「虐殺器官(アニメ映画)」

総合得点
73.6
感想・評価
184
棚に入れた
1535
ランキング
649
★★★★☆ 3.9 (184)
物語
3.9
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.7
キャラ
3.7
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虐殺器官の感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

ドリア戦記 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

言葉が狩るもの

原作からして人を選ぶ作品。SFが難しいとか内容が高度とかそういうのではない。
ちょっと癖のある作家なので読みにくい人がいるのでは。
アニメも原作の「分かり辛さ」を踏襲している。

内容を簡単にまとめると特殊部隊に所属する主人公が
言語に隠された「虐殺の文法」を駆使し
世界中でテロを起こすテロリストに遭遇する話。
自分の周りさえ平和であれば良いという人々の身勝手さと社会的無関心が
テロや戦争を他国に追いやっているという主張。


社会批判性を内包した小説やアニメは多くあるが
社会描写を積み重ねるより、登場人物による観念論の乱れ打ちなので
世界観の把握に人によっては苦労するかも。
例えばホーガンの『星を継ぐもの』のように
1つ1つの検証を積み重ねていくSFが好きな人なら
ちょっとこの作品は合わないだろう。

知り合いは「セカイ系」と評していたけど、
セカイ系が「僕とあなたの閉じられた世界」で収束するのに比べ
こちらは主人公の延々と続く内的思索であり
読んでいると言葉に翻弄されそうになる。
客観的事実の積み重ねではなく
良くも悪くも「ボクの思索がすなわち世界へと続く」という作風。
また「虐殺の文法」という飛び道具を出したにも関わらず
見切り発車で詰めが甘く、結局「虐殺の文法」とは何であったのか
多方面からツッコまれた経緯を持つ。
読んでいればなんとなくだが、おそらく言葉の持つ危険性について訴えたかったのだろう。
言葉を操るものが人を操り、如いては戦争に追いやるという歴史の事実
(実際は経済的側面が強いが)
を強調するためのガジェットとして「虐殺の文法」を設定したのだろうが
SFとしても論理的な詰めの甘さが目立つ。

雑と言えば雑なのだが、社会批判性を孕む場合
目前の客観的事実に捉われると視野狭窄
もしくは長期展望のない短期的な見方に陥りがちだが
内容やテーマは茫洋としながらも
今現在、アメリアや世界で起こっている「分断」を
結果的に10年以上前から予測していたことになり、ジャーナリスティックな側面を持つ。
皮肉を言えばどうとでも解釈できる主観的な点もジャーナリスティックと言える。

ただこの作品の主張である、人は自分と自分の周りさえ平和であれば
充足を感じる生き物であり、メディアで報道される他国の国民の不幸は所詮他人事、
国内でも集団に分かれ、
その集団に所属するもの同士の存続と充足がSNSを通して強化されつつある現在
作者の主張やテーマは無視できないものとなっている。
人は自分の見たいものしか見ないと言ったのはカエサルだが
情報もたとえ手を尽くして検証したとしても
己の見たいようにしか解釈しないのが人というところか。

投稿 : 2019/12/09
閲覧 : 27
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0

ネタバレ

たわし(ガガ) さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

SFとしてはハリウッド並みに頑張ってはいる

日本人では初めて、アメリカのSF文学賞「フィリップKディック賞」を受賞している享年34歳で亡くなった小説家伊藤計劃のデビュー作であり、「死者の帝国」「ハーモニー」次ぐ、アニメ化第三弾「虐殺器官」

原作の小説は未読で、元来SFが好きなので「死者の帝国」「ハーモニー」は劇場で視聴済み。

で、今回で伊藤計劃作品最終作な訳ですが、アニメ元請け制作会社が倒産し企画が倒れかけていたにしては非常に良質なアニメーションで、演出も作画も撮影も上手い。特に3Dの使い方は最近のSFアニメやロボットアニメを凌駕するぐらい自然に違和感なく使われていて手練ているのが直ぐにわかったし、攻殻機動隊ARISE以来の電脳空間も理解しやすく、設定やデザインに抜かりがないのには驚いた。
以前に見た「ハーモニー」のグダグダがまるで嘘の様に感じたのが正直な感想だ。値段以上のものは観れた。

脚本の方だが、全体を通して見終わったときの感想は。。

「。。。。これって黒沢清の「CURE」に似てね?」

だった。

1997年に黒沢清監督が役所広司主演、萩原聖人助演で撮ったサイコスリラー「CURE」に非常にプロットが似ている。というか、SF要素を抜けばほぼ同じである。

黒幕が言語でまるで催眠をかけたように人を操ったり、猟奇的になったり、現代の社会問題に悩んだりするところがそっくりである。(笑)

しかし、社会問題の定義に関しては、2017年現在、アメリカ合衆国で行われているドローン技術や対テロ活動、戦前のような内向きの世界経済状況、まるでナチスドイツのようなトランプ政権などを見ていると、一切笑えないから困る。現実がフィクションの世界を越えようと動き出しているからだ。

そう考えてこの映画を見ると、非常にタイムリーな作品であるし、現実を直視できるという意味では、「今」見るべき映画のひとつと言えよう。

三作品の中ではダントツでSFとしても映画としても極めて上質だ。

亡くなられた作者も、このレベルでアニメ化すれば納得できるだろう。

ただ、内容を理解するには「攻殻機動隊」並みに予備知識が必要なので、間違っても恋人と一緒に行ってはいけない。(笑)

あと、説明ゼリフや静かな演出で眠気に誘われる場合もあるので、睡眠を充分に取ってから観ることをおすすめする。まるで押井映画のように脳をフル活用するからだ。

声優に関してはあまり触れないでおこう。可もなく不可もなくといったところだ。

投稿 : 2019/10/30
閲覧 : 293
サンキュー:

22

ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

虐殺器官 レビュー

端的に言えば、アメリカの特殊部隊に所属するシェパードが、世界各地で虐殺を扇動するジョンという男を捕まえようとする話です。
{netabare}
シェパード達特殊部隊の隊員は、マスキングと呼ばれる、ナノマシンによる痛覚遮断技術、および感情調整における何事にも動じない兵士という、近未来的兵士を描いています。

このマスキング、感情調整という、フラットを生み出す設定が、心身の痛みに鈍感になった人間達を暗に示しており、鈍感な人間社会に住む一人のシェパードが、鈍感さを失っていく話になります。

私のように後追いで見た者の見方としては、「どれどれ、本当に何事にも動じない兵士なのかじっくり観察しようかな」なんて思うのですが、シェパードに関しては、ジョンの虐殺文法と呼ばれる手法に引っかかった敵や、ジョン本人に対しても、感情を揺り動かされ、ルツィアに関しては特別な思い入れまで入っていたように思えます。
まあですから、この作品は、特殊部隊が大事な仲間を失いながらも仕事を全うするようなアダルトなものではなく、社会に支配された(ここはジョンとシェパードの最初の会話、国家への隷属の部分)個人が、支配から逃れるまでに変化する物語だと思います。

