を昂じさせてしまう(第5話→この後、急に雪乃がしおらしくなってしまう原因)。

・第4話、夏合宿の回想シーンで、戸部に想い人のイニシャルだけでも教えて欲しいとねだられた葉山が呟いたセリフは「Y・・・」
→葉山の幼い頃からの知り合いである雪乃のことと思われる
・同じく第4話、結衣の宣言「だから、ユキノンに勝つよ」
→結衣の本当の気持ちが、生徒会長選挙にかこつけて表出してしまった一瞬に見える
→以上から、葉山と結衣は、ともに比企谷と雪乃の間に生まれつつある恋に対して「横恋慕」し、「嫉妬」の感情を抱いてしまっていることが見て取れる
→校内の立場が明らかに比企谷より上のはずの葉山が「僕は君が嫌いだ」「自分が君に劣っていると思ってしまう」と比企谷に向かってときどき心情を吐露する原因

・同じく第4話、陽乃「比企谷君は何でもわかっちゃうんだね(だけど肝心のことは分からないんだ・・という含意)」
→人の心の裏側を見抜くことに長けているはずの比企谷は、自分を取り巻く恋情の渦(とくに雪乃の気持ち)にだけは無自覚である
→それ(恋情の渦)が確りと見えている陽乃・葉山の2人は、比企谷(と雪乃)がもどかしく、ついつい皮肉めいたことを彼らに仄めかしてしまう。
→また、普通に恋愛体質の(=恋について想像を巡らせることが日常になっている)結衣も、こうした比企谷(と雪乃)の弱点を冷静に見て取っていて、それが最終話の彼女の決断と行動に繋がってしまう。

・第5話、妹の小町のアドバイス
・第8話、平塚先生のアドバイス
→比企谷は「ぼっち」という自己認識にもかかわらず実は身近な理解者に恵まれており、私が第1期のレビューで指摘したような深刻な自己嫌悪には陥らなくて済んでいる。
→結局比企谷は、「今の自分はまだ偽物しか知らない。自分は、それが不可能に見えても、やはり本物が欲しい」というマイルドな自己嫌悪込みの渇望に苦しんでいるように見える。

・第9話、雪乃「ねえ比企谷君。いつか、私を助けてね」
→デスティニーランドの二人乗りコースターで滝壺に落ちる直前の不安な心理に重ね合わせる形で、雪乃が不意に比企谷の左手の裾を掴んで呟いたセリフ(彼女の無自覚な本音が表出した一瞬に見える)

・第11話、夕暮れの保健室で比企谷と雪乃の瞳が思いがけず出遭ってしまうシーン
→結衣や三浦やいろはと違って、恋への想像が日常生活の一部となっていない(=恋愛体質からかけ離れた地点にいる)この二人にとって、第1期(全13話)から数えて24話目での、ようやくのこの出逢いは、ベタだけれども決定的なワン・シーンに見える(とくに恋愛感情自体が未経験の雪乃にとって、おそらく不可逆的)。
{/netabare}


◆最終話(考察)

{netabare}
「私、ヒッキーが思っているほど、優しくないんだけどな・・・」

最終話、自分の恋心が横恋慕に過ぎないことを自覚している(=3人の感情が言葉になってしまえば全てが終わることを分かっている)結衣は、手作りチョコを比企谷に渡したくて、でも渡せなかった雪乃の恋心の脆(もろ)さに付け込む形で、トリプル・デートの後に勝負に出る。

結衣の決意に気圧(けお)された雪乃が、「ずっと、このままでいたい」という結衣の提案を、しどろもどろになって承諾させられる寸前、比企谷が遮(さえぎ)って、雪乃に助け舟を出す。
←第9話で雪乃が比企谷の裾をつかんで漏らした言葉「いつか、私を助けてね」がここで活きてきているよう私には見えました。

そして雪乃がようやく自分の"依頼"を語ろうとするシーンで本作終了。
{/netabare}

◆総評

第1期が、比企谷君の予想の斜め上を行く特異な問題"解消"の仕方("解決"ではなく)の痛快さに非常な面白さのあった本シリーズですが、この第2期では、こうした比企谷君のやり方そのものに周囲から疑念が突きつけられ、比企谷本人も、「(こうした偽物ではなくて)本物が欲しい」という苛立ちと渇望に囚われることになります。

そして、何よりも第2期では、第1期では伏流していた奉仕部の3人の恋愛感情、ことに視点人物(=比企谷)でも、また頻繁に感情表明があり読者目線に最も近い人物(=結衣)でもない、専ら推測に頼るしかない「氷の女王」(=雪乃)の感情が、水面下でおそらくは激しく揺れ動いているであろう様が、多くの視聴者の関心を刺激したのではないかと思います。

第1期のレビューでは、私は本作について、第2期の出来次第では、『とらドラ!』を上回る恋愛アニメの傑作と評価するに吝(やぶさ)かではない、と書きました。
というのも、『とらドラ!』の主要3キャラ(竜司・大河・実乃梨)が未だにマンガちっくなキャラクター造形の浅さを残していたのに比べると、本作の一人ひとりのキャラ造形は、明らかに従来のアニメ作品の枠を超えたものがあったからです。

結果として、この第2期は、『とらドラ!』の神回(第19話)に匹敵する、メイン・ヒロイン(雪乃)の明らかな感情表出が描かれる前に終了となってしまい、お楽しみはお預けとなってしまいましたが、それでも第1期と同じようにこの第2期も、繰り返しの視聴に耐えうる良さをもった名作と個人的に評価したいと思いますし、今後いつか始まるであろう第3期に向けて改めて本シリーズに期待したいと思います。


*(2018年1月29日) 制作情報等追加

投稿 : 2024/05/11
♥ : 105
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

青春ラブコメは最終話から始まる

アニメが時代を写す文化の1つであるなら、
その資格を有する意義のある作品でしょう。

持たざる者の社会風刺コメディから、
2期では進化よりも深化へと舵を取り、
人間関係の構築に於いて重要で、
隠蔽されていたものを炙り出し問い直す、
タイトルからは想像も出来ないほど、
誠実な作品だと実感しています。

自己犠牲を持ってその場限りの回避を選び、
嫌われることで、他人と繋がる主人公八幡。
自分の意志を持たず流され、
他人がつくった自分を生きる雪乃。
誰よりも空気を読み、
コミュニティを守る為に葛藤する結衣。
{netabare}自分と他人との関係、
集団の中で生きることの意味、
身体ではなく「心の距離」の問題、{/netabare}
最適解を求め問い続ける少年少女の物語です。

それが間違っていてもいい、
答え合わせまで何年も掛かってもいいから、
八幡には「本物」を見つけて欲しいですね。
{netabare}物語の基底に触れた8話に猛烈に感動しました。{/netabare}

分かってもらいたいから、分かりたいへ。
分かりたいから、分かり合いたいへ。

芽吹き始めるそれぞれの意志、
青春ラブコメは最終話から始まる。
これは全ての立ち行かない人に贈る、
素敵なプレゼントなのでしょう。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 100
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

青臭さに身悶える青春ラブコメど真ん中

2018.11.18記


原作未読 1期は視聴済


1期から変わらぬ平塚静推し! ゆきのん、由比ヶ浜、いろはす、小町らに目もくれない少数派の戯言とあらかじめご承知おきくださいませ。

で、この作品、、、

「ありゃりゃ?ゆきのんお若いのに足腰弱いですね~」

からの、意外と強かったチャーリー由比ヶ浜さんが

「君たちがいて、俺ガイル」

と最後締めたお話。


大筋そんなこともあるかもしれませんがきっと間違っています。



1期とキャラデザインが変わりました。…が自分は全然気づきませんでした。
地上波再放送を機に1期を視聴。正直なところ後半パッとしなくて酷評気味に1期のレビューを書いたのですが、ここでの評価も、レビュアーさんの熱量も高めだったので、続けての地上波再放送2期も観ることにしました。エラそうにすんませんm(__)m
1期エピソードのプレイバック、撒かれた伏線の回収、キャラ描写の変化などなど、視聴にあたっては1期を観ておくことが条件になるかと思います。


キャラデザもそうですが、しばらく話数を追うと1期とだいぶ毛色が違うことに気づきます。
大きな変化は好意的に受け止められることもあれば反感とも裏返し。私は前者でした。
1期イマイチと感じた私のような人でも楽しめる余地は残されてます。逆もしかりで、1期良かったのに~なんでだよ~、もあるかもね。まずは変化した点などをざっと挙げてみます。

・キャラデザイン(しつこい)。これは好みでしょう。
・1期ではラブコメ低空飛行でしたが、2期はラブコメ全開です。
・それは八幡の捻くれた方法での問題解決という物語の見所が相対的に減ることを意味します。
・1期では八幡(ぼっち)、雪乃(氷の女王)、結衣(八方美人)と記号化されてたキャラが2期では違う一面を見せます。
 {netabare}例えば八幡の捻くれの影に純粋さを、雪乃の氷の仮面の裏側に弱さを、結衣の無邪気な笑顔の下に覗くしたかかさを。{/netabare}
 {netabare}まるでこれまでのイメージと相反する心情の発露。人のココロ表と裏。{/netabare}
・それはエンタメ的分かり易さの放棄である一方、心情描写が重層化したことでもあります。
・あわせてセリフ回しも具体的なものから抽象的な表現へとシフトしていきました。
・平塚先生と陽乃さんはあいかわらずかなぁ

コメディの体裁は保ちつつ、シリアス要素マシマシなので、“物語重視”タイプの方には合いそうです。
奉仕部の面々の掛け合いも分かり易いものから禅問答みたいなやりとりが増えてきますが、不思議と心地いいです。性に合うんでしょう。
“いろはす”は1期のノリを引き継ぐ存在。言い方アレですが1期のファンを置いてけぼりにしないための保険です。劇中挿入された1期の曲たちも継続視聴者の興味を担保するものかもしれません。



ここからが本題。本作どう見るか?ですね。

 『この年齢だからこそ成り立つ物語』

ただし、まばゆい輝きよりも痛みに焦点をあててます。

{netabare}青少年だからこその具体例。少なくとも海浜総合高校の意識高い系への大人の対応はこれ↓
ガキ「僕たちらしいイベントを…」 大人「定義しろ!行動に落とせ!」
ガキ「ディスカッションして…」  大人「期限設けろ!」
聞き慣れない横文字スルーして一喝です。その他諸々良かれ悪しかれ“出来ない”若者だからこそ成り立つ話だと見ると一々納得できました。{/netabare}


極めつけはこれ↓

 『本物って何ぞや?』 {netabare}※衝撃を受けた8話での八幡の独白ですね。{/netabare}

互いを出し切っても崩れることのない関係性といったところなのかしら?
自己の欲求を追求すると壊れてしまう関係。これすなわち偽り。
自分を偽って維持できる関係。これもすなわち偽り。
大人であればあるほど、『本物』は遥か遠く手の届かないものであることを痛感させられます。若者も直感的には気づいてる。それでも求めてやまない、やはりこの年代ならではの心情の吐露なんです。
「こんなレプリカはいらない 本物と呼べるものだけでいい」OPの歌詞がささります。結局、

“青春”ラブコメの看板に偽りなし!

全13話かけてタイトルをほぼ回収したという手の込んだ良作でした。




レビューここまで。以下、禅問答全開だった2期から紐解く八幡、雪乃、結衣の人物評。※思ったより長文になったのでお暇な方向け

★★人物評★★

■理性の化物?(ヒッキー)

「狂人とは、理性を失った人ではない。狂人とは理性以外のあらゆるものを失った人である」
それを裏付けるような
「人間とは感情の生き物である」
そりゃそうだ。

陽乃が八幡を「理性の化物」と評した時によぎりました。このままでは“狂人”確定なところを八幡はすかさず否定、陽乃も「じゃあ自意識の化物だね」と訂正します。
八幡にとっては“狂人”(寸前)と“人間”の狭間で懊悩し続けた2期でした。元からそうだったわけではなく、期待して傷つく経験(失恋)を経て、ひねくれぼっちな八幡像が固定化されていったわけです。そうトラウマ経験をするまでの八幡は元々人間だったのです。
※ここでいう“人間”“狂人”とはあくまでレトリック。八幡が基地外という意味ではありません。

~八幡に焦点絞ってダイジェスト~
{netabare}冒頭、葉山グループを助けた代償に奉仕部の人間関係に亀裂が入ります。
「君のやり方では本当に助けたい誰かに出会った時助けることはできないよ(3話)」(平塚先生)
実はこれまで“解決”と見なされていたものは、ただの“先送り”“回避”だと雪乃から指摘を受けます。
君のやり方は、生徒会長選挙で頓挫しました。自分を犠牲にするやり方が否定され、最悪の事態(雪乃と結衣が立候補)を迎えます。小町とのやり取りを経て“誰かのために”行動目的が加わったことで事態を乗り切ることができました。
八幡と小町の関係は限りなく“本物”に近いものでした。とはいえ家族だからこその関係性であると小町は喝破してましたね。
「私の大切な場所をちゃんと守ってくれた(5話)」(結衣)
ちゃんと守れなかった修学旅行と別の展開を見せたことは八幡にとっても大きな転換でした。
ただしそうそう人は変われない。次の問題は合同イベント。背中を押したのは平塚先生で、ピークは八幡の応援要請。ピークというかここから物語が流れ出した感じです。
「君は人の心理を読み取ることには長けてるな けれど感情は理解してない(8話)」
実のところ八幡は感情豊かな奴なんじゃないでしょうか。蓋をして考えないようにした“感情”。頭で考えれば考えるほど自分の中で整合性がつかないものに対してヒントをくれたのは平塚先生でした。教師の鏡です。 
「計算できずに残った答え。それが人の気持ちというものだよ」
「・・・なぜ傷つけたくないかを考えるべきなんだよ」
橋上で口に出す一言一言が無双の平塚先生でありました。
進まない合同イベント会議と奉仕部の近況。不安を纏ったまま現状維持に安穏としていては破錠してしまう点で両者は同じものでした。
八幡にしても自分を敵にして両校を結束させる、かつての手段はとりません。雪乃と結衣が不可逆的に離れていくことが分かってたからです。二人から大切な存在と思われていることの証左であり八幡も大切にしたいと自覚していたわけであります。結局、八幡一人ではどうしようもなく、三人集ってやっと解決しました。

生徒会長選挙の顛末も、二校合同イベントの結果も、修学旅行までの“先送り”“回避”ではない“解決”と言えるものでした。前者はいろはを翻意させるというやり方で、後者は身内(=いろは)のみ守るというやり方で。

そして葉山くんとその仲間達。八幡らと対極にある葉山らのグループはこの作品の象徴的な意味をもってそう。折り合いつけて、妥当な落としどころで立ち居ふるまう彼らは「剥がれ落ちたものをどう取り繕えばいいかを(6話)」理解した“本物ではない”役回りを演じてます。とことん未成熟な“若者”で構成された奉仕部の面々との良い比較対象になってました。

終盤。雪乃からラブいオーラが出れば出るほど戸惑う八幡は年相応の若者でした。しかし、三人の大切な空間のことも考えて動けない八幡はある意味優しい大人でもありました。{/netabare}


■雪乃と陽乃

自意識の化物とは逆に、自意識がない。2期で明らかになったのは雪乃の脆い心根でした。
1期9話で引っかかっていた陽乃から結衣へのこのセリフ。
「また、雪乃ちゃんは選ばれないんだ」
「昔から変わらないな~おそろいでおさがりで」
「みんな最初はそう言ってくれるんだよ。云々」

{netabare}家庭環境の影響で、自分を殺して周囲が求める偶像を演じ続けてきた雪乃さん。従順すぎる振る舞いと何考えてるかわからない様から親は雪乃と距離を置きます。そんな雪乃とは対照的に自分をもっている姉。親が外回りのご挨拶用などで選んだのは陽乃のほうでした。
自分がない故に姉のおさがりで表層部分は取り繕うことが出来る。ただしそれは上辺だけで中身はありません。
陽乃はそんな雪乃に対して、“面倒なことは姉に押し付けて”と疎んじる部分と、“言うことを聞く(言いなりになる)妹”そのままの雪乃を望むといった両面を見せます。
「そうやって誰かにやらせたり押し付けるのお母さんにそっくり あなたは何もやらなくていいんだもの いつも誰かがやってくれるもんね(4話)」
対する雪乃は陽乃に対しては、デスティニーランドで八幡に伝えたように“憧れ”を持ってました。一方で陽乃から逐一「雪乃ちゃんはどうするの?」と意思決定を迫られることを疎んじてましたね。雪乃にとっては“処理できない”からが理由だということが2期でわかりました。
他人をこき下ろす時も一切の感情を廃し、自分に関しても感情に入れず、氷の女王みたいな雪乃さん。生まれてこのかたですから年季が違います。

理性が突出していて感情を出さないということは八幡も雪乃も同類ですが、自意識の有無の一点において決定的な違いがありました。
そして八幡にとっての感情とは“蓋をしたもの”。雪乃にとっては“芽生えなかったもの”。
人間は感情の生き物である以上、その欠落はこれからの人生のどこかでつまずく要因となったでしょう。平塚先生はそこを見逃がさずこの二人を奉仕部に集め、常に気にかけてました。そして、同類ながら少しだけ隙のある八幡を突破口に二人を“人間”の世界に連れ戻そうとしていたのかもしれません。

平塚先生ももしかすると奉仕部の面々がぶつかった壁に若い頃直面した経験があったのかもしれません。彼女のすごいところは、二人の問題は高校卒業後にも解決する可能性があることを視野にいれつつ、教師として教え子の今に向き合ったこと。平塚先生に出会えて良かったと思います。

終盤。自身に芽生えた感情の処理の仕方が分からず、弱々しさを見せた雪乃。願わくば、「自分の未来を誰かに委ねるなんてあってはならない(最終話)」と八幡に諭されたことの意味を理解して、自分の幸せをつかんでほしいですね。
なお、物語としてはこのへんの結論が出てないことが、3期が望まれる多くの声になっているんではないかと思います。{/netabare}


■感情の化物?(ガハマさん)

八幡と雪乃だけでコミュニティは成り立ったか?答えは否です。
尖った個性は触媒なしでは輝けません。八幡と雪乃、そして彼彼女らと一般の生徒、これらを繋ぐ役割に結衣が果たした功績は多大なものがあります。
そもそも「結」が語源ともされるリアルの神奈川県由比ヶ浜の成り立ちを考えれば、このWヒロインのもう一方の名前の付け方からしてセンスを感じるものであります。

で、この由比ヶ浜結衣さん。1期では、八方美人で明るい、でもちょっと気弱なお馬鹿キャラ、とマスコット的な位置付けの女の子でした。一言でいうと性格良さそう。
もともと社交性が高かった彼女はスクールカースト最上位、葉山達のグループに属し、奉仕部入部後も交流は続いてたりします。知性VSコミュニケーション力の対比でWヒロイン双方の魅力を引き出していたのが1期の魅力でした。
対比といえば母子関係でこんなことも。「ママ!余計なこと言わなくていいから(13話)」冷たい印象、娘の友人など歯牙にもかけてない雪乃下ママとは対照的に、友達の話で盛り上がる由比ヶ浜家の和んだ空気が伝わってくるような話もありましたね。

ただしこの結衣ちゃん。友人関係が壊れないように八方美人に振る舞う自分に対して嫌悪感を抱いており、そのことは奉仕部入部のきっかけになったのを私達は覚えてます。

{netabare}実はその自分の弱さに向き合って一足早く成長したのが結衣ではないでしょうか?
「優美子!その話ならもう説明したじゃん。ホント偶然会ってそれだけだって(11話)」
葉山と付き合ってるんじゃないか疑惑を雪乃に向ける三浦に対してガツンと言い放ちますが、これ1期冒頭で同じことができたかと言われれば無理でしょう。奉仕部の面子でいち早く成長を遂げた結衣が最終話で三人デートに誘う流れは必然だったのかもしれません。

ラブコメ用語でいう“負けヒロイン”のフラグはばんばん立ってます。ランドで雪乃が八幡に「いつか、私を助けてね」文化祭の時には言えなかった一言にきゅんとした場面がありました。遡ること1期、結衣が八幡にこう伝えてます。
「ヒッキー。もし、ゆきのんが困っていたら、助けてあげてね」
由比ヶ浜結衣は理性や知性とは対極にある感情の化物です。人の気持ちがよくわかる。友情と恋愛感情を消化しきれず苦悩し続けたのが2期の由比ヶ浜結衣でした。
さり気ない気遣いが発揮された場面は数知れず。修学旅行の海老名への戸部くん告白シーン後でも、早々に立ち去る葉山グループや雪乃とは別に、傷ついているであろう八幡に
「こういうのもう なしね(2話)」
最後まで残って傍にいたのは結衣です。もうこれ以上傷ついてほしくない一心も当然ありました。それでも変わらぬ八幡についには溜めてた想いをぶつけます。
「人の気持ち もっと考えてよ!なんで色んなことが分かるのにそれが分からないの?」
奇しくも同じことを平塚先生に後日指摘されることになりますが、この件でも先の雪乃の件でも、意外と先回りしてたのは彼女だったんじゃなかろうかと思います。

負けヒロイン確定してはいないとはいえ、ここまでであまりにも Good loser 過ぎる立ち居振る舞いなのです。
「いいの 何かずるい気がするから」
終盤。八幡の見送りを断った時の結衣のセリフがこれ。いち早く成長したものの、友情と恋愛感情の狭間で揺れ動く彼女は最後まで変わらなかったとも言えます。{/netabare}




{netabare}三人デートは解釈いろいろ。ただ少なくとも由比ヶ浜主導ではありました。挿入歌がcv東山さんの歌(hallo alone)だったのが印象的です。八幡と雪乃の依頼とはなんだったんでしょうね。{/netabare}



ここまでつらつらと長文恐縮でした。
1期とだいぶ趣の変わった2期について、私は断然こちらのほうが好きでした。地上波再放送ホントありがとう!
ちょっと難しい部分もあるのは事実ですが、雰囲気だけでもだいぶイケます。試しに会話のやりとりの中で登場人物がハッと目を見開く場面がちょくちょくあるのですが、そのへん着目すると私の場合理解が進みました。

たまにはこういう頭使う作品もいいもんです。
青春ラブコメとして間違ってないどころか、この2期こそTHE青春ラブコメでした。
ただし王道です!ということであればきっとそれについては間違っている。
捻りを加えた味付けに仕上がっていることが評価の高さに繋がっているんでしょう。私も美味しくいただきました。ごちそうさまでした。



-----
2020.09.17追記

2020年4月~6月再放送。1期再放送と同タイミングでコロナの穴埋め。
3期“完”の手前でおさらいできました。



視聴時期:2018年8月~10月 地上波再放送

-------


2018.11.18 初稿
2019.04.26 修正
2020.09.17 追記
2021.08.01 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 97

66.2 4 部活でシリアスなアニメランキング4位
失われた未来を求めて(TVアニメ動画)

2014年秋アニメ
★★★★☆ 3.4 (772)
4113人が棚に入れました
21世紀の初めの、秋の内浜地区。
内浜学園は歴代最高潮の盛り上がりを見せていた。
執行部を中心に開催される、各分科会最大の見せ場・総合学会。
それは新校舎建設とともに、廃校が決まった旧校舎での最後のお祭りだった。
当然、各文化学会の会長をはじめ、学生達は総力をあげてこの最後の文化祭を成功へと導こうとしていた。
何度も賞を取っている美術会の展覧会、吹奏楽会総出演の大公演会、
植物遺伝子の組み換えで実績のある生物学会。
実力ある学会が参戦の名乗りをあげる度に士気は高まっていく。
主人公・秋山秦が所属する「天文学会」が不思議な事件の解決のために動きだすというストーリー。


声優・キャラクター
寺島拓篤、高田初美、友永朱音、瑞沢渓、たみやすともえ、山口勝平、種﨑敦美、大塚明夫、佐藤聡美、後藤邑子
ネタバレ

ホワイトマウス さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

とっても切ない・・・

最終回に近づくにつれて、気持ちが高ぶっていきました。素敵な作品です。

最初は奏と佳織の物語だと思っていたのに、次第にゆいに物語がシフトしていくのがとても自然。絵もきれいで、声優さんの演技もとっても良かったです。
音楽も背景も情緒豊かでとてもきれい。

{netabare}
ゆい、奏、佳織、凪沙の恋、とっても切ない。みんな一途でまじめで一生懸命なのに、みんなの恋、うまくいかなくて、悲しい。
特にゆいが、奏に思いを告げながら消えていくシーン、とってもかわいそう。
そして、何よりも、ゆいの存在が人々の心から消えていくシーンはとても見ていられませんでした。肉体的だけでなく、存在自体が消えたので、人の死を見たような気がしました。

{/netabare}

見終わって、切なさが残りました。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 76
ネタバレ

ストライク さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

面白くなるのは9話から!それまでは頑張って欲しい!

