青龍 さんの感想・評価
3.4
見た目はギャルで軽そうなんだけど実は純朴
北海道北見市出身の伊科田海による原作漫画は、『少年ジャンプ+』(集英社)にて連載中(既刊12巻、原作未読)。
アニメは、『最近雇ったメイドが怪しい』と同じ監督と制作会社の組み合わせで、SILVER LINK.とBLADEの共同制作(10話まで視聴)。放送はテレビ東京系列。ちなみに、SILVER LINK.は、同時期に『佐々木とピーちゃん』も手がけており、この作品の湊未來監督が『道産子ギャル』の総監督も務めている。
非道産子の知人が「道産子」繋がりで私に勧めてくるので観始める。
(2024.3.12、一部更新。)
あらすじは、北見を舞台とした、東京から引っ越してきた男子高校生・四季翼(しき つばさ:CV.島崎信長)と、「道産子ギャル」の女子高校生・冬木美波(ふゆき みなみ:CV.佐倉綾音)、3話から登場するゲーム好きの清楚系美少女・秋野沙友理(あきの さゆり:CV.花守ゆみり)、6話から登場する翼の家の隣に住む高校の先輩・夏川怜奈(なつかわ れな:CV.上田麗奈)とのラブコメ。
美波は、ギャルだからなのか純朴だからなのか母親の影響なのか、翼に対してグイグイ行く。他のヒロインも押しが強め。
本作のメインヒロインである美波の魅力は、見た目はギャルで軽そうなんだけど実は純朴というギャップ萌えなところだと思う。
ただ、全体的に登場人物の背景描写が薄いので(例えば、{netabare} 翼がピアノが上手いことに対する伏線がない。あと、祖母が翼にとても厳しい理由など。 {/netabare})、その行動をとっている理由に説得力や深みがないというかなんというか…
個人的には、3人のヒロインの中だと、秋野沙友理が一番共感できるかな。
本作は、タイトルに「道産子」と入っているものの、ネイティブ的には、後述するように北海道弁の再現度のクオリティは微妙。
もっとも、観光地として海外でも大人気の北海道。本作は、そのご当地紹介も兼ねていて、誇張はあるものの「北海道あるある」ではあるので、方言などに違和感のない非道産子にとっては、観光案内としていいかも。
漫画原作者が同じ道産子なので応援したいのですが…、ラブコメ、道産子、ギャル、観光案内と強みとなる要素自体はあるんですけどね…。
【音楽】
OPのオーイシマサヨシによる「なまらめんこいギャル」(作詞・作曲・編曲:大石昌良)がキャッチー。
【本作の北海道弁について】
明確な方言指導の表示はなし。一応、美波役の佐倉綾音さんと元同じ事務所の同期でクラスメイトの松尾役で出演している松岡禎丞さんが北海道帯広市出身だけれど、ほぼ出番なし…
松岡さん、9話で出番が増え、一人ネイティブ過ぎてかえって違和感が(笑)
佐倉さんも少し上手くなってきたかもしれません。
細かいイントネーションなど全体的に北海道弁に寄せるというより、「なまら」、「したっけ」、「そだねー」、「ゴミを投げる」、「語尾の~しょ」、「よっかかる」といった単語のみ部分的に方言を使う感じ。
台本や制作側の指示通りのはずなので、声優だけのせいではないですが、ネイティブ的には、他の方も触れられている通り、方言のイントネーションや間の取り方、方言の使い方に違和感がある。
特に「なんもなんも」は、イントネーションが違うと不自然なので、セリフとして言わされてる感が出てきてしまう(10話の「なんもなんも」の方がリアルに近いかな?)。
もっとも、違和感があるのは日本の全人口の1割にも満たないので、方言のリアリティを追求するより人気声優の配役を重視したのかもしれません(海外の人も方言はわからないですからね)。
ただ、配役重視だとしても、本作の売りの1つは「道産子」だと思うので、他のアニメとの差別化としても、ふとした瞬間の感情の吐露として方言を用いると、シチュエーション的にも素がでやすいし効果的だと思うわけです。
(8話で焼肉を食べた美波が「なまらうまいっしょ」って言ってましたね。)
原作未読なので違うのかもしれませんが、原作通りのセリフなのだとしても、アニメでは、漫画と違って音声が付く。
「声」という漫画にはないアニメの強みを活かすためにも、もう少し「方言」にこだわった方が良かったのではないかと思いました。