シェパードとルツイアの関係は、最初こそ、情報軍のスパイと、チェコ語教師(ジョンの元恋人)という関係に過ぎませんでした。ところが、ルツイアがここで死ななくてもよかったとか、個人軽視の社会の個人感情を消した兵士(少年兵であろうが躊躇なく殺せる兵士)であるシェパードが個人の価値というものを見出しています。
どこで変化したか、ジョンとの会話の中でか、楽し気なルツイアとの会話の中か。(後者であるなら、調査対象に情が入るなんともお粗末なスパイなので、前者を押したいですね)もしも前者を押すなら、土壇場で言語学を専門とするジョンの巧みな会話による精神誘導に引っかかったともとれるので、やはり兵士としてはお粗末、なのですが、この作品のそもそもが兵士としての優秀さを描くものではないことは上の方で述べた通りです。
そのため感情に揺り動かされて無能な兵士であっても、兵士を感情のない兵器であるとするなら、そこからの脱却を描いたのが今作品だと思います。

ここで無感情の脱却という点で、いくつかのセリフとシーンが繋がります。
遠い場所で起きている虐殺で、アメリカに住んでいる人たちに届く話はほんの僅か。この意味と、ピザを食べながらテレビでラグビー(アメフト?)を見ているシェパードと、ウィリアムズのシーンは共通するものがあります。
世界のどこかで起きている虐殺、それを感情的に深入りしようとする人はほとんどいません。ニュースとして聞き流し、そんなことがあったのかと日常に戻る。感情的に起伏がない(フラット)のです。それが悪いかどうか、悪くはないでしょう。ただ、あまりにも世界の遠くで起きている虐殺に、痛みを感じなさすぎなのではないかと、そういうことを感じるのです。
一方でラグビーを見るシェパード達は、日常の中での痛みへの無感情を描いています。彼らが見ているラグビーの試合では毎回けが人が出ます。その怪我に対して驚くわけでも、悲しむわけでもない、フラットな感情なままです。ウイリアムズに至っては、バカなルールだと何気なく言う始末。同情ではなく、なんでこんなバカなスポーツやってるんだという、嘲笑(それを見ている彼らの鈍感さ)。
彼ら兵士にとって、ラグビーはどこか遠いようで近い、怪我をしてでも任務を遂行する所が似ているように感じてからの、仕事に対しての皮肉でしょうか。
しかし、2回目に映し出されたそのラグビー鑑賞シーンで、けが人が回復したときに、少しの安堵のようなものがその場に広がった時、彼らは鈍感な社会、鈍感な職業にいながらも、どこかで感情を持っているという、人間臭さを出しているのが伺えます。

さて、色々書きたいことはまだありますが、今回はこれで。
ありがとうございました。

【再視聴~雑多なシーンとテーマについて】
ストリーミング期間があるので、再視聴までそんなに期間を置かずに視聴しました。
まずは、ストーリーとはあまり関係のない、いくつかのシーンにおいて、気付いた事をメモ程度に示そうと思います
まず、赤髪の敵女兵士について。
印象的なシーンは、シェパードが路面電車に何気なく乗り込んで来ようとする赤髪の女を見て、ルツイアに「仲間か!?」と聞いた所。
なぜシェパードが赤髪の女を、敵兵士として認識できたか。
それは、赤髪の女の初登場シーンがその前にあるからです。ルツイアとチェコ語のレッスンを受ける契約をしたその日の帰り道、シェパードは何者かに付け狙われます。その時、シェパードの乗った地下鉄の電車に入ってくる怪しい者たちの中に、赤髪の女がいた。それをシェパードは記憶していたからです。

次に、序盤の仲間の死体置き去りと、ルツイアの死体置き去りの比較について。
まあ、これはシェパード自身が語っていますが、ルツイアの死体を置いてきてしまった、大切な人の死体は物に見えない。
つまり序盤で死んだ仲間の死体については、シェパードは物としてみていました。
その差異について何故発生したか、というのは、シェパードが特別な感情をルツイアに持ち、その感情を持つまでにシェパードが変化したから。
ここで差異の理由を述べるよりも、映像で見たときのシェパードの変化を見たほうが、ありありと彼の変化や感情を受け取れると思います。

民間軍事会社がなぜジョンを取り戻そうとしたか。
これは邪推に過ぎませんが、内戦が起きることによって軍需があり、軍需が発生し続ける限り、ジョンを生かすメリットがあったのではないでしょうか。


ここから、一つのテーマの話になります。世界の選択の責任
ここでいう選択は、世界の真実を知るべきか知らざるべきか。情報の隠蔽と選択。
知らなくてもいいことは知らず、安穏とした堕落した生活を守りたいと思う人、ジョンやウイリアムスがそれに当たります。(彼らにはそれを提供したい恋人や家族がいました)
世界で虐殺が起きている事を知らせるべきと思うのが、最終的なシェパードやルツイア。人々に今の生活がある理由を知らせ、その中で選択すべきという考え。
ルーシャスのセリフ、高度な自由であったり、人は見たいものしか見えない、人工筋肉の悲惨な生産現場など、便利や安全を得る自由を何気なく選択しているが、その自由を得るために使われている犠牲を人々は知るべきか知らざるべきか。

そういったテーマがある中で、ルツイアの願い「突然大切な人が奪われることがないような世界」をかなえるためにジョンが遠い世界の人間の命を天秤に掛けて選択します。結局、ルツイアはジョンの作り出そうとした願いの世界を否定するという、未だにジョンを好きだったはずのルツイアの選択、ジョンの間違いを描いた恋人の関係を描かれています。精神的依存がルツイアにあると視聴者に思わせていた状態から、実はジョンがルツイアの願いをかなえたいという、ジョンの依存精神を描いている、人物の精神的強弱の逆転、もしくは入れ変わりが面白かったですね。







メモ {netabare}
重要な言葉をいくつか挙げてみたいと思います。

虐殺、器官、言葉、痛み、マスキング、少年兵、サラエボ、フラット、ピザ、ラグビー、個人、国家、世界、心、感情調整、PTSD、遠い場所で起きている、伝わってくる話はごくわずか、潜在的意識、存在の消えた傭兵、人工筋肉、イルカ、クジラ、
二回目
民間軍事会社 情報の隠蔽 頭の中の地獄 仲間殺し 究極の兵士 ウィリアムズ 仲間意識 生得的文生成機能 赤い髪の女(電車) 指紋 網膜認証 俺は誰でもない 情報社会とのバランス(ルツイヤ)
自由の選択 プライバシーの自由と、テロの抑圧からの自由 指紋認証の銃 諜報機関 それほどの隷属(国家と兵士) ルーシャス ナノマシン 人は見たいものしかみえないようにできている 犯人は軍事会社 僕は知らない オルタナ(ナノマシン) 仕事と鈍感 心に覆いをする(ジョン) 中国製ヘリ マスキングされた敵兵士 計数されざる者たち 軍事企業がなぜジョンを助けるのか 内戦の勃発による軍需 自分が生まれた世界を守る 選んだ世界への責任 嘘っぱち 死体を置き去り(冒頭の置き去りとの比較)大切な人の死体はものに見えない 大切な誰かを突然失ったりしない世界 人の命の天秤  罪を背負う 
{/netabare}

{/netabare}

投稿 : 2019/08/03
閲覧 : 290
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21

える908 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

「マスキング」という呪い

本来は、殺戮者と暗殺部隊の攻防というシンプルなストーリーなのに、
会話劇の難しさや、演出がたくみに視聴者を錯綜した雰囲気に誘導するので、
壮大で悲惨な感覚に飲み込まれたような視聴感に、苛まれました。