原作:18禁恋愛アドベンチャーゲーム  未プレイ

全12話

ジャンル:学園恋愛ファンタジーのループもの


あらすじ

事故で意識が戻らない 幼馴染の佳織を救うべく、大人になった主人公が
佳織の母親と愛理と共にAIの ゆいを創り、佳織を救うべく過去へ送りだしたお話。


ネタバレ感想
{netabare}
1話で佳織が事故にあったのに、2話からは、佳織を含め何事もなかったような学園日常が続いてるのに困惑。
何の説明もないから、観てるこっちは???
ただ一人、いきなり全裸で現れた ゆいに秘密があるんだろううな~って察しれたくらいでした。
8話まで、普通の学園日常が続くんだから、きっと途中で断念しちゃった人、多いんじゃないかな?
でも、9話からやっと真相に迫り、急に話が面白くなりました。

主人公の奏は、ゆいが現れるまでは少なからず佳織を意識してたけど、
ミステリアスな ゆいの登場で、段々と気になり始め、好意を持つようになる訳ですが・・・
この気持ちも含め、後の大人になった自分の行動に意味がある訳ですね。

ゆいは、未来の大人になった奏達に創られたAIで、人の心を持ち、成長して
佳織を救うためにここ(過去)に来た訳だけど・・・
佳織を助ける事に失敗し、何度も何度もループする。
奏に相談したくてもできず、独り頑張る姿に心打たれます。
次第にゆいも、奏に特別な想いが芽生え始めて・・・
佳織を救う目的を果たせば、自分は皆の記憶や存在すらも消されちゃうと知った時は、
観てて切ない気持にさせられました。
11話のラスト、ゆいが奏にキスして「さようなら」と言った所では、画面に向かって
「ゆいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
って叫びたかったです。(σ´д`。)
自分は、9話から ゆい目線で観てたので、めっちゃ感情移入して胸アツでした。
(´;ω;`)ブワッ
ゆいの声も可愛かったです。(@´ω`@)

あと、報われないとしりつつも、健気に奏を想い応援してきた愛理にも
感情移入でき、辛かったです。



過去を変えて分岐した世界は、時間がかかってもいずれ同じ未来へと合流し、繋がる世界

だからか・・・
ゆいが、佳織を救った後の未来の奏は、ちょっと変わってきます。
最初は、ゆいを創った訳は佳織を救うためだったけど、
でも、段々とそれだけじゃなくなってきてる。
それは、奏が ゆいと出会って好きになったから・・・
ゆいが佳織を助け、成功して消えてしまっても、
奏が、また 会いたい!って気持ちだけは忘れず心の奥底に残ったから、
またゆいを創る道を選ぶ・・・
これで納得です。
時間がかかっても、いずれ同じ未来へと合流する世界だから・・・
「きっと また ゆいに会えるよね!」
そんなメッセージのある、希望の持てる最終話に感動でした。
{/netabare}


EDは、物語が動き出した9話から、聴いてると切ない気持ちになりました。
勿論、ゆいver.が好きです。



総評

個人的には、あまり期待してなかったし、微妙だった8話までは低評価でした。。。
でも、
9話から話が大きく動き出す展開に目が離せなくなり、思いっきり惹き込まれました。
(途中で切った人、勿体ないです!)
終わってみれば、自分にとって今期のダークホース的作品でした。

みなさんは、そうでもない微妙な作品だったかもですが、
僕的には、ドストライク!
忘れた頃に何度も観たくなる作品になりました。
お気に入り棚へ決定です。




最後に一言

原作が18禁エロゲーみたいですが、本編は全然Hな所はありません。
基本は学園恋愛物です。
ゆい目線で観れば感情移入できると思うので、
是非、恋愛ものが好きな女性に観てほしいです。


追記
皆さんのレビュー読んだら、不評の方が多い事にビックリ!
そっか~ ・・・・
なんか残念 
自分は少数派だったのね  ><

投稿 : 2024/05/11
♥ : 69

PPN さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

ストーリーも重視できるエロゲ原作作品(≧∀≦)

「失われた未来を求めて」
まさにこのタイトルがピッタリの作品。
高校を舞台にした恋愛・学園SFもの。
全12話。


原作は18禁恋愛ゲーム。
どーしてもキャラ重視の作風になりがちなのと
ゲームやらないしで…実は不得意ジャンル(´∀`;)
しかし、最近視聴したこの類の作品に比べると
しっかり作られていた物語が印象深い作品でした。

主人公を囲む美少女たちをメインに描かれます。
ハーレムであるもののコメディ色は意外に少なく
シリアスな展開が中心のSFストーリー。
中盤以降からラストにかけ見せる見事な盛り上がりに
すっかり引き込まれてしまいました。

所謂「エロゲ」らしいその手の演出がほぼないので
見てるだけなら普通の“純愛もの”に思えました。

逆に声優陣はエロゲらしい人選でしたけどねw

残念なのは作画。
キャラデザも含め雑さが目立っていた気がします。
細かい部分まで見るとツッコミ所が多かったですねw


失われた未来を求め錯綜するそれぞれの心と想いが
切なく表現された作品だと思います。

エロゲ原作が苦手な方でも視聴可能です♪
どーしてもオススメという訳ではありませんが
感動できる作品である事は間違いないです。

『最後に』
誰かー!誰かーーッ!
誰でもいいからゲームコンプリートして
彼女たちを幸せにしてあげて下さいッ( ノ Д T)ウウ





《キャスト》
秋山 奏(CV.寺島拓篤)
佐々木 佳織(CV.高田初美)
支倉 愛理(CV.瑞沢渓)
古川 ゆい(CV.友永朱音)
華宮 凪沙(CV.たみやすともえ)
長船・KENNY・栄太郎(CV.山口勝平)
佐々木 詩織(CV.後藤邑子)
深沢 花梨(CV.佐藤聡美)



《主題歌》
OP
『Le jour』/佐藤聡美
ED
『明日また会えるよね』/佐々木佳織(CV.高田初美)(第2話ー第8話)
            古川ゆい(CV.友永朱音)(第9話ー第11話)
          佐々木佳織(CV.高田初美)古川ゆい(CV.友永朱音)(第12話)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 53

79.7 5 部活でシリアスなアニメランキング5位
荒ぶる季節の乙女どもよ。(TVアニメ動画)

2019年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (603)
2245人が棚に入れました
あなたの“はじめて"を、わたしにください――。高校の文芸部に所属する小野寺和紗たち女子5人。「死ぬ前にしたいこと」という話題で沸いたある日、部員の一人が投じたある一言……。その瞬間から、彼女たちは“性"に振り回され始める。

声優・キャラクター
河野ひより、安済知佳、麻倉もも、黒沢ともよ、上坂すみれ、土屋神葉、福山潤、広瀬裕也、咲野俊介、戸松遥、花江夏樹
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

純潔の染まる色

アニメーション制作:Lay-duce
監督:安藤真裕、塚田拓郎、
原作・脚本:岡田麿里、音楽:櫻井美希
キャラクターデザイン・総作画監督:石井かおり、

少年少女たちの心をざわつかせる季節。
思春期特有の性的な悩みや思考を、
文芸部に所属する5人の女子高生の視点を通して
鮮やかに切り取ってみせた岡田麿里作品。

一人ひとりのキャラクターの心情を
女性脚本家らしい視点で論理的に解き明かしていく。
繊細な心理描写のリアリティは、
真似のできないオリジナリティがある。

昔は岡田麿里作品といっても、どこかぼんやりとした
「キャラに寄り添った作風」くらいに考えている人が
私も含めて多かったと思うが、自叙伝の出版によって、
作風の裏にある独自性の由来が明らかになったことで、
より作品が理解しやすくなったかもしれない。

岡田麿里の脚本は、徹底的な「他者に対する視線」と
でも言うべきものから成り立っている。
言わば、最近ブームの「なろう系」とは対極にある。
「他者」を客観視しながらも、集団のなかにあるときの
思考や交わりを丁寧に描くことで、アニメの世界にあっても
圧倒的なリアリティを感じさせる。
それは、小学生時代に「他者」になろうとした
経験によって形作られたもので、脚本家としての彼女の
原点のひとつなのだろう。

前置きが長くなったが、この作品もそういう岡田麿里の
視線が随所に感じられる。
しかも、アニメのためというよりは、
漫画原作がスタートだったため、最初から最後まで
しっかりと構成された物語となっており、
完成度は抜群に高い。
私にとっての岡田麿里作品は、細部はとても面白いのだが、
最後の締めになると、いつも何か物足りなさを感じさせたが、
今作は、ラストまでとても上手くまとめられている。

いちばんの特徴は女子高生5人全員が大人に向かって
変化する心の動きをつぶさに見せている点だろうか。
ストーリーの中心は小野寺和沙が「男子」を
受け入れられないと感じつつ苦悩し、最後にはその感情が
変化するというもの。そんななかで5人全員の
心の動きを追いながら、感情の変化を視聴者に
しっかり見せている。

例えば、文芸部部長の曽根崎り香が恋をしたことで、
眼鏡を外して、男に対する考え方が大きく変わるところや、
菅原新菜が大人ぶりながらも徐々に本心を表現していく
過程をコミカルにしかも丁寧に見せてくれる。
心の変化の機微をしっかりと描いている。

{netabare}キャンプファイヤーの影踏み、
り香に対する天城のレポート、
百々子の男を嫌いになる過程、
新菜の歪んだ感情と素直な感情、
ひと葉の野望から生まれた恋、
和沙の恋と友情の間で揺れる思い。{/netabare}
女子高生たちの心模様を実に上手く表現している。

{netabare}り香の退学を撤回させるために起こした
文芸部たちの人質立てこもり事件。{/netabare}
和沙たちは、自分たちが「青」の世界に
いることに気づく。
そこは、心地良いものだった。
「青」の中にいる少女たちは、大人になるために
自らの色を求めて必死に生きる。
時が過ぎ、環境が大きく変化したとしても、
彼女たちがこの季節を忘れることはないだろう。
(2019年11月3日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 81
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

人生で最もへたくそな時期に捧ぐ

岡田麿里氏が原作から絡んで脚本やって、な作品。原作は未読です。

タイトルからして生々しく、しかも思春期男女(特に女)の心理描写には定評のある岡田氏の作品。

「岡田作品は苦手だけど荒乙は面白い」との推薦を複数いただいてて、楽しみにしてました。


作品自体は思春期の“性”をテーマに、右往左往する文芸部の女子高生5名が各々の答えらしきものを見つけるまでを追った青春群像劇です。

 吾輩は○○である 名前はまだない

整理しきれぬ名付けもできぬ感情は存在し、その多くは経験の蓄積によって落とし所が見つかるもの。

青春群像劇では私たちがかつて通過してきたであろう感情や衝動なりを作品の中に見つけて、自分の思考パターンや嗜好のルーツとなった立ち位置を確認する作業でもあります。
高校を卒業すれば進路はバラバラ。得られる経験も分岐して汎用性に乏しいことが、高校卒業以降を追った作品が少ない理由なのかもしれません。

そして汎用性があるようなないような題材が今回のテーマ。
“性”に対する考え方は個人によって差が相当あるもの。

そんな本人にしかわかり得ぬ感情。いや本人でさえわからない感情について同じようにバラバラだろう相手の感情とを擦り合わせる難儀なことを人生で初めてする作業が思春期世代の恋なんだと思います。

個人差があるのは当然で、ひとつの事象とっても男女で考え方も捉え方も違うことを想像できなかったり、違いはあると自覚しても何がなんなのか袋小路に迷い込んだり。
例えばこの連載は別冊マガジンですが『別マ』と言われて男子は『マガジン』を女子は『マーガレット』を想像し、お互いの前提がずれてる中言葉のキャッチボールを交わしてるうちに悶々としてしまう。
ほんの少し先になれば『マガジン』も『マーガレット』もあるって気づくものです。それがなかなかそうはならないもどかしさを作品で表現することは難儀なことでしょう。


前置き長くなりましたが、つまり、

 これまで数多語られてきたけどまとめられんのかいな?

好きだ惚れたから一層も二層も踏み込んで、本来同じカテゴリーなのにあえて切り離すことで物語を作りやすくしていた“性”なるものに焦点を当てちゃった本作。
個人差が激しいネタについて、きっとそんな時期を通過したであろう私たちにリアルな質感をもって届けてくれるかに着目したわけであります。

結果、文芸部員5名それぞれに異なる立ち位置を与え、かつそれぞれに対となるパートナーをあてがい、パズルのピースをはめていくようなストーリーに仕上がっていました。男はあくまで彼女たちを輝かせるための舞台装置。主役はあくまで乙女たちです。
よくパズル組めたな~。率直な感想です。一覧は以下。当然1対1とは限らないのですが詳細は本編参照。


【文芸部員】
小野寺和紗(CV河野ひより)
菅原新菜(CV安済知佳)
曾根崎り香(CV上坂すみれ)
須藤百々子(CV麻倉もも)
本郷ひと葉(CV黒沢ともよ)

【パートナー(仮)】
典元泉(CV土屋神葉):{netabare}対和沙要員{/netabare}
天城駿(CV広瀬裕也):{netabare}対曾根崎先輩要員{/netabare}
山岸知明(CV福山潤):{netabare}対本郷先輩要員{/netabare}
三枝久(CV 咲野俊介):{netabare}対菅原氏要員{/netabare}
杉本悟(CV花江夏樹):{netabare}対もーちん要員{/netabare}


実のところパズルが組み立てられた時点でおおむね満足しています。いいもの見せてもらいました。
リアルな質感があったかどうかは個人差によるものはあるでしょう。具体的にはこんなところが良かったなぁと私が思ったところは以下、


■OPを飛ばしちゃダメ

曲中に文芸部員たちの独白みたいな合いの手が入るわけですが、全OP一定ではなく変わっていきます。
作品世界をよく表したOPなので飛ばすのももったいないのもありーの、その回冒頭から集中を促す効果がありました。


■結局全員荒ぶる

キャラの掘り下げが全員できてたという意味ではなく、5名ともきちんと荒ぶってました。


■ざわつく

岡田脚本の特色なのか、円満にしときゃいーのにそれ要るかな?ってネタを挟んでおり、またそれがリアルな質感がありました。
安心安全なピュアピュアな恋愛を期待するのも野暮というほどさらりと毒を盛り込んできます。

{netabare}・部長の彼氏がちゃっかり前カノのおっぱい揉んでる事実
 ⇒経験者じゃないと曾根崎先輩を攻略する前に心が折れてたかもしれないという仮説
・あの杉本が女を連れている(最終話ED)
 ⇒地獄へ落ちろ!との視聴者の期待を嘲笑うかのようにしっかりキープ。なんだかんだ動く奴は強い
・本郷ちゃんが報われない
 ⇒いい子なのにね{/netabare}



最初はインパクトのある下ネタという飛び道具を織り交ぜながら、「おいおい大丈夫かよ」とくぎ付けになり、適度に乙女たちが荒ぶりながら最後の最後でぶつかり合ってという青春ど真ん中をいく良作でした。
端的に言えば序盤から終盤{netabare}10話{/netabare}までのわりと緻密な展開と打って変わっての後半の勢い。
慌てて畳んだ感が無くもないと言えますが、ここは『荒ぶる』感が出ていたと好意的に解釈してます。
{netabare}もう2話時点で和沙が自分の気持ちに気づくとか、5話で最も縁遠そうな部長がくっつくとか、その後どうするの?を長めに取る構成は良かったです。{/netabare}

個人差ありまくりの“性”の捉え方に関して、本作でのそれについてはノーコメント。
ただしきっと、登場キャラのうちに「あ、これ私だ!僕だ!」な子だったり言動行動が見つかるのではないか?と思えるほど網羅性は高いように見えますね。
現在進行形の方はがっつり共感して。はるか彼方の御仁は軽くキュン死しながら悶え狂いましょう。私も悶えました。おすすめです。




※ネタバレ所感

■パズルのピースについて
ほうぼう荒ぶっておきながらしっかり着地できたのって、主演女優5名と対になった野郎どもとが似たもの同士だったからではないかと思います。

・和沙VS泉
 {netabare}上半身と下半身が別の生き物同士

最終回でお互い似たもの同士だよねと分かり易く描かれてました。典型的な思春期のアンバランスさを体現した二人で主役にふさわしかったと思います。

{netabare}「泉。私ね。これからも不安になると思う。でも泉と同じ気持ちと同じ言葉、私はちゃんと持ってるんだって!分かったから…不安になっても、それを思い出せば…きっと大丈夫」{/netabare}
このセリフを言えたからこその主役でしょう。不安になると言葉に出せた時に大きな成長を感じました。{/netabare}


・曾根崎先輩VS天城
 {netabare}素直な者同士

お互い耐性ないので基本ちょろいです。考えてるようで実はそうではありません。よく言えば真面目で一途といったところでしょうか。浮気は絶対許しません。{/netabare}


・本郷ちゃんVSミロ
 {netabare}言葉先行で行動に移れない者同士

若さゆえに本郷ちゃん頑張りますが失敗重ねてるうちにそのうち諦観しそう。ミロ(三枝先生)がそのなれの果てかしら。言い訳先行でまたそれがもっともらしく聞こえるタイプ。
そんな本郷ちゃんが最も荒ぶってるように見えるというのが“荒ぶる季節”のアンバランスさを表わしてるようで心地よいです。{/netabare}


・菅原氏VS三枝
 {netabare}持てる者かつ特殊フェチ同士

周囲から羨ましがられてます。周囲からの見られ方と自身の嗜好にギャップがあるのが悩みどころ。医者や高級官僚がSMにハマるみたいな倒錯性を感じます。ちがう?{/netabare}


・もーちんVS杉本
 {netabare}相手が見えてないもの同士

自己中とも言います。杉本は言うに及ばず、もーちんもなかなかの猛者です。「なんで自分の思うとおり動いてくれないんだろう?」が先にあると恨みつらみが積み重なっちゃいますよね。{/netabare}



合ってるかどうかは知りませぬ。それは違うさーというのも笑いながらツッコんでみてください。



最後に、、、
なんだかんだ本郷先輩の今後が気になるところです。

{netabare}「止まらない電車に乗っちゃったんですよ我々は!」
ブルーハーツの伏線回収お疲れ様でした。{/netabare}

{netabare}あと真っ白になったと言い残して燃え尽きてましたが息してますよね?
自分で蒔いて自ら回収とはさすがです。

ぜったい素敵な女性になっておくれよー(^_^)/~{/netabare}



視聴時期:2019年7月~9月 リアタイ視聴

-------


2019.09.28 初稿
2020.04.10 タイトル修正/修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 72
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

揺れる思い、荒ぶる乙女心

原作 岡田麿里・漫画 絵本奈央。

文芸部に所属する女子高生が、
思春期特有の「性」の悩みに振り回される。
お年頃な乙女たちの青春群像コメディ。

大胆で繊細なテーマですが、
コメディタッチで描かれているため嫌味がない。
小さな共感とクスッと笑える展開が、
どこかにきっとあるだろうと思います。

4話視聴追記。
時代錯誤的に誇張された表現が微笑ましいと、
お気楽に見ていたのですが、
少女たちのあるべき葛藤が群像的に顕在化し、
ちょっと待てと…襟を正し始める。
{netabare}通過儀礼により失くしたものを問いただし、
失ったものの賞味期限を確かめているようだ。{/netabare}

これはただのコメディではなかった。

11話視聴追記。
揺れる思い、荒ぶる乙女心。
終幕に向け大きく動き始める青春群像。
{netabare}現状を維持するための行為が、
むしろ現状を理想から遠ざけてしまう。{/netabare}
青春のもどかしさが上手く表現されている。

最終話視聴追記。
新しく芽生える感情、
まだ名前も知らないその感情に、
振り回されては抗する乙女たちの純情。
全てに不器用だった私たちの青春と共鳴し、
様々な素敵な色を見せてくれる。
最後の台詞までセンスがあり楽しめました。

素敵な恋の季節の物語でしょう。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 71

86.8 6 部活でシリアスなアニメランキング6位
3月のライオン 第2期(TVアニメ動画)

