政治おすすめアニメランキング 52

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの政治成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2019年12月07日の時点で一番の政治おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

92.9 1 政治アニメランキング1位
コードギアス 反逆のルルーシュ R2(TVアニメ動画)

2008年春アニメ
★★★★★ 4.4 (10132)
33534人が棚に入れました
ブリタニアの皇子として生まれながらも、ブリタニア帝国に復讐を誓い、反帝国組織「黒の騎士団」のリーダー“ゼロ”として覇道を歩もうとするルルーシュ。元日本首相の息子でありながら、ブリタニア軍に所属し、正直さと公平さを捨てることなく正道を歩もうとするスザク。二人の歩みが超大国ブリタニア帝国、そして世界を震撼させる!
対峙したルルーシュとスザク、そして響く銃声…あれから1年、ルルーシュとスザクは生きていた。スザクは帝国直属の騎士のひとりになっており、ルルーシュは以前と変わらず学園に通っていた。ただし、弟のロロ・ランペルージと一緒に…!
彼らに何が起きたのか、何が起きていくのか…。

声優・キャラクター
福山潤、櫻井孝宏、ゆかな、水島大宙、小清水亜美、緑川光、保志総一朗、後藤邑子、大原さやか、折笠富美子、杉山紀彰、渡辺明乃、真殿光昭、田中一成、高田裕司、二又一成、島香裕、私市淳、中田譲治、倉田雅世、新井里美、若本規夫、名塚佳織、千葉紗子、幸野善之、松元環季
ネタバレ

ぽこやん さんの感想・評価

★★★★★ 4.8

世界を壊し、世界を造る。全ての憎しみは自分の元へ・・・

まず、ここまでの練りこまれた世界観とストーリーは圧巻の一言。

第一期よりの続編となりますが、内容の濃さが違いすぎる・・・

一見はSFロボットアニメ、が、このアニメの本質はロボットの単純なバトルなどではありません。

「世界の為に、最強の敵を倒す」

そんな内容のアニメはいくらでもありますが、

「世界の為に悪を演じ、愛する人、仲間、友達に対して仮面を被り、世界を救う、そして造る」

この表現が正しいかどうかはわかりませんが、主人公・ルルーシュの信念、強さ、決意、行動・・・全てが心を打ちます。

息をつかせない展開と、素晴らしいストーリー構成が、いつまでも印象に残りますね。
ここまでの世界観の表現は、他の作品とは比になりません。

「撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだ」

主人公ルルーシュの全てを表現する言葉ですね。

「俺は世界を壊し、世界を、造る・・・」

それが実現された時、自分は涙が止まりませんでした。

それではレビューに移ります。

{netabare}先に書いたとおり、この作品は前作よりの続編になります。
前作の最終話が「?」な形で終わっていたので、始まった時点では、自分の中での評価は低かったのですが・・・

今作を見終わった時、前作の全ての布石がつながり、終わり方にも納得ができました。

主人公は・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、元神聖ブリタニア帝国第11皇子。
普通の学生として、妹とともに暮らす、頭の良い男子生徒といった設定。

なぜ一国の王子が学生として暮らしているのかは、前作参照ですね。

少し前作の話をしておくと、C.C(シーツー)という謎の少女と出会い、ギアスという異能の力を手に入れ、仮面の男「ゼロ」を名乗り祖国に反逆する。

ゼロの元にはいつしかブリタニア帝国に反逆する人々が集まり、黒の騎士団という反ブリタニア勢力が出来上がっていく、といった話。

正直前作の流れは、ありがちな話ではあるかなぁという印象。

ギアスという異能はこのアニメに必須なものではあるのですが、主人公ルルーシュ以外にも様々なギアスは存在します。

ルルーシュのギアスは「絶対尊守」。
どんな相手にでも、いかなる命令にも従わせることができる能力。
ただし、一度ギアスにかかった相手を、再度ギアスの力で従わせることはできない。
ギアスを使うには、直接相手の目をければならないなどの制約も存在します。
ギアスにかかった人間は、その前後の記憶がなくなる、これは最終話への布石になります。

ストーリー上、様々な起点や転機、見どころはありますが、やはり一番は最終話でしょう。

最終話「Re;」
前作の最終話は「ゼロ」だったので、もしかしたらそれに向けられたものなのかも知れません。

まずルルーシュが世界を変えようと思った当初の目的は、妹であるナナリーのためでした。
物語が進むにつれ目的は変わっていくのですが、やはりルルーシュの根本にはこの思いがあったのだと思います。

しかし今作では、守るべきはずのナナリーは、ルルーシュの敵となります。

ブリタニア帝国は世界を手に入れるため、「ダモクレス」という兵器を手にするのですが、このシステムを使うには「フレイヤの鍵」が必要になります。

ナナリーは最終的にフレイヤの鍵を手にし、自らの意志でそれを発動させます。
ここだけ聞いていると、ナナリーは悪人になったの?となりますが、そうではありません。

共に世界を変えたい、と思った二人の、辿り着いた結果が違っただけなのです。

最終話のルルーシュとナナリーの会話で、
「それは卑劣なのです。人の心をねじ曲げ、尊厳を踏みにじるギアスは」
「ではダモクレスはどうだ? 強制的に人を従わせる、卑劣なシステムではないのか?」
「……ダモクレスは、憎しみの象徴になります」
「……っ!」
「憎しみは、ここに集めるんです。みんなが明日を迎えるためにも」
ここでルルーシュは気付きます、ナナリーも同じなのだと。

そして全てを悟ったルルーシュは、
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! ダモクレスの鍵を渡せ!」
最愛の妹に、ギアスをかけます。

ナナリーの正義の在り方は少し疑問がありましたが、正義というよりは、やはり兄であるルルーシュを救いたかったのではないでしょうか。
最終話に至るまでに、ルルーシュはすでに世界の敵となっていますから。

ルルーシュも同じなのでしょう、同じ覚悟を持った妹に全てを背負わせるのならば、妹にギアスをかけ、自分が憎しみの象徴となる・・・

ギアスにかかった状態のナナリーにルルーシュがかけた言葉、言葉が伝わらない時だからこそ伝えた言葉。

「ナナリー、お前はもう立派に自分の考えで生きている。
 だからこそ俺も、俺の道を進むことができる。
 ……ありがとう、愛してる、ナナリー」

これは印象的でしたね・・・。

そして我に返ったナナリーに背を向け、ダモクレスの鍵を手に、ルルーシュは妹から離れて行きます。

全てを背負った背中、ナナリーはルルーシュを罵りますが、兄に止まって欲しかったからこそ、なのだと思います。

そして最終局面。

ルルーシュの目的は「ゼロレクイエム」という言葉で表現されています。

「我が覇道を阻む者は最早存在しない。
 そう、今日この日、この瞬間を以て、世界は我が手に落ちた!
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる。
 世界よ、我に従え!」
世界はルルーシュのものとなったのですね。

では、なんの為にルルーシュは世界を手に入れたのか?
そう、世界を壊し、世界を造る為です。

前作では敵であった、親友である枢木 スザク(くるるぎ スザク)と共に、ルルーシュが計画した方法。

仮面の男である「ゼロ」をスザクが演じ、憎しみの象徴となった自分を殺させる、それによって世界から憎しみの連鎖を断ち切る。
そして世界は軍事力ではない方法で、明日を迎えることができる、そう考えたのですね。

人々にギアスという呪いをかけた代償として、ルルーシュは世界のために自らの命を断つという選択をしたわけです。

そしてスザクの剣はルルーシュを貫き、仮面の中でスザクは涙を流します。

このあたりで二人の会話があるのですが、これは是非本作で見て頂きたいですね。

そして最後に。

ナナリーには人の手に触れると、その人物の記憶が流れ込む・・・という体質があります。
剣を引きぬかれたルルーシュは倒れ、ナナリーの元に滑り落ちます(ここあたりの描写は、本作でどうぞ)。

ナナリーはルルーシュの本心をまだ知りません、最愛の兄が死ぬ瞬間まで、それを知ることはなかったのです。
そっと呼びかけても答えない兄の手をそっと握ったナナリーに、一連の記憶が流れ込んで・・・

この辺りの描写は見事の一言、そして声優さんの演技も素晴らしい、ナナリーがルルーシュに対してかけた言葉、鳴き声、ここで涙が出ました。

練りこまれ構成されたラスト、そこに至るまでの脚本、前作よりの流れや人間関係、神アニメといわれる所以はここにあります。
{/netabare}

このアニメは100%完璧なのか?といわれれば、もちろん疑問が残ることもあります。

ですがそれを「まぁいいか」と捨てるのではなく、逆に考えてしまうのは、やはり脚本が本当に素晴らしいからこそ・・・ではないでしょうか。

すべてにおいて良い部分と悪い部分、それは当然に存在するもので、更には別々に判断するべきものであり、コードギアスの場合は、自分の中で評価するべき点のほうが多かった・・・というだけの話です。

相殺されたわけではなく、全体的な判断として「良作」だと感じました。

いやー長くなってしまいましたが、本当にいい脚本のアニメと出会いました。
是非ご覧になってみて下さい。

それではまた、どこかのレビューで!

あ、そうそう。
この作品、TV版とDVD版で、本当に細かな描写変更が多数あります、キャラの表情であったり、色々です。

全部探せたら凄いですねw

投稿 : 2019/12/07
♥ : 17

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

ストーリー、キャラクターの思想・概念の変化に関する問題について。そして、それらを凌駕するストーリー進行の真実(?)

ふ、不覚にも感動してしまいました(;´∀`)!!
こういうタイプの作品には免疫があると言いますか、論理や思想で物語を展開させるストーリー内から矛盾点を見出して客観的に評価するというのが自分の得意分野だったのですがこの作品は特別だったようです。

まぁ色々ツッコム点は見出しましたが(↓)それは後半で話ます。それよりもこの作品の良い点を上げて行きましょう。

まず、ストーリー展開ですね。そのあまりの早さに時々着いて行くのが大変なくらいでした。
このストーリー展開の早さについても後ほど話ますが、これこそこのアニメを視聴者を感動かつ熱くさせるもっとも大きな要因になっていると思います。

次にキャラ。
これは色々ツッコムところがありました。あまりに展開が壮大で、個人単位で描かれていたのは極一部のキャラだけになっていましたね。まぁこれは仕方が無い事でもあります。
個人的にはジェレミー卿が一番好きでした。作品内で忠誠というもっとも常識っぽい大義名分で戦闘を続ける様は一期より格段にカッコよく、また作品唯一の鎮静剤にも感じられました。

さて次は作画、音楽、声優を一気に説明を・・・したいところなんですが、何分他に書きたいことが一杯あるので控えさせてもらいます。まぁ特別秀でたところは無かったかと。声優はキャスト配分については合格点だということだけは書かして貰いますが。


さぁ、いよいよ私の時間がやって来ました。
まず最初にアニメの流れをさらっと洗いたいと思います。っとことでここからネタバレです!

↓ルルーシュの記憶回復
↓黒の騎士団復活
↓ナナリーが行政特区日本建設決定
↓黒の騎士団、一時的に中華連邦と合併
↓ブリタニア、中華連邦と政略結婚
↓中華連邦の一部内乱
↓内乱組み、黒の騎士団の乱入により、ブリタニア&中華連邦に利用される
↓戦争勃発、結果黒の騎士団中華連邦統治
↓ルルーシュ、ギアス嚮団を奇襲、V2殺傷
↓シャルル皇帝の思想、能力が明らかになる
↓超合衆国設立
↓超合衆国vs神聖ブリタニア王国→引き分け(フレイヤ)
↓黒の騎士団内部分裂
↓シャルル皇帝vsルルーシュ
↓ルルーシュ皇帝誕生→独裁政治開始→既得権益の排除
↓シュナイゼルvsルルーシュ
↓ルルーシュが武力による世界征服(民衆の憎悪を一点に集める)
↓新たなゼロ、ルルーシュ皇帝殺害
↓世界は平和

いや~ホントこれだけの内容を良く2クールに入れたもんだw
そして注目すべきは一連の出来事が綺麗に関連しているように見えることです。しかし、辻褄が合っているように見えるのは眼の錯覚です( ー`дー´)キリッ
まぁここまで極論言うつもりはありませんが、何点かは考えれば納得いかない点がある。

まぁ初めにルルーシュの記憶が戻ること。シャルル皇帝はルルーシュがC2の死に関与する為ルルーシュを殺すことが出来なかったのは事実。分からないのはなぜあのタイミングだったのか。記憶を戻すなら早ければ早いほど良い筈。なんせ日々日本の勢力は縮まっているのだから。

次に最後の終わり。本当に民衆の憎悪であるルルーシュ皇帝が希望の象徴であるゼロに殺されれば世界は平和になるのか?これはなかなか難しい問題だと思います。なにせ世界の情勢というものが日本とブリタニア以外ほとんど描かれていなかったから。しかし、もし私がEU側の人間ならば、ブリタニア皇帝死亡と共に超合衆国に独立を申し出ることを考えるだでしょうね。超合衆国の一部になるということは自国の意見を通すのに世界各国の3分の2もの賛成を得なければ可決されないことを意味します。なにせ民主主義ですから。

他にも語りたいことはあるんですが、この話に付いてはここら辺で切り上げます。

さらに話の中に存在した出来事だけでなくキャラが持っている思想や概念といったものがコロコロ変わったのもこの作品の問題点ではありましたね。

ルルーシュ
↓ナナリーの為に平和で平等な世界を作る
↓自分にとって大切なものを守る為に世界を作る
↓手段を選ばず己の道を突き進める(覇道)

スザク
↓ナイトオブラウンズで一番になり、日本を再構築
↓ナナリーの掲げる行政特区日本に賛同
↓手段を選ばず己の道を突き進める

ナナリー
↓合法なやり方で日本再構築
↓兄を救う為ならなんでもやる

シャルル皇帝
↓偽りを捨て己が思うままに正直に生きるべき

まぁ主要な考え方はこんなものですかね。
気付いている人もいるかも知れませんが、スザクやルルーシュからは話半ばで持っていた臨機応変に嘘と真実を使いわける効率主義とでも言える思想については書いていません。というかここで書いています。これについてはあまり触れたくないので。

さて、上の様に色々な主義、思想が存在した今作品ですが、初期段階で各キャラが持っている概念では誰一人この世界を改変することは無理でしょう。
ルルーシュの功利主義でも、スザクの理想論でも無理です。
ルルーシュの場合は他人に対しては良い成果を出せますが、そこに大切な人物が関与してくると急に弱くなる。
スザクの場合、ラウンド1になってエリア11を手に入れたところで国民意識を改変することは不可能に近い。良い例がアメリカの黒人差別。上が急に法律や条例を出したところで、国民一人ひとりの固定観念を変えなければ差別や不平等といったものは消えない。
この意見はナナリーにも適応します。
シャルル皇帝の掲げる思想は正直言って、論外ですねw
例えば現代社会でその思想を取り入れると個人のプライバシーどころか国家機密まで露呈します。CIAなどの諜報組織はその存在意味を無くし、露呈された事実は確実に内乱または国際戦争に各国を陥れるでしょう。

じゃ、話の後半シャルルやスザクが掲げた思想が一番正しいのか?
これも正直答えられない質問ですね。
功利主義者は正解と、道徳主義者は不正解と応えるのがオチです。

しかし、このアニメが伝えたかったものを考えると少し見えて来る物はあるかもしれません。
アニメの終盤で各キャラのシュートカットが色々出てきていましたが、アメリカの映画でもある様に、そのちょっとしたカット場面に映画そのものの答えが隠れていたりします。
まぁ、今作品ではC2が明確に「人は犠牲や代償を払い発展を続けてきた」というテーマを上げています。
シャルルは過去に、シュナイゼルは現在に、ルルーシュは未来に重きを置いたのでしょう。今作品ではたまたま答えが未来だっただけの話。そもそも哲学に答えなどないのだから。
個人的にはシャルル思想は無いですけどねw
だから今作品内ではスザクとルルーシュが取った行動は正解ということになります。
ここで出てくるのが先ほど述べたシュートカット。苦難を乗り越えて来たキャラクター達ですが、ほぼ、というか全員が笑顔だったと思います。この笑顔が何よりの証拠でしょうね。

話はそれますが三つの論理を今の日本に照らし合わせるとシュナイゼルですかね。保守派傾向を強い日本は短期的利益を見つめ、現状維持という手段をとっているような気がします。

話を戻します。
全25話でこれだけキャラクターの思想や概念が変わったアニメは初めてでした。
これだけコロコロ変わられると、やはり見てる側もキツイ(;^ω^)
これらのストーリー問題とキャラの問題をカバーしているのが超スピーディー展開です。まぁ要は勢いで押す!ってことです。
まぁ確かに勢いで乗り越えようとして失敗している作品は沢山あります(一番うしろの大魔王とか)。ではなぜこの作品は成功したのか。
明らかに要因になっているのはキャラクターの死と次々に出される高性能ナイトメアでしょうねw
SF物で王道になっているキャラクターの死はありきたりと言っても確実にストーリーに緊迫感を与えることが出来ます。特に今回のような、ベースは生徒会みたいな日常系パターンでは。
さらに新型の機体。かっこいいし、バトルで性能が上がってることが一目瞭然ってのはやはり注目に値しますよね。

こういう風に書いてると、この作品は一回以上見ないほうがいいかもしれませんね。
内容が少し複雑なだけに気にしだすと色々見えてくるものがある。というか私はギアスが結局どこが発生源なのか理解できませんでしたΣ(゚д゚lll)ガーン

終盤は少し展開が読めてしまいますが、序盤などの勢いは凄まじく、一期はこの作品の土台でしたか無かったということがシミジミ感じられた傑作でした。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 44
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

世界で一番面白い 《少年(学生)の物語》

※1-2期・OVAを併せた感想・レビューです。

◆内容要約

※以下の2つのナレーションが本作の内容を要約していると思います。

{netabare}「心の誓いは嘘を吐かない。
ルルーシュ・ランペルージの誓いとは、母の仇を討ち、妹ナナリーの幸せに過ごせる世界を作ること。
そのために、彼はギアスを手に入れた。
そのために、彼はゼロとなり行動を起こした。
少なくとも、それが当時のルル-シュの真実であった。」{/netabare}
(R2-TURN8冒頭のナレーション)

{netabare}「ブリタニアの少年ルルーシュは二つの道をもっている。
ひとつは母の仇(かたき)を捜す過去への道。
もうひとつは妹ナナリーが幸せに過ごせる場所を作るための未来への道。
ルルーシュが過去と未来を見据えたとき、彼だけが選べる現在の道は、世界の破壊か、世界の構築か。」{/netabare}
(R1-STAGE17冒頭のナレーション)


◆シリーズ別評価

第1期(25話)  ★★ 優 4.9 (98点相当)
第2期(25話)  ★★ 優 4.5 (90点相当)
OVA  (1話)  ★  良 4.0 (80点相当)
----------------------------------------------
総合       ★★ 優 4.7 (94点相当)

※第2期(R2)は、第1期(R1)と比べると幾分シナリオの大味さが気になるので点数を下げています(それでも★★評価)
※OVAは「ナナリー in ワンダーランド」 (2012年7月)。
※なお、「コードギアス外伝 亡国のアキト」(劇場版全5章)は別途一括評価予定。


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回


==== コードギアス 反逆のルルーシュ R1 (2006年10月-2007年3月、7月(24-25話)) ====

{netabare} - - - - - - - OP「COLORS」、ED「勇侠青春謳」 - - - - - - -

STAGE 1 魔神が生まれた日 ★ 皇歴2010年の日本、皇歴2017年のエリア11、シンジュク事変、ギアス契約 
STAGE 2 覚醒の白き騎士 ★★★ 続き、嚮導兵器ランスロット出撃、第3皇子クロヴィス
STAGE 3 偽りのクラスメイト ★ ルルーシュの行動動機(亡き母の復讐、妹ナナリーの幸福)、カレンの生徒会参加
STAGE 4 その名はゼロ ★★ 冤罪のスザク救出、相容れないルルーシュとスザクの考え方
STAGE 5 皇女と魔女 ★★ C.C.再登場、第3皇女ユーフェミアとスザクの出遭い、第2皇女コーネリア着任
STAGE 6 奪われた仮面 ☆ スザク転入、学園内の仮面騒動、ルルーシュの敵(シャルル皇帝)
STAGE 7 コーネリアを撃て ★ 母の死(皇暦2009年)、C.C.の謎会話、サイタマゲットー包囲戦(組織の力に敗北)
STAGE 8 黒の騎士団 ★★ 日本解放戦線ホテル占拠、ランスロット突入、ユフィとゼロの会話、組織の力の獲得
STAGE 9 リフレイン ☆ 黒の騎士団の民衆人気、カレンの家庭事情
STAGE 10 紅蓮舞う ★★ 日本解放戦線ナリタ本拠地包囲、黒の騎士団の奇襲 
STAGE 11 ナリタ攻防戦 ★★ 続き、ランスロットの救援、C.C.の真名 ※戦術ものとして◎
STAGE 12 キョウトからの使者 ★ キョウト六家・桐原との対面、シャーリーの父の死

- - - - - - - OP「解読不能」、ED「モザイクカケラ」 - - - - - -

STAGE 13 シャーリーと銃口 ★ ルルーシュ&カレンの迷いと覚悟、港湾の囮作戦
STAGE 14 ギアス対ギアス ★★ シャーリーの動揺、マオの策略、ルル忘却
STAGE 15 喝采のマオ ☆ ギアス暴走(STAGE22の伏線)
STAGE 16 囚われのナナリー ★ ルルーシュ&スザクの共同作戦、スザクの秘密
STAGE 17 騎士 ★★ 藤堂奪取作戦、白兜のパイロット(スザク身ばれ)、ユフィの騎士選び
STAGE 18 枢木スザクに命じる ★★ 騎士任命式、式根島、ランスロット捕獲作戦、非情の宰相(第2皇子シュナイゼル) 
STAGE 19 神の島 ★ 神根島、ユフィとルルーシュ再会、カレン身ばれ、ガウェイン強奪 ※但し神根島移動の説明なしは× 
STAGE 20 キュウシュウ戦役 ★★ 中華連邦傀儡「新日本」フクオカ司令部急襲、ユフィ告白、ゼロ&スザク共同作戦
STAGE 21 学園祭宣言! ★ ユフィ&ナナリー再会、行政特区「日本」建設宣言 ※日常回として○
STAGE 22 血染めのユフィ ★★★ 行政特区「日本」発足式典、ギアス暴走、神楽耶登場、日本人殺戮命令
STAGE 23 せめて哀しみとともに ★★★ ユフィ死亡、合衆国日本建国宣言、V.V.登場、トウキョウ租界攻略戦開始(Black Rebellion)

- - - - - - - OP「瞳ノ翼」、ED「モザイクカケラ」 - - - - - - -

STAGE 24 崩落のステージ ★★ 続き、政庁屋上庭園の戦い(対コーネリア)、ナナリー誘拐
STAGE 25 ゼロ ★★ 続き、ルルーシュ戦場放棄、再び神根島へ、ゼロの正体{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)3、★★(優秀回)11、★(良回)8、☆(並回)3、×(疑問回)0 ※個人評価 ★★ 4.9


※R2のTURN1~4が、R1のSTAGE1~4を意識的にトレースした内容となっている点にも注目。


============== コードギアス 反逆のルルーシュ R2 (2008年4-9月) ===========

{netabare} - - - - - - - - OP「O2」、ED「シアワセネイロ」 - - - - - - - -

TURN 1 魔神が目覚める日 ★ 一年後(皇歴2018年)、ゼロ奪還作戦、ゼロ復活
TURN 2 日本独立計画 ★ 皇帝のギアス(記憶書換)、ヴィンセント(ロロ搭乗)、カラレス総督死亡
TURN 3 囚われの学園 ★ 中華連邦総領事館立て籠もり、シャーリーとのワイン選び、偽りの弟のギアス
TURN 4 逆襲の処刑台 ★ 黒の騎士団団員救出作戦、星刻(シンクー)の狙い、ロロ攻略
TURN 5 ナイト オブ ラウンズ ★★ 黒の騎士団再出発、スザク復学、ジノ&アーニャ来援、ヴィレッタ攻略、スザクの罠
TURN 6 太平洋奇襲作戦 ★★★ ナナリー奪還作戦、ナナリーの望む世界 ※TURN1~4までの微妙さを払拭する面白さ
TURN 7 棄てられた仮面 ★ 行政特区「日本」再建声明、心が折れたルルーシュ、立ち直り、海上臨検・戦闘
TURN 8 百万のキセキ ★★ ゼロ追放の確約、設立式典、スザクの判断、百万人の退去 
TURN 9 朱禁城の花嫁 ★ 蓬莱島貸与、策士シュナイゼルとの手合わせ、婚礼場への乱入
TURN 10 神虎輝く刻 ★★ 花嫁強奪、ゼロvs.星刻知略戦、撤退、天帝八十八陵篭城戦
TURN 11 想いの力 ★★ 続き、戦術vs.戦略、星刻との盟約、ギアス教団探索
TURN 12 ラブアタック! ★ キューピットの日、ミレイ卒業、ギアスキャンセラー ※コメディ回として○

- - - - - OP「WORLD END」、ED「わが﨟たし悪の華」 - - - - -

TURN 13 過去からの刺客 ★ 「神を殺す」計画、ジェレミア卿の目的、シャーリー死亡
TURN 14 ギアス狩り ☆ ギアス教団本部襲撃、V.V.出撃、アーカーシャの剣
TURN 15 Cの世界 ★ 皇帝シャルルとの対決、V.V.死亡、C.C.の過去と願い、フレイア完成
TURN 16 超合集国決議第壱號 ★ 日本解放決議、シャルル復活、スザクへの依頼
TURN 17 土の味 ★ 枢木神社での対面、日本解放作戦開始、トウキョウ租界強襲
TURN 18 第二次東京決戦 ★★ ナナリー救出指令、カレン戦場復帰、ギアスの呪い(フレイア弾頭発射)
TURN 19 裏切り ★ 一時停戦、ゼロの正体暴露、黒の騎士団の動揺、ゼロへの反旗、ロロ死亡
TURN 20 皇帝失格 ★ 閃光のマリアンヌ復活、シュナイゼルの皇位簒奪決意、みたび神根島へ
TURN 21 ラグナレクの接続 ★★ 続き、Cの世界=集合無意識=神、シャルル&マリアンヌの最期、一ヶ月後の帝都
TURN 22 皇帝ルルーシュ × Zero Requiem計画、超合集国会議、シュナイゼルの挑戦 ※ナナリー生存は都合良過ぎ×
TURN 23 シュナイゼルの仮面 ★★ ルルーシュvs.シュナイゼル最終決戦
TURN 24 ダモクレスの空 ★ 続き、ナナリーとの対面
TURN 25 Re; ★★ 続き、世界制覇、ルルーシュの最期、後日譚{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)1、★★(優秀回)8、★(良回)14、☆(並回)1、×(疑問回)1 ※個人評価 ★★ 4.5


=== コードギアス 反逆のルルーシュ OVA ナナリー in ワンダーランド (2012年7月) ===

全1話 ★ 4.0 ※各キャラクターの特徴を上手く描き出したコメディ


◆総評

これは単に私の個人的な印象ですが、本作の主人公ルルーシュって、19世紀フランスの大作家スタンダール著『赤と黒』の主人公ジュリアン・ソレルとイメージがダブるんです。
で、はっきりいって、本作は『赤と黒』よりずっと面白い。
(※因みにスタンダールは、この『赤と黒』か、もうひとつの代表作『パルムの僧院』が、世界の十大小説を選定ときに必ず選ばれる近代文学史上の超ビッグネームです)

レビュータイトルに「少年(学生)の物語」と書いていますが、別にアニメ作品に限らず、ルルーシュみたいな「少年ないし青年の物語」として私が別格で面白いと思っているのが、

・スタンダール『赤と黒』
・バルザック『ゴリオ爺さん』
・フローベール『感情教育』

という、いずれ劣らず有名な3本のフランス近代小説なのですが、本作『コードギアス』は、この3本よりも面白かった。
私が本作を初めて視聴した後、さっさと小説を捨ててアニメに走ってしまった訳ですね。

一部で「中二病アニメ」と呼ばれている本作ですが、今回は私のレビューまで中二病っぽくなってしまいました笑。

本作のより纏まった内容考察・感想は、R1のレビューの方に書こうと思っています。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 31

92.4 2 政治アニメランキング2位
攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX[スタンドアローン・コンプレックス](TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★★ 4.3 (4737)
19816人が棚に入れました
西暦2030年…あらゆるネットが眼根を巡らせ、光や電子となった意思をある一方向に向かわせたとしても「孤人」が複合体としての「個」になるほどには情報化されていない時代…。
情報ネットワーク化が加速度的に進展し、犯罪が複雑化の一途を遂げる社会的混乱の中、事前に犯罪の芽を探し出し、これを除去する攻性の組織が設立された。内務省直属の独立部隊公安9課、通称「攻殻機動隊」である。
公安9課の役割は、深刻な電脳犯罪への対処、国内における要人の援護、政治家の汚職摘発、凶悪殺人の捜査から極秘裏の暗殺まで、多岐に渡っている。彼らは電脳戦を最も得意としつつ、高性能義体を生かした物理的な戦闘においても特筆すべき能力を発揮する、精鋭部隊である。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、山口太郎、小野塚貴志、玉川砂記子
ネタバレ

ラスコーリニコフ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

あにこれでの攻殻の順位変動

■攻殻の順位変動について

自分があにこれに来たのは2011年の夏、招待制だった頃で、その頃
の攻殻の総合順位は7~9位くらいだった気がする。

たしか1位がとらドラ!、2位エヴァ、3位がCLANNADのAFだったかな。

CLANNAD、あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。も現在よりは
上位だったはず。

その後、一部のエヴァアンチによる悪意のある工作(明らかに1人の
人間が大量のIDを用い低評価を付けまくり)により、エヴァの順位が
やや低下。シュタゲとコードギアスが徐々に上昇。

あとは自身何度か休止を挟んでいるので、正確な事は分からないです
けど、大きな動きは無かったような。

2013年の6月、化物語が急にトップに、攻殻も一気に順位を上げる。

詳しくは

化物・攻殻の大躍進
http://www.anikore.jp/board/608/

自分は2013年の6月下旬~11月中旬まであにこれを休止しているので、
どう変化したのか分からないですが、気付くと攻殻が1位になっていた。


■攻殻機動隊が1位の弊害

レビューサイトとしての信頼度は上がる気がするものの、あまり良い
事では無いよーな・・。


・視聴のハードルが高い

あにこれに初めて来た人が最初にチェックするのは、総合1位の作品と
そのレビューだろうし、それがよく知らない作品だったとする。

普通は見る。自分が来た時も、まずは「とらドラ!」を見た訳ですよ。

釘宮病だったので掘り出し物を見つけた気はしたものの、ストーリー
はそんなに面白く無かった、なんでこんなもんが1位なんだよ、と。

とはいえ、とらドラ!だったら多分どんな人でも完走出来るだろうし、
死ぬほどつまらない、なんて事も無いはず。

少なくとも「話が難しくてよく分からん」という事はまずない。攻殻
だと結構な確率でそれがある訳です。

「初っ端で挫折する人が出て来る」、これが問題の1つ。

タグに社会派ドラマとかあるけど、巷で話題の半沢直樹とかとは受け
入れの広さが違う。

「やられたらやり返す。倍返しだ!」で、キャッキャするよーな事は
できねー訳です。


・レビューも書きにくい

頑張って完走したとする、そうなると次はレビューです。

レビューを書くのが初だったら、まずは人の真似をして書いて慣れる。

あ~みんな 感動した 最高だった 神アニメだった って書いてる。

よし、じゃあ自分もそんな感じで書こう、と。

そんなノリで書いたレビューは段々消したくなるのですが、仮に後に
消したり書き直す事になるとしても「慣れるために必要な事」な訳で、
攻殻の場合はそのハードルが非常に高い。

「え~、こんな視点で見て、こんな事を書かなきゃいけないの~」

なレビューが沢山並んでいる訳です。当然、脱落する人が出て来る。


■一部の人用の作品

○攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 *8,722 **,*** 19,680 02.12.21

○攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 【全13巻】
巻数  初動  2週計  累計   発売日
01巻 11,533 14,576 20,158 04.03.26 


ほぼ同時期に出ているガンダムSEED

○機動戦士ガンダムSEED 【全13巻】
巻数 初動   2週計  累計   発売日
01巻 30,147 38,685 71,081 03.03.28

売上が全てという事では無いですが、圧倒的に負けている訳でして、
性質としては あにこれでの順位は876位、総合得点は64.7点 の

○頭文字D Fourth Stage 【全12巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 22,008 29,647 44,169 04.06.16

に近い。「特定の事に興味がなければ普通は見ない、けど、その一部
をほぼ確実に掴める」攻殻もそういった類のものです。


◯涼宮ハルヒの憂鬱 【全8巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
00巻 28,729 33,892 35,176 06.06.23

○コードギアス 反逆のルルーシュ
DVD版 【全9巻】
巻数  初動  2週計  累計  発売日
01巻 36,634 45,593 62,527 07.01.26

○魔法少女まどか☆マギカ 【全6巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 52,944(*9,097) 57,767(10,295) 68,547(11,542)

○化物語 【全6巻】
巻数    初動       2週計       累計
      DVD(BD)    DVD(BD)     DVD(BD)
01巻 15,513(29,372) 19,103(37,251) 24,755(58,048) 

○けいおん! 【全7巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 32,503(*7,949) 35,220(*9,418) 42,625(10,847) 

○進撃の巨人 【全9巻】
巻数    初動       2週計      累計
      BD(DVD)     BD(DVD)    BD(DVD)
01巻 37,339(19,454) 40,488(21,852) 51,473(29,252)


もっと色々見たければ、

検索 TVアニメ 先発累計平均5000超作品一覧 除外方式 2000年以降


つまり「1位の作品を見る」という気持ちでは、見ない方が良いです。

現在たまたま1位ですが無理して手を出すよーなものではない、内容
に興味がある一部の人だけが勝手に見て、勝手に盛り上がる代物。

自分も含めて、攻殻好きは「理屈っぽくて面倒臭いイメージがある」
ので、レビューを書いたらマイナスになる事もあると思います。


■下がんねーかな順位・・

見て面白くなかったら、積極的に面白くねー、つまらねーと書くのが
良いです。

所詮メスゴリラとむさい男共とハゲジジイが社会の隅っこで色々な事
をしてるだけの話で、2ndに出て来る茅葺総理の雰囲気が少しエロい事
以外は女っ気の欠片もない。

美女、美少女不足は現代アニメとしては「重大な欠点」な訳で、欠陥
商品にはいくら文句を言っても問題ねーです。


大昔に書いた少し恥ずかしいレビュー
(をやや修正、主に「読むに堪えない暑苦しい部分」をカット)
{netabare}

レビュータイトル:よし、そろそろ熱い想いを込めて書こう。

このサイトに来て半月程。
長文書くのは久々だったし、そもそもレビューを書くのは初体験で
この作品への思い入れが強過ぎたせいでこれのレビューを書くのを
後回しにして来たけど、大分慣れて来たんでそろそろ書く事にする。


■一部の人用の作品、マニア用、無駄な凝り具合

普通のアニメとは凝り具合が完全に別方向。

自分は、これ以外の作品ではどれだけ評価が高いものでも気に食
わないと言いたい放題書いてきたし、レビューの内容はそれで良い
と思います。


■科学崇拝

とある魔術の~の話じゃなくて、科学崇拝者ホイホイ作品という話。

【エヴァの自分のレビューの一部】

(エヴァレビューにはひどい事を書き過ぎた為、少し反省、控えめ
 に書き直しを行い、今はこの部分は残ってないです)

ーーーーーーーーー
「攻殻」-「立証可能な理論、現実性」+「ウジウジ君」=エヴァ

「現実を元にした虚構」=攻殻 「虚構を元にした虚構」=エヴァ

背景にあるのがエヴァの場合は宗教と現実味の無い哲学で、攻殻
の場合は、背景が科学と推論としての哲学、あと文学少々。

攻殻は実際ある理論を元に今後ありそーな世界で、ありそーな事を
やってる訳で、両方メッセージ性で話題になった事あるけど、違いは
理解して頂きたい。
ーーーーーーーーー

攻殻を絶賛していたアニオタの友人達は皆が数学、物理、科学等の
崇拝者でして、情緒面よりも科学、エロ、萌え、そして金。と。

検索 空想科学読本

この本中身を知らずにバスで読んで笑いが止まらなくなって困った
事があったんですが、多分この手の作品が好きな人がハマる傾向が
あるのが攻殻。

つまり理系用作品、文系でこの作品の中身にまで興味を持った人は、
相当偏差値が高く良い高校や大学へ行っている(た)人な気がする。

ちなみに「攻機」じゃなく「攻殻」と略しているのは、何の作品なのかが
分かりやすくなるようにする為。口頭でも「攻機」と言ってしまうと通じ
ない場合があるので「攻殻」と言う癖が付いてます。


■銃器、兵器、他陸自等、軍事オタホイホイ

作品には架空のもの実在のものが出て来て、攻殻はかなり凝って
ます。興味ないと評価できないでしょうけど、これも売りの一つ。

ブラックラグーンとかでも少し出て来る話で、
(「軍人達は皆プラグマティストだ、憶測じゃ動かない」だったかな)

軍事はプラグマティズム(実用主義、道具主義、実際主義、行為主義)
の塊なので、科学崇拝者達とは非常に相性が良い。


■攻殻は近未来の日本が舞台の話

2030年頃の日本を舞台にした話なんですけど、2019年の事とかも
あるので、現在2011年ですけど、ちょっとリアル科学は攻殻に追い
つきそうにないですね。追いつくと思ったのになー・・残念だ。


■本当にありそーな設定、無茶とは言い切れない設定

「立証可能な理論、現実性」「現実を元にした虚構」

・・、立証可能な理論って言葉の使い方おかしいけど、他に言葉も
浮かばないから、イメージとして理解して頂きたい。

(実証、証明・・とも少し違うよーな、やはり立証が一番近い気がする。
理論を立証するって言い方はあるから、立証可能な理論でOKなはず)

そういった現実からの発展、推測、推論、未来予測が元になってる
作品なので「そんな未来があり得そう」な訳です。


■その発想力と設定の細かさ

ここのレビューの限界文字数知らないけど、本気で書くと多分余裕
でオーバーするので、設定は解説サイト見て来ると良いです。

架空の話なんだから、そんなとこまで細かく設定する事ねーよ!な
内容で、それ故にマニアが食い付く。


■出てくるキャラ

メスゴリラ、むさ苦しいおっさん達、無駄に有能なジジイ、そして
攻殻が好きはきっと皆大好き笑い男。2rdでは雰囲気がエロい総理。


■作画

萌え絵じゃなくて、変な作画じゃなくて、本当に良かった。


■台詞

センスが日本のアニメのよくあるそれではない、ハリウッド映画系、
ともやや違う、脳筋系すらそのセンスのせいで激しく良いキャラに。

蒼天航路、富野作品、ブラクラ、銀英、冨樫や福本作品、ビバップ

パッと思いつくので、それぞれが独特に台詞が印象に残る作品。

攻殻にも脚本に6人のうち1人がビバップに関係してるけど、ビバップ
ともやや違う。台詞一つで台無しになるところを素晴らしい仕上がり。


■声優

有名どころだけ:田中敦子 大塚明夫、山寺宏一 中田 譲治 三木
眞一郎  折笠愛 榊原良子


■音楽

日本の至宝、菅野ようこ様

検索 Inner Universe (full song)

2011年秋に480万再生、2013年年末に900万再生。


■アニメーション製作・Production I.G

作中もだけど特にオープニングが気合入り過ぎで、当時開いた口が
塞がらなかった。

検索 攻殻機動隊 S.A.C Origa - inner universe OP : Ghost in the? Shell

検索 攻殻機動隊 S.A.C 2nd GIG Origa - rise - YouTube


■これが原作漫画だと?

原作を超えたとかよく聞くし、原作は見る気も起きない。


■士郎正宗

原作者の別の作品「RD潜脳調査室」を見た時の、俺の落胆っぷり
といったら・・いや、そんなものは存在しなかった。


■周囲で影響を受けた人は数知れず

急にハッキング系の本を読み出したり、サリンジャー作品を読み出し
たり、作品に出てくる用語をネタとして使いまくる人々。自分がよく使用
したのは「~と囁くのよ、私のゴーストが」

人気があったのは光学迷彩

検索 光学迷彩 ニコ大百科


■STAND ALONE COMPLEX

独立した個人が結果的に集団的総意に基づく行動を見せる社会現象
孤立した個人でありながらも全体として集団的な行動をとる


この作品は色々な部分を作ってる人々が、他の部分のあまりの出来の
良さに影響されて、普段の実力以上の仕事を、創作への熱意を燃やす
事になった、そう解釈しています。

「どんな環境でどんな仕事にも真剣に取り組む人」は非常に立派です。

しかし、やはり他がダレていたり、打ち込む価値が無いと感じてしまう
と、どうしてもやる気が無くなる、人間とはそういうものです。


我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。
有るとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ。


製作側がアニメをどういう風に作っていくかは知らないので、ただの
妄想。

スタッフ全員本気で良い仕事し過ぎて、自分だけ手が抜けなくなった、
というより自分も感化されて本気になった、攻殻機動隊製作委員会に
はそれがあったと思う。

質の良い原作ありきで、更にスタッフ個人の良い仕事し過ぎ、頑張り
過ぎによる相乗効果、その成果こそが

「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」だと、自分は信じている。


■書き直したい

暑苦しい駄文を大分カットしてすっきりしたけど、全部書き直したい。

でもそんな事をするなら、最初から全部見ないと・・。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 120
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

'70学生運動世代(ベトナム戦争世代)の思考が透けて見える有名シリーズ

※以下は、攻殻シリーズ(旧作)の一括レビューです。

2013年頃、あにこれに来て一寸驚いたのが、当時この作品が全作品ランキングで1位だったことで(※今は3位に下がっています)、今でも無批判にこの作品を「内容がある」とか「深い」とか言って褒めちぎる人が多いので、このシリーズのひとつの見方を簡単に提示しておきます。


◆アニメ有名シリーズと制作者(監督)の世代論

(1) ガンダムの富野氏は1941年11月生まれ、
(2) ジブリの宮崎駿氏も1941年1月生まれ

⇒つまり、ともに1960年の安保闘争当時、現役学生だった世代。

(3) これに対して、攻殻劇場版監督の押井守氏は1951年8月生まれ
→1970年の安保反対運動当時、現役学生だった世代で、ついでにいうと、1970年11月には三島由紀夫自決事件も起きている(※攻殻TVシリーズ第2期のモチーフにもなってますね←この世代の思考・行動パターンが「口では平和を唱えながら、やたら暴力的」みたいにチグハグになってしまった一つの原因か?)。
(4) なお、攻殻TVシリーズ監督の神山健治氏はもっと下の世代(1966年3月生まれ)ですが、押井氏に師事して頭角を現し、TVシリーズ第2期では同氏をストーリー・コンセプト担当に仰ぐなど同氏の影響が非常に強いと思われます。

⇒ということで、ガンダム・ジブリ作品が60年安保世代の発想だとしたら、攻殻シリーズは70年安保世代(全共闘世代、ベトナム戦争世代)の発想が色濃い作品と考えます。
(※とくに、TVシリーズ第2期を最後まで観ると強くそう感じます(※下記の各話感想を参照))

(5) ちなみに、エヴァンゲリオン・シリーズの庵野秀明氏は1960年5月生まれ
(6) また、マクロス・シリーズの河森正治氏は1960年2月生まれ
(7) さらに、「まどマギ」&物語シリーズの新房昭之氏は1961年9月生まれ

⇒押井氏から丁度10年後に学生時代をおくったこの世代(※シラケ世代?)の作品からは、見事に変な思想臭が消えていて、その分見易く親しみ易くなっています。

※この、どの世代の制作者(監督)の作品を好むかは、人それぞれですが、予備知識として上記を押さえておくと、作品の見え方がまた一味変わってくるかも知れません。


◆作品別評価(TVシリーズ、劇場版)

(1) TV第1期 ★ 4.1  「STAND ALONE COMPLEX」  (2002年10月-2003年11月)
(2) TV第2期 ☆ 3.7  「S.A.C. 2nd GIG」  (2004年1月-2005年1月)
(3) OVA    ☆ 3.5  「Solid State Society」 (2006年9月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.8   ※(1)~(3) 神山健治監督
              ※なお (2) のみ押井守ストーリーコンセプト


(4) 劇場版1 ☆ 3.7  「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」 (1995年11月)
(5) 劇場版2 ☆ 3.7  「イノセンス」 (2004年3月)
----------------------------------------------------------------
  総合    ☆  3.7   ※(4)~(5) 押井守監督


◆制作情報(TVシリーズ第1-2期、OVA)
{netabare}
原作マンガ       士郎正宗
監督・シリーズ構成  神山健治
ストーリーコンセプト  押井守(2期のみ)
脚本           神山健治、藤咲淳一、櫻井圭記、佐藤大、菅正太郎、寺戸信寿(1期のみ)、松家雄一郎(2期のみ)
キャラクターデザイン 下村一(1期)、後藤隆幸・西尾鉄也(2期&OVA)
音楽           菅野よう子
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


◆視聴メモ(TVシリーズ)

(1) 第1期「STAND ALONE COMPLEX」
{netabare}
・第2話視聴終了時点
ん?これって安っぽいヒューマニズム系作品なの?
・第3話視聴終了時点
心身問題(mind-body problem)にチョイ掠り
・第10話視聴終了時点
「米帝」は巨悪だ!という前提が如何にも"ベトナム戦争世代"だなと・・・
・第15話視聴終了時点
再び「心身問題」・・・「自己言及のパラドックス」「チューリングマシン」「ゴースト」等それっぽいキーワードを小出ししてるけど内容自体は踏み込みが浅くて余り評価できない。
・第21話視聴終了時点
ここから山場の展開だが、「米帝」がBig Brother(G.オーウェル『1984年』の全能の支配機構)という設定が何とも・・・
・第25話視聴終了時点
「自由意志」が芽生えたタチコマが自己犠牲を払ってバトーさんを救い全滅しました・・・って、事態打開の方法が如何にも安直じゃありませんか?{/netabare}

(2) 第2期「S.A.C. 2nd GIG」
{netabare}
・第5話視聴終了時点
そこはかとなく漂う5.15事件へのシンパシーが微妙・・・
・第12話視聴終了時点
鹿児島・鹿屋の特攻隊出撃基地近くの戦没者慰霊塔を無造作に使っちゃってる点が×
・第23話視聴終了時点
親中派で米帝の軍産複合体の謀略に強い危機感を持ち国連査察に期待する首相って・・・いつの時代の感覚?
・第25話視聴終了時点
クゼの目的が「肉体を失った人々のゴーストを束ねた霊的上部構造の構築」って・・・これってオカルト話だったの?
・第26話視聴終了時点
シナイオライターは米中露等距離外交・国連協調路線が好きなんだね。{/netabare}


◆各話タイトル&評価(TVシリーズ)

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

======= 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX (2002年10月-2003年11月) =======
{netabare}
第1話 公安9課 SECTION-9 ★ 西暦2030年、公安9課のロボット芸者鎮圧、脳殻入れ替え技術(スパイ亡命阻止)
第2話 暴走の証明 TESTATION ☆ 剣菱重工製戦車暴走
第3話 ささやかな反乱 ANDROID AND I  ★ カナダ大使子息とアンドロイドの恋人、心身問題(mind-body problem)
第4話 視覚素子は笑う INTERCEPTER ★ 笑い男事件(トグサ同期(特捜ヤマモト)の不審死、事件再発(警視総監殺害予告))
第5話 マネキドリは謡う DECOY ★ 続き(6年前の事件、ナナオ・A容疑者監視の顛末)
第6話 模倣者は踊る MEME ★ 続き(大堂警視総監連続襲撃事件、荒巻9課課長の挑戦状)
第7話 偶像崇拝 IDOLATER ☆ コピー・ゴースト技術(南米麻薬王・革命の英雄の来日)
第8話 恵まれし者たち MISSING HEARTS ☆ 医学生の悪質な臓器ビジネス
第9話 ネットの闇に棲む男 CHAT! CHAT! CHAT! ★ 笑い男事件の続き(ネット座談会への素子潜入)
第10話 密林航路にうってつけの日 JUNGLE CRUISE × 連続猟奇殺人事件(バトーとマルコの因縁、米帝CIAの画策)
第11話 亜成虫の森で PORTRAITZ ★ トグサの授産(電脳閉殻症患者隔離)施設内偵
第12話 タチコマの家出 映画監督の夢 ESCAPE FROM ☆ 特定タチコマ個体の冒険(少女との交流)、ゴーストの宿る箱
第13話 ≠テロリスト NOT EQUAL ☆ 東シナ海廃棄プラント潜入、「興国の旅団」リーダー確保
第14話 全自動資本主義 \?$ ☆ 大富豪・投資家横瀬氏保護任務 ※オチのない回
第15話 機械たちの時間 MACHINES DESIRANTES ★★ 心身問題(※第3話参照)、タチコマの運用凍結
第16話 心の隙間 Ag2O ★ タチコマのラボ送り、バトーvs.元ボクシングチャンプ(ザイツェフ海上自衛軍格闘技指導員)
第17話 未完成ラヴロマンスの真相 ANGELS' SHARE ★ ロンドン銀行籠城事件(荒巻課長活躍回)
第18話 暗殺の二重奏 LOST HERITAGE ☆ 中国・金外務次官暗殺阻止任務(荒巻課長の戦友・故辻崎陸自調査部長のゴーストの復讐未遂)
第19話 偽装網に抱かれて CAPTIVATED ★ ロシア系北方マフィア「目隠しイワン」の未成年女性集団拉致事件、神崎元総理の感謝
第20話 消された薬 RE-VIEW ★ 電脳硬化症特効薬(村井ワクチン)接種者リスト紛失、トグサの「ひまわりの会」内偵、厚生省強制介入班の襲撃
第21話 置き去りの軌跡 ERASER ★★ 村井ワクチン不認可の真相、9課VS.介入班、今来栖殺害、笑い男の正体
第22話 疑獄 SCANDAL ★★ 新見厚生労働省医薬局長逮捕、荒巻課長&素子の危機、笑い男の依頼、義体換装
第23話 善悪の彼岸 EQUINOX ★ 瀬良野社長再誘拐、6年前の事件の真相、黒幕・薬島与党幹事長
第24話 孤城落日 ANNIHILATION ★ 荒巻&総理の直談判、軍特殊部隊(海坊主)の公安9課強襲、9課離散
第25話 硝煙弾雨 BARRAGE ★ タチコマの自由意思(バトー救援)、公安9課壊滅? ※ピンチの解消方法が安直×
第26話 公安9課、再び STAND ALONE COMPLEX ☆ 3ヶ月後(薬島幹事長疑惑追及、9課メンバー再集合)、笑い男と荒巻の対面{/netabare} 
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)3、★(良回)14、☆(並回)8、×(疑問回)1 ※個人評価 ★ 4.1

