未来アニメ映画ランキング 57

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の未来成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年06月17日の時点で一番の未来アニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

76.2 1 未来アニメランキング1位
楽園追放 -Expelled from Paradise-(アニメ映画)

2014年11月15日
★★★★☆ 4.0 (888)
4649人が棚に入れました
われわれはどこから来たのか われわれは何者か

われわれはどこへ行くのか――。

地球はナノハザードにより廃墟と化した。

その後の西暦2400年、大半の人類は知能だけの電脳世界ディーヴァに生きていた。

電脳世界に住む捜査官アンジェラは、

闘力を誇るスーツ・アーハンを身につけ地上に初めて降り立った。

そして地上調査員ディンゴと共に地上のサバイバルな世界に旅立った。
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

重力では好奇心には勝てない

オーソドックスな王道SF作品。

人口爆発と資源問題、
地上はナノハザードにより廃墟と化した。
地上を捨てた大半の人類は、
電脳空間ディーヴァに移行し、
恒久の平和を手に入れる。
{netabare}そのディーヴァに地上からの不正アクセス。
目的正体不明のフロンティアセッター。
不安に駆られるサイバースペースの住人。{/netabare}
捜査官アンジェラは地上に降り立ち、
世界の謎に迫ろうとしている。

世界観の作り込みとシナリオが、
上手にまとまっていて好感が持てる。
大切なのは物語なのでしょう。

相反する2つの価値観、
{netabare}進化の次のステージに進むこと。
肉体の檻の中で生きていくこと。{/netabare}
管理され制限された精神世界と、
空腹に疲弊し、病気になる地上の重たい肉体。

そう言えば草薙少佐も、人が人足り得るのは、
好奇心あってこそだと言っていましたね。

銀河の果てまで、旅立とう。
勇敢なるその一歩が新しい歴史を作るのだ。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 66

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

3DCGの進化と可能性・・・でも結局はアンジェラタンの尻!

2014年11月公開のアニメ映画。
監督は水島精二氏、脚本は虚淵玄氏、
劇場用フル3DCGアニメーション。

もし、あなたがアニメ評論家ならば
本作は絶対に視聴しなければならない作品でしょうw
というのも「3DCGの進化と可能性」というのは
現在必ずと言ってもいい程アニメ評論の俎上に乗せられるホットトピックだからです。
従って3DCGアニメーションの「蒼き鋼のアルペジオ」や「シドニアの騎士」の
視聴もマストですw いや、アニメ評論家ならではですけどねw

2014年現在今まさにアニメ業界は大きな変革期を迎えており、
私たち視聴者はその渦中を目の当たりにしている最中なのかもしれません。
それだけ3DCGの進化は著しいということなのでしょう。

もし本作のあるべきレビューなるものが存在するならば、
本作に照らし合わせて3DCGの技術論を語っていくというものなのでしょうが、
無論私にそのような知識はございませんw
なので、ここでは水島精二監督の言葉を引用したいと思います。

「いままでの現場だと、リスク回避のため2Dのアニメーターが
レイアウトとラフモーションを作り、
それを元に3DCGアニメーターが作業をするという手法を取っていた。
しかし、それだと3DCGアニメーターの実力も分からないので、2Dアニメーターを介さず、
直接3DCGアニメーターに画づくりをしてもらうことを提案した」

また、水島精二監督は本作の制作を通して確かな手応えを感じたのか
このような言葉も残しています。

「キャラクターの表情や表現も向上していて、
 今回の制作を通じて、3DCGで萌えアニメが作れる確信を得た」

新時代の到来を期待せずにはいられないお言葉です。

これは3DCGが2Dを駆逐するということではなく、
水島精二監督も相補的な関係を望まれているようです。
両者が相互に刺激を与え合うことによって、
作業の効率化、優秀な人材の確保、
そしてより質の高い作品の提供という循環が理想的なのでしょうね。

さて、このような予備知識を得てしまうと視聴前のハードルというのは
かなり高めに設定されてしまいますが、製作陣もそれは望む所なのかもしれません。

というわけで簡単なあらすじを(知っている方は飛ばしてください)。

西暦2400年、地上は荒廃化している中、
人類の98%は肉体を捨て自らをデータ化し、
電脳世界「ディーヴァ」で豊かな生活を謳歌していた。
ある時「ディーヴァ」へ地上からハッキングを受けるという事件が起こり、
ディーヴァ捜査官アンジェラ(CV:釘宮理恵)は
生身の体(マテリアルボディ)を纏い地上へと降り立つ。
地上調査員ディンゴ(CV:三木眞一郎)と共に地上のどこかに身を潜めている
ハッカー「フロンティア・セッター」を追っていくという話です。

で、感想なんですけど、あらすじを読んでもらえば分かるように
どこかで聞いたことがあるような話ですし、
最後まで観ても特段語るようなことはございませんw 
飽きずに最後まで楽しめましたけど「まぁおもしろかったです」で感想は終了ですw

ストーリー自体は凡庸かもしれませんけど見所は結構あります。

ディンゴ役の三木眞一郎さんは物語シリーズで貝木泥舟役を演じておられますが、
非常に人間味溢れるところなんかは貝木泥舟に通じるものがありますw
そんなディンゴとアンジェラ(くぎゅうううううう)のやり取りなんて
ニヤニヤしながら観てましたw
「か、勘違いしないでよね。別にあんたのことを認めた訳じゃないんだからね!(赤面)」
こんな台詞は多分なかったような気がしますが、まぁくぎゅってましたねw

人間味溢れると言えば自我を持った人口知能(CV:神谷浩史)なんてのも居て、
この辺りは「翠星のガルガンティア」を彷彿とさせます。
テーマも似通ったところがありますね。

利便性を享受するも実質的には電脳世界の運営に支配されながら生きていくのと
不便性を伴いながらも自らの生き方を自分で決めることができる地上での生活とでは
どちらが真に豊かなのか?
あるいは合理性、効率性のみを追求する人間と
遊びの心を持ち合わせている人口知能とではどちらが人らしいのか?
とかそんなテーマを投げかけてはきますが、
私感としてはあくまでエンタメの範囲内です。
特に哲学的な重厚な作品という印象は受けませんでした。
製作陣もライトなSFということは意識されていたようですけど、
その通りの作りになっていると思います。気軽に観れると思いますよ。

そしてやはり本作の注目ポイントはセルルックのフル3DCGアニメーション映画ということで、
キャラの表情などがどれだけ自然な出来なのかということになりますが、
これはかなり高いレベルで仕上がっていると思います。
前知識なしで視聴すればもしかしたら3DCGということに気付かないレベル
・・・というのは流石に言い過ぎかもですが、私がブヒるには十分でしたw
それでも気になる箇所というのは存在しましたし、
激情だったり鬼気迫る表情ということで言えば線がちょっと軽いですね。
「キルラキル」なんかは情念のこもったGペンタッチの線で迫力満点だったのですが、
まぁそれは極端な例とはいえ、あっさりし過ぎて迫力不足な点は否めませんでした。

戦闘シーンも爆発だったり構図やアングルはさすがに3DCGという出来なのですが、
建物が若干ジオラマっぽいなとか細かい所を観ていけば
まだまだ課題は残っているのかもしれませんね。

しかし、一番の見所はアンジェラタンの揺れる乳に、尻!尻!尻!尻!(尻の4カード)ですw
真面目なテーマを扱っているだけにこういう露骨なサービスカットが
必要なのかどうかは疑問符がつくところなんですが、
これも技術の進化を示す為には必要なことなのかもしれませんw

長々とした文章になってしまいましたが、
私が本作で最も印象に残っているのは結局「アンジェラタンの尻」ですw

とはいえ、「3DCGの進化と可能性」という観点で言えば
後々まで語られるであろうエポックメーキングな作品ということになるでしょう。
もしかしたら本作を劇場で観たという歴史の証人になれるチャンスかもしれませんよw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 64

ato00 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

色々な意味で魅力的なヒロイン

陳腐な表現だけど、すごいアニメを観ました。
これこそ、次世代アニメっていう奴?
専門的なことはわからないけど、CGが動くこと動くこと。
そして、メッセージ性が強烈で、シンプルなストーリー。
さらに、ヒロインアンジェラの露出度の高い臀部・・・
思う存分、楽しませてもらいました。

ヒロインの声が釘宮理恵さんということで、視聴を決定。
ツンモードのヒロインはまさに適役ですね。
その上、ややロリ容姿とナイスボディーに露出度の高いコスチューム。
私、ヒロインにメロメロになりました。
また、主人公ディンゴの声が良いですね。
三木さんの落ち着いた柔らかい声。
声に確固たる自信が満ち満ちています。
こちらはちょっとだけメロッとなりました。

内容と言えば、近未来にありそうなリアル物語。
人間の本当の幸福とは?を考えさせてくれます。
ヒロインが最終的に見せた、
使命感に満ちた表情、鬼気迫る真剣な表情、それにバカ話に笑い転げる表情が、
その答えでしょう。

釘宮さんの声がきっかけだったとは言え、収穫の多い作品でした。
こんなアニメ映画がもっと増えればいいですね。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 43

84.1 2 未来アニメランキング2位
シン・エヴァンゲリオン劇場版:||(アニメ映画)

2021年3月8日
★★★★★ 4.2 (432)
1981人が棚に入れました
 エヴァがついに完結する。2007年から『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズとして再起動し、『:序』『:破』『:Q』の3作を公開してきた。その最新作、第4部『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の劇場公開が決定。人の本質とは何か? 人は何のために生きるのか? エヴァのテーマは、いつの時代にも通じる普遍的な核を持っている。
 シンジ、レイ、アスカ、マリ、個性にあふれたキャラクターたちが、人造人間エヴァンゲリオンに搭乗し、それぞれの生き方を模索する。人と世界の再生を視野に入れた壮大な世界観と細部まで作り込まれた緻密な設定、デジタル技術を駆使した最新映像が次々と登場し、美しいデザインと色彩、情感あふれる表現が心に刺さる。
スピーディーで濃密、一度観たら病みつきになるその語り口は、興行収入80億円超えの大作『シン・ゴジラ』も記憶に新しい庵野秀明総監督による独特の境地。その庵野総監督がアニメーションのフィールドで創作の原点に立ち返り、新たな構想と心境によって2012年の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』以後、封印されてきた物語の続きを語る。
 1995年にTVシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』でアニメファンのみならず、アーティストや学者までを巻き込んで社会現象を起こした初出から、実に25年――その間、常にエポックメイキングであり続けたエヴァの、新たな姿を見届けよう。

声優・キャラクター
緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山口由里子、立木文彦、清川元夢

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

「否定」ではなく、「肯定」する生き方

ネタバレを極力避けて話したい。

25年前の庵野監督は明らかに「オタク」であることに対して「否定」的な立場から作品を作っていた。

アニメとか漫画とか映画とかゲームとかどうでもいいから、街に出てコミュ二ケーションしなさいと。。。

「書を捨てよ、町に出よう」ということである。

しかし、この25年間で社会は様変わりした。アニメを見ることに対しての偏見は愚か、アカデミー賞や歴代の興行収入を支えているのはアニメや漫画だし、ハリウッド製作の映画やドラマまでもが今やアニメや漫画の実写化がほとんどである。

そういった状況において、本作はそういった「多様的」な生き方を「肯定的」に捉えている。

僕の周りには本当にいろんな人間がいる。サッカーが好きな人間もいれば、ギターや音楽が好きな人もいるし、漫画でもキワモノが大好きな女性もいっぱい知っている。

はたまた、性に対してもゲイやバイセクシャルな人だっているだろうし、興味がない人だっているだろう。

そう、その全てが全て「存在」していいのである。

確かに、それぞれは言葉が通じなくお互いを傷つき合うかも知れない。

あるいは全く引き合うことすらないかもしれない。

しかし、そういう社会でお互い理解し合おうとすることがなにより大切なのだ。

それがこのシン・エヴァにとって、いや全人類にとって「大人」になる。ということであると「結論」が出ている。

確かに現実ではなく「理想論」に過ぎないが、それでも人はあの25年前に比べれば、偏見や差別と向き合う人が増えた。

そういう意味では「進歩」しているのである。

個人的には今回の「シン・エヴァ」のラストより、漫画版の「エヴァンゲリオン」の方が好きだが、そういったことはこの際どうでもいい。

庵野監督とこの作品を全力で作ったスタッフの皆さんに何よりの感謝と尊敬を。。あなた方の「伝えたい想い」は伝わりました。

お疲れ様です。そしてありがとう「エヴァンゲリオン」

人生においてここまで晴れ晴れした気持ちになったのは久しぶりでした。



追記

ラストのある「ゲスト声優」が時代を象徴していると思うし、
なにより今度の「シン・ウルトラマン」がまさにド王道の物語になることも必然だと思う。

良い意味で垢抜けた傑作になることを期待してます。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 42
ネタバレ

sumiyaki さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

エヴァの世界はどういう世界だったのだろうか?

2020年8月末に序破Qを観たのが最初のエヴァンゲリオン。
まだ半年くらいの新参者です。序破Qくらいしかちゃんと観ていませんが、シン・エヴァはとても楽しみに待っていました。

自分はコアのファンの皆様とは時代・世代・年齢も違っていて、エヴァに触れてからの時間もまるで短く、ファンの方々とは感動を共有できなかったかもしれません。
ただ、庵野監督をはじめ制作に関わった皆様にはお疲れ様と言いたいです。ありがとうございました。

「庵野秀明スペシャル」 - プロフェッショナル 仕事の流儀 - 3月22日19時30分からNHK総合
https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/YV62MRRW35/
>番組は総監督・庵野秀明(60)に4年にわたって独占密着。これまで長期取材が決して許されなかった庵野の制作現場を、シリーズ完結編となる『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で初めて余すところなく記録した。

というお知らせ、シン・エヴァをもう一度観に行くよりも、NHKの庵野特集が観たくなった私です。

アバンについて。{netabare}ここは上映前からYouTube, Amazon Primeで公表されていて、前からいろいろと妄想してしまった部分。メタフィクション的な解釈に私も傾倒しました。まるで仮想現実であるかのようなパリ市街の復活、マリが「待ってろ、ワンコ君」というときの背景の建物が実はコア化しているかのようにみえる描写。
しかしそういう解釈は後のパートでは続かず、メタフィクション的なものというより、使徒の世界とリリンの世界の重ねあわせとしてのL結界密度のようななにか、と考えるしかありませんでした。「アンチLシステム」の技術があとでも活躍しました。
そして、マリの特殊能力?が示されました。
{/netabare}
最終結末について。{netabare}世界はどのレベルに戻ったのでしょうか? この駅が東京駅だったりしたら、エヴァンゲリオン自体がなかった世界に戻ったことになる。第三村が有った辺りの駅なら、第三村がどうなったのか、そこで暮らしていた人たちはどうなったのか心配になってくる。山口県宇部の辺りだから、第三村その他も無事に復興しているだろうと推測できる。
まるで浦島太郎が玉手箱を開けたように、シンジは大人になってしまって、チョーカーもつけたままだったり。スーツを着ているのはマリと婚約の報告か何かでしょうか。
マリの印象ですが、私には何かゾッとする感覚、「悪魔」みたいな感じがしました。シンジはちょっと魂を抜かれたような感じ、いままでと違いすぎるからか。
実写の風景は結末の世界が見かけは似ているけど、視聴者の世界とは異なるものなのに同じだと思わせているのではないかとふと思います。
人類に文明を与えてくれたゼーレはどうなったのだろう。
{/netabare}
マリとは誰なのか?{netabare}
極めて重要な登場人物(綾波ユイと碇シンジ)と深く絡んでいる。
年齢の不思議。
私には「悪魔」的な印象があった。使徒が人類を滅ぼす存在ならば、「悪魔」は実は「神」のようなもの。
とすると、マリは天使か神のような存在なのでしょうか? 実は黒幕なのでは?
メタフィクション的にエヴァンゲリオンの世界をある種のゲームの世界のようなものだとすると、マリこそゲームのプレイヤーで、その他は程度の違いはあっても、ノンプレイヤーキャラクターの要素が強くなる、というように私には感じられました。
{/netabare}
エヴァの世界はどういう世界だったのだろうか?{netabare}
使徒が虚構の世界の生き物で人類(リリン)は現実の存在、そして虚構 vs 現実 の闘い、みたいな印象をもっていたこともありますが、その2つの世界はL結界を境に同時に存在、あるいは重ねあわさっていることがシン・エヴァを観て強く感じました。ちょっと量子論っぽいですね。
これは視聴者や制作側が3.11の東日本大震災の影響を強く受けたことに関係していそう。
マリがメタフィクション的な存在であるとするならば、エヴァはフィクションの世界を脱して、現実に着地し完結した。ある種のゲームのような世界だったのでは?
その辺りのことはシン・エヴァ公開直前にこちらにコメントさせていただきました。
https://gyahunkoubou.com/sin-eva-mystery-4.html#comment-33119
{/netabare}
私の受け取ったメッセージ。{netabare}
いつまでも子供でいるな、大人になれ、みたいな普遍的なメッセージが受け取れることは確かですが、私は悪く言えば少し古さを感じました。
どちらかというと、現実はそれに従うしかない面もあるけれども、フィクションのように「書き換えていく」こともあるいはできるのだ、というように受け取りました。
アニメ「正解するカド」を個人的ですが、連想というか思い出しました。(「正解するカド」のネタバレあり){netabare}
エヴァQ (2012) --> 正解するカド(2017)
Qに対するAnaswer
エヴァ(大人になれ) --> 正解するカド(私たちはみんな途中)
正解するカド(交渉でなく結局暴力) --> シン・エヴァ(暴力ではなく結局コミュニケーション)
まあ、両者には関係はありません。私の妄想です。
{/netabare}{/netabare}
その他とまとめ。{netabare}
QからVRゴーグルのようなものをしていたゲンドウ。VRあるいはMRで現実世界に別の世界を重ねて見ている、と思っていたけど、そうではなかった。

使徒は災害・伝染病・政治的攻撃(洗脳とか)の象徴なのだろうけど、「エヴァンゲリオン」の世界はキリスト教の信者からはどのように捉えられているのだろうか。

エヴァからも他作品からも引用につぐ引用をしていてそれでいてすごい独自の世界を創っている。今後はエヴァを消化吸収した新たなテーマの作品が観たい、楽しみだ。

映画館で最後まで皆は真剣にみていたのだろう、拍手をしようと思ったがためらってしまった。私のような新参者にはいまひとつ「感極まる」ところまで至らなかった。長い間ファンの皆様には長く心に残ることだろう。
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 16

takato さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

いやぁ〜全然面白くねぇな!。ただ、庵野先生とカラーの次回作にご期待ください。

 ネタバレになるので例え話でのツッコミになりますが、「思い出ぽろぽろ」か!、スターウォーズep9か!な作品です。言わんこっちゃないとは思いましたが、スターウォーズと同じで前作でグチャグチャになった風呂敷を大急ぎで畳んでるだけだから、ドラマやエモーショナルな盛り上げにも、物語という形での上手なテーマの展開にも、キャラの描き込みにも失敗してます。


 あるポイントでわかりきってる愁嘆場みたいなのが始まった時には頭を抱えそうになったし、ゲンドウの件りでは「それ前から知ってた!」とツッコミを画面に入れたくなった。


 ロボバトルの描写としてもCGばっかで手描きの最高峰だった旧劇のような色気も艶もないし、重量感や上がるロマン描写もなし。軽そうなエヴァがチャカチャカと動くばかりで何が起こってるのかよくわかりづらい(これは本作だけに限ったことじゃないが)。


 アナクロニズムと言われようが、やはりロボは手描きの方が向いている。テレビだと今は色々あるのかもだが、映画では手描きの方がねぇ…。そりゃあ手描きじゃあ表現は無理という場合もあるが、CGだからこそのロボ表現で本当に痺れたことは今んところあんまりないかな。


 じゃあ面白くもなんともないかと言うと、ある意味で面白いところはある。それは庵野監督の大人になりっぷりである。結婚して多くの人の仕事を指揮するより大きな立場になって、もうあんな昔みたいに中二丸出しでグズグズ悩んでらんねぇよ!って庵野さんの心は確かに伝わってくる(それを物語の中で上手く消化できてるとは言い難いが)。


 絵作り的にも、CGを殆ど使ってない庵野さんのロマン溢れる部分のパートでは流石の冴えを感じたし、あのキャラが☓☓☓な件にも「あぁ…、本当に大人になったんだなぁ…」と染み染み感じ入った。


 その辺の描き方が「思い出ぽろぽろ」と同じで、少々懐古主義的、或いは理想化され過ぎな気もするが、宮台さんの動画を見たりして共同体の大切さや共同身体性の重要さについて考えさせられていた私としては言いたいことはわかる、という感じではあった。しかし、昔には戻せないから、テックを使ってアップデートは必要だが新しい形の共同体の作っていくのは急務だろう。


 それにしても、やはり映画一本に詰め込むには無理があった気がする。どうせなら決戦前の物語をテレビで1クールやるくらい必要だったかも。


 ここまで大人ぶりを見せられると、やはりエヴァから開放させれた庵野さんとカラーの次回作に期待したい。庵野さんはナウシカはやって欲しいが、あとはフリーハンドで作って欲しい。


 カラーにはTVアニメにも参戦しないとジブリの二の舞になるから、優秀なスタッフたちの才能を活かせるオリジナルでも原作付きでも年一くらいでは新作を制作して欲しい。あぁ〜やっとネタバレを心配しないでネットを見れるという安堵の気持ちのみ!。


 作品としてのエヴァは、やはりスターウォーズにおけるep4、5、6みたいに旧劇までで終わりで良かった、という新劇が作られる当初から思ってたことなので別に大きなショックも無し!(破の時点では正直期待しちゃいましたがね)。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 34

72.6 3 未来アニメランキング3位
planetarian ~星の人~(アニメ映画)

2016年9月3日
★★★★☆ 3.9 (373)
1896人が棚に入れました
始まりは、どこかの国が放った遺伝子細菌兵器であった。やがて、その報復として核弾頭が使われ終わりのない世界大戦がはじまった。地上では星すら見えなくなり、雨が降り続く世界へと変わっていった。滅びゆく世界の中、空から降り続ける雨は、気が付けば雪へと変わり人々の暮らしは地下へと移っていった。
かつて貴重物資を回収することを生業とし“屑屋”と名乗っていた男は、若いころあることがきっかけで、多くの人々に星の素晴らしさを伝えるようになり、訪れる集落で星の世界を語り継いでいった。いつしか人々は彼のことを“星の人”と呼び、敬うようになった。そんな彼は、ただ一つの“心残り”を持ちながら、世界を旅していたが、志半ばにして行き倒れてしまう。
一方、地下集落に住むレビ、ヨブ、ルツは外の世界に興味津々。大人たちに隠れて、地下の集落から抜け出て外の世界を探索していた。降り積もる雪の世界の中で興奮冷めやらぬ中、三人は埋もれていた一人の老人を発見する。
彼は、三人に助けられて、無事一命をとりとめた。そして、村の長エズラと話をしていく中で、彼が星の人と分かり歓迎されることになる。
「あなたを歓迎します、星の人」

無邪気に話しかけてくる、レビ、ヨブ、ルツ。三人と話していくうちに、若いころ自身が訪れた【封印都市】のことを思いだしていった。そこは、世界大戦初期の遺伝子細菌兵器の影響で、人々から放棄された街。彼は、まだ見ぬお宝を求めて、探索していた最中、追跡していく戦闘機械(メンシェン・イェーガー)から逃れて、デパートのプラネタリウムに迷い込んだのだった。
そんな彼の前に、一人のロボットの少女が現れた―。

「プラネタリウムはいかがでしょう。どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき……。満天の星々がみなさまをお待ちしています」

星すら見えなくなった滅びゆく世界で、彼は何を見たのか。

一人の男が生涯を賭して旅する中で、出会ったものとは ― 。

声優・キャラクター
すずきけいこ、小野大輔、櫛田泰道、滝知史、佐藤利奈、篠塚勝、福沙奈恵、日笠陽子、津田美波、石上静香、桑原由気、竹口安芸子、大木民夫

のび太 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

鉄板の涙腺崩壊アニメw

原作はビジュアルアーツのゲームのようです。

「planetarian 〜ちいさなほしのゆめ〜」というタイトルで配信されていた
webアニメをベースに映画化した作品です。

世界戦争の末に地上は、有害物質を含む厚い雲に覆われ、昼でも太陽が見えなくなった世界。
屑屋と呼ばれる男が、荒廃した街で残された物資を探していると、辛うじて動いていたプラネタリウムを紹介する少女型ロボットと出会うというストーリー。

この出だしで、もうこれは泣かせるやつだと予想はしてたのですが。
ダメでした(T-T)やられましたw

ヒロインの少女ロボットが、あまり高性能ではなく、それがすごく健気に
感じてしまいます。

その彼女が最後に願った事は…

まさに鉄板の涙腺崩壊アニメでしたねw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 21

イムラ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

星とAIと浜松と

<2018/11/18 初投稿>
原作はゲームらしいですね。

keyのアニメは根本的に自分と合わないようなのですが、本作は完走できました。
珍しい作品です。

keyが苦手な自分がなぜ見始め、なぜ完走できたか

・星やプラネタリウムが好きだから見始めました
・よく知ってる場所が出てきたので見続けられました
・シナリオが落ち着いてて良い感じだったので完走できました

核や細菌兵器かな、などが使用された戦争により荒廃した地球が舞台。

おかげさまで、常に空は分厚い雲で覆われ、
寒冷化が進み、
シェルターの外はマスクなしでは生きられない、
ナウシカの世界より住みにくそうな世界になってます。

当然、星空なんか見えない。
つまりそこに生きる人々は
「星空なんて見たことないから知らない」

そんな世界のお話です。


というわけで気になったポイントを二つほど

まずは「よく知ってる場所」のことからです。
予備知識無しにボーッと見てたら「封印都市」のシーン。

あれ?これ、アクトシティだよね。
これは松菱デパート?
市街戦もこれはどう見ても「浜松市」の駅そばだ!
テンション上がりましたよー。
だって私、浜松出身ですから。

浜松って特筆するようなもんが鰻と餃子くらいしかない地味な街なんで、まさか映像作品に使われるとわっ!

でもよくよく考えたら、枯れて寂れた「封印都市」にぴったりのロケーションかもしれません。
だって全く盛らずに現実のまんまでも十分に枯れて寂れてるし 笑。
人口は60万くらいいるはずなのに豪勢に再開発されたはずの浜松駅周辺の寂れっぷりはなかなかのもんですよ。

評点は浜松補正で少し高めです 笑


もう一つはAI

「自我を持つ一歩前のAI搭載ロボ」という今の時代にマッチしたテーマを扱ってます。

昨今のAIブームの前から様々な映像作品で「自我を獲得したAI」が描かれてます。
ですが、「その一歩手前のAI」を取り上げ上手く物語にした作品は意外と少ない。
そんなところが気に入ってしまいました。

ほしのゆめみというゆるキャラみたいな名前の自立型の案内ロボが出てきます。

お客さんの質問や要望に都度応える学習機能付きの人型チャットボット。
チャットボットとしては今実用化されてるものよりちょっと高性能な感じ。
なので明確な自我はありません。
ロボとしては人間そっくりの外観と挙動で、現在より格段に高いレベルにあります。
これが本作のヒロイン。

封印都市で半ば朽ち果てたプラネタリウムに配置されたままほったらかしにされてました。
何十年も放置されてたせいか壊れかけ。

主人公はこの壊れかけのRadioなゆめみさんと出逢います。

今、AI業界は機械学習の面で大幅な飛躍を遂げました。
データを与えると自分で考える機能のこと。
でも人間のような自我を獲得するにはまだまだ道のりは遠いようです。
そこで自我を持つAIの前に「意味を理解するAI」の開発が必要とか言われてるそうですが、これが猛烈に大変らしい。
10年や20年のスケールじゃ無理なんじゃないのという声もあるそうです。
(つか、「意味を理解できたら自我の獲得と殆ど同義なのでは?」と私なんかは思ってしまうのですが。)

ゆめみさんはまだ「物の意味を理解する」能力までは獲得していないようです。
ですがその一歩手前ぐらいまで行っている感じ。
主人公が求めるものを必死に理解しようとしてるようにも見えます。

そんなゆみめさんと触れ合ううちに主人公はゆめみさんに「自我」のようなものを感じてしまったようです。
チューリングテストのように。

そんな二人のやりとりが物語になっていくわけですが・・・



不満もあります。

正直言えばキャラデザイン苦手ですし。
シナリオも後半はちょっと冗長。
最後の方はしっくりとはきませんでした。

でも、
チャレンジングなテーマで、
上手くまとまっていて、
ちょっと心に残る。

そんな良作だと思います。

<2018/11/18 追記>
主人公の声を大木民夫さんが演じられてたのを思い出しました。
昨年他界された名優です。
それこそ数えきれない数の役を演じらた名バイプレイヤーでしたが、個人的には「灰羽連盟」の「話師(わし)」役が心に残ってます。
本作、大木さんの主役でしかも遺作というだけでも作品の価値が上がってると思います。
なので評価値を引き上げました。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 50

ちょっちゅね~ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

アニメ業界の闇商法の様なアニメ

まずは内容について、115分中の70分(60%)がWeb版のダイジェストです。
もしWeb版が未視聴の場合はストレスなく視聴が可能ですが、
Web版視聴済みの人は苦痛としか言いようが無い。


最初は「こいつは酷い…。こんな構成で金を取るな」と思っていましたが、
何処かの記事で新作部分が当初は10~15分程度予定だったと記載されており、
監督が苦労して45分もの新作シーンを確保したと思ったら涙がでますよ…。

総評:Web版は見るな。映画版だけで十分すぎる。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 4

78.0 4 未来アニメランキング4位
劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス(アニメ映画)

2015年1月9日
★★★★★ 4.1 (1102)
6860人が棚に入れました
世界は禁断の平和(システム)に手を伸ばす。
2116年――常守朱が厚生省公安局刑事課に配属されて約4年が過ぎた。
日本政府はついに世界へシビュラシステムとドローンの輸出を開始する。長期の内戦状態下にあったSEAUn(東南アジア連合/シーアン)のハン議長は、首都シャンバラフロートにシビュラシステムを採用。銃弾が飛び交う紛争地帯の中心部にありながらも、水上都市シャンバラフロートはつかの間の平和を手に入れることに成功した。シビュラシステムの実験は上手くいっている――ように見えた。
そのとき、日本に武装した密入国者が侵入する。彼らは日本の警備体制を知り尽くしており、シビュラシステムの監視を潜り抜けてテロ行為に及ぼうとしていた。シビュラシステム施行以後、前代未聞の密入国事件に、監視官・常守朱は公安局刑事課一係を率いて出動。その密入国者たちと対峙する。やがて、そのテロリストたちの侵入を手引きしているらしき人物が浮上する。
その人物は―― 公安局刑事課一係の執行官だった男。そして常守朱のかつての仲間。
朱は単身、シャンバラフロートへ捜査に向かう。自分が信じていた男の真意を知るために。
男の信じる正義を見定めるために。

声優・キャラクター
花澤香菜、野島健児、佐倉綾音、伊藤静、櫻井孝宏、沢城みゆき、東地宏樹、山路和弘、日髙のり子、神谷浩史、石塚運昇、関智一

suggest@休止 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

シビュラの導入はいよいよ世界へ

日本よりもっと治安の悪い外国がシビュラシステムを導入した。
一見シビュラシステムのおかげで一部地域が安全地帯になった様に見えたが...
そんな国に朱が送り込まれた話。


やっぱ面白かったです。設定も分かりやすくて入りやすかった。

今回は朱ちゃん一人での活動が多かったけどしっかりしてて、成長してた!(時期的には一期と二期の間だっけ)

そして期待してた狡噛さん登場シーンだけど、朱と手合わせして朱の成長を感じている様な雰囲気がよかった^ ^あそこのシーンの作画はとても安定してた。


"主題歌" 『Who What Who What』凛として時雨
予告観てる時にこれを聞いた時はもう興奮しまくりでした。こらのおかげで期待も一層膨らみました(^^)



ただ一つ思ったのは劇場版ということで仕方ないのですが、途中で気持ち駆け足に見えたので少々内容についていけないとこがあったかなぁという印象。

それでもサイコパスはやっぱスートーリーが面白いな。今作は世界が舞台でスケールも大きいし日本とは違った問題も出てきて見応え抜群!サイコパス好きな方は絶対観ると思いますが、本当に良かったです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 31
ネタバレ

にゃんぴ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

政権!