2017年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (753)
4054人が棚に入れました
羽海野チカさんが「ヤングアニマル」(白泉社)で連載中のマンガを原作としたTVアニメの第2シリーズ。前作は2016年10月~2017年3月に放送され、東京の下町に暮らす孤独な高校生プロ棋士・桐山零と彼を取り巻く人々との交流を描き、幅広い層に好評を博した。監督は新房昭之さん、キャラクターデザインは杉山延寛さん、アニメーション制作はシャフト。

声優・キャラクター
河西健吾、茅野愛衣、花澤香菜、久野美咲、岡本信彦、井上麻里奈、細谷佳正、三木眞一郎、杉田智和、木村昴、千葉繁、大川透、櫻井孝宏、石田彰、玄田哲章、阪口大助、中村悠一、東地宏樹、大塚明夫、岩田光央、大塚芳忠、悠木碧、西明日香
ネタバレ

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

人の心を深く深く掘り下げて

<2020/9/22 追記」
羽生九段が公式戦6戦目にして藤井二冠にようやく勝ちました!
しかも相当に強い勝ち方!
さすが鬼畜眼鏡!
ちなみに羽生九段は谷川九段と共に本作の将棋界第一人者・宗谷冬司名人のモデルとなっています。

<2018/5/14初投稿>
全話観終えました。

二期はひなの中学でのいじめ問題に焦点が当たってました。
一筋縄ではいかない問題。
重苦しい展開が続きました。
{netabare} スッキリ解決というわけにはいきませんでしたがなんとか収まって、ひなはまた前を向いて。
この話がひと段落した時は正直ホッとしました。{/netabare}

ひなだけではなく零も成長したようで何より。

なんとかひなの役に立ちたい
そうした思いに駆られて行動する様はカッコ良かった。
本人としては全く上手くいってないと情けない気持ちでしょうが、ひなから見たらヒーローでしょう。

そんな零にとって川本家はもう「帰る場所」なのかもしれません。
あんな「あったかい場所」羨ましすぎる 笑

零とひなは三つ違いぐらいですか。
互いに異性としての感情持ってもおかしくない関係ですがどうなんでしょうね。
{netabare} 四国の高校に進学するという高橋くんを見つめるひな。
そんなひなを少し悲しい目で追う零はやはり少しはそういう気持ちありそう。
ひなの方は全くそういう感じしませんけど 笑{/netabare}

まあ零には香子がいるしいっか。


将棋の方は島田八段がいい。
挑戦してタイトルに惜しくも届かず。
が続く。
相当な実力者。
さあ今回の挑戦ではどうなるか!
見た目のモデルは佐々木蔵之介でしょうが、将棋は木村九段っぽい。
木村九段はこれまで6回タイトル挑戦して惜しくも手が届かない。
悲劇のおじさんです(解説名人で将棋ファンからの人気も非常に高いです)
三木眞一郎さんの演技がまたいい。

あと今期では柳原棋匠。
かっこよかったですね。
還暦大幅に超えてタイトルホルダーでA級って化け物ですよ化け物
諦めたくても諦めるわけにはいかない。
業のようなものを感じてしまいました。

他にも書きたいこと沢山ありますけど。

本当に良かったです。


<おまけ>
辻井武史九段。
モデルは将棋ファンならみんな大好き藤井猛九段。
(さらに豊川七段のダジャレを追加した感じ)
どうも羽海野チカさんがファンのようです。
藤井聡太六段が出てくるまではマニアックなボケで将棋界では羽生さんに継ぐ人気者でした。
藤井猛九段の面白さがわかればあなたも将棋通です。

<2018/5/15追記>
柳原棋匠のバケモノっぷりを補足です。
実際の将棋界では中学生棋士はこれまで五人誕生してますが60代のタイトルホルダーはゼロ。過去に一人もいませんでした。
ちなみに最年長タイトルホルダーは大山15世永世名人の59歳です。
さらにwikiを調べたら柳原棋匠の通算タイトル獲得数はたったの14期!
これは少ない。
66歳でタイトルホルダーでA級としてはもう少し多くてもおかしくない。
永世名人でもないようです。
かなり変わった棋歴。
つまり過去になかなか超えられないとてつもなく高い壁、強力なライバルとかその時代の第一人者とかにぶつかってたのではないでしょうか。
原作では柳原棋匠の昔を描いた外伝があるそうで是非読んでみたいものです。

<2019/9/23 追記>
↑の方でご紹介した木村一基九段(46歳 ニックネーム「おじおじ」)がただ今覚醒してます。
現在、王位戦というタイトルの番勝負で豊島王位・名人に挑戦していて3-3のフルセット!
最終局は9/25、26
ちなみにこの豊島二冠、歳は29歳とお若く、羽生さんや藤井さんに比べると知名度は劣りますが、渡辺明三冠と並ぶ現在の最強棋士。
木村九段は悲願のタイトル奪取なるか!
大注目しています。

<2019/9/26 追記>
木村九段が王位奪取しました。
7回目の挑戦で初タイトルは最多記録!
46歳での初戴冠も最年長記録!
23歳での四段昇段者がタイトルを獲得するのも最年長記録!
まさに「百折不撓」
こんな嬉しいことはないです。

島田八段を超えてしまいましたね。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 51

ISSA さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

春が来てぼくら…木洩れ日の中で

4話まで視聴。
けっしてスーパースターも能力者も出てこない、今期も等身大の人間ドラマ。

しかし引き付けられる、作画も演出も見事だけど今期、4話目の桐山零役の河西健吾さんと川本ひなた役の花澤香菜さんが凄かった。

楽しい展開は少なそうだけど、見いってしまう展開に期待です。

6話の川本ひなたちゃん泣いてるシーン
涙の音を水の落ちた音で表現してるのが凄く良かったです。
最後の黒板に落書きされてるシーン、ひなちゃんの「知りません」とキッパリした態度に強大な敵に立ち向かう戦士の様な物を感じます。

演出の良さからくる時間を感じさせない引き込まれが素晴らしい。

ここでは余り評価されてませんが、グサグサ心に刺さる様な描写凄いと演出の良さは他に無い感じ。
使うの嫌いだけど9話は神回か。

12話
川本ひなた役の花澤香菜さんの光演技には触れてきましたが。
脇を固める人の声優さんの演技も光ってた12話でした。
ひなたちゃんの学校担任教師役…大原さやか
いじめ子母親役…新井里美(ジャッチメント黒子)
ひなたちゃん学校主任…立木文彦(長谷川さん~マダオ)
特に大原さんと新井さんの演技は怖いw


視聴完了
最終話の冒頭、育ての母親役の島本須美さん(しょくぱんまん、ナウシカ、クラリス)の独り語り凄かった。
まるでNHKラジオ文芸小説聴いてる…
TV見てるじゃなくて聞き入ってしまうぐらいの演技。

本気の声優さんの演技が楽しめるのも3月のライオンならでは。
相変わらずの人間ドラマとそれぞれの成長を感じられる二期、年齢で成長スピードと時間の過ぎ方って違うだよね。



あまり紹介されてませんが、エンドカードの作者が超豪華です、一期から抜粋。
・三浦健太郎(ベルセルク)
・コンドウアキ(リラックマ)
・能條純一(月下の棋士、哭きの竜)
・氷川へきる
・ヒグチヨウコ(絵本作家、ふたりねこ)
・柴田ヨクサル(エアーマスター、ハチワンダイバー)
・ちばてつや(あしたのジョー)
・寺田克也(ゲームキャラクターデザナー)
・克 亜樹(ふたりエッチ)
・安野モヨコ(働きマン)
・VOFAN(台湾出身の漫画家&イラストレーター)
・あずまきよひこ(あずまんが大王、よつばと)
・森恒二(ホーリーランド、自殺島)
・ヤマザキマリ(テルマエ ロマエ)
・工藤ノリコ(絵本作家)
・末次由紀(ちはやふる)
・蒼樹うめ(ひだまりスケッチ)
・中村光(荒川アンダーブリッジ、聖☆おにいさん)
・原哲夫(北斗の拳)
・島本和彦
・萩尾望都(11人いる、少女漫画の神様と呼ばれて少女漫画家で初めて紫綬褒章授賞)

2期より
・岡崎マリ(イラストレーター)
・米津玄師(歌手)
・海野つなみ(逃げるが恥だが役に立つ)
・大川ぶくぶ(ポプテピピック)
・天野こずえ(ARIA・あまんちゅ!)
・西原恵理子(毎日かあさん)
・ウエダハジメ(フリクリ)
・魔夜峰央(パタリロ…パタリロ風二階堂可愛すぎて笑った)
・岩明均(漫画家・寄生獣)
・ヒョーゴノスケ(イラストレーター・映画ドラえもん他)
・西川秀明
・渡辺明夫(アニメーター・物語シリーズ)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 43
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

「いったいぼくは いつのまに出ていたんだ?――こんなに明るい所に……」

原作コミックは未読。

序盤、主人公たちやその周囲に将棋以外でも、大きな試練が訪れたものの、
少年棋士がヘコみまくっている印象が強かった1stシーズンに比べて、
差し込む光の眩しさが印象的な2ndシーズンだったと思います。
仲間の存在、誰かのためを思って奮闘することで得られるエネルギーって
やっぱり大きいなと感じました。

そして、シリーズ全体を振り返って何より感じたのは、
日々、しっかりと地に足をつけて生き続けることの大切さ。

暗闇の中で無意味と感じた日常を投げ出したくなったり、
闘うことから逃げ出したくなっても、腐らず続けていたからこそ、
トンネルを抜けた後、光に照らされて輝くこともあるかもしれないし、
嵐のように救われることもあるかもしれない。

私にとっては、先が見えない日々に心が崩れそうになった時、
思い出して毎日しっかり歩んでいく際に、
杖として支えとなる、貴重な一作となりそうです。


その他、特に心がざわついたのは、

{netabare} いじめ加害者の心情描写。

良い学校、良い会社……。
そんなことばかり言われて嫌になったから。
との主旨の供述は言い訳と感じられた方も多いとは思いますし、
勿論いじめが許されるわけでは全くありませんが、
私はその心理描写に真に迫るものを感じました。

思うに、世の中、夢を持たなきゃ生きてる価値ないとか、ビジョンを持てとか、
先のことばかりで、今がスッポリ抜け落ちている心が多すぎなんですよ……。

大体、数手先まで見通して勝負手を指し合う棋士ですら、
10年先どころか明日の自分のことすら読み切れてないわけですし、
ある棋士に至っては、自身の人生の意義を見失いかけたり、最後の力も底をつきかけたりして、
海の底に水没したり、焼野が原で火だるまになったりしているわけです。

そこで、まず5年、10年先のこと考えて頑張れとか正気の沙汰じゃありません。
今の日常が充実して光を得ていく主人公や川本家とは対照的な心を眺めていて、
私はいたたまれない気持ちになりました。

そんな心の損壊と向き合い続けた学年主任には
もっと労いの言葉をかけてあげたいです。

さらには、最終話、主人公の圧倒的才能と努力に敗れ去り、
荒れ続けた幸田家の義姉と義弟の描写とか……。{/netabare}

光が差した心だけじゃなく、闇に包まれた心もしっかりと見つめていくことで、
本作の人間描写は厚みが増していたと思います。


シャフトの作画は相変わらず独特の風味。
天下一武道会でも始まるのかwと言うくらい派手に
比喩表現が飛躍した棋戦の白熱もさることながら、
日常の価値を体現すべく、著しく美化された川本家の食卓、料理も引き続き強烈。
個人的に微妙な食べ物だと思っていた白玉があんなに美味しそうに見えるとは……。
リアルでも記憶にない貴重な経験をさせて頂きました。

豊富な心情表現の引き出しで、珍獣揃いの棋界とその周辺を描いた、
人間ドラマが光る秀作でした。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 42

77.2 7 部活でシリアスなアニメランキング7位
サクラダリセット(TVアニメ動画)

2017年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (729)
3228人が棚に入れました
住人の半数が特別な能力を持つ街、咲良田(さくらだ)。
能力者の監視を行う「管理局」の下、住人は平和に暮らしていた。
「目の前の人の涙を消したい」、「誰かに声を届けたい」。
そんな優しい細やかな“願い”とともに、この街の能力は生まれていった。
主人公の浅井ケイは、七坂中学校の2年生。ある日、下駄箱に一通の手紙が届けられていた。差出人は相麻菫-。その呼び出しに応じて、屋上へ向かう浅井ケイ。彼はそこで一人の少女と出会う。彼女の名前は春埼美空――。彼女の一言「リセット」によって、浅井ケイは手紙を受け取った瞬間に戻ってしまった。世界は再構成(リセット)されてしまった。そんな時を戻す「リセット」にはただ、一つ欠点があった。春埼美空自身も「リセット」の影響を受けて記憶を失ってしまうこと。どんなことも決して忘れない「記憶保持」能力を持つ浅井ケイのみが、「リセット」の影響を受けずにいることができる。二人が出会うきっかけを作った少女相麻菫―。彼女は彼にある言葉を告げる。
「貴方たちが、二人でいることには大きな意味がある―」
ケイは春埼と力を合わせることで過去をやり直せることができると思い、協力しようと提案するが……。
能力者が住む街で、出会った浅井ケイ、春埼美空、相麻菫。なぜ、相麻菫は二人を出会わせたのか?二人は、どのようにこの世界を変えていくのか―?見る人の心を捉えて離さない切なくも優しい、時を駆けめぐる奇跡の物語。

声優・キャラクター
石川界人、花澤香菜、悠木碧、江口拓也、山田悠希、牧野由依、三澤紗千香、相坂優歌、西山宏太朗、逢田梨香子、井口祐一、大原さやか、上田燿司、久野美咲、中博史、喜山茂雄、小清水亜美、櫻井孝宏、内田真礼、河西健吾

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

私的事情により1、2話連続視聴となりましたが、面白いです。→ 最後まで楽しめました!

同タイトルの小説(スニーカー文庫刊→角川文庫から再刊行中)が原作。有名タイトルですが未読です、すみません。

1話目放送週は忙しかったり他の作品よりも後回しにしていて1話目を観ていなかったので1、2話を連続視聴することになったのですが、結果として2話連続視聴して良かったです。

ケイと菫や美空との間の会話の内容が、なかなか楽しいですね。「中学生の会話としてどうなの」という意見と「いかにも厨二だなあ」という意見がありそうです(私は後者)。考えないでボーっと観るのには向いていなさそう。

ただ、会話の内容はかなり明晰でわかりやすいです。作者(あるいは脚本家)、頭良いな…。

メインキャラのひとりである春崎美空(はるさき みそら)の能力リセットが注目されて、「タイムリープもの」という見方はひとつあると思います。

また個々の持つ能力が単体で役に立たなくても、組み合わせると超強力になったりするのも面白いところです。

しかし、殺傷という意味でのバトルじゃないですけど、これは「異能バトル」の亜種という見方もできるじゃないでしょうか。それぞれの価値観、信条、哲学といった思想的なものがぶつかり合う感じ。

それぞれが持つ異能を人助けに使うべき(善)か、人助けをしたい自分の欲求をかなえるために使う(偽善)べきか、はたまた自分の希望をかなえるために使う(利己)のか…。

ああ、叶えたい要求によっては能力による殺傷に至るケースもあるのか。そうしたらマジにバトルだけど原作知らないですからね…。

これはこのまま原作を読まずにアニメを観るのが楽しめそうなので、ネタバレ回避の方向で観終わってから改めてレビューですかね。

なので、キャッチしている方の本作に関するレビュー更新もスルーすると思います。そういうことですので、悪しからず…。
================ ↑以上、第2話まで視聴時のレビュー ================

2017.9.15追記:
全話完走しました。作品自体もそうですが、作中人物の会話の中でも思考実験的な話も多くちょっと哲学的な空気を感じてなかなか面白かったです。

でも普通に「能力バトル」として観てもなかなか楽しめます。さすがに原作小説がスニーカー文庫と角川文庫の両方から刊行されているだけのことはある(笑)。

「能力を正しく管理して、悲しむ人を無くしたい」という「わがまま」を通そうとするという辺りも捻くれていて面白いテーマでした。

2クールの尺をかけているんですが、後で見直してみると人材を集めていく過程はほぼ1クール目で終わっていて、そんなに間延びした感じにはなっていないのが意外です。おかげで2クールあるのにテンポ良く感じましたね。

とても面白かったです。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 56
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

異能力コンボと禅問答

[文量→特盛り・内容→感想系]

【総括】
頭脳系の能力バトルとしては、一級品に面白かった。ほとんど記憶にないレベルで、名作級だと思う。ミステリーとしてみてもレベルが高い。ラブコメとしてはイマイチだが、番外編みたいなところではかなり楽しめた。総じて、レベルの高い作品だと思う。

ただ、如何せん地味で面倒くさいw 多分原作はかなり良いんだろうけど、イマイチアニメ向きじゃないというか、とにかく回りくどい。展開も超スローテンポ。それを丁寧と見るか、イライラするか。そこが評価の分かれ目になるかな。

個人的にはオススメです。地味ですが良作です。頭使うアニメが嫌いじゃなければ、どうぞ♪


《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
私は大好きだが、「こりゃ人気出なくてもしょうがないよな~」と思うアニメだった。

本作の面白さは、「単体では大して役に立たない能力を組み合わせることで、問題を解決していく」部分と、「小さな伏線をたくさん散りばめ、綺麗に回収していく」手腕。まあ、伏線を回収していくというより、(リセットという特性を生かし)結論ありきで(逆算的に)伏線を配置しているという感じだが。

本作のストーリーの縦軸は、「春埼美空」の成長(心の獲得)と、相麻菫・浅井ケイ・春埼美空の純愛三角関係にあるんだけど、にしてはキャラが少し弱かったかな、と。春埼自体は綾波系ヒロインとして良かったけど、やっぱりアスカもいてこそ際立つ、綾波の魅力というか、ね。ほぼ全てのキャラがみんな鬱々としているので、地味感が凄かった。あと、もう一人のヒロインともいえる、相麻菫の純愛がいきすぎて、怖いと感じられる危険性がある。正直重いというか、考えすぎというか。でも、ああいう面倒くさい人は、好きなんだけどね(私個人はあくまで純愛キャラとして好きだったが、一般ウケするかは疑問)。

しっかしこの作品、(メインは勿論、サブキャラ含め)登場人物の大抵が面倒くさい性格をしているねw 哲学的な悩みに苦しんでいるというか、いちいち回りくどいというか、もはや禅問答というかw サクラダの特殊能力どうこうでなく、こんな面倒くさい高校生が揃っていることが、サクラダの一番の奇跡かもしれない(笑)

というのは冗談としても、私自身も面倒くさい方の人間だという自覚もあるし、面倒くさい人はわりと好きなので、この作品のキャラ達も好きだったが、イラッとする人も多いだろうねw

あと、難点としては、「アニメーション」(という媒体)の良さがあまり生きない作風だってことかな。ほぼ会話劇で構成され、わりと複雑な設定や伏線があり、明らかに小説向き。文だけで想像し、前のページに遡って、伏線を確認したい感じ(とはいえ、アニメにしてきれたからこそこの作品に出会えた。感謝!)。

能力の設定は面白い。タイムリープではなく、「事象の再構成(リセット)」にした点は、タイムパラドック云々の議論を呼ばず、上手い設定だと思った。ただ、なんとなく、「涼宮ハルヒ」に近い能力なのかな? とも思った。リセットと完全記憶のコンボは、=「(エンドレス8中の)長門有希」っぽいしね(作中、世界5分前説も出ていたし)。

それから、(どの能力にも)ちゃんと弱点を作って、早いうちから視聴者に明示したのも良かった。良い能力バトルものの条件だね。

また、「特殊能力を使えるのが、咲良田市内のみで、そこから出ると記憶を失う」というも良かった。色々、世界を広げずに済んだし(これで日本政府がどうこうとかやってると、収拾がつかない)。一方で、そうなると「誰かが咲良田市を作った」ということは、早いうちでなんとなく想像できたかな。

ただ、「強度」というのは、分かりにくい上に便利過ぎる設定だと思った。(原作では知りませんが)アニメでは、どの能力の強度が強いのか弱いのかが明示されていなかった(結論から推察するしかない)ため、視聴者が「自分だったらこうやって解決するな」と考えられない部分もあった。

本作はミステリーの要素も強いが、良いミステリーとは、「読者(視聴者)にきちんと情報を与え、作者と同じ条件の中で推理させ、それでもトリックを思い付けない」=「よくよく読み返せば、そうかここが伏線になってたのか! なんで気付かないんだよ、俺!」という「一本取られた感」があるものだと思っている。そんな時、解決編の段階で後出しジャンケンのように、読者が知らない情報を小出しにされると、ムリゲー感が出て一気に冷める。本作はそこまで悪質ではなかったものの、「強度」は凄く大切な要素なのだから、早い段階で明示するか、それ(各能力の強度)を想像できるだけの描写が、事件発生前に欲しかったな~と。そこだけ、ちょい不満だね。

終盤の展開は、より一層難しかった。簡単に言うと、「何を(自分の命すら)捨てても、ただ浅井ケイと一緒にいたいだけの、相麻菫」が、その願いが唯一叶う世界を創造したのに、「やっぱり春埼美空と一緒にいたい、浅井ケイ」が否定するって話なんだけど、「付き合って」「ごめんなさい」で済む話を、まあよくこれだけ複雑にして広げたもんだと、半ば呆れながらも感心したw 安易に「能力者を集めて管理局を倒す」(ガチバトルもの)という方向にいかなかったのが良かった(管理局を倒しても、「自らが監禁されず」「浅井ケイと一緒にいられる」という相麻菫の目的は達成できたと思うけど、浅井ケイはそんな未来を許さないだろうしね)。

そして、中ボスたる浦地正宗との戦い。これぞサクラダリセット的能力バトルの真骨頂って感じ。まさかここで(一番使えないと思っていた)野ノ尾さん(猫)の能力が生かされるとは。予想を超えられた展開に、心地よい敗北感を覚える。しかし、作中に登場した主な能力を使い捨てることなく、あますところなく使いこなす伏線回収力はすごいな。

最終話は、ラスボスたる相麻菫との決戦。いや、ただ相麻菫に「俺(ケイ)にとっての都合の良い女になってくれ」というクソ男みたいなことを、納得してもらうだけなんだけどねw 最後の最後に、(偶然なんだろうけど)「君の名は」「月がきれい」と連続し、(シリアスな場面なのに)アニメ好きなら笑ってしまいそうになったのは不幸だけど、あれもまた、行間のある良いシーン。

ラストに浅井ケイは、(目覚める時にどちらの側にいるかという問題において)春埼美空より相馬菫を選んだわけだけれども、それには2つの「根拠(条件)」があった。①相麻菫の方が早く起きそうな気がした。②月明かりが当たって綺麗だったから。これが絶妙に上手い。

①は、つまりは実利。非常に論理的で即物的な理由。②は、相麻菫を世界で2番目に好きだという証明。つまり、浅井ケイにとっての相麻菫と春埼美空の差は、月明かり程度しかないということであり、しかし一方で月明かり程度の差は確実にあるということ。相麻菫とはこれからビジネスパートナー兼友人兼2番目に好きな相手として付き合っていこうと思っている浅井ケイの言葉の裏側を汲めば、「現実的なメリット(①)がなく、同条件(②がない)なら確実に春埼美空を選ぶ」という、断り(ふるため)の言葉に感じた。もちろん、優しさと美しさに溢れた、断りの言葉だ。この辺の行間の読ませ方は非常に小説的だ。やはり、「恋は理屈ではなく感情」というところか。って、本作の考え過ぎ感が、自分にもうつったのかもしれないw

2期はかかったが、佐良田の能力の行方・相麻菫と春埼美空と浅井ケイの三角関係の解消・春埼美空の内面的成長、というストーリー上の三本柱を、いずれも視聴者が納得できるようにキッチリ締めくくった構成力は見事だった。ここまで、次回作が気にならない最終回も珍しい(良い意味で)。もし、これ以上なんかやるなら、5話(アメ玉の中に入る話)のように外伝的な話か、11話(春埼美空が浅井ケイのお見舞いに行く話)のような気軽なラブコメが観たいかな。正直、シリアス&メインストーリーは、もうお腹いっぱい(笑)

これから、新たな秩序を構成しようという、浅井ケイとその仲間達。なぜ舞台が「佐良田(サクラダ)」というネーミングなのか(桜と関係ないし)気になっていたけれど、もしかしたら「サグラダファミリア」からきているのかもしれない。「サグラダファミリア」のように、長く難しい大事業に臨んでいく若者達へ、幸多からんことを願って、ほぼ誰もここまで読んでいないだろう長文レビューを閉じたい(笑)
{/netabare}

【余談~ 作中のお菓子で気になった、ガチでどうでも良いことw ~】
{netabare}
どうでも良いんだけど、(5話で)「チュッパチャプス」は「キャンディキャンディ」に、(12話で)「ポッキー」は「ロッキー」に名前を変えたのに、(9話で)「キットカット」や「コアラのマーチ」は実名で、しかも連呼したのはなぜだろう? 森永やグリコはダメで、ネスレやロッテは良いという、アニメか原作における大人の問題でもあったのかな(笑)?
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目
タイムリープ系は、名作と駄作がはっきり分かれてるイメージ。ふ~ん、タイムリープに対抗する能力を持っているってのはなかなか面白い。それから、タイムリープ風だけどタイムリープじゃないのも面白い。雰囲気とは違って、シリアス、ダークな感じにしていくの?