OP 「inner universe」
ED 「lithium flower」


========= 攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG (2004年1月-2005年1月) ============
{netabare}
第1話 再起動 REEMBODY ★ 個別の11人中国大使館籠城事件、反動保守の新政権(茅葺首相)、公安9課再建
第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE ☆ ギノ操縦士の妄想癖 ※「哀れなほど真実を知らないプロレタリア」って・・・
第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE ☆ 田所元経団連会長内偵、政財界大物秘密パーティ潜入
第4話 天敵 NATURAL ENEMY ☆ 内閣情報庁・合田補佐官の9課接触、暴走自衛隊ヘリ群鎮圧任務
第5話 動機ある者たち INDUCTANCE ★ 茅葺首相暗殺予告(仇∞士)、首相警護任務、革命の聖典『個別の11人』、クゼの首相襲撃・撃退
第6話 潜在熱源 EXCAVATION ☆ トグサのエネルギー省脅迫被疑者身元調査(旧首都・東京へ、大深度地下の秘密原発発見)
第7話 狂想は亡国の調べ Pu239 ☆ 「個別の11人」プルトニウム強奪阻止任務(合田の9課介入)
第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD ☆ 合田の経歴調査、「個別の11人」感染者のメディア露出、内庁の不可解な情報操作
第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE ★ 同時多発的無差別自爆テロ、招慰難民の犯行?、素子の内庁潜入、合田の野望(国家改造の英雄プロデュース)
第10話 イカレルオトコ TRIAL ☆ トグサの人命救助失敗と拘留、不毛な裁判
第11話 草迷宮 affection ★ 素子の過去(クゼとの出会い、全身義体化と折り紙の記憶)
第12話 名も無き者へ SELECON ★ 首相暗殺未遂犯の行動再開、ウィルス発症条件、「個別の11人」鹿児島終結・九州電波塔集団自決事件
第13話 顔 MAKE UP ☆ 自決事件報道の影響、パズの因縁の相手、未遂犯の氏名判明(クゼ・ヒデオ)
第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE ★ 隻眼スナイパー・サイトーの過去(メキシコでの素子etc.との死闘)
第15話 機械たちの午後 PAT ☆ タチコマ開発者(有須田博士)亡命阻止
第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE ☆ 難民の長崎流入問題と日米安保改訂問題、電脳世界のハブ形成、クゼの過去(新義州PKF)
第17話 修好母子 RED DATA ★ 素子の台湾渡航任務(難民達のカリスマ・クゼ)
第18話 天使の詩 TRANS PARENT ☆ 9課のベルリン渡航(「天使の羽」掃討任務、バトーの気迷い)
第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION ★ 出島の難民自治区宣言、合田暗躍、素子とクゼの電脳空間での接触、9課の出島襲撃・クゼ拿捕失敗(新人殉職)
第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG ★ 素子の沈鬱、択捉島・ロシアマフィア&クゼのプルトニウム取引への陸自介入、クゼvs.バトー
第21話 敗走 EMBARRASSMENT ★★ 続き、クゼ協力者の自爆・オスプレイ破壊(イシカワ負傷)、合田暗躍(クゼ長崎出島帰還)
第22話 無人街 REVERSAL PROCESS ★★ 九州の戒厳令発令、電波塔の爆弾解体処理・プルトニウム回収、バトーの合田問い詰め(個別の11人自決事件の真相、不確定要素の介在、殉教者の条件)
第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW ☆ 高倉官房長官・合田内庁補佐官の策動進行(茅葺首相の懸念、陸自の出島封鎖、出島事変発生(自衛軍vs.暴走難民))、素子のメッセージ(対クゼ) 
第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER ★ 茅葺首相拘束、陸自特殊部隊の出島突入・バトー隊との交戦、米帝原潜浮上(合田の最終目的判明・・・難民暴走を装った核爆弾投下・出島&難民一挙消滅)
第25話 楽園の向こうへTHIS SIDE OF JUSTICE × 素子とクゼの接触、トグサの茅葺首相救出 
第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG  × 素子のクゼへの協力、米帝原潜の核弾頭発射、タチコマの命令無視・自己犠牲、バトーの素子救出、高倉逮捕・合田射殺、クゼ死亡{/netabare}
---------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)2、★(良回)10、☆(並回)12、×(疑問回)2 ※個人評価 ☆ 3.7

OP 「Rise」
ED 「living inside the shell」


=== 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(S.A.C. SSS) (2006年9月) ===

全1話 ☆ 3.5 {netabare}ウィザード級ハッカー傀儡廻しvs.素子の抜けた9課&素子(単独行動) ※孤立老人の介護問題を絡めたサスペンス仕立ての話だが特に観るべき点なし{/netabare} ※約1時間49分

OP 「player」
ED 「date of rebirth」


///////////////////////////////////////////////////////////////

◆制作情報(劇場版1&2)
{netabare}
原作マンガ      士郎正宗(講談社『ヤングマガジン海賊版』1989年5月)
監督         押井守
脚本         伊藤和典
キャラクターデザイン 沖浦啓之
音楽         川井憲次
アニメーション制作  Production I.G{/netabare}


========= GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 (1995年11月) ===========

全1話 ☆ 3.7 {netabare}素子との融合を望む"人形使い"との闘い ※何でここまで東南アジアの華人街っぽい背景が多用されるのか謎(これ、香港映画?と思うほど){/netabare} ※約1時間22分


===================== イノセンス (2004年3月) ===================

全1話 ☆ 3.7 {netabare}バトー&トグサ・コンビのガイノイド連続暴走事件調査 ※まるで未来の日本は香港にでもなったような設定が酷い{/netabare}  ※約1時間39分

投稿 : 2019/12/07
♥ : 24
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

指先のその先にあるもの

1989年ヤングマガジン海賊版にて発表された漫画「※1攻殻機動隊」の世界観をベースに据えたSFアニメ。

近未来刑事物としての体を取りつつ、政治、経済、医療、テクノロジーへの問題提起など、多岐に渡るテーマを公安9課の活躍と共に描きます。

SFは現在から地続きの未来の世界を描く事を基調としているので(特に近未来ものは)すでに積み上げられてきた科学の基盤を踏まえなければならず、それゆえ制約が多いもの。科学考証に何らかの誤魔化しや綻びがあれば、それはすでにファンタジーの領分に片足を踏み入れたも同然で、SFとしての精度は低いものとなってしまいます。

本作の特筆すべき点の一つは、その様なあやふやさを可能な限り排除した※2設定の隙の無さであり、地に足の着いた説明可能なテクノロジーで形作られる、科学的矛盾を感じさせない世界観にあります。攻殻の世界における未来の技術、物語上で様々な事件を引き起こす発端となる電脳と電脳ネットについても当然合理的な説明がなされており、これらは現代のわたしたちの利用するPC(あるいはスマホなど)とインターネットの直系の子孫という事が出来ます。

テクノロジーとは広範に捉えれば"道具"という言葉で表す事が出来ますが、例えばあなたの指先の延長上にあるものが原始的で単純な構造のナイフなら見た目通りの、ずっと複雑になってピストルならもっと強力な(持ってる人まずいないと思うけど)さらに複雑になってクルマのハンドルとアクセルならかな~り危険な、でももしそれがネットに繋がったPCのマウスとかキーボードなら、先に挙げた3つ以上に大きな力と直結している事を私たちは肝に銘じねばなりません。殺傷能力は(多分)低いけれども、どこまでも届き、とてつもなく早い、弾丸は言葉、音、映像、ソフトウェアとか、それをこうして簡単に世界中に打ち出す事(アウトプット)が出来てしまう装置(端末)がコレ‥。

PCの魔術的でパワフルな働きは、控え目に評価しても古代人が夢見た神々の発明品の威力に匹敵すると言えます。そんなものを奴隷から王様まで(例えですよ)誰も彼もが持っているのがこの世界。攻殻の世界では脳を直接ネットに繋げちゃうんだから※3もっとスゴイ。神様たちも真っ青な実に怖ろしい世界じゃありませんか。

PCとインターネットによって、私たちの欲しいもの(物・情報)を収集する(インプット)量も格段に上がりましたが、そんな個人が負うには大き過ぎる力、多過ぎる情報をわたし達はどう租借しているのでしょう? ヒトの脳ミソがあらゆる情報を錯覚する事により、効率良く知識を蓄えられる様に進化してきたところに秘密がありそうです。私たちは自己を肯定してくれる情報を見つけやすく覚えやすく、逆に否定する情報を見逃しやすく忘れやすい性質を持っている様なのです。

アニメに話を戻すと、本作で描かれる「笑い男事件」の、それに付随して起きたSACという現象も、発端となった事件の情報が曖昧なものでも、それを受けた者達にとって解り易く受け入れやすい要素(義憤に満ちたスーパーハッカーの若者の姿)があれば、それを汲み取って、ヒーローという偶像に転化せしめてしまった一例で、言い換えれば乏しい情報の中から直感的に理解し易い要素だけを選び取った結果と言えます。作中で笑い男(仮)の残したシンプルでポップなマークが流行った理由もこれと同じですね‥。

不特定多数の人間の内にある思いが言葉や行動となって同時多発的に表面化してゆく様は、ある種宗教染みた連帯感の様にも見えますが、これと似た現象は私たちの身近でも割と当たり前の様に起きている気はします。

ニコ動やYoutubeとかで何らかの動画がアップされた時の視聴者の反応とか、SNSとかブログとかで起こりがちな炎上とか、学校なんかで頻発するいじめとかが、私の感じるそれで、沸点に達し得ず表層に現れない多くの声が同時多発的にあふれ出す現象、そんな中に私はSACとの類似を見ます。作中表現を見る限りSACにも引き金となる要素が必ずあり、模倣というよりは便乗あるいは衝動という形でリアクションが発生している所にも特徴があります。

群集心理の研究における※4創発規範説というものがこの様な現象の一部を良く説明していますが、加えて利権や名声へのしがらみが「笑い男事件」の真相を濁らせ、より複雑怪奇なものにしているという印象でした。人は見たいものだけ見ようとすると、複雑なものを単純に、あるいは単純なものを複雑に、コロッと作り変えてしまう事が出来る様です。そんな錯覚が生み出すトリックもまた、攻殻SACの面白さの一つと言えるのでは無いでしょうか?

※1~4
{netabare}
※1:公安9課の通称という事になっていますが、この語が本編で使われるのは1回?だけ(汗)イギリス陸軍の特殊部隊SASを参考に作られた組織という設定。でもこちらは警察とスパイ(内偵とか暗殺とかする)を足したみたいなもの。装備は軍隊並みですけど戦争屋ではない。

"攻殻"って妙な言葉ですが、原作によればタチコマの前身に当たる「やまとん1号」が攻撃型装甲外骨殻という名目のメカだったので、その略称を取って"攻殻"だそうです。それと"機動隊"を合わせて「攻殻機動隊」としたとか、他にも攻性の組織+殻=義体とかの説も‥。士郎正宗先生自身は元々「GHOST IN THE SHELL」の方を正式タイトルに据えていた様です。

※2:攻殻機動隊はそのルーツと言われるW・ギブスン氏のニューロマンサー(クローム襲撃)を始めとするサイバースペースものからの影響が絶大ですが、ギブスン氏の小説と比べると士郎先生の漫画(特に1巻)の方が説明はずっと丁寧な印象。義体の描写及び解説は取り分け精密で、SF好きにとっては垂涎を禁じえない内容となっています(笑)でも作者をして"ファンタジー"の他に"ニセ科学"や"猿マネ"なんかのレッテルが貼られている(汗
↓続き
SFやファンタジーと現代劇の決定的な違いは、置き換え可能な要素があるか無いかで、もしウルトラスーパーギガトン爆弾というのがあったとしても、水爆とそっくり置き換えられてしまえばそれはSFらしくないし、魔法の杖だって自動食器洗い機とか懐中電灯の代わりに使うんだったら、ファンタジーらしくないと言えます。科学は魔術と等しくなりうるので、ここら辺の線引きはとても難しく、また時代とともに変遷していくものですが、本質的には全く同じものの外見(そとみ)だけを代えてもあまり面白くはない気はします。でも攻殻も元を辿ればけっこう古い作品なので、今や非SF的刑事ドラマになりつつあるのかも?

※3:知識だけでなく感覚の共有とかも出来るので。電脳化にメリットがある事は確かですけど、便利なものには必ず代償がついて回るもので、情報や感覚の海に溺れて戻って来れなくなっちゃう人が現代よりも更に多くなりそうですし、そもそも脳にマイクロマシンを入れたり、首の後ろにインターフェース付けたり、生理的な嫌悪を踏み倒してまで電脳化を望む人がそれほどいるのかな? というのが今の目で見たわたしの感想でした。(タチコマに馬鹿にされそう‥)

電脳も義体も身体に何らかの障害を抱える人にとっては新たな選択肢を与える(ハンデを持つ事は必ずしもマイナスでは無いので、敢えて拒否する人もいると思う)技術ですが、五体満足な人にとっては生身の健康を維持する以上に心を縛る枷となる気がしないでもないです。定期のメンテナンスやら経年劣化による部品交換やら色々と面倒そうだし‥(汗)

※4:「群集という集合現象の場において形成される固有の社会規範の成立とともに、その規範に適合する行動を容認、促進し、不適合な行動を抑制、禁止する社会的圧力が働くために、群集行動が全体として均質化する(社会心理学者R・H・ターナーの著書からの抜粋)」とwikiでは説明されてました。スメルサーの集合行動論というのも合わせて読むと面白いかも知れません。こちらもネットに概要が落ちてます。
{/netabare}

原作漫画の色ではないテクノロジー+文学という組み合わせについて、わたしは割と好きなんですが、本作における引用が適切だったかと言えばまた別の話で、物語に一貫性を持たせる為とは言えサリンジャー由来の要素が多過ぎる気はしました。
{netabare}
学術的なものを含めた膨大量の書物を網羅しているであろうグレートな読書家のアオイ君が「ライ麦畑でつかまえて」に傾倒し過ぎている所がちょっと不自然だったり、所帯持ちで既に刑事としての実績もあるエリートのトグサさんまで※マーク・チャップマンを髣髴させる行動に走ったりと、びっくりなシーンも‥、特に後者、初見ではトグサさんゴーストハックでもかけられたのかな?とか誤解しちゃいましたよわたし(汗)

※:ライ麦畑の愛読者でジョン・レノンをピストルで殺害した人。読者の中でこんな人は極々稀だし、今更になって(15年以上も前だけど)こういうプロパガンダ的な脚本を挟むのはかな~り節操無いなと思いました。
{/netabare}
後に製作された、同じくSFアニメの「サイコパス」でも本からの引用が沢山ありましたが、あちらは量の割にせいぜいスパイス程度で、本で人を語らせるのでなく、ちゃんと人が本を語っている所にそつなさがあった様に思います。どちらにせよこれって中二病‥ではなくて、寓話を用いてSFというジャンルの影に隠れた人間的な要素をかいつまんで、あるいは租借して説明する一つの手法ではないかと思われます。遠い未来のお話であっても本のページを一枚噛ませると(笑)そこに現代の私たちと何ら変わる所の無い人間がいる事を実感出来るのです。ファッションや料理と同じく一種の舞台装置とも言えますね。

キャラデザについて、9課メンバーの面構えが濃過ぎる!というのは置いといて、現実にいる政治家の人とか、映画俳優の誰かさんをモデルにしたであろう個性的な風貌のキャラが目立ちます。アニメの作画(声優さんの演技含む)は、文章の文体に相当しますが、リアリティのある劇を見せるのであれば、端正な顔立ちのキャラだらけでは違和感が出てしまうと思うので、理にかなった描写になっていると思います。士郎先生の漫画にも出てくる内務大臣の顔ヂカラは特にスゴイ! 例外なのは没個性的な役回りのアンドロイドとか、アニメオリジナルキャラのアオイ君とか※5クルツコワさんとかフェムさんとか‥。後者から数えて二人は何となく萌えキャラっぽくて、ちょっとだけ別のアニメから引っ張ってきたよーな印象がありました(笑

よく話題になる少佐のコスチュームについては原作にも似た様なのがあるんですけど、TPOを守ってないとやっぱり浮いて見えてしまいます。初見では課長の執務室でのあの格好にはぎょっとさせられましたし、SACの現代寄りの世界観と調和しなかった所為もあって他の場面でも違和感ありありでした。慣れると無視出来る様にはなりますが、何とかならなかったのかなとは思います(二期以降では改善されている。)

音楽について、ORIGAさんの歌声の美しさが際立つOPの「inner universe」と、突入シーンでよく使われる「run rabbit junk」が特に印象に残りましたが、硬い世界を柔らかくするドラマチックなBGMたちも素敵でした。どんなジャンルの音楽も作れちゃう菅野よう子さんの才能はスペシャルですね。最高評価とさせて頂きました。

構成について、物語を縫う様にして現れては消える「笑い男」関連のお話が中心ですが、それとは直接関係の無い一話完結のお話も半分位あります。張り詰めた刑事ドラマの中にも人情味溢れるお話がちょくちょく顔を覗かせますので、やや長めの2クール全26話、立ち止まらずに進む事が出来るのでは無いでしょうか? わびさびが効いていてとても見やすいと思います。

サブタイ表示中の背景色で続き物と一話完結のいずれかが区別出来る様になっていますので、一周した人は※6どちらか一方だけを続けて視聴するというのも乙ではないかと‥。
(青=笑い男:4.5.6.9.11.20~26話 緑=1話完結:1.2.3.7.8.10.12~19話)

原作や派生作品の「RD潜脳調査室」や「紅殻のパンドラ」などでは重要テーマの一つとなっている※7人間と機械の距離が埋まる事によって変容する意識についてのお話はやや控えめで、前面に置かれた刑事ドラマの影に隠れた形でとてもコンパクトにまとめられています。作中でこの問題について人よりもむしろロボのタチコマに多くを語らせているのは、無邪気なタチコマを通した方が説明的でストレートな台詞を喋らせ易いからなんでしょうね。人に同じ役をやらせても楽しそうですけど、うざったらしくなる事間違い無し(笑)霊や階層構造(2期では※8上部構造という言葉で語られる)と言った抽象概念を織り交ぜて未来の世界が語られる原作1巻や2巻とはかなりの部分で異なっており、本作の放送と同時期に出版された純刑事物寄りの「攻殻機動隊1.5」に近い作風と感じました。

本編終了後のオマケコーナー「タチコマな日々」も短いながらもちょっと楽しい。SACの貴重な笑い所となっており、脳が疲れてゴーストの囁きが聴こえなくなった時の丁度良い箸休めとなっています(笑)


再視聴を終えて
{netabare}
原作から色々な要素を削ぎ落とした(必要な事だとは思うけれど)結果、概ね万人受けする娯楽作品として成功した本作ですが、反面、監督の神山健治氏が強調した社会正義というテーマが強過ぎて、登場人物達の価値観がやや画一的に見えてしまった印象は残りました。それと悪玉に相当する政治家や医療関係者、警察関係者と言ったエライ人たちの関心事が金と名声に集中しているのを見ると、こちらについては割とリアルな描写なのかも知れませんけど、古典的な悪人像を見る様で、情けなくて、せこくて、心底呆れちゃいました‥(汗)

一方影の主役、世の中のインチキを相手に回して孤独に戦うアオイ君ですが、こちらには明確なモデルがいて、一見してライ麦畑のホールデンそのものなんですが、力と行動力を備えている点に大きな違いがあり、青臭いと揶揄されそうな剥き出しの正義感を掲げながら、疲れ、葛藤しつつ、それを行使していく姿が危なっかしくも痛快です。欠点のある英雄未満なキャラなので、見ていてついつい応援したくなりました。エピローグで彼の被っていた赤帽に耳当てが無いのに気付いた少佐の台詞は意味深‥。新作に再登場するフラグになっていたりして。

神山監督によれば、正義のあり様について、アオイ君、トグサさん、荒巻課長と世代毎に区別しているそうですが、確かに、暴走気味で浮き沈みのあるアオイ君、私生活を守り自分の立ち位置で堅実に仕事をこなすトグサさん、鉄の信念に殉ずる常に攻性!な荒巻課長と、三者三様な感じではあります。ただアオイ君にしても9課の人達にしても、目的の為には手段を選ばず、才能や人脈を最大限に行使して、時として法の目さえも掻い潜って目的を遂げようとしている点で共通しています。法律は権力者にとって都合の良い様に作られている側面もありますので、それと戦う彼らがそうするのは当然といえば当然で、前提として彼らは法律=正義と置かず、せいぜいゲームで言う所のルール程度としか捉えておらず、バグを利用して近道出来るなら積極的に利用し、審判の目を欺けるのなら危険なラフプレーも辞さないというスタイルで悪に肉薄するのです。

正義の定義については右も左も知らぬ私が複雑な事をあれこれ書けませんが、少なくともその根源は宗教や道徳や法律という言葉で形式化されたものではなく、より古く、世代を経て研磨されてきたヒトの遺伝的性質に根ざしたものの様に思えます。ありていに言えば利他的精神なのですが、血縁関係にない他者や異種族である動植物をも擁護するヒトの行動は、あたかもそれら全てを自身の属する群れと見なしている様にも見えます。群れ全体の利益を優先する行動を仮に正義とすると、その対極にある利己的行動を悪と言える気もしないでもないですが、実際にはその両者のバランスの崩壊こそが悪となるケースが殆どでは無いでしょうか。混じり気の無い利他的精神も利己的精神もプログラムされたソフトウェアみたいなものにしか宿らないと思うので。

14話「全自動資本主義 ¥€$」でも上に関するお話がちょこっとだけありましたが、経済活動が社会ぐるみで推奨され、お金儲けによる自己肯定感が増すと、人は富そのものが目的になってもそれを許容し、どこからそれを得ているのかという事にさえ無関心になれる様です。為替の売買とか株取引なんかは特にその傾向が顕著で、投資は別として、投機でお金を回している人なんて殆どゲーム感覚だし、例外なく利己的ですものね‥。原作の荒巻"部長"の言葉にも「人の心はもろい…世の中の回転に呑まれて快楽中心になると利益効率追及機械やただの消費単位になってしまう」なんてのがありましたが、見たいもの(オカネや快楽)しか見えていないという点では、これもまた先に触れた錯覚の類と言えます(汗)

でもまぁ、作中の独善街道まっしぐらなアオイ君やフェムさんみたいに、腐った世の中に天誅!なんて事していたら(できないし)、まず身が持ちませんし、荒巻課長みたいな無私無欲の正義の人にも逆立ちしてもなれませんけど、フィクションと言えど、彼等の様な自己犠牲を厭わぬ人たちの行動を目の当たりにすると、大人の端くれとして、せめて自分の目の前にあるインチキ的なものに対しては、物申す事が出来る位の勇気と活力は常に備えておきたいものだなぁと思う凡夫なブリキ男なのでした。

総評として、綻びのない未来社会の映像化は警告や予言としてそれ自体に大きな価値が有り、作画もそれを表現するのに十二分な水準に達しており、脚本は実際に起きた事件や映画などからの引用が多くあるものの※9その作り込みは極めて濃密、今もって色褪せない魅力を持つ作品である事を確認させて頂きました。

押井監督の作品では省かれてしまっているフチコマ(タチコマ)の登場もとても嬉しい要素ですね。玉川紗己子さんが様々な声色を使い分けて情感豊かに演じられています。12話の「タチコマの家出 映画監督の夢」の前半と、15話の「機械たちの時間」はなんとタチコマ主役回。ロボ好き必見のお話になっています。全編を通してのわたしの泣き所って殆どタチコマ関連のシーンだったりして。
{/netabare}
更新に更新を重ね原形を損ねてしまった初見当時の記憶と今回の再視聴で得た記憶を並列化しつつ(笑)楽しく書かせて頂きました。


※5~9
{netabare}
※5:クルツコワさんは金髪隻眼の美人さんで工作員。漫画版「紅殻のパンドラ」ではまさかの萌えキャラ化を果たしており(笑)祖国の為に誠心誠意で(悪事を)がんばるポンコツ少女?として描かれています。フェムさんは泣きぼくろが可愛いおだんごヘアーの中華娘でヒットマン(汗

※6:笑い男事件だけを切り抜き、新作映像、新規アフレコを追加して158分にまとめた再編集版「The Laughing Man」なんてのもあります。むつかしい台詞を端折ってより見易くしている印象でした。チャットルームのお話が抜けているのは残念でした(汗

※7:人間がサイボーグ化、あるいはロボットが人間に近づく事によって起きる意識の変化について。前者に関してはW・ギブスン氏に先んじて石ノ森章太郎先生がサイボーグ009の「天使編」で初めて触れたのかも‥、でも現代の私たちってもうとっくにサイボーグ化してる気がします。PCやスマホ無しでは生活する事さえままならなかったり、外部記憶装置のデータが失われた時なんかはそれ相応の精神的なダメージを被ったり‥。PCは己が肉体を、その枠組みを超えて存在するという感覚をまざまざと見せ付けてくれる機械ですが、人は太古から認識出来るもの全てを外部記憶装置として利用しているきらいがあります。

後者のロボットの自我についてのお話は映画「メトロポリス」やアシモフ先生の小説、漫画「鉄腕アトム」「8マン」とかで有名ですけど、その起源はかな~り古い。鍛冶の神ヘパイストスが発明したとされる黄金の召使とか、クレタ島のタロスとか。人造人間のお話はもっと古い。近年ではAIの知能が人間に迫る勢いで成長を続けていますが、自我を持ったロボットは一体何を望むんでしょう? "I will destroy humans."とかはさらっと言われたくないですね(汗)

※8:三省堂の大辞林によると「政治的・法律的諸制度と、それに照応する社会の政治的・法律的・宗教的・道徳的・哲学的・芸術的意識形態をさす語」となっていましたが、攻殻で言う所のそれは幾重にも連なる階層構造の一部を指すのみで、上部構造と下部構造の2つに単純には分けられていない模様。古典的な"神が人の中に入る"という表現では、神が上部構造にいて、人が下部構造にいるという解釈になると思います。作中のハッカーがゴーストハックした人を操る様は、神話や伝説の中の神や悪魔が人に憑依してその心に干渉する様に良く似ています。

※9:脚本が悪いのか演出が悪いのか、1話の突入シーンの光学迷彩で隠れるタイミングとか、2話の「我々は攻殻機動隊だ」とか、9課なのに度々税金の無駄遣いをやらかしている所なんかはちょっとNGだと思いました。(でもそれが感情表現として有効になっている場面もちらほら。トグサさんの射撃訓練じゃないよ)
{/netabare}

付録・用語解説など
{netabare}
電脳:脳内にマイクロマシンを送り込みニューロンに取り付かせ、それで脳波を読み取りデータ化、首の後ろに取り付けたインターフェースとかで送受信する技術。これによって"人やデータ"と感覚や情報を共有出来る。

電通:電脳通信の略。電脳化したもの同士が有線や無線で通信を行なうこと。口の動かない会話シーンを作れるのでアニメーターさんもちょっと助かる(笑)

脳殻:脳と脊髄を収める接続端子付きの器。素材は軽くて丈夫な発砲素材とか頑丈なチタンとか。持ち運びしたり交換したり出来る(汗

義体:電気信号で動く機械の体。義手、義足、義眼などの総称。最近では増幅された脳波で動作する義手や義足、逆に電気信号を脳に送って機能する人工網膜や人工内耳なども実用化されており、義体化技術はかなりの部分で実現していると言えます。他方で施術を必要とせず、ヘッドギアやグローブの電極を通して情報の受け渡しを可能にする技術も開発されつつある様で、それで離れた場所にあるロボットを操作したり、ロボットのセンサーを通して触覚などの感覚を受信したりという事も可能だそうな。作中に登場する遠隔操作義体そのものですね。近い将来にも家にいながらにして(擬似)海外旅行とかが出来る様になったりして‥。味気ない?

光学迷彩:見えない様に見せる技術。実在するものの中には背景画像をカメラで撮影し、反対側(表側)のスクリーンに出力するか、プロジェクターで投影する方式、あるいは負の屈折率を持つメタマテリアル(人工物質)を通して光を迂回させて対象物の背景を見せる方式がある様です。現時点では前者は(可視光)光学迷彩、後者はレーダーに影を落とさない熱工学迷彩に近いかも知れません。耳がひじょーに良い猫耳アンドロイドとかには聴覚で見破られてしまう(笑)水や埃にもやや弱い。
↓続き
少佐の様な前身義体の人はともかくとして、トグサさんとか(ほぼ)生身の人間の体のどこにカメラとかプロジェクターが装備されてるの?という疑問を持たれる方もいるかも知れませんが、これについては押井監督の映画が公開された頃に販売されていた「ビジュアル解説ハンドブック INDEX2029(薄い本ですが内容は濃い)」という小冊子に"迷彩塗装"との記述がありましたのでマイクロマシンをスプレー塗布していると想像出来ます。眼球はコンタクトレンズとかで補えるかも知れませんが、髪の毛とかは大変そう。士郎先生に色々と訊いてみたい(笑)

アームスーツ:強化外骨格。日本ではパワードスーツという呼称が一般的。人型だけでなくクモ型のタチコマもこれに含まれる。

思考戦車:AIを搭載した戦車の事。本来はアームスーツであるタチコマがこう呼ばれる事もある。経験を積み成長する。

並列化:演算処理の方法ではなく、作中では個々の持つ情報を共有すると言う意味合いで使われる単語。タチコマの場合、一部ではなく、それぞれのAIが蓄積した情報全てを共有するので思考力が劇的にレベルアップする。

枝:作中「枝を張る」とか「枝が付く」とかいう表現がありますが、概ね盗聴する為の何かを残す、盗聴される痕跡を残すとかを意味している様です。

IRシステム:IRは赤外線を意味するInfraRedの略。公安が管理しているカメラによる監視システム。幹線道路、駅、空港などを中心に日本中至る所に設置されているらしい。さすがにトイレの中には無い。ディストピアSF御用達システム(汗

インターセプター:目で見た光景を第三者に送る技術。視神経に素子を取り付ける必要がある。

防壁:ファイヤーウォールの類。脳を焼き切る攻性防壁・侵入者を足止めする防壁迷路・逆襲回避の身替わり防壁とかがある。首に取り付けるU字型のデバイスが身替わり防壁。

S.A.C.:造語。スタンド・アローン・コンプレックスの略。説明はレビュー本文にて。

ゴースト:個人を特定する要素。魂という言葉に近いと思います。

他にも色々ありますが主なものを掲載。視聴時のストレス軽減目的の要約版とさせて頂きました。新作に備えてのおさらいも兼ねて。もっと詳しく知りたい人は「攻殻 用語」でぐぐってみると面白いかも‥。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 42

87.3 3 政治アニメランキング3位
十二国記(TVアニメ動画)

2002年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (1579)
8415人が棚に入れました
周囲に合わせるだけの日々を送ってきた平凡な女子高生・中嶋陽子。
ある日、ケイキと名乗る人物に連れられ、たどり着いた異世界。 そこは、十二人の王と十二頭の麒麟によって治められる十二の国々からなる不思議な世界だった。なぜ自分はここへ連れてこられたのか、ここはいったいどこなのか、異世界でケイキとはぐれてしまった陽子は疑問を抱えたまま、生き延びるために見知らぬ世界で生活することとなる…。

声優・キャラクター
久川綾、石津彩、うえだゆうじ、子安武人、相沢まさき、山口勝平、鈴村健一、岡野浩介、釘宮理恵、勝生真沙子、ゆかな、藤原啓治、進藤尚美、石田彰、若林直美、桑島法子、高山みなみ、山崎和佳奈、鈴木れい子、西村知道、平松晶子、川上とも子、千葉千恵巳、大川透、中田和宏、野島健児、西凜太朗、松本保典、大倉正章、家中宏
ネタバレ

ピピン林檎 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ガッカリ長編シリーズその2

私が本サイトで色々とアニメ作品の情報を調べているうちに、妙に総合順位が高いので気になって視聴してみたけど、見終わってガッカリ・・・という長編がいくつかありましたが、本作はその一つです。

2018年2月6日時点で、総合得点 87.3点(87位)、総合評価 4.0

・・・ということでファンも多いらしい本作ですが、ここは本音ベースで個人評価します。


◆総評

序盤で、本作は、どうやら「王器」を備えた者を描く作品のようだ、ということに気付いて、我慢して視聴を続けたのですが・・・

お待ちかねの第39話(終章)で示される{netabare}国王の初めての自分の意思による詔勅が「伏礼廃止」{/netabare}って・・・あまりのしょーもなさに、ご飯投げつけてしまいたくなりました。

え…要するに、{netabare}主人公(陽子)が迷い込んだこの異世界は頑迷な身分制社会で虚礼が蔓延しているから、そんなの全部廃止してしまえ!{/netabare}それが王たる者の器だ・・・と、そういうオチだったんですか?

私はもっと、本当のリーダーシップとはどういったものなのか?みたいなことを、心に沁みとおるように描き出してくれる作品なのか?と期待していたんですが??

まあ、そういう作品を見たければ、『アイドルマスター』や『ガールズ&パンツァー』を見ろ・・・ということですね(※わかる人にはわかる)。
あるいは、異世界込みで「王たる者の器」を描いた長編作品だと、本作より『灼眼のシャナ(無印~F)』の方が、ずっと面白いし内容も確りしていると思いました。

※追記
本作の原作者・小野不由美氏は『銀河英雄伝説』の大ファンで、『十二国記』は同作がその構想のきっかけとなっている、とのこと。
でも残念ながら、本アニメを見た限りでは、その跡形もありませんね。


◆制作情報
{netabare}
原作小説        小野不由美(1991年より現在まで継続的に執筆・刊行)
監督          小林常夫
脚本          會川昇(第1話 - 第40話)、藤間晴夜(第41話 - 第45話)
キャラクターデザイン  田中比呂人、楠本祐子
音楽          梁邦彦
アニメーション制作   ぴえろ{/netabare}


◆パート別評価

Ⅰ. 「月の影 影の海」    (14話) ☆ 3.6
Ⅱ. 「風の海 迷宮の岸」   (7話) ☆ 3.5
Ⅲ. 「書簡」           (1話) ☆ 3.5 
Ⅳ. 「風の万里 黎明の空」 (17話) ☆ 3.6
Ⅴ. 「乗月」           (1話) ☆ 3.5
Ⅵ. 「東の海神 西の滄海」 (5話) ☆ 3.5
----------------------------------------------------
   総合            (45話) × 3.2


◆各話タイトル&評価

★が多いほど個人的に高評価した回(最高で星3つ)
☆は並みの出来と感じた回
×は脚本に余り納得できなかった疑問回

============ 十二国記 (2002年4月-2003年8月) ===========

 ------- Ⅰ. 「月の影 影の海」 -------------------------
{netabare}
第1話(一章) ☆ 異形の獣(妖魔)来襲、女子高生・中嶋陽子の異世界召喚
第2話(二章) ☆ 巧国の海客、囚われの三人(浅野郁也・杉本優香・陽子)
第3話(三章) ☆ 脱走、村人達姐(たっき)の恩、カサイの町へ
第4話(四章) ☆ 売春宿(達姐の欺瞞)、もう一人の海客(松山誠三)
第5話(五章) ☆ 優香の迎え(塙麟)、浅野の本心、優香襲撃
第6話(六章) ☆ 楽俊(ネズミの半獣)の恩、雁国へ ※設定が無理っぽい?
第7話(七章) ★ 妖魔撃退、楽俊置き去り、朱旌(しゅせい、戸籍のない人々)、旅芸人
第8話(八章) ★ 優香の追跡、青海渡航、妖魔を喰う妖魔、雁国到着
第9話(九章) ★ 楽俊との再会、壁落人(海客)、麒麟、慶国の王、延王・小松直隆
第10話(十章) ☆ 慶国の偽王、王器を問う、延王の過去
第11話(十一章) ★ 延麒の過去、延王登極
第12話(十二章) ☆ 前慶王の話、壁落人の過去、塙王の目的
第13話(終章) ☆ 塙麟の死、慶国へ、景王登極、優香との別れ、高里要登場
第14話(転章) ☆ ※半総集編(世界観・用語説明を含む)、一部新規シーン有り{/netabare}

 ------- Ⅱ. 「風の海 迷宮の岸」 -----------------------
{netabare}
第15話(一章) ☆ 神隠しの少年、泰麒の誕生・成長・泰王選び
第16話(二章) ☆ 続き
第17話(三章) ☆ 続き
第18話(四章) ☆ 続き
第19話(五章) ★ 驍宗(ぎょうそう)・李斎との騎獣狩り、使令・傲濫(ごうらん)獲得)、天啓のない王
第20話(終章) ★ 天勅、泰王即位
第21話(転章) ☆ ※半総集編(世界観・用語説明を含む)、一部新規シーン有り{/netabare}

 ------- Ⅲ. 「書簡」 ----------------------------------
{netabare}
第22話 ☆ 雁国(楽俊の大学生活)、慶国(陽子の景王修行、新元号「赤楽」){/netabare}

 ------- Ⅳ. 「風の万里 黎明の空」 ----------------------
{netabare}
第23話(一章) ☆ 海客・大木鈴(導師・梨耀の酷使)、芳国公女祥瓊(しょうけい)(芳国大乱、仙籍削除)
第24話(二章) ☆ 景王陽子の迷いと成長(初勅、元麦州侯・浩瀚(こうかん)の処分)
第25話(三章) ☆ 諸官任命、治水・都市整備、天官長/三公謀反・誅殺)
第26話(四章) ☆ 鈴・采王(黄姑(こうこ))の下へ、祥瓊・供王(珠晶(しゅしょう))の下へ
第27話(五章) ☆ 陽子市井へ、鈴と浅野の出遭い
第28話(六章) × ※ここで急に「フラグ」とか「キャラクター」という発言が出てきて違和感 
第29話(七章) ☆ 続き
第30話(八章) ☆ 鈴と陽子の出遭い
第31話(転章) ☆ ※半総集編、祥瓊・楽俊雁国へ、郷長・昇紘(しょうこう)と浅野の出遭い
第32話(九章) ☆ 地方官僚の腐敗、祥瓊の慶国入国
第33話(十章) ☆ 祥瓊と陽子の出遭い
第34話(十一章) ☆ 遠甫(えんほ)捕縛・蘭玉(らんぎょく)惨殺
第35話(十二章) ☆ 祥瓊と鈴の出遭い、陽子と祥瓊・鈴の合流
第36話(十三章) ☆ 反昇紘蜂起、陽子と浅野の再会・決別、昇紘本拠突入
第37話(十四章) ★ 昇紘捕縛・郷城制圧、浅野死亡 ※演出はイマイチ
第38話(十五章) ★ 黒幕判明(元宰相靖共(せいきょう))
第39話(終章) ★ 景麒到来・禁軍掌握、靖共一党捕縛、景王初勅(伏礼廃止){/netabare}

 ------- Ⅴ. 「乗月」 -----------------------------------
{netabare}
第40話 ☆ 芳国の事情(恵州侯・月渓(げっけい)の仮王就任){/netabare}

 ------- Ⅵ. 「東の海神 西の滄海」 ----------------------
{netabare}
第41話(一章) ☆ 500年前の雁国(延王即位20年後、斡由(あつゆ)謀反)
第42話(二章) ☆ 延麒囚わる、元州牧伯・驪媚(りび)絶命
第43話(三章) ☆ 幽閉の元州候・元魁、斡由の本質 
第44話(終章) ☆ 延麒救出、斡由粛清
第45話(転章) ☆ ※半総集編{/netabare}
--------------------------------------------------------------
★★★(神回)0、★★(優秀回)0、★(良回)9、☆(並回)35、×(疑問回)1 ※個人評価 × 3.2

OP 「十二幻夢曲」
ED 「月迷風影」

投稿 : 2019/12/07
♥ : 16
ネタバレ

Ballantine さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

王になるまで(14話まで

原作未読。ハイ・ファンタジー。全45話。
『十二国記』(じゅうにこくき)は、小野不由美の一連の小説作品群の呼称である。古代中国思想を基盤にした異世界ファンタジー作品。2013年時点で未完。


■関連URL
NHKアニメワールド:十二国記
http://www3.nhk.or.jp/anime/12kokuki/
ビクターサイト
http://www.jvcmusic.co.jp/m-serve/tv/junikokki/
講談社サイト
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/books/junikokki/
新潮社サイト
http://www.shinchosha.co.jp/12kokuki/


ストーリー性のあるアニメだかの掲示板で紹介されていたので見始めました。


各話感想
{netabare}1話 「月の影 影の海 一章」
謎の夢?髪の毛の色は地毛で赤毛なのか。
天然記念物のガングロwまだいるのだろうか?
委員長なんだ。ショートカットの女の子無視しちゃっていいのか。杉本って言うのか。
中島は委員長続ける事になるのか。杉本嫌われてるのか?いじめ?
やっぱり中島が隣になったか。
夢のなかで杉本に殺される夢を見てたけど何かあるのかな?
浅野くん彼女いたのかな?ん?金髪だったのに黒髪?血の匂い?消えた…
夢に何かありそうだな。陰湿な女子校だな。
なんだ?白髮ロングは誰なんだ。追手が来る?何が起きた…
コチョウ?狼を召喚したのか?今度はカイコを召喚?
ケイキって名前だったのか。なんか色々召喚出来るんだな。
キョウキもしゃべれるのか。今度はジュウサクっていうゴリラか。
ジョウユウって水の化物みたいなのが体を操ってるのかな?
杉本wkwkしすぎだろwショック?あちらの世界へのゲートかな?
浅野と杉本どうなったんだろう。


2話「月の影 影の海 二章」
虚海。浅野と杉本も来てるのか。碧双珠。ゴーユ?また追手か。
剣落としちゃったのか… え!?怪物に変身?ってまた夢か。
剣もちゃんと握ってたか。杉本は誰を見ていたんだ。ケイキ?
渦巻きだらけの海…ってかいきなり孤立とかどうすんだこりゃ。
日本?いやいや怪しいだろ。人にも会ってないのに。
カイキャク?捕まっちゃった。杉本生きてたのか。
え?記憶が無いのか?中島じゃない?作画のせいか顔の違いがわからない。
色黒になったってことかな?
ジョウユウの力のせいで言葉がわかるのかな?
淺野は別のやつと動いてたのか。コチョウ強すぎる。ケイキもやられちゃったのか。
工国。海客って事かな?県庁?覚悟の付かない女だなぁ。
良くて幽閉?悪くて死刑って…やっぱり淺野かw
妖魔なのか…一体誰が妖魔を操ってるんだ?


3話「月の影 影の海 三章」
ケイキの手下だと?助けられたのは白い狼じゃなかったっけ?
杉本なんでそんなやる気満々なんだw
どうしても何もヨウコにしか使えないって言ってたじゃないかw
玉はもってくのにサヤ持って行かないのか…
子供は女の腹から生まれるのが当たり前じゃないのか…
杉本中二病すぎて適応力高いなwお?ケイキ生きてたか。
盗人に走ったか。まぁ懸命だな。杉本w
おばちゃんいい人すぎる…タッキっていうのか。
まぁ杉本正論だな。怪しいよなぁタッキ。
神様や仙人がいるだと?信仰心なのか本当にいるのかわからんな。
碧双珠べんりだなぁ。
ケイ国からの難民山ほどいるんだな。猿まわしとかいるんだな。
お芝居まであるのか。ケイ国の話なのか…恐ろしい国だな…
おいおいハグレるの速すぎるだろ。
夢のなかの奴は誰なんだ一体。


4話「月の影 影の海 四章」
夢の続きか。仮面。皆の本音か。タッキやっぱ怪しいのか。
なんだこの国でも髪の色駄目なのか。ってか分離させるとかますます怪しいな。
言葉の通じるじいさん?!
杉本警戒心強いけどまぁそっちのほうが正しいな。
体を売り払う気満々だったのか。杉本のほうが狙われてたか。
妖魔を呼び寄せた?もしくは召喚?追手か。
ケイキみたいな影がちらつくのはなんなんだ。
じいさんは仲間だったか。第二次世界大戦の頃の人だったのか。
取り乱しちゃったか。なんだじいさんまでも敵だったのかよ。
誰も信用出来ないなこの世界。
杉本は一々正論だな。淺野おいしい立場だなぁw
夢のなかの奴は剣の主かなんかか?どっかの国の女だったな。


5話「月の影 影の海 五章」
あぁ助けてくれた奴はこいつだったのか。選ばれた?杉本頭大丈夫かよw
私の物語w完全にぶっ飛んでるなw
ケイキがお帰りになられただと?ケイキ何してんだ…
背のちっちゃい奴強いな。淺野まるで危機感無いな…
学校の先生よく見てるな。
剣の主らしき人物は闇堕ちを薦めてるのか?
杉本は何処の国の使者になったんだろう。飴売りの子だったか。
生きていくのに辛い環境だな。流れがリアルすぎる。
淺野駄目男すぎる…wそういう事普通言わないでおくもんだろ。
淺野食われたか…
ジョエン様?ケイ国の王女様?
タイホって名前だったのか。ケイキ角を封じられてるのか。
コウリン?杉本…駄目だこりゃ完全にぶっ飛んじゃったw
コウリンは好戦的では無いのかな?鳥が煽り役か。
そろそろ腹減りとか体力限界っぽいな。


6話「月の影 影の海 六章」
ケイ国の内戦ってとこかな?
シュジョウは何処の国の人間だ?杉本どうなったんだ?
暮らすことは許されたが戦士を剥奪ってところかな?
今度はネズミが匿ってくれるのか…怪しいなぁ。
しかし三日も寝てたとかどうなんだろう。
ユウコだいぶ成長したな。楽俊。
コウオウ様は海客が国を滅ぼすと言っているが迷信なのか。
エンに行く事になったのか。
お母さんは人間…なのか?もいだ?あのもげなかった木の事か?
リボックって言うのか。あれから子供が生まれるのか…
カンキュウまで三月だと!?遠すぎる…
ネズミ頭いいのか。なるほど半獣ね。エンは差別が無い国なのね。
杉本凄い荒れた何も無い土地に置いてかれたな。
なんだ神様なんてやっぱいなかったのか…
神や妖魔もいる?あれ?どういう事wコチョウが三羽も…


7話「月の影 影の海 七章」
やめろってなんだよ。コチョウ倒さないと皆死ぬだろ。
うわっ街の門を閉めたのか…
ヨウコ色々変わっちまったな。ネズミ放置するのか。
ネズミを処分するのか…ちょっとずつ毒されていくな。
心の葛藤のイメージなのか剣の呪いなのか一体何がこんなに追い詰めているんだ。
「優しくしたいから優しくする。信じたいから信じる。」また1つ成長したな。
見返りを求めなくたっていいじゃない。
また飴売りの女の子か。淺野は諦めてネズミなのか…
神様がどうしてこの地を作ったか?って芝居をしてまわるのか。劇団員なのか。
劇団の用心棒になるのか。
なんだ杉本食べ物はあるんだな。監視付きだけど。
シュセイってなんだろ。旅人かな?
荒れ地に畑を作ったんじゃなくて畑が荒れ地になったのか。
杉本壊れてるなぁ… ユウコ芸で役人から逃れたか。
楽俊のおかげなのか?うーんなんか違う気がする。


8話「月の影 影の海 八章」
なんだ杉本復帰するのか。戦いに出したくないのか。
顔の改変したのか?男っぽくなったな。
あれ?この芝居はもしかしてユウコの劇団か。
中国の神話と違うとな。
杉本はユウコって気付いたのか?何故放置した?
劇団員皆でエンに往く事になったのか。ってかお兄ちゃん呼ばわりはどういう事w
あら?ユウコ何してんだ?コウテツさん…
売り飛ばす人はもっと親切な顔か。まぁそうだな。
コウテツさん妹死んじまったのか。これでシュセイの身分を得たわけか。
コウオウが出動?道を見失う事?最初にキリンが病にかかる?
ヨウコと杉本同じ船に乗ったのか。
半獣の反乱か。ヨウコは杉本に気づかないのかやっぱ。
ってか杉本なんでヨウコ放置なんだ?
やっぱ戦闘になるのか。ここは私の世界ってまだ言ってんのかこいつwどんだけ中二病なんだよw
コチョウどんだけ沸いてんだよ。船ごと沈める気か?
海竜みたいなの出てきたけどこれは…妖魔を食う妖魔だと!?一体なんだったんだ。
ヨウコは杉本を助けるのか…


9話「月の影 影の海 九章」
遂にエン到着か。杉本とまたPT組むんだろうか?
ネズミ生きてたのかよ。同じ船に乗ってたのか?先に来てたのか…
楽俊良い奴だった…のか?うーん。信用しづらいなぁ。
杉本とは別行動するのね。エンの難民は裕福なんだな。
強引だけどここの人はいい人ばっかなのか。
日本国の住所と電話番号だと!?日本語通じるのかよ。
日本と行き来があるのかもってどうなってんだ…
タイホは杉本にくっついてるのか。ってか日本語通じるのかこいつ。
一緒に浴びるってヨウコどんだけ貞操観念無いんだ…
髪の毛染めないのか…赤毛で捕まるフラグ。
タイカ?なんかまた新しい何かに。元々こっちの世界の人間だったのか。
言葉にふじゅうしないのはアヤカシだったのか。ケイ国のキリンだと?
ケイ国の王なのか。謎の女王がいたから反逆しないといけないわけか。
杉本やっぱクズだったか。
助太刀に入ったのは誰だ。エンの王だと!?タイホはエンの国の奴だったのか。


10話「月の影 影の海 十章」
コマツナオタカ。エンシュウ国王。シレイ?司令?
タイホウ?あら?なんか名前がわけわからんくなってきた。
フウカン様?500年続いてるのか。あら?剣が抜ける?サヤ死んでるのか。
水禺刀。水鏡となって心が見えるのか。幻を見せるのか。
猿を見せるのね。やっぱり剣の幻だったのか。
エンキ?ケイ女王?わけわからん。死靈?じゃないと妖魔は扱えないのか。
楽俊は身分で差別すると言うのか?ってより区別だな。
というかヨウコがあまりに自分の身分をわかっていないような感じだな。
カンキュウ山でかすぎ。階段長すぎるだろっと思ったけど魔法?呪?術?
空の上に海があるって雲海違いかよ…
楽俊は最初から男ってか雄だっただろうが。
この国には十二の国があり天帝が選びます。キリンだけが誰が王か知ることが出来て選ぶことが出来る。
名君にたる王を。名君とは民を虐げない王。名君でもその知性は永遠に続かない。王は神に据えられ不老不死になる。
世襲は許されず、キリンが次の王を選び天は王を監視し続ける。
キリンは世界の中心ホウザンに生まれる聖獣で正義と慈悲で出来ている。
キリンは王の言葉に絶対服従する。
王が道を誤るとキリンが病に。キリンが死ねば王も死ぬ。王が死んでもキリンは死なない。
王のいない国は水が枯れて妖魔が現れて荒れ果てると。
エン国は難民で困っててケイ国を助けるのか。ケイキも助けたいのかエンのキリンは。
杉本どんだけ中二病なんだwwわけがわからないよw自信過剰すぎんだろw
エン王もエンキもタイカなのね。
領地を失おうとしてる男。エン王の話かな?エンキの話かな?