下関条約:清国は遼東半島、「台湾」!、澎湖諸島など付属諸島嶼の主権ならびに該地方にある城塁、兵器製造所及び官有物を永遠に日本に割与する。

皆の評価は高い、大ファンの私としては
ますます超見てェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェΣ(゜Д゜ノ)ノ

いよいよ、お目にかかりました、

難解なストーリーで2回も見てしまった、
一期と同様、哲学な会話だらけですねー
特に最後は常守朱とシビュラのやりとり、満喫です~

日本式の英語はちょっと残念...

作画は綺麗だ!!!
戦闘のシーンもなかなか迫力がある。
{netabare}狡噛はひどくやられたよね......{/netabare}

{netabare}一体テロリストを日本に送り込んだのは誰だろー?{/netabare}

最後のシーン、続編があるかな!?

{netabare}正義(システム)の世界は進化する。{/netabare}

{netabare}いずれ、このシステムの真価が試される。{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 98
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

シャンバラに響く銃声

ProductionI.G制作、SF×サスペンス。

人の深層心理を数値化できる世界。
犯罪係数が規定値を超えれば、
潜在犯として逮捕・隔離される。
潜在犯の摘発とメンタルケアを行う、
巨大監視ネットワーク「シビュラシステム」

2116年、舞台は世界へ。
政府はシビュラシステムの輸出を開始。
長期の内戦により疲弊した、
東南アジア「シーアン」の首都シャンバラフロートに、
シビュラシステムを実験稼働させた。
紛争国に平和と秩序を。

1期から劇場版へ。
{netabare}システムの内側で正義を遂行する常守と、
システムの外側で正義を遂行する狡噛との対比。
反政府ゲリラの指導者として浮かび上がる、
狡噛を追って常守はシャンバラへと向かう。{/netabare}

常守を動かしたもの、
自らの価値基準で運命を切り開く意志と行動力、
未来を選び取る狡噛の正義の行く末を、
彼女は見定めなければならないのでしょう。
地獄の黙示録へのオマージュもありましたが、
狡噛がカーツ大佐になる可能性もあったわけですね。
法と正義への考察、
劇場版で一区切り付いたのではと思います。

シャンバラフロートに希望の灯りを。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 52

74.2 5 未来アニメランキング5位
ARIA The AVVENIRE[アリアジアッベニーレ](アニメ映画)

2015年9月26日
★★★★★ 4.3 (265)
1680人が棚に入れました
capitolo1 その 逢いたかったあなたに・・・先輩の灯里に同乗してもらい、今日もゴンドラの練習に励むアイ。そのさなか、灯里は運河を行き交うゴンドラの中に藍華とアリスの姿を見つけます。プリマ・ウンディーネになってからというもの、忙しくてなかなか会うことができないでいた3人。ほんの短い時間とはいえそれが叶った“みらくる"に、灯里は過去のある出来事を思い出し、アイに語り始めます。capitolo2 その 暖かなさよならは・・・ある日のこと、アイは興奮気味に灯里に話し始めました。練習中にとっても“みらくる“な体験をしたというのです。見慣れぬ路地の奥で目撃したケット・シーの影…そして、ゴンドラを降りてその影を追った先で出会ったのは、姫屋支店とオレンジぷらねっとで修業中の二人のシングル・ウンディーネだったのでした。capitolo3 その 遙かなる未来へ・・・今、再びの未来をご一緒しましょう。

声優・キャラクター
葉月絵理乃、斎藤千和、広橋涼、大原さやか、西村ちなみ、皆川純子、水橋かおり、川上とも子
ネタバレ

kochiro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

その、永遠に会えない人は…

季節は“冬”

これは水の3大妖精のひとり、セイレーンと呼ばれるウンディーネが若くして急死した後のお話。

{netabare}
アテナ・グローリィの急な訃報から一週間が経過して、ネオベネチアにはもういつもの穏やかな日々が流れているのですが、アテナの指導を受けた唯一の後輩であるアリス・キャロルだけはずっと部屋に引き籠ったまま。びっしりと埋まっていた予約をすべて断って、後輩のアーニャちゃんを指導する役目も会社に返上し、もうゴンドラに乗ることすらできなくなっていました。

カツカツカツ。

「晃さん、ちょっと待ってください。」

ドンドン!

「アリス、いるんだろ。早く開けろ!」

ガチャガチャ、ドンドンドン!

「ちょっと、まだ早いって言ってるじゃないですか。もう少し待ってからでも。」

「ええい、離せ藍華。こんなドアなんてぶち壊してやる!」

ドカドカドカ!ババン!

「晃さん、無茶しないでくださいって、あ~あ。本当に鍵を壊しちゃった…。」

晃が扉を開けると、部屋の隅にはただ呆然と座っているアリスの姿がありました。

「おい、こんな暗い部屋に閉じこもって、おまえ何やってるんだよ。」

「…」

「…、覚えているか?オレンジプリンセスのゴンドラに3か月も前から予約して、お前のゴンドラに乗ることをすごく楽しみにしていたお客様がいただろ、今日な。代わりに私のゴンドラへ乗ってもらった。…、私のとっておきの場所をたくさん紹介したけれど、結局、帰り際にお前の長期休業中ってのが本当に心配だって言われてな、とても不安そうな顔をさせてしまったよ…。」

「…」

「アリス、私達の仕事はただの観光案内じゃない、お客様に喜びを感じてもらうことが仕事だ。わかっているだろ?」

「…」

「…そうか。お前はウンディーネ失格だ。」

「…」

「私からNo.1の座を奪うのはお前だと思っていたのだが…。見込み違いだったようだな。………残念だ。」

そう言って部屋を出る晃さん。扉の隙間から、ぴょこぴょことまぁ社長がアリスの部屋に入って扉が閉まります。
部屋の外にいた灯里と藍華は、アリスの部屋に入ろうとしますが。

「もうほっとけ、ほら行くぞ。午後のお客様、二人とも予約入っているだろ。」

「でも。晃さん酷すぎます。」

「そうだな。…だが、酷いのはあいつの方だ。ほら行くぞ。」

灯里と藍華は心配な顔をしつつも、この場は晃さんの言葉に従います。
扉の前には部屋に入ることができず、扉を見つめるアーニャちゃんだけが残されました。

部屋の中では、まぁ社長がアリスに優しく寄り添います。

「まー。 まぁー。」

「…、まぁ社長。」

「私。もっとアテナ先輩に恩返しがしたかった。なのに。まだ私なんにも返せてないのに。もう二度とアテナ先輩に会えないなんて……。う。ううう…。」

「…、まぁー。」

その頃、アリシアさんはゴンドラ協会でアリス・キャロルの今後の対応を話し合っていました。その場でアリシアは晃がアテナとアリスの二人が抜けてしまった観光案内の穴を埋めるため、代役として朝から夜中まで休みなくびっしりと働いていることを知ります。
このままでは晃の健康状態が心配です。そこで、多過ぎる仕事量をゴンドラ協会加盟の各社で協力して分散させることとなりました。

その会合は夜までかかり、アリシアは晃のこと考えながら帰宅している途中で偶然ゴンドラに乗っている晃を見かけました。
晃は疲労困憊でゴンドラを漕ぐ手も体も震えていました。うつむいている晃にアリシアは声をかけようとしましたが・・・震えていたのは疲労のせいなんかではありませんでした。

晃の頬には涙が見えました。

「……。 なんだ、アリシアじゃないか。」

「晃ちゃん…」

「変なとこ見られちゃったな。仕事に夢中になっている間は全然、大丈夫なんだ。でも、こうして気が抜けるとすぐ悲しみに負けちまう…。今日な、仕事を放棄しているアリスを怒鳴りに行ったんだが、どうやら私もっ… 私も偉そうなことを言えるほどまだまともじゃないみたいだ。何かしていないとダメみたいでな。…本当に情けない、情けないよな・・・・。」

「…晃ちゃん。」

二人とも、何も言葉が出てきませんでした。ただ、お互いの姿が涙に滲み、アテナのことを思い出していました。

次の日、プリマとして自由な時間が取れない灯里や藍華に代わって、まだシングルの後輩3人組がどうすればアリス先輩がまたゴンドラに乗れるようになるか、アリア社長、姫社長も協力して作戦会議を行います。
そして、アーニャちゃんの意見からまずは笑顔を取り戻すことが重要だということになり、作戦指揮はあずさが担当、アーニャはアリス先輩のお気に入りなどの情報収集を担当、アイは素敵なことが起きる予感にさせる素敵担当、兎に角、どんな素敵でもいいからアリス先輩に見せて笑顔になってもらおうとしました。作戦名は、「アリス先輩を笑顔にする大作戦」。そして、作戦が開始されました。

しかし、打ち合わせ通りにはうまくいかず、空回りばかり・・・。

「ふいにゅ~。ふいにゅ~。ぶい、ぷいにゅ。ぶいにゅ~~!!!」

アリア社長がまぁ社長に自ら“もちもちポンポン”を噛むように仕向けるという体を張ったとっておきも、かじられ損に終わりました。

もうダメかも、と弱音を吐くあずさに、どうしてもなんとかしたいアーニャ。仕事を終えた灯里先輩と藍華先輩も加わってアリス先輩に兎に角、ゴンドラに乗ってもらおうと皆でアリスの腕を引きますがついに振り払われてしまいました。

「もう皆さん、私のことなんかほっといてください!」

アリスもみんなの気持ちがわかっているのに、どうしようもできない自分が許せなくなっていました。

「アリスちゃん。でも、そんな悲しそうな顔をされたら放ってはおけないわ」

「え?」

と、そこにやさしい声がしました。

「久し振りね。アリスちゃん。」

「・・・グランマ」

グランマの後ろにはアリシアも立っていました。
憧れのグランマに今の姿を見てほしくない、アリスはその場から逃げようとしますが晃が逃げ道を阻みました。
「お前からグランマに何も言わなくてもいいのか?」

晃にそんな言葉をかけられて、アリスは重い口を開こうとしました。

「…グランマ、あの…もう…私…」

アリスちゃんがグランマに打ち明けることができずにいると
グランマがアリスのゴンドラを眺めながらゆっくり話しはじめました。

「このアリスちゃんのゴンドラは何人乗りかしら?」

「え、あの…。最大で7人です…。」

グランマは頷いて話を続けます。

「ゴンドラは乗れる人数が限られるから沢山のお客様と出会ってばかりではいられないわ。出会う分だけ、お別れしないといけないでしょ。お別れした後、後悔もしたりするわね。でも、そのお客様と一緒に過ごしたかけがえのない時間を失うことは絶対にないの。」

藍華や灯里は頷いていますが、ちょっと難しい話なので後輩3人はついていけていない様子。アリスはしっかりグランマの目を見て話を聞いています。
(そんなアリス先輩の姿をアーニャちゃんはじっと見つめていました。)

「アリスちゃん、永遠の別れは何時訪れるか誰にもわからないものなの。だから、もしかすると明日、急にグランマがアリスちゃんたちみんなとお別れしないといけなくなってしまうかもしれないわ。」

「え、そんなの絶対嫌です!」

「それは誰にもわからない。でも、グランマはね。今、アリスちゃんと一緒に話しているこの時間を絶対に失うことはないの。だから大丈夫。」

グランマは不安そうなみんなの顔を見回してからまた問いかけます。

「アリスちゃん、もうひとつ聞いてもいいかしら?アリスちゃんにしかわからないことなの。」

「え、は、はい…、なんでしょうか?」

「もしも…、アテナちゃんが今のアリスちゃんに言葉を掛けるなら、なんて言うかしら?」

「アテナ先輩が、今のわたしに…」

「アテナちゃんと過ごした時間が一番長かったあなたですもの。わかるんじゃないかしら。きっと、アリスちゃんの心の中にはアリスちゃんしか知らない、アリスちゃんだけのアテナちゃんがいるはずよ。」

アリスちゃんはしばらく考えてから、不安そうな顔をしている灯里先輩や藍華先輩、後輩のアーニャ、みんなのことを見回します。

「グランマ。私…」

グランマはそっとやさしく微笑みます。

「私…、またアテナ先輩に心配ばかりかけてしまっていたみたいです。」

アリスちゃんの潤んだ目を見てグランマは頷きます。

「そう、でも、これからは大丈夫みたいね。ほら、アリスちゃんはもうアテナちゃんを見つけることができたのだから。」

「グランマ。・・・はい。 あ、あの、みなさん、ご迷惑をおかけしてでっかいすみませんでした。」

涙目の灯里と藍華が笑顔でアリスに抱きつきます。

「おかえり、アリスちゃん」

[newpage]

そして、季節は“春”。

花咲きほこるサン・ミケーレ島にあるアテナ先輩のお墓には、お花を手向けるアリスの姿がありました。

「アテナ先輩、今、私、会社から改めて後輩を指導してみないかって話を受けているんです。落ち込んで、みんなに迷惑かけてばかりのダメダメな私にはもう無理なんて思ったりもしたけれど……。」

と、アリスは木陰からずっとこちらを見つめていたアーニャちゃんの姿に気が付きました。

「でも、私にはアーニャちゃんっていう先輩想いのかわいい後輩が既にいるからでっかい無理です。って、断ろうと思っています。アテナ先輩から教えてもらったこと、ちゃんとアーニャちゃんに伝えたいって思うから・・・見ていてださい。・・・アテナ先輩。次はプリマに昇格したアーニャちゃんと一緒にまたここにきます。でっかい楽しみにしていて下さい。」

アリスは立ち上がるとアーニャちゃんに声をかけました。

「でっかい盗み見禁止です。合同練習はやってないんですか?」

「ごめんなさい。でも私、アリス先輩のことが気になって。」

「仕方がないですね。ほら、行きましょうか。今日、夜は予約が入ってないから練習に付き合ってもいいですよ。」

「はい。お願いします。」

アリスはゴンドラに乗ります、手にはアテナ先輩が愛用していたナンバー「36」のオール。オレンジ色に染まった夕暮れのネオベネチアの街並み。飛び立つ鳥たち。アリスちゃんは優しく微笑み明日へ漕ぎ出します。

アリスのカンツォーネ「ルーミス エテルネ」が春風に乗って町中に広がり、歌声に気が付いた晃さんが笑顔でゆっくりと空を見上げ呟きます。

「そうか・・・、私にもついにゴンドラから降りるときがきたのだな。」

灯里や藍華達にもアリスちゃんの歌声が届きます、そして・・・本当の笑顔がネオベネチアに戻ってきました。

そうそう、気になるアリスちゃんが元気を取り戻したアテナさんの言葉。

{netabare}

それはARIAのことが大好きなファンの心に残っているアテナさんの言葉そのものです。

恥ずかしいセリフ禁止!

アテナさん、あなたの言葉にはたくさん助けられました。ありがとうございました。

また今日も平和な日常を過ごせたことに感謝しつつ、現実世界にしかないたくさんの素敵を見つけながら楽しんで生きていきましょう。
{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 8

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

「その 素敵なカーテンコールに」泣かないって方が無理!『ARIA』を知る全ての人へ

もはやサトジュンにとってもコミックブレイドにとっても伝説の作品である『ARIA』シリーズのアニメ10周年を記念したオリジナル完全新作
美麗な世界観、ヒーリング系というジャンルの確立をしたあの伝説の『AQUA』そして『ARIA』の続編ですよ!社長!


始まって5分もしないうちに流れる映像と共に『ウンディーネ』ってもうそこで泣いていたオレガイル・・・
こんな映画初めてでした、こんな速攻を仕掛けてくるなんて反則過ぎる・・・;


短編×3本=上映時間計60分の作品でパッケージングの際はテレビシリーズBD-BOXに1話ずつ収録されるとのことでまとめて観れるのは映画館だけ
水無灯里がプリマに、アイちゃんがARIAカンパニーの新人シングルとなった未来を舞台に、回想などで時系列が前後するエピソードが中心となります


1本目は多忙のアリシアの裏誕生日を祝いたいという晃の願いを聞いて奮闘する灯里
そして早速我々は「アクアがくれた奇跡」を目撃するのですよ!
だって!だって!!水の!!!水の三大妖精ががががが!!!!!!
ありがとうございます!本当にありがとうございます!
いやだって!川上とも子さんが!河合英里さんが!そこに!そこにいらっしゃるぅ!
もうホント、泣くしかない
泣くしか出来なかった、無理や
こんなんズルい


2本目の短編はなんとあの“ケット・シー”が出てきちまったwww
これもすっごくイイハナシダナー(´д`)
もういいwもうこれ以上オイラの涙腺を刺激せんどくれぇ


って思ったら3本目のラストォォォォ!
これっwこれはもう予定調和の範疇なんだけどwわかってても泣いてしまう;;;;;;;


いやはや;これは『ARIA』っていう作品とそのバックボーンを知る人にとっては最高に幸せな時間であると同時に最高に切ない時間ですね


最初に述べた通り、3本の短編のOPはテレビシリーズと同じ演出でして、3本それぞれに牧野由依の『ウンディーネ』『ユーフォリア』『スピラーレ』が流れるっていう心を抉る妄執のようなサプライズがやべぇ


思えばこの10年で『ARIA』に携わった人々の色んなことが変わったわけです
この世を去った方もいた
会社が潰れたりもした
ROUND TABLEも解散した
でもこうしてオイラ達の前に、『ARIA』は帰ってきたんですね・・・しみじみ


『ORIGINATION』の頃にやっとHD制作になったこのシリーズ、時は経ち技術も進歩し、今回はCGを用いた背景でより美しくネオヴェネチアが描かれてるのも注目したいところ


新キャラのあずさとアーニャも新世代のウンディーネとして各々が藍華やアリスのエッセンスを受け継いでいてとても味のあるキャラになってる!
それにアーニャ役が茅野愛衣で、今作を観て思いましたが新世代の広橋涼、或いは川上とも子=茅野愛衣なのでは!?ってぐらいキャスティングがマッチしていて面白かったですb
(そもそもかやのんが声優を志すキッカケが『ARIA』でしたね)


まさにファンの大きくて重い期待に応えてみせたカーテンコール
心はまさしくスタンディングオベーションでしたよ

投稿 : 2024/06/15
♥ : 23

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

監督や制作スタッフの優しさを感じました

この映画は灯里の後輩であるアイちゃんたちが登場する三話編成の物語です。
とてもほのぼのとした温かい内容でした。

でも、物語の内容よりも、もっともっと感動したものがありました。
それは・・・
この映画で、監督や制作スタッフの人達の優しさを、充分に感じることができたことです。

この映画の制作のとき、アテナ役の声優である川上とも子さんやアテナの歌声を担当した河井英里さんは、既にガンの病気で亡くなられていたのです。

でも、この映画の第一話と第三話の最後で、河井英里さんの美しい歌声を聴くことができます。
回想シーンでは、川上とも子さんの声も聴くことができました。
そして、エンディングでのスタッフ紹介字幕には、お二人の名前が記載されています。
お二人は、この作品の中で活躍している。この映画に参加しているのです。

亡くなられた後もこのように周りの人達が大切にしてくれる。
この映画を制作された皆さんは、なんて優しい人達なんだろう。
まさにARIAの世界のようです。

それだけで私は嬉しくなってしまいました。


2021年の春、ARIA完全新作が劇場で公開され、アテナ役として佐藤利奈さんが担当されました。
その際、飯塚プロデューサからは「もちろん川上さんも引き続きARIAファミリーです」との言葉をいただきました。

ARIAは人と人との絆を大切にしている物語。
映画をつくる人たちの絆も 大切になさっているのですね。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 48

65.1 6 未来アニメランキング6位
<harmony/>(アニメ映画)

2015年11月13日
★★★★☆ 3.7 (271)
1412人が棚に入れました
優しさと倫理が支配するユートピアで、3人の少女は死を選択した。13年後、死ねなかった少女トァンが、人類の最終局面で目撃したものとは?

声優・キャラクター
沢城みゆき、上田麗奈、洲崎綾、榊原良子、大塚明夫、三木眞一郎、チョー、森田順平

◇fumi◆ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

現代医療の在り方に対する危機感を掻き立てられた作品。政治思想的レビューです。

2015年放送の劇場版アニメ 120分

原作 伊藤計劃 監督 なかむらたかし マイケル・アリアス 脚本 山本幸治
制作 STUDIO 4°C

原作は2008年にハヤカワSFシリーズとして刊行された伊藤計劃の長編小説。

2019年に起こった大災禍「メイルストロム」(世界戦争と未知のウイルスの蔓延)により、
世界は新しい統治機構によって医療経済社会が築かれた。
全ての人類が社会のために健康・幸福であれ、がこの社会の名目である。

舞台は新世界確立から50数年後の日本やバグダッドやチェチェン。
主人公は
霧慧トァン CV沢城みゆき
御冷ミァハ CV上田麗奈

監督のマイケル・アリアスと制作会社は鉄コン筋クリートのスタッフ。

さて、この作品は本格SF小説のノイタミナ系アニメ化と言うことで、
地味に話題になってそれなりの動員は記録したようです。
日本のアニメファンのレベルの高さが証明されて嬉しいことです。

病気の無い幸せな世界と言われれば、同じノイタミナ枠で放送された、
犯罪の無い幸せなはずの世界「サイコパス」を思い出しました。
世界の設定が少し似ていますが、こちらの原作が先発なので参考にされたと思われます。

感想としてはサイコパスを観ていなければ設定の緻密さに驚いたであろうと言う程度です。
現代から続く世界的組織WHO(世界保健機関)が独裁的ではないにしても、
強大な権力を持っていて、「メイルストロム」のような危機に備えています。

医療経済社会に関しては現在進行形なので警告を発する作品かと思いましたが、
それほどのメッセージ性は感じられませんでした。

現代日本に例えれば、国民保健を値上げすることで、絶対多数の下層階級から金を巻き上げ、
癌などの無駄な医療で医療機関に金を回し、一部だけの景気を上げる。
国民保健医療機関は脱税が不可能なので、財務省に金が入り、
下層階級のなけなしの金は医療と言う名のもとに国に吸い上げられているのです。
それでいて日本の医療は先進国中最低レベルです。
金が入るタイプの医療にしか興味が無いからです。
サイコパスにおいても厚労省の肥大化が描かれましたが、現在進行形です。

日本が貧乏になった理由は原子力と医療に金を吸い上げられたため、
資格が紙切れになったのは医師免許に権力が集中したためです。

このSFアニメを観ればこういった日本の現状が思い浮かびますが、
それだけで、作品によるメッセージは見当たりません。
当然ですね、権力が集中しつつある医療には逆らえないからです。

日本は抗がん剤の実験場になっていますが、だからと言って海外諸国がまともとも思えません。
癌の治療法を開発したシモンチーニ博士は抗がん剤マフィアに命を狙われ、
現在はイタリア軍の厳重な保護下にあります。
これただの重曹治療でですよ。

WHOが厳重に摂取を抑制させようとしている「塩」は癌予防薬です。
エイズや新型インフルエンザをばらまいたのがどの組織なのか、
知識人なら常識ですね。

このアニメはストーリーよりもこのような会話をしたくなる作品です。
利権を持っている者、医療関係者や公務員は必死の攻撃を始めます。
それは現代のファシズムと言ってよいでしょう。

癌センターや指定病院を現代のアウシュビッツと呼ぶ人も居ます。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 22

TAKARU1996 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

すばらしい新世界-Brave New World-

2015年11月27日記載
さっそくレビューを始めていきたいと思います。
今回は伊藤計劃『ハーモニー』の映画を観てきました。
私の個人的感想を徒然と書いていくので、よろしければご参考までにどうぞ。

まずは世界観説明から
2019年のアメリカ合衆国で暴動が起こりました。
それをきっかけとして全世界で戦争と未知のウィルスが蔓延
人類の多くが死に絶えたそれは「大災禍(ザ・メイルストロム)」という名前で後に語られ、その反動か、従来存在していた政府と言う概念は崩壊し、新たな統治機構「生府(ヴァイガメント)」の下で高度な医療経済社会が築かれる世界が誕生します。
そこに参加する人々自身が社会のために健康・幸福であれと願う世界が構築された、優しい牢獄の世界
これはそんな社会に反抗し続けた少女達の物語なのです…

さて、ここからは私の感想を書いていきたいと思います。
今回、正直言ってこのアニメはレビューを書こうかどうか大変迷いました。
伊藤計劃作品は全部レビューしていこうと、前回の『屍者の帝国』を観てから固く誓ったのですが、この作品を見てからはちょっと決心が揺らいだ位です(笑)
これは自分の個人的価値観のせいでもあるのですが…
まあ、その理由については下記の方で書いていきたいと思います。
なので、フォローも交えて説明していきますが、今回の『ハーモニー』のアニメ映画に好感を持てた方、百合というよりレズ描写、グロ描写が大好きな方、原作未読の方はもしかしたら納得できない部分も多々あるかもしれません。
なので、この先を閲覧するかどうかは自己判断でお願いします。





では、これより説明していきたいと思います。
大まかな理由として
1.理解する事と共感する事は違うという事
2.レズ描写の増加
3.小説から映画への転換と2に伴って起こる原作改変
この3つが挙げられます。

まず、1から
私は原作既読なのですが、正直に言って、原作を読んだ時は生命主義体制(ライフイズム)もミァハの思想も共感できるものではありませんでした。
何と言うか、ひどく極端なんですね…
生命を社会的公共財として捉える生府(ヴァイガメント)の理念も、ミァハの生命主義(ライフイズム)に対して行うテロ行為も客観的に見たらとても横暴なんですよ。
勝手な考えで人々を動かしているのはどっちも変わらないじゃんと最初に読んだ時は酷く冷めた目で感じていました。
なので、今回の映画で何か心が傾く要因となる物が出てくるか、少し期待して観に行ったんです。
観に行った結果として、私が揺り動かされる事はありませんでした。
むしろ、逆に横暴だと言う自分の考えがさらに強固になった次第です(笑)
うん、やっぱりどっちにも理解は出来るけど共感は出来ない。
しかし、この映画を見てどちらかに共感する人は必ず出てくると思います。
人間の考えは千差万別です。
むしろ当てはまらない自分みたいな奴が異端なのだと思います(笑)
なので、この映画を見てどう感じるか
生府(ヴァイガメント)の理念に共感できるか、はたまた、ミァハの理念に共感できるか、もしくはどちらの意見にも共感できないか自分の眼で見極めてほしい。
その為にもまだ観ていない方は是非、1度は映画館や後に出てくるであろうレンタルなどで観てほしいと私は思いました。

次は2について
単刀直入に言います、原作よりレズ描写が明らかに多いです。
原作では普通だった箇所もレズっぽくなってます。
また、新たに作ったのか、はたまた私が忘れているのか分かりませんが、自分の知らないレズシーンまでありました。
私は随分前に見た某アニメのおかげで、女同士の恋愛に対しては嫌悪感を覚えるまでのトラウマを抱えてしまったので、正直観ててつらかったです…
小説でも百合を1つの土台としてはいるものの、地の文と組み合わせて淡々と表現しているので、そこまで悪寒はしなかったのですが、映像化するとなると恐ろしいですね…改めてそう感じました(笑)
また、グロシーンも結構すごいです。
『屍者の帝国』よりも気持ち悪く感じました、精神的にきます、驚きます、血がドバドバ出ます。
これらが嫌いな人は少し覚悟して観た方がいいでしょう。
ああ、勿論大好きな方はどうぞ期待して観てください。

最後に3について
これがこの映画で1番納得できない部分でした。
1や2については主に私だけの個人的問題なのでいいのですが、この3だけは原作既読の方でも納得できない人は多いかと思います。
端的に説明していきましょう。
まず、説明セリフのオンパレードです。
未読の方はこの映画だけを観て理解できるのか、少し分かりませんね…
あまりにも喋っている場面が多いので、聞き逃すとストーリーが把握できなくなるかもしれないです。
映画として表現するにあたっての工夫があまり感じられないような気がしました。
ただ、小説をそのまま映像化しただけのような…
まあ、これは原作自体が説明の多い小説ですし、演出を吟味した結果なのだとしたらしょうがない事なのでしょう。
次に重要なシーンが結構抜かれています。
最初に上映した『屍者の帝国』も重要なシーンは抜かれていますし、映画では登場していない人物も数多くいました。
しかし、あの映画は再構成と言う形で未読の方にも分かりやすく伝わるよう工夫した結果、牧原亮太郎監督版『屍者の帝国』として生まれ変わったのです。
この点に関してはただ、素直に拍手を送りたいです。
さて、『ハーモニー』の映画はそれとは逆に原作を忠実に作りました。
ただ、その結果、フォローの回りきれていない部分があったように思います。
最初の物体は何なのか?
意識が消失すると言う細かい意味とは?
最後に登場した人物は一体誰なのか?
あんなにキャラクター達が喋っているのに、説明不足な点が多いですからね…
改めて、映画化するにあたっての難しさを感じたような気がします(笑)
まあ、しかし、やはり原作全てを映像化するのは不可能な事
2時間で収めるならば、所々カットしなければいけない箇所もあるかと思いますので、これもまた、しょうがない事でしょう。

しかし、これだけは言わせてください。
ラストシーンを変えたのは流石にどうでしょうか?
原作では霧慧トァンという1人の女性が御冷ミァハという女性の影をある種の執念で追い続け、最終的にはミァハからの独立、明確なトァンという1つの個へと至る物語でした。
しかし、この映画では最初から最後までトァンはミァハの事しか考えていません。
その結果、ミァハという自分に指針を与えてくれた親の如き存在から離れ、前に進んでいくトァンの成長というカタルシスがろくに感じられなかったのが心残りでした。
そして、最後に彼女はミァハに対して自分の答えを出す為にある行為をします。
その行為をした理由となる答えも原作とは変えられ、しかも原作の方が好きだったので、これもまたちょっと心残りでしたね…


以上を持ちまして、個人的感想を終了したいと思います。
ここまで長々とした駄文を読んでくださってありがとうございました。
今回は少し毒の強いレビューとなってしまったので、ちょっと残念です。
しかし、ここで1つ言っておきたいのですが…
この『ハーモニー』映画の全体的出来としては決して悪い訳ではありません。
上手く原作をまとめているなあと感じる部分もありましたし、改変でよかった箇所もありました。
恐らく、この作品は映画と小説、両方見て初めて完成する作品なのだと思います。

「事実は小説よりも奇なり」と言う言葉があります。
現実に起こる出来事は、作られた物語の中で起こる事よりも不思議で面白いものだという意味の諺です。
正直、私自身にとってみればあまり実感のない言葉でした。
その意味についても本当にそうだろうか?と首をかしげている普通の一般的な現代人です。
現実よりも小説の方が面白く感じる時もあるし、そんな考えに至るには、毎日、充実した日々を過ごすしかない。
だが、そんな幸福に溢れた生活などあり得ないと、その言葉を最初に学んだ時は斜に構えた眼で見ていました。
しかし、この映画を見てから、その諺の意味が少しだけ理解出来たような気がします。

よく考えてみると、この諺は決して現実と物語を分けてはいません。
物語は現実と断絶して存在している訳ではない。
確実にそれは読者にも何かしらの影響を与え、その結果、変わらない日常が変化していく人も中にはいます。
「影響」と言う言葉で片付けるにはあまりにも強い力
ゲーテの『若きウェルテルの悩み』を読んで自殺者が急増するように
坂口安吾の『堕落論』を読んで若者が新たな価値観を植え付けられるように
物語に感化された御冷ミァハから影響を受けた霧慧トァンのように
そして、伊藤計劃という個人の作品に没入している私達のように……
その結果、彼らは、私達はどのような方向へ導かれていくのか?
それは誰にもわかりません、歴史もしくは観ている我々、傍観者が判断するしかない事でしょう。
ただ1つだけ言えるとするならば
その力こそが現実を面白くさせる1つの起爆剤になるのではないかという事

それはこの映画からも同じことが言えます。
あなたは『ハーモニー』を観て、どんな影響を受けるでしょうか?
もしくは何も感じずに終わるでしょうか?
しかとこの目で確かめる為にも、この映画1度は見るべきかと存じます……

ここまで読んでくださってありがとうございました!!