2話目
ロボット工学三原則、「イヴの時間」で習ったなw デスノート風w 超展開だな。

3話目
なんだその、おしゃれな会話w 完全にミステリー。

4話目
なかなかのグロ。あれは勇気いるな~。死んだ感触は記憶として残るわけだし。

5話目
美しいものを美しいとおもう、あなたの心が美しい(みつを)。本編と関係ない話なのかな?

6話目
注意してないと、時系列がよく分からなくなるな。

7話目
能力バトルって感じ。

8話目
すげえゆったりストーリーが進むね。

9話目
時系列をポンポン飛ばして戻してやるのは、かなりプロットをちゃんと作らないと破綻するよね。チュパチャプスは実名がアウトで、キットカットとコアラのマーチはOKなんだねw キーホルダー、自分の帰るべき場所になってほしいってことね。

10話目
この時点では、自分の能力が未来予知か完全記憶かは分からないよね。復活して、さあ、ストーリーが大きく動くかな?

11話目
相変わらずのスローテンポw 5話のように、外伝的な話? 「一度会ったら友達で~毎日会ったら兄弟さ~(笑)」出汁からとるお粥w てか、お粥作るだけの話で10分も使うなよ(笑)

12話目
またもや不思議な世界だね。

13話目
スカートの下りは良い感じ♪

14話目
宇川さん、強すぎ(直接的な意味合いで)。これまでの能力のバランスを壊さない?

15話目
春埼から「リセットしますか?」と聞いてきたな。成長?

16話目
メインストーリー、進んでいるん、だよね?

17話目
だからなんだその、アメリカ的なオシャレな会話は(笑) これ、索引さんと相麻がグルで、索引さんが嘘をついていたら、浦地の計画は簡単に破綻するよね。

18話目
静かなる聖域の崩壊

19話目
浮気ですな、しかも手慣れてる(笑) カレーにヨーグルト、チキンカレーの基本を押さえてるなw

20話目
世界5分前説って、だからハルヒやん(苦笑) だから、完全に禅問答w 母、妹とのやり取りは、かなり切ない。連れ去りって、下手すりゃ犯罪行為やん(笑)

21話目
なるほど。菫は、自分にとっての最良の未来、しか考えられないほど、恵が好きだったから、恵なら、違う未来を見つけられるということね。緊迫感があって良かったな。

22話目
能力バトルの真骨頂は連携だね♪

23話目
アニメに出した能力は全部ちゃんと使うのね。猫がここで生きてくるとは、予想外。ただ、野之尾さんめっちゃ猫好きだけど、やってくれるのかな? 瀕死の猫とかなら良いのか? さあいよいよ、ラスボスかな?

24話目
やはり最後まで、会話が空中戦w なんだその素敵な間違いは(笑) 小石に恋が出来るかという伏線の回収ね。私の名は(笑) 月がきれい(笑) なるほど、月明かりくらいの差しかないよ、でも、月明かりがなければ逆転できない差はあるよ、ってことかな。魔女まで自由な、若き新体制に、幸あれ。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 46

lumy さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

理想の主人公。

原作未読です。
放送当時は気にしていなかったのですが、
2クール観終わった方のレビューを拝見すると
どうも観た方が良さそうだったので視聴開始。
これは・・・放送当時に毎週観ていたら
間違いなく脱落していたw
でも、レビューを見てある程度興味があり、
2クール一気に観ることができれば、
とても上質な作品であると思います。

雰囲気は、GOSICKが近いように感じます。
アニメ的なキャラ立ちはGOSICKの方が上手いですが、
会話劇や頭を使うところは、原作によるところが
大きいでしょう。
本作はWヒロインであり、どちらも(中の人を含めて)
魅力的でありますが、
私が本作で一番好きなのは、主人公ですね。
素晴らしい能力をもっていますが、
その能力に引けを取らない頭脳をもっているところが
また良い設定だと思います。
感情の起伏が少ないためキャラとしては目立ちませんが、
現実世界で自分が目指したい理想の人物像ですw

一応、川面監督作品ですが、のんのんびよりから来た方は
作風がかなり違うのでご注意を。
逆に、ココロコネクトが好きな方は意外にハマれるかも
しれません。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 39

78.5 8 部活でシリアスなアニメランキング8位
この音とまれ! 第2クール(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (271)
1012人が棚に入れました
廃部寸前の時瀬高校箏曲部。一人になってしまった部長のもとを訪れたのは不良少年とその友達、そして箏の天才少女だった。それぞれの箏の音が紡ぐ青春学園物語―

声優・キャラクター
内田雄馬、榎木淳弥、種﨑敦美、細谷佳正、石谷春貴、古川慎、井口祐一、松本沙羅、浪川大輔、金尾哲夫、花江夏樹、朝井彩加、水樹奈々、佐倉綾音、安済知佳、寺島惇太、保志総一朗、山谷祥生、蒼井翔太、東山奈央
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

音の一粒 黄金一粒

原作未読


この度の初話。『関東邦楽祭』というワードをしっかり覚えていた視聴者はいただろうか。
“分割2クール”スタイルが定着した今日この頃。ぶつ切りの13話から早3カ月。14話はその13話から地続きでスタートしてました。リアタイ視聴も考えものです。まとめて一気に観たほうが良さげな放送スタイル。それが“分割2クール”です。
そういえば今回の2クールめ放送直前に1クールめを直前視聴されたレビュアーさんがいらっしゃって「その手があったかー!」と妙に納得しました。視聴する分には、間隔空けずまとめて一気にこしたことないですもんね。

だって、さとわも愛もなんなら武蔵だって1クールめ序盤の頃と明らかに違ってるはずですもの。
{netabare}※さとわは「あんたら踏み台。全国連れてくから素人は黙っといて」くらいの勢いだったよ(^_^;){/netabare}
観終わってから登場人物の成長に目を細めるには記憶が怪しくなっていて勿体ないなと心底思います。
良い作品であればあるほどその思いを強くするわけでありますが、本作がまさにそれ。


音楽もの特に演奏シーンと物語の融合という点で『四月は君の嘘』『響け!ユーフォニアム』音でも魅せた偉大な先達が壁となって立ちはだかります。
というより比較されます。ベンチマークが『ユーフォ』というのも後進のつらいところです。手書きorCG。モノローグ。心象風景の映像化。止め絵の配分。運指の正確さ。観客の反応。そして回想シーン。あの手この手を駆使しての“音楽もの”本作はどうだったんでしょうか。

作品の序列は置いときましょう。すごい良かったと思います。
箏奏者だった原作者。作中のオリジナル楽曲は身内が作曲。題材である“箏”が血肉となってる身内同士のチーム。どう考えても最強です。画力や話構成なら漫画家のポテンシャルでしょうが、それとは別のネタ帳レベルでのリアリティについて絶対の信頼を寄せられる“扱う題材のトッププレイヤーがそのまま書いてる”という事実。
前半1クール序盤での懇切丁寧な説明もそこで終わらずさらに踏み込んできた今回後半。

 一音(いちおん)

…わかるようでわかりません。視聴者がギリギリついていけるかどうかの技術の説明やプロの感覚を惜しげもなくプッシュしてきました。情報過多に思えますが不快さはありません。

わかりやすくないとぶーたれるところを、私は肩書き/略歴で平伏しときました。「プロのあなたがそう言うならそうなんでしょう」…この感覚は自分でも新鮮でした。


演出面でもぬかりなかったような。
※{netabare}「天泣」部室での練習シーン。晶から指摘された17弦と独奏の音のズレはしっかり耳でもわかりました。{/netabare}
上手と下手が素人でも感じられるのです。

{netabare}姫坂→珀音→時瀬と続く予選。姫坂の音圧に圧倒されました。珀音もまた別角度で。どんだけハードル上げるのさ、からそれらを超える時瀬の演奏でした。
ライバル校の演奏、その積み重ねもちゃんと説得力ある形で描きながら、さらにその上を描く。作品の中の観客と同じような感銘を自分は受けました。途中で姫坂の穂積先輩に横恋慕したのは私だけではありますまい。
第23回~第25回の3話はたいへん見応えがあったと思います。{/netabare}


偉大な先達との比較。“楽器”“演奏”への深い造詣という点では抜きんでていると思われます。演奏なんてたかだか作品を構成する一要素なんですけどね。それでもこの部分でエモく揺さぶられたい欲望を私は抑えることができません。



物語に戻ります。

■ラブは添え物程度で

顔をすぐ赤らめるWチョロイン(少年誌仕様)
女子が欲しい時に欲しい言葉(少女漫画仕様)

{netabare}失礼ながらモブ感の強い時瀬の3人組。味はあってたまに見せ場のあるこの立ち位置。古くは『スラムダンク』の水戸洋平ら。直近だと『からかい上手の高木さん』の三人娘。物語の核となる恋愛のプレイヤーにはまずならない人たち。部内三角関係とか恋愛複雑化を一切心配する必要がない安全パイです。{/netabare}
{netabare}真白先輩。成長した武蔵に胸キュンなんて展開にしないですぐに練習へ回帰。{/netabare}
{netabare}他校生。同じくちょっかい出したり出されたりもさることながら、他校内カップルの気配すら薄い。{/netabare}

主要ボジションでのキャラ配置からの推察。どんどんへし折る恋愛フラグ。おそらく恋愛は1体1でしかやる気ありませんね。恋愛仕様なキャラデザインはミスリードじゃないかしら。私は歓迎します。
{netabare}妃呂も部活引退するまで気持ち封印すると言ってるし、続編あるとしても時々顔を赤らめる程度でお茶を濁しとくぐらいでお願いします。{/netabare}



■一応弱小校でしたので

トップクラスのプレイヤー+有能な指導者+裾野が広くない=ジャイアントキリングの条件 

これすなわち↓

さとわ覚醒 + 滝浪センセ本気出す + 神奈川全14校

とこんな感じでピースが埋まっていくことは前半終了時点である程度予想され、このへんおざなりにすると「ご都合主義!」すかさずツッコミ入るでしょう。及第点与えて良いと思います。
{netabare}さらに堂島晶さんの登場で説得力が増しました。{/netabare}



■闇落ちと簡単にはいいますが

愛もさとわも妃呂も前半1クールで陽のあたる場所に出てきてしまったので闇キャラ不足を心配しましたが思わぬところから援軍が!

 堂島晶(CV東山奈央)先生

前半で切った方はもったいない。ややありがちな高校生らのものとは別格の上質な闇を覗き見ることができます。実はエンドクレジット見るまで日高のり子さんだと勘違いしてたりしました。



■“天泣”これだけはいいたい

1.{netabare}冒頭の一小節を奏でた瞬間に全てを悟るさとわ母がすこぶる良い。途中だったり全部聞いてからじゃないのが大事だったように思える。
一音(いちおん)を大事にするコンセプトが徹底されてるかのようでした。最高!{/netabare}

2.{netabare}ソロさとわは別格で周りが合わせられるわけない、を受けての17弦の一音がすこぶる良い。深いところから響く低い一音。うむ合っている。
“合わす”でも『大量の音の符を合わすことに特化した姫坂』『絶対的エースを際立たせるための合いの手としての珀音』らのトップ3校の違いを分からせる会心の一撃でした。{/netabare}

3.{netabare}3校の違いはあれど、エース(独奏)とどう絡ませるか?の課題は珀音と時瀬は似ており、アプローチの違いで時瀬に分があるという演奏結果でした。実質は姫坂と時瀬の一騎打ちだったように思います。
すこし遡って、珀音は数か月前『関東邦楽祭』で全国トップの東京の高校と同列評価を勝ち取った学校です。邦楽祭から珀音は底上げしてきた。それ以上に慢心を捨てた姫坂が上り調子で、時瀬も言わずもがな。若い人たちがそれこそ僅かな期間で化けるのを目の当たりにしたような爽快感があります。
私は野球をやってましたが、春の甲子園に出場した学校(前年秋の実績)と練習試合(当年夏前)を組んでもらって対戦してみて「あれ!?そんな強くねーな」という経験をしたことがありますがそんな感じ。{/netabare}




なんといいますか、、、
全26話満足の一品でした。



■オマケ

{netabare}さとわが愛のために買い揃えたいちごグッズ。“うまい棒いちご味”に興味津々。“ポテトチップス ショートケーキ味”が意外と美味だったのでわりとイケるかも!{/netabare}

{netabare}偉大なる先達を彷彿させるキャスティングがところどころに。ボケるには文量増え過ぎちゃったのでやめときます。{/netabare}



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------
2020.03.01
《配点を修正》+0.1


2020.01.23 初稿
2020.03.01 配点修正
2020.07.30 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 54
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

黒い晶ちゃん先生と白い晶ちゃん先生

原作未読
1クール目視聴済み

箏の素晴らしさが詰め込まれた作品でした。
25話の演奏の為にアニメ化されたと言っても
過言ではない程、箏の演奏で感動しました。

お話のざっくり概要
1クール目で色々とてんやわんや合ったけど
ヒロちゃん先輩も加わり部員が7人になって
本格的に全国目指して練習の日々
そこに指導役として晶ちゃん先生がやってきた!
波乱続きの筝曲部…周りは強豪校ばかり
武蔵とヒロを全国に連れて行く為に一丸になって
前に進む… だいたいそんな感じ

冒頭でも触れてますけど、
箏の演奏が素晴らしいです。

■姫坂
{netabare}
音の迫力、曲の力強さ、演奏の一体感
凄まじいものがありました。
他の二校に比べると、技巧よりなので
曲を魅せるというよりは技巧を魅せる構成で
圧倒はされるけど、感動としては薄い感じ…
ただ、これ生で聞かされたら圧倒されるなー
と思う迫真の演奏でした。
{/netabare}

■珀音
{netabare}
一番、箏っぽいというか古典っぽい感じで
凄くレベルの高い曲だと思いました。
箏の少ない音階で多彩な音の表現が素晴らしくて
それでいて超絶技巧押しって訳じゃなくて
楽曲としてもまとまっている良い曲です。
{/netabare}

■時瀬
{netabare}
心が動くとはこういう事だなと思いました。
この曲の為に用意された25話は2クールの
集大成というか、この曲の為にこのアニメがある
そう言える程、演奏&映像その全てが完璧です。

三校の中では最もキャッチーなメロですね。
現代曲っぽいです。魅せるべき所と抑える所
緩急、メリハリが効いてて一番華がある曲です。
休符の使い方が最も巧くて聞き入ってしまいます。

最後の1音はタイトル回収と思える程の
時が止まる1音でした。
{/netabare}

2019年の神回の中で1つだけ選べと言われたら
この音の25話を選びます。

恋愛部分について
{netabare}
えーと、どうでもいいけど
さとわちゃんと、ヒロちゃん…
どっちもチョロインすぎません?w
いやまぁ、筝曲部の部活の方がメインで
恋愛がオマケな感じだからその方が
話が手っ取り早くていいんでしょうけどw
{/netabare}

晶ちゃん先生について
{netabare}
すごくどうでもいい話を一つしますと
エリーゼってお菓子あるじゃないですか。
あれ、白と黒ありますけど
どっちの味がお好みですか?

ちなみにうちの実家では白が大人気過ぎて
最終的に黒だけ残るという現象が発生してましたw

白い晶ちゃん先生…好きです(´∀`*)ポッ
だってx100…なおぼう可愛すぎるでしょーw

黒い晶ちゃんも美味しいなー思って見てたら
更に美味しい白が出てきてホクホクですよ。
{/netabare}

さとわについて
{netabare}
和解できて良かった~
なんていうか昨今は親子の溝が深い作品が多くて
暗い話が多いですよね…でも
それを埋めれるエピソードはやっぱり良いです。
晴れやかな気分で最終回を見終えれました。

あとはチカを陥落させるだけだね!頑張れw
{/netabare}

作画は25話がやっぱ凄いですねー
手書きで演奏を描き切ってます。
演出や表現の工夫もモリモリ。華やかさがダンチ
あと、25話は終始かずさが可愛いですwww

部活物が嫌いじゃなければオススメの作品です♪
1クール目で不良で胸糞になったとしても
最後まで見て損しない作品ですよ!

投稿 : 2024/05/11
♥ : 36
ネタバレ

scandalsho さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

マイナー競技故の・・・

原作未読。最終話まで視聴。

第1クール同様、真面目で、一生懸命で、お互いを思いやる優しさを持つ部員達。
晶の心さえも動かしてしまう、魅力溢れる部員達を描いた、とても素敵な作品でした。

【マイナー競技故の・・・】
筝曲部って、私の母校にはありましたけど、どちらかと言えば、いわゆるマイナーな部活動。
そもそも、琴の演奏自体、日常で耳にすることが無いですよね。
だから仕方ないんでしょうけど・・・。

{netabare}25話の『天泣』の演奏シーン。
とても素敵な演奏で、凄く感動的だったと思います。
ただ、演出が・・・。

明らかに脇役と思しき面々の感想や解説的なセリフが耳障りと言うか・・・。
原作がこうだったのか、アニメ化する際の演出としてこうなったのか?
原作未読組の私には図り知れませんけど、もう少し、視聴者を信用して欲しかった。
姫坂女学院や珀音高校の演奏にしても同様。

まあ、『響け!~』の第2期の第5話を視聴していなかったら、そこまで気にならなかったかもしれませんけどね(笑)。{/netabare}

あれ?「お気に入り」の作品なのに、酷評みたいになっちゃった(笑)。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 35

82.8 9 部活でシリアスなアニメランキング9位
モブサイコ100 II(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 4.0 (474)
2282人が棚に入れました
ごくフツーの暮らしがしたいと願う中学2年生・影山茂夫、通称「モブ」。
一瞬で人混みに紛れてしまうほど、サエない外見をした彼は、
じつは誰よりも強力な超能力の持ち主だった……。
そんなモブと彼を取り巻く人々との青春や恋、静かに降り積もりやがて爆発する数々の感情。
そして、かつてモブの前に立ちはだかった謎の組織「爪」の再臨。
思春期真っ只中の少年の魂が咆哮する、明日はどっちだ!?