11話「月の影 影の海 十一章」
500年前に京都が燃えたのか。タイホはその炎の中にいましたってそこで生まれたのか?
キリンだったのか。あれ?タイホ?エンキ?なんかよくわからなくなってきた。
ホウザンの主なのね。エン国の王なのか。
あれ?もしかしてくぎゅうの人かな?仙人になったのか?
飢え>子供って事か。
ショクを起こして和にって日本に来たって事か。3年もいたのか。
コマツサブロウナオタカ。エンを滅ぼす王?何故滅ぼす?良い殿様じゃないか。
根絶やしか…海賊の出だったんか。エンに戦を呼ぶかもしれない。だから滅ぼすって事なのかな。
民無くして国は成り立たずだな。良い民だな…と思ったらこれはひどい…
なる程そうしてエン王が…


12話「月の影 影の海 十二章」
前のケイ王は自殺したのか。ヨウ王?ヨウって名前なのか?
ギョウテンに女はいらぬ。これあの芝居の話が本当だったのか?恐ろしいBBAだ。
退位を申し出たのはケイキを救う為だったのか。
杉本またコウ王の元で働くのか。
タイキもタイカなのかってタイカってなんぞ。
タイ国のキリンもいないのか。タイ国は内乱中なのね。
なんか言葉が一々ややこしいなぁ…
まさかコウ王がエン王と会談するとは。ケイ国を支配する気なのか。
左翼革命かよ。杉本ご乱心…
人が見えないところではどんな浅ましいことでもやった。
見えるところでも浅ましい事してるじゃねぇか杉本。
ジョウユウやっと出てきたか。愚かな頼みとは?
ヨウコの刀はヨウコを挿しても死なないのか。
ケイのタイカを道連れにするだと…コウ王しょぼいな。
杉本やっと和解したか。


13話「月の影 影の海 終章」
コウリンはシュツドウの病にかかってたのか。コウ国はもうだめだな。
コウリンがかばっただと?血の中に沈んでいったがどうなったんだ…
キリンが死ねば1年と永らえる事は出来ないのか。
偽王?を倒すのかな?
ヨウコだいぶ変わったってかもはや別人だな。
「王になって締め付けられりゃあ早くましな人間になれる…」
「貧しい人間で貧しい人間関係しか作って来られなかった」
ネズミなんで全裸なんだよww前は服着てたじゃないかw
国を奪還する時がやってきたか。
そういやケイキは角を封印されてるんだったっけ。治せるのか。
ジョウユウの命が解けたか。これで自由に話せるのかな?
なんだそのまま変身すると裸なのかw
ヨウコもいよいよケイ王陛下になったか。
ジョエイは金波宮をのっとったけどあっけなく陥落とな。
ひと月で全土統一。ケイの国を統一したのか。
「どっちを選んでいいかわからない時はやるべき方を選ぶ」
ヨウコの物語か。杉本の物語もあるのか?淺野くんまだ生きてるのか?
杉本帰るのか…いやいや子供いっぱい生むとかまず相手見つけろよ。
ヨウコの親に何しに会いに来たんだよ。
タカサトカナメ?何者?


14話「月の影 影の海 転章」
玉座、国、国土。枝は筆になった。
国土とは民を、国とは法律を、筆は歴史を、玉座とは王の徳目である人道、すなわちキリン。
この世は十二の国に十二のキリンがいる。ヨウコのキリンがケイキ。
麒麟とは霊獣。麒麟だけがその国の王を選ぶことが出来る。王が道を外せば失道の病に倒れる。
雄の麒麟は麒(キ)。雌なら麟(リン)。
名君とは民を虐げない王。王は神に据えられ不老不死になる。この辺復習か。
麒麟が死ねば王は死ぬ。王が死んでも麒麟は死なない。
完全に復習回だな。
コウ王はタイカの王が誕生するのが許せなかったのか。ケイ国を乗っ取る気なのかと思ってた。
声を届けてくれる鳥。どういう仕組み何ですかーw


15話「迷宮の岸 一章」

{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 15
ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.9

見紛う事なき傑作!

小野不由美原作の古代中国思想(周)を基盤にした
異世界ファンタジーアニメ。全45話。
文庫本の売り上げは、シリーズ累計750万部以上。
本作は原作の
月の影影の海 上下巻
風の海迷宮の岸 上下巻
書簡
風の万里黎明の空 上下巻
乗月
東の海神西の滄海
をアニメ化している。
乗月と東の海神西の滄海は、
アニメでの反響が予想以上に良かった為、
追加で製作された。
よって39話で視聴完了も可能(アニメ脚本集は40話までしかない)。

あらすじ

何処にでもいる平凡な女子高校生中嶋陽子は、
他人から嫌われることを恐れ、八方美人な優等生を演じていた。
常に周りに合わせ自己を抑圧する日々。
そんな彼女は寝るたびに恐ろしい気配に迫られ、日々その距離は縮まっていった。
ある日彼女の前に「ケイキ」と名乗る謎の男が現れる。
ケイキは彼女を主と呼んで跪き、一方的に謎の盟約を迫る。突然の出来事に戸惑う彼女を異形の獣が襲撃。
ケイキは陽子と友人二人を連れ、
月の影の向こう、地図に無い世界へと出発する。

以下のネタバレは世界観に関するものである。
未視聴で視聴意欲のある方は、是非既存知識無しで視聴いただきたい。
{netabare}
十二国記の舞台となるのは、山海経に登場するような神仙や妖魔の存在する世界である。その名のとおり、12の国が存在する。文化、政治形態は古代中国(特に周王朝)に類似しており、絶対的な王制である。しかし世襲制ではなく、12の国はそれぞれ神獣麒麟(きりん)が天意に従って選んだ王により統治されている。王は諸侯を封じ、政治をさせる。王や一部の高位の官は神仙として不老長寿(だが必ずしも不死ではなく、胴や首を冬器という特殊な武器により断たれれば死んでしまう)の身体を得て、天意に従う形で国を治めることを求められている。麒麟が失道の病にかかりそのまま死・禅譲するか、誰かに討たれない限り王は死なない。王とそれを選ぶ麒麟、そして天意とは何なのかという問いが、作品全体の主題となっている。
{/netabare}

全章概要(ネタバレなので視聴前は観ない事をお勧めしたい)

月の影影の海
{netabare}
日本で生まれ育った普通の女子高生・中嶋陽子は寝る度に恐ろしい気配に追われ、日を追う毎にその距離が縮まっていくという異様で怖い夢を見ていた。そんな陽子の前に、突如「ケイキ」と名乗る異装の男が現れる。ケイキは陽子を主と呼んで跪き、一方的に謎の盟約を迫る。突然の出来事に戸惑う陽子を異形の獣が襲撃、それを辛くも退けたケイキは、強引に陽子を月の影の向こうにある地図にない世界へと連れ去った。陽子はケイキから「決して剣と鞘を離さないように」と碧の玉が付いた鞘に収まった剣を渡され、「剣を振るえない」という陽子に自らのしもべの賓満・冗祐を憑依させ、陽子の意に反して陽子に襲い掛かる獣を体が勝手に動いて撃退するようにして、他のしもべに陽子を託して彼女を異世界に送り出した。

異形の獣の襲撃は月の影に入った後も続き、「敵の攻撃から目をつぶってはいけない」(賓満は憑依した者の目を借りて動くため)という警告を無視して目をつぶってしまったことがきっかけで陽子は、ケイキとそのしもべ達とはぐれ見知らぬ場所(巧州国、略称:巧国)にたどり着く。巧国では自分と同じように日本や中国からこの世界に流された人を徹底的に差別しており多くの場合は処刑されるため、陽子も役人に役所に護送される事になったが、その道中でまた異形の獣に襲われ、陽子は車の下敷きになった鞘から玉だけを切り外してその場を逃走する。全く事情が判らないまま縋る気持ちで現地の人間に助けを求めるも、“海客”として酷い仕打ちを受けたり、利用されそうになったりしたため、夢で見る元いた世界の幻で自分の周りにいた人達が自分の事を悪く言ったこと(実は剣が本当の事を見せていた)や青猿(その正体は陽子が無くした鞘に封じられていた妖魔。剣と鞘が離れたため封印が解けた)の讒言もあって陽子は徐々に人間不信に陥る。人目を避けつつ、なおも襲撃を続ける異形の獣(妖魔)と戦い続ける陽子は満身創痍となり、行き倒れたところを楽俊に救われる。楽俊は陽子を介抱し、さらには海客に対する保護体制が整っている雁国(雁州国)への道案内を買って出る。道中に妖魔と遭遇しそれを退ける陽子であったが、衛士に見つかるという恐怖から、倒れている楽俊を見捨ててしまう。後にそれを後悔する陽子であったが、同時に「口封じに楽俊を殺す」という選択肢を選ばなかった自分に安堵する。そして、「口封じにあのネズミを殺せばよかったのに」と言った青猿を殺すと、無くした鞘が現れた。楽俊との再会はかなわず、陽子は一人で雁国を目指す旅を続けるのであった。

雁国へたどり着いた陽子を待っていたのは楽俊であった。楽俊は先に雁国に渡り、港で働きながら情報を集め、陽子を待っていたのだという。再び二人旅となった陽子たちは、雁国で暮らす海客「壁落人」を訪ね、そこで陽子が胎果であることを知る。その後、陽子と楽俊の何気ない会話で楽俊が「台輔にお目通り願うか?」言った事から陽子がケイキとそのしもべのやり取りを思い出し、「台輔」(宰輔の敬称)という単語がきっかけでケイキとは慶東国(略称:慶国)の麒麟の「景麒」であり、景麒が「主」と呼ぶならば陽子は巧と雁に挟まれた国である慶国の王「景王」であると告げられる。陽子が神である王だと分かり距離を置こうとする楽俊に対し陽子は「私にとっては一歩の距離しかない」と楽俊に言い、それに楽俊は「おいらにとっては三歩だ」と返事をして今まで通りの接し方をしようとする。楽俊から慶王保護の延台輔宛ての書状を受け取り陽子らを妖魔の襲撃から助けた延王から「王は麒麟に跪かれた時点で人として死に、麒麟の霊力で神として生かされる」、「日本に戻ればお前は短い間しか生きられず、その上、慶国の民が大勢犠牲になる」と聞かされ、日本に戻るのか、景王になるのかの選択を迫られる陽子であったが、見るに見かねて「無きものとして振舞え」(陽子が体が勝手に動くのと冗祐の感触を嫌がったために下された命令)という主の命令を破った冗祐から言われた「玉座を望め。そうすれば道は開ける」という言葉に従い、延王の助力を受け、慶国に立った偽王・舒栄を討つことを決意する。
{/netabare}

風の海迷宮の岸
{netabare}
蓬山の捨身木に戴極国の麒麟の卵果・泰果が実り、母親代わりとなる女怪が生まれ、蓬山は麒麟の誕生を待っていた。しかし、突如襲来した蝕に巻き込まれ、泰果が流されてしまった。

それから10年後、泰麒は延麒によって蓬莱で発見され、廉麟の助けを受け、女怪の白汕子が泰麒を連れ戻すことに成功する。普通の人間として育った泰麒は、最初こそ戸惑うものの、程なく蓬山の生活に慣れ始める。だが、身の回りの世話をする女仙から「麒麟は人ではなく獣であり、獣の姿に転変する」、「麒麟は天啓を受けて自らの主である王を選定する」と知らされ、更に麒麟の能力を使えない泰麒を思い女仙の長・玉葉が招いた景麒から「麒麟は妖魔を折伏して使令にする」と知らされ、生まれたときから人間の姿で今も転変できない自分は「麒麟の出来そこない」ではないかと思い悩む。泰麒を泣かせたことで女仙から責められた景麒は、その後泰麒に麒麟の能力や役割を伝授していくが、結局この時は折伏は出来ず、自然に出来るようになる転変の仕方については教えることが出来なかった。

同じ麒麟として慕った景麒が慶国に戻り、麒麟としての自覚を持てないまま戴国に麒麟旗が掲げられる。泰果の失踪により長年王不在が続いていた戴国の民は喜び、昇山者が続々と先を競って蓬山に集ってくる。天啓が何なのか判らないながらも女仙に付き添われて昇山者と対面する泰麒は、騎獣をきっかけとして承州師将軍の李斎と知り合う。また、昇山者同士の喧嘩で出会った禁軍左軍将軍の驍宗には、恐怖に似たものを感じる。その後も度々李斎の下を訪れ、驍宗とも会話を交わすようになり、彼らが蓬山を去る間際には一緒に騎獣狩りに行くほどの仲になっていた。女仙の反対を押し切って同行した騎獣狩りの最中、李斎が見つけた洞窟に入った3人は、泰麒が嫌な胸騒ぎを感じた直後、内部に潜んでいた妖魔に襲撃される。李斎が囚われ、驍宗も弾き飛ばされ、泰麒は一人で強大な妖魔・饕餮と対峙することとなる。それまで一度も妖魔を折伏できずにいた泰麒であったが、初めて折伏に成功し饕餮を使令に下すのであった。

そして驍宗が蓬山を去る日が訪れる。王になれなかったら禁軍を辞め黄海に入ると驍宗から聞き、蓬山に昇山出来るのは一生に一度だけ、と女仙から聞いた泰麒は驍宗に感じる感覚に戸惑いながら、離れたくないと思う感情が抑えきれずに走り出す。泰麒の姿は、燐光を放って夜を駆け上がっていく漆黒の獣と化していた。

驍宗を王に選定した泰麒だったが、「驍宗の傍に居たいがために、天啓が無いのに偽者の王を選んでしまった」と思い悩み後悔し続けた。天勅を受ける儀式で罰を受けると思っていたが何事も無く、それが余計に泰麒を不安にさせ、泰麒の様子を伺いに載国の王宮を訪ねた景麒に「偽者の王を選んでしまった」事を打ち明ける。その事を知った景麒と驍宗は、誼がある延王を載国に呼び、泰麒に延王に対し叩頭礼をするよう命じる。言われるまま叩頭しようとしても体が動かない事で泰麒は「麒麟は自らの主以外に叩頭できない」という事を身を以って知り、景麒から彼が舒覚を王に選定した時も「この人は王になるべきではないと感じた」と聞かされ自分が運命に身がすくんでいたと言われる。
{/netabare}

書簡
{netabare}
陽子と楽俊、かつて共に旅をした2人は、全く違う生活を送り、鸞で現状を伝え合っていた。
陽子は楽俊に「官吏とも問題がなく」と伝えていたが、実際は問題が起こるほど意見も出来ていない状態であった。楽俊は「生徒も教師も皆よくしてくれる」と伝えていたが、実際は半獣であることから苦労が絶えない生活を強いられていた。そんな嘘は互いに理解しており、それでもなお励まし合う仲となっていた。
{/netabare}

風の万里黎明の空
{netabare}
陽子が景王となって1年、玉座にありながら冢宰の靖共ら官吏の顔色をうかがう自らの姿に苦悩を感じていた。特に皆がいつも自分に対して平伏する事については、自分が通りかかる度に相手の仕事の手が止まる不合理さに悩み、相手の顔が見えない事に少々不信と恐怖を感じていた。そんな中、太師に謀反の疑いが掛けられ、陽子は靖共の言うがまま謀反に関わったとされる人を処罰し、監督責任を怠ったとして靖共を太宰に降格、政治の実権を握らせるべきではないとされる景麒に「自分よりこの国のことが分かっているから」と次の冢宰が決まるまでの間として実権を握らせた。そして陽子は、この世界の理も、国情も知らない自分に憤りを感じ、自ら市井に降りることを決意する。景麒の勧めにより遠甫という老人のもとで理を学ぶこととなるが、和州で暴政が行われているという噂を確かめに和州に出かけた間に里家が襲われ遠甫がさらわれた事から虎嘯らと出会い、和州の乱へと繋がっていく。

大木鈴はその100年ほど前に蓬莱から流されてきた海客である。長く才国の飛仙・梨耀から執拗な虐めを受け続けていたが、決死の覚悟で采王に申し立て自由の身となった。女性・海客でありながら王となった景王に興味を持ち慶国を目指す道中で清秀と出会い、妖魔から受けた怪我で衰弱していく彼を支え共に慶国にたどり着くが、彼は慶国和州止水郷で郷長・昇紘の馬車に轢殺されてしまう。自暴自棄となり、郷長・昇紘を庇う者の最上位にある景王を暗殺しようと才国の遣いを装い王宮に入る鈴であったが、景王不在の為その機会さえなく王宮を去る。虎嘯らと出会い宥められ、打倒昇紘の郎党に加わることとなる。

祥瓊は先の芳国の公主であったが、謀反によりその地位を失い、里家での貧しい暮らしや恭国での屈辱的な仕打ちが耐えられず出奔する。自分と同じ年頃で王宮に入った景王を妬み、逆恨みし、簒奪してやろうと慶国を目指していたが、道中で楽俊と出会ったことで考えを改めた。慶国の実情を知り、桓魋たちと出会った祥瓊は、呀峰討伐、和州の乱に身を投じることとなる。

陽子・虎嘯・鈴らは打倒昇紘を掲げ郷城へと乗り込む。郷城への突入は成功したが、呀峰は昇紘を庇うため州師を派遣する。州師相手では圧倒的に勢力の劣る虎嘯らであったが、桓魋・祥瓊らの加勢により戦況は一転する。しかし、続いて派遣されたのは王直属の禁軍であった。呀峰もまた靖共に庇われていたのである。王師(王が指揮権を持つ禁軍と首都州師の総称)を目の当たりにして動揺する人々の中にあって陽子は鈴と祥瓊の話を聞き、王としての責任を確信すると共に、王として行動する決意を固める。王の命令がない限り王師が動けない事をいい事に、陽子は景麒の背に乗り反乱軍が王の意思である事を知らしめ、王師に遠甫の救助と、呀峰と靖共を捕らえるよう勅命を出す。王宮に戻った陽子は遠甫を三公(王の相談役。政治の実権はない)の筆頭・太師に、鈴と祥瓊を自分の身の回りの世話をさせる役職に就け、桓魋を禁軍左将軍に、桓魋の上司であり、官吏に言われるがまま追放を命じた後失踪(護送中に靖共一派に襲われたところを桓魋らに救助され、身を隠していた)していた麦州候・浩瀚を冢宰に命じ、靖共派だろうが松塾(靖共らが敵視して焼き討ちした義塾。遠甫はそこの閭胥のような事をしていた。)出身だろうが関係なく個人だけをみる、と大規模な人事改革を宣言。そして景麒の「下の人々から見くびられます」という悲鳴のような諌言を無視して初勅として「人は敬意を持つものに対しては自然に頭を下げる」と平時の伏礼を廃した。
{/netabare}

乗月
{netabare}
芳国恵州州侯の月渓は、諸侯を束ね峯王・仲韃を討った。次の峯王が立つまでの仮王として月渓を推す声は強かったが、当の月渓は頑なにそれを拒み、恵州城に戻ってしまった。
ある日、慶国から青辛と名乗る使いが、景王から恵侯宛の書状を届ける。しかし、国に宛てた書状を、一州侯に過ぎない自分が受け取るわけにはいかないとこれを拒む。仕方なく冢宰にこれを預け、次いで一通の恵侯宛の書状を差し出す。書状の差出人は慶国下官、名を孫昭、先の芳国公主であった。それを知ってもなお受け取りを拒む月渓であったが、青辛の諌言を受け、仮王となる決意を固め、書状を受け取るのであった。
{/netabare}

東の海神西の滄海
{netabare}
延王・尚隆、延麒・六太は共に胎果であり、蓬莱で生まれ育った。六太は戦乱の中で親に捨てられた経緯から国を統治する者の存在を嫌い、蓬山に帰還した後も王を選べず、蓬莱へと戻ってしまう。その蓬莱で出会ったのが、滅亡に瀕した小松水軍を率いる小松三郎尚隆であった。会った瞬間に王気を感じた六太であったが、前述の理由により誓約を交わすことはなかった。しかし、尚隆の命を懸けて民を守ろうとする姿勢に自らの理想を重ね、絶体絶命の尚隆を助け、延王として十二国へと連れ帰った。

それから20年後、雁国は荒れた荒野から緑の大地へと復興を遂げていた。しかし、元州では治水の権限を王が奪ったままなのに梟王時代に破壊された漉水の堤が復旧されない事に州城の苛立ちが募り、謀反の動きがあるという情報があった。ある日、六太の古い親友である“駁更夜”と名乗る少年が玄英宮を訪れることから事態は進展する。更夜は六太を元州城へと連れ去り、元州の令尹・斡由は六太に「漉水の堤」を名目として、天網で禁じられている「上帝位の新設」を奏上した。権力者の存在に否定的な六太はこれを拒否し、牧伯の驪媚と共に元州城に監禁されてしまう。

尚隆のもとへも同様の要求が伝えられたがこれを拒否すると、成笙を元州に派遣し、道中で民を募って漉水の対岸に堤を築くよう指示する。雨の中で対岸にのみ堤を築かれることに危機を覚えた斡由は州師に対岸の堤を切るよう指示、州師と民の戦いとなり王師が民を守るという、「民のために堤を」を掲げる斡由にとっては皮肉な構図になってしまう。

一方、驪媚の決死の行動によって六太は自由の身となるが、地下迷宮に迷い込んでしまう。六太はそこで先の元州候・元魁と遭遇し、斡由の人となりを知り、斡由は民のためにならないと確信する。六太は斡由と対峙し自分の考えを伝えるが、斡由は非を家臣の白沢や更夜へ転嫁することを試みる。しかし、尚隆によって全てを断罪され、怒りから斡由は尚隆に斬りかかるが、最期は六太の使令によって瀕死の重傷を負い、尚隆に介錯され絶命する。
{/netabare}

感想

本作はホラーで有名な小野不由美が手がける異世界ファンタジーである。小野不由美独特の作風が大変好感である。
元々は「魔性の子」(泰麒が蓬莱に戻った時の話・ホラー)という小説の派生作品で、世界観の精巧さには感服するばかりである。世界観を把握する前に視聴する「月の影影の海」と、知った後での視聴は見方が180度変わる程である。
なので、事前知識無しで観ていただきたい作品である。

また、主人公を始めとした登場人物の成長物語であり、私達の人生観に大きな影響を与える作品である。
精神の糧になる話も多かった。
登場人物が皆、精一杯生きているのが十二分に伝わってくる作品だったと思う。キャラクターは大変魅力的。

私は本作が大変気に入り、原作を購読したのだが、アニメでは原作の設定をより視聴者に理解させ易くする為、
杉本と浅野を陽子と一緒に「あちらへ」連れて行っている。
この点は非常に評価すべきだと思う。
また、月の影影の海に原作ではあまり登場しない塙王が多く登場した点は高く評価している。
只、未完なのと地名・官職名などがやたら面倒なのが、たまに傷であるが・・・
未完なのは待つとして、(おそらく2014年頃に新作が出るはず)地名・官職名は何回か視聴すると覚えるので、2,3回の視聴をお薦めしたい。

39話の初勅のシーンは琴線に触れる素晴らしい出来である。
台詞を乗せると、(脚本集より)
{netabare}
「私は慶の民の誰もに、王になってもらいたい」
「地位でもって礼を強要し、他者を踏みにじることに慣れた者の末路は、昇絋、呀峰の例を見るまでもなく明らかだろう。そしてまた踏みにじられることを受け入れた人々がたどる道も」
「人は誰の奴隷でもない。そんなことのためにうまれるのじゃない」
「他者に虐げられても屈することのない心、災厄に襲われても挫けることのない心、不正であれば正すことを恐れず」
「獣(けだもの)に媚びず―私は慶の民にそんな不羈(ふき)の民になってほしい。己という領土を治める唯一無二の君主に」
「そのためにまず、他者の前で毅然と首(こうべ)を上げることから始めてほしい」
「諸官は私に、慶をどこへ導くのだと訊いた。これで答えになるだろうか。」
「その証として、伏礼を廃す―これをもって初勅とする」
{/netabare}

総評

独特の世界観と、他作品には見られない「名言」や、主人公を始めとした登場人物の成長が本作の魅力だ。
ファンタジーなのに魔法は使えず、日本での生活以上に苦汁を嘗めることになる世界観には感服である。
原作を読めば分かるが、この濃密な世界観に私は引き込まれてしまった。
アニメでは語られていないストーリーとして主なものに、「黄昏の岸暁の空」「魔性の子」が挙げられる。
この二作は風の万里黎明の空の直後の話で、
風の海迷宮の岸で語られた戴のその後の話である。
アニメでも2期を想定してか、杉本と高里を会わせて、魔性の子へ繋げようとしていた事が伺える。
また私の一番好きな作品として、恭州国の供王珠晶の登極に至るまでの話である「図南の翼」も是非読んで欲しい。
(他にも映像化されていない短編が7つ(漂舶を入れれば8つ)あるので其方も読んで欲しい。)
アニメ脚本集と云う本が講談社から出版されており、細かい設定なども記載されていて大変面白かった。興味の有る方は是非原作共々読んで欲しい。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 36

71.7 4 政治アニメランキング4位
終末のイゼッタ(TVアニメ動画)

2016年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (712)
3423人が棚に入れました
西暦1939年、帝国主義国家ゲルマニア帝国は突如隣国に侵攻を開始した。その戦火は一気に欧州全域へと拡がり、時代は大戦の渦に巻き込まれていく。そして1940年、ゲルマニアはその矛先を美しい水と緑に恵まれたアルプスの小国エイルシュタット公国に向けようとしていた。

声優・キャラクター
茜屋日海夏、早見沙織、内田彩、東山奈央、花澤香菜、諏訪部順一、高橋広樹、花江夏樹、KENN、細谷佳正、遊佐浩二、置鮎龍太郎、間島淳司、平川大輔、森川智之、山寺宏一
ネタバレ

魂がBITCH♡ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

愛が恐れているのは、愛の破滅よりも、むしろ、愛の変化である。終末に咲き乱れる美しき死生観にこそ我々は魅了されるはずだった。

■Staff
{netabare}監督:藤森雅也(代表作品:トライブクルクル)
脚本・構成:吉野弘幸(代表作品:マクロスF、ソ・ラ・ノ・ヲ・ト、マギ他)
キャラクターデザイン:BUNBUN(原案)、山下祐
アニメ制作:亜細亜堂{/netabare}

■Cast
{netabare}イゼッタ:茜屋日海夏
フィーネ:早見沙織
ビアンカ:内田彩
ロッテ:東山奈央
エルヴィラ:花澤香菜
ジーク:高橋広樹
ハンス:KENN
トビアス:間島淳司
ヘルマン:置鮎龍太郎
ベルクマン:諏訪部順一
リッケルト:花江夏樹
バスラー:細谷佳正
オットー:山寺宏一
他{/netabare}

グロス請のイメージが強い亜細亜堂制作のWW2を背景とした「魔法+ミリタリー+美少女」のオリジナル作品です。

(設定関係)
軍事関係の設定考証は戦車雑誌で有名な月刊PANZERがクレジットされていましたので、まず間違いないでしょう。
本作の軍事設定詳細は下記の雑誌で特集されています。
興味のある方は御覧になるといいでしょう。
なお、同誌の記事はまとめサイトへも転載されているようです。
『PANZER 2016年11月号/PANZER Nov.2016』

12月22日最終稿
12月22日文字数オーバーの為更に6話、7話メモも削除編集
【総評】
{netabare}美学なき物語は道標を失い、WW2の世界観を使い熟すことなく軽薄なストーリーとなった残念作品。期待倒れでした。
※本作は期待が大きかったばかりに、リアルタイムでの感想で長文が多かったゆえレビュー文字数がとうとうオーバーとなりました。
本来は残したいのですが、遺憾ながら個人的に盛り上がっていた6話までの感想を削除いたします。{/netabare}
(1)作画
{netabare}秀逸な3DCGによる、兵器の精密描写と圧倒的な迫力は認めざるを得ません。
しかし、空母ドラッヘンフェルスを2Dとしたことから、3Dとの繋ぎに違和感を感じてしまったことは少々残念です。
それと、ゲール軍の鉄兜シュタールヘルムの作画はいただけません。
側面の折り込みが分からず、ノペーとした感じとなっていることと、光沢感が表現されていない点が残念です、仕上げがべた塗りではいけません。
8、9話で一部、キャラの崩れもありましたけど、難易度が高い戦闘描写の高クオリティを維持していたことは、評価に値しますし、ミリオタ視点からも十二分に納得がいくものです。{/netabare}
(2)声優
{netabare}声優さんは熱演されていました。概ね満足です。
特に、フィーネ役の早見さん、ゾフィー役の雨宮さんの演技は頭一つ突き抜けていました。
しかし、肝心のイゼッタ役の茜屋さんの感情表現には課題が残りました。
イゼッタは設定そのものにも問題があるので、声優さんが役に成りきるに当たり感情移入へのネックとなっていたのかもしれません。{/netabare}
(3)キャラ
{netabare}ここでは、各キャラの私見を交え物語を振り返ります。
各話でも記述をしている通り、主人公イゼッタの設定が致命的にチープなので、評価は辛めになります。
本作はイゼッタとフィーネに共感が出来ないと、物語として楽しむことは出来ません。
私は10話まで終始イゼッタへはイラつきました。
その理由は各話で述べている通りですので、イゼッタについてはここでは省略します。

次に準主役のフィーネです。
大公の崩御で指導者の地位につきましたが、指導者というものは私情より先に国家、国民がが優先されるものです。
しかし、フィーネの公私混同は国家指導者となっても改るところがなく、私が懸念したようにイゼッタとの友情を超越した愛情関係(以後、百合と表記)が本作のストーリーを歪めてしまったと思います。
百合路線で行くのなら、そう割り切ったキャラ設定や現実を揶揄しないようにファンタジックな世界観の設定が必要です。
いくら国名を架空設定としても、ゲールはドイツ、アトランタは米国、ブリタニアは英国、テルミドールはフランスとWW2の当事国であり実在する国家がモデルとなっているのは一目瞭然。
事実として少なく見積もっても全世界で5千万人以上の死傷者を出したWW2のリアル史実を世界観とした場合、巫山戯た百合とフィーネの愛情ゆえにイゼッタの歪んだ大義との取り合わせは、アニメのみならず文芸作品にも精通し目が肥えている層には当然不評乃至顰蹙を買う取り合わせです。
本作の場合、大義を貫く凛とした君主のフィーネを設定し、その姿に魅せられたイゼッタの成長物語と合わせ、祖母の言い付けを破るだけの信念をイゼッタが自らの意思で構築し、自発的にエイルへの愛国心や忠誠心を抱くに至ったのであれば自然なストーリーでした。
または、大公を崩御をさせず、責任の軽い王女のままの方がよりフィーネらしい役所となり、世間知らずの王女の戯言としてなら、多少の百合展開には目を瞑る事も出来ました。
イゼッタの設定と合わせ、フィーネの設定も稚拙であったことが、本作を救いようがないB級アニメにしてしまったことを、監督の藤森氏、脚本構成の吉野は特に反省をして頂きたいと思います。

ゲール側のキャラを必要以上に邪悪に設定したのもいけません。
設定の都合で、邪悪に描くのはゲールの指導者皇帝オットーだけで十分であり、SSを登場させ、そのキャラでもゲールの邪悪さを強調し、他国のキャラは真っ当に描くことで、相対的にゲールへの敵愾心を煽る手法は、ハリウッド製B級映画と同じ手法で感心いたしません。
戦争というものは、開戦動機の如何に関係なく、ゲールに限らずも交戦国全てを狂気にします。

オットーのモデルは紛れもなくヒトラーですけど、それを皇帝としたことで、特に海外ではヴィルヘルム2世とも解釈できる誤ったメッセージにもなっています。
そも、ゲールを帝政設定にした理由は何だったのでしょう?
帝政であれば、近隣諸国の王家には養子や婚姻で血縁親族が必ずいます。
野望だけで他の王制国家への侵略などは起こせません。
WW1までは欧州王室会議が欧州の安全保障に大きな役割を果たしていた歴史を研究すべきですし、ゲールの隣国であり、同じ言語圏(ドイツ語)であり、かつ、王室があるエイルと王室間の繋がりがないとする方が不自然です。
制作側は欧州王室のことを何も理解をしていないようなので、野望を抱いた軍事大国が小国を侵略する程度の稚拙さで、本作のような設定を考えたのでしょうけれど、その図式を成立させるのであれば、ゲールは11月革命を経た後の共和国として設定し、史実の通りオットーはVerfassung(全権委任法体制)を達成した擬似皇帝"Führer"とすべきです。

さて、ゲール側の人物描写ですが、不足や矛盾はありますけれど、ベルクマン、リッケルト、バスラーを掘り下げていたことは評価いたします。

リッケルトは貴族の家庭でなに不自由なく素直に育てられた国家エリートであり、ウブで女(の恐ろしさ)もよく知らない真面目な人物であり、本来汚れ役の特務に向いている資質ではないでしょう。
貴族の威光に依らず、自らの実力で国家に貢献すべく志願してエールに潜伏した折、あろうことか、エールの近衛指揮官ビアンカに一目惚れをしてしまいました。
この安直な設定を批判する向きもありますけど、私はビアンカとの恋は、無自覚で意図しないハニートラップだったのかとも思い、自分を納得させて、このエピソードを流しました。
総じてサブキャラの掘り下げが少ない中で、リッケルトとビビンカ双方を描きキャラを立てたこのエピソードに一定の評価をします。

最終回でバスラーがベルクマンの言い分に対し怒りに任せてワルサーの引き鉄を引きましたけど、バスラーはベルクマンの自己中心主義をどう思ったのでしょうね。
情けなくなってトドメを刺さなかったというところでしょうか。
戦局が極度に悪化したなか、バスラーがBf109で飛び立つシーンがありますけど、超展開戦史でV1、V2まで登場したのですから、ミリオタサービスも込めてMe262で彼に花を持たせても良かったのではないでしょうか。

ベルクマンに関しては「最終回」メモに記述をいたしましたので省略します。

エイルの近衛兵であるビアンカ、ルイーゼ、アデーレ、クリスタですけど、近衛部隊が全て女性編成というのは非現実的であり、かつ、この中でキャラが立ったのは、リッケルトととの束の間の恋と悲劇的な結末を描いたビアンカ程度で、他のキャラは百合要員にしか思えないような過大設定です。
近衛という大風呂敷よりも、シークレットサービスや、SPのようなフィーネの護衛官程度で設定べきだったでしょう。
それであれば、女性だけの設定でも不自然ではありません。

エルヴィラ・フリードマンですけど、折角花澤さんを起用しながら後半は殆ど空気となっていました。
フィーネが指導者としての自覚が足りない部分をエルヴィラがフォローするなり、フィーネが国政を顧みず百合を満喫できる為の環境要員として、活用すべきだったと思います。

ジークハルト・ミュラー、白き魔女ゾフィーを死に追いやった家系の末裔。
最後はイゼッタの秘密を守る為に射殺した自国の兵士ヨナスと出合い頭のゲール兵が脳裏で重なり、油断した隙に射殺されますけど、ゾフィーに対して責任を取ったとも思えます。
国に殉じた彼の最後と国を裏切りなお生き延びているベルクマンの運命と対照的で、好印象を抱いたキャラの一人です。{/netabare}
(4)音楽
OP曲『cross the line』、ED曲『光ある場所へ』とも良曲です。
私事ですけどDLします。
{netabare}『エイルシュタット国歌』は疑問ですけど、『魔笛』他劇中曲はハイセンスです。
しかし、曲のセンスに物語が追いついていないのが残念です。
でき得れば『ゲール国歌』を原曲『皇帝讃歌』(ハイドン作曲)で聴きたかったものです。{/netabare}
(5)物語
{netabare}「終末」には様々な意味、解釈があるようですけど、本作の舞台ドイツ語圏から考えると、とってつけたようなこじつけかもしれません。
ストーリーから考えて素直にドイツ語タイトルの「最後の魔女イゼッタ」が本作のタイトルとして相応しかったと思います。
内容ですけど、百合と魔法と戦争群像の三兎を追った結果、物語の焦点がばらけて全てが中途半端に終わった感は否めません。
戦略でもそうですけど、焦点の拡散は各個撃破され敗北の道を歩みます。
妙に現実的な設定と百合を含めたファンタジーの接合が悪く、現実とファンタジーの振幅の激しさに多くの視聴者がついて行けなかったという印象です。
視聴者は雑多な福袋よりも一点豪華を求める傾向にありますので、このシナリオの失敗は如何ともしがたいでしょう。
また、1クールの尺であれば、WW2ではなく架空の地域紛争程度のコンパクトな世界観にするべきだったのではと思います。
なお、制作スタッフ(主として監督、脚本、設定制作)は当時の政治や世相の深淵を咀嚼せず、戦史中心でストーリーの時系列を組み立てています。
したがって、本作からは政治的なメッセージは得られません。
本作の詳細な問題点は各話メモに記述をしていますので、ここでは俯瞰的な意見のみとします。

物語本筋だけでしたら「2」が最大限の評価ですけど、本作は本筋以外に圧巻な3DCG戦闘シーンなど傍系の見所がありますので、下記のように項目を細分して評価をしています。
《物語評価の内訳》
・軍事考証4.5(史実に対し、兵器、軍装、軍事付属物のレイアウト設計、描写など主としてハード部分)
・戦史考証3.5(史実に対し、作戦のフローチャート、作戦の時系列的整合性、作戦の背景など主としてソフト部分)
・政治考証1.5(史実に対し、軍事作戦以外の政治、外交、インテリジェンスの設定など)
・物語の基軸2.0(物語独自の設定における脚本・シリーズ構成)
・演出、効果4.0
・Ave.3.1≒3.0{/netabare}
----------------------------------------------------------------
【考察】「ドイツの核兵器について」
もう、本作のレビューを書く機会はありませんので、各話メモで未稿でした「ドイツの核兵器について」に触れたいと思います。※長文なので畳みます。
{netabare}現在、先端科学の中心地は米国ですけど、戦前、先端科学の中心はドイツでした。
これは、自然科学部門のノーベル賞受賞者を御覧頂いても、お分かりを頂けるかと思います。
ドイツの科学研究は19世紀後半に設立された「帝国物理工学研究所」から「カイザー・ヴィルヘルム研究所」、現在は「マックス・プランク物理学研究所」(現在は研究項目ごとに分立している)と変遷をしていますけど、国家を挙げて科学技術の育成に取り組んできた古い歴史があります。
なお、我が国の「理化学研究所(理研)」と「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の設立はほぼ同時期で、後身の「マックス・プランク研究所」と研究連携協定を結んでいます。
特に、戦前期の「カイザー・ヴィルヘルム物理学研究所」の所長にはM.スブランク(前期量子論の父)、A.アインシュタイン(相対論)、F.ハーバー(毒ガス化学兵器の父)、W.ハイゼンベルク(量子力学)など全てノーベル賞受賞者である、そうそうたるメンバーが就任しており、量子論を確立したN.ボーアなどドイツ人外の欧米の一流科学者の多くが本研究所で研究に携わるなど、世界最高の研究機関でした。
当時、戦前ドイツの科学技術はナチス時代で突然開花したものではなく、19世紀から国家を挙げて積み上げてきた成果です。

さて、ドイツにおいて核兵器の開発はどういう状況だったのでしょうか。
まず、核兵器には核分裂エネルギーを利用した「原子爆弾」(*1)と、熱核反応エネルギーを利用した「水素爆弾」(*2)があります。
※1核爆発の爆風には「マッハステム衝撃波」という特性があるが、これは原爆の放射熱で周囲の空気がプラズマ化し生じるもの。
『オカルティックナイン』11話でアヴェリーヌ(稜歌)は電磁波を用いたプラズマ爆発によるマッハステムを暗示しているものと思われる。
※2中性子爆弾は水爆に含まれる。
核分裂エネルギーを効率よく取り出す為には「連鎖核分裂反応」を生じさせる技術が必要です。
「連鎖核分裂」は「原発」でも用いられており、ゆっくりと反応させる制御をしているのが「原発」、制御せず一気に連鎖核分裂をさせるのが「原爆」です。
「核分裂」により、膨大なエネルギーが放出されることは「特殊相対論」で既に示されております。
世界初の核分裂実験は「カイザー・ヴィルヘルム研究所」でO.ハーンにより濃縮ウランを用いて成功しました。
(原爆に必要な「連鎖核分裂反応」は後のマンハッタン計画で成功します。)
O.ハーンによる実験成功の事実が、「カイザー・ヴィルヘルム研究所」の実力を知り尽くしているアインシュタイン他米国亡命科学者の顎を外したのは、理学者の立場では容易に想像できますし、ナチスによる原爆開発の現実的な脅威と危機感から、ルーズベルトへの原爆開発の提言へと繋がります。
実際、アインシュタイン達の懸念通りドイツにおける核兵器開発は1939年「カイザー・ヴィルヘルム研究所」が中心となって開発に着手、プロジェクトのリーダーは戦中の所長であったハイゼンベルクが就任し、ハイゼンベルクはヒトラーの腹心で後の軍需大臣となるシュペーアに条件が整えば2年以内に兵器化可能と回答します。
しかし、種々陰謀論めいた怪しげな話も存在しますけど、技術的な可能性はあったものの、結果的には以下の理由で完成には至っていません。

1.ユダヤ人の大量追放と科学者の戦時召集で原爆開発に必要な科学者が手薄であったことから計画に遅延が生じた。

2.原爆開発方針を巡り、高濃縮ウランか天然ウランかで意見が割れ、結局、膨大なエネルギーを消費するU235の純度を高める高濃縮は取りやめ、ハイゼンベルクの重水炉案に則り天然ウランを用いることとなり、その為にドイツ国内では製造をされていない重水の確保が急務になった。
しかし、当のハイゼンベルクはこの決定で、兵器化にはウラン濃縮が必要で、重水炉は発電施設として考案したものであり、天然ウランでは小型化し、兵器としての原爆の実用化は困難と判断している。
※重水炉と旧共産圏で使用された黒鉛炉の燃料は天然ウランをそのまま用い、現代の原発の主流である軽水炉は高濃縮ウランを用いる。
なお、当時、高濃縮ウランの製造には膨大なコストがかかることを考えれば、天然ウランの使用もあながち非現実的とは言えない。
※天然ウランの成分の殆どは核分裂を起こさないU238で、核分裂を起こす同位体U235は天然ウランの中に僅か0.7%程度しか存在しない。
また、当時、天然ウランから核分裂物質のU235を抽出する最も効率が良い方法はサイクロトロン技術を応用したローレンツ力を利用する「電磁濃縮法(Y12P)」、ついで手間がかかる「ガス拡散法(K25P)」が主流だったがどちらも膨大な電力消費が課題であった。
マンハッタン計画ではウラン濃縮の為に専用発電所まで建設をしており、潤沢な資金に恵まれた米国以外は選択出来ない方式だろう。
我が国では、理研が「ガス拡散法」、京大が「遠心分離法」でウランの濃縮を試みているが成果が出る前に終戦となる。

3.英国でもドイツの核開発を知るところとなり、原爆の研究に着手をしているが、ドイツが重水を求める理由に二通りの解釈を持っていた。
※原爆の性能向上(小型化)と水爆の可能性
どちらも英国にとっては破滅的な脅威であり、重水製造プラントがあったノルウェーの工場を攻撃し、更に重水を積んだ運搬船を攻撃して沈めドイツ核開発の息の根を止めている。
なお、重水プラントの確保はドイツがノルウェーを占領した大きな理由でもある。

4.ヒトラーは原子物理学をユダヤの科学として忌避しており、原爆開発へは予算や人員などの政治的な支援が行われなかったこと。
結局、軍需大臣シュペーアは1944年2月、原爆は本戦争には間に合わないと判断し正式に開発を中止する。

5.ヒトラー、シュペーアの会談録でヒトラーは核開発について、ハイゼンベルクチーム以外にも研究を指示していると述べている。
これは国防軍のE.シューマングチームのことであるが、この詳細はシュペアーやハイゼンベルクにも知らされていなかった。
E.シューマングの研究については現在もなお不明な点が多く、物証もなく陰謀論的な憶測も多いが、特に以下の二点が注目されている。
★広島に投下された原爆と同様「ガンバレル型起爆装置の開発」
(マンハッタン計画では現代の原爆に採用されているプルトニウム爆縮型起爆装置の開発が主軸であり、世界初の原爆実験も爆縮型で、ガンバレル型起爆装置について米国は一切非公表としている。)
★重水素を用いた水爆理論構築。ただし、水爆を起爆する為には原爆級の膨大なエネルギーが必要であり、原爆の開発を断念したドイツでの完成は不可能。
なお、戦争末期、我が国に向かって出航した潜水艦U-234号は、ウラン鉱石の他「ガンバレル型起爆装置」の設計図も搭載されていたとする証言もあるが証拠はない。
なお、U-234号は大西洋上で米海軍に降伏したが、その際乗艦していた日本海軍士官2名は自決している。{/netabare}
----------------------------------------------------------------

※第1話から第7話までのメモは文字数制限の為削除。

第8話メモ
{netabare}各論
今回は軍事考証の必要はないので物語のみ。
吉野氏はソラノオト気分で脚本を書いているのか、戦時と平日の区別すらついていないようだ。
それにしても、戦時下の防諜対策とはどういうものかがマトモに考証がなされていない酷い回だなコリャ。
古城→重要機密施設の警備体制にしては甘過ぎるし、近衛兵が女性だけという設定も含めて非現実的。
非現実的に加え、ゲールの特務リッケルトをビアンカ達が偶然に拾い、伏線なしで痴情展開を設定してカタルシスを押しつけるご都合主義にはいい加減辟易する。

まぁ現実と非現実のギャップはあってもいいが、その折り合いのつけ方が子供騙しで既に物語のチープ化は避けられない状況と思う。
この物語の課題点は5話、6話でも散々指摘をしたし、改善の意欲も感じられないので言葉を費やすだけ無駄だろう。

アトランタが都度登場しているが、この国が欧州情勢に関与する動機が描かれていないのは致命的なミスだ。
つまり、アトランタがゲールとエイル両国を排除する「国益」は脅威の排除などという上辺なものではないだろうし、また、その程度で軍を動員出来るほど史実の米国事情は単純ではない。

米国の正義は常に攻撃された被害者の事実から始まるのがお約束。
現に史実では被害者になるように我が国だけではなく、ドイツに対しても策謀していただろう。
なぜ、そうまでして欧州情勢に介入したいのか。
史実を追い、アトランタのドロドロとした野心を見せないと視聴者をジンテーゼに誘導出来ないだろう。
ストーリー構成に参加している戦争屋にとって史実の米英同盟関係は空気のように感じているのか、設定そのものすら考えていないかもだな。

ドイツのポーランド侵攻から大西洋憲章締結に至るまでの両国の外交史を全く調べていないのが見え透いているし、戦史には詳しくても背景の歴史に音痴だと本作のように薄っぺらい脚本になる。{/netabare}

第9話、第10話一括メモ
諸般の都合により第9話のレビュー時期を逃したので一括します。
{netabare}しかし、この作品のレビュー少々書き難くなった。
{netabare}理由は余りの物語の陳腐さに我慢しきれず7話視聴後に制作会社ヘメールを入れた訳です。
他にも似たような意見があったのか、誠意のある回答を頂いた。
端的に言えば「まあ観ていて下さい。期待は裏切りません。」とのこと。
なお、今後のネタバレについては一切返信には含まれていない。{/netabare}
いや、確かに9話でマトモな流れになったが、尺も詰まった段階では少々遅きに逸した感もする。

さて、本作を視聴して戦争を感じさせないとの意見もあるようだが、想像力を欠いているのではないか?
本作を好む層は概ね実写戦争映画や実戦記録フィルムを鑑賞している層も多いと思う。
イゼッタやゾフィーのチート能力で多くのゲール兵やロンデリアン(ロンドン)市民が死んでいることを黙殺出来るとは、平和ボケな我が国の一端を窺わせ、とても憂鬱な気分だ。
一度、実戦の記録フィルムでも鑑賞してみたらよかろう。

本作では『魔法少女育成計画』のように生々しく凄惨な殺人描写がされていないだけで、実質的に多くの戦死者が出ているし、実写記録フィルムと重ね合わせれば死者累々の悲惨な状況は想像出来る。
東京空襲やサイパン、硫黄島、沖縄の玉砕戦、ドレスデンやロンドン空襲などの実写記録フィルムをしっかり鑑賞するのがよかろうが、グロいから見たくないとか言いそうだな。
しかし、それが戦争というものの現実なのだ。

戦争に対して背を向けてきた教育の歪みも問題だが、死体が少ない戦争アニメだから見易いなどと宣えているから、今般、尖閣のみならず、九州でも我が国の領海に堂々と浸入してくるシナの脅威など微塵とも感じない有難い感覚なのだろう。
シナ空軍の挑発で沖縄上空のスクランブルも異常事態だし、命を削りながらも国防に勤しみ我が国の平和を守っている自衛官諸氏の苦労を少しは考えてみたことがあるのだろうか。

某フィギュアアニメを無条件で讃えている層にも言えることだが、戦争が身近に来ているかもしれない現実は逃避して、戦争の悲惨さを感じさでないと本作を讃えながら、シナの良いように国土を蹂躙されてから後悔をしても遅いのだがな。

ガルパンオヤジの怒りはこの程度にして、物語はどうなのかに移ろう。
8話でその存在を暗に知らしめる伏線の通り、9話で白き魔女のクローンゾフィーが登場し、イゼッタに対し圧倒的な力量差で打ち負かす。
この種はイゼッタが魔力を地理的条件に依存していることに対し、ゾフィーは魔石を利用して地理的条件に左右されず魔力を発揮出来る設定だ。

この設定は上手く考えたと思うが、ゾフィーの存在を匂わせたり、古城への浸入目的が魔石の取得であったのも今後に向けての伏線で必要な尺だったのだな。

あと、ゾフィーがクローン技術で生まれた設定に対する批判もあるようだが、遺伝子操作によるクローン技術の思想的な始点はナチスの優生学からであり、実際に「レーベンスボルン」という交配で人為的に優れたヒトを作る実験が行われている。
ユダヤ人絶滅収容所ではその為の基地外じみた実験に囚人が利用されてもおり、その意味では可能性の範囲で荒唐無稽な設定ではないと言える。

次に、10話で登場したV1であるが、これは時系列的に無理があるだろう。
寧ろV2の方が現実的だ。
なぜならば、V2の原型であるA型ミサイルは1940年には既に発射実験が行われている。
フォンブラウンで調べてみるといいだろう。
対し、パルスジェット搭載のV1の開発はバトルオブブリテンの終了後であり、今回の設定はどう考えても可笑しいだろうな。

まぁ戦史を完全に無視をしているのなら、大戦初期でタイガーやパンサー、Me262を登場させてもいい訳だが、大戦初期の定石通りに3号、4号戦車、Bf109を登場させているし、また、本作が戦史準拠である事はPANZER誌でも述べられている。

しかし、設定に細かくイチャモンをつけても「魔女」の設定が荒唐無稽なので目を瞑っているのも必要か。
それでも、あまり無茶な設定をすると全てで陳腐になるので、止めた方がいいのだがな。

8話でも記述したが、アトランタ(米国)がたかが一駐ブリタニア大使の一言で軍の動員を図ったとするのはご都合主義もいいところだ。
アトランタは現実に攻撃されないと軍は動員しないし、ゲールのような独裁国家とは違い、この国は動員が正義となる確固たる理由が必要な国だからな。
でも今回ゲールがロンデニオン攻撃に踏み切ったことで、アトランタ軍動員の正当化を図るのだろうな。
史実では、ロンドン空襲時点でも米国は対独戦線布告はしていないのだけど。

10話の作画だが、2Dの爆発シーン、MS406の墜落爆発シーン、MS406vsBf109の3D空戦シーンは圧巻だった。
航空機と戦車、火砲の作画(3D含む)はパーフェクトなのに、空母の作画に課題を残したのは惜しまれる。

また、捕られたイゼッタ救出の為に、エイルの陸軍部隊と近衛が突撃の準備をしているところ、絶対装備数が少ないMS406が地上部隊との連絡もなく唐突に出現したのは、よくあるご都合主義に思える。

シナリオに厚みを加えるなら、突撃→撃退後退→空軍支援→再突撃の尺を取るべきだろう。
特に名機関銃MG34(WW2最高傑作機関銃MG42の前モデル)の連射で、エイル兵がなぎ倒されるシーンが見たかったが。
この、イゼッタ救出は重大局面で見せ場なのだから、もっと救出に苦労をするよう工夫をするべきだった。

陳腐な設定を残したまま、物語は進んだが、もう本作では誰もハッピーエンドは期待していないだろうし、バッドエンドをどのように迎えるのか焦点はそこだろう。
10話でも十二分に分かることだが、ゲールは帝政に置き換えたナチスそのものだ。
皇帝オットーはヒトラーの置き換えと見た方がいいな。