この感じって、観た人にはわかって貰えると思いますが、
作品鑑賞後に、言いたいことは山ほどある筈なのに、
上手く考えがまとまらなくて、
この作品を観てしまった自分も、何か不可解な生得的文法に支配されているのかも知れないと、
うそ寒い気分にさせられる不思議な作品です。

近未来を舞台に、戦闘に特化した小道具類の、
ひとつひとつがSFチックで面白いです。
攻殻機動隊でおなじみの光学迷彩も出て来ますが、
そういう近未来的ガジェットが満載です。
敵兵のIDチップを強奪して偽装する手段の見せ方とその手際のよさとか、
肉眼に可視情報が映るモニターを目薬に搭載させて、
多分友軍やアメリカ本国の指令本部までモニター出来るようにしているとか、
作戦実施のとき高空から落下していき、地上に近づくと自動的に分解してミサイルや多弾頭弾を連射するポッド(棺桶)とか、
あるいは潜伏捜査の際に、味方に移動位置を知らせるチルチルミチルの小石みたいな機能の液体とか、
訪問先の空気を鼻で吸収して、鼻に仕込んだ吸着装置で成分分析するとか、
そういうのがいっぱい出て来て、SFを好きならすごく楽しいことになっています。

でも、この作品でいちばん重要なツールは、
痛みや、精神状態の過度な興奮や、仕事で行う殺戮への罪悪感を抑える「マスキング」だと思いました。
この小道具があるおかげで、アメリカの特殊部隊員たちは、
あくまでも仕事として、
虐殺を繰り返す他国の指導者を暗殺します。
ターゲットである「虐殺の王」とつながりのあるらしい民間人組織を急襲して虐殺します。
少年兵を使役している内乱軍を、少年兵を使役しているから反人道的軍隊と認定して、
内乱軍の中に侵攻して、その少年兵たちを片っ端から惨殺します。

人道の罪をかぶせておいて、反人道的としか見えない虐殺を繰り返し続ける正義の軍隊。

「虐殺器官」という言葉の意味が、「虐殺の王=ジョン・ポール」に由来していながら、
「アメリカ軍=世界平和の番人自体」を指していることに、否応もなく気づかせられます。

虐殺の凄惨さを訴求するために、必要な表現だと納得できますが、
敵味方問わず、殺されてゆく人の死に様が残酷で悲惨です。

原作者の伊藤計劃さんが訴えたかった筈のことは、
9.11のあとにアメリカ軍が他国に仕掛けた、
ゲームの画面のような空爆録画を
漫然と眺めている私たちにだって、
ちょっと考えれば爆撃画面の外には
被害を受けて怪我したり死んだりする生身の人間がいるということ。
飢餓に苦しみ死んで行く人たちを抱えた国がある一方で、
ピザやハンバーガーを食べ散らかし、捨てているのが自分たちだということ。

そこに、ガジェットは存在しないけど、
私たちは既に、
見たくないものは見ないで生きていく方法を、生得的に身につけているということ。

マスキングされて、悲惨で残酷な現実から隔絶されて生きている自分の生き様を突かれて、
何の解決も考えられなくて、暗澹とした感覚が強く残る。

そんな、後味の悪い、でも考え続けなくてはいけないことがあると
思わせられた重い作品でした。

投稿 : 2019/06/06
閲覧 : 119
サンキュー:

18

daruma さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

タイトルなし

原作既読

原作からシェパードのトラウマ要素を削ってしまったことが残念だった。ルツィにこだわる理由や、葛藤が無いのでシェパードの人間的な深さが薄まって感じてしまった。

戦闘シーンが生々しかったが、作品の残酷性を表現する上で重要だと思う。そういう意味では映像化されていた方がこの作品を楽しめるのかもしれない。

アレックスが暴走するなどの改変は、ジョンポールの不気味さを表現する上でナイスな改変だった。しかし、どのタイミングで洗脳されたのかはわからなかった。(スピーカー放送を聴いてたときかな?)

人工筋肉や未来的なデバイスなどSF要素がふんだんに詰め込まれていて、SFファンなら必見な作品だと思う。

EGOISTのリローデッドが良くマッチしていた。

投稿 : 2019/03/21
閲覧 : 85
サンキュー:

4

まだ初心者 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

めちゃくちゃ面白い

何の予備知識も無く観たのですが、めちゃくちゃ面白かったです。
テロとか軍とか国家とか好きな人なら絶対ハマると思います。
残虐な描写もあり、ストーリー的にも小難しい内容なので気楽に見れるアニメではないです。
この作品のことを全く知らない方は、「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」の順で視聴することをおすすめします。

ストーリー重視、バトルもの、ミリタリーもの、SFものが好きな方におすすめです。

投稿 : 2019/03/14
閲覧 : 104
サンキュー:

2

ネタバレ

クワル さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

いい映画でした。

SFというか、戦争映画。

何か高尚な理想のために戦う悪役なのかと思いきや、正面切ってのエゴでした。
でもそのエゴは現代にも共通するものだったり。第一世界と第三世界の対立。

情報量が多いので、頭を使います。グロもそれなりに。

欲を言えば、主人公はもっと渋メッセージのキャラデザと声だったらよかったかな。

映画を観た後に原作を読んだのですが、エンディングは違いましたね。でもこれはこれで良い終わり方だと思います。

投稿 : 2019/02/22
閲覧 : 56
サンキュー:

1

ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

あら、意外とシンプルなストーリーね

世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男はジョン・ポールという名で、紛争の予兆と共に現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…?

虐殺の王ことジョン・ポールの正体や目的は徐々に明らかになっていくが、主人公であるクラヴィス・シェパードのことは明かされない。映画化するにあたり、クラヴィスの内面にまつわる描写をあえて省いたと、村瀬修功監督がインタビューで明言しているらしい。

ジョン・ポールは言語学者で、虐殺の文法を使い、後進諸国に虐殺を広めて回っている。そして、ジョンと関係を持つ女性、ルツィアも言語学者。クラヴィスはプラハでルツィアと、そしてジョン・ポールと接触し、言葉を交わす。この接触が、クラヴィスに如実な変化をもたらす。

原作を読むと面白く感じられるそうだ。

冒頭でいきなりセッ○スしてるんだけど、多分、ジョンかな。ルツィアと不倫していて、その際に妻と娘が死んでしまった。以来、平和な自分たちの世界を守るために、後進国のテロリストが先進国に攻撃する前に後進国内で殺し合いをさせることを選択。最後はルツィアとジョンとクラヴィスがこのことを告発しようと会話しているところで、ウィリアムズにルツィアがヘッドショットされるシーンは心が痛んだ。

全体的に伏線らしきものがあるようには感じられず、そんなに難しい話もしていなかった。捻りが欲しかった。無駄に長かった。虐殺器官は自らの母語ではない言語を文法滅茶苦茶で断片的にしか話せない者たちの子孫が教えられていなくても、整った文法で話すことができるように、人間には本来、文法を生み出す能力が備わっており、虐殺も人間に刻まれているのではないかということをテーマにしていた。

マングローブが倒産したせいで、本来は最初に公開される予定だったのに、最後に公開されることになってしまった。

主題歌はEGOISTでリローデッド。かっちょいい。

投稿 : 2019/02/17
閲覧 : 80
サンキュー:

4

ネタバレ

shino73 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ジェノサイドの匂い

伊藤計劃原作、PROJECT第3弾。
ゼロ年代SFベスト国内篇第1位。

核の炎がサラエボの街を焼いた。
テロの脅威に対抗すべく先進国では、
科学技術により監視の網の目が張り巡らされ、
一方発展途上国では内戦と民族対立により、
無数のジェノサイドが頻発していた。

虐殺の陰に常に存在が囁かれるジョンポール。
ジョンポールとは何者か!?
{netabare}アメリカ国防総省で言語を研究していた彼は、
ある日を境に公然と姿を消した。{/netabare}
頻発する内戦と彼との因果関係は!?
内戦の混乱の中、主人公クラヴィスを中心に、
アメリカ軍によるジョンポール捕獲作戦が開始される。

伊藤PROJECTでは最も理解が容易い作品です。
ジョンポールの目的は明確でした。
※核心です注意!
{netabare}ホロコーストの歴史を学び、
ルワンダやカンボジアの虐殺を学び、
彼は人が持つ古い機能を見つけたのです。
人には虐殺を司る「器官」が存在し、
その器官を刺激し活性化させる「文法」があると。
言葉が人間の行動にいかに影響を及ぼすのか。
良心を捻じ曲げテロリストの芽を育てる。{/netabare}

戦場の少年兵を、平易に殺戮するクラヴィスは、
感情を最適化された現代人の象徴でしょうか。
極めて理性的で空虚な人物たちの物語。
皆様にもぜひ触れて頂きたい。

投稿 : 2019/02/08
閲覧 : 462
サンキュー:

45

薬しんご さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

かなり良い

これは屍者の帝国、harmony/とは違って、原作を読まなくても理解出来た。なにより、声優の演技が素晴らしい。

投稿 : 2018/12/26
閲覧 : 70
サンキュー:

0

ネタバレ

ato00 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

苦悩する世界

なんともおどろおどろしいアニメタイトル。
観る前からわかっていましたが、とにかくえぐいです。
ということで、グロ排除でレビューします。

現代~近未来サイエンスフィクションアニメ。
2015年のサラエボ消滅から始まる奇妙な虐殺連鎖の黒幕はジョンポール?
アメリカ暗殺特殊部隊クラヴィスの眼を通して描かれる物語は残酷かつ陰鬱です。
いかに任務とは言え・・・そこまでするのか・・・

物語後半に訪れるクラヴィスとジョンとの冷静なやり取りがクライマックス。
遺伝子に組み込まれた人の生存本能を脳科学的に議論します。

テロとの戦いにより浮き彫りとなった持てる国と持てざる国。
その対立により始まった世界的な新たな混沌。
自己保存のために指導者が行う教育、ひいては洗脳。
宗教等を利用しながら人の深層心理を支配する危険性を暗示しているように思います。

投稿 : 2018/11/25
閲覧 : 104
サンキュー:

19

ネタバレ

noindex さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

ハリウッド映画っぽくてアニメでやる意味あるかなあ…と思ったが中盤のバトルシーンは残酷すぎて驚いた。これは海外では無理か?

dアニメストアで視聴。
9.11テロ後のIF近未来世界、行き過ぎた超高度情報社会が舞台のサスペンス的なミリタリーバトルアニメ。主題歌がEGOISTなので「PSYCHO-PASS」っぽい印象もある。
EDで制作がマングローブからジェノスタジオに引き継がれた件についての説明があった。

アメリカの特殊部隊の主人公が政情不安定な地域で活躍する話で、ハリウッド映画のような世界の警察アメリカ様感もあるが、終盤ではそういった世界構造にについての風刺もちゃんと描かれている。
体内にナノマシンを注入して兵士を感情抑制する技術が実用化されている設定だが(映画「ジェイコブス・ラダー」を思い出した)、伊藤計劃原作の他の2作品も人間の攻撃的な感情を抑制することがテーマになっていて、そこにこの作家が伝えたいメッセージが込められているのだろう。

映画的なご都合主義はやはりあって、{netabare}まず敵が主人公に機密をベラベラ喋りすぎ。主人公が言葉で人を操れるジョンポールの言葉を無警戒で聞いてしまうのもツッコミ所。

チェコの作家カフカの「城」がネタになっていたが、私は途中まで読んでいたのである程度分かってなんか嬉しかった。
バドワイザーはチェコが起源なんやね。そこはもうちっと説明して欲しかった。

中盤までは言語学をモチーフにした知的な会話をしていたのに、インドで急にヒャッハー!と少年兵をグロく殺戮しまくるのは驚いた。主人公は「子供たちは麻薬漬けだから確実に殺してあげなければならない」「辛いが仕方ない」とか言ってるが、感情抑制の賜物だね。
海外の映画やゲームでは子供と動物が殺されるシーンはご法度(GTAの街には子供と犬猫がいない…)なのでこれは日本アニメだからできることだと思う。

虐殺器官を刺激して各地で虐殺を振り撒くジョン・ポールの目的は、世界への復讐などではなく、汚い物には蓋をしてテロを起こす不穏分子を押し込めて滅ぼしてしまえだった、と言うのは面白かった。結局は世界の大国が現実にやっていることと同じだよね。{/netabare}

作画はとても良く、チェコのプラハの街並みは素晴らしく描けている。
R15+指定だけに戦闘では容赦無いグロ描写が入るので苦手な人はキツいだろう。

これで伊藤計劃原作のアニメ映画を3つとも視聴したが、自分の評価は、

ハーモニー>虐殺器官>>>>>屍者の帝国

かな。テーマ性や人物描写の深みはやはりハーモニーが一番だと思う。

投稿 : 2018/10/01
閲覧 : 123
サンキュー:

4

ネタバレ

K さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

難しい

作画も音楽も声優さんの演技もすごくてとても引き込まれました。ただ難しくて何度か巻き戻して見て、っていうのを繰り返しました。
殺人マシーンと化した軍人が切なくて怖かったです。スタバやピザなど、便利なものは世の中に沢山溢れているけれどどれだけの犠牲が別の場所であるんだろう?けれどそれは知らなくていいことなのか?
難しいです。面白かったです。

投稿 : 2018/09/30
閲覧 : 71
サンキュー:

1

アニメ好き猫 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

原作からのファン。

若くして急逝した作家伊藤計劃の原作小説のアニメ化。
原作小説の大ファンで、
公開初期に見に行き、現在はDアニメで配信ということで
再度レビューをします。

原作は活字嫌いのわたしにも読みやすい
ポップカルチャーのオマージュだらけ。
メタルギアやときメモ、黒沢清cureなど、

虐殺の仕組みが少し理解しづらいでしょうけど、
黒沢清のcureを見たことがあると
すんなり受け入れられます。

なんちゃってアメリカ特殊部隊も
痛覚の遮断によるゾンビ部隊も
作者が末期癌の闘病中に描いた作品だと思うと
作家の気迫を感じてしまいました。
末期ガンは通常、多量の鎮痛剤を使用します。

原作は後書きこそが感動してしまうというのが弱点でした。
もっと長く生きて色々な作品を描きたかった無念や、
最後に一口カレー食べたい、と言い残したことなど、、、

一言言わせてもらえれば、
世間の評価があまりに低すぎ。
これ実写でやったら目も当てられません。

投稿 : 2018/09/26
閲覧 : 58
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4

reena さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

尺が足りない感じ

ジャンル的には軍隊モノ。

何かこう設定を盛り込みすぎて、リアルなんだけど、尺足りなくて設定だけで話が終わってしまったような感じで、勿体ない作品だなぁと。

まず、近未来のSFの中で生きる、しかもガチ軍隊の主人公への感情移入がイマイチできないという所があり、話の展開も早いせいで、視聴者を置き去りにしてしまっている所が残念かと。
ストーリーの圧巻というか、視聴者のカタルシスはどこ?的な感じです。
これは尺の問題かなぁと。

後、設定を近未来というよりは現代のリアルに近づけるように配慮している一方で、犯人の動機がイマイチ、ぶっ飛んでいるというか、近未来的というか非現代的でない部分があって、そのバランス感の無さが、結局の所の作品のリアリティを損ねているような感じです.