「フィクションには、本には、言葉には、人を殺す事のできる力が宿っているんだよ、すごいと思わない?」
伊藤計劃『ハーモニー』p.224,早川書房


2016年1月24日追記
いまから語るのは、
〈declaration:calculation〉
〈pls:敗残者の物語〉
〈pls:脱走者の物語〉
〈eql:つまりわたし〉
〈/declaration〉 [ハーモニー]
と言っても、この映画については1年前に概ね語り尽くしましたね…
今作の批評も、今思えば感情に任せて書いた文章でございます。
しかし、よく考えたらそのスタンスは現在の自分と未だに変わっていないというか、未だによく行っている事に書いていて気付きました。
自分の理性的であり合理的な部分を占める成長は、この先「闇」しかないのかもしれません(笑)

しかし、この『ハーモニー』と言う映画
観ていてつくづく考えてしまうのは、社会を構成していく難しさです(ディストピア小説なので当然と言えば、当然の話なんですが)
より良い社会に住みたいと思う事は万人において普遍的な共通性ですが、しかし、その社会的「善政」が万人に良い効果をもたらすとは限らない…
構成員である人々誰もが「善性」であれば、社会は幸せになるのか?
『ハーモニー』と言う作品はそんな問いにも深く言及しているようです(まあ、私が1番好きなキャラはキアンなんですけど(笑))
しかし、社会は無理でも世界なら…
2人ぼっちの世界なら…
-----------------------------------------
彼女が死んでいく間、私は誓った。
天国とまではいわないけれど、できるかぎりここを、この場所を良くしてみせるよ、と。
彼女はそれを聞くと、にっこり微笑んだ。
そうね、天国とはいわないけれど、天国の隅っこくらいまではたどり着きたいわね、と。
それが彼女の最後の言葉だった。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「フォックスの葬送」より
-----------------------------------------

さて、前作『屍者の帝国』から始まり、今作で分岐点を迎えた長いプロジェクトは来月の「終わりの始まり」を上映する事によって、遂に終焉を迎えます。
ここまで至る道は1年以上に亘った大変長い物でしたが、何、なんて事ありません。
人間の魂に及んだ解答が1年と少しで解明されたんです、こんなに短い物は無いでしょう…
しかも、どうやら深夜に『屍者の帝国』と『ハーモ二ー』が放送されるそうですね、こんなに嬉しい事は無いでしょう…
私も深夜放送で「終わりの始まり」に至るまでの雄姿をもう1度拝見し、それから最後の戦場、ジョン・ポールとの戦いへ臨みたいと思います。
そして、「伊藤計劃」の全てが揃ったその時はもう1度全体を観るとしましょう、読みましょう!!
「物語…それは死してなお、この世界にあり続ける技術」

-----------------------------------------
さあ、行進しよう、とぼくは穏やかに呼びかけた。
のろまも、せっかちも、思い思いに。
足並みなんてばらばらでかまわない。
のっぽも、ちびも、僕らは歩く。
丘を下って。
人の営み、生活の匂い
それを運ぶ涼やかな風の上方へと。
伊藤計劃『The Indifference Engine』「The Indifference Engine」より
-----------------------------------------

投稿 : 2024/06/15
♥ : 14

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

中々に重いお話ですぞ

HTML書式風味?で始まる未来の光景からは
想像つかない程にラストは濃厚。
脳医学ちょっとかじってれば
理解できると思うけれども、別に知らなくても
他に見所は沢山あるので問題無し。

中1の時の自分の思考や言動をなぞっているようでしたよ
ミァハ

思考停止
いわゆる考えるのをやめた☆
ようなちょっと想像するとラストは怖いのですが

憎しみ・恨み・怒りのエネルギーというのは絶大なもので
生きる力に変換できるほどの威力を持っています。
相手を殺すか自分が死ぬかの二択と思われがちなのですが
実は3の道があります。
これがベリーハードモードで
死んだがマシと思えるほどの苦痛

脳みそって良くできていて
失った機能をサポートしてくれる場合もあるのね
シナプスが勝手につながる感じ?
これがミァハの言うところの意識の覚醒だと思うんだけど
痛みも苦痛も意識下で認識してないと
認識してないととるわけ
何も感じない訳でもなく緊急避難的に
なかったことにするか自我を殺して
何も感じないようにもできるわけ。
すごいよね、脳みそ。

葬式があるだけマシというか
健全なのかな
死をまだ身近で感じられる分
そんな事を考えながら見ていたのでした。

マイケル・アリアスとSTUDIO4℃
鉄コンコンビですね。
「Ghost of a smile」
主題歌は EGOIST

意識に思いをはせられる哲学的な一品です
カテゴリーはSFになるんだろうけど。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 23

75.5 7 未来アニメランキング7位
PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR(アニメ映画)

2020年3月27日
★★★★☆ 3.8 (224)
1336人が棚に入れました
2120年、東京。シビュラシステムによって管理された社会で、刑事課一係を率いて事件を解決してきた二人の監視官、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、事件を捜査していく渦中で真実と正義を巡り決裂してしまう。それらの事件の裏で暗躍する梓澤廣一は、ついに刑事課そのものを標的に定め、公安局ビルを襲撃する。かつてない窮地に立たされた公安局刑事課一係。灼と炯の信義を問う、最後の事件が起きる――

声優・キャラクター
梶裕貴、中村悠一、櫻井孝宏、大塚明夫、諏訪部順一、名塚佳織、沢城みゆき、佐倉綾音、日髙のり子、宮野真守、中博史、日笠陽子、森川智之、堀内賢雄、矢作紗友里、関智一、野島健児、東地宏樹、伊藤静、本田貴子、花澤香菜

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

き、汚い!。流石サイコパス汚い。

フェイトがおじゃんになっちゃったので、急遽予定変更してサイコパスを鑑賞。正直3期は微妙だったし、アマプラで見れるから…と期待はしてなかったのですが、面白れぇ…じゃねぇかこれ。


しかし、やはり汚い!。詳しくはネタバレ注意なんで言えないですが、こんな終わらせ方は汚い!。でも…、好きってなってしまうのが罪深い。そもそもディケイドじゃあるまいし、続きは劇場で!はないと思いますが、ソフトが売れない今は色々厳しいのかも。


正直言って作画は劇場版に相応しい超豪華仕様じゃ全くありません。テレビのクライマックスな2、3話を劇場にかけた感じです。しかし、微妙だった3期が見違えるほどに面白い!。終わらせ方はともかく、一本の映画として充分ストーリー、キャラが魅力的だから善し!。正直私は全シーン作画がしっかりしてないと許せないタイプではないので。作画の粗捜しはつまらないことです。


とにかく、今回は梓澤の悪役としての魅力が全体にしっかり芯を通してるし、目標もハッキリしているアクションサスペンスとしてかっちり構成されてます。キャラの台詞がいちいちキマっててどこか箴言じみている味わいがあるのも善し。


多くのキャラ、多くの事態が入っていますがゴチャゴチャにならず2時間15分くらいが凄く充実しています(充実し過ぎて久々に膀胱がヤバイ…って状態に)。


終盤の事件の収拾が少々軽かったり、そもそもあの終わり方…とか言いたいこともあるが、3期でガッカリした人も充分見る価値あります。


最後に、梓澤と相棒のハッカーのおデブちゃんの関係がめちゃ良い!。彼等の活躍をもっとテレビ…とは今更言ってもせんないこと。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 28
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

シビュラの帰還

AmazonPrimeVideoの編集版を視聴。

【物語 3.5点】
『~3』としては大風呂敷を畳むも、
『PSYCHO-PASS』としての論点は、語る土台を整えるに留まる。
とは言え、刑事ドラマとしてシリーズが脱線、霧散という最悪の事態は避けられた。


道中、シリーズの象徴である“ドミネーター”の出番を制限してまで、
アクションや人質に交渉、脅迫、“狐”やブラフなども飛び交う、
刑事ドラマSPらしいお祭り騒ぎを繰り広げた時は、
興奮はするけど、もう『PSYCHO-PASS』は戻って来ないのでは?
とワクワクとイライラが入り混じった複雑な気持ちにさせられましたが、
最後はちゃんと『PSYCHO-PASS』として着地。


結局、{netabare}いつも通りのシビュラ圧勝でしたw{/netabare}


【作画 4.5点】
各組織の“代表選手”が激突する格闘戦、銃撃戦、ドローン戦などが
よく動く作画でド派手に演出されている。

もっとも、私のベストバトルは……{netabare}“ダンゴムシ”無双ですが。{/netabare}


描き込まれた背景美術に重ねられた季節の描写も頑張っていた本作。
降り止まない雨ばかりでなく、
雪降りしきる真っ暗な冬から、やがてやって来る花吹雪舞う新しい春へ……。
春公開の意外なタイムリー性を見せる。


霜月課長の変顔もあるよw


【キャラ 4.0点】
華やか。舞台を公安局とその周辺にしぼることで、
現状のオールスター戦が実現。


『~3』の新主人公キャラの灼(あらた)については、
シビュラとの関係性も含めて立ち位置が明確になり、
罪を憎んで人は執行せず裁きにかけるという性格が改めて強調。


今後、旧主人公の朱の構想や、狡噛の価値観と、
どう関わり、対峙していくかが、
『~3』が壮大な伏線だったか、脱線だったか、
決定付けるポイントになると思います。


梓澤(あずさわ)は、“紙の本”で読書する中々のボスキャラでしたが、
1期の例のあの方には、やはり及ばず……。

むしろ、スタッフさんたちもそれは承知の上で、
及ばない様を、シナリオで生かす道を模索した感があります。


【声優 4.0点】
主要キャスト陣らが引き続き安定。
ブラフ合戦が醍醐味になるのも役者の好演あってこそ。

天才クラッカー・小畑千夜役を演じた矢作 紗友里さんの悪態と、
受け流す梓澤廣一役の堀内 賢雄さんの掛け合いも程よい毒スパイス。

CV野沢 由香里さんとCV斧 アツシさん。
ベテラン勢が演じた“ピースブレイカー”残党も
“亡霊”として渋味が効いてグッド。


【音楽 4.5点】
劇伴は『~3』からのメインテーマが要所で活躍。
新旧キャラが“肉体言語”で会話するシーンでは、
旧メインテーマの旋律もアレンジされ対決を盛り上げる。

OPはWho-ya Extended「Synthetic Sympathy」
雨が降り止まない首都の闇をハイスピードで駆け抜ける快作。

EDはCö shu Nie「red strand」
変拍子も交えて歪んだ世界をかいくぐり意志を貫き通す。


なんだかんだ『~3』の一番の収穫は新OP&ED主題歌体制の確立。
特にWho-yaの抜擢は大きかったと思います。


【感想】
どこぞの中央銀行が利下げした、統計発表がどうだった。
テロが起きた、選挙結果が意外だった……。

現代の市場取引は、世界情勢などにも反応して、
自動的に売買を即断するアルゴリズムによって、
超高速マネーゲーム化している……。

とすると仮に市況を一変させる出来事を操作、創造できるとしたら、
これはもはや大きすぎて摘発されないインサイダー取引だな……。

本作を視聴していて真っ先にこの着想を思い出しました。


過度な刑事ドラマ路線傾倒への懸念はひとまず払拭されましたが、
22世紀が舞台のSFとして未来を見せてくれたかと言えば、
扱われた問題は、引き続き21世紀的だったと思います。

ビブロストとの戦い自体……
{netabare}シビュラ開発過程で残った過去の問題の精算でしたし。{/netabare}


さらにここに来て、朱が、{netabare}法による人とシステムの保護を提唱し出した件。

そう言えば、そもそも法治主義が何故崩壊したのか。
そこからシビュラシステムがどう確立されたのかについては、
語られていないことも多い印象。

もしも朱が法治主義の復活を目論むならば、
今後の物語は多分に温故知新の様相を呈していくと思われます。{/netabare}


因みに劇場公開版の方は、EDクレジット後に今後の展開も匂わせる映像が追加されているとか……。
流石に新型コロナ感染リスクを冒して劇場に遠征する勇気はないですね……。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 27
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

亡霊たちの宴、終幕。

ProductionI.G制作、SF×サスペンス。

乱雑する全ての点が線となり集約され、
ここに亡霊たちの宴が幕を閉じる。
人物を動かすあらゆる動機が露呈された。
シリーズ最高評価点を贈りたい。

正義を巡り決裂した灼と炯・イグナトフ。
{netabare}暗躍するインスペクターが公安局を襲撃する。
仕組まれた自動車事故、微笑むコングレスマン。{/netabare}
かつてない窮地に立たされる公安局刑事課一係。
占拠された公安局ビルでダイハードが始まる。

シビュラシステムの盲点が照準である。
複雑に入り組んだ事件の真相は、
それぞれが抱く正義と信念をもとに、
その分岐点が交錯し始めるのだ。
{netabare}ビフロストの真の目的とは!?
一介の駒である梓澤のその真意とは!?
そして法斑静火の行動原理、
圧巻の映像描写は健在で臨場感が凄い。{/netabare}

シビュラはまだ進化の途上であるのだ。
高度に拡張した完璧なシステムの構築に、
膨大な外部情報だけでは測れないもの、
亡霊とは設計図から零れ落ちたバグである。

灼が語るこの言葉こそ物語の本質である。
{netabare}「ドミネーターには引き金が付いている」
つまり責任はまだ「人間側」にあるのだ。{/netabare}

躊躇する存在こそ人間なのだろう。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 41

72.9 8 未来アニメランキング8位
BLAME!(アニメ映画)

2017年5月20日
★★★★☆ 3.8 (214)
1192人が棚に入れました
テクノロジーが暴走した未来。人類の希望は孤独な旅人に託された――。

過去の「感染」よって、正常な機能を失い無秩序に、そして無限に増殖する巨大な階層都市。
都市コントロールへのアクセス権を失った人類は、防衛システム「セーフガード」に駆除・抹殺される存在へと成り下がってしまっていた。
都市の片隅でかろうじて生き延びていた「電基漁師」の村人たちも、セーフガードの脅威と慢性的な食糧不足により、絶滅寸前の危機に瀕してしまう。
少女・づるは、村を救おうと食糧を求め旅に出るが、あっという間に「監視塔」に検知され、セーフガードの一群に襲われる。
仲間を殺され、退路を断たれたその時現れたのは、“この世界を正常化する鍵”と言われている「ネット端末遺伝子」を求める探索者・霧亥(キリイ)であった。

声優・キャラクター
櫻井孝宏、花澤香菜、雨宮天、山路和弘、宮野真守、洲崎綾、島﨑信長、梶裕貴、豊崎愛生、早見沙織
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

撃ち抜いたものは何だ!?

弐瓶勉×ポリゴンピクチュアズ。

映画「マトリックス」の世界。
圧倒的な世界観と映像美に心が躍る。
シドニアの騎士よりキャラに表情が生まれ、
女性キャラも可愛いし最高です。
お勧めできる方も少ないかも知れませんが、
後世に伝えたい傑作ハードSF。

遠い未来、極限にまで発達したテクノロジー。
そこは正規アクセスする人々の、
要望を叶える理想郷だった。
{netabare}しかし破局が起こり、人々はアクセス権を失う。
暴走するテクノロジーと蔓延する感染症。
正常な機能を失い、増殖する巨大階層都市。{/netabare}
人々は都市から駆除される存在となる。
セーフガードの目を逃れ短い生を生きる人々。

無機質なアートワークと音響にも注目したい。
一時期の「廃墟」ブームや、
「工場萌え」の方々も絶賛するでしょう。
構造物や美術が主人公と言っていいぐらいだ。

いったいここの地下には何があるのか!?
いったいこの迷宮は何階層あるのだ!?
そんな事を想像してみると楽しい。

果てしなく続く暗黒の未来。
孤独な旅人、霧亥は人類の生き残りを賭け、
巨大階層都市を放浪する。
彼が求め、探しているのものは何だ。

重力放射線射出装置が撃ち抜いたものは…、
僕の心でした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 67

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

3DCGの進化と可能性~すべての映画はアニメになる~

本作は、2017年5月に、
劇場公開と同時に、日本初のNetflixオリジナル映画として全世界へ配信されました。
「シドニアの騎士」で知られる弐瓶勉のデビュー作であり、
原作発表から20年後に、アニメ映画化。
制作を担当したのは、瀬下寛之監督とポリゴン・ピクチュアズという
「シドニアの騎士」の2期の制作タッグですね。

レビュータイトルの「3DCGの進化と可能性」というのは、
2014年に投稿した「楽園追放」のレビューで使用したものです。
「楽園追放」では、
セルルックの3DCGの出来にアニメの新たな可能性を予感させるものでしたが、
粗さも目に付きました。
比して本作は、画作りという点では、軽い衝撃を受けました。
日進月歩の3DCGの技術は、すでにハリウッド映画を視野に捉えているのかもしれません。

これは実写の話になりますが、SFを始めとするスケールの大きいストーリー、
ド派手なアクションシーンなんかは、邦画はハリウッド映画に後塵を拝していると思います。
なんてたって予算の規模が違いますからね。
ただ、日本にスケールの大きいストーリーを作り出すノウハウがないのかというと、
それは違うと思います。
その分野は、日本では主に漫画・アニメが担ってきたのです。

しかしいくら優れた原作があっても、いざ実写化ということになると、大概コケますw
観客が望むレベルに対して、映像の迫力、アクションシーン、演者の演技等の
クオリティが明らかに足りてないからです。

もしこれらを3DCGで補うことができれば・・・
ハリウッドのSFアクションに引けを取らない大作が作れるかもしれません。
演者の演技に関しては、動作を3DCGが担当すれば、後は声の吹き込みです。
そして、日本には、アニメーションによって鍛えられてきた
声優というプロフェッショナルが存在します。

これまでは2次元(漫画やアニメ)と3次元(実写)と明確に区別されていた壁を、
3DCGの技術の発展によって、取り崩されることにより各々のリソースを共有し、
新たな作品が生まれる可能性が拓けるはずです。

「現実(ニッポン)対虚構(ゴジラ)」
これは、庵野秀明が総監督を務めた「シン・ゴジラ」のキャッチコピーですが、
日本における稀有のSF大作「ゴジラ」を、
「新世紀エヴァンゲリオン」等の作品を作り出してきた庵野秀明が手掛ける。
その観点から言えば、「現実(実写)≒虚構(アニメ)」です。

このように現実と虚構のボーダレス化の兆候というのは既に存在している訳ですが、
3DCG技術の進化によって、より現実と虚構は接近することになると思います。
押井守の「すべての映画はアニメになる」という発言は、
実に先鋭的だと感じる今日この頃です。

おっと、まったく本作の感想を述べていないので軽く触れておきますw
話としては、連載前の読み切りのような位置づけです。
この劇場版だけでは、すべての謎が解ける訳ではないですし、
まー作品紹介みたいな感じですかねw
それでも充分におもしろかったですよ。
それに、「シドニアの騎士」の中性や光合成なんて設定もそうなんですけど、
弐瓶勉は作品の肉付けが非常に巧いです。
そうしたちょっとした設定の妙によって、ストーリーにぐっと引き寄せる力が帯びてきます。
ただ、本作はストーリー云々の前に視聴価値があると思いますよ。

日本アニメーションのルーツは大正6年(1917年)と言われていますが、
それから100年後に公開された本作は、新たな時代の到来を予感させるものでした。
それはアニメーションに限らず、日本映画シーンをも変えてしまうかもしれません。
現実と虚構の境がなくなっていく中で
「アニヲタ」なんて言葉はそのうち死語になるかもしれませんよw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 33

四文字屋 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

ハリウッドCGアクションにさんざん模倣されているうちに、時代が追い越してしまったけれど、23年前にスタートした時は突出した世界観が素晴らしいSFマカロニウェスタンだったんで、

そのアクションのゾクゾクするような美しさと
20年の間に長足の進歩を遂げたCG技術があったればこそ、
SFマカロニウェスタンってだけじゃなく、
ハリウッド映画みたいな大掛かりな画面も堪能出来て、
長年待った甲斐があったというものだ。

アクションも、展開も、
スピーディで面白いですよー!

ただし劇場の大スクリーンで、
いい音響とともに鑑賞しないと、楽しさは3割減かな。

それでも孤高のダークヒーロー「キリイ」のキャラはまるで、
往年のマカロニウェスタンの
ジュリアーノ・ジェンマか
リー・ヴァン・クリーフかってぐらいにカッコよくて、
終幕での後ろ姿なんて、ホントもうガンマンそのもの。

ポリゴンさんも最近の仕事の充実ぶりが見事に反映されていて、
アクションシーンだけでなくて、
キャラの表情や日常での動きもしっかり表現できるようになって、
こういう画作りは、
今の時代じゃないと無理だったのだと思うから、
これはもう理屈抜きで、楽しみましょう!

投稿 : 2024/06/15
♥ : 31

65.5 9 未来アニメランキング9位
未来のミライ(アニメ映画)

2018年7月20日
★★★★☆ 3.2 (228)
862人が棚に入れました
とある都会の片隅の、小さな庭に小さな木の生えた小さな家。ある日、甘えん坊のくんちゃん(4歳)に生まれたばかりの妹がやってきます。両親の愛情を奪われ、初めての経験の連続に戸惑うくんちゃん。そんな時、くんちゃんが出会ったのは、未来からやってきた妹、ミライちゃんでした。このちょっと変わったきょうだいが織りなす物語。それは、誰も観たことのない、小さなお兄ちゃんの大きな冒険の始まりでした―

声優・キャラクター
上白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司、福山雅治
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

樫の木の記憶

細田守監督作品。

甘えん坊の4歳児くんちゃんに妹が出来る。
両親は赤ん坊に付きっきりで育児に追われ、
くんちゃんは家庭に居場所が見つからない。
疎外感を感じた彼は小さな樫が茂る庭へ飛び出す。
{netabare}そこには不思議な世界が待ち受けていた。
くんちゃんの心の冒険が始まる。{/netabare}

家族の絆を描くどこか啓蒙的な作品です。
ここにも戸惑ったレビューが数多くあります。
たしかに娯楽としては、弱いと思います。

家族とはそもそも偶然性で出来ている。
子供は親を選べないと言うが親も子供を選べない。
{netabare}ここで重要なことは、
偶然とも呼んでいい些細なことの重なり、
その繋ぎ合いが家系図を作るということだ。{/netabare}
家族とは、偶然性が生んだ共同体である。

もしもあの時、懸命に走らなければ。
もしもあの時、懸命に働かなければ。

歴史は選択した小さな出来事の集合である。
家庭を持つ方はきっと感じるものが、
あるのではないでしょうか、そう思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 50

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

不愉快です。クズ夫婦にイライラします。ネグレクトは虐待です。

 マイナス100点。最悪の映画です。

 子育てに大事なのは願いではありません。子供は勝手に育ちます。親の願いで育つことはありません。親ができることは危機回避と背中を見せることだけです。親が子供に願いだすと、それが暗黙でも言葉や表情、行動に現れます。絶対にやってはいけません。元気で健康に育ちますようにですら、病気が見つかったら、障碍者になったら失敗になります。子供のすべてを受け入れなければいけません。
 それで子供が逃げ出したり歪んだりする小説やアニメなんて沢山見てきたでしょう。このアニメは何を考えているのでしょうか。

 子育てに大事なのはスキンシップです。クリエーターで子育てものを作るなら心理学くらい確認しろ、と言いたいです。4歳くらいの男児ならネグレクト(放置)も虐待です。ましてあそこまできつく当たるのって何なんでしょう。陰でいくら愛してるといっても、子供に伝わらなければ意味がありません。何よりスキンシップ、特に母親との肌のふれあいが無い子供は不安定になります。

 母としてなぜあそこまで子供に冷淡になれたのでしょう。嫉妬で新生児に電車を振り上げても自制できる子供が、あそこまで傷ついているのです。我が子を追い込んだ自分を省みることができない、ということは仕事のレベルも推して知るべしです。しかも外に飛び出した子を追いかけもしないで。

 平等に愛情を注ぐように気を付けていてもどうしても妹に手がかかってしまう、という感じが全くありません。完全邪魔者扱いです。何かに気がついたり心配するそぶりも見せません。1場面くらい反省らしきことを言っていますが事の重大さも認識していないし、真剣に悩んでいる風にも見えません。
 入れ替わりで産休に入る人がいたって、子供が大切ならそんなのは会社の責任で何とかすればいいし、在宅だってできるでしょう。自分が全部正解みたいなツラで仕切るな、と言いたいです。

 今の時代ですから、仕事に出るなとはいいません。いや、推奨すべきなのでしょう。が、仕事をやっている奴がそんなに偉いのか?夫の批判をしているけど、お互い様という考え方はできないのか?と思います。
 本当に子育てに優先することが、仕事にはあるんでしょうか。食わなければいけないのはわかりますが、折り合いがつけられないのでしょうか。
 
 夫は夫で、自転車で補助輪を外して頑張っている我が子を放っておいて、あれはないでしょう。母親もフォローもしないし。犬に対しても同じだったということは、そういう性格なのでしょう。生活を考えない使い辛い家を作ったり。

 これって、庭の木が見るに見かねて助けてくれたってことでしょう。父親らしさも母親らしさも皆無です。若夫婦の奮闘記にしても、レベルが低すぎます。そもそも若くなさそうだし。35歳、精神年齢10歳にしか見えません。設定は良く知りませんが。

 まったく感動も感情移入もできませんでした。というか不愉快でした。



22年8月 評価見直し中。極端な評価や感情的な部分を補正。初回見たときの印象と改めて旧作と比較したときの点数の補正など。

 冷静に考えるとあのバイクの爺さんだけはキャラが良かったのでキャラとストーリーにちょっとずつ点数入れます…が、やっぱり良い感情がもてない映画なことに変わりありません。

 なぜかと言えば、夫婦が変わらないで、子供が木の力を借りて自分自身の旅で救済を得たからです。夫婦側でも旅があり何かを悟って間違いに気が付くならいいんですけど。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

雀犬 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

子育てアニメでした・・・

観て来たよ。
えー、このアニメの感想ですが。
ホント「子育てアニメ」なんで独身にはつらい内容かと思います。
細田監督は「サマーウォーズ」からずっと
家族をテーマにしたアニメを制作してきましたが
過去作よりさらに直截的な作品だなと感じました。
ファンタジックなものを期待していると落胆するかもしれません。

親戚が集まって、しばらくしたら子育て話が始まって、
子供が泣くから寝不足だとか
なんやかんや苦労話を聞かされて、
ボクは興味ゼロでも適当に相槌打つしかなくて
でもやっぱり可愛いんだよなと
子供の写真を見せられて
ボクは「あ~可愛いね」と返すしかなくて。
最後は「子供はイイゾ!雀犬お前も結婚したらどうだ!」
みたいな。はぁ。


そういう居心地の悪さを終始味わうことになるかもしれないので
独身の皆さんは覚悟しておいた方が良いかもしれないです。
登場人物とのライフステージの違いは如何せん埋めがたいもの。

ただ家族持ちの方からも「子育ての苦労なんて現実だけで十分です」
といった否定的な感想をちらほら見かけたので
誰のために作ったのかよく分からない作品になってしまったようにも思います。

人物の描写は非常にリアリティー重視で良く出来ていたと思います。
なのでCVに声優を使っていなくても違和感はあまり感じなかったのですが
デフォルメがきいていないぶん
まるでホームビデオを100分見せられているような感覚がありました。

公開後の感想を見聞きした限り、予想以上に否定的な意見が多い。
我が子の成長を見届ける喜びを共有したいという思いに悪意はなくとも
ネットが普及し個人が情報を気軽に発信できる時代になった今、
SNSやBLOG、動画サイトで自らの幸せや充実ぶりをアピールする人が増えており
他人の自己顕示欲というものに皆うんざりしているようにも思います。

国民的アニメを作りうる監督として期待されていた細田さんも
自身の個人的な体験をベースにした作品を作るという
これまでの路線を変更しないと今後は大衆の支持を得られないのかもしれません。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 30

67.5 10 未来アニメランキング10位
GODZILLA 星を喰う者(アニメ映画)