海外評価サイトでは現実の国家にするべきだとの意見もあったが、もろにヒトラーを出すといろいろと面倒臭いことになるし、この設定は仕方がないだろう。
それと、何故か10話では不可侵条約を反故にし史実通りヴォルガ連邦(ソ連)侵攻を目論んでいるが、局面はヴォルガ連邦との戦いで何か変化があるのかな。
ゲールはゾフィーを使いこなせるのか?不安な一面を見せる描写もあったが、史実通りの予定調和やオレタタ終了は避けて欲しい。{/netabare}
もうクールも残り少ないし、11話は相当詰め込んでくるだろうな。

第11話メモ
{netabare}うーん、どこまでも御都合主義で物語を進めるのかな。
しかし、親衛隊(SS)を登場させてゲールの邪悪なイメージを増幅させ、相対的にエイルへの同情を誘う演出は稚拙過ぎる。

10話で伏線が張られたベルクマンの失脚の理由も暗喩を含めて説明不足である。
一般に重大な国家機密を握っている人物を何かの理由でパージするのなら、国内に軟禁して行動の自由を制限するのではなかろうか?
したがって、寝返る必然性を含めて今話の展開は首を傾げたくなる内容だし、更に輪をかけて核兵器もどきとV2のセットか…

ベルクマンが寝返るにしても、これだけの超兵器を取引に使えば、エイルを降伏させる流れの方が自然だろうな。エイルから情報に見合う膨大な金と身の安全の絶対的な保証でも取らぬ限り。
常識で考えれば裏切り者は裏切った国のみならず、国を売った事実だけで保護国でも信用はされない。
場合によっては保護国側が取引の材料に使うだろうけど、安直に信用して行動の自由を許すなどエイルは子供が運営している国なのか?
ベルクマンをゲールに手渡してはならないだろう。

魔石の持つ裏の現実を突きつけてもイゼッタには全く感情移入をしない。
寧ろ、フェーネの危機に都合良く間に合わせる御都合主義には辟易してきた。
本作のキャラの誰にも感情移入が起こらないのは、ゴルゴ13ほどのシビアさは求めないが、現実とファンタジーの接合が悪い上に振幅が激しいことと、間の悪い百合描写と御都合主義の展開が余りにも多いことに尽きるな。
国家の命運を背負った会議に向かうシーンが、フィーネの緊張感ではなく百合なら誰でも呆れるぞ。

もう、子供なら喜びそうな話にまで劣化してしまったな。

イゼッタの出撃シーンは特攻に飛び立つような雰囲気だが、緊張感も悲壮感も中途半端で全く共感しないな。
イゼッタへ感情移入が起こらないのはストーリーの拙劣さもだが、茜屋さんの演技力にも問題がある。

イゼッタのおっぱいアップのカットはサービスとして捉えておこう。{/netabare}

【最終回】
{netabare}結論から述べる。
最終回も残念賞。
粗を探せば多々あるが、しかし、広げた風呂敷の回収はしっかり成就させている点は認める。
そこに至るプロセスや、設定の甘さは除き、イゼッタは平和への対価としての犠牲とさせたが、あくまで救われない形で幕を引くということは、イゼッタの死か消滅であることを意味する。
戦争という苛酷な現実を世界観に設定したのであれば、一つの使命を果たしたイゼッタの殉死こそ世界観に見合った彼女の最後だろう。
ゲールという国家の滅亡とイゼッタの命の取り引きで物語は醍醐味あるバランスは取れるのだけれど、脚本は本質的に履き違えてしまったようだ。
2期を考慮していないのだから、視聴者に平和の使者イゼッタを印象づける意味でもバッドエンドにすべきだった。

幕引きに至るまでについては、以下の各論でこの作品の課題点を指摘する。

(アトランタについての軍事考証)
アトランタにとってはゾフィーもイゼッタも「戦略兵器」として捉えていた脚本は評価するが、派兵(動員)に関してはモデルとした戦前の米国の政治、とりわけモンロー主義をもっと研究するべきだ。
アトランタを物語の正面へ出す場合、ゲールの潜在的脅威のみならず、具体的な脅威がアトランタにあった事実を描写すべきだろう。
史実のWW2では我が国の真珠湾奇襲後にドイツは米国へ宣戦布告をしている。
つまり、民意が国家運営の土台である米国は、仕掛けられない限りは兵を動かせない、厳密に言えば(当時は)海外派兵のような大規模な陸軍の編成は戦時状態が生じた上での戦時動員が必要な国である。
国家の成立上、地方自治が高度に発達している米国における陸軍の平時編成は州知事に統帥権がある現役州兵が主体であり、ベトナム戦争以前までは、平時における州兵の動員は治安維持等法律の緊急限定事項を除き大統領統帥の範囲外にある。
州兵、予備役の動員は戦時状態が必要十分条件であり、大統領統帥権に基づく戦時動員をする為には「攻撃された」という既成事実と大統領判断のみならず、戦時状態(宣戦布告を含め能動であっても受動であっても)の議会承認が不可欠なのだ。
つまり、当時の米国のシステムでは戦時状態を認識し、陸軍の戦時動員を完成するには1年近くかかるはずだし、動員編成に関しては軍事マニアの基本的な常識。
余談だが、太平洋戦争においてガダルカナルから反攻を開始し、太平洋戦線で終始戦闘を繰り広げたのは海兵隊である。
現在は第4軍として独立した地位にある海兵隊だが、当時の海兵隊は海軍の指揮下にあり、海軍は陸軍とは異なり平時から大統領の統帥下にある。
海兵隊は有事発生の際に速やかに編成動員可能なメリットがあるが、戦術使用は可能でも一国家を軍事的に降伏させるのには戦力不足であり、戦争終盤では陸軍の役割となる。
太平洋戦争も終盤の海軍主導の中部太平洋戦線の硫黄島、沖縄では米陸軍も戦闘に参加しており、陸軍のマッカーサーが率いる南太平洋戦線が膠着気味であったのは、動員編成が複雑な陸軍の特殊性によるものだ。

ノルマンディーにしても、あれだけの大部隊を編成する為に宣戦布告から2年半近くの準備期間を要している。
本作では大使の進言から数ヶ月でブリタニアに派兵をしているが、アトランタの政治システムや軍事常識外の陳腐な設定であったことが窺い知れよう。
各国の政治や、陸軍の性質をもっと研究した脚本でなければダメだな。
特に米国は正当な理由に基づく徴兵拒否を認めている国でもあり、戦前の我が国のように赤紙1枚で簡単に頭数を揃えられない複雑な事情もある。
完全志願制の我が国自衛隊の悩みは予備役の不足であるが、いざ戦争となれば現役の員数ではなく、予備役や後備役の動員がどれだけ可能かで、その国の軍事力が決まる。

登場国家こそパロディではあるが、史的事実関係に沿った脚本を評価していた折に、アトランタ参戦プロセスの端折り方は軍事設定において致命的とも言えるミス。
WW1のように、ゲールのUボートがアトランタの民間船舶を攻撃したシーンでも挿入しておけば、アトランタの派兵には現実味が帯びたのだが、残念だ。

(ベルクマンに見る脚本の底の浅さ)
まず、ベルクマン失脚の動機が曖昧なのは前回にも記したが、単に知りすぎた人物というだけではなく、もっと具体的な説明が必要であっただろう。
結局、ベルクマンはゲールへ引導を渡した物語のキーパーソンなのだが、その描写が雑過ぎたのが頂けない。

フィーネとイゼッタの百合百合しい関係の尺を、ベルクマンという人物の掘り下げに当てればまた違った評価となっただろう。
愛国心より個人の命が優先するとした利己的なベルグマンの人物像の描き方は、倫理的な抵抗はあっても、ある意味では真理だ。
しかし、それをゲールの国民の一人として描いたことに、脚本の政治的な意図が感じられなくもない。

脚本が、史実として祖国敗戦後でもゲールのモデルとなったドイツ人気質とはとのようなものであったかは、シベリア抑留記で記述されているドイツ人捕虜だが、ソ連に屈せず最悪の環境を甘受してドイツ人としての誇りを抱きシベリアの土になった事実を知っていればベルクマンのような描き方ができたのであろうかな。
ドイツ人捕虜の高貴な態度に胸を打たれた著者は、自分可愛いさに次々と祖国日本を裏切りソ連へ忠誠を誓っていく周囲の日本軍捕虜の節操のなさを憂いていた内容だった。
これは、15年程前に『丸』が特集していたシベリア抑留記に書かれてあった。
おそらく、ヒムラーやゲーリングのような往生際が悪かったナチス高官や、連合国に脚色されたドイツ人のイメージでベルクマンの人物像を設定したように思う。
ドイツ人であれ、アメリカ人であれ、日本人であれベルクマンのような人物は確率的に存在するのは認めるが、ネガティブな人物であればこそ、人物描写を掘り下げなければベルクマンがドイツ人代表のような間違ったメッセージを与えかねない。
そう考えるとやはり脚本の底の浅さは拭いきれない。

危険人物として暗殺の対象とされたにも関わらず行動の自由を許したゲールの対応や、売国人物と知りつつエイルがベルクマンを利用した浅はかさは「国家」というものを脚本が理解をしているのか甚だ懐疑するお粗末な展開だった。
ベルクマンとミュラーは同じ情報を扱う者として、国家への忠誠に関しては対極的に描かれている。

ミュラーがエイルへ絶対忠誠を誓う背景には彼が貴族であることが挙げられよう。
爵位は国王から授けられるものであり、国家(というより君主)に対し絶対服従を誓う根拠ともなり得る。
ベルクマン部下のリッケルトも貴族家系ではあるが、彼の国家への忠誠心もミュラーと通じるところがあるだろう。
脚本はミュラーをリッケルトの隠喩としても表現し、ベルクマンとの応酬を通してベルグマンの性格を掘り下げたかったかな。
更に、バスラーの愛国心を強調し、ベルクマンという人物像を確立したかってのかもしれないが、これだけ物語のキーパーソンとして活用した以上、ベルグマンの直接的な掘り下げをしなかったことは脚本の怠慢としか評価が出来ない。
最後は生き延びて、アトランタへ魔女の力で得た核兵器を売却したようだが、この人物の生き様は、百合や他のサブキャラの描写を減らしても尺を取るべきだった。

(ゲールがヨーロッパ征服を試みた動機が意味不明)
さて、本作はWW2を背景とした世界観だが、ヒトラーが何故欧州大陸で戦火を拡大させたかを理解しているのかが甚だ疑問なストーリー展開である。
そも、ヒトラーは全欧州の覇権を握る意図があった訳ではない。
ヒトラーの目的はWW1で喪失した旧帝政時代の失地回復であり、ポーランドを占領したのもWW1の結果でポーランドが独立し、飛び地となった東プロイセンとケーニヒスベルクの回廊復活が目的だ。
ヒトラーの政策の第一目的は「ベルサイユ体制」の破壊であり、当時のドイツ国民が支持したのもこの政策を掲げたナチスに対してである。
ヒトラーとて、それ以上のことはドイツの国力を考えても出来ないことは重々承知をしていた。
したがって、ベルサイユ体制の守護者である英仏と本格的な戦争状態となることはヒトラーの本意ではなく、ポーランド侵攻までには相当の外交努力が行われていることは注視をすべき点である。
当時の英仏もWW1の後遺症から抜け出せてはおらず、可能な限り外交交渉で決着を図る姿勢でドイツの要求を呑んでいた。
ヒトラーはポーランド侵攻にあたり、ソ連と不可侵条約を締結し、モロトフ=リッペントロップ秘密議定書に基づき、西からポーランドに侵攻、東からはソ連が侵攻しポーランドは消滅した。

勿論、ソ連との不可侵条約は後に明らかになるようにドイツ側の欺瞞工作である。
東プロイセン回廊の確保でヒトラーの目的は達したが、ポーランドと軍事同盟を締結していた英仏は「集団的自衛権」に基づきドイツに宣戦布告をする。
ヒトラーはポーランドに関する英仏の感触や、ソ連もポーランド侵攻に同意したことで英仏との対立は避け得ると判断したが、英仏はソ連は黙殺しドイツのみに宣戦布告を行う。
ヒトラーとしては不本意な結果を招いている。
実際宣戦布告をした英仏もポーランドを直接助けることはせず、ドイツとの軍事衝突を避けていたのだが、ヒトラーのタイムスケジュールには第二段階としてソ連侵攻があった。

しかし、フランス侵攻をヒトラーが考えたのは、対独英仏宣戦布告が明確な動機であり、隣国であり大国であるフランスが宣戦布告を放棄しない限りは、常に軍事的な脅威に晒せれることとなり、今でいう「先制的自衛権」という考えから軍事侵攻に踏み切ったものだ。
フランス侵攻と同時に英国のチェンバレンが辞職し、対独強硬派のチャーチルが首班となり、これでヨーロッパでの全面戦争が不可避となった。
つまり、ヒトラーのフランス侵攻はドイツにとっては防衛であり、彼が描いていた大ドイツの図版には含まれてはいない。
中央ヨーロッパや東ヨーロッパには傀儡政府を樹立せず、ドイツ直轄の軍政であったが、フランスには傀儡政府(ビシー政府)を樹立した点、南ヨーロッパにはヒトラーの盟友ムッソリーニがおり、イタリアの勢力圏をドイツが奪う意思はなかった。
スペインは中立国だがフランコ体制の同国も、ポルトガルに対しても領有の意思は見せてはいない。
ただ、イタリアがあまりに軍事的に情け無い戦いを続けムッソリーニがヒトラーに泣きついてきたことから、南ヨーロッパやアフリカへも派兵をせざるを得なくなり、イタリアの降伏で南ヨーロッパ戦線の維持をドイツ一国が背負うこととなったのは、ヒトラーの意図以外の不確定要素から生じた出来事である。

ダンケルクでの詰めの甘さは、ヒトラーがなお英国との和平を切望していた証しでもある。
しかし、チャーチルの強硬姿勢に結局、対英問題解決は軍事的な勝利しかないと悟ったのでろう。

ソ連侵攻の目的は『我が闘争』にもあるように、ユダヤ人の抹殺とスラブ人種の奴隷化と天然資源の確保であり、これは政権に就く以前からの思想であるので、ソ連がどのように下手に出ても戦争は不可避であったと思う。
『我が闘争』を読んでも、また、現実のヒトラー政策を考えても、彼の大ドイツ構想は東方拡大であり、全欧州にまで野心があったものではない。
フランスが対独宣戦布告をしなければ、フランスへの迂回路であるベルギー、オランダの軍事占領が行われたかも疑問だし、フランスを含む、南ヨーロッパは元来、彼の図版の外にある。

本作ではゲールがヨーロッパ征服の野望を如何なる動機で抱いたのかが不明瞭であり、かつ当時のドイツを巡る欧州情勢や史実は上記のとおりであり、ゲール(ドイツ)を無条件に悪者とする姿勢は、ハリウッドB級映画のテンプレや、ニュルンベルク裁判史観や侵略者ゲールを設定したのは、安直かつ幼稚に思えてならない。
WW2の設定を用いるのであれば、ゲールの国家戦略も政治的に詰めて設定すべきであろう。

(フィーネ発言の真意)
アトランタの意見では魔女を抱える国は戦略的に絶対的な優位を誇ることとなるが、それはアトランタが述べるようにゲール亡き跡の安全保障に直結する課題だ。
アトランタがこの会議に参加した経緯には大きな疑問があっても、発言趣旨そのものは妥当だろう。
フィーネはここで、イゼッタ個人の死ではなく、レイラインの魔力を吸い上げた結果は魔法そのものがこの世から消え失せるとした発言をした。
しかし、フィーネの最後の涙はイゼッタは死ぬかもしれないとの絶望のメタファーであり、その死を以ってしてアトランタの懸念は取り除けるとした大義と私情の狭間で大義を取った指導者の意見であると私は考える。
反面、フィーネの本音は魔女イゼッタではなくイゼッタとなっても愛情には些かの変化がないことと、自らの力量不足をカバーしてくれたイゼッタへの感謝の涙でもあろう。
私情と大義の狭間に揺れるフィーネは、指導者としては未熟だが、人としては共感を得るものと思う。
このフィーネを描いた脚本は評価できよう。

(イゼッタとゾフィーの対決)
イゼッタとゾフィーの属性については「(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)」で述べるので、ここではラストの対決に的を絞る。
パリ上空を舞台に繰り広げられた、白熱のバトルシーンの描写に関しては、圧倒的な作画で十分に楽しめる内容だ。
イゼッタがエッフェル塔を折るところは凄い迫力だが、迫力においてはゾフィーも負けてはいなかった。
しかし、命が惜しいゾフィーに対し、イゼッタは自らの死を厭わずに最大魔力で応じている。
イゼッタの気迫勝ちだが、イゼッタが死をも辞さない覚悟を抱くプロセスがお粗末である為に、本来は十二分に感動するべきシーンなのだが、私には50掛けとなってしまった。

(オットーの自殺)
史実でヒトラーは自殺をしたが、その状況に合わせたのかな。
しかし、史実のドイツの末期はとても悲惨であり、ヒトラーはソ連兵が闊歩するベルリンの地下壕で自殺を図っている。
本作のノイエベルリンの描写では末期ベルリンの断末魔の悲鳴が伝わらない。
私は実際、壁崩壊直後のベルリンと壁の緩衝地帯にあった空き地のまま放置されていた、総統大本営地下壕跡を訪れているから、余計に陳腐に思えるのかもしれないが。
ノイエベルリン市民が参加している地上戦を描いた方が、追い詰められたゲールの直喩にもなったろうし、オットー自殺にも説得力があっただろう。
オットーにずっと付き添っていた側近エリオットは架空設定だが、自殺を確認したという意味ではボルマンがモデルだな。

(イゼッタの忠誠をフィーネ個人への愛情で描写した短絡さ)
本作で最も問題となるのは、イゼッタの立ち位置だろう。
本作では執拗にイゼッタとフィーネの過去の出会いを描写し、イゼッタはフィーネへ恩義を感じていることを強調している。
また、フィーネは一国の君主の立場を超えてイゼッタを大切にすべき友人から愛の対象として描いている。
本作も多くの視聴中断者を招いたが、その原因の多くは百合展開である。
世界観と百合のミスマッチが視聴者の嫌悪感を招いたと思うが、それには十分同意を出来る。
脚本の吉野氏には戦時と平時の見境がついていない旨の指摘を散々してきたのだが、平時が背景での百合展開ならば、そうとも割り切れる。
『ソ・ラ・ノ・ヲ・ト』は平時における兵士達の日常を描いた内容であるから、百合要素もエピソードの一つとして受け入れることは出来る。

しかし、国が危機に際している状況で百合でイゼッタの忠誠心として描くのは、戦争という無慈悲で凄惨な現実を余りに茶化してはいないかな。
イゼッタはフィーネの存在がなくても、戦争を終わらせる為にはゲールと対決する心構えがあれば、平和の使者としての彼女に大きな共感が生じただろう。

しかし、フィーネという個人に陶酔する余り、彼女の理想を現実化したいという利己的な理由でゲールと対峙させても何も共感は生じない。
戦争というのは一個人の理想ではどうにも出来ない過酷な現実であり、魔法というチート能力の設定を用いるところを錯誤し、現実とは大きく乖離してしまったことは本作最大の失敗であろう。

魔法と兵器の対決はエンタメ的には間違えてはいない。
『ストパン』もそういうファンタジー設定で人気を博したのだから。
しかし、本作は『ストパン』よりも妙にリアルを追求しているが故に、ファンタジー設定をよく練らずに用いると、世界観との齟齬や乖離が生じるリスクと裏腹の関係となることも指摘済みである。
軍事オタが本作を評価しない点はこれに尽きる。

更に、イゼッタの理想は大義に立脚したものではなく、フィーネの理想の具権化であったこともWW2という大きな器に対しては説得力がないものとなった。
海外評価が辛辣なのは、イゼッタの正義はフィーネの借物の正義であり、百合感情で得た極めてストイックに反する俗物的で許容しがたい点にあることだ。
ゲール討伐という大風呂を広げず、フィーネとの愛情物語に路線展開をすれば、また別の評価を得られたであろう。
最後、イゼッタが生き残る点も、殺したくないスッタフの御都合主義だと思うが、殺した方が殉教者となる訳だし、魔女というキリスト社会においては極めてアグレッシブな存在に対する明確なメッセージとなったはずだ。

逆に、エイルで過去に魔女裁判にかけられ、命を落としたゾフィーに私に共感を抱いた。
だってそうだろう。
ゾフィーは本気で愛したかつてのエイルの国王の遺言によって異端審問の上処刑された。
異端審問が吹き荒れ、魔女狩りが横行していた当時の欧州情勢を考えると、この国王の判断こそ、フィーネが見習わなければならない、私情を捨て大義を守る指導者としての矜持だが、大義には犠牲が生じ、多くの私怨を招く。
その意味でも私怨でエイルを滅ぼしたい気持ちは正直で嘘偽りはないだろうし、イゼッタの偽善よりも遥かに自然な感情だ。
更に、感情移入はゾフィー役に雨宮さんの熱演もあったのだが、対しイゼッタ役の茜屋日さんの演技力には課題を残している。

イゼッタが述べた「みんなの命を預かる人はたった一人に拘ったらダメ」はそのままイゼッタへのブーメランとなり、このセリフを吐かせながら生き延びるのは余りに矛盾が過ぎるのではなかろうか。
更に、回想でフィーネが百合私情を振り切り涙ながらにイゼッタへ戦いを命じた描写を感動として活かし、イゼッタがゾフィーに語った大義(私情に揺さぶられた偽善的な大義だが)を衝突させたのであれば、ジンテーゼは視聴者へ判断を委ねる、双方生死不明のメタファーとして結論付けなかった方が良かったのではないかな。
よって、最終回でイゼッタも消えていれば良作ではあったと思う。{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 64
ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

終末のおとぎ話

【視聴完了して追記と改稿】 *2016/12/19再追記

架空のドイツ(と言ってしまっていいだろう)がヨーロッパ侵攻を開始した、架空の第二次世界大戦初期、侵略にさらされる架空の小公国が魔女の力を借りて抵抗する世界。

近代兵器と戦う魔法の面白さが主眼のようだが、序盤の近代兵器vs.魔法のビジュアルは良く工夫され、臨場感にあふれている。
特に、アンチマテリアル・ライフル(この時代なら対戦車ライフルと呼ぶべきだろうか)に跨った魔女と戦闘機の「空中戦」は、一気に視聴者を世界観に引き込む巧妙な描写に満ちた秀逸なものだ。


作中でも何度も言及されている「20世紀」的な近代戦と「世界」の非情に、時代錯誤的なおとぎ話の魔女が対抗する対比が狙いのようだが、これに相応しく、魔女と手を携えるのが「お姫様」であるのは、物語上の整合性が、一応はある。

国民の生命と安全を守るために一身を投げ出そうという宣言が、選挙で選出された政治家のものではなく、尊い血の宿命から発せられた「お姫様」のセリフである皮肉は、20世紀的非情に「おとぎ話」性がいずれ敗北してしまうであろう悲劇性を予感させるのだが、しかし、それにしては背景の設定が突き詰められた印象が無い。

国民、というより「臣民」を守ろうとする「お姫様」だが、無辜の臣民を守る盾である「兵士」それ自体が、徴兵されて銃を持たされている「無辜の臣民」の一員であるという20世紀的な事態に自覚的ではないようだ。
祖国防衛に「進んで」臨む徴兵兵士は、国家と自分が連続しているという「観念」を教育された民主社会の市民の姿であって、残念ながら「公女」に所有される「臣民」の姿ではない。

同様の無自覚は、全国民を恐怖政治で支配したのが、議会工作で成立させた法律によって「独裁者」となった「選挙で選出された首相」であった現実のドイツを、オカルト的な野望を持つ「至尊の」「皇帝」に統治される架空のドイツに無造作に置き換えた、敵の設定にも表れている。

そんな理屈に興味はない視聴者が殆どで、ただビジュアルを楽しめばよいのかもしれない。

が、そうもいかないのは、この「理屈」が、ビジュアルの眼目である近代兵器や、その運用を生み出している原動力であるからだ。


この「理屈」の根本は、「世界にも等しい無限の内面を内包した、理性的で完結した個人」という人間像が崩壊した、20世紀的な事態にあるようだ。

第三帝国を自称してはいても、法制度上では「帝国」に移行したわけではなく、立憲民主国家のまま「首相」が「法律」によって全体主義独裁国家を支配して「世界制覇」に乗り出したのが現実のドイツだった。
作中では描かれてはいないが、同じく民主革命から生まれた「ボリシェビズム」という全体主義と、アメリカニズムという全体主義が立ちふさがったのが第二次世界大戦だったと言えるだろう。
(アメリカの全体主義は、全国民を「消費者」として組織化したところにある。貧乏人=金銭が支払えない=消費者になれないものを社会の外部に排斥して野垂れ死にさせるのは、「収容所」に収容することと意味的に等しい)

民主制のこのような不調は、民主制を担う自律的で理性的な「人間」の崩壊に関係している。

この、自律性を失った壊れた人間=半ばモノになってしまったような、機械のパーツのような人間観は、政治だけでなく様々な文化芸術に影響し、戦争それ自体に対しても例外ではない。

意味性や精神性と断絶した物質的「科学」の技術性を体現する工業化が、ライン作業に代表される、歯車化した「人間」と生産設備のコンビネーションを実現する。

最新兵器の量産は、こうした「歯車」人間の全てを部品として配置する全体主義国家の「総動員体制」によって推進された。

大戦初期で圧倒的な戦果をもたらした「電撃戦」の要諦もまた、通信機と時計でコントロールされた「機械」と「人間」のシステマティックな連動であり、何よりも「システムの部品」化した人間を前提として実現される。

機甲部隊に代表される〈マン-マシン系〉として統合されたシステムは、「鋼鉄のロマンチシズム」といった美的表現として文化的にも受容されたが、このような機械融合的人間を「美」と感じる感受性は、今日でも多くのミリタリーファンを生み出す一要素でもあるだろう。

近代兵器の戦闘を、アクションとして「カッコよ」く「面白い」と感じる感性は、このように、必ずしも軍国的主張と直結しているものではなく、一つの時代精神の文化的要素の一側面でもあるのだ。

こうした、複雑で巨大な「理屈」である時代精神は、何が原因で何が結果なのか判然としない程に絡み合い、眩暈さえ誘発する。

その「理屈」を十分に見据えることなく、一要素である「カッコよさ」や「面白さ」だけを抽出しようとすると、「作品」という構築物が大きくゆがむことになって、肝心の「カッコよさ」が十分に発揮されなくなる懸念を抱かせる。



あの大ヒットアニメが、戦車から「おぞましさ」や「禍々しさ」を完全脱色し、「楽しさ、面白さ」だけを蒸溜抽出するために、「戦車道」という言語道断の大ウソを土台に「世界」を丸ごと創造したことは、本作と好対照をなしている。

「カッコいい」玩具としての戦車を、可愛らしい少女が「楽しく」操る「大ウソ」の「世界」は、「戦争」映画ではない「戦車」映画という、誰も想像しなかった形で見事に成立した。

通常はミリタリズムとは切り離せないはずの戦車から「楽しさ」だけを取り出そうとする娯楽への徹底した意思が、常軌を逸したディテールの追及によって逆説的にミリタリズムそのものを作品外へ放り出す批評性に突き抜けるまでに至ったのだが、「現実」を引きずる本作の設定は、逆に兵器の「カッコよさ」が危うくなる危険をはらむことになってしまう。

異様に拘泥したディテールの蓄積が、戦車の存在のリアイティを一切の現実的「背景」から切り離して問答無用に成立させていたのに対し、「20世紀」というセリフが作中で頻出するように、本作においては兵器のリアリティを現実の時代性に依存しているからだ。

しかし、上述したように、民主制の不調として現れる全体主義国家の「独裁者」の代わりに、血統によって「所有」する「皇帝」や「お姫様」に単純に置き換えたことによって、総動員された全体主義国家の国民によって生産される「20世紀」の「近代兵器」が、足場を取り払われたような不安定さを呼び込んでしまう。


はたして、近代兵器に対決するものとして持ち込まれた「魔法」は、新しい何かを語ってくれただろうか。



{netabare}冒頭に記したように、現実の歴史性などを描写する意図はなく、単に魔法vs.近代兵器のビジュアルの面白さを描くのが主眼だったという観方もできなくはない。

が、全体としてみると、架空の国家という設定に寄りかかりすぎて、肝心の近代兵器が、全体主義国家同士が、世界をおのれの全体性に組み込もうとして激突した第二次大戦と強固に結びついてしか存在できないという「理屈」を、やはり軽く考えすぎているようだ。

例えば、チャンバラの面白さを描くための時代劇があるとして、登場人物が「身分の差に阻まれて自由に恋愛できないなんて人間の尊厳を傷つけている」と発言すれば、強烈な違和感を感じるだろう。
同じ人物が「殿の無念を晴らすため」クライマックスのチャンバラを引き起こすとなれば、違和感どころか肝心のチャンバラ自体の面白さそのものが「あり得ない」と感じられるに違いない。

全体主義の「首相」を「皇帝」に変え、究極の全体性が争われた世界大戦を「悪い王様」と「健気なお姫様」の戦いに変換する作為は、こんな例え話の陰画と言える。

「理屈」に合っているいるかどうかは、アラ探しの言いがかりではなく、チャンバラ=魔法戦が面白くみられるのかという印象をダイレクトに支配するものだ。
「理屈」っぽい議論が嫌いであっても、「印象」の違和感からは、やはり逃れられそうもない。


現代人が戦争の悲惨として想起する「戦場や都市を埋め尽くす無数の死体の山」は、世界大戦の記憶に由来している。
大量死=悲惨=戦争は悪、の連想は、「お姫様」の忠実な「騎士」が首級を争う戦争とは全く異質な20世紀性=部品化した人間が戦争の資源として総動員される全体性の「理屈」に深く結びついている。

戦場を埋め尽くす「廃棄物のような」兵士の死体は、壊れた兵器の部品が散乱している戦場の光景とパラレルだ。
ミリタリーファンを喜ばせる整列した兵器という「工業製品」が並ぶ光景もまた、部品化して整列させられる「人間(のかけら)」と同根源であって切り離すことができない。

20世紀の戦争の「悪」は、人が死ぬこと自体ではなく、部品化した人間を戦争の「歯車」として「例外なく」強制的に配置する、支配の非情な全体性にある。
全体主義が「悪」を生むのではなく、「悪」の政治的表現として全体主義が現れる。
大量性に埋没する廃棄物のような死もまた、「悪」の原因ではなく、結果だ。

「死」そのものが問題であるのなら、廃棄物としての「死」もまた、「王様」が聖性を保証する忠実な「騎士」の名誉ある固有の「死」と同一視して賞揚してやれば済むだろうし、現実にもそう作為されている。
が、それは歯車化の強制の隠蔽として、欺瞞的に称賛されている「嘘」に過ぎない。
「嘘」はどう言いつくろっても「ウソ」であると直観されているからこそ、現代の「戦死」や「兵隊」を美化する言説は、正しさを強調すればするほど、胡散臭さもどこまでも増す。


このように、登場人物が口にする「20世紀」の戦争という「背景」には、「お姫様」や「皇帝」はどちらも矛盾して、落ち着き場所が無い。

作中では、魔女の秘密を知った徴兵兵士が密殺されたり、ドイツの情報将校が任務中にあっさりと落命するエピソードで、部品として廃棄される20世紀的非情性を意識しているように見せかけてはいる。

が、廃棄物のように量産される匿名の屍者の群れを描きながら、ドイツ情報将校の墓を見せたり、魔女やお姫様の宿命的な苦悩を描くといった形で、特別な「固有の人間性」を無造作に持ち込んで並べてしまう描写は、この「背景」の「理屈」に対して、真剣に考慮したり、そもそも視野に入れているのかと疑わせる程に無頓着だ。
それは、それぞれのエピソードの「唐突感」と「ご都合感」という「印象」として現れる。


別に、現実の歴史性に矛盾しているからよくない、という話ではない。

問題は、「ファシズム」や通俗的な「戦場の惨劇」を「舞台」から排除した安易な「政治性」などではなく、設定した「舞台」と「理屈」の突き合わせを欠いている、という単純なことだ。

置き換えられた「皇帝」では、大量生産される兵器の「美」と「世界大戦」を支える「背景」を持ちこたえられない。
その裏返しとして、「お姫様」も「世界の救済」を持ちこたえられない。

終盤で、戦術行動に組み込まれて発動する「魔法」は、現代の巡航ミサイル技術のような形で描写され、魔法という異質な力ではなく、現代的な「オーバーテクノロジー」が大戦兵器を凌駕しているに過ぎないようなビジュアルに落ち着いてしまうが、「20世紀」と魔法との対立を、真剣に「理屈」にわたって考察することを怠った結果に思える。

さもなければ、原爆に似た「決戦兵器」やミサイル状の攻撃を、「魔法」でひとくくりにはしまい。
近代兵器を支える20世紀性と魔法が対立するものならば、20世紀科学による「原爆」という非情な「大量死」兵器を、「魔法」によるミサイルで精密誘導する方が相応しいだろう。

結局、「架空の国」と「魔法」に寄りかかった「理屈」の軽視が、ビジュアルやストーリーの緊迫を削いで、安易に流れたという印象を拭う事が出来ない。
「善い魔女」と「悪い魔女」の戦いに収斂してゆくストーリーからは、登場人物の語る「20世紀」という「言葉」は意味を失ったただの音声と化して、兵器の存在感と共に霧散してしまった様だ。

戦争を没歴史的に「人の戦い」一般に解消してしまっては、「20世紀」戦争の「悪」に指一本すら触れることはできないだろう。
ラストで、「理屈」を軽視した一般化を語るのが「お姫様」であるのは、本作の必然と言っていいものだろうか。
無内容な「一般論」に「20世紀」が解消されると同時に、視聴者のいる「21世紀」へと繋がる通路もまた霧散した。

「おとぎ話」を駆逐した近代という時代が決定的に揺らいだ「世界大戦」に「おとぎ話」を対決させるトリッキーな構成は、結果的に土俵すら成立できない不発に帰結してしまったようで残念だ。


【追記】

ラストに登場するイゼッタの顔の見えない描写は、生きていたというよりも「半ば廃人化した余生」と読み取れた。

「戦死」よりもなお悲惨な印象を与えるが、時代の「悪」を「魔女」が単身で引き受けて破滅することで「浄化」する、という展開こそが、「理屈」の軽視を示しているように思われる。




とはいえ、この破綻は、いささか興味深い側面がなかったわけではない。

おとぎ話のような「現実的でない」お話を近代が駆逐していくとき、勃興してきたのが「SF」というジャンルだった。
それこそ「非科学的」な戯言と鼻で笑われる「おとぎ話」を、それならば「科学」を土台にして創ってやろうという倒錯した意思が、SFというジャンルを定義している。
「現実」が「おとぎ話」を鼻で笑う事など許さない、という倒錯した意志が。

浮き沈みはあるにせよ、「あり得ない」おとぎ話を「科学」的な土台の上にでっちあげる、サイエンスとフィクションのエッジの上に構築物を築き上げる強固な意志が、今日までSFを継続させている。

が、近年のライトノベルやアニメでは、構築の意思が著しく後退しているようだ。

何らかの異世界や超常能力を描くとき、「科学」の土台を作り上げる〈サイエンス/フィクション〉の構築性は放棄され、「魔法」や、さらに説得的な設定のない「異能」で済ませてしまう作品ばかりが目に付くようだが、「科学」のみならず、土台に何かを構築して「おとぎ話」性を支える「理屈」の必要性までも、ここでは放棄されている。
それは同時に、「現実」から鼻で笑われることへの無感覚でもあるだろう。

本作もまた、20世紀的科学性に対抗するモチーフを持ち込みながら、疑似科学の構築ではなく「魔法」の導入を選んでいる。

リアリティというものが「現実」に対するフィクションの反抗であるとするならば、それはガジェットの導入「だけ」で実現できるようなものではないのだろう。

製作者や作家だけではなく、視聴者や読者も積み上げられる「理屈」に耐性が無くなっているのかもしれないが、「理屈」の軽視がビジュアルやストーリーをどう貧しくするのか、本作が一つの指標となるかもしれない。{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 10
ネタバレ

明日は明日の風 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

第二次大戦を下地にした魔女と王女の物語…信じ尽くす大切さを問う物語

この秋、ユーフォ二期とともに期待した作品でした。第二次世界大戦のヨーロッパをモチーフに、小国の皇女が大国に立ち向かう。それに加わる魔女、これは面白そうだし、1話で引き込まれてしまいました。展開しだいではそうとうな作品になる予感がしました。

1話…あっという間に引き込まれてしまいました
{netabare}小国の皇女(モチーフはスイス?…ではなくリヒテンシュタインだったようだ)フィーネが、大国で戦争しかけているゲルマニア(どう見てもドイツ)の脅威から自国を守るために、同盟を求めてイギリスっぽい国にいく話でした。
道中で敵から逃れるために奮闘するフィーネ。従者は倒れ、自国はとうとう戦争に巻き込まれ、自らも囚われとなっても信念を曲げないフィーネがカッコいいです。それからキャラデザインも良いです。最後に主役のイゼッタが登場してフィーネを救う場面で次回へ。箒でなく銃に乗った魔女のイゼッタ、こんな設定もありかと。

1話があっという間に終わった感じです。これは面白そう。最後までこの面白さが持続しますよう祈ります。{/netabare}

2話…二人の絆
{netabare}フィーネのピンチを救ったイゼッタ。国にたどり着いたは良いけど、フィーネは重傷。イゼッタとフィーネの関係が深いものだった事が分かり(1番肝心なところは後回しみたいだが)、イゼッタはフィーネの国を救うことを決意する。

魔女狩りのピンチをフィーネが体を張って救ったのかなと思いますが、イゼッタがどうしてゲルマニアに連れられそうになったのか、興味がありますね。とにかく深そう。まだ2話か、先が楽しみで仕方ないです。{/netabare}

3話…最終兵器魔女
{netabare}大国に攻められる小国、兵士たちのフラグたちまくりのなか、戦闘は圧倒的不利な状況。大国の軍は余裕降りまくり、これフラグだよな?
そこにイゼッタが参戦、なんだこの魔女は?圧倒的ではないか!ランスのファンネル?楯?おいおい、つえぇぇぇぇぇl!
ピンチはたった一人の魔女によって救われた。という展開。それと、フィーネの心の強さと王的資質いったら…惚れます。これは思っていた以上に面白い。つかみはすごく良かったです。でも、鬱な話も有るんだろうな…{/netabare}

4話…魔女の秘密
{netabare}魔法が使えるのは特定の場所のみ。そこから外れると使えないという。
フィーネの父、つまり王が亡くなり、フィーネが王位へ。そこでイゼッタを登場させて白き魔女の再来を告げ、他国への牽制も狙うという。
イゼッタとフィーネの過去が明らかとなり、イゼッタが忠誠を誓う理由が分かりました。それにしてもフィーネがカッコいい。

白き魔女の裏切り、気になります。イゼッタがゲルマニアに捕らえられていたこともあり、再び捕らえられて洗脳させられ…なんてことないよね? あまりにもフィーネとイゼッタの絆が強いから、イヤなフラグに感じます…{/netabare}

5話…探り探られ
{netabare}フィーネの王位継承式でイゼッタを面前に披露。その能力を世界発信して、他国を牽制させる狙いだ。
白き魔女の末裔の存在はやはり影響が大きく、小国を無視できなくなっていた。が、ゲルマニアはその存在を見透かし、イゼッタに弱点が有ることを察知する。
ゲルマニアの侵攻が再びはじまるが、そこは魔法が使えない場所。フィーネ達は策を練り、その侵攻を食い止める。という展開でした。

大国対小国の心理合戦、なかなかの筋書きでした。ただ、ゲルマニアの諜報部員が入り込み、イゼッタの弱点がバレそうな気配、眼鏡君も加わりそうな気配が…眼鏡君、いっぱいフラグ立てているからなぁ…。

ここに来て、ちょっと粗が見えてきた気が…。近衛が全員女子というのはさすがにないかと。しかも、先祖伝来って言うからね。近衛師団の女子団っていうことにしていいのかな? ま、細かいことだけど。{/netabare}

6話…貴重な眼鏡君
{netabare}小休止の日常回…と思ったのは前半だけ。ゲルマニアには何か研究施設があったり、新型戦闘機が製作されていたりと着々と準備始めてます。研究ってまさか核じゃねぇよな?
ブリタニアで会議が行われるためイゼッタ、フィーネが向かうことに。その頃、スパイの報告が入り、ジークが向かい、イゼッタの秘密を知っている眼鏡君を射殺…そうだ、この話は戦争の物語だったね。ジークの決意を聞いたときに、そういう役目を負う人間が必要だよねと思った。

バチバチ戦う以上に緊張感あるストーリーだったように思います。前半の日常も良かったですけどね。フィーネの可愛い部分が見えて。ただ、パイを食べているフィーネがどうしても小鳥ちゃんに重なったのは何故だろうか…。{/netabare}

7話…いっしょにおいで
{netabare}ブリタニアに到着したフィーネとイゼッタ、そこにはゲールに対抗する諸国のお偉いさんが会議をしていた。ゲールは空母を完成させ、さらに強力な力を手にしていたという。フィーネはイゼッタが空母を蹴散らすと告げる。
魚雷を従えて空母に向かうイゼッタ。しかし、空母はすでに出航、敵に動きが読まれていたのだ。待ち構えていた敵兵に狙われるイゼッタ。4発あた魚雷は2発失い、しかも海に墜落。魔法使える地場からずれたのだ。魔力使えるポイントには空母が、そこでイゼッタは空母の隙を狙い、魚雷をぶち込む。見事空母を撃破。しかし、その動きでベルクマンに弱点がばれてしまい、しかも、なぞのカプセル登場で次週。

ゲルマニアはイゼッタのほかにも魔女を捕らえていたようだ。ということは、イゼッタを逃してものうのうとさせていたのは、魔女の力がどんなものか、弱点は何かを探っていたということなのかなと思う。ゲルマニアも実際に魔女の力がどんなものか計りかねていたのではないだろうか。
イゼッタが戦っているシーンは痛快なんだが、服の汚れぐあいとか、一生懸命さとか見ていると、なんか切なくなる。不幸な話にならないでほしいと心から思います。{/netabare}

8話…スパイと近衛の小さな恋物語
{netabare}エイルシュタットに潜入したリッケルト。目指すは旧城、その途中で出会ったのがビアンカとロッテだった。ロッテの実家の宿屋に宿泊し、ビアンカとも仲良くなるが、目的である旧城に潜入。そして発見した白き魔女の秘密。その証拠を持ち帰る途中に近衛に見つかり、ビアンカに撃たれて絶命するリッケルト。ビアンカもまさかの展開に呆然とするしかなかった。リッケルトに証拠を託されたローレンツもまた、近衛に狙撃され死亡する。証拠は謎の住民に引き継がれ…
一方、ブリタニアでは仮面舞踏会が開かれ、フィーネとイゼッタが外で踊ろうとしたところに現れたベルクマン(なぜお前がここにいる?)と謎の少女。謎の少女はイゼッタの唇を奪い、口を切らせて血を吸う。その瞬間、謎の少女は白目を剥き気を失う。
イゼッタの力を知ったアメリカ…アトランタ合衆国ではこの戦争に本格参戦を決定した。それはゲルマニアとともに、脅威となってきたエイルシュタットも撃ち滅ぼすために…

後半の伏線を張った回でした。ゲールの魔女は何なんだろう?人工物?となると、イゼッタを捕まえていたのはイゼッタの魔力を抽出するためだったのか?
アトランタの本悪参戦で戦局ががらりと変わるんだろうな。エイルシュタットはどうなってしまうのか…。
なんだか悲しい結末待っているのではないかとハラハラします。ED物悲しいし…{/netabare}

9話…展開急変、あぁ…ヤバい…
{netabare}ブリタニアの会談から3ヶ月、包囲網が築かれつつあり、ゲールの動きが鈍くなっていました。イゼッタは世界から注目されるようになり、エイルシュタットも束の間の休息感に浸っていました。
そこから一転、ゲールが西を囮に東から攻めてきました。イゼッタは新兵器とともに向かいますが、打ち込んだミサイルが何者かに撃退されてしまいます。なんと、ゲールが送り込んだのは魔女。しかも、伝説の白き魔女(のクローン)なのです。クローン技術使ってきやがった! 伝説の白き魔女はイゼッタに止めよう説得しますが、フィーネのために戦うと言う。イゼッタは白き魔女と戦うけど、魔法使える場所なのに墜落、白き魔女はアンチ魔法の道具使えるものと思われます。敗れたイゼッタは鎖に吊るされ…
イゼッタの敗北により、空ががら空きとなり、ゲールはエイルシュタットに突入。首都がぼろぼろ…

急展開でした。どうなるのか気になって仕方ありません。いちおう、これまでの伏線を回収しつつ、次の展開に入ってきてますが、一気に重い展開になってしまいました。白き魔女の過去に何があったのか、戦争はどうなるのか、イゼッタはどうなってしまうのか…。

これ、一期で終わるのかな? どうせなら丁寧に描いてほしいので、二期までいかないかな? このままだと半端になってしまう気がします。面白いだけに、丁寧にいってほしいです。{/netabare}

10話…絶望か、希望か、どっちに進む?
{netabare}イゼッタが捕らえられ、エイルシュタットは首都が陥落。イゼッタを命がけで救うエイルシュタットの兵士たち。イゼッタはなんとか救われ、首脳陣たちが避難した防空壕兼秘密基地で療養。
そのころ、ゲルマニアはゾフィーの力を使い、ブリタニアに大量のミサイルを撃ち込み、ロンドン…ロンデニアを木っ端微塵に。ゾフィーがゲルマニアの兵器として確立したことにより、ベルクマンがお役ごめん。ほぼ捨てられて状況に。ゾフィーの量産化が図られ、さらにはどう見ても「核爆弾」を開発したゲルマニア。もはや怖いものなしとばかりに各国に講和の条件を突きつけ、さらには東の大国ソ連…ヴォルガ連邦と不可侵条約結んで(当然表面だけ、侵攻する気満々)、最後はアメリカ…アトランタを攻める気でいる。

ジークから白き魔女の秘密が語られ、その力の源になっている魔石の半分を見せられたイゼッタは…で次週。

フィーネがその先をどうするのかを迷い、イゼッタは姫を助ける決意は変わらない。どう転んでも魔石を使うんだろうね…となると、イゼッタの命は…。
ゲルマニアの先も見えてきたようです。二次大戦をトレースしているので、ゲルマニアは連合国から逆襲され、首都陥落、皇帝自殺(もしくは暗殺)という全体の流れなんでしょう。しかし、イゼッタ対ゾフィーの決着はどうなることやら…なんとかイゼッタが生き残れる決着にならないだろうか…イゼッタがあまりにもけなげ過ぎて、見ていると切なくなるんだよね…{/netabare}

11話…そういう展開になるよね…
{netabare}秘密の基地がゲール軍に発見され、急襲される。フィーネは投降を覚悟し、絶体絶命のピンチ。そこに魔法を使って救出するイゼッタ。魔石の片割れを使い、魔法を使えるようになったのだ。それはつまり、命を削ること。フィーネが弱気になっているのを檄するイゼッタ。フィーネも覚悟を決めて最後まで戦うことに。
ゲール軍に付いてきたベルクマン。ベルクマンは自分が生き残るためにゲールの情報を伝えた。その内容は国の終末を意味し、それを阻止する必要があり、フィーネとイゼッタは最後の決戦に向かう。

かなりすっ飛ばしましてつじつま合わせがスゴいのですがが、内容は濃かった回でした。ベルクマンとジークの会話が良かったです。
えっ?もう終わり?…やっぱり一期では短い…イゼッタ、生き残って幸せな結末になってほしい…。{/netabare}

12話(最終回)…「地球のみんな!ちょっとずつ元気を分けてくれ!」
{netabare}ゾフィーとイゼッタの最終決戦はこんな感じでした。
ゲールが主催する会談に向かうフィーネ一行に立ちはだかるバスラー。これを振り切り会場へ向かうが、その途中、ジークが倒れる。彼が最後に観たのは眼鏡君の幻だった…。
一方、ゾフィーとイゼッタの最終決戦は魔石の力を全解放した激しいものとなる。二人は信頼する者のために戦い、一方は裏切られ絶望し、一方は最後まで信じ抜くことで戦った。ゾフィーがイゼッタとの戦いから離れられないことに、ゲールの部隊はミサイルを発射する、クローンの力を使って。
ゲールと諸国の会談に現れたフィーネ。フィーネはイゼッタがゾフィーと戦っていることを伝え、終息させると宣言する。しかし、魔女が残ると同じことになると憂慮する首脳たち。それに対しフィーネは言う、すべての魔力をこの世から無くすと。これはイゼッタからの提案だった。
イゼッタはすべての力を使い、この世にある魔力の全てを吸い上げる。ゾフィーの魔力もゾフィーのクローンの魔力も、ミサイルに搭載された爆弾の魔力も…。
これによってゲールの力は弱まり、大戦の流れも変わり、3年後にはゲールが敗れる。フィーネはとある森にあるコテージを訪ねる。そこには成長したロッテに車イスを押される赤い髪の女性が待っていた。

終わっちゃった…どんな終わり方するかと思ったら、あるあるな感じでした。イゼッタが全てを背負い、最悪をを除去する。よくある。生きていたことを示唆する終わり、あるある。
ゾフィーが救われなかったのは可哀想かな。最後に何かしら笑顔にできるシーンがあってもよかったように感じます。{/netabare}

第二次世界大戦をトレースしたこの物語。キャラは本当に良かったです。イゼッタは最後の最後までブレませんでした。とにかくフィーネのために戦い、やり遂げました。綺麗な衣装着てボロボロになるイゼッタの姿は切なかったです。フィーネは小国ではあるが国王として苦労と悩みを抱えながらも国のために戦いました。エイルシュタットの幹部、ゲールの幹部、それぞれ曲者揃いだけど個性強くてそれが絡んで物語を盛り上げました。

ストーリーは12話でギリギリまとめた感じは否めません。世界観が大きいのに、こじんまりとテンプレのようなまとめ方です。これだけのキャラと内容なら二期とは言いません、せめて5話くらい余裕があったらもっといい作品になったと思います。映像は好きでした。特に戦闘の場面は滑らかで迫力ありました。

魔女と王女の世界を変えるための戦い。戦争をモチーフにしてますが、人間の物語が強くなってます。期待分のものは見れたように思います。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 53

64.7 5 政治アニメランキング5位
Fairy gone フェアリーゴーン(TVアニメ動画)

2019年春アニメ
★★★★☆ 3.2 (192)
670人が棚に入れました
かつて妖精は、"兵器"だった――。この世界には、動物に憑依することで不思議な力を宿す、妖精が存在していた。妖精が憑依した動物の臓器を摘出し人間に移植することで、妖精を分身として出現させ、兵器として扱えるようになる。妖精を戦争の道具として自在に操る兵士たち、彼らは『妖精兵』と呼ばれた。長きにわたる戦争が終結すると、彼らはその役目を終え、行き場を失う。あるものは政府に、あるものはマフィアに、あるものはテロリストに。それぞれの生きる道を選択する。戦争から9年の歳月が経つ。主人公のマーリヤは、妖精に関連する事件を捜査・鎮圧する、違法妖精取締機関『ドロテア』に配属されたばかりの女の子。未だ不安定な政治情勢の中、戦争によって受けた傷や過去を持つ犯罪者が現れ、復讐のためテロを起こす。これは、無秩序な戦後に抗い、それぞれの正義を求め戦う『妖精兵』たちの物語――。

声優・キャラクター
市ノ瀬加那、前野智昭、福原綾香、細谷佳正、諏訪彩花、中島ヨシキ、園崎未恵、子安武人、大塚芳忠、津田英三、種﨑敦美、沖野晃司、小松未可子、間宮康弘、津田健次郎、麦人、川田紳司、寿美菜子、井口裕香、興津和幸、江川央生、伊藤静、土師孝也、東地宏樹、乃村健次
ネタバレ

TaXSe33187 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

体裁だけは名作風

ベテランのラノベ作家が原案・脚本でぱっと見作画はとても綺麗、声優も惜しみなくベテランを起用して音楽にもこだわってる…と概要だけなら名作としか思えない雰囲気

……なんだけど、実際に見ると疑問とツッコミしか湧き上がらない出来
やりたいことは分かるし、設定も膨大でキャラの背景まで作り込まれてるのにそれを脚本にも演出にも反映しようとしてないから上滑り感が漂う
作家が好きなのでHPは確認して、放映分(3話まで)は設定やあらすじ、伏線を一通り読み取れるように最低でも各3回ずつは視聴しているけど、正直見る度ツッコミどころが増えている状態

1~3話視聴時点
{netabare}まずよく言われるけど固有名詞の羅列について
これ自体は別に気にならないし、ファンタジーなんだから独自の世界観を感じられる良い要素のはず
ただ、語るべき部分と不要な部分の取捨選択がズレ続けているから何を言われても耳に残らない
そもそも主人公たちが所属するドロテアは何を目的に動くのか?主要な任務はなんなのか?という基本すらアニメ3話時点で曖昧なまま
そしてヒロインがドロテアに所属する経緯も、マスコット役の小動物が押収物として回収されずにヒロインと一緒にいる理由も、それどころか仕事先の省庁に動物を連れて行く理由も一切語られない
1話で争点になって3話で一部情報が開示された「黒の妖精書」は確かに重要だけど、キャラを取り巻く環境が不明なまま話が進むから行動原理が全体的に不明瞭なままになる
そういう基本情報はおざなりなのに、妖精書の著者名ばかり羅列されてもそりゃあ意味不明としか言いようがなくなってしまう

そしてキャラの行動原理について
1話でオークション警護の任務に就いていたマーリヤは探していた幼なじみを庇うために(立場上)先輩にあたるフリーに対して威嚇射撃を行う。
それ自体は「芯の通ったキャラクター」のような振る舞いだけど、全体を通すとツッコミどころしかない

①任務をサボってオークションの出展物を弄る
②幼なじみ(ヴェロニカ)がオークションを襲撃し、複数名を殺害する
③ヴェロニカを止めるため戦闘を開始したフリーに対して威嚇射撃を行う

つまり、物語冒頭から一切仕事をしないばかりか邪魔だけを行ったことになる
マーリヤの理屈としては、「故郷を同じくするたった一人の生き残り」であるヴェロニカを探すため、敢えてオークション警護を受けたというものがある
そのためフリーを止める理由は一応あるわけだが、それにしても殺人強盗を犯した相手を一切諫めず庇い立てするのは行動に正当性が無さ過ぎる
しかもこの行動が人物背景が曖昧な1話時点でのものだから、マーリヤに共感も同情も感じられずただ不快な行動に映ってしまう

そしてこの1話ラスト、フリーはマーリヤを自分が本来所属する組織、「ドロテア」にスカウトするわけだが、普通に考えて有り得ないだろうと
いくらヴェロニカに繋がる人間とは言え、仕事を放棄して自分に銃を向けた人間を引き入れるなんてリスクのほうが大きすぎる
ともに仕事をする中で「感情にまかせて背後から狙撃される可能性」というのを考えないのか?
しかも各話アバンにてフリーは大戦を生き抜いた元兵士だと明かされている
なら余計に裏切りのリスクは理解しているべきだし、キャラの背景を理解するほど行動の矛盾が大きくなってしまっている

ちなみに1話でこんな暴走をしたマーリヤ、2話3話にて「仕事でしょ?やります」「仕事だから撃ちます」と決め台詞のように「仕事」を連呼する
初登場から仕事を無視し続けた人間なだけにすさまじい説得力があると思う

そして何より気になった演出、作画について
基本的にこのアニメは作画がとても良いと評判だけど、正確には「止め絵がとても良い」だと思う
やはりツッコミどころになっている1話アバンのフリーが剣を投げるシーン
「上」の決定への不満から剣を投げるが、何故か下手投げ。しかも叩きつけられたかのように勢いよく地面に突き刺さる
そもそも怒りで当たり散らすなら上手投げだし、剣は刺さらず地面を転がるだけでは?
そして2話アバンで戦友がフリーを庇って刺されるシーン
右手に剣を握り、フリーから見て左手側から真横に走ってきてフリーの前に立ちはだかるが、敵に刺された衝撃で握った剣を左前方に投げ飛ばしている
横から来たなら剣は慣性に従ってフリーの右手側に飛ぶはずでは?そもそも歴戦の兵士(HPによると英雄とも呼ばれる人物)が覚悟して刺されに行ったのに剣を手放すか?
そして3話のビター・スウィートが走るシーン
カットごとに剣の持ち方が順手、逆手でコロコロ入れ替わる
走るとき、人混みの中だけ逆手なのかな?と思いきや相手を攻撃するときは常に逆手のため、順手で持つ理由がそもそもない
また、ビター・スウィートに対してマーリヤが発砲する際、ビターの足元に撃った跳弾がビターの正面にいるフリーに向かって飛んでくる
どこから撃ったかというとビターの背後…ではなくビターの正面側、つまりフリーの後ろの建物の屋根から撃っていた
ビターに撃った弾がピンポイントに地面の角に当たってフリー側に跳ね返った?