そして、それを無理やり成立させるためのなのか、犯人の神秘性を上げるためなのか、よく分からないんですが、意味があるようでない難しい問答を入れすぎですね。好きな人は好きだと思うけど、よく聞くと中身がなくて、んな事あるかwwという印象を持ってしまいました。

とはいえ、作画やリアルな?戦闘シーンは悪くなかったような気がします。攻殻機動隊とかサイコパスとか、そういうのが好きな人は、多少似ている世界観があるので、本作をスキになり易いのではないでしょうか...?

投稿 : 2018/07/30
閲覧 : 70
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2

ネタバレ

ヌンサ(亢宿) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

仕事は人間の良心を麻痺させる

後で気が付いたのですが、今作は「ハーモニー」より先に書かれたのですね。結果
「ハーモニー」(アニメ)→「ハーモニー」(小説)→「虐殺器官」(小説)→「虐殺器官」(アニメ)
という謎の順番で作品を見てしまいました(笑)

小説の感想は、映画の引用などが多くて、まるであにこれのレビューにおける自分を見ているかのようで、何故か少し恥ずかしくなりました(「オレ、映画とかめっちゃ詳しいぜ!」という厨二病的な)。
もちろん、伊藤計劃さんの知識量は僕と比べ物にならないほど多いのですが。

登場人物のビジュアルは、映画のポスターをちらっと見たことがあった程度でした(多分あれがクラヴィス・シェパードだろう、と)。なので、ジョン・ポールが思っていたよりも普通の人でした
(小説を読んでいるときは、なぜか攻殻機動隊の合田一人を頭に思い浮かべていましたw)
櫻井孝宏さんは相変わらず櫻井孝宏さんでした(誉め言葉)。

本編のレビューに入りますが、原作小説に倣って説明が非常に多いです。モノローグや会話は説明だらけです(笑)。
しかし、攻殻機動隊シリーズなどでは省かれてしまいそうな部分まで丁寧に説明してくれるので、その手の作品が苦手な人でも楽しむことができるかもしれません。小説を読んでいないと、何が何だかわからないシーンも多少はありましたが。

カフカの墓に石を置くシーンは、「シンドラーのリスト」でもお馴染みのユダヤ人の慣習ですね(映画詳しいぜアピール)

クラヴィスが、ルツィアやジョンと言語について議論するシーンは今作のハイライトであり、最も興味深いポイントです。僕も小説を読んだ後、思わず(買うだけ買って読んでいなかった)言語学の本を読んだほどです。

"思考は言葉に既定されない"のでしょうか。英語など多くの言語は、主語のすぐ後に述語(動詞)があります。つまり、結論を文章の序盤で提示しなければならない→白黒ハッキリした思考回路になる
偏見かもしれませんが、帰国子女の方のステレオタイプでもあります。
対して日本語は、基本的に述語が文章の最後になることが多いです。
それが、日本人のあいまいな性格の所以と考えることもできます(※)。
ただこの問題は、「言語が先か性格が先か」という話に行きつくわけですが・・・。

そもそも僕がこの作品を見るきっかけになったのは映画「メッセージ」ですが、{netabare}"虐殺の文法によって思考が変化する"という設定は、「メッセージ」において{netabare}"宇宙人の言語を取得したことによって、主人公が未来を見ることができるようになる"設定{/netabare}と近いものがありますね。伊藤計劃さんは、生前「メッセージ」の原作小説を書いたテッド・チャンさんと親交があったようなので、小説はもちろん読んでいたでしょうし、少なからず影響は受けていたのかもしれません。{/netabare}

{netabare}"虐殺の文法は食料不足に対する適応"{/netabare}という説が、物語のクライマックスで語られます。
この説と似たことを、富野由悠季監督が確か{netabare}「機動戦士Vガンダム」{/netabare}のナレーションで語っていたような気がします。
{netabare}「人類が戦争をするのは本能なのかもしれない」{/netabare}的な。
{netabare}人間は、定期的に戦争をすることで人口を調節しているのでは?ってやつですね。{/netabare}

{netabare}ウィリアムズがルツィアを殺した理由は、ある意味トランプ大統領と同じ考えです。メキシコ国境に壁を作ることで、自分たちだけ助かればいい、と。最近、世界規模でも分断が進んでいます。イギリスのEU離脱・移民問題(移民を全く受け入れない日本・・・)etc。伊藤計劃さんがご存命だったら、果たして何を想ったでしょうか。{/netabare}

"二つの世界"についての話、という意味では
{netabare}「機動警察パトレイバー 2 the Movie」における平和な日常と非日常{/netabare}も思い出されます。

色々なものを天秤にかけた結果、我々は"見たくないものは見ない"生活を選択しています。飢餓国がある中、毎日捨てられるコンビニ弁当・屠殺を見ることなく肉を食べ・水洗トイレは、見たくないものを一瞬で視界から消し・霊柩車のデザインは地味にモデルチェンジ(日常から"死"を遠ざける)←養老孟司さんが本で言ってました(確か「死の壁」)

偉そうなことを書きましたが、僕も選択したひとりです。した方が良いことは分かっていても、寄付とかをするわけでもありません。レビューを書いてて、なんだか辛くなってきました。

小説の最後で匂わされていた
{netabare}"クラヴィス・シェパードが大災禍を引き起こしたのでは疑惑"{/netabare}のシーンは描写されていませんでした。

今作でも「ハーモニー」でも、決定的な部分はあいまいな表現にとどまっています。伊藤計劃さん自身が生前語っていたようですが、「答えは見つけられなかった」そうです。もし生きていたら・・・と思わずにはいられません。

ついに読む決意をして「屍者の帝国」の小説は購入しました。
近い将来、読むことになるでしょう(読んでいない本が山積みなのです・・・)



(※)以下の動画を参考↓
https://www.youtube.com/watch?v=NuHIbSw5BHY





P.S.劇中のアメフトの実況を、日ハムの試合でおなじみの近藤祐司アナが担当されていたのは、
野球好きとしてはめちゃくちゃテンションが上がりました(笑)

投稿 : 2018/05/30
閲覧 : 113
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7

ネタバレ

聖剣 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ポジティブな意味でステレオタイプ

非常に好きな世界観であり
抵抗なく話に入っていくことができた。
つまり、
ある種の典型であるとも言えるだろう。

小説が原作にあるため、
以下はできるだけ映像作品としての内容としている。


【インターフェイス】
{netabare}
いつの頃からかアニメ制作スタッフ内に
インターフェイスデザインなる肩書を見かけるようになった。
近未来を舞台とした場合、
その先進性を表現するのに
最も簡単で効果的なのは電子デバイスであり、
そのインターフェイスに手抜きは許されないと思っている。