2018年11月9日
★★★★☆ 3.7 (53)
213人が棚に入れました
アニメーション映画『GODZILLA』(通称:アニゴジ)がついに最終章を迎える。

二万年後の地球で繰り広げられた、<ゴジラ>とそれに抗う人類の物語。最終章『星を喰う者』では、超科学が生み出した<メカゴジラシティ>をも焼き尽くし、地上の覇者となった究極の生命<ゴジラ・アース>と高次元怪獣<ギドラ>が相まみえる。

『アニゴジ』の誕生は2017年。これにより『ゴジラ』は新たな領域へ足を踏み入れた。同年11月公開の第一章『GODZILLA 怪獣惑星』はゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品であり、その映像体験は大きな驚きと称賛をもって迎えられ、第二章『GODZILLA 決戦機動増殖都市』は、アニメーションならではの<メカゴジラ>の新解釈で観客を圧倒した。

そして最終章では、虚空の神<ギドラ>と破壊の王<ゴジラ>がついに激突。戦いの果てに待つのは、人類への啓示か。

監督は、昨年公開の劇場版『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』で邦画年間興行収入ランキング1位を獲得し、確かな演出力を遺憾なく発揮する静野孔文と3DCGの第一線で培われた手腕を『シドニアの騎士 第九惑星戦役』、『亜人』、『BLAME!』で磨きあげ、余すことなくその魅力をフィルムに焼きつける瀬下寛之が務め、両者の最高のコンビネーションは最終章でも見事に発揮されている。ストーリー原案・脚本は、『魔法少女まどか☆マギカ』や『PSYCHO-PASS サイコパス』などで知られる虚淵玄が担当。観る者全てを出し抜く突破力抜群のアイデアに今作でも驚かされるのは間違いない。

制作は米国エミー賞最優秀賞(デイタイム・エミー賞アニメーション番組特別部門最優秀賞)を4度受賞を果たし、直近では「スター・ウォーズ」シリーズの最新アニメーション作品「Star Wars: Resistance」を手掛けるなど、国内外から高い評価を得ている3DCGスタジオ、ポリゴン・ピクチュアズ。


声優・キャラクター
宮野真守、櫻井孝宏、花澤香菜、杉田智和、梶裕貴、小野大輔、堀内賢雄、中井和哉、山路和弘、上田麗奈、小澤亜李、早見沙織、鈴村健一
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

『ゴジラ』が食い散らかしたテーマをSFとして総括した力作。

人類&ビルサルド&エクシフの三種族共同戦線が、
怪獣化した地球の奪還を目指してゴジラに戦いを挑む“アニゴジ”三部作の最終章。

昨今の世界における怪獣映画の再興については、
童心に戻って怪獣を楽しむ気持ち半分、斜に見る気持ち半分。
そんな捻くれた私にとっては、『ゴジラ』映画が繰り広げて来たお祭りの中で、
怪獣とは?怪獣退治とは?ゴジラに通用するのは科学か?伝承か?人類はどうあるべきか?
等々、整理されぬまま散乱したテーマを、硬派なSFの枠組みで、
角度を変えて諸要素を考察したりして、再構築を試みた本劇場版シリーズは、
有意義な思索に耽ることができた刺激的なSF映画鑑賞でした。

最終章はバトルそっちのけで時に心象世界も交えた
哲学的な問答が応酬される場面が特に多かったのですが、
私は食い入るように見入ってしまいました。


ただ、やはり明快な怪獣映画として観るのは全くオススメできません。
だって三部作通じて例えば……
{netabare}ビル群や名所を破壊するゴジラの勇姿が観たい。
都市じゃない二足歩行のメカゴジラが観たい。
この世界の物理法則に則った、首だけじゃなく、ちゃんと胴体もあるキングギドラが観たい。{/netabare}
こんな『ゴジラ』ファンとして求めて当たり前の権利すらSFに蹂躙されるw

第一部・人類の知恵と勇気、第二部・マッドな狂気を含んだ科学と
ゴジラに立て続けにぶつけて、
特に第三部に至っては、カルトな狂信を含んだ宗教が出張って来るわけです。

私としては、カルトじみた宗教の描き方にしても、
人類文明が説明できない現象をカルトと断じるのは、
人類がその現象を理解できるレベルにないからである。
さらに進歩した文明は神への信仰による奇跡をも数学的に説明できる。
などとキチンとSF設定として組み上げられており、
それらを骨組みにして具現化した脅威(即ち{netabare}ギドラ{/netabare})には、
背筋が凍る迫力を感じました。

けれどSFに興味ない方にとっては、怪獣プロレス見物に胸躍らせて劇場に足を運んだら、
怪しげな宗教勧誘ビデオを見せられたwといった感じでトラウマにすらなりかねないので、
鑑賞の際は、自らの視聴動機と本SF映画との
折り合いの目処を立てて行くのが必須だと思います。


本三部作を展開した時期も尚早だと感じました。
例えば、魔法少女が消費し尽くされ、ブームも底を打った所へ、
諸要素を逆さに見たり、SFも交えて再構築してみたりすれば、
それはブレークスルーになり得ます。

が、『ゴジラ』の場合は、2014年に二度目のハリウッドリメイクが成功し、
2016年に日本で『シン・ゴジラ』の大ヒットがあって、
2019年公開予定のハリウッド版続編『~キング・オブ・モンスターズ』と
再興した怪獣映画の収穫期へと向かう上り坂の途上。

そこでゴジラの周辺に転がった諸々のテーマをSFとして冷静に振り返っても、
ゴジラに熱狂していく人々にとっては水を差されかねないタイミング。
私も怪獣バトル要素が悉くお預けにされて、
これは興行的には上映前に予告編が打たれた『~キング・オブ・モンスターズ』が
全部持って行くパターンかな?と苦笑してみたりw


とは言え、再興した『ゴジラ』ブームもやがて踊り場に至り下り坂に向かうでしょう。
パーティーの後で、取り残された人々の耳元に、
実はこんな渋いSFゴジラもあるんですよ♪と囁いてみる。
本作はそう言うポジションの映画だと感じますw

だから私としては本作を良作SFとして評価し語り継ぎつつ、
来たるべき終焉の時を待ちたいと思いますw
(但し怪獣映画ファンの端くれとしては、ブームの終わりは勿論来て欲しくないので、複雑な心境ですw)


以下、一部、時事ネタや私見も交えたキワドい感想&考察長文。

{netabare}人類文明の過ちが怪獣を生んだのではない。
そもそも人類は怪獣を生み出すための前座に過ぎなかったのではないか?

冒頭から虚淵玄氏&ニトロプラスとその一味による
逆からテーマを再構築する伝統の捻り技に脳汁を分泌させられた最終章。

前作で提示された決して倒せないからこそ怪獣という視点も交えつつ、
加速するSF設定はやがて、文明とは興隆と栄華の果てに
怪獣を生み出し滅び去ると言う宇宙観に到達。
主人公は無敵のゴジラとの死闘に加え、
エクシフの信仰や宇宙観から滅びの運命を受け入れ、心地よい終焉を迎えるよう迫られ、
心身共に過酷な状況に追い込まれる。
次第に、主人公はゴジラ相手に単純な勝ち負けとは異なる道。
敗北する運命との向き合い方等を自問するようになり……。


世界にとって普遍的な文明論を投げかける一連の流れの中で、
私が異彩を感じたのは、主人公とエクシフの司教が心象世界で対峙する中で、
やがて破滅する運命にある文明のイメージとして、
“ヒロシマ”や“ナガサキ”を連想させる入り組んだ島国と思しき地形に炸裂する
原子爆弾のキノコ雲と言う、ローカルな題材が提示されたこと。

日本人にとっては“ヒロシマ”や“ナガサキ”は確かに進化し過ぎた文明がもたらす
悪夢や破滅の代表的なイメージです。
ところが世界にとっては、ある人は“ヒロシマ”や“ナガサキ”の悲劇の詳細なども知らなかったり、
原爆など大きな爆弾程度の認識だったり……。
さらに一部の戦勝国(と思っている方々も含む)にとっては、かのキノコ雲、
特に日本に上がったそれは勝利確定や解放の祝砲だったりもします。
先日も、キノコ雲に抱くイメージの相違に起因する騒動が持ち上がったばかり……。

さらに本作はエクシフの司教への抵抗として、
モスラがエノラ・ゲイと思しき重爆撃機を撃墜する、
一部米軍遺族等にとっては噴飯物?のイメージも展開。

そして葛藤の末、披露されたラストの、
美化された特攻映画の如き?ゴジラへの単機突撃。

こんなローカルな日本のネタや思考法で、
普遍的なテーマをNetflixを通じて世界へ発信しても、
一体どれ位の方が理解してくれるだろう?と訝しんでいた私ですが、
やがて『ゴジラ』は日本のローカルな土壌から生まれた作品だと、
スタッフは暗に主張したかったのでは?との仮説も芽生えて来ました。


そこで私が思い出すのは初代『ゴジラ』
水爆実験による第五福竜丸・被爆事故から着想を得たという製作エピソードの流布により、
進歩した人類科学文明による環境破壊への怒りを具現化した
反核怪獣映画とのイメージが一般化している初代『ゴジラ』

ですが私がもう一つ重視するのは昭和二十九年という製作・公開年代。
米軍の焼夷弾により東京が焼け野原と化してから間もなく十年。
東京の街を眺めると一見綺麗で、戦後復興も順調に進んでいるように見える。
けれど敗戦の記憶は未だ人々の心に燻り続けている。

どうにか心の荒廃をなだめて、取り繕った東京の街並みが、
ゴジラによって再び破壊され火の海となる惨劇。
展開される地獄絵図はまさに十年前の大空襲の再来!?

これはもう日本人は敗北や喪失に対して狂気するか、達観するか、墜ちるか。
もはや悟りでも開くしかない、いたたまれない心境。

この敗北感の二段重ねもある点こそが、
私が未だに『ゴジラ』映画は初代が原点にして頂点と信じる理由の一つ。

当時鑑賞した900万人超の日本人がゴジラに抱いた原点の絶望感を説明し切るには、
敗北を重ね、追い打ちをかけられたと言う、
二次大戦での敗戦経験も含めた日本人のローカルな心情の表現が欠かせないのではないか?

こうした視点に立った場合、
一度ゴジラに敗れて地球を追われた人類が再戦を挑んでは跳ね返される。
という敗北を重ねる基本設定の上に、
敗れ続ける人々の心境を日本人特有の?敗北感や死生観も交えて、
ラストに向けて最大化させていく構成は、
これも、ある意味、『ゴジラ』の原点をリスペクトして
世界に向けて誤解や白眼視も恐れず発信した、
勇気ある試みだったと私は受け止めています。{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 25

ワドルディ隊員 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7

あっけない幕切れ

このアニメ映画は、ゴジラシリーズで初の長編アニメーション映画
として制作された作品である。ちなみに、このアニメ映画は3部構成と
なっており、今作はその三作目にあたる。
地味に、専門用語が多いので、それの事前知識を踏まえたうえで
視聴したほうが、比較的スムーズに理解しやすいと思われる。

前作のラストから続いているので、あらすじは省かせていただく。

全体を通した感想だが、今までの2作を全て台無しにしている
としか思えない中々酷い出来だった。ゴジラよりも人間に焦点を
当てていることはひしひしと伝わってきたのだが、
結果として悪い方向へ進んでいったようにしか思えなかった。

良かったところを挙げるとするならば、ギドラのデザイン位だろうか。
かなりスタイリッシュなイメージがあるが、ゴジラアニメにおいては
これで正解だったと言える。

前作よりも明らかに、ゴジラの出番は少なくなっていた。
怪獣バトル要素はほぼ皆無といっていい。一応、戦闘シーン
は用意されているが、非常に味気なく、見所は一切ないので
睡眠時間に利用する視聴者が続出しても不思議ではない。

私自身劇場で見てはいないが、仮に隣の席に座っていたおじさんが
爆睡をしていたとしてもサイレン並みにうるさいいびきを
かいていない限りは起こすことはしないだろう。

なんせ、ギドラに至っては、ただゴジラの体に巻き付いている
だけなのだ。ゴジラvsビオランテでも似たようなシーンが
あったが、特に違和感なく視聴でき作品に没頭することが出来た。
今作のギドラ戦においては何の感情もわいてこない。
任天堂のゲーム、ポケットモンスターに登場するウツボット
による巻き付きの方がよっぽど怖いように見えるのは私だけだろうか。

(一応)痛そうな雰囲気は伝わってくるが、見方を変えれば
マッサージをしているようにも見えるので、誤解を招く
可能性もある。ギドラがゴジラへ向けて、直接光線を放てば
その点は払拭されるのだが、その辺りは議論しなかったのだろうか。
予算が足りなかったという事でいいのかな?

人間ドラマに関してだが、魅力的なキャラクターがいない上に
掘り下げが全くと言っていいほどされていないため、没頭するのは
困難を極めた。そもそも、冒頭から眠気を誘われる会話が
延々と続くので、人によっては眠眠打破などといった
眠気覚ましドリンクを常備する必要が出てくる。

前作では割と好印象だった主人公だが、今作はそこまで惹かれる
ものがない。最後のシーンも共感しづらいものがあったし。
終始コメディアンを貫くことは難しかったから、あの判断
を下したのかな?と自らを納得させることにした。
要は只のこじつけである。

今後も、虚淵氏脚本のゴジラ映画を作る予定はあるのだろうか?
もし上層部内に一人でもその気があるのなら、止めたほうが良い
とだけ告げておく。
この様な作風を求めているゴジラファンは、相当限られている上に
二度も同じ手が通用するとは到底思えないからだ。
一定のファンはつくだろうが、今まで以上に酷評が
溢れかえるリスクの方が高い。

そうなった時どのような対処をするのか、興味本位で見て
みたくはあるが、今後のゴジラ作品に悪影響を及ぼす
可能性がある。ここで手を引くのが賢明な判断だろう。
虚淵ゴジラはこれっきりにしてもらいたいというのが私からの想いだ。

良くも悪くも虚淵色が非常に強いゴジラアニメとなっているため、
虚淵ファン以外は観ないことを推奨する。
今までのゴジラアニメを心の底から楽しんでいる人なら
特に問題なく見れる作品だと考えている。
私からは無理に勧めない。

先にゴジラキングオブモンスターズを見たのでそっちの感想も。
2014版のゴジラよりも明確なバトルシーンが増え、臨場感ある
仕上がりとなっていた。当然のことながら、こっちのギドラは
光線をきちんと吐いてくれるので戦闘面で
退屈することはなかったように思う。初代のオマージュとも
いえるシーンが挿入されているのも大きなポイントとなる。
やはりゴジラはこうでなくちゃ。

冷静に思い返せば、ストーリーは少しばかしおかしなところがあったが、
それを差し引いても心の底から楽しめるゴジラ映画であった。
機会があればまた一度視聴してみたいものである。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 10
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

召喚するか、ドアを開けるか

NETFLIX世界配信。
ポリゴンピクチュアズ制作。
静野・瀬下監督、脚本虚淵玄。

シリーズ最終章。
総評としては怪獣映画ではなく、
未知の巨大生物に挑むサイエンスフィクション。
宗教・哲学・科学を交え人類の苦闘が、
称賛すべき映像と共に描かれています。

物語の軸は一貫して「生命論」であり、
この点に於いては一定の評価をしたいのですが、
最終章だけに、論説ばかりが先行して、
スペクタクルな活劇としては物足りないです。
{netabare}ギドラ・モスラ、ほとんど見せ場がない。{/netabare}
やはり娯楽怪獣映画としては厳しいでしょうか。

人類は興味深い観察対象であり、
ゴジラという究極の生命体の前座である。
{netabare}驚くべき進化、生命力で人類史を蹂躙する。
エクシフが仕掛ける、人類史への功名な罠が、
神と崇める、高次元怪獣ギドラを召喚させる。{/netabare}
ゴジラとは人類の傲慢さへの「罰」なのでしょう。

撃退するのか、全滅するのか、
力強くも悲劇的なメッセージと共に、
金色の終焉の翼は天高く舞い上がるのです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 24

64.8 11 未来アニメランキング11位
攻殻機動隊ARISE GHOST IN THE SHELL 「border:1 Ghost Pain」(アニメ映画)

2013年6月22日
★★★★☆ 3.6 (335)
2026人が棚に入れました
『公安9課』が最優先ラインの攻性部隊とはなり得ていない、A.D.2027。公安捜査の権謀術数に限界を覚える荒巻の前に現れたひとりの女─ 陸軍『501機関』所属・草薙素子三佐。 最高度のフィジカルと電脳戦スキルを備える一方、向こうみずで世慣れぬ未熟さをあわせ持つ草薙は、荒巻と不即不離の関係をたもちつつ、次々と発生する犯罪へと対処する。だがそれは、ゆりかごたる501機関との関係を問い直すことでもあった。上司であり保護者でもある野心の女・クルツ中佐との間に生じる軋轢。さらに、謎のウィルス『ファイア・スターター』の出現。困難な事件に立ち向かう中、『眠らない目を持つ元レンジャー』『所帯持ちの特捜刑事』ら、個性的な人的資源と気脈を通じる草薙。荒巻といつしか共有していた目的─『犯罪に対し常に攻性の精鋭実力部隊』創設へ向け、草薙は彼らを糾合してゆくこととなる。『攻殻機動隊ARISE』─これは草薙が少佐と呼ばれる前夜の物語である。

声優・キャラクター
坂本真綾、塾一久、松田健一郎、新垣樽助、檀臣幸、中國卓郎、上田燿司、中井和哉、沢城みゆき、浅野まゆみ、星野貴紀、野島健児、宮内敦士
ネタバレ

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

押井じゃない!神山もいない!キャストも音楽も違う!だけど冲方丁が来たよ!つまりオイラが知る限り最高の攻殻だよ!

後に攻殻機動隊と呼ばれる『公安9課』のメンバーが一同に会するまでを、新たに書き換えた設定の元に描くという攻殻シリーズの【エピソード0】と呼ぶべき全4部作の第1話
今作では草薙素子、荒巻、バトー、トグサ、パズの5人が登場
各々のファーストコンタクトと、そして素子の旧所属である『陸軍特科501機関』が題材となっています










まずたったの全国20館の上映にも関わらず、あにこれ内でもまずまずの前評判
これには流石長寿作品ということで脱帽です
一方で、ネガティブな評価の多さに個人的には残念でしょうがないっす
【たぶん今年一番のアツイ作品になりそう!】というのがオイラの率直な意見だからです


既にGIS、SACといったアニメ化を経て原作者の手元を離れたと言ってもいいであろう『攻殻』という作品
そして今作は【第4の攻殻】と呼ぶべき新シリーズとなり、監督や脚本はおろか、キャストの総変更という大冒険に出ています


これは単純に好みなのかもしれませんが、このキャスト変更に関しては前向きに受け取ってます
特に主演のまーやはコドモトコも演じてるシリーズの常連
アップルシードのキャスト変更のときもそうでしたが、まーやを使うこと自体には特にデメリットを感じません
むしろ大正解、実に俺得(お
初めて攻殻に触れる人にもオヌヌメ


そして最もたる特徴なのが脚本の冲方丁の存在でしょう
攻殻シリーズらしい今作の事件のトリック{netabare}(電脳の記憶改竄、視覚操作){/netabare}、これを氏が得意とするサイコサスペンス調で描く様はこれまでのどのシリーズよりも手に汗握るスリルと興奮を誘います
(っていうかまんま『マルドゥック・スクランブル』なんですけどw)


犯罪心理やゴーストの在り処といった複雑で哲学的内容だった以前のシリーズと違い、映画らしいシンプルなドキドキを感じさせてくれるお話作りの今作
オイラは上映後にスタンディングオベーションを送りたかったくらいです



それと音楽
川井?菅野?いえいえ、それもええけど今作の劇伴はなんとコーネリアス
コーネリアスですよ!?小山田圭吾でしゅお!?
オイラの記憶によればエクスマキナ以来ですか
これがすげーんです、カッケーんすよ
エスニックな民謡でもブラックなファンクでもない、けどシンプルなエレクトロがこんなにも攻殻の世界観とマッチするとは・・・
灯台下暗しとはこのこと;


これに絡めてゆらゆら帝国の坂本慎太郎が作詞、小山田圭吾のサウンドプロデュースでsalyuが歌い上げる幻想的でアンビエントな主題歌もエンドロールでの心地良い余韻を生んでいます


こういった部分から攻殻を知らない人にこそ観ていただきたい作品だと言えます
サイバーパンクが流行らない昨今でこれだけの大作に出会えたことは感涙ですね


イイとこばっか語っていてもなんなのでツッコミどころをば・・・
なんと今作、完全義体であるはずの素子がシャワーを浴びるシーンがあります(笑)
これにはちょいと驚き
義体の取り扱い方が依然の作品の設定と違うのか、光学迷彩を装備していない点を見るとそもそも完全義体とは名ばかりで厳密には生身の部分が残っているのか
その辺は定かではない
ようはアレです、サービスカットってやつですか


あとマイクロソフトのタブレット型PCとコラボしたアニメCMが上映前に流れ、以前のシリーズを汚しかねないヘボいオマージュが多くて思わず吹き出しましたw
いくらなんでもあれはないw


ええでもまあ、タチコマの旧型と思しき新ガジェット(新キャラクター)の『ロジコマ』(CV:沢城みゆき)かわいいよぉ、かわいいよぉ


それに相変わらず日産車に乗ってますたね


キャラデザがどうのこうの言ってもそりゃ好みの差
黄瀬和哉、西尾鉄也、沖浦啓之・・・ってどうみてもいつもの攻殻です
1.5巻辺りの原作にも近いし、本当にありがとうございました!


今はとにかく次回作が楽しみでなりませんねー
(半年後らしいですけどねw)
次回以降の盛り上がり次第では今年のベストジャパニメーション!?
要注目ですぜb

投稿 : 2024/06/15
♥ : 28
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

攻殻機動隊S.A.C.の前日譚だが、可もなく不可もなく(印象薄い)

※「攻殻機動隊ARISE」全作品の一括レビューです。

『蒼穹のファフナー』のシナリオを書いた冲方丁氏がシリーズ構成・脚本を務め、2013年から2015年にかけて、1時間弱のOVA4本が次々と劇場公開された攻殻機動隊の新シリーズ。
※なお、TV放送時の追加作「PYROPHORIC CULT」のみ藤咲淳一氏脚本。

◆総評

・陸軍501機関所属の全身義体サイボーグ・草薙素子三佐が、陸軍に×愛想を尽かして(◎陰謀に巻き込まれて)離脱し、荒巻大輔率いる公安9課入りするまでを描き出す『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の前日譚的な内容。
・新しい作品だけに作画は流石に良いが、シナリオの分かり辛さには閉口。
・旧作にあった変な学生運動臭/反米臭はないので、その点では見易いともいえるが、シナリオ/作画/演出とも凝ってる割に個人的には余り印象に残らない作品となってしまいました。


◆制作情報
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(『攻殻機動隊』)
監督         黄瀬和哉(総監督)、むらた雅彦(border:1)、竹内敦志(border:2)、黄瀬和哉(border:3)、工藤進(border:4)、野村和也(新劇場版)
シリーズ構成     冲方丁
脚本         冲方丁(border:1-4、新劇場版)、藤咲淳一(PYROPHORIC CULT)
キャラクターデザイン 黄瀬和哉
音楽         コーネリアス
制作         Production I.G{/netabare}


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

================= 攻殻機動隊ARISE (2013年6月-2015年8月) ==============

border:1 Ghost Stands Alone ☆ {netabare}草薙三佐と公安9課々長(荒巻)の出遭い(棺トラップ)、マムロ中佐不審死事件、記憶操作ウィルス、素子の陸軍501機関離脱{/netabare} ※約58分
border:2 Ghost Pain ★ {netabare}元カルディスタン派遣部隊々長(ソガ・カズヤ大佐)造反事件、公安9課独立構成部隊員スカウト(素子)、政府機密システム・パンドラ攻防戦、米国防省AI暴走{/netabare} ※約57分
border:3 Ghost Whispers ★ {netabare}素子の義体メンテ医師兼“恋人”アキラ、戦士の英雄(スクラサス)の正体、トグサ刑事スカウト{/netabare} ※約58分
border:4 Ghost Tears ★ {netabare}ハリマダラ社サイバーテロ、二重ゴースト保持者(スケアクロウ)、9課独立混成部隊正式発足{/netabare} ※約59分
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)3、☆(並回)1、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「あなたを保つもの」
ED 「じぶんがいない」(border:1)
  「外は戦場だよ」(border:2)
  「Heart Grenade」(border:3)
  「Split Spirit」(border:4)


===== 攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE (2015年4-6月) =====

第1話 Ghost Stands Alone 前編 ※border:4を分割
第2話 Ghost Stands Alone 後編
第3話 Ghost Pain 前編 ※border:1を分割
第4話 Ghost Pain 後編
第5話 Ghost Whispers 前編 ※border:2を分割
第6話 Ghost Whispers 後編
第7話 Ghost Tears 前編 ※border:3を分割
第8話 Ghost Tears 後編
第9話 PYROPHORIC CULT 前編 ☆ ※TV版での追加話であり新劇場版につながる展開
第10話 PYROPHORIC CULT 後編 ☆ {netabare}ファイアスターター・オリジナル捜し{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)0、☆(並回)2、×(疑問回)0 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「あなたを保つもの」
ED ※第1-8話はOVAと同じ
  ※第9-10話 「GHOST IN THE SHELL ARISE」


================ 攻殻機動隊 新劇場版 (2015年6月) ===================

全1話 ★ 4.0 {netabare}藤本首相爆殺事件{/netabare} ※約1時間40分

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

がぶりえる さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

SACの前日譚ではない!

書き直しです。+評価下げました。

もう一度言う。SACの前日譚ではない。「攻殻機動隊」と言うものの前日譚。

制作発表から期待度MAX。みんなの攻殻オワタなんて気にしないでwktkで待ってましたがこの出来。実に勿体無い。

まずは、以下、話題に上がってた問題点。

・声優について
SACシリーズでも、声優を変更しようとする流れがあったみたいなので、ここでの変更は自然な流れなんじゃないかと。SACシリーズでは演技にユーモアもありましたが、今回は、ちょいクールめ。でも押井映画みたいに渋くはない。違和感無し。

・キャラデザについて。
文句があるならマンガ1.5巻を買いなさい。士郎氏のキャラデザそのまんまです。素子以外。

・バックグラウンド、設定について。
SACとは別物。大事なことなのでもう一度言うSACとは別物。なのでSACの設定とは無関係です。無関係です。
それにSACだって人形使いが現れず素子が9課に残っているという設定の第3の攻殻ですし。第4の攻殻であるARISEでの新しい脚本は新鮮味があります。
それに士郎氏(原作者)本人も原作やSACなどの過去作の設定には飽きているらしいし、常に新しい物を創りだそうとしてる心意気スゴイは凄いですが…
海外ドラマCSIシリーズを見ましたが、確実にその影響を受けている。むりくりサスペンス仕立てに仕上げてる感が否めない。

音楽について
サントラ買いましたが、サントラだけ聞いてるととても良いんですが、正直この作品には物足りない。サスペンス意識しすぎ。

んで、感想
『劇場での衝撃』
先行プレミア上映で見たときは正直「おわった…」と思いました。上映が終わった後、一人放心状態でしたよ。作画は角ばっていて動きにスムーズ感がない。特に歩き方に違和感アリように覚えています(見ていくうちに小慣れて行きましたが)。。。背景と動画が合ってないじゃないか!(怒)

声優・キャラデザ・設定について特に違和感や不信感なく期待度MAXで見に行っただけに、まさか一番信頼を置いていた作画でのミスでつまづいてしまったのは手痛い。本当に力入れて作ったのか疑問が残る。

まぁSACシリーズも作画崩れてたので大体想像はつきましたけど…作画の描き込み量は劇場で流すほどのクオリティでは無かったですね。PSYCHO-PASSの作画クオリティに近い。

しかしVSライゾーとのアクションシーンだけは上出来。ぬるぬる過ぎてヤバイ。(2話ではアクション要素多めらしいので期待。)特にvsバトー戦の演出には鳥肌が立った。

ストーリーは問題の作画シーンのせいで初回ではあまりのめり込めず不完全燃焼。
でもでも。なんかじわじわ来て10回以上見ちゃいましたが、しかし見過ぎるとさすがに飽きますねこのストーリー。改めて見ると不満点はやっぱり残り正直「つまらない」と言わざるを得なくなりました。SACは押井映画のライト版だとするならばこれはスーパーライト版。

まあ出だしだしこんなもんなのか?
作画がんばれよ。(てっつん様がもう少し時間欲しかったとか言ってたようなー)

ロ…ロジコマだと…フチコマちゃんは恵まれない子。わすれないであげて。原作では猫口がかわいいんだから。

こういうのを作るなら素直にSACの3期やればよかったと思うし、原作準拠のオリジンを作るべきだったと思う。

押井映画やSACは何度見ても面白い。けどこれだけは何回も見るほど辛いことはない。

僕は攻殻機動隊が好きだ。だからこそ辛口レビューにならざるを得ない。
I.Gには少し失望した。2014/06/16日現在もうすぐボーダー3が公開です。もちろん見に行きますが、期待しないで観に行こうと思います。

初めて攻殻機動隊を見る方には受け入れやすいと思うがSACのほうがやっぱりオススメ。

以上 長文失礼しました。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 14

75.4 12 未来アニメランキング12位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.3「恩讐の彼方に」(アニメ映画)

2019年3月8日
★★★★☆ 3.9 (156)
952人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
関智一、諸星すみれ、本田貴子、志村知幸、磯部勉、高木渉、鶴岡聡
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

終わりなき自分探しと居場所探しの果てに……

少し前、世界を旅すれば人生の指針も自分も発見できると言う、
旅万能論に基づいた自分探しの旅がもてはやされた時代がありました。

実際には、サッカー選手が世界を旅して改めてサッカーに関わりたいと思い直す。
くらいの心のリフレッシュ効果があれば良い方で、
旅先で人生前後不覚になり“沈没”するリスクまであると言うのに。
俺は旅で夢を見つけたと自身の半生を伝説化する経営者など、
旅が美化される風潮に私はある種の気色悪さを感じたものでした。


このような捻くれ根性で、本作を劇場鑑賞した私にとって、
狡噛慎也が長い放浪の旅の果てに辿り着いた、
ヒマラヤを望む「チベット=ヒマラヤ同盟王国」
その絶景はシャンバラさながらの理想郷の姿をしながら、
内実は、麓の都市文明同様……いやそれ以上に矛盾を抱えたディストピアそのもの。

因みに現実のヒマラヤ山麓も、麻薬問題、貧困による児童人身売買が横行。
“幸福度世界ナンバーワン”の触れ込みで度々来日してくる某王国も、
足下では内紛の火種を抱えているのです。

この世の果てとも言うべき、“世界の屋根”に至っても尚、
人は、狡噛もまた、己が背負う過去や宿命から解放されることはない。
作品内世界、リアル世界共に、乖離しがちな理想と現実に
私は苦虫を嚙み潰しながら、
復讐に囚われた少女と向き合う狡噛の姿を見ていて、
もう旅もそろそろ終わりで良いのでは?と何度も語りかけたくなりました。

さらに極めつけだったのは黒幕の所業。
(※重大なネタバレ有)
{netabare}傭兵ガルシアに至っては、平和維持活動による世界平和という理想郷を演出するため、
鎮圧すべき紛争を自作自演して、己の存在意義をでっち上げるマッチポンプぶりを披露。
過去の自分の理想像に囚われ、シャンバラを汚す人間の姿はどこまでも哀しいです。{/netabare}

よって……(※ラストの重大なネタバレ有)
{netabare}日本帰国の決断に至った狡噛の心情は筋が通っていると感じました。
狡噛が行った復讐とそれにより生じた諸々の葛藤のモヤモヤを晴す
万能薬は世界の何処にもなくて、
やはり、狡噛自身が、発端となった日本で解決する以外にないのだと納得しました。{/netabare}

結局、己の運命を決めるのは、旅先の壮大な自然風景ではなく、
自分自身の心の風景次第。
私の中の旅万能論への懐疑が一層、強まる(苦笑)
苦味が利いた有意義な映画鑑賞となりました。



主人公らを一新して迎えるTVアニメ3期は、本劇場三部作でも描かれた
シビュラが社会を統制するシステムとしての地歩を固めるため、
繰り広げて来た、霞ヶ関内での暗闘が引き続き背景になるものと思われます。

これまで厚労省のシビュラVS他省庁については、
本三部作第二部では、{netabare} 国防省{/netabare}の威信を失墜させる陰謀が明らかとなり、
TVアニメ2期では、{netabare}「パノプティコン」で社会基盤の座を争う経済省{/netabare}の野望粉砕の過去が明かされ、
他にも、政官の中枢にまでシステム末端を食い込ませる策士ぶりを見せています。

そして、今回、前作劇場版&本三部作を通じて次なるライバルとして
{netabare}外務省{/netabare}の暗躍が強調されました。
旧世紀、伏魔殿と恐れられた難敵。シビュラも相手にとって不足はないでしょうw
伏魔殿の手先たるフレデリカさんも金髪美人だし、巨乳だし、
スナイパーだし、雑賀流・心理学の使い手みたいだし、
何より“棄民”とかシビュラの痛~い所をネチネチと突いてくるし、
排除するにも一筋縄ではいかないでしょう。


ただ、本劇場三部作は2期、劇場版1作目と3期をつなぐ上で事前に予習必須なのか?
と言うと何とも微妙なところと思っていて。

3期を視聴していて、例えば、新主人公コンビの脇に回された旧作メンバー等を見ていて、
おや?こんな人間関係あったっけ?と気になった時なんかに、
或いは、黒幕が過去何をしていたのか知りたくなった時なんかに、
フラリと本三部作に舞い戻る感じでも遅くはないのかなと私は思っています。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 21
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

正義は歪んだ世界を照らす

シリーズ原案、虚淵玄。

人間の心理状態を数値化し管理する近未来、
犯罪係数を基に潜在犯を追う刑事のSF活劇。

[1]罪と罰
[2]FIRST GUARDIAN
[3]恩讐の彼方に

新劇場版はかつての物語の補完として、
テレビシリーズ直前直後の事件を描いている。
2112年~2117年が舞台である。

霜月と執行官となった宜野座の物語では、
経済省特別行政区からの女の逃走劇から始まる。
その犯罪者隔離施設サンクチュアリでは、
潜在犯たちを鉱山労働に従事させている。
{netabare}事件の背後で見え隠れする各省庁の動き、
そして秘密裏に任務を遂行するシビュラ。{/netabare}

続く第2部の物語では、
国防軍所属時代の須郷と征陸の邂逅、
外務省花城フレデリカの色艶に興奮する。

物語を締めくくる第3部は、
日本を脱出しアジアでゲリラ活動を続ける、
狡噛の新たな旅路の物語である。
{netabare}このまま現世を彷徨う悪霊となるのか、
自問自答の果てに日本へ帰還することを誓う、{/netabare}
彼に興味は尽きない。ここは沸きましたね。

新たな敵と遭遇し信念を基に行動する。
また正義と向き合い躊躇うのでしょう。
これが正しい道なのか!?と。

新劇場版が躍動する起爆剤になって欲しい。
そう願いを込めて待っています。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 19
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

執行モード、無いほうがいいかも!