こんな感じで、「格好いい止め絵」を描くために前後の動きの整合性を無視したシーンがあまりにも多い
そりゃ突き刺さった剣越しにキャラが映ってる画がお洒落なのは分かるけど、そのために動きに違和感持たせちゃ駄目だろうと
ついでに2話のバイクは全体的に手抜きがバレバレ過ぎた
バイクが横転する場面は横転させた原因も理由も分からないような引きの画だし、
横転したバイクを立て直して相手を追う際にはバイクを拾いに駆ける様子どころかバイクを立て直す動きすらカット、追いかけた相手がいきなり急停止したさいにバイクを降りて強襲する動きもカットしていきなり敵の尋問を始める
見ていて「バイクの乗り降りを描くのが面倒くさいから手を抜いたんだなあ…」ってのがはっきり伝わってくる

脚本面でも触れたけど、全体的にカットの取捨選択があまりにも適当すぎる
「ここは物語に重要じゃないから省略しよう」じゃなくて、「ここを描くのは好きじゃないからカットしよう」で制作してるんだな、と


最後に脚本の構成と設定開示について
このアニメ、公式HPやTwitterを閲覧することが前提の構成になっているのが何より大きな問題
2話にてマーリヤがウルフランの撹乱に気付くシーンがあるが、何故気づけたのかはTwitterでしか明かされない
ついでにマーリヤが愛用しているのが何故猟銃なのかもTwitterでの開示
国家や街、各組織の特徴はHPでのみ開示されている
要するに、オリジナルアニメでありながら視聴者に「予習」を求めた作りになっている
これが漫画・小説原作ならファン向け作品と言うことである程度納得もいくけど、オリジナルで展開しながらアニメ内で世界観を完結させられないのは脚本としてどうなの?としか言えない
前クールでオリジナルアニメの「荒野のコトブキ飛行隊」は、突飛な設定だけど設定自体はそこまで重要じゃなく、シンプルなシナリオと分かりやすい空戦の迫力をウリにしていた
その上で裏設定を推測できる情報を散りばめて世界観を広げていたけど、本作はその真逆
「妖精」にまつわる様々な設定がシナリオの中核にあって、2クールかけてそれを丁寧に紐解いていく難解なシナリオがウリ…のはず
なのに設定はアニメ内では明かされず、アニメ単体では世界観があまりにも狭いものになってしまっている
取っ付きにくい独自設定を、そもそもアニメ内で理解させることをすでに諦めている時点でオリジナルアニメとしては失敗なんじゃないかとすら思う

これですら全体のツッコミどころのうち半分にも満たないレベルの粗まみれ
今後も視聴はするけど、そろそろ無難に楽しめるレベルの話を見せてほしいかな{/netabare}


4話視聴
{netabare}フリーやっぱり無能すぎないか?
ビターの妖精の能力をやられただけやり返すカウンタータイプと見抜いたのは流石に戦い慣れてる
けどそこから、なんで攻め倦ねる?
カウンタータイプの弱点は受けたダメージをビター自身も無視できないって点だろうに
だからここでフリーがとるべき行動は、マーリヤにフォローを任せて相討ち狙いで攻撃に専念すること
なのに妖精の痛みにビビって拳銃にもビビって動けなくなる始末……
ついでに言えばビターは戦闘前にルパンもどきに一発、戦闘中に4発近く発砲している
リボルバータイプなら残る弾数は1発か2発、戦闘中のリロードは実質できない
予備の拳銃を取り出すだろうと想定しても、その隙を狙えば十分すぎるくらい勝機はある
発砲の予兆から避けるくらいの技量があるのにそんな簡単な計算もしないのか?
そしてマーリヤまさかの特攻
ここは近接用にナイフを持っていたりと好きなシーン、だけどフリーあまりにも情けない
そりゃビターにも煽られるよなぁってだけじゃなく、戦争で庇われた頃から成長してないかよ、と思ってしまう
2話でウルフランが「お前は俺に追いつけない」って言ったのに納得してしまった

そっから一旦場面が切り替わって回想
アバンの回想地獄から解放されたと思ったらこれか…
まあ最後まで見ると必要な演出だったと分かるけど、それにしても後半でも回想挟むしちょっとクドすぎかなあ
というか何より時系列の歪みがエグすぎる
なんで回想の途中でさらに2年前の回想を入れようと思ったんだ…
最初見たときは『2年前』って表記が何時の時点からの2年前か分からず本気で困惑した
回想くらい順番に進めてくれよ…

そして場所を移してドロテアによる査察
妖精兵器による反乱を起こさないかを調査してるんだろう、というのは分かる
フリーの上官と、その女性のかっての上官が立場を変えて領主と査察官になっているのは時代の流れを思わせて好きなシーン
だけどやっぱりドロテアの活動が不明瞭すぎるし、査察を受けた領地が統一ゼスキアにどういう立場で従っているのかも不明瞭なまま
いずれ明かされる伏線として意図的に隠す部分も有るだろうけど、単純な描写不足で必要なところまで隠れているから意味深なようで意味深にも見えない微妙な展開
そしてこの領主に匿われる形でウルフランが登場するけど、全員の立場が何も見えてないから
「何故ウルフランがこんな所に!?」の驚きよりも「そりゃウルフランくらい出てこないとこのシーン不要すぎるしなぁ…」と変な納得をしてしまう

あとはフリーの無能パート
置き引きにまんまとやられる…のはまあお約束だから最早ツッコまないけど、
そっから誘導されてると分かっていながら分断に引っかかるのはさすがに駄目でしょう…
というかツーマンセルで相手が動いてるのはわかっているんだし、近接戦闘が苦手で本調子でもないマーリヤを一人暗い場所に置く時点でおかしい
そもそも妖精書を入れた鞄を自分が持つこと自体おかしい
妖精書を狙うビターの足取りが掴めず、ルパンもどきを連れ去る人間もいる
となると自分達と妖精書が狙われる危険は割と高いわけで、そんな状態で二刀流かつ近接特化の自分が妖精書を持つのは戦闘で邪魔だろうと
鞄自体妖精書くらいしか入ってない小さなものだし、本調子でなく戦闘に参加できないマーリヤに持たせるべきだろうと
要らんフェミニストぶりを発揮して自分が鞄を保持した挙げ句目を離して置き引き食らうって最悪すぎる

ちなみに良いと思ったシーンも今回はあった
さっきのマーリヤのナイフもそうだけど、フリーが地下墓所への通路で拳銃を取り出したシーン
狭い場所では剣を振れないために拳銃を握るって言う判断は合理的だし装備としても違和感がない
……まあフリー自身も拳銃持ってるならなおのことビターの拳銃の装填数は考えているべきだけど
ただ、惜しむらくはやはり演出
ただでさえ暗い地下墓所で、しかも黒い拳銃を握るなんてシーン何やってるか見えるわけ無いだろうと
何を装備したのか通路を降りる段階で手元をアップにしてくれよと
結局通路を降りきるまで何持ってるかよく分からないのは単純にもったいない
ついでにマーリヤ腹を刺されても悶えないって超人すぎない?
妖精がダメージを食らうと痛みで何もできなくなるのに、いくら小さなピックと言えども自分が刺されればもっとルパンもどきくらい苦しむだろに
もしかして妖精のダメージフィードバックのが本体のダメージより痛い?んなアホな…

粗筋については今までと変わらず、1話の話を少し振り返ったことで多少伏線を回収しようとしたのは今までより良かったかな?くらい
まあそれに倍する勢いでキャラと勢力を増やしていったから意味ないけど

ヴェロニカお前もしかしてステンドグラス越しにストーキングしてたのか?とか監視対象が地下に潜ったなら屋内で待機しとけよ、とかツッコミは追いつかないけどそれはそれ
次回はもっと面白ければいいなあ…
{/netabare}


5話視聴
{netabare}アバンで怒濤の回想
分かるよ?やりたいことは
でもこれ4話の戦闘の続きな訳で、なんで盛り上がりをぶった切って回想詰め込むの?
内容そのものはマーリヤとヴェロニカの過去と、そこから連なる現在を対比的に見せているので面白い…というか今までで一番好きな内容だった
でもタイミングはそこじゃないよね?多分Aパートのマーリヤとヴェロニカの会話に関する情報を開示するためにこの回想を用意したんだろうけど、
作中のドラマに落とし込むことができず、場当たり的に必要なシーンをアバンに突っ込んだ印象が強くなってしまってる
陳腐ではあるけど、マーリヤとヴェロニカが決別に至る前にレイ・ドーン襲撃や一人村を旅立った様子などを語り合う形でいいのでは?

そして相変わらず無能のフリーさん
パティに苦戦する中スイッチが入って一転敵を打ち負かす、ありがちだけどハマると格好いい演出
ただ、動きや戦法が変わったわけでもなく、スイッチが入った結果やったのは「力押しで敵の剣を折る」…は?ただの火事場の馬鹿力?
そして本気になったはずなのに敵に武器を構える時間を与えたり、それどころか武器の詰まった鞄をわざわざ敵に蹴って返す始末
敵の方はというと、戦力差を見極めて受け取った鞄をもってさっさと撤退、盗んだ黒の妖精書をフリーに投げることで追走を躊躇わせる潔い判断力を見せる
そしてBパートの歓迎会では敵を捕まえられず機嫌の悪そうな様子を見せるフリー
逃げられた理由は「舐めプして武器を与えて棒立ちしてたから」なのに不機嫌になるって……マジでセルジュに介護してもらえば?

4話から続く黒の妖精書騒動に一区切りついたところでフリーの行動を列挙すると…

①ビターの拳銃の装填数に気付かず、さらに妖精の能力にビビって近づけなくなる
②ドロテア以外に最低2つの勢力が狙っている黒の妖精書から目を離して置き引きにあう
③ツーマンセルを組む相手を追跡中、敵に誘いをかけられていると気付きながら相方と分かれて行動……ちなみに相方は本調子でなく後衛のため自衛手段なし
④敵が思ったより強いため油断を捨てる……かと思いきや力押しが酷くなっただけで舐めプはさらに悪化、自分の慢心から敵を逃がす

これはちょっともう駄目すぎだろうと
結果的に敵が逃げを優先して妖精書を返してきたから結果オーライだったものの、持ったまま逃げられたらどうするつもりだったのか
そもそもビターの手に途中で妖精書が渡っていたら、フリーは妖精書を奪われた挙げ句襲撃犯を逃がす大失態を犯していたところだった
1話時点ではマーリヤのが酷いと思ってたけど、蓋を開けてみればフリーがそれに輪をかけて無能だったというオチ
感情を優先するマーリヤをスカウトするなんて謎采配だと思ったけど、本人が感情優先の舐めプ野郎なんだからそれも当然だったのかも

残るシーン、マーリヤとヴェロニカについてはいい感じ
殺しを平然と行うヴェロニカに対して動揺を見せてくれたし、マーリヤが今後どう向き合うかは純粋に気になる
ただまああヴェロニカの身体能力はリアル調のアニメでやって良い演出ではないだろうと思う
みんな多少アニメめいた動きはするけど、中でもヴェロニカはやりすぎて白けるくらいある
キャラの好みと「意味もなくカッコつけたシーンにしたい病」で相変わらず考えなしのカット作ってるな、と

公領関連は今後の事件の焦点になるだろうから現時点ではノーコメント

ドロテアの歓迎会は…いらなくないか?
未だに組織の様子はほぼ見えてないのに、歓迎会でキャラだけ増やされても何とも思えない
というか愛着のない新キャラが半数以上を占める日常パートって純粋に退屈
歓迎会やるならそもそも入隊時の描写を細かく見せないと説得力がない、くらいの感想しかない

総評としては今まででは一番面白かった回
ただ、それも本筋と独立した回想の描写だけで、いざ本筋になると「シナリオ進行のためのシナリオ」みたいな行動の不可解さ、意味のなさばかり目立つ脚本と作画は相変わらず
マーリヤについては今回で多少好感度もあがったので、次回以降フリーが有能さを見せてくれるといいなあ…無理だろうけど
{/netabare}


6話視聴
{netabare}妖精を出さず、ドロテアの仕事の様子をメインにしているのは割と好き
ただ、人工妖精の暴走と黒の妖精書発見を同時に扱うのはどうなん?って思う
錯綜する事件や情報が、最終的に一つの点を結ぶってのは展開的に予想できる
ただ、錯綜するものを同じ話数で等分して描写するからどっちも半端になって内容的にはスカスカな印象になってしまってる
暴走原因の調査を今回のメインにして、Bパートラストで黒の妖精書発見のニュースを仕入れて7話でそっちにシフト、じゃ駄目なのか?
フリーの無能を示しただけのパティ戦とか無駄話だけで掘り下げにならない歓迎会とかやってる割に本筋の尺がカツカツなら明らかにペース配分がおかしい

しかも黒の妖精書追跡にマーリヤとクラーラが出動するのがおかしい
二人とも役割は後衛なわけで戦闘になれば勝ち目はないだろうと
今回はただのゴロツキだから良かったものの、黒の妖精書なんて結構な勢力が探し求めてるのは3話のアレで分かってるだろうに
というか酒場に行かせたりバイクで尾行したりって、どう考えても女二人じゃ目立ちすぎると思うんだが
私服で素性を隠しているはずが逆に目立つ結果になって、オークション代理人にバレて危うく逃がすところだった
ネイン局長は人選についてドヤ顔だったけど、対象者確保に成功したのはほぼ結果オーライ
フリーだけじゃなくその上まで無能なのか…?

というわけで話はスカスカなのにツッコミどころは減らない感じ
予告とかあらすじを調べた時点では、話が大きく動くと思ってワクワクしてたのに、あまりにも内容が無さ過ぎてガッカリしてる
ついでに言えば、クラーラの回想とかまっっっったく要らない
5話の歓迎会でネイン局長との出会いを語っているわけで、その時点で入隊の動機は察せられるやろと
それをわざわざ回想を挟んでまで改めて描写するなんて正直時間の無駄だし、そもそもタイムリミットのある中で対象者を探すって状況でやる話じゃない
尺稼ぎみたいなシーンは多いのに肝心の本筋は描写不足ってのが本当に多すぎる
7話はもうちょっと本筋に主眼を置いた展開になってほしい
{/netabare}


7話視聴
{netabare}今までの中ではハッキリと面白かったので物語の評価を0.5引き上げ
やっぱアクションシーンが無いほうがこの作品面白いんじゃないか?と思う
これまでは半端にアクションを挿入することで設定がただ記号的に語られる上滑り感があったけど、
ドラマをメインにしたことで設定に意味が出てきた印象
逆に、妖精を使ったスタンドバトルを期待してた人にとっては6話に引き続き退屈な回だっただろうな、と

ビターが絡んできて、グイ・カーリンの幹部から妖精書を回収しようと奔走する流れは結構気に入っている
正攻法では黒の四を見ることができないなら、ドロテアに押収させてでも目的を達成しようって考え方も面白い
互いにやり過ぎなければ政府機関もマフィアも遺恨を脇に置いて協調するって流れは世界観にマッチした雰囲気を感じる

人工妖精の暴走についての捜査も面白そうな雰囲気ではあるんだけど、やはり妖精書と構成を二分したために微妙な感じになってる
元公安のチェイスが伝手や過去の捜査から真相に迫ろうとする様子や、
妖精省と軍部の軋轢、その間に入るドロテアって図式は政治ドラマとして普通に面白い
ただ、6話から一つの筋として辿っていくならともかく、
話が妖精書と行ったり来たりしつつ更に他の陣営の様子を交えつつ、大量の人名を整理していくのは面白さを理解した上でもやや面倒くさい

物語の展開的に現時点で重要なのは黒の妖精書探索よりも人工妖精の暴走事件
ただし、黒の妖精はマーリヤがメインなのに対して人工妖精はチェイスがメインでフリーは脇を支える役割
「話的に人工妖精を追いたいけど主人公を見せるには妖精書を追わないと…」
みたいな状態になってしまって主軸を定めきれない脚本になったのかな、と

こっからはツッコミ
いよいよ人物名が処理しきれなくなってきた…
群像劇の要素が強いから人物が多いのはわかるけど、会話パートでいきなり第三者の名前が出てきても誰のことだかわからなくなる事がある
特に人工妖精の暴走原因を調べる技師たち
6話で数分しか出ない上に名前を呼びあうのは仲間内だけ、みたいなキャラが7話ではチェイスのセリフ中にポンポン出てくる
おまけに未登場のキャラも会話上で登場するようになるので整理がかなり大変
台詞の途中で名前を出す際に顔を映すとかしてくれればいいのに
こういうときはお得意の回想を挟まないから、理解をこっちの記憶力に依存し過ぎな演出になってる

というか回想、今回は珍しくアバンにも本編にも登場しなかった…んだけどCにぶち込みやがった
しかもビターの回想、かつ現在の時系列で扱う事件に関わってくるかどうかも一切不明な内容
いい加減に、「脚本にうまく織り込めないから適当にぶち込んだろ!」みたいな回想の入れ方はやめろよ…
ただでさえ今回はEDの入りが演出的に最悪だったのに、Cパートまで意味不明って有り得ない

序盤から続く固有名詞の羅列がいよいよ問題化してきたな、という以外は割と問題なく見れた回だった
回想の不要さは最早お約束レベルだし、そろそろ(呆れるという意味で)慣れてきた
ついでにバトルなどアクションシーンがないおかげでコンテの違和感も最小限ですんだのも高評価
こんな調子で8話も期待したいけど、そろそろバトルが出てきそうだし、そうなるとまた酷い演出を見せられるのかな…という不安が残る
{/netabare}


8話視聴
{netabare}6話7話と積み重ねた話を雑に流す内容……Aパートは好きだったがBパートが洒落にならないレベルで酷い
ギルバートの屋敷に乗り込んだあと、支援型妖精を扱うクラーラが突入の合図を示す流れはかなり好き
支援型ってやっぱりこういう市街地では無類の汎用性を示すよなって感じ
とは言え屋敷周辺を他の隊員が固めるってのは7話の時点で見せていてほしかった描写
普段から小出しにしている回想とかじゃなく、こういう緊迫感ある展開こそ伏線があればよりワクワクしたのに、というくらい
で、タイミングを見てビターを取り押さえようと目論むドロテアと、それを察して出し抜くビターの構図も面白い
必要となれば裏切りもするけど、一応の義理立てとして妖精書を放置してドロテアに回収させるのも「憎めない悪役」という雰囲気
……まあビターを確保するってのも8話でいきなり出てきたから、辻褄合わせのぽっと出なフレーズに聞こえてしまって上滑りするのは相変わらず
設定を開示することには余念がない割に人物や組織の目的・行動に対する描写が全然ないから、
「やっていることはわかるけどもっと見せようがあるだろ?」みたいなモヤモヤ感が付き纏う

そして妖精書確保が終わったら本格的に人工妖精暴走事件
こっからが本当にひどかった
内部犯行の可能性と、アーケイムに匿われた元技術者のエディ・ロイドが関与している可能性、この2つからハンスの取り調べを行う
そしてチェイスの独自調査からエディ・ロイドに息子がいたという事実が判明する流れ
このあたりの展開は文句なしに好き
新型の暴走は操りやすい旧型を復帰させて首相を暗殺するためだった、というのも展開的に盛り上がる
なのになんで事件が尻すぼみのまま解決されるかなあ…
いや、チェイスは本当に優秀な雰囲気だったし、その後のドロテアの動きで事件が解決されたのも理解できる
でもアーケイムだのダミアン・ヴェロニカだの各勢力が結集している中で、結果的に「ただの様子見でしたー」で終わるってどうなんだ?
2話かけて記念式典を焦点にずっと話を盛り上げてきたのに、結局何事もなく事件解決、よかったね!で終わってしまうなんて…
アーケイムがまだ何か狙ってるのも、ハイブランツ公が暗躍しようとしているのも描写されてるし理解できるよ?
できるけど、こんなあからさまに話が盛り上がるポイントすら空振りさせる必要がどこにあるの?
というか式典でアーケイムもハイブランツ公も殆ど動きがないわけで、なら前2話で彼らの暗躍をあんな時間割いて描く必要あったか?って話になる
だったら上記に挙げた、妖精書関連でのドロテアの動きをもっと丁寧に見せる時間くらいあっただろうに

で、今回何より酷いと感じたのは挿入歌
何考えてるの?チェイスがバイクに乗りながら取り調べを回想してるシーンでバラードってなんかもうドン引きだったんだけど
確かに話の全体を見れば、結局式典も何も盛り上がらないちゃちなイベントで、犯人の心情描写が大事だってことはわかる
ただ、あの場面自体は「首相暗殺の時が迫る中、犯人確保に向けてバイクを走らせる」って緊迫感のあるシーンなわけで、
そんなシーンにあのバラード流されても「いやそんな場面じゃなくね?」みたいな気分になって笑ってしまった
というか挿入歌を入れるなら犯人確保後、搬送前のやり取りのシーンにすれば違和感もなかったのに
「EDをカットしたくない、でもイントロが本編にかぶさる形だから挿入歌を入れるとおかしくなる……せや、適当なシーンに歌流したろ!」みたいな感じ
今回だけ特殊EDとして歌を変えて本編にクレジットを載せる形にして、あの最後の場面のやり取りを掘り下げたほうが良かったんじゃないの?
なんかちょっと前に、「挿入歌は映像作成後に作られている!」みたいな記事があったけど、
あの映像を見てあんな挿入歌をぶち込んだなら音楽集団としてあまりにもセンスが無いと思うので嘘であってほしいくらい

あ、この回は本編に無関係な時間軸の回想はなかったので、その点は最高だった
まあその分前回のビターの回想が意味不明すぎるままなんだけど
次回は話が大きく動きそうな予告映像だった……けど、同じく話の動きそうだった今回がこの出来なので期待薄かな
{/netabare}


9話視聴
{netabare}いよいよ話が大きく動く回
ハイブランツ公が首相を庇った報奨として妖精武器を求め、それに応じてドロテアが搬送を行う…という展開
妖精武器を扱う戦争請負人、ビーヴィーによる襲撃という今までにない規模の戦闘が描かれていた

ハイブランツ公の思惑や暗躍を続けるウルフランの真意など今後の展開に係る描写も多い回
ただ、一番の見せ場である戦闘が相変わらず真っ暗なのが本当に酷い
襲撃に向いた地点を選んで夜間に戦闘を行うってのは合理的だしそれ自体はかなり好みなんだけど、本当に真っ暗にするアホがどこにいるのかと……
オマケにドロテアの制服は黒だし襲撃側も暗色系の服装、出てくる妖精も暗色で唯一分かりやすいのはビーヴィーの妖精武器のみ
オズの二丁拳銃にナックルガード状の刃がある…なんてこんな暗い戦闘じゃ分かりづらすぎる
せめて襲撃前に打ち合わせを行って、各々の武装を確認するシーンを用意するとかしてくれよと

あと、妖精武器が具体的にどう強力なのか全くわからないのはどうなの?
オズの妖精をスパッと斬っていたのは果たして能力なのか単純な切れ味なのかも不明
フリーが「こっちも妖精武器でないと対抗できない」と言っているが、能力不明なまま言われても説得力がなさすぎる
というかフリーは護送中の妖精武器を使って戦闘をするけど、ものすごくアッサリ負けてるわけで……
最終的に負けるのは分かるよ?普段と勝手の違う武器だし慣れない間合いでは勝ち目が薄いのも理解できるし
でも、武器を変えて挑んだ結果、互いに変わった力を使うというわけでもなく普通に戦闘し敗北
あんな簡単に負けるなら普段の双剣で戦ったほうが良かったんじゃないのか?という疑問が残ってしまう

マーリヤに関しては特に違和感も無いけど、やっぱ妖精デリケート過ぎない?
敵兵を貫通して威力の落ちた銃弾一発、しかも本人じゃなく妖精に当たったもので気絶するって何なんだろう
そんなに妖精がデリケートなものなら、敵の妖精に銃弾浴びせれば勝てたんじゃないの?

総評すると、「予定調和の敗北を見せられた回」といった感じ
というか、「突然の襲撃に味方が壊滅的打撃」って普通に考えればかなり盛り上がる展開なのに、
これまでにドロテアが活躍したシーンがなさすぎて「そりゃそうやろ」としか思えなくなってるのは脚本に問題がありすぎる
また、この襲撃でオズが犠牲になったけど正直何も思わないというか…
歓迎会で実質初登場(一応訓練や査察で出てるけど)したあと特に絡みもなく、8話Cパートで軽く言葉をかわした程度
ぶっちゃけ8話時点で名前忘れてた程度には存在感なさすぎなキャラだから、犠牲になろうが「はぁ、そっスか」くらいにしか思い入れが…
エガオノダイカのがまだお涙頂戴の準備をしていただけ若干マシだったとすら思えてしまう
思い入れが強いキャラを殺すと反発が来る、みたいな狙いからかもしれないけど1クールラストに向けた展開としては弱すぎるだろうと
これがセルジュ・クラーラ・チェイスのいずれかなら驚きや衝撃も強い分感情も揺さぶられたと思う
「マーリヤのトラウマを刺激するために適当なキャラを殺しとくか」、みたいな作業感が強くてむしろ萎えてしまった
お得意の回想でオズの掘り下げでもするのかな?したらいよいよギャグアニメとして笑うことにする
{/netabare}


10話視聴
{netabare}オズの死に責任を感じたマーリヤが迷い、仲間の説得を受けてドロテアの活動を続ける決意をする回
主人公が過去のトラウマを乗り越えるって展開はよくあるものだし、目新しさはないけどきちんとまとまった話だったと思う
ここにシュヴァルツ・ディーゼ、妖精省、チェイスらアーケイム捜索組の描写が挟まれることで、1クールラストに向けた助走の回となっている

ただ、面白いと感じた点とおかしな点が同時に展開されるのが惜しい
それがオズの死体の扱いとマーリヤの進退について

妖精器官は本来違法なもので、首相直轄のドロテアに所属していることで例外的に妖精兵の存在が許されているという点
オズの死亡をもって体内の妖精器官が妖精省の管轄となり、死体ごと持ち去られてしまうというシビアさは世界観にマッチした好みの展開だった
妖精器官の再利用などあるのか?や器官の摘出だけで済ませる事ができない理由はあるのか?など想像すると面白い

それだけに、進退を迷うマーリヤの扱いが気になってしまう
マーリヤは(確認される限り)唯一の妖精憑きであり、局長が情報を握りつぶしたとは言え希少価値は非常に高い
そうでなくても妖精兵としての登録を受けている以上、ドロテアを離れると即座に拘束される対象となる
となると「親しい人が死ぬのは嫌だからドロテアを抜ける」なんて呑気なことを言える立場には無い
もちろんマーリヤにとってはそんな組織の論理なんて関係なく、自身の葛藤に気を取られて周囲が見えないのも当然と言える
ただ、フリーの立場としては説得に感情や目的、仲間との絆を語り聞かせるのは大事だけど、
組織としての考えも描写してくれないとただの「お友達ごっこ」みたいな甘っちょろさばかり目についてしまう
せめてフリーが酒を飲んでいるときに局長とのそういった会話を回想してみせるとかあれば……

ハードな世界観なのに、やけにヒロインには甘い展開ばかりなのはどうなんだろう?と
未だに「災いの子」と呼ばれた経緯や村で爪弾きにされたような描写も無いのもファッショントラウマみたいな上っ面感が漂ってしまう
回想が多い割に村での境遇が描かれないせいで、災いの子ってのもヴェロニカに執着するのもどことなく上滑りしてる
「世界はマーリヤに厳しいけど、仲間の優しさが守ってくれる」みたいなのを表現するにはマーリヤ自身の苦境の描写が薄いな、と

今後の伏線については素直に楽しみ
列車襲撃によって、自身に向いていた反乱の疑いを逸しつつフラタニルを入手したディーゼと、戦争準備を進めるビーヴィーの動きはワクワクする
恐らくそれを阻止するためだろう親書を託すレイ・ドーンや動きが活発になったウルフランらアーケイムも次で何かしてくれそう

あとは純粋に悪い点
以前にも言ったけど挿入歌が本当に要らない
普段は使い回しのインストなのに突然挿入歌が入ってこられても笑うしかない
戦闘中のハードな曲はまだ問題ないんだけど、今回みたいなしっとりした展開にボーカル曲をいきなり出されても困惑してしまう
「一話につき一曲音楽を売りつけるノルマでもあるの?」みたいなやっつけ感すらある
挿入歌は、全編ボーカルのアニメでも無い限りは「物語の大きな山場」を演出するためのものでないと効果が薄い
それを、本作みたいに「大事なシーンはとりあえず全部ボーカル入れる」みたいなことをされると
「あ、ここで泣けってこと?はいはい泣く泣くー」みたいに受け取ってしまうし、白けてくる
こう言っては悪いが、最近はボーカルが流れるたびに失笑してしまい、画面のストーリーが頭に入らなくなってきている
BGMが邪魔で何度も見直すのはいい加減不毛すぎる
音楽集団を名乗るくせに音楽を効果的に使う方法を理解してないの?という感じ
曲単体でいくら良くても、やってることはあくまでもアニメの演出の一環なわけで、雰囲気を崩すような曲を流すくらいなら全編BGM無しでいい
だんだん不快になってきたので音楽の評価を更に下げておいた

次回は戦争が始まりそうで結構楽しみ
シナリオはどうせ1クール時点では尻すぼみで終わるだろうし、
せめて画面で市街地戦を行って、派手で分かりやすいバトルをしてくれると良いかな
{/netabare}


11話視聴
{netabare}いよいよハイブランツ公の反乱が始まり、ビーヴィー・ネイン局長・フリーが妖精武器を持ち戦争に突入、と盛り上がりのピーク…のはず
なのにその実態は、描写の大半が陽動で戦闘も散発的なために状況から読み取れる緊迫感が画面から感じられないガッカリ感のほうが強かった
オマケに「カッコつけたいだけのシーン」のために局長が人外じみた動きをするために、リアル調の雰囲気が逆に損なわれてしまっている

これまでの事件がハイブランツ公の思惑によるもので、暴走事件により戦力となる人工妖精を削ぎ、
妖精武器フラタニルを襲撃によって所在不明にしつつ奪うという計画的な動きがこの回で明言される
この辺は今まで見ていた視聴者への答え合わせでしかないからとくに言うことはないかな、くらい
そこから局長がアリアドラを持ち出し戦場に向かうまでは普通にワクワクした

ただ、これ以降の展開があまりにも酷くて正直視聴を止めるか迷ったレベル

ハイブランツ側はアーケイムから供与された人工妖精を防衛戦力に公都ハプシュタットに立て籠もっている
そこに局長が参戦し、妖精武器を手に敵を薙ぎ払っていく…とそれ自体は構わない
ただ、局長の動きがあまりにもあんまりじゃないかと
七騎士とも呼ばれるだけあって人工妖精がいくらいようが障害にならない、というのは分かる
妖精の天敵である妖精武器であれば(なんで装甲を切れるかは謎だが)人工妖精を簡単に切り裂ける、というのも妖精武器の強さを端的に示していて面白い
ただ、それと銃撃の中を単騎突撃できることは別だろうと
「単騎であることを活かして敵陣地に潜入、撹乱して同士討ちを誘って銃を封じる」、とかなら分かる
でも「単騎で突撃して銃弾は一切当たらず敵をとにかく薙ぎ払う」なんてどこの無双ゲーかと
ここまで散々陰謀だの動員戦力数だの地に足ついた会話をしておいて、戦闘になったら途端に作品が変わったように無双されるとむしろ白ける
しかも敵のど真ん中で一人きりなのに、人工妖精の操縦者一人潰しただけで
「投降しろ!→全員投降」はあまりにもお粗末すぎないか?なんで銃を全員捨てるんだと
「局長カッコイー!デキる女ー!」やりたいだけで展開を考える力が無さすぎじゃないかと

そこから場面が変わり首都防衛戦
市街地を進行するビーヴィー一行は各所に陽動部隊を配置して宮殿を目指す
ドロテアは局長ら不在のため、実働隊員が査察から帰還した4名しかいないなか防衛戦に参戦することになる
ここで何より気になったのがフリーの持つベロスティール
局長と同じく人工妖精に覿面のためバッサバッサと薙ぎ倒す…んだけど、やっぱなんかこう舐めプ感がある動きをするなあ、と
というか敵が陽動部隊の人工妖精少数のため、イマイチ妖精武器を持ち出したことへのインパクトが無いというか
腰に帯びたベロスティールを見た瞬間は「どんな見せ場が待ってるんだろう…?」とワクワクしたのに、やったことは雑魚処理一戦だけ
そんな一回ぽっちの前哨戦で早々と披露した挙げ句、「ベロスティールだ!すごい!」って適当に持ち上げられても肩透かしにしかならない
結局ベロスティールに関しては見せ場なし、ビーヴィーに関してはただの口笛おじさんにジョブチェンジして11話終了という消化不良

というかこの脚本、執拗なまでに盛り上がりを外すことばかりに力を注いでいるんだけどなにを考えているんだろう……
レイ・ドーンの親書が間に合わず反乱を許してしまう、という展開自体に不満があるわけではない
ただ、その流れと以降の展開に対して1ミリも親書が役に立たない死に設定同然になっているのが問題
「レイ・ドーンはじつはいい人なんだよ~」をやりたいんだろうけど、これじゃあまりにも遅きに失した感が強くて無能にしか思えない
加えて今回の反乱全体
ハイブランツ公領の独立→鎮圧戦(陽動)
首都市街地襲撃(陽動)
宮殿東門・西門襲撃(陽動)
宮殿大天門襲撃(本命、12話に続く)
と起こった戦闘の大半が陽動で、規模も散発的なレベルで練度が低い
戦略的な意味で言えば防衛戦力を段階的に削ぎつつ本命への攻撃を確実にする、と面白いし理解できる行動をとっている
ただ、アニメ的な意味で言えば今回は1クール最終話直前の一番の盛り上がりなわけで、そんななかで地味な陽動ばかり描写してどうするんだ?と
これが6話くらいで、ここから盛り上がりをかけていくならワクワク感があるけど、最終回直前でしかも前回が溜め回となるとガッカリ感のほうが強い
2クール目は10月からなのに、1クールをとことん地味なまま盛り上がりを作ろうとしないのは見ていてあまりにもしんどかった

あと、あの口笛おじさん本当にどうにかならないのかな…?
またもや挿入歌に失笑することになるとは思わなかった
ビーヴィーが口笛を吹くシーンを印象的に見せようとしたんだろうけど、そもそも口笛吹くキャラじゃないじゃん?っていう
吹くにしても列車襲撃前の静かなシーンとか、もっとそれらしい場面はあっただろうと
そういう場面的な問題を別にしたとしても、今回の挿入歌が口笛を前提にメロディを作られているせいで、メロディが単調すぎて盛り上がりに欠けている
これはさすがにあんまりだろうと……
そもそも演出として口笛がキャラとも場面とも合わない上に、口笛合わせの音楽のせいで挿入歌まで陳腐になるなんて絶望しか無い
前回はハードな曲は問題ないと評したけど、今回のせいでその評価すら覆ってしまいそう

というわけで今回は前回望んでいた戦闘面のインパクトすら感じられず完全に肩透かしの回だった
次回が恐らく最終話だけど、きっとゼスキア崩壊の雑な鬱エンドを狙ってるんだろうな、と
当初抱いていた期待は完全に地に落ちたので、エガオスイッチを導入して驚きのハッピーエンドを迎える超展開を期待してる
{/netabare}


12話視聴
{netabare}ドロテア組vsビーヴィーの戦闘シーンはこのアニメ通しても最高に面白かった回
一人の強敵を相手に仲間と協力して戦う様子や、あくまで戦乱にこだわるビーヴィーと鎮圧任務に徹するフリーの立場も明確になっていた
正直このくらいの戦闘が中盤にあったならば手放しで褒められる作品になったんじゃないかってくらい見せ場としてよくできていた
11話の口笛おじさんも口笛止めてくれたり、武器を盾にして銃弾を防いだり多少はマシな演出になってくれたのも高評価

ただ、それらを除けばあとはツッコミどころまみれの投げっぱなしエンドという印象
ビーヴィーに殺されたオズを思い、仇を取る思いからも奮起するドロテア一行…という一見熱い展開
ただ、以前も触れたけどオズってアニメ中じゃ無言で酒飲み続けたシーンと、マーリヤの帰り際に挨拶を交わしたシーンしか交流が描かれて無い
そんな人物の仇討ち云々言われても、気持ちはわかるけどなんとなく上滑りしてる感じがしてしまう
言っては悪いがお涙頂戴の安易な舞台装置にすらならないただの踏み台と言った印象で、死んだオズは良いように利用されてるなとすら思う

次いで戦闘シーンでのジェットとの回想
一言で言うと「知らんわ!」
ジェットが大事な戦友なのは2話の回想の時点でわかっているし、そいつから託されたのも分かっている
でも、「前に進め」とかなんとか、作中で描かれていない過去をさも名シーンかのようにフラッシュバックされても唐突な感すらある
描かれていない過去を唐突に戦闘中に振り返って、描かれていない人物との絆がさも力を与えてくれるようなシーンを作るなんて何を考えているのかと
これが中盤なら、この戦闘を経てジェットとの過去を描くなりして掘り下げもできるけど、今回最終話だろうと
掘り下げができないタイミングでよく知らない人物との過去の絆を持ち出されても、見てる側は「いや、そんなシーン知らんし」としか言えない
過去がキチンと描かれているなら間違いなく名シーンになったと確信できる場面なのに、これまでの積み上げが足りなすぎて半端な演出になっている

あとはやはりレイ・ドーンとシュヴァルツ・ディーゼ
レイ・ドーンが妖精武器を持ち出していた事からこの二人が戦うのは予想がついていた
ただ、時系列的にレイ・ドーンがあの場にいるのはかなり無理があるし、そもそも戦闘をアッサリ片付ける意味はあるのか?と
というかせっかく奪ったフラタニルに活躍の機会を与えないのはどう考えても演出として意味がなさすぎるだろうと
「簒奪者を自認するからこそ、皇帝を我がものとしたサイダルの騎士ガーランバトルの所持した武器を使う」みたいな意味合いだろうけど、
そんなオサレ感だすんじゃなく実際的な意味を見せるべきだろうと

あとはなんと言ってもマーリヤ
「戦うのは怖い~」とか独白したかと思えば敵を見れば豹変して「かたきを討たないと~」って……
ビャクレー行って自分を見つめ直した意味あるか?ってくらい情緒不安定にも程がある
あそこで感情に揺さぶられながらも自制心を持つような葛藤を見せれば成長が見えるのに、なぜか1話の頃の感情重視の自分に逆戻り
正直オズが死ぬ前の仕事連呼してた頃のほうがマシだったし、オズの死は成長要素にもならず無駄でしか無い
というか2話で自分が危険なのにウルフランを撃つのを躊躇う性格だったのが、怒りに任せてヘッドショット狙いに行くって滅茶苦茶すぎるだろうと
ヴェロニカに対すること以外成長しないってことですかそうですか……

挿入歌に関しては今回は(目立たないので)言うことなし
口笛おじさんにジョブチェンジすることも無かったので大満足
というか口笛を吹かないなら最初から吹かない方向で統一しろよ、と改めて感じた程度

総評としては「戦闘以外は最終話として落第点」といったところ
3話でアクセルと接触した理由が明かされていないからビーヴィーは生存
ヴェロニカ関連が2クールに回されたのでシュヴァルツ・ディーゼは話の整理のため1クールのうちに死亡
妖精武器の封印が解かれていたのでレイ・ドーンがシュヴァルツ・ディーゼを討ちにいく
戦場が分断していてドラマを作りづらいのでドロテア陣営は全員生存
こういった予想がことごとくそのまま当たってしまう平凡なシナリオだったな、という感じ
とは言え「全部レイ・ドーンがなんとかしてくれました!」みたいなヤケっぱちなエガオノダイカパターンに入るとは思わなかった
ここで皇帝が殺害されてディーゼが倒れて、ゼスキアがさらなる動乱期を迎えるようなハッキリとした「引き」があるとばかり思っていた
まさか2クール目への引きも作らず、無理矢理ハッピーエンドからの朝日を拝んで終了!なんてB級映画みたいなオチになるとは…
展開的には予想を超えず、オチはざっくり纏まるような小ぶりにすぎる最終回だったなあ
{/netabare}


疑問・違和感まとめ
{netabare}とりあえず1クール終了時点で積み上がった疑問等について
シナリオ上に残った今後の謎ではなく、現時点の描写における疑問

妖精兵の身体能力
作中ヴェロニカやネイン局長、ビーヴィーなど人間離れした動きをするキャラが多かった
もちろんアニメだから大げさな動きで魅せるのは大事だけど、「お前もはや妖精いらんやろ!」みたいな動きが多い
連携に特化したヴェロニカはともかく、妖精を出していないネイン局長、別々に戦うビーヴィーに関しては妖精の特異性を霞ませるだけになっているんだが…
「本物の妖精兵は一騎当千と思え」というフリーの台詞は練度のことを指しているのか、この人間離れした動きを指しているのか
仮に妖精兵になると身体能力が上がるならそれはそれで説明が入るべきだろうし、やはり違和感がある

妖精兵のダメージフィードバック
マーリヤはアホほど痛みを感じて、ともすると自分の肉体以上に妖精の痛みに引きずられてしまっている
フリーは気絶こそしないものの、割と敏感に痛みを感じている様子がある
ところが敵になるとマーリヤの妖精が直接体を燃やすような大きな損傷を受けないと痛みを見せない
我慢してるだけ?キャラによってそのあたりにバラツキがありすぎる
マーリヤに関しては妖精憑きのため、直接人間に取り憑いた分敏感なのかな?とも思うが、他については説明がつかない
演出面で戦闘バランスをとって勝敗を決めるためのファッション要素かな?