声優・キャラクター
伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、佐武宇綺、藤村歩、細谷佳正、國立幸、松井恵理子、楠大典、丹沢晃之、M・A・O、石田彰
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

ねじ式

ボンズ制作、アクションコメディ。

世界は非科学的な怪奇現象で溢れている。
人々はそれらと出くわした時、
成す術もなく恐怖の闇に飲み込まれる。
そんな混沌とした闇と対峙する者たちがいる。
それが霊能力者である。

シュールな笑いと、時々感動。
間違いなく優れたコメディであり、
前作を軽々と超える物語の力に圧倒されます。

霊とか相談所のホームページ作成が、
物語を見事に水平展開させ、
{netabare}舞台は全国に渉り珍道中が始まる。
トンネルダッシュばああは最高のキャスト。{/netabare}

影山モブと師匠霊幻新隆の、
奇妙な信頼関係と2人の葛藤が描かれ、
モブの人間的な成長が物語の軸になっている。
ふと立ち止まって考えさせられる、
不思議な台詞の魅力がありますね。

{netabare}素朴に生きて来たモブに芽生える疑問の数々、
霊にも存在理由があり生者と同等の尊厳がある。
存在神学、真理の非隠蔽性、
それは私たちの感覚を超えて深いものなのだ。{/netabare}
油断していたら不覚にも感動する。
せっせと真理のねじを巻きましょう。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 43

イムラ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

1期の名曲OP「99」MOB CHOIRは高校の合唱部とかで歌ったらカッコいいんじゃないかと思うんです

<2019/4/28 初投稿>
原作は未読。
本作は2期目ですが、1期とまとめてのレビュー・評価です。


ヘタウマと称される作品であっても、人によっては「ただ下手なだけ」「手抜き」に見えたり。
ヘタウマって見る人の感性にマッチするかどうかなのでしょうね。

モブサイコ100、私はピッタリハマってしまいました。

その絵柄・キャラクターデザインは至ってシンプルで見ようによっては雑とも。

でも表情は豊か(←ここものすごく大事)

どこかで見たような絵なのに、どれとも似ていない、目だけでもそれとわかる不思議な個性。

さらにこれをアニメ化したbonesの力量が相まって高品質のアニメに仕上がっています。

物語も
「もしモブキャラのように地味な男の子が超絶超能力者だったら」
という一見シンプルで底が浅そうなお題をうまい具合に膨らませてます。

こういうのをセンスの塊と言うんだろうな。
ONEさん、すごいわ。


主人公は地味だけど心の優しい少年・影山茂夫(シゲオ)。
茂夫の音読み+モブキャラのように地味なことから通称「モブ」と呼ばれています。
実はモブにはものすごい超能力(と霊能力)があります。
周囲にはその能力をひた隠しに隠して・・・というわけでもないようですが、いかんせん陰が薄くて中学のクラスメイトは誰も気がついていない 笑。

そんなモブが強さを発揮する爽快感と熱いバトルを味わう作品であり、

モブの師匠(?)の霊幻新隆(れいげんあらたか)やクラスメイト、超能力者達、"エクボ"などの悪霊、変な敵達など味濃いめのキャラの皆さんを楽しむお話でもあり、

そんな人たちに囲まれたモブの成長物語でもあります。

よくよく考えてみると、やはり今期放送された「ブギーポップは笑わない」といろいろ真逆な作品かもしれませんね。

ブギーポップは箱庭的
モブは一つの点を大きく膨らまして

とか言っても漠然としすぎでしょうか。
(私はどちらも好きです)


本作は物語性とエンタメ性合わせ持つ超優良作品だと思ってます。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 31

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

少年漫画主人公の最前線。スーパーな作画、ひたむきな心!。

 本作は大人気作品ですから私が今更しゃしゃり出る必要はないと思います。本作だけでなくone先生の作品についての分析では「山田玲司のヤングサンデー」で先生ご本人を混じえて解説しているのでそちらをご覧になっていただくのがベストだと思います。


 そこで、今回はモブが少年漫画主人公の新たなエポックだと私は考えるのでここまでの少年漫画の主人公の変遷、その結実としてのモブ、という視点で書いてみます。


 かつて主人公は公明正大な正義の象徴であった。戦前から戦後すぐまでの漫画における主人公は何の影もない理想、道徳の権化といっていいものでした。この主人公像を後年も受け継いでいるのは「ドカベン」こと山田太郎などであります。時代が良い意味でも悪い意味でも邪気なく正義を信じられた時代において、主人公も正にその流れを受け継いでいたのです。


 しかし時代を経るとそうも言ってられなくなってきました。高度経済成長の矛盾、リアリズムを求める作家たちの想い、なにより学生運動に代表されるプロテストの時代がやってくると主人公も変化します。


 アメリカン・ニューシネマの主人公たちと同じように破滅的な程に若い主人公たちが、影のある社会の中で苦闘する梶原一騎に代表される暗い影がある主人公へ、もはやイノセントではない主人公、社会の時代になっていったのです。その代表が「あしたのジョー」の矢吹丈でしょう。


 そんな流れが主流になるも、ニューシネマと同じで10年も暗い話を見てるとお客さんはいい加減ウンザリしてきました。しかも、好景気のビックウェーブが訪れて主人公はまた変化します。80年代以降の二大潮流はイノセンスと不良です。


 80年代少年漫画の主人公の代表は当然歴史的な存在である「ドラゴンボール」の孫悟空でしょう。主人公観が一周したように思えますが、ポイントはこちらはアホという点です。不良もまたアホという点では共通しています。彼等は完璧な存在ではない。彼等はアホだけど、いやアホだからこそ真に重要なイノセンスな持っているというところがポイントです。


 バブルの時代ではもはや努力も影もあんまり必要ではなくなり、純粋さが強調されるようになります。そして強さを正当化するのに「選ばれし者」という視点が重要になります。血縁だったりなんなりで、努力するまでもなく特別な存在という流れが生じてきます。当時ジャパン・アズ・ナンバーワンだった日本としては、自分たちが「選ばれし者」だ、という認識が意識的、無意識的に存在していたからこそこのような主人公が時代を象徴したのでしょう。


 しかし、バブルは崩壊してカオスがやってくるとなかなか主人公像が定まらなくなってきます。混迷の時代がやってきて、もはや少年漫画自体が危うくなってきます。「選ばれし者」であることが呪いであるエヴァのシンジ君のような存在が現れたが決して主流にはなりませんでした。


 そんな中で突如、流星のごとく現れたのがone先生の主人公、特にモブでした。モブは少年漫画の脱構築でありながら、その流れを継承する真に偉大な新たな主人公像だと言いたいのです。


 モブは、冷静でもはや積極的に争うはないし競い合いません。彼等は海賊王を目指したりせず、トーナメント勝ち上がるわけでもありません。これらは「悟り世代」と呼ばれる現在の気分を体現していると言えます。


 なんでそんな競争するの?、なんで大きな夢だの出世だのに血道をあげないといけないの?。「そんなこしてもモテませんよ」。モブにはもはや単純な成長神話を信じていない、信じられない現代の象徴なのです。無条件で信じられていたことに距離を置いて、冷静に分析する脱構築の眼差しがここにはあります。


 では、彼は熱くなれるものが何もないのか?、それでは少年漫画の主人公としてどうなのか?。そこでもう一つの主人公の流れが活きてくると私は思います。それはアウトサイダーとしての主人公という観点です。


 歴代の主人公たち、特にジョジョの主人公たちが典型ですが、ジョナサンを除いてみんな不良であり、学校や社会の外にいるアウトサイダーたちです。しかし、いやだからこそ彼等は黄金の魂を有している。学校や社会に組み込まれて単なる歯車としての「良い子ちゃん」にならない気概なくして黄金の魂は宿せないのです。


 このアウトサイダーの流れは歴代の少年漫画主人公の変遷の中でも変わらず活きています。彼等は決して主流派ではなく例外の存在であり、自分の道を生きているという点では同じなのです。


 そこでモブを見てみると、彼もまたアウトサイダーだとわかります。彼の師匠が霊幻な時点でそれは明らかでしょう。師匠が強くもないし、人間的に完成されているわけでもない、むしろ社会から見ればダメ人間というのが重要なのです。彼は何にも持ってないようで、モブには一番大事なものを持っています。それは「良い奴になれ」という精神です。


 クソみたいな社会、感情が劣化しきった人々の中で、「良い奴」であれ!。コレほど簡単そうに見えて成し遂げがたい、アウトサイダーな生き方が現代にあるでしょうか?。もはや社会が良くなることは殆どありえない、抜け駆け上等な世界の中で、それでも「良い奴」であれ。投げるな、諦めるな、真っ当であれ。


 成功しなくても、夢を追いかけなくてもいい。それよりも出会って深く繋がれた人々に対するリスペクトを、「選ばれし者」じゃなくて「モブ」であっても「良い奴」であることが一番のヒーローなのだ、という主張が彼からはビシビシ伝わってきます。この大人さと気高さ、テーマとエンタメの融合度の見事さは他にはピクサー、近年のディズニー作品くらいしか類例がない見事さです。


 是非とも3期をやっていただいて、あの感動的なラストを早く見たいものです。「良い奴」になろうと努力しあがいてきたモブが最後に救ったものは…。そして、エクボは最高の相棒キャラである。


2019年最高のアニメは本作だと確信してやみません。たぶんラストになる3期は号泣だろうなぁ…。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 27

92.9 10 部活でシリアスなアニメランキング10位
かぐや様は告らせたい?~天才たちの恋愛頭脳戦~(TVアニメ動画)

2020年春アニメ
★★★★★ 4.1 (961)
4424人が棚に入れました
秀才たちが集うエリート校・秀知院学園その生徒会で出会った副会長・四宮かぐやと生徒会長・白銀御行誰もがお似合いだと認める2人の天才は、すぐに結ばれるのかと思いきや高すぎるプライドが邪魔して告白できずにいた!!“如何にして相手を告白させるか"という恋愛頭脳戦に知略を尽くす2人…その類い稀な知性が熱暴走!!もはやコントロール不可能!!恋が天才をアホにする!!新感覚“頭脳戦"?ラブコメ、再び!!秀才たちが集うエリート校・秀知院学園その生徒会で出会った副会長・四宮かぐやと生徒会長・白銀御行誰もがお似合いだと認める2人の天才は、すぐに結ばれるのかと思いきや高すぎるプライドが邪魔して告白できずにいた!!“如何にして相手を告白させるか"という恋愛頭脳戦に知略を尽くす2人…その類い稀な知性が熱暴走!!もはやコントロール不可能!!恋が天才をアホにする!!新感覚“頭脳戦"?ラブコメ、再び!!

声優・キャラクター
古賀葵、古川慎、小原好美、鈴木崚汰、富田美憂、花守ゆみり、麻倉もも、日高里菜、八代拓、青山穣

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

必ず笑える、優しさにつつまれた物語

この物語は、笑いを我慢することができません。
それでいて大切な時には、胸がキュンとなる優しさや純情さをかぐやたちが見せてくれます。
かぐやは見た目で誤解されがちですが、とても心の優しい少女です。
この物語はとても面白く、そして温かい。


この物語の学園には日本の将来を担うエリートたちが入学しており、生徒会副会長の四宮かぐやと生徒会長の白銀御行は、秀才中の秀才です。

二人は、お互いに好意を持っているのですが…
あまりにも恋愛のど素人。恋愛の駆け引きを考えすぎてしまい、自分の気持ちに素直になれません。
それが見ていておかしく、最後は必ず作戦が失敗するので、ゲラゲラ笑えます。

作戦が失敗する理由の大半は、生徒会書記の藤原千花のせい。
彼女はかぐやの親友であり、彼女自身には全然悪気はなく、とても素直な性格なのですが…、空気が全く読めない。
彼女の行動自体、何をするのか全く読めない。というよりも、いつもとんでもないことをしでかします。

この物語は、藤原千花がいてこそ成り立つ物語だとも言えます。彼女はこの物語のヒロイン(?)です。

私は、藤原千花が大好きです。
こんな子が友達だったら…毎日とんでもない目に遭いますが、いつも笑って過ごすことができるでしょう。
どんな悩みがあろうとも、悩みは吹っ飛びます。脳みそも吹っ飛びます。

かぐやも考えすぎず、藤原千花のように自分の心に素直になって(アホになって)しまえばいいのに…

学生時代は人生で一番輝くときです。
後で後悔しないためにも、自分の心に素直になって人生を楽しみましょう。(^_^)


ところで、
私は宣伝やタイトルだけを見て、かぐやのことを、頭脳優秀な令嬢で人を見下す女性だと思い込んでいました。
ですが、実際はバカがつくほどの純情で、無邪気に喜ぶ姿が愛らしく、常に相手のことを考える優しい少女でした。

第一部の最初の頃と比べると、かぐやは見違えるほどアホになり、しかも優しく、可愛くなっているような気がします。(*^_^*)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 70
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

和を以て貴しとなす

種明かしは後半で! 原作は未読です。

面白いと感じる作品には4.0点以上つけていて、自分レビューした作品の5割弱が“面白い”に該当します。『かぐや様』の1期は4.0点ちょうど。
なによりも脇役の藤原書記・石上会計・早坂・そして柏木カップルが良い仕事をするコメディと評価しました。アニソン界の大型新人や劇伴含めた演出のコテコテ感も好感。ただし主役二人はパンチ不足なので4.0点どまり。そんな1期の評価です。

 とにかく場を荒らしまくる藤原
 気軽に地雷を踏み抜く石上
 この作品唯一まともな人早坂
 主役以上にラブしてる柏木夫妻

名バイプレイヤーがいる作品は安心して見ていられる。好評だった1期からそのまま大きく外すことはないだろうとの期待を裏切らず無事完走。1期と同じく全12話の物語。
1期を受けての2期となるお作法について本作は視聴前から方向性は分かるようになってます。
作品サブタイトル~天才たちの恋愛頭脳戦~には取り消し線が引かれ、メインタイトル『かぐや様は告らせたい?』と“?”を追加。
頭脳戦そっちのけで四宮かぐや(または白銀御行)が権謀術数はりめぐらせて相手から告白を引き出したい。もうそれすらどうなのかもはやわかんない。そんな展開が見て取れるタイトルをきちんと踏まえた物語展開をしておりました。こういう細かいところで小粋な仕掛けが光る良品だと思ってます。
キャラでいえば新キャラ伊井野ミコ(CV富田美憂)を追加。真面目で融通が利かずアガリ症という基本スペックがまずありきで、ことごとくタイミングが悪かったり妄想癖が強力にドライブしたりのギャグ仕様。初期メンバーが偉大過ぎるのでやや埋没している感は否めないものの、この作品にはこれまでいなかったタイプのキャラなのでハマれば化けるでしょう。


ここまで書いといてなんですが1期観てからにしてくださいね。元は取れます。
おそらく1期から流れてきた方がこのレビューを読んで頂いていると思います。みなさん評価のUP↑DOWN↓はあれど乱高下してる感じはなく良くも悪くも安定しているなぁというところに落ち着くのではないでしょうか。自分は若干2期の評価を高くしました。
新キャラ増えてもバランスが壊れてないという最低限をクリアしている点。そして思った以上に主役二人のキャラとしての魅力が上昇したことが判断の決め手です。劇伴・主題歌・演出は誤差の範囲としてほぼ1期と同等水準でした。



※ネタバレ所感

■終盤のあのエピソードは示唆に富む?

体育祭がピークの第2期でした。そのピークをピックアップ。

{netabare}もちろん石上がメインディッシュではありますが、その裏で動き回る生徒会メンバーが小粋なのです。

持ちあがりなのに停学が解けてない生徒を調査しビンゴな解を導き出した会長
おそらく裏から手を回しマグロ漁船的などこかへ演劇部荻野を飛ばした剛腕かぐや
もしかするとOB説得プレゼン資料として使われたかもしれないレポート作成の裏方藤原
先生に掛け合いもしかすると高等部進学できないのが濃厚だった石上を救った伊井野

石上を通じてこの5人が5人である意味/必要性みたいなものが生まれたエピソードにも見えました。ギャグやコメディでここまでやる必要はありません。もちろん褒め言葉です。

その上で、、、
会長マジでかっこいい…と惚れる理由がわかります。
かぐやは財閥令嬢だった…と帝王学を身につけた才媛であることを思い出します。
だから書記なのね…とレポート作成スキルの高さを藤原に垣間見ます。
似た者同士じゃ…「過剰なまでの正義感を抱えていた」独白する石上とミコが被ります。

各々の個性も浮き彫りになってたなぁと感じた次第。悪くない。
強い個があってそれが有機的に結びついたことがなにより素敵と感じる第11話でした。これこそがジーコがやりたかったサッカーだったんだと思います(謎)。
とりわけ白銀とかぐやがとったアクションが石上の意向を汲んだものになっていることがレビュー冒頭で主役二人の評価を上げた理由となります。つくづくアタッカー陣とディフェンス陣との意思疎通が取れてればと後悔せざるをえないドイツでもありました(さらに謎)。

{netabare}「何より秀知院には楽しい思い出ばっかだから!」{/netabare}

大友京子のこの笑顔で不覚にも目から汗を流した私です。{/netabare}


■陽キャに光を!

アニメって陽キャに厳しいですよね。陰キャが活躍すれば拍手喝采。アレが肌に合いませんというかリアリティを感じない。某間違ってるかもしれないラブコメアニメなんかもその気あり。面白いんだけどリア充敵視しすぎなのがどうも引っかかる私です。
コミュ障非モテ陰キャラが無双するのがありえないって気持ちもないわけではないのですが本質はそこではありません。そもそも陰と陽は表裏一体。人間だれしも両面持ってるところをことさらにどちらかをデフォルメして、陽キャ=リア充とする風潮が嫌だとぼやいてます。控えめな性格でも本人なりにリアルが充実してる奴なんていっぱいいるだろうに。

{netabare}そして本作。陽キャウエイ系応援団がものすごくいいやつらに描かれている。ここに感動した!誰がなんと言おうとも感動した!だいたい明るかろうが暗かろうが真のリア充はいい奴がほとんどです。{/netabare}

{netabare}そこにちなんで一点。リレーでゴールした石上に駆け寄ろうとするミコと藤原を制止する会長というちょっとした一コマ覚えてます?
生徒会ではなく応援団の面々が駆け寄る間(ま)を作ります。次々と石上に声をかける応援団のみんながほんといいやつだったこともあって、闇落ちしていた石上目線では“表情(目)”が消されていた周囲の人々に顔が戻ってきます。『聾の形』でも使われた演出ですね。
残される後輩のために生徒会以外の居場所を!との想いが白銀にあったとすれば更なるイケメンの証拠固めですがそれはわかりません。白銀のイケメンぶりもさることながら陽キャ=敵とまで思ってたかもしれない陰キャの星石上の心に変化が生じたことがなにより尊い。陰と陽が融合した感が色濃くて素敵なシーンでした。{/netabare}


陽キャも陰キャもなく当人の心だよね心!
…コメディという本筋を充分楽しみながら、不覚にも別領域に心を奪われた私でした。



視聴時期:2020年4月~6月 リアタイ視聴

-----


2020.08.08 初稿
2021.03.13 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 66

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

コメディーは皆で笑いたい。藤原書記は今日も輝く。

 みんな大好き、かぐや様の2期。私は本作を海外勢とリアルタイムで追いかけた感じでした。


 コメディー作品は、一人で見るよりやはり大人数が一緒に楽しんでいる!という体験込みで面白い(疑似だが)。コメディー映画なんか特にそう。


 1期と変わらぬ面白さでしたが、すでに前にある程度キャラを紹介できたので、本作ではラブ度が増し、キャラの掘り下げや遊びの要素を入れる余裕も出てきて横綱相撲な見事さでした。


 個人的には2話がベストだった気がしますが、それ以降の回も実に安定していた。ただ、1期もですが終盤無理にシリアスにした感があって全体のトーンと少しズレていた気もしました。だが、全体的に面白かったから良し!。


 本作の魅力は何か?。それはひとえにキャラがみんなしっかり魅力的、というシンプルな理由につきると思います。キャラに対する愛情は必ずこちらにも伝わるものである。


 特に白眉はやはり藤原書記だろう。プリキュアでも大活躍したのは伊達じゃない。自由に暴れまくり、ボケにもツッコミでもずば抜けている。悪魔のようにクレイジーで、マシュマロのようにフワフワ。


 本作が嫌味のない、ギャグ強めのラブコメとして見事に機能しているのは彼女の力が大きいだろう。プリキュアに続いて影の主役と言っても言い過ぎではない。


 本作の作劇は他の作品も参考にして頂きたい。ギャグはどうすればいいのか?、キャラは無計画にやたら出さないで、出すからには愛情を注いで無駄にするべからず。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 61

75.2 11 部活でシリアスなアニメランキング11位
ドメスティックな彼女(TVアニメ動画)

2019年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (471)
2023人が棚に入れました
幼いころに母を亡くした高校生・藤井夏生は、高校の教師・橘陽菜へ密かに想いを寄せていた。叶わぬ想いと心の中へ押し込み、ふと誘われた合コンに参加した夏生は、そこで出会った橘瑠衣と、なりゆきで初体験をしてしまう。そんなとき、父が再婚することに。父の再婚相手と一緒に夏生の目の前に現れたのは、なんと陽菜と瑠衣だった……。ひとつ屋根の下で暮らすことになった3人の、ピュアで禁断過激な三角関係がスタートする。

声優・キャラクター
内田真礼、日笠陽子、八代拓、佳村はるか、小原好美
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

昼ドラ好きでしょ?ほらほら認めちゃいなさいよ

原作既読


実は今期(2019年冬クール)で一番の期待株。ドロドロした恋愛ものを安定供給する週刊少年マガジンから旬な作品が届きました。
原作は20巻超え(2019年4月現在)で完結してませんので、区切りいいところで切り上げてくれりゃいいやと広い心で待機です。

高校生ナツオ♂くんは同じ学校の新任教師ヒナ♀先生に密かに恋心を抱いてる。
高校生ナツオ♂くんがその日合ったばかりの子ルイ♀と成り行きでヤっちゃう。
高校生ナツオ♂くんの父親が再婚相手として連れてきた相方さんの連れ子姉妹がヒナ♀とルイ♀でした。
かくして家族になった3人が平穏無事なわけもなく・・・ 

家庭内(ドメスティック)の彼女さんということで、どう転んでもドロドロの愛憎劇待ったなしの状況です。
恋愛ものは心情描写が肝だったりしますが、そこらへんはどうなんですかね。ある程度リアリティを担保しとけば残りは、

 荒唐無稽な設定に全力で踊るキャラ達

を堪能する。身も蓋もない言い方すれば、

 {netabare}昼ドラ act by 高校生{/netabare}

を満喫する。の心持ちで臨めばイケると思います。殺人なしの火サスと置き換えてもいいかもしれません。船越英〇郎氏の出番です。そこに元妻共演するくらいにとろみのある仕上がりでした。
渋谷・恵比寿を背景に椎名林檎リスペクト系と勝手に私が思い込んでいるOPが昼ドラ感に拍車をかけます。
{netabare}あのスクランブル交差点の真ん中でピアノを弾いてる唇が色っぽい女性はいったい誰だったんでしょう?{/netabare}


原作の一巻からわりと忠実に作られてたのは好感でした。
出合う女性けっこうな確率で主人公♂に好意を寄せる展開をハーレムと捉えるかはご自由に。繰り返しになりますが、昼ドラを高校舞台にやっちゃうところが面白い作品です。
ただし視聴者ウケはどうなんでしょうか?
{netabare}・主人公がどっちつかずで優柔なだけじゃん
・ヒナ生徒に手を出しちゃだめでしょ
・ルイ一緒に風呂入るとかエロ見せたいだけじゃね?
・シュウさん不倫野郎がなにいい人ぶってんだよ
・モモただのヤリ〇ンじゃねーか{/netabare}
一人くらいは「こいつダメ」と自分に合わないキャラ・不快なキャラを見つけられるのではないかと思います。
リアタイでのそこそこボロクソなつぶやきも肴にしながら全12話完走しました。私は満足してます。