  狡噛慎也の滞在地域でのお話だったです。今までのサイコパスにない派手さはなく、悪くない出来だったかなぁです。狡噛と出てきた少女のふれあいは、人間味があったです。

 訪れた先で、絡まれる狡噛がいたです。{netabare}そこで、ガルシアというオッサンに命を助けられることにです。ガルシアを通し、次の目的地へです。

 武装ゲリラに襲われる難民バスを助けたことによって、その中にいた少女テイジンから家族の敵を討つため、戦う方法を教える先生になってほしいといわれるです。
 でも、狡噛はそんなテイジンを突き返すことなく、身を守る手段だけを教えることするです。

 そこから、展開が突然やってきて、話は進むのです。

 仇を偶然見つけるテイジン、仇を追った先で見たものは!です。復讐をするのか?どうするのか?事態は、思わぬ方向へだったです。

 その前からテイジンに復讐をすることはどういうことなのか?、一度人を殺してしまった先はどうなるのか?を説いていた狡噛だったです。テイジンに復讐をさせない事を願う、狡噛を見たです。その結果が、このシーンに関係するかもしれないです。

 いいと思っていた人が、実は・・・・・です。

 最後に狡噛が、選んだ行動は、テイジンに大きなものを残す結末だったです。{/netabare}

 不器用な狡噛の性格、人間性をを描いた展開だったと思うです。R12指定だったのは、あまりよくわからなかったけど、。{netabare}普通の入浴シーン{/netabare}だったのかなぁ???です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 5

63.5 13 未来アニメランキング13位
orange -未来-(アニメ映画)

2016年11月18日
★★★★☆ 3.6 (68)
356人が棚に入れました
「翔にあやまりたいと思っている」 26 歳の春──。須和弘人は、高校の同級生の茅野貴子、萩田朔、村坂あずさ、卒業後に結婚した高宮菜穂、そして、二人の間に生まれた子供と共に、桜の舞う弘法山を訪れた。彼らはそこから沈みゆく夕日を眺めながら、10 年前に亡くなった成瀬翔のことを考えていた。成瀬翔は高校二年生の始業式の日に、東京から松本市に引っ越してきた転校生。すぐに翔と親しくなった須和は、彼と菜穂が互いに思いを寄せ合っていることを知るが、それに気付かないフリをしてしまっていた。そして、17 歳の冬に突然、翔は全てを置いて亡くなってしまう。10 年後、翔の死が自殺だったことを知り、須和の後悔は募る。「自分は、翔から、未来も菜穂も奪ったズルいやつだ」。もしも、あの頃の自分が今の気持ちを知っていたら……須和は奇跡を信じ、過去の自分へと手紙を送る。そこに綴ったのは、これから起こる出来事と、26 歳の彼が抱える後悔と本心。そして、16 歳の自分へ向けたあるメッセージだった。その思いを受け取った 16 歳の須和。手紙の言葉に後押しされ、彼が最後にした選択が、“まだ誰も見たことのない新しい未来"を作り出していく。菜穂と翔がこれから描く未来とは?それを見守る須和の想いとは──。

声優・キャラクター
花澤香菜、山下誠一郎、古川慎、高森奈津美、衣川里佳、興津和幸

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

あの日から、この未来を二人に見せたかった…。

本作品のテレビアニメが放送されたのが2016年の夏なので、今から約2年半前になります。

10年後の自分から届いた自分宛の手紙…
現実での出来事が手紙をなぞらえたように過ぎていくので、否が応でも手紙の信憑性は高まっていきます。
その手紙を出した未来の自分は大きな悔いを残していました。
だから未来に悔いの残らない選択肢を選ぼうとみんなで懸命に努力する…
でも努力が必ず実るとは限りません。

この物語の顛末も決してハッピーエンド…ではありませんでした。
でも振り返ってみると全員がバッドエンド、という訳でもないんです。
そう感じてしまうのは、決して塞がる事の無い心に大きな穴がぽっかり空いてしまったから…

この作品が描いているのは、後悔を未来に残さない「if…」の世界を導き出す物語…
そしてこれまで知ることのできなかった「物語のその後」に触れる物語…
この物語の語り部は須和…

本作の主人公である高宮 菜穂に思いを寄せながらも東京から転校してきた成瀬 翔と、菜穂の気持ちを応援したい気持ちが誰より強い彼が、未来の自分から受け取った手紙には何が書かれていたのか…そしてその手紙をどの様に須和が解釈するのか…

序盤からいきなりコブクロさんの曲に合わせて懐かしい映像と展開が目に飛び込んでくるので、一気に記憶が甦ってくるのが感じられます。
テレビ版の物語が順不同で展開されていくのですが、どれも見覚えのある場面ばかり…
そういえば、どこまでも胸に染み込んでいく優しさと、痛いくらいの友達思いには何度も涙腺が熱くなりましたっけ…

物語は順不同に展開されるテレビ版の合間を縫って新作エピソードが織り込まれています。
だから序盤は見たことのある展開が延々と続く…という構成ではないので、序盤から見どころ満載です。
ただ、殆どいらっしゃらないとは思いますが、いきなりこの劇場版から視聴する一見さんには、難しい作品になっていると思います。

描かれているのはたくさんの笑顔…
その屈託の無い笑顔を見ているだけで幸せな気持ちになります。

テレビ版では苦しい事、悲しい事が沢山あって、何度も涙を流す場面を見てきました。
当然新作エピソードでも涙を流すシーンが無い訳じゃありません。
でも、流す涙の質が違うんです。

そうえいば、この作品のタイトルである「オレンジ」は、この劇場版でタイトル回収されましたが、この作品らしさに溢れていたと思います。

上映時間は1時間強ですが見どころ満載の作品です。
個人的には物語の終わり方に一抹の寂しさを感じてしまいましたが、気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

主題歌はコブクロさんの「未来」
テレビ版のエンディングでも使用されていたので、とても馴染のある楽曲です。

唯一気になったのは、この作品の上映期間が2週間限定だったことです。
もう少し上映期間が長くても良かったように思いますが…
そして我らが香菜ちゃんの仕事はこの作品でも完璧でしたね。
もう終始耳が幸せって言っていた気がします。

今期の作品の視聴が遅れ気味ですが、それでも時間を作って過去作の視聴を
続けていけたら…なんて思っています^^;

投稿 : 2024/06/15
♥ : 10
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

須和 これでいいのか? な~んちゃって???

 TV放送のorangeは、かなり菜穂と翔目線での展開が多い話だったと思うです。これは、どちらかというと須和目線での話だったなぁです。TV放送以上に未来の須和と菜穂の心情が、出ていると思ったです。

 最初、ざっとTV放送のおさらいから始まったです。
 そして未来で菜穂達が、手紙を海に流すエピソードが詳しく見れたです。{netabare}バミューダ海域に流れて、菜穂達都合の過去に手紙がタイムスリップ。それを誰かが拾って日時指定で郵便する手はず。これが、うまい具合にいき、このアニメのお話を進めてしまう。誰もが普通こんなことできると思うだろうか?だけど、できなかったらこのアニメは成り立たないと改めて思うアニメだなぁです。

 自分に届いた未来の証拠を同封した手紙を見た、須和目線のお話が始まっていくのだが・・・。これはこれで、面白味あったです。結構、須和は、翔に駄々こねたり、時には手紙より自分を責めている感があるでしたです。翔を助けたい気持ちもありながら、菜穂の幸せを願う姿が、男らしいというのか?須和自身本当に納得できているのか?と思ってしまうです。そんな姿を見て須和に語るアズ、貴子、萩田も見所です。

 で、翔の命を救えた未来は、TV放送と違う未来になっていたです。それが、「須和 これでいいのか?」な未来だったです。菜穂はいいかもしれないけど、須和これからどうしていくのかなぁです。確かに6人+1人笑顔であることに変わりもないのだが・・・。菜穂~~TV放送でも言っていた、「翔が生きてても〇〇を選ぶよ!」とか言っておいて、お前なんだったんだぁ~~です。

また、翔を救うきっかけを翔自身も未練がまだあるのか?笑顔でかあやりたいとか言ってるし。そう何度も君たち都合でことは進むのかなぁです。

 と思った矢先、このオチ何なのかなぁ?と違う未来は????今までのは????。「オイ、オイ」とも受け取れてしまうラストかなぁです。{/netabare}

 にしても、これが本当に届くかなど否定もしたけど、「(手紙が、過去の自分達に)届かなくても出すことに意味がある」萩田の言葉は、どことなく心に染みるものがあったでしたです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 7

sobako777 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9

設定を活かしきれず、チープなエピソードやセリフ

随分と前に、余りにも人気だったので原作漫画を読んでみて、金と時間をドブに捨てたような不愉快な気分になったのを覚えている。確か、作者が途中書けなくなったりもして話題になっていた。内容はきれいさっぱり忘れていたので新たな気持ちでアニメを見てみたが、声優に救われているなーというのが第一印象でやはり不愉快!設定を活かしきれず場当たり的なクサいセリフやチープなエピソードで毎回つなぎ、やたら感動を煽る音楽とこれ見よがしな終盤への展開でごまかしている。声優のおかげで原作よりはマシだったが、それでもストレスにはなった。色々と辻褄合わない部分もあるし、まず、とにかく、キーとなる友情の表現がペラペラ過ぎるし、ヘビーなトラウマに対する対応も上っ面過ぎる。これで愛だの友情だの感じて涙するような、めちゃめちゃ中身の薄い偽善者には育って欲しくないなー、青少年少女の皆様には…って、まあ、余計なお世話だけど…。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 3

72.9 14 未来アニメランキング14位
空の境界 未来福音(アニメ映画)

2013年9月28日
★★★★★ 4.1 (484)
3509人が棚に入れました
未来視の少女・瀬尾静音と出会った黒桐幹也と、同じく未来視の連続爆弾魔・倉密メルカと出会った両儀式。
ふたつの“未来”が重なり合う結末の行方は――!?
これぞ未来と過去を繋ぐ空白(ボーナストラック)にして未来への福音(原点回帰)!

声優・キャラクター
坂本真綾、鈴村健一、本田貴子、井口裕香、石田彰、金元寿子

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

~今も僕の青春には“らっきょ”という作品が共にあること、そしてこれからも続いていくこと~

何度かぼやいたことがあるんですが『らっきょ』というシリーズは今のオイラのアニヲタ人生の中でも中核をなしているとても思い出深い作品です


それこそ当時、長編小説のアニメ化という難題に対して1本1時間前後の作品を全七章連続で制作し、1年以上の時間を掛けて連続公開
なにより単館あるいは小規模劇場でのみの配給展開というフォーマット
これは今日まで続くアニプレ系映画、及びアニメ業界全体に影響を与えた一つの歴史だと思ってます


そして、今でこそブルーレイ媒体等で誰しもが気軽に全七章を制覇することが可能になりましたが公開当時の“興奮”は完全にオイラの人生の一部となってクッキリと足跡を残しています


新しい章の公開に胸ときめかせた期待
公開延期の知らせが流れるたび感じた不安
次章公開の合間に謎を語り合った仲間との時間
狭くて古びれたテアトルの椅子が深夜に満席になっていた熱気
エンドロールとKalafina歌声に合わせて押し寄せる高揚感
そして「次章予告」にまた心躍らせる日々が始まる・・・


そんな『らっきょ』の新作が七章の公開から数えて4年が経つ今日に再降臨しました
原作は発表からの10年を機に再登場した未来福音という同人誌
今作はシリーズの「ミッシングリンク」を埋めるカタチとなる小説を本編に据え、同時に漫画として発表された3つの短編を同時上映の『未来福音 extra chorus』にまとめることで群像劇風の作風に仕上がっております
時系列を組み立て直す楽しみはこのシリーズ独特のものなので、あえて作中のどの章の間なのかは秘密にしておきますね


本編では未来を視ることが出来る「未来視」を持った二人の能力者
職業的爆弾魔の「倉密メルカ」と礼園女学院の生徒「瀬尾静音」を軸に進行していきます


サブタイトルにもある通り、キーワードになるのは「未来」、そして「福音」
これまでのシリーズには無い、物語全体を包む「ハッピーエンドへ向おうとする強い力」に支えられた不思議な魅力の作品でして
旧作のサスペンス性やスペクタクル性とはまた少し違った味わいがある作品だと思います


そしてこの倉密メルカ、そして終盤に登場する「マナ」と呼ばれる少女
この二人の登場によって物語は壮大な結末『未来福音・序 Möbius link』へと繋がっていきます
これは『空の境界』というシリーズが“未来永劫に不滅である”ということを意味するエピローグとなっておりまして、これにはもう力一杯の拍手を送りたいです
また思い出のページが増えてしまいそうですね(笑)
もはやこれ無しではらっきょ語れません

投稿 : 2024/06/15
♥ : 25
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

からのきょうかい みらいふくいん それぞれの先にある未来とは……

本編 約1時間28分
extra chorus 約32分

冒頭より一気に空の境界の世界に引き込まれました。変わらず作画が綺麗でしたね~

未来を空の境界ならではの切り口で表現してます。前回劇場版の難解なお話なのに対して、今回は明快で分かりやすくなってますね。
前回からのファンの方には物足りない感じもしますが、私にはちょうど良いお話でした。

急に時間が変わること、お話が徐々に繋がっていくこと、カメラアングルの動きとバトルのスピード感があること、メインキャラが持ち味発揮していること、前回も感じていたことが今回も十分にありました。
お話も詰め込み過ぎず短い時間ながらしっかり纏まっていたと思います。

今回はグロ要素もあまりないので、耐性のない方でも十分観れると思います。おススメです。

もしお時間があったら前回の劇場版 空の境界 第一章~第七章を観ることをオススメします(キャラクターの位置関係が分からないため)が、初見の方にも空の世界を知るのに良いかも知れませんね。

extra chorusは、前回の作品の第一章 俯瞰風景と第三章 痛覚残留を観ると分かりやすいです。OVAって感じでした。

ED 前回に引き続きどちらの作品もKalafinaが歌ってます。この季節にピッタリな儚げな感じの曲ですね。

最後に、この作品レンタルで借りて観たのですが、本編とextra chorusが別々になっていて、お財布にやさしくないようになってますw
DVDのパッケージデザインがほぼ同じなので借りるとき注意してくださいね^^
{netabare}未那(まな)ちゃん、狙っているんじゃないかというぐらい可愛かったですねw {/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 40
ネタバレ

てけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

未来は未だ来ず

原作未読。

「空の境界」の後日談のような位置づけの外伝です。

さすがufotableによる劇場版といったところ。
絵はきれいですし音楽もかっこいいです。

そして、この映画では、式の{netabare}娘{/netabare}が見られます。
{netabare}ロリ{/netabare}に全力投球です。
やばいです。
目覚めます。
新キャラがあざといんだけど、とにかくかわいい(*ノノ)


さて、肝心の内容。
「未来視」を持った人々の話です。

死を予見し続けてきた少女。
理想とする未来を手に入れるために爆弾魔になった男。
人を導く役割を果たしてきた占い師の老婆。

未来視には2種類あります。
「予測」と「測定」。
その違いを通して、「運命」について論じています。

テーマに関しては、くどいくらい詳しく語ってくれます。
特に考察するようなことはありません。

ですが、整理をかねて簡単な解説を。
{netabare}
瀬尾静音(せおしずね)は、「予測タイプ」の未来視。
現在の状況から導き出される未来を見られました。
つまり、「このままだとどうなるという可能性」を予想できました。
あきらめかけていた彼女。
しかし、自分の行動次第で変えられると、幹也に教えられます。

一方、爆弾魔の倉密メルカは、「測定タイプ」の未来視。
自分の起こす行動の結果を完璧に把握できました。
つまり、「何をしたらどうなるという結果」がわかっていました。
未来がすでに来てしまっていたメルカは、その代わりに選択肢を失っていました。

「未来」は「未だ来ず」。
あやふやなものだからこそ価値があります。

式(織)は、すでに形になっていた未来を殺しました。
彼女(彼)はまた図らずして人助けをすることになります。
{/netabare}

なかなかおもしろい内容だと思います。

まあ、濃密で難解だった本編に比べれば、あっさり味です。
ですが、そのぶんわかりやすいです。
後日談なのに初心者向けという変な映画ですが、見て損なしの作品です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 43

74.0 15 未来アニメランキング15位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」(アニメ映画)

2019年1月25日
★★★★☆ 3.8 (173)
986人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
野島健児、佐倉綾音、弓場沙織、平井祥恵、岡寛恵、小山力也、斉藤貴美子、多田野曜平、中川慶一、花澤香菜、東地宏樹、櫻井孝宏、伊藤静、沢城みゆき

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

ここで引き下がったら公安局刑事課のエース、霜月美佳の名が廃るっ…

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第1弾です。
3つの物語の舞台は、約100年後の日本とアジア…その現在、過去、未来に起きる事件が語られるんだそうです。
これまでは、主人公である常守朱を主体として物語が構成されてきましたが、本作の主人公は、何とあやねる演じる霜月美佳監視官なんです。
「格好良い」あやねるボイスを満喫できる作品でした。


2117年冬、公安局ビルに一台の墓相車両が突入する事件が発生。
その運転手は青森にある潜在犯隔離施設<サンクチュアリ>の心理カウンセラー・夜坂泉だった。
しかし取調べ直前に夜坂の即時送還が決定する。
監視官の霜月美佳は、執行官・宜野座伸元らとともに夜坂送還のため青森へ向かう。
そこで待っていたのは、<偽りの楽園>だった。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

上映時間が約1時間の作品なのですが、物語の濃厚さが半端無い上、兎にも角にもあやねるボイスが満載なんです。
もう、霜月美佳監視官があやねるにしか見えませんでしたよ^^;

これまで、何か事件が起きると、常守監視官が我先にと現場に急行していましたが、先輩監視官…だからでしょうか。
青森まで送還する役目を霜月監視官に一任するんです。

責任ある仕事を任されるとやっぱり嬉しいですよね^^
あやねるも…いえ、霜月監視官も喜びの表情全開で任務に向かいましたっけ。

サンキュチュアリって「聖域」や「自然保護区」などを意味する言葉です。
ですが、青森の施設は聖域などとは程遠い場所であるのが徐々に感じられるんです。
最初に感じるのは、公安に対する言動の違和感…
ですが、この違和感が途中から激しさを増していくんですよね。
そしてその違和感は「気持ち悪い」と感じるレベルにまで跳ね上がる…

人間は間違える生き物です。
だから人間には他の動物と比べ物にならないくらい修正力が高いから、ここまで進化してこれたんだと思います。
ですが、サンクチュアリでは自分たちに不都合なことは、全て悪になっちゃうんです。
そして悪を見つけたら全力で排除しようとする…
それは、明らかに正しいことを言っていても捻じ曲げてしか伝わらないんです。
それが「気持ち悪い」と思える所以でした。

だからこそ公安の活躍が光っていたんだと思います。
何度もピンチがみんなに襲い掛かります。
でも霜月監視官の不撓不屈の闘志が、みんなの切れそうな糸を繋いでいくんです。
こういう役を演じるあやねるの声質…堪らなく格好良いんですけど!

主題歌は、1期オープニングだった「abnormalize」
エンディングは、2期エンディングだった「Fallen」
どちらもリミックスバージョンになっていました。

このシリーズのファンの方や、あやねるボイスを堪能されたい方にはお勧めの一作なのではないでしょうか。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 13
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

青森のサンクチュアリ

『PSYCHO-PASS(サイコパス)』の新作・劇場版三部作の一作目の舞台は日本。
青森の<潜在犯>隔離施設“サンクチュアリ”から脱走した女に関する公安局の捜査に、
不自然な横槍が入ったことをキッカケに、公安局屈指の女<監視官>二人とその一味らが、
青森と東京、前衛と後衛、二手に分かれて喰ってかかる、やや刑事ドラマ色の強いシナリオ。

自動運転が絡んだ事件の発端。行動予測がすっかりスタンダード化した捜査。
あとは{netabare}旧優生保護法絡みの裁判でも問われた、
社会が不適合とみなした人間から出産、育児の権利を剥脱した件とか。{/netabare}
日々アップロードされ続ける社会に対する懸念もふんだんに盛り込みながら、
社会正義の在り方を問いかける構成にはらしさは出ていたと思います。

ただ、尺不足は感じます。
青森を聖域たらしめた根拠となった<潜在犯>更生のアプローチ。
即ち{netabare} 集団心理を活用した個の圧殺による<犯罪係数>低位安定を土台とした“ユートピア”実現。{/netabare}
に関しては特に心理描写の欠落による説得力不足を感じました。

これは1クールに枠が短縮されたTVアニメ2期以来、ずっと感じていることですが、
最近の本シリーズは、着眼点は面白いのですが、
個々の要素の掘り下げはやや物足りない印象が続いています。
『PSYCHO-PASS』は1期みたいにシステムの弊害や穴を突いた犯罪を描き
テーマを投げかけた上でさらに、
社会の変容が個人の価値観や芸術活動に及ぼす影響までえぐり出してこそ価値がある。
と私は思っているので、今回のネタも例えばTVアニメ3期2クール相当の枠内で、
“楽園”で暮らす<潜在犯>の生活感も含めて、
じっくり、ネットリ表現して欲しかったと言うのが正直な所です。

それでも劇場版ならではのSFバトルシーンなど見所はありました。
この第一部では、先輩<監察官>を差し置いて、
公安局のエース(自称)である霜月美佳<監察官>が捜査の前線・青森で活躍しちゃいます♪
正義の名の下に猪突猛進しそうになる、じゃじゃ馬ぶりは相変わらずw
まったく<監察官>と宜野座<執行官>どっちが“猟犬”だか分らなくなりますw

そんな中でも事件を通じて抑える所は抑える。美佳の成長は感じられました。
宜野座<執行官>がこぼした{netabare}「人うまく使えるようになったじゃねぇか」{/netabare}とのひとり言は、
美佳に対する賛辞だと私は理解しています。
但し本人には決して言いません。だって煽てると調子に乗っちゃいますからねw
この辺りは流石に“忠犬”宜野座さん。<監察官>の扱い方をよく心得ていますw

また今回の<シビュラシステム>に関しては、
治安を託し得るか?という論点に加え、政治を託し得るか?という点も強く意識させられました。
何せ毒をもって毒を制するシビュラ君は性格悪いですからw
高度な政治的判断とか任せて良いのか逡巡してしまいます。

特に今回エグいと思ったのはラストにて、やや重大なネタバレになりますが、
{netabare}美佳が<シビュラシステム>に対して事件関係者の人生保証と言う個人の幸福と引き換えに、
システムの欠陥やスキャンダルの暴露を断念した幕引き。
一見、提案したのは美佳だけど、私はこれ絶対<シビュラ>は最初から美佳たちが、
個人への情に価値を置くことを分っていて仕組んだだろうと言う疑念を持っています。

<シビュラ>はシステムのガンになりつつあった青森の<サンクチュアリ>を、
自らの手は直接汚さず、しかもイメージダウン等、切除のダメージは最小限にして、
<潜在犯>をゴミ呼ばわりしていた管理者もろとも、大掃除した。

結局、今回もまた<シビュラ>の掌の上で踊らされていたと私は解釈しています。{/netabare}

うん……やっぱりシビュラ君、性格悪いわ~w

投稿 : 2024/06/15
♥ : 21

アトランティス さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

サイコパス新3部作の序

2015年の劇場版サイコパスから4年。
近未来SF風刺作品として名高い本作が戻ってきました。
一作目の副題は「罪と罰」になっています。

特に今までの復習やキャラクターの紹介もないので
軽く人物を復習してから見られることをおすすめします。

3部作1作目となる今回は常守朱の後輩である霜月監視官(cv.佐倉綾音)と
今回彼女のお目付け的役割の宜野座執行官が中心となり事件に挑みます。
アクションシーンも多く全体で60分なのですがそれ以上見ていた感覚でした。
60分の中で事件の始まりから終わりなので敵は結構あっさりとしています。
アニメでも何度か登場した思想犯、殺人犯の収容所、
映画の舞台はその収容所のうちの1つです。(アニメでは初登場)

一見しっかり更生プログラムを実行しているように見える施設、
その施設が抱える闇に霜月監視官らが挑んでいく展開になります。

男(おっさん)キャラが多い中で今回のCase1の癒しは佐倉綾音ボイスの霜月監視官、
彼女の作画だけはサイコパスでは可愛いを重視しているような気がします笑
映画館は満席で宜野座の美顔を求めていた女性の方も多くおられました。
でも今回の宜野座執行官はとてもかっこよかったですね。
アニメの記憶が薄れているのですがこんなにかっこよかったけ?で見た後も思っていました。

主題歌については
1期のアニメの曲のRemixでした。
意外に良かったのでCD音源化してほしいです。

まだ1作目で今後のストーリーにつながりがあるか分かりませんが
今作もいつも通りのシビュラシステムでした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 10

63.7 16 未来アニメランキング16位
アップルシード APPLESEED(アニメ映画)

2004年4月17日
★★★★☆ 3.5 (178)
958人が棚に入れました
公安警察組織に所属しているデュナンとブリアレオスの活躍を描いた近未来サイエンスフィクション作品。
22世紀。世界は第五次世界大戦を経て荒廃し、北大西洋(アリゾナ州とカナリアの間)の人工島オリュンポスに設置された総合管理局が台頭、世界をその影響下に置いている。主人公である女性隊員デュナンと戦闘サイボーグであるブリアレオスは総合管理局の内務省部隊、ESWAT(ESpesialy Weapon And Tactics)に所属して対テロ作戦などに加わる。その中で巨大な計画、旧大国の策謀が明らかになっていく。

HIRO さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

荒牧伸志さんの監督デビュー作品。

2004年劇場映画アニメ

原作は士郎正宗さんのマンガ作品です。
アップルシード APPLESEEDは荒牧伸志さん監督デビュー作品です。
フル3Dライブアニメという表現手法によって映像化された作品です。

(フル3Dライブアニメ:3DCGをセルアニメのような画風に変換するトゥーンシェーダーと、登場人物のリアルな動きを可能とするモーションキャプチャ技術を融合させた手法を示す造語である。セルアニメに近い画風でありながら、従来のアニメーションと比べ、自由なカメラワークやよりリアルな動きが表現できる。)

まず驚いたのは2004年作品での画像クォリティーの高さ。2014年にアップルシード アルファを発表していますが、さらに進化しています。

難を言えば、3DCG作品全般に見られる機械の描き方や動きの速さに人の顔の表情がついてこれず主人公、ヒロインが人形のように感じてしまうところです。
そうはいえど2014年製作のアップルシード アルファにおいてはアバターやタイタニックの監督のジェームズ・キャメロン氏が「もはや新次元の領域だ」と言わしめているように次の時代を担っている荒牧伸志監督デビュー作は観ておいて損はないと思います。

あらすじ
世界大戦後の廃墟で生き延びていた女性兵士デュナンは、人類への奉仕者として肉体・感情を制御されたクローン人間バイオロイドの管理する理想都市オリュンポスに連行され、そこで全身サイボーグ化していた恋人ブリアレオスと再会する。彼の所属する元老院ESWATの一員となったデュナンは、やがてバイオロイドの開発とオリュンポス計画に自分の両親が関わっていた事実を知り、自身もバイオロイドの軛を解き放つ鍵「アップルシード」をめぐる陰謀に巻き込まれていく。

・スタッフ
監督 : 荒牧伸志
脚本:半田はるか、上代務
絵コンテ-:秋山勝仁、九市、吉田英俊、荒巻伸志
製作 - アップルシード・パートナーズ(ミコット・エンド・バサラ、TBS、ジェネオン・エンタテインメント、やまと、東宝、TYO、デジタル・フロンティア、MBS)

キャスト
デュナン : 小林愛
ブリアレオス :小杉十郎太
ヒトミ :松岡由貴
ウラノス将軍 :藤本譲
ハデス :子安武人
アテナ :小山茉美
ニケ :山田美穂
義経 :森川智之
ほか

投稿 : 2024/06/15
♥ : 13

che さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

MVA

核大戦後の荒廃した世界を舞台にした、SFガンアクションアニメです。
3DCGと表情までキャプチャーした、モーションキャプチャーを使用した、当時最先端の技術を使ったアニメでもあります。

大まかな内容としては、
大戦を経て荒廃した世界で、理想郷とも呼べる、文明を維持した都市に保護された主人公二人が、都市の治安維持機構に所属しテロ組織と戦う
というのが大まかな流れでしょうか?