兵器運用
大戦時代のレドラット王国では大砲を使っていたにもかかわらず、統一後はハプシュタット鎮圧でも首都防衛でも大砲は使われなかった
それどころか爆弾も敵専用の兵器となっており、いくら平和とはいえ兵器運用のノウハウが10年足らずで衰え過ぎかな、と
新型人工妖精を開発する程度には兵器開発にも力を注いでいるはずなのに、その様子が見えず傭兵団にも劣るのはどうなんだろう
兵士の質は(ありえないレベルとはいえ)練度の差と思えば見ないふりもできるけど、兵器については明らかにおかしい

その他技術
車が蒸気を上げていたところを見るに、電気技術は発達していないと思われる
ではこの時代の通信技術は何が用いられているのか?
フリーらがカルオーの査察を行っているタイミングとシュヴァルツ・ディーゼがハプシュタットにいるタイミングがほぼ同時期
その後レイ・ドーンから親書を預かり帰還、というタイミングでハイブランツの反乱が発生する
いつ、どうやって首都ロンダキアはそれを察知した?
統一ゼスキアはもともと小国をまとめて出来上がった
もとがいかに小国とはいえ、各公都と帝国首都との距離は日本の尺度で県を跨ぐような距離では済まないはず
まして技術の拙い時代の移動手段では情報伝達にかなりの時間がかかる
そういう諸々を説明できる要素がないまま反乱~鎮圧までが終了してしまった
レイ・ドーンについても、フリーらが帰途についたあとに妖精武器を持ち出し、列車に乗り首都に向かうなど時間的に可能なのか?
反乱を起こす日時が予めウルフランから伝わっていたとしても、あのタイミングで首都に到着するには障害が多すぎる気がする

各回想について
各話に回想を入れることで過去に起こった出来事が断片的に分かるようになっている
実際、フリーとウルフランについては「現在所属する組織に入った動機」はともかく、「どのような事件を経て今に至るのか」は分かってきた
ただ、マーリヤとヴェロニカについては正直分からないことしかない
もちろん2クール目にて描かれるはずだけど、それにしても不足する描写は多い
災いの子とはなにか?どのような扱いを受けたのか?ヴェロニカはそれをどうして受け入れたのか?
逃げ延びたあとのマーリヤはどこでビャクレーとの伝手を得たのか?
ビャクレーは違法行為をしないと自認しながらなぜグイ・カーリンにコネがあるのか?
逃げ延びたあとのヴェロニカはどこで服を揃え、どこで銃を調達し、どうして釈放されたのか?
わからないまま「私は災の子」だの「全部奪われた」だの言われても……と思っていたら、そのまま1クール終わって呆然としてる
ヴェロニカについては2クールにて明かされるだろうけど、マーリヤは説明した気になって放置されそう
そしてなによりビター・スウィート
黒の妖精書を集める理由なんだろうけど、なんで意味もなく過去の父親との会話を回想した?
あれについては全話数のどこにもつながらないまま宙に浮いているんだけど、どうしてCパートに入れた?
あのシーンをドロテアの突入準備を描く時間に当ててくれればと未だに思わずにはいられない

フラタニルの存在価値
結局活躍しないまま終わったフラタニルは、(シュヴァルツ・ディーゼの作戦はともかく)アニメ的にはどうしたかったのか?
12話視聴の感想にてその考察はしたものの、やはり意味は薄い…というか最終話の演出として不十分すぎる
「レイ・ドーンすげえ!」をやるためにフラタニルを出したのかもだけど、その場合列車襲撃にてフリーがボロ負けしたため効果が小さい
というかあの列車襲撃時点でフラタニルを使った理由全く無かったのはどういうこと?
最終話にてフリーがヴェロスティールを持ってビーヴィーと渡り合っていたけど、ならやはり普段の双剣で良かったんじゃないの?
ヴェロスティールと妖精が対峙したのは上に駆け上がってひと刺ししたところだけ
しかもビーヴィーには痛痒すら感じさせられていないまま、あとはビーヴィー相手に切り合いをしただけ
フラタニルは負け戦専用兵器ってこと?完全に存在価値が無いんだけど…
オズを殺すために事件を用意したい、で適当にフラタニルを表に出したものの、結局脚本で扱いきれず持て余した感が大きい
あるいはこれも(最後ブツ切りだったから)2クール目にてレイ・ドーンが持ち出したりするのか?
一応そのパターンでも色々想像はできるけど、その場合フラタニルに見せ場がないままキーアイテムになるのは半端すぎるかなと
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 14
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

気長にいきまっしょい

オリジナルアニメ。分割2クールの前半12話分。


24年前に勃発した“統一戦争”が終結し10年後の世界。リアルでも大戦では新兵器が戦術の発展に寄与してきた歴史がありますがこちらの世界でそれにあたるのが、「妖精の力を宿した妖精兵」なる人体兵器という設定とのことです。
戦争が終わればコストのかかる兵器は適切な量を維持したまま徹底した保管管理が求められます。ご多分に漏れず平和な世界での妖精兵はいろいろストッパーがかけられてました。人が兵器であるということからも帰還兵のPTSDやら退役軍人の再就職などの問題も絡んできそう。ここらへんを期待しての視聴開始です。
ざっくり感想でいえば、ファンタジー世界ながらある程度、“大戦後10年経過した世界”に相応の説得力は感じられる仕様にはなっておりました。


そして世界観と設定。これは作りこまれてるのではないかと思います。
妖精は意思を持つとかスタンドアローンで何かするという描写が今のところはなく、宿主のスキルといった扱い。個々に名前や性能の違いもある模様。
このテの戦記ものはキャラが無限増殖する傾向にあって覚えきれないものです。地勢や諸国間の力関係であったり、登場人物の相関などは12話終わった時点では残念ながらふわっとしています。

P.A.WORKS製作とあって作画は期待通りで、音楽もかっこいい。
が、実は序盤の戦闘シーンの劇伴が自分にはしっくりきませんでした。エッジ利かせたギターのリフなんてめちゃくちゃ好みなんですけどね。これってどういうことかというと、実写映画『ワイルド・スピード』のカーバトルやってる時のノリの音なんです。場を固定した剣でのつばぜり合いをやってる画と時速○○km/hの疾走感を強調したい音とが喧嘩している感じ。
しっくりこないのは劇伴だけではなく、後半の戦闘シーンでもなんかへんなところがありました。{netabare}例えば第11話の無能な衛兵隊。いくらなんでもゆっくり歩いてる相手には一発くらいあてなさいよ。{/netabare}
バトル作画は自分的にはOKです。そしてこの作品はおそらく人間ドラマで魅せたい作品なんだろうな、今後そんな展開してくんだろうなと思ってます。


分割2クールという形を取っており、あにこれではいったん区切るルールのようですので暫定でも『観終わった』にせざるを得ないのですが、まだ評価する段階ではないでしょう。今言えることは後半も観るつもりだということでしょうか。まだ途中ながら、完結してから一気に鑑賞するのに適しているかもしれません。前半が冗長気味です。
というのも12話終了時点で、何が起こっているかの説明はあります。しかし誰が何をしようとしているのかの説明が薄い。行動原理が不明なため人名や組織名・国名が覚えられません。だいたい理由や背景と相関づけて覚えますからね。
このへんはベテランラノベ作家ながらシリーズ構成・脚本は初という十文字青氏の経験によるものかもしれません。3か月期間をおいての巻き返しに期待します。


ここまで苦言めいたことを述べてきましたが全体の印象は真逆で、はっきりいって世界観は好物ですし、シリアスではNGと思われるご都合過ぎる展開も抑えめです。萌え抜きキャラデザインも見てて安心感があり、OPEDも作品世界にマッチし、しかもかっこいいです。
繰り返しになりますが、行動原理の説明がないことが致命的なだけです(笑) 
妖精兵は一騎当千の設定ですのであまり場面はないのですがモブをなぎ倒す“妖精兵”“七騎士”の無双ぶりなど、横山光輝『三国志』の橋の上の趙雲が好きな人とかには合ってそう。

とりあえず様子見。あとは後半に向けての自分用メモ



■いろいろ整理する時
登場人物多めの作品でメモること二点
・時系列おさえとく
 →統歴○○年と出てたのは親切でした
・人は所属組織と国で覚えとく
 →ドロテアの人は最低限覚えられるはず
・あわよくば国の位置関係
 →これはちょっとわからんかった
※あとはフリーとウルフの元同僚組、マーリヤとヴェロニカの幼馴染組を注視しとく


■登場人物一覧

{netabare}マーリヤ・ノエル(CV市ノ瀬加那)妖精に関連する事件を捜査・鎮圧する違法妖精取締機関「ドロテア」に配属されたばかりの新入隊員。所有する妖精は、「アッシュクラッド」
フリー・アンダーバー(CV前野智昭)「ドロテア」第一部隊隊長代理。所有する妖精は、「レッドフッド」
ヴェロニカ・ソーン(CV福原綾香)マーリヤと同郷の暗殺者。所有する妖精は、「ブラッドドーター」
ウルフラン・ロウ(CV細谷佳正)フリーの元同僚のテロリスト。所有する妖精は、「フィッチャー」
[ドロテア]
クラーラ・キセナリア(CV諏訪彩花)「ドロテア」第一部隊隊員。所有する妖精は、「トメリーズ」
セルジュ・トーヴァ(CV中島ヨシキ)「ドロテア」第一部隊隊員。所有する妖精は、「ブリンツテイル」
ネイン・アウラー(CV園崎未恵)「ドロテア」局長 兼 第一部隊隊長。所有する妖精は、「モルズニーク」
リリー・ハイネマン(CV種﨑敦美)「ドロテア」第三部隊隊長。
ロバート・チェイス(CV沖野晃司)
オズ・メア(CV間宮康弘)所有する妖精は、「エアレー」
[妖精学者]
ダミアン・カルメ(CV子安武人)
カイン・ディスタロル(CV麦人)
[マフィア]
アクセル・ラブー(CV川田紳司)所有する妖精は、「ピリーウィギン」
“スウィーティー”ビター・スウィート(CV寿美菜子)所有する妖精は、「スクライカー」
[統一ゼスキア]
マルコ・ベルウッド(CV大塚芳忠)
グリフ・マーサー(CV津田健次郎)
レイ・ドーン(CV津田英三)所有する妖精は、「スローンテイカー」
[その他]
エレノア・ニード(CV小松未可子)
パトリシア・パール(CV井口裕香)
ジョナサン・パスピエール(CV興津和幸)
ビーヴィー・リスカー(CV江川央生)
ソフィー(CV伊藤静)
シュヴァルツ・ディーゼ(CV土師孝也)
ジェット・グレイヴ(CV東地宏樹)
ユアン・ブリーズ(CV乃村健次)所有する妖精は、「ノルカ」{/netabare}


2019.06.29 初稿
2019.07.18 修正

投稿 : 2019/12/07
♥ : 37
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

今観てる

3話までの感想{netabare}
“天狼<シリウス>”+“魔法少女あすか”にジョジョのスタンド…ってよりもペルソナを和えた感じ?(ペルソナもスタンドじゃんと言われたらその通りだけど)
制作工程とか全然知らないけど、シリウスが後半「制作途中で打ち切りが決まった?」と思うような雑な展開で、まさか“色づく世界の~”に人員割いた?とありもしない疑惑(まぁネタみたいなもの)を浮かべたことがあるけど、まさかひょっとして万が一にフェアリーゴーンの習作としてシリウス作ったんじゃないだろうなぁ?と思ったり思わなかったり。
だってねぇ、何か秘密がありそうな故郷の村を焼かれて生き残りが主人公ともう一人って、ねぇ?
こうなると「黒の妖精書」の欠片を集めてるのも「シリウスのハコの在り処を探してるからでしょ?」と思ってしまったり。
でもって戦争のために妖精ってのを利用してたけど終戦後は無用のものとなり、だからといって妖精器官移植術を施した兵士を野放しにもできないから国の管理下に置き、違法妖精取締りをさせるってのは“あすか”っぽい。
戦争は終わったけど当時使われたテクノロジーを犯罪利用するのが後を絶たないってテーマは好きだし、そんなに珍しいものでもないのだけどタイミングがなぁ…。
ここから更に、敗戦側が復国を目論んでテロやってたって展開になったら更に自分好みになるのだが果たして。
また主人公とドロテアのメンバーが、もしくはドロテア自体が「お上」を裏切る展開にはなると思うのだけど…なるよね?
いつまでも政府の犬を続けるようには思えないし、マーリヤの故郷焼いたのは偉い人なんだよね?

ってなことを2話見た段階で下書きしてたんだけど、3話見たら…。
妖精兵の数17人って言っちゃったよwますます“あすか”っぽい。
と思ったら妖精省の人間が…ホーチューとツダケンwwww
絶対コイツら裏があるわ、ゴールデンカムイ的に。
更に学者の家訪ねたら子安と麦人wwwww
わぁい、2話まで“シリウス”の二の舞を恐れて素直に誉められなかったのだけど、こりゃ本気っぽい?
声優から制作のヤル気を計るのもどうかと思うけど…期待して大丈夫かなぁ?

と誉めたところでツッコミ。
アクションシーンというか場面の繋がりが微妙に変。
2話で逃走するウルフランをフリーが走って追おうとするも銃撃で足止めされ、その直後にバイクに跨ってて「?」。
あれだ、バイクに駆け寄るシーンが無いからおかしく感じたのかな?
駆け寄るシーンがあればその間にウルフランは遠くに離れたってことで銃撃してこないことも違和感無くなるし。
また3話の学者邸でカインの放った妖精がひと暴れするシーン、各キャラが「妖精!?」と驚くタイミングが何か変。
てっきり常人には見えないって演出かな?と思ったらその後普通に見えてるっぽい。
あれー?
これらは代表的な目立った例で、他にも「あれ?」と思わせるようなのがちょくちょく入る。
一つ一つはわざわざ言うほどでもないのだけど、そういった小さな違和感が妙に多くて全体的に何か変って感じに。
こんな感想抱くの自分だけかな?と思ったら他の方でも「バトルがギクシャクしてる」と指摘されてて、やっぱそうだよなぁとひと安心。
「距離感のマズさ」は言い得て妙だと思います。
なんでこんなに変なんだろ、コンテになるのか?
この感じ…“クジラ”の時に味わったのと同じだ、調べてないけど同じ人だったりして。
一応フォローしとくと、こういった場面の繋がりが変なのはそんなに珍しくはない、同期放送作品で言ったら“ミリオンアーサー”の方がもっと酷い。
ただ、こっちはなまじ作画頑張ってるので目立っちゃう、作画頑張るなら同時にコンテ?も頑張ってくれないとちょっとね。
ひょっとしたらシリウスよりアカンかも知れない。{/netabare}

9話までの感想{netabare}
うん?
う~ん…妖精の強さが分からない、そんな段階で妖精武器とか新アイテム実装されても更に分からない。
一応ね、妖精武器ってのがあると紹介された瞬間は“終末なにしてますか~”みたいな武器かな?と思ってちょっとは関心沸いたんだけど、実際は覚える甲斐があるのかどうか不明な情報が増えただけな予感。
↑で書いた「あすかっぽい」と感じてしまったせい…なのかなぁ?あっちは魔法や魔法少女に対して近代兵器でも適わない・もしくはどこまで対応できるかがしっかり描かれてたじゃん?
翻ってこっちは強いんだか弱いんだか分からない。
妖精に特効のある武器が登場した回で、マーリアがただの銃に妖精撃たれてサクっと気を失う(特殊な弾だったりしたのかな)のはさすがにアカンちゃう?
ってかライフル持っててなんで近付くんだ。
こういうことされると強さ比較だけでなく、他のアレコレとゴチャゴチャした情報も覚える意味あるのかどうか疑わしく、覚えようって気力がゴッソリ抜けちゃうのよねー。
上で「覚える甲斐」とも書いたけど、単語覚えて法則や関係性を頭の中で構築したところで、作り手側が簡単に反故にしそうで。

今後「妖精武器じゃないととても太刀打ちできない」っていう強力な妖精が出る…んだよね?そうだよね?{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 10

82.2 6 政治アニメランキング6位
まおゆう魔王勇者(TVアニメ動画)

2013年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (2369)
13714人が棚に入れました
人間と魔族の戦争が始まって15年。
人間側は魔族の重要拠点を一つ占領したが、その隙に領土の一部を奪われており、魔物による被害と混乱が人々を苦しめていた。
そんな中で、勇者が三人の仲間とともに魔族討伐に立ち上がった。 快進撃とともに人々の希望となった勇者一行だが、魔界進攻は思ったように進まず、勇者は仲間と離れ、たった一人で魔王の城に乗り込む。

声優・キャラクター
小清水亜美、福山潤、斎藤千和、戸松遥、東山奈央、沢城みゆき、神谷浩史、福圓美里、平川大輔、銀河万丈、鈴木達央、寺島拓篤、伊藤静、藤井麻理子、松井恵理子、三宅健太、立花慎之介、梶裕貴、チョー、町田政則、東地宏樹、森川智之、大塚芳忠
ネタバレ

かげきよ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

まおゆうコンビはこれからも

{netabare}魔王の所に乗り込んだ勇者だったが魔王の正体は女性。
しかも魔王&魔族が必ずしも悪では無いことを知り、
手を組み互いに共存、平和への道を模索して行きそうなストーリー。 {/netabare}
↑※1話目のみのあらすじ

全く予備知識無く期待せずに観たんですがコレは面白いかも知れません。

※1話目のみの小感想{netabare}
勇者様がわりと呆気なく懐柔されちゃった事に多少疑問は残りますが、
お人好しみたいなんでそこは余りつつかない事にします。
魔王がオッサンだったら問答無用で終わってたかも知れませんけどね。
(早速つついてるけどねw)
{/netabare}
いろんな人物がちらほら出てなにやら伏線や広がりの香りがするのは良い傾向です。
何が正しく何が悪なのか深いテーマが隠れていそうです。
適度にコミカルなのも抑揚を付けてくれていて良いと思います。

声優陣も凄く豪華で「狼と香辛料」コンビの復活がうれしい!

期待度急上昇で楽しもうと思います。

※2話感想{netabare}
またえらく地味な正攻法で来ましたねー。 食の安定は平和への第一歩。
当然なんですが魔王と勇者で直接やっても埒が開かない気もします。
教育に目を付けたのは良いけど生徒の人数が少ないですね。時間がかかりそう。
人型の魔族を使うとか人形に魔術を施して宣教師として潜り込ませられないんですかね。
んーなんというか、
ファンタジーも取り混ぜて魔王と勇者ならではの切り口を見せて欲しかったかな。
正しいけど物足りない感じがします。折角の世界観なのですから。
まぁ「秘密兵器」がある様なので次回に期待します。

今回は魔王を上げと勇者を下げて対比させて武力だけでは平和は訪れない事や
地道な取り組みが平和を維持するのに必要なことを印象付けたかったのでしょう。
勇者が魔王を倒す=平和が訪れる ではないとね。

イチャイチャモードに入るのは少し早いかな、もう少しお互いの事や過去を知ったり、
心が近付くひとエピソードがあったら良かったと思います。
鼻の下伸ばしていてイザというとき魔王に乳首4つとかあっても知りませんからね!

後はメイド長は良いキャラですね結構気に入りました。
新米メイドも貧しい者の目線から作品を盛り立ててくれそうです。

まだ始まったばかりですしね。引き続き次週に期待します。
{/netabare}

※3話感想{netabare}
「秘密兵器」=ジャガイモでしたね
テレレレン♪ じ ゃ が い も ~♪
四次元ポケットからこんなの出てきた様で、ある意味驚きました。
人間界でジャガイモ普及してなかったんでしょうか。

どうやら平和への道に関しては時間をかけリアル志向で行くんですね。
(テレポート程度はあるみたいですが)
ファンタジー織り込むと思っていたので見方を切り替えないといけないです。
暫くは「まおゆう」というか「がくゆう」(学者と勇者)ですね。

イチャイチャは相変わらずか…と思ったんですが、
いつの間にか大分時間も経過している様子(結構端折ってるのかな?)ですし、
キスぐらいしてあげても良いんじゃないのかな。
魔王が寂しい顔をするのずっと気に掛けてたんでしょ?
また駄肉度が増えちゃうね。メイド長の言うことも一理あるのかも。

いろいろとエピソード不足は否めないですけど、
「本来敵同士の存在が仲良くする」事には意義は感じますし、
今後少し悲しい含みもありそうな気がしてデレデレは許そうと思います。
声優も同じで「狼と香辛料」を匂わせて、実は「ギアス」のオチだったら…
頭脳派の魔王、魔王と勇者の宿命とかも重なり変な想像がよぎってしまいました。
流石にそこまではないと思いますが、この魔王の態度が何かの伏線にはなっていそう。

伏線と言えば同盟からの紅の学士暗殺フラグも気になります。
修道院と違い守銭奴の商人には丘の向こうが見られると言っても無駄そうです。
老弓兵(変態爺さん)が南部諜報部に所属しているらしいので刺客もありえますね。
EDの五枚目の挿し絵が捕まる魔王っぼいのでそれと絡んで来そう。
まずは次回の女魔法使い救出ですがやっと色々と勇者活躍の場がありそうで楽しみです。
{/netabare}

※4話感想{netabare}
魔王の美貌と商人の特性を巧く突いた一言で交渉成功。
嘘は混ぜず交渉したのも良かったのかも。
でも、クリティカルヒットしすぎで求婚される始末。
ややこしい問題にならなきゃいいんですが、なりそうな予感。

老弓兵の変態爺さんは一話で出たあの小国に居る様で今後どう絡むのか楽しみです。
南部って暖かいイメージだったんですが、この小国は寒そう。
トウモロコシの話といい南半球的な世界のイメージとした方がいいのかな。

今回は勇者の不器用な愛情エピソードがあったのでなかなか良かったです。
今後のイチャイチャがまた少し許せる方向へ傾きました。
「愛情は一番の絆」魔王が最初からイチャイチャモードだったのは、
この絆が何よりも重要だと考えての事もあったのかも。
平和を実現するには勇者との絆は必要不可欠ですしね。

それにしても勇者くん、寄り道ばかりしてないで早く女魔法使い助けて戻って来なよ。
長期間、魔界で単身元気な女魔法使いなら助け不要な気もしますが無事は伝えましょう。
{/netabare}

※5話感想(愛のムチの酷評あり){netabare}
このアニメ、描写と演出が足りてないです。
冬寂王の最期は愚かな上流階級の指揮官を庇うという、
この世界を踏襲し皮肉もある名シーンになっても良いはずなんですが、
王子との絆や国民や兵士との信頼関係の描写が無いので心が動きません。
海戦も迫力が無く台詞での補完により旗艦を護った事が判りましたがチープでした。
もう少しエンタメ性を重視して欲しいです。人を引きつけるには重要です。

ストーリーとしては大航海時代後の物流や植民地制度なんかを
学んでいて下地があるのでイメージは掴みやすいんですけど、
裏方作業にばかり焦点を当てていて絵になるシーンをみすみす逃してもったいないです。
歴史や社会の授業の紙芝居じゃないんだから。

ここに来て世界観や設定にも疑問が出てきました。
あの海戦、例え準備万全で指揮官が優秀でも見るからに勝ち目がありません。
魔物との戦い、ボウガンや剣だけで今まで対等に戦ってきたんでしょうか?
人間側にも魔法使いが居るんじゃないの? 強烈な剣技もないの?
戦闘にまでファンタジーは盛り込まないの?
海中や空中の魔物や霊体にどう抗って来たのでしょうか?
ファンタジーな相手にリアル路線で対抗するなら、
せめて人間側に火薬くらいは無いと戦力に差があり過ぎます。
ここまで観て来て食物、文化や知識、戦力の全てにおいて
魔界が上回っている印象がありバランスがおかしいです。
この状況で15年も戦争してたら差は出てきそうなんですが…。
ファンタジーを盛り込まないのならこの世界観すら無駄、不要に思えてしまいます。

先週までは目を瞑りましたが勇者についてもいくら何でも寄り道が過ぎます。
女魔法使いが心配ではないのでしょうか?
いつまでも無事だという確証があるの?
第一目標を忘れていて苛立ちを覚えます。 

いろいろと不満と不安が出てきた今回でした。
今まで溜まっていた不満も含め一度吐き出した形のレビューになっていますが、
期待はしている作品です。
次回からの盛り返しを期待します。好感レビューを書きたいな。

反対意見の多いイチャイチャや魔王と勇者である必要性についてはもう寛容です。
敵同士が手を組み仲良くなり愛するという事にメッセージを感じますので。
{/netabare}

※6話感想{netabare}
「戦争ってなんなのでしょう」っとこの作品のテーマを呼び起こすスタートでした。
本当に誰も戦争を望んではいないんですけどね。
この作品なりの答えが楽しみです。

前回書いた通り設定について納得しきれない部分もありますが、
引っかかってばかりいては楽しめないので、
<戦力>陸戦は人間が有利
<文化>知識は魔王と一部の魔族のみ
<食料>人より魔族の方が食べる
と解釈して均衡を保っていると思うことにします。

海戦はどうやって勝つのかなっと思っていましたが氷で道を作る作戦でした。
冬設定を生かしましたね。
海流もあるし流氷集めるのすごく大変だよ?
作業中は襲われないの?
浮いた氷であれだけ頑丈に作れるものなの?
っと軽くツッコミ入れましたが流すことに。
塩でくっつける豆知識も披露してくれました。

南氷将軍との一騎打ちこの作品の作風にしては演出がありまずまずでしたが、
もう一押し欲しいと思うのは贅沢でしょうか?
「派手にしろ」と言っている訳ではなく台詞や表情や間、心理描写、音楽などで
印象深い物にして欲しいのです。
今回であれば南氷将軍の背負うものや誇り、将として部下を生かす描写や演出が
もう少しあれば良かったなと思います。
魔族=敵・やられ役に見えてしまったので作品主旨と少々ズレている様に感じました。

人間側のファンタジー要素、勇者一行はアリなんですね。
女騎士強いわ。
折角ファンタジーの世界観なんだしストーリーがブレない程度になら、
こういうシーンが増えても良いと思います。

変態爺さんは笑えるキャラですね。
でも鋭い曲者っぼさも感じるので今後の絡みが楽しみです。

リアル志向な作風の割に都合良く行き過ぎな感じもありましたが、
結局領土は都市と島の交換で落ち着きました。
都市では交流や外交的な事が行われるのかな?
魔族とは言葉が通じる様なので色々できそうです。
火矢も登場するようで争いも今後どうなっていくのか気になります。

女魔法使いも忘れずにね!
{/netabare}

※7話感想{netabare}
イチャイチャは許すとは言ったもののハーレムになるとは。
ハーレムにすると視聴者や読者が食いつくんだろうけど、
ストーリーものでしつこくやると媚びてる感じがして好きじゃないです。
今回は別れ直前と言うことでまぁ良しとしますけど、
ストーリーとして意義ある範囲に適度にお願いします。

月日も大分経ち、メイド姉妹や弟子たちも立派になりつつあります。
束の間の平和にはなっているようで都市では交流も計っているようです。
今回は基本的に上手く行っている平和を見せてくれましたが、色々くすぶっている様です。

「また会おう、すぐにでも。」は、いかにもなフラグです。
また失脚した白夜王と指令官は手を組んで悪そうな企みをしています。
なんだか分かりやすい単調な展開になりつつあって
深みのあるストーリーになるのか心配な面もあります。
少しだけでも「まさか」を入れ込んでくれると楽しめるのですが。

1話目を観た後に期待が大きくなりハードル上げ過ぎたのかも知れません。
悪い作品ではないんですけど、物足りなさを感じてしまいます。
もうちょっと頑張って欲しいなー。

まぁ次回を楽しみに待つとします。
そして、お ん な ま ほ う つ か い は ?
{/netabare}

※8話感想{netabare}
ちょっとした「まさか」を入れ込んではくれました。
メイド姉が魔王の身代わりに捕まることに。
たかがじゃがいも、されどじゃがいも。
勇者は冬の国の領地外に出たところで助けるつもりの様ですが、
冬寂王に遺恨のある白夜王が手引きしていたら冬の国領で一波乱ありそうで心配です。

魔王の正体は主要な人に明かす段階の様ですが、
やっぱり描写不足な気がして置いて行かれている感じはします。
優秀な商人だからと押しつけられても飲み込み難いです。
知力で劣っていた勇者の個人的な判断にも見えますので不安も感じます。
信頼に至るもうひとエピソード欲しかったです。

ラブコメ的には本妻が決まってしまった感じです。
個人的には引っかかってはいないですけど、
女騎士ファンにはどう映るのかな?

魔王は歴代の魔王を封印する儀式の様なものをするようです。
あの魔王のまま帰って来れず、
一部意識を飲み込まれて戻る雰囲気は感じるのでハラハラしだしています。

女魔法使いは何なんでしょうか?
外の図書館で寝ているから勇者が助けに行かなくても
平気って事にされているのでしょうか?
腑に落ちません。
{/netabare}

※9話感想{netabare}
罪人って指輪外されないの?
あれっ?もう断罪式やるの?
演説させる機会あげちゃってるし!
同じ壇上にいたまま石投げさせるの!?
っと、色々思いましたが、
メイド姉のすばらしい演説でした。
「自身で考え動いてこそ人間」って事を説いていて言葉自体には感銘できました。
ただ出来れば学士の『偽物』としてではなくメイド姉『本物』としての口から聞きたかった。
役立たずの使者やおかしなシチュエーションも手伝い、
違和感があって素直に心で聞けなかった…ストーリー上仕方ないとも思うけど。

新キャラみたいなのや女魔法使いも残っていますが後残り三話で収集つくのでしょうか?
ただでさえ絵が足りず、はしょり感が強い作品なので心配ではあります。
{/netabare}

※総集編がありました

※10話感想{netabare}
権力もお金も分散させようとしてそれぞれ動きましたが意外と難しい話になってますね。
新しい人物も出てきてますし、(あのデブ貴族?誰?)
魔族と人間だった対立関係が人間界の中央と地方の対立にすり替わっちゃってるので、
複雑になっちゃってます。
考えながら観てこれた人はついていけるだろうけど、
気軽に見ていた人は大変というか置いて行かれるかも。

主食で先物やっちゃうのもどうかと思うけど、
青年商人は貴族にお金を吐き出させたい様子。
インフレで戦争まで起こっちゃっても止めないのはやりすぎな気もするけど。
犠牲が出てでも人間界の構造を変えたいのか、
勇者や冬寂王側なら何とかしてくれる計算があっての上なのか、他に何か考えがあるのか、
先を見ないと何とも分からないけど今までの流れに比べると現状強引な感じはします。

そして女魔法使いはネタだったようです。
火竜公女に魔法かけてあげたって事はもう勇者と出会って事情が分かっている
という事でしょうかね。
{/netabare}

※11話感想{netabare}
中央征伐軍は何故もたもたして開戦に踏み切らないんだろう?
大軍を見せつつ降伏勧告を行っているのでしょうか?
食糧不足で戦いに来ているのに大軍で長期戦にするのは考え難いのですが…。
わざわざ隙を作るから付け入られてますし。
戦争して欲しい訳ではないけれど、
相手が無能すぎるから上手く行くってのも楽しみが削がれます。
この後は多分傭兵集団なので金の切れ目が縁の切れ目となる展開になるのでしょう。

鉄国への奇襲も奇襲になってないです。逆に待ち伏せされています。
片目指令官が無能なのは描かれていたので、こちらは納得できますが、
ただあまり人間側を無能に描くと、今まで魔族と互角だったの?
という疑問が(魔王の教育が成果を見せているだけに尚のこと)再浮上してしまいます。
また、この戦闘で「火矢」が登場するのかと思っていたのですが、出ませんね。
このまま出ないのかな?

青年商人の策は上手く行きそうです。
二大通貨制や魔族との通商(とりあえず塩中心かな)も視野に入れ競争原理導入と格差是正を
行う体制を整えつつあります。
これで中央は独占出来なくなるでしょう。

ただ戦争になってしまう事など都合の悪い部分には触れませんでした。
勇者や冬寂王側と協議していたのなら理解できそうなのですがそうでも無さそうです。
また、現在お金を持っている人や貴族がみんな中央でせしめている悪いイメージ
になっているのも気になります。
全うに貯蓄していたり立派な領主さんも居るのではないでしょうか。
序盤に腰を据えて平和への道を探っていた割にここに来てメリットばかり押しつけて
強引で一方的に都合の良い話になっているのが気に掛かってしまいます。

女魔法使いはいつの間にか魔王の方と繋がりがあったみたいです。
先週火竜公女に魔法を掛けていた謎が解けましたが、
本当にいつの間にそんな関係だったんでしょうか?

そして魔王と勇者はやはり戦う宿命であった様です。
案の定、魔の王に乗っ取られて出てきました。
物理攻撃そんなに出来ないですから、愛の力になるんでしょうか?
もったい付けていたキスが炸裂するなら魔王と勇者というより姫と王子っぽいですけどね。

もう次がラスト。
描写不足が解消される事はないと思いますが、
それ故に想像しながら楽しむ事は出来ている不思議な感覚でもあります。
(アニメーションとしてはどうなんでしょうかw)
ともあれ最終回を楽しみにしています。
{/netabare}

※12話感想{netabare}
魔王を抱きしめる展開ならキス位しても良かったんじゃないかな?

最終回でどう纏めるのか、纏まるのかな?っと思っていたら、
纏まり切らなかったですね。

戦争に関しては相手が無能な上に内輪で揉めてくれたため小競り合いで回避できました。
しかし中央と南部三国の対立構造は潜在的に残っていますし
中央教会と一部魔族の癒着やの問題も残っています。
鉄砲まで用意しているようです。

女魔法使いも謎が多いままでした。
魔王とのつながりも不明、洞窟で術式を見つけ何をしていたかも不明です。

魔族の方もまだまだ人間を敵視していてやっと開門都市を足ががりに
通商や交流が始まろうとする段階で平和へと向かうにはまだ色々大変そうです。

丘の向こうが見られるにはまだまだ先が長そうです。
これは2期がありそうですがこの時点では不完全燃焼という感じです。
{/netabare}

結局終始描写不足に悩まされましたが、想像もしながら楽しみました。
これだけ端折った感じだとアニメとして高い評価は出来ませんけどね。
不満がありながらも魅力はあるので2期が来るのは待ち遠しいです。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 56
ネタバレ

plm さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

イチャラブしながら歴史発展を顧みる対話モノ

このアニメを観るときの注意
・この作品は冒険ファンタジーではない。魔王と勇者のバトル等を期待して観ると残念な気持ちに。
・2ちゃん即興小説が原作で、ショートショート(以下SS)独自なノリの会話が主体になっている。
・原作は13スレにわたる大作で、このアニメでは5スレちょっとのところまでしか描かれていない。

◇2ちゃんSSには独自の作品形態がある(2ちゃんSSの特徴について雑文まとめ)
{netabare} 2ちゃんSSの文章形式は、大部分を「」付きのセリフで表現して、地の文がないというもの。

男「今日はいい天気だね」
女「雨降ってるけど」
男「雨が好きなんだわー」

こんな感じのやりとりをひたすら積み重ね、話を展開するのが特徴となっている。
まおゆう原作もこの形式を取っているゆえ、ほぼ全ての場面で誰かと誰かの対話が主に描かれている。

何故こんな形式になったのか?これは新ジャンル「○○」といったものが流行ったことから察するに、
"会話・掛け合い"に焦点を当てて、簡潔にキャラクター性を引き出すことが目的だと思う。
まおゆうのイチャラブ要素も、その流れからきているいわばお約束のようなものなのかもしれない。

それに加えて「作品発表の場が掲示板であること」が大きな違いであると思う。
リアルタイムで第三者の感想を交えながらネタを投稿できること、
また、文字数制限等のため一度の書き込みで書ける量はさらっと読める程度に留めないとならない。
そこで一度の書き込みで、いかに"反応を得られるように表現するか"も考え所である。

まおゆうのような長編であっても、個々の投稿にそういった区切りの息遣いが存在する。
周りの反応も含めて、作品が執筆されていくのを追っかけるのも醍醐味だと思うので、
この辺りの2ちゃんSS独自の特色をバッサリ失ったアニメ化は、純粋に物語と映像化が核になるが..
基本的に即興で書かれたものだし、さてどうなるのか?
{/netabare}

▼視聴時感想
{netabare} 今期アニメの中では王道っぽいオーラで、けっこう期待度が高そうだが、
2ch発祥ノベルで冒険やアクションより対話が主軸だろうから、あまりアニメでやる意味が無さ気でもある。
だいぶ前に流行ってた気がするし、もしかしたら原作読んだことあるかもしれないが..覚えてない。
まぁ絵が綺麗だし観ていこうか。

2話
ああー話の流れはいいなぁ、1話では勇者に魔王と手を組まないか?な、一見危険な誘いだが
その真意は真の平和を得るため、という衝撃の開幕で
⇒では平和のためにまず何をすればよいか? 食糧を得るために農業を変えよう
⇒話が通じないので教育が先だ こんな感じが今回か。
ただこの内容に対して、特殊なセリフが多いことや、イチャイチャパートによって、
シンプルに重要な点が述べられてないから起伏がないな。もっと見せ場がハッキリしてたら良さそう。
真の意味での平和のために手を組んだっていうの1話でちょっと曖昧だったように思うんだよなぁ。

特にイチャイチャパート最初から飛ばし過ぎだが、まぁそれもまおゆうの見所の一つだろうし、
後半なってから唐突にやられてもあれなので、最初から作品の方向性を示すためにもこうする他ないか。

農業や経済の知識は中学校の社会科レベルから噛み砕いて説明していく感じで、勉強になって良さそう。


..6話近況、知識部分はそこそこ面白いが、唐突に場面転換・視点移動することが多く、
なんだか適当に観ていたせいなのか全然ついていけなくなってしまった。
それで、原作補完しようと読み進めているけどそれほど違いもなく..一層わからない。

▽疑問点あれこれ
{netabare} かげきよさんがお答えくださったので、ちょっと補完。ありがとう!
・魔法使い探しに行ったのはなかったことにされたのか
 ⇒探してるっぽい?
 その辺りからの勇者の行動が謎 魔王の騎士といっていたが魔王のために何をしていたのか?
 ⇒反魔王勢力の粛正してるっぽい
・極光島奪還のために魔王が出張っていった意図は?  貿易ルートを開くため?
 ⇒戦争の火種にもなってたしとりあえず奪還するため
・極光島奪還の時、聖鍵遠征軍が援軍にでたのは魔王と勇者の作戦だったの?
 わざわざ疲弊させた聖鍵遠征軍と魔族で戦わせるために勇者を働かせたのは何故?
 ⇒両軍の被害を最小限に抑えるためらしい
・そもそも戦争させたのは何故?勇者パワーで制圧してはいけなかったのか?
 ⇒魔王と勇者で敵を殲滅する!というのはこの作品のコンセプトに反するっぽい

極光島あたりはやっぱりわかりにくい感じがする。 {/netabare}

..9話 メイド姉、人間宣言!
今回の演説は良かったなー。なによりわかりやすい展開。
それにしてもメイド長の虫発言からよくここまで汲み取ったな・・。
人は自分の思考で行動すること を放棄したら虫になってしまうのやなぁ。

身近な問題として、現代でいうとネトゲとか携帯ゲーム依存になってるのは虫状態といえるかもしれない。
何かに甘んじて変化を閉ざしてしまうのは楽だけど、メイド姉はそれに一言申したいわけだな・・。
人間"変わること"がとても難しい事だけど、それに向かう事には輝きがあると、そんな風に受け取った。

..9.5 総集編だった
場面ごとにちょっと踏み込んでくれる解説編かも、と期待して観たもののただのおさらいでした。
極光島らへんはまおゆう世界でこんなことがあったよ!みたいに紹介される程度。

まおゆうはアニメでつまらなくなったという意見をよく聞くけど、原作と然程変わらなくないか?
そもそもこの作品の面白さってどこにあるんだろう。どうして支持されているのかわからなくなってきた。
{/netabare}

▼最終話視聴終了感想 & まおゆうをつまらなく感じるかどうかの相違とは何か?
{netabare} 終盤10~12話は案外楽しめたような気がする。
もっと簡潔に何が起きているのかが解れば、面白く観れるんじゃないかな、これ。

物語端折りすぎてて、もっとじっくりやれば良かったという意見をいくつか見かけるけど、
1スレ見た限り原作にかなり準拠しているように感じた。
原作の意図をあますところなく伝えたいという気持ちも もっともだが、
対話が長いので削られるのは致し方ないと思う。(ずっと喋ってるの聞いてたら疲れてしまう)

むしろこのアニメがつまらなく感じるのは、動きのない説明・講義パートの長さではないだろうか。
自分としては序盤中盤などは必要な情報だけにして、1シーンとして確立してないような場面は
もっと端折っても良かったんじゃないかと思う。

それぞれの場面を原作文章ほど語りつくせず、かといって外せない描写を抜き出して、
どれもがメインストーリーという風で描かれるので、もともと視点変化が多様な原作も相まって
観てる側としては話の不連続性、要点の不明さでどこを注視すればいいのか掴みにくかったと思う。

サブの展開は目立たない程度に小出しして、盛り上がり所に注目を向かせるようにしたら良かったのかも。
毎話ごとの話のテーマがハッキリしてれば、観る方としても見所が分かって楽しめたと思う。
(ここで原作との作品形態の差、息継ぎ・テンポの違いがでてしまっているのでは)
だからこそ、9話人間宣言や10話~聖教会と南部の対立・商人や軍人の立ち回り、
魔王の暴走でもいい、そういった話の見所が分かる回は楽しめたように思う。

どうしても原作をそのまま消化してるって感じで、アニメとして物語の流れができてない気がする。
唐突に話が始まり、唐突に場面が変わり・・っていうのが説明不足に感じる要因ではないだろうか。
視点移動の構成を少しずらす・・とか難しいか。省きすぎれば原作と別物になっちゃうし。

もうこの作品、性質上こうなってしまうのは仕方ない気がする。
原作既読派→もっと原作の会話や描写再現してくれ! アニメから派→もっと動きあるシーンやってくれ!
みたいな感覚のズレがあるんじゃないだろうか?
うまいこと要点抜き出してアニメ化したら、それは両視点において中途半端でしかなかった、みたいな。

さらに様子見のごとくまだまだ先の長い物語なのに1クール12話でやってるところからしても半端で、
話に何の進展や区切りもつかず伏線だらけで終わってて、1作品として評価するには不足が多すぎる。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 23
ネタバレ

みかみ(みみかき) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

勇者魔王もの大好き男に「どの作品が好き?」と訊ねられたとき、女はどう答えたらいいの?

(インスパイア元:http://matome.naver.jp/odai/2136863010862162801)
(更新日:2014年2月15日)

あ、まず前提として、
貴女が勇者魔王もの大好き男を夢中にさせることが、
はたして貴女を幸福にするかどうか、それはまた別問題だけれど。
とはいえ、勇者魔王もの大好き男たちは玉石混交ながら、
IT系の超かしこい男なども多く、
したがって、釣り師たる女たちにとっては、
なかなかあなどれない釣り場です。


では、勇者魔王もの大好き男に「どの作品が好き?」と訊ねられたとき、
貴女は、どう答えれば理想的でしょう?
まず最初に、その男がドラクエのようなタイプのオーソドックスな勇者魔王ものと
あとはテレビドラマ、そして(自分でものを書くほどではないけれど)ちょっと考えることも好きな、
そんなタイプの場合は、
貴女はかれの目を見て、微笑みとともに質問など無視して、こう言いましょう、
「わたしと、一緒に『伝説の勇者の伝説』観よう♪」
これこそまさに必殺の答えです。
そこで勇者魔王もの大好き男が、えへへ、とやにさがったならば、
貴女は、ひそかに、「DQ3」「DQ4」「FF6」あたりを
ひそかに遊んでおき、雑談に答えられるようにしておきましょう。
これで成功まちがいなしです。


しかし、ここでは、もう少しハイブロウな(?)いわゆる勇者魔王もの好きの男の
落とし方をお伝えしましょう。
この場合、貴女は、こう答えましょう、
「わたしは、『まおゆう』が好き。
一気に全部読んじゃった。アニメも見たし、
あの経済ネタも、ぜんぶ大好き♪」
もしも貴女がそう答えたならば、
その瞬間、勇者魔王もの大好き男の目はきらりと輝き、
かれの貴女への恋心は、
20%増量になるでしょう。


なぜって、『まおゆう』は、
濃厚な味わいのある経済知識が散りばめられていて、
その中にも軍事/政治ネタがスパイスとして効いている、
思想ネタは素朴な啓蒙思想ながらも、そこがまた
オーソドックスな教育を受けた人の実直な筆致という雰囲気をかもしだしていて。
しかも『まおゆう』が書いている経済ネタは、
日本の経済学をやっている人のスタンダードを、
質高くふるまっていて、なおかつ、
経済政治ネタをファンタジーに混ぜるというジャンルをメジャーにした功績もあって。
したがって『まおゆう』こそは、
本来なんの接点もないまったく縁もゆかりもない別々の世界に生きている、
キャリア・ウーマンと、玉もあれば石も混じっている、そんな勇者魔王もの大好き男たちが、
この世界で唯一(いいえ、『竜の学校は山の上』、『狼と香辛料』と並んで唯三)遭遇しうる場所です。





では、参考までに、危険な回答を挙げておきましょう。
勇者魔王もの大好き男に「どの作品が好き?」と訊ねられたとき、
貴女がこう答えたとしましょう、
「『ソードアート・オンライン』のが好き♪ 原作もぜんぶ読んじゃった。」
その瞬間、勇者魔王もの大好き男の貴女への恋心は消えます、
なるほどSAOは、人気のファンタジーもの。勇者設定と、現代が混じっているという点で広義の勇者魔王ものには入るでしょう
勇者の設定は平凡ながら、ま、無難にまとめてあるものの、
しかし、現実と勇者の折り合いを書くというよりも、勇者の俺Tueeeee感だけが醸成される展開に加えて、
驚異的なハーレム展開。も少し、社会的な想像力にあふれた味わいが好きな勇者魔王もの大好き男にとっては天敵なんです。
また、もしも貴女が「勇者ヨシヒコが大好き♪ あたし勇者ヨシヒコ全部観たんだ♪」
と答えたとしても、ちょっと危険球となるでしょう、
なぜって、『勇者ヨシヒコ』は、深夜テレビとはいえテレビで放映され、
キャスティングなどからもテレビドラマファン層の女性を掴み、好意的に見れば批評精神も感じられます
ですが、『まおゆう』などと比べると、露骨なインテリ臭が少ないことに単なるB級娯楽と捉える向きも少なくありません
(ただ、勇者ヨシヒコは人によってやや反応は分かれるかもしれません)


またもしもたとえあなたが勇者魔王ものが大好きで、
「わたし、『魔王倒したし帰るか』が好き、SF的想像力もシビアでいいけれど、
最高に好きなのは人間描写♪ あの陰鬱とした描写がすっごくシビれるの。」
と、答えたとしたらどうでしょう?
なるほど、貴女の趣味は高く、
たしかに『魔王倒したし帰るか』は、SF的想像力にあふれているのみならず、
人間描写も最高にすばらしいんですけれど、
しかし、貴女の答えを聞いて、勇者魔王もの大好き男はきっとおもうでしょう、
(なんだよ、お高くとまった女だな、厭世的なメンヘラ女だったりしたらめんどくさそう)って。


貴女が、勇者魔王ものが大好きで、名作の名を挙げるにしても、
たとえば、九井諒子の『竜の学校は山の上』ならば安心でしょう、
なぜならば、九井諒子は、ふつうのOLにもマニアにもともに愛されるめずらしい作品で、
貴女がその名前を挙げても必ずしも、あなたが勇者魔王ものおた宣言をしているとは受け取られないでしょう。

しかし、たとえば、星新一的なセンスの光る『王「本気で魔王倒す」勇者「えっ?」』にせよ、
生態系のメタファーと既存のファンタジーへのアイロニーが融合した『勇者のくせになまいきだ』にせよ、
それまでにないテンポと批評性を魅せる『30秒勇者』にせよ、
テンポの良いRTSの楽しさとドット絵のかわいさで魅せる『100人勇者』にせよ、
ファーストフード店のバイト店長の日常を伺わせるな『はたらく魔王さま!』にせよ、
ソーシャル・ゲームの感覚をうまくズラした、『いけ!勇者』にせよ、
2chSS発の『勇者「冒険の書が完結しない」』、はたまた『母「でかけるの?」勇者「あぁ、ちょっと世界を救いに」』にせよ、
そういう作品の名前をいきなり挙げるのは、ちょっぴり微妙。
ましてや貴女が、「2ch系SSの勇者魔王ものが大好き♪ わたし、もうほとんどのSS、読んじゃった♪」
と答えたならば、どうでしょう?。
これはかなり博打な答え方で、
なるほど、2ch系SSは、『まおゆう』も『魔王倒したし帰るか』も産んだ多数の傑作勇者魔王ものSSを抱えた場所ゆえ、
あなたがそう答えた瞬間、勇者魔王もの大好き男がいきなり超笑顔になって、
鼻の下がだら~んと伸びちゃう可能性もあるにはありますが、
しかし、逆に、(なんだよ、この女、勇者魔王ものおたくかよ)とおもわれて、どん引きされる可能性もまた大です、
なぜって、必ずしも勇者魔王もの大好き男が勇者魔王もの大好き女を好きになるとは、限らないですから。
しかも、この答えには、もうひとつ問題があって、
男たちは、女を導き高みへ引き上げてあげることが大好きゆえ、
もしも貴女が、「2ch系SSの勇者魔王ものが大好き♪」なんて言ってしまうと、
そこにはもはや、男が貴女を勇者魔王ものを教育する余地がまったく残されていません、
したがって貴女のその答えは、
勇者魔王もの大好き男の貴女への夢を潰してしまうことに他なりません。


ま、ざっとそんな感じです、貴女の目には男たちはバカでスケベで鈍感に見えるでしょうが、
しかし、ああ見せて、男は男で繊細で、傷つきやすく、女に夢を持っています、
貴女の答え方ひとつで、男の貴女への夢は大きくふくらみもすれば、
一瞬で、しぼんでしまいもするでしょう。





では、スキットを繰り返しましょう。


「わたしは、『まおゆう』が好き♪
原作も読んだし、アニメも見ちゃった。昔はDQとかFFとか遊んでたし、
経済政治ネタも、大好き♪」
そして、その瞬間、勇者魔王もの大好き男の目がらんらんと輝いたなら、
貴女はこう重ねましょう、
「それからね、いま、わたしが読んでみたいと思っているのは、
九井諒子さんの作品、素敵な作品をたくさん書いているって噂を聞いたから。
あなたがもし持ってたら、わたしに九井諒子さんの作品貸してよ♪」
これでもう完璧です。


そうなったらこっちのもの、
デートの日には、アイメイクをばっちり決めて、かわいい下着をつけて、
アプワイザー・リッシェか、ジルスチュアートの可愛いワンピを着てゆきましょう。
その日から、勇者魔王もの大好き男は貴女の虜になるでしょう。
では、釣り師としての貴女の、愛の幸運と幸福をお祈りします!

{netabare}

上記は、「なんなんだ」と思われたかもしれませんが、ネット上で有名なテンプレートの改変ネタになります。男が落ちるかどうかは全く保証いたしかねますので自己責任でよろしくお願いします。
さて、
もともと書いていた感想は下記になります。

タイトル:
わたしを原作厨だと嫌ってもらってもかまいません……でも…わたしのことは嫌いでも、まおゆうのことは嫌いにならないでください…!

本文:

 一話視聴しての感想は、たいへんあざやかなものでした。

 …
 ………
 …………
 …原作を読むべし。以上…!