不満があるとすれば、もっと“内面のドロドロとした心情描写”を期待してたこと。そこは原作よりパワーダウンしたかしら。
そのくらいで、『ただのエロ』ではない “どうしようもできない自己矛盾の言動” は描かれてたと思います。恋って愚かで素敵です。


■評価する理由
処女性を尊ぶアニメが多いのでたまにはこういうのもいいよね、が一点。
行動の不整合は「だってリアルだとそんなもんじゃん」を評価する、が一点。
設定は荒唐無稽な感じがしますのでフィクションと俯瞰して見ることができます。コッテコテの修羅場はノゾキ趣味に最適。艶っぽい描写もあるので下世話な視線で視聴するのも悪くないですが、描かれている人間は等身大です。

あり得ない行動にも背景がある
なんでそんなこと言っちゃうの?には心情が見える

「はあ?なんでそうなっちゃうわけ?」
キャラがおかしい言動をした時にその前後関係や人物相関で見えてくる部分はけっこうありました。こう見えて「惹かれる」「抑制する」「嫉妬する」「我慢できない」「傷つく」が丁寧に描かれた良作だと思います。



■ウケないキャラ造形
主要キャラだと、文芸部長の葦原美雨(CV小原好美)と夏生幼馴染の栗本文哉(CV江口拓也)くらいじゃないでしょうか。
藤井夏生(CV八代拓)、橘瑠衣(CV内田真礼)、橘陽菜(CV日笠陽子)、柏原もも(CV佳村はるか)らは済ませるものは済ませてます。

{netabare}「知ってる人は知らない人を見下すようなこと言うじゃん?」1話ルイ{/netabare}
{netabare}ルイが誘ったのもナツオが受けたのも元はと言えばヒナの煽りでした。二人が背伸びする気持ちわかるでしょう。{/netabare}

スタートラインに立ってからの物語です。済ませるもん済ませてるからこそ理性と欲望の揺れ動きに説得力が出てくる。
表面上のエロい部分は童〇ホイホイの側面があるし、一方で〇貞は直視できない男女のどうしようもなさの側面もあったり、パラドックスを抱えてたんじゃないかと思います。そういう背景もあって葦原さん、文哉、アレックスが安パイの憩い役として貴重な存在でした。


■ご都合展開カモン
気になったのはこれくらい
{netabare}・墓石に「南無阿弥陀仏」(笑) 原作では「藤井家」だったような気がするが。
・ヒナが一人ナニしてるのを目撃した翌朝。ヒナの左手のズームに顔を赤らめるナツオだが、そこは右手でだったような。
・修学旅行中なんだしカーテン閉めようよ。いや花火見ながらの魅力には敵わなかったか、無念。{/netabare}


■ラストはけっこう好き
ありきたりですが。
{netabare}絶望を創作に繋げ、魂削って小説を仕上げるのっていいですね。やっとナツオがひと皮むけた気がする。{/netabare}
{netabare}振り返ると最初の小説読んだヒナはナツオの想いに触れナツオに傾いてくし、ルイはナツオのヒナへの想いに打ちひしがれる。作品の重要箇所に小説あり。{/netabare}


愛憎劇昼ドラ系アニメって他にあるのかな?
ピュアっピュアなものの合間に箸休めで鑑賞したくなる作品でした。



※オマケ
その1 流されない男子は素直に尊敬します
{netabare}ナツオの理性の防波堤。モモの家で踏みとどまったのは偉いというか凄いな。{/netabare}

その2 脚本に渡航さん
{netabare}5.7.9話を担当されてたようです。回毎どうこうというよりもキャストに江口拓也さんがいる時点でもうねww 
祝!俺ガイル3期決定!{/netabare}



-----
2019.09.16追記


視聴時期:2019年1月~3月 リアタイ視聴


2019.04.06 初稿
2019.09.16 追記

投稿 : 2024/05/11
♥ : 57

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

「少年漫画誌掲載でそこまでやりますか」的な、流石の流石景原作アニメ。

略称:「ドメカノ」。原作は「週刊少年マガジン」掲載で、2019年1月現在だとコミック単行本は21巻まで出ています。

原作未読で第1話冒頭をみると「???」な疑問符だらけの流れで本作品は始まります。少年漫画誌掲載作品では暗黙の禁忌とされているっぽい、現役高校生と現役教師の恋愛も扱う異色作品となっています。

本作品のポイントのひとつは主人公の藤井夏生(ふじい なつお)とヒロインである姉妹の橘陽菜(たちばな ひな)、橘瑠衣(たちばな るい)の一般的に見れば非常識な行動、そして夏生の父親である昭人(あきひと)や姉妹の母親である都樹子(つきこ)の倫理観とのギャップでありましょう。
(親世代目線で子供たちの行動を考えると、いろいろと頭おかしい作品です。)

おそらく今回のアニメ化範囲には含まれないであろう21巻の半ばくらいで、主人公の藤井夏生(ふじい なつお)はある女の子から「そんなの… そんなの不潔よー!!」と言い放たれていますが、実際夏生くんの行動遍歴をかいつまんで考えるとそう言われても仕方がない主人公なのであります(笑)。

本作品は、一応は「ハーレムラブコメ」になるんでしょうか。でも場面としてのコミカルな要素はあっても、ストーリー的にあまり「コメディ」要素は無いような気もするんですよね。

ナツオ視点で視ると特に序盤は少年漫画、中盤以降あるいはヒナ姉視点で視ると青年漫画っぽくもあり、ルイ視点で視ると少女漫画っぽくもあるハイブリッド作品と言えるかもしれません。

このレビューを書いている時点(第3話まで放送)では、原作コミックスでいうと2巻の冒頭1/5くらいのところまで進んでいる感じですね。ストーリーはこの第3話までほぼ原作準拠と考えて良いと思います。このアニメ化で原作をどこまで消化するかは不明ですが、おそらくは原作8巻あたりの区切りがよさそうなところで適当に終わるのではないかと思います。

なお、巷ではクズだのゲスいだの言われている気がする主人公の夏生くんですが、実は私は嫌いではないです。

というか、ストーリー自体を俯瞰してみるとそのように言われても仕方がないとは思うのですが、彼自身はきちんとモテ要素を備えているとは思います。

余談:
原作者の流石景先生は、同じく週刊少年マガジン連載作品を描いている瀬尾公治先生と並んで「少年漫画誌であるマガジンでメロドラマ的なドロドロの恋愛マンガを描く」という流れを担っておられる漫画家であります。

奇しくもお二人ともマガジン本誌で「袋とじ企画」として本編コミックス単行本には含まれないエロシーンを含む漫画を複数回掲載したという共通点がありますね。

余談その2:
原作は序盤が終わると以降は意外と「出版業界マンガ」でもあったりしますが、アニメの尺ではその辺はあまり描かれずにスルーされるような気もします。

2019.2.2追記:
第4話にて、原作でも笑ってしまった「あんパンと牛乳」がアニメでも再現されました。当事者が直接対面してしまうという意味では、実は意外にもドメカノ初の修羅場回。

2019.4.1追記:
第12話(最終回)まで視聴終了。

原作でいうと7巻までのエピソードを消化して、アニメの最終回をうまくまとめるために8巻からエピソードを拾ったという感じでしょうか。

たぶん続編は作られないとは思うのですが、この終わり方なら作ることになっても今回出さなかったキャラについて適当な登場エピソードを設けて、うまく軌道修正はできると思います。1クール作品としてはうまく纏めたのではないでしょうか。

ちなみに私は瑠衣派か陽菜派かでいうと、陽菜派です。(← たぶん少数派)
もしかしたら、私はけっこうダメ人間が好きかもしれません…。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 54
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

そのままゴール!!!ゴラッソォォォ!!!アニメ化も決まったぁぁ!!!

事前情報ほとんどなしで視聴

お話のざっくり概要
合コンで中抜け誘われてほいほいついてったら
「ここで私とHしてくんない」
いきなりの事後から始まる物語。そして二人は家族になる…
そんな感じ

開幕から飛ばしてる作品っすねw ブラつける所、妙にリアルでエロかった
タイトル名から察するに義姉、義妹と
すったもんだの末、最終的にどちらかと付き合う流れなのかなー。

ひなちゃんの方が好み。日笠のくせにかわいいとは生意気だ(ビクンビクン)
でも{netabare}あんなに大量にビール飲んでたら将来絶対デ…おっとこれ以上いけない、"わがままボディ"になってしまうと思うから{/netabare}将来性は、るいちゃんの方が良いかと。

登場人物について一話時点での感想
{netabare}
なつお…なんか小説書いてるのかな?なろう系なんかな?
ひな……泣いてたし、絶対付き合ってる彼氏に何かトラブルが出てるんだろうと思った。
るい……大人になりたいって言ってたのは、母親かひなに関連してるんじゃないかな
父親……いや相談の来週に中古家買うって、ちょっと息子の事ないがしろにしすぎなんじゃ…
母親……なんか元夫の文句ばかり言ってたってフラグ立ててたから、元夫が登場する流れかな?
メガネ…名前わかんないけど、たぶん説明役だね。ご愁傷様。君は一生女性に縁がないよw

性描写あるくせになんか淡泊な表現なのよね。
まぁその方が逆にエロく感じる不思議w
{/netabare}

2話感想
{netabare}
なつお…意外にめんどう見は良いっぽい。天パが悩みらしい。
ひな……なんかこじれてるっぽいね。相手の浮気とかかな?
るい……ぼったくりバーのキャバ嬢。お風呂一緒ってどんだけ自分の体に自信あるんだw
父母……なんでチャイム鳴らしてんの?23時なんだし鍵開けて入って来いよwおかしいでしょw

合コン抜けてヤってたのは友人連中にそのうちバレるんじゃないかなー
一緒に暮らしてるのもそのうちバレそうw
{/netabare}
3話感想
{netabare}
なつお…先週も思ったけど、ショートコントの才能あるよ。小説家やめて俳優なろうw
ひな……やっぱ不倫だったか。なんかそんな気はしてた。なんかその内、なつおとヤりそう…
るい……先週気づかなかった、玄関ではスリッパ脱いで。パジャマ姿かわいいけどくつろぎ過ぎぃw
メガネ…すげーいい奴。こんな出来た友達いないぞ。妄想では美化しすぎだけど、中身は確かに良い。
父母……あんたらギャグ要員なん?
津田……味のあるオカマ?インパクトあるw なんかオカルティックナイン思い出したw

メガネ家族すげー遺伝子だな。家族全員いい人。
あんなうざい友達の悩み相談に真剣に付き合ってやって、且つ家にも泊めてやるなんて
おいらだったら、女連れ込んだ時点で叩き帰すけどなーw
{/netabare}
4話感想
{netabare}
なつお…小説家ってやっぱなろうなのかな?問いただす時の言葉がかなり稚拙に感じた。
ひな……るいなつおの行動に感化されたんじゃなく、流れで別れてそうだからもう一波乱ありそ
るい……ナニコレ昼ドラみたいw 普段は表に出さないだけで感情の起伏が激しい娘なのね
しゅう…ゲスの極み的なすっごいクズ男。頑張って卒論書くからヨリ戻そうとか言ってきそう
津田……修羅場の見れる喫茶店www 商魂たくましすぎぃ! いくら払えば行けますか?
それにしてもナポリタンうまそうね。
{/netabare}
5話感想
{netabare}
なつお…あの状態から我慢するなんて、やるやん。もっと流されるダメ男かと思ってたから見直した。
るい……誰と付き合うかは私が決めるってスタイルかっこいい。なつおにも見習って欲しい
もも……すごい人数www 肉食系にもほどがある。ただかなり不安定な精神なのかも?

看病部分で理解不能な出来事が起こりました。
{netabare}
ヒロインが風邪で倒れる →ごく普通のイベント
それを主人公が看病する →定番だよね
なぜかその日に限って他の家族の帰りが遅い →よくあるよね
着替え&体拭くから手伝って →まぁここまでは良くあるパターンなので理解できる
{netabare}
座薬入れる → 理解不能wwwww 予想の斜め上どころか遥か上空の大気圏レベル
{/netabare}

なんだろう…んーと、とりあえず普通の予想は超えてくる作品だとはわかりました。
{/netabare}
{/netabare}

ギャグとしては面白いけど、恋愛ものとしてはまだいまいちわかんない。
まぁメインの3人も、今自分の気持ちが見えてない状態で、
新キャラのももが気づかせてくれる存在になるのかなと
細かい感情の動きよりは、インパクト重視な点が週刊連載物っぽいですね。
多分、次のページめくった時のインパクトとかを重視してるのかなと…
これが少年誌って事に戦慄を覚えますけどw

~8話まで
{netabare}
予想が外れて、ももはあんまり絡んでこない…

くずお…こんなやつもう名前で呼ぶ価値無し。絶対コイツ二股するよ!(断言)
るい……掌クルックルしちゃうけど、かわいいっすw正直ひなより好きになったw
ひな……ちょっと素直なった。一人暮らし始めたら、くずおとズブズブな関係なる
津田……キャーふんどし!サイコー!素敵☆ このアニメのメガネとの双璧の良心♪
{/netabare}
やっぱマスター出てくるとギャグとして面白いわぁー マスター観たいから観てるまであるw

~10話まで
{netabare}
浮気現場抑えられるの図
やっぱ、くずおだった。るいを泣かせるんじゃねー!グーパンものですぞ。

くずお…嘘ばれた際にさらにさらっと嘘重ねるこれぞくずおの鏡。そもそも嘘つくなら根回ししとこ。
るい……やっべ超かわいいです。メガネが「くずおなんかやめてさっさと俺と付き合えって」行くしか
ひな……食事の合間にキスするってどんだけー。なんか学校でもしてるし。バレる予感しかしない…

んー、そうだなぁ、るい、ひなは男を見る目が無い。
(母親も元夫はひどいやつだったらしいし、遺伝なのか?)
メガネにしとこ。絶対、大事にしてくれるよ。
くずおもすぐバレるような嘘つくんじゃないよ。あれ、ももにも根回ししてないでしょ?

自分だったらもう少しマシな嘘をつくよー
{netabare}
くず「実は今ヒナ姉の料理の味見に付き合わされてるんだ」
くず「ヒナ姉からは特にルイと月子さんに内緒にしといてって言われたんだけど、」
るい「どうして内緒なの?」
くず「隠れて練習して二人を驚かせたいんだとよ。だから俺から聞いたって事は内緒な」
るい「そっか…それなら仕方ないね。ヒナ姉の料理じゃ大変。胃腸薬用意しとこうか?」
くず「そこまではいらないよ。だからまぁちょくちょくそっちで食べるよ」
{/netabare}
ってな感じで嘘と真実を少しずつ織り交ぜた上で内緒にする事を相手にも同意させるんだよー
ん?くずお感がマシマシになったって? 大丈夫、どっちにしろくずおだからw
{/netabare}
るいちゃん、すごい可愛い…

最終話まで
{netabare}
え?これで終わり??2期こないの?
んー、原作買えって事なのかなぁ…でもこれをレジに持っていくのはへたなエロ本よりも恥ずかしいかもw

ラマンのマスターもこれが見納めかぁそれにしても入れ墨すごw 銭湯入れちゃうのかよ!
やっぱメガネすげーいいやつ。こんな親友なかなかいない…

くずお…受賞おめでとー(棒読み)
るい……嫌いになる言ってたのに、今度はそっちがずぶずぶなるんかぁぁい!(でもるい可愛いw)
ひな……やっぱりバレたね。フラグ立てまくってたし…、多分くずおが粘着ストーカーになりそう
父母……んーあんたら最後までギャグ要員の域を出なかったね。

ラマンのマスターが超お気に入りっす。今期1位のお気に入りキャラですw
おっさんのふんどし姿でテンション爆上げしたのは初めてかも?

座薬とか、女性のもなぴーとか中々無い所に突っ込んできている作品で
原作は少年誌だけど袋とじらしいっすw 一体どこにいくつもりだマガジンwww
でもこのチャレンジ精神は嫌いじゃない!
{/netabare}

OPの曲めっちゃ好きです。はよ買わないと…
それにしてもCMのインパクトが強すぎて大爆笑してしまったw

見終わっての感想としては明らかに物語は途中なので
2期欲しいなーと思った次第。もっと見たかった。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 38

77.5 12 部活でシリアスなアニメランキング12位
BEASTARS(TVアニメ動画)

2019年秋アニメ
★★★★☆ 3.8 (352)
1529人が棚に入れました
肉食獣と草食獣の共存する世界。食肉が重罪とされるなか、名門校・チェリートン学園で演劇部の生徒が食い殺される“食殺事件"が起きる。犯人は見つからず、不安に揺れる生徒たち。そんな中、演劇部では死んだ生徒の代役を巡っていさかいが起きる。次期『ビースター』候補とささやかれ、演劇部のカリスマ的存在であるアカシカのルイに、逆恨みをした肉食獣の部員が襲いかかったのだ。それを庇ったのは、照明係の二年生・レゴシ。『鋭い爪』や『大きな体』など、強そうな外見とは裏腹に、心優しく無口で不器用なオスのハイイロオオカミだ。だが、当のルイはそんなレゴシを偽善的で気に食わないと言い、強引に夜間練習の見張りに任命する。夜。誰もいない講堂裏の裏庭で、ひとり見張りをしていたレゴシの前に現れたのは―――小さな白いドワーフウサギの女子生徒・ハル。その匂いを嗅いだ瞬間、レゴシの体を本能が駆け巡る。我を忘れて襲いかかり、気付いた時には、彼女を両腕に抱きすくめていた。腕の中で聞こえる鼓動が自分のものか、彼女のものかもわからない。しかしこのハルと、そして自分の本能との出会いが、静かで穏やかだったレゴシの人生を大きく変えていく。彼女へのこの感情は、恋なのか? それとも食欲なのか?オスとメス、肉食獣と草食獣。それぞれの痛み、そして強さや弱さに直面しながら、悩めるレゴシの青春がいま始まった―――

声優・キャラクター
小林親弘、千本木彩花、小野友樹、種﨑敦美、榎木淳弥、内田雄馬、大塚剛央、小林直人、下妻由幸、岡本信彦、落合福嗣、虎島貴明、渡部紗弓、室元気、井口祐一、原優子、兼政郁人、大内茜、山村響、あんどうさくら、大塚明夫、星野充昭、堀内賢雄

フィリップ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

本能に抗え

アニメーション製作:オレンジ、
監督:松見真一、脚本:樋口七海
キャラクターデザイン:大津直、
音楽:神前暁(MONACA)、原作:板垣巴留

しょう油顔、ソース顔という
男性の顔の方向性を表現する言葉があった。
「顔」は、ある意味、その人そのものであって、
私たちは一生逃れることはできない。
自分の顔が気に入らなくて整形を繰り返す人もいるが、
結局は自分自身を覆う「何か」は、
死ぬまで付いて回る。

そして「草食系」「肉食系」という
人間の生態や性格を指す言葉もある。
これは、努力によって変えることが
できるものかもしれないが、
もしそれが動物のことなら、
遺伝子レベルのものから逃れることは不可能だろう。

BEASTARSは、動物を擬人化した物語。
登場人物は全員が動物の設定のため、
本能から逃れることはできないはずだ。
しかし、それでも自分の想いを実現させようと
抗い続け、挑戦し続ける者たちがいる。
これは、何かの業に縛られた者が、
「想い」の力によって大切なものののために
本能を飛び越えようとする
信念の物語ともいえるだろう。

物語の中心は演劇部に所属する
ハイイロオオカミのレゴシとアカシカのルイ。
彼らは、自分たちの宿命から逃れるために
想いを募らせていく。
レゴシはドワーフウサギのハルを好きになったことで、
自分の本能について深く考えるようになる。
一方、ルイは肉食、草食という動物社会における
地位の格差について変革を起こす野心を抱いている。
これは人間社会に置き換えるなら、
民族主義的な部分で将来を嘱望されている黒人と
ずば抜けた才能を持った白人によって繰り広げられる
戦いの物語という構図になるのかもしれない。
ただ、これに動物の「本能」という宿命を
付加させることで物語を興味深いものとしている。

レゴシとルイのそれぞれの葛藤を演劇によって表現した
3~4話で物語の深みに引き込まれる。
草食獣の代表として地位を掴み取ることが
悲願であるルイ。そして、オオカミの本能と
自身の平時における性格の違いに戸惑うレゴシとの
対比が実に上手く描かれている。
さらに、ほかの動物たちの思惑も絡み合い、
複雑な様相を呈しているのは、
まさに人間社会そのものだ。

学園内で起こった重罪とされる食殺事件、
動物社会で草食獣が「BEASTAR」に選ばれる意味、
肉食獣、草食獣が共存する世界における
政治家たちの思惑と現実、
レゴシの内面を覆いつくす真っ直ぐな想いと
正しい行い、そして恋心。
さまざまな要素が溶け合って、
あまり今まで味わったことのない
複雑な感情が湧き上がってくる。

人間たちの奥底にある様々な感情を
分かりやすい形で炙り出した群像劇。
続編も決定しており、まだまだ途中なので、
高評価するには早い段階だが、
起承転結のある優れたシリーズ構成によって、
挑戦的な作風を1クールでしっかり見せてくれた。
ジャズを意識した劇中曲やOP、
そして数種類用意されたEDも聴き応え十分。
これまでにない新しいアニメーションを
紡いでくれるのではと期待できる。

草食獣と肉食獣が共存する新しい地平。
それは、どこかにあるのだろうか。
(2020年3月7日初投稿)

投稿 : 2024/05/11
♥ : 54
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

人間の条件

板垣巴留原作、制作オレンジ。

擬人化された動物たちの物語が、
メジャー少年誌の看板になる。
その時点で物語に一定の力があるのだろう。

17歳、肉食獣のハイイロオオカミ、
身体は大きく繊細な心を持つ主人公レゴシ。
彼は肉食獣としての生き方に葛藤している。

興味深いのはよくある、
少数・多数や、勝者・敗者の関係性ではなく、
肉食と草食で対比している点だ。
この気持ちは「恋」なのか!?の後に、
それとも「食欲」なのか!?が配置されている。