本作においては
軍用に最適化された視覚デバイスにおいて
その表現が確認できる。
が、
それはあまりにもFPS的で、目新しさは感じられない。

邪推すると
あまりにゲームライクなインターフェイスは、
受け入れ易いというメリットを優先した結果なのだろうか。
よりゲーム的にすることで
残酷なシーンをフィクショナルな位置に移行し
痛さや怖さ、罪悪感といった
負の感情を軽減させることを期待していたのかもしれない。
ただ、
これによって残虐的表現が肯定できるとは言えない。

むしろ、
作中の『痛覚マスキング』という概念と併せて
感情調整を受けている主人公の追体験として
好意的に捉えたほうがポジティブといえようか。{/netabare}


【キャスティング】
{netabare}
おそらく声優のキャスティングについて
異論を挟む人は少ないと思われる。
特に
主役二人による掛け合いは
展開の核心に迫るヤマ場であり見せ場でもある。
声優ファンにはその声質だけで魅了されているのでは?
と、想像に難くない。

確かに
声優に無知な自分でも
さすがに声を聞けば「あっ、あの役の人か!」となる。
実はここが曲者。
本作で演じている役より先に
他の作品のキャラをイメージ出来てしまうのは本末転倒であろう。
慣れ親しんだ声による安心感は、
意外性や驚きといった面白みを欠いていることに少し無自覚だ。
第一、
映像作品を見ているのであって
声優の声を聞くための映像を見ているのではない。

主役二人の声質が
どこか似通った印象を受けたのは個人的心象だとしても、
候補となる選択肢の幅が少ないのは
現実に存在している事実。
狭い範囲内での人選しかできない現状を憂慮すべきであろう。{/netabare}


【レトリック】
{netabare}
物語の核心についての評価はかなり高く見積もっている。

要約すると、
種としての生存・存続のために『虐殺』という本能があり、
その発動には『言葉(文法)』がキッカケになっているということ。
おそらく
『子殺し』からの着想と勝手に思っているが
あくまでフィクションであるため、
発動条件が語音なのか語彙なのか、
それを科学的に議論するのは不毛であるし、
本質はその議論を求めていない。

着目すべきは『文字』である。

例えば
文章を書こうとした場合、
その選ぶ単語や語順、そして形容詞や副詞など多くの選択肢の中から
たったひとつの組み合わせを選ぶことになる。
仮に、
多少、語順が入れ変わったとしても、
似た意味の単語に入れ替えたとしても、
伝えたい意味が大きく変わることはないだろう。
ただ、
一つの作品を作るには
この工程を際限なく続けていくことになる。
そんな単調な作業中に、

『ある特定の組み合わせの場合には、
表向きの意味とは別に、別の意味がこの文章に生まれているのでは?』

と、あらぬ方向に想像が飛躍しても何ら不思議ではない。

ただ
それを映像表現にするのは難しく、
仮説の正否を確かめるまでには至っていない。
むしろ
原作に手を伸ばし
作者の紡いだ言葉を理解しながら、
どこかのタイミングで
『あっ、虐殺器官が働き始めたかも?』と
想像力豊かに読み進めるのは、実に楽しそうではないかと思う。{/netabare}

投稿 : 2018/03/29
閲覧 : 107
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9

アトランティス さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ジェノサイド

あにこれである方のレビューを読んで見ようと思っていた作品。

内容は、文明が進んだ(といっても2020年代の)現代世界で
人間の意識の根源に眠る本能について自分の生き方との中で葛藤する
アメリカの特殊部隊所属の主人公のストーリー。

主人公の物語と書いた理由は本作を最後まで見て頂けると分かると思います。

硬派なSFものでタイトルからして疎遠している方もおられることと思いますがグロ描写は多いです。(サイコパスに近いかも)

文明が進み豊かな生活を送る人間、
遅れた文明の中で常に誰かの負の意識に囲まれて生きる人間、
その両者の線引き。
人間の生存本能。

現代社会を生きる人へのメッセージを多く含んでいる内容です。

いろいろ考える所はありますが
中でも印象に残ったのは
「現代の私たちが使っている便利なものがどんな残虐な過程
を踏んで作られているか、人は考えようとしない」
って言葉でした。

投稿 : 2018/03/17
閲覧 : 159
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23

藤乃 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

虐殺器官

ノイタミナムービー第2弾「Project Itoh」の一環として、2017年2月に劇場公開されたSFアニメ映画。
近未来の世界では、徹底的な監視社会が先進諸国に形成されていた。
一方で、発展途上国では内戦や紛争が頻発し、その黒幕として言語学者ジョン・ポールが浮かび上がる。
米軍特殊部隊員が潜入捜査でジョン・ポールの目的と、市民を扇動するその手法を探るミステリー作品です。

複雑で難しい題材ですが、しっかり説明されているので問題なく観れます。
まず、本作の重要なファクターである虐殺器官という発想が見事でした。
また、あまりにメッセージ性が強いストーリーも衝撃を受けるほど素晴らしいです。
痛覚麻痺や感情抑制によって殺人マシーンとなって任務を遂行する軍人。
自分達を豊かにする情報だけを取捨選択し、他国の内戦や紛争から目を逸らし続ける先進国の人々。
決して夢物語ではない設定の数々に現実味を感じて、まるで未来を示唆しているようで恐ろしくなりました。

豪華声優陣の演技はさすがだし、音楽も見せ場を盛り上げていて良かったです。
作画はとてつもなくキレイで、近未来技術を駆使した戦闘シーンはすごくカッコいいです。

「Project Itoh」の中ではストーリーが文学的でよくまとまっているしるし、テーマも明確で一番楽しめました。
同じく近未来SF作品の「攻殻機動隊」や「サイコパス」が好きな方にオススメです。
ただ、これはきっと活字で読んだほうが面白いだろうなぁと思います。
映像作品では内容を咀嚼する前に次々と進行してしまうので、そのうち小説でゆっくり味わいたいですね。

投稿 : 2018/02/25
閲覧 : 74
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6

nico81 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

すべての人間の心の中に潜む闇

それを浮き彫りにする言葉。
戦争を引き起こし助長させる無意識の悪意や集団心理、それらを作り出す社会の大きな波や流れを「文法」として可視化してみせるという発想が見事だった。

ただ、これはきっと活字で読んだほうが良い。原作未読でもかなりはしょられているのがわかるし、この言葉の面白さは活字でこそきっとよくわかる。
映像作品では見せ方としてどうしてもアクションに寄ってしまうし、そのスピード感についていこうとすると、そこで語られる言葉は頭で内容を咀嚼する前に次々とこぼれ落ちて行ってしまう。

舞台は近未来だが設定は9.11後の現代。戦争へと突き進むアメリカや世界へ警鐘を鳴らしたいという気持ちはわかるが、第3世界の描き方は本当にそれで良いの?という疑問は拭えないし、アメリカ人なのに日本語で会話するという違和感も若干残るから、欲を言えばできれば設定は完全に架空の近未来にして欲しかった。