 えー、さて。
 
 何度でも申し上げますが、原作は稀有な傑作です。「ひぐらし」以来のインパクトを受けた作品だと言ってよいです。
 みなさん、原作を読みましょう。原作しかありません。もちろん、原作はメジャー向けコンテンツとしては洗練されていないので、合わないという人もいるのはわかっていますが、それでも、わたしは100%原作推しです。

 原作はこちらで、合法に、タダで読めます!
 ttp://maouyusya2828.web.fc2.com/menu.html

■アニメと原作の違い

 アニメと原作は何が違うか。
 まず、当たり前ですがテキストの分量が違います。アニメでは大量にテキストが端折られている上、話がスローリーな印象になります。原作のよいところは、大量の情報量が、ドバーっと、流れてくる感じなのですが、アニメ版は、視聴者層に配慮したのだろうとは思いますが、たいへん、はなしの密度が薄い感じに仕上がっております。とりわけ、一話でカットされている部分としては、魔族側にはどういった限界があるのか。魔王がどれだけ不完全か、といった点がきちんと言及されておるわけです。制作陣はテキストの中身をきちんと理解できる程度の尺の長さで展開したかったのでしょう……。

 第二に、アニメ版は、おっぱいがやたらと揺れますが、原作は、おっぱいが揺れません。わたしは微エロおっぱいアニメなどという、中途半端なものにあまり良い印象はありません。どストレートエロアニメなら、むしろOKですが、おっぱい関係ねーだろって話で、おっぱいをいっぱい強調されるのはむしろ、たいへん悪い印象を残すのであります。なんでおっぱい揺らす必要があったのかと小一時間……いや、まあだって、この話でおっぱいが揺れる必要ビタいち無いっつーか、そういうところで勝負かけてないだろ。これは。メインヒロインがお色気要員モノ、というのは、まぁ、伝統的にあるんだけど、私は、これは悪しき伝統だとしか思ってないので、ガチでやめてほしいのです。
 
 第三に、まおゆうは、ギャグとかそっち系のノリは正直ちょっと寒いんだ…!知ってたよ…っ!わたしだって知ってたよ…っ!だから、お願いだから、ギャグ系の部分とかをクローズアップしないでほしいな、と思ってたら、余裕バリバリで、コメディ内輪ノリ部分を前に出してアニメつくってきたよ、こいつら…っていうね。
 まあ、なんつーか、ある種のオタクの同人ノリそのものなんだよね、まおゆうのギャグセンスって…。だから、ちょっと、文化の外側にいる人間からすると、けっこう厳しいんだわ、コレ。

 ざっくりまとめると、

 「経済うんちく:いちゃいちゃ:ギャグ」の比率が違うわけです。2話現在までの感じだと、

【原作】 20:4:1
【アニメ】 10:8:3

 ぐらいの違いがあるわけで、なんつーか、なんで、わたしはこんな二流のラブコメを延々と見なければならないのか…ごごごごごごごごっごっゴッッゴッゴッゴッゴッッッ…!!!!!
 という原作厨としての静かな怒りが沸いてくるわけであります。

 …
 ……

 いやー、もう、そういうわけで、1話にして早くも、わたしが原作厨となる展開で確定いたしました。その点、わかりやすくてよかったです!
 まあ、予想された展開ではあったわけですが、いやぁ、完全にこれは原作厨になるしかありませんねぇ…。

■じゃあ、どうすれば納得したのか。

 いや、まあ、元も子もないことを言えば、アニメ化していいものになるわけがないだろうな、とははじめっから予想していたので、しょうがないことだとは思ってるんです。だからね、制作陣をdisるつもりは、実はこれっぽちもないんです。しょうがないっちゃぁ、しょうがないよね。
 アニメ化自体をしなかったほうが良かったかどうか、という点でいえば、原作ファンからすれば、この作品が少しでも世の中に広まること自体は大歓迎なので、いかに納得出来ないクオリティであるとは言っても、アニメ化されること自体は悪くないとも思ってるんです。
 1クールでやるにせよ、2クールでやるにせよ、原作のテキスト量からすると、どう考えても20分前後で一話構成で、ある程度メジャー向けのコンテンツとして再構成するのは、かなり骨が折れるでしょうし、まあ、もちろん、制作陣は、いろいろと難しい限界のなか頑張ってるとは思うので、その点をdisろうとは思いません。おっぱいアニメにしたこと意外は。

 ただ、個人的に、わがままだけを言わせてもらえれば、
 やはり情報量は変えないでほしかった。
 一つの方法としては、たとえば、魔王は、ゆっくりとしゃべるんじゃなくって、早口でどばーっとしゃべるタイプのキャラにしてほしかったなぁ。まぁ、もっとも、早口系の講義とかって、ごく一部の人にしかウケないので、コンテンツ事業者としては、筋のわるい選択だろうから、それは駄目だとは思うけどね。だから、その手法をとらなかったのは仕方がない。
 もう一つの、製作コスト&リスクがあがってしまうやり方としては、語り口の構成そのものを大きく変化して、別物スレスレというところまで再構成するというやり方だと思う。

 現代日本において、比較的大量の情報をパッケージングしつつ、ある程度メジャーに受けている手法っていくつかしかないわけですよ。
 1.サンデルの白熱教室スタイル
 2.NHKスペシャルスタイル(及び、その簡易版としてのクローズアップ現代)
 3.discovery Channel スタイル(及び、その派生系)
 …とか、パッと思いつくのがこのぐらい。民放のクイズ番組とかは、すごく情報量を少なくしてるし、「ためしてガッテン」とか「ホンマでっかTV」とかは、ネタそのものが、視聴者層にウケそうなものをピックアップしているので、ちょっと経済ネタをのっけるには不適切。旧「週間子どもニュース」も時事ネタという強みがあるので、ちょっと違う。
 で、とりわけ、「中心となる物語」をきっちりと構成しつつ、情報を伝えていくという編集方式だと、NHKスペシャルのやり方が一番近いと思うわけです。
 なので、もし、わたしが番組内容の再構成を大胆に許されるのならば、魔王と勇者の会話を、NHKスペシャルっぽい番組構成で、再構築しちゃいたい。まあ、作りこむの大変そうだけれども、情報量を少なくして、劣化版つくるよりは、そういう冒険をしてほしかった次第です。
 まー、予算も人材も、たっぷりと必要になっちゃうから大変なんだけどね。

 予算、人材、納期。そして、何よりもスタッフの情熱の総量が、プロジェクトのなかで充分そだっていなければ、そういう贅沢な再構成はできないでしょう。
 メディアミックス展開というのは垂直立ち上げをうまくやらなければいけないだろうから、時期的な問題も、もちろんあるでしょう。
 非常にハンドリングの難しいプロジェクトだったとは思います……が、こういう形のアニメに仕上がってしまったのは、やはり残念な気分です。 


■なお、そもそも、まおゆうの何がいいのか:最後に。

 ちなみに、原作のこの作品がすばらしいと思っているか、というと、短く言うと、
<経済学の考える、幸福のあり方>
を、おそらく、日本のコンテンツにおいてはじめて真正面から、充分な分量で書いた作品だと思うからです。

 もっとも、石ノ森章太郎の『マンガ日本経済入門』とか、経済ネタのマンガがいままでなかったわけではないけれども、はっきりと言って、まおゆうの作者のママレさんは、石ノ森章太郎とは明らかに見ている世界が違う。経済の話をする、というのは、頭をしかめて、むずかしく天下国家のことを論ずるという以上に、「わたしたちの世界はどのようにして成立しているのか」という世界観を与えてくれるものです。



 いまだに、不勉強な人だと、「新自由主義批判」とかをして何かを批判したような議論をしている人が日本には耐えないけど、あの手の議論は何度きいても寒々しい。新自由主義批判とかをしてしたり顔をしてる連中の経済談義なんかより、まおゆう原作のほうがよっぽどまともであり、啓蒙的意義が深いです。

*

 なお、ネットでまおゆうを批判している人の大半が、日本の七〇年代~九〇年代的な左翼系知識人の影響下にある人が多くてげんなりー。そういう人のしている批判は、「新自由主義的な世界観そのものがダメ」っていうだけの話なので、わたしのなかでは、「ああ、残念だな」と思っておわるだけなのですよ。
 まおゆうの議論の中身についての、ごくまっとうな批判は、開発経済学、数量経済史的な観点からなされるべきだと思っているわけで。開発経済学や、数量経済史的に込み入った話をすれば、まおゆうは、かなり沢山ウソをついているし「しょせんはファンタジー」であるのは、事実ではある。まぁ、あと政治思想史的なところもちょいと触れてるけど、そこはすごいちょっぴりすぐるので、まぁーそこはご愛嬌。
 だけれども、こういうコンテンツでこれだけ頑張ってみせてるのは、偉いよ。ほんと。

■狼と香辛料と何が違うかって?いや、ぜんぜん違うでしょ。

 なんか「狼と香辛料が~」って人多いけど、
 スタッフ同じなのこれ?そこらへんは、よーしらんけど、
 狼と香辛料とは、ぜんぜん違うはなしでしょう。

 あっちは、小売の行商人の話。こっちは、経済の計画をやる話。
 学部で言えば、商学部と経済学部。
 業種で言えば、商社と、(財務)官僚の違い。

 確かに、同じ「お金」の話だけど。狼と香辛料はゲームのプレイヤーの話だとすれば、まおゆうはお金をめぐるゲームの設計者の話です。


■追記:昔の原作初見時の感想など

PCのアーカイブあさってたら、昔の原作初見時の感想出てきたからせっかくだから、はっとこうか。

・おもしろいのだけれども、途中からちょい微妙
・やはりフェミニズム系の文脈の抑えのあまさがけっこう気にかかる。あと物語のご都合上あるていど仕方ないのはわかるけれども、「教育/啓蒙」がちょっと簡単に成功しすぎている。まあ、いいんだけどね。個人的には、もうすこし登場人物をすくなくして、じっくりと何度も失敗するような話ができるとベター。ひぐらしはそこらへんもよくできている。まあ、ひぐらしは、小さなとこで公務員やってた人のリアリティがやっぱよく出てるんだよね。
・モデルはほんとうに中世のヨーロッパそのものだよな、と。あと、わたしのような読者にとって、やはりおもしろみに欠けるのは、近代人が、前近代のことを書いているだけという部分。「近代」に至る過程であらわれた革命的な発明の<コタエ>を全て知っている。本当にまだ見ぬものを発明するための努力自体が書かれていないのが残念。まあ、そういう話の急速さを楽しむことこそが、この作品の魅力でもあるので、無いものねだりもいいとこっつーか、作者と前提を共有していないコメントなのは承知ですが。ここらへんは知性が超越しすぎている……というか、フォン=ノイマンですらもうちょっと悩みが多かったはずで、天才発明家というのは、こういうものではない。もちろん。。これは「魔王」だからいいんです、と言ってしまえばそれまでなんだけれども、解へ至る道程を模索するエネルギーが、足りない。やたらとあっさりとしすぎている。迷いが少なすぎる。人間は何かにつけ、もっと、もっと悩んできたと思うのだけれども…というのが主たる不満。コタエがコタエである、ということを半ば自明のようにざくざくと書いていけるのは、後世の人間が啓蒙として書いているから、ということに他ならない状況がある。それは、どうよ、と。
・啓蒙小説なのだと割り切って読めばいいのだろうし、啓蒙小説としては極めてすぐれているのは間違いない。というか、こういうものが出てきていること自体はガチで歓迎したい。
・いろいろと表現にきにかかる部分は多いというか、ライトノベル的な文脈にのりすぎというか、中二的妄想もうすこしどうにかならんか、と思うが、まあこういう世界感が好きな人なんだろうし、ある種の読者はこういうものこそ好きなのだろうし。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 56

90.2 7 政治アニメランキング7位
攻殻機動隊S.A.C 2nd GIG(TVアニメ動画)

2004年冬アニメ
★★★★★ 4.3 (2144)
11252人が棚に入れました
「笑い男事件」が解決して半年…労働力不足を補うため国外から招かれた約300万人の招慰難民。日に日に存在感を増す招慰難民と、国家の孤立を謳うインディビジュアリストたちの対立は深まり、テロが頻発するようになった。その状況の中で「個別の11人」を名乗るテロリストがテロと自決を決行する。
だが「個別の11人」のその行為の背後には、あるからくりがあり、その仕掛けに踊らされていただけだった。それに気づいた公安9課は、その事件の黒幕へと迫っていく。
一方、自決した「個別の11人」の生き残りであるクゼは、招慰難民のカリスマ的指導者となり政府と対立を深めていく。そして素子(もとこ)はそのクゼとの間に奇妙な因縁を感じ始める…。

声優・キャラクター
田中敦子、阪脩、大塚明夫、山寺宏一、仲野裕、大川透、小野塚貴志、山口太郎、玉川砂記子
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

これぞ、公安9課

前作同様、一つの事件を中心に話が進行するが、今作は個別の11人事件が中心である。{netabare}難民独立を利用して難民を殺そうとしたゴーダと難民の心を掴み、全身義体で戦うクゼの戦いが要点の事件だったと思う。{/netabare}

{netabare}クゼの過去が明かされる話があったが、同時に素子の過去が明かされていたようだった。やっぱり子供の頃に2人は会っていて、最後の2人のやり取りがようやく会えた喜びが見えた気がした。{/netabare}

見終わった後は何とも言えない切なさが自分にはあった。謎に包まれている素子の過去?が見られるのも攻殻機動隊好きには嬉しいのではないだろうか?とは言っても、好きな人は絶対見ているだろうけど。それに、嬉しかったのは自分だけかも。

OPはOrigaのrise。やはり良曲。Origaが亡くなってから時間は経つけど、眼曲が残っていくのは嬉しい。

1. 第1話 再起動 REEMBODY
「個別の11人」と名乗る武装グループによって中国大使館が占拠された。密かに出動していた公安9課の面々は無期限待機命令の解除を待つ。総理は、犠牲者を出さず15分以内にテロリストを鎮圧することを条件に、突入を許可するが──。

2. 第2話 飽食の僕 NIGHT CRUISE
3大ネットワークJBNNの会長・片倉の専属パイロットを務めるギノ。欺瞞と不正に満ち溢れた世の中から、憧れの高級娼婦“ヒララ”を救い出したい。義憤に燃えるギノは、彼らに正義の鉄槌を下すべく行動を開始する!

3. 第3話 土曜の夜と日曜の朝 CASH EYE
政財界の名士である田所会長のもとに、窃盗犯から予告状が届いた。9課は芽葺首相の命により、田所主催のパーティを警備することになる。だが、窃盗犯の正体は草薙だった! 9課の本当の狙いは何処にあるのか!!

4. 第4話 天敵 NATURAL ENEMY
合同演習中にAIヘリが暴走。誘われるように各地で無人のヘリが動き出し、集結し始めた。そして、対応を迫られる9課の前に忽然と現れた内閣情報庁の“ゴーダ”。彼の真意も図れぬまま、草薙らはタチコマで出撃するが──。

5. 第5話 動機ある者たち INDUCTANCE
「個別の11人」から茅葺首相に暗殺予告文が届いた。9課は警護につくが、参禅に乗じて暗殺は実行にうつされる。茅葺に迫る全身義体の男・クゼ。はたして草薙は阻止できるのか!

6. 第6話 潜在熱源 EXCAVATION
エネルギー省を脅迫していた男が、不可解な死を遂げた。トグサは彼の足跡をたどるべく、招慰難民居住区「東京」に向かう。だがそこでは、あるべきはずもないものが、地下最深部から呼び起こされようとしていた。

7. 第7話 狂想は亡国の調べ
新宿地下原発から燃料棒の海路移送計画が「個別の11人」に漏洩した。ゴーダの指揮のもと、9課は移送任務を請け負うが、経由する陸路は不穏な空気が漂う難民居住区だった。

8. 第8話 素食の晩餐 FAKE FOOD
「個別の11人」容疑者カワシマの身柄確保に奔走する9課。だが、虚構であったとしても現実へと変換されれば、それは真となる──。彼は本当に「個別の11人」なのか、それとも別の目的を持った偽者なのか!?

9. 第9話 絶望という名の希望 AMBIVALENCE
生きることに希望を見だせない人々がその身をやつす「自爆テロ」。そして、それを阻止するため奔走する9課。一方、単独で内閣情報庁に潜入した草薙は、そこでゴーダの仮想人格と対峙するが──。

10. 第10話 イカレルオトコ TRIAL
非番中にやむなく発砲してしまったトグサは、単なる証人から「不幸な事故」の引き金に仕立て上げられる。証言台に立つ彼の前で、理不尽な追求が9課にまでその矛先をのばそうとした時、事態は思わぬ展開を見せた!

11. 第11話 草迷宮 affection
虚実定まらぬ街で誘われた、記憶を預かるという『牢記物店』。草薙は、そこで主無き少年少女の義体とめぐり会う。物言わぬ彼らにかつて訪れた物語とは──。

12. 第12話 名も無き者へ SELECON
虚ろなる真に導き寄せられる「個別の11人」。そして、組み上がった因子を解き明かしはじめる9課。だが、さらなる具現を阻むべく行動を起こしたその時、すべてを暗転させる「刃」が抜かれた!!

13. 第13話 顔 MAKE UP
クゼの顔を追って、9課は造顔作家へとそのコマを進めた。だが、カメラの映し出したパズの凶行が、捜査の動きを鈍らせる。これも「クゼ」の仕業なのか、それとも──。

14. 第14話 左眼に気をつけろ POKER FACE
米帝特使を迎え厳戒態勢が敷かれる中、待機中の隊員等はポーカーに興じていた。そこで、一人勝ちを続けていたサイトーは、左眼にまつわるポーカーフェイスを語りはじめるのだが──。

15. 第15話 機械たちの午後 PAT.
「この人どこかで見たことがあるんですよね…」研究所の爆破事故後の捜査中に、奇妙な既視感を感じるタチコマ。所在不明の有須田博士と、自分達の主体について疑問を持つ彼らとをつなげるものとは──。

16. 第16話 そこにいること ANOTHER CHANCE
国連平和維持軍としての戦い、任務を終えてからの葛藤──。イシカワの持ち帰ったクゼの過去、それは9課にとっても草薙にとっても不可解なものであった。一方、国内情勢の悪化は日米安保締結に拍車をかけていた…。

17. 第17話 修好母子 RED DATA
クゼの足取りを追い台湾へ潜入した草薙は、そこで少年・チャイと出会う。行動を共にし始めた二人の関係は、時には友人、時には親子、そして時には恋人──わき起こる奇妙な感覚に母性を励起させ、彼女は行動を開始する!

18. 第18話 天使の詩 TRANS PARENT
当局が追っている正体不明のテロリストは『天使の羽根』と呼ばれていた。大規模な包囲網が街を覆う中、ある少女の存在がバトーの脳裏をよぎる。そして、彼女の秘密に突き当たったとき、天使は再び舞い降りた──。

19. 第19話 相対の連鎖 CHAIN REACTION
並列化した招慰難民達の行動は、自治区宣言へと拡大した。これに対し草薙は、クゼを確保すべくハブ電脳へとダイブする。だが、潜伏場所を急襲した9課を予想し得ない事態が待ち受けていた!

20. 第20話 北端の混迷 FABRICATE FOG
北端、択捉──そこは、旧型の電脳都市にして混沌の坩堝。断片的な情報を元にクゼの目的を想定し9課は旧ロシアの原潜基地跡へと向かう。しかし、そこでは既に難民等とアームスーツが戦いを始めていた!

21. 第21話 敗走 EMBARRASSMENT
クゼと9課との間にある、わずかな動機の差。それは彼に包囲網を突破させ、出島へと辿りつかせる。だが人々の前に広がった光景は、第三者による意志の介在を予見させるのだった。

22. 第22話 無人街 REVERSAL PROCESS
「個別の11人」最期の場所である九州電波塔に、プルトニウム爆弾が仕掛けられた。解体処理のため無人と化し静寂につつまれる街中を、バトーは一人ゴーダのもとへと赴く。クゼが自決をしなかったその場所で、二人はなにを語ろうというのか──。

23. 第23話 橋が落ちる日 MARTIAL LAW
戦わずとも勝負は決するはずだった招慰難民と自衛軍。しかし、水が低きに流れるように、人の心もまた易きに流れる。一発の銃声が状況を急変させ、事態は混迷の度を深めていく。

24. 第24話 出島、空爆 NUCLEAR POWER
制空権をおさえられ潰走する招慰難民達。ゴーダの策略がさらなる展開を見せる中、9課は出島へと突入する。一方で、クゼは人々をハブ電脳に繋ぎ止めるべく、次の手に出ようとしていた──。

25. 第25話 楽園の向こうへ THIS SIDE OF JUSTICE
クゼと邂逅を果たす草薙、そして茅葺の救出に成功する荒巻──事態は収束に向かうかと思われた。だが、タチコマが掴んだ情報は、9課の動きが未だにゴーダの予想の範疇を出ていないことを示していた。

26. 第26話 憂国への帰還 ENDLESS∞GIG
この終焉は、通過点の一つであり、又始まりでもあるのだろう。自らを賭して攻撃を阻止したタチコマ。革命の行く末を見極めることなく逝くクゼ。ゴーダとの因縁を精算する9課。そして──。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 1
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

手段のためには目的を選ばない男の末路

【総合評価☆☆☆☆☆】
 士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』の映像化作品には、押井守の劇場版2作、神山健治のテレビ版3作、黄瀬和哉の新シリーズ(『攻殻機動隊ARISE』+新劇場版)、ハリウッド実写版(未見)があるが、押井版第1作『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と神山版『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』および本作は、いずれもアニメ芸術の到達点を示す偉大な傑作と言って良い。
 神山版第1作の設定を受け継いだ本作(『攻殻SAC2』と略す)では、国家の中枢で暗躍するゴーダの策謀と、これを未然に防ごうとする公安9課の活動が基本プロットとなる。前半では、個別エピソードのように思える話がいくつも挿入され、やや緩慢に話が進むが、後半になると、せせらぎが寄り集まって歴史の奔流となる様が描かれ、終盤8話は、息もつかせぬ怒濤の展開となる。
 日本には、『GUNSLINGER GIRL』『RIDEBACK』『BLACK LAGOON Roberta's Blood Trail』『輪るピングドラム』『残響のテロル』など、テロリストを登場させた傑作アニメが少なくない。ハリウッド映画では、無差別テロリストは問答無用の悪党として容赦なく処断される。これに対して、日本アニメになると、「彼らはなぜテロに走るのか」「テロを防ぐためなら何をやっても許されるのか」といった問題に着目して深く掘り下げており、遥かに見応えがある。『攻殻SAC2』は、「国家権力によって捏造されるテロ」というアイデアをベースに、難民問題や軍産複合体などにも目を向けた社会派作品である。
 もっとも、扱う問題が大きすぎるため、一度で理解することは難しい。私も、初見の際には、英雄的なクゼに気をとられて途中からストーリーを十全に把握できなくなり、冒頭から何度も繰り返し見て、ようやく真価を感じ取れた。以下のレビューでは、再見しようという人のために、ネタバレ前提で作品の意味を解き明かしたい。

【社会的背景】
 舞台になるのは、第3次・第4次大戦の惨禍を経て、新技術による急速な復興を遂げつつある未来の日本。一時期、安価な労働力として大量のアジア系難民を受け入れたが、復興需要が一段落して労働力が過剰になり、難民を隔離・収容する全国数ヶ所の居住区はスラム化している。一方、国民の間には、難民が自分たちに失業をもたらす原因でありながら、彼らに税金が投入されることに対して不満が募り、反感が高まっていた。
 世界情勢に目を転じると、2度の大戦によってパワーバランスが大きく変わっている。もっとも、アメリカ(分裂した一方が「米帝」と呼ばれる軍事大国になる)と中国の冷戦が深刻化する状況は、2004年の制作時よりも現在の世界に似ている。
 こうした中で、{netabare}親米派の官房長官らが、難民問題という火薬庫にワザと火をつけ、米軍の協力の下、これを一気に鎮圧することで、民意をまとめ強権的な体制を作ろうと思い立つ(断片的なセリフから、そう推測される)。社会が混乱したとき、敵対勢力をでっち上げて力で押さえ込み、主導権奪取を画策するのは、権力者の常套手段である。
 ただし、『攻殻SAC2』で描かれるのは、政治家たちの生々しい実態ではない。「難民問題に火をつける」という1点に全力を傾注するゴーダの姿である。{/netabare}

【ゴーダは何をやろうとしたか】
 ゴーダは、内閣情報庁の要職にある立場を利用し、情報技術(IT)を駆使して社会的な状況を「プロデュース」する。
 彼の策略は、2つの方向で進められる。{netabare}1つは、コンピュータ・ウィルスを利用して難民排斥を扇動するテロリスト・グループ「個別の11人」を作り、彼らを英雄に祭り上げることで、国民の間にある反難民感情を増幅させること。記憶を改竄する技術(作品世界で開発済みとされる)を使って、「個別の11人」のメンバーに、自分たちは高邁な理想を胸にテロ活動をしていると錯覚させた。現代に置き換えるならば、SNSのフェイクニュースを利用した世論誘導といったところか。
 ここで重要なのは、記憶の改竄によって国民を直接扇動するのではなく、「個別の11人」という媒介者を利用した点である。直接的な扇動は、カラクリが露見したときに民意のベクトルを一挙に反転させる危険がある。しかし、まず媒介となる扇動者を作り上げ、彼らに対するシンパシーを広めておくと、より安定的かつ容易に民意をコントロールできる。ゴーダのやり口(と言うより、神山らによる脚本)は、実に考え抜かれている。
 もう1つの策略は、難民がプルトニウムを利用した核テロを画策中だと国民に思わせること。核に対する根源的な恐怖感が、反難民感情を掻き立てるからである。ロシアン・マフィアがプルトニウムを難民に売り渡すというシナリオを組み立て、手駒として利用できるクゼを動かした(らしい。はっきりとは描写されない)。日本政府側のゴーダがロシアからプルトニウムを調達するのは難しいので、廃墟となった新宿原発から抜き取ったものを利用した。
 2つの策略によって難民排斥の民意が固まり、アメリカの協力を得て一気にカタをつけるべく軍が動き出すところまでが、ゴーダの使命である。その先は、政治家が自分の思惑に沿って事を進める手筈だったのだろう。{/netabare}

【ゴータの人物像】
 『攻殻SAC2』で瞠目させられるのが、ゴーダという人間の姿である。{netabare}事故で顔面を大きく損傷したのに、あえて修復せず異形のままでいたのは、自分を特別な人間に見せかける自己演出なのだろう。事故前はごく平凡な顔立ちの官僚で、その顔貌の通り、与えられた仕事に素早く対処できる有能な官吏だったと想像される。難民問題に火をつけるための策略は、実に綿密に練り上げられており、本人は天才の技だと思っているようだが、官僚的な処理能力を発揮したに過ぎない。火をつけた後に何をするか具体的なビジョンは語られず、明確な目的を持たないままテロという手段を策謀しただけである。
 連合赤軍事件、オウム真理教事件、911全米同時多発テロなど、現実に起きた事件を調べると、テロ後に何がどうなるかについて、関与した者がきちんと考えていなかったことがわかる。本人は理想のために身を捧げるつもりなのに、その理想を実現する上でテロがどんな役割を果たすのか、理解できていたとは思えない。むしろ、最終的な目的よりも、テロそのものが持つ破壊の美学に陶酔していたように感じられる。
 こうした事情に目を向けたアニメ作家が、自身が全共闘世代で学園紛争の実態を目の当たりにした伊藤和典や押井守である。伊藤が脚本を書き押井が監督した『機動警察パトレイバー』シリーズには、テロという手段だけが共通するテロリストたちの互助会(!)や、軍事力で実権を掌握したのに何の要求も出されない「クーデターを偽装するテロ」が登場する(前者は旧OVA版『機動警察パトレイバー』第2話「ロングショット」、後者は劇場版『機動警察パトレイバー2 the Movie』)。
 押井の薫陶を受けた神山が、テレビ版『攻殻機動隊』シリーズを構想するに当たり、これらの作品を参考にしたことは間違いない。特にゴーダは、「手段のためには目的を選ばない」人間であることが強調される(アメリカが弱腰になったとき、中国と手を組むことも視野に入れていた)。
 こうしたゴーダの特性を象徴的に示すのが、パトリック・シルベストルの著書「初期革命評論集全10巻」に続くとされる、幻の第11巻「個別の11人」である。実は「個別の11人」という著作は実在せず、ネットで探し出して読もうとするとウィルスが発症するという仕掛けなのだが、ウィルスに操られている者は、これを読んで感銘を受けテロリストとして目覚めたという偽の記憶を植え付けられ、心の底から信じてしまう(この状況を描写した第12話「名も無き者へ」のシーンは、肌が粟立つほど恐ろしかった)。テロリストの理想が完全な虚構でしかないという設定は、ゴーダの無目的性を象徴的に表す。
 実は、脚本を執筆した神山は、当初、三島由紀夫の著作を引用しようと考えたようだ。しかし、理想が空っぽだという見解を示すのに、現実の作家を持ち出すのは明らかに不適当である。シルベストルという(現実世界から見ると)架空の思想家の(作品世界において)実在しない著作という二重の虚構性によって、目的がはっきりしないままテロが遂行されるという現実的な恐怖が際立ったわけであり、三島からシルベストルに変更したのは正解だった。
 ビジョンを欠いたまま手段に関して緻密な策略を練り上げ、それだけで自分は天才だと自惚れる小役人的なゴーダを、バトーは、次のような言葉で罵倒する(第22話「無人街」):「お前はやはり、二流だな。…(中略)…個人的な思いつきを他人に強要しているだけでは、人の心を打つことはできない。そこには、善意でも悪意でもいい、何かしら確固たる信念のようなものがない限り、天才とか英雄と呼ばれる存在にはなれない」{/netabare}

【反撃する公安9課】
{netabare} 『攻殻SAC2』の物語が始まったとき、すでにゴーダの策略は大半が完成していた。内閣情報庁の機能を利用してレールを敷き終えており、いくつかの不確定要素を除くと、後はシナリオ通りに事を運べば良い。
 反難民テロにおける犯人の不可解な行動などをきっかけに、公安9課の荒巻課長は、背後に何らかの謀略が蠢いていると気がつく。草薙素子ら9課のメンバーに調査を命じるものの、全体像がなかなか見えてこないまま、状況は悪化するばかりである。視聴者も、このジリジリするような経過に付き合わされ、少しずつ提示される断片的な情報に混乱させられる。人によっては、この部分が面白くないと感じるかもしれない。しかし、事態の深刻さ・巨大さを納得させるためにも、このジリジリ感が必要なのである。
 ゴーダの策略に対して完全に出遅れた公安9課だったが、情報を集めながら少しずつ体制を立て直し、ある出来事をきっかけに最終的な逆転劇へと突き進む。こうした序破急の展開は、終盤における圧倒的な迫力を生み出す。
 策略が崩壊するきっかけの一つは、難民が核テロを計画しているというデマにリアリティを付与するため、プルトニウムの実物を使ったことである。「ロシアの軍事施設か、原発の使用済み燃料か」といったプルトニウムの出所は、同位体組成を分析すれば突き止められる。草薙素子は、バトーを使ってゴーダの気をそらしている間にプルトニウムを横取りし、一気に形勢逆転を図る。
 さらに、シナリオから逸脱する2つの不確定要素が、ゴーダの策略を狂わせる。1つは、難民のリーダーとなるクゼで、ともすれば低きに流れがちな民衆を教導する宗教的英雄然とした姿を示す。もっとも、核武装して難民居住区を独立させるという発想は、おそらくウィルスに由来するものであり、武力行使を極力回避するという主張も難民に浸透していなかったので、登場シーンが多い割に、その役割はあまり大きくなかったようにも思われる。このことは、神山自身、承知の上なのだろう。クゼは、義体の仕様で口がほとんど動かせないが、これは、その英雄的風貌に視聴者が感化され過剰な思い入れをしないように、敢えて設定した欠陥かもしれない。
 クゼよりも重要なもう1つの不確定要素が、茅葺首相である。最初見たときには、彼女の立ち位置がよくわからず、終盤の急展開で少し混乱したが、再見して漸く、彼女こそが『攻殻SAC2』において決定的な役割を果たすキーパーソンだと気がついた。{/netabare}

【茅葺首相の役割とは】
{netabare} 日本初の女性首相となった茅葺は、選挙のために担ぎ出された人寄せパンダである。官房長官による裏工作のせいで充分な情報を入手できないため、優柔不断に見える行動しか取れず、内閣ではいいようにあしらわれている。しかし、こうした外見とは裏腹に、明確な信念に基づいて日本のために尽くそうとする、真面目でひたむきな政治家である。
 ラストのクライマックスで、彼女は、ある決断をする。それ以前に、彼女が親中派だと思わせる描写があり、米軍を利用した策謀をひっくり返すため、中国に頼るのではないかという疑念を視聴者に抱かせるのだが…。私は、決断の中身が何かわかったとき、胸が熱くなった。彼女は保守的な愛国者ではあっても、パワーポリティクスに与する権力志向の政治屋ではない。自分の理想を軍事大国に向かってはっきりと主張できる度量がある。
 『攻殻SAC2』では、茅葺首相が思うように事を運べず、官房長官の言いなりかと見える出来事がいくつも起きる。にもかかわらず、決して悪し様には描かれない。草薙素子が「課長の好みのタイプ」と茶化すシーンもあるが、荒巻は、その言葉を素直に肯定する。難しい決断が必要なときには座禅を組み、暗殺者に狙われても意志を揺るがせない彼女の姿は、若々しく美しい顔立ちと相まって、作者が理想を託したことを窺わせる。{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 2
ネタバレ

ブリキ男 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

低きに流れた水の中の魚は灼ける大地の事を何も知らない

攻殻機動隊S.A.C.の2期に当たる作品。前作の「笑い男事件」終結から凡そ2年後の世界が舞台。今回テーマの中核となるのはナショナリズムにテロリズム、難民問題、代理戦争など。前作と比べさらに政治色の強い作風になっています。

地道な捜査の積み重ねで積極的に「笑い男事件」の真相を追うミステリー色の強い1期に対し、2期では依頼を受けてから行動、事件が起きてから対応という受身の展開が目立ち、常に※1攻性である事を謳い文句にしている9課の本領が発揮される場面が少なくなってしまっています。情報戦における優位性を確保出来ずに敵に先手を打たれるなんて場面もしばしば。物語の運びからもやや鈍重な印象を受けます。

1期では表舞台に上がらなかった「※2内閣情報庁(内庁)」なる組織が9課のライバル的な位置付けとして登場した事がその大きな原因で、内庁は監視、工作活動により、9課の動きを牽制しつつ、自らの組織の謀略計画を進行させていきます。

さらにこの2GIGではクゼという強敵も9課の前に立ちはだかります。テロリストという括りの中にありながら、非常に人情深く頭の切れるキャラなので、彼もまた9課のみならず内庁をも翻弄する存在として物語の中で大きなウエイトを占めていく事になります。

踏まえ、本作2GIGは、公安9課と内庁、さらにクゼを交えた-三つ巴の化かし合い-頭脳戦の色合いの強い作品になっていると言えるのではないでしょうか?

※1~2
{netabare}
※1:作中では当たり前の様に使われている単語ですけど、あれこれ辞書を引いても該当するものは見つからず(汗)内攻性(表面に表れず内側に広がり攻める意)という言葉は存在するので、概ねその逆のニュアンス、単純に攻撃的、積極的という意味合いで捉えても問題ない言葉だと思います。

※2:現・内閣情報調査室、国家安全保障会議、国際情報統括官組織などを統合して作られた組織との事。国内外の諜報活動や情報操作等による謀略活動なども行なう上、国防に関しても発言力を持つという非常に力のある組織。米CIAみたいな感じです。人員数、組織力の面で9課を圧倒的に上回る。
{/netabare}

また本作では、個人の情報を丸ごと外部記憶装置に移し変えた時、そこにゴースト(魂)は宿るのか?あるいは人造物にゴーストは宿るのか?という疑問や、肉体(義体)がゴーストに与える影響等についてのお話もそこかしこに見られ、1期と比べ、より原作テーマへの接近が試みられている点にも大きな特徴があります。

人の体を一度分解して別の場所に再組成する転送装置というものが、古~い海外ドラマの「※3スタートレック」とか洋画「※4ザ・フライ」なんかでは登場しますが、ちょっとだけ冷静に考えてみると、いずれの例でも、装置に入った人は転送の際-肉体が分解された時点で-一度死んでいると解釈出来る点に非常な怖さがあります(汗)分解の過程を除けば、本作で描かれる人体情報の電脳ネットへのコピーも、これとほぼ同じ事をしていると言えます。

ではコピーされた人格って同じ人?別の人?という疑問についてはどうなのでしょう。近似として双子の例を取ってみると、遺伝情報は同じでも、ヒトの脳の取り得る量子状態は一瞬毎に10の13乗通り以上あるらしく、両者の個性の分岐は主にそれゆえに生じる現象だそうなので、オリジナルにとっては双子に等しいコピー人格も、このケースと同じく独立した別個の人格になると考えられる様です。

さらに電脳ネット内の人体情報を別々の場所にコピーした場合、当然の結果として、3つ子、4つ子に相当する異なった人格をそこに見出す事が出来るはず‥。

まとめると、わたし達の身体に宿す人格(本作で言う所のゴースト)とは膨大量の選択肢から脳が選び続けた積み重ね、迷路の様に無数に枝分かれした可能性の末端にしか観測されない、また凡そ、この宇宙に唯一つしか存在し得ない、かけがえの無い奇跡の様な帰結と評価する事が出来るのです。

なので、今この文章をお読みの皆さん! 皆さんの中に仮にコピー人間の方がいらっしゃったとしても、何ら恥じる事はありませんよ。あなたはあなた以外の何者でもないのですから。「私が死んでも代わりはいるもの…」とか暗~い台詞は当然無用です(笑)ご自身のゴーストには一定の誇りと責任を持って胸を張って生きましょう!

‥さてさて、もう一つの原作由来のテーマ、肉体と精神の不可分性についてに話を移すと、これは電脳ネット内に記録されたコピー人格が自身の肉体を錯覚する事さえ出来れば(義体を手に入れるか電脳ネット内にアバターを作るなどすれば)充分にクリアー出来る問題だと思います。肉体から脳へ、脳から肉体へというフィードバックが上手く働かないと精神の健康を害してしまうそうなので、これは必須の条件と言えます。意識はあるのに外界の事を何も認識出来ない、な~んて状態がずっと続いたら※5SAN値が下がりまくる事は容易に想像出来ますからね(笑)原作漫画にあたる「攻殻機動隊2」や派生作品の「紅殻のパンドラ」においても、そんな問題について触れられていますので、ご興味のおありになる方はぜひ手に取って読んでみて下され。

※3~5
{netabare}
※3:邦題「宇宙大作戦」。惑星連邦(訳によっては銀河連邦とも‥かな~り違う)なるものが設立された遠い未来の宇宙を舞台にしたテレビシリーズ。宇宙船エンタープライズ号の船長カークと、その仲間たちの活躍を描く惑星・宇宙探査アドベンチャー。戦記ものの性質も若干ある。派生作品多数。今年(2017年秋)には「スタートレック:ディスカバリー」という新シリーズも公開されるそうです。でも日本での知名度は何故か低め(汗)

※4:転送装置を使ったある実験中、その中に一匹のハエが紛れ込んでしまい大変な事に‥身の毛もよだつSFホラー映画。

※5:クトゥルフ神話TRPGにおけるパラメーターの一つ。プレイヤーの正気度を示す数値。SANは英語のSanity(正気さ)の略。0になると発狂し、ゲームオーバー扱いとなる。
{/netabare}

文学について、引用元は1期はD・J・サリンジャー、2期は三島由紀夫とされていますが、後者については引用許可を取るのが困難とみられ、また右翼による殴り込みの可能性も踏まえ、結局の所、架空の思想家パトリック・シルベストルにすげ替えられたという裏話があるそーです。なんてこった(汗)

確かに神山監督は現実の事件と自身の作品を深く結びつける傾向があり、関係者からの反感を買う種を闇雲にばら撒いている節があります(笑)ですが、これはあくまでもフィクション。モチーフとした事件と作中エピソードの顛末には何の関係もありません。アニメに自分の思想を代弁させる様な行為はあまり褒められたものではありませんが、神山監督はギリギリの線の所でその点をカモフラージュしつつ、あくまでも社会問題に目を向けさせる方向に視聴者を誘導している様にわたしには思えます。何と言いましょーか、綱渡りですね~(笑)

三島由紀夫の名を使えなかった事で、前作と比べリアリティが落ちたと言う意見を方々で目にしますが、この点については、わたしはかえってそれで良かったのではないかと思ってます。前作におけるサリンジャーの引用のくどさは、作為的なものが見え隠れする所為で、かえってリアリティを削っていた様に私的には思えましたし、サリンジャーも三島由紀夫も知らぬっていう人にとっては、はっきり言ってどっちでもいい事ですからね。事実、物語としてちゃんと成立している※6総集編ディスクでも、シルベストルに関する台詞は殆ど削られていましたし(笑)

士郎先生の漫画の良い所は、特定の政治思想などに肩入れする様な事はせず、率直に淡々と未来世界を夢想している所にありますが、それだけに、善と悪、敵味方の図式で描かれる事の多い、ある程度の単純さが要求される娯楽性重視のアニメ作品とは、もっと言えば、テーマを明確に提示したがるきらいのある神山監督の作風とは、若干ながら相性が悪いのかも知れませんね(汗)


キャラについて、2期において先ず目を引くのはやっぱりこの人! 怪人・合田一人(名は"かずんど"と読む。ユニークな顔とセットで覚えよう)。顔面の右半分と左半分の造形のギャップが著しい、有名どころで例えるなら※7あしゅら男爵みたいな風貌してます。1期には存在しなかった役どころにあり、序盤から登場する明確な敵役として強い印象を残します。自己顕示欲の強い自惚れ屋。あくどい事を嬉々として語るタイプのキャラなので、視聴者の憤りの矛先も9課の人たちと同じくこの人に向かうかも知れません。

そしてクゼ・ヒデオ。能面の様に動かない顔を持つ※8前身義体のテロリスト。頭脳明晰にして戦闘能力極めて高し、自らの思い描く革命を実行に移さんと信念のままに行動する人。弱者の味方で無駄な争いを好まぬ人格者でもあるという、正に完璧超人。中の人(小山力也さん)曰く「完璧すぎて真似出来ない」だそうな‥わたしもそー思います(笑)

また、9課の新メンバーとしてアズマ、矢野、プロト君が登場しますが、前者から数えて二人は出番少な目、影薄めの役回り。プロト君には結構見せ場が用意されてます。一応3人とも原作登場キャラで、アズマは押井監督の「イノセンス」にも登場。そっちでもこの人不遇な扱いですが(汗)原作漫画の攻殻機動隊1.5では出番多めだったりします。嗅覚素子が強化されていてワンコみたいに臭いで対象を追跡出来るという裏設定あり(笑)

※6~8
{netabare}
※6:新作映像、新規アフレコを追加して161分にまとめた再編集版「Individual Eleven」の事。シルベストルに関する台詞、個別エピソードの殆どをカット。スピード感重視の映画的編集になっており、テレビ版よりもサクサクと物語が進む印象で観やすかったです。

※7:元祖スーパーロボットアニメ「マジンガーZ」に登場する悪役。右半分は女性、左半分は男性という設定の人造人間。

※8:脳以外の全てを機械化している人の事を指す。作中では少佐とクゼの二人が前身義体。部分義体の人とは異なり、生体にかかる負荷を殆ど考慮しなくても良いので、その動作は高速かつパワフル。痛覚とかの遮断も出来るので体が損傷してもひるまない。
↓続き
片腕サイボーグって何だか強そうなイメージありますけど、重い物を持ち上げたり、思い切りパンチしたりすると接合部分の脱臼や疲労骨折のリスクが大きくなって、あまりよろしく無いらしい。原作1巻では"部分サイボーグは「人間の能力を補う」前身サイボーグは「人間以上を作る」"と説明されていました。そういう理由でこの二人(次いで義体化率が非常に高いバトーさんとか)は別格に強い。主人公補正とかではない(笑)
{netabare}後半のバトーさんVSクゼの一騎打ちシーンは本作のハイライトシーンの一つ。派手なシーンではありませんが緻密な描写が美しい!最優の義体使い同士の闘い、とくとご覧あれ!{/netabare}{/netabare}

構成について、続き物と一話完結のエピソードが明確に区別されていた1期と違い、大部分のエピソードが主軸となる「個別の11人事件」に関連する内容となっています。なので下に付記した分類は申し訳程度のものと考えて、素直に全話視聴した方が良い気がします。総集編を観て面白かったら、テレビ版を視聴というのもアリでしょう。

黒=一話完結 :1.2.3.6.8.10.13~15.17.18
白=クゼ関連 :5.11.12.16.19~21.23~26
灰=ゴーダ関連:4.7.9.22

全体的に緊迫感高め、アクションシーン多めの構成ですが、上でも述べた様に前作では深く切り込まなかったゴースト(魂)の所在についてのお話なんかも割と多めになっています。

他方で1期には辛うじてあった日常描写やお遊びシーンはさらに少なめです。でも本編終了後のお約束コーナー「タチコマな日々」は健在なのでご安心あれ。ちょこっとだけ笑かさしてもらえます(笑)

音楽について、前作に引き続き、菅野よう子さんの曲とOrigaさんの歌の相性が絶妙なオープニングテーマ「rise」が特に良いっ! 前作の「inner universe」は摩訶不思議な浮遊感が特徴的でしたが、今回の「rise」はドラマ、闘争を思わせる、流麗かつ勇ましい曲。2ndGIGの作風との親和性が感じられます。

作中音楽も全て素晴らしい。ですが最も印象に残ったのは、その名も「Go DA DA」という、オスマン軍楽の「ジェッディン・デデン」を改悪した様な曲。聴く度に"ヤなやつ出てきたな~"と感じてしまう程に強烈なテーマ。おかげで色々と刷り込まれてしまいました(笑)

完成まで長らくの時間を要してしまいましたが、学びつつ発見しつつ、ゴーストの囁きに導かれて、今回も楽しく書かせて頂きました。


再視聴を終えて(ネタバレ無しですが一応折り畳んでおきます)
{netabare}
小説や実写映画では既に御馴染みの、近年ではアニメ作品においても確立されつつあるスパイものというジャンルですが、今回の再視聴を通して、本作は後者の先駆けとして既に大きな仕事を果たしていたという印象が新たに加わりました。

フィクションの中で描かれるスパイと言えば、情報を盗み取るとか要人を暗殺するとか、かなり派手な仕事をするのが常で、華々しい表の面(変な表現だけど)だけを描く事がお約束となっていますが、反してこの職業の持つ地味で目立たない仕事、最も卑しい面が描かれる例は極めて稀です。

虚言の流布は現実の世界でもスパイの手によって頻繁に行なわれており、米ソ冷戦時代には特に苛烈に、またそれ以前もそれ以後も、手を変え品を変え巧妙さを増し、脈々と繰り返されてきたものであります。

活版印刷の発明以前から、プロパガンダ戦略は戦争においても、企業間競争などにおいても、大きな役割を占めていた様ですが、時代が進むにつれ、ラジオ、テレビ、ネットと情報の伝播の速さは爆発的な成長を遂げ、その重要性はますますの高まりを見せています。

近未来の世界を描く本作には、電脳ウィルスなるものが存在しますが、これもまたプロパガンダ戦略の一種と見て取る事が出来るのではないかとわたしは思います。

ネットワークを通して知らず知らずの内に人から人へと感染し、いつの間にかその行動を支配するという、ユーザーへの直接攻撃を目的としたコンピュータウィルスとも取れるこの技術は、一見怖ろしげなものの様に見えますが、ちょこっとだけ視点をずらせば、現代に生きる私たちもまた、既にテレビやネットなどを介して、感情や思考を意図ある何者かによって支配され続けている、そんな風には考えられないでしょうか?

一例をとってみると、テレビ人間とそうでない人の違いが挙げられます。テレビの中でも特にバラエティ番組の類を全くと言って良いほど見ないわたしは、テレビ大好きっ子みたいな人と話すと、その言葉遣い、ものの考え方に不安と言ってもいいほどの違和感を覚える事がちょくちょくあります。これは上の話で言えば、わたしがウィルスの感染源との接触を遮断した結果起きた必然であって、その良否はともかくとして、感染者と非感染者との間には無意識下のレベルで何らかの隔たりが生じてしまっている事を表します。感染源にはネット情報は勿論の事、紙媒体の本も当然含まれますので、わたしとて既に何らかのウィルスに感染してる可能性は充分にありますけど(笑)

洗脳は苦言によってではなく、甘言によって行なわれる所に、その正体の見つけ辛さがあります。良心に訴えかけるもの、同情を誘うものは、素朴な正義感を抱えているものにとっては格好のエサで、原油まみれの水鳥の映像や、一人の少女の証言が、戦争の正当性を高める為に利用されたという※9歴史的な事実さえもあります。

昨年話題になった「インターネット上で最も影響力がある25人」の一人に選ばれたある少女の発言にしても、わたしたちの殆どは、それが誰の意図または指示で行なわれたのかを知る術を持ちません。

総評として、大義名分の中に隠された嘘、人心操作のメカニズム、政治における光と闇の実態を、際どい所まで描き切った本作は、社会問題をテーマに据えた攻殻SACシリーズの中でも、最も危険な作品、屈指の名作と評価する事が出来るのではないでしょうか?


※9:湾岸戦争の事、アメリカ軍による自作自演と、難民を演じる様に指示されたクウェート駐米大使の娘によるプロパガンダがテレビなどで繰り返し報じられる。
{/netabare}

おまけ・用語解説など
{netabare}
映像カーテン:通電性のある特殊ガラスに微電流を流して電波や可視光を撹乱、遮断する技術。狙撃や盗聴に対して絶大な効果がある。

バイオロイド:クローン技術を用いて造られた人間。遺伝子操作によってネガティブな因子が取り除かれているおかげで物腰がとても柔らか。つまりいいヤツ。血が白いがロボではない。

スタンナックル:手袋型のスタンガン。義体化してる人にも有効。使用者にもビリッと来るらしい(笑

マテバ:イタリアの食品機器・銃器メーカーの名前。作中では主にトグサさんの使う回転式拳銃「マテバM-2008」が度々こう呼ばれる。発砲時のガス圧で次弾が自動装填されるオートマチック拳銃と比べ、単純構造ゆえに機械的トラブルが起こりにくい。装弾数が6発とやや少ないのが弱点。義体化を敢えてしないトグサさんのキャラと共に作中におけるアンチテーゼの一つになっている。と思う。

日本の奇跡:マイクロマシンによる放射能除去技術の事。人工物ではなく天然モノですが、1986年に原発事故を起こしたチェルノブイリで放射線を養分化できる細菌が近年になって発見されたそうです。除去や無害化とは程遠い性質ですが、こういったものの研究が作中の日本の奇跡みたいな技術に繋がっていくのかも知れません。

マシンなんて言うと鉄やシリコンなどの無機物から作られているというイメージを持たれている方も多いかも知れませんが、有機物のものは勿論の事、近年では生物から採取した生体パーツをそのまま利用する、ちょっと大きめなセボットと呼ばれるマシンなんかもあるそうです。けっこう怖い(汗)実は本作で描かれるマイクロマシンの多くも有機物だったりします。

また作中では「マイクロマシン汚染」なんて言葉もありますが、自己増殖する様にプログラムされたマイクロマシンやナノマシンは天然のウィルス以上に危険なものになる可能性があるそうで、戦争やテロなどへの使用も懸念されているらしい。こちらはかなり怖い(汗)

米帝:アメリカの政策を非難する際に度々使われる「アメリカ帝国主義」を指す言葉ではなく、本作における第四次非核大戦後、3つに割れた国の内一つを指す。正式な表記はアメリカ帝国(American Empire)他二つはアメリカ合衆国と米露連合。

ポセイドン・インダストリアル:「日本の奇跡」の開発によって飛躍的な成長を遂げた巨大多国籍企業。マイクロマシンの他に、義体、兵器の開発・製造なども行なっている。米帝と強固な繋がりがあり、前日譚(パラレルワールド扱いですが)の「紅殻のパンドラ」では悪の秘密結社のイメージ、危険な組織として描かれる。前身である「大日本技研」の名は士郎先生の承諾の元ガレージキットメーカーの名前にもなっているそうです(笑)

デカトンケイル:ポセイドン・インダストリアルが管理するスーパーコンピューターのこと。データを基に仮想人格を構築、シュミレーションする事が出来る。名の由来は10倍を意味する"デカ"と100の手と50の頭を持つギリシャ神話の怪物(巨人)"ヘカトンケイル"の様です。

スプリング8:「播磨科学公園都市内に位置する大型放射光施設。電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設および各種付属施設から成る。」とwiki先生は言ってました(笑)作中ではある人物がプルトニウムの分析の為にここへ向かう描写がある。

招慰難民:世界大戦(攻殻の世界では2030年までに2度の世界大戦が起きているという事になっている)で発生したアジア難民の内、日本に受け入れられた人たちがこう呼ばれる。300万人程いる。国から仕事を与えられているものの、国内労働力が過多の為、国民からは税金の無駄遣いと非難されている。

ハブ電脳:ハブは漢字で書くと轂。轂(こしき)とは車輪の中心、自転車で言えば放射状に伸びるスポークの中心部を指す。作中では膨大数の電脳から生じる意識を繋ぎ止める特定の人物の電脳の事をハブ電脳と表現していた様です。
{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 20

68.5 8 政治アニメランキング8位
キングダム第2シリーズ(TVアニメ動画)

2013年春アニメ
★★★★☆ 3.8 (301)
1523人が棚に入れました
第2シリーズでは、信と同世代の武将たちが続々と登場!
乱世を生き抜く者たちが己の存在のすべてを賭けて切磋琢磨し、ときには協力し、大きな功績をあげる姿を丁寧に描きながら、その中で成長していく若武者たちの熱き想いで綴られています。

ようす さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

中華統一の日を夢見て。俺は関わった奴らの思いを背負って前に進むだけだ。

キングダムの2期です。

続き物ですので1期から観てくださいね^^

いやーおもしろかったです!!

作画や音楽には普通の評価をつけましたが、
ストーリーがとにかくおもしろい!!

文句なしの☆5点ですとも^^
(あえて不満点を言うならば、3期制作が決定していないところかな。笑)

全39話(1期は38話)とちょっと長めですが、
目が離せない展開ばかりなのでまったく苦になりませんでした^^

むしろもっと観たかった~!
続きが観たいよ~!


● ストーリー
舞台は中国、世は戦国時代。

6つの国に分かれて500年の騒乱の時代が続いていた。

秦の国で武将を目指す少年・信(しん)と
中華統一を目指す秦国の王・政(せい)。

共に中華統一を目指す志を交わした2人の、
戦いの日々は続く。


冒頭から絶賛しましたが、
とにかくストーリーがおもしろい!