当然、共存する社会の在り方や、
本能の抑制、倫理の確立が問題となる。
僕は単純に擬人化された物語は苦手である。
しかしながら擬人化した理由があるはずだ。

4話視聴追記。
人の持つ機敏な「感情表現」が、
あまりにも豊潤に表現され伝わる。
演劇内演劇の入れ子構造が様々な仕掛けを生む。
{netabare}捕食する側と捕食される側の論理。
否が応でも「他者」を考えさせられる。{/netabare}

最終話視聴追記。
レゴシに称賛を贈らねばならない。
落ち着いた声が素晴らしくキャラに馴染む。
肉食に・草食に生まれた存在意義、
その中で他者とどう分かり合えるのか。
レゴシはきっと見つけたのだ。
本能にも勝る偉大で崇高な感情を。

ここからが勝負どころである。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 52
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

いろいろと生々しいのよ

原作未読


原作者の方。『バキ』を描いてる漫画家の娘さんらしいですね。すげー!
どうやら“動物の本能”を突き詰めたい血筋は変わらないようです。

“本能”を突き詰めすぎてもはやギャグ。荒唐無稽さを楽しむ良質なエンタメ作品を輩出している父。

対して本作『BEASTERS』では

“本能”を突き詰めたついでに社会の矛盾も浮かび上がらせる深みとコクを醸し出す娘。

サムネから想像するに、見た目重視。ケモナー優先。各動物の特性をなぞるかのようなキャラ設定。鳥獣戯画に毛の生えた擬人化ものを想像してました。とりあえず二足歩行させてやることは人間と一緒!みたいなやつです。

全然違いました。もちろん良い意味で、です。
草食動物と肉食動物を擬人化させて、彼らの特性を残しつつもそこに共存している世界を描いた作品。
食物連鎖をガン無視した統治機構を作り、そのための教育を施して理性キープしてますよという表部分と、蓋をしていても肉をどうしても食べたいという本能が見え隠れする裏の部分。その間で揺れ動くハイイロオオカミのレゴシ(CV小林親弘)が主人公です。揺れ動くのはレゴシだけでなく、肉食も草食も関係なく登場キャラたち軒並み葛藤している模様。そもそも本能に蓋をした社会は不健全であり、一見平和な世界そのものが揺れ動いている。そんな不穏さを孕みながら物語は進行します。これが大枠の背景。

そんなシビアな背景を原動力として、肉食動物の中でもそこそこ強い部類らしいハイイロオオカミとは対極の最弱の草食動物ドワーフ種ウサギのハル(CV千本木彩花)との恋物語がメインのストーリーです。一応この世界の恋のルールだったりその他常識については本編でお確かめ下さいね。
とりあえず二足歩行させてみた的な浅さとは程遠いと感じた次第です。


動物もの!?は無条件でパクッと喰いつく層以外でない、むしろ逆で安易な擬人化ものに辟易しているかもしれないあなた! …いいですよこれ。
やりとりされる会話の生々しさは2019年秋期もので断トツです。リアル世界に近いものがあります。そして、肉食と草食の両動物のフィルターを通した独自の世界観は新鮮に映ります。もの凄くファンタジーな世界で繰り広げられる生々しいやりとりと心の機微のリアルさ加減で充分楽しめるかと思います。

本能と理性という二項の対立/葛藤/調整なんて定番のネタでもあったりするので、いい感じでリアル世界の暗喩的なあれやこれやも感じる良作。
言い忘れてましたが、OPは音とアニメーション両方ともこのクールベストかも。ジャズファンク調リズムに乗った手のかかってそうなパペットアニメの組み合わせが素敵な一曲。
これは良いです(小並感) 2期決定したようなので今から楽しみですね。



※ネタバレ所感

■本能を無視すりゃ破綻しますよ

ナチュラリストを無条件で礼賛するほど極論には振れませんが、“自然”の対義語は“不自然”であるという常識(笑) 
この歪んだ世界は変わらずにいられるのでしょうか?

{netabare}レゴシと同族のジュノは「(対肉食への差別が)中学はそんなにひどくなかった」と高校に上がって社会の抱える歪みのひとつに直面。さらに別のシーンでは高校を卒業すれば闇市にも自由に行けることも。
人間と一緒。「お友達みんなと仲良くしましょう」の幼稚園時代から始まって徐々にやっかいな現実に触れていき、社会に出る頃には幼少期のそれは幻想と知る。段階を経て現実を知っていくのです。
ところがどっこい、BEASTERSの世界では幼稚園時代の理想がまかり通る世界。ライオン市長もいろいろ無理して“ライオンは怖くない”イメージ形成に成功したようですが、シシ組との棲み分け等々…蓋をしないとどうにもならないものを抱えざるを得ません。
“みんなと仲良くしましょう”という理想の実現のため歪みが肥大化しきって爆発しそうなのです。{/netabare}

{netabare}「メスは争いが嫌いです。(ジュノ)」に返す刀で「君ほど強欲なメスは違うだろ。(レン)」
矛盾を孕んだ世界を喝破する表現は随所にあるわけでした。{/netabare}



■ロミジュリを凌駕するほど二人を隔てる壁が

{netabare}「捕食者の本能があれば被食者の本能もある」{/netabare}
{netabare}「然るべき関係は体が一番知っている」{/netabare}

最終回で流れたテロップが示唆するところは?

{netabare}肉食草食同士、仲良くやろうという社会の中で、肉食草食同士の交合はご法度という世界観。
前者ですら危うい綱渡りをしているのに、さらにハードルが上がりもはや禁忌の世界。これを打ち破る可能性を秘めてるのがレゴシとハルの関係性ですわな。{/netabare}

どう畳むんでしょう。楽しみでしかありません。



視聴時期:2019年10月~2019年12月   

------


2020.01.23 初稿
2020.07.16 修正
2022.01.23 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 51

67.2 13 部活でシリアスなアニメランキング13位
SHOW BY ROCK!!(TVアニメ動画)

2015年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (416)
2460人が棚に入れました
音楽都市【MIDICITY】。ゴスロリ好きなネコの女の子【シアン】は、通りすがの怪しい音楽事務所社長【有栖川メイプル】にスカウトされる。優等生ウサギの【チュチュ】、ネットギークイヌの【レトリー】、宇宙ヒツジ?の【モア】、3人の仲間と出会い、ガールズバンド【Plasmagica(プラズマジカ)】を結成。バンドで世界の頂点を目指す事になる。
だが、トップバンドへの道は長く険しく、ノリが大事。数々のクセのあるアーティスト達と対バンし、Plasmagicaは少しずつ成長して行く。やがてMIDICITYの音楽シーンを牽引する存在にまで上り詰める・・・かも?
Gonna be a music millionaire!(音楽で億万長者になってやる!)


声優・キャラクター
稲川英里、上坂すみれ、佐倉綾音、沼倉愛美、谷山紀章、内山昂輝、柿原徹也、細谷佳正、潘めぐみ、早見沙織、松井恵理子、宮野真守、逢坂良太、村瀬歩、日高里菜、茅野愛衣、村川梨衣、五十嵐裕美

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

3DCGによる驚異のクオリティのライブパートは必見!(追記アリ

視聴前レビュー

サンリオの音ゲーSHOW BY ROCK!!のアニメ化です
サンリオというと女性向け子供向けというようなイメージが強いですが
サンリオ社内で男性をターゲットにした作品を作ろうという形でスタートしたのがこの企画

しかし出来上がったスマホ向け音ゲーは
音ゲーマニアからすればゆるすぎる代物で
結局居ついたのは元々のサンリオの顧客だった女性客が中心のようです

私自身はアニメ化の話が持ち上がった頃に
アニメ化されるくらいだから面白いのかな?
と少し気になって始めた感じなのですが
音ゲーとしてはちょっと物足りない感じでした

しかし、オリジナルのバンドと
実在ミュージシャンとのコラボバンドと
合わせて20組にも及ぶバンドの奏でる
100曲近い多彩な音楽に強く惹かれて
そのまま継続して遊んでいます

オリジナルバンドの中では
「徒然なる操り霧幻庵」が推しバンド
もともと和ロック大好きなんです

タイアップバンドの中では
植田真梨恵さんとコラボした
「しにものぐるい」が好み

一昔前の音ゲーは曲追加ごとにお金をせびられるものでしたが
全楽曲が無料で遊べるスクフェスのヒット以降
ゲーム内楽曲は客寄せのために無料にして
それ以外のところで稼ぐスタイルの音ゲーが増えています
コレもその一つでガチャを無視すれば
基本無料でだいぶ遊び倒せます

ほんとに多彩なバンドが揃っているので
多分誰でも一つか二つかは琴線に触れるバンドがあるんじゃないでしょうか?
という事でシステムが若干微妙ですが
曲はガチなのでゲームとしては十分お勧めできます

まぁでもそれとアニメが期待できるかってのとはまったくの別問題ですよね
そもそもゲーム内にストーリーと呼べるほどのものは無いので
PVには原作:サンリオなんて書いてありますが
ゲーム原作というよりはゲームキャラを使ったオリジナルアニメだと思っていいでしょう
アニメとして面白くなりそうなのかどうかは
正直全くわかりません

なので個人的な興味はアニメ化によって追加される楽曲にあります
ただし一部ゲーム版とキャスト変更があるようなので
その辺ちょっと心配です

キービジュアルにあるバンド「プラズマジカ」が
OPEDと挿入歌を発売することが発表されています
シアン:稲川英里
チュチュ:上坂すみれ
モア:佐倉綾音
レトリー:喜多村英梨⇒沼倉愛美
レトリーのキャラソン好きだったので
キャスト変更はちょっと残念に思っていましたが
アニメジャパンのレトリーコスのぬーぬーがかわいかったので
なんかどうでもよくなりました(何
まぁぬーも歌唱力の高さは文句ないですしね

中二病バンド「シンガンクリムゾン」は挿入歌一曲発表
クロウ:谷山紀章
アイオーン:柳田淳一⇒内山昂輝
ヤイバ:市来光弘⇒柿原徹也
ロム:丹沢晃之⇒細谷佳正
こちらは大幅にキャスト変更されていますが
ヴォーカルはクロウのみなので特に問題はなさそう

個人的イチオシ「徒然なる操り霧幻庵」も挿入歌一曲
阿:?⇒早見沙織
吽:松井恵理子
ダル太夫:潘めぐみ
ヴォーカルは阿ですが
今まで歌ってたのははやみんではない(と思う)
ので歌手自体が変更になるのか
演技部分と楽曲部分で分ける形で行くのか気になります

シンガンと腐女子人気を二分するゲームの稼ぎ頭「トライクロニカ」
シュウ☆ゾー粕谷大介⇒宮野真守
カイ:逢坂良太
リク:村瀬歩
こちらもヴォーカル変更なのか
演技と歌で分けるのか気になるところ

ゲーム内未実装のアニオリバンド「クリティクリスタ」
ロージア:日高里菜
ツキノ:茅野愛衣
ホルミー:五十嵐裕美
ジャクリン:村川梨衣
ゲームがいまいち男性層の囲い込みに失敗しているので
テコ入れで別路線のバンドを投入という事なんでしょうかw
睦月あるいは延珠
めんまあるいは白
ひなだお!あるいは杏
りえしょんだけは一条蛍くらいしか思いつかないけど
幼女役で名を馳せた声優を集めました!
って感じのユニットなのはわかりますw

プラマジの挿入歌は両A面であるそうなので
OPED+挿入歌6曲?
結構豪華な感じですね
アニメジャパンのステージ観に行った時の話だと
「ライブシーンも結構多い」ということでした
その辺も少し気になりますね

アニメがどんな感じになるのかは
とりあえず来週末の先行上映会行ってみてきますn(・x・

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

一話視聴後レビュー

一話上映会に行ってきました

2等身のミューモン体の3DCGによるバトルシーンと
擬人化verをメインに使った作画で構成される日常シーン
元々のゲームPV内の説明だとテンションが上がると擬人化体になる
という話だったような気がするけどまぁどうでもいいや

第一話なので当り前ではありますが
CGパートも作画パートもクオリティ高いです
でもふたつセットにして説明なく出したら
ご新規さんは混乱するだけだと思うんだよね
なにしろゲームプレイヤーでも展開に置いて行かれそうになったので

今回のアニメ化の目的は男性客層の開拓にある
というような話がアニメジャパンであったので
新規層にやさしい導入が必要だったと思うんだけど
その辺かなり強引な印象を受けました

あとキャスト変更のあったバンドは
歌も変更後のキャストにやらせるみたいですね
元のバンドよりもアニメのキャラソンっぽさが増してる感じ
開拓したい客層を考えるとまぁコレはこれでいいのかな?
しかし今は音楽を題材にしたアニメで溢れているうえ
そうでないアニメからもキャラソンなんかがガンガン出ている時代です
アニオタの嗜好に合わせてしまうと他の作品との差別化が難しくなるので
元のゲームが曲の多彩さ幅広さが売りなのを考えると
そのままの路線を貫いた方がオンリーワンなアピールができた気もするんだよねぇ

とりあえず2話以降も継続して観ていきますが
他人に勧めるならアニメより先にゲームかな?

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

最終話視聴後レビュー

話の大筋は深夜アニメというよりは
夕方に放送される子供向けアニメです
そこに原作ゲーム組や大友向けのネタを
ちょいちょい差し込んだような作りになっています
実際深夜に最速放送されているだけで
そのあと夕方にリピート放送されているので
深夜の客層にちょっと配慮しつつも
基本は夕方アニメだと思えば良いでしょう

純粋に深夜放送のオリジナルアニメとしてみた場合
キャラが多すぎる分掘り下げが足りないとか
何だかよくわからないバトル展開から
なし崩し的にすべて解決する
おおざっぱなストーリー展開とか
色々気になる点は多かったです

ただ3DCGシーンのクオリティだけは異常に高かったです
綺麗にデフォルメされたミューモン体の豊かな表情と滑らかな動きは
3DCGアニメーションとしては最高峰クラスだと思います
制作費の桁が一つか、下手したら二つくらい違うディズニーアニメと遜色ないレベル
これみてるとなんか他の国産CGアニメ(劇場版除く)がものすごく粗悪に見えてきます

あとはOP/EDから挿入歌の数々まで
中々クオリティが高かったのでゲーム組としても満足です
特にED曲のhave a nice music
挿入歌の迷宮Destiny&流星ドリームライン
とプラズマ絡みの曲はミューモンCGによる演奏付きで
すごく良いPV映像だったと思います
挿入曲2種に関しては最終回での使われ方もバッチリ!
あれはバンド演奏シーンで使った曲を
最終回で使いまわしたというよりも
最終回のクライマックスシーンに合わせて作った曲に
あとからCGアニメーションをつけてライブシーンを作ったのかもしれませんね

一応(?)音楽を題材にしたアニメですし
音楽部分がしっかりしていないと話にならないんですが
ゲーム内でもしばらくはアニメ曲がプレイできる形になっていたので
楽曲でアピールして本家の音ゲーへユーザーを呼び込むのにはまぁまぁ成功していたようです

ゲームユーザーの中には
アニメ化によるボーカル変更に抵抗のある方もいるようですが
宮野版シュウ☆ゾー(通称宮ゾー)以外は違和感ありませんでした
宮ゾーもまぁあれはあれで別物と割り切れさえすれば悪くないと思います

一番心配していたのは徒然なる操り霧幻庵でしたが
はやみんの歌唱力が尋常じゃないことを再確認させられて終りました

沼倉レトリーも悪くなかったですね
ちなみに沼倉さんはオーディションで選ばれたそうなのですが
最初呼ばれたのはクリティクリスタのオーディションだったそうで
自分に中学生役ができるか悩んでたところに
後からレトリー枠が追加されたんだそうな
おそらくその間にキタエリからNGが出たんでしょうねw
スケジュール合わなかったのかな?

シンガンに関してはVo変更ではなく追加だったこともあって
こちらは全く違和感なしでした
ちなみにシンガンの曲を作ってるのはボカロPのマチゲリータさん
ボカロ界では割と知られた鬼才ですね
かなりぶっ飛んだ曲を作ってるイメージしかなかったので
正直同じアーティストが作ったものとは思えませんでしたw

アニメではライブパートをもらえなかった
それ以外のグループもちょこちょこ出てきていたのが
ゲーム組には嬉しい演出でしたね
楽屋で一緒になる雫シークレットマインド
MIDICITYの音楽イベント情報を視聴者に伝える
チョイ役の田舎者集団ウワサノペタルズ
トライクロニカの追っかけでライブの最前列にいた豚は
ゲーム組以外はただのモブにしか見えなかったと思いますが
実はドーリィドルチというガールズバンドのメンバーですw

しかし一番優遇されていたのはしにものぐるい
ゲーム内でも特に人気の高いバンドです
アニメに出てきた中では唯一
ゲームオリジナルではない
実在アーティストとのコラボユニットなので
たぶん大人の事情でライブ披露とはいかなかったんだと思いますが
なんと個別回をもらう程の厚遇ぶり
さらにゲームでもまだ出てきていない「つぎはぎ」の擬人化Verが
緑髪のショタキャラとしてお披露目されて驚きました

そんな感じにゲーム組視点でみると
ファンサービスに溢れたいいアニメでした
あくまで純粋にアニメとして評価したので
ストーリーの☆評価は高くしませんでしたが
ゲームの販促映像としてはとてもよくできていました

アニメからのファンをゲームへ誘導し
ゲームからのファンへのサービスも欠かさず
さらに従来のサンリオファンにもアピールできるような
深夜アニメとしては相当マイルドなつくりで
老若男女問わず楽しめる作品になりました
これはスマホゲー原作のアニメとしては
大成功だったんじゃないでしょうか?

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~

11月8日に行われたガールズバンドフェスティバル
昼の部&夜の部ともに参加してまいりました
歌える人気声優がずらりと並ぶ姿は壮観でした

対バンニコニャマの出張版も楽しかったし
各バンドの楽曲が生で聴けて最高でしたが
まぁそれはアニメとはあまり関係ないので割愛するとして

夜の部のラストに今後の展開についての新発表がありました
アニメと関係あるものだけ上げておくと
各バンドをフィーチャーしたショートアニメと
そしてTVアニメ2期の制作が決定しました

キービジュ一枚とキャッチフレーズのみの発表でしたが
その場にいたキャストさんたちにもサプライズだったようで
みなさん驚いていました

これは今後の追加情報に期待ですね!

投稿 : 2024/05/11
♥ : 30

ローズ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

サンリオという固定概念を変える?

女子高生の聖川詩杏(ひじりかわ しあん)は音楽が好きでバンドをやりたがっていたが、ドアの前で勇気が出ずに悶々とした日々を過ごしていた。
ある日、スマホのゲーム世界へ引きずり込まれて異世界へ。
そのまま話の流れでガールズバンド『プラズマジカ』のシアンとして活動する事となった。

第一印象は曲が良くできていること。
『プラズマジカ』だけでなく、『シンガンクリムゾンズ』『徒然なる操り霧幻庵』『クリティクリスタ』など他のバンドの曲も聴き入ってしまうほどの良曲です。
メインとなるのは『プラズマジカ』ですが、個人的には『徒然なる操り霧幻庵』の雰囲気と曲が好きになりました。

普段の姿は普通ですが音楽の演奏シーンとなると2頭身の3DCGに。
どこからが曲のシーンの始まりか分かりやすいように作られています。

ダークモンスターという悪役も出現。
これは音楽を演奏できるミューモンと呼ばれる存在にしか相手ができないそうです。
普通の音楽メインの作品との差異はここでしょうか。
愛用しているギター、ストロベリーハートを使って演奏するシアンの存在は大きいです。

サンリオが原作という事で一抹の不安もありましたが、キティちゃん程度しか知らなかった自分の印象は良い方向へ変化しました。
アニメが放送されていたとはいえサンリオのキャラ人気投票で上位に入る人気ぶり。
自分のようにアニメで印象が変わり人気の底上げがされたのかもしれません。

サンリオやアニメという先入観があると中々視聴しずらいかもしれませんがアニメファンであれば視聴する事に問題は無いでしょう。
キャラだけでなくストーリーもしっかりと筋が通っています。
アニメから入るのもよし、音楽から入るのもよし。
音楽が好きな人におススメできる楽曲が登場する作品でした。


【蛇足】
星型のドラムでしっかりと音が出るのかは疑問です。
まあ、外見重視という事ですね。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 29

Baal さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

青春はNon-Stop!