アクションシーンはかなりのものです、アクションだけ取れは僕の中で10、いや5本の指に入るんじゃないでしょうか?

内容はないこともないですが、まあアクションアニメなんでそれほど濃い内容ということもないです。

楽しみ方は人それぞれかと思いますが、僕はミュージックビデオとしてみると楽しめるんじゃないかと思いますw
実際結構すきなアーティストが楽曲してて、よかったです。
Basement JaxxとかBOOM BOOM SATELLITESとか。
特にBasement JaxxのGood Luckは流れるシーンとセットでいい演出だったともいます!

あまり内容を気にせず、アクション、音楽、演出を楽しめば楽しめる作品だと思います。

タイトルは、Music Video Animationです。
そんなジャンルはないですよw、ただの僕の感想です。

こんな人におススメ

SFの人
ミリの人
ロボの人
アクションの人
エレクトロの人

投稿 : 2024/06/15
♥ : 8

らびえぬす さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

士郎正宗作品では一番好きです

攻殻機動隊も勿論好きなのですが、アップルシードの世界感・倫理観が一番好きです。

ヒトの幸福の追求・理想社会を目指した結果、バイオロイドを創造し全てがほぼ解決した社会を構築したつもりが・・・・

ヒトはやはり、争うことをやめることができず乱れる。

形は全然異なりますが、現実の人類社会を痛切に風刺しているのが本作品の源流だと思います。

そういった意味で、攻殻をより根源的に追求したアップルシードが私は好きです。

ただ、アニメ化にあたっては、かなり圧縮する必要があることから原作のそういった部分が、少し抑制されています。
また3D化については、人により善し悪しの判断が異なるため、ここも評価が分かれるポイントでしょう。

どちらを先にしても良いですが、原作も併せて観るとより世界感が理解できて楽しめるのではないでしょうか。

評価は本作品(アニメ)についてとして評価しています。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 5

76.5 17 未来アニメランキング17位
機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(アニメ映画)

2021年6月11日
★★★★☆ 4.0 (176)
710人が棚に入れました
第二次ネオ・ジオン戦争(シャアの反乱)から12年。U.C.0105——。地球連邦政府の腐敗は地球の汚染を加速させ、強制的に民間人を宇宙へと連行する非人道的な政策「人狩り」も行っていた。そんな連邦政府高官を暗殺するという苛烈な行為で抵抗を開始したのが、反地球連邦政府組織「マフティー」だ。リーダーの名は「マフティー・ナビーユ・エリン」。その正体は、一年戦争も戦った連邦軍大佐ブライト・ノアの息子「ハサウェイ」であった。アムロ・レイとシャア・アズナブルの理念と理想、意志を宿した戦士として道を切り拓こうとするハサウェイだが、連邦軍大佐ケネス・スレッグと謎の美少女ギギ・アンダルシアとの出会いがその運命を大きく変えていく。

声優・キャラクター
小野賢章、上田麗奈、諏訪部順一
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

シャア・アズナブルの亡霊

サンライズ制作。

第二次ネオ・ジオン戦争より12年、
地球連邦政府の腐敗した政治に抵抗すべく、
ハサウェイは反地球連邦組織マフティーに参加。
アムロ、シャアの理想と理念を宿し道を切り拓く。

戦争ではなくテロとの抗争が描かれるようだ。
ブライトの息子、ハサウェイ・ノアは、
組織を率いるほどの青年に成長している。
反政府組織の急先鋒としてのマフティー、
マフティー殲滅を任務・遂行する連邦軍大佐、
そしてシャトルに乗り合わせた美女アンダルシア。

あまり難しく考える必要もないでしょう。
{netabare}物語の主要メンバーが搭乗便の襲撃を受け、
立ち位置を明確にし、それぞれが活躍する。{/netabare}
物語の導入部としては素晴らしいものがあります。

後半はMSによる、戦闘がありますが、
操縦室のモニター、造形、音響に感動するも、
{netabare}そもそも、ガンダムの外装に違和感がある。
そんな複雑な印象を受けつつも、{/netabare}
もしかすれば群像劇として「人」を描くのかなと、
それはそれで、期待しております。

好感が持てる、新劇の開幕でしょう。

ぜひ配信で観て下さい。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 25
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

モビルスーツの場違い感が醸す破滅の予兆

原作小説は未読。

【物語 4.0点】
三部作の一作目。

構成は序盤~中盤3分の2が人間ドラマ。派手なバトルシーンは終盤に集中。
だからと言って、終盤の見せ場にソースを集中すべく、前半を捨てているわけではない。

むしろ前半のハサウェイと出会う人々との濃密なやり取りの方が、
武装蜂起を前にした、ハサウェイ自身によるアイデンティティが不安定な現状を自己分析するパートとして重要なのではないか?
それくらい人物描写が繊細で惹き付けられます。

ハサウェイ率いる反地球政府運動「マフティー」
相次ぐ戦乱で疲弊した地球に特権階級だけを残すべく、
市民を拿捕して宇宙へ強制移住させる「マンハント」。こうした腐敗に鉄槌を下す。
大義としては申し分ないが、過去の武力行使を正当化する名分と比べるとかなり弱い動機。
戦乱で敗れ去っていった者へ思い入れるハサウェイの私心ありやなしや?

マンハント糾弾という点では、地球に残りたい市民とマフティーの利害は一致するが、
最終的に人類は全員宇宙に移住すべしとのマフティーの理想とは齟齬を来す。

何より今や、宇宙世紀(U.C.)0105年。
もはや武力だの、モビルスーツだの、ニュータイプ理論だので現状を変更する時代でもない。
マフティーが人々から“テロリスト”と揶揄されるのは時代の空気を読めていないからだ。

そんなことはハサウェイも百も承知。
その上で彼はシャアら先人たちが歩んだ破滅の未来を回避するには?或いは破滅を織り込むのか?
自己の立ち位置を再確認するために、ネクタイを締め市井に紛れ、自分を模索し続けるのだ。


この観点から心に刺さっているのが{netabare}タクシードライバーとの会話シーン。
その日暮らしの市民には1000年後の地球環境を憂うマフティーの理想になど構っていられない。
だって周りには結構、自然は残っているし。

この活動家が日常生活から乖離して孤立する状況。
世の浮いてる活動家の方々には、テロに手を染めないためにも、耳をかっぽじって傾聴して頂きたいと願います。{/netabare}


ハサウェイが思索の果に迎えるガンダム発進シーン。
綺麗に自己を総括できていますが、高揚感は少な目です。
曇天への発進は、地に足が付かない、五里霧中な行く末を暗示しているかのようです。


以上の通り、物語を愉しむには、
『逆シャア』までのサーガをテーマまで咀嚼することが必須な、マニアックな作品であることは言うまでもありません。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・サンライズ

背景美術と人物作画の一体感を出す昨今のトレンドに逆行する本作。
写実的な海面などの背景に割り込んでくるモビルスーツなど浮きまくっています。
戦闘シーンでよくある街中でモビルスーツが煙を巻き上げるカットはメカを魅せるための演出。
ですが、本作の場合は、何もそこまでスクリーンいっぱいに煙やら火花やら噴かなくてもいいじゃないか(笑)
ってくらいの迷惑行為として処理。

宇宙世紀を動かすのはモビルスーツに乗ったニュータイプなどではなく、
メンズスーツを着たオールドタイプである。
モビルスーツなんてお呼びじゃない。
メッセージ性が作画構成でも徹底しています。


とは言え、オールビューモニター搭載が標準化したモビルスーツ同士の戦闘は迫力満点。
私は一作目は通常のシアターで鑑賞しましたが、
次作は360°没入感を最大化できる巨大スクリーン等での鑑賞にこだわりたいです。

【キャラ 4.5点】
主人公ハサウェイ・ノア。
顔立ちや対人関係のぎこちなさはアムロ・レイ。
二つの名を使い分ける暗躍ぶりはシャア・アズナブル。
アムロかシャアか。ハサウェイ自身が葛藤する際の引き出しにもなる。

ハサウェイの秘密を見抜き絡んでくる謎の美少女ギギ・アンダルシア。
大人の色気で、ハサウェイのライバルともなるケネス大佐とのトライアングルを仕掛けたかと思えば、
戦場では幼女の如く動揺を露わにする情緒不安定ぶり。

ギギとの交流の中で、クェス・パラヤを破滅へと攫っていったシャアの一件が重なるハサウェイ。
大義より、過去のトラウマという感情で言動を左右されるハサウェイ自己分析の一助ともなる。

総じて各サブキャラとも、ハサウェイ自身が掴めていない自分探しにヒントを与える献身ぶり。

【声優 4.0点】
ハサウェイ役の小野 賢章さん。
幼さと凛々しさが混在する青年ボイスで、村瀬監督からの“感情と思想に引き裂かれたキャラクター”という難題に応える好演。
このハサウェイ危ないことするよ。

ギギ役の上田 麗奈さん。ボイスを高嶺にコントロールして正体を掴ませない妙演。
これは周りの男どもも取り扱い方法に困ります。


公開前、劇場版『逆シャア』の少年時代以来、
長らくハサウェイに声を当ててきた佐々木 望さんからの“声優交代”が物議を醸しました。
ただこれも『ガンダム』以外のコンテンツではよくあること。
アニメ化よりも先にゲーム等でキャスティングされた声優が、アニメでは変更になるのは割りと普通。
ただハサウェイの場合はアニメ映画化以前にゲーム等で活躍する期間があまりにも長すぎましたw

また、このキャスティングについては、アニメ映画化後もゲームのハサウェイは佐々木さんが担当していることなどから、
①小説版『逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』→『閃光のハサウェイ』原作小説のハサウェイは佐々木 望さん。
②劇場版『逆襲のシャア』→本劇場版三部作のハサウェイは小野 賢章さん。
①②はパラレルワールドの別系統作品であると示唆しているとの見方もあるそうですね。

劇場版三部作見ながら原作小説読んだら①②の異なる要素が混ざり合って困惑してしまうかも。
この辺りが、私が劇場三部作展開中は、小説購読は『~ベルトーチカ・チルドレン』までで止めておこうと決心している理由です。

【音楽 4.0点】
劇伴担当は澤野 弘之氏。
エッジの効いたテクノ等をアレンジした戦闘曲及びボーカル曲で魅せる。
「TRACER」は特にぶち上がります♪

気になるのが『UC』の澤野氏が『ハサウェイ』でも音楽担当している事。
『UC』は原作『ハサウェイ』完結後に、『逆シャア』~U.C.0100の間に闇に葬られた史実があったと後付けされたエピソード。
よもや本シリーズで『UC』を絡めてくることもないとは思いますが、
パラレルだとしたら何でもありですし。
もしくは『UC』同様、『ハサウェイ』も戦乱の亡霊を退治する物語として同一視すれば良いのか。
考え出すと落ち着きません。


ED主題歌は[Alexandros]「閃光」
過去を振り払って未来へ驀進する快作ロック。
ですが、今のハサウェイにはちとまぶしすぎる感もw
Netflix海外配信に合わせて英語版もリリース。
MVは英語版の方がAMVになっており作品のシーンを振り返るのにも最適。


【付記】
分割2クールの『水星の魔女』の幕間に、本作のTV編集版が1/15~全4話で放送されるそうで。
制作中の第2部への予習復習としてハサウェイを分析してみるのも一興かと。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 19
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

宇宙世紀ものとの決別か。(じっくり見られたので追記です)

配信サイトでじっくり見られましたので。追記です。

 宇宙世紀ものとの決別という第1印象は変りません。

 驚異的な映像すぎて、ガンダム感がないというのも初見と一緒でした。ハリウッドが作るゴジラが面白くない…と同じにならなければいいのですが。

 内容もガンダムのテーマとして兵器としての運用、兵站なにより禍々しさというリアリティが無くなっていました。その分、戦闘時の周囲への影響を描いたのでしょうか。3DCGとしてのロボット描写としてのリアリティはありました。ただ、画面が暗いのでガンダムの決めポーズが見られませんでした。2作目に向けての焦らしでしょうか。

 組織そして人の描写には力をいれてました。ハサウェイ、ケネス、ギギのキャラは良く描けていました。つまり、ヒューマンドラマになったということでしょう。
 そして、テロリズムに堕すことでパーソナルな個人の悩み…シャアのような確信犯ではなく、何かをやらなければならないという焦りからシャアをマネてという甘えをハサウェイからは感じます。

{netabare} シャトルがダバオに降りたのは偶然ではなく、自分がイニシアティブをとるためにケネスがそう段取りをしたということですね。で、ハサウェイは自分のホテルへの襲撃を自分で段取りしたんですね。
 で、ギギといっしょにいたので段取りが狂って危険な目にあったと。まあ、コントみたいに逃げる先逃げる先全部危険で、ちょっとやりすぎましたけど。

 逆襲のシャアの時点で思想に走りすぎて、訳の分からないストーリーになっていました。そして最後はアムロがツンばっかりでデレないのでシャアが切れたみたいな感じで、ギャグにも見えるような結末でした。
 物語でもシャアは思想になっていましたが、環境、特権、宇宙移民、ニュータイプ。本作はなにかテーマがあるようで、その思想に内容が伴わない滑稽さが感じられました。

 マフティの行動と民衆の期待にズレがあるのもそういうところでしょう。1000年先と暮らし。ハサウェイが何をしたいのかわからないので、今のところギギという少女にしか興味が向かいません。この描写がそのままハサウェイの迷いだとしたら、訳の分からない感じが脚本の意図通りということで、非常にうまいストーリーだと思います。
 
 ギギについてはニュータイプの娼婦という設定?はララァの再現なのは間違いないでしょう。ガンダムシリーズを通じてララァという少女が結局のところ消化しきれず、歴代の主人公周辺の女性ニュータイプ、強化人間を経て、クエスそしてギギにまで引きずっています。
 つまり、ハサウェイとケネスはシャアとアムロの関係の焼き直しでしょう。ただ、不思議なことにギギに悲劇の予感はしません。というか奇異に見えて非常にまともなキャラでした。この少女を起点に、シンエヴァのようにガンダムを卒業…という訳にもいかないでしょうけど(大人の事情的に)

 ギギは性的な匂いを漂わせていますが、道徳的にはピュアな雰囲気。自らを汚いと感じる感性。恋する少女になっていまいた。この少女の迷いというか、悩みというか難しい状況が示唆されますが、これからでしょう。
 ハサウェイがギギに手を出せないのも、ギギが結局ハサウェイを押し倒さないのも、こういった子供の部分なのかもしれません。

 ハサウェイは、ガウマンというパイロットの救出などにまったく頭が回っていなかった、ということはこの時点でマフティへの興味が薄れているということでしょうか。ハサウェイも自分の甘さを自覚していましたが。

 アムロまたはそれ以前から始まる壮大な宇宙世紀もののガンダムクロニクルは、最後は個人の…それも女への迷いで幕を閉じる?のでしょうか。

 最後、ハサウェイに気があるっぽい女が出てきて、一方でギギがハサウェイが残していった時計のおもちゃに電池を入れるのは上手い心理描写でした。時が動き出しましたし。{/netabare}

 あと、注目ポイントはホテルのエレベーターの内部の液晶パネルです。アニメーターが貧乏で「高級」「豪華」が苦手だといわれていた日本アニメで、感心するほど高級感がありました。

 すごいアニメなのは間違いありませんが、映像美だけでは歴史的なアニメにはなれません。さて、続きはどうでしょう。



以下 1回目の視聴時の感想です。良く見ていなかったのか話を追えていませんでした。

{netabare}
 宇宙世紀もの、ですが、問題のスケールはテロリストにまで落ちています。前作までで、ララァに対してクエスの存在感があまりにも薄く、ハサウェイの抱えている心の陰もあまり見えてきません。地球の特権階級を憎んでいるらしいですが、そこの動機が弱い感じがします。シャアを形だけまねているのでしょうか。(追記;シャアって、逆シャアで最期でどういう結論にしたのか映画ではわからなかったです。環境の問題だといいながらアムロへの執着だった気がするんですが。サイコフレームがどうのこうので終わってよくわかりませんでした)

 ハサウェイのパーソナルな問題をギギとの関係で解決してゆく物語なんでしょうか(追記;それとも本気で環境のことで悩んでいるんですかね?だとするとギギが登場する意味がちょっと分かりづらいですね。ヒロインが欲しかっただけ?どうも環境について人の意見を聞いたりして、環境問題は単なる言い訳に見えたんですけど)。彼がなぜ今の状態にあるのかは本作からはあまり深くは読み取れなかった気がします。しかも、続きものっぽいので消化不良で終わっています。
 まあ、3部作と明示してるんですかね。であれば次作が楽しみな終わり方でした。

 ギギというのは、ララァと同じく娼婦または愛人なんでしょうね。ガンダムにおけるこの女性の扱いというのに、どんな意味があるんだろう、といつも考えてしまいます。魔性ということなんですかね。男を理解できる母は優れた娼婦である?

 ストーリーは面白くはありますが、かなり都合のいい展開と言えるでしょう。
 ハサウェイがあの特別なシャトルに乗っていた必然性があまりなく、そこにハサウェイの組織の偽物のハイジャックが来てます。しかも航路を外れた緊急着陸したダバオには敵の親玉のケネスが赴任してきた基地があり、ハサウェイの組織の拠点もそこにある。
 ホテルに泊まっていたら、ハサウェイの組織に襲われる。要人がかたまっているからなんでしょうが、緊急着陸して偶然そこにいたはずなのに、襲撃の準備はいつできたんでしょうか(追記;ここ偽装工作ということなんですね。でも32Fから上を攻撃するんじゃなかったのでは?)。
 しかも、モビルスーツ戦がハサウェイの真上で始まってしまう。
 うーん、この部分をもう少し丁寧に必然にしてほしかったですね。またはギギによる不思議な力?のせいなんでしょうか。
 大人向けに作っている雰囲気の割にはストーリー展開が子供向けという感じでチグハグ感はあります。少年向け小説が原作みたいなので止むをえませんか。

 本作がガンダムか、といえば、もはやモビルスーツものですらなく、それは単なる戦いの象徴になっています。極端なことを言えば現代兵器でドンパチやっていても、物語に破綻は出ないでしょう。

 アニメは、金はかけたのでしょう。ものすごい出来でした。しかし、実写に近づきすぎたといえばいいのでしょうか。ガンダムらしい迫力が感じられません。ハリウッド特撮的な迫力になってしまっています。
 冒頭のシャトル内の人の動きが気持ち悪かったです。ある種不気味の谷を感じました。

 ギギの造形、キャラだけは素晴らしかったので、それだけでも見る価値はあります。

 あえて、スケールを小さくしてパーソナルな問題に置き換え、ガンダムが不要になってゆく。ニュータイプもあまり意味がなくなってゆく。宇宙世紀もののガンダムとの決別なんでしょうか。

追記;ちょっと集中して見れてなかったみたいですね。一回しかみてなかったのでいろいろ変なレビューでした。また、2作目があるときに見返します。 {/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 11

74.6 18 未来アニメランキング18位
アイの歌声を聴かせて(アニメ映画)

2021年10月1日
★★★★☆ 3.9 (110)
366人が棚に入れました
長編オリジナルアニメーション映画『アイの歌声を聴かせて』

でこぽん さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

幸せを呼び寄せる歌声

愉快に笑いながらも、とても感動する物語です。
見終わった後、しばらく席を立ちたくないほど、感動の余韻が沸き起こります。
もしかして、2021年で一番感動したアニメかもしれません。
それほど私のツボに、はまってました。


主人公は天野サトミ。
彼女は以前、上級生の屋上での喫煙を先生に報告したことがきっかけで、教室内で少し浮いた存在でした。
そして彼女の母は、AIロボット・シオンの製作リーダです。
そのシオンが、サトミのいる高校に転入してくるのです。

シオンは美人で明るいAIです。
但しシオンは、いつも変なことをしでかします。ポンコツAIのようです。
転入初日の自己紹介の際に、いきなりサトミに「今、幸せ?」と尋ねたり、教室で歌を歌ったり…、
周りの人たちが驚くようなことばかりです。

でも、それはサトミを幸せにするためにシオンなりに考えてやったこと。
なぜかシオンは、いつもサトミの幸せを願っています。

そしてシオンが変なことをして歌を歌うたびに、
少しずつ幸せになる人が増えてきます。
そして、サトミのまわりには親しい友達が増えてきます。それはシオンのおかげ。

しかし、あることが起こり、物語は急展開します。
そして、シオンがサトミの幸せを願う理由が明らかになります。
それは、とてもとても心温まる理由でした。

土屋太鳳さんが、シオンの声優をされています。
そしてシオンの歌声も土屋太鳳さんの熱唱です。迫力ある美しい歌でした。

最後はハッピーエンドとなりますので、ぜひ劇場へ足を運んでください。
「見てよかった」と、きっと思いますよ。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 30

lumy さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

吉浦監督作品の現時点での最高傑作

全くノーマークでしたが、
あにこれでの評価が高かったので、
SAOと悩んでこちらを観に行きました。

吉浦監督作品は、イヴの時間とパテナを視聴済み。
どちらの作品もSFジャンルではおススメできますが、
難点としては、設定が凝りすぎて
初見では分かりにくいという点と、
どっちもなぜか酔ってしまうという点ですw

本作は、この両者がなくなり、
SF青春モノとして劇場で観る価値が充分にあります。
映像はJCスタッフなので安定していて見ごたえがあり、
劇中歌も土屋太鳳さんの伸びのある歌声を
大音量で聞くことができました。

視聴前は、ヒロインの二人が声優ではなかったので
心配な部分もありましたが、見終わってみれば
むしろ二人の演技が光っていましたね。
福原さんってこんなに演技上手かったっけ、
というぐらいキャラに合っていました。

一つ注文を付けるとすれば、
シナリオにちょっとぶつ切り感があった点ですかね。
脚本に大河内先生が加わっているようなので、
2時間うなぎ上りのシナリオを期待しましたが、
最後は少しまとまりがなかったので
涙することができなかった点が惜しいです。
それでも十分に感動できる良い作品でした。
吉浦監督の次回作にも期待です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 25
ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

幸せ

かなり楽しみにしていたアニメ映画です。
私はこの作品を知りませんが、Sunny boyだったかな?
アニメを見終わって必ずCMが流れてて、AIとか歌とか私の好きな題材のキーポイントが多くて凄く期待したってのが、この作品を見ようと決めたポイントです!

さて、物語は試験中のポンコツAIのシオンが転校してきてから始まります。
5日間の短く長い物語の始まり。

1日目

AIと言えば完璧なイメージがありますが何故AIの彼女はポンコツなのか……

1つは極秘実験なのに力加減を一切しない。

{netabare} プールに潜れば永遠に水面に上がらないし、片手でバスケットボールを受け止めて片手で凄い力とスピードで投げ返したり、完全に自分の正体を隠そうとしなかったりw{/netabare}

2つ目は転校初日にシオンはミサトに「幸せ?」と聞く。
彼女はAIで「幸せ」とは何か解らないけど幸せ?と聞いてくる。
彼女には幸せはわからず、自分で調べた幸せを実行していく。
ミサトに幸せになって貰いたくて。

{netabare} 友達を作らせようとしたり、AIロボを暴走させピンチになれば白馬の王子様が登場すると思い暴走する様にAIにお願いしたりw
王子様を確認しようと、人気の男子ごっちゃんにキスをしようとしてみたりw {/netabare}

実は実験の責任者はサトミの母なので密かに行われた実験でシオンがAIだとバレてはダメなのですが……

{netabare} 初日でバレた……4人のクラスメイトの目の前で、間違えて緊急停止ボタンを押してしまい……お腹から何か飛び出して…… {/netabare}

ミサトは母がどれだけAIに力を入れてきたか知っているから、密かに知ったこの実験を成功させてあげたくて……
そうして、5人の秘密がはじまる。

2日目

ごっちゃんとアヤのすれ違い。
2人は恋人同士なのですが、いつしかすれ違っていた。
この理由がまた学生らしくて、あるよなぁ〜ってなりますww
思春期だから悩みも不安も沢山ある、相手の何でもない言葉や態度に不安になり、どうすればいいのか解らなくなる……

でも。
{netabare} シオンの「ごっちゃんはアヤの者じゃないよ」って言葉で、アヤもやっと自分の気持ちに勇気を振り絞る事が出来た。
「もっと素敵な人がいる」失恋した人にはNGな事をシオンが言っちゃたりもしてたけどw
シオンのおかげで2人は仲直りが出来た{/netabare}


3日目

サンダーの試合の話
試合本番に弱くて負けてばかりのサンダー
{netabare} でも、シオンが練習に付き合ってくれてw
AIでも女の子の素体だからかサンダーは練習しにくそうでww
それに比べて本番は男子相手だからやりやすかったのか初勝利を決める事になりました。{/netabare}


4日目

サンダーの初勝利パーティーとし学校を抜け出す6人
しかし、このパーティーが結果的に……

シオンは新しい幸せの形を見つける。
{netabare} 誰かの幸せは誰かを幸せにする。
シオンが気付いたのです。
トウマがミサトが好きで、ミサトもまたトウマが好きだと言う事実を。
そこで、ミサトを幸せにする為に告白の舞台がまた素敵なのです!

ソーラーパネルの向きを変えて月や夜空を反射させた地面に光のイルミネーションに空に打ち上がる花火にシオンの応援ソング{/netabare}
告白の舞台としては最高です⸜(๑⃙⃘'ᗜ'๑⃙⃘)⸝

そんな告白の最中、シオンを初め全員捉えられてしまう。
{netabare} それはシオンの制作会社の星間エレクトロニクスの大人達だった。
いきなりアンカーみたいなのを撃ち込まれて残酷なシーンでした(*꒪꒫꒪) {/netabare}

5日目

{netabare} シオンは自分の実験結果を改ざんしていたものを送っていたのでした。{/netabare}

彼女にとって実験なんて関係なくてミサトに幸せになってもらいたくて勝手に考え行動した。

{netabare} 確かに、AIが自立して何かを起こすとエラーやバグとして処理されるし、AIが映画みたいに反逆行為を起こして人間を襲うかもしれない。
そうなると取り返しがつかなくかる……だから、処分される結果になる。{/netabare}
危険を考えたらそれは仕方ないかもしれない…………って思うけど……

それは違うって思います。
{netabare} 大人達からみたらAIが自分達の監視外で動いていた。
結果だけみたら怖いですよね。

でも、ミサト達からみたらシオンは沢山の幸せを教えてくれたAIなんです!
すれ違いの恋心を修復してくれたり、初勝利出来る様に練習に付き合ってくれたり、幸せになって欲しい女の子に告白される舞台を整えたりシオンは幸せになって欲しいって気持ちだけなんです! {/netabare}

確かに彼女は間違えた事もありました。
{netabare} ロボの三太夫を暴走させたりもありましたが、あれだって誰も傷付けてないし止めようと組み合ったサンダーも怪我はしてません。{/netabare}

だから、きっと彼女はその辺も解っていた。

彼女達の中でシオンはAIではなく友達なんです!