最初から最後まで目が離せない怒涛の展開ばかりで、
飽きるどころかあっという間でした。

信は、武将を目指して武の道を歩み、
政は、王として敵対勢力と戦い、中華統一を目指すべく政治の道を歩む。

信は、とにかく目の前の道を突き進む王道主人公系少年、
政は、頭脳で己の道を作り出すクール系美少年。

2人の主役による2つのストーリーの同時進行が、
いつまでも飽きないポイントかもしれません。


≪ 戦と政治、飽きを作らない二重構造 ≫

信による戦パートは、
勢いと戦略で突き進む正統派バトル。

政による政治パートは、
次の展開がまるで読めない頭脳プレイ。

2つの違った味の物語を同時に楽しめるのが
この作品の大きな特徴。

しょっぱいものと甘いものって
交互だと永遠に食べられるって言うじゃないですか?笑

キングダムってまさにそれなのです。

どれだけ話がおもしろくても
同じ味ばかりが続くと飽きも来てしまうかもしれないけれど、

違った味のストーリーが同時に展開されることで
その心配がなくなる。

つまり、飽きがこない!
永遠に楽しめちゃう!笑

もちろん、戦ストーリーも政治ストーリーも
次々と新しい展開が用意されていて、
それぞれが十分におもしろいんですが、

飽きの来ない二重構造により、
おもしろさが盤石となっています。


ストーリーを絶賛してきましたが、
それは魅力的なキャラ達による支えがあってこそ。

新キャラも古参キャラも、
今後の動きから目が離せそうにありません。

この引き込ませ方は、ほんと凄まじいです。笑


● 作画
1期では散々文句を言いました(笑)
しかし2期はだいぶ改善されていましたよ!

へっぽこCGも使用頻度がぐんと減り、
時々「ん?」と思う程度でした。

元々ストーリーはおもしろいだけに、
作画の改善は非常に大きい改善点(笑)

信や政など、人物の作画は安定しない印象を受けましたが、
大人になっていく過程だから…という受け止め方をしています。笑


● 音楽
【 OP「GLORY DAYS」/ D☆DATE 】

1期とは随分雰囲気が変わり、軽くて明るい曲調です。

初めて聴いたときは、重々しい戦の映像と一緒に
この曲が流れることに違和感ありありでした(笑)

39回も聴いているといつの間にか慣れていましたがw

それでも「へいっ!へいっ!」という合いの手の場違い感は
いつ聴いても笑ってしまいますww


【 ED「21」/ The Sketchbook
   「Exit」/ The Sketchbook
   「そこに君がいる」/ The Sketchbook 】

EDは3曲です。

1期と比べると印象に残りにくい曲ばかりでしたが、
(同じバンドばかりで、曲の雰囲気が似ているからかな?)

キングダムの雰囲気には合っているかな。

3曲の中でのお気に入りは「21」です^^
かっこいい♪


● まとめ
見ごたえのあるストーリーに大満足です^^
作画も改善されていましたし、文句なしです♪

一応物語はすっきりとした形で幕を下ろしましたが、
これからの展開がものすごく気になります!

NHKさん、原作も人気なのだし
続編を作らない手はないと思いますよ~…(笑)

とりあえず、原作は絶対読もうと決めました(`・ω・´)
続きが気になってうずうずしているので。笑

見ごたえのあるストーリーが観たい方にはキングダム、お勧めします♪

投稿 : 2019/12/07
♥ : 21
ネタバレ

千秋 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

違和感なく楽しめる。キングダム2期/39話

1期に比べ主人公にも慣れたし、作画が綺麗になり動きもまともで違和感なく視聴できる。
女の子キャラがほんの少しだけ増え、男臭い中かすかな癒し(o-∀-o)
主人公・信は前作で100人将を経て、300人将まで上り詰めていた。
もう少し信のいいところが伝わればいいのにね。英雄達とのあまりの体格と知力の差を埋める何か常勝の理由を。気合だけじゃなくて・・。
王のセイが好きだからそっちの話がもっと見たいな。

各話内容
{netabare} 1話
{netabare} 信が率いる飛信隊は援軍扱いで前線で勝ち続き。見方からは重宝され敵からは警戒され有名に。大きい武功はあげられない日々が続いた。 {/netabare}

2話
{netabare} 李牧(り ぼく)が呂不韋(りょ ふい)の策略で奏国へ。秦長同盟成立。
李牧の命を貰うと呂不韋。自身の命がかかっており、秦長同盟を申し出るが、重要なかんこうの城も更に受け渡す。
呂不韋の才覚が光り、嬴政(えい せい)の敵は強大だと見せ付ける回だった。 {/netabare}

3話
{netabare} 李牧と信が同盟の宴の席で初顔合わせ、いつかと宣戦布告。城を貰い受けるまでの変わりの人質。他の物は無事に奏を後に。
この時点で政は17歳。22歳で成人の儀を超えたら、呂不韋から実験を奪い取ると。
それに向けて5年で信も将軍になれと。 {/netabare}

4話
{netabare} 信は5年で将軍になると誓う。以前にもまして猛威を振るう北の飛信隊。
対し初登場の南の玉鳳隊(飛信隊と同じ特殊300人隊だが、幼少からの英才集団で騎馬隊)
将は王賁(おうほん)、王騎(おう き)の一族。王騎は分家、王賁は本家で王一族の総本家を継ぐ。信と少しやりあったが、王賁は騎馬とはいえ強い。 {/netabare}

5話
{netabare} 新勢力が色々登場した回だった。
秦国の新たな時代の代償軍を目差す若者たち。飛信隊と玉鳳隊の攻防。初登場の楽華隊・蒙恬(もう てん)は女みたいな顔だが男、千人将に昇格したはずだが一年間は300人将。この時点で王騎が死んで2年。
秦国の都かんようでも巨大な精力が動き出す。呂不韋が勢力拡大。大王派が実験を握るには大勢力を味方につけること。
第3勢力、大王の下にあるはずの玉ジを押された書簡が。印鑑の複製を作られたということ。大奥みたいなコウキュウの女官たちは良家の出でバックアップは協力。第3とは大王の母上の勢力。 {/netabare}

6話
{netabare} 王の回。太閤と後宮へ政治の力を与えれば制御が難しい。第3勢力が王のもとを訪れた事を呂不韋が知った。母からの書簡は白紙だった。中立の意味か、計り知れぬ。王と母の間には大きな闇の溝があった。殺されかけたり。助力を依頼し、返答は後日。 {/netabare}

7話
{netabare} 政の過去編。13年前ひどい迫害を受け貧しい生活。
秦のハクキが過去40万人の長の投降兵を生き埋め。その3ヵ月後、長で政が生まれた。恩人はシカさん、闇商人の頭。 {/netabare}

8話
{netabare} めちゃめちゃ面白かった。見てて緊張した。こうも緊張感が伝わるアニメは少ないと思う。セイの痛ましい生い立ちと心の闇。敵国に生まれ恨みを10歳に満たない子供が一身に受け、敵国民から虐待され育ち心を閉ざし痛みも味覚も感じることができず、自身の亡霊や他多くの亡霊に囚われ、秦国へ帰る事を許さない。セイが秦へ帰る5つの関は越えられたけど、追っ手が迫る。 {/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2019/12/07
♥ : 10

ぽ~か~ふぇいす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

1期の課題は改善されましたが・・・

週刊ヤングジャンプ連載中の人気漫画のアニメ化2期になります
1期は伝説的なクソ作画アニメとして衆目を集めましたが
残念ながら今回は1期初期のようなネタレベルの作画ではなく
逆に作画を売りにできるほど良くもない中途半端な感じです
コスト削減のため3Dアニメーションを取り入れようとして
見事に失敗したのが1期ですが
今回はだいぶ上手くできるようになった印象を受けました

3Dに逃げようとして失敗した裏には
合戦シーンが多くMobを動かすのに手間がかかり過ぎることがあったと思います
2期では背景としてMobの合戦シーンを使いまわしで動かしつつ
前面でメインキャラを動かすという手法を多用しています
これはかつてのセルアニメーションと同じ着想ですね
動かない背景は1枚で済ませて動きのあるキャラだけを
複数枚のセル画を使って動かしていくことで
背景を描く手間を減らしたのが従来のセルアニメーションですが
アニメーション制作がデジタル化した結果
使い回しの背景として静止画ではなく動画を使えるようになったわけですね
そんな感じでうまく手を抜けるようになって全体的に質は上がりました
しかし、違和感なく見れるレベルになっただけで
お世辞にも良作画とは言えないですねぇ

そんな感じで作画に関してはだいぶマシになったのですが
かわりに酷かったのが3クールずっと固定だったOP
1期のOP曲はかなり良かったのになんでこんなことになってしまったのか
夕方の子供向け時間帯にやっていた1期と違い深夜枠に移っているのに
楽曲は逆に爽やかな少年向けスポ根アニメでも始まりそうなノリに変化
アニメ自体の内容は結構重たいのにいまいち盛り上がらないのは
この軽いノリのOPが原因の一つのような気がします
ED曲はどれもそこまで悪くなかったんですがねぇ・・・

もう一つ問題だったのはストーリー
これはアニメのというより原作側の問題なのですが
前回の3クール分は最初の反乱・初陣・馮忌戦・王騎の最後と
これでもかというくらい見せ場が満載でした
今回は廉頗戦がメインで、そこに王賁、蒙恬らのライバル関係と
政の過去および呂不韋・後宮勢力との権力争いなどが描かれていますが
1期に比べるとどうしても見劣りします
廉頗や輪虎も決して悪くは無いキャラなんですが
1期の化け物じみたラスボス、李牧・龐煖に比べると今一つなんですよね・・・

しかし、原作はこの直後あたりから一気に盛り上がります
合従軍を相手にした函谷関攻防戦から絶体絶命の蕞防衛戦
特に蕞でのあの演説はYJ本誌連載を読んでいて鳥肌が立ちました
どうせならそこまでやってくれたらいいところで締められたのになぁ

というのも1期が始まった頃ちょうど原作が今回のラストのあたりで
もはや原作ストックが尽きかけているので
しばらく休んでからの3期になるんじゃないかと思います
そんなわけでしばらくは3期を待ちつつ原作の方を楽しもうと思います

1期レビュー
http://www.anikore.jp/review/302702/

投稿 : 2019/12/07
♥ : 11

71.0 9 政治アニメランキング9位
王立宇宙軍オネアミスの翼(アニメ映画)

1987年3月14日
★★★★☆ 3.9 (227)
992人が棚に入れました
所属が10人に満たず「失敗ばかり」「なにもしない軍隊」と揶揄され、世間に落第軍隊として見下されているオネアミス王立宇宙軍の士官・シロツグ=ラーダットは、欲望の場所でしかない歓楽街で献身的に布教活動を行う少女・リイクニ=ノンデライコとの出会いをきっかけにそれまでのその日暮らしの自堕落な生活を捨て、宇宙戦艦という名目の人類初の有人人工衛星打ち上げ計画に参加し宇宙を目指すことになる。

声優・キャラクター
森本レオ、弥生みつき、内田稔、飯塚昭三、村田彩、曽我部和恭、平野正人、鈴置洋孝、伊沢弘、戸谷公司、安原義人、徳光和夫

nani-kore さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

ン十年前の若き才能を乗せ、高らかに羽ばたいたオネアミスの翼!!

自分にとって、大変思い出深いアニメである。

私が漫画やアニメに触れたのは、ひとえに家族の影響だ。
母は漫画を描くのが好きで、松本かつぢや岡本一平(古っ;)ばりの画力の持ち主だったし、画力こそ皆無であったが、父は漫画雑誌「アクション」を定期購読し、「どん亀野郎」等、趣味の良い珠玉の漫画単行本を所蔵していた。
そんな両親の影響を受けてか、子である私たち4人姉妹も、マンガ本を買い漁っては読み回していたのだ。

「私、アニメーターになるっ!」宇宙戦艦ヤマトにインスパイアされた長姉は、ある日、鼻息荒く高らかに宣言した。当時アニメーターは、子供がなりたい職業のNO.1であったこともつけ加えておこう。
とはいえ、アニメはまだまだちびっ子の観るべきモノだった時代、思春期になりたての姉は恥ずかしさを隠すためか、まだお尻の青みもとれていない3番目の妹である私を、アニメ映画が上映している映画館へ連れ回した。
長姉には逆らえなかったが、内心、私はそれがイヤでイヤでたまらなかった。地元の映画館は吐き気をもよおすほど臭くて、ゴキブリが肩に止まったコトもある位の汚らしさだったのだ。それにそもそも、姉の観たいアニメ映画は、ちびっこ向けの内容では無かったのである。
当初はイヤイヤ連れ回されて観るアニメ映画だったが、物心がついてくるに従い、アニメの素晴らしさに目覚めていった。
前置きが長くなったが、本作「王立宇宙軍オネアミスの翼」は、そんな私がイヤイヤではなく自分の意思で、初めて観たアニメ映画だったのである。

アニメがお子様向けのみならず、大衆文化へと変化する黎明期。
昨日までアニメーターのバイトをしていた大学生が、いきなりTVシリーズアニメのキャラデザをまかされて、花形アニメーターとして羨望を集めちゃったりしていた時代だった。
うちの長姉のみならず、多くのアニメ好きの若者が、そんなシンデレラを夢見たのであろう。。本作「オネアミスの翼」は、まさに夢見る若きアニメーター達を乗せて羽ばたいたのだ!!
監督の山賀氏を始めとして、ナンとスタッフの平均年齢24歳。当時の若き才能が集まり、NASAまでロケハンへ行き、執念といえる程の情熱が込められた本作、否が応にも数々のアニメを見慣れた私が口をアングリ開けるほど、作画は当時の最高峰で本当に素晴らしかった。
だがその内容は。。アニメ好きとはいえ、胸もペッタンコ(今もだが;)だった私には、面白味も感動(スゲー作画以外は)も、何も得られなかったのが正直なところだ。

思うに大人向けのアニメだったのである。
それも本当の大人ではなく、夢いっぱいで青臭い情熱に満ちた、大人の入り口に立ったばかりの。。そんな作品に、思春期も迎えていない少女が共感できるワケがない;
今、観直しても無理だろう。だってもう、大人の入り口なんか、とっくにスルーしちゃったから;;
じゃあ、本作を今の若者に。。ともいえない。
ン十年前の若者が作ったアニメは、作画のみならず内容もキツイと思えるからだ。もし共感してくれるなら、それも面白いけど。。

長姉の影響で、「じゃあ私もアニメーターになるぅ~」と無邪気に触れ回っていた私だったが、映画館を出る頃には、アニメーターはムリだと自覚した。アニメーターになる!と高らかに宣言していた姉も、社会に出て普通の会社員である。
。。そんなワケこんなワケで、自分にとって大変思い出深いアニメなのだが、さして評価できる作品でもない。
唯一、作画がスゴかった(当時)ので、★3.5にしとこー。

申し訳程度に追記しておくと、オネアミスの翼に乗った若き才能は、ちゃんと高らかに羽ばたいている。
興味のある方はウィキってみてください♪

投稿 : 2019/12/07
♥ : 16

ぱくちぃ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

かなり面白い

友人から教えてもらい観ました。

かなり面白いと思いましたが、ちょっとだけ微妙だと思った点もありました。

まず微妙だと思った点から書きたいと思います。
自分の考察力が足りないのかもしれませんが、映画の始めの方で自堕落な主人公がやる気を出すシーンがあり、少し突拍子な感じがしました。このシーンの他にも、登場人物の行動に対しての理由が共感し辛い場面がちょくちょくありました。(まぁほとんど話自体に引き込まれて気になりませんが)

良かった点は沢山あります。
まずは、劇中の設定についてです。舞台は平行世界の話なのですが、その世界の風俗や習慣の設定がかなり深く、そして細かく練られていて、その習慣が現実の我々が住む世界のものと全く違うものであるのにも関わらず、魅力的なリアリティを出していました。
次に作画です。特に最後の打ち上げシーンは圧巻でした。まぁでもこれは他の人が沢山書いているでしょうからそちらを見て下さい。

以下蛇足です。

そして、これは自分の個人的にとても好きな場面なのですが、最後の人類の進歩(?)的な所がとっても好きすぎてやばいです(語彙力)。人類の科学進歩は戦争によってもたらされた血塗られたものであり、その血塗られたものによって作られたロケットから見た地球は(しかしその地上では今日も殺戮が繰り返され美しさとは無縁な、悲劇が繰り返される地獄であるのにも関わらず)残酷な美しさをたたえている。ということが伝わってきました。自分は、この人類の愚かさと、対照的な地球の美しさ、科学技術を戦争目的ではなく使って欲しいというメッセージを感じました。自分の偏見ですが、このことを映像化したいためだけにこの作品は作られたのではないでしょうか。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 4

つぼ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

名作に成れなかった時代の徒花

○初見から四半世紀以上

初めて観たのは小遣い溜めて借りたレンタルビデオだったか

○物語

序盤は何とも気恥ずかしさが出るくらい当時の世相を反映したつくりになっている、あれもこれも当時流行ったモノだ、照れくさいがイチイチ甦るね、

※兵器やロケット等外見は宮崎譲りの庵野色でファンタジーなんだが、内側はガチリアル(現物資料通り)ってがの面白い

ただ、当時つぼ少年が観た感想と現在のボーボーの中年男つぼが観た感想がほぼ同じなのはいただけない、物語のテーマの密度が低いのだ、それは視聴後の心の高揚がない事につながる、

当時も今も同じ予備知識で恐縮なのだが(事実調べモノせずにこのレビューは書いてる)

○べらぼうな制作費

○興行的にオオコケ

くらいは知っている、

名作でないのは上記で示した通りだ、

なのにたまに観ちゃうんですよね、


○物語の源泉

若者による学園祭やサークルのノリから始めた遊びのようなモノ、金や多くの人材が集まりだしたが所詮遊びは遊び、科学者による宇宙へのロマン云々は自分の夢を満たす為に国家に詭弁を吐いている、これ等と全く同じ、宇宙を目指すという点も、

「ロマンと金と若さとデタラメなやる気が、そこにはあった」


○バブル期の功罪の功と罪2つの面を持つ作品


時代や制作背景を知って、今の若者が、

「スゲー馬鹿じゃん!!」って言って貰えたら少し嬉しい、そんな作品(笑)






○余談

森本レオ、めっちゃ若い(笑)

投稿 : 2019/12/07
♥ : 9

69.1 10 政治アニメランキング10位
銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅(TVアニメ動画)

2018年春アニメ
★★★★☆ 3.5 (242)
708人が棚に入れました
数千年後の未来、宇宙空間に進出した人類は、銀河帝国と、自由惑星同盟という“専制政治”と“民主主義”という2つの異なる政治体制を持つ二国に分かれた。 この二国家の抗争は実に150年に及び、際限なく広がる銀河を舞台に、絶えることなく戦闘を繰り返されてきた。長らく戦争を続ける両国家。銀河帝国は門閥貴族社会による腐敗が、自由惑星同盟では民主主義の弊害とも言える衆愚政治が両国家を蝕んでいた。そして、宇宙暦8世紀末、ふたりの天才の登場によって歴史は動く。「常勝の天才」ラインハルト・フォン・ローエングラムと、「不敗の魔術師」と呼ばれるヤン・ウェンリーである。ふたりは帝国軍と同盟軍を率い、何度となく激突する。(銀河英雄伝説公式ポータルサイトより)

声優・キャラクター
宮野真守、鈴村健一、梅原裕一郎、梶裕貴、諏訪部順一、小野大輔、中村悠一、川島得愛、三木眞一郎、石塚運昇、水内清光、藤原貴弘、楠見尚己、竹内良太、ふくまつ進紗、目黒光祐、櫻井トオル、畠中祐、小野友樹、下山吉光
ネタバレ

キャポックちゃん さんの感想・評価

★★☆☆☆ 1.9

日本アニメはここまで堕ちたか

【総合評価☆】
 日本アニメはここまで堕ちたかと慨嘆を禁じ得ない作品である。
 簡単に作品概要を述べておく。
 原作は田中芳樹が執筆した小説で、1982年から87年にわたって、徳間文庫から本伝全10巻・外伝全4巻(後に短編集1巻を追加)が刊行された。
 最初のアニメ化は1988年から2000年に掛けて行われ、主にOVAの形で発表された。以下のレビューでは「旧作」と呼ぶ。アニメ界のレジェンド・石黒昇が(一部を除いて)総監督を務めており、傑作の誉れ高い。私の評価ではオール5.0。
 一方、ここで取り上げるのは、2018年に発表された新シリーズ『銀河英雄伝説 Die Neue These』の第1期(テレビ版)「邂逅」全12話。以下、【作画】【物語】の2点を中心に、旧作と比較しながらレビューする。

【作画】
 アニメ制作を請け負った Production I.G が、旧作との差異化を図るために全力を傾注したのは、CGを多用した作画だったようだ。しかし、「何をどう描くべきか」という基本が疎かにされたため、表面的な派手さが目につくばかりで、作画の質はきわめて低いものとなった。

(1) 人間の描写:
 アニメは、ドラマを「動く絵」で表現する芸術である。実写映画ならば、カメラを回すだけでさまざまな情景を撮影できるが、アニメでは、一枚一枚作画しなければならない。このため、細密な描き込みは難しく、要所を押さえるテクニックが重要になる。心理描写の場合、未熟なアニメーターは、顔の表情に重きを置きがちだが、より肝心なのが、体幹の描き方である。
 明確に意識化されない情念は、腰の位置と、それに対する上体や四肢の関係に端的に現れる。『千と千尋の神隠し』制作中の宮崎駿を取材したNHKのドキュメンタリーでは、豚に変えられたことが信じられない千尋が声を限りに両親を呼ぶシーンで、若手アニメーターにダメ出しし自分で描き直す宮崎の姿が映し出された。このとき宮崎が描いたのは、少し前屈みになって両の手を胸元に引き寄せ、足許が定まらずに踏み惑う千尋の姿。彼女の心細さと必死さがダイレクトに伝わる、さすがの作画である。
 『銀河英雄伝説』旧作では、宮崎アニメと同様に、キャラの体幹がきちんと描き込まれていた。いくつかの実例を挙げよう。
{netabare} 旧作OVA第2話「アスターテ会戦」Aパート終わりからBパートにかけて。中央突破戦法を逆手に取る敵の動きに気づくと、厳しい顔で座していたラインハルトは、前のめりになって「何っ!」と呟き、前傾姿勢のまますっと立ち上がる。だが、立ちすくんだのも束の間、すぐに体を横に傾けると、両手を肘掛けに置きストンと腰を下ろす。高揚感が吹き飛び、一瞬の動揺と狼狽を挟んでから、現実を直視できるようになるまでの心の動きが、見事に体現されたシーンである。
 一連のシーンの終わり、副官のキルヒアイスが、保護者のように優しい物腰で、「どうなさいます? 反転迎撃なさいますか」と声を掛けると、ラインハルトは完全に我を取り戻し、上体をわずかにひねって冷静に応答する。ほぼ完璧な戦略家であるヤン・ウェンリーに対して、ラインハルトは、カリスマ性こそ圧倒的であるものの、知謀に関して粗略な点がある。これを補うのが、大局観に優れ他者への共感に溢れたキルヒアイスで、アンネローゼの頼みもあって、真摯にラインハルトを見守る。二人の関係性が的確に表現されたのがこの場面であり、(特に女性の)ファンの胸を熱くする。
 ところが、新作の第2話「アスターテ会戦」では、ラインハルトとキルヒアイスが棒立ち状態のまま並んで会話するさまが、顔のクロースアップによって描かれるだけ。二人とも同じようにおたおたしており、「常勝の天才」が聞いて呆れる。
 もう一つ、旧作第14話「辺境の解放」で、同盟軍を陥れるラインハルトの機略を察知したヤンが、ウランフ提督に占領地を放棄して撤退することを進言するシーン。その場にいるのはヤンと副官のフレデリカのみ。きりっとした表情で機械を操作するフレデリカとは対照的に、ヤンは左手を卓に置き体を開き気味にして、ウランフが映る小さなモニターを覗き込む。総司令部の方針に反して独断で撤退を画策せざるを得ない重苦しい雰囲気が、巧みに醸される。
 一方、同じ場面を描いた新作第11話「死線(前編)」では、巨大なスクリーンを使ってウランフと会話するヤンの周囲に、4名の部下が何をするでもなくボーと突っ立ち、数百万将兵の命運が懸かった深刻な謀議であるにもかかわらず、「われわれの提督は賢いなぁ」とでも言いたげに薄ら笑いを浮かべる。見ていて胸クソが悪くなるシーンである。
 体幹を描くテクニックは、ヌードデッサンなどの基礎練習を繰り返すうちに身に付くものなので、にわか仕込みのアニメーターには難しいのかもしれない。もっとも、ここ数年のテレビアニメでも、『ふらいんぐうぃっち』『クロムクロ』『Wake Up, Girls!』など、人間の作画がしっかりした作品が少なからずあり、これらと比べると、『Die Neue These』の出来の悪さは突出している。{/netabare}

(2) CG:
 激しい戦闘場面でのCGこそ新作の売りなのだろうが、アイキャッチ効果があるだけでエモーショナルでない。CGがドラマに絡んでこないのである。
{netabare} このことを如実に示すのが、ウランフ戦死のシーン。旧作第15話「アムリッツァ星域会戦」では、味方の艦船を逃がすため後詰めで応戦していた旗艦に、ビーム砲が撃ち込まれる。爆風で背後の壁まで飛ばされ前のめりに倒れたウランフは、定位置で仰向けに倒れた参謀長と頭を並べる態勢となり、体を動かせないまま囁くように言葉を交わす。「参謀長、味方は脱出したか」「半数は…」「そうか」--胸を衝く名シーンである。
 これに対して、新作第12話「死線(後編)」になると、艦隊戦を描く派手で空疎なCGが延々と続いた後、艦橋にいるウランフと参謀長の姿が爆煙(CG動画ではない)で覆い隠されるシーンとなる。画面外から二人のやり取りが聞こえるや、目を閉じたまま「そうか」と呟くウランフのアップとなってフェードアウト。つまり、派手なCGと人間が動く姿は、同時に画面に現れることがないのである。これは、CGスタッフと人間を描くアニメーターの連携が取れていないことを意味する。なるほど、CGがドラマに絡まない訳だ。
 そもそも、新作のCGスタッフは、原作をろくに読んでいないようだ。アスターテ会戦の終盤、ヤンとラインハルトの軍が、互いに相手の後背に食らいついてリング状の陣形となる。旧作が静止画で表現したこの状況を、新作は、モニター映像で示すのだが、1秒ほどの周期でクルクル回っており、どう見ても、両軍併せて数万の艦船が広大な宇宙空間で戦う光景ではない。何をどう描くべきか、スタッフ自身が理解できていない。
 小型戦闘機(スパルタニアン/ワルキューレ)による攻防戦は、新作でも何回か描かれるが、目まぐるしい動きばかりが強調され、3次元的な画面構成がおざなりにされるために、戦況の把握すら困難である。
 旧作第1話で描かれたアスターテ会戦序盤では、先手を取ったラインハルト陣営のワルキューレが空母の艦載機を重点的に破壊し、相手の機動力を奪ったことが、引きの映像で示される。ところが、戦術上重要なこの作戦が、新作では映像化されていない。
 帝国領侵入中に逆襲された同盟軍が、ポプランらエースパイロットをスパルタニアンで出撃させる場面。旧作第15話では、まず発進するポプランの主観映像から始まり、視点を細かく変えながら戦闘機同士による空中戦が描かれる。その後で、戦闘機を艦砲の射程に誘い込んで撃滅する帝国側の戦術が、客観的な視点から描写されるので、実にわかりやすい。一方、新作第12話では、発進したポプランらが敵と遭遇するまでは迫力があるものの、それからは戦闘機が画面狭しと動き回るばかりで、誰がどのような状況にあるのか判然としない。
 新作のCGは、小型戦闘機周辺だけを捉えた寄りの映像が中心であり、まるで戦争シミュレーションゲームの戦闘シーンのようだ(それとも、このアニメ自体が、ゲーム会社に売り込むための営業用サンプル動画なのか)。全般的に、新作は戦術を叙述することに無関心で、派手な映像を見るだけで喜ぶ(何も考えない)視聴者を想定したとしか思えない。{/netabare}

【物語】
(1) シリーズ構成:
{netabare} 今回アニメ化されたのは、原作第1巻「黎明篇」のうち、序章から第8章「死線」まで。最大の山場である第9章「アムリッツァ」と、終幕となる第10章「新たなる序章」は、2019年公開予定の劇場版「星乱」全3話の冒頭に繰り込まれるらしい。
 なぜ、まとまりの良い「黎明篇」全編をアニメ化しなかったのかは不明。第8話の放送翌週に、キルヒアイス役の声優が作品紹介を行う退屈な特別番組「キルヒアイスのイゼルローン訪問記」が挿入されており、制作が間に合わなかったのかもしれない。
 旧作では、OVA第15話が「死線」の後半と「アムリッツァ」に相当するが、それ以前に外伝のエピソードなど3~4話分が挿入されていたので、旧作・新作とも、同じ分量のストーリーを12話ほどにまとめたことになる。にもかかわらず、新作はいかにもスカスカで、単に粗筋を紹介するだけのような印象を受ける。
 全26話を使って原作の第1,2巻を描く旧作第1期では、戦闘シーンの派手な「死線」~「アムリッツァ」をシリーズ真ん中より少し後ろにずらし、その手前に、敢えて本筋から離れたエピソードを挿入した。おそらく、シリーズ構成の河中志摩夫が、外見だけ派手で中身が空っぽなアニメにしないために、激しい戦闘以前に人間を描くべきだと考えたからだろう。
 新作のシリーズ構成には、こうした配慮が全く感じられない。年代記風の原作を大きく膨らまし、登場人物の内面に踏み込んだ旧作に対して、新作では、人物描写が杜撰で、ド派手なCGにばかり頼っている。それが、作品を空疎で見応えに欠けるものにした。{/netabare}

(2) 脚色:
 原作第1巻をそのまま映像に起こすだけでは1クールに届かないので、旧作・新作ともに尺を伸ばす工夫をしている。ここでは、双方で取り上げた「カストロプ動乱」のエピソードを比較しよう。
{netabare} これは、原作でわずか数ページ(徳間文庫版p.220~p.226、鎮圧したキルヒアイスの事跡に関しては1ページ足らず)、動乱の概要が淡々と記されただけのエピソードなので、映像化するためには、具体的な情景をアニメーターが考案しなければならない。
 旧作では、首謀者マクシミリアンが、賄賂で得た莫大な資金で高価な防御兵器を購入、これを鉄壁だと信じて、古代ローマ風の居宅で淫蕩に耽るさまが描かれる。キルヒアイスによって防衛ラインが破られると、忠実な手下を身代わりに仕立てて逃亡しようと図るが、その手下に裏切られ殺される。欲にまみれた人間の愚かしさが、生々しく浮かび上がる。
 一方、新作になると、マクシミリアンは司令官として艦隊を指揮、キルヒアイスの策にはまって危地に陥ったのに、降伏勧告を受け入れず、腹立たしげに部下を打擲するばかり。結局、そのままでは生きる道がないと悟った部下に殺される。帝国に歯向かうマクシミリアンの心情には触れられず、無能な司令官が戦闘で敗北する過程を描いただけの、何の深みもない軍事エピソードでしかない。{/netabare}

【声優】
 旧作は、洋画の吹き替えを担当したことのある声優が多い。吹き替えをする際には、表情の裏を読み取り微妙なニュアンスを付けることが要求されるので、心理表現が巧みになる。これに対して、アニメ専門の声優は、声のトーンを大きく変えるのは得意だが、トーンを一定にして表情を付けるテクニックが未熟になりがち。
 『Die Neue These』の声優たちは、かなり頑張ってはいるが、それでも、旧作の若本規夫(ロイエンタール役)や塩沢兼人(オーベルシュタイン役)らの練達の技と比較すると、どうしても聞き劣りする。

【音楽】
 旧作は、マーラー、ブルックナー、ドヴォルザーク、チャイコフスキーの名曲を、アレンジせずに使用している。クラシック音楽は、音色の豊かさ、ダイナミックレンジの広さ、構造の複雑さなどの点で、一般的なポップスとは段違いであり、音楽の持つパワーは圧倒的である(ただし、ビート感に欠けるので、音楽とともに体を動かすのが好きな人には、退屈だろうが)。旧作OVA第1話の冒頭、マーラーの第3シンフォニー(渋い選曲!)とともに重々しいナレーションが流れると、壮大な歴史物語の始まりを予感させ、胸が躍る。
 新作では、情景に適したBGM風の楽曲を流しており、良く言って無難である。

【キャラ】
 今風のキャラクターデザインにアニメファン歴30ウン年の私が文句を付けるべきではないのかもしれないが、ラインハルトがただのボンクラに見えてしまうのはいかんともし難い。旧作で、かつての猛将も歳を重ねて判断力が鈍ったかと思える描き方だったロボス司令長官が、新作では、無能を絵に描いたような顔立ちになっており、笑ってしまった。
 特に酷いのは、アンネローゼ、フレデリカ、ジェシカら女性陣で、あまりにありきたりなキャラデザなので、途中で他のアニメの似たキャラとすり替えても、誰も気づかないだろう。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 7
ネタバレ

たちばな さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

物足りないなぁー。これじゃプロージットできん!

祝!再アニメ化!

1番好きなアニメはもちろん銀河英雄伝説
1番好きなキャラはファーレンハイト
旧作に対する想いはいつまでたっても変わらない
再アニメ化でもっと色々な人に銀河英雄伝説を知ってもらえることが素直に嬉しい

-数話視聴してザックリ思ったこと-
単純に絵は綺麗、というか感動した
艦艇とか艦隊戦とかすごい!!!
物語も再アニメ化ということだから旧作と大きな差異はなさそうだし良かった
キャラデザは・・・
まぁ自分の持ってるキャラクター像とハマるかハマらないかだよね
旧作よりおじさんキャラ達がイケメン化されてるね、これはじわるw
声も問題なし!旧作で演じてた声優へのリスペクトを感じる

-各話感想-
1話-永遠の夜の中で-
{netabare}ファーレンハイトが無骨な武人って感じすぎるね、彼の華奢で優男風な容姿が好きだったから残念
声はファーレンハイト以外は意外と大丈夫かな、思ったよりしっくり来てる
特にキルヒアイスいいね、けどキャラデザはねぇー
キルヒアイスと言ったら赤毛の天パじゃないと笑
全体的にキャラデザは腐女子に寄せすぎか、黒子のバスケみたいだね
艦艇および艦隊戦のCGはめっちゃ綺麗、ブリュンヒルトの曲線は甘美そのもの
あと理屈倒れのシュターデンさん健在で安心した笑
そしてみんな大好き「ファイエル」が聞けたことに感動
{/netabare}
2話-アスターテ会戦-
{netabare}まず思ったのが、ヤンが想像以上にヤンだ!!!
パエッタ中将とかパストーレ中将(空気)が相変わらずの無能で逆に安心したw
幕僚のラオ少佐…旧作にもそんな人いたかな?
ブリッジ攻撃されたときのダメコン描写で「銀英伝が新しくなったんだなー」ってしみじみ
フィッシャーが微妙にイケメンになっててワロタw
全体的におじさんキャラがイケメン化してるよね笑
いつ反転迎撃からの轟沈でエルラッハ死ぬんだろうと思って楽しみ(不謹慎)にしてたんだけど死ななかったね!
こういう細々したシーンが楽しみだったりするんだけどね!
最後の最後にフリードリヒ4世が旧作より少し若返ってて笑った
※ガムンダさんよりラオ少佐の詳細を教えていただきました、ありがとうございます!
{/netabare}
3話-常勝の天才-
{netabare}今回はラインハルトとキルヒアイスの前日譚的な話ね
冒頭のナレーションが思ったよりいい感じだと改めて実感、下山さんいいよいいよ
フリードリヒ4世の声が軽すぎない?なんか若すぎるよー!個人的にはもっとヨボヨボでしゃがれた声が希望だね…
オーベルシュタインいいぃー!
レジェンド塩沢兼人さんを彷彿させるね諏訪部さん、ハマってるぅー!
そうだそうだ思い出した、これは「歪曲した」姉弟愛と「歪曲した」友情の物語だったね笑
血統主義なんてクソ食らえ!能力至上主義こそが絶対!ってのが銀英伝って感じするね
ただ、いざ自分のおかれてる状況にあてはめて考えてみると自分に能力があるかどうから甚だ疑わしい…かなしいなぁー
{/netabare}
4話-不敗の魔術師-
{netabare}今回はヤンの前日譚的な話ね
ジェシカのビジュアルが格段にアップしてる笑
模擬シュミレートのワイドボーン戦がめっちゃリアルで綺麗になってる!!!
旧作では座ってポチポチしてただけだったよね笑
たしかワイドボーンってラインハルトと戦って盛大に戦s…おっと失敬
きたきた、エルファシルの英雄!
えらいサクッとしてたね、こうゆうところで時短…!?
コーヒーより紅茶のシーンきたきた、将来のおよm…おっと失敬
{/netabare}
5話-第十三艦隊誕生-
{netabare}ユリアン…えらいイケメンなったなぁー。
トリューニヒト…お前は無駄にイケメンになったなぁー。あんたの如何にも胡散臭いペテン師っぽいツラが好きだったよ…
ふむふむ、順調に憂国騎士団が荒ぶってるねぇー。
でもさ、アスターテ会戦の慰霊祭ってこんな感じだっけ?
ヤンは慰霊祭に出席しなくて一人で荒ぶったジェシカをヤンとアッテンボローが助けに行って、そしてトリューニヒトとヤンが交渉するみたいな感じだったよね…?
ここの描写がないってことは後々にも結構な影響があるような気が・・・
あと、クリスチアン大佐が憂国騎士団でしかも慰霊祭にも登場するとはね…これは意外すぎる
旧作との意外な違いも楽しめますね!
{/netabare}
6話-イゼルローン攻略【前編】-
{netabare}もっさいユリアンをかえせー!
童貞感モロ出しのユリアンをかえせー!
で、なんやこのムライは!?!?!?
これがムライなのか…眼鏡やし髪の毛チリチリやしこれが「歩く小言」なのかよ
グリーンヒルはいかにもアニメキャラっぽくなってしまったのぉー、ムライよりグリーンヒルの方がコレジャナイ感が強いかな
シェーンコップは超絶イケメンやしビュッコクはめっちゃスリムやしアニメキャラって感じになっちゃった
密命を帯びた味方部隊って怪しさMAXやけど本当に味方だったら見殺しにすることになるし中々難しい判断だよね
{/netabare}
7話-イゼルローン攻略【後編】-
{netabare}イゼルローン要塞の液体金属の質感がすごいリアル!
帝国は刺青だめなんだ…危ない危ない
ボディーチェックのハイテク感よ、過剰なまでのハイテクぶりちゃう笑?
前作同様あっけなく司令室占拠しちゃったね
トールハンマーの発射描写めっちゃリアルで見応えあるぅー
ルビンスキーのモミアゲが思ったよりギザギザでワロタ
やっぱりオーベルシュタインはハマってる
{/netabare}
8話-カストロプ動乱-
{netabare}マクシミリアンさんすごい無能でボンボン感が漂う容姿してる…前作のカストロプ星系の人はほぼ裸だったよね笑?
おぉー、バルバロッサかっこいい!
ちゃんとビューローもベルゲングリューンもいる!
ちょっw
マクシミリアンさん部下ぶん殴りすぎやろw
前はアステミスの首飾りに頼ってたけど、今作は部下を掌握出来ずに反乱?みたくあっけなく終わったね
オーベルシュタインのピンチをチャンスにっていう考え方は好きよ
フリードリヒ4世は治世者としては暗愚だったかもしれないけど、結構大胆な考え持っちゃってるし物事を達観してるし中々の人物ですよね
{/netabare}
9話-それぞれの星-
{netabare}【悲報】ジョアン・レベロもホワン・ルイも完全に別人の件
うーん…トリューリヒトの没個性化がやっぱり残念
「戦争」というキラーフレーズに負けるのが政治屋だよね、どんな世界でも一緒だ
グリーンヒル大将「君が優等生のユリアン君か」→ユリアン「はい!はじめまして」って謙遜しろよユリアン!!!
ボルテックの謎の老化も気になるw
タイトルの「それぞれの星」…深いねぇーシミジミ
歴史は1人1人が創るもの
「history」はhis story=彼の物語
{/netabare}
10話-幕間狂言-
{netabare}「増長させておけばいいでしょう」なんと無責任な助言だ、それで納得する方も大概だがw
ロボス元帥の顔がいかにも昼寝しそうな顔になってる笑!
でたでたフォーク准将、なんかただのイケメン
そして迷言「高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変に」
フォーク准将のマスタベーションはやっぱり(逆に)すごい
タイトルの「幕間狂言」が的確すぎてワロタ
負けると分かってて戦うのは嫌だね、それなら僕は負けると理解できない脳筋でありたい
{/netabare}
11話-死線【前編】-
{netabare}焦土作戦にまんまとハマった同盟軍
旧作にあった占領星の地主の娘と兵士との恋物語は丸々カットですかね?
きたきたプロージットからのグラスぱりーん、人生で1度はやってみたいことベスト3に入るね笑
ブリュンヒルトの出港シーンかっこいい!
躍動感が違うね、荘厳だぁー
{/netabare}
12話-死線【後編】-
{netabare}おぉー、ここにきて初の空中戦?というかドッグファイト
ビュッコックの的確な指示ステキヤン
疾風ウォルフきたー、相変わらずのそうr...おっと失敬
オイゲン久しぶりだなぁー、元気だった笑?
ウランフさんはミサイル全部発射できたかね…?
ロボスはなんちゅー顔で報告聞いとるんや{/netabare}

-見終わり後の総評-
{netabare}・物語:アムリッツァ星域会戦までのダイジェストみたいな感じで物足りなさを感じた
・作画:すごーい!めっちゃリアルやし、スピード感のある艦隊戦には感動した
・声優:いいんじゃないでしょうか(あんまり詳しくないし)
・キャラ:これはダメだ…
・音楽:いいんじゃない(適当){/netabare}

旧作を知ってる人は「こんなシーンあったねー」・「このキャラ懐かしいなー」って思いながら観れるから楽しいと思いますよ♪

投稿 : 2019/12/07
♥ : 32

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

銀河の歴史はまだ数ページ

スペースオペラの代名詞。
多少なりとアニメや漫画、ライトノベルを趣味としている方なら、観たことは無くとも何処かで必ず耳にした事のあるビッグネーム。
原作小説が刊行されたのは今から30年以上前。アニメやゲームにメディア展開され、今もなお多くの熱烈な固定ファンの心を捉え続けるのが「銀河英雄伝説」という作品です。
12年間という期間をかけて、アニメ本編で110話、本編のビフォアストーリーを描いた外伝で52話という、現在のアニメ作品では考えられないロングランリリースのOVAアニメでした。
本作は、平たく言ってしまえば、その20世紀の大作、銀河英雄伝説のリメイク版・・・・いや、新約版とでも申しましょうか。
21世紀の若いスタッフと最新の製作技術で創られる新たな銀河英雄伝説です。


最初にお断りしておきますが、私は前作の銀河英雄伝説の大ファンです。
アニメからではなく原作小説を完走してから入り、このクソ長いOVA作品を何回もリピートしてるので、観ていて次のシーンでキャラが言うセリフが思い浮かぶぐらいのハマりっぷり。
当然、石黒監督の20世紀版銀英伝には想い入れがありますし、私の中では揺るぎない不朽の名作として心に刻み付けられております。
ただ、だからと言って、この新しい銀河英雄伝説を「イメージが壊された」とか「声優が変わって違和感が」などという無粋な色メガネで見るつもりはありません。
大好きな銀英伝を、いったいどう解釈してどう料理してくれるのか、フラットな視点でイチアニメ作品として楽しんで視聴しました。
まぁ、セリフが頭に入ってるぐらいなので、ストーリー展開などにワクワクしたり驚いたりすることは皆無でしたが、前作から変えてきた部分や逆に前作を踏襲している部分がよく判るので、そういったオタ的な楽しみ方をしております。


前置きが長くなりましたが、この「Die Neue These 邂逅」。
銀河英雄伝説本編の前半部分、いや、長大なストーリーの導入部分のお話となっています。
正直物足りなさは感じるものの、12話しかない1クールの深夜アニメ枠ということを考えればこれは仕方がない。石黒監督版ではアニメオリジナルのお話などが入ってましたが、本作はかなり忠実に原作準拠しており、外せない重要エピソードを12話に収めた、といった印象です。

ご覧になった事のない方のために、ものすごく要約して銀英伝とはどんな話なのかを説明すると
『人類が宇宙進出を果たした遠い未来、歴史を大きく動かした2人の”英雄”の生涯を描いた物語』
とでも言いましょうか。
なので、この2人の主人公の行動原理や人となりを視聴者に理解してもらうのが前半の役割となります。これ、とっても重要。
で、このアニメでそれができているか?を考えると・・・・私にはわかりません^^
無責任な言いようで申し訳ないですが、散々視聴を繰り返した銀英伝オタの脳ミソでは、まっさらな状態の人にそれが伝わったのかどうか判らんのです。客観的に考えるとちょっと尺が足りてないんじゃないかなーと思うのですが
ラインハルトが、なぜ志をたてているのか、
どうしてヤンが、ああいうスタンスで居るのか、
初見に人聞いてみたい。わかりましたか?って

まぁしかし、それはこの先、追々ストーリーが進んでいくうえで理解できればいいとも思いますが。
アホみたいにキャラが多くややこしい政治情勢や独特の用語が飛び交う作品なんですから、正直いって1回の視聴でその機微が理解できるわけもありません。反芻してこそ味の出る銀英伝です。


作画に関しては、普通に良くできていると思います。
単純に戦闘シーンだけを見れば、CGを駆使した大艦隊の動きや表現は30年前のアニメでは到底不可能なレベル。艦や戦闘艇のデザインも一新され、より今風な無骨さが付加されているのはカッコいいと思います。重厚感は手書きアニメの方が良かった気もしますが、あれは前作の描き方とBGMによる盛り上げ方が上手かっただけのこと。
前が良かったからといって、今を否定する材料にはなりえません。

微妙な評判のキャラデザインも前作のイメージを引きずっていなければ全然OK。
古臭さは排除しながらも、その人”らしさ”は失われないようなキャラに仕上がっていると思います。
最初、キャラ絵だけみててもピンときませんでしたが、実際に声が充てられ動き出し喋りだすと、ちゃんとその人だとすぐに馴染んてきました。

キャラに違和感を感じないのは、声優さんの力量に拠るところも大です。
モノマネしている訳ではありませんが、明らかに前作の声優を意識して演じられているのが解ります。
同じ人物を演じるわけですから、自ずと同じ感じになるのは当たり前といえば当たり前なんですが、あからさまに寄せているキャラがチラホラ。
でも全員がという訳ではなく、逆にあまりに個性的(若本、キートン、羽佐間、堀川)な人には無理に寄せず、今の声優さんらしい喋りになっています。まぁ、そりゃそうですよね^^
賛否はあるかと思いますが、これも慣れ次第。
イメージが変わったなどと埒もない事を言っても始まりません。


総じて、さすがはI.Gの仕事。及第点のアニメ作品になっています。
とにもかくにも物語を完走させないと作品的には評価できないでしょうが、この水準で続けていただければ、良作と言っていいのではないでしょうか。
”名作”となるには、何かが足りないような気もしますが、ね。


最後に。
前作への想い入れが強ければ強いほど、この新作への評価が辛くなる、というのは理解できます。
コキおろしてる人の気持ちもわかります。
でもね、今のご時世で出来得るベターなやり方で、ちゃんと一定水準以上のものを提供できている。私はそう思います。
あの名作を現代の若い人にも知ってもらえる機会を作ったこの企画には、素直に称賛を送りたい。

前と同じ声優を採用して、あのままのキャラデザインで110話通してつくれよ!
と願うファン心理はわからなくは無いですが、それこそビュコック提督に
「じゃあ代わってやるから貴官がやってみろ」
って一喝されますぞ。
できもしない事を騒ぎ立てる行為の愚かさは銀英伝ファンなら重々承知の事ですよね。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 17

60.2 11 政治アニメランキング11位
タイタニア(TVアニメ動画)

2008年秋アニメ
★★★★☆ 3.5 (97)
595人が棚に入れました
広大な宇宙に進出した人類は多数の星間国家を築いたが、その大半は実質的にタイタニア一族の支配下にあった。星暦446年、宇宙都市国家エウリヤはある権益を巡るトラブルからタイタニアの攻撃を受けるが、意外にもこれを撃退してしまう。この戦いを機にタイタニアの覇権を快く思わない人々が動き始め、さらにはタイタニアの内紛も絡んで銀河は激動の時代を迎えようとしていた。

声優・キャラクター
岸尾だいすけ、小西克幸、近藤隆、吉野裕行、武虎、名塚佳織、三宅健太、保志総一朗、矢作紗友里、皆川純子、堀内賢雄、大原崇、斧アツシ、神谷浩史、草尾毅、牧島有希、塩野アンリ、大川透、柚木涼香、潘恵子

Etzali さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

小さな勝利がもたらした大きな変化

1話~8話までは進行が遅かったので、あまり観る気がおきなかったんですが9話からタイタニアに少しずつ変化が訪れ始め16話から主人公がタイタニアを敵視し始めるのでそこからはサクッと観れました。

{netabare} 1話で主人公ヒューリックがひょんな事からタイタニア一族の四公爵であるアリアバート郷に勝利してしまった事から物語が始まりました。{netabare}
観る前はサムネにあるようにタイタニア四公爵の一人とヒューリックとの戦いを描いたものだと思っていたんですが、予想が外れました^^; 実際、ヒューリックとジュスラン公爵が合いまみえるのは物語の終盤からでした。

作品の内容としてはタイタニアは全宇宙の覇権を握っているが「ある勝利」をキッカケにタイタニア内部の権力闘争(大きな変化)にまで発展し、タイタニアはどうなっていくのか?と言った所です。ヒューリックを捕まえるにあたって起こる各国との政治的・戦闘における駆け引きも見ものだと思います。

個人的にはヒューリックとジュスランの駆け引きをもう少し観たかったのですが…(-_-;) また、最終話でもタイタニアは滅んではいないので続きが気になります。

最後に、「特殊化(Pax Tytania)の果てにあるのは、ゆるやかな死・・・それだけよ。(✧`≖ω≖´)キリッ」で締めたいと思います。 少佐は、やっぱ良いこと言うなぁ(#^.^#)

投稿 : 2019/12/07
♥ : 11

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

スペースオペラ入門編

スペースオペラ・・・と、呼んでいいのか。
宇宙を舞台にした、支配者側とそれに抵抗する人々の物語。
原作者が銀河英雄伝説のあの方ですから、どうしても比較しがちになりますが、あそこまで政治色は強くありませんし、戦術面でも結構ご都合主義です。
(銀英伝をご存知ない方の方が楽しめるかと思います)


支配者側、反体制側、ともにキャラクターの魅力はさすがです。
単純に支配側=悪という構図ではなく、体制的には善悪がはっきりしていません。支配する側にも責任と苦悩があり、内部抗争もあり、国家の主権は守らなければならないという立場もある。
嫌なキャラクターは居ますが、どちらの側に立っても感情移入できる世界が作られているので、宇宙を舞台に戦闘をする話ですが、ドンパチを見るのではなく「人物」を見る物語です。

原作が完結していないので、一応の区切りはつけてあるものの、終わり方は消化不良です。これから面白くなりそうなのに・・・ってところで終わってます。
(原作をご存知の方は、そんな事は覚悟のうえでしょうが)
ただ、その点を我慢すれば、全26話でダレることもなく楽しんで視聴できます。見所もいろいろあって普通に面白い。
キャラクター絵もいいですね。何より女性が可愛く描かれてます。


スペースオペラは、長くて難しくてちょっと・・・という方。
本作は「解り易いスペースオペラ」としては最適です。
いい意味で、原作をアニメらしく装飾して、視聴者の間口を広くしているのは、さすが安定感バツグンのNHKアニメ。
敬遠せず、ご視聴なさってみてください。

投稿 : 2019/12/07
♥ : 19

りおんぱん さんの感想・評価

★★★★