サンリオによるバンドがテーマのキャラクタープロジェクト、

およびそのキャラクターを用いたスマートフォン向けゲーム

の世界観を元にオリジナルストーリーで展開された作品です。

全12話


女子高校生の聖川詩杏は音楽が好きでバンドがしたく、軽音楽部

部室の前までは行くもののあと一歩が踏み出せずにいた。

そんな時気を紛らわすためにゲームをしていた所その中から現れた

何者かにゲームの世界に引きずり込まれてしまうのだった・・・


サンリオって事であんまり期待しない方がいいよなと考えながら

視聴を始めた作品でしたが終わってみればまずまず良かったのでは

と思います。序盤にいきなり異世界に飛ばされてそこで簡単な話

を聞くうちになんとなくラストまでは予想がついてしまう感じでした。

そのラストを裏切ることなく真正面から音楽の力で全力でぶつかって

来ていい感じに終われたからだと思います。

途中は見ていて張り合いがないというかパッとしないという感じで

シンガンクリムゾンズのメンバーが見せる中二病と顔芸がなんとか

気分を大きく下げなかった様に思います。


元々音ゲーなので数多くのバンド、楽曲が登場しキャラが飽和状態

だったように思います。曲の方はそこそこいいものがたくさんあった

様に思いますが自分の心に入ってくるものは無かったみたいです。

あと二頭身のスタイルになっている時の3DCGがちょっと苦手でした。


全体として全12話の中にまとまりよく話を組み込んでラストも

最初のシーンであったことを活かしつつ、12話の中で起きた出来事

と上手く合わせて丁寧に終わりを迎えていたように思います。

予想は出来ていてもこのきっちりとした終わり方は視聴を終えた時に

スッキリとした気分になれるのでこの終わり方は良かったです。

最後に二度目になりますが顔芸と中二病がいいアクセントだったw

◆個人的点数評価 77.477点

投稿 : 2024/05/11
♥ : 29

69.5 14 部活でシリアスなアニメランキング14位
ましろのおと(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (193)
609人が棚に入れました
「俺の、音――」伝説的な腕を持つ、津軽三味線の奏者・澤村松吾郎。彼を祖父に持つ少年・澤村 雪は、祖父の死をきっかけに、三味線を弾けなくなった……。"好きな音"を失い、アテもなく上京する雪。キャバクラで働く女性「立樹ユナ」に助けられた雪は、ライブの前座として津軽三味線の演奏を披露することになる。雪は、様々な出会いを、想いを三味線の音色にのせて弾く。自分の音を、自分の想いを探しつづけて――

声優・キャラクター
島﨑信長、細谷佳正、本田貴子、麻生智久、宮本侑芽、近藤玲奈、岡本信彦、鈴木達央、梅原裕一郎、畠中祐、三上枝織、梶裕貴、落合福嗣、谷口夢奈、高柳知葉、木村匡也、逢田梨香子、柿原徹也
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

北東北最後のとりで

注) 読み返してみたら内容にあまり触れてないのに気づく。どうかご容赦をば…
原作未読


「僕らが冬の曲書くとなぜか“乗り越えて”“克服するぞ”って色が強くなってしまう(笑)」

『My Desire~冬を越えて』リリース直後にラジオでそう答えてたSLTの佐藤竹善氏は青森の出身。
お隣岩手県民の自分も妙に納得したのを覚えてます。思い浮かぶは厳しい冬が似合う土地柄。雪中行軍といえば八甲田ですし、やはり上野発の夜行列車をおりたら雪の中だったり北へ帰る人の群れはみんな無口でいてほしかったりする私です。

そして三味線。幼少期に近所を回っていた石焼き芋やさんは松村和子「帰って来いよ」がBGMでした。私の冬の記憶。
似たような構造で同じ三本線でも津軽の三味線と沖縄・奄美の三線では見える海の景色が全く違うんですよね。見た目や材質が違うとかさほど問題ではありません。背景となる風土が違うのです。
たぶん三線での『津軽じょんがら節』、三味線での『安里屋ユンタ』に違和感を感じることでしょう。その流れで三味線は津軽の人、三線は島人に演ってもらいたかったりする気持ちわかります?
その地方のエトスが詰まっている楽器がアニメ作品の中でどう扱われているかは見所だったりします。

結論↓

 津軽海峡の波しぶきが見えるアニメ

私にとってはこれだけで充分かしら。原作者の方は八戸出身らしいですね。なんか納得しました。
正直演者の津軽弁は微妙に違和感あったけど、イギリス英語/アメリカ英語ほどではないというかケンタッキーとテネシーの違いくらいの範疇には収まってるので気にせず。皆さんお疲れさまでした。

音と合わせて登場人物。特に青森に所縁のあるキャラたちに共通する

 強情っぱり加減

がいちいち頷ける感覚。そのまま“ごうじょっぱり”と読むわけでしてその字面でお察しください。揃いも揃ってこんなん不器用なのばっかりしかいないのも好印象でした。


音を取り扱うアニメはぱっと思い浮かぶ限り良作ばかりです。アプローチも種類豊富。
作るほうも大変でしょうが本作なりの創意工夫をあえて指摘するなら“風土”です。だいたいここまで述べてきた通り。
和太鼓・和琴など冠に日本がついてるのはいくつかあれど“津軽”みたいに一地方を指してる楽器はそうそうないでしょう。そりゃ濃ゆいわけです。特定エリアに絞られるわけですから。濃ゆい題材を濃ゆいまま表舞台に出した感じ。
OPにもEDにも三味線の音が組み込まれてますし、EDの加藤ミリヤさんなんて歌唱中にそこはかとなく濁音いれてませんでした?

とことんエスニックを楽しんだ良作でした。


{netabare}実は三味線より第2話梅子が唄う『津軽小原節』に最もびっくらこいた記憶がある。{/netabare}



※余談

■青森県民よスマン!

ちょい偏見はいるけど青森新幹線開通はたかだか10年ちょっと前ですよ。
都会からの往来がないので手つかずの東北が残ってるイメージ。いやバイアス?もとい偏見!?

例えばTHEヨーロッパ的な景色がフランスやドイツの旧西側よりもチェコやハンガリーのほうに色濃く残っているように津軽地方には北東北の濃ゆいものが残ってる気がするのでした。
今は夜行列車に乗らずとも新幹線一本で行けちゃいますのでぜひぜひお越しくださいな。


■日本のラテン語

以前、秋田弁がフランス語に似てる~って検証してる番組を見たことがある。
それを受けての以下体験談だが、、、

ヨーロッパをぶらり一人旅してた時、イタリアはヴェニスの水上ゴンドラで青森出身の子と同席したことがある。
目的地一緒で話が弾み、そのうち調子に乗ってずうずう弁でのやりとりに発展し盛り上がってたら途中乗車してきた日本人に

 「Could you take my picture?」

と英語で話しかけられた。

 「Sure」

と快諾し、「はいチーズ」でパチリ。今思いだしてもだいぶシュールですね。



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

-----

2021.06.20 初稿
2022.05.20 修正

投稿 : 2024/05/11
♥ : 40
ネタバレ

かんぱり さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

津軽三味線の演奏に引き込まれます♫

[2021.6.19]
最終話を見終わりました。
中盤以降は三味線甲子園の話になって、この音とまれみたいだなーって思いながら見てて、悪くはないんだけど、このまま優勝とかして終わりはつまらないなぁって思ったり。。
で、最終話なんですが・・すごーく良かったです!ビター展開好きの私も満足でした♪
この物語は雪くんが自分の音を探し求める旅なんだなーって。
雪くんの音は澄んだ綺麗な静かな音。色に例えると白。だから真っ白な音=ましろのおと。
大会の結果は・・{netabare}そして勝ちたいと悔しがり、嗚咽を漏らしながら泣く雪くん。
梅子にとっては残念な結果だったかもだけど、この甲子園は雪くんにとってとても大きなものを得られたんだと思います。{/netabare}
すごく続きが気になるところで終わりましたけど、2期あるのかな?
原作読んじゃおうかな・・27巻もあるけどw
※12話の感想も下にちょっとだけ書きました。

[2021.4.18初投稿]
原作は月刊マガジン連載みたいですが未読です。
作者の羅川真里茂さんは青森出身のようです。

春アニメの視聴作品を物色してた時は、サムネの男の子が暗そうだし、津軽三味線のお話?って感じであまり期待しないで見た作品でした。

澤村雪(さらむらせつ)は弘前の高校生。
津軽三味線の名人で憧れだった祖父の澤村松吾郎(さわむらまつごろう)が亡くなり、自分の音を探すために東京へ行くけど・・

絵は綺麗でいいですね!
舞台は弘前と東京。弘前といえば、ふらいんぐういっちを思い出します。
結構津軽弁でしゃべってるけど大丈夫かな、と思っちゃいましたけどそれも含めてなかなかいい雰囲気です。
キャラデザもクセがなくて好きですね。

なんといっても良かったのは津軽三味線の演奏シーン!!
演奏を聴いていると、なんだかどんどん引き込まれていく感じです。

お話自体もとても面白いし、これは今期の中でもおすすめしたい作品です☆
ちょっと原作読みたくなっちゃいました。

[2021.4.20追記]
原作コミックを2巻まで軽く読んでみました。
演奏ももちろんですが演出がいい意味で渋い感じに変わっててアニメのほうが好きかも。
2話の時点でコミック2巻ちょっとと、カットされたシーンも多く進行ペースもわりと早いんですが、うまく編集し直して良い作品になっていると感じました。

以下、各話の感想です♫

【第一話-寂寞】
{netabare} 雪のシーンが綺麗。
ユナさん親切すぎ。というか強すぎ。
自分をきちんと持ってる子みたいだしやりたいことが見つかればいいよね。
雪くんの津軽三味線すごく良かった♫
配信で見てた子はあとで登場するのかな。
ラストはちょっとギャグっぽくて浮いてたようなwって誰?{/netabare}

【第二話-林檎の花】
{netabare} 個性的な女性は梅子さんといって雪くんの母親なんですね。
梅子に促されて、雪くん演奏と梅子さん唄の競演が始まる。
うわ!唄も本格的っぽくてすごい!
そのおかげで下宿先が見つかって良かった♪
東京の高校に転入した雪くん。
同じクラスの前田朱利(まえだしゅり)が1人で津軽三味線愛好会をやってて。
雪くんの兄の若菜が東京に。
兄弟の距離感がなんかいいな。優しいお兄さんだね。
兄弟で競演した演奏がこれまた素晴らしいです♫
ED見てわかったんですが、この作品オリジナル曲みたいで題名が「アレ」だそうですw{/netabare}

【第三話-驟雨】
{netabare} 朱利さんと一緒にいる子って1話で配信見てた子?
朱利さんが聴いてた祖母が口ずさむ曲を聞いた雪くんは松吾郎の曲に似てると感じて。
祖母の前で演奏して欲しいと頼むけど、雪くんに弾けないといわれて。
青森から来た津軽三味線の神木清流(かみきせいりゅう)のライブ演奏を聞く雪くん。
雪くんに興味を持った神木から、何か弾くように言われて弾くけど、どういう音を聞かせればいいか分からなくて。
雪くんって芸術家肌というか、繊細なんだね。難しいな。
でも、とても大切なことでやらなきゃ後悔するんだったらやります、と朱利さんに言われて松五郎の曲を演奏したいと思う雪くん。{/netabare}

【第四話-春の暁】
{netabare} 青森から送ってもらった松吾郎の「春暁」のカセットテープ。
朱利さんたちと一緒にいた矢口海人(やぐちかいと)にテープの再生をお願いして、矢口宅で聴く雪くん。
でも松五郎のように弾きたいと練習するけどなかなかうまくいかなくて。
永森雷(ながもりらい)に言われた「シンプルであることの良さ」をヒントに、松五郎の音をひとつひとつそぎ落としてシンプルな自分の春暁にしようと思う。
雪くんは朱利さんの祖母の前で春暁の演奏をはじめる。
昔疎開先で聞いた若い頃の松五郎のことを思い出すおばあちゃん。
必死に生きるために津軽三味線を弾いていた松五郎。
松五郎の優くて生きる勇気をくれた音色と同じようなものを雪くんに感じて。
松五郎の魂はしっかりと雪くんに受け継がれているんだと。
なんだか見ててちょっとうるっとしちゃいました。
津軽三味線愛好会を朱利さん、雪くん、山里結(やまざとゆい)さん、矢口くんの4人で活動することになりそう。
それを聞いた雪くんの母親の梅子が津軽三味線甲子園を企画するみたいだけど、青森の雪くんをライバルと思ってる女の子とかも絡んできそうで今後の展開が楽しみです♫{/netabare}

【第五話-合奏】
{netabare} 初心者ばかりの津軽三味線同好会。
雪くんの演奏に感動して少しでもそれに近づきたいと話す朱利さんの言葉。
それは雪くんが松五郎に抱く気持ちと同じような気がして。
顧問が連れてきた神木清流と雪くんの合奏・・・今回もすごく良かったです♫ {/netabare}

【第六話-原郷】
{netabare} OP変わりました・・けど前の曲のほうが三味線入ってたし合ってたような。。
青森に合宿に来た雪くんたち。
聴いてくれる人の反応がなによりの教え、人に聴かせなければ自分の音は見つからない。
松五郎が語った話を聞いて個人戦に出る気になり雪くん。
朱利さんや矢口くんの話も盛り込みながら、全員最後まで合わせて弾けるようになるお話の流れは良かったです♪
ちなみに青森市のは「ねぶた」、弘前市のは「ねぷた」です。{/netabare}

【第七話-風】
{netabare} いよいよ始まった津軽三味線甲子園!
青森の人って独特のイントネーションあるから、なんとなくわかるんだよね。
雪くんって自分の気持ちを表に出さないから矢口くんのイライラもわかる。
でも優勝したいって気持ちは同じなんだって分かってよかった。
けど自分中心なとこは相変わらずなのね(-.-)
団体戦やって個人戦も、となるとそれだけで1クール終わっちゃうかも。{/netabare}

【第八話-音叉】
{netabare} 青森のマイマイのチームの演奏、さすがって感じ。
すごーく雪くんを意識しちゃってるとこも面白いです。
いいキャラしてますね♪
梅園学園が優勝しておしまいって展開はちょっとつまらないので、もうひとひねりの展開を期待します。{/netabare}

【第九話-風花】
{netabare} 梅園学園の演奏、とても良かった!
雪くんがスタンドプレーすることなく、みんなの音を大切にしながら演奏してたのも。
そして結果発表。
うん。物語の展開としては良い結果だと思いました。特別賞もらったし。
メンバーみんながすごく悔しい思いをしてる姿にじんわりきました。
それだけ頑張ってやりきったという思いがあるということだから。{/netabare}

【第十話-山嵐】
{netabare} 青森の赤飯って甘いんですね♪ちょっと食べてみたいかも。
雪くんの父親ってあの人だったなんてちょっとびっくり。
だからマイマイはあんなにライバル視してたのかな。{/netabare}

【第十二話-ましろのおと】
OP、前のに戻りましたね♫やっぱりこっちのほうがいいな。
雪くんの演奏をスマホで見てるユナさんが一瞬写って元気そうで良かった。
感想は上のほうにだいたい書いちゃったので。。
今回みたいな苦味のあるビターな展開は物語に深みが出ていいと思います。
雪くんの今後の成長がとても楽しみに感じたところで1期は幕を閉じましたね。
できれば2期やってほしいけど、津軽三味線という地味な題材だけに厳しいかもですねー。

投稿 : 2024/05/11
♥ : 27
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

音楽と映像の親和性が初心者には嬉しい、津軽三味線アニメ。

[文量→中盛り・内容→感想系]

【総括】
「高校生の部活モノ(和楽器)」ということで、おそらく、多くの視聴者が比較するだろう「この音とまれ!」との比較を、自分もしてみたいと思う。

個人的には、

①ストーリーの深さは互角で、共に○。この音は群像劇で、ましろは一人称小説的なため、好みは分かれると思う。

②(恋愛面含めた)キャラクターの良さなら、この音が圧倒的に良い○。ましろは△。

③音楽的な表現なら、この音は○で、ましろは◎。どちらも良いがましろに軍配。

ということで、総合評価は両作共に☆4。この音はバランスのとれた良作であり、ましろは音楽的な表現や苦悩に特化した良作であると言える。

レビューでは、本作の、特に音楽的に良かったと思う部分を書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
自分は岩手県の生まれであり、お隣、青森県の津軽三味線は幼い頃から身近にあった。ニュースとかで音色を聴く機会も多かったし、なにより数年、津軽三味線の本場、弘前市に住んでいたしね。

その上で言わせてもらえば、「三線(沖縄)の方が圧倒的に好き(笑)」。

なんか、魂が震えるんだよね、三線の音色(HYとかBEGINとか、沖縄民謡とか、全部好き)。穏やかで柔らかい響きは、南国の景色とよく似合う。一方、津軽三味線の張り詰めた緊張感と力強い響きは、雪国の景色とよく似合う(実際に演奏方法も全く違い、津軽三味線は打楽器に近い性質を併せ持つ)。

私が津軽三味線より三線を好きなのは、単に私が雪国出身で、雪景色の美しさだけでなく、雪道の運転や雪かきの大変さを嫌っちゅう程知っていて、南国に憧れがあるから(とはいえ、住んでみれば南国には南国の大変さはあるのだろうけどね)。

津軽三味線は、雪国を表現する楽器。

ということを感じるくらい、本作の津軽三味線の演奏と、アニメ演出はスゴい。色々な音楽系のアニメの中でも、ここまで、「音色」「解説台詞」「映像」に親和性を感じる作品は、そうない。

音楽のプロの方々なら、「音」だけで「色」を感じられるのだろうけれど、私のような素人には、「言葉」と「映像」があって初めて感じられる。アニメが総合芸術であることがよく感じられる作品だったと思う。

冬景色には、きちんと冬っぽい音が鳴る。春の訪れも音色で感じる。松吾郎風(雪の前半)の演奏には、老獪さを感じ、雪本来(後半)の演奏には若いエネルギーを感じる。サブキャラもそう。お利口さんとその反抗期が音色で分かる梶貴臣の演奏。スリ上げを多用する荒川潮の演奏。1つとして同じ演奏はなかった(唯一の不満は、皆がベタ誉めする松吾郎の演奏を聴きたかった。雪に似ていて、雪とはレベチの演奏ってやつを)。

これを、曲そのもののを変えて表現するのは難しくないが、「津軽じょんがら節」という(課題曲の)1曲のみで表現しきるには、かなり高い演奏技術が必要だろう。そういう意味では、本作の最大の貢献者は、津軽三味線監修の吉田兄弟さんと、演奏の葛西頼之さんや柴田雅人さんなんじゃないかと思っている。

また、(原作由来だからということもあるかもだけど)あえて1曲のみで表現しきったことで、「津軽三味線の奥行きの深さ」を伝えることもできていた。たった3本の弦でこれだけの違いを生み出せる、凄い楽器だし凄い曲だと思う(これができたのは、「じょんがら節」という、展開が大きく演奏者の個性を引き出しやすい楽曲だからという視点もあり、さすが津軽三味線の圧倒的な代表曲だと思った)。

てか、冷静に考えれば、アニメで同じ曲を3話も弾き続けるって、かなりチャレンジングだよな。決断した監督も偉いと思う。

この感じなら、2期も期待できる。部活動編はここでスッパリ切り、個々を深める展開になるのかな。

海人はサッカー(夢)への再挑戦。雷先輩は複雑っぽい家庭環境の解消と就職(咄家の演奏)。雪は勿論、自分の音を探す旅。

更に、海人×結×朱利の三角関係と、雪×朱利×舞×桜の四角関係の解消。まあ、海人と結、雪と朱利の組み合わせになるだろうけど、ワンチャン、海人と朱利、雪と舞の可能性もあるかな?(笑)

という具合に、本作に足りていなかった群像劇的要素や恋愛要素は今後、、、「伸び代ですね!」(笑)
{/netabare}

【余談 ~「じょんがら」と発音すると、東北訛りの練習になるw~】
{netabare}
東北方言の特徴に「鼻濁音」というものがあります。

鼻濁音とは、日本語で濁音の子音を発音するとき鼻に音を抜くものを言います。特に、「が、ぎ、ぐ、げ、ご」のガ行を「んが、んぎ、んぐ、んげ、んご」というふうに、鼻の方へ抜いた発声法です。通常の「が」は「Ga」で、鼻濁音の「が」は「nGaA」になると書けば、分かりやすいでしょうか。

現代の日本人で、この鼻濁音を発音できるのは、2~3割にとどまり、その多くが東北、北陸地方の人です。(ちなみに、この鼻濁音は中国語では多用されるので、大学の中国語の時に、「発音が完璧」と誉められましたw)

我々東北人は、語頭は「Ga」で、それ以外は鼻濁音のがぎぐげごを使います。つまり、「学校」は「Ga kko 」ですが、「小学校」は「Sho nGaA kko」になります(笑)

私も今回初めて気付きましたが、「じょんがら」という言葉は、「ん(n)」と「Ra(アの母音)」で「が(Ga)」を挟む言葉なので、普通の人が「じょんがら」と発音しても、鼻濁音っぽくなる言葉なんだと思います。

ちなみに、本作の声優陣の津軽弁ですが、「ほぼ全員微妙」でした(苦笑) 主人公の澤村雪役の島﨑信長さんは宮城出身ということで、下手ではないけど、津軽弁とは微妙に違うな~と感じてました。まあ、☆3か4。後は、わりと(津軽弁としては)下手くそで、☆2か3な。特に、澤村梅子と田沼総一は違和感あったな~。圧倒的に上手かったのは田沼舞 役の三上枝織さんです。まあ、青森出身で、ネイティブですもんね(笑) 皆さん、プロなので鼻濁音とか基本的なことはできていましたが、特に文末のイントネーションが微妙に違ったり、濁点をつけるのがちょいと少なかったり、多分、地元民にしか分からない微妙な違和感です(笑)

本来はこれ以外にも、「ザ行」も特徴あるけど、それはまたどこかの機会に(笑)

さあ、「じょんがら」を連呼し、君も東北弁マスターに近づこう! 何のメリッドもねぇけんど(笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
津軽三味線。女優かアイドルか分からんが、その卵が、リスク犯して見知らぬ男救うためにチンピラ殴り、泊めるって、絶対にないだろう。ガチの本物の才能との出会い。依存。津軽じょんがら節。津軽三味線の絶対的代表曲だな。まさかの加藤ミリア(笑)

2話目 ☆4
民謡、上手いな(笑) この親子ユニット(笑)、人気出そうだな。なんか、素敵だな、家出息子に手厚い比護(笑) 全国3位で、東京で三味線教室開いたらそれなりに儲かりそうだけどな。

3話目 ☆3
部活になるのね。しかへる、というド津軽弁もそのまま使うか。完璧主義から、1歩を踏み出す。そたらはんかくせぇ(そんなに中途半端な)奴、死ねぇ(笑) 

4話目 ☆3
生きてる?(笑) バアちゃん、語るな~。

5話目 ☆4
こういう、初心者系の部活モノはよくあるけど、いつも思うのは、「皆、よくそんなに熱くなれるよな」ということ。自分はやらされてた剣道だったし、本気でやってたのは、全国がリアリティな目標となってから。初心者なのにあんなに一生懸命になれるのが凄いなと。

6話目 ☆3
OPが6話で変わるのか。ねぶた囃子はちゃんと音にしてほしかったな、こういうアニメだけに。

7話目 ☆3
大会。頭突き(笑) まあ、オール1年である程度いければ、2年後には優勝見えるやな。

8話目 ☆3
素人には大歓声、プロにはイマイチか。戦う前に負けセリフ(笑) 

9話目 ☆4
なんかもう、この音止まれ、だな(笑) 団体は団体の演奏からの個人技。熱い展開だな。集団催眠か(笑)  え? 未成年だっけか(笑)

10話目 ☆4
そうだよな、北東北の赤飯は甘いから(笑) 子供か(笑) 自分勝手な親2人。同じ曲を何十曲もはキツいな(苦笑) 古典の中の異端。プロ向けってことだよな。めっちゃ棒読み(笑) 確かに、少しの雑さは感じる。上手いよな、再現。

11話目 ☆3
演奏の途中でぶった切るのは、どうだろう? こうなると、松五郎の演奏も聴きたいよな。雪が似ていて、雪とはレベチの演奏ってやつを。

12話目 ☆4
ここで初代OPは良いな。もはやファザコン。慕情。やる気にさせるためか。まだ真っ白な音なのね、雪のように。
{/netabare}

投稿 : 2024/05/11
♥ : 24
ページの先頭へ