シオンの本当の正体には涙がボロボロでました。
シオンの試験内容に「誰かを幸せにする」なんて課題もなければ、何故、ミサトと母の1日が始まる前の掛け声を知っていたりした秘密も明かされましたし、シオンが昔からミサトを知っていた様なセリフがありましたが、それも明かされました。

シオンのミサトが大好きな気持ちに私は映画館でボロボロ涙が出てきて鼻水まで出そうになるし、鼻をジュルジュル言わせたら隣の人に「コイツ泣いてんな〜」って思われそうだったので、我慢しました‪(͒ ⸝⸝•̥𖥦•̥⸝⸝)‬
それほどにシオンのミサトへの想いや気持ちの強さが心にグッときました。

シオンの正体を知ったミサト達は……

{netabare} 敵陣本社に乗り込みます!
そこで、寝たきりのシオンに再開する。
必至に呼び掛け目覚めるシオンに呼び掛けると目を覚ました。

でも、大人達にバレてしまいシオンを逃がそうと友達達も時間を稼ぐ為に頑張ってくれたけど……シオンもバッテリーが少なくて稼働時間も時間の問題。
最後の力を振り絞り他のAI達に協力して大人達の足止めしてもらう。

会社を封鎖された中でシオンを逃がす彼らの作成それは……シオンはAIだから器は必要ない。
シオンの心を別の場所に逃がす為に屋上へと出る……
シオンとはもう触れ合う事は出来ないけど……

彼女を宇宙空間の衛生へと移す作業が始まる。{/netabare}

シオンは嬉し涙は知らなくて、最後も嬉し涙を流すミサトの涙の意味はわからなかった。

だって、悲しいから涙がでるって認識なんだもん‪(͒ ⸝⸝•̥𖥦•̥⸝⸝)‬
{netabare} それでも、ミサトは笑顔で笑って感謝を告げる。
そして、ミサトと過した5日間を思い返したシオンも最初の頃とは違い「幸せの意味が解らない」と言っていたけど最後は「私は幸せだったんだね」って幸せの意味を知ることが出来た。{/netabare}

シオンは沢山の幸せを皆に与えたけど、シオンも知らずのうちに幸せを貰っていた事に気が付いた(⸝⸝⸝´꒳`⸝⸝⸝)

{netabare} シオンの居なくなった学校で彼らは集まって、告白もしたトウマとミサトはまだ少しウダウダしてて、それを衛生からみたシオンが2人に声を掛ける。
彼女は、ずっと見守ってくれるのでしょうね。{/netabare}

さて、最後の三太夫の顔に貼られて居た物が凄かったですねw
劇場では笑いが漏れてたけど私は感極まって涙を拭うのが必死でしたw

サンダーは愛は重いなぁ〜
愛を拗らせるタイプですねww
{netabare}一応、サンダーの告白が成功してたけど柔道の練習相手としてOK貰えたなんて思ってないんだろなぁww

でも、サンダーの恋の形って素敵だと思います。
恋って誰が誰を好きになってもいいものだし例え相手がAIでも好きって気持ちに代わりはないと思いますし、それを否定する事は誰にも出来なくて否定しちゃダメだと思うからです。
だから、サンダーの片思いって面白いなぁ〜って思います。{/netabare}
恋の形って人の数あって全然違う形をしてる気がしますꉂ(ˊᗜˋ*)ヶラヶラ

全体的な感想としては……

物語に無駄がなくテンポも凄く良かったと思います。
歌も演出が少しミュージカル風な感じで、普通に飽きることなく楽しめました。
凄く面白い作品ですし時間ある人は是非見てもらいたい作品です(ˊo̴̶̷̤ ̫ o̴̶̷̤ˋ)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 21

75.5 19 未来アニメランキング19位
劇場版 マクロスF[フロンティア] 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜(アニメ映画)

2011年2月26日
★★★★★ 4.1 (765)
4446人が棚に入れました
人気SFアニメ「マクロス」シリーズで、2009年に公開されて大ヒットした『劇場版マクロスF~イツワリノウタヒメ~』から続く完結編。軸となるテレビ版ストーリーを大幅に改変し、二人の少女の歌声に秘められた謎をめぐる死闘を描く。監督は、テレビシリーズ第1作目からスタッフに名を連ねる河森正治。「マクロス」史上かつて類を見ないハイクオリティー映像で繰り出される激しいメカアクションと、テレビ版とは異なる新たな結末は必見。

★mana★ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

アルトの「女装」にご注意を!

前作「イツワリノウタヒメ」から続く
劇場版の後編。
私的な意見ですが、前作を観ていなくても
本編を観ていればこの作品だけでも理解出来ると思います。


いきなりスタートからシェリルのライブから始まりますが
映像が高画質過ぎる!(劇場で観たからそう思えただけ?w)
そのライブ途中にこの作品の鍵を握る出来事が起こります。


これも私的意見なのですが、この劇場版シリーズ、
何故かシェリルが可愛そうに思えて仕方が無かったです。
(基本本編に沿ってはいますが、内容は全く違います。そこがミソ)


中盤はちょっと眠たくなるような映像が流れますが、(若干イライラ含む)
そこは見逃さず!(艦長に注目!終盤に「あれか!」と思える場面がありますw)


本編でもでしたが、終盤の戦闘シーン+歌とのコラボレーションは鳥肌物です!この作品の題名「サヨナラノツバサ」という楽曲が使用されていますが
ただただ「最高」です。あれは劇場で観てほしかった・・・


最後重大発表があります!
「アルトついに・・・」


そして完結編の意味が分かります。


知りたい方は観てみて下さいね!!

投稿 : 2024/06/15
♥ : 19

だんちょー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

\(^o^)/オープンランカ

2011年10月20日BD&DVD発売。見直しました。

劇場版2部作の2作目。

1作目はTV版の流れも含みつつ進んでいきましたが、こちらはほぼ新規ストーリー。

2作目はランカメインですね。可愛い歌がたくさん^^やはり管野よう子さんの曲はいい曲ばかりです^^

\(^o^)/オープンランカ!www

さすが劇場作品。ライブシーン・戦闘シーンなど物凄いですね♪

ストーリー展開は個人的には劇場版が好きですね。

過去作(初代・7・プラス・ゼロ)を観てる方には楽しめるネタも入ってたりして面白かったです。

TV版では曖昧に終わった三角関係もこちらではしっかり決着がつきます。

是非本作をご覧いただいて衝撃の結末を楽しんでいただきたいですw

もちろん見たことない方は上記過去4作(100話くらい?)を見てから・・・ を見なくても大丈夫な内容なのでこの劇場版2部作は見て欲しい作品です♪

投稿 : 2024/06/15
♥ : 20
ネタバレ

Takaさん さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

あいつ・・・傾いてやがる!

劇場版 マクロスF 後編

Tアニメ版とは違った結末だったけど、
三角関係に決着がついたのは良かったけど、
こっちはこっちで消化不良な感じだった。

{netabare}
アルト=バジュラと共にロストで行方不明の生存不明
シェリル=手術終了。でも、眠ったまま起きず…

ランカにとっては、痛手が少ないような感じ
{/netabare}

三島のゲスっぷりも楽しめたので、前編の総集編ぽいのより楽しめた。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 2

80.7 20 未来アニメランキング20位
コードギアス 復活のルルーシュ(アニメ映画)

2019年2月9日
★★★★☆ 4.0 (396)
2257人が棚に入れました
光和2年。世界は再編成された超合集国を中心にまとまり、平和な日々を謳歌していた。しかし、平和は突如として終わりを告げる。仮面の男・ゼロとして、ナナリーの難民キャンプ慰問に同行したスザクが謎のナイトメアフレームに敗れ、2人は連れ去られてしまった。シュナイゼルの密命を受け、戦士の国・ジルクスタン王国に潜入したカレン、ロイド、咲世子はそこで、謎のギアスユーザーに襲われる。そして、その場には襲撃者に“元嚮主様"と呼ばれる、C.C.が居た。かつて神聖ブリタニア帝国の大軍すらも打ち破った無敵の王国を舞台に、人々が描く願いは、希望か絶望か。果たして、ギアスのことを知るジルクスタン王宮の面々と、C.C.の思惑とは——。

声優・キャラクター
ゆかな、櫻井孝宏、名塚佳織、村瀬歩、島﨑信長、高木渉
ネタバレ

カネくれたら教える さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0

一もつけたくない本気でクソ悲しすぎる

正直悲しみを通り越して怒りしかない、、
まず内容もペラッペラのじゅうたん並みに薄い
おかしいところが幾度もある
特に酷いのが、{netabare}シャルルのコードを受け継いだとかなんとか、なのにギアスが使えるのはおかしい、と言われていたところをなんの根拠もなしになんらかの不具合みたいな感じで丸め込み、みてるこっちからすると(は?)ただそれだけ、これが1番ひどかったみんなが1番知りたかった謎だと思うのだが、ただルルーシュが不老不死のギアス使えるチートキャラになっただけ。
2つ目時間戻したのにC.C.がギアス効かなくてルルーシュがギアス効くのも謎
しかも最初時間戻したときccの記憶は残っているはずなのだからギアスの能力をルルーシュに教えればそれでサクッと終わってないか?
世界の時間を巻き戻すんじゃなくて自分の意識だけを過去(6時間以内)ってのも考えたがそれだとまた違う矛盾がうまれる、C.C.が1つづつ選択してくって作戦も出来ない訳だし、他にも色々
3つ目そもそもルルーシュが築いた平和を!とか言って
テロリストと侵入させる警備性も意味不明スザクやら他の奴らに耳に入ってないのも
スザクがやられる理由はわかるが、他の機体が一体もないとか何考えてんのって感じ、どっかのピーチ姫かと思ったよ笑
4つ目俺がバカだからなのかもしれないがcの世界の話やらルルーシュの作戦とかが全く意味不明だった
5つ目ルルーシュをそもそも復活させる必要自体あったのかも謎 軍隊としては圧倒的に最強なわけだしシュナイゼルがいれば百パー勝てたギアスの存在自体も知ってるわけだし、ルルーシュを復活させたいのはわかるけども、、、 {/netabare}
特に謎なのはなぜこんなに評価がいいのか
普通にみて内容をしっかり理解していてコードギアスが本当に好きな人ならばこそ絶対いい評価にはならないはず。俺だけじゃないよね?
皆んな仲良くccイチャイチャ、ファンサービスの映画だとしてもこれはファンサービスではない本当のファンはこんなの求めているはずがないと僕は思う。
これでいい点数をつけている人は、すみませんが正気とは思えない。ccはもちろん半端じゃなく好きですよ!
他にも色々あると思う自分が特に気になった点を挙げました感情的ではありますが、
他にも 、
あまりにもキャラ一人一人の扱いが雑すぎる
臨場感やら何やら何もない、後半で悲しすぎて無心なっていたからかもしれない(個人的に)
まず復活のルルーシュを1つの映画だけで終わらそうってのが間違ってる、
本当はこんな評価もコメントも打ちたくないです。
コードギアスは映画版とアニメ版、完全に別物ってことに僕の中でしておきます。そうでなければ気が狂いそうだ、なので僕の中ではやはり反逆のルルーシュのみこそが神アニメですよ、あはは
ただこれだけは言わせてください曲は神、最初の3分だけは楽しめたかもしれない家入レオさんありがとう。あとccかわいいこれは間違いない。
アニメ版コードギアスは本当に好きだからこそのコメントです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 11
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

あの衝撃のラストは、これを見たらどうなる?

  タイトルにあるように復活のルルーシュだから、ルルーシュが再び帰ってくるのは、わかるお話だったです。

 ロロに殺されたはずの誰かさんが出てくるので、R2でなく興道の続きのお話になるです。ゼロレクイエムの一年後、ナナリー、ゼロとして生きるスザクが、突如どういう事に巻き込まれるかが、大きな始まりになるのです。

 一方で、旅をするCCは、どうしているのか?一緒にいる誰かさんは、あれっ?と誰もが思う光景です。

始まりに関連して、CCの旅先でカレン、咲世子、ロイド、セシル偶然の再開は、さらに誰かさんの真の帰還を促すのです。CCの目的の先に、再会を果たす2人は、余りにも次の展開に欠かせない運命としか思えない伏線だったです。

 私としては見事な展開だったと思うけど、ルルーシュの真の帰還が、上映開始から早かったように感じたです。今回のコードギアスで見せるルルーシュのギアスは、本当に戻ってきたという大きな興奮に包まれたのは、私だけだったのでしょうか?です。

 ルルーシュの大きな目的が、幕を開けるのです。ゼロレクイエム後、再び合流するゼロの騎士団、懐かしさやかなりいい感じです。

 ゼロ(ルルーシュ)の見事すぎるいつもの戦略、明らかに敵を圧倒し敵を追い詰めるです。そこからがかなり厄介になるのが、最大の見どころになると思うです。
{netabare} 敵のギアスは、予言と称した反則ともいえる能力だったです。見事な策略も読まれて??しまい苦戦を強いられるゼロでしたです。
 でも、普通は絶望と思うかもだけど、ルルーシュらしい多くの策略、敵を再び追い詰めるルルーシュの駆け引きは、想像を超すものがあったです。
 敵のギアスは、「Re:ゼロから始める異世界生活」に例えると菜月昴だったです。その力に対して{/netabare}ルルーシュの言葉は、どこか人としての生き方にも当てはまるようなセリフで、非常に良かったです。
 「これでいいのだ!」な終わりになるまでに、目的を達成してもただでは終わらない展開もgoodです。

 初めから通して、最後の最後まで何が起こるのか?予想もつかない見事な展開で、面白かったです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 10

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

なんですか?、これは・・。

なんですか?、これは・・。

「拾え」と言われた気分です・・><。

・・視聴者に都合のよい世界を。


視聴者が”ルルーシュを失った寂しさ”から逃れられる世界。

これではルルーシュが否定した”シャルルの世界”と大差ないのでは??。


もしくは”未来予想図の見れる「視聴者のための改良型リフレイン」”なのかもしれません。。


いずれにせよ”かりそめ”・・??。

いや、”まがいもの”の間違いでは?。


-------------------------------------------
とはいえ、せっかくの機会ですので

本作こと「視聴者のための改良型リフレイン」にはしばし楽しませていただきました^^。


どうしてもTV版本編(R1・R2)への思い入れが強すぎるため

場面によっては涙してしまうことも・・。。


・・・(うるうる)。。。


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ハイ。結論としては

ピクチャードラマやサウンドエピソードのうちの1作品として捉えるならば高評価!。

本編再構築版の正式続編として捉えるならば、超超低評価・・・といったところが本音です><。


とにかく、制作陣の方々からの作品愛が、とにかく感じられません・・・><。

”金のなる木”優先感が強すぎます・・(個人的感想です)。


とにかく、R1・R2から時間が経ちすぎ・・・・。

せっかく同じ声優さんが続投されてるキャラでも

「おまえ、誰!?」

と感じてしまう場面が多々・・・(キャラデザ劣化もあいまって・・)。

(演技とキャラを忘れてしまってる?・・というかもう再現できない??)



あと、本作での敵対勢力の多くの新キャラに対して、魅力を感じることができませんでした・・。


ギア〇設定をまた持ち出したのにも、若干、いや過分に閉口です・・。

ギア〇って、もう少し制限条件が厳しかったり限られてなかったりしてなかったですか??。


なんか、某なろう作品リゼロのような能力になってくると

もはやギアスの域を超えてしまってるのでは・・・??(ただの超常能力じゃんw)。


-------------------------------------------
本作を観終えての現在の率直な欲求としましては・・

「ピクチャードラマやサウンドエピソードをもっかい1から全部見たい!!!」・・・です♪。



音だけで映像の想像力をかきたててくれたあの作品群にはホント脱帽です!!!!!。


やはり当時の、艶と勢いのある演技で耳を幸せにしてくれたあのサウンド作品群の世界観に

再度没入させてもらいたいと思っています!!!(最高のリフレインなのかも?)。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 12

76.4 21 未来アニメランキング21位
PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」(アニメ映画)

2019年2月15日
★★★★☆ 3.9 (173)
1189人が棚に入れました
3つの物語の舞台は約100年後の日本とアジア――その現在、過去、未来に起きる事件が語られる。事件に立ち向かうのは、規定値を超えた〈犯罪係数〉を計測された〈執行官〉たちと〈シビュラシステム〉が適性を見出したエリート刑事〈監視官〉たち。犯罪を未然に防ぐために必要なものは、猟犬の本能か、狩人の知性か。事件は思わぬ事実を明らかにし、世界のあり方を映し出す。これまで語られていなかった『PSYCHO-PASS サイコパス』のミッシングリンクがついに紐解かれる。

声優・キャラクター
東地宏樹、有本欽隆、浅野真澄、てらそままさき、大原さやか、関智一、野島健児、石田彰、伊藤静、沢城みゆき、本田貴子、花澤香菜、佐倉綾音

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

亡き者達へ捧ぐ【鎮魂歌】All Alone With You

2012年秋冬期の第1期TVシリーズ、2014年秋期の第2期TVシリーズ、2015年の劇場版長篇に続く劇場版3部作『サイコパスSS』の2作目です


人の精神を数値化出来ることから警察が廃止され、厚生省公安局が治安維持と法務の執行を取り仕切る未来の日本が舞台のSFサスペンス


実写映画監督の本広克行、脚本家の虚淵玄も関わっていたシリーズですが、この3部作では最初期からアニメーションディレクターとして携わっていた塩谷直義が自らストーリー原案を組み立てて単独で監督
さらにノベライズ版を手掛けた吉上亮と深見真が脚本を担当しています
本来なら1作目からレビュを書くところですがこの2作目が特に素晴らしかったので先んじて書きたいと思いました

























2116年、SEAUnシャンバラフロートでの事件から2ヵ月後の公安局に、外務省から花城フレデリカという女性が刑事課一係に監視官補佐として出向してきたことが事の始まり
彼女の真の目的は元国防省、国境防衛システム海軍のドローンパイロットであった須郷徹平を外務省にスカウトすることであったのだ
須郷は国防省時代にサイコパスを悪化させるきっかけとなった事件を思い出す…
時は遡り2112年、常守朱監視官就任の数ヶ月前
須郷の所属する部隊はSEAUnへの介入を始めた日本政府と国防省の極秘任務「フットスタンプ作戦」を遂行するが作戦は失敗
ドローンパイロットの須郷たちを残し地上部隊は全滅
その中には尊敬する部隊長であった大友逸樹の姿もあった
しかしその後、フットスタンプ作戦関係者を襲撃する軍事ドローンによるテロが発生
容疑者に挙がったのは死んだはずの大友逸樹
須郷も容疑者として公安の監視下に置かれた
そんな須郷の前に現れた公安というのが、当時刑事課一係の執行官だった“とっつぁん”こと柾陸智己だったのだ…


























今作の第一印象は、色相診断の結果が全てにおいて優先される世界観で、そもそも軍人という職業が成り立つのか?というシリーズへの疑問を投げかけた意欲作だと思いました
理不尽な作戦を強いられる前線の特殊部隊の悲惨さと上層部との軋轢
とかく非情な結末が待ち構えている中で突き進む須郷の心情が軍事冒険小説のような体で彼が得意とするドローン技術の描写と共に描かれ、SFとしてもミリタリーサスペンスとしても楽しめる作品に仕上がっております
この『SS』3部作全てに共通してることでもありますが、画面のクオリティもこれまでのシリーズが嘘のようにハイレベルにまとまっているのも素晴らしい


お話の結論から言って、軍人という職業が成り立っているのはやっぱりちょっとおかしいというか、それは『劇場版』のシャンバラフロート事件を観ても矛盾してるのは明らかです


ですがそんなツッコミどころを他所に、もう一方でハードボイルドな刑事ドラマとしての魅力が今作を支えていることに目を向けたいと思います


物語は終始須郷の目線で語られますが、須郷から観た“刑事という生き方とその正義”を貫いたとっつぁんはこれ以上に無くカッコイイ男、として映ります


まだとっつぁんと宜野座が和解する前ともあり、宜野座との確執の深さや初めて登場する柾陸の元妻=宜野座の母との距離感のある関係も明かされ、とっつぁんの公私が今作の中で共に語られるというのがキャラに深みを与えています
この妻子を支えるとっつぁんの姿は、事件の中心となってしまったが須郷の良き先輩でもあった大友とある意味オーバーラップしつつ、裏表一体の関係になっているのも面白い


何よりもとっつぁんや、さらに今作に登場し大活躍をする青柳璃彩監視官、縢秀星執行官という人々が後々の事件で【全員殉職してしまっている】という事実が今作に漂う哀愁に拍車をかけてます


思えば『サイコパス』というシリーズは幾度となく希望を打ち砕いてきました
本当は死ぬべきではなかったはずの人々の生命が軽々しく奪われていってしまったことへの虚しさ
そんな彼等の在りし日に、いまいちど思いを馳せさせてくれるのが今作なんだと想うのです


そして何より、とっつぁんを演じた有本欽隆さん自身がもはや帰らぬ人となってしまっているのがやるせない…


エンドロールではEGOISTの「All Alone With You」を中野雅之が手掛けたReMixが流れるのですが、これがオイラには“逝ってしまった者達へのレクイエム”の様に聴こえてなりませんでした…


興行終了間際に立川シネマシティ、シネマツーaスタジオでの極上音響上映「TOTTSUAUND」も堪能してきました
SEAUnでの戦闘シークエンスはもはや極爆を超えたとも言える凄まじい音圧の破裂音が連続
とっつぁん最大の見せ場となる、軍人相手に怯むことなく啖呵を切って迫るシークエンスの迫力も他の劇場にも増して最高でした
上映終了後には岩浪音響監督自らが名付けたTOTTSUAUNDという名前と、今作が有本さんの遺作となっていることを合わせた追悼メッセージが画面に映され、最後の最後で涙してしまいました

投稿 : 2024/06/15
♥ : 6

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

「フットスタンプ作戦」…あそこで、本当はいったいなにがあったんですか!

この作品は、2019年に上映された劇場版アニメ三部作の第2弾です。
現在、過去、未来の三部作のうち、今回は「過去」に位置付けられる作品となります。


常守朱が公安局刑事課一係に配属される前の2112年夏、沖縄。
国防軍第15東郷任務部隊に所属する須藤徹平は、優秀なパイロットとして軍事作戦に参加していた。
三ヶ月後、無人の武装ドローンが東京・国防省を攻撃する事件が発生する。
事件調査のため、国防軍基地を訪れた刑事課一係執行官・征陸智己は、須郷とともに事件の真相に迫る。


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

今回の物語の主役は、執行官の須藤徹平さん…
正確に言うと、執行官になる前の軍人だった頃の須藤徹平です。
恥ずかしながら私の記憶から完全に抜け落ちていたキャラでした。

このシリーズは、これまで主人公が次々と事件を解決していくスタイルが主流でしたが、今回の物語は一味違っていました。
確かに事件は発生するのですが、事件を解決するのはあくまで公安局の仕事…
それじゃ須藤徹平はというと…完全に巻き込まれた感じでしたね。

でも、こういう目線も大切だと思います。
何故なら、私たちが何かの事件に関わるなら圧倒的に第3者で巻き込まれる確率が最も高いでしょうから…
生きていて、何度も事件の第一人者には成り得ませんしね。

でも、周囲を巻き込む力…というより、抑え込む力のが物凄く強い事件だと思いました。
最近、「働き方改革」という言葉をよく耳にしますし、職場にも浸透し始めています。
それから比べると、今回登場した国防軍は明らかに逆行していました。
もちろん、機密事項の漏洩はどこの部署においても絶対禁則事項です。
ですが、職場の風通しという意味では、現代社会と随分なギャップを感じました。
今より未来の世界の出来事なのに…

レビューのタイトルで用いた「フットスタンプ作戦」は、本作品の中で素性が明らかになるのですが、思っていた以上に残酷で、悲しみしか生まない作戦だったのではないでしょうか。
諸悪の根源は、作戦の指揮者にほかなりません。
ですが、例え何も知らなかったとしても、自分が加担していたことを後から知らされたらどうでしょう…
何もかも開き直れる訳なんて…ありませんよね。
だから、潜在犯に認定されるのは、直接犯罪に手を染める以外にも多種多様なケースが存在するのだと思います。

本作では、シビュラシステムにはあまり触れられませんでした。
これまでは、全ての犯罪はシビュラシステムに直結していたので違和感ありませんでしたが、システムに関係無いところでも、事件って起こるんですね。

主題歌はCase.1と変わらず、エンディングテーマは、1期後半のエンディングが使用されていました。
もちろん、Case.1同様リミックスバージョンです。

上映時間が約60分の作品でした。
Case.1とコメントが重複しますが、兎に角物語の濃厚さが半端ありません。
「正義と信念の感じられる仕事」という台詞を耳にしました。
自分も「かくありたい」と思える台詞でした。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 12
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

刑事の勘は永遠に……

『PSYCHO-PASS(サイコパス)』の新作・劇場版三部作の二作目の舞台も日本。
但し、メインの時代はTVアニメ1期の少し前の過去。
本作で起きる事件もまた、霞ヶ関のタテワリが障壁になる難事件ですが、
この当時はまだ“伝説の刑事”で、公安局の“猛犬”征陸(まさおか)智己<執行官>が健在。
シビュラの権限が規制される、他省庁の“聖域”にあっても、
征陸の事件への執念は潰えず、その牙は一度食らい付いたら離れません。

ついでに征陸の息子・宜野座<監察官>もこの頃は絶賛反抗期中w
宜野座は家名の通り、{netabare}沖縄が実家。
沖縄絡みの捜査からの脱線が炎の険悪親子関係に油を注ぐことにw{/netabare}
久々に熱い?親子喧嘩もスクリーンにぶちまけられて感無量ですw

征陸や事件の関係者を通じて、組織の中でも折れない個人の信念を感じたシナリオでした。
例えば征陸<執行官>はTVアニメ1期でも、
シビュラが捜査、執行全般を指示する時代になっても尚、
刑事の勘を前面に押し出した、昔気質のデカを貫き通していましたが、
本作でも、その生き様に再会できて熱かったです。

加えて、そんな個人の信念の継承も確かに感じられました。
各省庁の秘密主義が招いた事件は、相変わらず組織が個人を圧殺する後味の悪い物でしたが、
刑事の勘は、先の第一部にて<執行官>に受け継がれていましたし、
本作では、そんな胸糞な事件が続く中でも、たまに感じられると言う
刑事の正義や信念を引き継ぐ意志もありました。


一方で<シビュラシステム>については、今回もまた、
{netabare}硬軟織り交ぜて対立省庁を屈服させる狡猾さが際立ちました。
事件を通じて、クーデターの危険性が最も高い軍隊に対し、暗部と言う首根っこを抑える。
その上で生かさぬよう殺さぬよう、使える武力だけ残して、
貸しも作って<シビュラ>に抗えない体勢に持って行く。

タテワリが壊される様なんかも、通常は規制緩和など革新的でポジティブなイメージですが、
本シリーズのタテワリ打破は、三部作通じて、
霞ヶ関支配の地歩を固めて行くであろう、<シビュラ>の着実さが目立ち薄気味悪いですw{/netabare}


うん……やっぱりシビュラくん、性格悪いわ~w


付記:第二部公開を控えた今月に入って、
征陸智己<執行官>役の有本欽隆氏・食道がんで死去の訃報が飛び込んで来ました。

<シビュラ・システム>の伸長により“伝説の刑事”から
<潜在犯>として公安局の“猟犬”に落されても尚、
自身の矜持を捨てずに、泥臭く食い付いていく征陸の生き様は、
システムに疎外されても消えない人間性を語る上で重要な要素でした。

それを人間味溢れる演技で再現した欽隆さんの声は地味ながら作品に欠かせない物でした。

元々、本作は、{netabare} 生前の征陸を悼む視点{/netabare}もあった上に、
さらに“弔辞”コメントも相次いだという舞台挨拶のニュース等も含めて、
中の人の追悼ムードも加わり、
より故人の遺志というテーマを意識させられた劇場鑑賞となりました。

ご冥福をお祈り致します。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 19

62.8 22 未来アニメランキング22位
ポッピンQ(アニメ映画)

2016年12月23日
★★★★☆ 3.6 (81)
568人が棚に入れました
通過点でしか無いと思っていた卒業式を目前に控え、中学3年製の伊純は前に進めずにいた。
そんな時、海で、美しく輝く"時のカケラ"を拾った伊純は、不思議な世界"時の谷"へと迷い込む。
そこで、同い年の、蒼、小夏、あさひ、"時の谷"に住み、"世界の時間"運営を司るポッピン族と出会う。
"時の谷"と"世界の時間"が今まさに崩壊の危機に瀕していた。
危機を脱するには、伊純たちの持つ"時のカケラ"を集め、心技体を一致させたダンスを踊るしかないという。
迫り来る危機と、ポッピン族の厳しいダンス指導に戸惑う伊純たち。
そんな中、ダンス経験者の沙紀が現れるが…。
"時のカケラ"に導かれた5人はダンスで世界を救えるのか?
そして、無事に卒業できるのか?