それでも、テーマも明確でよくまとまっていて文学的、映像作品として十分見応えもあり、伊藤計劃の3作品の中では一番良かった。

投稿 : 2018/01/23
閲覧 : 76
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4

明石 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

原作も読みたい

伊藤計劃プロジェクト第3段。3作品の中では1番好み。初見だと分かりにくい部分もたくさんあったので、原作読んでまた観直したい。

投稿 : 2018/01/13
閲覧 : 93
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0

かんぱち さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

見る人を選ぶ作品かもしれないけど…

タイトルからもお察しの通り、楽しい!とかスカッと感はないですが、見て色々と考えさせられるという意味ではとても面白かったです。お話の舞台も2020年等でそう遠くなく、何となく現実と重ね合わせて見てしまう所もありました。
ただ、私みたいな予備知識のない人が見ると頭が痛くなるかもw説明台詞も多くて、頭をフルに使った気がします。日本語音声だけど日本語字幕が欲しいなと思ってしまいました…。でもおかげで?アニメに終わらず原作も読んでみたいなと思いましたし、原作を読んでからもう一度見直してみたいなとも思いました。

また、女性や子どもが撃たれる場面など残酷な描写があるので、そういう描写が苦手な方にはおすすめできません。そういった条件をクリアした上で、SF好きな人、「歴史」や「言語」分野に関心がある人に一度見てほしい作品です。
声優さんに関していえば、普段は吹き替えで活躍されている方々の声を聴くことができて個人的に嬉しかったです。洋画っぽい雰囲気が出るように考えられたのかなーとか勝手に思ってしまいます。

投稿 : 2018/01/01
閲覧 : 73
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6

このままじゃダメだ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

本来は「死者の帝国」、「虐殺器官」、「harmony/」の順番で公開される予定でしたが、制作会社の倒産に見舞われて最後に公開されることとなりました。
原作の公開順的にも、内容的にも最初に公開されるのがより良い気がしますが、それは言っても仕方のない事です。

内戦・紛争の中心にいつも姿を現すジョン・ポールの目的と、市民を扇動する方法をめぐるミステリー・SF作品となっています。

論理的な小難しい話に後半画面が暗くなりますので、視聴者の皆様におかれましても戦いを挑まれる可能性がございます。

初見時、後半で一部記憶が飛んでいたので最近見返しましたが、主に記憶が飛んでいたのは何故やったのかの理由づけにあたる部分でした。しかしまあ…その、人間が追い込まれる理由なんて大概見当つきますよね。
足りなかった部分が補完されても、あまり印象は変わらず。まあそうだろうなという感じにもなりましたけど、思ったより丁寧に描かれていたことは意外でした。
そして、内容が補完されてもなお、もう一度見たいと思える面白味・設定の練り込みが良く、あり、近代有数の、SF/ミステリー作品に間違いないと思います。

お気に入りの作品の一つとなりました。

投稿 : 2017/12/25
閲覧 : 88
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7

ネタバレ

ossan_2014 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

虐殺の言語

【微修正。大意に変更はありません】

伊藤計劃作品アニメ化の三作目。

一人称で描かれる、情報量の多い原作小説のビジュアル化に、よく健闘している。

原作から膨大な思弁を伴う重要エピソードを大きく削り、ビジュアル化可能な行動=アクションで物語を語る手法だが、思弁=言葉を大幅に制限されながら、簡易化することなく虐殺をめぐるストーリーをとりあえず語りきったとは言えそうだ。

そのビジュアルに関しては、次々に登場するガジェットやテクノロジーに過剰な解説をすることなく、映像だけで機能を理解させていく手際は見事で、製作者の映像センスの確かさを窺わせる。

世界で頻発する虐殺の謎を追う物語は、冒頭のジョージア=グルジアで、ほとんど全ての観客に理解できないであろうグルジア語の中に放り込まれる導入から始まり、チェコ、インド、アフリカと、各地の言語の中に送り込まれることで、異言語に象徴される敵性地へ侵入する特殊工作員の皮膚感覚を表現するとともに、観客に「言語」への意識を喚起する巧妙な仕掛けが施されている。
(外国へ行ったとき、現地空港に着いた途端に周囲から「日本語」が消えている事に気付き、「外国」へ来たと強く意識する感覚を思い出させる)

一方で、英語の「文書」が必ず瞬間的にしか表示されないのは、アメリカ人という設定で日本語セリフを話す主人公を観る日本語話者の観客が、英語を「読もう」として外国語=異言語だと意識してしまわないようにする計算だろうか。
外国人を主役にした日本アニメに付きまとう問題だが、本作では英語が「自言語」と了解されていなければ具合が悪い。

「言語」に対する慎重な配慮を持った描写は、勿論、本作の主題に直結しているからだ。



{netabare}特定の文法で記述される言葉によって、意思決定が「虐殺」へと誘導されてゆく。

人間の意思を操作する技術や仕掛けは、SF作品には、しばしば登場する。

本作のSF的な独創は、「虐殺」の意思決定が「脳内のスイッチが「言語」によって押されて」発生するのではなく、「意思」決定の実態が、脳内の情報処理モジュール群のせめぎあいであり、単一の自己同一的な人格の発揮する能力ではないという、脳科学的な知見を参照した、唯一無二の確固とした「私」という人間性への懐疑だ。

人格や意思といった「私」の特性が、環境に自動反応するモジュールのせめぎあいによって「動的に」生じる現象に過ぎず、「私」や「私の意思」がモジュールを誘導する「テクノロジー」や「虐殺器官」によって変貌するSF的な設定が、他者を殺す「意思」の無根拠性をも暴きだし、実存の不安という伊藤計劃的な思弁へとつながる。

原作の母親の死をめぐるエピソードが削られることで、意思決定をめぐる理論が十分に語ることが出来ず、アクション主体で進行させざるを得ない映像作品という制約の中で、本作はかろうじて「秘密の脳内スイッチ」といった単純化に陥ることを免れ、最低限の設定を描写することには成功している。

しかし、量的に少ない脳内モジュールの「説明」からは、虐殺を発生させる「器官」が現代では必然性がないように、虐殺=他者を殺すと決意した「殺意」さえも、モジュールのせめぎあいの上に浮かぶ、必然性のない廃棄可能な泡に過ぎないという批判性までは、少し見えにくい。

モジュールの動き一つで、虐殺を「しない」という「意思」もまた、何時でも発生するほどに「人格」は不確かであるという批判性。

そして、アメリカに虐殺の文法を流通させる主人公の「意思決定」もまた、環境に反応するモジュール群の運動の産物である以上、アメリカ(および先進工業国)という「環境」に反応した「私」、の「物語」に過ぎないという、本作オリジナルのラストの批判性。
(言葉の断片を「文法」通りに配列して「虐殺の言語」を探る作業を表現する、附箋紙に覆われたボードは、「意思」を析出する脳内モジュール群の運動モデルとパラレルの巧妙な描写だ)

引き起こされている惨劇がどれほど悲惨なものであるか、「虐殺」という強い言葉の使用で想像させるだけで、十分に具体化されているとは言えないため、全体として、ややゲーム的な追いかけっこに見えがちになり、余計にこのラストの批判性の衝撃が見えにくくなっているようだ。