声優・キャラクター
瀬戸麻沙美、井澤詩織、種﨑敦美、小澤亜李、黒沢ともよ、田上真里奈、石原夏織、本渡楓、M・A・O、新井里美、石塚運昇、山崎エリイ、田所あずさ、戸田めぐみ
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

実は卒業後も時を進め生き長らえていた東映アニメ60周年記念映画

あらすじ

{netabare}卒業を間近に控えた中三少女5人。
各々、葛藤を抱え、前向きに時を進められずにいる。

そんな折、異世界「時の谷」に召喚された5人。
時間がつつがなく流れるよう管理する役割を担っていた「ポッピン族」が暮らす「時の谷」は、
時を進めたくない邪悪な意志に脅かされていた。

彼女たちは「時のカケラ」を集め、「ダンス」を踊ることで、
世界と時間の危機を救おうと、ポッピン族のダンスレッスンを受け始めるが……。{/netabare}


【物語 2.5点】
欲張り過ぎ。

映画一本に中三少女5人の青春の一頁を描くだけでも忙しいのに、
本作はさらに異世界トラベル物でもあり、
変身バトルヒロイン物でもあり、美少女ダンスアニメでもあり……。

到底、収まり切るはずもなく、説明不足、掘り下げ不足が多発。

極め付けは、最後、{netabare}この中三編はプロローグに過ぎない!高校生編こそが本編!
と言わんばかりに予告編風の映像で締めくくったこと。
中学卒業で締めくくれば、まだ割と綺麗にまとまったものを……。
俺たちの戦いはこれからだENDも華麗に決まり困惑が拡大。{/netabare}

ただ、5人の中で主人公格であるヒロインについては、
女の子が異世界の旅を経て、青春の時を前に進める勇気を獲得し、
いつの間にか急成長する。
などジュブナイルとして要点は押さえており、筋は通っている。


【作画 4.0点】
キャラクター原案・黒星紅白氏といえば大抵、
可愛い顔して、嘘つきはスパイの始まりとか、
眠たそうな瞳で、無慈悲に狙撃とか、ギャップを狙った起用が印象的。

その点、本作の世界観とそれに合わせた作画構成は
可愛らしい氏のキャラデザにベストマッチ。
(但し、そこに必ずしも需要があるとは限らない)


本作監督は劇場版『プリキュア』シリーズ等でCGを担当して来た宮原 直樹氏。
本作のダンスシーンには、東映CG作画の成果が体現。

特にヒロインたちの変身前のダンスレッスン衣装は、
露出もない着ぐるみ同然のフワフワ、モフモフであり、
ダブダブズボンがダンシングして揺らめくCG動画はかなりのハイレベル。
(但し、そこに必ずしも需要があるとは限らない)


【キャラ 3.5点】
良質な素材を提供するも、料理は生煮え。

ただ、5人のヒロインは主人公格の陸上短距離走を始め、特技により性格付けがされており、
そのキャラクター性は歴代のプリキュア等と比較しても遜色がなく、可能性は十分。

各ヒロインのエピソードをもっと掘り下げれば、
彼女たちのその後を描けば、『ポッピンQ』は化けるはず。
と願望する鑑賞者も少数ながら獲得。

そのことが後のコンテンツ展開へ繋がっていく。


【声優 4.0点】
豪華。例えばヒロイン役の5人だけ見ても、
瀬戸麻 沙美さん、井澤 詩織さん、種﨑 敦美さん、小澤 亜季さん、黒沢ともよさん。
各々のマスコットポジションのポッピン族の「同位体」役にも、
実力派や若手のホープを起用。

さらに、ラスボス役には{netabare}斎藤千和さん。
時間の法則という世界の理の改変を企むには打って付けの配役。{/netabare}

いきなり感情を振り切る無茶振りも散見された本作だが、
この布陣なら対応した上、見所のあるシーンも演出可能。


【音楽 4.0点】
上記の豪華声優陣が二次元ダンスユニットをやる!
これだけでも注目に値したはずだが、5人のヒロイン役が歌ったのはEDだけ。

ダンスシーンでは他のユニットの歌に合わせて踊るだけ。
どうせならヒロインにも中の人にも歌ってもらって、2.5次元ライブまでやってよ~。
(ここでも需要と供給のミスマッチ要素がw)

楽曲や劇伴自体は良好。EDも{netabare}卒業ソング{/netabare}として優良。


【感想】
もしも、日本で深夜アニメが発展せず、萌えもエログロもなく、
『プリキュア』のような女児向けテイストのアニメが発達して、
ティーン以上の年齢層向けでも主流になったら、
こういう作品が数多く生み出されたのかも?との感想がまず残りました。

そういう点からも、本作は本来、
東映CG作画の『プリキュア』以外での活用模索も含めて、
トレンドからは外れた所で、実験的なことを色々やってみる映画。
理解のある方だけに口コミで語り継がれる類の作品だったのだと思います。


だから、2016年末。『君の名は。』などアニメ作品が映画界を席巻した伝説の年を、
『ポッピンQ』が締めくくる!とばかりに、東映アニメ―ションが60周年記念と銘打って
本作を年末年始興行の目玉に祭り上げ、
ミスマッチな宣伝、大規模上映を繰り広げた挙げ句、大コケした件は、
作品云々以上に、プロデュースの失敗だったのだと思います。

(大体、『ポッピンQ』という作品名の映画が興行収入・ウン億円の大ヒット!とか、
普通は想像すらできませんってw)


年末公開の本作でしたが、作中設定は中学卒業式前とのことで、
私も冬休みシーズンが終わって、卒業ムードも漂い始めた頃に、
骨でも拾いにいってみるか……とか思っていましたが、
近所の映画館では三週間で上映終了したため劇場鑑賞は叶いませんでしたw


そのまま私は本作の存在自体を忘れていたのですが、
昨年暮れ、『ポッピンQ』が続編小説制作のためのクラウドファンディング“project19"
を目標金額の五倍を集めて成功させたというニュースで
『ポッピンQ』未だ健在を知り驚愕し、レンタル鑑賞するに至りました。

次のプロジェクト“project20”では映像作品も含めた計画も検討されているとか……。
内容次第で、私もクラウドファンディング出資してみようかな。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 29
ネタバレ

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

興行的には散々みたいだけど思いのほか悪くなかった

新春!開運!ポッピンの集いに行ってきました
2017年初アニメ映画
2017年初声優イベントになりました

黒星紅白原案のキャラをプリキュアチームが動かすと聞いたら
これは見ないわけにはいかないな
という気ではいたのですが
封切り初日舞台挨拶が金曜日だったため見に行けず
今回のイベント付き上映に行く運びとなりました

しかしなんだかずいぶんと興行が芳しくないようで・・・
でも駄作だとかつまらないという話が聞こえてくるわけではない様子
そもそも誰も見に行ってないから口コミが少なく
見た人の感想も絶賛も酷評もしていない感じですね

ストーリー全体としてはそんなに悪くなかったと思うのですが
全体的に詰め込み過ぎて展開が急すぎたり
いろいろ説明が足りなかったり
まるで見たことのない作品の総集編映画を見に来たかのような
はっきり言うと雑な印象を受けました

いろいろな要素をぎゅっと詰め込んで
ジェットコースターのように勢いだけで押し切るのも
映像制作においては一つの手法ではあるのですが
メインテーマが思春期の心理的葛藤なので
急ぎ足の展開とは素材の相性が悪かったように思います

主人公の伊澄だけはある程度尺を取って描写されてたわけですが
他のメンバーに関しては大した描写もなく
いつの間にか問題が解決していたような印象
TVシリーズか何かでもっと丁寧に時間をかけてやった方が
もっと面白くなったように思います

ED後のアニメーションに関しては
まさに予告編といったような感じで
全編通して一番ワクワクする映像でした
続編があるならぜひ見たいと思わされた反面
そこが一番魅力的っていうのは
一本の映画としてどうなんだ?という気もします

映像面は十分に満足のいくものだったと思います
キノの頃からの黒星紅白ファンとしては
郵便屋さんや秘密結社のアニメより
ずっと黒星紅白の魅力を引き出せていたと思いますし
ダンスシーンもなかなかよくできていました
もともとその方面には定評のあるプリキュアチームですから
そこがダメならどこを見るんだ?って感じではありますが

音楽もなかなか悪くなかったです
先週までSHOWBYROCKとコラボしてて
アプリ内でED以外の3つのヴォーカル曲が叩けました
その時は特に思い入れもなかったのですが
映画を見て楽曲に親しみを覚えたときには
もうコラボが終わってて叩けない悲しみ・・・

声優は若手の有望株を中心に
かなりいいチョイスだったと思います
ポコン役の田上真里奈だけは聞いたことがありませんでしたが
チェンクロのイメージソング歌ってたTrefleの一人だったようです
割と聞きやすい少年役だったので
今後要注目かもしれません

さて、この映画はいったいどこに問題があったのでしょうか?
ファミリー向けをベースにして
そこに大友向けの要素をいろいろぶち込んだ結果
どちらの層に対しても訴求力が足りなくなってしまった印象
そしてどんな層に対して発信しているのか
いまいちわかりにくいタイトルやCM等
マーケティング面での失敗が大きいように思います

ハリウッド映画などでは予告編の試写会のようなものを設けて
何通りかの予告編を作ってどういう層にどういう広告が受けるのか
実際にテストして流す広告を決めるそうです
予告編だけでなく本編も試写会の評価を見て
ラストを作り直すことさえあると聞きます

それに対して日本の試写会はただの先行上映会です
様々なメディアが双方向化し
発信者と受信者の境界があいまいになっている現代社会において
旧態依然としたプロデューサーの直感に頼った広告戦略というのは
もはや限界に達しているということに気が付くのはいつなんでしょうか?
作品自体のクオリティはそこまで低くないのに
興行がまったく振るわないのは
作り手ではなく売り手に責任があるように思います

映画館がガラガラみたいな情報ばかりはいってきますが
決して駄作ではないと思いますので
ぜひ劇場に足を運んでいただければと思います
ED後が本編なんて言われている程に
可能性を感じる予告編だったので
あれが企画倒れになるのだけは阻止したいところです

おまけ(終演後トークイベントでの監督質疑応答)
{netabare}

Q:ポッピン族は楽器とかを使わないの?
  ダンスシーンでかかってる音楽とかはどうなってるの?

A:楽器はちゃんとあって設定とかもあったんですけど・・・
  襲撃されて移動中だから持ってこれなかったんですよ

(プロデューサーから補足があって、時間と予算の関係で入れられなかったそうですw)

Q:ポッピン族には年齢とかあるのですか?

A:年齢のようなものはありますが
  見た目の変化とかはありません

Q:でも長老とかは・・・

A:あれは衣装です
  そういう服に入ってるだけです

Q:レミィには同位体はいないの?

A:もちろんいます

Q:それは作中に出てきていますか?

A:それはまだお答えできません

Q:ED後映像の金髪少女はだれ?新キャラ?

(濁そうとしたところをキャストから質問攻めにあった結果白状)

A:はい・・・レミィです

Q:ED後映像の舞台は原宿ですよね?ロケハンとかいったんですか?
  行列のできる人気店っぽいものが映ってましたが並んだんですか?

A:はい、原宿です
  原宿らしいおしゃれな感じを出そうとして
  某有名店に行きついてたんですが
  自分は行列を遠巻きに眺めるしかできませんでした
  結局、開店前に女性スタッフに撮影してきてもらいました

こういうのをいろいろ聞けるのがトークイベント付き上映の醍醐味ですw{/netabare}

投稿 : 2024/06/15
♥ : 26

kenji さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

流行らなかったのが惜しい作品

神作画の神アニメだと思います

卒業前に違う学校の5人それぞれの気持ちが揺らぎます。
そんな5人がダンスを通じて成長していく映画です。

物語は自分が中学3年で、とても主人公との気持ちの面での共通点があったのかもしれませんが、とても感情移入できて号泣しました。ただ、個人的にあの膨大なストーリーを2時間弱で納めてしまうのは、もったいない気がしました。2クールのアニメしてもよいくらいだと思います。

そして、3Dのダンスアニメーションがとても気に入りました。
冒頭の20分弱公式youtubeで見られるので、そちらを見てもらえればわかると思います。
 
とてもお金がかかっているぶん、とても面白い作品でした。
ただ、当方のほうの宣伝不足だったのかなと思います。



(ネタバレ?注意
映画最後のシーンで次回作と思われるシーンがありました。
ストーリー途中で出てくる謎の少年もいまだ不明なままです。
次回作があるのかはわかりませんが、楽しみにしています。
(わからない理由はry

投稿 : 2024/06/15
♥ : 6

72.4 23 未来アニメランキング23位
HELLO WORLD(アニメ映画)

2019年9月20日
★★★★☆ 3.7 (222)
1013人が棚に入れました
京都に暮らす内気な男子高校生・直実(北村匠海)の前に、10年後の未来から来た自分を名乗る青年・ナオミ(松坂桃李)が突然現れる。ナオミによれば、同級生の瑠璃(浜辺美波)は直実と結ばれるが、その後事故によって命を落としてしまうと言う。「頼む、力を貸してくれ。」彼女を救う為、大人になった自分自身を「先生」と呼ぶ、奇妙なバディが誕生する。「頼む、力を貸してくれ。」彼女を救う為、大人になった自分自身を「先生」と呼ぶ、奇妙なバディが誕生する。

声優・キャラクター
北村匠海、松坂桃李、浜辺美波、福原遥、寿美菜子、釘宮理恵、子安武人

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

今年もう『天気の子』を上回る厨二病映画なんて出ねーだろっと思った矢先にコレだよ!これをアニヲタだけのモノにしておくのはモッタイナイ!!やってやられた!!!

『楽園追放』を手掛けたグラフィニカによるトゥーンシェード調フル3DCGの完全オリジナル長篇映画
監督は伊藤智彦、脚本は野崎まど、キャラデザは堀口悠紀子、音楽はOKAMOTO'Sのプロデュースで集まった複数の次世代アーティストによるチーム、2027sound


舞台は2027年の京都
量子コンピュータとドローンのカメラによって京都の街並み、及び街で起こった全ての事象を観測し保存する「アルタラ」プロジェクトが試行されていた
主体性が無くて凡庸な男子高校生だった堅書直実
ある日、彼は3本足のカラスに導かれるように2037年から来た大人になった自分だと言う人物、「先生」ことカタガキナオミと出会う
先生によれば自分が現実だと思っているこの世界や直実自身は、アルタラの中に保存され、仮想世界の中に再現された過去の京都だと言う
ではわざわざ仮想世界に降り立った未来人の先生の目的は?
それはこれから直実と恋仲になるという無表情な少女、一行瑠璃が死亡事故に巻き込まれるのを阻止するためだと言う…


極力ネタバレを廃してオススメしたい作品ではありますが、とにかく終盤及びラストの展開が素晴らしいのでその魅力を語るのが難しい;
ついでに他の方々のレビューも秀逸で僕自身で今作の魅力を新たに掘り起こせそうには到底ありません;


とりあえず注目したいのは今作に散りばめられた“厨二病要素”です
今年最大の厨二病映画といえば『天気の子』のラストが真っ先に思い浮かびます
好きになった女の子1人を助ける為になら警察から逃走したり東京の街をまるごと滅ぼしても構わない、とはあっけに取られましたよね
恐るべし新海、と


これでもうしばらくは『天気の子』を上回る厨二病映画は出ないだろうと思っていました
ところが僅か2ヶ月でその安寧は破られましたw
今作がソレ
先生は直実に一行さんを守り抜く為の力として「神の手(グッドデザイン)」と呼ばれる手袋を貸し出す
右手で触れるだけで物質を変質させたり物理法則を変化させられるトンデモないチートアイテムですw
終盤の直実はコレを使いこなせるようになり、指パッチンをするだけで世界を歪めたり物質を召喚出来たりする様になります


察しの良い方はお判りいただけると思いますが、思いっきり『アベンジャーズ』ですw
特に『ドクターストレンジ』はまんまと言っていいでしょう
あまりのクサい内容をさもスタリッシュなアクションシーンにしてしまったのは笑ってしまいます


また、中盤で描かれる仮想世界の崩壊はこれまたハリウッド映画の『インセプション』を参考にしたと明言されています
もはやマーベル映画をクリストファー・ノーランが監督した、みたいな画になっていますw


さらに後半、一行さん1人を救う為に(イチギョウさんを救いたいナオミを救う為に)街を滅ぼす事よりももっとスケールのデカイことをシデカスわけです
劇中では開闢とか言われてましたね
素晴らしいw
ナイス厨二病!
良い意味で最高にイカれてます


コレを盛り上げるのが先述した2027soundで、エピックな劇伴やエレクトニカなアップテンポ、そしてボーカルソングといった具合で「また『君の名は。』の二番煎じか」等とは言わせない完成度です


今作、どちらかといえば普通のアニメヲタクよりもガチでSFや映画がお好きな方の方がドップリ浸かれると思います
所謂タレントキャストにも最初は違和感を感じると思いますがすぐ慣れることでしょう
そして最後にあなたは、一行さんの可愛さに惚れる事になるのです(笑)


まさに“やってやられる”と思いますw

投稿 : 2024/06/15
♥ : 20

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

仮想世界に魂の洗練を託す……挑戦的な3DCG映画

【物語 4.0点】
青春ボーイミーツガール、時間差を盛り込んだSF設定、ヤマ場でMV風演出……。

同時期、乱立したアニメ映画企画群の中でも、
本作はSFとして情報量多し。

現実に匹敵する仮想世界を観察するこの世界もまた仮想世界で……。
という入れ子構造を生かしたシナリオはSFとして刺激的。

俳優や音楽目当ての一般層よりも、
歯ごたえのあるSF設定も楽しみたいマニア向け。


『SAO-オーディナルスケール-』までの監督・伊藤 智彦氏が
引き続きVRMMO物をやりたいと始めた企画なので
『SAO』をテーマを咀嚼して体験したような方なら付いていける。

他にもSF関連や、
プログラム入門者が最初に紹介される例題から借りたというタイトル名、
PCゲーム『平安京エイリアン』みたいな惨状(笑)とか、ネタ多し。


これを既視感と断じるのは簡単だが、
私の場合、既視のSF設定等を当てにしないと理解仕切れなかったのも事実(苦笑)

なのでここはオマージュとして好評します。


脚本は野崎 まど氏。“脚本テロ”による奈落突き落とし等を警戒される方もいると思いますがw
むしろ昨年、私が劇場鑑賞したアニメ映画の中でも、本作の余韻の良さは屈指でした。


一方で解釈しきれない謎も残される。

本作にはBD特別盤同梱or一部配信サイト限定で、
大人・ナオミ視点で綴られた短編アナザーストーリー『ANOTHER WORLD』もありますが、
それで補完し切れない点もあり、鑑賞者の想像に委ねられる。


【作画 4.5点】
果敢なセル画寄りの3DCG作画。

群衆やアクションに長があるCGの力をしっかり濫用する一方、
意外に日常ラブコメシーンも多い本作。

CGが不得手な萌えやコミカルも提供しようと、
制作に「フェイシャル・スーパーバイザー」なる顔面チェック担当のポジションを設置。
さらに勝負所ではキャラクターデザインの堀口 悠紀子氏自らが原画を担当するなど、
人物の表情に不自然さが生じないよう尽力。
成果は赤面するヒロイン等に確実に現われている。

ただ、それでも私はラブコメは手描きの方が好きですがw
けれど本作の挑戦は評価したいです。


日本有数の計画都市である京都。
碁盤状の古都に近未来の仮想世界が重なり、現実をひっくり返す描写はダイナミック。

私のツボ:見下し視点で描かれた、
区画ごとマス目を動かしてピンチ脱出を図る想像力爆発シーン。


【キャラ 4.0点】
ヒロインの一行さん。感情希薄な図書委員。ツンデレ成分配合。
彼女に萌えるかどうかが特に前半日常パートを楽しめるか退屈するかの分かれ目。

萌えキャラとしては標準的な属性の一行さんだが、
文化系でも意外と強気で頑固な性格がツンとして消費されるだけに終わらず、
濃厚なSFシナリオの中でしっかりと回収されるのが評価ポイント。

私の中で、一行さんは萌えキャラでもあり、ある種の燃えキャラでもあるのです。
さあ、「やってやりましょう」


多分に生き方を問われるシナリオ構成の中で、
主人公少年・直実と外部世界から来た大人・ナオミが、
世界との関わり方を通じたキャラ立ちにより、
テーマを深化させているのも〇。


【声優 3.5点】
直実 CV.北村 匠海さん。ナオミ CV.松坂 桃李さん。ヒロイン CV.浜辺 美波さん。

実力も人気もあり、かつアニメへの理解もある若手俳優陣でメインを固める。


ただ、この役者さんたちの演技力を引き出したかと言うと、
私はもっとやってやれた感じもします。

映像にしても状況理解に想像力が求められる本作にて、
アフレコ(映像に合わせて収録)ではなくプレスコ(声を収録してから映像)で、
台本だけで、SF設定が絡む場面を思い浮かべながら声を提供する
というのは俳優陣にとってはかなりハードルが高かったのかもしれません。


大人・ナオミ役も声は合っていましたが、
一方で、上記の『ANOTHER WORLD』では声優・松岡 禎丞さんが大学時代を演じていて、
正直、本編も松岡さんで良かったじゃんと言う気持ちが抑えられませんw


脇を固めた声優陣はプレスコでも盤石。



【音楽 4.0点】
気鋭。

OKAMOTO`Sらが若手アーティストらを束ねたチーム「2027Sound」が、
多彩な劇伴&楽曲を提供。
Official髭男dism「イエスタデイ」、OKAMOTO`S「新世界」といった主題歌は、
キャッチーなメロディがBGMとしても再三アレンジされ、堅いSFの大衆化を試みる。

……の割には興収……伸びなかったな……(遠い目)


【感想】
仮想現実がリアルに追い付き追い越した時、何が起こるのか?

『SAO』や他のSF関連でも再三問われて来たテーマに改めて挑んだ本作。
これらの作品群に通底するのは、
魂の虚実が問題なのではない。リアルでもバーチャルでも邪悪な意志はある。
バーチャルを見下し悪用しようとする人間もいる。
そんな中でも、善き魂が残り、新しい世界の道しるべになって欲しい。
こうした近未来に向けた願いなのだと思います。

この春にラストシーズンを迎える
『SAO』のテーマを受け止めるためのお供にもオススメしたい、
良作SF映画です♪

※初回投稿4/10

【追記】
……と思っていたら、『SAO』も新型コロナの影響で放送延期に……。
厳しい春ですね……。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 34
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

HELLO、WORLD

グラフィニカ制作。

2027年、京都、
内気な少年が突如カラスに導かれるまま、
パラレルな世界へと突入するSFファンタジー。

開幕から爽快な音楽で楽しませてくれる。
京都の街並みを俯瞰でダイジェストし、
青春の足音が、軽快にリズムをとる。
馴染みあるキャラデザインは好印象である。

皆さんの感想も拝読しましたが、
{netabare}恋愛要素を期待すれば肩透かしをくらう。
想像以上に本格的にSF展開が続き、
少々、苦しい感想である。
ただそれはこちらの勝手な期待であり、
映画としては及第点ではないでしょうか。{/netabare}
景観も良く、美しい青春劇でもあります。

仮想現実での冒険はやがて、
{netabare}この世界の真実を明るみにする。
世界は二重の入れ子構造であり、
数々の選択肢が未来を改変、刺激し、
物語は複雑なままで、幕を閉じる。{/netabare}

新しい地平は希望に満ちている。
ハロー、ワールド、良い言葉です。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 46

78.0 24 未来アニメランキング24位
ARIA The CREPUSCOLO(アニメ映画)

2021年3月5日
★★★★★ 4.2 (83)
351人が棚に入れました
ネオ・ヴェネツィアの街が、落ち葉の絨毯で彩られる秋。オレンジぷらねっとで修業の日々を送るアーニャには、気がかりなことがありました。お互いに多忙なこともあり、長い間会えていない先輩のアリスとアテナ。そのせいで元気がないアテナに対し、アリスはなぜか会うのを避けている様子なのです。友達のアイとあずさにも協力してもらい、先輩たちが絶対に会える方法を探す中、アーニャは今の自分だからこそ見える“景色"があることに気づかされるのでした……。

声優・キャラクター
広橋涼、佐藤利奈、茅野愛衣、安野希世乃

takato さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

公開された時点で百点、アリスとアテナさんの師弟愛で千点、エンドロールで5千点。

 数ある日常系の頂点にして至高の作品は何か?。私は万感の想いを込めて「ARIA」シリーズであると言いたい。そんなあいつらが帰ってきた…。それだけで百点をあげたくなる駄目な大人ですが、60分しかないとは思えない傑作でした!。


 本作はアリスとアテナさんを中心にした物語である。となれば、ファンなら一番気になるのは、故 川上とも子さんからアテナ役を引き継いだサトリナさんがいかにはまっているかだろう?。正直「はわぁ〜」な駄目アテナさんはかなりの一致度である。ただ、シリアスになるとやはり違う…。だから物足りないか?というとそんな事は全くなし!。何故なら話自体も、キャラの活かし方も凄く上手いから!。


 数ある名キャラクラーばかりの「aria」においても特に大好きな広橋さん演じるアリス中心の物語というだけで盛り上がってしまうが、本作においてもグッとくるエンタメとして力と、テーマ性が見事に両立している。


 子供はドキドキとワクワクが満ちているが、それを受け入れるのに精一杯。素敵なオトナはそれらを作り出すことも、見方次第でそれを見出すこともできる。すなわち、現象学的にも、受動的では世界は無意味に感じがちだが、積極的に把握しようとすることで世界の意味を見出だせるという本作を通してのテーマを軽やかに実現させている。


 そして、終盤の展開とその後に流れるナレーション、からの〜ed曲「エコーズ」。全てが絡み合っていて、大きな物語のダイナミズムがなくても思わず目頭が…、これこそariaの真骨頂。「水」の街に相応しい、想いが波間を伝わり、そして響き合い高みへ昇っていく。


 そしてedロール後に流れたものを見て「えっ!」ってなった…。こういうedロール後におまけが〜な作品は多いが、ここまでビックリ+歓喜したのは初めてかも。ファンならばこの状況でも全員もれなく突撃すべし!。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 28
ネタバレ

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

その やさしいオレンジいろにつつまれて…

原作未読 約61分

劇場版ARIA「蒼のカーテンコール」第二幕です。関係性からTV版や前回の第一幕の劇場版「ARIA The AVVENIRE」を先に観ることをオススメします。

今回は、アリスちゃんやアテナさん、そして新人のアーニャちゃんが所属している「オレンジぷらねっと」がメインのお話でした。

アテナさん役は川上とも子さんからバトンタッチした佐藤利奈さん、レールガンの御坂美琴の声も好きですが、アテナさんの声も合っていましたね^^

「水の三大妖精」の一人と言われるアテナさん、その歌声は今回も映画館いっぱいに心地よく響き渡りました。
{netabare}
アリスとアテナの競演、そして飛び級でプリマウンディーネに昇格するシーンがあって色々と思い出してウルウルしましたね。
{/netabare}
恥ずかしいセリフもたくさん聴けましたねw

アリスちゃんとアテナさんの絆がより深まったお話でした。

定番のセリフもキャラもみなさん出てきて大満足です。ARIA作品が好きな方は是非劇場で観てくださいね。
{netabare}
終わりに次回の予告がありました。次の作品が蒼のカーテンコールのラストみたいですね。公開は未定ですが、次も必ず観に行きたいと思います。
{/netabare}
OPとEDはどちらも安野希世乃さんが歌っています。

最後に、パンフレット買おうと思ったらまさかの2,600円w でも、原作者の天野こずえさんの描き下ろしのこの作品のマンガが掲載されていたので、家に帰って読んで2度楽しめました。

さあ、お手をどうぞ

投稿 : 2024/06/15
♥ : 20

せもぽぬめ(^^* さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

紡がれる想い

ARIAを愛するいちファンとして想いを残す事にしました。
約6年の時を経て…待ちに待った蒼のカーテンコール第2幕がいよいよ開幕!
この日を迎えられたことだけでも胸いっぱいです。

本作品を一言で言うならば、監督、キャスト、ファンなどARIAに関わる全ての人達の想いが紡がれた作品です。

第2幕『CREPUSCOLO』は「Orange Planet」が中心のお話になります。
アリスちゃん推しの私にとっても、アテナさんあってのアリスちゃんなので、アテナさん役を引き継ぐ形になりました佐藤利奈さんには本当に感謝しています。
公開初日の舞台あいさつで涙を流しながら「一生懸命私が抱きしめて歩みたいと思っています」と語ってくれていました。
この言葉を聞いて、きっと故・川上とも子さんも、故・河井英里さんも「ありがとう」と言ってくれていると思います。
2人の想いを紡ぎ、アテナさんに新たな魂を吹き込んでくれた佐藤利奈さんのアテナさんも本当に素敵でした。

劇場で久しぶりに目にしたネオ・ヴェネツィアの情景が目に飛び込んで来ると、ARIAならではの音楽とあいまって一気に懐かしい雰囲気に包まれます。
様々な想いが溢れてきて、自然と涙がこぼれてしまいました。

TVシリーズから前作「AVVENIRE」までの歩みを決して過去とせず、それらを糧として各々が成長していく姿が今回もしっかりと描かれています。
さらにキャラの本質がブレていないのも相変わらずで、そんな姿に愛おしさを感じてしまいます。
最後は、あの「ORIGINATION」の神回をさらに超えた感動を届けてくれました。

皆んなの想いと共に、ゆっくりと時間をかけて育まれてきたAIRAの新作劇場作品は、優しさがいっぱい詰まったARIAらしさ満載のでっかい愛のある作品です。
こんな素敵な作品とまた出逢えたこと、本当にありがとうございました。

そして、最終章「ARIA The BENEDIZIONE」公開決定、今度は姫屋ですね。
早く来て欲しいけど…終わって欲しくない…そんな気持ちですが、
灯里ちゃんなら、そう言う想いが強い程「大好きな存在」だから良い事なんですよ∥ ̄口 ̄∥って言ってくれるかな(笑)

投稿 : 2024/06/15
♥ : 18

69.4 25 未来アニメランキング25位
MEMORIES(アニメ映画)

1995年12月23日
★★★★☆ 3.8 (217)
1030人が棚に入れました
大友克弘が製作総指揮と総監督を務めた、3話から成る劇場用オムニバス・アニメーション大作。遭難した宇宙船を舞台にした、大友の同名漫画を今敏が脚色したSFドラマ「彼女の想いで」。誤って実験用の薬を飲んだ男が巻き起こす一大パニックを描くブラック・コメディ「最臭兵器」。大砲を撃つための街に暮らす少年の日々を綴る大友監督作「大砲の街」。いずれもセンス・オブ・ワンダーに彩られた奇妙な味わいが特徴となっている。

声優・キャラクター
磯部勉、山寺宏一、高島雅羅、飯塚昭三、堀秀行、羽佐間道夫、大塚周夫、林勇、キートン山田、山本圭子、仲木隆司

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

三者三様、傑作オムニバス

3編のオムニバスから成っている大友克洋監修の映画。
なかなか見ようと思いつつ見ていなかったのですが、想像以上に面白かった。
どれも全く毛色の違う作品ですが、どれも異彩を放つ素晴らしい作品でした。

「彼女の想いで」
最初は「2001年宇宙の旅」っぽいなと思ったのですが、中身は「ソラリス」は似ているでしょうか?
ということで、特にシナリオ面では目新しさというものはないのですが、確かに今敏風味。
ハイクオリティの映像と音楽、幻影が交錯する大いに盛り上がる演出には圧倒されました。
天才同士の才能が巧く融合した鳥肌ものの映像作品。

「最臭兵器」
一人の男が風邪薬と間違えて強烈な臭いを発するカプセルを飲んでしまった、という大パニックコメディ
内容はあまりにもシンプルなコメディですが、馬鹿馬鹿しくて面白い。
バタバタと人が倒れていく様が恐ろしいはずなのに、笑えて面白いという不思議な感覚に。
これまたド迫力の作画で、娯楽作としては申し分ない。見終わったら体臭を気にしてしまう作品。

「大砲の街」
大砲を撃つためだけに作られた街の一日を描いた作品。
エンタメ要素は一番薄く、社会風刺の色彩が濃いのですが・・・
結局何が言いたかったのだろう?と問われると意外と難しいですね。
上記2作がエンタメ要素が強かったので、この作品でガクッとテンション下がってしまったけど
何もかも異質で強烈な印象を残す作品でした。

ストーリーも面白く映像面に圧倒された「彼女の想いで」が一番好きですが
純粋に面白い「最臭兵器」、味のある「大砲の街」も捨てがたい。
ただぶっ続けに見るには少々頭の切り替えが追いつかないので、分けてみた方が良いですね。
総じてクオリティは高いので、どれか一つは気に入るんじゃないかと思います。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 14

メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

アニメへの時代の空気がいまより冷たかった時代。こんな秀作がありました。

3編で構成された劇場アニメだった。大伴克弘は、コミックで好物だったので追いかけていたってのもある。決してこういう作品ばかりのひとでもない。AKIRA、Freedomが有名だろうけど。

なかでも、「彼女の想いで」が私の一番のお気に入り。当時鑑賞したので普通は忘れているのだろうが、今でも覚えている。コミックは今でも手元にあるが読んだのは一度きり。
その独特の空気はいまでも色あせることはないのではないか、と。

SFでしか表現できない舞台を設定したストーリーの流れは、今のSFアニメといわれる作品群とは一線を画する。SFの質が違う。すこし不思議とサイエンスフィクションは別モノなのだから。

とは、いえ、萌えはないし、コメディもない。現在隆盛の作品群のみを中心にみている方にこそ、おもしろくないとしてもお薦めしたい。理由は、偏ったメディアばかりだと狭視野になりがちかも?! おこがましいが、アニコレみててそう思う。

誰にでもお勧めしない。誰にでもおもしろいと思えないだろう。ただ、誰にでも知っておいてほしい一品でもある。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 21

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

よかったです。

おいおい、ほとんど誰もこの作品について書いてないのかよ…と「あにこれ」の驚異的な偏りに、ここでもびっくりするわけです…。



しかし、まあ大友×今敏映画だけあって、本当に映像のすばらしさにおいては、とんでもなく幸福な体験だったな、ということだけを覚えております。

しかしながら、わたしもまた、今敏作品を語れるようなタイプの「アニメーションの語彙」が豊かな人間ではないのです。なので「よかった!」みたいな、子供のような感想しか言えないのですが、よかったです。

今敏作品の細かな素晴らしさについて感得できるようなバカ技能などを身につけてみたいものです。

投稿 : 2024/06/15
♥ : 6
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