主要人物や少年兵のように、感情移入する固有性を持った死によって悲惨さを表してしまうと、個人の死が埋没する大量死である「虐殺」に特有の悲惨がぼやけて、ゲーム感を強める。
明らかに「悪」である、射殺される少年兵の「明確な感情」を想起させる死は、「明確な」目標と「明確な」得失点のルールが設定された「ゲーム」に親和的で、個別の死者に対する個別の理由が明確でないまま大量死が累積する「虐殺」の、不定形な得体のしれない不気味さから遠ざかる。
具体的な大量の死体の描写はしなくとも、もっと惨劇を想起させる表現の仕方はあっただろうと、少し惜しい気持ちを感じさせた。



虐殺をモチーフとした、脳科学と進化心理学に依拠したSF設定の描写は、映像作品にとっては確かに表現上の制限は多いが、人文的な視点からでも、本作の解読を試みることはできる。


人間をなぜ殺してはいけないのか、という問いに対して最もシンプルな答えは、「人間は人間を殺さない性質があるからだ」というものだろう。

「殺してはならない」という法があること自体が、人間は人間を殺す自然な性質が備わっていないという証明ともいえる。

殺すことが、人に備わった自然な性質で、不可避に常に発生するものであるならば、そもそも「殺してはならない」の法は発生しない。
「水を飲んではならない」という法があり得ないように、「殺すな」の法は発生=発想のしようが無いだろう。
そもそも「殺さない」からこそ、「イレギュラー」の発生に備えた法が発想される。

しかし、にもかかわらず太古から部族間の闘争=戦争は絶えない。

伝統社会の言語の研究によると、伝統社会では「人間」を表す言葉と、その部族あるいは「われわれ」を表す言葉は、しばしば共通しているか関連している例が見られるそうだ。

そう、「人間」同士は、「われ-われ」同士は、互いに殺し合わない。殺す「性質」を持たない。
殺せるのは、「やつら」が、われわれ「ではない」=人間「ではない」からだ。
「人間」でないものは、殺せる/殺しても構わない。

現代において、戦争で「敵」を殺すことに無条件で納得できない=抵抗を感じるのは、「敵」もまた「われわれ」と同じ「人間」であると把握されているからだ。
地上の人間は全てホモ・サピエンスという単一種であるという生物学的知見や、人権という社会思想が広範に共有、認識されることにより、現代人は敵対する敵であっても同じ「人間」であるという信憑を強固に抱いている。

したがって、現代において敵を殺す、あるいは虐殺をするには、まず相手は「人間」では「ない」と規定しなくてはならない。

ナチスはユダヤ人を「シラミ」と呼称した。
中国共産党は文革の弾圧実行に際して、敵対者を「害虫」と規定した。
ルワンダのフツ族はツチ族を「ゴキブリ」と呼んだ。
最大限の侮蔑の表現として「犬」や「豚」といった言葉を使用する言語はいくつもある。

虐殺に先立って、まず相手を「人間」以外の呼称で呼ぶこと。それは現実世界の「虐殺の言語」だ。
もしも、特定国の国民や特定集団を人間以外の動物の名で呼ぶような言説が広くみられるようになったとしたら、それは「虐殺の文法」が作動し始めた予兆であるということかもしれない。

こんな観方をしても、本作の虐殺の言語をめぐる物語に、リアリティを追加することが出来そうだ。{/netabare}

投稿 : 2017/11/11
閲覧 : 162
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4

ネタバレ

いさ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

893さんには

どっかの島に引きこもって勝手に殺しあってもらって・・・
というのと同じ理屈ですな

{netabare} やっぱかー
ラストあっさりし過ぎでおかしいと思ったんだよね
あんなに文法研究して、ねりにねった返答だったのに
あの後に大鬱エンドがあったなんて
それで納得しました~ {/netabare}

投稿 : 2017/11/02
閲覧 : 84
サンキュー:

0

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

原作も良作

原作も既読、アニメは映画館で鑑賞。
原作作者は若くして亡くなった伊藤計劃。
制作会社倒産を乗り越えて完成した作品でした。

非常にによくできています。もっと評価されていい作品です。
確かに原作の {netabare} 虐殺器官が都合のいい催眠術に置き換えられているように感じられるのですが {/netabare}
限られた時間で、しかもアニメの演出ではよく表現されていたと思います。

ラストシーンが意味不明に感じられるのですが、
{netabare} この後、アメリカで大虐殺が起こり、その後ハーモニーの世界に繋がっていきます。 {/netabare}
近未来SFの表現や痛覚が遮断された兵士同士の殺し合いなど、
よく出来た設定だと思います。

残念ながら作者の続編は読むことができませんが、
これからも日本のSFはアニメでこそ表現出来ると思います。
是非この分野でもアニメスタッフには頑張ってほしいものです。

投稿 : 2017/09/05
閲覧 : 70

revlis さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

もう一度観たい

まさに槙島聖護でした。
櫻井さん、こういう役似合いますね。

中村悠一さんも、さすがの安定感。

投稿 : 2017/05/14
閲覧 : 107
サンキュー:

3

KY21 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトルなし

吐き気がするほどの虐殺ではありませんでした
他人事の虐殺に感じてしまいました

投稿 : 2017/04/17
閲覧 : 107
サンキュー:

2

ネタバレ

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

近未来SFと現実と絶望の哲学

食料難などの原始的な群れの存続危機を回避するため、

仲間を虐殺する器官(心臓とか小腸と同種の器官の一つという意味)を人間は持っていて、それを解明し、悪用する犯人を追う話。

言語という音の連なりを、ある一定の並びで聞かせると、人間は虐殺のリミッターが外れやすくなるという設定が面白い。

脳内マスキングが衝撃だった。痛覚、恐怖の部分を脳にこないようにマスキングした軍人同士が戦闘するとどうなるか。

互いがミンチになるまで戦うはめになる。こんな未来イヤだなと感じた。正直怖い。

グサっと来たセリフを一つ

「すべての仕事は良心を麻痺させるためにするんだよ」

仕事でなかったら、ナチスの軍人はユダヤ人を大量虐殺しなかっただろう。

普通の仕事は人を殺したりしないから、そこまで深く考えなくて良い。

しかし、拡張していけば、一般の仕事も同じなんじゃないか。

仕事は便利な言い訳だが、使ってはいけないんだなと感じた。

投稿 : 2017/03/08
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虐殺器官のストーリー・あらすじ

世界の紛争地を飛び回る米軍特殊部隊クラヴィス・シェパード大尉に、謎のアメリカ人の追跡ミッションが下る。その男、「ジョン・ポール」は、紛争の予兆と共に現れ、その紛争が泥沼化するとともに忽然と姿を消してしまう。かつて有能な言語学者だった彼が、その地で何をしていたのか。アメリカ政府の追求をかわし、彼が企てていたこととは…?(アニメ映画『虐殺器官』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2017年2月3日
制作会社
ジェノスタジオ
主題歌
≪主題歌≫EGOIST『リローデッド』

声優・キャラクター

中村悠一、三上哲、石川界人、梶裕貴、小林沙苗、大塚明夫、櫻井孝宏

スタッフ

原作:伊藤計劃『虐殺器官』(ハヤカワ文庫JA)、キャラクター原案:redjuice、 監督:村瀬修功、脚本:村瀬修功、デザインワークス:荒牧伸志/山根公利/臼井伸二/神宮司訓之/山田正樹、美術監督:田村せいき、撮影監督:山田和弘/中西康祐、色彩設計:茂木孝浩、CGディレクター:増尾隆幸、アフレコ演出:長崎行男、編集:長坂智樹、音楽:池頼広

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